(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-26
(45)【発行日】2024-10-04
(54)【発明の名称】基板処理装置及び方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/31 20060101AFI20240927BHJP
H01L 21/3065 20060101ALI20240927BHJP
C23C 16/46 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
H01L21/31 B
H01L21/302 101G
C23C16/46
(21)【出願番号】P 2023030627
(22)【出願日】2023-03-01
(62)【分割の表示】P 2022071233の分割
【原出願日】2022-04-25
【審査請求日】2023-03-01
(32)【優先日】2021-05-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FI
(73)【特許権者】
【識別番号】510275024
【氏名又は名称】ピコサン オーワイ
【氏名又は名称原語表記】PICOSUN OY
【住所又は居所原語表記】Tietotie 3, FI-02150 Espoo, Finland
(74)【代理人】
【識別番号】100127188
【氏名又は名称】川守田 光紀
(72)【発明者】
【氏名】キルピ ヴァイノ
(72)【発明者】
【氏名】ブロムバリ トム
【審査官】宇多川 勉
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-188135(JP,A)
【文献】特開2006-196713(JP,A)
【文献】特開昭62-076720(JP,A)
【文献】特開昭63-169723(JP,A)
【文献】特開平06-037045(JP,A)
【文献】特表2021-502704(JP,A)
【文献】特開2020-004954(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/31
H01L 21/3065
C23C 16/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板処理装置であって、
反応室と;
前記反応室を少なくとも部分的に囲み、前記反応室との間に中間空間を形成する外室と;
少なくとも1つの加熱要素と;
前記中間空間内に配される少なくとも1つの熱分配要素と;
前記外室内の少なくとも1つの加熱要素フィードスルーと;
を備え、
前記少なくとも1つの加熱要素フィードスルーは、前記少なくとも1つの加熱要素の少なくとも一部が前記中間空間を通って前記少なくとも1つの熱分配要素と結合することを可能とし、
前記少なくとも1つの加熱要素は前記少なくとも1つの熱分配要素に対して取り外し可能に結合するように構成される
、
記載の装置。
【請求項2】
基板処理装置であって、
反応室と;
前記反応室を少なくとも部分的に囲み、前記反応室との間に中間空間を形成する外室と;
少なくとも1つの加熱要素と;
前記中間空間内に配される少なくとも1つの熱分配要素と;
前記外室内の少なくとも1つの加熱要素フィードスルーと;
を備え、
前記少なくとも1つの加熱要素フィードスルーは、前記少なくとも1つの加熱要素の少なくとも一部が前記中間空間を通って前記少なくとも1つの熱分配要素と結合することを可能とし、
前記少なくとも1つの加熱要素は、少なくとも部分的に前記外室と前記反応室との間の前記中間空間内に、前記外室の前記加熱要素フィードスルーを通じて取り外し可能に位置するように構成される
、
装置。
【請求項3】
前記少なくとも1つの加熱要素は細長のロッド状の要素である、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記反応室の周囲を少なくとも部分的に囲む複数の熱分配要素を備える、請求項1又は
2に記載の装置。
【請求項5】
前記少なくとも1つの熱分配要素は前記反応室を一様な温度に加熱するように構成される、請求項1
又は2に記載の装置。
【請求項6】
前記少なくとも1つの熱分配要素は、パネル状の要素である及び/又はカーブした構造を有する、請求項1又は
2に記載の装置。
【請求項7】
基板処理装置の反応室を少なくとも部分的に囲み、前記反応室との間に中間空間を形成する外室を用意することと;
少なくとも1つの加熱要素の少なくとも一部を、前記外室内の加熱要素フィードスルーを通じて前記中間空間の内部に通すことと;
前記中間空間内において、前記少なくとも1つの加熱要素を
少なくとも1つの熱分配要素に取り外し可能に結合すること
と;
を含む
、方法。
【請求項8】
基板処理装置の反応室を少なくとも部分的に囲み、前記反応室との間に中間空間を形成する外室を用意することと;
少なくとも1つの加熱要素の少なくとも一部を、前記外室内の加熱要素フィードスルーを通じて前記中間空間の内部に通すことと;
前記少なくとも1つの加熱要素を、少なくとも部分的に前記外室と前記反応室との間の前記中間空間内に、前記外室内の前記加熱要素フィードスルーを通じて取り外し可能に配すること
と;
を含む
、方法。
【請求項9】
前記少なくとも1つの熱分配要素により分配される熱で前記反応室を一様の温度に温めることを含む、請求項
7又は8に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して基板処理装置及び方法に関する。より詳細には、本発明は化学堆積リアクター又はエッチングリアクターに関する。ただしそれに限られない。
【発明の背景】
【0002】
このセクションは、有用な背景情報を説明するが、ここで説明されている技術が技術水準を示していることを認めている訳ではないことに注意されたい。
【0003】
原子層堆積(Atomic Layer Deposition,ALD)や原子層エッチング(Atomic Layer Etching,ALE)のような化学堆積方法においては、表面反応に必要な温度を加熱を通じて得る。この加熱はしばしば、基板処理装置の反応室の壁の中又は外に設置されるヒーターを作動させることにより実現される。熱源として用いられる物質に関わらず、ヒーターの表面が酸化に苦しむことはよく知られている。そして、装置の反応室から漏れ出る化学物質のために、酸化に続いて腐食も生じかねない。ヒーターは通常装置構造の中で固定されており、取り外すには多くの労力を必要とする。ヒーターを交換したり、装置の他の部品をまたいで取り外したりすることは大変である。このため、容易に取り外すことが可能になるように改善されたヒーターのソリューションを開発する必要性が生じている。少なくとも、既存のソリューションの代替となるようなソリューションを提供することの必要性が生じている。
【発明の概要】
【0004】
本発明のある実施形態の目的は、改良された基板処理装置を提供すること、又は少なくとも、既存技術に対する代替ソリューションを提供することである。
【0005】
本発明のある例示的側面によれば、次の基板処理装置が提供される。この装置は、
反応室と;
前記反応室を少なくとも部分的に囲み、前記反応室との間に中間空間を形成する外室と;
少なくとも1つの加熱要素と;
前記中間空間内に配される少なくとも1つの熱分配要素と;
前記外室内の少なくとも1つの加熱要素フィードスルーと;
を備え、前記少なくとも1つの加熱要素フィードスルーは、前記少なくとも1つの加熱要素の少なくとも一部が前記中間空間内を通って前記少なくとも1つの熱分配要素と結合することを可能にする。
【0006】
実施例によっては、前記少なくとも1つの加熱要素はカートリッジヒーターであり、取り外し可能及び交換可能である。
【0007】
