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特許7561909抵抗溶接装置の溶接プロセス中の溶接力の測定および溶接電圧の検出を行う装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-26
(45)【発行日】2024-10-04
(54)【発明の名称】抵抗溶接装置の溶接プロセス中の溶接力の測定および溶接電圧の検出を行う装置
(51)【国際特許分類】
   G01L 5/00 20060101AFI20240927BHJP
【FI】
G01L5/00 Z
【請求項の数】 13
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023069218
(22)【出願日】2023-04-20
(65)【公開番号】P2023180214
(43)【公開日】2023-12-20
【審査請求日】2023-06-15
(31)【優先権主張番号】22150765
(32)【優先日】2022-06-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】502281471
【氏名又は名称】キストラー ホールディング アクチエンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アンドリ レーマン
(72)【発明者】
【氏名】ダヴォリン ネーゲリ
(72)【発明者】
【氏名】ステファン コッホ
【審査官】細見 斉子
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2016-0065331(KR,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0236591(US,A1)
【文献】実開昭57-166142(JP,U)
【文献】特開昭64-029726(JP,A)
【文献】特開平11-064130(JP,A)
【文献】特表昭57-502251(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01L 5/00
B23K 11/24
B23K 11/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
抵抗溶接装置(2)の溶接プロセス中に溶接力を測定し、溶接電圧を検出するための装置(1)であって、前記抵抗溶接装置(2)が、2つの電極アーム(20.1、20.2)を備えた溶接銃(20)を有し、
前記装置(1)が、
前記装置(1)を前記電極アーム(20.1、20.2)に配置するための2つのコンタクトソケット(12、13)と、
溶接プロセス中に前記電極アーム(20.1、20.2)によって加えられる前記溶接力を測定するための少なくとも1つのセンサ素子(15.1~15.3)と、
前記溶接プロセス中に溶接電圧を検出するための少なくとも1つのコンポーネント(17.1~17.3)と
を備える、前記装置(1)において、
前記装置(1)が結合手段(14)を備え、前記装置(1)が前記電極アーム(20.1、20.2)に配置されると、前記結合手段(14)により前記装置(1)が前記抵抗溶接装置(2)に機械的に結合されるようになっており、
前記2つの電極アーム(20.1、20.2)は、下部電極アーム(20.1)と上部電極アーム(20.2)からなり、
前記2つのコンタクトソケット(12、13)は、下部コンタクトソケット(12)と上部コンタクトソケット(13)からなり、
前記下部コンタクトソケット(12)は、下部円錐形凹部(12.1)を有し、前記装置(1)が前記電極アーム(20.1、20.2)に配置されると、前記下部円錐形凹部(12.1)は、前記下部電極アーム(20.1)の最前端を収容し、それを鉛直方向軸線(Z)に関して中心配置し、
前記装置(1)と前記抵抗溶接装置(2)の機械的結合のために、前記結合手段(14)は、前記抵抗溶接装置(2)に結合力(K)を及ぼすようになっており、
前記装置(1)は、下部ハウジング部品(10)、上部ハウジング部品(11)、および絶縁体(16)を備え、
前記2つのコンタクトソケット(12、13)は、下部コンタクトソケット(12)および上部コンタクトソケット(13)を備え、
前記下部コンタクトソケット(12)は、前記下部ハウジング部品(10)の外側に固定されており、
前記上部コンタクトソケット(13)は、前記上部ハウジング部品(11)の外側に固定されており、
前記絶縁体(16)は、前記下部ハウジング部品(10)を前記上部ハウジング部品(11)から電気的に絶縁し、
前記下部ハウジング部品(10)と前記上部ハウジング部品(11)は、前記絶縁体(16)によって機械的に接続されており、
前記下部ハウジング部品(10)と前記上部ハウジング部品(11)が接続されると、少なくとも1つの内部空間(10.1~10.5)を囲み、
前記センサ素子(15.1~15.3)および前記コンポーネント(17.1~17.3)は、前記内部空間(10.1~10.5)内に配置されることを特徴とする、装置(1)。
【請求項2】
前記結合手段(14)は結合器本体(14.1)を備え、前記結合器本体(14.1)は、前記下部コンタクトソケット(12)の外側に取り付けられ、
前記結合器本体(14.1)は結合器開口部(14.5)を備え、前記結合器開口部(14.5)は、前記鉛直方向軸線(Z)に沿って前記結合器本体(14.1)を貫通して延在し、前記下部円錐形凹部(12.1)と連通し、
前記装置(1)が前記電極アーム(20.1、20.2)に配置されると、前記下部電極アーム(20.1)は、前記結合器開口部(14.5)を通って突出し、
前記装置(1)と前記抵抗溶接装置(2)の機械的結合のために、前記結合手段(14)は、前記下部電極アーム(20.1)に前記結合器開口部(14.5)内で前記結合力(K)を及ぼすようになっていることを特徴とする、請求項に記載の装置(1)。
【請求項3】
前記結合手段(14)は、クランプ部材(14.3)を備え、前記クランプ部材(14.3)は、前記結合器開口部(14.5)を半径方向に取り囲み、
前記クランプ部材(14.3)は、第1のクランプ部材端部(14.3)および第2のクランプ部材端部(14.32)を有し、
前記第1および第2のクランプ部材端部(14.31、14.32)は、ギャップ(14.33)によって互いに離間しており、
前記ギャップ(14.33)の幅の減少により、前記下部電極アーム(20.1)に前記結合力(K)が作用するようになっていることを特徴とする、請求項に記載の装置(1)。
【請求項4】
前記結合手段(14)は、クランプ手段(14.2)を備え、前記クランプ手段(14.2)は、前記クランプ部材(14.3)に配置され、
前記クランプ手段(14.2)は、ブッシング部材(14.21)およびねじ部材(14.22)を備え、
前記ブッシング部材(14.21)は、前記第1のクランプ部材端部(14.31)に固定されて、前記ねじ部材(14.22)を保持し、
前記ねじ部材(14.22)は、前記第2のクランプ部材端部(14.32)にねじ込むことができ、ねじ込まれることによって前記ギャップ(14.33)の幅が減少することを特徴とする、請求項に記載の装置(1)。
【請求項5】
保持部材(14.51)が、前記結合器開口部(14.5)内に配置され、
前記装置(1)が前記電極アーム(20.1、20.2)に配置されると、前記下部電極アーム(20.1)は、前記結合器開口部(14.5)を通って突出して、前記保持部材(14.51)を圧縮し、
前記圧縮された保持部材(14.51)は、前記下部電極アーム(20.1)に前記結合力(K)を及ぼすようになっていることを特徴とする、請求項に記載の装置(1)。
【請求項6】
