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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-26
(45)【発行日】2024-10-04
(54)【発明の名称】発光アレイ
(51)【国際特許分類】
   H01L 33/08 20100101AFI20240927BHJP
   H01L 33/32 20100101ALI20240927BHJP
【FI】
H01L33/08
H01L33/32
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2022580877
(86)(22)【出願日】2021-06-23
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-24
(86)【国際出願番号】 EP2021067222
(87)【国際公開番号】W WO2022002727
(87)【国際公開日】2022-01-06
【審査請求日】2023-02-07
(31)【優先権主張番号】2010064.0
(32)【優先日】2020-07-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】520445406
【氏名又は名称】プレッシー・セミコンダクターズ・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】PLESSEY SEMICONDUCTORS LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アズィーズ,モフシン
(72)【発明者】
【氏名】キム,ジュン-ヨン
(72)【発明者】
【氏名】シャコール,アブドゥル
(72)【発明者】
【氏名】カーズウェル,ジェイムズ
(72)【発明者】
【氏名】サイード,アンワー
(72)【発明者】
【氏名】ストリブリー,ケビン
【審査官】村井 友和
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0163940(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0288093(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 33/00-33/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光素子アレイ前駆体を形成する方法であって、
第1の波長を有する光を放出するように構成された第1の発光層を第1の基板上に形成するステップと、
前記第1の発光層から第1の発光素子のアレイを形成するステップであって、各第1の発光素子は、第1の波長を有する光を放出するように構成されている、形成するステップと、
前記第1の発光層上に第1の接合層を形成するステップと、
前記第1の波長とは異なる第2の波長を有する光を放出するように構成されている第2の発光層を第2の基板上に形成するステップと、
前記第2の発光層上に第2の接合層を形成するステップと、
前記第2の接合層をハンドリング基板に接合するステップと、
前記第2の発光層から前記第2の基板を除去するステップと、
前記第2の発光層の、前記ハンドリング基板とは反対の側において、前記第2の発光層上に第3の接合層を形成するステップと、
前記第1の接合層を前記第3の接合層に接合するステップと、
前記第2の発光層から前記ハンドリング基板を除去するステップと、
前記第2の発光層から第2の発光素子のアレイを形成するステップであって、前記第2の発光素子のアレイは、前記発光素子アレイ前駆体が、前記第1の基板の表面に対して平行な面方向において互いに異なる位置に配置された第1の発光素子及び第2の発光素子のアレイを含むように、前記第1の発光素子のアレイに対して位置合わせされている、形成するステップと
を含む、方法。
【請求項2】
前記第1の発光層は複数の層を含み、各層はIII族窒化物を含み、及び/又は
前記第2の発光層は複数の層を含み、各層はIII族窒化物を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1の発光素子のアレイを形成するステップは、各第1の発光素子に対して第1のメサ構造を形成するステップを含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記第1の発光層を形成するステップは、
前記第1の基板上に第1のn型半導体層を形成するステップと、
前記第1の波長の光を放出するように構成された複数の量子井戸層を含む第1の活性層を前記第1のn型半導体層上に形成するステップと、
前記第1の活性層上に第1のp型半導体層を形成するステップと
を含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記第1の発光層を形成するステップは、
前記第1の基板上に第1のn型半導体層を形成するステップと、
前記第1の波長の光を放出するように構成された複数の量子井戸層を含む第1の活性層を前記第1のn型半導体層上に形成するステップと、
前記第1の活性層上に第1のp型半導体層を形成するステップと
を含み、
形成された前記第1のメサ構造は、前記第1の基板に垂直な方向に延在し、各第1のメサ構造は、前記第1のn型半導体層、前記第1の活性層、及び前記第1のp型半導体層の一部を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記第2の発光層を形成するステップは、
前記第2の基板上に第2のn型半導体層を形成するステップと、
前記第2の波長の光を放出するように構成された複数の量子井戸層を含む第2の活性層を前記第2のn型半導体層上に形成するステップと、
前記第2の活性層上に第2のp型半導体層を形成するステップと
を含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記第2の基板を除去した後で、前記第3の接合層を形成する前に、前記ハンドリング基板に垂直な方向における前記第2のn型半導体層の厚さが2μm以下になるように、前記第2のn型半導体層の一部を選択的に除去するステップをさらに含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記第2の発光層から第2の発光素子のアレイを形成するステップは、各第2の発光素子のための第2のメサ構造を形成するステップであって、前記第2のメサ構造は、前記第1の基板に垂直な方向に延在し、各第2のメサ構造は、前記第2のn型半導体層、前記第2の活性層、及び前記第2のp型半導体層の一部を含む、形成するステップを含む、請求項6又は7に記載の方法。
【請求項9】
前記第1の発光素子の各々及び前記第2の発光素子の各々に対する電気コンタクトを形成するステップをさらに含む、請求項1~8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記第1の発光素子の各々及び前記第2の発光素子の各々に対する電気コンタクトを形成するステップは、前記第1の発光素子及び前記第2の発光素子の各々に対する共通のカソードコンタクトを形成するステップを含む、請求項1~9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記第1の接合層は誘電材料を含み、前記第3の接合層は誘電材料を含み、
前記第1の接合層を前記第3の接合層に接合するステップは、圧力及び熱を加えることによって前記第1の接合層を前記第3の接合層に直接接合するステップを含む、請求項1~10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記第1の波長は、前記第2の波長よりも短く、任意選択的に、
前記第1の波長は、少なくとも440nm且つ490nm以下であり、且つ/又は
前記第2の波長は、少なくとも500nm且つ680nm以下である、請求項1~11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記第2の発光層上に第4の接合層を形成するステップと、
前記第1の波長とは異なり、且つ前記第2の波長とは異なる第3の波長を有する光を放出するように構成されている第3の発光層を第3の基板上に形成するステップと、
前記第3の発光層上に第5の接合層を形成するステップと、
前記第5の接合層をさらなるハンドリング基板に接合するステップと、
前記第3の発光層から前記第3の基板を除去するステップと、
前記第3の発光層の、前記さらなるハンドリング基板とは反対の側で、前記第3の発光層上に第6の接合層を形成するステップと、
前記第4の接合層を第6の接合層に接合するステップと、
前記第3の発光層から前記さらなるハンドリング基板を除去するステップと、
前記第3の発光層から第3の発光素子のアレイを形成するステップであって、前記第3の発光素子のアレイは、前記発光素子アレイ前駆体が、前記第1の基板の表面に対して平行な面方向において互いに異なる位置に配置された第1の発光素子、第2の発光素子及び第3の発光素子のアレイを含むように、前記第1の発光素子のアレイ及び前記第2の発光素子のアレイに対して位置合わせされている、形成するステップと
を含む、請求項1~12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記第3の発光層は複数の層を含み、各層はIII族窒化物を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記第3の発光素子のアレイを形成するステップは、各第3の発光素子に対して第3のメサ構造を形成するステップを含む、請求項13又は14に記載の方法。
【請求項16】
前記第2の発光層上に第4の接合層を形成するステップと、
前記第1の波長とは異なり、且つ前記第2の波長とは異なる第3の波長を有する光を放出するように構成されている第3の発光層を第3の基板上に形成するステップと、
前記第3の発光層上に第5の接合層を形成するステップと、
前記第5の接合層をさらなるハンドリング基板に接合するステップと、
前記第3の発光層から前記第3の基板を除去するステップと、
前記第3の発光層の、前記さらなるハンドリング基板とは反対の側で、前記第3の発光層上に第6の接合層を形成するステップと、
前記第4の接合層を第6の接合層に接合するステップと、
前記第3の発光層から前記さらなるハンドリング基板を除去するステップと、
前記第3の発光層から第3の発光素子のアレイを形成するステップであって、前記第3の発光素子のアレイは、前記発光素子アレイ前駆体が、前記第1の基板の表面に対して平行な面方向において互いに異なる位置に配置された第1の発光素子、第2の発光素子及び第3の発光素子のアレイを含むように、前記第1の発光素子のアレイ及び前記第2の発光素子のアレイに対して位置合わせされている、形成するステップと
を含み、
前記第3の発光層を形成するステップは、
前記第3の基板上に第3のn型半導体層を形成するステップと、
前記第3の波長の光を放出するように構成された複数の量子井戸層を含む第3の活性層を前記第1のn型半導体層上に形成するステップと、
前記第3の活性層上に第3のp型半導体層を形成するステップと
を含む、請求項4または5に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示の分野
本開示は、発光素子のアレイに関する。特に、本開示は、III族窒化物を備える発光素子のアレイに関する。
【背景技術】
【0002】
背景
マイクロLEDアレイは、一般に、100×100μm以下の表面積を有するLEDのアレイとして定義される。マイクロLEDアレイは、スマートウォッチ、ヘッドウェアディスプレイ、ヘッドアップディスプレイ、カムコーダ、ビューファインダ、マルチサイト励起源、及びピコプロジェクタなどの様々なデバイスにおける使用に適し得る自己発光マイクロディスプレイ/プロジェクタである。
【0003】