実施例によっては、前記少なくとも1つの加熱要素は前記少なくとも1つの熱分配要素に対して取り外し可能に結合するように構成される。実施例によっては、前記少なくとも1つの加熱要素は、少なくとも部分的に前記少なくとも1つの熱分配要素の内部に出し入れ自在にセットされる。実施例によっては、取り外し可能にセットされる加熱要素との語句は、出し入れ自在にセットされる加熱要素を意味し、すなわち加熱要素を、ある位置に初めにセットした時と同じ方法でその位置から取り外すことができることを意味する。実施例によっては、前記少なくとも1つの加熱要素が前記少なくとも1つの熱分配要素に結合するとは、前記少なくとも1つの加熱要素が前記少なくとも1つの熱分配要素と熱的に接触していることを意味する。
【0008】
実施例によっては、実施例によっては、前記少なくとも1つの加熱要素は、少なくとも部分的に2つの異なる熱分配要素の内部に取り外し自在及び/又は出し入れ自在にセットされる。
【0009】
実施例によっては、前記加熱要素は細長の要素である。実施例によっては、前記少なくとも1つの加熱要素は、動作状態にあるときに、その長手方向軸が縦方向になるようにセットされている。実施例によっては、前記少なくとも1つの加熱要素は、動作状態にあるときに、その長手方向軸が水平方向又は斜め方向になるようにセットされている。実施例によっては、前記加熱要素はその動作状態において前記反応室の下に配される。実施例によっては、前記加熱要素はその動作状態において前記反応室の上に配される。実施例によっては、前記加熱要素はその動作状態において前記反応室の横に配される。
【0010】
実施例によっては、前記装置は2つ以上の加熱要素を備える。実施例によっては、前記装置が備える加熱要素の数は、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つのいずれかである。実施例によっては、前記装置が備える加熱要素の数は4つより多い。
【0011】
実施例によっては、前記少なくとも1つの加熱要素は細長のロッド状の要素である。実施例によっては、前記加熱要素は、その長手方向軸が縦方向になるように配されたときに、水平方向の断面が回転対称である。実施例によっては、前記加熱要素は、その長手方向軸が縦方向になるように配されたときに、前記反応室及び外室に向いた垂直側から平らにされている。
【0012】
実施例によっては、前記加熱要素に印加される最大電圧は前記加熱要素の形状及びサイズに依存する。実施例によっては、前記電圧は48-240Vである。実施例によっては、最大加熱パワーは、前記電圧と、前記加熱要素内に配される加熱ワイヤの量とに依存する。
【0013】
実施例によっては、前記加熱要素に印加される最大加熱パワー及び電圧は、前記加熱要素のタイプに依存する。例えば、前記加熱要素は放射形ヒーター、伝導型ヒーター、対流型ヒーターのいずれかであることができる。
【0014】
実施例によっては、前記少なくとも1つの加熱要素は、少なくとも部分的に前記外室と前記反応室との間の前記中間空間内に、前記外室の前記加熱要素フィードスルーを通じて取り外し可能に位置するように構成される。実施例によっては、前記少なくとも1つの加熱要素フィードスルーは前記外室の底部に位置する。実施例によっては、前記少なくとも1つの加熱要素フィードスルーは前記外室の上部に位置する。実施例によっては、前記少なくとも1つの加熱要素フィードスルーは前記外室の側部に位置する。実施例によっては、前記少なくとも1つの加熱要素フィードスルーは、前記加熱要素が入るところを封止するために、前記外室の外側からきつく締め付けられるか封止される。実施例によっては、前記外室の各加熱要素フィードスルーは、前記加熱要素フィードスルーと前記加熱要素との間にシールを備える。実施例によっては、前記シールは、前記加熱要素が入るところを封止するために、前記外室の外側に配される。実施例によっては、前記シールは、前記加熱要素が入るところを封止するために、前記加熱要素フィードスルーの内側に配される。実施例によっては、前記シールはフランジであり、例えば真空フランジである。実施例によっては、前記シールはカバープレートである。実施例によっては、前記シールはOリングを含む。
【0015】
実施例によっては、前記装置は、前記反応室の周囲を少なくとも部分的に囲む複数の熱分配要素を備える。実施例によっては、複数の熱分配要素は2つ以上の熱分配要素を意味する。実施例によっては、前記装置は2つ以上の熱分配要素を備える。実施例によっては、前記装置が備える熱分配要素の数は、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つのいずれかである。実施例によっては、前記装置は4つの四分円形熱分配要素を備える。
【0016】
実施例によっては、前記少なくとも1つの熱分配要素は、熱放射、熱対流、又は熱伝導のうち該当するものを、前記反応室の周囲に、効果的且つ均等に分配するように構成される。実施例によっては、前記熱分配要素は、熱放射、熱対流、又は熱伝導のうち該当するものを、前記反応室の壁内へまた前記反応室の壁を通じて、効果的且つ均等に分配するように構成される。
【0017】
実施例によっては、前記少なくとも1つの熱分配要素は前記反応室を一様な温度に加熱するように構成される。実施例によっては、前記少なくとも1つの熱分配要素は、前記反応室の前記内部空間及び前記反応室内の少なくとも1つの基板に、熱を均一に運ぶように構成される。
【0018】
実施例によっては、前記少なくとも1つの熱分配要素は、パネル状の要素である及び/又はカーブした構造を有する。実施例によっては、前記熱分配要素はカーブしたパネル状の要素である。実施例によっては、前記装置は4つの四分円形熱分配要素と、これら4つの四分円形熱分配要素に結合する1つの加熱要素を備える実施例によっては、前記装置は4つの四分円形熱分配要素と、それぞれが前記4つの四分円形熱分配要素のうちの2つに結合する4つの加熱要素を備える。
【0019】
実施例によっては、前記装置は1つの加熱要素を備える。実施例によっては、前記1つの熱分配要素は単一の部品として形成される。実施例によっては、前記1つの熱分配要素は、中空の、カーブした又は円形のシリンダ又はチューブの形状を有する。
【0020】
実施例によっては、各熱分配要素は少なくとも1つの加熱要素.により加熱される。実施例によっては、各熱分配要素は2つの加熱要素.により加熱される。実施例によっては、各熱分配要素は複数の加熱要素.により加熱される。
【0021】
実施例によっては、前記熱分配要素の材質はアルミニウムである。実施例によっては、前記熱分配要素の材質は、銅,真鍮,チタン,スチール,セラミック,シリコン窒化物から選択される。
【0022】
実施例によっては、前記中間空間は真空条件を維持するように構成される。実施例によっては、前記装置は前記中間空間内の圧力を維持するように構成される。ここで前記少なくとも1つの熱分配要素は、100-0.01ミリバールの圧力下に置かれる。実施例によっては、前記装置は、堆積又はエッチングの処理サイクルの間、前記中間空間内の前記圧力を、10-0.1ミリバール又は5-0.1ミリバールに維持するように構成される。実施例によっては、前記処理サイクルに続く期間の間においても、前記中間空間内の前記圧力は、100-0.01ミリバールに(より好ましくは10-0.1ミリバール又は5-0.1ミリバールに)維持される。
【0023】
