(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-26
(45)【発行日】2024-10-04
(54)【発明の名称】導入チューブ、削岩リグ、およびサンプリングの方法
(51)【国際特許分類】
G01N 1/00 20060101AFI20240927BHJP
E21B 49/02 20060101ALI20240927BHJP
G01N 1/02 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
G01N1/00 101A
E21B49/02
G01N1/02 A
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023106266
(22)【出願日】2023-06-28
【審査請求日】2023-06-28
(32)【優先日】2022-07-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】515277780
【氏名又は名称】サンドヴィック マイニング アンド コンストラクション オーワイ
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】マンッタリ, マウヌ
(72)【発明者】
【氏名】コイヴォコンナス, ペッカ
(72)【発明者】
【氏名】トゥーミネン, ラッセ
(72)【発明者】
【氏名】ラウテ, ラミ
【審査官】外川 敬之
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-061822(JP,A)
【文献】特表2012-500348(JP,A)
【文献】国際公開第2010/029763(WO,A1)
【文献】実開昭53-036774(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 1/00
G01N 1/02
E21B 49/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
削岩リグ(1)の試料採取機構の導入チューブ(18)であって、
前記導入チューブ(18)は掘削くずと空気との流れをサンプリング地点(SP)に導くように構成されており、
前記導入チューブ(18)は断面内側の形状および寸法を有し、
前記導入チューブ(18)は均一化セクション(23)を更に備え、前記均一化セクション(23)において前記導入チューブ(18)の内側断面は物理的不連続点を形成する少なくとも1つの均一化要素(24)を備え、前記均一化要素(24)において前記内側断面の形状および寸法は前記均一化セクション(23)の前後のセクションと局所的に異なっており、前記均一化要素は、前記流れに乱れを生じさせるように、およびこのことにより、前記均一化セクション(23)の後であり前記サンプリング地点(SP)の前であるセクションにおいて、前記流れの中の前記掘削くずの粒子分布を均一化するように構成されている、
前記導入チューブ(18)において、
前記均一化要素(24)は、前記均一化セクション(23)に前記物理的不連続点を選択的に付与する能動制御可能な要素であることを特徴とする、導入チューブ(18)。
【請求項2】
前記導入チューブ(18)は屈曲部(25)を有し、前記均一化セクション(23)は前記屈曲部(25)に配置されている
ことを特徴とする、請求項1に記載の導入チューブ。
【請求項3】
前記均一化要素(24)は選択的に拡張可能な要素(29)である
ことを特徴とする、請求項1または2に記載の導入チューブ。
【請求項4】
前記導入チューブ(18)は弾性材料で製作されており、前記導入チューブ(18)の前記均一化セクション(23)の構造に、前記導入チューブ(18)の壁の材料が内側に突出して前記導入チューブ(18)に前記均一化要素(24)の役割を果たす内側膨出部(31)が形成されるような可逆的変形を選択的に引き起こすために、前記導入チューブ(18)の外側表面側に外力(F)を導くための、少なくとも1つのアクチュエータ(A)を、前記均一化セクション(23)に備える
ことを特徴とする、請求項1または2に記載の導入チューブ。
【請求項5】
可動キャリア(2)と、
前記キャリア(2)に装着されており、削岩機(6)を備えた削岩ユニット(4)を備える、少なくとも1つの掘削ブーム(3)と、