前記抵抗溶接装置(2)は、支持体(21.1)を備え、
前記装置(1)は、前記電極アーム(20.1、20.2)に配置されると、前記支持体(21.1)に機械的に結合することができ、
前記結合手段(14)は、締結手段(14.4)からなり、
記締結手段(14.4)は、前記装置(1)と前記抵抗溶接装置(2)の機械的結合のために前記支持体(21.1)に前記結合力(K)を及ぼすことを特徴とする、請求項に記載の装置(1)。
【請求項7】
前記センサ素子(15.1~15.3)は、前記溶接力の主要力経路内の前記内部空間(10.1~10.5)内に配置されることを特徴とする、請求項に記載の装置(1)。
【請求項8】
前記装置(1)は、第1のセンサ素子(15.1)、第2のセンサ素子(15.2)、および第3のセンサ素子(15.3)を備え、
前記3つのセンサ素子(15.1~15.3)は、長手方向軸線(X)に沿って作用する同じ溶接力を測定する同一の単一成分の力変換器であり、
前記3つのセンサ素子(15.1~15.3)は、測定された前記溶接力に対する力の値を生成することを特徴とする、請求項に記載の装置(1)。
【請求項9】
前記第1のセンサ素子(15.1)は、第1の内部空間(10.1)内に配置され、
前記第2のセンサ素子(15.2)は、第2の内部空間(10.2)内に配置され、
前記第3のセンサ素子(15.3)は、第3の内部空間(10.3)内に配置され、
前記3つのセンサ素子(15.1~15.3)は、鉛直方向軸線(Z)に対して垂直な水平面(XY)内に存在し、
前記3つのセンサ素子(15.1~15.3)は、前記鉛直方向軸線(Z)から等しい半径方向距離(R)に配置され、
前記3つのセンサ素子(15.1~15.3)は、120°の角度で等間隔に離間していることを特徴とする、請求項に記載の装置(1)。
【請求項10】
前記コンポーネント(17.1~17.3)は、第4の内部空間(10.4)内に配置され、
前記コンポーネント(17.1~17.3)は、下部電極(17.1)、上部電極(17.2)、およびフォトカプラ(17.3)を備え、
前記下部電極(17.1)は、前記下部ハウジング部品(10)の内側に固定され、
前記上部電極(17.2)は、前記上部ハウジング部品(11)の内側に固定され、
前記フォトカプラ(17.3)は、前記下部電極(17.1)と前記上部電極(17.2)との間に作用する溶接電圧を検出し、それを測定値に変換することを特徴とする、請求項に記載の装置(1)。
【請求項11】
前記装置(1)は、前記力の値を評価するための評価ユニット(18)を備え、
前記評価ユニット(18)は、第5の内部空間(10.5)内に配置され、
前記3つのセンサ素子(15.1~15.3)の前記3つの内部空間(10.1~10.3)および前記コンポーネント(17.1~17.3)の前記内部空間(10.4)は、前記下部ハウジング部品(10)内の通路(10.6)によって前記評価ユニット(18)の前記第5の内部空間(10.5)と連通しており、
前記3つのセンサ素子(15.1~15.3)は、電線を有し、前記電線によって前記力の値を前記評価ユニット(18)に伝達し、
前記フォトカプラ(17.3)は、少なくとも1本の電線を有し、前記電線によって前記測定値を前記評価ユニット(18)に伝達し、
前記3つのセンサ素子(15.1~15.3)の前記電線と前記フォトカプラ(17.3)の前記電線は、前記通路(10.6)内に案内されることを特徴とする、請求項10に記載の装置(1)。
【請求項12】
前記装置(1)は、測定された前記溶接力を評価するための評価ユニット(18)を備え、
前記センサ素子(15.1~15.3)は、前記溶接力の作用下で分極電荷を生成する圧電材料を含み、
前記センサ素子(15.1~15.3)は、前記分極電荷を前記評価ユニット(18)に伝達し、
前記評価ユニット(18)は、分極電荷を増幅して直流電圧を与える電荷増幅器を備え、
前記評価ユニット(18)は、前記センサ素子(15.1~15.3)の較正データを有し、前記評価ユニット(18)は、前記直流電圧を線形化するために前記較正データを使用することを特徴とする、請求項10または11に記載の装置(1)。
【請求項13】
前記評価ユニット(18)は、前記線形化された直流電圧をアナログ力信号(AKS)およびデジタル力信号(DKS)として提供し、
前記評価ユニット(18)は、前記測定値をアナログ測定信号(AMS)またはデジタル測定信号(DMS)として提供し、
前記装置(1)は、電気フィードスルー(19)を備え、
前記評価ユニット(18)は、前記アナログ力信号(AKS)および前記デジタル力信号(DKS)を前記電気フィードスルー(19)に伝達し、
前記評価ユニット(18)は、前記アナログ測定信号(AMS)および前記デジタル測定信号(DMS)を電気フィードスルー(19)に伝達し、
前記アナログ力信号(AKS)および前記デジタル力信号(DKS)、ならびに前記アナログ測定信号(AMS)および前記デジタル測定信号(DMS)は、前記電気フィードスルー(19)で前記装置(1)の外部の環境から取り出すことができることを特徴とする、請求項12に記載の装置(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、独立請求項の特徴部分に係る、抵抗溶接装置の溶接プロセス中に溶接力を測定し、溶接電圧を検出するための装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
抵抗溶接装置は、例えば板金などの金属ワークピースの溶接に使用できる。このような抵抗溶接装置は、溶接ロボットに応用され、金属加工業界で広く使用されている。一般的に、抵抗溶接装置は、2つの電極アームを有する溶接銃を備える。電極アームのうちの少なくとも一方は、可動となるように設計され、電極アームのうちの他方は、固定されていてもよい。可動電極アームを動かすことで、溶接銃を開閉できる。ワークピースは、開いた溶接銃の電極アームの間に配置され、溶接銃を閉じたとき、ワークピースには数kNの溶接力がかかる。溶接プロセス中の溶接力の大きさ、溶接電流の大きさ、および溶接電圧の大きさは、事前に定義されている。一般的に、溶接プロセスは、ワークピースに溶接力の90%の最小溶接力がかかるまで開始されない。その後、溶接プロセスで数Vの溶接電圧で数10kAの溶接電流によって、ワークピースが溶接される。
【0003】
一貫して高品質の溶接プロセスを実現するために、装置は溶接プロセス中に作用する溶接力を測定し、溶接プロセス中に印加される溶接電圧を検出する。この測定と検出は、定期的に記録される。さらに、この測定と検出は、溶接銃のメンテナンスが必要かどうかを判断するために使用できる。
【0004】
溶接力較正送信機タイプ9831Cと名付けられた、抵抗溶接装置の溶接プロセス中に溶接力を測定し溶接電圧を検出するための前述のタイプの装置は、出願人から市販されており、取扱説明書番号9831C_002.567d-04.11に記載されている。この装置は、2つのコンタクトソケットを備えたハンドルを備えている。この装置は、人間の操作者によってハンドルに保持され、コンタクトソケットによって装置は、ワークピースの代わりに電極アームの間に導入される。
【0005】
この装置は、溶接力の作用下で分極電荷を生成する圧電センサ素子を備えている。分極電荷の数は、溶接力の大きさに比例する。分極電荷は、溶接力の測定に使用される。この装置は、分極電荷を増幅してDC電圧を与える電荷増幅ユニットを備えている。
【0006】
この装置は、電極アーム間に印加される溶接電圧を検出するコンポーネントを備えている。
【0007】
しかしながら、金属加工業界では、操作者が物理的に存在する必要なしに、そのような装置を操作したいという要望がある。特に、安全上の理由から、人間の操作者と共に動作する溶接ロボットは、安全装置によって物理的に分離される必要がある。
