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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-26
(45)【発行日】2024-10-04
(54)【発明の名称】電界発光表示装置
(51)【国際特許分類】
   G09F 9/30 20060101AFI20240927BHJP
   H10K 50/822 20230101ALI20240927BHJP
   H10K 50/842 20230101ALI20240927BHJP
   H10K 59/122 20230101ALI20240927BHJP
【FI】
G09F9/30 309
G09F9/30 349Z
G09F9/30 365
H10K50/822
H10K50/842
H10K59/122
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2023112747
(22)【出願日】2023-07-10
(65)【公開番号】P2024012141
(43)【公開日】2024-01-25
【審査請求日】2023-07-10
(31)【優先権主張番号】10-2022-0086244
(32)【優先日】2022-07-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】501426046
【氏名又は名称】エルジー ディスプレイ カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094112
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 讓
(74)【代理人】
【識別番号】100106183
【弁理士】
【氏名又は名称】吉澤 弘司
(74)【代理人】
【識別番号】100114915
【弁理士】
【氏名又は名称】三村 治彦
(74)【代理人】
【識別番号】100125139
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100209808
【弁理士】
【氏名又は名称】三宅 高志
(72)【発明者】
【氏名】シン ジュファン
(72)【発明者】
【氏名】カン ミンジュ
(72)【発明者】
【氏名】パン ヘスク
(72)【発明者】
【氏名】イム ヘチュル
(72)【発明者】
【氏名】ヤン スク
【審査官】川俣 郁子
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2022/0149320(US,A1)
【文献】特開2019-181815(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2022/0123263(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2020/0403180(US,A1)
【文献】特開2010-135182(JP,A)
【文献】特開2022-070849(JP,A)
【文献】特開2018-124816(JP,A)
【文献】特開2021-077620(JP,A)
【文献】特開2018-109962(JP,A)
【文献】特開2018-205744(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09F9/30-9/46
H05B33/00-33/28
44/00
45/60
H10K50/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示領域及び前記表示領域を囲む非表示領域を含む基板と、
前記基板上に配置され、前記表示領域から前記非表示領域に延在した平坦化層と、
前記平坦化層上に配置されるバンクと、
前記バンク上に配置される有機層と、
前記有機層上に配置されるカソードと、
前記非表示領域に配置され、前記カソード及び前記有機層が除去されたトレンチパターンと、
前記トレンチパターンを充填し、前記トレンチパターンの上部を平坦化するように配置された段差緩和層と
前記段差緩和層と前記カソードとの間に配置されたキャッピング層と、
前記段差緩和層上に配置される無機層とを備え、
前記無機層が、前記キャッピング層の側面、前記カソードの側面、前記有機層の側面、及び前記有機層の上面の一部を覆い、
前記有機層は、前記段差緩和層の端部から前記基板の外側面まで延在して配置された、電界発光表示装置。
【請求項2】
前記段差緩和層は、フィルムによって構成された、請求項1に記載の電界発光表示装置。
【請求項3】
前記段差緩和層は、ゲッター(getter)を含む、請求項1に記載の電界発光表示装置。
【請求項4】
前記段差緩和層は、前記ゲッターが分散されたエポキシ樹脂、アクリル樹脂及びシリコンオキシカーボン(SiOC)樹脂をさらに含む、請求項3に記載の電界発光表示装置。
【請求項5】
前記キャッピング層が、前記トレンチパターンの領域から除去される、請求項1に記載の電界発光表示装置。
【請求項6】
前記無機層は、前記段差緩和層の上面に接している、請求項に記載の電界発光表示装置。
【請求項7】
前記無機層は、前記段差緩和層を囲むように前記段差緩和層の側面を覆っている、請求項に記載の電界発光表示装置。
【請求項8】
前記無機層の端部が前記バンクの一部に接している、請求項に記載の電界発光表示装置。
【請求項9】
前記無機層は、前記有機層の上面の一部と接する、請求項に記載の電界発光表示装置。
【請求項10】
前記カソードは、前記有機層の側面を覆い、前記カソードの端部は、前記バンクの上面の一部と接する、請求項に記載の電界発光表示装置。
【請求項11】
前記カソードは、前記段差緩和層の端部から前記基板の外側面に延在して配置される、請求項10に記載の電界発光表示装置。
【請求項12】
前記無機層は、前記キャッピング層の上面の一部と接する、請求項10に記載の電界発光表示装置。
【請求項13】
前記基板上で前記非表示領域の一側に配置されるフレキシブルフィルムをさらに含み、
前記トレンチパターンは、前記フレキシブルフィルムが配置された表示パネルの1つの側を除く3つの側の前記非表示領域に配置される、請求項1に記載の電界発光表示装置。
【請求項14】
前記トレンチパターンに隣接した前記カソードの一部は、前記有機層と離隔されるように配置された、請求項1に記載の電界発光表示装置。
【請求項15】
前記トレンチパターンに隣接した前記カソードの一部は、上方に屈曲し、または巻かれる、請求項14に記載の電界発光表示装置。
【請求項16】
前記段差緩和層は、前記カソードと前記有機層との間の離隔した空間を充填する、請求項14に記載の電界発光表示装置。
【請求項17】
前記段差緩和層の上部に配置される多層構造の密封部材と、
前記段差緩和層の上に配置される補強基板とをさらに含む、請求項1に記載の電界発光表示装置。
【請求項18】
前記密封部材は、
前記段差緩和層の上部に配置され、前記基板に対向する第1粘着層と、
前記補強基板に対向する第2粘着層と、
前記第1粘着層と前記第2粘着層との間に配置される障壁層とを含む、請求項17に記載の電界発光表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電界発光表示装置に関し、より詳細には、狭いベゼル(narrow bezel)を有する電界発光表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、本格的な情報化時代に入るに伴い、電気的情報信号を視覚的に表示する表示装置分野が急速に発展しており、様々な表示装置に対して、薄型化、軽量化及び低消費電力化等の性能を開発させるための研究が続いている。
【0003】
代表的な表示装置として、液晶表示装置(Liquid Crystal Display device;LCD)、電気湿潤表示装置(Electro-Wetting Display device;EWD)及び有機発光表示装置(Organic Light Emitting Display Device;OLED)等がある。
【0004】
この中で、有機発光表示装置を含む電界発光表示装置は、自体発光型表示装置であって、液晶表示装置とは異なり別途の光源が不要であり、軽量薄型に製造が可能である。また、電界発光表示装置は、低電圧駆動により消費電力の側面で有利であるだけではなく、色相表現、応答速度、視野角(viewing angle)、明暗対比比(Contrast Ratio;CR)にも優れており、多様な分野で活用が期待されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、シャドウ領域にトレンチパターンを配置して信頼性ベゼル領域に変換することでベゼル幅を縮小できる電界発光表示装置を提供することである。