掘削された孔の開口部(12)から掘削くずを除去するための集塵システム(10)であって、前記集塵システム(10)は吸引ユニット(11)、集塵チューブ(13)、および空気と前記掘削くずとを含有する流れから固体粒子を分離するための少なくとも1つの分離装置(15)を備える、前記集塵システム(10)と、
前記流れの試料を採取するための少なくとも1つのサンプリング地点(SP)と、
を備える、削岩リグ(1)であって、
前記流れが前記サンプリング地点(SP)ではまだ分離されていないように、前記サンプリング地点(SP)は前記分離装置(15)の前に配置されており、
前記集塵システム(10)内に、前記サンプリング地点(SP)に先行する能動制御可能な均一化要素(24)を有する請求項1に記載の導入チューブ(18)が存在する、削岩リグ(1)。
【請求項6】
岩石表面に掘削孔(5)を掘削することと、
前記掘削中に前記掘削孔の開口部(12)から発生する掘削くずを集塵システム(10)によって収集することと、
前記掘削中に前記集塵システム(10)のサンプリング地点(SP)において空気と掘削くずとを含有する流れの試料を採取することと、
前記集塵システム(10)において前記サンプリング地点(SP)の前に
、均一化セクション(23)を備える導入チューブ(18)を設けることと、
を含む、削岩リグ(1)におけるサンプリングの方法であって、
前記流れの中の掘削くず粒子(P)が前記導入チューブ(18)の内側断面にわたって均等に拡散し、以て前記試料が前記粒子拡散の下流で採取されるように前記導入チューブ(18)の断面内側の形状および寸法を局所的に能動的に変化させること
を特徴とする、方法。
【請求項7】
前記均一化セクション(23)において前記導入チューブ(18)の弾性壁構造を可逆変形部(28)として横方向に押し込んで、前記押し込みに応じて形成される内側膨出部(31)によって前記導入チューブ(18)の断面内側の形状および寸法を局所的に変化させること
を特徴とする、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
制御ユニット(CU)の制御下で前記導入チューブ(18)の前記断面内側の形状および寸法の前記変化を制御する
ことを特徴とする、請求項6または7に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
本発明は、削岩リグの試料採取機構の導入チューブに関する。導入チューブは掘削くずと空気との流れをサンプリング地点に導き、そこにおいて掘削中の岩石の特性を分析するための試料が採取される。
【0002】
本発明は更に、削岩リグに、および削岩中に掘削くずの試料を採取する方法に関する。
【0003】
本発明の分野は独立請求項のプリアンブルにおいてより詳細に規定されている。
【0004】
鉱山および他の土木工事現場では、岩石表面に掘削孔を掘削するために様々なタイプの削岩リグが使用されている。掘削工程中、掘削孔から掘削くずが流し出され、掘削孔開口部から集塵システムによって運び出される。掘削中の岩石表面の粒子および特性を分析するために、空気と固体掘削くず粒子とを含む流れから、試料を採取する必要がある。固体粒子はシステム内で均等に分布しないため、良好な試料を採取するのが困難であることが指摘されている。そのため、この問題を解決するために様々な流れ均一化装置が設計されている。しかしながら、知られている解決策には依然としていくつかの欠点が見られる。
【発明の概要】
【0005】
本発明の目的は、改善された新規な導入チューブ、削岩リグ、および掘削プロセス中に試料を採取するための方法を提供することである。
【0006】
本発明に係る導入チューブは、1番目の装置の独立請求項の特徴によって特徴付けられる。
【0007】
本発明に係る削岩リグは、2番目の装置の独立請求項の特徴によって特徴付けられる。
【0008】
本発明に係る方法は、方法の独立請求項の特徴によって特徴付けられる。
【0009】
開示されている解決策の発想は、削岩リグの集塵システムが、空気と掘削くずとを含む流れから試料を採取するための試料採取機構を備える、というものである。サンプリングは例えば、サンプリング地点においてサンプリング装置によって実行される。掘削くずと空気との流れをサンプリング地点に導くための導入チューブが存在する。導入チューブの内側断面は、物理的不連続点を形成するための1つまたは複数の均一化要素を備えた均一化セクションを備え、内側断面の形状および寸法は、均一化セクションの前後のセクションと局所的に異なっている。この結果、均一化要素は、流れに乱れを生じさせ、均一化セクションの後でありサンプリング地点の前であるセクションにおいて、流れの中の掘削くずの粒子分布を均一化することができる。更に、均一化要素は能動制御が可能であり、その場合、均一化要素は均一化セクションに、物理的不連続点および所望の粒子拡散を選択的に与えることができる。
