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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-26
(45)【発行日】2024-10-04
(54)【発明の名称】コーティング方法及びデバイス
(51)【国際特許分類】
   C23C 14/04 20060101AFI20240927BHJP
【FI】
C23C14/04 Z
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2022575359
(86)(22)【出願日】2021-06-25
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-10
(86)【国際出願番号】 EP2021025236
(87)【国際公開番号】W WO2021259521
(87)【国際公開日】2021-12-30
【審査請求日】2022-12-06
(31)【優先権主張番号】20182452.1
(32)【優先日】2020-06-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】522475177
【氏名又は名称】ビューラー アルツェナウ ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110002848
【氏名又は名称】弁理士法人NIP&SBPJ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ミュッケ、ミヒャエル
【審査官】山本 一郎
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2006/088024(WO,A1)
【文献】特開2012-092392(JP,A)
【文献】特開2018-031039(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23C 14/00-14/58
H01G 13/00
G11B 5/84- 5/858
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コーティングプロセス中に基材(1)が前記基材(1)の長手方向(L)に誘導されるコーティングロール(20)上の金属層でストリップ型可撓性誘電体基材(1)をコーティングする方法であって、
(a)前記基材(1)を帯電させて、前記コーティングプロセス中に前記コーティングロール(20)上の前記基材(1)の接着を改善するステップと、
(b)前記基材(1)を第1の金属層でコーティングするステップであって、
前記基材(1)の長手方向(L)において、前記金属層でコーティングされていない少なくとも1つのフリーストリップ(11)が残る、ステップと、
(c)前記コーティングされた基材を第2の金属層でコーティングするステップと、を含み、
前記基材(1)を前記第2の金属層でコーティングするためのステップの前に、前記基材(1)を再帯電させるためのステップを有する方法。
【請求項2】
前記少なくとも1つのフリーストリップ(11)が、前記基材(1)の少なくとも1つの長手方向に垂直な幅方向の縁部の近傍に設けられている、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
少なくとも2つのフリーストリップ(11)が残り、前記基材(1)の2つの前記長手方向に垂直な幅方向の縁部が各々、前記フリーストリップのうちの1つに包含され、前記フリーストリップが、前記基材(1)の長手方向(L)において好ましくは一定のままである距離だけ幅方向に離間されている、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記フリーストリップ(11)における前記金属層の適用が回避されるように、前記フリーストリップ(11)が残る部分である、コーティングされる前記基材(1)の表面の部分を処理するためにステップ(b)の前に実行されるステップ(a1)を更に含み、
前記処理は、好ましくは、
気化法又はオフセット印刷法を使用して、一定時間後に真空中で気化する油又は他の媒体を適用することと、
マスキングによって被覆することと、
金属蒸気をブローするための空気流の作用と、
金属スチームを吸引することと、
保護媒体を適用することと、
前記金属適用のin-situでの蒸発と、
高度に低減された導電率の領域を作製することと、のうちの少なくとも1つを含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記基材(1)の表面がステップ(b)でコーティングされ、前記基材(1)の同じ表面がステップ(c)でコーティングされる、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記基材(1)の表面がステップ(b)でコーティングされ、ステップ(b)でコーティングされた前記表面の反対側の前記基材(1)の前記表面がステップ(c)でコーティングされる、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
