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特許7561877冷液貯蔵タンクの断熱壁の作製に適した断熱ブロック
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-26
(45)【発行日】2024-10-04
(54)【発明の名称】冷液貯蔵タンクの断熱壁の作製に適した断熱ブロック
(51)【国際特許分類】
   F17C 3/04 20060101AFI20240927BHJP
   B65D 90/02 20190101ALI20240927BHJP
【FI】
F17C3/04 E
B65D90/02 B
【請求項の数】 23
(21)【出願番号】P 2022572480
(86)(22)【出願日】2021-05-26
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-26
(86)【国際出願番号】 EP2021063965
(87)【国際公開番号】W WO2021239767
(87)【国際公開日】2021-12-02
【審査請求日】2023-02-08
(31)【優先権主張番号】2005562
(32)【優先日】2020-05-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】515220317
【氏名又は名称】ギャズトランスポルト エ テクニギャズ
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100115048
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 康弘
(72)【発明者】
【氏名】サッシ モハメド
(72)【発明者】
【氏名】デラノー セバスティアン
【審査官】佐藤 正宗
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/239049(WO,A1)
【文献】特開2017-197289(JP,A)
【文献】国際公開第2014/096600(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F17C 3/04
B65D 90/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
密閉断熱タンクの壁を形成するのに適した断熱ブロック(6;106;206;306;406;506)であって、
前記断熱ブロックは、平行六面体形状を有するとともに、
平行な第1の対及び平行な第2の対の側部(12a,12b;112a,112b;212a,212b;312a,312b;412a,412b;512a,512b)を有するベースプレート(12;112;212;312;412;512)と、
前記断熱ブロックの厚さ方向に前記ベースプレートから離間した前記ベースプレートと平行なカバープレート(11;111;211;311;411;511)であって、2つのスロット(14;114;214;314;414;414;514)を有するカバープレート(11;111;211;311;411;511)と、
前記カバープレートと前記ベースプレートとの間に配置され、前記ベースプレートに固定された断熱フォームブロック(13;113;213;313;413;513)と、を備え、
前記スロットは互いに平行であり、前記ベースプレートの第1の対の側部(12a;112a;212a;312a;412a;512a)と平行な方向に延在し、
前記スロットの各々は、密閉メンブレンを溶接するための溶接支持体を収容するように構成されており、
前記断熱フォームブロックには、前記ベースプレートと前記カバープレートとの間に延在し長方形の幾何学的エンベロープを画定する複数の側面(13f;113f;213f;313f;413f,413f1,413f2;513f,513f1,513f2)と、複数の凹部(15;115;215;315;415A,415B;515A,515B)と、が設けられており、
各前記凹部は、2つの隣接する側面の間に延在し、保持部材(30)を収容するように構成され、
前記断熱ブロックは、
前記凹部(15;115;215;315;415A,415B;515A,515B)内にある前記保持部材のための支持面(16;116;216;316;416a,416b;516b)と、
前記ベースプレートに固く結合され、前記ベースプレートの前記第1の対又は前記第2の対の側部(12b,12a;112b,112a;212b,212a;312b,312a;412a,412b;512a,512b)のうちの一方の対の側部に沿って延在する一対の補強部材(20,21;120;250,251;380;420a;520a)と、を備え、
前記補強部材は、前記一方の対の側部に沿う、前記断熱ブロックの厚さ方向に垂直な方向においてより大きな寸法を有し、
前記補強部材の前記大きな寸法は、前記断熱ブロックの厚さ方向に垂直な前記方向において、前記一方の対の前記側部に沿って、前記断熱フォームブロックの側面全体に延在し、
各前記補強部材は前記ベースプレートから前記断熱ブロックの前記厚さ方向に突出し、前記断熱フォームブロックの1つの前記側面(13f;113f;213f;313f;413f2;513f2)と自由接触する表面を有する、断熱ブロック。
【請求項2】
各前記補強部材(250)は、木製のバテンを備え、
前記カバープレート(211)の方を向く前記バテンの上面によって1つの前記支持面(216)が形成される、請求項1に記載の断熱ブロック(206)。
【請求項3】
前記ベースプレートに固く結合された第2の対の補強部材(251)であって、前記ベースプレート(212)の前記第1の対の側部及び前記第2の対の側部のうちの他方の対の側部(12a;112a;212a;312a)に沿って延在する第2の対の補強部材(251)をさらに備える、請求項1又は2に記載の断熱ブロック(206)。
【請求項4】
各前記補強部材(250,251)は、前記ベースプレート(212)の上部と同じ高さにおいて前記断熱フォームブロック(213)における対応する凹部(270,271)内に収容されている、請求項1~3のいずれか一項に記載の断熱ブロック(206)。
【請求項5】
数の支持要素(40;140;390;440A,440B;540B)を備え、
各前記支持要素は凹部(15;115;315;415A,415B;515B)内に収容され、1つの前記補強部材(20,21;250,251;380;420A;520A)によって前記凹部内に保持され、
前記カバープレート(11;111;311;411;511)の方を向く前記支持要素(40;140;390;440A、440B;540B)の上面によって1つの前記支持面(16;116;316;416A,416B;516B)が形成される、請求項1に記載の断熱ブロック(6;106;306;406;506)。
【請求項6】
前記支持要素(40;140;390;440A,440B;540B)の各々は、前記断熱フォームブロック(13;113;313;413;513)と自由接触する少なくとも1つの面を有する、請求項5に記載の断熱ブロック(6;106;306;406;506)。
【請求項7】
前記断熱ブロック(6;106;306)の厚さ方向における前記支持要素(40;140;390)の高さは、20mmから250mmの間である、請求項5又は6に記載の断熱ブロック(6;106;306)。
【請求項8】
各前記補強部材(20,21;120;420A;520A)は、木製のバテンを備え、
前記バテンは、前記断熱フォームブロック(13;113;413;513)と自由接触する表面を有する、請求項5~7のいずれか一項に記載の断熱ブロック(6;106;406;506)。
【請求項9】
