(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-26
(45)【発行日】2024-10-04
(54)【発明の名称】充放電制御システム及び充放電制御方法
(51)【国際特許分類】
H01M 10/44 20060101AFI20240927BHJP
H01M 10/48 20060101ALI20240927BHJP
H02J 7/10 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
H01M10/44 A
H01M10/48 P
H02J7/10 H
H02J7/10 K
(21)【出願番号】P 2022580264
(86)(22)【出願日】2021-02-10
(86)【国際出願番号】 IB2021000084
(87)【国際公開番号】W WO2022172046
(87)【国際公開日】2022-08-18
【審査請求日】2023-11-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】507308902
【氏名又は名称】ルノー エス.ア.エス.
【氏名又は名称原語表記】RENAULT S.A.S.
【住所又は居所原語表記】122-122 bis, avenue du General Leclerc, 92100 Boulogne-Billancourt, France
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【氏名又は名称】原 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100170575
【氏名又は名称】森 太士
(72)【発明者】
【氏名】池添 圭吾
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 健太
(72)【発明者】
【氏名】村井 謙介
【審査官】赤穂 嘉紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-39685(JP,A)
【文献】特開2011-217600(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0198551(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/42-10/48
H02J 7/00-7/12
H02J 7/34-7/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
充放電要素の各々が自律的に充放電を制御する充放電制御システムであって、
充放電を行う複数の充放電要素に対して制御信号を同報送信する外部制御装置と、
前記充放電要素の各々の充放電を許可する認証装置と、を備え、
前記制御信号を受信した前記充放電要素は、受信した前記制御信号に基づく許可依頼信号であって、充放電の許可を要求する前記許可依頼信号を前記認証装置へ送信し、
前記許可依頼信号を受信した前記認証装置は、
前記許可依頼信号が、前記充放電要素が受信した前記制御信号に基づく許可依頼信号であるか否かを判断し、
前記充放電要素が受信した前記制御信号に基づく許可依頼信号であると判断した場合、前記充放電要素に対して、充放電を行う為の電力線を接続する
充放電制御システム。
【請求項2】
前記充放電要素は、前記制御信号を受信したことを証明する信号であって、前記認証装置との間で予め設定された信号を前記許可依頼信号として送信し、
前記認証装置は、受信した前記許可依頼信号が前記認証装置との間で予め設定された信号であると判断した場合、前記充放電要素に対して、充放電を行う為の電力線を接続する
請求項1に記載の充放電制御システム。
【請求項3】
前記充放電要素は、充放電が開始されてからの時間をカウントし、前記充放電要素の充放電電力量がしきい充放電電力量未満である場合、前記充放電が開始されてから第1のしきい時間が経過する毎に前記許可依頼信号を送信し、
前記認証装置は、前記充放電が開始されてからの時間をカウントし、前記第1のしきい時間が経過時に、前記許可依頼信号を受信したと判断した場合、前記充放電要素に対して、充放電を行う為の電力線を継続して接続する
請求項1又は2に記載の充放電制御システム。
【請求項4】
前記外部制御装置は、前記充放電を行う複数の充放電要素に加え、複数の前記認証装置に前記制御信号を同報送信し、
前記充放電要素は、受信した前記制御信号、又は、受信した前記制御信号を編集した信号を前記許可依頼信号として前記認証装置に送信し、
前記認証装置は、
前記制御信号及び前記許可依頼信号を受信し、
前記許可依頼信号が、前記許可依頼信号と同時刻に受信した前記制御信号、又は前記制御信号を編集した信号であると判断した場合、前記充放電要素に対して、充放電を行う為の電力線を接続する
請求項1又は3の何れか一項に記載の充放電制御システム。
【請求項5】
前記充放電要素は、前記充放電要素の充放電電流値がしきい電流値以上となった場合、前記許可依頼信号を送信し、
前記認証装置は、
前記充放電要素への給電電流値、及び、前記充放電要素からの受電電流値を計測することにより、前記充放電要素の充放電電流値を計測する電流計測部をさらに備え、
前記充放電要素の充放電電流値が前記しきい電流値以上となった場合、前記許可依頼信号を受信しているか否かを判断し、
前記許可依頼信号を受信していると判断した場合、前記充放電要素に対して、充放電を行う為の電力線を継続して接続する
請求項1から4のいずれか一項に記載の充放電制御システム。
【請求項6】
前記外部制御装置は、前記充放電要素の充放電を停止する、又は、前記充放電要素の充放電電力を低下させる前記制御信号を第2のしきい時間が経過する毎に送信し、
前記認証装置は、
前記充放電要素が、前記制御信号と同期して充放電を停止、又は、前記制御信号と同期して充放電電力を低下させていると判断した場合、前記充放電要素に対して、充放電を行う為の電力線を継続して接続する
