(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-26
(45)【発行日】2024-10-04
(54)【発明の名称】モデル駆動型深層学習を有するHVAC制御システム
(51)【国際特許分類】
F24F 11/62 20180101AFI20240927BHJP
F24F 11/47 20180101ALI20240927BHJP
【FI】
F24F11/62
F24F11/47
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023125392
(22)【出願日】2023-08-01
(62)【分割の表示】P 2021118668の分割
【原出願日】2019-05-15
【審査請求日】2023-08-22
(32)【優先日】2018-05-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2018-05-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】598147400
【氏名又は名称】ジョンソン コントロールズ テクノロジー カンパニー
【氏名又は名称原語表記】Johnson Controls Technology Company
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【氏名又は名称】原 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100195257
【氏名又は名称】大渕 一志
(72)【発明者】
【氏名】ターニー、 ロバート ディー.
(72)【発明者】
【氏名】マーシー フィフス、 ヘンリー オー.
【審査官】佐藤 正浩
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-159284(JP,A)
【文献】特開2003-084805(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 11/62
F24F 11/47
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の空間にサービスを提供する機器を制御する方法であって、
複数の模擬シナリオをニューラルネットワークへの入力として与えることであって、各模擬シナリオは前記空間に関係する模擬測定結果を含むことと、
前記ニューラルネットワークを使用して前記機器のための模擬制御ディスパッチを生成することであって、前記ニューラルネットワークは前記模擬測定結果に基づき前記模擬制御ディスパッチを生成して前記模擬制御ディスパッチを出力するように構成されることと、
前記模擬制御ディスパッチを前記ニューラルネットワークとは異なるモデルへの入力として与えることと、
前記モデルを使用して前記複数の模擬シナリオにわたって前記機器を操作する推定費用をモデル化することであって、前記モデルは前記模擬制御ディスパッチに基づいて前記推定費用を生成して前記推定費用を出力するように構成されることと、
前記モデルが出力した前記推定費用に基づいて前記ニューラルネットワークのための一組の学習された重み付けを変更することと、
前記一組の学習された重み付けを前記ニューラルネットワークに適用することにより前記ニューラルネットワークをオンライン制御のために構成することと、
前記機器のための制御ディスパッチを生成するために前記空間に関係する実測値を前記ニューラルネットワークに適用することと、
前記制御ディスパッチに従って前記機器を制御することと
を含
み、
前記一組の学習された重み付けを変更することは、前記複数の模擬シナリオにわたって前記機器を操作する前記推定費用を最小化する一組の重み付けを決定することを含む、方法。
【請求項2】
前記機器を操作する前記推定費用をモデル化することは、
前記モデルを使用して、建物システムがどのようにして前記模擬制御ディスパッチに応答するのかのシミュレーションを実行することと、
前記機器を操作するべく前記模擬制御ディスパッチが使用された場合に一定期間にわたって生じる費用を推定することと
を含む、請求項1の方法。
【請求項3】
前記ニューラルネットワークとは異なる前記モデルは、前記空間の状態空間熱モデルと前記状態空間熱モデルを使用した費用関数とを含み、
前記機器を操作する前記推定費用をモデル化することは、前記機器を操作するべく前記模擬制御ディスパッチが使用された場合に一定期間にわたって生じる費用を推定するために前記費用関数を使用することを含む、請求項1の方法。
【請求項4】
