(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-26
(45)【発行日】2024-10-04
(54)【発明の名称】自動化システムを動的に制御すること
(51)【国際特許分類】
G01N 35/00 20060101AFI20240927BHJP
B25J 9/02 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
G01N35/00 E
B25J9/02 D
(21)【出願番号】P 2023018817
(22)【出願日】2023-02-10
(62)【分割の表示】P 2019540545の分割
【原出願日】2018-01-24
【審査請求日】2023-02-10
(32)【優先日】2017-01-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】391003864
【氏名又は名称】ロンザ リミテッド
【氏名又は名称原語表記】LONZA LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ウェブスター、デイル
(72)【発明者】
【氏名】カーペンター、エバン
【審査官】草川 貴史
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/038910(WO,A1)
【文献】特表平10-507518(JP,A)
【文献】特開平09-061436(JP,A)
【文献】特開2016-205850(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 35/00-37/00
G01N 1/00- 1/44
G01N 33/48-33/98
B25J 9/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンドトキシン・アッセイの動的自動化のためのシステムであって、
ロボット及びロボット・デッキを有するロボット装置と、
記憶された命令を実行するための少なくとも1つのコンピューティング・デバイス上で実装される自動化モジュールであって、当該少なくとも1つのコンピューティング・デバイス内の1つ以上のデータベースに保存された1つ以上の選択可能なマイクロプレートテンプレートを有する、前記自動化モジュールと、
を備え、
前記記憶された命令を実行するための前記少なくとも1つのコンピューティング・デバイスが、
第1のアッセイに使用される第1のマイクロプレートの第1のマップ・テンプレートを受信し、
受信した前記第1のマップ・テンプレートに基づいて複数のロボット・コマンドを動的に生成し、
生成された前記複数のロボット・コマンドを、前記動的自動化を実施するための前記ロボット装置の前記ロボットに送信し、
前記自動化モジュールは、前記第1のマップ・テンプレートに基づいて前記ロボット・デッキのためのデッキ・レイアウト情報を動的に決定し、前記ロボット・デッキが、前記第1のマップ・テンプレートの前記第1のマイクロプレートと関連付けられた前記第1のアッセイを行うための1つ又は複数のステーションを有する、システム。
【請求項2】
前記デッキ・レイアウト情報は、(i)前記ロボット・デッキ上の前記1つ又は複数のステーションの各々において前記動的自動化のためにどの設備が使用されることになるか、(ii)前記ロボット・デッキ上の前記1つ又は複数のステーションの各々において前記設備がどこに位置付けられることになるか、及び(iii)前記設備と関連付けられた1つ又は複数の測定値の計算のうちの1つ又は複数を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記自動化モジュールは、前記ロボット・デッキが前記動的に決定された前記デッキ・レイアウト情報に従って設定されたことの確認を受信する、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記自動化モジュールは、前記動的自動化の結果を処理し、前記結果をメモリに記憶する、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記自動化モジュールは、第2のアッセイに使用される、前記第1のマイクロプレートとは異なる第2のマイクロプレートの第2のマップ・テンプレートを受信し、前記複数のロボット・コマンドが、受信した前記第1及び第2のマップ・テンプレートに基づいて動的に生成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記第1のアッセイ及び前記第2のアッセイは、同じ自動化実行の間に行われる、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記マイクロ
プレートテンプレートのそれぞれは、異なるアッセイである、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記同じ自動化実行は、前記第1のアッセイ及び前記第2のアッセイを動的に自動化する、請求項6に記載のシステム。
【請求項9】
前記1つ又は複数のステーションは、(i)試薬ラック・ステーション、(ii)試料チューブ・ラック・ステーション、(iii)マイクロプレート保持器ステーション、(iv)マイクロプレート保温器ステーション、及び(v)ピペット・チップ保持器ステーションのうちの1つ又は複数を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記設備は、(i)少なくとも1つの桶、(ii)少なくとも1つのバイアル、(iii)少なくとも1つの標準チューブ、(iv)少なくとも1つの補助チューブ、(v)少なくとも1つの試料チューブ、及び(vi)少なくとも1つのマイクロプレート・リーダのうちの1つ又は複数を含む、請求項2に記載のシステム。
【請求項11】
前記第1のマップ・テンプレートは、複数のセルを有するグリッドを有し、前記セルの各々が、前記第1のマイクロプレート上のウェルの場所に対応する、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
前記第1のマップ・テンプレート及び前記第2のマップ・テンプレートは、前記動的自動化の前にユーザによって築かれる、請求項5に記載のシステム。
【請求項13】
前記自動化モジュールは、インターフェース上にプレビューのために前記第1のマップ・テンプレート及び前記第2のマップ・テンプレートを表示する、請求項5に記載のシステム。
【請求項14】
前記動的自動化は、(1)必要な試料希釈液を適用すること、(2)陽性製品コントロール(PPC:Positive Product Control)試料を含む試料をマイクロプレート上に置くこと、(3)水ブランクをマイクロプレート上に置くこと、(4)標準曲線のために必要とされる希釈液を作成すること、(5)標準希釈液をマイクロプレート上に置くこと、(6)PPCスパイクをマイクロプレート上の必要とされるウェルに追加すること、(7)マイクロプレートをインキュベーションのためにマイクロプレート・リーダへ移動させること、(8)マイクロプレートがインキュベートする間に各バイアル内の試薬を再構成すること、(9)マイクロプレート・リーダからマイクロプレートを取り除き、マイクロプレートをロボット・デッキ上のプレート保温器に戻すこと、(10)試薬をマイクロプレート上の必要とされる各ウェルに追加すること、(11)マイクロプレートを処理のためにマイクロプレート・リーダへ移動させること、及び(12)マイクロプレート・リーダ内にマイクロプレートを置いた後に、マイクロプレートを読み込み、自動化実行の結果を処理すること、の1つ以上を含む、請求項1に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本PCT国際出願は、参照によりその全体が本明細書に明示的に組み込まれている、2017年1月27日に出願した米国仮出願第62/451,470号の優先権及び利益を主張するものである。
【背景技術】
【0002】
本発明は、エンドトキシン・アッセイに関連した自動化など、動的自動化のためのシステム及び方法に関する。
【0003】