請求項5に記載の充放電制御システム。
【請求項7】
充放電要素の各々が自律的に充放電を制御する充放電制御方法であって、
外部制御装置が充放電を行う複数の充放電要素に対して制御信号を同報送信し、
前記制御信号を受信した前記充放電要素は、受信した前記制御信号に基づく許可依頼信号であって、充放電の許可を要求する前記許可依頼信号を認証装置へ送信し、
前記許可依頼信号を受信した前記認証装置は、
前記許可依頼信号が、前記充放電要素が受信した前記制御信号に基づく許可依頼信号であるか否かを判断し、
前記充放電要素が受信した前記制御信号に基づく許可依頼信号であると判断した場合、前記充放電要素に対して、充放電を行う為の電力線を接続することにより、前記充放電要素の各々の充放電を許可する
充放電制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、充放電制御システム及び充放電制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
EVを充電するための充電設備の不正利用を防止するための認証システムが開示されている(特許文献1)。特許文献1に記載された認証システムは、車載通信機器からの要求に応じて認証用サーバがサービス接続情報を作成し、サービス接続情報を車載通信機器及びサービス提供機器(充電設備)に送信し、さらに認証に必要な情報を車載通信機器に送信する。車載通信機器は取得したサービス接続情報と認証に必要な情報とをサービス提供機器に送信し、サービス提供機器は受信した認証に必要な情報を認証用サーバに送信し、認証用サーバからの認証に必要な情報の正当性の検証結果を受信する。これにより、充電設備の不正利用を防止する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載された認証システムは、車載機器と認証用サーバ間、及びサービス提供機器と認証用サーバ間のそれぞれにおいて相互通信が必要となる。さらに、認証用サーバは、各々の車載機器から送信される要求に応じてサービス情報を生成し、サービス提供機器から送信される認証に必要な情報の正当性の検証を一括して行わなければならない。従って、認証用サーバは対応する車載機器の数の増えるほど処理負荷が増大し、より多くのコストを必要とする。さらに、車載機器と認証用サーバ間、及びサービス提供機器と認証用サーバ間のそれぞれにおいて相互通信をすることにより、通信コスト、及びサイバセキュリティのためのコストが増大する。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みて成されたものであり、その目的は、充放電設備の不正利用を防止しつつ、充放電をする際の認証に係るコストを低減することができる充放電制御システム及び充放電制御方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係わる充放電制御システムは、充放電要素の各々が自律的に充放電を制御する充放電制御システムであって、充放電を行う複数の充放電要素に対して制御信号を同報送信する外部制御装置と、充放電要素の各々の充放電を許可する認証装置とを備える。制御信号を受信した充放電要素は、受信した制御信号に基づく許可依頼信号であって、充放電の許可を要求する許可依頼信号を認証装置へ送信する。許可依頼信号を受信した認証装置は、許可依頼信号が、充放電要素が受信した制御信号に基づく許可依頼信号であるか否かを判断し、充放電要素が受信した制御信号に基づく許可依頼信号であると判断した場合、充放電要素に対して、充放電を行う為の電力線を接続する。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一態様によれば、充放電設備の不正利用を防止しつつ、充放電をする際の認証に係るコストを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係る充放電制御システムの構成を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、第1実施形態に係る充放電制御システムの構成を示す模式図である。
【
図3】
図3は、第1実施形態に係る充放電制御システムの処理を示すフローチャートである。
【
図4】
図4は、第2実施形態に係る充放電制御システムの構成を示すブロック図である。
【
図5A】
図5Aは、同報送信される制御信号の一例を示す図である。
【
図5B】
図5Bは、第2実施形態に係る充放電制御システムにおける許可依頼信号の一例を示すグラフ(その1)である。
【
図5C】
図5Cは、第2実施形態に係る充放電制御システムにおける許可依頼信号の一例を示すグラフ(その2)である。
【
図6】
図6は、第2実施形態に係る充放電制御システムの処理を示すフローチャートである。
【
図7】
図7は、第3実施形態に係る充放電制御システムの構成を示すブロック図である。
【
図8A】
図8Aは、第3実施形態に係る充放電制御システムの処理を示すフローチャート(その1)である。
【
図8B】
図8Bは、第3実施形態に係る充放電制御システムの処理を示すフローチャート(その2)である。
【
図9】
図9は、第3実施形態の変形例に係る充放電制御システムにおける制御信号の一例を示す図である。
【
図10A】
図10Aは、第3実施形態の変形例に係る充放電制御システムの処理を示すフローチャート(その1)である。
【
図10B】
図10Bは、第3実施形態の変形例に係る充放電制御システムの処理を示すフローチャート(その2)である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図面を参照して、実施形態を説明する。図面の記載において同一部分には同一符号を付して説明を省略する。なお、本発明における充放電制御システムは、充放電要素の各々が自律的に充放電を制御する充放電制御システムであり、本実施形態では、充放電要素としてEVを想定した充放電制御システムについて説明する。