各前記補強部材(20,21;120;420A;520A)は、ステープル留め、ねじ留め、スポット溶接及び/又は接着によって、前記支持要素(40;140;390;440A,440B;540B)及び前記ベースプレート(12;112;212;312;412;512)に固定される、請求項8に記載の断熱ブロック(6;106;406;506)。
【請求項10】
前記ベースプレート(12)に固く結合された第2の対の補強部材(21)であって、前記ベースプレート(12)の前記第1の対の側部及び前記第2の対の側部のうちの他方の対の側部(12a)に沿って延在する第2の対の補強部材(21)をさらに備え、
前記第2の対の補強部材(21)の各前記補強部材は、木製のバテンを備え、
前記バテンは、前記断熱フォームブロック(13)の側面(13f)と自由接触する表面を有する、請求項8又は9記載の断熱ブロック(6)。
【請求項11】
各前記補強部材(380)は、前記断熱フォームブロック(313)の側面(313f)と自由接触する表面(380f)と、前記ベースプレート(312)と接触してしっかり保持された表面(380g)と、を提供するようなL字形断面を有する、請求項5~7のいずれか一項に記載の断熱ブロック(306)。
【請求項12】
前記断熱フォームブロック(13;113;213;313)は、4つの側面(13f;113f;213f;313f)を有し、
前記4つの側面の各々は、前記長方形の幾何学的エンベロープの1つの面を画定し、
各前記凹部は、前記断熱フォームブロック(13;113;213;313)の角部に配置されるように、2つの隣接する前記側面(13f;113f;213f;313f)の間に延在する、請求項1~11のいずれか一項に記載の断熱ブロック(6;106;206;306)。
【請求項13】
前記断熱フォームブロック(413)の前記側面は、3つの第1の側面(413f)を備え、
前記3つの第1の側面の各々は、前記長方形の幾何学的エンベロープの1つの面、及び2つの第2の側面(413f1,413f2)を画定し、
前記2つの第2の側面は、共に前記長方形の幾何学的エンベロープの1つの面を画定し、
前記2つの第2の側面は、前記ベースプレート(412)の前記第1の対の側部及び前記第2の対の側部のうちの前記一方の対の側部の一方の側部(412b)に平行である、請求項5~10のいずれか一項に記載の断熱ブロック(406)。
【請求項14】
追加の補強部材(420B)をさらに備え、
前記追加の補強部材(420B)は、前記ベースプレート(412)の前記一方の側部(412b)に沿う、前記断熱ブロック(406)の前記厚さ方向に垂直な方向においてより大きな寸法を有し、
前記追加の補強部材は、前記ベースプレート(412)から前記断熱ブロックの前記厚さ方向に突出し、かつ、前記断熱フォームブロック(413)の1つの前記第2の側面(413f1)と自由接触する表面を有する、請求項13に記載の断熱ブロック(406)。
【請求項15】
前記凹部(415B)は、前記2つの第2の側面(413f1,413f2)の間に延在し、2つの前記支持要素(440B)を収容し、
前記2つの前記支持要素(440B)の一方は、補強部材(420A)によって前記凹部(415B)内に保持され、前記2つの前記支持要素(440B)の他方は、前記追加の補強部材(420B)によって前記凹部内に保持される、請求項14に記載の断熱ブロック(406)。
【請求項16】
前記断熱フォームブロック(513)の前記側面は、前記ベースプレート(512)の前記第1の対の側部及び前記第2の対の側部のうちの他方の対の側部(512a)の側部に平行な2つの第1の側面(513f)を備え、
前記2つの第1の側面の各々は、前記長方形の幾何学的エンベロープの1つの面、及び3つの第2の側面(513f1,513f2)を画定し、
前記3つの第2の側面は、共に前記長方形の幾何学的エンベロープの1つの面を画定し、
前記3つの第2の側面(513f1,513f2)は、前記ベースプレート(512)の前記第1の対の側部及び前記第2の対の側部のうちの前記一方の対の側部の一方の側部(512b)に平行である、請求項5~10のいずれか一項に記載の断熱ブロック(506)。
【請求項17】
2つの追加の補強部材(520B)をさらに備え、
前記追加の補強部材(520B)は、前記ベースプレート(512)の前記一方の側部(512b)に沿う、前記断熱ブロック(506)の前記厚さ方向に垂直な方向においてより大きな寸法を有し、
前記追加の補強部材(520B)は前記ベースプレート(512)から前記断熱ブロックの前記厚さ方向に突出し、かつ、前記断熱フォームブロック(513)の1つの前記第2の側面(513f1)と自由接触する表面を有する、請求項16に記載の断熱ブロック(506)。
【請求項18】
つの前記凹部(515B)は、各々、前記3つの第2の側面(513f1,513f2)のうちの2つの間に延在するとともに2つの前記支持要素(540B)を収容し、
つの前記支持要素(540B)の一方は、補強部材(520A)によって前記凹部(515B)内に保持され、前記2つの支持要素(540B)の他方は、追加の補強部材(520B)によって前記凹部内に保持される、請求項17に記載の断熱ブロック(506)。
【請求項19】
荷重支持構造(1)上に保持されるタンク壁を含む密閉断熱タンクであって、
前記タンク壁は、前記密閉断熱タンクの外側から内側へ厚さ方向に、前記荷重支持構造(1)上に保持される二次断熱バリアと、前記二次断熱バリア上に保持される二次密閉メンブレンと、前記二次密閉メンブレン上に保持される一次断熱バリアと、前記一次断熱バリア上に保持される一次密閉メンブレンと、を備え、
前記二次断熱バリアが、請求項1~18のいずれか一項に記載の複数の並置された断熱ブロック(6;106;206;306;406;506)と、複数の固定部材(30)と、を備え、
各前記固定部材(30)は、隣接する前記断熱ブロックの前記凹部(15;115;215;315;415A,415B;515A,515B)内に収容され、かつ、前記隣接する前記断熱ブロックを前記荷重支持構造(1)上に保持するよう前記隣接する前記断熱ブロックの前記支持面(16;116;216;316;416A,416B;516B)に当接し、
前記二次密閉メンブレンは、前記断熱ブロックの前記スロット(14;114;214;314;414;514)内に収容された溶接支持体によって前記断熱ブロック上に保持される、密閉断熱タンク。
【請求項20】
荷重支持構造(1)上に保持されるタンク壁を含む密閉断熱タンクであって、
前記タンク壁は、前記密閉断熱タンクの外側から内側へ厚さ方向に、前記荷重支持構造(1)上に保持される二次断熱バリアと、前記二次断熱バリア上に保持される二次密閉メンブレンと、前記二次密閉メンブレン上に保持される一次断熱バリアと、前記一次断熱バリア上に保持される一次密閉メンブレンと、を備え、
前記一次断熱バリアが、請求項1~18のいずれか一項に記載の複数の並置された断熱ブロック(6;106;206;306;406;506)と、複数の固定部材(30)と、を備え、
各前記固定部材は、隣接する前記断熱ブロックの前記凹部(15;115;215;315;415A,415B;515A,515B)内に収容され、かつ、前記隣接する前記断熱ブロックを前記二次密閉メンブレン上に保持するよう前記隣接する前記断熱ブロックの前記支持面(16;116;216;316;416A,416B;516B)に当接し、
前記一次密閉メンブレンは、前記断熱ブロックの前記スロット(14;114;214;314;414;514)内に収容された溶接支持体によって前記断熱ブロック上に保持される、密閉断熱タンク。
【請求項21】
冷液製品を輸送するために使用される船(70)であって、
前記船は、二重船体(72)と、前記二重船体の内部に配置される請求項19又は20に記載の密閉断熱タンク(71)と、を備える、船(70)。
【請求項22】
冷液製品のための移送システムであって、
請求項21に記載の船(70)と、
前記船の前記密閉断熱タンク(71)を陸上式又は浮体式の貯蔵施設(77)に接続するように構成された断熱パイプ(73,79,76,81)と、