ロボット・システム及びコンポーネントは、様々な産業において広く実装されている。例えば、ロボット・システム及びコンポーネントは、自動車、エレクトロニクス、製薬、及び生物工学などの耐久消費財、並びに他の消費財の製造においてよく知られている。加えて、ロボット・システム及びコンポーネントは、しばしば、生物工学、医療、及び研究の場において、例えばアッセイを実施するために用いられる。これらのロボット・システム及びコンポーネントは、研究の場であるにしろ製造の場であるにしろ、典型的には、本明細書に詳細説明されるように、静的自動化スクリプトを使用して制御される。
【0004】
アッセイは、ターゲット・エンティティ(例えば、「分析物」)の存在、量、又は機能活性の定性的評価又は定量測定のための、研究室、医学、薬理学、環境生物学、又は分子生物学における調査手順である。分析物は、薬剤、生物化学物質、又は有機体若しくは有機試料内の細胞であり得、測定されるエンティティが、分析物であり得る。アッセイは、通常、分析物の示強性を測定し、それを、モル濃度、密度、酵素国際単位での機能活性、標準との比較における何らかの効果の度合いなどの関連測定単位で表現することを目指す。
【0005】
エンドトキシンは、発熱物質の一種であり、グラム陰性菌の外側細胞膜内で見られる天然化合物であり、多数の生物活性に影響を与え得る。カブトガニ血球抽出成分(LAL:Limulus Amebocyte Lysate)試験は、1970年代に商業的に導入された。LALは、カブトガニの血液細胞又は変形細胞に由来する。カブトガニの血液細胞はエンドトキシンの存在下で凝固することが判明したということが観察されており、この技術は、エンドトキシン検出アッセイの開発に使用された。今日、エンドトキシン試験は、原材料及び中間生成物に対して、並びに製薬業界及び医療機器業界においては製品の最終リリースのために、実施される。
【0006】
エンドトキシン・アッセイを含むアッセイ方法は、部分的に、研究室ロボットを制御するように構成されるコンピュータ・システムを使用して実施又は促進され得る。これらのロボットは、生物又は化学試料及び研究室設備を相対精度及び効率で移動させるように構成され得る。しかしながら、研究室ロボットは、ロボットが実施する各アッセイ又は試験について研究室技術者により予め決められたロボット自動化スクリプトで事前にプログラミングされ得、そのため、それらは静的であり柔軟性がない。例えば、静的ロボット制御は、コンポーネントがどこに位置付けされるかを予め決め、次いで、アイテムが作成されるのに必要とされるロボット制御コードを開発することを伴う。同じコンポーネントは、制御コードが実行される度に同じ場所に位置付けられなければならず、それは、処理(及び作成されるアイテム)が常に同じであることを意味し、異なるアイテムを作成するためには、新しいロボット制御コードが開発されなければならない。この方式では、ロボット・スクリプトは静的であり(例えば、一旦スクリプトが作成されると、それはいかなる柔軟性もなしに毎回その都度同じ方式で実行する)、各アッセイ又は試験のための専用スクリプトを作成することは、退屈且つ時間のかかることであり得、またスクリプト作成は、専門的なスクリプティング知識を要する。さらには、一部のスクリプトは、例えば、アッセイ又は試験プロセスにおける様々な地点で手動行為を適用するために、人間の介入による「子守」を必要とし得る。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の1つの態様によると、動的自動化のためのシステムは、ロボットと、記憶された命令を実行するための少なくとも1つのコンピューティング・デバイスであって、記憶された命令が、少なくとも1つのテンプレートを受信し、受信した少なくとも1つのテンプレートに基づいて複数のロボット・コマンドを動的に生成し、生成された複数のロボット・コマンドを、動的自動化を実施するためのロボットに送信するためのものである、少なくとも1つのコンピューティング・デバイスとを含む。
【0008】
本開示の別の態様によると、動的自動化のための方法は、少なくとも1つのコンピューティング・デバイスを使用して、少なくとも1つのテンプレートを受信することと、受信した少なくとも1つのテンプレートに基づいて複数のロボット・コマンドを動的に生成することと、生成された複数のロボット・コマンドを、動的自動化を実施するためのロボットに送信することとを含む。
【0009】
本開示のさらに別の態様によると、動的自動化のためのシステムは、ロボット及びロボット・デッキを有するロボット装置と、記憶された命令を実行するための少なくとも1つのコンピューティング・デバイスであって、記憶された命令が、第1のアッセイに使用される第1のマイクロプレートの第1のマップ・テンプレートを受信し、受信した第1のマップ・テンプレートに基づいて複数のロボット・コマンドを動的に生成し、生成された複数のロボット・コマンドを、動的自動化を実施するためのロボット装置のロボットに送信するためのものである、少なくとも1つのコンピューティング・デバイスとを含む。
【0010】
本開示の態様によると、少なくとも1つのコンピューティング・デバイスは、第1のマップ・テンプレートに基づいてロボット・デッキのためのデッキ・レイアウト情報を動的に決定し、ロボット・デッキが、第1のマップ・テンプレートの第1のマイクロプレートと関連付けられた第1のアッセイを行うための1つ又は複数のステーションを有する。さらには、デッキ・レイアウト情報は、(i)ロボット・デッキ上の1つ又は複数のステーションの各々において動的自動化のためにどの設備が使用されることになるか、(ii)ロボット・デッキ上の1つ又は複数のステーションの各々において設備がどこに位置付けられることになるか、及び(iii)設備と関連付けられた1つ又は複数の測定値の計算のうちの1つ又は複数を含む。加えて、少なくとも1つのコンピューティング・デバイスは、ロボット・デッキが、動的に決定されたデッキ・レイアウト情報に従って設定されているという確認を受信する。少なくとも1つのコンピューティング・デバイスはまた、自動化の結果を処理し得、この結果をメモリに記憶する。少なくとも1つのコンピューティング・デバイスは、第2のアッセイに使用される、第1のマイクロプレートとは異なる第2のマイクロプレートの第2のマップ・テンプレートを受信し、複数のロボット・コマンドが、受信した第1及び第2のマップ・テンプレートに基づいて動的に生成される。さらには、第1のアッセイ及び第2のアッセイは、同じ自動化実行の間に行われる。同じ自動化実行は、第1のアッセイ及び第2のアッセイを動的に自動化する。第1のアッセイ及び第2のアッセイは、エンドトキシン・アッセイである。加えて、1つ又は複数のステーションは、(i)試薬ラック・ステーション、(ii)試料チューブ・ラック・ステーション、(iii)マイクロプレート保持器ステーション、(iv)マイクロプレート保温器ステーション、及び(v)ピペット・チップ保持器ステーションのうちの1つ又は複数を
含み得る。本設備は、(i)少なくとも1つの桶、(ii)少なくとも1つのバイアル、(iii)少なくとも1つの標準チューブ、(iv)少なくとも1つの補助チューブ、(v)少なくとも1つの試料チューブ、及び(vi)少なくとも1つのマイクロプレート・リーダのうちの1つ又は複数を含む。さらには、第1のマップ・テンプレートは、複数のセルを有するグリッドを有し、セルの各々が、第1のマイクロプレート上のウェルの場所に対応する。第1のマップ・テンプレート及び第2のマップ・テンプレートは、動的自動化の前にユーザによって築かれ得る。加えて、少なくとも1つのコンピューティング・デバイスは、インターフェース上にプレビューのために第1のマップ・テンプレート及び第2のマップ・テンプレートを表示する。
【0011】
本開示の追加の態様によると、動的自動化のための方法は、少なくとも1つのコンピューティング・デバイスを使用して、第1のアッセイに使用される第1のマイクロプレートの第1のマップ・テンプレートを受信することと、少なくとも1つのコンピューティング・デバイスを使用して、受信した第1のマップ・テンプレートに基づいて複数のロボット・コマンドを動的に生成することと、少なくとも1つのコンピューティング・デバイスを使用して、生成された複数のロボット・コマンドを、動的自動化を実施するためのロボットに送信することとを含む。
【0012】