【0008】
さらに、溶接プロセス中に溶接力の測定および溶接電圧の検出を目的として装置を保持する人間の操作者は、ハンドルを介して装置に振動および曲げモーメントを導入することになり、その振動および曲げモーメントによって溶接プロセス中の溶接力の測定と溶接電圧の検出が歪められる可能性がある。この問題を解決するために、測定および検出を複数回繰り返して測定値の統計的平均を取得し、こうして振動および曲げモーメントによる歪みが測定および検出の精度に与える影響を低減する。しかしながら、溶接プロセス中に溶接力の測定および溶接電圧の検出を複数回繰り返すことは、時間がかかり、コストがかかる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、本発明の目的は、人間の操作者の存在なしに自律的に動作することができ、溶接プロセス中の溶接力と溶接電圧の検出を高精度で行うことができ、溶接プロセス中の溶接力の測定と溶接電圧の検出を簡単に、迅速に、コスト効率の高い方法で実行する、抵抗溶接装置の溶接プロセス中に溶接力を測定し、溶接電圧を検出するための装置を開示することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この目的は、独立請求項の構成によって達成される。
【0011】
本発明は、抵抗溶接装置の溶接プロセス中に溶接力を測定し、電気溶接電圧を検出するための装置であって、この抵抗溶接装置は、2つの電極アームを備えた溶接銃を備える。装置は、装置を電極アームに配置するための2つのコンタクトソケットと、溶接プロセス中に電極アームによって及ぼされる溶接力を測定するための少なくとも1つのセンサ素子と、溶接プロセス中に電気溶接電圧を検出するための少なくとも1つのコンポーネントとを備え、装置は、結合手段を備え、装置が電極アームに配置されると、前記結合手段は、装置を抵抗溶接装置に機械的に結合するようになっている、装置に関するものである。
【0012】
本発明の結合手段による装置の抵抗溶接装置へのこの機械的結合により、溶接プロセス中に溶接力を測定し溶接電圧を検出するために人間の操作者が装置を保持する必要がなくなる。この機械的結合は、簡単かつ迅速に実現でき、装置の自律動作を可能にする。さらに、人間の操作者が保持する必要がなくなるため、装置に振動および曲げモーメントが導入されることがなくなり、したがって溶接プロセス中の溶接力の測定および溶接電圧の検出の精度が向上する。
【0013】
本発明の有利な実施形態は、従属請求項に記載されている。
【0014】
有利な一実施形態では、2つの電極アームは、下部電極アームと上部電極アームとを備え、2つのコンタクトソケットは、下部コンタクトソケットと上部コンタクトソケットとを備え、下部コンタクトソケットは、下部円錐形凹部を備え、装置が電極アームに配置されると、前記下部円錐形凹部は、下部電極アームの最前端を収容し、それを鉛直方向軸線に関して中央配置し、装置を抵抗溶接装置に機械的に結合するために、結合手段は、抵抗溶接装置に結合力を及ぼす。
【0015】
したがって、結合手段は、装置を抵抗溶接装置に機械的に結合するために、抵抗溶接装置に結合力を及ぼす。この結合力の発揮は、簡単かつ迅速に達成でき、装置の自律動作を可能にする。
【0016】
有利な一実施形態では、結合手段は、結合器本体を備え、この結合器本体は、下部コンタクトソケットの外側に取り付けられ、結合器本体は、結合器開口部を備え、この結合器開口部は、鉛直方向軸線に沿って結合器本体を貫通して延在し、下部円錐形凹部と連通し、装置が電極アームに配置されると、下部電極アームは、結合器開口部を通って突出し、装置を抵抗溶接装置に機械的に結合するために、結合手段は、結合器開口部内で下部電極アームに結合力を加える。
【0017】
したがって、装置は、装置が電極アームに配置された後、結合手段の結合器開口部を通ってすでに突き出ている下部電極アームへの機械的結合を容易に達成する。また、機械的結合の達成は、簡単かつ迅速であり、装置の自律動作を可能にする。
【0018】
有利な一実施形態では、結合手段は、クランプ部材を備え、このクランプ部材は、結合器開口部を半径方向に取り囲み、前記クランプ部材は、第1のクランプ部材端部と第2のクランプ部材端部とを備え、前記第1のクランプ部材端部と第2のクランプ部材端部は、ギャップによって互いに離間しており、前記ギャップの幅を減少させることによって、結合力が下部電極アームに及ぼされる。
【0019】
したがって、それは、容易かつ迅速な方法で達成することができ、装置の自律動作を可能にする、ギャップの幅を減少させることによって結合力を及ぼす、ギャップによって互いに離間された2つのクランプ部材端部を備えるクランプ部材である。
【0020】
有利な一実施形態では、結合手段は、クランプ手段を備え、このクランプ手段は、クランプ部材に配置され、クランプ手段は、ブッシング部材およびねじ部材を備え、ブッシング部材は、第1のクランプ部材端部に取り付けられ、ねじ部材を保持し、ねじ部材は、第2のクランプ部材端部にねじ込まれ、それによってギャップの幅を減少させることができる。
【0021】
ギャップの幅を減少させるためのねじ込み手段の第2のクランプ部材端部へのそのようなねじ込みは、簡単かつ迅速な方法で達成することができ、装置の自律動作を可能にする。
【0022】
別の有利な一実施形態では、保持部材が、結合器開口部内に配置され、装置が電極アームに配置されると、下部電極アームは、結合器開口部を通って突出し、保持部材を圧縮し、圧縮された保持部材は、下部電極アームに結合力を及ぼす。
【0023】
結合器開口部内に圧縮性保持部材を配置し、圧縮状態の前記保持部材が下部電極アームに結合力を及ぼすことは、簡単かつ迅速に行うことができ、装置の自律動作を可能にする。
【0024】
別の有利な一実施形態では、抵抗溶接装置は、支持体を備え、装置は、電極アームに配置された後、支持体に機械的に結合することができ、結合手段は、別の締結手段からなり、別の締結手段は、抵抗溶接装置への装置の機械的結合を達成するために支持体に結合力を及ぼす。
【0025】
単に抵抗溶接装置の支持体への別の締結手段からなる結合手段のこのような機械的結合も、容易かつ迅速に達成することができ、装置の自律動作を可能にする。
【0026】
別の有利な一実施形態では、装置は、下部ハウジング部品、上部ハウジング部品、および絶縁体を備え、2つのコンタクトソケットは、下部コンタクトソケットおよび上部コンタクトソケットからなり、下部コンタクトソケットは、下部ハウジング部品の外側に取り付けられ、上部コンタクトソケットは、上部ハウジング部品の外側に取り付けられ、絶縁体は、下部ハウジング部品を上部ハウジング部品から電気的に絶縁し、下部ハウジング部品と上部ハウジング部品は、絶縁体によって互いに機械的に接続されており、互いに接続されると、下部ハウジング部品、上部ハウジング部品、および絶縁体は、少なくとも1つの内部空間を囲み、センサ素子およびコンポーネントは、内部空間内に配置される。
【0027】
この装置は、下部ハウジング部品、上部ハウジング部品、および絶縁体によって形成される3部品ハウジングを備え、内部空間内にセンサ素子および2つの電極を収容する。2つのコンタクトソケットは、下部ハウジング部品および上部ハウジング部品の外側に取り付けられ、測定される溶接力を内部空間内に配置されたセンサ素子に伝達する。このような3部品ハウジングを電極アームに配置することは、簡単かつ迅速に達成され、装置の自律動作を可能にする。これにより、絶縁体が下部ハウジング部品と上部ハウジング部品を電気的に絶縁するため、数10kAの溶接電流が3部品ハウジングを通って流れることはできず、まず溶接力を正確に測定可能にするものであるセンサ素子によって溶接力の測定を歪める可能性がなくなる。
【0028】