実施例によっては、前記装置は、前記少なくとも1つの加熱要素と前記少なくとも1つの熱分配要素との間に前記少なくとも1つの加熱要素を保護する鞘要素を備える。実施例によっては、前記加熱要素と前記熱分配要素の間の前記鞘要素は、前記少なくとも1つの加熱要素から前記少なくとも1つの熱分配要素へと熱を運ぶように構成される。実施例によっては、前記加熱要素と前記熱分配要素の間の前記鞘要素は、前記少なくとも1つの加熱要素から前記少なくとも1つの熱分配要素へと熱を伝達するように構成される。実施例によっては、前記少なくとも1つの加熱要素は、前記鞘要素を介して前記少なくとも1つの熱分配要素に結合する。実施例によっては、前記鞘要素は、その動作状態において、前記少なくとも1つの熱分配要素に接触するように構成される。実施例によっては、前記鞘要素は、その動作状態において、前記少なくとも1つの加熱要素に接触するように構成される。実施例によっては、前記鞘要素は、前記少なくとも1つの加熱要素がその動作状態において少なくとも部分的に該鞘要素に挿入されているとき、前記少なくとも1つの加熱要素のためのハウジングとして役立つように構成される。実施例によっては、前記鞘要素は、前記加熱要素を保護するために、前記中間空間内で前記加熱要素の表面の全体を覆うように構成される。実施例によっては、前記鞘要素は、前記中間空間内で前記加熱要素の表面のほとんどを覆うように構成される。
【0024】
実施例によっては、前記鞘要素は、動作状態で前記加熱要素の周りに置かれるとき、その長手方向軸が縦方向に向いている。前記鞘要素は、動作状態で前記加熱要素の周りに置かれるとき、その長手方向軸が水平方向又は斜め方向に向いている。
【0025】
実施例によっては、前記鞘要素は前記少なくとも1つの熱分配要素を支持する表面構造を有する。実施例によっては、前記鞘要素は前記少なくとも1つの熱分配要素の重量を支持する表面構造を有する。
【0026】
実施例によっては、前記少なくとも1つの加熱要素は前記鞘要素の内部に少なくとも部分的に取り外し可能に配されるように構成される。実施例によっては、前記少なくとも1つの加熱要素は前記鞘要素の内部に少なくとも部分的に出し入れ自在に配されるように構成される。実施例によっては、前記少なくとも1つの加熱要素は少なくとも部分的に前記鞘要素の内腔にあるように構成される。
【0027】
実施例によっては、前記鞘要素は細長の鞘状の要素である。実施例によっては、前記鞘要素の細長の軸の両端は開放端である。実施例によっては、前記鞘要素の細長の軸の片方の末端部は閉じている(又は盲端である)。実施例によっては、前記鞘要素の材質はアルミニウムである。実施例によっては、前記鞘要素の材質は、ステンレス鋼、モリブデン、又は良好な熱伝導率を有する同様の金属から選択される。
【0028】
実施例によっては、各加熱要素は、前記中間空間内で、前記加熱要素フィードスルーを貫通する点を越えて、前記鞘要素によって覆われる。実施例によっては、前記鞘要素は、前記加熱要素フィードスルーと前記加熱要素との間のシールに結合する。実施例によっては、前記鞘要素は、前記加熱要素フィードスルー内の真空フランジに結合する。実施例によっては、前記鞘要素は、前記中間空間内で前記加熱要素を保護するように構成される。実施例によっては、前記鞘要素は、前記熱分配要素を支持し、その位置を縦方向に固定するように構成される。実施例によっては、前記鞘要素は、前記熱分配要素を支持し、その位置を水平方向にも固定するように構成される。
【0029】
実施例によっては、前記少なくとも1つの熱分配要素は、前記少なくとも1つの加熱要素を少なくとも部分的に内部に挿入するための少なくとも1つの開口部又は孔を有する。実施例によっては、1つの熱分配要素が、複数の加熱要素を少なくとも部分的に内部に挿入するために複数の開口部又は孔を有する。実施例によっては、前記開口部又は孔は、前記加熱要素と前記鞘要素の両方を少なくとも部分的に内部に挿入することができるように構成される。実施例によっては、前記少なくとも1つの開口部又は孔は、前記熱分配要素の1つの狭端を貫くように構成される。実施例によっては、前記熱分配要素の狭端の1つの前記少なくとも1つの開口部又は孔は、前記熱分配要素の全体を貫通させるように構成され、前記熱分配要素の2つの狭端を貫くように構成される。実施例によっては、前記熱分配要素の狭端との語句は、前記熱分配要素の平らでなくパネル状の面ではない狭端を意味する。
【0030】
実施例によっては、隣接する2つの熱分配要素は、それぞれの狭端が互いに面と面を接触させることを通じて結合している及び/又は熱的に接触している。
【0031】
実施例によっては、隣接する2つの熱分配要素は、これらの狭端の少なくとも1つ(好ましくは2つ)に、前記開口部又は孔を有する少なくとも1つの筒又はダクトを有する。実施例によっては、隣接する2つの熱分配要素は、それぞれ異なる高さに少なくとも1つの筒又はダクトを有する。筒又はダクトが異なる高さにあることによって、これらは重なり合うことができ、従って前記隣接する2つの熱分配要素が重なり合うことができる。実施例によっては、前記隣接する2つの熱分配要素は、該隣接する2つの熱分配要素の重なり合う筒又はダクトに挿入される前記少なくとも1つの加熱要素と結合する。実施例によっては、前記隣接する2つの熱分配要素は、該隣接する2つの熱分配要素の重なり合う筒又はダクトに挿入される前記軸要素と結合し、また該軸要素に挿入される1つの加熱要素と結合する。
【0032】
実施例によっては、前記少なくとも1つの熱分配要素は、前記加熱要素を前記熱分配要素に取り付けるための少なくとも1つの固定具を有する。実施例によっては、1つの熱分配要素が、複数の加熱要素を前記1つの熱分配要素に取り付けるために複数の固定具を有する。実施例によっては、前記少なくとも1つの固定具は、前記加熱要素と前記鞘要素の両方を前記熱分配要素に取り付けるように構成される。
【0033】
実施例によっては、前記少なくとも1つの加熱要素は、その動作状態において、少なくとも部分的に次のいずれかの内部に位置する:
・ 前記中間空間;
・ 前記鞘要素;
・ 前記少なくとも1つの熱分配要素;
・ 前記加熱要素フィードスルー。
【0034】
実施例によっては、前記少なくとも1つの熱分配要素は、前記中間空間内で、前記反応室とは離間している。前記少なくとも1つの熱分配要素は、前記中間空間内で、前記反応室の壁に直接接触しているか直接接続している。実施例によっては、前記少なくとも1つの熱分配要素は、前記反応室の周囲を少なくとも部分的に覆うように、前記反応室のそばに位置する。実施例によっては、前記少なくとも1つの熱分配要素は、前記反応室のそばにおいて、その平らなパネル状の面が縦向きになるように配される。実施例によっては、前記少なくとも1つの熱分配要素は、前記反応室の底部又は下部を少なくとも部分的に覆うように、前記反応室の下に位置する。実施例によっては、前記少なくとも1つの熱分配要素は、前記反応室の下において、その平らなパネル状の面が横向きになるように配される。実施例によっては、前記少なくとも1つの熱分配要素は、前記反応室の頂部又は上部を少なくとも部分的に覆うように、前記反応室の上に位置する。実施例によっては、前記少なくとも1つの熱分配要素は、前記反応室の上において、その平らなパネル状の面が横向きになるように配される。
【0035】
実施例によっては、熱エネルギーは、前記反応室の横側の前記熱分配要素から、前記反応室の上又は下に位置する前記1つ又は複数の熱分配要素へと伝達される。熱エネルギーは、前記反応室の上又は下に位置する前記1つ又は複数の熱分配要素に組み合わされる又は接触するように配される前記1つ又は複数の加熱要素から、該1つ又は複数の熱分配要素へと伝達される。
【0036】
実施例によっては、前記少なくとも1つの熱分配要素は、前記反応室の周囲の全体又はほとんどをカバーすべく、前記反応室の横側に位置する。そのような実施例においては、前記少なくとも1つの加熱要素を挿入するための前記少なくとも1つの加熱要素フィードスルーは、前記外室の底部又は上部に設けられる。実施例によっては、前記少なくとも1つの熱分配要素は、前記反応室の上部又は下部をカバーすべく、前記反応室の上又は下に位置する。そのような実施例においては、前記少なくとも1つの加熱要素を挿入するための前記少なくとも1つの加熱要素フィードスルーは、前記外室の側部に設けられる。