1つの既知の形態のマイクロLEDアレイは、III族窒化物から形成された複数のLEDを備える。III族窒化物LEDは、活性発光領域内にGaN並びにInN及びAlNとのその合金を含む無機半導体LEDである。III族窒化物LEDは、従来の大面積LED、例えば発光層が有機化合物である有機発光ダイオード(OLED)よりも著しく高い電流密度で駆動することができ、より高い光パワー密度を放出することができる。結果として、所与の方向における光源の単位面積当たりに放出される光の量として定義されるより高いルミナンス(輝度)が、マイクロLEDを、高い輝度を必要とする、又はそれから恩恵を受ける用途に適したものにする。例えば、高輝度から恩恵を受ける用途は、高輝度環境のディスプレイ又はプロジェクタを含み得る。さらに、III族窒化物マイクロLEDは、他の従来の大面積LEDと比較して、ルーメン毎ワット(lm/W)で表される比較的高い発光効率を有することが知られている。III族窒化物マイクロLEDアレイの比較的高い発光効率は、他の光源と比較して電力使用を低減し、マイクロLEDを携帯用デバイスに特に適したものにする。
【0004】
単色(青色)GaNモノリシックマイクロLEDアレイを製造するための技法は、当該技術分野で知られている。フルカラーマイクロLEDベースのディスプレイを製造するには、赤色及び緑色のサブピクセルをディスプレイに統合する必要がある。フルカラーディスプレイを形成するための1つの方法は、各々が1つの、又は、例えば赤色、緑色及び青色光を出力するように構成された複数の異なるLEDを含むLEDアレイを提供することである。蛍光体又は量子ドットなどの色変換材料を使用するのではなく、エレクトロルミネッセンスによってフルカラースペクトルが直接生成される場合、そのようなLEDアレイは一般に「ネイティブ」LEDアレイとして知られている。マイクロLEDアレイなどの小ピッチデバイスの場合、赤色、緑色、及び青色LEDのアレイを組み立てるための従来のピックアンドプレース方法は、歩留まり及びスループットの制約のために制限される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、従来技術の方法に関連する問題の少なくとも1つに対処する発光素子アレイ前駆体を形成するための改善された方法、又は少なくともそれに対する商業的に有用な代替物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
概要
本開示の第1の態様によれば、発光素子アレイ前駆体を形成する方法が提供される。本方法は、
第1の波長を有する光を放出するように構成された第1の発光層を第1の基板上に形成するステップと、
第1の発光層から第1の発光素子のアレイを形成するステップであって、各第1の発光素子は、第1の波長を有する光を放出するように構成されている、形成するステップと、
第1の発光層上に第1の接合層を形成するステップと、
第1の波長とは異なる第2の波長を有する光を放出するように構成されている第2の発光層を第2の基板上に形成するステップと、
第2の発光層上に第2の接合層を形成するステップと、
第2の接合層をハンドリング基板に接合するステップと、
第2の発光層から第2の基板を除去するステップと、
第2の発光層の、ハンドリング層とは反対の側において、第2の発光層上に第3の接合層を形成するステップと、
第1の接合層を第3の接合層に接合するステップと、
第2の発光層からハンドリング基板を除去するステップと、
第2の発光層から第2の発光素子のアレイを形成するステップであって、第2の発光素子のアレイは、発光素子アレイ前駆体が、第1の発光層及び第2の発光層の各々に平行な平面内で互いに離間している第1の発光素子及び第2の発光素子のアレイを含むように、第1の発光素子のアレイに対して位置合わせされている、形成するステップと
を含む。
【0007】
第1の態様の方法によれば、第1の発光層及び第2の発光層は、別々のそれぞれの第1の基板及び第2の基板上に形成されてもよい。第1の発光層及び第2の発光層を異なる基板上に形成することによって、それぞれの形成プロセスは、第1の発光層及び第2の発光層が異なる(第1の及び第2の)波長の光を放出することを可能にするように適合され得る。例えば、いくつかの実施形態では、第1の波長は、一般に青色の可視光であってもよく、第2の波長は、一般に赤色又は緑色の可視光であってもよい。
【0008】
一連の基板接合プロセスにより、第1の発光層上に第2の発光層を接合することができる。第2の発光素子のアレイがまだ第2の発光層上にパターニングされていないとき、第2の発光層を第1の発光層と接合するプロセスは、接合するステップが2つの発光層の精密な機械的位置合わせを必要としないため、比較的簡単である。2つの発光層がともに接合されると、第2の発光素子のアレイを、第2の発光層から形成することができる。発光層が接合された後に第2の発光素子にパターニングを実行することにより、第1の態様の方法は、それぞれの層の機械的位置合わせによって可能であるよりも改善された位置合わせ公差を達成することができる。
【0009】
発光層が形成された後に基板接合ステップを行うことにより、第1の態様による方法は、第1の発光層が第2の発光層を形成するための初期処理条件に曝されることを回避する。例えば、第1の発光層は、第2の発光層を形成(すなわち、堆積)するプロセスの一部として提供される基板加熱に曝されなくてもよい。これは、基板加熱が第2の基板上で行われるためである。
【0010】
したがって、第1の態様による方法は、第1の発光層に、発光素子アレイ前駆体の他の発光層を形成するための任意のさらなるプロセスを施すことを回避する。例えば、発光アレイ前駆体のマスク領域内のp型GaN表面は、後続の発光素子層のその後の高温堆積中に分解し、それによって先行するステップで堆積された接合部に対するアノードコンタクトを損なう可能性があることが観察されている。
【0011】
第1の態様による方法は、「ネイティブ」の第1の発光素子及び第2の発光素子のアレイを有する発光素子アレイ前駆体を提供する。光の第1の発光素子及び第2の発光素子は、互いに離間して、第1の発光素子及び第2の発光素子の各々が互いに離間している画像平面(すなわち、第1の発光層及び第2の発光層の各々に平行な平面)を提供する。無論、第1の発光素子はまた、発光素子アレイ前駆体を形成する方法の一部としての第1の発光層及び第2の発光層の接合により、画像平面に垂直な方向においても第2の発光素子から離間していることが理解されよう。画像平面内で離間した(すなわち、アレイとして配置構成された)第1の発光素子及び第2の発光素子を有するそのような発光素子アレイ前駆体は、発光素子ディスプレイ又は発光素子プロジェクタの形成に適し得る。
【0012】
発光素子アレイ前駆体における「前駆体」という用語では、記載されている発光素子アレイ前駆体が必ずしも、光の放出を可能にするようなLEDの電気コンタクトも、関連する回路も含むとは限らないことに留意されたい。無論、第1の態様に従って形成された発光素子アレイ前駆体(及びまた第2の態様の発光素子アレイ前駆体)は、さらなる電気コンタクト及び関連する回路の追加を排除しない。したがって、本開示における前駆体という用語の使用は、最終製品(すなわち、発光アレイ)を含むことを意図している。
【0013】
本開示の発光素子アレイ前駆体におけるアレイという用語は、構造にわたって意図的に離間された複数の発光素子を指すことを意図している。典型的には、上記発光素子は、発光素子の六方最密充填アレイ又は正方充填アレイなどの規則的なアレイを形成する。
【0014】
いくつかの実施形態では、第1の発光層は複数の層を含み、各層はIII族窒化物を含む。いくつかの実施形態では、第2の発光層は複数の層を含み、各層はIII族窒化物を含む。したがって、第1の発光層及び/又は第2の発光層は、ヘテロ構造接合を含むことができる。それぞれの第1の基板及び/又は第2の基板上にそのようなヘテロ構造接合を形成することによって、上記第1の基板及び/又は第2の基板の面内格子定数は、歪みの結果としてヘテロ構造に形成される欠陥を低減するために、それぞれのヘテロ構造の面内格子定数に合わせて調整することができる。したがって、それぞれの第1の発光層及び/又は第2の発光層から形成される素子の全体的な効率を改善することができる。
【0015】
いくつかの実施形態では、第1の発光層を形成するステップは、第1の基板上に第1のn型半導体層を形成するステップと、第1のn型半導体層上に第1の活性層を形成するステップと、第1の活性層上に第1のp型半導体層を形成するステップとを含む。第1の活性層は、複数の量子井戸層を含むことができる。各量子井戸層は、第1の波長の光を放出するように構成することができる。したがって、第1の発光層は、発光半導体接合部を生成するように構成された複数の層を含むことができる。半導体接合部は、第1の波長に対応するピーク波長を有する光を生成するように構成されてもよい。
【0016】
いくつかの実施形態では、第1の発光素子のアレイを形成するステップは、各第1の発光素子に対して第1のメサ構造を形成することを含む。第1のメサ構造は、第1の基板に垂直な方向に延在してもよい。各第1のメサ構造は、第1のn型層、第1の活性層、及び第1のp型半導体層の一部を含んでもよい。このように、発光半導体接合部は、各第1の発光素子の第1のメサ構造内に形成されてもよい。各発光素子に対して第1のメサ構造を形成することは、メサ構造内に電荷担体を閉じ込めるのに役立つことができ、それによって発光素子の内部量子効率を改善する。
【0017】
いくつかの実施形態では、第2の発光層を形成するステップは、第2の基板上に第2のn型半導体層を形成するステップと、第2のn型半導体層上に第2の活性層を形成するステップと、第2の活性層上に第2のp型半導体層を形成するステップとを含む。第2の活性層は、第2の波長の光を放出するように構成された複数の量子井戸層を含むことができる。したがって、第2の発光層は、第2の波長に対応するピーク波長を有する光を生成するように構成された半導体接合部を含むことができる。
【0018】
いくつかの実施形態では、第2の基板を除去した後で、第3の接合層を形成する前に、方法は、第1の基板に垂直な方向における第2のn型半導体層の厚さが2μm以下になるように、第2のn型半導体層の一部を選択的に除去するステップをさらに含んでもよい。したがって、第2のn型半導体層は、第1の接合層に接合する前に、2μmを超える堆積されたままの厚さから2μm以下の厚さまで薄くすることができる。いくつかの実施形態では、第2のn型半導体層上に形成される第2の活性層及び第2のp型半導体層の特性を改善するために、2μmを超える堆積されたままの厚さを有する第2のn型半導体層を形成することが望ましい場合がある。第2のn型半導体層の厚さは、その後、第1の接合層に接合するためのより適切な厚さまで薄くすることができる。
【0019】
いくつかの実施形態では、第2の接合層をハンドリング基板に接合するステップ、及び第1の接合層を第3の接合層に接合するステップは、タップ接合、酸化物接合、又は接着剤(ポリマー)接合を使用して実行されてもよい。
【0020】
第1の接合層は、第1の発光層のための第1の接合面を提供するために、第1の発光層の上に設けられてもよい。第1の接合面は、別の基板(すなわち、第3の接合層)に接合するのに適した実質的に平坦な表面を提供することができる。したがって、第1の接合層は、第1の発光層に対して(すなわち、第1の発光層を平坦化するために)形成されている場合がある任意の電気コンタクトを覆うように設けられてもよい。
【0021】
いくつかの実施形態では、第2の発光層から第2の発光素子のアレイを形成するステップは、各第2の発光素子に対して第2のメサ構造を形成することを含む。第2のメサ構造は、各々、第1の基板に垂直な方向に延在してもよい。各第2のメサ構造は、第2のn型半導体層、第2の活性層、及び第2のp型半導体層の一部を含んでもよい。
【0022】
いくつかの実施形態では、方法は、第1の発光素子の各々及び第2の発光素子の各々への電気コンタクトを形成するステップをさらに含む。
【0023】
いくつかの実施形態では、方法は、第1の発光素子及び第2の発光素子の各々に対する共通のカソードコンタクトを形成することを含め、第1の発光素子の各々及び第2の発光素子の各々に対する電気コンタクトを形成するステップをさらに含む。このように、第1の発光素子及び第2の発光素子の各々に共通のカソードを効率的に提供することができる。