前記機器のための前記制御ディスパッチは、温度設定点、温度スケジュール、湿度設定点、気流設定点、電力レベル、オン/オフセッティング、ダンパ位置、ファン速度、コンプレッサ周波数、または資源消費割り振りのうちの1つ以上を含む、請求項1の方法。
【請求項5】
前記機器は、空気供給側システムまたは水供給側システムのうちの1つ以上のデバイスを含む、請求項1の方法。
【請求項6】
前記機器は、可変冷媒流量システム、室空調機、またはパッケージ化空調機のうちの1つ以上を含む、請求項1の方法。
【請求項7】
建物の空間にサービスを提供する機器を制御するシステムであって、
複数の模擬シナリオを与えるように構成されるシナリオ回路であって、各模擬シナリオは前記空間に関係する模擬測定結果を含む、シナリオ回路と、
前記複数の模擬シナリオを入力として受信して前記模擬測定結果に基づき模擬制御ディスパッチを生成するように構成されるニューラルネットワークを含むオフラインディスパッチ生成回路と、
前記ニューラルネットワークとは異なるモデルを使用して前記複数の模擬シナリオにわたって前記機器を操作する推定費用をモデル化するように構成されるシステムモデルシミュレータ回路であって、前記モデルは前記模擬制御ディスパッチに基づいて前記推定費用を生成して前記推定費用を出力するように構成される、システムモデルシミュレータ回路と、
前記モデルが出力した前記推定費用に基づいて前記ニューラルネットワークのための一組の学習された重み付けを変更するように構成される重み付け選択回路であって、前記一組の学習された重み付けを前記ニューラルネットワークに適用することによって前記ニューラルネットワークをオンライン制御のために構成するように構成される重み付け選択回路と、
前記空間に関係する実測値を前記ニューラルネットワークに適用して前記機器のための制御ディスパッチを生成するように構成され、かつ前記制御ディスパッチに従って前記機器を制御するように構成される、ディスパッチ生成回路と
を含
み、
前記ニューラルネットワークとは異なる前記モデルは、
前記空間の状態空間熱モデルと、
前記状態空間熱モデルを使用する費用関数と
を含み、
前記システムモデルシミュレータ回路は、前記機器を操作するべく前記模擬制御ディスパッチが使用された場合に一定期間にわたって生じる費用を推定するべく、前記費用関数を使用するように構成される、システム。
【請求項8】
前記システムモデルシミュレータ回路は、
前記モデルを使用して、建物システムがどのようにして前記模擬制御ディスパッチに応答するのかのシミュレーションを実行することと、
前記機器を操作するべく前記模擬制御ディスパッチが使用された場合に一定期間にわたって生じる費用を推定することと
を行うように構成される、請求項
7のシステム。
【請求項9】
前記重み付け選択回路は、前記複数の模擬シナリオにわたって前記機器を操作する前記推定費用を最小化する一組の重み付けを決定するように構成される、請求項
7のシステム。
【請求項10】
前記機器のための前記制御ディスパッチは、温度設定点、温度スケジュール、湿度設定点、気流設定点、電力レベル、オン/オフセッティング、ダンパ位置、ファン速度、コンプレッサ周波数、または資源消費割り振りのうちの1つ以上を含む、請求項
7のシステム。
【請求項11】
前記機器は、空気供給側システムまたは水供給側システムのうちの1つ以上のデバイスを含む、請求項
7のシステム。
【請求項12】
前記機器は、可変冷媒流量システム、室空調機、またはパッケージ化空調機のうちの1つ以上のデバイスを含む、請求項
7システム。
【請求項13】
建物の空間にサービスを提供する機器を制御するシステムであって、
オフライントレーニングシステムと、
オンライン制御回路と
を含み、
前記オフライントレーニングシステムは、
複数の模擬シナリオをニューラルネットワークへの入力として与えることであって、各模擬シナリオは前記空間に関係する模擬測定結果を含むことと、
前記ニューラルネットワークを使用して前記機器のための模擬制御ディスパッチを生成することであって、前記ニューラルネットワークは前記模擬測定結果に基づき前記機器の模擬制御ディスパッチを生成して前記模擬制御ディスパッチを出力するように構成されることと、
前記模擬制御ディスパッチを前記ニューラルネットワークとは異なるモデルへの入力として与えることと、
前記モデルを使用して前記複数の模擬シナリオにわたって前記機器を操作する推定費用をモデル化することであって、前記モデルは前記模擬制御ディスパッチに基づいて前記推定費用を生成して前記推定費用を出力するように構成されることと、
前記モデルが出力した前記推定費用に基づいて前記ニューラルネットワークのための一組の学習された重み付けを変更することと、