【0006】
本発明が解決しようとする他の課題は、トレンチパターンに隣接したカソードの浮き上がり現象を改善して信頼性が改善された電界発光表示装置を提供することである。
【0007】
本発明が解決しようとするさらに他の課題は、表示パネルの剛性増大及び放熱効果を向上させた電界発光表示装置を提供することである。
【0008】
本発明の課題は、以上において言及した課題に制限されず、言及されていないまた他の課題は、下記の記載から当業者に明確に理解され得る。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前述したような課題を解決するために、本発明の一実施例に係る電界発光表示装置は、表示領域及び表示領域を囲む非表示領域を含む基板、基板上に配置され、表示領域から非表示領域に延びた平坦化層、平坦化層上に配置されるバンク、バンク上に配置される有機層、有機層上に配置されるカソード、非表示領域に配置され、カソード及び有機層が除去されたトレンチパターン、及びトレンチパターンを充填し、トレンチパターンの上部を平坦化するように配置された段差緩和層を含むことができる。
【0010】
その他の実施例の具体的な事項は、詳細な説明及び図面に含まれている。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、蒸着マスクの使用により発生する不要なシャドウ領域にカソードと有機層の一部が除去されたトレンチパターンを形成することでベゼル幅が縮小されながらも透湿防止性能の信頼性を向上させることができる。
【0012】
また、本発明は、トレンチパターンに隣接した領域に配置されるカソードの一部が有機層から離隔される浮き上がり現象が発生しても段差緩和層を通して離隔空間を充填することで、上部に配置される無機層の段差を緩和して、電界発光表示装置の信頼性を改善することができる。
【0013】
また、本発明は、相対的に厚い補強基板を含む多層構造物の封止構造を導入することで、剛性及び放熱効果が十分に確保され得るようになる。また、トレンチパターンを充填および覆う段差緩和層を通して、多層構造物の封止構造の合着性を改善し、電界発光表示装置の耐久性を改善することができる。
【0014】
本発明に係る効果は、以上において例示された内容により制限されず、さらに多様な効果が本発明内に含まれている。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施例に係る電界発光表示装置の平面図である。
図2】本発明の一実施例に係る電界発光表示装置のサブ画素に対する断面図である。
図3図1のIII-III’に沿った断面図である。
図4a図3のA領域を拡大した拡大断面図である。
図4b図3のA領域を拡大した拡大断面図である。
図5】本発明の他の実施例に係る電界発光表示装置の断面図である。
図6a】本発明の一実施例に係る電界発光表示装置の製造工程の一部を順次に示す断面図である。
図6b】本発明の一実施例に係る電界発光表示装置の製造工程の一部を順次に示す断面図である。
図6c】本発明の一実施例に係る電界発光表示装置の製造工程の一部を順次に示す断面図である。
図6d】本発明の一実施例に係る電界発光表示装置の製造工程の一部を順次に示す断面図である。
図6e】本発明の一実施例に係る電界発光表示装置の製造工程の一部を順次に示す断面図である。
図7】本発明の一実施例に係る電界発光表示装置の集束イオンビーム(Focused Ion Beam:FIB)分析イメージである。
図8】本発明のまた他の実施例に係る電界発光表示装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の利点及び特徴、そして、それらを達成する方法は、添付の図面と共に詳細に後述されている実施例を参照すると、明確になるだろう。しかし、本発明は、以下において開示される実施例に限定されるものではなく、互いに異なる多様な形態に構成され、単に、本実施例は、本発明の開示が完全なものとなるようにし、本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者に発明の範疇を完全に知らせるために提供されるものであり、本発明は、請求項の範疇により定義されるだけである。
【0017】
本発明の実施例を説明するための図面に開示された形状、大きさ、比率、角度、個数等は、例示的なものであるので、本発明は、図示された事項に限定されるものではない。また、本発明を説明するにあたって、関連した公知技術についての具体的な説明が本発明の要旨を不要に濁す恐れがあると判断される場合、その詳細な説明は省略する。また、本明細書上において言及された「含む」、「有する」、「なされる」等が使用される場合、「~だけ」が使用されない以上、他の部分が加えられ得る。構成要素を単数で表現した場合、特に明示的な記載事項がない限り、複数を含む場合を含む。
【0018】
構成要素を解釈するにあたって、別途の明示的な記載がなくても誤差範囲を含むものと解釈する。
【0019】
位置関係についての説明である場合、例えば、「~上に」、「~上部に」、「~下部に」、「~隣に」等と2つの部分の位置関係が説明される場合、「すぐ」または「直接」が使用されない以上、2つの部分の間に一つ以上の他の部分が位置してもよい。
【0020】
素子または層が他の素子または層の上(on)と称されるものは、他の素子のすぐ上または中間に他の層または他の素子を介在した場合をいずれも含む。
【0021】
第1、第2等が多様な構成要素を述べるために使用されるが、これらの構成要素は、これらの用語により制限されない。これらの用語は、単に一つの構成要素を他の構成要素と区別するために使用するものである。従って、以下において言及される第1構成要素は、本発明の技術的思想内で第2構成要素であってもよい。
【0022】
明細書全体にわたって、同じ参照符号は、同じ構成要素を指す。
【0023】
図面で示された各構成の大きさ及び厚さは、説明の便宜のために示されたものであり、本発明は、示された構成の大きさ及び厚さに必ずしも限定されるものではない。
【0024】
本発明の様々な実施例のそれぞれの特徴は、部分的または全体的に互いに結合または組み合わせ可能であり、当業者が十分に理解できるように技術的に多様な連動及び駆動が可能であり、各実施例が互いに対して独立して実施可能であってもよく、関連関係で共に実施可能であってもよい。
【0025】
以下においては、添付の図面を参照して、本発明の多様な実施例を詳細に説明する。
【0026】
図1は、本発明の一実施例に係る電界発光表示装置の平面図である。
【0027】
図1を参照すると、本発明の一実施例の電界発光表示装置は、表示パネル100、フレキシブルフィルム160、印刷回路基板170及びトレンチパターン180をさらに含むことができる。
【0028】
表示パネル100は、ユーザに映像を表示するためのパネルである。
【0029】
表示パネル100には、映像を表示するための表示素子、表示素子を駆動するための駆動素子、及び表示素子及び駆動素子に各種の信号を伝達する配線等が配置され得る。表示素子は、表示パネル100の種類によって異に定義され得、例えば、表示パネル100が有機発光表示パネルである場合、表示素子は、アノード、有機発光層及びカソードを含む有機発光素子であってよい。例えば、表示パネル100が液晶表示パネルである場合、表示素子は、液晶表示素子であってよい。
【0030】
以下においては、表示パネル100が有機発光表示パネルであるものと仮定するが、表示パネル100が有機発光表示パネルに制限されるものではない。
【0031】
表示パネル100は、表示領域AA及び非表示領域NAを含むことができる。
【0032】
表示領域AAは、表示パネル100で映像が表示される領域である。
【0033】
表示領域AAには、複数の画素を構成する複数のサブ画素及び複数のサブ画素を駆動するための回路が配置され得る。複数のサブ画素は、表示領域AAを構成する最小単位であり、複数のサブ画素それぞれに表示素子が配置され得、複数のサブ画素は、画素を構成できる。例えば、複数のサブ画素それぞれには、アノード、有機発光層及びカソードを含む有機発光素子が配置され得るが、これに制限されない。また、複数のサブ画素を駆動するための回路には、駆動素子及び配線等が含まれ得る。例えば、回路は、薄膜トランジスタ、ストレージキャパシタ、ゲート配線、データ配線等からなり得るが、これに制限されない。
【0034】
非表示領域NAは、映像が表示されない領域である。
【0035】
図1においては、非表示領域NAが四角形状の表示領域AAを囲んでいるものと示したが、表示領域AAと非表示領域NAの形態及び配置は、図1に示された例に限定されない。
【0036】
言い換えれば、表示領域AA及び非表示領域NAは、電界発光表示装置を搭載した電子装置のデザインに適した形態であってよい。例えば、表示領域AAの例示的な形態は、五角形、六角形、円形、楕円形等であってもよい。