【0010】
(第1実施形態)
[充放電制御システムの構成]
図1、
図2を参照して、第1実施形態に係る充放電制御システムの構成を説明する。充放電制御システムは、EV10(充放電要素の一例)、外部制御装置20、認証装置50、受給電装置70で構成される。
【0011】
EV10は、EV10に備わるバッテリ14から電動機(不図示)へ電力を供給し、電動機を動力原として走行する車両である。EV10は、走行及び放電(V2H:Vehicle to Home,V2B:Vehicle to Building,V2G:Vehicle to Grid)によりバッテリ14の充電電力量が低下した場合、認証装置50を介して受給電装置70から受電し、バッテリ14を充電する。
【0012】
EV10は、バッテリ14を充電する場合、外部制御装置20から制御信号30を受信し、受信した制御信号30に基づく許可依頼信号であって、充放電の許可を要求する許可依頼信号40を認証装置50へ送信する。EV10は、認証装置50へ送信した許可依頼信号40が、認証装置50によって認証された場合、充放電を行うことができる。EV10は、受信した制御信号30に基づいて、充放電する際の充放電電力を制御する。
【0013】
なお、本実施形態におけるEV10の定義は、電動機のみを動力原とする車両に限らず、プラグインハイブリッド車などの車両の外部に設置された受給電装置70からの受電によりバッテリを充電する全ての車両を含む。
【0014】
外部制御装置20は、充放電を行うEV10が外部制御装置20から送信される制御信号30を受信できる位置に設置される。例えば、EV10が受給電装置70と接続するために停車する位置の上方に設置される。外部制御装置20は、充放電を行う複数のEV10が利用可能な総電力を、電力を供給する電力インフラストラクチャからインターネット回線などの通信回線を介して取得し、充放電を行う複数のEV10に対して、充電に利用可能な総電力を含む制御信号30を無線通信にて同報送信する。外部制御装置20が送信する制御信号30は、充放電を行うEV10の各々が自律的に充放電を制御するための信号である。
【0015】
なお、外部制御装置20は、充放電を行う複数のEV10が利用可能な総電力を含む、全ての電力需要量を制御して、電力の需要と供給のバランスを保つアグリゲータ(不図示)から充放電を行う複数のEV10が充電に利用可能な総電力を受信してもよい。又は、外部制御装置20は、現在供給可能な総電力と現在消費されている総消費電力とを電力インフラストラクチャから取得し、充放電を行う複数のEVが充電に利用可能な総電力を算出してもよい。
【0016】
認証装置50は、EV10が充放電を行う為の電力線であって、受給電装置70から延びる、受給電装置70とEV10とを接続する電力線に設置される。認証装置50は、継電部53を断接させることにより、受給電装置70とEV10とを接続する電力線の断接を行う。
【0017】
認証装置50は、EV10から送信された充放電の許可を要求する許可依頼信号40を受信し、受信した許可依頼信号40が、EV10が受信した制御信号30に基づく許可依頼信号40であるか否かを判断する。認証装置50は、受信した制御信号30が、EV10が受信した制御信号30に基づく許可依頼信号40であると判断した場合、EV10に対して、充放電を行う為の電力線を接続する。
【0018】
受給電装置70は、柱型又は壁掛け型の変圧器であり、電力インフラストラクチャからの送電線80に接続されている。受給電装置70は、EV10への給電、及び、EV10からの受電を行う。
【0019】
[EV10の構成]
EV10の構成について具体的に説明する。
【0020】
EV10は、受信部11、演算部12、送信部13、バッテリ14、充放電ポート15を備えている。
【0021】
受信部11は、外部制御装置20から無線通信にて同報送信された制御信号30を受信するための受信機を備えており、受信した制御信号30を演算部12へ転送する。無線通信は、Wi-Fi(ワイファイ:登録商標)のような無線LAN(Local Area Network)又はBluetooth(登録商標)を用いることができる。
【0022】
送信部13は、演算部12が出力した許可依頼信号40を、無線通信にて認証装置50へ送信するための送信機を備えており、許可依頼信号40を認証装置50へ送信する。
【0023】
バッテリ14は、電動機を駆動するための電力及び放電(V2H,V2B,V2G)して利用する電力を蓄電する。
【0024】
充放電ポート15は、受給電装置70から延びる電力線のコネクタ90を差し込むための充放電口である。充放電ポート15は、電力線でバッテリ14と接続されている。
【0025】
演算部12は、CPU(中央処理装置)、メモリ、及び入出力部を備える汎用のマイクロコンピュータである。マイクロコンピュータには、演算部12として機能させるためのコンピュータプログラムがインストールされている。コンピュータプログラムを実行することにより、マイクロコンピュータは、演算部12が備える複数の情報処理回路として機能する。なお、本実施形態では、ソフトウェアによって演算部12が備える複数の情報処理回路を実現する例を示すが、以下に示す各情報処理を実行するための専用のハードウェアを用意して、情報処理回路を構成することも可能である。また、複数の情報処理回路を個別のハードウェアにより構成してもよい。
【0026】
演算部12は、認証装置50に送信する許可依頼信号40の出力、EV10が充放電する際の充放電電力の算出、及び、EV10の充放電電力の制御を行う。
【0027】
演算部12は、EV10が充放電を行う場合、認証装置50に充放電の許可を要求する許可依頼信号40を出力する。具体的には、演算部12は、受給電装置70から延びる電力線のコネクタ90のコネクタナンバが取得され、コネクタ90がEV10の充放電ポート15に接続されていると判断した場合、制御信号30の受信を開始する。演算部12は、制御信号30を受信した場合、制御信号30を受信したことを証明する信号であって、認証装置50との間で予め設定された信号を許可依頼信号40として出力する。