【0024】
いくつかの実施形態では、第1の接合層は誘電材料を含み、第2の接合層は誘電材料を含む。いくつかの実施形態では、第1の接合層を第2の接合層に接合することは、圧力及び熱を加えることによって第1の接合層を第2の接合層に直接(又はタップ)接合することを含む。したがって、第1の接合層は、第1の及び第2の基板の精密な機械的位置合わせを必要としない接合技法を使用して第2の接合層に接合することができる。
【0025】
いくつかの実施形態では、第1の波長は少なくとも440nm、且つ490nm以下である。いくつかの実施形態では、第2の波長は少なくとも500nm、且つ680nm以下である。したがって、第1の波長は、実質的に青色の可視光であってもよい。いくつかの実施形態では、第2の波長は、実質的に緑色又は赤色の可視光であってもよい。無論、他の実施形態では、第1の波長及び第2の波長は光の異なる波長であってもよく、例えば、第1の波長は赤色、緑色又は青色光であってもよく、第2の波長もまた赤色、緑色又は青色光であってもよい。いくつかの実施形態では、第1の波長及び/又は第2の波長は、可視ではない他の波長の光、例えば紫外線又は赤外線であってもよい。
【0026】
いくつかの実施形態では、第1の発光層は、第2の発光層に接合されてもよい。他の実施形態では、3つ以上の発光層がともに接合されてもよい。
【0027】
例えば、いくつかの実施形態では、3つの発光層がともに接合されてもよい。第1の態様によるそのような方法は、
第2の発光層上に第4の接合層を形成するステップと、
第1の波長と異なり、第2の波長と異なる第3の波長を有する光を放出するように構成されている第3の発光層を第3の基板上に形成するステップと、
第3の発光層上に第5の接合層を形成するステップと、
第5の接合層をさらなるハンドリング基板に接合するステップと、
第3の発光層から第3の基板を除去するステップと、
第3の発光層の、さらなるハンドリング層とは反対の側において、第3の発光層上に第6の接合層を形成するステップと、
第4の接合層を第6の接合層に接合するステップと、
第3の発光層からさらなるハンドリング基板を除去するステップと、
第3の発光層から第3の発光素子のアレイを形成するステップであって、第3の発光素子のアレイは、発光素子アレイ前駆体が、互いに離間している第1の発光素子、第2の発光素子、及び第3の発光素子のアレイを含むように、第1の発光素子のアレイ及びアレイ第2の発光素子に対して位置合わせされている、形成するステップと
を含む。
【0028】
いくつかの実施形態では、第3の発光層は複数の層を含み、各層はIII族窒化物を含む。いくつかの実施形態では、第3の発光素子のアレイを形成するステップは、各第3の発光素子に対して第3のメサ構造を形成することを含む。いくつかの実施形態では、第3の発光層を形成するステップは、第3の基板上に第3のn型半導体層を形成するステップと、第3の波長の光を放出するように構成された複数の量子井戸層を含む第3の活性層を第1のn型半導体層上に形成するステップと、第3の活性層上に第3のp型半導体層を形成するステップとを含む。
【0029】
いくつかの実施形態では、発光素子アレイ前駆体は、各々がマイクロ発光素子である第1の発光素子、第2の発光素子(及び任意選択的に第3の発光素子)を提供することができる。
【0030】
したがって、第1の基板/第1の接合層に平行な平面内の各第1のマイクロ発光素子、第2のマイクロ発光素子、又は第3のマイクロ発光素子の表面積(又はフットプリント)は、100μm×100μm以下であってもよい。たとえば、いくつかの実施形態において、第1の基板に平行な平面内の各第1のメサ構造、第2のメサ構造又は第3のメサ構造の表面積(又はフットプリント)は、100μm×100μm以下であってもよい。いくつかの実施形態では、各第1のメサ構造、第2のメサ構造又は第3のメサ構造の表面積は、50μm×50μm、30μm×30μm、20μm×20μm、10μm×10μm、4μm×4μm、又は2μm×2μm以下であってもよい。
【0031】
いくつかの実施形態では、第1の(マイクロ)発光素子、第2の(マイクロ)発光素子(及び任意選択的に第3の(マイクロ)発光素子)は、隣接する発光素子間のピッチ(各第1のマイクロ発光素子、第2のマイクロ発光素子又は第3のマイクロ発光素子の中心間で測定される)が100μm、50μm、30μm、20μm、10μm、4μm、又は2μm以下である画像平面を提供するように、それぞれの発光層内に配置構成されてもよい。
【0032】
本開示の第2の態様によれば、発光素子アレイ前駆体が提供される。発光アレイ前駆体は、第1の発光層と、第1の接合層と、第2の接合層と、第2の発光層とを備える。第1の発光層は、第1の発光素子のアレイを含む。各第1の発光素子は、第1の波長を有する光を放出するように構成される。第1の接合層は、第1の発光層上に設けられる。第2の接合層は、第1の接合層に接合される。第2の発光層は、第2の接合層上に設けられる。第2の発光層は、第2の発光素子のアレイを含む。各第2の発光素子は、第1の波長とは異なる第2の波長を有する光を放出するように構成される。第2の発光素子のアレイは、発光素子アレイ前駆体が、第1の発光層及び第2の発光層の各々に平行な平面内で互いに横方向に離間している第1の発光素子及び第2の発光素子のアレイを含むように、第1の発光素子のアレイに対して位置合わせされている。
【0033】
したがって、本開示の第2の態様による発光アレイ前駆体は、本開示の第1の態様による方法によって形成されてもよい。
【0034】
第1の態様及び第2の態様によれば、第1の発光層及び/又は第2の発光層及び/又は第3の発光層は、複数のIII族窒化物を含んでもよい。いくつかの実施形態では、III族窒化物は、AlInGaN、AlGaN、InGaN及びGaNのうちの1つ以上を含んでもよい。本明細書において使用される場合、その構成成分による種への任意の参照は、そのすべての利用可能な化学量論を含む。したがって、例えば、AlGaNは、AlGa1-xN、0<X1<1、などの、そのすべての合金を含む。好ましい化学量論は、特定の層の機能に応じて変化することになる。
【0035】
図面の簡単な説明
ここで、本発明を、以下の非限定的な図面に関連して説明する。本開示のさらなる利点は、図面と併せて考慮すると、詳細な説明を参照することによって明らかであり、図面は、詳細をより明瞭に示すように、原寸に比例しない。同様の参照符号は、いくつかの図を通して同様の要素を示す。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1】第1の基板内に形成された第1の発光層の断面図である。
図2】第1の接合層がその上に形成された第1の発光層の断面図である。
図3】第2の基板上に形成された第2の発光層の断面図である。
図4】第2の基板が除去されている、第2の発光層の断面図である。
図5】第1の接合層及び第2の接合層を介して第1の発光層に接合された第2の発光層の断面図である。
図6】第2の発光層における第2のメサ構造の形成の断面図である。
図7】第2の発光層及び第1のアノードコンタクトに対する第2のアノードコンタクトの形成の断面図である。
図8】各発光素子への金属コンタクトの形成及び発光素子アレイ前駆体のバックプレーン電子回路基板への接合の断面図である。
図9】発光素子アレイ前駆体の各発光素子の光抽出特徴部を形成するための発光アレイ前駆体の発光面のさらなる処理の断面図である。
図10】本開示の別の実施形態による第1の発光層の断面図である。
図11】本開示の別の実施形態による、第2の発光層に接合された第1の発光層の断面図である。
図12】本開示の別の実施形態による、第1の発光層と第2の発光層との間の電気コンタクトの形成の断面図である。
図13】第3の発光層に接合された図12の構造の断面図である。
図14】第1の発光層、第2の発光層及び第3の発光層の各々に対する電気コンタクトを形成するようにさらに処理された、図13の構造の断面図である。
図15】本開示の別の実施形態による発光素子の各々の光抽出特徴部の形成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
詳細な説明
これより、本発明をさらに説明する。以下の節では、本発明の異なる態様がより詳細に定義される。そのように定義された各態様は、そうでないことが明確に示されていない限り、任意の他の1つ以上の態様と組み合わせることができる。特に、好ましい又は有利である又は任意選択的であると示されている任意の特徴部は、好ましい又は有利又は任意選択的であると示されている任意の他の1つ以上の特徴部と組み合わせることができる。
【0038】
本開示の実施形態は、複数の異なる発光波長を有する発光素子アレイの形成を単純化し、そのコストを低減する目的で、様々な構造構成を有する発光素子アレイ前駆体及び発光素子アレイ前駆体を形成する方法を説明する。本開示の実施形態は、マイクロ発光素子アレイ前駆体及び/又はマイクロ発光素子アレイに関し得る。マイクロ発光素子アレイは、一般に、100×100μm以下のサイズを有する発光素子(発光ダイオードなど)のアレイとして定義される。本開示の一実施形態によれば、発光素子アレイ前駆体100を形成する方法が提供される。
【0039】
発光素子アレイ前駆体を形成する方法の一部として、第1の発光層20が第1の基板10上に形成される。このような中間構造の例を図1に示す。
【0040】
図1に示すように、基板10の基板表面11上には、第1の発光層20が設けられている。基板10は、その上にIII族窒化物を製造するための任意の適切な基板であってもよい。例えば、基板10は、シリコン、サファイア、若しくはSiC、又は薄膜電子部品の製造に適した任意の他の基板を含んでもよい。
【0041】
図1に示すように、第1の発光層20は、複数の層を含んでいてもよい。図1の実施形態では、第1の発光層20の各層はIII族窒化物を含んでもよい。例えば、図1の実施形態では、第1の発光層20は、n型半導体層22、活性層24、及びp型半導体層26を含む。第1の発光層20の複数の層22,24,26は、第1の発光層20を形成するように互いに積層されて形成されている。このように、第1の発光層20の複数の層は各々、実質的に連続した層として基板表面にわたって延在する。このように、第1の発光層20は、基板表面11上に実質的に連続した層として形成されてもよい。
【0042】
第1の発光層20は、第1の発光層20が第1の波長を有する光を出力するように構成されている半導体接合部を形成するように、複数のIII族窒化物層を含む。以下でさらに説明するように、第1の発光層20は、第1の発光素子のアレイを含むように、さらなる処理ステップを受けてもよく、各第1の発光素子は、第1の波長を有する光を放出するように構成される。第1の発光層20の各発光素子は、p型側及びn型側を有するダイオードなどの半導体接合部を含んでもよい。図1の実施形態では、第1の発光層20は、第1のn型半導体層22と第1のp型半導体層26との間に配置された第1の活性層24を含む。無論、他の実施形態では、第1の発光層20は、当該技術分野で知られているように、第1の電子ブロック層又は他の歪み界面層などの追加の層を含んでもよい。
【0043】
図1に示すように、第1のn型半導体層22は、基板表面11にわたって実質的に連続した層として形成されてもよい。例えば、図1の実施形態では、第1のn型半導体層22はGaNを含んでもよい。図1などのいくつかの実施形態では、第1のn型半導体層22は、Si又はGeなどの任意の適切なn型ドーパント(すなわち、電子供与体)を含んでもよい。図1の実施形態では、第1のn型半導体層22は、少なくとも1017cm-3、いくつかの実施形態では1019cm-3以下のドナー密度でドープされている。
【0044】
第1のn型半導体層22は、III族窒化物薄膜を製造するための任意の適切なプロセス、例えば、有機金属化学気相成長(MOCVD)又は分子線エピタキシ(MBE)を使用して堆積されてもよい。
【0045】
