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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-26
(45)【発行日】2024-10-04
(54)【発明の名称】物品供給装置および物品供給システム
(51)【国際特許分類】
   G07F 11/44 20060101AFI20240927BHJP
   G07F 9/02 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
G07F11/44
G07F9/02 101A
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2023023834
(22)【出願日】2023-02-17
(62)【分割の表示】P 2021001135の分割
【原出願日】2019-07-12
(65)【公開番号】P2023053413
(43)【公開日】2023-04-12
【審査請求日】2023-02-17
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000135748
【氏名又は名称】株式会社バンダイ
(72)【発明者】
【氏名】近藤 創
(72)【発明者】
【氏名】黒川 信夫
(72)【発明者】
【氏名】小林 祐樹
(72)【発明者】
【氏名】皆川 健一
【審査官】中村 泰二郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-023897(JP,A)
【文献】特開平09-054869(JP,A)
【文献】特開2006-178610(JP,A)
【文献】特開2003-187319(JP,A)
【文献】特開2016-184321(JP,A)
【文献】特開2001-357448(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0143077(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07F 1/00-17/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品供給装置であって、
装置本体部と、
シャフト部に連結され、前記装置本体部の前壁の前において回転可能に配置されている操作部と、
前記装置本体部に配置されている物品収容部と、
前記装置本体部の前壁の後において、前記シャフト部の回転により、変位可能に配置されている変位部と、
前記装置本体部の前壁の後において、前記変位部の変位に応じて作動可能に配置されているスイッチ部と、
前記スイッチ部の作動に応じて供給信号を管理サーバに送出可能な供給信号送出部と、
前記物品収容部内に物品が有るときに前記物品収容部内の物品を供給可能、且つ前記物品収容部内に前記物品が無いときに供給不能な物品供給部と、
前記物品収容部内に前記物品が無くなったときに売切信号を管理サーバに送出可能な売切信号送出部と、を備え、
前記物品供給部は、前記操作部の操作に応じた前記シャフト部の回転により、前記物品を供給可能構成されている、
物品供給装置。
【請求項2】
前記供給信号送出部は、前記物品収容部内に物品が有る状態において、供給信号を送出するように構成されている、
請求項1に記載の物品供給装置。
【請求項3】
前記供給信号送出部は、供給信号を管理サーバに送出可能に構成され、送出された前記供給信号に基づき、前記物品収容部に収容されている物品の収容残数を前記管理サーバにおいて確認可能である、
請求項1または2に記載の物品供給装置。
【請求項4】
前記売切信号送出部は、前記供給信号送出部により供給信号が送出された後に、売切信号を送出可能に構成されている、
請求項1~3のいずれか1項に記載の物品供給装置。
【請求項5】
前記物品供給部は、円盤状を成し、前記物品を保持する複数の保持孔が上面視で等角度間隔で形成され、所定の硬貨の投入を条件として、所定角度の回転が可能に構成されている、
請求項1~4のいずれか1項に記載の物品供給装置。
【請求項6】
前記装置本体部には、前記保持孔に保持されている前記物品を転動可能に通過させる供給通路部が形成され、