本開示のさらなる態様によると、本方法は、少なくとも1つのコンピューティング・デバイスを使用して、第1のマップ・テンプレートに基づいてロボット・デッキのためのデッキ・レイアウト情報を動的に決定することをさらに含み、ロボット・デッキが、第1のマップ・テンプレートの第1のマイクロプレートと関連付けられた第1のアッセイを行うための1つ又は複数のステーションを有する。さらには、デッキ・レイアウト情報は、(i)ロボット・デッキ上の1つ又は複数のステーションの各々において動的自動化のためにどの設備が使用されることになるか、(ii)ロボット・デッキ上の1つ又は複数のステーションの各々においてこの設備がどこに位置付けられることになるか、及び(iii)設備と関連付けられた1つ又は複数の測定値の計算のうちの1つ又は複数を含む。
【0013】
本開示のさらに別の態様によると、動的自動化のための方法が提供され、本方法は、少なくとも1つのコンピューティング・デバイスを使用して、少なくとも1つのテンプレートを受信することと、少なくとも1つのコンピューティング・デバイスを使用して、受信した少なくとも1つのテンプレートに基づいて複数のロボット・コマンドを動的に生成することと、少なくとも1つのコンピューティング・デバイスを使用して、生成された複数のロボット・コマンドを、動的自動化を実施するためのロボットに送信することとを含む。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の1つ又は複数の態様に従う例示的なシステムを例証する図である。
【
図2】本発明の1つ又は複数の態様に従う例示的なロボット装置を例証する図である。
【
図3】本発明の1つ又は複数の態様に従うロボット装置のデッキ上に配置される例示的なステーションを例証する図である。
【
図4】本発明の1つ又は複数の態様に従う自動化モジュールのテンプレート選択インターフェースを例証する図である。
【
図5】本発明の1つ又は複数の態様に従う自動化モジュールのロボット・デッキ設定インターフェースを例証する図である。
【
図6】本発明の1つ又は複数の態様に従う自動化モジュールのロボット・デッキ設定インターフェースを例証する図である。
【
図7】本発明の1つ又は複数の態様に従う自動化モジュールのロボット・デッキ設定インターフェースを例証する図である。
【
図8】本発明の1つ又は複数の態様に従う自動化モジュールのロボット・デッキ設定インターフェースを例証する図である。
【
図9】本発明の1つ又は複数の態様に従う自動化モジュールのロボット・デッキ設定インターフェースを例証する図である。
【
図10】本発明の1つ又は複数の態様に従う自動化モジュールのロボット・デッキ設定インターフェースを例証する図である。
【
図11】本発明の1つ又は複数の態様に従う自動化モジュールの実行アッセイ・インターフェースを例証する図である。
【
図12】本発明の1つ又は複数の態様に従うフロー図を例証する図である。
【
図13】本発明の1つ又は複数の態様に従うフロー図を例証する図である。
【
図14】本発明の1つ又は複数の態様に従うチャートを例証する図である。
【
図15】本発明の1つ又は複数の態様に従うグラフを例証する図である。
【
図16】本発明の1つ又は複数の態様に従うグラフを例証する図である。
【
図17】本発明の1つ又は複数の態様に従うグラフを例証する図である。
【
図18】本発明の1つ又は複数の態様に従うチャートを例証する図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明は、自動化システムを動的に制御するためのシステム及び方法に関する。例えば、自動化システムは、1つ又は複数のコンピューティング・デバイス、ロボット装置、及び、1つ若しくは複数のアッセイ、製造ステップ、又は他の所望の機能などの特定の自動化機能を実施するための設備/ステーションを含み得る。
【0016】
本開示の態様によると、1つ又は複数のコンピューティング・デバイスに実装される自動化モジュールは、実行されるべき特定のアッセイのためのマイクロプレートのマップ(例えば、マイクロプレート内の各ウェルの場所)、消費財本体上の場所のマップ(例えば、自動車本体又は電子デバイス本体上の場所)、又は任意の他の場所ベースのマップなど、特定のテンプレートに連動している固有の一連の制御コマンドを作成することによって、自動化モジュールが独自の自動化コーディング命令をオンザフライで構築することができるように、ロボット装置をスクリプト操作し得る。研究室技術者などのユーザは、自動化モジュール内のテンプレートを選択し得、次いでこの自動化モジュールが、このテンプレートを利用して、ロボット・デッキ・レイアウト・マップ及び/又は手順を動的に生成又は構築し、また自動化のための固有の一連の制御コマンドも構築し得る。
【0017】
1つの例において、また以下にさらに説明されるように、自動化モジュールは、自動化を実行するための少なくとも1つのテンプレートを選択及び入力するようにユーザに促し得、ここでは、各テンプレートは、例えば、それぞれのエンドトキシン・アッセイに対応し得る。テンプレートは、自動化結果の種類を示すことができる何か(例えば、スクリプト、印刷物、話し言葉、画像、図表示など)であり得る。テンプレートは、ユーザによってゼロから作成され、将来の使用のためにシステム上に保存され得る。エンドトキシン・アッセイに関して、テンプレートは、マイクロプレートの各ウェルの場所を示すマップベースのテンプレートであり得る。自動化モジュールは、選択されたテンプレートのプレビューを表示し得る。
【0018】
選択されたテンプレートがユーザによって入力及び確認されると、自動化モジュールは、1つ又は複数のアッセイを行うためにロボット装置のロボット・デッキを設定するようにユーザを促し得る。ロボット・デッキ・レイアウト・マップ及び手順は、選択されたテンプレートに基づいて動的に生成され得る。例えば、それは、特定の研究室設備をデッキ上にどこに置くべきかをユーザに命令し得、モジュールはまた、必要容積などの研究室設備の各々についての関連アッセイ測定値、及びユーザの便宜のためにアッセイと関連付けられた試料、材料などについての他の測定値を計算し得る。次いで、ユーザは、ロボット・デッキ・レイアウトを確認し、自動化を実行する。
【0019】
次いで、モジュールは、ユーザによって選択される上記のテンプレートに基づいて自動化を実行するためにロボット装置のための一連のロボット・コマンドを動的に生成又は構築し得る。ロボット・コマンドは、アッセイを実施するためにロボット装置に引き渡される。アッセイ中、ユーザは、プロセスをモニタし、必要に応じて中止することができ得る。アッセイ中に収集されるデータは、メモリに記憶され、リアルタイムで分析され得る。
【0020】
少なくともこの方式では、本開示の自動化は、ユーザが、自動化の前にロボット装置のためのロボット・コマンドのすべてを事前にプログラミングするか、又は事前に組み立てる必要性なしに、完全に動的である。したがって、動的なロボット制御は、例えば、作成されるべきアイテム、又は実施されるべき試験などのスナップショット(例えば、テンプレート)を提供することを伴う。自動化は、スナップショットを評価し、アイテムを構築するために何が必要とされるかを決定し得、それによりシステムは、(i)必要とされるコンポーネントに関する情報、(ii)コンポーネントがどこに位置するか、及び(iii)アイテムを作成するためのロボット制御コードを動的に生成する。ユーザは、例えば、自動化ソフトウェアによって指定される場所にコンポーネントを位置付けることができる。動的なロボット制御によって作成されるアイテムは、スナップショットによって様々である。したがって、本発明の1つ又は複数の態様に従う自動化モジュールは、選択されたテンプレートにのみ基づいて、リアルタイムでロボット・コマンドを構築することができる。さらには、本発明は、自動化モジュールが、自動的且つ動的に、ユーザのためにロボット装置のデッキ・レイアウトを築き、また、さもなければユーザによって手計算されていた、アッセイ中に使用される研究室設備と関連付けられたすべての必要な測定値を計算するという点で有利である。したがって、自動化モジュールは、すべてのことをユーザにとって便利な自動化と関連付けるだけでなく、手動で実施されるアッセイ又は試験と比較したときに自動化時間及びエラーを低減する。
【0021】
図1は、発明の1つ又は複数の態様に従う例示的なシステム100を例証する。システム100は、ロボット装置120に直接接続される、且つ/又はネットワーク150(破線によって描写されるような)を介してロボット装置120に接続される、コンピュータ101を含み得る。システム100はまた、コンピュータ101に直接接続されるか、又はネットワーク150(破線によって示されるような)を介してコンピュータ101に接続される、記憶デバイス130を含み得る。モバイル・コンピュータ140もまた、ネットワーク150に接続され得る。