別の有利な一実施形態では、センサ素子は、溶接力の主要力経路内に位置するように内部空間内に配置される。
【0029】
センサ素子は、主要力経路に配置されているため、実質的に溶接力全体が、センサ素子に作用し、その結果、センサ素子の感度が高くなる。本発明の目的上、「感度」という用語は、溶接力の作用下でセンサ素子が生成する力の値と実際の溶接力の大きさとの比を示す。この感度量を有するセンサ素子は、測定される溶接力に対して0.02N以下の低い応答閾値を示すので、小さな溶接力でも高精度に測定することができる。
【0030】
別の有利な一実施形態では、装置は、第1のセンサ素子、第2のセンサ素子、および第3のセンサ素子を備え、3つのセンサ素子は、長手方向軸線に沿って作用する同じ溶接力を測定する同一の単一成分の力変換器であり、3つのセンサ素子は、測定された溶接力に対する力の値を生成する。
【0031】
単一成分の力変換器は、複数成分の力変換器と比較して安価である。装置内で3つの同一の単一成分力変換器を使用すると、1つの単一成分力変換器のみを備えた装置と比較して、測定対象の溶接力を測定するための測定範囲が3倍増加し、溶接力測定の精度がさらに向上する。
【0032】
別の有利な一実施形態では、第1のセンサ素子は、第1の内部空間内に配置され、第2のセンサ素子は、第2の内部空間内に配置され、第3のセンサ素子は、第3の内部空間内に配置され、3つのセンサ素子は、鉛直方向軸線に対して垂直な水平面内に配置され、3つのセンサ素子は、鉛直方向軸線から半径方向に等距離に配置され、3つのセンサ素子は、120°の角度で互いに等間隔に配置される。
【0033】
3つの内部空間内の3つのセンサ素子の長手方向軸線に関するこの対称的な配置により、水平面内で装置に一方的に作用し、鉛直方向軸線に沿って作用する溶接力を偽る曲げモーメントの発生が実質的に回避され、したがって溶接力測定の精度が向上する。
【0034】
別の有利な一実施形態では、コンポーネントは、第4の内部空間内に配置され、コンポーネントは、下部電極、上部電極、およびフォトカプラを備え、下部電極は、下部ハウジング部品の内側に取り付けられ、上部電極は、上部ハウジング部品の内側に取り付けられ、フォトカプラは、下部電極と上部電極との間に加えられる溶接電圧を検出し、それを測定値に変換する。
【0035】
このコンポーネントは、溶接プロセス中に下部ハウジング部品と上部ハウジング部品の間に印加される溶接電圧を検出し、それを測定値に変換するための2つの電極とフォトカプラを備える。このようなフォトカプラは安価であり、ガルバニック絶縁された入力と出力を有する。このようにして、数Vの大きさを有する溶接電圧が、3部品ハウジング内に侵入して、センサ素子による溶接力の測定を歪める可能性がなくなり、したがって正確な溶接力の測定が可能となる。
【0036】
さらに有利な一実施形態では、装置は、力の値を評価するための評価ユニットを備え、評価ユニットは、第5の内部空間内に配置され、3つのセンサ素子の3つの内部空間およびコンポーネントの内部空間は、下部ハウジング部品内の通路によって評価ユニットの第5の内部空間と連通しており、3つのセンサ素子は、電線を備え、電線を介して力の値を評価ユニットに送り、フォトカプラは、少なくとも1本の電線を備え、電線を介して測定値を評価ユニットに送り、3つのセンサ素子の電線とフォトカプラの電線は、通路内を案内される。
【0037】
したがって、センサ素子とコンポーネントだけでなく、評価ユニットもまた3部品ハウジング内に配置される。この空間的にコンパクトな配置により、装置の重量と設置サイズが大幅に削減される。その結果、比較的低い結合力で機械的に安定した方法で装置を溶接銃に結合することが可能であり、これは容易かつ迅速に達成することができ、装置の自律動作を可能にする。また、測定された溶接力は、装置内ですでに評価されているため、装置の外部環境を通じて測定された溶接力に対するセンサ素子によって生成された力の値を、空間的に離れた評価ユニットに伝達する必要がなくなり、空間的に離れた評価ユニットへの伝達中に、力の値が環境の有害な影響によって歪められる可能性があるため、溶接力の測定精度が向上する。
【0038】
さらに有利な一実施形態では、装置は、測定された溶接力を評価するための評価ユニットを備え、センサ素子は、溶接力の作用下で分極電荷を生成する圧電材料を含み、センサ素子は、分極電荷を評価ユニットに伝達し、評価ユニットは、分極電荷を増幅して直流電圧を得る電荷増幅器を備え、評価ユニットは、センサ素子の較正データを有し、評価ユニットは、直流電圧を線形化するためにこれらの較正データを使用する。
【0039】
圧電材料は、分極電荷の形で測定される溶接力のための力の値を生成する。分極電荷の数は作用する溶接力の大きさに比例する。しかしながら、周囲温度の変動および変化などの外部の影響により、力の値に測定誤差が生じる場合がある。したがって、評価ユニットは、分極電荷を増幅してDC電圧を取得し、センサ素子の較正データを使用してDC電圧を線形化する。線形化により、力の値の測定誤差が減少する。一般的に、本発明の目的において、「直線性」という用語は、溶接力の作用下でセンサ素子によって生成される力信号の、実際に広がる溶接力の大きさからの偏差を指す。直線性は、全範囲信号のパーセンテージ(%FS)として表される。装置の線形化された力信号は、1%FS以下の高い直線性を示し、したがって高精度に測定される溶接力を表す。さらに、圧電材料で作られたセンサ素子の測定の不確かさは、ひずみゲージと比較して小さい。本発明の目的上、「測定の不確かさ」という用語は、経時的に得られた溶接力の連続測定の一致の精度を指す。圧電材料で作られたセンサ素子の測定の不確かさは、0.01%以下であり、すなわち、ひずみゲージの測定の不確かさよりも約2桁小さい。
【0040】
さらに有利な一実施形態では、評価ユニットは、線形化された直流電圧をアナログ力信号およびデジタル力信号の形式で提供し、評価ユニットは、測定値をアナログ測定信号またはデジタル測定信号として提供し、装置は、電気フィードスルーを備え、評価ユニットは、アナログ力信号およびデジタル力信号を電気フィードスルーに伝達し、評価ユニットは、アナログ測定信号およびデジタル測定信号を電気フィードスルーに伝達し、任意選択で、アナログ力信号およびデジタル力信号、ならびにアナログ測定信号およびデジタル測定信号は、装置の外部の環境から電気フィードスルーで取り出することができる。
【0041】
したがって、アナログ力信号およびデジタル力信号、ならびにアナログ測定信号およびデジタル測定信号は、任意選択で、装置の電気フィードスルーで取り出してもよい。これにより、装置の外部環境にすでに存在するアナログとデジタルの両方の測定チェーンに装置を接続できるため、溶接プロセス中の装置による溶接力の測定と溶接電圧の検出が簡素化される。力信号と測定信号は、例えば溶接プロセスの品質を監視するために、測定チェーンでさらに評価される。
【0042】
以下、図を参照しながら、本発明の例示的な実施形態によって本発明をより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0043】
図1】抵抗溶接装置2の溶接プロセス中に溶接力を測定し、溶接電圧を検出するための装置1の第1の実施形態の一部の横断面YZに沿った部分断面図を示す。
図2】抵抗溶接装置2の溶接プロセス中に溶接力を測定し、溶接電圧を検出するための装置1の第2の実施形態の一部の長手方向平面XZに沿った部分断面図を示す。
図3】抵抗溶接装置2の溶接プロセス中に溶接力を測定し、溶接電圧を検出するための装置1の第3の実施形態の一部の横断面YZに沿った部分断面図を示す。
図4図1に係る装置1の第1の実施形態の一部の分解図を示す。
図5図1図3のいずれかに係る装置1の実施形態の一部の斜視図を示す。