【0028】
演算部12は、EV10の充放電が開始された場合、充放電が開始されてからの時間をカウントし、バッテリ14の充放電電力量がしきい充放電電力量未満である場合、充放電が開始されてから第1のしきい時間が経過する毎に許可依頼信号40を出力する。演算部12は、第1のしきい時間が経過した時のバッテリ14の充放電電力量がしきい充放電電力量以上である場合、充放電が完了したと判断し、許可依頼信号40を出力しない。これにより、受給電装置70からの受電、及び受給電装置70への給電が停止され、EV10の充放電が終了する。
【0029】
しきい充放電電力量は、EV10のユーザがバッテリ14の充電電力量に基づいて設定した充電又は放電する電力量である。なお、充放電電力量は、SOC(State Of Charge)で設定されてもよい。第1のしきい時間は、受給電装置70の充電方法によって異なる。例えば、受給電装置70が普通充電(3~6kW)の場合、第1のしきい時間は30分に設定される。受給電装置70が急速充電(20~100kW)の場合、第1のしきい時間は、1分に設定される。EV10は、バッテリ14の充放電電力量がしきい充放電電力量未満である場合、充放電が開始されてから第1のしきい時間が経過する毎に許可依頼信号40を出力することにより、充放電を継続することができる。
【0030】
演算部12は、コネクタナンバの取得の有無を判断することにより、EV10が充放電をするか否かを判断することができる。演算部12は、コネクタナンバを取得することにより、EV10が充放電をする受給電装置70に接続された認証装置50に、許可依頼信号40を送信することができる。これにより、他のEV10が送信する許可依頼信号40との混線を防止することができる。
【0031】
コネクタナンバの取得は、EV10のユーザによってEV10に入力された値を取得してもよいし、EV10に備わるカメラが取得した撮像画像から取得してもよい。
【0032】
コネクタ90と充放電ポート15との接続は、EV10のユーザが自ら行ってもよいし、コネクタ90が充放電ポート15に自動的に接続される構成であってもよい。なお、本実施形態では、コネクタ90と充放電ポート15とが有線接続されることにより、EV10と受給電装置70とが接続され、EV10の充放電が行われるが、EV10と受給電装置70との接続は、無線接続によるワイヤレス充放電であってもよい。
【0033】
EV10と受給電装置70との接続が無線接続の場合、演算部12は、コネクタ90に対応するワイヤレス給電用の受給電部と、充放電ポート15に対応するワイヤレス充放電部とが電気的に接続可能な位置であることを確認できればよい。
【0034】
認証装置50との間で予め設定された許可依頼信号40は、EV10と認証装置50との間で予めに設定されたパスワードであり、パスワードは数字と文字列の羅列である。EV10のユーザは、受給電装置70を利用する契約をすることによりパスワードが付与され、付与されたパスワードをEV10及び認証装置50に登録する。これにより、演算部12は、充放電を開始する際に、許可依頼信号40として認証装置50との間で予め設定されたパスワードを出力することができる。
【0035】
演算部12は、受信した制御信号30に基づいて、EV10が充電する際の充電電力を算出する。具体的には、演算部12は、充放電を行う複数のEV10が利用可能な総電力、EV10が充電する充電電力量、EV10が充電を完了して走行を開始する時刻、及びEV10が充電する充電電力量を得るのに必要な時間を考慮して、充電電力を算出する。
【0036】
演算部12は、EV10が放電する際の放電電力を算出する。具体的には、演算部12は、制御信号30に基づいて電力インフラストラクチャの供給電力が不足していると判断した場合、バッテリ14の充電電力量に応じてEV10が放電可能な放電電力量を算出し、EV10が放電可能であるか否かを判断する。演算部12は、EV10が放電可能な状態にあると判断した場合、放電を許可するか否かを確認するメッセージ、及び、放電する場合に放電可能な放電電力量を、EV10の車室内に備わるモニタに出力する。EV10のユーザは、放電を許可するか否か、及び、放電を許可する場合の放電電力量をEV10に入力する。演算部12は、EV10のユーザが放電を許可した場合、EV10のユーザが入力した放電電力量に基づいて放電電力を算出する。なお、EV10のユーザは、放電電力量に応じてインセンティブが得られるようになっている。
【0037】
演算部12は、算出した充放電電力となるように、バッテリ14及び充放電ポート15とバッテリ14との間に備わる制御回路を制御し、充放電電力を制御する。なお、充放電電力を制御する制御回路、及び制御方法は、既知の技術で構成される。
【0038】
[認証装置50の構成]
認証装置50の構成について具体的に説明する。
【0039】
認証装置50は、受信部51、演算部52、継電部53、受給電ポート54を備えている。
【0040】
受信部51は、EV10から送信された許可依頼信号40を受信する受信機を備えており、受信した許可依頼信号40を演算部52に転送する。
【0041】
継電部53は、ノーマルオープンのリレーであり、演算部52によって制御電流が流された場合、スイッチをONし、受給電装置70とEV10とを接続する電力線であって、EV10が充放電を行う為の電力線を接続する。
【0042】
受給電ポート54は、認証装置50からEV10に接続するコネクタ90までの電力線を接続する差し込み口であり、EV10への給電、及び、EV10からの受電を行う。
【0043】
演算部52は、CPU(中央処理装置)、メモリ、及び入出力部を備える汎用のマイクロコンピュータであり、ハードウェア構成は、演算部12と同様である。なお、本実施形態では、ソフトウェアによって演算部52が備える複数の情報処理回路を実現する例を示すが、以下に示す各情報処理を実行するための専用のハードウェアを用意して、情報処理回路を構成することも可能である。また、複数の情報処理回路を個別のハードウェアにより構成してもよい。