【0037】
非表示領域NAには、表示領域AAの有機発光素子を駆動するための多様な配線及び回路等が配置され得る。例えば、非表示領域NAには、表示領域AAの複数のサブ画素及び回路に信号を伝達するためのリンク配線またはゲートドライバIC、データドライバICのような駆動IC等が配置され得るが、これに制限されない。
【0038】
電界発光表示装置は、多様な信号を生成するか表示領域AA内のピクセルを駆動するための、多様な付加要素を含むことができる。ピクセルを駆動するための付加要素は、インバータ回路、マルチプレクサ、静電気放電(Electro Static Discharge;ESD)回路等を含むことができる。電界発光表示装置は、ピクセル駆動以外の機能と関連した付加要素も含むことができる。例えば、電界発光表示装置は、タッチ感知機能、ユーザ認証機能(例:指紋認識)、マルチレベル圧力感知機能、触覚フィードバック(tactile feedback)機能等を提供する付加要素を含むことができる。前記言及された付加要素は、非表示領域NAおよび/または前記連結インターフェースと連結された外部回路に位置し得る。
【0039】
フレキシブルフィルム160は、延性を有するベースフィルムに各種の部品が配置されたフィルムである。具体的に、フレキシブルフィルム160は、表示領域AAの複数のサブ画素及び回路に信号を供給するためのフィルムであり、表示パネル100と電気的に連結され得る。フレキシブルフィルム160は、表示パネル100の非表示領域NAの一端に配置され、電源電圧、データ電圧等を表示領域AAの複数のサブ画素及び回路に供給できる。フレキシブルフィルム160の個数は、設計によって多様に変更され得、これに制限されない。
【0040】
一方、フレキシブルフィルム160には、例えば、ゲートドライバIC、データドライバICのような駆動ICが配置され得る。駆動ICは、映像を表示するためのデータとそれを処理するための駆動信号を処理する部品である。駆動ICは、実装される方式によってチップオングラス(Chip On Glass;COG)、チップオンフィルム(Chip On Film;COF)、テープキャリアパッケージ(Tape Carrier Package;TCP)等の方式で配置され得る。
【0041】
印刷回路基板170は、フレキシブルフィルム160の一端に配置され、フレキシブルフィルム160と連結され得る。印刷回路基板170は、駆動ICに信号を供給する部品である。印刷回路基板170は、駆動信号、データ信号等のような多様な信号を駆動ICに供給できる。例えば、印刷回路基板170には、データ信号を生成するデータ駆動部が実装されてもよく、生成されたデータ信号は、フレキシブルフィルム160を通して表示パネル100の複数のサブ画素及び回路に供給され得る。印刷回路基板170の個数は、設計によって多様に変更され得るが、これに制限されない。
【0042】
一方、電界発光表示装置では、透湿防止等の信頼性を確保するために最小限のベゼル距離が必要であり、また表示装置のスリム化の要求に合わせて映像が表示される表示領域AAを除く表示装置の非表示領域NAに対するスリム化の要求もまた増大されている。このとき、カソードと有機層の蒸着時、マスクと基板との間のギャップによりシャドウ領域が発生してベゼルを縮小するのに限界がある。
【0043】
そこで、本発明の一実施例においては、非表示領域NA内のシャドウ領域にカソードと有機層の一部が除去されたトレンチパターン180が配置され得る。そこで、本発明の一実施例においては、トレンチパターン180を通して表示パネル100の側面への水分浸透速度を遅延させることができる。このように既存のシャドウ領域を信頼性ベゼル領域に変換することでベゼル幅を縮小できる。
【0044】
トレンチパターン180は、フレキシブルフィルム160が配置された表示パネル100の一側を除く3側の非表示領域NAにわたって形成され得る。即ち、図1に示されたように、表示パネル100の4個の側部のうちフレキシブルフィルム160が配置されていない3個の側部にわたってトレンチパターン180が配置され得るが、これに制限されない。図1を基準に、表示パネル100の下側は、駆動ICの配置及び電圧印加によってレーザによる損傷危険があるので、トレンチパターン180を形成しなくてよいが、これに制限されない。
【0045】
トレンチパターン180は、例えば、レーザ溶融(laser ablation)を通して表示領域AAの外郭のシャドウ領域のカソードと有機層を除去することで形成され得る。そこで、信頼性ベゼル領域が拡張され、追加された信頼性ベゼル領域の長さだけベゼル幅が縮小され得る。
【0046】
カソードと有機層の下部の透湿経路である平坦化層とバンクにもフォト工程を通してトレンチパターン180を延長形成してもよいが、これに制限されない。
【0047】
トレンチパターン180についてのより詳細な説明は、図2及び図3を参照して詳細に説明する。
【0048】
図2は、本発明の一実施例に係る電界発光表示装置のサブ画素に対する断面図である。図3は、図1のIII-III’に沿った断面図である。図2は、本発明の一実施例に係る表示パネル100の一つのサブ画素に対する断面図である。図3は、トレンチパターン180が形成された表示パネル100の側部のうち左側に対する断面を例示的に示した。図2においては、説明の便宜のために、表示領域AA内の画素部115を概略的に示し、図3においては、非表示領域NA内のパネル内のゲートGIP部125を概略的に示した。
【0049】
図2及び図3を参照すると、本発明の一実施例に係る表示パネル100で基板101上に駆動素子110が配置され得る。
【0050】
そして、駆動素子110上に平坦化層105が配置され得る。
【0051】
また、平坦化層105上に駆動素子110と電気的に連結された有機発光素子150が配置され、有機発光素子150上には、キャッピング層120、段差緩和層190、及び無機層186が配置されて有機発光素子150に酸素と水分が浸透することを最小化することができる。
【0052】
無機層186上には、粘着層130及び封止基板140が順に配置され得る。ただし、本発明の一実施例に係る表示パネル100は、このような積層構造に限定されるものではない。
【0053】
基板101は、ガラスまたはプラスチック基板であってよい。基板101がプラスチック基板である場合、ポリイミド系列またはポリカーボネート系列の物質が使用されて可撓性(flexibility)を有することができる。特に、ポリイミドは、高温の工程に適用され得、コーティングが可能な材料であるのでプラスチック基板として多く使用される。
【0054】
基板101上には、バッファ層(buffer layer)102が配置され得る。
【0055】
バッファ層102は、基板101または下部の層から流出されるアルカリイオン等のような不純物から各種の電極及び配線を保護するための機能層であり、第1バッファ層102a及び第2バッファ層102bからなる多層構造を有し得るが、これに制限されない。バッファ層102は、シリコン酸化物(SiOx)、シリコン窒化物(SiNx)またはこれらの多層からなり得る。
【0056】
バッファ層102は、基板101に浸透した水分および/または酸素が拡散することを遅延させることができる。また、バッファ層102は、マルチバッファ(multi buffer)および/またはアクティブバッファ(active buffer)を含むことができる。アクティブバッファは、駆動素子110の半導体で構成されるアクティブ層111を保護し、基板101から流入する多様な種類の欠陥を遮断する機能を果たすことができる。アクティブバッファは、非晶質シリコン(a-Si)等で形成され得る。
【0057】
駆動素子110は、アクティブ層111、絶縁層103、ゲート電極113、ゲート絶縁層104、ソース電極及びドレイン電極112が順次に配置された形態であってよく、連結電極114を通して有機発光素子150と電気的に連結され、電流または信号を有機発光素子150に伝達できる。
【0058】
アクティブ層111は、バッファ層102上に位置し得る。アクティブ層111は、ポリシリコン(p-Si)で作られ得、この場合、所定の領域が不純物でドーピングされることもある。また、アクティブ層111は、非晶質シリコン(a-Si)からなってもよく、ペンタセン等のような多様な有機半導体物質からなってもよい。さらにアクティブ層111は、酸化物(oxide)からなってもよい。
【0059】
絶縁層103は、アクティブ層111上に位置し得る。絶縁層103は、シリコン酸化物(SiOx)またはシリコン窒化物(SiNx)等のような絶縁性無機物で形成され得、その他にも絶縁性有機物等で形成されてもよい。
【0060】