第1のn型半導体層22は、第1の基板表面11に垂直な方向の厚さが少なくとも3μmになるように形成されてもよい。そのような厚さは、その後のカソードコンタクトの形成に対応するために改善された材料厚さを提供する。さらに、そのような厚さは、(以下でより詳細に説明する第1の基板10の除去後に光抽出特徴部70の形成を可能にする。いくつかの実施形態では、第1のn型半導体層22は、10μm以下、より好ましくは5μm以下の厚さを有してもよい。
【0046】
図1に示すように、第1の活性層24は、第1のn型半導体層22上に実質的に連続した層として形成される。第1の活性層24は、第1の発光層20の一部分として第1の波長の光を生成するように構成されている。
【0047】
図1の実施形態では、第1の活性層24は、1つ以上の量子井戸層を備えることができる。したがって、第1の活性層24は多重量子井戸層であってもよい。第1の活性層24内の量子井戸層は、III族窒化物半導体、好ましくはInを含むIII族窒化物合金を含むことができる。例えば、図1の実施形態では、第1の活性層24は、GaNとInGA1-YNとが交互になった層を備えることができ、0<Y≦1である。特に、いくつかの実施形態では、第1の活性層24は、インジウム含有量Yが0<Y≦0.2であるInGaN層を含んでもよい。このように、第1の発光層20の第1の活性層24は、少なくとも280nm、且つ490nm以下の波長を有する光(すなわち、一般に青色の可視光)を生成するように構成されてもよい。本開示では、発光素子によって放出される光の特定の波長への言及は、発光素子によって放出されるピーク波長への言及と解釈される。量子井戸層の厚さ及びインジウム含有量(Y)は、第1の活性層24によって生成される光の波長を制御するために制御され得る。第1の活性層24は、第1のn型半導体層22の表面の相当部分(例えば、すべて)を覆う連続層として形成されてもよい。
【0048】
第1の活性層24は、III族窒化物薄膜を製造するための任意の適切なプロセス、例えば、有機金属化学気相成長(MOCVD)又は分子線エピタキシ(MBE)を使用して堆積されてもよい。
【0049】
図1に示すように、第1の活性層24の上には、第1のp型半導体層26が設けられている。第1のp型半導体層26は、第1のn型半導体層22が設けられた第1の活性層22の側面とは反対側で、第1の活性層24の側面上に設けられている。第1のp型半導体層26は、たとえばGaNなどの、III族窒化物を備える。第1のp型半導体層26は、適切な電子受容体、例えばMgでドープされる。第1のp型半導体層26は、少なくとも1019cm-3のアクセプタ密度を有してもよい。いくつかの実施形態において、第1のp型半導体層26は、1021cm-3以下のアクセプタ密度を有してもよい。第1のp型半導体層26は、第1の活性層24の露出表面の相当部分(例えば、すべて)を覆う連続層として形成されてもよい。いくつかの実施形態では、第1の発光層20の各層は、III族窒化物薄膜を製造するための任意の適切なプロセス、例えばMOCVD又はMBEを使用して形成されてもよい。
【0050】
次に、図2に示すように、第1の発光層20内に第1の発光素子のアレイを形成することができる。図2に示すように、第1の発光素子のアレイを形成することは、第1の発光層20内で各発光素子に対して第1のメサ構造28を形成することを含む。図2に示すように、第1のメサ構造28は各々、第1の基板10に垂直な方向に延在する。各第1のメサ構造28は、第1のn型半導体層22の一部と、第1の活性層24の一部と、第1のp型半導体層26の一部とを含む。図2に示すように、各第2のメサ構造28は、第1の基板表面11に垂直な面において略台形状の断面を有する。したがって、各メサ構造28は、第1の基板10の表面と位置合わせされたほぼ平坦な第1のメサ表面27を含む。各第1のメサ構造28はまた、第1のメサ表面27を取り囲む第1の側壁表面29をも含む。各メサ構造の第1の側壁表面29は、第1の基板表面11を概して横断する方向に延在する。図1の実施形態では、第1の側壁表面29は、傾斜した第1の側壁表面29が台形断面を画定するように、第1の基板表面11の法線に対して傾斜している。
【0051】
図2に示すように、第1のメサ構造28は、発光素子の規則的に離間したアレイを形成するために、第1の発光層20にわたって離間している。第1のメサ構造28は、選択的除去プロセスを用いて第1の発光層20の一部を選択的に除去することにより形成される。
【0052】
例えば、図2において、選択的除去ステップは、エッチングステップによって行われる。エッチングプロセスにおいて、第1のマスク層(図示せず)を、p型半導体層26の露出表面上に堆積することができる。第1のマスク層は、第1のメサ構造28を形成することが意図されている第1の発光層20の一部をマスクするように構成されている。このように、第1のマスク層は、第1のメサ構造28を形成するために選択的に除去されることが意図される1つ以上の領域を画定してもよい。次いで、第1のマスク層によって露出された第1の発光層20の部分を、エッチャントを使用して選択的に除去することができる。図2に示すように、エッチャントは、第1のp型半導体層26、第1の活性層24、及び第1のn型半導体層22の一部をエッチング除去して、第1のメサ構造28を画定することができる。第1のマスク層は、当該技術分野における任意の既知の方法を使用して提供され得る。例えば、リソグラフィ法を用いて第1のマスク層を形成し、パターニングしてもよい。
【0053】
上述したように、各第1のメサ構造28は、第1の発光層20を、第1の基板表面11に垂直な厚さ方向にエッチングすることにより形成されてもよい。したがって、形成された各第1のメサ構造28は、少なくとも0.3μm、又はいくつかの実施形態では、少なくとも0.5μm、0.7μm、若しくは1μmの厚さ方向の厚さを有してもよい。
【0054】
上述したように、各第1のメサ構造28は、第1の発光層20が第1のマイクロ発光素子のアレイを含むように形成されてもよい。したがって、第1の基板に平行な平面内の各第1のマイクロ発光素子の表面積(又はフットプリント)は、100μm×100μm以下であってもよい。いくつかの実施形態では、各第1のマイクロ発光素子のピッチ(各第1のマイクロ発光素子の中心間で測定される)は、100μm、50μm、30μm、20μm、10μm、4μm、又は2μm以下であってもよい。以下でさらに詳細に説明する第2のメサ構造128及び第3のメサ構造228も、マイクロ発光素子のアレイを提供するために同様の寸法で形成されてもよいことが理解されるであろう。
【0055】
第1のメサ構造28のアレイの形成に続いて、第1の発光層20内の各発光素子のn型側及びp型側に対する電気コンタクトを形成してもよい。
【0056】
例えば、第1のアノード層が、第1の発光素子のアレイ上に形成されてもよい。第1のアノード層は、第1の発光層20内の発光素子の少なくとも一部のp型側に対する第1のアノードコンタクト30を設けるように構成されている。例えば、図2に示すように、第1のアノード層は、それらの発光素子に対して第1のアノードコンタクト30を選択的に形成するために、1つおきの第1のメサ構造28のメサ表面29上に選択的に設けられる。第1のアノード層30は、第1のアノードコンタクトが形成された第1の発光層の第1の発光素子間のさらなる発光素子の形成を考慮に入れるために、第1の発光層20の1つおきの発光素子上に選択的に設けられる。したがって、第1のアノード層は、第1の発光層20の第1の発光素子の選択に対する複数の第1のアノードコンタクト30を含む。第1のアノードコンタクト層は、1つ以上の金属層、例えば、Ti、Al又はTi及びAl金属スタックを含んでもよい。第1のアノード層は、適切なパテンティング法、例えばリソグラフィを使用して、第1の発光層のメサ表面29上に選択的に形成されてもよい。
【0057】
第1のアノード層の形成に続いて、第1の発光層20及び第1のアノードコンタクト層の上に第1の間隙充填絶縁層40を形成してもよい。第1の間隙充填絶縁層40は、第1の発光層20の上に平坦な表面を設け、以て、第1のメサ構造28に起因して形成される任意の間隙を充填するように構成されている。第1の間隙充填絶縁層40は、SiO又はSiNなどの任意の適切な絶縁体を含んでもよい。間隙充填絶縁層40は、化学気相成長(CVD)などの任意の適切な堆積方法を使用して形成することができる。
【0058】
第1の間隙充填絶縁層40の形成に続いて、第1の発光層20の第1のn型半導体層22に対して第1のカソードコンタクト層を形成することができる。第1のカソードコンタクト層50は、第1の発光層20内の各発光素子のn型側に対する第1のカソードコンタクト50を設けるように構成されている。図2に示すように、第1の発光層20の第1のメサ構造28が設けられた側から第1のカソードコンタクト層が形成され、結果、第1の発光層20の同じ表面上に第1のカソードコンタクト層50及び第1のアノードコンタクト層30が設けられる。
【0059】
図2に示すように、第1のカソードコンタクト層50は、各第1のメサ構造28の間の領域において第1の発光層20の一部を選択的に除去することにより形成される。このように、第1の発光層20の領域(第1のn型半導体層22)が選択的に除去されて、第1の発光層20にわたって第1のメサ構造28間に(好ましくは均等に)離間した第1のn型半導体層22内に第1の開口部が形成される。上記第1の開口部は、リソグラフィ(開口部を画定するため)及びそれに続くエッチングなどの適切な選択的除去プロセスを使用して形成されてもよい。図2に示す構造では、第1の開口部は、間隙充填絶縁層40の露出表面から発光層20のn型側(すなわち、第1のn型半導体層22)まで延在する。第1の開口部の形成に続いて、第1のカソードコンタクト層を形成することができる。
【0060】
図2に示すように、第1のカソードコンタクト層は、各第1のメサ構造28の間で第1のn型半導体層22と電気的に接触するように、第1の開口部内に形成される。第1のカソードコンタクト層50の一部はまた、第1のn型半導体層22を通る開口部の各々を相互接続するために、第1の間隙充填絶縁層40の上に設けられてもよい。したがって、第1のカソードコンタクト層50は、第1の発光層20内の発光素子の各々に共通のカソードを提供し得る。図2に示すように、第1のカソードコンタクト層50は、第1の発光層20内の発光素子の各々を囲むように構成することができる。第1のカソードコンタクト層は、金属コンタクトを形成するための任意の適切な技法、例えば熱蒸着又は物理気相成長を使用して形成することができる。第1のカソードコンタクト層50は、Ti、Al、若しくはNi、又は任意の他の適切な材料を含んでもよい。いくつかの実施形態では、第1のカソードコンタクト層は、複数の層、例えばNi層及びAl層を含んでもよい。いくつかの実施形態では、第1のカソードコンタクト層50は、少なくとも100nmの厚さを有してもよい。
【0061】
いくつかの実施形態では、第1のカソードコンタクト層50は、第1の開口部全体を充填する単一の堆積ステップを使用して形成される。図2に示す構造では、第1のカソードコンタクト層は、第1の開口部全体を充填するのに十分ではない厚さで形成される。カソードコンタクトの導電性を改善し、発光素子前駆体内に何らかの空隙が形成されるのを回避するために、第1の開口部は第1のコンタクト充填層51でさらに充填されてもよい。例えば、図2の構造を形成する方法において、第1のコンタクト充填層51は、熱蒸着、又は任意の他の適切な方法によって堆積されてもよい。第1のコンタクト充填層51は、任意の適切な金属コンタクト材料、例えばTi、Al、Au、又はNiを含んでもよい。例えば、図2の構造では、第1のコンタクト充填層51は、電着を使用して堆積されるCu又はAuを含んでもよい。第1のコンタクト充填層51はまた、第1の発光層20の各第1の発光素子のヒートシンクとしても機能してもよい。第1のコンタクト充填層51はまた、隣接する発光素子間のクロストークを低減するのにも役立ち得る。例えば、第1のコンタクト充填層は、第2の発光層120の第2の発光素子と、隣接する、第1の発光層20の第1の発光素子との間の光クロストークを低減し得る。
【0062】