【0022】
例えば、コンピュータ101は、1つ又は複数のプロセッサ102、メモリ104、例えば、永久又はフラッシュ・メモリ(命令105及びデータ106を含む)、インターフェース108、及びディスプレイ110を含む。プロセッサ102は、メモリ104に記憶される命令105及び/又はデータ106などの特定の情報の処理に基づいてタスクを実施するようにコンピュータ101の様々なコンポーネントに命令する。プロセッサ102は、中央処理装置(CPU)などの任意の標準プロセッサであり得るか、又は、特定用途向け集積回路(ASIC:Application-Specific Integrated Circuit)、若しくはフィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA:Field Programmable Gate Array)、若しくは工業プロセス制御器などの専用プロセッサであり得る。メモリ104は、永久であるにしろ又はフラッシュであるにしろ、プロセッサ102によって実行、取得、操作、及び/又は記憶され得る、命令105及びデータ106などの、プロセッサ102によってアクセス可能な情報を記憶するように構成される任意の種類のハードウェア(例えば、ROM、RAM、CD-ROM、ハードドライブ、書き込み可能、読み込み専用など)であり得る。メモリ104に記憶される命令105は、プロセッサ102によって直接的又は間接的に実行され得る命令の任意のセット(例えば、ソフトウェアと関連付けられた「ステップ
」又は「アルゴリズム」)を含み得る。メモリ104に記憶されるデータ106は、例えば、命令105に従って、プロセッサ102によって取得、記憶、又は修正され得る。インターフェース108は、コンピュータ101(例えば、現場取付計器、プロセッサ間通信、キーボード、マウス、タッチ式スクリーン、カメラ、マイクなど)、接続部若しくはポート(例えば、データポート、USB、ジップ・ドライブ、カード・リーダ、CDドライバ、DVDドライブなど)、並びに/又は情報及びデータの受信を可能にするソフトウェア(例えば、グラフィック・ユーザ・インターフェース)とインターフェースをとるための特定のデバイスであり得る。ディスプレイ110は、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid-Crystal Display)、発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)、及びプラズマ画面など、ユーザにデータを通信することができる任意の好適な種類のデバイスであり得る。
【0023】
ロボット装置120は、研究室、又は製造などの他の所望の場において使用され得、ロボット122及び設備/ステーション124を含む。ロボット122は、複雑な一連の行為を自動的に実行することができ、コンピューティング・デバイスによってプログラム可能である。少なくともその点において、ロボット122は、プログラマブル命令を実行するための、プロセッサ、メモリ、及び異なる種類のインターフェースなどの、コンピュータ101に類似したコンポーネントを有し得る。ロボット122はまた、ロボット・アーム、グリッパ、ピペット操作工具などの機械器具を用いて、利用可能なステーション間で設備を操縦するように構成され得る。
【0024】
いくつかの実施例において、ロボット122は、上に説明されるように、製造プロセスのために使用又は実装され得る。例えば、ロボット122は、自動車部品の組立プロセスを動的に自動化し得る。別の例では、ロボット122は、電子コンポーネント、マイクロチップ、回路などの試験を動的に自動化し得る。
【0025】
他の実施例において、ロボット122は、研究室において使用され得る。少なくともその点において、設備は、マイクロプレート、桶、バイアル、標準チューブ、補助チューブ、試料チューブ、マイクロプレート・リーダ、ピペット、ピペット・チップ、メスシリンダ、ビーカ、フラスコ、皿、スポイト、漏斗などの研究室設備を含み得る。他の実施例において、設備は、製造工具及び/又は部品を含み得る。ステーションは、ラック(例えば、試薬ラック、試料チューブ・ラック)、異なる種類の保持器(例えば、マイクロプレート保持器、ピペット・チップ保持器)、生体物質を培養するためのスピナーなどを含み得る。例えば、1つ又は複数のマイクロプレート・リーダは、マイクロプレートのウェルを走査し、本開示の自動化モジュールにデータを提供してエンドトキシン・レベルを決定するために、ロボット122がマイクロプレートを持ち上げてそれらをマイクロプレート・リーダ内に置くことを可能にするように、ロボットのロボット・アームによってアクセス可能である領域内にロボットの横に密に位置付けられ得る。
【0026】
記憶デバイス130は、大量のデータを記憶するように構成され得、またそのようなデータを、システム100の他のコンポーネントにより要求又はアクセスされるときに、ネットワーク150を介するか又は他の方法のいずれかで転送するように構成され得る。例えば、記憶デバイス130は、ROM、RAM、ハードドライブ、ソリッドステート・ドライブ、リムーバブル・ドライブ、ネットワーク・ストレージ、仮想メモリ、多層レベル・キャッシュ、レジスタ、CD、DVDなどのストレージ・コンポーネントの集合であり得る。加えて、記憶デバイス130は、コンピュータ101、ロボット装置120、及び/又はモバイル・コンピュータ140などのシステム100の他のコンポーネントが、アクセスを有し、それにデータを提供することができるように構成され得る。
【0027】
モバイル・コンピュータ140は、ラップトップ(又は、Ultrabook、スマートフォン、PDA、タブレット・コンピュータ、ウェアラブル・コンピューティング・デバイスなどの、携帯式又は可動性である任意の種類のコンピュータ)であり得、コンピュータ101に類似したコンポーネントも含み得る。モバイル・コンピュータはまた、1つ又は複数のプロセッサ、メモリ、ユーザ・インターフェース、有線又は無線ネットワーク接続ハードウェア、及びモバイル・コンピューティング・デバイスと関連付けられた他の種類のコンポーネントを有し得る。1つ又は複数の実施例において、モバイル・コンピュータ140はまた、コンピュータ101によってサポートされるソフトウェアを実行し、ネットワーク150を介してシステム100の他のコンポーネントと通信するように構成され得る。
【0028】
ネットワーク150は、システム100のコンポーネント間でのデータ、命令などの伝送を促進するように構成される、有線又は無線の、任意の好適な種類のネットワークであり得る。例えば、ネットワーク150は、ローカル・エリア・ネットワーク(LAN:Local Area Network)(例えば、イーサネット(登録商標)、又は他のIEEE802.03LAN技術)、Wi-Fi(例えば、IEEE802.11規格)、広域ネットワーク(WAN:Wide Area Network)、バーチャル私設ネットワーク(VPN:Virtual Private Network)、グローバル・エリア・ネットワーク(GAN:Global Area Network)、又はそれらの任意の組み合わせであり得る。
【0029】
上記のコンピュータ101は、ラップトップ、デスクトップ・コンピュータ、又はデータ及び/若しくは命令を処理し、データを伝送及び/若しくは受信することができる任意のデバイスであり得るということが理解され得る。さらには、
図1に例証されるコンピューティング・デバイスのいずれかは、同じ物理的なハウジング内に記憶される場合又はそうでない場合がある複数のプロセッサ、メモリ、命令、データ、又はディスプレイを実際には含み得るということが、当業者により理解されるものとする。また、
図1のコンポーネントのいくつかがネットワーク150に接続されるが、コンポーネントはまた、任意の好適な組み合わせで、互いに接続され得るということが理解され得る。
【0030】