ゲート電極113は、絶縁層103上に位置し得る。ゲート電極113は、多様な導電性物質、例えば、マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)、ニッケル(Ni)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、金(Au)、またはこれらの合金等で形成され得る。
【0061】
ゲート絶縁層104は、ゲート電極113上に位置し得る。ゲート絶縁層104は、シリコン酸化物(SiOx)またはシリコン窒化物(SiNx)等のような絶縁性物質で形成され得、その他にも絶縁性有機物等で形成されてもよい。
【0062】
絶縁層103とゲート絶縁層104の選択的除去でソース及びドレイン領域が露出されるコンタクトホール(contact hole)が形成され得る。ソース電極及びドレイン電極112は、ゲート絶縁層104上に電極用物質で単一層または多層の構造に形成され得る。必要に応じて、無機絶縁物質で構成された追加の保護層(passivation layer)がソース電極及びドレイン電極112を覆うように形成されてもよい。
【0063】
このように構成された駆動素子110上には、平坦化層105が配置され得る。
【0064】
平坦化層105は、少なくとも二つの層で構成される多層構造を有してもよく、例えば、図2に示されたように、第1平坦化層105aと第2平坦化層105bを含むことができる。第1平坦化層105aは、駆動素子110を覆うように配置され、駆動素子110のソース電極及びドレイン電極112の一部が露出されるように配置され得る。
【0065】
平坦化層105は、GIP部125を覆うように非表示領域NAに延び得る。
【0066】
平坦化層105は、約2μmの厚さを有し得るが、これに制限されない。
【0067】
平坦化層105は、オーバーコート層(overcoat layer)であってよいが、これに制限されない。
【0068】
平坦化層105は、基板101の末端から一定距離離隔されて配置され得るが、これに制限されない。
【0069】
第1平坦化層105a上には、駆動素子110と有機発光素子150を電気的に連結するための連結電極114が配置され得る。また、図2においては示していないが、第1平坦化層105a上には、データライン、信号配線等の電線/電極の役割を果たす多様な金属層が配置されてもよい。
【0070】
また、第1平坦化層105aと連結電極114上には、第2平坦化層105bが配置され得る。本発明の一実施例に係る表示パネル100で平坦化層105が2個の層からなることは、表示パネル100が高解像度化されるにつれ各種の信号配線が増加するようになったことに起因する。そこで、全ての配線を最小間隔を確保しながら一つの層に配置しにくく、追加の層(layer)を設けたのである。このような追加の層(第2平坦化層105b)の追加により配線配置に余裕が生じて、電線/電極配置設計がさらに容易になり得る。また、多層に構成された平坦化層105として誘電物質(dielectric material)が使用されると、平坦化層105は、金属層の間で静電容量(capacitance)を形成する用途に活用することもできる。
【0071】
第2平坦化層105bは、連結電極114の一部が露出されるように形成され得、連結電極114により駆動素子110のドレイン電極112と有機発光素子150のアノード151が電気的に連結され得る。
【0072】
有機発光素子150は、アノード151、複数の有機層152及びカソード153が順次に配置されて構成され得る。即ち、有機発光素子150は、平坦化層105上に形成されたアノード151、アノード151上に形成された有機層152、及び有機層152上に形成されたカソード153で構成され得る。
【0073】
電界発光表示装置は、上部発光(top emission)または下部発光(bottom emission)方式で構成され得る。上部発光方式の場合、有機層152から発光された光がアノード151に反射して上部方向、即ち、上部のカソード153方向に向かうように、アノード151の下部に反射率の高い不透明な導電物質、例えば、銀(Ag)、アルミニウム(Al)、金(Au)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、クロム(Cr)またはこれらの合金等からなる反射層が加えられ得る。逆に、下部発光方式の場合は、アノード151は、ITO(Indium Tin Oxide)、IZO(Indium Zinc Oxide)、IGZO(Indium Gallium Zinc Oxide)等の透明導電性物質のみからなり得る。以下においては、本発明の表示パネル100が下部発光方式であるものと仮定して説明する。
【0074】
平坦化層105上で発光領域を除く残りの領域には、バンク106が形成され得る。即ち、バンク106は、発光領域と対応するアノード151を露出させるバンクホールを有する。バンク106は、シリコン窒化物(SiNx)、シリコン酸化物(SiOx)のような無機絶縁物質や、BCB、アクリル系樹脂またはイミド系樹脂のような有機絶縁物質からなり得る。
【0075】
バンク106は、非表示領域NAに延び得る。
【0076】
バンク106は、約1μmの厚さを有し得るが、これに制限されない。
【0077】
バンク106は、GIP部125の上部を覆い得るが、これに制限されない。
【0078】
バンク106により露出されるアノード151上には、有機層152が配置され得る。有機層152は、発光層、電子注入層、電子輸送層、正孔輸送層、正孔注入層等を含むことができる。
【0079】
有機層152は、非表示領域NAに延び得る。
【0080】
非表示領域NAにおいて、有機層152は、バンク106上に配置され得る。
【0081】
有機層152上にカソード153が配置され得る。
【0082】
上部発光方式の場合に、カソード153は、透明導電性物質を含むことができる。例えば、カソード153は、ITO(Indium Tin Oxide)、IZO(Indium Zinc Oxide)、IGZO(Indium Gallium Zinc Oxide)等からなり得る。下部発光方式の場合に、カソード153は、金(Au)、銀(Ag)、アルミニウム(Al)、モリブデン(Mo)、マグネシウム(Mg)、パラジウム(Pd)、銅(Cu)等のような金属物質またはこれらの合金からなる群のうちのいずれか一つを含むことができる。または、カソード153は、ITO(Indium Tin Oxide)、IZO(Indium Zinc Oxide)、IGZO(Indium Gallium Zinc Oxide)のような透明導電性物質からなる層と、金(Au)、銀(Ag)、アルミニウム(Al)、モリブデン(Mo)、マグネシウム(Mg)、パラジウム(Pd)、銅(Cu)等のような金属物質またはこれらの合金からなる層が積層されて構成されてもよく、これに制限されない。
【0083】
カソード153は、非表示領域NAに延び得る。カソード153は、バンク106の末端から一定距離離隔されてバンク106の上面の一部と接し得る。
【0084】
非表示領域NAにおいて、カソード153は、有機層152の側面を覆うように配置され得る。有機層152は、カソード153の末端から一定距離離隔されて配置され得るが、これに制限されない。
【0085】
トレンチパターン180に隣接したカソード153の一部が有機層152と離隔されて配置され得る。カソード153の形状についてのより詳細な説明は、図4a及び図4bを参照して詳細に後述する。
【0086】
有機発光素子150上には、外部光の乱反射を減らすために、屈折率及び光吸収率の高い物質からなるキャッピング層120が配置され得る。
【0087】
キャッピング層120は、有機物からなる有機物層であってよく、必要に応じて省略されてもよい。
【0088】
キャッピング層120は、非表示領域NAに延び得る。非表示領域NAにおいて、キャッピング層120は、カソード153上に配置され得る。
【0089】
本発明の一実施例に係る表示パネル100においては、キャッピング層120、カソード153及び有機層152が除去されたトレンチパターン180が配置され得る。トレンチパターン180は、表示領域AAの外郭領域の非表示領域NAでカソード153の末端の間であるシャドウ領域に配置され得る。
【0090】
トレンチパターン180は、例えば、レーザ溶融を通して表示領域AAの外郭のシャドウ領域のキャッピング層120、カソード153及び有機層152を除去することで形成され得る。上述したように、平坦化層105とバンク106の場合、フォト工程を通して除去でき、これを通してトレンチパターン180を延長形成してもよいが、これに制限されない。
【0091】
トレンチパターン180は、レーザの幅が50μmである場合、約70μmの幅を有し得るが、これに制限されない。これは、レーザ熱により影響を受ける領域の幅(~20μm)を考慮したものである。