【0010】
言い換えれば、導入チューブの内側の流れは動的な物理的均一化要素によって撹乱され、その結果、均一化セクションに続くセクションでは、様々なサイズの固体の掘削くず粒子が、より均等に拡散するようになる。このように、均一化要素は必要に応じて導入チューブの内側の流れの幾何形状および寸法に急激な変化を生じさせ、このようにして流れ中の粒子分布を変化させる。
【0011】
開示されている解決策の利点は、導入チューブの内側での様々なサイズの粒子の拡散が均等であるほど、導入チューブの内側の掘削くずの代表的な試料を採取できることである。このようにして、試料の品質を向上させ、より正確で信頼性の高い分析結果を達成することが可能になる。更なる利点は、開示されている解決策が比較的単純かつ安価なことである。この解決策はまた、均一化要素がその基本位置にあり作動していないとき、導入チューブの内側に摩耗を受ける突出した物理的要素が存在しないため、耐久性にも優れている。更に、均一化要素が動作中でないときは、均一化セクションにおいて導入チューブの流れの断面積を狭めるような物理的要素は存在しない。開示されている導入チューブはまた、既存の集塵システムに容易に後付けすることもできる。
【0012】
ある実施形態によれば、均一化要素の動作は制御ユニットによって制御することができる。均一化要素は通常は動作不能であってもよく、動作可能な状態に選択的に接続され得る。この場合、動作不能時には導入チューブの内側に不連続部はなく、動作可能状態に接続されると不連続部が形成される。制御可能な要素の利点は、拡散粒子の効果が必要ないときに流れを抑制しないことである。制御ユニットは試料採取時に均一化要素を作動させ、その後非動作状態に戻してもよい。
【0013】
ある実施形態によれば、もたらされる均一化要素の不連続性の大きさは、制御ユニットの制御下で制御され得る。言い換えれば、形状、寸法、またはその両方を変更することができる。このようにして、均一化要素を様々な流れおよび状況に適応させることができる。
【0014】
ある実施形態によれば、制御可能な均一化要素は、制御ユニットによって制御される1つまたは複数のアクチュエータによって制御される。アクチュエータは空気圧式であっても油圧式であっても電気式であってもよい。更に、アクチュエータは例えば、モータであってもリニアモータであってもシリンダであってもよい。
【0015】
ある実施形態によれば、均一化要素の数は1つである。場合によっては、単一の不連続部をもたらす1つの要素で、流れの中で必要な粒子拡散を生じさせるのに十分であり得る。
【0016】
ある実施形態によれば、均一化セクションにはいくつかの均一化要素が存在し得る。複数の均一化要素が実装されている場合には拡散効果が向上する可能性あり、例えば様々な流れの状況にこの解決策を適合させるために、可能な制御の選択肢がいくつか存在する。
【0017】
ある実施形態によれば、均一化要素の形状および寸法は例えば導入チューブの構造および寸法に依存し、したがってケースバイケースで設計することができる。均一化要素の形状および寸法を決定するために、流れ制御シミュレーションおよびモデル化プログラムを利用することができる。
【0018】
ある実施形態によれば、導入チューブは屈曲部を備え、均一化セクションは屈曲部に配置される。言い換えれば、均一化要素は導入チューブの屈曲部に配置される。均一化要素が屈曲部に配置されるとその効果が強化されることが実験で指摘されている。屈曲部の使用はまた、特に分離装置や他の装置に近いエリアにおいて、集塵のチューブおよびホースを角度のある姿勢で差し向ける必要があるのが一般的であることからも、有益である。屈曲部では固体粒子が流れの中で多くの場合屈曲部の外側に向かって移動するが、均一化要素は粒子の慣性によって引き起こされるこの望ましくない現象を打ち消すことができる。
【0019】
ある実施形態によれば、屈曲は90°または実質的に90°であってもよい。屈曲は45°~135°の間の任意の屈曲であってもよい。