上に説明されるように、ロボット装置は、自動車業界、製造業界、エレクトロニクス業界、及び同様のものにおける自動化など、任意の種類の自動化のために使用され得る。したがって、上記のコンポーネント及び本開示の以下に説明される態様は、すべての業界における自動化に当てはまり得、研究室は単に一例に過ぎないということが理解され得る。例えば、組み立てられる必要がある自動車部品の画像、製図、青写真、CADファイルなどの1つ又は複数のテンプレートを、オペレータが選択し得、またコンピューティング・デバイスが受信し得る。選択されたテンプレートに基づいて、コンピューティング・デバイスは、組み立てられるべき異なるコンポーネントをどこに置くべきか、及び組立てのためにそれらがいくつ必要とされるかのデッキ・レイアウトを動的に生成し得る。コンピューティング・デバイスはまた、コンポーネントの説明を生成し得る。さらには、選択されたテンプレートに基づいたコンピューティング・デバイスは、オペレータがその自動車部品のために組立プロセス全体を独自にスクリプト操作する必要なしに、自動車部品の組立てを自動化するための一連のロボット・コマンドを動的に生成し得る。
【0031】
図2は、本開示の1つ又は複数の態様に従う例示的なロボット装置202の透視
図200を例証する。示されるように、ロボット装置202は、アッセイ、試験、実験など、研究室関連の自動化のために研究室において使用され得る。ロボット装置202は、ロボット206の下のデッキ上に配置される研究室設備/ステーション208を使用して、アッセイ、試験、実験などと関連付けられた様々なタスクを実施するようにロボット206に命令する且つ/又はコマンド送信するように構成され得るコンピュータ、この例ではラップトップ204など、に接続され得る。例えば、ラップトップ204から送信されるロボット・コマンドは、ロボット206に装着されるピペット操作器具を使用して1つの試験チューブから別の試験チューブへある量の液体を移送又は分配するようにロボット206に命令し得る。ロボット206及び研究室設備/ステーション208は、例証されるように、ロボット装置202内に一緒に収納され得ることが理解され得る。さらには、設備/ステーション208は、アッセイ、試験、及び/又は実験の種類に少なくとも部分的に基づいて、ロボット装置202のデッキ上に異なる方式で配置され得ることが理解され得る。
【0032】
図3は、本開示の1つ又は複数の態様に従うロボット装置のデッキ300上に配置されるステーションを例証する。例証されるように、デッキは、その上に、少なくとも1つの試薬ラック302、複数列の試料チューブ・ラック304、少なくとも1つのマイクロプレート保持器/保温器306、及び1つ又は複数のピペット・チップを保持するように構成される少なくとも1つのピペット・チップ保持器308を実施するための様々な研究室設備及び/又はステーションが配置され得る。以下の例にさらに説明されるように、デッキ300の例証された構成は、エンドトキシン・アッセイを実施することを動的に自動化するために使用され得る。
【0033】
コンピューティング・デバイス上で実行可能である自動化モジュールは、エンドトキシン・アッセイ・プロセスを動的に自動化するために研究室技術者などのユーザによって使用され得る。
図4は、本開示の1つ又は複数の態様に従う自動化モジュールのテンプレート選択インターフェース400を例証する。例えば、テンプレート選択インターフェース400は、テンプレート・リスト402内に選択可能なマイクロプレート・テンプレートのリストを表示することができる。例証されるように、リスト402内のマイクロプレート・テンプレートは、名前、試験タイプ、アッセイ・タイプ、分析者ID、ワークグループ、及び/又はテンプレートが修正された最終日によって、整理及び/又は分類され得る。さらには、テンプレート・リスト402の下部において、検索機能により、研究室技術者が少なくとも名前、分析者、試験タイプ、及びアッセイ・タイプによって、利用可能なテンプレートを検索することを可能にし得る。
【0034】
少なくとも1つのマイクロプレート・テンプレートが、自動化実行のためにユーザによって選択され得、ここでは、各マイクロプレート・テンプレートが異なるアッセイに対応し得る。
図4では、例えば、研究室技術者は、自動化実行のために2つのテンプレート「_0 SIMPLE High Reps」テンプレート及び「_2 MORE COMPLEX」テンプレートを選択する。示されるように、これら2つのテンプレートは、同じアッセイ・タイプを共有するが、異なる試験タイプであり、第1のテンプレートは「Routine」試験タイプ、第2のテンプレートは「InhibitEnhance」試験タイプである。テンプレート・リスト402の右に位置するプレビュー・ボックス404において、研究室技術者は、選択されたマイクロプレート・テンプレートをプレビューすることができ得る。プレビューは、グリッドの形態で図表提示され、グリッドの各セルがマイクロプレートのそれぞれのウェルに対応している。セルの各々はまた、マイクロプレート・ウェル内に何が含まれるかを示す、研究室技術者に対する情報を含み得る。情報は、ウェルが「BLANK」であること、STD値による「STD」、又は試料の名前を示し得る。プレビュー内の表示されたセルはまた、色分けされ得る。
【0035】
例として、プレビュー・ボックス404は、グリッド406がグリッド408よりも少ない「STD」グリッド・セルを含むことを示す。加えて、「_2 MORE COMPLEX」テンプレートに対応するマイクロプレートが、「_0 SIMPLE High Reps」テンプレートに対応するマイクロプレートと比較して2つの追加のカラム(カラム11及びカラム12)を有することも分かる。以下にさらに説明されるように、マイクロプレート・テンプレートの固有及び特定のグリッド構成は、自動化モジュールが、
自動化、例えば、エンドトキシン・アッセイを実施するためにどのロボット・コマンドを生成するべきかをオンザフライで決定することを可能にする。
【0036】
選択可能なテンプレートは、自動化モジュールを実行するコンピューティング・デバイス内に存在する1つ若しくは複数のデータベース、又はオフサイトに存在する1つ若しくは複数のデータベースのいずれかに記憶され得ることが理解され得る。例えば、テンプレートは、
図1の記憶デバイス130などの記憶デバイスに記憶され得、また
図1のコンピュータ101に類似し得るコンピューティング・デバイスによってアクセス可能であり得る。また、
図4で選択されるテンプレートは、複数のセルを含むグリッドとして描写されるが、テンプレートは、エンドトキシン・アッセイのための所望の試料(及びマイクロプレート内のそれらのそれぞれの場所)などの自動化の最終結果を自動化モジュールに示すことができる任意の好適なインジケータであり得る。
【0037】
所望のテンプレートが、ユーザによって、選択、プレビュー、及び/又は視覚確認された後、ユーザは、ロボット・デッキ設定プロセスを進め得る。言い換えると、自動化モジュールは、選択されたテンプレートに基づいて、試験材料が、自動化を実行するために、ユーザによって、どこに、及びどれくらい堆積及び設定されることになるかを動的に決定し得る。
【0038】
図5~
図10は、自動化を進めるためにユーザがロボット・デッキを設定するのを助けるためのロボット・デッキ設定インターフェース500~1000を例証する。
図5に例証されるインターフェース500などのデッキ設定インターフェースは、設定プロセスに関連した少なくとも3つの異なる構成要素:(1)デッキ・レイアウト502、(2)選択されたブロック詳細ボックス504、及び(3)デッキ設定チェックリスト506を表示し得る。
【0039】
デッキ・レイアウト502に示されるブロックの各々は、ロボット・デッキ上のステーションの物理的な場所に対応する。例えば、ブロック13は、
図3に例証される試薬ラック302に対応する。デッキ・レイアウト502内のブロック21は、
図3のマイクロプレート保持器/保温器306に対応する。ブロック19は、これも
図3に示される試料チューブ・ラック304に対応する。さらには、ブロック8は、ピペット・チップ保持器308に対応し得る。これらのブロックは、ユーザによって選択され得、選択時に、選択されたブロック詳細ボックス504は、例えば、研究室設備及び/又は搬送種類の名前、関連説明、並びに設備の所在地及び容積仕様を表示し得る。さらには、デッキ設定チェックリスト506にリストされるアイテムの各々は、例えば、アッセイを実行する前に、チェックマークを入れられ、確認される。
【0040】