【0044】
演算部52は、受信した許可依頼信号40が、EV10が受信した制御信号に基づく許可依頼信号40であるか否かを判断する。具体的には、受信した許可依頼信号40が、認証装置50との間で予め設定された信号であって、EV10と認証装置50との間で予め設定されたパスワードであるか否かを判断する。演算部52は、受信した許可依頼信号40が、認証装置50との間で予め設定された信号であると判断した場合、継電部53を接続するよう制御し、充放電を行う為の電力線を接続する。
【0045】
演算部52は、EV10の充放電が開始されてからの時間をカウントし、第1のしきい時間が経過時に、許可依頼信号40を受信したか否かを判断する。なお、演算部52がカウントする充放電が開始されてからの時間のカウント開始タイミングは、演算部12と同時である。演算部52は、EV10の充放電が開始されてから第1のしきい時間が経過時に、許可依頼信号40を受信したと判断した場合、EV10に対して、充放電を行う為の電力線を継続して接続する。第1のしきい時間は、EV10に設定されている第1のしきい時間と同じである。
【0046】
なお、EV10と認証装置50で充放電が開始されてからの時間のカウント開始タイミングに誤差が発生することを考慮し、演算部52は、第1のしきい時間が経過後、第3のしきい時間が経過するまでに、許可依頼信号40を受信したか否かを判断してもよい。第3のしきい時間は、例えば1秒である。
【0047】
なお、本実施形態では、認証装置50が受給電装置70とEV10とを接続する電力線に設置される例を示すが、認証装置50の設置位置はこれに限定されない。例えば、認証装置50は、受給電装置70の中に搭載されていてもよいし、受給電装置70と電力インフラストラクチャとの間に設置されていてもよい。
【0048】
[充放電制御方法]
次に、
図3を参照して、
図1に示す充放電制御システムの処理の一例を説明する。
図3のフローチャートでは、EV10、外部制御装置20、認証装置50のそれぞれの処理を記載し、充放電制御システムとして、EV10が充放電を開始する時からEVの充放電が終了するまでの処理を説明する。
【0049】
EV10の処理は、EV10のパワースイッチがONになると同時に開始され、バッテリ14の充放電電力量がしきい充放電電力量以上となったと判断した時点で処理を終了する。外部制御装置20及び認証装置50は、電源が投入されている限り処理を継続して行う。
【0050】
ステップS10において、演算部12は、受給電装置70から延びる電力線のコネクタ90のコネクタナンバを取得したか否かを判断する。演算部12は、コネクタナンバを取得していない判断した場合(ステップS10でNO)、処理を終了する。
【0051】
ステップS10において、演算部12は、コネクタナンバを取得したと判断した場合(ステップS10でYES)、ステップS11に進む。
【0052】
ステップS11において、演算部12は、コネクタ90がEV10の充放電ポート15に接続されたか否かを判断する。演算部12は、コネクタ90がEV10の充放電ポート15に接続されていないと判断した場合(ステップS11でNO)、処理を終了する。
【0053】
ステップS11において、演算部12は、コネクタ90がEV10の充放電ポート15に接続されたと判断した場合(ステップS11でYES)、ステップS20に進む。
【0054】
ステップS20において、演算部12は、制御信号30の受信を開始し、受信した制御信号30を取得する。
【0055】
ステップS30に進み、演算部12は、受信した制御信号30に基づく許可依頼信号40であって、充放電の許可を要求する許可依頼信号40を認証装置50へ送信する。具体的には、制御信号30を受信したことを証明する信号であって、認証装置50との間で予め設定された信号を許可依頼信号40として出力する。
【0056】
ステップS40に進み、演算部52は、許可依頼信号40を受信したか否かを判断する。演算部52は、許可依頼信号40を受信していないと判断した場合(ステップS40でNO)、ステップS60に進む。
【0057】
ステップS40において、演算部52は、許可依頼信号40を受信したと判断した場合(ステップS40でYES)、ステップS50に進む。
【0058】
ステップS50において、演算部52は、受信した許可依頼信号40が、EV10が受信した制御信号30に基づく許可依頼信号40であるか否かを判断する。具体的には、受信した許可依頼信号40が、認証装置50との間で予め設定された信号であるか否かを判断する。演算部52は、受信した許可依頼信号40が、EV10が受信した制御信号30に基づく許可依頼信号40でないと判断した場合(ステップS50でNO)、ステップS60に進む。
【0059】
ステップS50において、演算部52は、受信した許可依頼信号40が、EV10が受信した制御信号30に基づく許可依頼信号40であると判断した場合(ステップS50でYES)、ステップS70に進む。
【0060】
ステップS60において、演算部52は、継電部53を切断するよう制御し、EV10に対して、充放電を行う為の電力線を切断する。なお、演算部52は、継電部53が既に切断された状態である場合、切断された状態を保持する。
【0061】
ステップS70において、演算部52は、継電部53を接続するよう制御し、EV10に対して、充放電を行う為の電力線を接続する。ここで処理が分岐し、ステップS80及びステップS90に進む。なお、演算部12のステップS110以降の処理、及び、演算部52のステップS90以降の処理は、同時に行われる。
【0062】
ステップS80に進み、演算部12は、充放電を開始する。演算部12は、受信した制御信号30に基づいて算出した充放電電力となるように、バッテリ14及び制御回路を制御し、充放電電力を制御する。
【0063】