【0020】
ある実施形態によれば、導入チューブは場合によっては何ら屈曲部を有さなくてもよく、その場合、均一化セクションおよび均一化要素は直線的なセクションに配置される。
【0021】
ある実施形態によれば、導入チューブは内側湾曲部と外側湾曲部とを有する屈曲部を備え、少なくとも1つの均一化要素は屈曲部の外側湾曲部に設けられる。言い換えれば、粒子の拡散は、固体粒子が流れの中で集中しやすい最高臨界点である屈曲部の外側湾曲部で生じる。外側湾曲部側に粒子を導くのが効果的であることが分かっている。
【0022】
ある実施形態によれば、少なくとも1つの均一化要素は、屈曲部の外側湾曲部側にのみ配置される。
【0023】
ある実施形態によれば、均一化要素は選択的に拡張可能な要素である。言い換えれば、導入チューブと連通して配設された1つまたは複数の空間があり、これらの空間には、空気圧空気または液圧流体などの圧力流体流を選択的に充填することができる。
【0024】
ある実施形態によれば、均一化要素は蛇腹部である。その場合、均一化要素をその内側に圧力流体流を導くことによって作動させることができ、圧力流体流が排出されると、均一化要素は作動モードから非作動モードへと戻る。
【0025】
ある実施形態によれば、拡張可能な要素は導入チューブの壁構造の一体の部分である。
【0026】
ある実施形態によれば、拡張可能な要素は、導入チューブの壁構造の内側表面上に取り付けられた、別個の要素である。
【0027】
ある実施形態によれば、均一化要素は別法として、流れに対する粒子拡散要素の役割を果たすように流れの方向に対して横方向に選択的に移動させることの可能な、機械的に移動可能な要素である。この場合、導入チューブ内に基本位置から内側に移動可能な可動壁部が存在してもよく、その場合、これが導入チューブの内側に機械的な不連続部を形成することになる。更なる一実施形態では、機械的に移動可能な要素は例えば、1つまたは複数のシリンダまたはモータによって移動可能な1つまたは複数の成形片を備え得る。
【0028】
ある実施形態によれば、導入チューブは弾性材料で製作されており、導入チューブの均一化セクションの構造に可逆的変形を選択的に引き起こすために導入チューブの外側表面側に外力を導くための1つまたは複数のアクチュエータを、均一化セクションに備える。その後、導入チューブの壁の材料が内側に突出して、導入チューブに前述した均一化要素の役割を果たす内側膨出部が形成される。言い換えれば、導入チューブの外殻(shell)または外被(envelope)の形状は、導入チューブの内側に所望の粒子拡散突出部が生み出されるように可逆的に変形される。この場合、導入チューブ自体が均一化要素を形成し、別個の要素は必要ない。この場合、解決策は単純かつ安価で耐久性に優れる。
【0029】
ある実施形態によれば、導入チューブはゴム、またはゴムに似た弾性材料で製作される。その後、この弾性導入チューブを局所的かつ一時的に内側に押し込むことができ、押し込みを解除すると、導入チューブはその元の形状および寸法に戻る。
【0030】
ある実施形態によれば、導入チューブを押し込むためのアクチュエータは、圧力媒体シリンダなどのリニアアクチュエータ、または電子リニアモータであり得る。
【0031】
ある実施形態によれば、アクチュエータは、導入チューブの外側表面に力を向けさせる、押し付け要素を備え得る。押し付け要素は長手方向が導入チューブの外側表面に向けられているピンであってもよい。その場合、ピンの丸い端部が導入チューブの壁に向けられる。別法として、押し付け要素は丸い断面形状を有するピンであってもよく、その外側表面は導入チューブに対して横向きであり、導入チューブの外側表面に押し付けられる。その結果膨出部が形成される。これら2つの代替形態では、ピンは導入チューブの内側に2つの異なる種類の膨出部を形成する。
【0032】
ある実施形態によれば、アクチュエータは、導入チューブの内側に形成される膨出部が実質的に一定の形状および寸法を有するように、固定された移動長さを有する。
【0033】
ある実施形態によれば、移動長さおよび/またはアクチュエータが生む力を調整することができ、このことによって導入チューブの内側の膨出部の形状および寸法を調整することができる。
【0034】