図5は、選択されたブロック詳細ボックス504内のブロック10と関連付けられた設定詳細を示す。例として、それは、LAL試薬水を保持するための100ml桶がロボット・デッキ上のブロック10の場所に設定されることになることを表示する。選択されたブロック詳細ボックス504はまた、51436μlの最低容積が、自動化実行においてすべての選択されたテンプレートをサポートするために桶内に存在しなければならないことを指定する。
【0041】
図6内の選択されたブロック詳細ボックスは、アッセイ「_2 MORE COMPLEX」のための試薬バイアルを保持するための試薬ラックを表すブロック14と関連付けられた設定詳細を表示する。ラックは、8つの異なるバイアルのための8つの位置を有し、そのうちの第1のバイアルは、最低1000μlの50EU/mlエンドトキシンを保持するように設定されることになる。第2、第3、第4、第5、及び第6のバイアルは、各々がアッセイのために9600μlの最低必要LAL体積をサポートする2.6mlのLALバイアルである。指定されたバイアルは、選択されたブロック詳細ボックス内に示される位置に研究室技術者によって位置付けられなければならない。
【0042】
図7は、ウェル・マイクロプレートを表すブロック20に関連した情報を表示する選択されたブロック詳細ボックスを有するロボット・デッキ設定インターフェース700を例証する。例えば、マイクロプレートは、「_0 SIMPLE High Reps」テンプレートのためのものであり、左側の図表(
図4のプレビュー・ボックス404に示されるものと同じ図表であり得る)は、情報提示目的のためにマイクロプレートのレイアウトを示すということが示される。さらには、選択されたブロック詳細ボックスは、マイクロプレートが存在しなければならず、すべてのウェルが自動化のために空でなければならない(例えば、液体を含まない)ことを示し、また、マイクロプレートが自動化プロセス中に「All Zeros Virtual」リーダに移送されることを示す。
【0043】
図8は、16の異なるチューブを保持するように構成され得るチューブ・ラックに対応するブロック15に関連した情報を表示するロボット・デッキ設定インターフェース800の選択されたブロック詳細ボックスを示す。例証されるように、選択されたブロック詳細ボックスは、チューブ1~5がラック内に存在しなければならず、また空でなければならない(例えば、液体を含まない)ことを示す。チューブは、「_0 SIMPLE High Reps」テンプレートのための標準曲線希釈液を作成するために使用されることになる。さらには、選択されたブロック詳細ボックスの左側の図表は、チューブを示し、このチューブにおいて各標準は、ロボットによって作成されて、情報提示目的のために表示され得る。
【0044】
図8に類似して、
図9は、16の異なるチューブを保持するように構成されるチューブ・ラックに関連した情報(ブロック17に対応する)を表示する選択されたブロック詳細ボックスを有するロボット・デッキ設定インターフェース900を例証する。選択されたブロック詳細ボックスは、チューブが、補助製品希釈のための希釈液を含むことになること、及び各チューブが、自動化実行におけるすべてのアッセイをサポートするために、示された希釈液を少なくとも指定された体積測定値だけ含まなければならないということを示す。例えば、チューブ1は、少なくとも5901μlのベータ-G-ブロッカーを含むことになる。チューブ2は、少なくとも2623μlの塩化マグネシウム溶液を含むことになる。さらには、チューブ3は、少なくとも1624μlの塩酸を含むことになる。
【0045】
図10は、試料チューブ・ラックに対応するブロック19に関連した情報を表示する選択されたブロック詳細ボックスを有するロボット・デッキ設定インターフェース1000を例証する。選択されたブロック詳細ボックスは、選択されたブロック詳細ボックスの左側の図表に示されるように、空のチューブ17~30が第2のカラム(カラム番号27)内に置かれることになり、ソース試料チューブ1~4が第1のカラム(カラム番号26)内に置かれることになるという情報を含む。少なくともユーザの便宜のため、及びエラーを防ぐために、ソース試料チューブは色分けされる。
【0046】
上に説明されるように、自動化モジュールは、自動化を実行する前にユーザのためにデッキ・レイアウトを構築し、設備の名前、関連説明、並びに所在地及び測定仕様情報など、デッキ・レイアウトに使用されるべき研究室設備に関連した情報を自動的に決定して提供する。ユーザは、上記のロボット・デッキ設定インターフェースを介して設備の各々に関連した情報を閲覧することができ得る。
【0047】
少なくともその点において、エンドトキシン・アッセイ自動化のデッキ設定手順の1つの例は、ユーザがまず水桶及びLAL再構成桶をロボット・デッキ上に位置付けることを伴い得、それについての情報は、デッキ・レイアウト、例えば、
図5のデッキ・レイアウト502のブロック10を選択した後に閲覧され得る。次いで、ユーザは、試薬バイアルを位置付けし得、それについての情報は、ブロック13の選択時に見られ得る。ユーザは、次に、標準チューブをロボット・デッキ上に位置付け、それについての情報は、ブロック15が選択されたときに閲覧され得る(
図8に例証されるように)。その後、ユーザは、デッキ・レイアウトのブロック19と関連付けられた情報に従って試料チューブ及び希釈液チューブを位置付け得る。アッセイのためのマイクロプレートは、次いで、ブロック20及び/又は21に対応する情報に基づいて(自動化中にいくつのアッセイが実行されるかによって)位置付けされ得る。すべての研究室設備がデッキ設定手順に従って位置付けられ、測定値のすべてが確認された(例えば、デッキ設定チェックリスト内にリストされるすべてのアイテムにチェックマークを入れること)後、ユーザは、ロボット・デッキ設定インターフェース上で「Run Assay」アイコンを選択することによってアッセイ自動化を始め得る。
【0048】
図11は、本発明の1つ又は複数の態様に従う自動化モジュールの実行アッセイ・インターフェース1100を例証する。実行アッセイ・インターフェース1100は、例えば、自動化実行を開始及びモニタするための機能を提供する。示されるように、現在のステップ・ボックス1102は、現在実行しているステップの説明、及び特定のステップの経過時間を提供する。処理ステップ・ボックス1104及び1106は、アッセイの各々のために実施される処理ステップのリストを表示する。ステータス・ボックス1108は、合計経過時間、システム・ステータス、及び現在実行されているロボット・コマンド又はスクリプトのステータスを表示する。ランタイム・メッセージ・ボックス1110は、自動化実行進捗として更新され得る情報提示のランタイム・メッセージを表示する。インキュベータ・ボックス1112は、デック上のマイクロプレート保温器と関連付けられた情報及びステータスを表示する。自動化は、開始アイコン1114を選択することによって開始され得るか、又は中止アイコン1116を介して中止され得る。
【0049】
自動化実行が開始されると、ユーザ(例えば、研究室技術者)は、「立ち去る」ことができ、アッセイ・プロセスを子守する必要がない場合がある。選択されたマイクロプレート・テンプレート及び関連マップ(例えば、マイクロプレート内の各ウェルの場所)に基づいて、自動化モジュールは、研究室技術者のためにデッキ・レイアウトを構築する、研究室設備の必要な位置及び測定値を動的に決定、計算、及び提供する、並びにまた、適切な時間にマイクロプレート・リーダ内外にマイクロプレートを移送することなど、実行を完了するために必要とされるすべての処理を実行するために上記のロボット装置のロボットのための一連のロボット・コマンドを動的に生成するなど、様々なことを動的に行うことができる。
【0050】
エンドトキシン・アッセイ自動化の場合、自動化モジュールは、本開示の1つ又は複数の態様に従うアッセイの多数のステップを完全に自動化するためにロボット・コマンドを動的に生成し得る。例として、自動化ステップは、(1)試料希釈(例えば、すべての必要な試料希釈液を適用すること)、(2)陽性製品コントロール(PPC:Positive Product Control)試料を含む試料をマイクロプレート上に置くこと、(3)水ブランクをマイクロプレート上に置くこと、(4)標準曲線のために必要とされる希釈液を作成すること、(5)標準希釈液をマイクロプレート上に置くこと、(6)PPCスパイクをマイクロプレート上の必要とされるウェルに追加すること、(7)マイクロプレートをインキュベーションのためにマイクロプレート・リーダへ移動させること、(8)マイクロプレートがインキュベートする間に各バイアル内の試薬を再構成すること、(9)マイクロプレート・リーダからマイクロプレートを取り除き、マイクロプレートをロボット・デッキ上のプレート保温器に戻すこと、(10)試薬をマイクロプレート上の必要とされる各ウェルに追加すること、(11)マイクロプレートを処理のためにマイクロプレート・リーダへ移動させること、及び(12)マイクロプレート・リーダ内