【0037】
実施例によっては、前記装置は、前記中間空間内で前記反応室の下に、前記反応室の底部の少なくとも一部をカバーする、少なくとも1つの水平方向に配される反射板を備える。実施例によっては、前記装置は、前記中間空間内で前記反応室の上に、前記反応室の頂部の少なくとも一部をカバーする、少なくとも1つの水平方向に配される反射板を備える。前記少なくとも1つの水平方向に配される反射板は、熱放射、熱対流、又は熱伝導のうち該当するものを、前記反応室へ向けて反射するように構成される。実施例によっては、前記装置は、前記反応室の上又は下に、重なり合う複数の水平方向に配される反射板を備える。これらの反射板は、複数の水平方向に配される反射板による層を形成する。実施例によっては、水平方向に配される反射板の層の1つが、水平方向に配される複数の反射板ユニットから構成される。実施例によっては、水平方向に配される複数の反射板の全てが、前記反応室と前記外室との間の前記中間空間に位置する。
【0038】
実施例によっては、前記装置は、少なくとも部分的に前記反応室を囲む、少なくとも1つの垂直方向に配される反射板を備える。実施例によっては、前記装置は、少なくとも部分的に前記反応室を囲む、複数の垂直方向に配される反射板を備える。実施例によっては、前記垂直方向に配される複数の反射板が重なり合い、垂直方向に配される複数の反射板による層を1つ又は複数形成する。実施例によっては、垂直方向に配される反射板の層の1つが、垂直方向に配される複数の反射板ユニットから構成される。実施例によっては、垂直方向に配される複数の反射板の全てが、前記反応室と前記外室との間の前記中間空間に位置する。
【0039】
実施例によっては、前記反射板は、前記反応室における暖められる箇所へ向けて熱を反射するように構成される。また、前記反射板で区切られた空間の外側に位置する前記装置の他の要素に熱が影響を及ぼすことを防止する。
【0040】
実施例によっては、前記少なくとも1つの加熱要素は、前記少なくとも1つの水平方向に配される反射板の開口部又は孔を通じて挿入される。前記少なくとも1つの加熱要素は、上下に重なり合う複数の前記水平方向に配される反射板の開口部又は孔を通じて挿入される。実施例によっては、前記加熱要素は、前記中間空間内で、前記少なくとも1つの水平方向に配される反射板を貫通する点を越えて、前記鞘要素によって覆われる。実施例によっては、前記少なくとも1つの加熱要素は、前記少なくとも1つの垂直方向に配される反射板の開口部又は孔を通じて挿入される。前記少なくとも1つの加熱要素は、上下に重なり合う複数の前記垂直方向に配される反射板の開口部又は孔を通じて挿入される。実施例によっては、前記加熱要素は、前記中間空間内で、前記少なくとも1つの垂直方向に配される反射板を貫通する点を越えて、前記鞘要素によって覆われる。
【0041】
実施例によっては、前記少なくとも1つの加熱要素は、前記中間空間内に同時に存在する全ての前記熱分配要素を少なくとも30℃に暖めるように構成される。実施例によっては、前記中間空間内に同時に存在する全ての前記加熱要素は、協働して、前記中間空間内に同時に存在する全ての前記熱分配要素を少なくとも30℃に暖めるように構成される。実施例によっては、前記中間空間内に同時に存在する全ての前記加熱要素は、オプションの他のヒーターと協働して、前記内部空間を有する前記反応室を少なくとも30℃に暖めるように構成される。実施例によっては、少なくとも80℃、又は120℃、又は200℃、又は500℃まで暖める。実施例によっては、前記中間空間内に同時に存在する全ての前記加熱要素は、オプションの他のヒーターと協働して、前記内部空間を有する前記反応室を、150℃-300℃に暖めるように構成される。
【0042】
実施例によっては、前記加熱要素のタイプは、特定のタイプのヒーターの必要性に従って変更可能である。実施例によっては、前記加熱要素は放射形ヒーターである。実施例によっては、前記加熱要素は対流形ヒーターである。実施例によっては、前記加熱要素は伝導形ヒーターである。実施例によっては、前記加熱要素は赤外線(IR)ヒーターである。
【0043】
実施例によっては、前記少なくとも1つの熱分配要素は、前記反応室に向けた熱放射に最適化される表面構造を有する。
【0044】
実施例によっては、前記少なくとも1つの熱分配要素は、所望の熱放射及び/又は熱対流及び/又は熱伝導に最適化するために、前記反応室に向く側は、前記外室に向く側とは異なる表面構造を有する。
【0045】
実施例によっては、前記反応室に向く前記熱分配要素の面は平らでなく、又はでこぼこであり、又はざらざらしている。実施例によっては、前記反応室に向く前記熱分配要素の面は良好な熱放射率を有する。実施例によっては、前記反応室に向く前記熱分配要素の面は、良好な熱放射率を有する物質でコーティングされている。実施例によっては、前記反応室に向いた前記熱分配要素の面の前記コーティングの厚さは、熱放射を最大化するように最適化される。前記外室に向く前記熱分配要素の面は滑らかであり、又は平らであり、又は磨かれており、又はしわがない。実施例によっては、前記外室に向く前記熱分配要素の面は低い熱放射率を有する。実施例によっては、前記外室に向く前記熱分配要素の面は、低い熱放射率を有する物質でコーティングされている。実施例によっては、前記外室に向いた前記熱分配要素の面の前記コーティングの厚さは、熱放射を最小化するように最適化される。
【0046】
実施例によっては、前記少なくとも1つの垂直方向に向けられた反射板は、熱放射又は熱対流又は熱伝導の前記反応室に向けた反射に最適化された物質及び表面構造を有する。実施例によっては、前記少なくとも1つの水平方向に向けられた反射板は、熱放射又は熱対流又は熱伝導の前記反応室に向けた反射に最適化された物質及び表面構造を有する。
【0047】
本発明の第2の例示的側面によれば、次のような方法が提供される。この方法は、
基板処理装置の反応室を少なくとも部分的に囲み、前記反応室との間に中間空間を形成する外室を用意することと;
少なくとも1つの加熱要素の少なくとも一部を、前記外室内の加熱要素フィードスルーを通じて前記中間空間の内部に通すことと;
前記中間空間内において少なくとも1つの熱分配要素を前記少なくとも1つの加熱要素に結合することと;
を含む。
【0048】
実施例によっては、前記方法は、前記少なくとも1つの加熱要素を前記少なくとも1つの熱分配要素に取り外し可能に結合することを含む。
【0049】
実施例によっては、前記方法は、前記少なくとも1つの加熱要素を、少なくとも部分的に前記外室と前記反応室との間の前記中間空間内に、前記外室内の前記加熱要素フィードスルーを通じて取り外し可能に配することを含む。
【0050】
実施例によっては、前記方法は、前記少なくとも1つの熱分配要素により分配される熱で前記反応室を一様の温度に温めることを含む。
【0051】
実施例によっては、前記基板処理方法は、金属酸化物を有する少なくとも1つの基板を、前記反応室内で、原子層堆積(ALD)によって処理することと、前記少なくとも1つの基板の原子層堆積の厚さを選択することとを含む。実施例によっては、前記金属酸化物はAl2O3,Si3N4,SiO2から選択され、前記選択される厚さは5-15nmであり、好ましくは10nmである。
【0052】
様々な捉え方や実施形態を紹介してきたが、これらは発明の範囲を限定するために提示されたものではない。上述の実施形態は、本発明の実施にあたり使用され得る特定の態様やステップを説明するために用いられたに過ぎない。実施形態によっては、特定の例示的側面を参照してのみ提示されるかもしれない。いくつかの実施形態は他の実施形態にも適用可能であることが理解されるべきである。特に、前記第1の捉え方に関連して説明した実施形態は、別の捉え方についても適用可能である。上記実施形態は適宜組み合わせ可能である。