ステップ(c)の前に、前記フリーストリップ(11)が残る部分である、ステップ(c)でコーティングされる前記基材の前記反対側の表面の部分が、前記フリーストリップ(11)がフリーのままであることを保証するために処理され、
好ましくは、前記反対側の表面の前記フリーストリップ(11)が、ステップ(b)で残っている前記表面の前記部分に対応する、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記基材(1)の前記一方の表面及びステップ(b)でコーティングされた前記表面の反対側の前記基材(1)の前記表面が、第1及び任意選択で後続の層で交互にコーティングされている、請求項6又は7に記載の方法。
【請求項9】
前記方法が、前記基材(1)を更なる金属層でコーティングすることを更に含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記基材(1)が、真空蒸着法によってコーティングされている、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
ステップ(b)で前記第1の金属層が適用された前記表面の部分でのステップ(c)での前記コーティングされた基材のコーティング中、空気ポケット(31)が、前記コーティングロール(20)と前記基材(1)との間に形成され、好ましくは、ガス状媒体が、ガスポケットの効果を高めるためにこれらの部分に導入される、請求項4~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
コーティングプロセス中に基材(1)が前記基材(1)の長手方向(L)に誘導されるコーティングロール(20)上の金属層でストリップ型可撓性誘電体基材(1)をコーティングするデバイスであって、
(a)前記基材(1)を帯電させて、前記コーティングプロセス中に前記コーティングロール(20)上の前記基材(1)の接着を改善するデバイスと、
(b)前記基材(1)を第1の金属層でコーティングするデバイスであって、前記デバイスは、前記基材(1)の長手方向(L)において、前記金属層でコーティングされていない少なくとも1つのフリーストリップ(11)が残るように構成される、デバイスと、
(c)前記コーティングされた基材を第2の金属層でコーティングするデバイスと、を備え、
前記基材(1)を前記第2の金属層でコーティングする前に、前記基材(1)を再帯電させるデバイスを有するデバイス。
【請求項13】
前記基材(1)の反対側の表面上に第2の金属層を適用するデバイスを更に備える、請求項12に記載のデバイス。
【請求項14】
前記フリーストリップ(11)における前記金属層の適用が回避されるように、前記フリーストリップ(11)が残る部分である、コーティングされる前記基材の表面の部分を処理するデバイスを更に備える、請求項12又は13に記載のデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ストリップ型可撓性誘電体基材をコーティングするための、特にそのような基材の反復コーティングのための方法及びデバイスに関する。
【0002】
フィルムなどのストリップ型基材をコーティングロール上にコーティングする際に、コーティングロールへ上への基材の接着を改善するために、コーティング前に基材を帯電させることが知られている。基材は、例えば、コーティングロールと接触する前に基材上に向けられる電子ビームの助けを借りて帯電される。帯電は、ロール上で基材の強い接着を引き起こし、それによって、コーティングプロセス中の基材の冷却を大幅に改善する。これにより、コーティング速度を増加させること、及び/又は基材の厚さを低減することが可能になる。そのような方法は、例えば、SuperBiasの名称で知られている。
【0003】
欧州特許第1686197(B1)号は、コーティングされる断熱材料で作製された層が帯電によって冷却ロールと密接に接触する、真空蒸着法及びデバイスを記載している。
【0004】
基材の帯電は、誘電体基材を必要とし、導電性基材は、電子ビームによって帯電させることができない。これはまた、前のステップで金属コーティングを備えた基材にも適用される。そのようなコーティングはまた、本質的に誘電体基材を導電性にし、これは、その後の帯電を可能にしない、又は以前の帯電の効果を低減する。
【0005】
この理由から、既知の方法の利点は、単一のコーティング、すなわち、片面コーティングのみの場合にのみ達成することができる。
【0006】
したがって、本発明の目的はまた、前のプロセスステップで金属コーティングされた基材に対する帯電の有利な効果を達成することである。これは、特に、基材が繰り返しコーティングされるプロセスのコーティングプロセスも改善することを可能にし、コーティングプロセスの少なくとも1つは、複数又は両面コーティングなどの金属コーティングでコーティングすることを含む。したがって、金属コーティング後のコーティングプロセスについても改善を達成することができる。
【0007】
これらの目的は、独立請求項に従って本発明の特徴を用いて達成され、従属請求項は、本発明の実施形態を定義する。
【0008】