第1のコンタクト充填層51の形成に続いて、第1のコンタクト充填層及び第1の発光層20の露出表面は、化学機械研磨(CMP)プロセスを受けてもよい。CMPプロセスは、後続の基板接合ステップのために露出表面の平坦化を改善するために提供されてもよい。
【0063】
図2に示す構造は、第1の発光層内に第1の発光素子のアレイを形成するための1つの可能な選択肢に過ぎないことが理解されよう。したがって、本開示は、図2に示す第1の発光層20並びにアノードコンタクト及びカソードコンタクトの層の配置構成に限定されない。
【0064】
第1の発光層20のn型側に対する電気コンタクトの形成に続いて、第1の発光層20並びに第1のアノードコンタクト層及び第1のカソードコンタクト層50の上に第1の接合層60が形成される。第1の接合層は、第1の発光層20、第1のアノードコンタクト層及び第1のカソードコンタクト層を覆う接合面を提供する。第1の接合層60は、第1の発光層20を第2の発光層120に接合するために使用される基板接合技法に適合する表面を形成するために設けられる(より詳細に後述する)。
【0065】
図2の実施形態では、第1の接合層60は、別の接合層への直接接合を形成するのに適した誘電材料を含む。例えば、図2の実施形態では、第1の接合層はSiOを含む。第1の接合層60は、基板表面11に平行な平面内に延在する略平坦化表面を提供するために、アノードコンタクト及びカソードコンタクト並びに第1の発光層20の上に形成される。第1の接合層60は、任意の適切な方法、例えばCVDによって形成されてもよい。いくつかの実施形態では、第1の接合層60は、第1の発光層20を第2の発光層120に接合するための接着剤層又はポリマー層を含んでもよい。
【0066】
図2の構造では、間隙充填絶縁層40及び第1の接合層60の両方がSiOを含んでもよいことが理解されよう。したがって、電気コンタクトの形成が異なるプロセス順序に従い得るいくつかの実施形態では、間隙充填絶縁層40の形成は、別の接合層への接合に適した第1の接合面61を有する第1の接合層を提供し得る。
【0067】
いくつかの実施形態では、第1の接合層60は、表面の平滑性を改善するために、形成後に化学機械研磨プロセスをさらに受けてもよい。化学機械研磨プロセスは、その後の第1の接合層60と第2の接合層との接合を改善することができる。したがって、第1の発光素子のアレイを含む第1の発光層20は、別の発光層に接合するのに適した第1の基板10上に形成されてもよい。
【0068】
第1の基板10上に第1の発光層20を形成することに加えて、第1の実施形態の方法によれば、第2の基板110上に第2の発光層120が形成される。第2の基板110上に形成されたそのような第2の発光層120の一例を図3に示す。
【0069】
第2の発光層120は、第1の波長とは異なる第2の波長を有する光を放出するように構成された(第1の発光層20とは)別個の第2の発光層120を設けるために、第2の基板110上に形成される。第2の発光層は、成長条件及び基板が第2の発光層120の形成を改善するように構成され得るように、第1の基板10とは異なる基板上に形成される。さらに、第2の基板110上に第2の発光層120を形成することは、第2の発光層120を形成するプロセスに対して第1の発光層20を露出させない。
【0070】
第2の発光層120は、第2の基板110の第2の基板表面111上に設けられる。第2の基板110は、その上にIII族窒化物を製造するための任意の適切な基板であってもよい。例えば、第2の基板110は、シリコン、サファイア、若しくはSiC、又は薄膜電子部品の製造に適した任意の他の基板を含んでもよい。特に、第2の基板110は、第2の発光層120の歪みを低減するように構成された面内格子定数を有する基板表面111を提供するように構成された1つ以上の層を含んでもよい。
【0071】
第2の発光層120は、複数の層を含んでいてもよい。第1の実施形態によれば、第2の発光層120の各層はIII族窒化物を含んでもよい。第2の発光層120の複数の層22,24,26は、第2の発光層120を形成するように互いに積層されて形成されている。このように、第2の発光層120の複数の層は各々、実質的に連続した層として第2の基板表面111にわたって延在することができる。このように、第2の発光層120は、第2の基板表面111上に実質的に連続した層として形成されてもよい。
【0072】
第1の実施形態によれば、第2の発光層120は、第2の発光層120が第2の波長を有する光を出力するように構成されている半導体接合部を形成するように、複数のIII族窒化物層を含む。以下でさらに説明するように、第2の発光層120は、第2の発光素子のアレイを含むように、さらなる処理ステップを受けてもよく、各第2の発光素子は、第2の波長を有する光を放出するように構成される。第2の発光層120の各第2の発光素子は、p型側及びn型側を有するダイオードなどの半導体接合部を含んでもよい。
【0073】
図3に示すように、第2の発光層120は、第2のn型半導体層122、第2の活性層124、及び第2のp型半導体層126を含む。
【0074】
第2の活性層124は1つ以上の量子井戸層を含んでもよい。したがって、第2の活性層124は多重量子井戸層であってもよい。第2の活性層124内の量子井戸層は、III族窒化物半導体、好ましくはInを含むIII族窒化物合金を含むことができる。例えば、図3に示す配置構成では、第2の活性層124は、GaNとInGa1-ZNとが交互になった層を備えることができ、0<Z≦1である。特に、いくつかの実施形態では、第2の活性層124はInGa1-ZN層を含んでもよく、0.2<Z≦0.5である。このように、第2の発光層120の第2の活性層124は、少なくとも490nm、且つ670nm以下の波長を有する光を生成するように構成されてもよい。量子井戸層の厚さ及びIn含有量(Z)は、第2の活性層124によって生成される光の波長を制御するために制御され得る。第2の活性層124は、第2のn型半導体層122の露出表面の相当部分(例えば、すべて)を覆う連続層として形成されてもよい。
【0075】
第1の実施形態の方法では、第2の活性層124のインジウム含有量(Z)は、第1の活性層24のインジウム含有量(Y)よりも高くてもよい(すなわち、Z>Yである)ことが理解されるであろう。第2の活性層124は、第2の活性層124のインジウム含有量(Z)に起因する面内格子定数の増加に起因する第2の活性層124の歪みを低減又は排除するように構成されている基板表面111上の面内格子定数を有する適切な第2の基板110上に形成されてもよい。
【0076】
第2の活性層124は、III族窒化物薄膜を製造するための任意の適切なプロセス、例えば、有機金属化学気相成長(MOCVD)又は分子線エピタキシ(MBE)を使用して堆積されてもよい。
【0077】
第2のn型半導体層122は、第2の基板表面111にわたって実質的に連続した層として形成されてもよい。図3に示すように、第2のn型半導体層122上に第2の活性層124が形成される。第1の実施形態によれば、第2のn型半導体層122はGaNを含んでもよい。したがって、第2のn型半導体層122は、第1のn型半導体層22と同様の方法で形成されてもよい。
【0078】
図3に示すように、第2のn型半導体層124は、発光層120に適切な機能を提供するために必要な厚さよりも厚い、基板表面111の法線方向の厚さで、第2の基板表面111上に形成されてもよい。例えば、図3に示すように、第2のn型半導体層122は、少なくとも0.8μmの厚さで形成されてもよい。いくつかの実施形態では、第2のn型半導体層は、少なくとも1μm、1.2μm、1.5μm、2μm、又は3μmの厚さで形成されてもよい。このような厚さは、後続の処理ステップにおける第2の基板110の除去を補助するために提供されてもよい。
【0079】
図3に示すように、第2の活性層124の上には、第2のp型半導体層126が設けられている。したがって、第2のp型半導体層126は、第2のn型半導体層122が設けられた第2の活性層124の側面とは反対側で、第2の活性層124の側面上に設けられている。第1の実施形態によれば、第2のp型半導体層126は、たとえばGaNなどの、III族窒化物を備える。したがって、第2のp型半導体層126は、第1のp型半導体層26と同様の方法で形成されてもよい。
【0080】
第2の発光層120の形成に続いて、第2の発光層120の上に第2の接合層102を形成してもよい。第2の接合層102は、第2の発光層120及び第2の基板110をハンドリング基板104に接合するための第2の接合面103を提供するように構成されている。第2の接合層102は、基板の接合のための任意の適切な材料を含んでもよく、例えば、第1の実施形態によれば、第2の接合層102は、SiOなどの誘電材料を含む。第2の接合層102は、任意の適切なプロセス、例えばCVDを使用して、実質的に連続した層として第2の発光層120の上に形成されてもよい。したがって、第2の接合層102は、第1の接合層60と同様の方法で形成されてもよい。第2の接合層102も、第1の接合層60と同様に、CMPステップを受けもよい。
【0081】
図3に示すように、第2の基板110及び第2の発光層120は、第2の接合層102によってハンドリング基板104に接合される。ハンドリング基板102は、第2の発光層120を、それが形成された第2の基板110から第1の接合層60に転写するための基板を提供するように構成されている。したがって、ハンドリング基板102は、半導体素子を取り扱うための任意の適切な基板であってもよい。例えば、ハンドリング基板102は、シリコン又は任意の他の適切な基板を含んでもよい。ハンドリング基板104は、第2の接合層102の第2の接合面103に接合するためのハンドリング面105を提供してもよい。
【0082】
第2の接合層102が直接接合を形成するように構成された誘電材料を含む第1の実施形態によれば、ハンドリング基板は、第2の接合層102の第2の接合面103との直接接合を形成するように構成されたハンドリング面105を提供してもよい。例えば、ハンドリング基板104は、SiOの層(図示せず)を含んでもよい。ハンドリング基板104は、基板に接合するための任意の適切な手段を使用して第2の接合層102に接合されてもよい。
【0083】
第1の実施形態によれば、ハンドリング基板104は、ウェハボンダ内で圧力及び熱を加えることによって直接接合を使用して第2の接合層102に接合される。
【0084】
ウェハボンダは、ハンドリング基板表面105を第2の接合面103と平行に配置することを可能にする。次いで、ウェハボンダは、2つの表面を接触させるように構成され、それにより、第2の接合層102は、ハンドリング基板104のハンドリング基板表面205との接合を形成する。いくつかの実施形態では、ウェハボンダは、ハンドリング基板表面105と第2の接合面103との間に形成される接合を改善するために、熱及び圧力のうちの1つ以上を加えることができる。
【0085】
例えば、いくつかの実施形態では、ウェハボンダは、ハンドリング基板104を(第2の接合層102を介して)第2の発光層120に接合するために少なくとも10kNの圧縮力を加えることができる。いくつかの実施形態では、ウェハボンダは、少なくとも20kN、30kN、又は40kNの圧縮力を加えることができる。より大きな圧縮力を加えることによって、基板間の接合を形成する信頼性を向上させることができる。いくつかの実施形態では、ウェハボンダは、接合中の基板破砕又は基板の他の望ましくない変形のリスクを低減するために、45kN以下の圧縮力を加えることができる。
【0086】
いくつかの実施形態では、ウェハボンダはまた、ハンドリング基板104及び/又は第2の発光層/第2の接合層102を加熱するように構成されてもよい。例えば、ウェハボンダは、ハンドリング基板104及び/又は第2の発光層/第2の接合層102を少なくとも100℃の温度まで加熱するように構成されてもよい。いくつかの実施形態において、ウェハボンダは、ハンドリング基板104及び/又は第2の発光層/第2の接合層102を少なくとも200℃、300℃、400℃、又は500℃の温度まで加熱するように構成されてもよい。ウェハボンダは、第2の基板104及び第2の発光層120を圧縮下で、及び、任意選択的に一定期間にわたって一定の温度において保持するように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、上記期間は、少なくとも1分、2分、5分、10分又は1時間であってもよい。したがって、ウェハボンダを使用して、ハンドリング基板104と第2の接合層102との間の界面における直接的な融合接合の形成を改善することができる。