図6図1に係る装置1の第1の実施形態の斜視図を示す。
図7図1または図2のいずれかに係る装置1の実施形態の斜視図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0044】
図の全体を通じて、同じ符号は、同じ対象物を示す。
【0045】
図1図7は、抵抗溶接装置2の溶接プロセス中に溶接力を測定し、溶接電圧を検出するための装置1を示す。装置1および抵抗溶接装置2は、長手方向軸線X、横方向軸線Yおよび鉛直方向軸線Zを有する直交座標系に配置されている。長手方向軸線Xおよび横方向軸線Yは、水平面XYを画定する。長手方向軸線Xおよび鉛直方向軸線Zは、長手方向平面XZを画定する。横方向軸線Yおよび長手方向軸線Zは、横断面YZを画定する。以下では、図1図3に示されるような表現において水平面XYよりも下方に配置される装置1または抵抗溶接装置2の対象物に対して「下部」という形容詞を使用し、図1図3に示されるような表現において水平面XYよりも上方に配置される装置1または抵抗溶接装置2の対象物に対して「上部」という形容詞を使用する。
【0046】
抵抗溶接装置2は、下部電極アーム20.1および上部電極アーム20.2を有する溶接銃20を備える。下部電極アーム20.1は、固定的に配置されることができ、一方、上部電極アーム20.2は、可動的に配置される。両方の電極アーム20.1、20.2は、例えば、銅、銅合金などの導電性材料で作られている。溶接銃20は、上部電極アーム20.2を鉛直方向軸線Zに沿って移動させることによって開閉することができる。鉛直方向軸線Zに沿った上部電極アーム20.2の移動は、図1および図2に示される表現では二重矢印によって示される。溶接プロセス中、電極アーム20.1、20.2は、鉛直方向軸線Zに沿って溶接力を及ぼし、電極アーム20.1、20.2の間に溶接電圧が印加される。
【0047】
溶接銃20が開かれると、装置1を電極アーム20.1、20.2に配置することができる。この目的のために、装置1は、下部コンタクトソケット12と上部コンタクトソケット13を備える。2つのコンタクトソケット12、13は、例えば、鋼、工具鋼などの機械的耐性のある材料で作られている。下部コンタクトソケット12は、円筒形であり、下部円錐形凹部12.1を有する。上部コンタクトソケット13も、円筒形であり、上部円錐形凹部13.1を有する。好ましくは、2つの円錐形凹部12.1、13.1は、鉛直方向軸線Zに対して45°の開口角度を有する。2つの円錐形凹部12.1、13.1の各々は、電極アーム20.1、20.2の最前端を受け入れて、それを鉛直方向軸線Zに関して中心配置できる。好ましくは、装置1は、下部電極アーム20.1上に下部コンタクトソケット12を配置することによって、電極アーム20.1、20.2に配置される。このようにして、下部電極アーム20.1の最前端は、下部円錐形凹部12.1の中心に位置するようになる。溶接銃20を閉じると、上部電極アーム20.2が上部円錐形凹部13.1内に移動し、それによって中心配置される。
【0048】
装置1は、下部ハウジング部品10と上部ハウジング部品11とを備える。下部ハウジング部品10および上部ハウジング部品11は、例えば、鋼、工具鋼などの機械的耐性のある材料で作られている。下部ハウジング部品10および上部ハウジング部品11は、局所的に円筒形の形状である。
【0049】
装置1は、下部締結手段12.1および上部締結手段13.1を備える。下部締結手段12.1および上部締結手段13.1は、例えば、鋼、工具鋼などの機械的耐性材料で作られる。好ましくは、下部締結手段12.2および上部締結手段13.2は、ねじである。下部コンタクトソケット12は、下部締結手段12.2によって下部ハウジング部品10の外側に締結される。「外側」という用語は、下部ハウジング部品10の上部ハウジング部品11とは反対側を指す。ねじの形態の下部締結手段12.2は、下部コンタクトソケット12の開口部を通って突出し、ねじ頭が下部コンタクトソケット12の外側に位置しており、下部ハウジング部品10のねじ山にねじ込むことができ、ねじ接続を形成する。ねじ接続により、下部コンタクトソケット12は、下部ハウジング部品10に押し付けられる。上部コンタクトソケット13は、上部締結手段13.2によって上部ハウジング部品11の外側に締結される。また、ここで、「外側」という用語は、上部ハウジング部品10の下部ハウジング部品10とは反対側を指す。ねじの形態の上部締結手段13.2は、上部コンタクトソケット13の開口部を通って突出し、ねじ頭が上部コンタクトソケット13の外側に位置しており、上部ハウジング部品11のねじ山にねじ込むことができ、ねじ接続を形成する。ねじ接続により、上部コンタクトソケット13は、上部ハウジング部品11に押し付けられる。
【0050】
装置1は、絶縁体16を備える。絶縁体16は、例えば、セラミックス、ポリイミドなどの電気絶縁性および機械的剛性の高い材料から作られる。絶縁体16は、鉛直方向軸線Zに関して下部ハウジング部品10と上部ハウジング部品11との間に配置される。絶縁体16は、下部ハウジング部品10を上部ハウジング部品11から電気的に絶縁しており、下部ハウジング部品10および上部ハウジング部品11は、絶縁体16によって機械的に接続されている。
【0051】
互いに接続されると、下部ハウジング部品10および上部ハウジング部品11は、少なくとも1つの内部空間10.1~10.5を取り囲む。下部ハウジング部品10の上部ハウジング部品11への機械的接続は、密閉されている。本発明の目的上、「密閉」という語句は、環境からの空気の湿気、液体、および気体が内部空間10.1~10.5に侵入できないことを意味する。環境は、装置1の外部の三次元空間である。
【0052】
装置1は、内部空間10.1~10.5内に配置された少なくとも1つのセンサ素子15.1~15.3および評価ユニット18を備える。このようにして、下部ハウジング部品10および上部ハウジング部品11は、センサ素子15.1~15.3および評価ユニット18を、例えば汚染物質(塵、湿気など)の有害な環境影響、および電磁放射の形態の電気的および電磁的干渉効果から保護する。
【0053】
センサ素子15.1~15.3は、溶接プロセス中に電極アーム20.1、20.2によって及ぼされる溶接力を測定する。センサ素子15.1~15.3は、測定された溶接力に対する力の値を生成する。センサ素子15.1~15.3は、鉛直方向軸線Zに関して下部ハウジング部品10と上部ハウジング部品11との間に配置され、水平面XY内に位置する。センサ素子15.1~15.3は、例えば、鋼、工具鋼などの機械的耐性のある材料で作られたセンサハウジングを備える。好ましくは、センサ素子15.1~15.3は、2つのセンサ端面、2つのセンサ側面、および中央のセンサ穴を有する中空円筒形である。センサ端面は、水平面XYと平行である。中央センサ穴の穴軸線は、鉛直方向軸線Zに平行である。
【0054】
好ましくは、センサ素子15.1~15.3は、例えば、石英(SiO)、ガロゲルマニウム酸カルシウム(CaGaGe14またはCGG)、ランガサイト(LaGaSiO14またはLGS)、トルマリン、オルトリン酸ガリウムなどの単結晶の、および例えば、チタン酸ジルコン酸鉛(Pb[ZrTi1-x]O、0≦x≦1)などの圧電セラミックスの圧電材料を含む。圧電材料は、測定対象の溶接力の作用下で圧電電荷の形態で力の値を生成する。圧電材料は、鉛直方向軸線Zに沿って作用する溶接力に対して最も高い感度をもつように配向されている。本発明の目的上、感度は、溶接力の作用下で生成される分極電荷の数と、圧電材料に作用する溶接力の大きさとの比である。最高の感度では、圧電材料は、最大数の分極電荷を生成する。
【0055】