【図面の簡単な説明】
【0053】
以下、添付図面を参照しながら例を用いて本発明を説明する。
【
図1】ある実施例に従う基板処理装置の一部の略断面図である。
【
図2】ある実施例に従う装置の一部の透視図である。
【
図3】ある実施例に従う装置の一部の透視図を2つ示す。
【
図4】ある実施例に従う基板処理装置の一部のより詳細な略断面図である。
【
図5】ある実施例に従う基板処理装置の一部の別のより詳細な略断面図である。
【詳細説明】
【0054】
以下の説明において、一例として、原子層堆積(Atomic Layer Deposition,ALD)技術及び原子層エッチング(Atomic Layer Etching,ALE)技術が用いられる。
【0055】
ALD成長メカニズムの基本は当業者の知るところである。ALDは、少なくとも2種類の反応性前駆体種を少なくとも1つの基板に連続的に導入することに基づく、特殊な化学的堆積法である。基本的なALD堆積サイクルは4つの逐次的工程、すなわち、パルスA、パージA、パルスB、及びパージB、から構成される。パルスAは第1の前駆体蒸気から構成され、パルスBは別の前駆体蒸気から構成される。パージAおよびパージBでは、反応空間から気体の反応副産物や残留反応物分子をパージ(除去)するために、不活性ガスと真空ポンプが用いられる。堆積シーケンスは少なくとも1回の堆積サイクルにより構成される。所望の厚さの薄膜またはコーティングが生成されるまで堆積サイクルが繰り返されるように、堆積シーケンスが組まれる。堆積サイクルは、簡単にすることも、さらに複雑にすることもできる。例えば、堆積サイクルは、パージステップによって区切られた3回以上の反応物蒸気パルスを含むことができる。また、パージステップのいくつかは省略することもできる。PEALD(Plasma-Enhanced Atomic Layer Deposition,プラズマALD)のようなプラズマアシスト型ALDや、光アシスト型ALD(Photon-Assisted ALD)においては、1つ又は複数の堆積ステップが、表面反応のために必要な追加のエネルギーをプラズマの供給を通じて提供することによって補助される。または、1つ又は複数の反応前駆体がエネルギー(例えば単なる光)によって代替されることができ、単一前駆体によるALDプロセスに繋がる。従って、パルスシーケンス及びパージシーケンスは個々のケースに応じて異なりうる。これらの堆積サイクルは、論理演算装置またはマイクロプロセッサによって制御される、時間的な堆積シーケンスを形成するものである。ALDによって成長した薄膜は緻密でピンホールがなく、かつ均一の厚さを有する。
【0056】
基板処理工程に関して述べると、通常少なくとも1枚の基板が、時間的に離間した複数の前駆体パルスに反応器(又は反応室)内で曝される。それによって、連続自己飽和表面反応で材料が基板表面に堆積される。本出願の記述において、ALDという用語は、全ての適用可能はALDベース技術や、例えば次のALDの亜類型のような、等価又は密接に関連したあらゆる技術を含むものとする。MLD(Molecular Layer Deposition,分子層堆積)、例えばPEALD(Plasma Enhanced Atomic Layer Deposition,プラズマALD)のようなプラズマアシスト型ALD(Plasma-Assisted ALD)、フラッシュ改良型ALD(Flash Enhanced ALD)又は光ALDとして知られる光アシスト型ALD(Photon-Assisted ALD))又は光改良型ALD(photon-enhanced ALD)。
【0057】
しかし、本発明はALD技術に限定されない。本発明は広く様々な基板処理装置に生かすことができ、例えば、化学蒸着(CVD)反応装置のような化学堆積装置や、原子層エッチング(ALE)反応装置のような化学エッチング装置に利用することもできる。
【0058】
ALEエッチングメカニズムの基本は当業者の知るところである。ALEにおいては、自己制御的(self-limiting)な連続反応ステップを用いて表面から物質層が除去される。典型的なALEエッチングサイクルは、反応層を形成する改質(modification)ステップと、反応層だけを取り除く除去(removal)ステップとを有する。除去ステップは、層の除去のためにプラズマ種(特にイオン)を用いる。ALD技術及びALE技術に関して、自己飽和表面反応(self-saturating surface reaction)とは、表面反応場が完全に使い果たされると、表面反応層における表面反応が停止し自己飽和することを意味する。
【0059】
図1は、ある実施例に従う基板処理装置10の一部の略断面図である。装置10は、例えばプラズマALD及び/又はUV-ALD堆積反応及び/又はALEエッチング反応を遂行することに適している基板処理装置又はリアクターである。実施例によっては、装置10は、少なくとも1つの基板の処理が行われる反応室11を備える。反応室11の周囲の少なくとも一部には外室15が設けられる。実施例によっては、外室15は反応室11の全体をその中に囲む。実施例によっては、反応室11の一部分のみが外室15の内部に包まれる。中間空間40は、外室15の壁と反応室11の間に画定される。実施例によっては、外室15は、中間空間40内を特定の気体構成条件及び圧力条件とするように構成される。これらの条件は、反応室内部の条件や外室15の外部の条件とは異なる。例えば、中間空間40内の気体構成条件及び圧力条件は、反応室11内にリークしたとしても、反応室11内の反応に影響を及ぼさないように設定される。実施例によっては、中間空間40の気体構成は、例えば窒素やアルゴンのような不活性ガスを含む。実施例によっては、外室15及び反応室11の上部に、開けることが可能な蓋構造17がある。実施例によっては、蓋構造17は外室15の蓋と反応室11の蓋の両方を備える。従って、中間空間40及び反応室11の内部空間には、開けることが可能な蓋構造17を通じてアクセスできる。実施例によっては、蓋構造17は外室15の蓋のみを含み、反応室11はそれとは別の蓋構造を有する(図示されていない)。実施例によっては、装置10は反応物質入口部12を備える。反応物質入口部12は、1つ又は複数の反応物質及び/又は追加のエネルギーを反応室11に供給するように構成される。反応物質入口部12は、蓋構造17に関連して反応室11の上側に設けられる。実施例によっては、反応物質入口部12は、プラズマソースや放射線ソースのようなエネルギー源を備える。
【0060】
実施例によっては、装置10は、反応室11と外室15の間の中間空間40に位置する、少なくとも1つの水平方向に配される反射板35,36を備える。実施例によっては、装置10は、反応室11と外室15の間の中間空間40に位置する、2つ以上の水平方向に配される反射板35,36を備える。反応室11は基部19によって支持される。基部19は反応室11の排気口を有する(図示されていない)。基部19は、反応室11と外室15の間の中間空間40に位置する少なくとも1つの水平方向に配される反射板35,36を貫通して延設される。実施例によっては、基部19は反応室11の底部から外室15を貫通して下方向に延設される。実施例によっては、装置10は、反応室11の下部に、層になった、重なり合う2つ以上の水平方向に配される反射板35,36を備える。その場合、基部19は、これら重なり合った水平方向に配される反射板35,36を貫通して延設される。実施例によっては、装置10は、反応室11の上部に、層になった、重なり合う2つ以上の水平方向に配される反射板35,36を備える。実施例によっては、装置10は、反応室11と外室15の間の中間空間40に位置する、少なくとも1つの縦方向に配される反射板35',36'を備える。実施例によっては、装置10は、反応室11と外室15の間の中間空間40に位置する、2つ以上の縦方向に配される反射板35',36'を備える。実施例によっては、装置10は、反応室11と外室15の間の中間空間40に位置する、少なくとも1つの水平方向に配される反射板35,36と、反応室11と外室15の間の中間空間40に位置する、少なくとも1つの縦方向に配される反射板35',36'とを備える。実施例によっては、装置10は、反応室11と外室15の間の中間空間40に位置する、2つ以上の水平方向に配される反射板35,36と、反応室11と外室15の間の中間空間40に位置する、2つ以上の縦方向に配される反射板35',36'とを備える。実施例によっては、装置10は、反応室11と外室15の間の中間空間40に、反応室11を少なくとも部分的に囲むように、少なくとも1つの湾曲した又は曲げられた反射板35,36,35',36'を備える。実施例によっては、装置10は、反応室11と外室15の間の中間空間40に、反応室11を少なくとも部分的に囲むように、2つ以上の湾曲した又は曲げられた反射板35,36,35',36'を備える。