【0087】
第1の実施形態は誘電体層の間に形成される直接接合を利用するが、他の実施形態では、基板(ハンドリング基板102など)を発光層に接合するための他の方法を使用してもよい。例えば、本開示による方法は、タップ接合、ポリマー接合、又は酸化物接合を利用してもよい。
【0088】
例えば、いくつかの実施形態では、ポリマー接合を使用して基板を接合してもよい。したがって、ハンドリング基板104はまた、ポリマー接合(すなわち、接着接合)を使用して第2の接合層102に接合されてもよい。そのようなプロセスは、ハンドリング基板104及び/又は第2の発光層120に接着剤層(例えば、ポリマー層)を被着させることを含む。接着層は、スピンコーティングによって被着されてもよい。次いで、2つの基板を接着剤層(複数可)を介して接触させることができる。次いで、圧力及び/又は熱を基板に加えて、接着接合を硬化させることができる。接着接合プロセスに適したポリマーの例は、ポリイミド、メチルシルセスキオキサン(MSSQ)、ポリエーテルケトン(PEEK)、熱硬化性コポリエステル(ASTD)、熱可塑性コポリマー(PVDC)、パリエン、液晶ポリマー、及びワックスを含む。ポリマー接合は、適切に選択された溶媒の適用によって容易に除去され得る基板接合を提供し得る。したがって、ポリマー接合は、ハンドリング基板104への基板の接合などの一時的な性質の接合用途に特によく適し得る。酸化物接合、タップ接合、及びポリマー接合などの基板接合技法に関するさらなる情報は、少なくとも「MEMS Materials and Processes Handbook」(Ch.11m Ghodssi R.,et al,Springer Science+Business Media,LLC 2011)に見出すことができる。
【0089】
第2の発光層120が第2の接合層102を介してハンドリング基板104に接合されると、第2の基板110は第2の発光層120から除去される。このような構造の図を図4に示す。
【0090】
任意の適切なプロセスを使用して、第2の基板110を第2の発光層120から除去してもよい。例えば、研削ステップ(すなわち、研磨プロセス)を用いて第2の基板110を除去してもよい。研削ステップは、第2の基板110の相当部分又は第2の基板110のすべてを除去するために提供されてもよい。第2の基板110の一部が研削ステップ後に残る場合(例えば、5μm未満の厚さ)、第2の基板102の残りの部分を除去するためにエッチングステップが提供されてもよい。エッチングプロセスは、第2の基板110を選択的に除去し、ハンドリング基板104に接合された第2の発光層120を残すことができる。
【0091】
第2の基板110の除去に続いて、第2の発光層120の第1の主面121が露出される。第2の発光層120の第1の主面121は、第2の発光層120の、ハンドリング基板104とは反対の側にある。上述のように、第2の発光層120は、第2の発光層120の所望の厚さよりも大きい、ハンドリング基板表面106に垂直な方向の厚さで形成されてもよい。第2の基板110の除去に続いて、第2の発光層120の厚さを所望のサイズまで減少させるために、第1の主面121から第2の発光層120をエッチングしてもよい。例えば、図4に示すように、第2のn型半導体層122は、その堆積されたままの厚さからハンドリング基板表面105に垂直な方向の厚さが減少するようにエッチングされている。いくつかの実施形態では、第2のn型半導体層122の厚さは、その厚さが2μm以下、又はより好ましくは1.5μm以下になるようにエッチングされてもよい。第2の基板110が先行して接合されている第2のn型半導体層122の一部を除去することにより、第2の基板110の除去に起因する第2のn型半導体層の欠陥も除去することができる。いくつかの実施形態では、第2のn型半導体層122の厚さは、その厚さが少なくとも0.8μmになるようにエッチングされてもよい。このような厚さとすることで、第2の発光素子層120のn型側の接触抵抗を低減することができる。
【0092】
第2の発光層120の厚さを減少させるための(任意選択の)エッチングプロセスに続いて、第2の発光層120の第1の主面121の上に第3の接合層160が形成される。第3の接合層160は、第1の接合層60を介して第1の発光層20に第2の発光層120を接合するための層を提供するように構成されている。第1の実施形態によれば、第3の接合層160は、SiOなどの誘電材料を含む。したがって、第3の接合層160は、第1の発光層20を第2の発光層120に接合するために、第1の接合層60との直接融着を形成するように構成されている。本開示の他の実施形態では、他の接合方法を使用して、第1の発光層20及び第2の発光層120をともに接合してもよい。例えば、タップ接合、ポリマー接合、又は酸化物接合が使用されてもよい。したがって、いくつかの実施形態では、第3の接合層160は、第1の接合層60に接合するための接合層を含んでもよい。第3の接合層160を誘電材料から形成することに代えて接合層を設けてもよく、又は、誘電材料に加えて接合層を設けてもよい。
【0093】
第1の発光層20と第2の発光層120とをともに接合した例を図5に示す。第1の発光層20及び第2の発光層120は、第2の発光層をハンドリング基板102に接合するプロセスと同様に、ウェハボンダを使用してともに接合されてもよい。重要なことに、第2の発光層120は、方法のこの段階ではいかなる発光素子特徴部も含まない。したがって、接合プロセスは、第2の発光層120と第1の発光層20の発光素子特徴部との正確な機械的位置合わせを必要としない。むしろ、第2の発光層120の接合は、第2の発光層120内の特徴部の位置合わせを必要とせずに実行されてもよい。
【0094】
第1の発光層20及び第2の発光層120の接合に続いて、ハンドリング基板102を第2の発光層120から除去することができる。第2の発光層120からハンドリング基板104を除去するプロセスは、ハンドリング基板を第2の発光層120に接合するために使用される接合方法に依存する。第1の実施形態による方法では、第2の接合層102を選択的にエッチングすることにより(すなわち、第2の発光層120をエッチングしていない間に)、第2の発光層120からハンドリング基板104を除去する。したがって、選択的エッチングプロセスは、第2の接合層102をエッチングして、第2の発光層120をハンドリング基板104から分離する。
【0095】
ポリマー接合がハンドリング基板104を第2の発光層120に接合するために使用される本開示の実施形態の場合、ハンドリング基板は、基板を選択的溶媒に浸漬してポリマーを除去することによって除去されてもよい。他の実施形態では、ポリマーは、UV支援ウェットエッチングによって除去されてもよい。
【0096】
ハンドリング基板104の除去に続いて、第2の発光層120から第2の発光素子のアレイが形成される。図6に示すように、第2の発光素子のアレイを形成することは、第2の発光層120内で各発光素子に対して第2のメサ構造128を形成することを含む。図6に示すように、第2のメサ構造128は各々、第1の基板表面11に垂直な方向に延在する。各第2のメサ構造128は、第2の発光層120からのIII族窒化物層のスタックを含む。図6に示すように、第2のメサ構造は、第2のn型半導体層122の一部、第2の活性層124の一部、及び第2のp型半導体層126の一部を含むIII族窒化物層のスタックを含む。図6に示すように、各第2のメサ構造128は、第1の基板表面11に垂直な面において略台形状の断面を有する。したがって、各第2のメサ構造128は、第1の基板10の表面と位置合わせされたほぼ平坦な第2のメサ表面127を含む。各第2のメサ構造128はまた、第2のメサ表面27を取り囲む第2の側壁表面129をも含む。第2のメサ構造128を形成する複数のIII族窒化物層の各々は、第2の側壁表面129間で第2のメサ構造128にわたって実質的に連続した層として延在する。各第2のメサ構造128の第2の側壁表面129は、基板表面11を概して横断する方向に延在する。図6に示す実施形態では、第2の側壁表面129は、傾斜した第2の側壁表面129が台形断面を画定するように、基板表面11に対して傾斜している。
【0097】
図6に示すように、第2のメサ構造128は、発光素子の規則的に離間したアレイを形成するために、第2の発光層120にわたって離間している。第2のメサ構造128の間隔は、第1の発光層20における第1のメサ構造28の間隔と異なっていてもよい。したがって、第2の発光素子のアレイは、発光素子アレイ前駆体の一部を形成する第1の発光素子及び第2の発光素子が、第1の発光層及び第2の発光層の各々に平行な平面(たとえば、第1の基板表面11に平行な平面)内で互いに横方向にオフセットされるように、第1の発光素子のアレイに対して位置合わせされてもよい。第1の発光素子及び第2の発光素子の各々の間の横方向間隔は、第1の発光素子及び第2の発光素子の各々がユーザによって観察されることを可能にする。第1の発光素子と第2の発光素子との間の横方向間隔に加えて、第1の発光素子は、発光素子アレイ前駆体の層状構造により、第1の発光層20及び第2の発光層120に垂直な平面内で第2の発光素子から本質的に離間していることが理解されよう。
【0098】
図6において、第2のメサ構造128は、第1の発光層の未使用の第1のメサ構造128と重なっていることが理解されよう。無論、他の実施形態では、第1の発光素子のアレイを形成する際に、未使用の第1のメサ構造を形成しなくてもよい。したがって、いくつかの実施形態では、第1の発光素子及び第2の発光素子のアレイは、それぞれの発光層20,120内に、得られる画像平面内の隣接する発光素子間のピッチよりも大きいピッチで形成されてもよい。
【0099】
第2のメサ構造128は、第1の発光素子を形成するための説明したプロセスと同様の選択的除去プロセスを用いて形成されてもよい。第2の発光層120が第1の発光層20に接合された後に第2の発光層120内に第2の発光素子を形成することにより、第1の実施形態による方法は、基板接合ステップのために第2の発光層の発光素子特徴部を第1の発光層120の発光素子特徴部と精密に位置合わせする必要を回避する。基板接合のための2つの基板の精密な機械的位置合わせは、リソグラフィステップなどのパターニング層の位置合わせと同じレベルの正確度で実行することが技術的に困難である。
【0100】
図6に示す実施形態は、第2の発光層120内に第2の発光素子のアレイを形成するための1つの可能な選択肢に過ぎないことが理解されよう。このように、本開示は、第2の発光層120の層の配置構成にも、図6に示す第2の発光素子の配置構成にも限定されない。
【0101】
したがって、本開示の第1の実施形態による発光素子アレイ前駆体100を提供することができる。第1の実施形態による方法は、第2の発光層120の接合の前に第1の発光素子に対する第1のアノードコンタクト30及び第1のカソードコンタクト層50を形成することを含むが、本開示はそのような処理順序に限定されないことが理解されよう。例えば、当業者は、適切なリソグラフィ及びエッチングステップ(例えば、第2の発光層120を通じた第1の発光層20までのエッチング)によって、第2の発光層120の接合後に、第1の発光層20まで通して電気コンタクトを形成することが可能であることを理解するであろう。
【0102】
第1の実施形態によれば、発光素子アレイ前駆体はまた、さらなる処理ステップをも受けてもよい。
【0103】
例えば、第2のメサ構造128のアレイの形成に続いて、第2の発光素子のアレイ上に第2のアノード層を形成してもよい。第2のアノード層は、第2の発光層120内の発光素子の少なくとも一部のp型側に対する第2のアノードコンタクト130を設けるように構成されている。例えば、図6に示すように、第2のアノード層は、それらの発光素子に対する第2のアノードコンタクト130を選択的に形成するために、第2のメサ構造128の各々のメサ表面129上に選択的に設けられる。