本発明の基本的な考えは、基材の金属コーティングの場合、基材をその全幅にわたってコーティングしないが、コーティングが行われない基材の少なくとも1つの長手方向ストリップを提供することである。次いで、金属層を備えていない基材のこれらのストリップは、以前の帯電を維持する、又は新たに帯電させることができ、その結果、コーティングロール上の基材の接着は、少なくともフリーストリップに沿って改善されたままである。次いで、後続の更なるコーティングは、同じ表面上又は後側、好ましくは再び第1のコーティングプロセス中にコーティングされた基材の部分で実行され得る。
【0009】
特に、本発明は、コーティングプロセス中に基材が基材の長手方向に誘導されるコーティングロール上の金属層で、ストリップ型可撓性誘電体基材をコーティングする方法を提供する。コーティングプロセス中のコーティングロール上の基材の接着を改善するために、基材を帯電させる。基材は、第1の金属層でコーティングされ、基材の長手方向に、金属層でコーティングされていない少なくとも1つのフリーストリップが残り、コーティングされた基材は、第2の金属層を備える。少なくとも1つのフリーストリップは、好ましくは、基材の少なくとも1つの長手方向縁部の環境に備えられ、好ましくは、少なくとも2つのフリーストリップが残り、基材の2つの長手方向縁部が各々、フリーストリップのうちの1つに包含され、フリーストリップが、基材の長手方向において好ましくは一定のままである距離だけ幅方向に離間されている。
【0010】
ステップ(b)の前に、フリーストリップが残る部分である、コーティングされる基材の表面の部分を処理するステップ(a1)は、フリーストリップにおける金属層の適用が回避されるように実行され得る。処理は、気化法又はオフセット印刷法を使用して、一定時間後に真空中で気化する油又は他の媒体を適用することと、マスキングによって被覆することと、金属蒸気をブローするための空気ストリームの作用と、金属蒸気を吸引することと、保護媒体を適用することと、金属層のin situ気化と、高度に低減された導電率の領域を作製することと、のうちの少なくとも1つを含み得る。
【0011】
ステップ(b)では、基材の表面がコーティングされ得、ステップ(c)では、基材の同じ表面は、更なる層でコーティングされる。また、基材の表面がステップ(b)でコーティングされ得、ステップ(b)でコーティングされた表面の反対側の基材の表面がステップ(c)でコーティングされ得る。
【0012】
ステップ(c)の前に、フリーストリップが残る部分である、ステップ(c)でコーティングされる基材の反対側の表面の部分が、フリーストリップがフリーのままであることを保証するために処理され得、
好ましくは、反対側の表面のフリーストリップが、ステップ(b)で残っている表面の部分に対応する。
【0013】
更に、基材の一方の表面及びステップ(b)でコーティングされた表面の反対側の基材の表面が、第1及び任意選択で後続の層で交互にコーティングされ得る。
【0014】
本方法は、基材を更なる金属層でコーティングすることを更に含み得る。
【0015】
任意選択的に、基材を再帯電させるためのステップは、基材を第2の又は更なる金属層でコーティングするためのステップのうちの1つの、少なくとも前に実行され得る。
【0016】
基材は、特に真空蒸着法によってコーティングされる。
【0017】
本発明は、コーティングプロセス中に基材が基材の長手方向に誘導されるコーティングロール上の金属層でストリップ型可撓性誘電体基材をコーティングするデバイスを更に提供する。デバイスは、
基材を帯電させて、コーティングプロセス中にコーティングロール上の基材の接着を改善するデバイスと、
基材を第1の金属層でコーティングするデバイスであって、
コーティングプロセス中に基材の長手方向に、金属層でコーティングされていない少なくとも1つのフリーストリップが残るように構成される、デバイスと、
コーティングされた基材を第2の金属層でコーティングするデバイスと、を備える。
【0018】
デバイスは、基材の反対側の表面上に第2の金属層を適用するデバイスを更に備え得る。
更に、フリーストリップが残る部分である、コーティングされる基材の表面の部分を処理するデバイスは、フリーストリップにおける金属層の適用が回避されるように提供され得る。
【0019】
本発明によって、基材を帯電させる利点は、金属コーティングが既に提供された基材のコーティングプロセスの場合にも達成することができる。
【0020】
本発明は、図面を参照して以下でより詳細に説明されている。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明による方法によって金属層を備えたストリップ基材の概略平面図及び側面図である。
図2】本発明の一実施形態による第2のコーティングプロセスを示すためのコーティングロールである。
【0022】
コーティング中、特に、電子部品の製造においてフィルムウェブをコーティングするための真空コーティングプロセスにおいて、例えば、電池製造中、又は包装産業でアルミニウム(Al)層を適用する場合、コーティングされるフィルム(基材)はロール上を誘導され、フィルムがコーティングロール上を流れているときに実際のコーティングが実行される。例えば、コーティングは、蒸着法又はスパッタリング法によって基材に適用することができる。