ある実施形態によれば、開示される解決策は、可動キャリアと、キャリアに取り付けられており、削岩機を備えた削岩ユニットを備える、少なくとも1つの掘削ブームと、掘削された孔の開口部から掘削くずを除去するための集塵システムであって、集塵システムは吸引ユニット、集塵チューブ、および空気と掘削くずとを含有する流れから固体粒子を分離するための少なくとも1つの分離装置を備える、集塵システムと、流れの試料を採取するための少なくとも1つのサンプリング地点と、を備える、削岩リグに関する。更に、サンプリング地点では流れがまだ分離されないようにサンプリング地点は分離装置の前に配置されており、また、サンプリング地点に先行する集塵システムには、能動制御可能な均一化要素を有する導入チューブが存在する。導入チューブは本文書に開示されている特徴および実施形態に従うものである。言い換えれば、サンプリング地点は、流れに対する何らかの分離処置が実行される前に配置されている。このことの利点は、流れから何も取り除かれていないため、試料が採取される流れがあり得る全ての粒子を含んでいることである。
【0035】
ある実施形態によれば、集塵システムは、流れから粗い固体粒子を分離するための第1の分離装置と、流れから細かい固体粒子を分離するための第2の分離装置と、を備える。第1の分離装置は掘削ブーム上に配置されてもよく、一方で第2のセパレータはキャリア上に配置されてもよい。第1の分離装置はサイクロン分離装置であってもよい。導入チューブおよびサンプリング地点は、第1の分離装置の直前に配置されている。
【0036】
ある実施形態によれば、開示されている解決策は、例えば生産掘削および探査掘削を含む、様々な種類の掘削の技術および目的において実施され得る。この解決策は、例えばトップハンマ掘削、DTH掘削、および回転掘削に関連して使用するのに適している。
【0037】
ある実施形態によれば、開示されている解決策は、削岩リグにおけるサンプリングの方法であって、岩石表面に掘削孔を掘削することと、掘削中に掘削孔の開口部から発生する掘削くずを集塵システムによって収集することと、掘削中に集塵システムのサンプリング地点において空気と掘削くずとを含有する流れの試料を採取することと、集塵システムにおいてサンプリング地点の前に導入チューブを設けることと、を含む方法に関する。方法は、流れの中の掘削くず粒子が導入チューブの内側断面にわたって均等に拡散し、以て試料が粒子拡散の下流で採取されるように導入チューブの断面内側の形状および寸法を局所的に能動的に変更することを更に含む。言い換えれば、方法は、サンプリング工程が継続している間、導入チューブの内側の流れの幾何形状および寸法の、制御された急激な変化を有効にすることを含む。
【0038】
ある実施形態によれば、方法は、均一化セクションにおいて導入チューブの弾性壁構造を可逆変形部として横方向に押し込んで、押し込みに応じて形成される内側膨出部によって導入チューブの断面内側の形状および寸法を局所的に変化させることを更に含む。
【0039】
ある実施形態によれば、方法は、制御ユニットの制御下で導入チューブの断面内側の形状および寸法の変化を制御することを更に含む。
【0040】
上で開示した実施形態を組み合わせて、上記の特徴のうちの必要なものを有する好適な解決策を形成してもよい。
【0041】
いくつかの実施形態を以下の添付の図面により詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【
図1】集塵システムとサンプリング手段とを有する地表掘削用の削岩リグの概略側面図である。
【
図2】集塵システムおよび分離処置を実行する前のサンプリングの基本要素を示す、概略ダイアグラムである。
【
図3】導入チューブのいくつかの特徴を示す概略ダイアグラムである。
【
図4】導入チューブの概略断面図であり、通過中の流れの中の粒子分布を均一化する2つの異なる原理の一方を示す。
【
図5】導入チューブの概略断面図であり、通過流中の粒子分布を均一化する2つの異なる原理の他方を示す。
【
図6】外側湾曲部に制御可能な膨出部を備えた、湾曲した導入チューブの概略側面図である。
【
図7】棒体の長手方向移動による導入チューブの変形を示す概略図である。
【
図8】棒体の長手方向移動による導入チューブの変形を示す概略図である。
【
図9】丸棒の外周による導入チューブの変形を示す概略図である。
【
図10】丸棒の外周による導入チューブの変形を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