前記供給通路部は、少なくともその一部が円筒状を成している、
請求項5に記載の物品供給装置。
【請求項7】
前記装置本体部の前壁には、前記物品収容部内に前記物品が無くなったときに売切れ状態になったことを示す売切れ表示部が設けられている、
請求項1~6のいずれか1項に記載の物品供給装置。
【請求項8】
前記物品供給部は、前記物品収容部内に配置されている、
請求項1~7のいずれか1項に記載の物品供給装置。
【請求項9】
前記装置本体部は、外観が直方体状を成し、前記物品収容部は、その上部に配置されている、
請求項1~8のいずれか1項に記載の物品供給装置。
【請求項10】
前記物品収容部は、前記装置本体部に対し、ロック部によるロックの解除により、前方に引き出し可能に構成されている、
請求項1~9のいずれか1項に記載の物品供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、供給操作に応じて物品を供給可能な物品供給装置と、当該物品供給装置を用いた物品供給システムに関する。
【背景技術】
【0002】
後記特許文献1には、硬貨投入後にハンドルを回してドラムを回転させることにより、ボックス内のカプセル商品をドラムから商品排出口に排出可能な自動販売機(以下、単に装置と言う)が開示されている。この装置は液晶表示手段を備えており、ボックス内にカプセル商品が無くなったときに、当該カプセル商品が売り切れであることを液晶表示手段に表示することが可能である。
【0003】
ところで、前記の売り切れは、装置の管理が委託されているメンテナンス業者の巡回員または当該装置を設置している店舗の従業員によって確認されるのが一般的であるため、実際に売り切れになった時点と売り切れが確認された時点とに時間差が生じ得る。この時間差は売り切れ状態の継続時間に相当するため、とりわけ売り切れ状態が長期に及ぶと需要者が不便を感じる他、店舗に対する印象が悪化する等の懸念が生じる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2006-178612号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、売り切れに伴う不便を極力解消できる物品供給装置および物品供給システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る物品供給装置の一態様は、供給操作部への供給操作の付与により、供給操作部に連結されたシャフト部の回転に基づき、物品収容部内の物品を供給可能な物品供給手段であって、物品収容部内に物品が有るときに供給操作の付与に基づく動作によって物品を供給可能な物品供給部と、物品収容部内に物品が無いときに供給操作が付与されても物品供給部を動作不能とする供給阻止部とを少なくとも含む物品供給手段と、物品収容部内に物品が無くなったときに売切信号を送出可能な売切信号送出手段と、物品収容部内に物品が有るときに供給操作の付与に応じて供給信号を送出可能な供給信号送出手段であって、供給操作が付与されたときに供給を検知可能な供給検知部を含む供給信号送出手段と、を備え、供給検知部は、シャフト部に設けられたスイッチ作動部と、スイッチ作動部の回転により作動可能な押圧型スイッチ部とを含む。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る物品供給装置および物品供給システムによれば、売り切れに伴う不便を極力解消することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1(A)は本発明の適用例を示す物品供給装置の前面図、図1(B)は同左側面図、図1(C)は同縦断面図、図1(D)および図1(E)は図1(A)~図1(C)に示した物品収容部に収容可能な物品の説明図である。
図2図2(A)および図2(B)は図1(A)に示した供給阻止部の説明図である。
図3図3図1(A)~図1(C)に示した物品供給装置の制御系の説明図である。
図4図4は本発明の適用例を示す物品供給システムの概略図である。
図5図5図4に示した第1通信装置の制御系の説明図である。
図6図6図4に示した第1通信装置の接続態様の説明図である。
図7図7図4に示した第2通信装置の制御系の説明図である。
図8図8図4に示した管理サーバーの制御系の説明図である。