【0061】
反射板35,36,35',36'は、少なくとも1つの加熱要素30及び少なくとも1つの熱分配要素20から反応室11に放射される、熱放射、熱対流、又は熱伝導のうち該当するものを反射し、,これらを外室15や、反射板35,36,35',36'の外面の背後に位置する装置の他の部分から遠ざけるように構成される。反射板35,36,35',36'は各々複数の反射板ユニットから構成されることができる。各ユニットは、水平方向、垂直方向、またはこの両方に向いた一層の反射板を形成する。装置は、反射板35,36,35',36'の上に、別の反射板を更に有してもよい。
【0062】
装置10は、装置10内に熱を提供する少なくとも1つの加熱要素30。少なくとも1つの加熱要素30は例えば、装置10内の適切な場所にセットされ、取り外して交換可能なカートリッジヒーターであってもよい。カートリッジヒーターは管状の加熱要素であってもよく、対象とする用途に応じて特定のワット密度にカスタマイズされた加熱要素であってもよい。例えば、あるカートリッジヒーターはワット密度が50W/cm2に達するように設計されてもよく、別のカートリッジヒーターはワット密度が100W/cm2に達するように設計されてもよい。加熱要素30が交換可能であることは、例えば表面の参加のために加熱要素を新しいものに取り替える必要が生じたときに便利である。実施例によっては、装置10は2つ以上の加熱要素30を備える。加熱要素30の数は、装置10の設計に応じて、反応室内の表面反応に適切な熱を提供できるように設定される。少なくとも1つの加熱要素30は好ましくはロッド状の要素である。加熱要素30がその長軸に沿って縦方向に置かれた時の加熱要素30の水平方向の断面は、回転対称性を有してもよく、又は丸くてもよい。実施例によっては、加熱要素30がその長軸に沿って縦方向に置かれた時の加熱要素30の水平方向の断面は、回転非対称であってもよく、例えば楕円や矩形、正方形であってもよい。ともかく、少なくとも1つの加熱要素30はスリムなロッド状又はステッキ状の部品であり、その厚さや形状は使い勝手や熱運搬能力、ユーザの安全性を考慮して適宜調節される。
【0063】
少なくとも1つの加熱要素30は、その動作状態,において、少なくとも部分的に反応室11と外室15との間の中間空間40に位置する。少なくとも1つの加熱要素30の動作状態とは、加熱要素30が基板処理装置10内で動作可能な状態を意味し、すなわち、その使用目的に従って熱を運ぶことができる状態を意味する。動作状態にあるとき、加熱要素30の一部は外室15の外に位置していてもよい。個々の加熱要素30は、外室15の底部に位置する対応する加熱要素フィードスルー37,を通じて中間空間40に挿入されて動作状態にされる。しかし、代替的な実施例では、1つ又は複数の加熱要素フィードスルー37は外室15の横側や上部に位置していてもよい。実施例によっては、少なくとも1つの加熱要素フィードスルー37は、1つ又は複数の加熱要素30及び/又は1つ又は複数の熱分配要素20に対する支持を提供し、また位置を固定する働きを有する。加熱要素フィードスルー37は、
図4,5に示されるように、好ましくはシール38によってきつく締められる。それによって、加熱要素30が動作状態にあるときに、環境圧力条件が外室15内の条件に影響することを防止する。加熱要素フィードスルー37をシールするシール38は、例えば、加熱要素30の入口をシールするためのカバープレート又はカバーライナーを外室15の外側に有する。実施例によっては、シール38は、加熱要素30の外室15への入口をシールする真空フランジである。実施例によっては、少なくとも1つの加熱要素30は、その動作状態において、その全体が、反応室11と外室15との間に形成された中間空間40内に位置する。そのような実施例では、加熱要素30は、加熱要素フィードスルー37を通じて、中間空間40内のその動作状態に挿入され、加熱要素30は加熱要素フィードスルー37と間接的に(例えばワイヤを通じて)結合する。このような、間接的な加熱要素30の結合は、フィードスルー37の過熱のリスクを減らし、またフィードスルー37と接触する構造の過熱のリスクを減らす。そのような実施例においては、1つ又は複数の加熱要素30及び/又は1つ又は複数の熱分配要素20を正しい動作状態に支持する他の手段が、加熱要素フィードスルー37に代えて(又は加熱要素フィードスルー37による支持機能に加えて)、外室15内に提供されてもよい。
【0064】
実施例によっては、少なくとも1つの加熱要素30は、その動作状態において、中間空間40内で反応室11の上部又は下部に位置する少なくとも1つの水平方向に配される反射板35,36を貫通して延設される。少なくとも1つの水平方向に配される反射板35,36には、少なくとも1つの加熱要素30を着脱可能に及び/又は抜き差し可能に貫通させるための開口部が1つ又は複数設けられる。実施例によっては、装置10は、反応室11の下部に、層になった、重なり合う2つ以上の水平方向に配される反射板35,36を備える。その場合、少なくとも1つの加熱要素30は、これら重なり合った水平方向に配される反射板35,36を貫通して延設される。実施例によっては、少なくとも1つの加熱要素30は、反応室11における中間空間40内に位置する少なくとも1つの縦方向に配される反射板35',36'を貫通して延設される。少なくとも1つの縦方向に配される反射板35',36'には、少なくとも1つの加熱要素30を着脱可能に及び/又は抜き差し可能に貫通させるための開口部が1つ又は複数設けられる。実施例によっては、装置10は、反応室11に、層になった、重なり合う2つ以上の縦方向に配される反射板35',36'を有する。その場合、少なくとも1つの加熱要素30は、これら重なり合った縦方向に配される反射板35',36'を貫通して延設される。
【0065】
中間空間40におけるその動作状態において、少なくとも1つの加熱要素30は少なくとも1つの熱分配要素20に組み合わされる。実施例によっては、中間空間40内の個々の熱分配要素20がそれぞれ少なくとも1つの加熱要素30に組み合わされる。実施例によっては、中間空間40内の個々の熱分配要素20がそれぞれ2つ以上の加熱要素30に組み合わされる。実施例によっては、中間空間40内のある1つの熱分配要素20が、少なくとも1つの加熱要素30に組み合わされる少なくとも1つの他の熱分配要素20に組み合わされる。少なくとも1つの熱分配要素20は、少なくとも1つの加熱要素30から放射された熱をすくい上げ、反応室11の外縁部に全体的に等しく分配する。それによって、反応室11内で生じている表面反応に必要な熱を提供する。好ましくは、1つ又は複数の熱分配要素20の材質は良好な熱伝導率を有する。例えば、1つ又は複数の熱分配要素20の材質はアルミニウムである。実施例によっては、1つ又は複数の熱分配要素は、少なくともその一部が銅、真鍮、チタン、スチール、セラミック、窒化物、炭化物で作られてもよい(または含んでもよい)。