【0092】
図3においては、トレンチパターン180が二つ備えられた場合を例に挙げて示しているが、これに制限されない。即ち、トレンチパターン180は、一つまたは二つ以上の複数で備えられ得、図3において示されたトレンチパターン180の個数に限定されない。また、トレンチパターン180の内部の底には、GIP部125をレーザ溶融から保護するための保護層がさらに配置され得るが、これに制限されない。
【0093】
保護層としては、波長帯が約266nmの紫外線領域を有するレーザを使用する場合、レーザを100%吸収するためにアノード151を構成する透明導電性物質で形成され得る。透明導電性物質は、ITO(Indium Tin Oxide)、IZO(Indium Zinc Oxide)、またはIGZO(Indium Gallium Zinc Oxide)を含むことができる。
【0094】
キャッピング層120及びトレンチパターン180上には、段差緩和層190、無機層186、粘着層130及び封止基板140が配置され得る。
【0095】
まず、段差緩和層190は、キャッピング層120上に配置され得、トレンチパターン180を充填するように配置され得る。段差緩和層190は、トレンチパターン180を充填するように配置されてトレンチパターン180による段差を緩和し、トレンチパターン180の上部を平坦化できる。また、段差緩和層190は、キャッピング層120、無機層186及び封止基板140と共に画素部115の有機発光素子150を外部の湿気、酸素、衝撃等から保護することができる。
【0096】
図3に示すように、無機層186は、無機層186がキャッピング層120の上面と接触するように、段差緩和層190の上面および側面に配置されてもよい。
【0097】
段差緩和層190は、有機物からなり得る。具体的に、段差緩和層190は、有機物からなる樹脂及び樹脂に分散されたゲッター(getter)を含むことができる。
【0098】
段差緩和層190の樹脂は、有機物からなり得る。例えば、段差緩和層190は、エポキシ樹脂、アクリル樹脂及びシリコンオキシカーボン(SiOC)樹脂を含むことができる。
【0099】
段差緩和層190は、ゲッターを含むことができる。ゲッターは、上述した樹脂に分散され得る。ゲッターは、バリウムオキシド(BaO)、カルシウムオキシド(CaO)、酸化マグネシウム(MgO)、硫酸マグネシウム(MgSO4)、酸化ナトリウム(Na2O)、硫酸ナトリウム(Na2SO4)、硫酸リチウム(LiSO)、硫酸カルシウム(CaSO4)、酸化カリウム(K2O)、酸化リチウム(Li2O)、硫酸ガリウム(GaS)、塩化カルシウム(CaCl2)、塩化マグネシウム(MgCl2)、臭化カルシウム(CaBr2)、臭化セリウム(CsBr)、臭化バナジウム(VBr5)及び硝酸カルシウム(Ca(No3)2)のうち少なくともいずれか一つを含むことができる。ゲッターは、50~100nmの大きさの粒子からなり得る。ゲッターは、透明な材料で構成され得るが、これに制限されない。
【0100】
段差緩和層190は、フィルムに構成され得る。即ち、段差緩和層190は、液状の材料を塗布及び硬化する方式で形成されるものではなく、フィルム形態に構成されてキャッピング層120上に配置され得る。そこで、段差緩和層190は、有機フィルムで構成され得る。
【0101】
段差緩和層190の形状についてのより詳細な説明は、図4a及び図4bを参照して詳細に後述する。
【0102】
段差緩和層190上に無機絶縁物質からなる無機層186が配置され得る。無機層186は、上部での水分透湿を遅延させることができ、切断、異物による不良発生を抑制できる。
【0103】
無機層186は、段差緩和層190の上面と接するように配置され得る。無機層186は、段差緩和層190を封止できるように段差緩和層190の上面及び側面を覆うことができる。カソード153及びキャッピング層120が段差緩和層190の末端で基板101の外側面方向に延びて配置される場合、無機層186は、カソード153の上面に配置されたキャッピング層120の上面の一部と接し得る。
【0104】
無機層186は、水分透湿を遅延させるために、シリコン酸化物(SiOx)、シリコン窒化物(SiNx)またはこれらの多層からなり得るが、これに制限されるものではない。
【0105】
無機層186上に粘着層130が配置され得る。粘着層130及び封止基板140は、平坦化層105の一部及びバンク106を覆うように非表示領域NAに延び得る。
【0106】
粘着層130は、キャッピング層120、無機層186及び画素部115を囲むように配置され得る。粘着層130は、キャッピング層120、無機層186及び封止基板140と共に画素部115の有機発光素子150を外部の湿気、酸素、衝撃等から保護することができる。
【0107】
粘着層130は、吸湿剤をさらに含むことができる。吸湿剤は、吸湿性を有するパーティクル(particle)であってよく、外部から水分及び酸素等を吸収して、画素部115に水分及び酸素が浸透することを最小化することができる。
【0108】
粘着層130の上部に封止基板140が配置され得る。封止基板140は、粘着層130と共に画素部115の有機発光素子150を保護することができる。封止基板140は、外部の湿気、酸素、衝撃等から有機発光素子150を保護することができる。
【0109】
一例として、封止基板140は、鉄/ニッケル合金であるインバー(Invar)で構成され得るが、これに制限されず、本発明の封止構造は、薄膜の金属層やアルミホイル(Al foil)等の障壁層と多数の粘着層及びアルミニウムシート等の補強基板を含む多層構造物が適用されてもよい。
【0110】
以下においては、トレンチパターン180と隣接したカソード153の形状についてのより詳細な説明のために、図4a及び図4bを共に参照する。
【0111】
図4a及び図4bは、図3のA領域を拡大した拡大断面図である。
【0112】
図4a及び図4bにおいては、本発明の一実施例の表示パネル100でトレンチパターン180と隣接した領域でのカソード153及びキャッピング層120の形状を例示的に示している。
【0113】
図4a及び図4bを参照すると、トレンチパターン180に隣接したカソード153の一部は、有機層152と離隔されるように配置され得る。上述したように、トレンチパターン180は、レーザ溶融を通して表示領域AAの外郭のシャドウ領域のカソード153と有機層152を除去することで形成され得る。このとき、カソード153と有機層152のレーザ吸収率の差によりトレンチパターン180に隣接したカソード153の一部が有機層152と離隔されて巻かれるか浮き上がり現象が発生し得る。
【0114】
例えば、図4aを参照すると、カソード153は、トレンチパターン180と隣接した領域で上部に突出した形状を有し得る。例えば、トレンチパターン180に隣接したカソード153の一部は、トレンチパターン180と隣接した領域で上部方向に折れて膨らんだ形状を有し得る。そこで、カソード153の端部が浮き上がり得、カソード153の一部が有機層152と離隔されるように配置され得る。
【0115】
また、例えば、図4bを参照すると、トレンチパターン180に隣接したカソード153の末端の高さが高くなり得、具体的に、カソード153は、巻かれた形状を有し得る。例えば、カソード153は、有機層152で上部方向に離隔され、カソード153の末端が上部方向でまた有機層152方向に折れて巻かれた形状を有し得る。そこで、カソード153の端部が浮き上がり得、カソード153の一部が有機層152と離隔されるように配置され得る。
【0116】
ただし、トレンチパターン180と隣接した領域のカソード153の一部の形状は、図4a及び図4bに示されたものに制限されず、多様な形状を有し得る。
【0117】
図3図4a及び図4bを参照すると、段差緩和層190は、カソード153の上部に配置されてトレンチパターン180を充填できる。即ち、段差緩和層190は、トレンチパターン180が形成されるにつれ段差が形成されたカソード153の側面及び有機層152の側面を覆うことができる。また、段差緩和層190は、カソード153と有機層152の離隔空間を充填してカソード153の巻かれたか突出した形状をカバーできる。即ち、段差緩和層190は、図4a及び図4bに示されたように、トレンチパターン180に隣接したカソード153の一部が有機層152と離隔されることで発生する離隔空間を充填してカソード153及びキャッピング層120の上部を平坦化できる。
【0118】
このように電界発光表示装置のスリム化の要求に合わせて映像が表示される表示領域を除く電界発光表示装置の非表示領域に対する縮小の要求もまた増大されている。このとき、カソードと有機層の蒸着時、マスクと基板との間のギャップによりシャドウ(shadow)領域が発生してベゼルを縮小するのに限界がある。
【0119】