前記断熱パイプを介して、前記船の前記密閉断熱タンクから前記陸上式若しくは浮体式の貯蔵施設へ、又は前記陸上式若しくは浮体式の貯蔵施設から前記船の前記密閉断熱タンクへ、前記冷液製品の流れを駆動するためのポンプと、を備える、移送システム。
【請求項23】
冷液製品の積み降ろしを行うための、請求項21に記載の船(70)の使用であって、
冷液製品が、断熱パイプ(73,79,76,81)を介して、前記船の前記密閉断熱タンク(71)から陸上式若しくは浮遊式の貯蔵施設(77)へ、又は陸上式若しくは浮遊式の貯蔵施設(77)から前記船の前記密閉断熱タンク(71)へ、送られる、使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、密閉断熱タンクの分野に関する。より具体的には、本発明は、冷液、特に低温液化ガス用の貯蔵タンクの断熱壁の作製に適した断熱ブロックに関する。
【背景技術】
【0002】
低温液化ガスの海上輸送の分野では、荷重支持構造上に保持されるタンク壁を含む密閉断熱タンクであって、タンク壁が、タンクの外側から内側へ厚さ方向に、荷重支持構造上に保持される二次断熱バリアと、二次断熱バリア上に保持される二次密閉メンブレンと、二次密閉メンブレン上に保持される一次断熱バリアと、一次断熱バリア上に保持される一次密閉メンブレンとを含む密閉断熱タンクが特に文献WO2014/096600A1から知られている。二次断熱バリアは同一の断熱ブロックを並置することによって形成される。断熱ブロックは、合板ベースプレートと、ポリウレタンフォームのような断熱フォームのブロックと、合板カバープレートとを重ね合わせて作られる。断熱ブロックは保持部材を使用して二次密閉メンブレン及び荷重支持構造の所定の位置に保持される。断熱フォームブロックはベースプレート及びカバープレートに接着される。
【0003】
文献WO2014/096600A1に記載されているように、タンクが液化ガスで満たされているとき、タンクの外側とタンクの内側との間の温度差により断熱ブロックの内部に熱勾配が生じる。この熱勾配は、合板とポリウレタンフォームの熱膨張係数の差を考慮すると、断熱ブロック内部で差収縮現象を引き起こす。この現象は、特に上記ブロックがベースプレート及びカバープレートに接着されている場合には断熱フォームブロックを曲げる傾向がある。
【0004】
断熱フォームブロックの曲げを制限するために、文献WO2014/096600A1では、断熱フォームブロックを追加の合板パネルによって互いに分離された2つの断熱フォームサブブロックに分割することを提案している。しかしながら、この解決策は断熱ブロックの構造を複雑にする傾向がある。
【0005】
さらに、断熱ブロックは、使用中、タンクが液化ガスで満たされているときには海上における船の構造の変形によって生じる力、又は、船バラストが船を海上での状態に保つために満たされているときにタンクが液化ガスで満たされていないときには船バラストにより加えられる応力によって生じる力を受ける。これらの現象もまた断熱フォームブロックを曲げる傾向がある。
【発明の概要】
【0006】
本発明の中心にある1つの思想は、断熱フォームブロックの曲げを制限する機能を果たす密閉断熱タンクの壁の作製に適した断熱ブロックを提案することである。
【0007】
一実施形態によれば、本発明は、密閉断熱タンクの壁を形成するのに適する断熱ブロックを提供し、前記断熱ブロックは、平行六面体形状を有し、かつ、
・平行な第1の対の側部及び平行な第2の対の側部を有するベースプレートと、
・断熱ブロックの厚さ方向にベースプレートから離間したベースプレートと平行なカバープレートであって、2つのスロットを有するカバープレートと、
・カバープレートとベースプレートとの間に配置され、ベースプレートに固定された断熱フォームブロックと、を備え、
スロットは互いに平行であり、ベースプレートの第1の対の側部と平行な方向に延在し、
各スロットは、密閉メンブレンを溶接するための溶接支持体を収容するように構成されており、
断熱フォームブロックには、ベースプレートとカバープレートとの間に延在し長方形の幾何学的エンベロープを画定する複数の側面と、複数の凹部と、が設けられており、
各凹部は2つの隣接する側面の間に延在し、保持部材を収容するように構成され、
断熱ブロックは、凹部内にある保持部材のための支持面を有するとともに、
・ベースプレートに固く結合され、ベースプレートの第1の対の側部又は第2の対の側部のうちの一方の対の側部の側部に沿って延在する一対の補強部材を備え、
補強部材は、上記一方の対の側部の側部に沿う、断熱ブロックの厚さ方向に垂直な方向においてより大きな寸法を有し、各補強部材はベースプレートから断熱ブロックの厚さ方向に突出し、フォームブロックの1つの前記側面と自由接触する表面を有する。
【0008】
「自由接触する表面」とは、表面がフォームブロックの側面に接触しているが、フォームブロックのこの側面に固く結合してはいないことを意味する。特に、表面はフォームブロックの側面に接着されていない。したがって、断熱ブロックが曲げられたとき、表面は、フォームブロックにいかなるけん引力又はせん断応力も及ぼすことなくフォームブロックの側面上をわずかに滑りやすくなっている。
【0009】
さらに、補強部材はベースプレートに固く結合され、ベースプレートの第1の対の側部及び第2の対の側部のうちの一方の対の側部の側部に沿って延在するので、補強部材は、密閉メンブレンを溶接するための溶接支持体を受け入れるスロットに平行な方向あるいは垂直な方向において、断熱ブロックの曲げを制限する傾向がある。これにより、この方向への密閉メンブレンの曲げが制限される。これによって、特にスロットに垂直な方向の曲げが制限されている場合には、2つの連続する断熱ブロック間の接合部分を密閉メンブレンが横切る箇所において、密閉メンブレンに応力が集中することが顕著に防止される。
【0010】
実施形態に応じて、そのような断熱ブロックは以下の特徴のうちの1つ以上を有してもよい。
【0011】
一実施形態によれば、各補強部材は木製のバテンを備え、カバープレートの方を向くバテンの上面によって1つの上記支持面が形成される。
【0012】
一実施形態によれば、断熱ブロックは、ベースプレートに固く結合された第2の対の補強部材であって、ベースプレートの第1の対の側部及び第2の対の側部のうちの他方の対の側部の側部に沿って延在する第2の対の補強部材をさらに備える。
【0013】
ベースプレートに固く結合されたこの第2の対の補強部材もまた、スロットに平行な方向又は垂直な方向のうちの他方の方向における断熱ブロックの曲げを制限する傾向がある。
【0014】
一実施形態によれば、各補強部材は、ベースプレートの上部と同じ高さ(レベル)においてフォームブロックにおける対応する凹部内に収容されている。
【0015】
一実施形態によれば、断熱ブロックは、好ましくは木製の、複数の支持要素を備え、各支持要素は凹部内に収容され、1つの補強部材によって凹部内に保持され、カバープレートの方を向く支持要素の上面によって1つの支持面が形成される。
【0016】
一実施形態によれば、支持要素の各々がフォームブロックと自由接触する少なくとも1つの面を有する。
【0017】
「自由接触する面」とは、面がフォームブロックと接触しているが、フォームブロックに固く結合してはいないことを意味する。特に、面はフォームブロックに接着されていない。したがって、断熱ブロックが曲げられたとき、支持要素は、フォームブロックを変形させるのではなく、フォームブロック上をわずかに滑りやすい。
【0018】
一実施形態によれば、断熱ブロックの厚さ方向における支持要素の高さは20mmから250mmの間である。
【0019】
一実施形態によれば、各補強部材は木製のバテンを備え、バテンはフォームブロックと自由接触する表面を有する。
【0020】
一実施形態によれば、各補強部材はステープル留め、ねじ留め、スポット溶接及び/又は接着によって支持要素及びベースプレートに固定される。
【0021】