明確にするために、図には開示される解決策のいくつかの実施形態を簡略化して示している。図において類似の参照番号は類似の要素を特定する。
【0044】
図1には、可動キャリア2と、キャリア2に取り付けられた掘削ブーム3と、を備える削岩リグ1が開示されている掘削ブーム3は、岩石表面に掘削孔5を掘削するための削岩ユニット4を備えている。削岩ユニット4は、供給ビーム7上に移動可能に配設され得る削岩機6を備える。削岩機6は衝撃装置と回転装置とを備えてもよく、または別法として、削岩機6は回転掘削機であってもよく、衝撃装置を有さなくてもよい。削岩機6には掘削ツール8が接続され、掘削ツール8は、1つまたは複数のドリルチューブとその自由端にあるドリルビット9とを備え得る。掘削中に岩石物質が破壊され、掘削孔5の中に掘削くずが形成される。掘削くずは掘削孔5から流し去る必要がある。通常、加圧空気はコンプレッサCOによって生成され、この加圧空気が掘削ツール8を介して掘削孔5の底部へと導かれ、以て掘削くずが流し出される。掘削くずは負圧を発生させるための吸引ユニット11を備える集塵システム10によって収集することができ、この場合、掘削孔開口部12から集塵チューブ13を介して掘削くずを吸引することができる。掘削孔開口部12上に配置可能であり集塵チューブ13に接続されている吸引バスケット14が存在してもよい。集塵システム10の主な目的は、掘削くずを掘削孔開口部12から運び去って、掘削対象物までの視界を良好にするとともに、掘削孔5から除去された大量の物質によって掘削工程に困難が生じないようにすることである。ただし集塵システム5は、収集された物質を処理するための1つまたは複数の分離装置を更に備えてもよい。粗い粒子を分離するための第1の分離装置15と、細かい粒子を分離するための第2の分離装置16とが存在してもよい。第1の分離装置15は掘削ブーム3に取り付けることができ、例えばサイクロン分離装置を備えてもよい。第2の分離装置16は例えば、吸引ユニット11と接続してキャリア2に取り付けることができる。
【0045】
第1の分離装置15の前にシステム内の掘削くずと空気との流れから試料を採取するためのサンプリング装置17が配設され、この場合サンプリング装置17はいかなる分離段階よりも前に配置されている。更に、サンプリング装置17の前に導入チューブ18が配置されている。導入チューブ18は、サンプリング装置17のサンプリング地点に流れを運ぶ。導入チューブ18は、流れから適切な試料を採取できるように流れの中で掘削くずを拡散させるための、均一化要素を備える。均一化要素の動作および構造は本文書に開示されている通りである。
【0046】
削岩リグ1は、動作を制御するための1つまたは複数の制御ユニットCUと、アクチュエータと、を備え得る。制御ユニットCUは例えば、サンプリング装置17および導入チューブ18の均一化要素を制御し得る。いくつかの制御の状況および原則が本文書で既に開示されている。制御ユニットは、入力されたコンピュータプログラム製品またはアルゴリズムを実行するためのプロセッサを備えてもよく、また感知データおよび入力された制御パラメータを供給されてもよい。
【0047】
図2には、掘削孔開口部12から掘削くずを吸引するための集塵システム10が開示されている。システム10は集塵チューブ13を備え、これにより、導入チューブ18を介して収集した流れがサンプリング装置17に運ばれ、その後初めて分離装置15に運ばれることになる。この場合、サンプリング地点SPは導入チューブ18と分離装置15との間に配置されている。導入チューブ18には、流れの中の適切な粒子分布を保証するための均一化装置が設けられている。計画されたサンプリングのスケジュールまたは手順に従って、流れから試料SAが採取される。試料SAはオンライン21でまたは後から試験所22で分析Aすることができる。
【0048】
図3には、導入チューブ18が均一化セクション23を備え、導入チューブ18の内側断面が物理的不連続点を形成する1つまたは複数の均一化要素24を備え、この内側断面の形状および寸法は均一化セクション23の前後のセクションと局所的に異なっていることが開示されている。均一化セクション23は、導入チューブ18の屈曲部25にまたは直線部26に配置され得る。均一化要素24には動的制御27が行われ、必要に応じて流れに乱れを生じさせることができる。均一化要素24は異なる構成を有してもよい。均一化要素24は導入チューブ18の形状の変形部28を基礎としてもよい。別法として、均一化要素24は、導入チューブ18の内側表面に配置された拡張可能な要素29または可動要素を備えてもよい。