【0104】
図6に示す例では、第1の発光層20内に第1の発光素子を形成するために使用されるマスクパターンと比較して、第2の発光層120内に第2の発光素子を形成するために異なるマスクパターンが使用されることが理解されよう。他の実施形態では、同じマスクパターンを使用して第1の発光層20及び第2の発光層120のメサ構造を形成することができ、第2のアノードコンタクト130の選択的パターニングを使用して、第1の発光層20の第1の発光素子から交差方向にオフセットされた第2の発光素子を第2の発光層120内に選択的に形成することができる。
【0105】
このように、第1のアノードコンタクト30及び第2のアノードコンタクト130は、第1の基板表面11に平行な平面内で互いに離間した、発光素子アレイ前駆体の第1の発光素子及び第2の発光素子のアレイを提供するために選択的に形成されてもよい。第2のアノードコンタクト130は、上述した第1のアノードコンタクト30と同様に形成されてもよい。
【0106】
第2のアノード層の形成に続いて、例えばエッチングプロセスを使用して、第2の発光層120の未使用部分を選択的に除去してもよい。選択的除去プロセスは、第2の発光層の各第2の発光素子を他の発光素子から分離するために、第1の基板表面11に垂直な方向において、第2の発光層120の厚さを貫通してエッチングしてもよい。このような分離ステップは、発光素子アレイ前駆体の上面から発光層20,120の各々に対する電気コンタクトのその後の形成を考慮して実行することができる。
【0107】
第2の発光層120の未使用部分を選択的に除去することにより、第1の発光層20の各第1の発光素子と位置合わせされた第2の発光層の部分を選択的に除去してもよい。したがって、いくつかの実施形態では、同じピッチのマスクパターンを使用して第1のメサ構造28及び第2のメサ構造128を形成してもよく、選択的除去ステップは、第2の発光層128から未使用の第2のメサ構造128を除去することが理解されよう。第2の発光層の未使用部分(すなわち、第2の発光素子を形成しない)の選択的除去の例を図7に示す。
【0108】
選択的除去ステップに続いて、第2の発光層120及び第2のアノードコンタクト層の上に第2の間隙充填絶縁層140を形成してもよい。第2の間隙充填絶縁層140は、第2の発光層120の上に平坦な表面を提供するように構成され、それによって、第2のメサ構造128の形成及びその後の第2の発光層120の未使用部分の選択的除去によって形成された任意の間隙を充填する。第2の間隙充填絶縁層140は、第1の間隙充填絶縁層40と同様に形成されてもよい。
【0109】
第2のカソードコンタクト層150は、第2の発光層120上に形成されてもよい。第2のカソードコンタクト層150は、第2の発光層120内の各発光素子のn型側に対する電気コンタクトを設けるように構成されている。第2のカソードコンタクト層150はまた、第2の発光層120内のn型側壁各発光素子を第1の発光層20の第1のカソードコンタクト層50に電気的に接続するように構成される。このように、第1のカソードコンタクト層50及び第2のカソードコンタクト層150は、発光素子アレイ前駆体のための共通カソードを形成するためにともに電気的に接続されてもよい。
【0110】
第2のカソードコンタクト層150の一例を図7に示す。図7に示すように、第2のカソードコンタクト層150は、各第2のメサ構造128の間の領域において第2の発光層120の一部を選択的に除去することにより形成される。したがって、第2のn型半導体層122内に開口部を形成するために、第2の発光層120の領域(第2のn型半導体アレイ122)が選択的に除去される。開口部は、第1のカソードコンタクト層50を収容するために先行して形成されている第1のn型半導体層22に形成された開口部と概して位置合わせされている。第2の開口部は、第1のカソードコンタクト層50の第1の開口部を形成するために使用されるものと同様の選択的除去プロセスを用いて形成されてもよい。
【0111】
図7に示すように、第2のカソードコンタクト層150は、各第1のメサ構造28の間で第2のn型半導体層122と電気的に接触するように、第2の開口部内に形成される。第2のカソードコンタクト層150の一部はまた、第2のn型半導体層122を通る開口部の各々を相互接続するために、第2の間隙充填絶縁層140の上に設けられてもよい。
【0112】
第2のカソードコンタクト層150は、上述した第1のカソードコンタクト層と同様に形成されてもよい。例えば、図7に示すように、第2の開口部もまた、第1の発光層20のための第1のコンタクト充填層51と同様の方法で第2のコンタクト充填層151で充填される。
【0113】
図7に示す構造は、第2の発光層120に対する第2のカソードコンタクト及び第2のアノードコンタクト130を形成するための1つの可能な選択肢に過ぎないことが理解されよう。したがって、本開示は、図7に示す第1の発光層20及び第2の発光層120並びにアノードコンタクト及びカソードコンタクトの層の相対配置構成に限定されない。
【0114】
したがって、電気コンタクトを含む発光素子アレイ前駆体100を提供することができる。発光素子アレイ前駆体100は、異なる波長の光を放出するように構成された第1の発光層20及び第2の発光層120を含む。第1の発光層20及び第2の発光層120は、それぞれ第1の波長又は第2の波長の光を放出するように構成された第1の発光素子及び第2の発光素子のアレイを提供する。発光素子は、第1の発光素子及び第2の発光素子が第1の基板表面11に平行な平面内で互いに対して離間されるように、第1の発光層20及び第2の発光層120内に配置されてもよい。
【0115】
第2の発光層120のn型側に対する電気コンタクトの形成に続いて、発光素子アレイ前駆体100は、いくつかの実施形態では、発光素子アレイ前駆体をバックプレーン電子回路基板への接合に適したものにするために、さらなる処理ステップを受けることができる。例えば、平坦化誘電体層180は、アノードコンタクト130及び第2のカソードコンタクト層150を覆うように、第2の発光層120及び第2の間隙充填絶縁層140の上に形成されてもよい。平坦化誘電体層180は、バックプレーン電子回路基板190が接合される平坦化誘電体表面181を提供することができる。平坦化誘電体層180は、例えばSiOなどの適切な誘電材料を含んでもよい。第1の電気コンタクト及び第2の電気コンタクトはまた、平坦化された誘電体表面と発光素子の各々の第1のアノードコンタクト30及び第2のアノードコンタクト130との間に電気コンタクトを提供するために、平坦化誘電体層180、第1の接合層60及び第3の接合層160、並びに間隙充填絶縁層40,140を貫通して形成されてもよい。電気ビアの形成は、当業者に周知である。
【0116】
平坦化された誘電体表面101並びに第1の電気コンタクトビア31及び第2の電気コンタクトビア131の形成に続いて、発光素子アレイ前駆体をバックプレーン電子回路基板190に接合することができる。そのような構造の一例を図8に示す。図8に示すように、バックプレーン電子回路基板190が発光素子アレイ前駆体に接合される。バックプレーン電子回路基板190は、第1の電気ビア30及び第2の電気ビア131と位置合わせされる複数の電気コンタクトを有する。したがって、バックプレーン電子回路基板190は、発光素子アレイ前駆体の発光素子のための電子駆動回路を提供するように構成される。発光素子のアレイなどの電気素子をバックプレーン電子回路基板に接合するための様々な方法が当業者に知られており、したがって、本明細書ではこれ以上説明しない。
【0117】
いくつかの実施形態では、発光素子アレイ前駆体はまた、発光素子アレイ前駆体100の発光面13を露出させるための第1の基板10の除去などのさらなる処理ステップを受けてもよい。
【0118】
第1の基板10は、第2の発光層20からの第2の基板110の除去に関連して先に論じたのと同様の基板除去プロセスを使用して、第1の発光層120から除去されてもよい。図9は、第1の基板10を除去して発光面13を露出させた発光素子アレイ前駆体100の一例を示す。図9に示すように、発光面13は、第1の発光層20の露出した主面によって提供される。
【0119】
さらに、例えば図9に示すような本開示のいくつかの実施形態では、発光素子アレイ前駆体100の発光面13は、発光面13に光抽出特徴部70を追加するために、さらなる処理ステップを受けることができる。例えば、図9に示すように、発光素子アレイ前駆体100の発光素子の各々について光抽出特徴部70を形成するために、第1の発光層20の一部が選択的に除去されている。各光抽出特徴部70は、それが位置合わせされるそれぞれの発光素子の光抽出効率を高めるように構成される。図9に示す例では、各光抽出特徴部70を形成することは、第1の発光層20の発光面上にレンズ形状部分を画定するように第1の発光層20を成形することを含む。このように、第1の発光層20の発光面13は、各発光素子と位置合わせされる凸部を含むように成形される。凸部などの光抽出特徴部70は、第1の発光層20と周囲との間の界面での内部全反射の発生を低減し、光抽出効率を向上させるように構成されている。図9の実施形態において、発光面13の凸部は、所望の発光面プロファイルを形成するために第1の発光層20の第1のn型半導体層22をエッチングすることによって成形される。
【0120】
光抽出特徴部を形成するための様々な方法が当業者に知られている。したがって、凸形状の光抽出特徴部70は、形成され得る可能な光抽出特徴部の一例にすぎない。図9の発光アレイ前駆体100に追加することができる他の光抽出特徴部は、反射防止層、1つ以上の帯域阻止フィルタ、及び/又は他のコリメート光抽出特徴部を含む。
【0121】
図9に示すように、さらなる電気的接続を行うことができる接点を提供するために、光抽出面上にさらなる共通カソードコンタクト52が設けられる。カソードコンタクト52は、第1のカソードコンタクト50の各々及び第2のカソードコンタクト150の各々と電気的に接触している。
【0122】
したがって、上記の説明で述べたように、発光素子アレイ前駆体100は、第1の波長及び第2の波長の光を放出するように構成された発光素子アレイを提供するために、さらなる処理ステップを受けることができる。発光素子アレイは、ディスプレイ又はプロジェクタを形成するために使用されてもよい。
【0123】
したがって、上記の説明に従って、発光素子アレイ前駆体100が提供される。発光素子アレイ前駆体100は、第1の発光層20と、第1の接合層60と、第3の接合層160と、第2の発光層120とを備える。第1の発光層20は、第1の発光素子のアレイを含む。各第1の発光素子は、第1の波長を有する光を許容するように構成される。第2の発光層120は、第2の発光素子のアレイを含む。各第2の発光素子は、第1の波長とは異なる第2の波長を有する光を許容するように構成される。第2の発光素子のアレイは、第1の発光素子のアレイと位置合わせされている。例えば、いくつかの実施形態では、第1の波長及び第2の波長は、青色、赤色、又は緑色の可視光のうちの少なくとも2つを放出するように構成されてもよい。
【0124】
本開示の一実施形態による発光素子アレイ前駆体(発光素子アレイ)のさらなる例を図9に示す。図9に示すように、第1の発光層120は、第1の発光層120上に設けられた第1の接合層60を有する。第3の接合層160が、第1の接合層60に接合される。次いで、第2の発光層120が、第2の接合層160上に設けられる。図9の実施形態に示すように、発光素子アレイ前駆体はまた、第1のアノードコンタクト31及び第2のアノードコンタクト131と、第1のカソードコンタクト50及び第2のカソードコンタクト150とを含む。
【0125】
次に、本開示の第2の実施形態に従って、第1の波長、第2の波長、又は第3の波長のいずれかを有する光を放出するように構成された複数の発光素子を含む発光素子アレイ前駆体について説明する。
【0126】