【0023】
したがって、特に包装フィルムの製造において、また電池製造におけるコンデンサ又は電極の製造において、より厚い金属層、特にAl層が、比較的厚い基材に対してますます必要とされる。したがって、これらのより厚い層の場合であっても、コーティング時間は実質的に増加するべきではない。例えば、以前の方法では、50nmのAlの層厚で、最大約10m/秒のウェブ基材上のコーティング速度を達成することのみが可能である。しかしながら、特に電池製造において、現在、例えば電流コレクタの製造において、厚さがわずか8μmのフィルム上に500nm~更には1.5μmのAlの層厚が既に必要とされている。既存の真空コーティング法では、これはほとんど達成できない。高いコーティング速度は、基材上の凝縮熱を増加させ、それによって、コーティングプロセス中に放散されなければならない基材への入熱を増加させる。したがって、コーティングロールの冷却可能性の増加を可能にする方法が必要である。
【0024】
コーティング前に基材を帯電させることにより、例えば、基材をロールから離れる側に電子ビームで帯電させることによって、コーティングロール上の基材の接着が電磁力によって改善される。したがって、コーティングプロセス中に生成される凝縮熱は、ロール上でより良好に放出され得る。
【0025】
誘電体基材では、これは、第1のコーティングプロセスに対して首尾よく達成される。しかしながら、特に前述の適用分野の場合、2つ以上の金属層を基材に適用し、かつ/又は基材の両側に金属層を提供する必要があることが多い。この例は、カソード/アノード対の製造であり得る。しかしながら、金属層が基材に適用される場合、基材はその誘電性質を失い、基材を帯電させることはもはや可能ではない。
【0026】
本発明によれば、第1のコーティングプロセスに既に使用されている帯電デバイスを用いて、コーティングロール上に既に金属コーティングされた基材を接着させ、更なるコーティングにも使用できるようにするために、少なくとも1つのフリーストリップは、基材の長手方向に金属層でコーティングする間、フリーのままである。したがって、金属コーティングは、基材の幅全体に適用されるのではなく、少なくとも1つのストリップ、好ましくは少なくとも2つ以上のストリップに沿って適用されるため、以前に印加された帯電を受け取ることができる領域及び/又は更なる帯電プロセスで帯電させることができる領域が基材上に残る。したがって、コーティングロール上の接着は、少なくともフリーストリップで改善され得、したがって、ロールへの熱伝達を確実にすることができる。
【0027】
対応するコーティングされた基材1は、図1に概略的に示されており、平面図及び側面図で示されている。コーティングされる基材1の長手方向Lに沿って、最大数キロメートルの長さでウェブの形態で提供することができ、ストリップ12にコーティングが提供されるが、それらの間に横たわるストリップ11は、フリーのままである(フリーストリップ11)。フリーのままであるストリップ11又は領域は、一方では、部分的に金属コーティングされた基材1の十分な接着を確実にするために十分に広くなければならない。他方では、フリーのままの領域は、後で所望の製品を製造するのに利用できないため、ストリップ11の幅は、可能な限り狭く選択されるべきである。
【0028】
基材の所望の領域をコーティングすることを避けるために、対応する領域をコーティング前に処理することができる。例えば、コーティングされていないストリップ11の領域において、コーティングプロセスの前に油層を適用することができる。これは、好ましくは、オフセット印刷プロセスによって実行され得る。例えば、ストリップ油蒸発器の形態の油蒸発プロセスの使用も可能である。一般に、油(又は他の好適な炭化水素)は、基材を損傷することなく、真空内で一定時間後に蒸発するため、油の使用が好ましい。そのような物質は、その後のコーティング中に真空中で蒸発し、及び/又はコーティングプロセス中に境界層を加熱することによって蒸発する。
【0029】
油層が適用された点で、基材は恒久的に金属化することができず、これらの領域に以前に印加された帯電が維持される。その後のコーティングプロセスでは、これらの領域は、金属コーティングが他の領域で実行されたにもかかわらず、基材をコーティングロール上に保持する。
【0030】
基材1上で局所的に金属コーティングを防止するための他の可能性は、例えば、保護媒体をマスキング若しくは適用すること、又は金属蒸気をブローする又は吸引するための空気流の標的化作用によって、対応する領域を被覆することである。更に、既に適用された金属層はまた、例えば、IRレーザーなどの局所熱源の作用によって、フリーのままであるべきストリップ11の対応する領域内で特異的にin situで気化することもできる。加えて、金属がフリーストリップ11の領域において反応的に誘電的に適用される、高度に低減された導電率の領域は、対応するストリップ11内のコーティングの前に作製することができる。
【0031】