一実施形態によれば、断熱ブロックは、ベースプレートに固く結合された第2の対の補強部材であって、ベースプレートの第1の対の側部及び第2の対の側部のうちの他方の対の側部の側部に沿って延在する第2の対の補強部材をさらに備え、第2の対の補強部材の各補強部材は木製のバテンを備え、バテンはフォームブロックの側面と自由接触する表面を有する。
【0022】
一実施形態によれば、各補強部材は、フォームブロックの側面と自由接触する第1の表面と、ベースプレートと接触してしっかり保持された第2の表面と、を提供するようなL字形断面を有する。
【0023】
「ベースプレートと接触してしっかり保持された」とは、表面がベースプレートと接触しており、かつ、この接触が、例えば補強部材をベースプレートにステープル留めすることによって又はねじ留めすることによって補強部材に加えられる応力により維持されることを意味する。
【0024】
一実施形態によれば、フォームブロックは4つの側面を有し、4つの側面の各々が長方形の幾何学的エンベロープの1つの面を画定し、各凹部は、フォームブロックの角部に配置されるように2つの隣接する側面の間に延在する。
【0025】
一実施形態によれば、フォームブロックの側面は3つの第1の側面を備え、3つの第1の側面の各々が長方形の幾何学的エンベロープの1つの面及び2つの第2の側面を画定し、2つの第2の側面は共に長方形の幾何学的エンベロープの1つの面を画定し、2つの第2の側面は、ベースプレートの第1の対の側部及び第2の対の側部のうちの一方の対の側部の一方の側部に平行である。
【0026】
一実施形態によれば、断熱ブロックは追加の補強部材をさらに備え、追加の補強部材は、ベースプレートの一方の側部に沿う、断熱ブロックの厚さ方向に垂直な方向においてより大きな寸法を有し、追加の補強部材はベースプレートから断熱ブロックの厚さ方向に突出し、かつ、フォームブロックの1つの第2の側面と自由接触する表面を有する。
【0027】
一実施形態によれば、凹部は2つの第2の側面の間に延在し、2つの上記支持要素を収容し、2つの支持要素の一方は補強部材によって凹部内に保持され、2つの支持要素の他方は追加の補強部材によって凹部内に保持される。
【0028】
一実施形態によれば、フォームブロックの側面は、ベースプレートの第1の対の側部及び第2の対の側部のうちの他方の対の側部の側部に平行な2つの第1の側面を備え、2つの第1の側面の各々は、長方形の幾何学的エンベロープの1つの面及び3つの第2の側面を画定し、3つの第2の側面は共に長方形の幾何学的エンベロープの1つの面を画定し、3つの第2の側面は、ベースプレートの第1の対の側部及び第2の対の側部のうちの一方の対の側部の一方の側部に平行である。
【0029】
一実施形態によれば、断熱ブロックは2つの追加の補強部材をさらに備え、追加の補強部材は、ベースプレートの前記一方の側部に沿う、断熱ブロックの厚さ方向に垂直な方向においてより大きな寸法を有し、追加の補強部材はベースプレートから断熱ブロックの厚さ方向に突出し、かつ、フォームブロックの1つの第2の側面と自由接触する表面を有する。
【0030】
一実施形態によれば、2つの凹部が、各々、3つの第2の側面のうちの2つの間に延在するとともに2つの支持要素を収容し、2つの支持要素の一方は補強部材によって凹部内に保持され、2つの支持要素の他方は追加の補強部材によって凹部内に保持される。
【0031】
一実施形態によれば、本発明はまた、荷重支持構造上に保持されるタンク壁を含む密閉断熱タンクを提供し、タンク壁は、密閉断熱タンクの外側から内側へ厚さ方向に、荷重支持構造上に保持される二次断熱バリアと、二次断熱バリア上に保持される二次密閉メンブレンと、二次密閉メンブレン上に保持される一次断熱バリアと、一次断熱バリア上に保持される一次密閉メンブレンとを備え、二次断熱バリアが、上記の実施形態のいずれか1つに記載の複数の並置された断熱ブロックと、複数の固定部材とを備え、各固定部材は隣接する断熱ブロックの凹部内に収容され、かつ、隣接する断熱ブロックを荷重支持構造上に保持するよう隣接する断熱ブロックの支持面に当接し、二次密閉メンブレンは、断熱ブロックのスロット内に収容された溶接支持体によって断熱ブロック上に保持される。
【0032】
一実施形態によれば、本発明はまた、荷重支持構造体上に保持されるタンク壁を含む密閉断熱タンクを提供し、タンク壁は、密閉断熱タンクの外側から内側へ厚さ方向に、荷重支持構造上に保持される二次断熱バリアと、二次断熱バリア上に保持される二次密閉メンブレンと、二次密閉メンブレン上に保持される一次断熱バリアと、一次断熱バリア上に保持される一次密閉メンブレンとを備え、一次断熱バリアが、上記実施形態のいずれか1つに記載の複数の並置された断熱ブロックと、複数の固定部材とを備え、各固定部材は隣接する断熱ブロックの凹部内に収容され、かつ、隣接する断熱ブロックを二次密閉メンブレン上に保持するよう隣接する断熱ブロックの支持面に当接し、一次密閉メンブレンは、断熱ブロックのスロット内に収容された溶接支持体によって断熱ブロック上に保持される。
【0033】
一実施形態によれば、本発明はまた、冷液製品を輸送するために使用される船を提供し、当該船は、二重船体と、二重船体の内部に配置される上記密閉断熱タンクとを備える。
【0034】
一実施形態によれば、本発明はまた、冷液製品の積み降ろしを行うための上に記載した船の使用を提供し、当該使用において、冷液製品が、断熱パイプを介して、船の上の密閉断熱タンクから陸上式若しくは浮遊式の貯蔵施設へ、又は陸上式若しくは浮遊式の貯蔵施設から船の上の密閉断熱タンクへ送られる。
【0035】
一実施形態によれば、本発明はまた、冷液製品のための移送システムを提供し、当該移送システムは、上に記載した船と、船の船体内に設置された密閉断熱タンクを陸上式又は浮体式の貯蔵施設に接続するように構成された断熱パイプと、断熱パイプを介して船の上の密閉断熱タンクから陸上式若しくは浮体式の貯蔵施設へ、又は陸上式若しくは浮体式の貯蔵施設から船の上の密閉断熱タンクへ冷液製品の流れを駆動するためのポンプとを備える。
【0036】
添付の図面を参照して単に非限定的な例として与えられる本発明のいくつかの特定の実施形態の以下の詳細な説明において、本発明をより明確に理解することができ、本発明の追加の目的、詳細、特徴及び利点がより明確に提示される。
【図面の簡単な説明】
【0037】
図1】密閉断熱タンク壁の断熱バリアの部分斜視図である。
図2図1の断熱バリアの断熱ブロックの斜視図である。
図3図2の断熱ブロックの上面図である。
図4】A-A線に沿って切り取られた図3の断面図である。
図5図1の壁の2つの隣接する断熱ブロック及び固定部材を示す図1の断面図である。
図6】別の実施形態による断熱ブロックの斜視図である。
図7】別の実施形態による断熱ブロックの斜視図である。
図8】カバーパネルなしの図7の断熱ブロックの分解図である。
図9図7の領域IXを基準点Bから見た拡大正面図である。
図10】別の実施形態による断熱ブロックの斜視図である。
図11図10の断熱ブロックを基準点Dから見た正面図である。
図12図10の断熱ブロックの変形例の基準点Eから見た斜視底面図であり、ベースプレートとカバープレートとの間の中間プレートは省いている。
図13】別の実施形態による断熱ブロックの斜視図である。
図14】別の実施形態による断熱ブロックの斜視図である。
図15】液化天然ガス運搬船のタンク及びこのタンクの積み降ろしターミナルの切り欠き概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
図1は密閉断熱タンク壁の二次断熱バリアの部分斜視図である。このような構造は、例えばタンクの側面、天井及び底壁を覆うためにさまざまな異なる向きの大きな表面に使用することができる。したがって、図1に示される向きはこの点に関して限定的なものではない。
【0039】
タンク壁は荷重支持構造1の壁に取り付けられる。慣例として、「上方」は、タンクの内部に最も近い位置を指し、「下方」は、地球の重力場に対するタンク壁の向きにかかわらず、荷重支持構造1に最も近い位置を指す。