本開示の第2の実施形態を形成する方法は、それぞれの第1の基板10、第2の基板110、及び第3の基板210上に各々製造された第1の発光素子層20、第2の発光素子層120、及び第3の発光素子層220を組み合わせて単一の発光素子アレイ前駆体200にするために、第1の実施形態と同様の基板ボンディング技法を利用する。
【0127】
したがって、第1の実施形態と同様に、第2の実施形態による発光素子アレイ前駆体200を形成する方法は、第1の基板10上に第1の発光層20を形成することを含むことができる。このような第1の発光層20の一例を図10に示す。図10の第1の発光層に示す層の配置構成は、第1の実施形態のものと同様であることが理解されよう。したがって、第2の実施形態の第1の発光層20の形成にも、同様の方法を使用することができる。
【0128】
同様に、第2の発光層120を、第2の基板110上に形成することができる。第2の発光層120は、第1の実施形態に関連して上述したプロセスと同様の方法で、第2の基板上に形成されてもよい。第2の発光層120の形成に続いて、第2の発光層120は、第2の接合層102によってハンドリング基板104に接合することができる。次いで、第2の発光層120から第2の基板110を除去することができる。したがって、第2の発光層120を第2の基板110からハンドリング基板104に転写するプロセスは、第1の実施形態に関して上述したプロセスと同様であってよい。次いで、第2の発光層120上に第3の接合層160を形成し、第3の接合層160を第1の接合層60に接合することにより、第2の発光層120を第1の発光層に接合することができる。このように、第2の発光層120を第1の発光層20に接合するプロセスは、第1の実施形態に関連して説明したプロセスと同様であってもよい。例えば、酸化物接合、タップ接合、又はポリマー(接着剤)接合が、第2の実施形態について説明した基板接合プロセスのいずれかに使用されてもよい。第1の発光層20に接合された第2の実施形態による第2の接合層の一例を図11に示す。
【0129】
第2の発光層120を第1の発光層20に接合した後、第2の発光層120をさらに処理して、第2の発光層内に第2の発光素子のアレイを形成することができる。このように、第2の発光層120内に第2の発光素子を形成するプロセスは、第1の実施形態に関連して説明したプロセスと同様であってもよい。第2の発光層120内に第2の発光素子を形成した後のそのような構造の一例を図12に示す。図12に示すように、第2の発光層120は、第1の発光層20の発光素子と位置合わせした発光素子アレイ前駆体の領域において選択的に除去される。その後、電気コンタクト(第2の発光層120に対して、第2のアノードコンタクト130及び第2のカソードコンタクト150が形成される)。第2のカソードコンタクト150も、第1の実施形態の第1のカソードコンタクト50及び第2のカソードコンタクト150と同様に、第1のカソードコンタクト50に電気的に接続する。
【0130】
次に、図13に示すように、第2の発光層の、第1の発光層20が設けられている側面とは反対の、第2の発光層120の側面上で、第2の発光層120の上に第4の接合層165が形成されてもよい。第4の接合層165は、第2の発光層と第3の発光層220とを接合するように構成されている。第1の接合層60と同様に、第4の接合層165は、第2の発光層120上に設けられて、第2のアノードコンタクト130及び第2のカソードコンタクトは、第2の発光層120を別の基板(例えば、第3の発光層220)に接合するための表面を提供する。
【0131】
第3の発光層220は、第2の基板110上の第2の発光層120の形成と同様に、第3の基板(図示せず)上に形成されてもよい。次いで、第3の発光層220は、第2の発光層120に関して上述した方法と同様に、第3の発光層220上に形成された第5の接合層202によってさらなるハンドリング基板204に転写することができる。次いで、第3の発光層220に第6の接合層260を被着させ、続いて第5の発光層260を第4の発光層165に接合することによって、第3の発光層220を第2の発光層120に接合することができる。したがって、第2の実施形態による方法は、第1の発光層20を第2の発光層120に接合し、続いて第2の発光層120を第3の発光層220に接合することを含む。このように、第2の発光層120が第1の発光層20と第3の発光層220との間に配置された発光層のスタックが提供される。無論、これは、第1の発光層20、第2の発光層120及び第3の発光層220の配置構成のうちの、1つの可能な配置構成に過ぎないことが理解されよう。本開示は、3つの層のいかなる特定の配置構成にも限定されないことが理解されよう。このように、第1の発光層20、第2の発光層120及び第3の発光層220は、任意の順序で配置されてもよい。
【0132】
第2の実施形態と同様に、第3の発光層220を堆積されたままの厚さから2μm以下の厚さまで薄くすることができる。いくつかの実施形態では、第3の発光層220は、堆積されたままの厚さから1.5、1.4μm、1.2μm、又は1μm以下の厚さに薄くすることができる。第3の発光層220を所望の厚さまで薄くすることにより、第3の発光層220を第2の発光層120に接合する前に、第4の接合層202の除去に起因する発光層220への損傷を除去することができる。いくつかの実施形態では、第3の発光層220は、堆積されたままの厚さから少なくとも0.8μmの厚さに薄くすることができる。したがって、第3の発光層220は、第3の発光層220が第2の発光層120により容易に転写されることを可能にする厚さで提供されてもよい。
【0133】
第3の発光層は、第1の発光層20及び第2の発光層120と同様の構造を有してもよい。したがって、第2の実施形態による第3の発光層220は、第3のn型半導体層220と、第3の活性層224と、第3のp型半導体層226とを備える。
【0134】
第2の発光層120と同様に、第3の活性層224は1つ以上の量子井戸層を含んでもよい。したがって、第3の活性層224は多重量子井戸層であってもよい。第3の活性層224内の量子井戸層は、III族窒化物半導体、好ましくはInを含むIII族窒化物合金を含むことができる。例えば、図13に示す配置構成では、第3の活性層224は、GaNとInGa1-ANとが交互になった層を備えることができ、0<A≦1である。特に、いくつかの実施形態では、第3の活性層224はInGaN層を含んでもよく、0.2≦A≦0.5である。このように、第3の発光層220の第3の活性層224は、少なくとも490nm、且つ670nm以下の波長を有する光を生成するように構成されてもよい。特に、A>0.2であるいくつかの好ましい実施形態では、第3の発光層は、少なくとも540nmの波長を有する光を生成するように構成されてもよい。第3の活性層224の量子井戸層の厚さ及びIn含有量(A)は、第3の活性層224によって生成される光の波長を制御するために制御され得る。
【0135】
第3の発光層220を形成して第2の発光層120に接合した後、ハンドリング基板104を除去することができる。ハンドリング基板104を除去するプロセスは、第1の実施形態に関して使用されるプロセスと同様のプロセスであってもよい。
【0136】
ハンドリング基板104の除去に続いて、第3の発光素子のアレイを画定するために、第3の発光層220をさらに処理することができる。各第3の発光素子は、第3の発光層220内に第3のメサ構造228を形成することにより、第3の発光層220内に形成することができる。第3のメサ構造228の一例を図14に示す。第3の発光層220内での第3のメサ構造228の形成は、第1の発光層20及び第2の発光層120内にすでに形成されている発光素子と位置合わせされる。第1のメサ構造28及び第2のメサ構造128と同様に、第3のメサ構造228は、側壁表面229を含む台形断面を画定する。
【0137】
図14に示すように、第1の発光素子、第2の発光素子、及び第3の発光素子は、第1の発光素子、第2の発光素子、及び第3の発光素子が隣接する発光素子間のピッチによって互いに離間されている画像平面を提供するために、それぞれの発光層20,120,220内に配置される。いくつかの実施形態では、隣接する発光素子間のピッチ(中心間で測定される)は、100μm、50μm、30μm、20μm、又は10μmより大きくてもよい。
【0138】
第3のメサ構造228の形成に続いて、アノードコンタクト230及び第3のカソードコンタクト250を第3の発光層220のために形成することができる。第3のアノードコンタクト230及び第3のカソードコンタクト250を形成するプロセスは、第1の実施形態の第1のカソード50及び第2のカソード150並びにアノードコンタクト30,130を形成するプロセスと同様であってもよい。第3のアノードコンタクト230及び第3のカソードコンタクト250の例を図14に示す。
【0139】
したがって、本開示の第2の実施形態によれば、発光アレイ前駆体200を提供することができる。発光アレイ前駆体200は、第1の発光素子層20、第2の発光素子層120及び第3の発光素子層220の各々に対して形成されたアノード及びカソードコンタクトを含む。無論、他の実施形態では、第1の発光層20、第2の発光層120、及び第3の発光層220は、各層に対する電気コンタクトの形成前に形成されてもよい(また、発光素子を含むように処理されてもよい)。
【0140】
第1の実施形態と同様に、発光アレイ前駆体200はまた、さらなる処理ステップをも受けてもよい。
【0141】
例えば、第1の実施形態と同様に、第3の発光層220の未使用部分を選択的に除去してもよい。上記部分の選択的除去は、第1の発光層20及び第2の発光層120への電気的相互接続のより容易な形成を可能にする。
【0142】
さらに、第3のアノードコンタクト230及びカソードコンタクト250の形成に続いて、第3の発光素子層220は、電気ビア(第1の電気ビア31、第2の電気ビア131及び第3の電気ビア231)の形成などのさらなる処理ステップを受けることができ、バックプレーン電子回路基板190への第1の発光層20、第2の発光層120、及び第3の発光層220の接合は、第1の実施形態に関連してすでに説明されている、バックプレーン電子回路基板を発光素子アレイ前駆体200に接合するためのプロセスと同様であってもよい。そのような構造の一例を図15に示す。
【0143】
したがって、本開示の実施形態によれば、発光素子アレイ前駆体100、200、及び、発光素子アレイ前駆体を形成する方法が提供される。本開示の発光素子アレイ前駆体100,200は、複数のネイティブ発光層を含み、各層は、異なる波長の光を放出するように構成された発光素子のアレイを含む。したがって、発光素子の多色アレイを提供することができる。本開示の方法によれば、発光素子の異なる層の比較的精密な機械的位置合わせを必要とせずに、別個の発光層がともに接合される。これにより、発光素子アレイ前駆体の形成中に半導体層を精密に機械的に位置合わせする必要性が低減又は排除される。このような精密な機械的位置合わせステップを低減又は排除することは、100μm×100μm未満の表面積を有するマイクロ発光素子などのピッチの小さい素子にとって特に有利である。層の精密な機械的位置合わせの必要性を低減することは、マイクロLEDなどのそのような小型素子にとって特に有利であり、それは、素子が縮小されるにつれて重要になり得る各発光素子間に提供される許容誤差の量をもたらすためである。
【0144】
本開示による発光素子アレイ前駆体は、各々が異なる波長で光を放出するように構成された複数の発光素子層を含む。したがって、発光素子アレイ前駆体及びその形成方法は、ネイティブ多色(すなわち、赤色、緑色、青色)ディスプレイを提供することができる手段を提供する。
【0145】
本開示の実施形態を本明細書で詳細に説明したが、本発明又は添付の特許請求項の範囲から逸脱することなく変形が行われることは当業者には理解されよう。
図1
図2
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図10
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