本発明による方法は、連続して数回実施することもでき、コーティングを防止するための局所処理及びその後の基材のそれぞれの場合のコーティングの後、好ましくは第1のプロセスと同じ領域で、コーティングを避けるべき局所領域が設けられ、続いて基材が再びコーティングされる。したがって、コーティング自体が連続して数回行われ得るだけでなく、例えば、ストリップ油蒸発器による油適用など、コーティングに提供されていない領域の中間処理ステップもまた行うことができる。
【0032】
更に、1つの作業ステップで基材の前側及び後側の両方をコーティングするためのコーティングデバイスは、金属層を適用するための更なるデバイス、すなわち、特に第2のコーティングロール、及び任意選択的にまた、フリーのままであるべき領域でのコーティングを防止するために後側でも基材を処理するための第2のデバイスでもあり得る。
【0033】
例えば、幅約20cmの基材の場合、各々約3~4cmであり、各々が約1cmのフリーのままであるストリップから分離された4つのストリップを適用することができる。また、例えば、幅600~700mm、長さ1.3~1.7mである基材の使用も可能である。これは、例えば、ある特定のサイズ、例えば、A4又はA5サイズにほぼ等しい特定のサイズであることが意図され、それに応じてストリップの幅を適合させることができる、電池の製造において使用することができる。
【0034】
好ましくは、フリーストリップ11は、2つの縁部で基材1の長手方向に留まる。好ましくは、ストリップパターンは、基材上に対称的に形成される。基材はまた、同じコーティング領域が前側及び後側上でフリーのままであるように両側から処理することもできる。これは、金属コーティングが基材1の両側に適用される場合に特に好ましい。これにより、基材1が両面コーティング又は複数のコーティングのために回転しているにもかかわらず、常に両側に金属コーティングがないように保たれる領域が得られる。回転しているにもかかわらず、これらの領域は繰り返し接着を高め、最適な冷却を維持する空気ポケットを継続的に閉じ込め、これについては、図2を参照してより詳細に説明する。
【0035】
図2は、本発明による第1のコーティングプロセスにおける金属層で既に1回コーティングされた基材1が誘導されるコーティングロール20を概略的に示す。金属層が適用されるストリップ型領域では、コーティングロール20への基材1の接着の効果は、第1のコーティングの前に既に適用された、又は第1のコーティングの後に新たに適用された帯電によってもはや提供されない。代わりに、空気ポケット31は、ロール20と基材1との間のこれらの領域に形成される。上述のように、これにより形成された空気ポケット31は、基材1の冷却を支持する。これらの領域では、ガスポケットの効果を高めるためのガス状媒体は、好適な方法によって導入され得る。
【0036】
これらの領域11’における基材のコーティングを防止する油膜32は、基材1の他の領域11’に適用されている。この場合、基材1はロール20に接着するため、冷却を確実にし、ロール環境に設けられた金属蒸気4からの最適なコーティングを確実にするために、中間領域に空気ポケット/ガスポケット31を形成することができる。
【0037】
したがって、本方法に加えて、本発明はまた、特に電子ビームによって基材を帯電させるデバイス、基材を処理して、所望のフリーストリップがコーティングされないことを確実にするデバイス、例えば、薄い油膜を局所的に適用するデバイス、及び最後に、特にコーティングロール、例えば、真空蒸着デバイスを用いて、基材を表面にコーティングするデバイスを使用して基材をコーティングするための対応するデバイスを提供する。1回目のコーティングを行った後、コーティングデバイス、及びまた任意選択的に帯電及び/又は処理するデバイスは、次いで、不完全な金属コーティングの利点を利用して、同じ側若しくはまた反対側への第2の及び任意選択的に更なるコーティングに更に使用することができ、又は、既に上述したように、いずれの場合も、特に基材の前側及び後側に、1つのプロセスステップで第1及び第2のコーティングを適用するために、第2のデバイスを設けることができる。
【0038】
本発明は、図面及び関連する説明によって詳細に例示され、説明されているが、この図及びこの詳細な説明は、例証的かつ例示的なものとして理解されるべきであり、本発明を限定するものではない。以下の特許請求の範囲から逸脱することなく、当業者が変更及び修正を行い得ることが理解される。特に、本発明はまた、様々な態様及び/又は実施形態に関して上記で言及した、又は示した特徴の任意の組み合わせを有する実施形態を含む。
【0039】
本発明はまた、図面の個々の特徴が他の特徴に関連して示されている場合、かつ/又は上述されていない場合であっても、それらの個々の特徴を含む。
【0040】
更に、「を備える(to comprise)」及びその派生語は、他の要素又はステップを除外するものではない。同様に、不定冠詞、「a」又は「an」並びにそれらの派生語は、複数を除外するものではない。特許請求の範囲に列挙されている複数の特徴の機能は、1つのユニットによって満たされ得る。また、「実質的に(substantially)」、「周囲に(around)」、「約(approximately)」などの用語は、特性又は値と連携した、特に、正確に特性を又は正確に値を定義する。特許請求の範囲における参照符号のいずれも、特許請求の範囲を限定するものとして理解されるべきではない。
図1
図2