ステップS110に進み、演算部12は、充放電が開始されてからの時間をカウントする。ステップS120に進み、演算部12は、充放電が開始されてからの時間が第1のしきい時間を経過したか否かを判断する。
【0064】
ステップS120において、演算部12は、充放電が開始されてからの時間が第1のしきい時間を経過していないと判断した場合(ステップS120でNO)、充放電が開始されてからの時間が第1のしきい時間を経過するまで、ステップS120に滞留する。
【0065】
ステップS120において、演算部12は、充放電が開始されてからの時間が第1のしきい時間を経過したと判断した場合(ステップS120でYES)、ステップS130に進む。
【0066】
ステップS130において、演算部12は、バッテリ14の充放電電力量がしきい充放電電力量以上であるか否かを判断する。演算部12は、バッテリ14の充放電電力量がしきい充放電電力量以上であると判断した場合(ステップS130でYES)、EV10の充放電が完了したと判断し、処理を終了する。EV10の充放電は完了となる。
【0067】
ステップS130において、演算部12は、バッテリ14の充放電電力量がしきい充放電電力量未満であると判断した場合(ステップS130でNO)、ステップS20に戻る。演算部12は、ステップS20以降の処理を再度実行することにより、充放電を継続して実施するための許可依頼信号40を送信することができる。
【0068】
ステップS90において、演算部52は、充放電が開始されてからの時間をカウントする。ステップS100に進み、演算部52は、充放電が開始されてからの時間が第1のしきい時間を経過したか否かを判断する。
【0069】
ステップS100において、演算部52は、充放電が開始されてからの時間が第1のしきい時間を経過していないと判断した場合(ステップS100でNO)、充放電が開始されてからの時間が第1のしきい時間を経過するまで、ステップS100に滞留する。
【0070】
ステップS100において、演算部52は、充放電が開始されてからの時間が第1のしきい時間を経過したと判断した場合(ステップS100でYES)、処理を終了し、ステップS40からの処理を再度実行する。これにより、認証装置50は、許可依頼信号40を受信した場合、EV10への給電、及び、EV10からの受電を継続して行うことができる。
【0071】
以上説明したように、第1実施形態によれば以下の作用効果が得られる。
【0072】
EV10は、充放電の許可を要求する場合、外部制御装置20から充放電を行う複数のEV10に対して同報送信される制御信号30を受信し、制御信号30に基づく許可依頼信号であって、充放電の許可を要求する許可依頼信号40を認証装置50へ送信する。EV10から許可依頼信号40を受信した認証装置50は、許可依頼信号40が、EV10が受信した制御信号30に基づく許可依頼信号40であるか否かを判断する。これにより、認証装置50は、EV10が外部制御装置20から送信された制御信号30に従っているか否かを判断することができる。
【0073】
認証装置50は、EV10から受信した制御信号30が、EV10が受信した制御信号30に基づく許可依頼信号40であると判断した場合、EV10に対して、充放電を行う為の電力線を接続する。これにより、受給電装置70は、制御信号30に従って充電を行うEV10への給電、及び、制御信号30に従って放電を行うEV10からの受電を行うことができる。
【0074】
各々のEV10は、制御信号30に基づいて自律的に充放電を制御する。これにより、各々のEV10の充放電電力を管理するためのアグリゲータが不要となり、設備に掛かるコストを低減することができる。
【0075】
EV10は、充放電の許可を要求する際に、外部制御装置20及び認証装置50との相互通信を必要としないので、通信およびサイバセキュリティに掛かるコストを低減することができる。
【0076】
EV10は、制御信号30を受信したことを証明する信号であって、認証装置50との間で予め設定された信号を許可依頼信号40として送信する。これにより、認証装置50は、受信した許可依頼信号40が認証装置50との間で予め設定された信号であるか否かを判断することで、EV10が外部制御装置20からの制御信号30に従っているか否かを判断することができる。
【0077】
EV10は、充放電が開始されてからの時間をカウントし、EV10の充放電電力量がしきい充放電電力量未満である場合、充放電が開始されてから第1のしきい時間が経過する毎に許可依頼信号40を送信する。認証装置50は、充放電が開始されてからの時間をカウントし、第1のしきい時間が経過時に、許可依頼信号40を受信したと判断した場合、EV10に対して、充放電を行う為の電力線を継続して接続する。これにより、認証装置50は、EV10が制御信号30に従って充放電していることを継続的に確認することができ、最初に充放電を許可した後に、制御信号30を遮って、制御信号30に従わないEV10の充放電を防止することができる。
【0078】
(第2実施形態)
[充放電制御システムの構成]
図4を参照して、第2実施形態に係る充放電制御システムの構成について説明する。
【0079】
第1実施形態との相違点は、外部制御装置20が、充放電を行う複数のEV10に加え、複数の認証装置50に制御信号30を同報送信する点、認証装置50が制御信号30を受信する点、演算部12及び演算部52の一部処理である。よって、演算部12及び演算部52の相違する処理についてのみ説明し、その他共通する構成については説明を省略する。
【0080】
演算部12は、受信した制御信号30、又は、受信した制御信号30を編集した信号を許可依頼信号40として出力する。
【0081】
演算部52は、受信した許可依頼信号40が、許可依頼信号40と同時刻に受信した制御信号30、又は、制御信号30を編集した信号であるか否かを判断する。
【0082】
図5Aから
図5Cを参照して、演算部12が出力する許可依頼信号40について説明する。
図5Aは、外部制御装置20から送信された制御信号30を時系列に示した図であり、外部制御装置20は、現在の時刻における充放電を行う複数のEV10が利用可能な総電力を送信する。