また、現在、電界発光表示装置においては、透湿防止等の信頼性を確保するために最小限のベゼル距離が必要であり、それを信頼性ベゼルと称し得る。例えば、信頼性ベゼルは、上部基板(封止基板)の末端からカソードの末端までと定義され得る。そこで、信頼性ベゼルを確保するためにもベゼルを縮小するのに限界がある。
【0120】
そこで、本発明の一実施例に係る電界発光表示装置においては、透湿防止等の信頼性を確保するために電界発光表示装置にカソードと有機層の一部が除去されたトレンチパターンを形成することができる。そこで、蒸着マスクの使用により発生する不要なシャドウ領域にトレンチパターンを形成して、側面からの水分浸透速度を遅延させて信頼性を向上させると同時にベゼル幅を縮小できる。
【0121】
一方、トレンチパターンの形成過程でキャッピング層、カソード及び有機層を除去するためにレーザ溶融方法が用いられ得る。ただし、カソードと有機層のレーザ吸収率の差によりトレンチパターンに隣接したカソードの一部が有機層と離隔されて巻かれるか浮き上がり現象が発生し得る。例えば、レーザが照射されるトレンチパターンに隣接した領域でカソードの端部が上部方向に突出し得る。特に、レーザが照射される領域が大きくなるほどカソードが巻かれるか突出する現象は激しくなり得、カソードと有機層間の浮き上がり現象もまた激しくなり得る。そこで、トレンチパターンに隣接した領域でカソードにより段差が発生し得、レーザ照射過程で残余物が発生して異物を形成し得、カソードの上面が不均一になってカソードの上部に配置される膜の品質が低下し得る。具体的に、カソードの上部に水分透湿を遅延させる無機層が配置される場合、シーム(seam)の発生及び異物により無機層が損傷され得、損傷された界面を通した水分透湿のような問題が発生し得る。従って、トレンチパターン形成過程で発生するカソード及びカソードの上部に配置される膜の信頼性確保が重要である。
【0122】
そこで、本発明の一実施例においては、ステップカバレッジ確保が可能な段差緩和層190をトレンチパターン180の上部に配置して電界発光表示装置の透湿防止性能信頼性を改善させることができる。トレンチパターン180の形成過程でカソード153は下部に配置された有機層152と離隔され得る。そこで、段差緩和層190は、トレンチパターン180を充填でき、レーザ溶融から発生したカソード153と有機層152の離隔空間を充填してカソード153の突出した形態による急激な段差変化を緩和させることができる。また、トレンチパターン180の上部を平坦化してカソード153の末端形状による段差を低減でき、シーム(seam)の発生を防止できる。そこで、カソード153の上部に配置される膜の品質が低下することを防止でき、カソード153の上部に無機層186が配置された場合、無機層186の平坦度を向上させることができ、電界発光表示装置の透湿防止性能の信頼性を改善させることができる。
【0123】
また、本発明の一実施例は、段差緩和層190にゲッターを含めて水分透湿を遅延させることができる。ゲッターは、密封された段差緩和層190の内部空間に流入した水分と酸素を吸収でき、水分の拡散を防止できる。そこで段差緩和層190の下部に配置される膜を通した透湿経路を制御できる。
【0124】
図5は、本発明の他の実施例に係る電界発光表示装置の断面図である。
【0125】
図5を参照すると、本発明の他の実施例に係る電界発光表示装置の表示パネル500は、図3の本発明の一実施例に係る表示パネル100に比して有機層552、カソード553、キャッピング層520、段差緩和層590及び無機層586の構成のみが異なるだけで、他の構成は実質的に同一であるので、重複した説明は省略する。
【0126】
図5を参照すると、図2に示すようにバンク106により露出されるアノード151上には、有機層552(図2の152)が配置され得る。有機層552は、非表示領域NAに延びて非表示領域NAでバンク106上に配置され得る。
【0127】
有機層552上にカソード553が配置され得る。カソード553は、有機層552の一部と重畳するように配置され得る。例えば、カソード553は、有機層552の上面の一部が露出され得るように有機層552の末端内側に配置され得る。
【0128】
カソード553は、トレンチパターン180と隣接した領域で巻かれたか突出した形状を有し得る。例えば、カソード553の一部は、トレンチパターン180と隣接した領域で上部方向に折れた形状を有するか、巻かれた形状を有し得る。そこで、カソード553の一部が有機層552と離隔されるように配置され得る。
【0129】
キャッピング層520は、カソード553上に配置され得る。キャッピング層520は、非表示領域NAに延び得、カソード553と重畳するように配置され得る。例えば、カソード553が有機層552の末端内側に配置された場合、キャッピング層520もまた有機層552の末端内側に配置され得る。
【0130】
本発明の他の実施例に係る電界発光表示装置においては、キャッピング層520とカソード553及び有機層552が除去されたトレンチパターン180が配置され得る。トレンチパターン180は、表示領域AAの外郭領域の非表示領域NAでカソード553の末端の間であるシャドウ領域に配置され得る。
【0131】
トレンチパターン180は、例えば、レーザ溶融を通してキャッピング層520とカソード553及び有機層552を除去することで形成され得る。
【0132】
段差緩和層590は、カソード553の上部に配置されてトレンチパターン180を充填できる。段差緩和層590は、カソード553と有機層552の離隔空間を充填してカソード553の突出した形状をカバーできる。トレンチパターン180と隣接した領域へのカソード553は突出した形状を有し得る。例えば、カソード553及び有機層552を除去するためにレーザ溶融方法が用いられた場合、レーザ照射領域でカソード553の端部が上部に突出し得る。そこで、段差緩和層590は、トレンチパターン180が形成されるにつれ形成されたカソード553の側面及び有機層552の側面を覆うことができる。
【0133】
段差緩和層590は、トレンチパターン180の上部を平坦化できる。そこで、段差緩和層590は、トレンチパターン180の屈曲した面を充填しながらトレンチパターン180の上部を平坦に維持できる。
【0134】
段差緩和層590上に無機絶縁物質からなる無機層586が配置され得る。無機層586は、段差緩和層590の上面と接するように配置され得る。また、無機層586は、段差緩和層590を封止できるように段差緩和層590の側面を覆うことができる。キャッピング層520及びカソード553の末端が段差緩和層590の末端と同一平面に配置される場合、無機層586は、キャッピング層520及びカソード553の側面を覆うことができる。
【0135】
有機層552が段差緩和層590の末端で基板101の外側面方向に延びて配置された場合、有機層552の上面の一部が露出され得る。このとき、無機層586は、露出された有機層552の上面の一部と接するように配置され得る。また、無機層586は、有機層552の側面を覆い、バンク106の上面の一部と接し得る。
【0136】
無機層586上に粘着層530が配置され得る。粘着層530及び封止基板540は、平坦化層105の一部及びバンク106を覆うように非表示領域NAに延び得る。粘着層530は、キャッピング層520、無機層586及び画素部115を囲むように配置され得る。粘着層530は、キャッピング層520、無機層586及び封止基板140と共に画素部115の有機発光素子を外部の湿気、酸素、衝撃等から保護することができる。
【0137】
粘着層530の上部に封止基板540が配置され得る。封止基板540は、粘着層530と共に画素部115の有機発光素子を保護することができる。封止基板540は、外部の湿気、酸素、衝撃等から有機発光素子を保護することができる。
【0138】
本発明の一実施例に係る電界発光表示装置においては、段差緩和層590をトレンチパターン180の上部に配置してカソード553の末端形状による段差を低減できる。そこで、電界発光表示装置の透湿防止性能信頼性を改善させることができる。
【0139】
また、本発明の他の実施例に係る電界発光表示装置は、無機層586がカソード553及びキャッピング層520により露出された有機層552の一部をカバーして有機層552を通した水分透湿を遅延させることができる。即ち、無機層586がカソード553、キャッピング層520及び有機層552を全て密封するように配置されることで、カソード553、キャッピング層520及び有機層552の側面を通した水分透湿を最大限遅延させることができる。そこで、本発明の他の実施例に係る電界発光表示装置の透湿防止性能信頼性をさらに改善させることができる。
【0140】
図6a乃至図6eは、本発明の一実施例に係る電界発光表示装置の製造工程の一部を順次に示す断面図である。