図9図9図4に示した管理サーバーの表示部に表示される管理表の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
《物品供給装置》
図1(A)~図1(C)は本発明の適用例に係る物品供給装置100の構成を示し、図1(D)および図1(E)は物品ARを示し、図2(A)および図2(B)は供給阻止部110の構成および動作を示し、図3は物品供給装置100の制御系を示す。
【0010】
まず、物品ARと物品供給装置100の構成について説明する。物品供給装置100の説明では、便宜上、図1(A)の手前側を前、奥側を後、左側を右、右側を左、上側を上、下側を下と表記し、図1(B)、図1(C)、図2(A)および図2(B)についてもこれと同様に向きを表記する。また、物品供給装置100の物品収容部102内に物品ARが有るときを「非売り切れ状態」と表記し、物品収容部102内に物品ARが無くなったときを「売り切れ状態」と表記する。
【0011】
物品ARは、外観が球状または球状に類似の形状を成すもの、すなわち、転がりを可能としたものであれば特段の制限はない。具体例としては、着脱可能な2個のカプセル構成部品の内側に玩具が収納されたもの(図1(D)を参照)や、丸まった態様の玩具の表面をフィルム等で覆ったもの(図1(F)を参照)等を挙げることできる。物品ARの外形にもよるが、物品収容部102の物品ARの最大収容数は概ね40個~120個の範囲内で定められている。
【0012】
物品供給装置100は、装置本体101と、物品収容部102と、供給操作部103と、物品供給手段(符号省略)と、物品取出口104と、硬貨投入口105と、硬貨返却ボタン106と、硬貨返却口107と、売切信号送出手段(符号省略)と、供給信号送出手段(符号省略)とを備えている(図1(A)、図1(B)および図1(C)を参照)。
【0013】
なお、硬貨投入口105は500円硬貨等の硬貨が投入される部位であり、硬貨返却ボタン106は投入硬貨を返却するための部位であり、硬貨返却口107は返却硬貨が取り出される部位であるが、これらについては本出願人による特開2016-053993号公報等により公知であるためその詳細説明を省略する。
【0014】
装置本体101は外観が略直方体状を成し、前面、左側面および右側面が開放された収容部出入口101aを上部に備えている(図1(A)および図1(B)を参照)。すなわち、物品収容部102は、前壁部と左右側壁部の前部分が露出するように装置本体101に引き出し可能に配置されていて、図示省略のロック部によるロックを解除することにより収容部出入口101aを通じて前方に引き出すことが可能である(図1(C)を参照)。
【0015】
物品収容部102は上面が開放された略直方体状の箱から成り、少なくとも前壁部と左右側壁部の前部分が透明または半透明に構成されている(図1(A)、図1(B)および図1(C)を参照)。すなわち、前壁部の内側に配置されている図示省略の印刷物(物品ARの写真や説明等が掲載されたもの)を当該前壁部を通じて外部から視認できるとともに、物品収容部102に収容されている物品ARを左右側壁部の前部分を通じて外部から視認できるようになっている。
【0016】
また、物品収容部102の下壁部102aの上面は平坦であり、当該下壁部102aの上面の前部分上には物品ARを後方に誘導する傾斜部102bが設けられている(図1(C)を参照)。さらに、下壁部102aの上面の後部分には、上面視が円状の窪み部102a1が設けられ、当該窪み部102a1の底面には上面視が円状の物品供給口102a2が設けられている(図1(C)、図2(A)および図2(B)を参照)。
【0017】
供給操作部103は、取っ手付きの円盤状を成し、装置本体110の前壁の前面に回転可能に配置されている(図1(A)および図1(B)を参照)。また、供給操作部103にはシャフト103aの前端が連結され、当該シャフト103の後端は装置本体110の後壁の前面に回転自在に支持されている(図1(C)を参照)。この供給操作部103は供給操作が付与される部位であり、当該供給操作は例えば供給操作部103を前から見たときの360度の回転である。また、供給操作部103のシャフト103aの後部およびその上方には、シャフト103の回転を物品供給部108に伝達可能な複数の歯車から成る歯車機構103bが設けられている(図1(C)を参照)。