【0083】
図5Bは、演算部12が出力した許可依頼信号41の一例を示している。例えば、現在の時刻がT6である場合、演算部12は、許可依頼信号40として41T6を出力する。許可依頼信号41T6は、時刻T6において外部制御装置20が送信した制御信号30と同値である。なお、全ての許可依頼信号41T1から41T6は、時刻T1からT6において送信された制御信号30と同値である。このように、演算部12は、受信した制御信号30を許可依頼信号41として出力する。
【0084】
図5Cは、演算部12が出力した許可依頼信号42の一例を示している。例えば、現在の時刻がT6である場合、演算部12は、許可依頼信号として42T6を出力する。許可依頼信号42T6は、時刻T6において外部制御装置20から送信された制御信号30の値と、制御信号30の前回送信値である時刻T5において送信された制御信号30との平均値である。なお、全ての許可依頼信号42T1から42T6は、各々の時刻において送信された制御信号30と、各々の時刻において送信された制御信号30の前回送信値との平均値である。このように、演算部12は、制御信号30を編集した信号を許可依頼信号41として出力する。制御信号30の編集方法は、演算部12と演算部52で予め共有されている。
【0085】
[充放電制御方法]
次に、
図6を参照して、
図4の充放電制御システムの処理について説明する。第1実施形態との相違点は、ステップS21の処理をさらに備える点、ステップS30及びステップS50の処理に代えて、ステップS31及びステップS51の処理を行う点である。よって当該相違点についてのみ説明し、その他共通する処理については説明を省略する。
【0086】
ステップS21において、演算部52は、受信部51が受信した制御信号30を取得する。
【0087】
ステップS31において、演算部12は、受信した制御信号30、又は、受信した制御信号30を編集した信号を許可依頼信号40として出力する。
【0088】
ステップS51において、演算部52は、受信した許可依頼信号40が、許可依頼信号40と同時刻に受信した制御信号30、又は、制御信号30を編集した信号であるか否かを判断する。
【0089】
以上説明したように、第2実施形態によれば第1実施形態の作用効果に加え、以下の作用効果が得られる。
【0090】
外部制御装置20は、充放電を行う複数のEV10に加え、複数の認証装置50に制御信号30を同報送信し、EV10は、受信した制御信号30、又は、受信した制御信号30を編集した信号を許可依頼信号40として認証装置50に送信する。認証装置50は、制御信号30及び許可依頼信号40を受信し、許可依頼信号40が、許可依頼信号40と同時刻に受信した制御信号30、又は、制御信号30を編集した信号であると判断した場合、EV10に対して、充放電を行う為の電力線を接続する。これにより、認証装置50は、EV10から受信した許可依頼信号40が、同時刻に受信した制御信号30に基づく信号であるか否かを判断することができ、EV10が外部制御装置20から送信された制御信号30に従っているか否かを判断することができる。従って、認証装置50は、当該判断結果に基づいて、EV10に対する充放電の可否を判断することができる。さらに、許可依頼信号40は、制御信号30に基づいて経時的に変化するので、許可依頼信号40の偽造を防止することができる。
【0091】
(第3実施形態)
[充放電制御システムの構成]
図7を参照して、第3実施形態に係る充放電制御システムの構成について説明する。第2実施形態との相違点は、認証装置50が電流計測部55をさらに備える点、演算部12及び演算部52の一部処理である。よって当該相違点についてのみ説明し、その他共通する構成については説明を省略する。
【0092】
電流計測部55は、受給電ポート54に接続され、EV10への給電電流値、及び、EV10からの受電電流値を計測することにより、EV10の充放電電流値を計測する。
【0093】
演算部12は、EV10の充放電電流値がしきい電流値以上であるか否かを判断し、EV10の充放電電流値がしきい電流値以上であると判断した場合、認証装置50に充放電の許可を要求する許可依頼信号40を出力する。しきい電流値は、例えば、受給電装置70及びEV10が供給可能な最大電力を発生させた際に流れる電流値の70%である。
【0094】
演算部52は、電流計測部55が計測したEV10の充放電電流値を取得し、EV10の充放電電流値がしきい電流値以上である場合、許可依頼信号40を受信しているか否かを判断する。演算部52は、許可依頼信号40を受信していると判断した場合、EV10に対して、充放電を行う為の電力線を継続して接続する。演算部52に設定されるしきい電流値は、演算部12に設定されるしきい電流値と同値である。
【0095】
[充放電制御方法]
次に、
図8A、
図8Bを参照して、
図7の充放電制御システムの処理について説明する。第2実施形態との相違点は、ステップS101、ステップS140、ステップS141の処理をさらに備える点である。よって、当該相違点についてのみ説明し、その他共通する処理については説明を省略する。
【0096】
ステップS141において、演算部12は、EV10の充放電電流値がしきい電流値以上であるか否かを判断する。演算部12は、EV10の充放電電流値がしきい電流値未満であると判断した場合(ステップS141でNO)、ステップS110に戻り、充放電を継続する。
【0097】
ステップS141において、演算部12は、EV10の充放電電流値がしきい電流値以上であると判断した場合(ステップS141でYES)、ステップS20に戻る。演算部12は、ステップS20以降の処理を再度実行することにより、充放電を継続して実施するための許可依頼信号40を送信することができる。
【0098】
ステップS101において、電流計測部55は、EV10への給電電流値、及び、EV10からの受電電流値を計測することにより、EV10の充放電電流値を計測する。