図5および図6に係る斜視図に示されるように、センサ素子15.1~15.3は、第1のセンサ素子15.1、第2のセンサ素子15.2、および第3のセンサ素子15.3からなることが好ましい。第1のセンサ素子15.1は、第1の内部空間10.1内に配置される。第2のセンサ素子15.2は、第2の内部空間10.2内に配置される。第3のセンサ素子15.3は、第3の内部空間10.3内に配置される。好ましくは、3つのセンサ素子15.1~15.3はすべて、水平面XY内に配置される。好ましくは、3つのセンサ素子15.1~15.3は、鉛直方向軸線Zから同じ半径方向距離Rに配置される。好ましくは、3つのセンサ素子15.1~15.3は、120°の角度で互いに等間隔に配置される。好ましくは、装置1の質量中心Mは、半径方向距離R内に位置する。好ましくは、図1図3図5、および図6に示されるような装置1の質量中心Mは、実質的に長手方向軸線X上に位置する。
【0056】
好ましくは、3つのセンサ素子15.1~15.3は同一であり、長手方向軸線Xに沿って作用する同じ溶接力を測定する。好ましくは、センサ素子15.1~15.3は、鉛直方向軸線Zに沿って作用する溶接力を唯一の力成分として測定する単一成分の力変換器である。このような単一成分の力変換器の1つは、出願人から市販されており、データシート番号9130C_003-418d-04.21に記載されている、タイプ9133Cである。単一成分の力変換器は、センサの外側側面によって境界が定められた16.0mmの外径、内径6.1mmの中央センサ穴、およびセンサ端面間の高さ3.5mmを有する。単一成分の力変換器タイプ9133Cの感度は、4pC/Nである。
【0057】
装置1は、下部絶縁要素15.4および上部絶縁要素15.5を備える。下部絶縁要素15.4および上部絶縁要素15.5は、中央貫通開口部を有するディスク形状である。下部絶縁要素15.4および上部絶縁要素15.5は、例えば、セラミックス、ポリイミドなどの電気絶縁性および機械的剛性の高い材料で作られる。下部絶縁要素15.4は、鉛直方向軸線Zに関して下部ハウジング部品10とセンサ素子15.1~15.3との間に配置される。上部絶縁要素15.5は、鉛直方向軸線Zに関してセンサ素子15.1~15.3と上部ハウジング部品11との間に配置される。好ましくは、装置1は、各々のセンサ素子15.1~15.3に対して正確に1つの下部絶縁要素15.4と正確に1つの上部絶縁要素15.5を備える。下部絶縁要素15.4および上部絶縁要素15.5は、センサ素子15.1~15.3を下部ハウジング部品10および上部ハウジング部品11から電気的に絶縁する。したがって、センサ素子15.1~15.3は、溶接力測定を歪める可能性がある数Vの溶接電圧と同じ電位にはない。
【0058】
好ましくは、センサ素子15.1~15.3は、ピックオフ電極を備える。ピックオフ電極は、圧電材料から分極電荷を除去する。ピックオフ電極は、図には示されていない。
【0059】
好ましくは、装置1は、少なくとも1つの予圧要素15.6を備える。ピックオフ電極が圧電材料から生成されたすべての分極電荷を確実に除去し、溶接力の測定を偽る可能性のある分極電荷が圧電材料上に残らないことを保証するために、ピックオフ電極は、予圧要素15.6によって圧電材料に対して機械的に予圧される。機械的な予圧により、ピックオフ電極と圧電材料の間の微細孔が閉じられる。好ましくは、装置1は、各々のセンサ素子15.1~15.3に対して正確に1つの予圧要素15.6を備える。予圧要素15.6は、下部絶縁要素15.4の中央貫通開口部、センサ素子15.1~15.3の中央センサ穴、上部絶縁要素15.5の中央貫通開口部、および上部ハウジング部品11の開口部を通って突出する。好ましくは、予圧要素15.6はねじであり、このねじは、ねじ頭が上部ハウジング部品11の外側に位置しており、下部ハウジング部品10のねじ山にねじ込み、ねじ接続を形成することができる。ねじ接続により、センサ素子15.1~15.3は、下部ハウジング部品10に押し付けられる。ここでも、「外側」という用語は、上部ハウジング部品11の、下部ハウジング部品10とは反対側を指す。
【0060】
好ましくは、センサ素子15.1~15.3は、溶接力の主要力経路内の内部空間10.1~10.5内に配置される。この目的のために、実質的に溶接力の大部分は、鉛直方向軸線Zに沿ってセンサ素子15.1~15.3に作用し、溶接力のわずかな部分だけが、絶縁体16および予圧要素15.6を介して作用する。本発明の目的上、「実質的に」という用語は、「90%以上」という意味を有する。
【0061】
センサ素子15.1~15.3は、少なくとも1本の電線を含む。電線は、評価ユニット18に電気的に接続される。センサ素子15.1~15.3は、電線によって力の値の形態で測定された溶接力を評価ユニット18に伝達する。好ましくは、3つのセンサユニット15.1~15.3の各々は、1本の電線を備える。
【0062】
装置1は、少なくとも1つのコンポーネント17.1~17.3を備える。好ましくは、コンポーネント17.1~17.3は、第4の内部空間10.4内に配置される。好ましくは、コンポーネント17.1~17.3は、下部電極17.1、上部電極17.2、およびフォトカプラ17.3を備える。下部電極17.1は、下部ハウジング部品10の内側に取り付けられる。この文脈において、「内側」という用語は、上部ハウジング部品10の下部ハウジング部品10に対向する側を指す。上部電極17.2は、上部ハウジング部品11の内側に取り付けられる。この文脈において、「内側」という用語は、下部ハウジング部品10の上部ハウジング部品11に対向する側を指す。下部電極17.1および上部電極17.2は、フォトカプラ17.3に電気的に接続されている。フォトカプラ17.3は、電気的に分離された入力と出力を有する。2つの電極17.1、17.2は、電極アーム20.1、20.2間に印加された溶接電圧を検出し、フォトカプラ17.3は、検出された溶接電圧を測定値に変換する。フォトカプラの出力における測定値は、フォトカプラの入力における溶接電圧から電気的に絶縁されている。測定値は、溶接電圧の大きさに比例する振幅を有する電圧である。測定値は、デジタルの測定値であってもよいし、アナログの測定値であってもよい。フォトカプラ17.3は、少なくとも1本の電線を備え、電線によって評価ユニット18に接続され、測定値を評価ユニット18に伝達する。
【0063】
評価ユニット18は、力の値および測定値を評価する。評価ユニット18は、第5の内部空間10.5内に配置される。好ましくは、3つのセンサ素子15.1~15.3の3つの内部空間10.1~10.3およびコンポーネント17.1~17.3の第4の内部空間10.4は、下部ハウジング部品10内の通路10.6によって評価ユニット18の第5の内部空間10.5と連通する。3つのセンサ素子15.1~15.3の電線およびフォトカプラ17.3の電線は、下部ハウジング部品10の通路10.6内に案内される。
【0064】
3つのセンサ素子15.1~15.3、1つのコンポーネント17.1~17.3、および1つの評価ユニット18のこの空間的にコンパクトな配置により、装置1の重量および設置サイズが大幅に削減される。装置1の重量は0.64kgであり、これは、溶接力較正送信機タイプ9831Cの重量1.40kgに比べて半分未満である。
【0065】
評価ユニット18は、少なくとも1つのプリント回路基板上に実装された電気および電子部品を備えた電気回路である。下部ハウジング部品10は、評価ユニット18を第5の内部空間10.5に導入するためのカバープレート10.7を備える。カバープレート10.7は、例えば、鋼、工具鋼などの機械的耐性のある材料で作られている。カバープレート10.7は、下部ハウジング部品10に固定されている。カバープレート10.7を下部ハウジング部品10に固定することにより、第5の内部空間10.5が密閉される。カバープレート10.7は、取り外し可能な方法で下部ハウジング部品10に固定することができる。カバープレート10.7の下部ハウジング部品10への固定が解除されると、評価ユニット18を挿入するために装置1の外側から第5の内部空間10.5にアクセスできるようになる。