【0141】
まず、図6aを参照すると、表示領域AAで基板101上に画素部115の各種の構成を形成する。前述したように、画素部115は、基板101の表示領域AAに形成され、有機層152’の下部の各種の構成を含むことができる。
【0142】
また、基板101の非表示領域NAには、各種の構成を含むGIP部125を形成する。
【0143】
次いで、GIP部125を覆うように非表示領域NAに延びる平坦化層105を形成する。平坦化層105は、基板101の末端から一定距離離隔されて形成され得るが、これに制限されない。
【0144】
次いで、平坦化層105上で発光領域を除く残りの領域には、バンク106を形成する。バンク106は、非表示領域NAに延びて形成され得る。
【0145】
バンク106は、GIP部125の上部を覆い得るが、これに制限されない。
【0146】
次いで、基板101の上部に有機層152’とカソード153’及びキャッピング層120’を順に形成する。
【0147】
次いで、図6bを参照すると、所定のレーザを照射して図6aで形成されたバンク106の上部のキャッピング層120’、カソード153’及び有機層152’の一部の領域を順に除去してトレンチパターン180’を形成する。
【0148】
トレンチパターン180’は、図6aで形成された有機層152’、カソード153’及びキャッピング層120’の一部を除去して側面を通した水分透湿を遮断する役割を果たすことができる。カソード153は、トレンチパターン180’と隣接した領域で突出した形状を有し得る。例えば、カソード153の一部が有機層152と離隔されるように配置され得る。
【0149】
次いで、図6cを参照すると、キャッピング層120上に段差緩和層190を形成する。
【0150】
段差緩和層190は、トレンチパターン180の内部を充填でき、トレンチパターン180で露出された有機層152、カソード153及びキャッピング層120の側面を覆うことができる。例えば、カソード153の一部が有機層152と離隔された場合、カソード153と有機層152の離隔空間を充填できる。
【0151】
段差緩和層190は、トレンチパターン180を充填しながらトレンチパターン180の上部を平坦に維持できる。
【0152】
次いで、図6dを参照すると、段差緩和層190上に無機層186を形成する。無機層186は、段差緩和層190の上面と接するように配置され、段差緩和層190の側面を覆い得る。
【0153】
次いで、図6eを参照すると、無機層186が形成された基板101上に粘着層130及び封止基板140を順に形成する。
【0154】
図7は、本発明の一実施例に係る電界発光表示装置のFIB分析イメージである。
【0155】
図7のイメージは、トレンチパターン180及びトレンチパターン180に隣接した領域に対するFIB分析イメージであり、図4a及び図4bと類似した領域に対するFIB分析イメージである。図7においては、表示の便宜のために、段差緩和層190、カソード153、有機層152、平坦化層105及びバンク106だけを示した。また、平坦化層105及びバンク106の境界がイメージで明確に示さず、一つの指示線で示した。
【0156】
図7を参照すると、レーザを通してトレンチパターン180を形成する場合、点線で表示された領域に配置されるトレンチパターン180に隣接するカソード153の一部が有機層152と離隔され得る。そこで、カソード153の端部が上部方向に突出し得る。そこで、トレンチパターン180に隣接した領域でカソード153により段差が発生し得、カソード153の上面が不均一になってカソード153の上部に配置される膜の品質が低下し得る。
【0157】
そこで、本発明の一実施例に係る電界発光表示装置においては、ステップカバレッジ確保が可能な段差緩和層190をトレンチパターン180の上部に配置して電界発光表示装置の透湿防止性能信頼性を改善させることができる。即ち、図7のイメージで確認できるように、段差緩和層190は、トレンチパターン180を充填でき、レーザ溶融から発生したカソード153と有機層152の離隔空間を充填してカソード153の突出した形態による急激な段差変化を緩和させることができる。また、トレンチパターン180の上部を平坦化してカソード153の末端形状による段差を低減できる。
【0158】
一方、前述したように、本発明は、薄膜の金属層やアルミホイル(Al foil)等の障壁層と多数の粘着層及びアルミニウムシート等の補強基板を含む多層構造物の封止構造が適用されてもよい。即ち、本発明のまた他の実施例は、無機層の上部に多層構造物の封止構造を導入できる。トレンチパターンの上部及び多層構造物の封止構造の第1粘着層の下部の間に段差緩和層を配置することで、多層構造物の封止構造との合着性を改善してワーページ現象を軽減し、電界発光表示装置の耐久性を改善させることができる。多層構造物の上端に配置される厚い金属層である補強基板を少なくともトレンチパターンの一端または段差補償層の一端を覆うように配置することで合着性を改善させることができ、それを次の図8を参照して詳細に説明する。
【0159】
図8は、本発明のまた他の実施例に係る電界発光表示装置の断面図である。
【0160】
図8の本発明のまた他の実施例に係る電界発光表示装置は、図3の本発明の一実施例に係る電界発光表示装置に比して密封部材830及び補強基板845の構成のみが異なるだけで、他の構成は実質的に同一であるので、重複した説明は省略する。
【0161】
図8を参照すると、本発明のまた他の実施例に係る電界発光表示装置は、前述した一実施例と同様にキャッピング層120、カソード153及び有機層152が除去されたトレンチパターン180が配置され得る。トレンチパターン180は、表示領域AAの外郭領域の非表示領域NAでカソード153の末端の間であるシャドウ領域に配置され得る。
【0162】
段差緩和層190は、カソード153の上部に配置されてトレンチパターン180を充填できる。段差緩和層190は、カソード153と有機層152の離隔空間を充填してカソード153の突出した形状をカバーできる。段差緩和層190は、トレンチパターン180の上部を平坦化できる。そこで、段差緩和層190は、トレンチパターン180の屈曲した面を充填しながらトレンチパターン180の上部を平坦に維持できる。
【0163】
段差緩和層190の上部に無機絶縁物質からなる無機層186が配置され得る。無機層186は、段差緩和層190の上面と接するように配置され得る。また、無機層186は、段差緩和層190を封止できるように段差緩和層190の側面を覆うことができる。
【0164】
無機層186の上部に本発明の多層構造物の封止構造が配置され得る。即ち、無機層186の上部に密封部材830及び補強基板845で構成された多層構造物の封止構造が配置され得る。
【0165】
モバイル、携帯用機器に使用される小型サイズの表示パネルは、表示パネルの面積が小さいので、素子での発熱が速く放出され、合着の問題が少ないが、モニタ、タブレット、テレビ受像機に使用される大型サイズの表示パネルでは、表示パネルの面積が大きいので、最適な放熱効果と合着力のための封止構造が必要である。
【0166】
併せて、不足した剛性を確保するために、電界発光表示装置は、封止基板の上部に別途のインナープレート(inner plate)をさらに備え得る。この場合、別途のインナープレートを配置するための空間の確保が必要であり、インナープレートの重さによって電界発光表示装置のスリム化及び軽量化に限界がある問題点がある。また、封止基板とインナープレートを接着するために配置された接着テープの厚さだけ封止基板とインナープレートとの間に発生したエアギャップ(air gap)により垂直離隔空間が発生して放熱性能を低下させる限界がある。
【0167】
そこで、本発明のまた他の実施例は、別途のインナープレートを除去しながら比較的に厚い厚さの補強基板845を固定させることができ、かつ工程不良が防止され得る密封部材830を含む多層構造物の封止構造を適用することを特徴とする。
【0168】
本発明の密封部材830は、基板101に向かい合う第1粘着層831、補強基板845に向かい合う第2粘着層833、及び第1粘着層831と第2粘着層833との間に配置される障壁層832を含むことができる。
【0169】
第1粘着層831と第2粘着層833それぞれは、粘着性を有する高分子材料からなり得る。一例として、第1粘着層831は、オレフィン(Olefin)系列、エポキシ(Epoxy)系列、アクリレート(Acrylate)系列のいずれか一つの高分子材料からなり得る。そして、第2粘着層833は、それぞれカルボキシル基が含まれていないオレフィン系列、エポキシ系列、アクリレート系列、アミン系、フェノール系及び酸無水物系のいずれか一つの高分子材料からなり得る。特に、第2粘着層833は、障壁層832の膜均一度及び腐食防止のためにカルボキシル基が含まれていない高分子材料からなることが好ましい。