【0099】
ステップS140に進み、演算部52は、電流計測部55が計測したEV10の充放電電流値を取得し、EV10の充放電電流値がしきい電流値以上であるか否かを判断する。演算部52は、EV10の充放電電流値がしきい電流値未満であると判断した場合(ステップS140でNO)、ステップS90に戻る。
【0100】
ステップS140において、演算部52は、EV10の充放電電流値がしきい電流値以上であると判断した場合(ステップS140でYES)、処理を終了し、ステップS21にからの処理を再度実行する。これにより、認証装置50は、許可依頼信号40を受信した場合、EV10への給電、及び、EV10からの受電を継続して行うことができる。
【0101】
以上説明したように、第3実施形態によれば第2実施形態の作用効果に加え、以下の作用効果が得られる。
【0102】
EV10は、バッテリ14の充放電電流値がしきい電流値以上となった場合、許可依頼信号40を送信する。認証装置50は、EV10への給電電流値、及び、EV10からの受電電流値を計測することにより、EV10の充放電電流を計測する電流計測部55をさらに備え、EV10の充放電電流がしきい電流値以上となった場合、許可依頼信号40を受信しているか否かを判断する。認証装置50は、許可依頼信号40を受信していると判断した場合、EV10に対して、充放電を行う為の電力線を継続して接続する。
【0103】
しきい電流値以上で充放電を行っているEV10は、制御信号30により、充放電電力を制限されている可能性が高い。そのため、認証装置50は、EV10がしきい電流値以上で充放電を行っている場合、EV10から許可依頼信号40を受信しているか否かを判断することにより、EV10が制御信号30に従って充放電をしているか否かを判断することができる。また、しきい電流値未満で充放電を行っているEV10は、制御信号30によって充放電電力を制限されている可能性が低い。そのため、しきい電流値未満で充放電をしているEV10に対しては、許可依頼信号40の受信の有無を判断しない。これにより、EV10の通信コスト、及び、認証装置50の処理負荷を低減することができる。
【0104】
(第3実施形態の変形例)
[充放電制御システムの構成]
第3実施形態の変形例に係る充放電システムの構成について説明する。第3実施形態との相違点は、外部制御装置20が送信する制御信号30、演算部52の一部処理である。よって当該相違点についてのみ説明し、その他共通する処理については説明を省略する。
【0105】
外部制御装置20は、EV10の充放電を停止する、又はEV10の充放電電力を低下させる制御信号30を第2のしきい時間が経過する毎に送信する。
【0106】
演算部52は、EV10が制御信号30と同期して充放電を停止、又は、制御信号と同期して充放電電力を低下させていると判断した場合、EV10に対して、充放電を行う為の電力線を継続して接続する。具体的には、EV10の充放電電流を計測し、充放電電流の変化からEV10が制御信号30と同期して充放電を停止、又は、制御信号30と同期して充放電電力を低下させているか否かを判断する。
【0107】
図9を参照して、外部制御装置20が送信する制御信号30の一例について説明する。
図9は、外部制御装置20から送信された制御信号30を時系列に示した図である。外部制御装置20は、現在の時刻における充放電を行う複数のEV10が利用可能な総電力を送信するが、第2のしきい時間T7が経過する毎に、EV10の充放電を停止する制御信号30を、第3のしきい時間T8送信する。第2のしきい時間は、例えば1時間である。第3のしきい時間は、例えば1分である。
【0108】
[充放電制御方法]
次に、
図10A、
図10Bを参照して、第3実施形態の変形例に係る充放電制御システムの処理について説明する。第3実施形態との相違点は、ステップS141の処理が無い点、ステップS101の処理がステップS110でNOの場合に行われる点、ステップS140の処理に代えて、ステップS150、ステップS151の処理が行われる点である。よって、当該相違点についてのみ説明し、その他共通する処理については説明を省略する。
【0109】
ステップS150において、演算部52は、EV10が制御信号30と同期して充放電を停止、又は、制御信号30と同期して充放電電力を低下させているか否かを判断する。演算部52は、EV10が制御信号30と同期して充放電を停止、又は、制御信号30と同期して充放電電力を低下させていないと判断した場合(ステップS150でNO)、ステップS60に進む。
【0110】
ステップS150において、演算部52は、EV10が制御信号30と同期して充放電を停止、又は、制御信号30と同期して充放電電力を低下させていると判断した場合(ステップS150でYES)、ステップS151に進む。
【0111】
ステップS151において、演算部52は、受信部51が受信した制御信号30を取得し、ステップS90に戻る。
【0112】
以上説明したように、第3実施形態の変形例によれば第3実施形態の作用効果に加え、以下の作用効果が得られる。
【0113】
外部制御装置20は、EV10の充放電を停止する、又は、EV10の充放電電力を低下させる制御信号30を第2のしきい時間が経過する毎に送信する。認証装置50は、EV10が、制御信号30と同期して充放電を停止、又は、制御信号30と同期して充放電電力を低下させているか否かを判断する。これにより、EV10が制御信号30に従って充放電を行っているか否かを判断することができる。さらに、認証装置50は、許可依頼信号40との2重判定を行うことにより、EV10の充放電の可否をより高い確度で判定することができる。
【0114】
上記のように、本発明の実施形態を記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
【符号の説明】
【0115】
10 充放電要素(EV)
20 外部制御装置
30 制御信号
40 許可依頼信号
50 認証装置
70 受給電装置