【0066】
評価ユニット18は、下部ハウジング部品10および上部ハウジング部品11から電気的に絶縁されている。したがって、評価ユニット18は、測定された溶接力の評価および測定された溶接電圧の評価を偽る可能性がある数Vの溶接電圧と同電位ではない。
【0067】
好ましくは、評価ユニット18は、電線によって分極電荷の形態で伝達される力の値を増幅してDC電圧を与える電荷増幅ユニットを備える。DC電圧は、評価ユニット18のアナログ力信号AKSである。好ましくは、評価ユニット18は、アナログ力信号AKSをデジタル化してデジタル力信号DKSを与える。好ましくは、評価ユニット18は、センサ素子15.1~15.3の較正データを含み、評価ユニット18は、力信号を線形化するためにこれらの較正データを使用する。評価ユニット18は、アナログ力信号AKSまたはデジタル力信号DKSを線形化することができる。好ましくは、較正データは、多項式関数の係数を有する較正曲線である。
【0068】
好ましくは、評価ユニット18は、溶接プロセス中に検出された溶接電圧の測定値をアナログ測定信号AMSまたはデジタル測定信号DMSとして提供する。
【0069】
図3図7に係る実施形態では、に示すように、装置1は、電気フィードスルー19を備える。電気フィードスルー19は、下部ハウジング部品10に固定されている。電気フィードスルー19の下部ハウジング部品10への固定は、密閉される。好ましくは、電気フィードスルー19は、第5の内部空間10.5内に局所的に配置される。電気フィードスルー19は、評価ユニット18に電気的に接続される。力信号および測定信号は、電気フィードスルー19によって評価ユニット18から第5の内部空間10.5から装置1の外部に伝達され得る。
【0070】
好ましくは、電気フィードスルー19は、任意選択で、アナログ力信号AKSおよびデジタル力信号DKSを搬送する。好ましくは、電気フィードスルー19によって搬送されるアナログ力信号AKSおよびデジタル力信号DKSは、線形化される。好ましくは、電気フィードスルー19は、任意選択で、アナログ測定信号AMSおよびデジタル測定信号DMSを搬送する。好ましくは、電気フィードスルー19は、4つの電気接点を有する。任意選択で、アナログ力信号AKSおよびアナログ測定信号AMS、ならびにデジタル力信号DKZおよびデジタル測定信号DMSが、これらの4つの接点に印加される。また、例えば、装置1の型名、装置1のシリアル番号、装置1の製造業者のウェブサイト、センサ素子15.1~15.3の較正日、センサ素子15.1~15.3の測定範囲、センサ素子15.1~15.3の感度、装置1の動作状態などの技術情報信号TISが、電気フィードスルー19によって評価ユニット18から読み出されてもよい。技術情報信号TISが、環境内に配置された測定チェーンによって読み出すことができるため、技術情報信号TISは、溶接力の測定を簡素化し、測定チェーンにおける力信号および測定信号のさらなる評価を簡素化する。電源電圧は、電気フィードスルー19によって評価ユニット18に供給することができる。
【0071】
電気フィードスルー19は、下部ハウジング部品10および上部ハウジング部品11から電気的に絶縁されている。したがって、電気フィードスルー19は、力信号および測定信号の出力を偽る可能性がある数Vの溶接電圧と同じ電位ではない。
【0072】
装置1は、溶接力および溶接電圧を自律的に測定することができるが、装置1の動作状態は、依然として監視する必要がある。この目的のために、装置1は、表示手段10.8を備える。表示手段10.8は、下部ハウジング部品10に取り付けられる。表示手段10.8は、密閉方式で下部ハウジング部品10に取り付けられる。表示手段10.8は、少なくとも1つのライトまたはスクリーンを備える。例えば、装置1の動作状態などの技術情報信号TISは、装置1の外部にいる人間の操作者に対して表示手段10.8上に視覚的に表示することができる。図5および図7によると、表示手段10.8は、5つのライトを備える。技術情報信号TISを視覚的に示すために、ライトは、異なる色で点灯したり、異なる時間長の間点滅したりするなどしてもよい。装置1の動作状態は、「準備完了」、「準備完了でない」などとすることができる。表示手段10.8は、1mまたは2mの距離からでも人間の操作者にとって容易に視認でき、装置1の自律動作を可能にする。その結果、装置1の動作状態の中断は、容易かつ迅速に検出され、人間の操作者によって修正されることができ、これは次いで、溶接力および溶接電圧の測定に必要な時間を最小限に抑える。
【0073】
装置1は、結合手段14を備える。図1に係る第1の実施形態では、結合手段14は、クランプ結合器である。図2に係る第2の実施形態では、結合手段14は、フォームロック結合器である。図3に係る第3の実施形態では、結合手段14は、フォースロック結合器である。結合手段14は、例えば、鋼、工具鋼、アルミニウム、熱可塑性プラスチックなどの機械的耐性のある材料で作られている。
【0074】
図1に係る第1の実施形態では、結合手段14は、結合器本体14.1と、少なくとも1つの別の締結手段14.4とを備える。結合器本体14.1は、別の結合手段14.4によって下部コンタクトソケット12の外側に取り付けられる。「外側」という用語は、下部コンタクトソケット12の下部ハウジング部品10とは反対側を指す。好ましくは、別の締結手段14.4はねじであり、このねじは、結合器本体14.1の開口部を通って突出し、ねじ頭が結合器本体14.1の外側に位置しており、このねじは、下部コンタクトソケット12のねじ山にねじ込むことができ、ねじ接続を形成する。ねじ接続により、結合器本体14.1は、下部コンタクトソケット12に押し付けられる。
【0075】
図1に係る第1の実施形態では、結合手段14は、クランプ部材14.3を備える。クランプ部材14.3は、結合器本体14.1と一体的に形成される。好ましくは、クランプ部材14.3は、結合器本体14.1の外側に形成される。「外側」という用語は、結合器本体14.1の下部コンタクトソケット12とは反対側を指す。結合器本体14.1およびクランプ部材14.3は、中空円筒形の形状である。
【0076】
図1に係る第1の実施形態では、結合手段14は、結合器開口部14.5を備える。結合器開口部14.5は、鉛直方向軸線Zに沿って結合器本体14.1およびクランプ部材14.3を通って延在する。結合器開口部14.5は、下部コンタクトソケット12の円錐形凹部12.1と連通する。したがって、装置1は、下部電極アーム20.1が結合器開口部14.5を通って突出し、下部電極アーム20.1の最前端が、下部コンタクトソケット12の下部円錐形凹部12.1内に中央配置方式で位置するように、下部電極アーム20.1上に結合手段14を配置することによって、電極アーム20.1、20.2に配置することができる。結合器開口部14.5は、下部電極アーム20.1の外径に等しい直径を有する。結合器開口部14.5の直径および下部電極アーム20.1の外径は、好ましくは0.1mmの小さな機械的遊びを有する。
【0077】
図1に係る第1の実施形態では、クランプ部材14.3は、結合器本体14.1に配置された結合器開口部14.5を半径方向に取り囲む。クランプ部材14.3は、第1のクランプ部材端部14.31および第2のクランプ部材端部14.32を有する。2つのクランプ部材端部14.31、14.32は、ギャップ14.33によって互いに離間している。図6に係る斜視図では、ギャップ14.33は、長手方向軸線Xに沿って好ましくは1mmの幅を有する。