【0018】
物品供給手段(符号省略)は、非売り切れ状態で前記の供給操作の付与に基づく動作によって物品ARを供給可能な物品供給部108と、物品供給部108から供給された物品ARを物品取出口104に導く供給通路部109と、売り切れ状態になったときに前記の供給操作が付与されても物品供給部108を動作不能とする供給阻止部110とを含んでいる(図1(C)、図2(A)および図2(B)を参照)。
【0019】
物品供給部108は、全体が円盤状を成し、複数(図示例では5個)の保持孔108aを上面視で等角度間隔で備えている(図2(A)および図2(B)を参照)。各保持孔108aの上面視形状は物品ARの外形よりも僅かに大きな円形であり、各保持孔108aの内周面の外寄りの一部は開放している。この物品供給部108は、物品収容部102の窪み部102a1に、各物品保持孔108の上部が物品収容部102の下壁部102aの上面から上方に突出するように回転可能に配置されている(図1(C)を参照)。
【0020】
また、物品供給部108の上面中央には、中央突起とその周囲に配された複数の可撓性部品(例えば引っ張りコイルバネ様のもの)とから構成された撹拌部108bが設けられている(図1(C)を参照、図2は図示省略)。
【0021】
さらに、図示を省略したが、物品供給部108の下面周囲にはフェースギア状の歯が設けられ、当該歯の一部は、物品収容部102の窪み部102a1の底面に設けられた孔に位置していて、供給操作部103の歯車機構103bの最上位の歯車と噛み合っている。すなわち、物品供給部108は、前記の供給操作の付与に基づいて所定角度の回転が可能である。
【0022】
供給通路部109は、全体が湾曲または屈曲した円筒状を無し、物品収容部102の窪み部102a1の底面に在る物品供給口102a2の下端から物品取出口104の後端に至る供給通路109aを有している(図1(C)を参照)。ちなみに、供給通路部109は物品供給部108から供給された物品ARを物品取出口104に導くことができれば必ずしも筒状である必要はなく、例えば装置本体101の内部に設けた湾曲または屈曲した溝等で代用できる。
【0023】
供給阻止部110は、全体がL状またはJ状を成す部品から成り、物品収容部102の下壁部102aの上面に回転可能に配置され、図示省略の捻りコイルバネや圧縮コイルバネ等のバネ部材によって上面視で時計回り方向に付勢されている(図2(A)および図2(B)を参照)。
【0024】
すなわち、売り切れ状態になって供給部108の図2(A)の左上の保持孔108aに物品ARが保持されていないとき、供給阻止部110はその後端部が当該保持孔108aに入り込むように回転変位して物品供給部108を動作不能とすることができる。
【0025】
一方、非売り切れ状態で物品供給部108の図2(B)の左上の保持孔108aに物品ARが保持されているとき、供給阻止部110は当該物品ARによって前掲の変位ができないために物品供給部108を動作不能とすることはできない。
【0026】
売切信号送出手段(符号省略)は、売り切れ状態になったときに売切信号を送出可能な手段であり、供給阻止部110が物品供給部108を動作不能とする位置に回転変位したときに売り切れを検知可能な売切検知部152(図3を参照)を含んでいる。売切検知部152は、例えば、供給阻止部110の前端部に設けられた磁石部111と、当該磁石部111の磁力により作動する第1スイッチ部112とを少なくとも備えている(図1(C)および図2(B)を参照)。
【0027】
図示例では、磁石部111が物品収容部102内に設けられ、第1スイッチ部112が装置本体101内(物品収容部102よりも下)に設けられているため、物品収容部102の下壁部102aには磁石部111の磁力を第1スイッチ部112に伝えるための柱状の磁性体部113が設けられている(図1(C)、図2(A)および図2(B)を参照)。ちなみに、磁石部111は好ましくはネオジム磁石やサマリウムコバルト磁石等の希土類磁石から成り、第1スイッチ部112は好ましくはリードスイッチから成り、磁性体部113は好ましくは鉄等の強磁性体から成る。なお、第1スイッチ部112を物品収容部102側に設けることが可能な場合、磁性体部113は必ずしも必要なものではない。