【0040】
タンク壁は、荷重支持構造1上に保持される二次断熱バリア2と、省略されている密閉メンブレンとを備える。
【0041】
二次断熱バリア2は、荷重支持構造体1の内面をほぼカバーする複数の並置される平行六面体状の二次断熱ブロック6を備える。図2から図4は、これら二次断熱ブロック6の1つをより詳細に示す。
【0042】
これらの図に示されるように、二次断熱ブロック6は、ベースプレート12と、ベースプレート12に平行なカバープレート11と、断熱フォームのブロック13とを有する。
【0043】
ベースプレート12は、互いに平行な第1の一対の側部12aと、互いに平行な第2の一対の側部12bとを有する。ベースプレートは全体的に長方形の形状を有し、すなわち、側部12a及び12bは互いに垂直である。
【0044】
カバープレート11はベースプレート12に対して平行であり、二次断熱ブロック6の厚さ方向にベースプレート12から離間している。
【0045】
カバープレート11は、互いに平行でかつベースプレート12の側部12aに平行な方向に延在する2つのスロット14を有する。スロット14は、四角形の溶接フランジを受け入れるように略逆T字状の形状を有する。溶接フランジにおけるカバープレート11から上方に突出する部分によって二次密閉バリア(図示せず)の固定が可能となる。二次密閉バリアは複数のストレーキを備える。各ストレーキの隆起縁は知られている技術を用いて上記溶接フランジに溶接される。ストレーキは、例えば、インバー(登録商標)、すなわち、膨脹係数が一般的に1.2×10-6-1と2×10-6-1の間である鉄とニッケルの合金で構成されている。この場合、ストレーキは0.7mm程度の厚さを有することができる。変形例では、ストレーキは高マンガン含有量を有し、膨脹係数が典型的に7×10-6-1と9×10-6-1の間である鉄合金で構成することができる。船のタンクの場合、ストレーキは船の長手方向と平行に配向されることが好ましい。
【0046】
ベースプレート11及び/又はカバープレート12は、例えば、合板で作ることができる。
【0047】
フォームブロック13は、カバープレート11とベースプレート12との間に配置されている。フォームブロック13は、断熱フォーム、例えば、例として130kg・m-3以上のオーダーの密度を有し、オプションでグラスファイバーで強化された、ポリウレタンフォームで作られている。
【0048】
フォームブロック13は全体的に平行六面体形状を有する。したがって、フォームブロック13は、ベースプレート12とカバープレート11との間に延在しかつ長方形の幾何学的エンベロープを画定する4つの側面13fを有する。側面13fは垂直な対で配置される。
【0049】
フォームブロック13は、接着によってベースプレート12及びカバープレート11に固定される。
【0050】
フォームブロック13の各角部、すなわち隣接する側面13fの各対の間に、凹部15が設けられている。凹部15は、図1及び図5に示される保持部材30を収容するように構成されている。凹部15は、二次断熱ブロック6の厚さ方向においてベースプレート12に最も近い凹部の端部において、保持部材30のための支持面16を有する。
【0051】
また、二次断熱ブロック6は一対の補強部材20を有しており、図1及び図2にはこれらの補強部材20のうちの1つのみが示されている。各補強部材20はベースプレート12の一方の側部12bに沿って延在し、前記側部12bに沿う、二次断熱ブロック6の厚さ方向に垂直な方向においてより大きな寸法を有する。したがって、補強部材20はスロット14に垂直な方向に延在する。したがって、二次断熱ブロック6が、例えば、荷重支持構造の変形及び/又は保持部材30の締め付け力によって生じる曲げ応力を受けたとき、補強部材20は、特に二次断熱ブロック6の縁部におけるスロット14に垂直な方向の変形を制限する。この縁部の補強、すなわち、連続的に隣接する二次断熱ブロック6間の接合部分の補強により、1つの二次断熱ブロック6から次の二次断熱ブロックまでこれらの接合部分を横切って連続的にスロット14を通過する溶接フランジに応力が集中することが防止される。
【0052】
補強部材20は、ベースプレート12から二次断熱ブロック6の厚さ方向にカバープレート11に向かって突出している。補強部材20はベースプレート12に固く結合される。例えば、補強部材20は、ねじ又はステープル(これらは図面が複雑にならないよう図示されていない)を用いてベースプレート12に固く結合される。
【0053】
特に図2及び図4に示すように、各補強部材20は、フォームブロック13の側面13fと自由接触する表面20fを有する。「自由接触」とは、表面20fがフォームブロック13の側面13fに接触するが、側面13fに固く結合されてはいないことを意味する。特に、表面20fは側面13fに接着されていない。したがって、二次断熱ブロック6が曲げられたとき、表面20fは、フォームブロック13にいかなるけん引力又はせん断応力も及ぼすことなく側面13f上をわずかに滑りやすくなっている。
【0054】
図1から図5に示す実施形態において、各支持面16は剛体支持要素40の面によって形成される。支持要素40は、図1から図3において特に見ることができる。
【0055】
各支持要素40は凹部15に収容され、例えば、接着剤、釘、ねじ又はステープルによりベースプレート12及び/又は補強部材20に固定することによって前記凹部15内に保持される。支持面16は、カバープレート11の方を向いている支持要素40の上面によって形成される。
【0056】
支持要素40の面41,42(図3参照)はフォームブロック13と自由接触する。このように、二次断熱ブロック6が曲げ応力を受けているときに支持要素40に加えられる保持部材30の力によって支持要素40がわずかに外側に傾けられる傾向があるとき、支持要素40はフォームブロック13に水平せん断応力を与えない。二次断熱ブロック6の方向における支持要素40の高さは20mmから250mmの間である。
【0057】
各補強部材20は木製のバテンを備えることができ、又は好ましくは木製のバテンからなることができる。木製のバテンの表面20fは、上記のようにフォームブロック13の側面13fと自由接触する。さらに、表面20fは支持要素40と自由接触するか、あるいは支持要素40に固く結合される。各補強部材20は、ステープル留め、ねじ留め、スポット溶接及び/又は接着によって、凹部15内に保持された支持要素40とベースプレート12とに固定されてもよい。
【0058】
各支持要素40は、ベースプレート12にせん断破壊を生じさせることなく保持部材30による力に耐えるのに十分な断面を有する木製のピラーで構成することができ、又は好ましくは当該木製のピラーからなることができる。ピラーの断面の形状は保持部材30の形状に応じて長方形又は他の形状とすることができる。図4に示すように、支持要素40は非対称の山形形状を有する。
【0059】
図1から図5に示すように、二次断熱ブロック6は、補強部材20に加えて、第2の一対の補強部材21を備えている。図1及び図2にはこれらの補強部材21のうちの1つのみが示されている。各補強部材21はベースプレート12の一方の側部12aに沿って延在し、前記側部12aに沿う、二次断熱ブロック6の厚さ方向に直交な方向においてより大きな寸法を有する。したがって、補強部材21はスロット14に平行な方向に延在する。したがって、二次断熱ブロック6が、例えば、荷重支持構造の変形及び/又は保持部材30の締め付け力によって生じる曲げ応力を受けると、補強部材22は、特に二次断熱ブロック6の縁部における、スロット14に平行な方向の変形を制限する。
【0060】
各補強部材21は木製のバテンを備えることができ、又は好ましくは木製のバテンからなることができる。木製のバテンの表面21fはフォームブロック13の側面13fと自由接触する。特に、表面21fは側面13fに接着されていない。したがって、二次断熱ブロック6が曲げられたとき、表面21fは、フォームブロック13にいかなるけん引力又はせん断応力も及ぼすことなく側面13f上をわずかに滑りやすくなっている。さらに、好ましくは、表面21fは支持要素40と自由接触するか、あるいは支持要素40に固く結合される。