【0078】
図1に係る第1の実施形態では、結合手段14は、クランプ手段14.2を備える。クランプ手段14.2は、クランプ部材14.3に配置される。クランプ手段14.2は、ブッシング部材14.21、ねじ部材14.22、およびハンドル部材14.23を備える。ブッシング部材14.21は、中空軸を有する中空円筒形状である。図6に係る斜視図では、ブッシング部材14.21は、長手方向軸線Xに沿って延在する。ブッシング部材14.21は、第1のクランプ部材端部14.31に取り付けられる。ねじ部材14.22は、中空軸内に局所的に配置され、フォームロックによってブッシング部材14.21内に保持される。ねじ部材14.22は、第1の端部と第2の端部を有する。ハンドル部材14.23は、ねじ部材14.22の第1の端部に取り付けられる。ねじ部材14.22は、ハンドル部材14.23によって長手方向軸線Xの周りを回転させることができる。図6に係る斜視図では、長手方向軸線Xの周りのねじ部材14.22の回転可能性が、湾曲した二重矢印によって示されている。ねじ部材14.22は、第2の端部に雄ねじを備える。ねじ部材14.22の第2の端部の雄ねじは、長手方向軸線Xを中心とする回転によって第2のクランプ部材端部14.32のねじ山にねじ込まれ、ねじ接続を形成することができる。ねじ部材14.22を長手方向軸線Xの周りの第1の方向に回転させることによって、ねじ部材は、第2のクランプ部材端部14.32にねじ込まれる。ねじ部材14.22は、ブッシング部材14.21内に保持され、したがってブッシング部材14.21が取り付けられる第1のクランプ部材端部14.31にも保持されるため、回転により長手方向軸線Xの方向におけるギャップ14.33の幅が減少する。ギャップ14.33の幅の減少は、結合器開口部14.5の直径と下部電極アーム20.1の外径との間の機械的遊びよりも大きく、これにより、装置1が電極アーム20.1、20.2に配置され、下部電極アーム20.1が結合器開口部14.5を通って突出すると、ギャップ14.33の幅の減少により、下部電極アーム20.1がクランプ部材14.3内にクランプされ、下部電極アーム20.1に結合力Kを及ぼす。したがって、結合手段14および下部電極アーム20.1は、クランプによって結合を達成する。結合力Kは、装置1を溶接銃2に機械的に安定した方法で結合するのに十分大きい。本発明の目的上、「機械的に安定した方法で結合する」という語句は、抵抗溶接装置2の動作中、装置1が下部電極アーム20.1に動かないように結合されていることを意味する。
【0079】
図2に係る第2の実施形態では、結合手段14は、結合器本体14.1も備える。結合器本体14.1は、下部コンタクトソケット12の外側に配置される。「外側」という用語は、下部コンタクトソケット12の下部ハウジング部品10とは反対側を指す。好ましくは、結合器本体14.1は、下部コンタクトソケット12の下部円錐形凹部12.1内に配置される。
【0080】
図2に係る第2の実施形態の結合器本体14.1も中空の円筒形であり、結合器開口部14.5を備える。結合器開口部14.5は、鉛直方向軸線Zに沿って結合器本体14.1を通って延在する。結合器開口部14.5は、下部コンタクトソケット12の円錐形凹部12.1と連通する。結合器開口部14.5は、下部電極アーム20.1の外径に等しい直径を有する。保持部材14.51が、結合器開口部14.5内に配置される。保持部材14.51は、リング状であり、結合器開口部14.5の溝内に配置される。保持部材14.51は、例えば、ゴム、パーフルオロゴムなどの弾性材料で作られる。好ましくは、2つの保持部材14.51が結合器開口部14.5内に配置される。溝内に配置された保持部材14.51は、結合器開口部14.5内に半径方向にわずかに突出している。したがって、下部電極アーム20.1が結合器開口部14.5を通って突出するように結合手段14を下部電極アーム20.1上に配置することによって、装置1を電極アーム20.1、20.2に配置することができ、下部電極アーム20.1の最前端は、下部コンタクトソケット12の下部円錐形凹部12.1の中心に位置するようになる。このようにして、溝内に配置された保持部材14.51は、下部電極アーム20.1によって半径方向に圧縮される。したがって、結合要素14および下部電極アーム20.1は、フォームロックによって結合を達成する。圧縮された保持部材14.51は、下部電極アーム20.1に結合力Kを及ぼす。
【0081】
図3に係る第3の実施形態では、結合手段14は、別の締結手段14.4のみからなる。抵抗溶接装置2は、支持体21.1および支持部材21.2を備える。支持体21.1は、装置1が2つの電極アーム20.1、20.2に配置されたときに支持体21.1に機械的に結合できるように、2つの電極アーム20.1、20.2の近くに配置される。支持部材21.2は、好ましくは、例えば、ゴム、天然ゴムなどの弾性材料で作られ、装置1を支持体21.1上に弾性的に支持する。振動は、支持部材21.2によって減衰され、抵抗溶接装置2から装置1に伝達され、溶接プロセス中の溶接力の測定および溶接電圧の検出を偽ることはない。さらに、装置1は、支持部材21.2によって抵抗溶接装置2の電位から電気的に絶縁されているため、抵抗溶接装置2の電位の変動が、溶接プロセス中の溶接力の測定および溶接電圧の検出に影響を与えることはない。好ましくは、別の締結手段14.4は、2つのねじからなる。支持体21.1は、2つのねじ用の2つの貫通穴を備える。各々のねじは、支持体21.1の貫通穴を通って突出する。各々のねじは、ねじ頭が支持体21.1の外側に位置している。そして、各々のねじは、下部ハウジング部品10のねじ山にねじ込まれ、したがってねじ接続を形成することができる。「外側」という用語は、支持体21.1の下部ハウジング部品10とは反対側を指す。別の締結手段14.4のねじ接続は、下部ハウジング部品10を支持体21に対して押し付ける。したがって、結合手段14は、フォースロックによって下部ハウジング部品10と支持体21.1を機械的に結合する。
【符号の説明】
【0082】
1 装置
2 抵抗溶接装置
10 下部ハウジング部
10.1 第1の内部空間
10.2 第2の内部空間
10.3 第3の内部空間
10.4 第4の内部空間
10.5 第5の内部空間
10.6 通路
10.7 カバープレート
10.8 表示手段
11 上部ハウジング部
12 下部コンタクトソケット
12.1 下部円錐形凹部
12.2 下部締結手段
13 上部コンタクトソケット
13.1 上部円錐形凹部
13.2 上部締結手段
14 結合手段
14.1 結合器本体
14.2 クランプ手段
14.21 ブッシング部材
14.22 ねじ部材
14.23 ハンドル部材
14.3 クランプ部材
14.31 第1のクランプ部材端部
14.32 第2のクランプ部材端部
14.33 ギャップ
14.4 別の締結手段
14.5 結合器開口部
14.51 保持部材
15.1 第1のセンサ素子
15.2 第2のセンサ素子
15.3 第3のセンサ素子
15.4 下部絶縁要素
15.5 上部絶縁要素
15.6 予圧要素
16 絶縁体
17.1 下部電極
17.2 上部電極
17.3 フォトカプラ
18 評価ユニット
19 電気フィードスルー
20 溶接銃
20.1 下部電極アーム
20.2 上部電極アーム
21.1 支持体
21.2 支持部材
AKS アナログ力信号
DKS デジタル力信号
AMS アナログ測定信号
DMS デジタル測定信号
K 結合力
M 重心
R 半径方向距離
TIS 技術情報信号
X 長手方向軸線
XY 水平面
XZ 長手方向平面
Y 横方向軸線
YZ 横断面
Z 鉛直方向軸線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7