【0028】
すなわち、売り切れ状態になって物品供給部108の図2(A)の左上の保持孔108aに物品ARが保持されていないとき、供給阻止部110はその後端部が当該保持孔108aに入り込むように回転変位し、同回転変位によって磁石部111が磁性体部113上に変位するため、当該磁石部111の磁力を磁性体部113を介して第1スイッチ部112に伝えて当該第1スイッチ部112を作動させることができる。
【0029】
一方、非売り切れ状態で物品供給部108の図2(B)の左上の保持孔108aに物品ARが保持されているとき、供給阻止部110は当該物品ARによって前掲の変位ができず、磁石部111は磁性体部113と離れた位置にあるために第1スイッチ部112を作動させることはできない。
【0030】
供給信号送出手段(符号省略)は、物品収容部102内に物品ARが有るときに前記の供給操作の付与に応じて供給信号を送出可能な手段であり、前記の供給操作が付与されたときに供給を検知可能な供給検知部153(図3を参照)を含んでいる。供給検知部153は、例えば、前記の供給操作の付与に基づいて変位可能なスイッチ作動部114と、当該スイッチ作動部114の変位により作動する第2スイッチ部115とを備えている(図1(C)を参照)。
【0031】
スイッチ作動部114は好ましくは供給操作部103のシャフト部103aに設けられた偏心カム等の回転変位部品から成り、第2スイッチ部115は好ましくは当該回転変位部品の変位途中、例えば供給操作部103を180度~270度回転させたところで作動可能なマイロスイッチ等の押圧型スイッチから成る(図1(C)を参照)。
【0032】
すなわち、非売り切れ状態で供給操作部103に供給操作が付与されてシャフト部103aおよびスイッチ作動部114が360度回転すると、スイッチ作動部114の回転変位途中で第2スイッチ部115を1回作動させることができる。
【0033】
次に、前述の物品供給装置100の制御系について説明する。この制御系は、図3に示したように、マイクロコンピュータ構成の主制御部151と、売切検知部152と、供給検知部153と、送信部154とを備えている。
【0034】
売切検知部152は前記の第1スイッチ部112を含み、供給検知部153は前記の第2スイッチ部115を含む。送信部154は、売切検知部152で検知され売切信号(好ましくは2値化された信号)と供給検知部153で検知された供給信号(好ましくは2値化された信号)とを送出可能な兼用の出力端子154aを有しており、当該出力端子154aは装置本体101の背面に設けられている。また、制御系用の電源は、乾電池や充電池から取る他、AC-DCアダプタを用いて商用電源から取るようにしてもよい。
【0035】
次に、前述の物品供給装置100の動作について説明する。
【0036】
非売り切れ状態で硬貨投入口105に所定の硬貨を投入して供給操作部103に供給操作を付与すると(図1(C)を参照)、物品供給部108が所定角度回転して保持孔108aに保持されている物品ARが物品供給口102a2を通じて供給通路部109内に落下し(図2(B)を参照)、当該物品ARが供給通路109aを通じて物品取出口104に導かれる。
【0037】
一方、売り切れ状態になると、先に説明したように供給阻止部110の後端部が保持孔108aに入り込んでいて物品供給部108が動作不能となるため(図2(A)を参照)、供給操作部103に供給操作を付与することはできない。
【0038】
また、非売り切れ状態で供給操作部103に供給操作(360度の回転)が付与されたときに、供給検知部153を構成する第2スイッチ部115の検知信号に基づく供給信号が送信部154の出力端子154aに送出される。
【0039】
さらに、売り切れ状態になると、売切検知部152を構成する第1スイッチ部112の検知信号に基づく売切信号が送信部154の出力端子154aに送出される。
【0040】
ちなみに、1台の物品供給装置100からは、通常、供給信号が送出された後に売切信号が送出されるため、換言すれば、1台の物品供給装置100から供給信号と売切信号が同時に送出されることはないため、これら信号を送出する際の信号制御は不要である。
【0041】