【0061】
以下に、保持部材30と支持要素40によって形成される支持面16との協働について、図1及び図5を参照して説明する。
【0062】
本明細書に記載の保持部材30はWO2014/096600A1に記載のタイプのものである。但し変形例では保持部材30は異なる設計を有することができ、支持面16に当接することによって断熱ブロック6を荷重支持構造1上に保持することができる。
【0063】
図5に示すように、保持部材30はソケット22を有し、ソケット22の基部は、4つの隣接する二次断熱ブロック6の凹部15に対応する位置において荷重支持構造1に溶接される。ソケット22は、ボールジョイント結合によってソケットに連結された第1のロッド23を支持している。ロッド23は隣接する二次断熱ブロック6間を通過する。固定部品がロッド23に取り付けられて、中間パネル14の自由表面21にてモジュール6が荷重支持構造1に対してクランプされる。固定部品は、下側金属プレート24と、上側プレート26と、プレート24と上側プレート26との間のスペーサとして作用するよう及び荷重支持構造1への熱ブリッジを減少させるようプレート24に取り付けられた合板ブロック25とからなる。この構造体の高さは、二次メンブレンを支持するように上側プレート26がカバーパネル11と面一となるように決定される。
【0064】
木製ブロック25は台座47を有し、ロッド23の上端が下側プレート24の中央穴を通過することにより当該台座に係合する。下側プレート24は、弾性的な遊びを与えるために介在される複数のベルビルワッシャ49を備えるナット48によってロッド23上に保持される。
【0065】
例えば木製の、少なくとも1つの剛体スペーサ29を下側金属プレート24との間に配置して、隣接する二次断熱ブロック6の支持面16に当接させることができる。したがって、保持部材30によって二次断熱ブロック6に加えられる圧縮力は、支持面16を介して支持要素40によって吸収される。図示しない変形例ではスペーサ29を省略することができ、支持要素40は支持面16において下側金属プレート24と直接接触することができる。
【0066】
荷重支持構造1とベースプレート12との間にシム28(図1及び図5に示す)を配置してもよく、ソケット22がシム28の貫通孔(図示せず)に収容される。
【0067】
二次密閉メンブレン(図示せず)が保持される二次断熱バリアについてここまで説明した。タンク壁はまた、二次密閉メンブレン上に保持される一次断熱バリア(図示せず)を備えることができ、一次断熱バリアは、液化ガスと接触するよう構成された一次密閉メンブレン(図示せず)を保持する。一次断熱バリアは、二次断熱ブロック6の上にこれと並んで重ね合わされた、並置された一次断熱ブロックで作ることができる。この場合、図1及び図5に示す保持部材30の第1の部分27は一次断熱ブロックを二次密閉メンブレン上に保持する。一次断熱ブロックの構造は二次断熱ブロック6と同様であっても異なっていてもよい。一次密閉メンブレンの構造は二次密閉メンブレンと同様であっても異なっていてもよい。
【0068】
図6は、別の実施形態による断熱ブロック106の斜視図である。断熱ブロック6の要素と同一である断熱ブロック106の要素には同じ参照符号に100を足したものを付している。
【0069】
図6に示すように、断熱ブロック106は、補強部材21がない点で断熱ブロック6と異なる。換言すれば、断熱ブロック106は、スロット114に垂直に延在する一対の補強部材120のみを有する。図6には補強部材120のうちの1つのみが示されている。補強部材120の各々は、フォームブロック113の側面113fと自由接触し、支持要素140と自由接触するか又は支持要素140に固く結合される。断熱ブロック106は他の点では断熱ブロック6と同一であり、したがって、簡潔にするためにより詳細には説明しない。
【0070】
図7から図9は、別の実施形態による断熱ブロック206を示す。断熱ブロック6の要素と同一である断熱ブロック206の要素には同じ参照符号に200を足したものを付している。
【0071】
これらの図に示すように、断熱ブロック206は一対の補強部材250を有し、これは、各補強部材250によって2つの支持面216が形成される点を除いては、補強部材20と同様の機能を果たす。
【0072】
より具体的には、補強部材250(そのうちの1つのみが図7及び図9に示されている)の各々は、ベースプレート212の一方の側部212bに沿って延在し、この側部212bに沿う、断熱ブロック206の厚さ方向に垂直な方向においてより大きな寸法を有する。したがって、補強部材250はスロット214に垂直な方向に延在する。
【0073】
補強部材250は、ベースプレート212から断熱ブロック206の厚さ方向にカバープレート212に向かって突出する。補強部材250はベースプレート212に固く結合される。例えば、補強部材250は、ねじ又はステープル及び/又は接着剤(これらは図面が複雑にならないよう図7から図9には示されていない)を使用してベースプレート212に固く結合される。
【0074】
各補強部材250は、フォームブロック213の側面213fと自由接触する表面20fを有する。「自由接触」とは、表面がフォームブロック213の側面213fに接触しているが、側面213fに固く結合されてはいないことを意味する。特に、表面は側面213fに接着されていない。したがって、断熱ブロック206が曲げられたとき、表面は、フォームブロック213にいかなるけん引又はせん断応力も及ぼすことなく側面213f上をわずかに滑りやすくなっている。
【0075】
各補強部材250は、木製のバテンを備えることができ、又は好ましくは木製のバテンからなることができる。木製のバテンの表面はフォームブロック213の側面213fと自由接触する。さらに、図7に示されるように、バテンの2つの端部のそれぞれにおいて、カバープレート211の方を向いているバテンの上面によって保持部材30のための支持面216が形成される。
【0076】
断熱ブロック206は、補強部材250に加えて、第2の一対の補強部材251を備えることができる。図1及び図2にはこれらの補強部材251のうちの1つのみが示されている。各補強部材251はベースプレート212の一方の側部212aに沿って延在し、前記側部212bに沿う、断熱ブロック206の厚さ方向に垂直な方向においてより大きな寸法を有する。したがって、補強部材251はスロット214に平行な方向に延在する。
【0077】
各補強部材251は、木製のバテンを備えることができ、又は好ましくは木製のバテンからなることができる。木製のバテンの表面は、フォームブロック213の側面213fと自由接触するか、あるいはフォームブロック213の側面213fに固く結合される。
【0078】
図8は断熱ブロック206の分解図であり、カバープレート211はフォームブロック213の図を強調するために省略されている。同図に示されるように、フォームブロック213は、ベースプレート212の上部と同じ高さ(レベル)にある一対の凹部270及び一対の凹部271を有する。図8には凹部270及び271のうちの1つのみが示されている。凹部270は補強部材250を収容し、凹部271は補強部材251を収容する。
【0079】
図9は、図7の領域IXを基準点Bから拡大した正面図である。同図に示すように、凹部271及び補強部材251の寸法は、側面213fが、1mmにほぼ等しくてもよいクリアランスを作るように補強部材251をわずかに越えて突出するような寸法にされている。同様に、凹部270及び補強部材250の寸法は、側面213fが1mmにほぼ等しくてもよいクリアランスを作るように、補強部材250をわずかに越えて突出するような寸法にされている。これらのクリアランスによって、ベースプレートと補強部材250及び251とからなるアセンブリにフォームブロック213を挿入することによる断熱ブロック206の組み立てを容易にするようなある程度の公差が与えられる。好ましくは、各側面213fは、対応する補強部材250,251に対して同じクリアランスを作るように、対応する補強部材250,251をわずかに越えて突出する。