にマイクロプレートを置いた後に、マイクロプレートを読み込み、自動化実行の結果を処理することを含み得る。
【0051】
処理結果及び対応するデータは、自動化モジュールを実行するコンピューティング・デバイス内に存在する1つ又は複数のデータベース、又はオフサイトに存在する1つ又は複数のデータベースのいずれかに記憶され得る。例えば、結果及び/又はデータは、
図1の記憶デバイス130などの記憶デバイスに記憶され得、また
図1のコンピュータ101に類似し得るコンピューティング・デバイスによってアクセス可能であり得る。
【0052】
図12は、本開示の1つ又は複数の態様に従う、上記のエンドトキシン・アッセイを実施するためのシステムなどの自動化システムを動的に制御するためのフロー図を例証する。上に説明されるように、動的制御は、自動化モジュールによって実施及び実行され得る。ステップ1202において、自動化モジュールは、自動化実行のためにユーザによって選択される少なくとも1つのテンプレートを受信し得る。テンプレートは、各エンドトキシン・アッセイに使用されるべきマイクロプレートのマップであり得、ここではマップは、マイクロプレートの各ウェルの場所を指定する。ステップ1204において、自動化モジュールは、ユーザのためにロボット・デッキ・レイアウト手順を生成し、アッセイに使用されるべきすべての研究室設備についての様々な位置/測定値を決定し得る。ステップ1206において、自動化モジュールは、次いで、ロボット・デッキが適切に設定されているという確認を受信し、またデッキ設定チェックリストにリストされるすべてのアイテムについての確認を受信し得る。続いて、自動化が実行される。
【0053】
ステップ1208において、自動化モジュールは、ステップ1202において受信した選択されたマップ・テンプレートに基づいて自動化を実施するために一連のロボット・コマンドを動的に生成する。続いて、ブロック1210において、ロボット・コマンドは、ロボット装置に引き渡される。また、ブロック1212において、本例ではエンドトキシン・アッセイなどの、自動化の結果が処理され、上に説明されるようなデータベースなどのメモリに記憶され得る。
【0054】
エンドトキシン試験は、人間及び動物の患者を治療するために使用される医薬品の安全性を確実にするために医療及び生物化学業界にわたって使用される必須の品質管理(QC:Quality Control)試験である。これらの試験ステップにおけるエラー又は非効率性は、生産において受け入れ難いバックログを作成し、総費用及び時宜にかなった製品リリースの両方に大きな影響を及ぼし得る。エンドトキシン試験には複数の試験方法が存在し、どの方法を研究室が使用しているかに関係なく、試験者は、多数のピペット操作及びデータ入力ステップを実施することを要求されることになる。これらのピペット操作及びデータ入力ステップを自動化していない研究室は、退屈且つエラーを起こしやすいステップを実施するために追加のリソースを必要とする。
【0055】
これらの問題を解決するために、エンドトキシン試験と関連付けられたルーチン手動タスクのプロセス最適化及び自動化を通じて、QC研究室のパフォーマンスを能率化及び改善することができる次世代自動化エンドトキシン試験プラットフォームが提供される。自動化のポイントは、時間の低減及び節約及び手動タスクのパフォーマンスと関連付けられたエラーの低減、並びに全体的な費用節約を通じて投資利益率を最大限にすることに絞られる。
【0056】
本開示の1つの態様において、自動化エンドトキシン試験プラットフォームは、WinKQCL(商標)エンドトキシン検出ソフトウェアに基づいたモジュラ・プラットフォーム製品である。これは、ロボット液体処理システムと、マイクロプレート・リーダ及び試薬と、ロボット管理ソフトウェア、LIMS、CAPAシステム、又は発明者らのMODA(商標)EMタスク・マネージャへの相互接続されたソフトウェア・アプリケーションとを備える包括的なカスタム・ソリューションであり、システム間のデータ及びタスクを共有する柔軟で構成可能な手段を重視する。
【0057】
以下に説明されるように、例えば、エンドトキシン試験に必要な、標準の準備、複雑なルーチン、及び/又は希釈スキームを再現性よく且つ確実に実施するロボット・システムの能力、並びに大規模様式で実施されるときに自動化ソリューションの効率性、正確性、及び有効性を実証するロボット・システムの能力を実証するデータが示される。
【0058】
エンドトキシン試験は、非経口剤及び医療機器の安全性を確実にするための製薬業界におけるリリース試験に使用される必須の品質管理(QC)試験、並びにこれらの市場で販売される数えきれない程の他の原材料製品のための一般的に実行される品質管理試験である。しかしながら、必要とされる厳密な精度、及びさらには、試験プロセスのルーチン性が理由で、管理者及びスタッフの最良の努力にもかかわらず、人的エラーがこのプロセスの中に紛れ込む。それにもかかわらず、エンドトキシン試験のルーチン性はまた、エンドトキシン試験を自動化ソリューションに適したものにし、それにより人的エラーの可能性を実質的に低減することができる。エンドトキシン試験の自動化ソリューションの完全実装は、QC研究室におけるパフォーマンスの能率化及び改善をもたらす可能性が高く、またプロセス最適化を通じて、時間節約、より少ないエラー、及び全体的な費用節約を結果としてもたらす。
【0059】
より徹底的且つ包括的なエンドトキシン試験への増大した需要の観点から、例えば、大規模製造業者では、アドオン自動化モジュールが、WinKQCL(商標)エンドトキシン検出ソフトウェアに提供される。態様において、WinKQCL(商標)自動化モジュールは、自動化エンドトキシン試験実行を設定するプロセスを簡略化し、既存のWinKQCL(商標)テンプレートの選択及び使用をサポートする。WinKQCL(商標)テンプレートが選択されるとき、ロボット・デッキのレイアウト・マップは、動的に生成され、表示される。マップは、実験機器及び試薬をロボット・デッキ上に位置付けるための命令を提供し、また、アッセイに使用される各液体の必要な体積を計算し、表示する。デッキ・レイアウト・マップ上に表示されるブロックコンポーネントは、ロボット・デッキ上の物理的なグリッド位置に対応する。マップは、ソフトウェア・チェックリストを含み、チェックリスト内の各アイテムはロボット・デッキ上のアイテムに対応している。チェックリスト内の各アイテムは、アッセイを実行する前に確認されなければならない(場所、体積など)。
【0060】
本開示のさらに別の態様において、アッセイの開始時に、アッセイを実施するためのロボット制御コードは、選択されたWinKQCL(商標)テンプレートに完全に基づいて(プログラミング又はロボット・スクリプティング知識は必要とされない)動的に生成される。自動化アッセイが開始されると、分析者は立ち去ることができる。ロボットは、インキュベーションのための適切な時間におけるマイクロプレート・リーダ内外へのマイクロプレート移送を含む、実行を完了するために必要とされるすべての処理を実行する。マイクロプレート設定が完了すると、マイクロプレートは、マイクロプレート・リーダへ移送され、アッセイが終了するとき、WinKQCL(商標)ソフトウェアは、マイクロプレートを自動的に読み込み、結果をデータベースに保存する。WinKQCL(商標)自動化モジュールは、ロボットプロセスに簡便且つ確実なフロントエンドを提供し、設定、ピペット操作ステップ、及び計算における人的エラーの可能性を除去する、又は大いに低減する。
【0061】
標準曲線の設定及び複雑な希釈スキームにおけるソフトウェアの容易さ及び実用性、並びに標準及び試料をピペット操作することにおけるロボット・システムの正確性が、少なくとも達成される。加えて、データは、大規模環境におけるロボット・ピペット操作の実現性及び正確性を容易に実証し、且つ、手動タスクのパフォーマンスと関連付けられた時間の節約及びエラーの低減、並びに全体的な費用節約という自動化ソリューションの利点を実証する。