よって、複数台の物品供給装置100のいずれかが売り切れ状態になったときでも該当する物品供給装置100から直ちに売切信号が送出されるため、当該売切信号を利用することによって物品ARの売り切れを時間差を生じずに確認することが可能である。また、非売り切れ状態では物品ARが供給される度に供給信号が送出されるため、当該供給信号を利用することによって各物品供給装置100の収容残数等を確認することも可能である。
【0042】
なお、前述の物品供給装置100に、売り切れ状態になったことを需要者に視認させるための売切表示を採用してよい。この売切表示には、例えば本出願人による特開2016-053993号公報に記載のような機構、すなわち、物品収容部102の前壁部の内側に縦断面略L状の売切表示部を回転可能に配置し、当該売切表示部を、物品供給部108の図2(A)の左上の保持孔108aに供給阻止部110の後端部が入り込むときの回転変位を利用して回転させて、物品収容部102の下壁部102aの前端に設けた孔から下方に突出させて外部から視認可能とする機構を採用するとよい。
【0043】
また、売切信号のみを送出させる場合、前述の物品供給装置100から供給信号送出手段(符号省略)を排除して、売切信号送出手段(符号省略)のみを備えるものとしてもよい。さらに、送信部154に設けた兼用の出力端子154aは、売切検知部152で検知された売切信号用の出力端子と、供給検知部153で検知された供給信号用の出力端子とに分けてもよい。
【0044】
《物品供給システム》
図4は本発明の適用例に係る物品供給システム(符号省略)の概略構成を示し、図5は第1通信装置200の制御系を示し、図6は第1通信装置200の接続態様を示し、図7は第2通信装置300の制御系を示し、図8は管理サーバー500の制御系を示し、図9は管理サーバー500の表示部505に表示される管理表の一例を示す。
【0045】
まず、物品供給システム(符号省略)の構成について説明する。物品供給装置100の管理がメンテナンス業者に委託されている場合、この物品供給システム(符号省略)は、店舗側に設置された1台以上(図示例では6台)の物品供給装置100と、各物品供給装置100からの売切信号と供給信号とを通信網400(図示例ではインターネット通信網)を介して管理サーバー500に送信可能な通信手段(符号省略、第1通信装置200および第2通信装置300に相当)とを備えている(図4を参照)。
【0046】
換言すれば、物品供給システム(符号省略)は、1台以上(図示例では6台)の物品供給装置100と、各物品供給装置100からの売切信号と供給信号とを送信可能な通信手段(符号省略、第1通信装置200および第2通信装置300に相当)と、当該通信手段からの売切信号と供給信号とを通信網400を介して受信可能な管理サーバー500とを備えている。
【0047】
通信手段(符号省略)は、各物品供給装置100の出力端子154aに専用ケーブルCA(図6を参照)で接続された第1通信装置200(図5を参照)と、当該第1通信装置200との無線通信を可能とし、かつ、管理サーバー500とインターネット通信網400を介して通信可能な第2通信装置300とを含んでいる。すなわち、各物品供給装置100と第1通信装置200と第2通信装置300は店舗(店頭と店内を含む)に設置され、管理サーバー500はメンテナンス業者が所持している。
【0048】
第1通信装置200の制御系は、図5に示したように、マイクロコンピュータ構成の主制御部201と、受信制御部202と、送信制御部203と、送信部204と、アンテナ部205とを備えている。
【0049】
受信制御部202は複数(図示例では6個)の入力端子202a~202fを有しており、各入力端子202a~202fに入力された売切信号と供給信号がどの物品供給装置100からの信号であるかを識別する機能と、売切信号と供給信号の別を問わず2以上の信号が同時入力されたときの相互干渉を防止する機能等を有している。送信制御部203は受信部制御部202からの信号を多重化し送信部204の通信方式に適合した信号に変換する機能等を有している。送信部204はブルートゥース(登録商標)やWi-Fi(登録商標)等の無線通信規格に対応した送信デバイスから成り、送信制御部203からの信号をアンテナ部204を通じて送信することが可能である。ちなみに、制御系用の電源は、乾電池や充電池から取る他、AC-DCアダプタを用いて商用電源から取るようにしてもよい。
【0050】