【0080】
補強部材250及び251は、例えば、ねじ又はステープル及び/又は接着剤(これらは図面が複雑にならないように図示されていない)を用いてベースプレート212に固く結合される。さらに、補強部材250及び251は、例えば、ステープル(これらは図面が複雑にならないよう図示されていない)を用いて互いに固く結合されてもよい。
【0081】
図示しない変形例では、補強部材251のみが設けられ、すなわち、補強部材250は存在しない。この場合、補強部材251のバテンにおけるカバープレート211の方を向く上面によって保持部材30のための支持面216が形成される。
【0082】
図10及び図11は、別の実施形態による断熱ブロック306を示す。断熱ブロック6の要素と同一である断熱ブロック306の要素には同じ参照符号に300を足したものを付している。
【0083】
これらの図に示すように、断熱ブロック306は、補強部材20と同様の機能を果たす一対の補強部材380と、支持要素40と同様の機能を果たす4つの支持要素390とを有する。断熱ブロック306の方向における支持要素390の高さは20mmから250mmの間である。
【0084】
より具体的には、補強部材380(そのうちの1つのみが図10に示されている)の各々は、ベースプレート312の一方の側部312bに沿って延在し、この側部312bに沿う、断熱ブロック306の厚さ方向に垂直な方向においてより大きな寸法を有する。したがって、補強部材380はスロット314に垂直な方向に延在する。
【0085】
補強部材380は、ベースプレート212から断熱ブロック306の厚さ方向にカバープレート312に向かって突出する。補強部材380はベースプレート312に固く結合される。例えば、補強部材380は、ねじ又はステープル及び/又は接着剤(これらは図面が複雑にならないよう図10から図12には示されていない)を使用してベースプレート312に固く結合される。
【0086】
特に図11の拡大図に示されるように、各補強部材380は、フォームブロック313の側面313fと自由接触する表面380fと、ベースプレートに接触してしっかり保持された表面380gとを提供するようなL字形断面を有する。「自由接触」とは、表面380fがフォームブロック313の側面213fに接触するが、側面313fに固く結合されてはいないことを意味する。特に、表面380fは側面313fに接着されていない。したがって、断熱ブロック306が曲げられたとき、表面380fは、フォームブロック313を変形させるのではなく、側面313f上をわずかに滑りやすくなっている。「ベースプレートと接触してしっかり保持された」とは、表面380gがベースプレート312と接触し、かつこの接触が、補強部材をベースプレート312にステープル留めすることによって又はねじ留めすることによって及び/又は接着することによって補強部材380に加えられる応力により維持されることを意味する。
【0087】
各補強部材380はその各端部に支持要素390を有する。さらに、図10及び図11に示すように、各支持要素390は、補強部材380によってフォームブロック313の凹部316内に保持される。各支持要素390は木製のピラーを備え、好ましくは木製のピラーからなり、木製のピラーは、固定部材30のための支持面316を形成する、カバープレート313の方を向いた上面を有する。
【0088】
好ましくは、フォームブロック313と接触する支持要素390の面は、フォームブロック313と自由接触する。
【0089】
図10及び図11に示すように、断熱ブロック306は、例えば合板製の中間プレート395と、カバープレート311と中間プレート395との間に配置された第2のフォームブロック396とを備えている。フォームブロック313はベースプレート312と中間プレート396との間に配置され、例えば接着によって、ベースプレート312と中間プレート396とに固定される。第2のフォームブロック396は、例えば接着によって、カバープレート311と中間プレート395とに固定される。第2のフォームブロック396は、その角部にいかなる凹部も有さず、これによって製造及び組み立てが単純化される。第2のフォームブロック396はフォームブロック313よりもかなり薄く、例えばフォームブロック313の厚さの約3分の1である。フォームブロック313の側面313fは中間プレート395の端部と面一である。フォームブロック313の各角部の凹部315は、ベースプレート312と中間プレート395との間の断熱ブロック306の厚さ方向に、フォームブロック313の全厚にわたって延在する。
【0090】
第2のフォームブロック396は、断熱フォーム、例えば、例として130kg・m-3を超える密度を有し、オプションでグラスファイバーで強化された、ポリウレタンフォームで作られている。断熱ブロック306の製造を単純化するために、フォームブロック396の断熱フォームは、フォームブロック313の断熱フォームと同一のものとすることができる。
【0091】
図10に示すように、第2のフォームブロックはフォームブロック313よりも短い。したがって、中間プレート395の2つの長手方向端部が露出されてストリップ形状の自由上面395dを提供する。この面395dは保持部材30のための追加の支持面を形成することができる。したがって、保持部材30は、支持面316及び面395dに当接することによって断熱ブロック306を荷重支持壁1上に保持する。
【0092】
図12に示す別の変形例では、中間プレート395及び第2のフォームブロック396は省略されてもよい。フォームブロック313は、ベースプレート312とカバープレート311との間の断熱ブロック306の全厚にわたって延在し、例えば接着によって、ベースプレート312とカバープレート311とに固定される。フォームブロック313の各角部における凹部315は、断熱ブロック306の方向に、フォームブロック313の全厚にわたって延在する。
【0093】
断熱ブロック6と同様に、断熱ブロック106,206及び306は、二次密閉メンブレンが上に保持される二次断熱バリアを作製するのに好適である。但し、断熱ブロック106,206及び306は、二次密閉メンブレン上に保持される一次断熱バリアを作製するために使用することもでき、一次断熱バリアは液化ガスと接触するように構成される一次密閉メンブレンを保持する。
【0094】
ここまで記載した断熱ブロック6,106,206,306は、その各角部に凹部15,115,215,315を備え、凹部15,115,215,315は、それぞれ、2つの隣接する側面13f,113f,213f,313fの間に延在し、各側面は、フォームブロック13,113,213,313の一方の側に配置されている。しかしながら、断熱ブロックの1つ又は複数の凹部を断熱ブロックの角部にではなく他の場所に配置することができる。このオプションを示す2つの実施形態を以下に説明する。
【0095】
図13は、一実施形態による断熱ブロック406を示す。断熱ブロック6の要素と同一である断熱ブロック406の要素には同じ参照符号に400を足したものを付している。
【0096】
同図に示されるように、フォームブロック413は、その4つの角部のうちの3つに凹部415Aを有し、4つ目の角部に隣接する側のうちの1つに凹部415Bを有する。したがって、凹部415Bは、フォームブロック413の同じ側に配置された2つの隣接する側面413f1,413f2間に延在し、一方、凹部415Aは、フォームブロック413の異なる側に配置された2つの隣接する側面413f又は413f間に延在する。
【0097】
図13はまた、断熱ブロック406が2つの補強部材420A及び420Bを有することを示す。