【0066】
実施例によっては、1つ又は複数の熱分配要素20の表面のうち反応室11に向いている面は、外室15に向いている面よりも、全表面面積が大きい。実施例によっては、1つ又は複数の熱分配要素20の表面のうち反応室11に向いている面の全表面面積は、外室15に向いている面の表面面積の1.5倍より大きく、好ましくは2倍より大きく、より好ましくは4倍より大きい。1つ又は複数の熱分配要素20の表面のうち反応室11に向いている面は、高い電磁熱放射率(electro magnetic thermal emissivity)を有する。1つ又は複数の熱分配要素20の表面のうち反応室11に向いている面は、高い電磁熱放射率を有する物質でコーティングされる。例えば、1つ又は複数の熱分配要素20の表面のうち反応室11に向いている面は、(例えばシリコン窒化物のような)窒化物や、(例えばタングステンカーバイドのような)炭化物を含むコーティングを有する。実施例によっては、これらのコーティングの厚さは、熱放射を最大化するように最適化される。一方、1つ又は複数の熱分配要素20の表面のうち外室15に向いている面は滑らかであり、研磨されていてもよく、しわがない。また当該面の物質は低い熱放射率を有する。1つ又は複数の熱分配要素20の表面のうち外室15に向いている面は、低い熱放射率を有する物質でコーティングされる。実施例によっては、このコーティングの厚さは、熱放射を最小化するように最適化される。例えば、1つ又は複数の熱分配要素20の表面のうち外室15に向いている面の物質又は当該面のコーティング物質は、例えば銅や金、銀、真鍮、ニッケル、スチールであることができる。
【0067】
実施例によっては、少なくとも1つの熱分配要素20の形状は湾曲しており、又は曲がっており、又はアーチ状であり、平坦なパネル状の物体であり、好ましくは反応室11の周囲に少なくとも部分的に置かれるように構成される。少なくとも1つの熱分配要素20は、その構造中に開口部又は孔のような部分28を有する。当該開口部又は孔28により、加熱要素30は少なくとも部分的に、熱分配要素20の内部に位置することができる。開口部又は孔28は例えば筒またはダクトとして形成される。例えば、
図2の実施例で示されるように、加熱要素30は筒又はダクト内に位置することができる。
図2の例では、筒又はダクトは短い連結シリンダ25であり、熱分配要素20の狭端21,21',22,22'に設けられる。隣接する2つの熱分配要素20はそれぞれ、狭端21,21',22,22'の異なる位置に、短い連結シリンダ25を有する。このため、これら2つの熱分配要素20が隣同士に設置されると、それぞれの短い連結シリンダ25は例えば上下に重なり合うように隣接する。この構成は、隣接する2つの熱分配要素20のそれぞれの短い連結シリンダ25の中となる位置に、加熱要素30を挿入することを可能とする。
【0068】
1つ又は複数の熱分配要素20内に加熱要素30を入れるための別のタイプのソリューションを利用してもよい。代替的に、
図3に示されるように、開口部又は孔28は熱分配要素20の本体を完全に又は部分的に貫通するダクトであり、そのような開口部又は孔28の内部に加熱要素30をセットするように構成してもよい。開口部又は孔は熱分配要素20の狭端21,21',22,22'を貫くように構成され、熱分配要素20を完全に又は部分的に貫く導管のように設けられる。実施例によっては、開口部又は孔28は熱分配要素20を部分的に貫くのみであり、開口部又は孔28の反対側の狭端にはエア開口部26が設けられる。エア開口部26は、開口部又は孔28による空洞に繋がっており、装置の動作中に真空状態を提供できるようになっている。実施例によっては、エア開口部26が開口部又は孔28による空洞に繋がっている場合、エア開口部26の直径は孔28の直径よりも小さい。これは、加熱要素30が熱分配要素20を完全に貫通することを防ぐためである。実施例によっては、熱分配要素20の下側の狭端21,21',22,22'は、加熱要素30を入れ込むための少なくとも1つの孔28を有する。このため熱分配要素20の重量の少なくとも一部は、少なくとも部分的に熱分配要素20内に挿入されている加熱要素30にのしかかる。別の代替的実施例においては、熱分配要素20の狭端21,21',22,22'の1つは、当該狭端に関する面を完全に貫く少なくとも1つの開口部又は孔28を、加熱要素30を挿入するために有する。そのような実施例においては、少なくとも1つの熱分配要素20の重量の支持は、別の方法で行われる。
【0069】
実施例によっては、少なくとも1つの熱分配要素20は、1つ又は複数の加熱要素30を熱分配要素20に取り付けための少なくとも1つの固定具を有する(図示されていない)。そのような実施例においては、1つ又は複数の加熱要素30は熱分配要素20内にセットされる必要はない。従って、熱分配要素20の構成は、少なくとも1つの加熱要素30を熱分配要素20に結合するように構成される。
【0070】
例えば、少なくとも1つの熱分配要素20は少なくとも1つの加熱要素30を結合するための支持構成を、狭端21,21',22,22'内又はそのパネル状の面23上に有してもよい。そのような支持構成は、リング等の輪構造のものであってもよい(図示されていない)。
【0071】
実施例によっては、1つの熱分配要素20に、複数の加熱要素30を結合するために複数の開口部又は孔28が設けられる。実施例によっては、1つの加熱要素30は1つの熱分配要素20に結合してもよいし、同時に2つの熱分配要素20に結合してもよい。これは1つ又は複数の熱分配要素20の設計に依存する。
【0072】
好ましい実施形態においては、装置は2つ以上の加熱要素30を有し、それらの加熱要素30は反応室11の周囲に等間隔で配置され、反応室を均一に加熱する。例えば、装置は2つの加熱要素30を備え、好ましくは3つの加熱要素30を備え、より好ましくは4つの加熱要素30を備える。実施例によっては、装置は4つ以上の加熱要素30を備える。
【0073】
実施例によっては、装置10は互いに結合した複数の熱分配要素20を備え、各熱分配要素20は少なくとも1つの加熱要素30に結合し、これらの熱分配要素20は中間空間40内で反応室11の周囲のほとんど又は全てを囲む。実施例によっては、装置10は互いに結合した複数の熱分配要素20を備え、各熱分配要素20は少なくとも1つの加熱要素30に結合し、これらの熱分配要素20は中間空間40内で反応室11の上部及び/又は底部を覆う。実施例によっては、装置10は互いに結合した複数の熱分配要素20を備え、各熱分配要素20は少なくとも1つの加熱要素30に結合し、これらの熱分配要素20は、中間空間40内で、反応室11の周囲と、反応室11の上部及び/又は底部のほとんど又は全て囲む。実施例によっては、熱分配要素20は加熱要素30を通じて第2の熱分配要素20に接続する。そのような加熱要素30は部品の集合を一体に保つ。実施例によっては、装置10は互いに結合した複数の熱分配要素20を備え、各熱分配要素20は少なくとも1つの加熱要素30によって互いに接続され、これらの熱分配要素20は中間空間40内で反応室11の周囲のほとんど又は全てを囲む。個々の熱分配要素20の形状は例えば円筒の1/4、円筒形又は弓形の四分円分であってもよく、そのような熱分配要素20が4つ集まって反応室11の周囲を囲んでもよい。反応室11の周囲のほとんど又は全てを囲むための熱分配要素20の形や数は、実施例によって様々であってよい。実施例によっては、装置は10は完全な円筒状の熱分配要素20を1つだけ備え、当該熱分配要素20が中間空間40内で反応室11の周囲を囲む。実施例によっては、中間空間40内で反応室11の周囲のほとんど又は全ては、1つ又は複数の熱分配要素20によって囲まれる。実施例によっては、反応室11のほとんど全体が、中間空間40内で、1つ又は複数の熱分配要素20によって包まれる(又は閉じ込められる)。装置10に1つ又は複数の熱分配要素20を組み付けたり又は取り外したりすることは、最初に1つ又は複数の加熱要素30を除去する必要なく、開閉可能な蓋アセンブリ17を通じて行うことができる。