前記の識別および多重化について補足すると、第1通信装置200には2台以上の物品供給装置100から同時に売切信号が送出されたり供給信号が送出されたりする可能性があるため、各物品供給装置100からの売切信号と供給信号には受信制御部202に入力された後に各物品供給装置100に対応した識別データが付与される。また、第1通信装置200は6台の物品供給装置100に接続されたものであるため、例えば2台の物品供給装置100のうちの一方から売切信号が送出され他方から供給信号が送出された場合でも、これら信号を支障なく送信できるように多重化処理が施される。
【0051】
第2通信装置300の制御系は、図7に示したように、マイクロコンピュータ構成の主制御部301と、受信部302と、アンテナ部303と、送信制御部304と、送信部305とを備えている。
【0052】
受信部302は、第1通信装置200の送信部203と同一の無線通信規格に対応した受信デバイスから成り、第1通信装置200からの信号をアンテナ部303を通じて受信することが可能である。送信制御部304は受信部302からの信号を多重化し送信部305の通信方式に適合した信号に変換する機能等を有している。送信部305はTCP/IP等のインターネット通信方式に対応した送信デバイスから成り、図示省略のモデムやルーターを介してインターネット通信網400に接続可能な出力端子305aを有している。ちなみに、制御系用の電源は、乾電池や充電池から取る他、AC-DCアダプタを用いて商用電源から取るようにしてもよい。
【0053】
管理サーバー500の制御系は、図8に示したように、マイクロコンピュータ構成の主制御部501と、受信制御部502と、受信部503と、記憶部504と、液晶ディスプレイ等の表示部505と、キーボード等の入力部506とを備えている。ちなみに、この管理サーバー500は、汎用パーソナルコンピュータに後述の管理機能を付加したものである。
【0054】
受信部503はTCP/IP等のインターネット通信方式に対応した受信デバイスから成り、図示省略のモデムやルーターを介してインターネット通信網400に接続可能な入力端子503aを有している。受信制御部502は受信部503からの信号を内部処理可能な信号に変換する機能等を有している。記憶部504は、店舗に設置されている物品供給装置100の台数、種類、最大収容数、収容物品、各物品供給装置100の状態(売り切れ状態と非売り切れ状態)および収容残数等、を店舗毎に纏めた管理データを記憶している。表示部505は前掲の管理データに基づく店舗毎の管理表(図9を参照)を表示し、入力部506は管理表の数値等を書き換える際に用いられる。
【0055】
次に、前述の物品供給システム(符号省略)における6台の物品供給装置100と第1通信装置200と第2通信装置300の設置方法の一例について説明する。
【0056】
まず、店舗の店頭または店内に6台の物品供給装置100を図6のように積み重ねて設置し(無論、横並びの設置でもよい)、いずれか1台の物品供給装置100の後面に第1通信装置200をネジ止め等によって固定し、各物品供給装置100の出力端子154aと第1通信装置200の入力端子202a~202fを専用ケーブルCAで接続する。
【0057】
そして、店舗の店内に第2通信装置300を設置し、その出力端子305aをモデムやルーターを介してインターネット通信網400に接続する。第1通信装置200と第2通信装置300との距離間隔は、障害物の有無にもよるが、各々の無線通信規格がブルートゥース(登録商標)の場合には10m以下としWi-Fi(登録商標)の場合には30mm以下とすることが好ましい。
【0058】
次に、前述の物品供給システム(符号省略、物品供給装置100は6台)の動作について説明する。
【0059】
前掲の設置が完了し、かつ、各物品供給装置100の物品収容部102に最大数、例えば40個の物品ARが収容されている状態を開始点として説明すると、各物品供給装置100の物品収容部102内の物品ARは、需要者による前記の供給操作の付与によって徐々に減少する。ちなみに、各物品供給装置100の物品収容部102内の物品ARの減少度合いは需要によって異なるため、物品ARの減り方は各物品供給装置100でばらばらである。
【0060】