【0098】
補強部材420A及び420Bは、ベースプレート412の一方の側部412bに沿って延在し、前記側部412bに沿う、断熱ブロック406の厚さ方向に垂直な方向においてより大きな寸法を有する。したがって、補強部材420A及び420Bはスロット14に垂直な方向に延在する。図面では見ることはできないが、補強部材20の1つと同一の補強部材が、図13に示す側部412bと平行なベースプレート412の他方の側部に沿って延在する。
【0099】
補強部材420A及び420Bは、ベースプレート412から断熱ブロック406の厚さ方向にカバープレート411に向かって突出する。補強部材420A及び420Bはベースプレート412に固く結合される。例えば、補強部材420A及び420Bは、ねじ又はステープル(これらは図面が複雑にならないよう図示されていない)を用いてベースプレート412に固く結合される。
【0100】
補強部材420Aはフォームブロック413の側面413f2と自由接触する表面を有し、補強部材420Bはフォームブロック413の側面413f1と自由接触する表面を有する。「自由接触」との用語は上で記載した意味を有する。
【0101】
凹部415A及び415Bの各々は、保持部材30を収容するように構成されている。
【0102】
凹部415Aは、断熱ブロック406の厚さ方向においてベースプレート412に最も近い凹部の端部において、保持部材30のための支持面416Aを有する。支持面416Aは、凹部415A内に着座する剛体支持要素440Aの面によって形成され、例えば、接着剤、釘、ねじ又はステープルによって、ベースプレート412及び/又は補強部材420Aに固定される。凹部415Aの壁の方を向く支持要素440Aの面はフォームブロック413と自由接触する。
【0103】
凹部415Bは、断熱ブロック406の厚さ方向においてベースプレート412に最も近い凹部の端部において、別の保持部材30のための2つの支持面416Bを有する。各支持面416Bは、凹部415B内に着座する剛体支持要素440Bの面によって形成される。支持要素440Bは、例えば、接着剤、釘、ねじ又はステープルによって、ベースプレート412及び/又は補強部材420A又は420Bに固定することができる。凹部415Bの壁の方を向く支持要素440Bの面はフォームブロック413と自由接触する。
【0104】
補強部材420A及び420Bはそれぞれ、木製のバテンを備えることができ、あるいは好ましくは木製のバテンからなることができる。補強部材420A及び420Bの各々は、ステープル留め、ねじ留め、スポット溶接及び/又は接着によって、凹部415A又は415B内に保持される支持要素440A又は440Bとベースプレート412とに固定されてもよい。
【0105】
支持要素440A及び440Bは、ベースプレート412にせん断破壊を生じさせることなく保持部材30による力に耐えるのに十分な断面を有する木製のピラーを備えることができ、あるいは好ましくは当該木製のピラーからなることができる。ピラーの断面の形状は、保持部材30の形状に応じて長方形又は他の形状とすることができる。
【0106】
図示されていない変形例では、断熱ブロック406は、補強部材21と同一の、ベースプレート412の側412aに沿って延在する一対の補強部材を備える。
【0107】
図14は、一実施形態による断熱ブロック506を示す。断熱ブロック406の要素と同一である断熱ブロック506の要素には同じ参照符号に100を足したものを付している。
【0108】
断熱ブロック506は、フォームブロック513が、ベースプレート512の側512bに平行なその2つの対向側において、以下のものを備えることを除いて、断熱ブロック406と同一である。
図14に示される第1の側において、凹部415Bと同一の2つの凹部515Bを備える。したがって、図14に示されるように、凹部515Bは、フォームブロック513の同じ側に配置された隣接する側面513f1,513f2間に延在する。補強部材420Aと同様の補強部材520Aが支持要素516Bを凹部515B内に保持し、一方、各々が補強部材420Bと同一の2つの補強部材520Bが他の支持要素516Bを凹部515B内に保持する。
図14に示されていない第2の側において、フォームブロック513の角部の1つにおける凹部415Aと同一の凹部515Aと、凹部415Bと同一の凹部515Bと、補強部材420A及び420Bと同一の2つの補強部材(図示せず)と、を備える。
【0109】
図示されていない変形例では、断熱ブロック506は、補強部材21と同一の、ベースプレート512の側512aに沿って延在する一対の補強部材を備える。
【0110】
断熱ブロック6,106,206,306と同様に、断熱ブロック406及び506は、二次密閉メンブレンが上に保持される二次断熱バリアを作製するのに好適である。但し、断熱ブロック406及び506は、二次密閉メンブレン上に保持される一次断熱バリアを作製するために使用することもでき、一次断熱バリアは液化ガスと接触するように構成される一次密閉メンブレンを保持する。
【0111】
密閉断熱壁を作製するための上記技術は、例えば、陸上施設内の又はとりわけ液化天然ガス運搬船などの浮体構造内のLNGタンクの壁を形成するために、異なるタイプのリザーバにおいて使用され得る。
【0112】
図15を参照すると、液化天然ガス運搬船70の断面図において、船の二重船体72に取り付けられた全体的に角柱形状の密閉断熱タンク71が示されている。タンク71の壁は、タンク内に収容されたLNGと接触するよう構成された一次密閉バリアと、船の一次密閉バリアと二重船体72との間に配置された二次密閉バリアと、一次密閉バリアと二次密閉バリアとの間及び二次密閉バリアと二重船体72との間にそれぞれ配置された2つの断熱バリアとを有する。
【0113】
知られている方法で、船のアッパーデッキ上に配置された積み降ろしパイプ73を、適切なコネクタを使用して、LNGの貨物をタンク71に又はタンク71から移送するために海上又は港湾ターミナルに接続されてもよい。
【0114】
図15は、積み降ろしポイント75、海底ライン76及び陸上施設77を備える海上ターミナルの例を示す。積み降ろしポイント75は、可動アーム74と、可動アーム74を保持するカラム78とからなる固定沖合施設である。可動アーム74は積み降ろしパイプ73に接続可能な断熱ホース79の束を支持する。方向付け可能な可動アーム74は全サイズの液化天然ガス運搬船に適合させることができる。カラム78の内側には接続ライン(図示せず)が延びている。積み降ろしポイント75は液化天然ガス運搬船70に対する陸上施設77への積み降ろしを可能にする。この施設は、液化ガス貯蔵タンク80と、海底ライン76を介して積み降ろしポイント75に接続された接続ライン81とを有する。海底ライン76は、例えば5kmのような大きい距離にわたって積み降ろしポイント75と陸上施設77との間で液化ガスを移送することを可能にし、これにより、液化天然ガス運搬船70を積み降ろし作業中に沿岸から遠く離すことを可能にする。
【0115】
液化ガスの移送に必要な圧力を生成するために、船70に搭載されたポンプ、及び/又は陸上施設77に設置されたポンプ、及び/又は積み降ろしポイント75に設置されたポンプが使用される。
【0116】
本発明についていくつかの特定の実施形態に関連して説明してきたが、本発明は、それに限定されるものではないことは明らかであり、記載された手段の技術的均等物及びそれらの組み合わせのすべてを含み、これらは本発明の範囲内にある。
【0117】
「備える」又は「含む」との動詞の使用は、その活用形を含め、特許請求の範囲に記載されているものに加えて他の要素又は他のステップが存在することを排除するものではない。
【0118】
特許請求の範囲において、括弧内の参照符号は特許請求の範囲に対する限定を構成するものと理解されるべきではない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15