【0074】
実施例によっては、
図4及び5に描かれるように、装置は、加熱要素30と少なくとも1つの熱分配要素20との間に鞘要素45を備える。鞘要素45は、加熱要素30からの熱をその1つ又は複数の熱分配要素20に伝達すると共に、加熱要素30を覆うことによって加熱要素30を保護する。実施例によっては、鞘要素45は少なくとも1つの熱分配要素20に対する支持も提供する。実施例によっては、熱分配要素20は鞘要素45を通じて第2の熱分配要素20に接続する。そのような鞘要素45は部品の集合を一体に保つことに役立っている。実施例によっては、鞘要素45は加熱要素30を酸化から保護する。実施例によっては、鞘要素45は、少なくとも1つの加熱要素30が中間空間40内の支配的な条件に晒されることを防ぐ。好ましくは、鞘要素45の材質は良好な熱伝導率を有する。例えば、鞘要素45の材質はアルミニウムである。鞘要素45は長細い鞘の形状を有し、加熱要素30の外面をしっかりと嵌め込むように構成される内腔を有する。加熱要素30は、細長の鞘要素45の第1の末端部の開口部を通じて、少なくとも部分的に、鞘要素45の内腔に着脱自在にセットされる。
図4の実施例で示されるように、実施例によっては鞘要素45の第2の末端部は閉じており、加熱要素30の末端部の頂部上の閉じたキャップを形成している。
図5の実施例で示されるように、実施例によっては鞘要素45の第2の末端部は閉じておらず、鞘要素45の内腔に対して開かれていてもよい。実施例によっては、加熱要素30の全体が、中間空間40内で、鞘要素45によって覆われる。実施例によっては、各加熱要素30は、中間空間40内で、加熱要素フィードスルー37を貫通する点を越えて、鞘要素45によって覆われる。実施例によっては、加熱要素30の末端部のみが、中間空間40内で支配的な条件に晒される。
図5に示されるように、鞘要素45はシール38と共に、加熱要素フィードスルー37と加熱要素30との間をしっかりと封止する。鞘要素45は、加熱要素フィードスルー37の内部又は中間空間40の入口において、シール38に結合していてもよい。実施例によっては、シール38はフランジであり、例えば真空フランジである。シール38は、鞘要素45とシール38との間の接続部を封止するOリングを含んでもよい。実施例によっては、鞘要素45の全体が、反応室11の上部及び下部に設置される縦方向の反射板35',36'による層により区切られた空間内に位置していてもよい。そのような実施例においては、加熱要素30の一部が、中間空間40内で支配的な条件に晒される。実施例によっては、鞘要素45の全体が、反応室11の上部及び下部に設置される水平方向の反射板35',36'による層により区切られた空間内に位置していてもよい。
【0075】
実施例によっては、カートリッジヒーターのような加熱要素30は真空にあり、少なくとも部分的に鞘要素45にきつく挿入されてもよい。そのような実施例においては、鞘要素45は内腔に電気的絶縁を提供する。実施例によっては、加熱要素30の電気接点は中間空間40の外側に設けられる(図示されていない)。従って、そのような電気接点(電気ケーブル)は真空に晒されてはいない。実施例によっては、少なくとも部分的に加熱要素30を覆う鞘要素45は、真空フランジのようなシール38上にしっかりと固定されていてもよい。それによって、加熱要素30の電気接点が真空に晒されることを防ぐ。実施例によっては、少なくとも1つの熱分配要素20に結合する加熱要素30の部分が、外室15の外に位置する加熱要素30の部分よりも、高い温度に達するように構成される。このため、少なくとも1つの加熱要素30の取扱者は、外室15の外側にある加熱要素30の部分を手で持って、挿入したり取り出したりすることが可能である。
【0076】
実施例によっては、鞘要素45は、少なくとも1つの熱分配要素20のある部位を支持し固定するように構成された表面構造を備えてもよい。そのような部位は、縦方向に固定されてもよく、水平方向に固定されてもよく、また縦方向及び水平方向に固定されてもよい。より詳細には、
図4に描かれるように、鞘要素45の外面に、少なくとも1つの熱分配要素20の重量が支持されうるような突出部又膨らみが設けられてもよい。例えば鞘要素45はその末端部の外端に突出部又膨らみを有する。加熱要素30は、当該末端部を通じて、少なくとも部分的に、鞘要素45の内腔に着脱可能に配される。
【0077】
従って、実施例によっては、加熱要素30が、その動作時におけるように鞘要素45の内部に縦方向に完全に挿入されたとき、少なくとも1つの熱分配要素20の下縁部は、鞘要素45の前記突出部上に支持される。代替的実施例においては、鞘要素45の前記突出部又膨らみは、鞘要素45の軸方向に沿ったどの場所に位置していてもよい。実施例によっては、少なくとも1つの熱分配要素20の支持構造は、鞘要素45及び/又は少なくとも1つの熱分配要素20の前記部分とは異なる構造的ソリューションによって提供される。例えば、wherein蓋構造17を通じて加熱要素30が中間空間40内に縦方向に挿入される実施例においては、加熱要素30、鞘要素45、熱分配要素20のために、別の組み付け方法が利用される。
【0078】
本明細書において開示された1つ又は複数の実施例の技術的効果を以下に示す。ただし、これらの効果は請求項に係る発明の技術的範囲および解釈を制限するものではない。技術的効果の1つは、加熱要素の着脱及び交換を容易とすることである。例えば、加熱要素の表面が酸化したために新しいものに交換しなければならない場合、古い加熱要素を簡単に取り外して新しい加熱要素に交換することができる。別の技術的効果の1つは、1つ又は複数の熱分配要素の着脱及び交換を容易とすることである。1つ又は複数の熱分配要素は、装置の開閉可能な蓋を通じて簡単に取り外すことができる。別の技術的効果の1つは、熱分配要素の面のうち反応室に向いている面が、熱反射要素及び外室に向いている面に比べて異なって、熱エネルギーを放射するように構成されることである。別の技術的効果の1つは、1つ又は複数の加熱要素が、中間空間内で支配的な条件に接触することを防ぐことである。それによって、加熱要素の表面が酸化されることを防ぐ。別の技術的効果の1つは、1つ又は複数の加熱要素の電機部品が、中間空間内で支配的な真空条件に接触することを防ぐことである。別の技術的効果の1つは、1つ又は複数の熱分配要素を、間接又は直接に、1つ又は複数の加熱要素に接続することである。それによって、反応室周縁部に、又は反応室に、熱エネルギーを一様に分配することができる。
【0079】
以上の説明により、本発明の特定の実装および実施形態の非限定例を用いて、発明者によって現在考えられている、本発明を実施するための最良の形態の完全かつ有益な説明を提供した。しかしながら、当業者には明らかであるように、上述の実施形態の詳細は本発明を限定するものではなく、本発明の特徴から逸脱することなく同等の手段を用いて、他の実施形態に実装することができる。さらに、以上に開示した本発明の実施形態の特徴は、対応する他の特徴を用いることなく用いられてもよい。然るに、以上の説明は、本発明の原理を説明するための例に過ぎず、それを限定するものではないと捉えるべきである。本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によってのみ限定される。