【0170】
基板101の放熱のために、第1及び第2粘着層831、833のうち少なくとも第1粘着層831は、粘着性の高分子材料と金属材料のパーティクルを含む混合物からなり得る。一例として、金属材料のパーティクルは、ニッケル(Ni)からなるパウダーであってよい。即ち、基板101に直接接する第1粘着層831は、粘着性の高分子材料と金属材料のパーティクルを含む混合物からなることで、粘着性の高分子材料より高い熱伝導性を有することができる。
【0171】
同様に、第2粘着層833もまた粘着性の高分子材料と金属材料のパーティクルを含む混合物からなることで、粘着性の高分子材料より高い熱伝導性を有することができる。
【0172】
このようにすると、基板101で発生した駆動熱が密封部材830を通して放出される速度が向上し得るので、基板101に対する放熱効果が向上し得る。
【0173】
また、画素部115に対する透湿防止のために、第1粘着層831は、吸湿性の無機フィラーをさらに含む混合物からなり得る。吸湿性無機フィラーは、CaO、MgO及びBaOのうち少なくとも一つであってよい。
【0174】
第1粘着層831とは異なり、第2粘着層833は、画素部115と直接接しないので、画素部115の透湿防止のための無機フィラーを含む必要がない。そこで、第2粘着層833は、吸湿性無機フィラーを含まず、粘着性の高分子材料と金属材料のパーティクルだけを含むことができる。このようにすると、比較的に高価な吸湿性無機フィラーが密封部材830に投入される量が減少し得、密封部材830の用意コストが軽減され得る。
【0175】
また、吸湿性無機フィラーを含まないだけ、第2粘着層833に含まれた高分子材料の混合比率が第1粘着層831に比して増加し得るので、第2粘着層833の接着性が第1粘着層831の接着性より向上し得る。これによって、第2粘着層833上に補強基板845の固定がさらに堅くなされることで基板101と補強基板845の合着力に対する信頼度がさらに向上し得る。また、第1粘着層831と第2粘着層833の多層構造に形成することで、パネルが反るワーページ(Warpage)現象が軽減され得る信頼度もまた向上し得る長所がある。
【0176】
第1及び第2粘着層831、833それぞれの厚さは、工程不良が防止される臨界以下に限定され得る。そして、第1及び第2粘着層831、833の厚さの和は、補強基板845の固定に対する信頼度を確保できる臨界以上に限定され得る。
【0177】
一例として、第1及び第2粘着層831、833それぞれの厚さは、10um~100umの範囲以内であってよい。
【0178】
障壁層832は、金属材料及び無機絶縁材料のいずれか一つからなり得る。即ち、障壁層832は、Al、Cu、Sn、Ag、Fe、Zn等の金属材料を含んでなり得る。他の例において、障壁層832は、SiOx及びSiONxのような無機絶縁材料の薄膜からなり得る。
【0179】
このような障壁層832は、第1及び第2粘着層831、833との合着を補強し、ワーページ(Warpage)を軽減するための積層構造物に構成するために導入できる。具体的に、第1及び第2粘着層831、833は、それぞれ粘着性を有する高分子材料を含んで構成されている。そこで、相対的に固い材質を有する障壁層832が第1粘着層831及び第2粘着層833の間に配置され、障壁層832の一面及び他面にそれぞれ第1粘着層831及び第2粘着層833が接着することで、合着力を向上させることができる。
【0180】
障壁層832の厚さは、障壁層832による密封部材830の厚さ増加を最小化するために、第1及び第2粘着層831、833の厚さより小さな値に限定され得る。例えば、障壁層832の厚さは、10umより大きく、第1及び第2粘着層831、833それぞれの厚さより小さな範囲以内であってよい。
【0181】
このように、本発明のまた他の一実施例に係る密封部材830は、障壁層832により分離された第1及び第2粘着層831、833を含むので、工程不良なしに単一層の粘着材料より約2倍ほど大きい厚さに構成され得る。これによって、密封部材830により固定される補強基板845が厚い厚さで設けられ得るので、剛性増大及び放熱効果向上が容易に実現され得る長所がある。即ち、密封部材830の厚さが30um~300umの範囲以内であるとき、補強基板845の厚さは、0.1mm~1.5mmの範囲の厚さに構成できる。
【0182】
一例として、補強基板845は、ガラス、金属及びプラスチック高分子のいずれか一つの材料からなり得る。例えば、補強基板845は、Al、Cu、Sn、Ag、FeまたはZn成分が含まれた金属材料からなり得る。
【0183】
本発明の実施例に係る電界発光表示装置は、下記のように説明され得る。
【0184】
本発明の一実施例に係る電界発光表示装置は、表示領域及び表示領域を囲む非表示領域を含む基板、基板上に配置され、表示領域から非表示領域に延びた平坦化層、平坦化層上に配置されるバンク、バンク上に配置される有機層、有機層上に配置されるカソード、非表示領域に配置され、カソード及び有機層が除去されたトレンチパターン、及びトレンチパターンを充填し、トレンチパターンの上部を平坦化するように配置された段差緩和層を含むことができる。
【0185】
本発明の他の特徴によれば、段差緩和層は、フィルムに構成され得る。
【0186】
本発明のまた他の特徴によれば、段差緩和層は、ゲッター(getter)を含むことができる。
【0187】
本発明のまた他の特徴によれば、段差緩和層は、ゲッターが分散されたエポキシ樹脂、アクリル樹脂及びシリコンオキシカーボン(SiOC)樹脂をさらに含むことができる。
【0188】
本発明のまた他の特徴によれば、段差緩和層とカソードとの間に配置されるキャッピング層をさらに含み、キャッピング層は、トレンチパターン領域で除去され得る。
【0189】
本発明のまた他の特徴によれば、段差緩和層上に配置される無機層をさらに含むことができる。
【0190】
本発明のまた他の特徴によれば、無機層は、段差緩和層の上面と接するように配置され得る。
【0191】
本発明のまた他の特徴によれば、無機層は、段差緩和層を封止できるように段差緩和層の側面を覆うことができる。
【0192】
本発明のまた他の特徴によれば、無機層は、キャッピング層の側面、カソードの側面及び有機層の側面を覆い、無機層の末端は、バンクの一部と接し得る。
【0193】
本発明のまた他の特徴によれば、有機層は、段差緩和層の末端で基板の外側面方向に延びて配置され得る。
【0194】
本発明のまた他の特徴によれば、無機層は、有機層の上面の一部と接し得る。
【0195】
本発明のまた他の特徴によれば、カソードは、有機層の側面を覆い、カソードの末端は、バンクの上面の一部と接し得る。
【0196】
本発明のまた他の特徴によれば、カソードは、段差緩和層の末端で基板の外側面方向に延びて配置され得る。
【0197】
本発明のまた他の特徴によれば、無機層は、キャッピング層の上面の一部と接し得る。
【0198】
本発明のまた他の特徴によれば、基板上で非表示領域の一側に配置されるフレキシブルフィルムをさらに含み、トレンチパターンは、フレキシブルフィルムが配置された表示パネルの一側を除く3側の非表示領域に配置され得る。
【0199】
本発明のまた他の特徴によれば、トレンチパターンに隣接したカソードの一部は、有機層と離隔されるように配置され得る。
【0200】
本発明のまた他の特徴によれば、トレンチパターンに隣接したカソードの一部は、上部方向に折れたか巻かれた形状を有し得る。
【0201】
本発明のまた他の特徴によれば、段差緩和層は、カソードと有機層の離隔空間を充填できる。
【0202】
本発明のまた他の特徴によれば、電界発光表示装置は、段差緩和層の上部に配置される多層構造の密封部材及び補強基板をさらに含むことができる。
【0203】
本発明のまた他の特徴によれば、密封部材は、段差緩和層の上部に配置され、基板に向かい合う第1粘着層、補強基板に向かい合う第2粘着層、及び第1粘着層と第2粘着層との間に配置される障壁層を含むことができる。
【0204】
以上、添付の図面を参照して、本発明の実施例をさらに詳細に説明したが、本発明は、必ずしもこのような実施例に限定されるものではなく、本発明の技術思想を外れない範囲内で多様に変形実施され得る。従って、本発明に開示された実施例は、本発明の技術思想を制限するためのものではなく、説明するためのものであり、このような実施例によって本発明の技術思想の範囲が制限されるものではない。それゆえ、以上において記述した実施例は、全ての面で例示的なものであり、制限的ではないものと理解すべきである。本発明の保護範囲は、下記の請求の範囲によって解釈されるべきであり、それと同等な範囲内にある全ての技術思想は、本発明の権利範囲に含まれるものと解釈されるべきである。
図1
図2
図3
図4a
図4b
図5
図6a
図6b
図6c
図6d
図6e
図7
図8