各物品供給装置100からの売切信号と供給信号は、先に説明したように第1通信装置200、第2通知通信装置300およびインターネット通信網400を経由して、メンテナンス業者が所持する管理サーバー500に送信される。
【0061】
管理サーバー500は前記の売切信号と供給信号を受信すると、当該信号元に該当する店舗の管理データを記憶部504から読み出して、図9に例示した管理表を表示部504に表示する。ちなみに、図9に例示した管理表は、店舗Xに設置されている物品供給装置100の台数、種類、最大収容数、収容物品の他に、各物品供給装置100の状態(売り切れ状態と非売り切れ状態)と、収容残数の表示欄を含んでいる。
【0062】
例えば、店舗Xに設置されている6台の物品供給装置Y1~Y6のうち、物品供給装置Y1に係る売切信号を管理サーバー500が受信すると、店舗Xに該当した管理表が表示部505に表示されるとともに、当該管理表の物品供給装置Y1の状態欄に「売切」が好ましくは強調して表示される。ちなみに、物品供給装置Y1の収容残数欄の数値は供給信号の受信に基づいて減数されるため、売切信号を受信した段階の収容残数は原則として「0」である。すなわち、表示部505に表示された管理表の状態欄が「売切」に変化したことによって、店舗Xに設置されている6台の物品供給装置Y1~Y6のうちのY1が売り切れ状態であり、売り切れた物品ARがAR1であることが目視により確認できる。
【0063】
よって、前記の表示に基づき、メンテナンス業者の巡回員が店舗Xの物品供給装置Y1に物品AR1を補充すれば、実際に売り切れ状態になった時点からさほど時間を経過することなく所期の物品供給装置Y1に物品AR1を補充することが可能となる。加えて、収容残数が少ない物品供給装置Y5(収容残数5)については売り切れ状態となる日を概ね予測できるため、売り切れ状態になる前に物品AR5の補充準備を予め行うことも可能となる。
【0064】
また、売り切れ状態になった物品供給装置Y1に物品AR1が補充されると、図2(A)に示した供給阻止部110が図2(B)の位置に回転変位して、管理サーバー500への売切信号の送信が停止して当該物品供給装置Y1の状態欄の表示が「非売切」に切り替わるため(収容残数も40に切り替わる)、この表示切り替えによって所期の物品供給装置Y1への物品AR1の補充完了も確認することが可能となる。
【0065】
ところで、前記の売切信号は、物品供給装置100それ自体が外部から衝撃を受けること等を原因とし、図2(B)の状態で保持孔108aに保持されている物品ARが浮き上がって供給阻止部110が回転変位したときに瞬間的に発生する懸念があるとともに、図2(A)の状態であっても供給阻止部110が慣性で回転変位したときに瞬間的に途切れる懸念がある。そのため、前記の売切信号に関しては、管理サーバー500において前記の売切信号が所定時間以上継続しているとき、具体的には3秒以上継続しているときにこれを真の売り切れとして認識することが好ましい。
【0066】
また、前掲のように前記の売切信号は外部衝撃等によって途切れることもあり得るため、前記の真の売り切れが認識された後に前記の供給信号を受信したとき、すなわち、補充後に最初の物品ARの供給が為されたときにこれを真の売り切れ解消(物品補充完了)として認識することが好ましい。
【0067】
なお、前述の物品供給システムにおける通信網400はインターネット通信網以外の通信網、例えば携帯電話通信網やWANやLAN等であってもよい。また、管理サーバー500をメンテナンス業者が所持している場合について説明したが、物品供給装置100の管理を店舗が行う場合(メンテナンス業者に委託していない場合)には、管理サーバー500を店舗の事務所等に設置してもよい。
【符号の説明】
【0068】
100…物品供給装置、101…装置本体、102…物品収容部、103…供給操作部、108…物品供給部、110…供給阻止部、111…磁石部、112…第1スイッチ部、113…磁性体部、114…スイッチ作動部、115…第2スイッチ部、152…売切検知部、153…供給検知部、154…送信部、154a…出力端子、200…第1通信装置、202a~202f…入力端子、300…第2通信装置、305a…出力端子、400…通信網、500…管理サーバー、505…表示部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9