【0062】
以下に説明されるように、様々な種類の設備が、本開示の例に使用され得る。例えば、それらは、Lonzaエンドトキシン自動化ソフトウェア・モジュールなどと一緒に、Freedom EVOware(登録商標)ソフトウェア、バージョン2.6、サービスパック3、Tecan Sunrise(商標)プレート・リーダ、Lonza WinKQCL(商標)エンドトキシン検出及び分析ソフトウェアを利用する、Tecan Freedom EVO(登録商標)150ロボット・プラットフォームを含み得る。
【0063】
試薬は、例えば、Lonzaカブトガニ血球抽出成分Kinetic-QCL(商標)、カタログ番号50-650U、Lonza USP標準品エンドトキシン(RSE)、カタログ番号E700、及びLonza LAL試薬水、W50-100又は均等物などを含み得る。
【0064】
消耗品は、例えば、キャップなしのLonza発熱物質フリー希釈チューブ13×100mm、N207、Lonza LAL試薬用マルチウェル・プレート、カタログ番号25-340、Lonza Eppendorf Biopur(登録商標)ピペット・チップ1000μL、カタログ番号25-417、Lonza Eppendorf Biopur(登録商標)ピペット・チップ200μL、カタログ番号25-415、及びLonzaエンドトキシン・フリー試薬リザーバ、カタログ番号190035を含み得る。
【0065】
図13は、自動化エンドトキシン試験実行を実行するために必要とされるステップのフロー図を例証する。第一に、自動化実行に使用されるべきWinKQCL(商標)マイクロプレート・テンプレートを選択する。マイクロプレート・テンプレートのリストは、WinKQCL(商標)データベースから直接インポートされる。ワークリスト・テンプレートは、LIMS、CAPAシステム、又は本発明者らのMODA(商標)EMタスク・マネージャなどの中央データベースからWinKQCL(商標)ソフトウェアへインポートされる。各テンプレート内で指定される希釈及びPPC要件は、ソフトウェアにより収容される。第二に、ロボット・デッキ・レイアウトを設定及び確認する。第三に、アッセイを開始する。結果は、LIMS、CAPA、MODA、又は所望の場合は他のシステムにエクスポートされ得、システム間でデータ及びタスクを共有する柔軟で構成可能な手段を重視する。
【0066】
図14及び
図15は、手動又はロボットのいずれかにより生成される12の標準曲線の比較を示す。
【0067】
図14は、12の手動及びロボット生成された標準曲線についての平均反応時間を有するチャートを例証する。標準についての%CVに見られるように、CVのすべては3%未満であり、大半は2%CV近く又はそれ未満であり、これは、当業者により理解され得るように、十分に業界標準の範囲内であり得る。
【0068】
図15は、重ね合わされた24のすべての手動及びロボット生成された標準曲線を示し、ロボット標準曲線を破線で、これらの上に重ね合わされた手動標準曲線を実線で示している。標準曲線のすべてが、業界標準に合格し、有効な曲線である。これらのデータは、当業者により理解され得るように、ロボット生成された標準曲線及び手動生成された標準曲線が同等であることを示す。
【0069】
図16及び
図17は、自動化対手動のエンドトキシン比較研究からの結果、及び、自動化システムを使用して0.5EU/mLスパイクのリカバリのために希釈及び試験された1EU/mL試料のPPCリカバリ結果を示す。
【0070】
図16では、0.01EU/ml、0.1EU/ml、及び1.0EU/mlの知られているエンドトキシン濃度が、12のアッセイにわたって自動化システム及び手動の両方で試験された。データは、当業者により理解され得るように、自動化システム結果及び手動の結果がほぼ同一であることを示す。
【0071】
図17では、試料及び希釈液は、0.5EU/mL PPCスパイクを含んでいた。データは、当業者により理解され得るように、スパイク・リカバリについて103の測定値の100%が、許容可能な50%~200%リカバリ範囲(黒線)内に入ることを示す。
【0072】
図18は、大規模自動化ソリューションから得られるデータを示す。半自動化ロボット・ソリューションであるが、このシステムは10年にわたって採用されており、ロボット・ソリューションで入手可能な正確性及び一貫性の例である。25,000超の標準曲線実行のうち、99.67%の標準曲線は合格しており、平均%CVが1.07%であり、ロボット・ピペット操作で獲得可能な結果を効果的に実証している。当業者により理解され得るように、500,000超の試料(試料及び試料+PPC)が試験され、97%超の合格率及び1.19%CV(試料のみの場合)であった。
【0073】
本発明は、様々な形で有利である。本開示に説明されるように、自動化(例えば、ロボット・コマンドの生成)は、完全に動的である。言い換えると、ユーザは、自動化プロセスの前にロボット装置のためのロボット・コマンドのすべてを事前にプログラミングすること又は事前に組み立てることを必要とされない。自動化モジュールは、選択されたテンプレート及びテンプレートの固有の特徴だけに基づいて、リアルタイム及び/又はオンザフライで、ロボット・コマンドを構築するように構成され得る。さらには、本発明は、自動化モジュールが、さもなければユーザによって手計算されなければならない、自動化中に使用される研究室設備と関連付けられたすべての必要な位置及び測定値をユーザが設定し、また動的に決定及び計算するために、ロボット装置のデッキ・レイアウトを自動的且つ動的に築くという点で有利である。少なくともその点において、自動化モジュールは、自動化時間及び全体的な人的エラーを低減する。
【0074】
エンドトキシン試験は、非経口剤及び医療設備のリリース試験、並びに製薬業界において製造プロセスに入る原材料の試験において重要な役割を果たし、製造のこの時点での障害は、効率的な製造及びこれらの製品のリリースにおいて律速ステップになり得る。
【0075】
モニタリング及び試験の増大した需要が理由で、本明細書に説明される動的自動化並びに上記動的に自動化される特徴を組み込むソフトウェア及びシステムは、経験豊富な技術者によって手動で実行されるアッセイのパフォーマンスと等価の、又はそれより優れたパフォーマンスをも提供するエンドトキシン・アッセイを実施するために最低限の人の介入を必要とする自動化システムの開発を促進する。
【0076】
本明細書に説明される動的自動化並びに上記動的に自動化される特徴を組み込むソフトウェア及びシステムの、標準曲線を正確に生成し、複雑な希釈スキームに容易に対処する能力が本明細書に実証される。例えば、本明細書に説明される動的自動化並びに上記動的に自動化される特徴を組み込むソフトウェア及びシステムの簡潔さは、プログラミング又はロボット・スクリプティング知識を必要とせず、結果は、既存のLIMS、CAPA、MODA、又は他のデータベース内外へ容易に転送され得る。
【0077】
いくつかの態様において、エンドトキシン自動化モジュールを用いたロボット・デッキの設定の簡潔さは、大規模形式でのロボット・ピペット操作の実証可能な正確性とのバランスが取れている。本発明者らの顧客からのデータに見られるように、ロボット環境における標準曲線及び試料の両方の一貫性及び正確性は、質及び量の両方において圧倒的である。
【0078】
そのようなものとして、適切なロボット・システムと結合された本明細書に説明される動的自動化は、様々なクライアントデータベースとの完全な相互接続性を伴って、エンドトキシン試験プラットフォームを含む完全自動化プラットフォームの基礎を作り、それが、スループット及び正確性の増大、人的エラーの低減、試験を実施するために技術者により必要とされる作業時間の低減、人間工学ストレス及び反復運動損傷の低減、並びに効率性の全体的な改善をもたらすこととなる。
【0079】
先述の開示は、単に本発明を例証するために明記されており、制限することは意図されない。本発明の趣旨及び要旨を組み込む開示された実施例の修正は当業者に想起され得るため、本発明は、添付の特許請求項の範囲内のすべてのもの及びそれらの均等物を含むことが企図されるべきである。本開示は、専門家以外にはなじみがない可能性のある用語及び頭字語を使用するが、当業者は、本明細書で使用される用語及び頭字語になじみがあるものとする。