【0049】
図4には、外力Fを導入チューブ18の構造へと向け、このことにより均一化セクション23に内側に突出した膨出部31を生じさせ得ることが開示されている。生み出された変形部28は均一化要素の役割を果たし得る。外力Fは、導入チューブ18の壁に所望の変形が引き起こされるように、機械的にまたは他の好適な手段によって伝達され得る。膨出部31または突出した変形部は、固体粒子を導入チューブ18の内側の自由流通過エリアへと向けることができる。力Fは例えば制御ユニットによって制御される。
【0050】
図5には圧力回路に、この例では空気圧回路に接続可能な、膨張可能な要素29の基本原理が開示されており、その場合、コンプレッサCOが加圧空気を生成し、膨張可能な要素29の動作を弁Vおよび制御ユニットCUによって制御することができる。矢印は拡張可能な要素29の拡張を示す。膨張可能な要素29は均一化要素24の役割を果たし、例えば、導入チューブ23の一部として一体化されていても、導入チューブ23の内側表面に装着された別個の要素であってもよい。
【0051】
また、導入チューブ18の外側表面に配設された拡張可能な要素によって導入チューブ23の壁の変形を引き起こすことも可能である。
【0052】
図6には、内側湾曲部26と外側湾曲部27とを備える湾曲部25を備えた、導入チューブ18が開示されている。湾曲部25には均一化セクション23が配置されており、外側湾曲部27の側には能動制御可能な動的均一化要素24が配置されている。これにより、サンプリング装置17が配置されているサンプリング地点SPに到達する前に、流れの固体粒子の拡散が行われる。サンプリング装置17は、流路の内側に部分的に挿入可能でありかつサンプリング中に収集されるべき物質が通過する開口部29を備えた、チューブまたはサンプリングパイプ28を備え得る。採取された試料は例えば容器または袋に入れて保管することができる。
【0053】
図7には、導入チューブ18を弾性材料で製作してもよく、丸みを帯びた端部31を備えたプランジャまたは押し付け要素30でその外側表面を押すことによって、可逆的に変形させられることが開示されている。その場合、導入チューブ18の変形した壁構造は
図8に示すように、均一化要素24、すなわち均一化セクション23の内側の膨出部を形成する。押し付け要素30は例えば、制御ユニットCUによって制御され得るアクチュエータAによって移動され得る。
図7および
図8には、元の外側表面32が内側に押されくぼみ33が形成されることが示されている。開示されている構成は、屈曲部25の外側湾曲部に配設することができる。
【0054】
図9および
図10には、異なる押し付け要素30が使用されている点で先の
図7および
図8に示されたものとは異なる、代替の解決策が開示されている。更に、
図7および
図8では、押し付け要素30は、導入チューブ18の外側表面に向かって長手方向に移動されるが、
図9および
図10では、押し付け要素30の外側表面が導入チューブ18に押し付けられる。このことにより、これら2つの代替の解決策では、異なる形状の変形部および均一化要素24が形成される。形成された均一化要素24の形状および寸法は、押し付け要素30の移動長さによってならびに押し付け要素の寸法および形状によって調整することができる。
【0055】
図面および関連する説明は単に本発明の発想を説明することを意図している。その詳細において本発明は特許請求の範囲の範囲内で様々であり得る。
【符号の説明】
【0056】
1 削岩リグ
2 可動キャリア
3 掘削ブーム
4 削岩ユニット
5 掘削孔
6 削岩機
7 供給ビーム
8 掘削ツール
9 ドリルビット
10 集塵システム
11 吸引ユニット
12 掘削孔開口部
13 集塵チューブ
14 吸引バスケット
15 第1の分離装置
16 第2の分離装置
17 サンプリング装置
18 導入チューブ
21 オンライン
22 試験所
23 均一化セクション
24 均一化要素
25 屈曲部
26 直線部、内側湾曲部
27 動的制御、外側湾曲部
28 変形部、チューブまたはサンプリングパイプ
29 拡張可能な要素、開口部
30 プランジャまたは押し付け要素、可動要素
31 丸みを帯びた端部
32 外側表面
33 くぼみ
CO コンプレッサ
CU 制御ユニット
SA 試料
SP サンプリング地点