前記一組の学習された重み付けを前記ニューラルネットワークに適用することにより前記ニューラルネットワークをオンライン制御のために構成することと
を行うように構成され、
前記オンライン制御回路は、
前記機器のための制御ディスパッチを生成するために前記空間に関係する実測値を前記ニューラルネットワークに適用することと、
前記制御ディスパッチに従って前記機器を制御することと
を行うように構成される、システム。
【請求項14】
前記機器を操作する前記推定費用をモデル化することは、
前記モデルを使用して、建物システムがどのようにして前記模擬制御ディスパッチに応答するのかのシミュレーションを実行することと、
前記機器を操作するべく前記模擬制御ディスパッチが使用された場合に一定期間にわたって生じる費用を推定することと
を含む、請求項
13のシステム。
【請求項15】
前記ニューラルネットワークとは異なる前記モデルは、
前記空間の状態空間熱モデルと、
前記状態空間熱モデルを使用する費用関数と
を含み、
前記機器を操作する前記推定費用をモデル化することは、前記機器を操作するべく前記模擬制御ディスパッチが使用された場合に一定期間にわたって生じる費用を推定するために前記費用関数を使用することを含む、請求項
13のシステム。
【請求項16】
前記一組の学習された重み付けを変更することは、前記模擬シナリオにわたって前記機器を操作する前記推定費用を最小化する一組の重み付けを決定することを含む、請求項
13のシステム。
【請求項17】
前記機器のための前記制御ディスパッチは、温度設定点、温度スケジュール、湿度設定点、気流設定点、電力レベル、オン/オフセッティング、ダンパ位置、ファン速度、コンプレッサ周波数、または資源消費割り振りのうちの1つ以上を含む、請求項
13のシステム。
【請求項18】
前記機器は、空気供給側システム、水供給側システム、可変冷媒流量システム、室空調機、またはパッケージ化空調機のうちの1つ以上のデバイスを含む、請求項
13のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2018年5月18日出願の米国仮特許出願第62/673,479号明細
書および2018年5月18日出願の米国仮特許出願第62/673,496号明細書の
利益および優先権を主張し、これらの特許出願は両方とも、それらの全体が参照により本
明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
本開示は一般的には、建物の温度制御を提供する可変冷媒流量(VRF:variab
le refrigerant flow)システム、室空調(RAC:room ai
r conditioning)システム、またはパッケージ化空調(PAC:pack
aged air conditioning)システムにおけるエネルギー費用を管理
することに関する。このようなシステムのエネルギー消費量を最小化することは、快適温
度が電力の増加無しに維持され得ないので建物の居住者の不快感に繋がり得、一方、居住
者嗜好に常に正確に整合することは通常、高エネルギー費用に繋がる。したがって、居住
者の不快感に繋がることなくVRF、RACおよびPACシステムのエネルギー消費量を
低減するためのシステムおよび方法が必要とされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】米国特許出願第15/953,324号明細書
【文献】米国特許出願第15/426,962号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示の1つの実施形態は方法である。本方法は、空間の可変状態または条件に影響を
与えるように機器を操作する工程と、複数の模擬シナリオにわたって機器を操作する推定
費用をモデル化することによりニューラルネットワークの一組の学習された重み付けを決
定する工程とを含む。各模擬シナリオは空間に関係する模擬測定結果を含む。ニューラル
ネットワークは模擬測定結果に基づき機器の模擬制御ディスパッチ(simulated
control dispatch)を生成するように構成される。本方法はまた、一
組の学習された重み付けを適用することによりオンライン制御のためのニューラルネット
ワークを構成する工程と、機器の制御ディスパッチを生成するためにニューラルネットワ
ークの空間に関係する実測値を適用する工程と、制御ディスパッチに従って機器を制御す
る工程とを含む。
【0005】
いくつかの実施形態では、一組の学習された重み付けは、複数の模擬シナリオにわたっ
て機器を操作する推定費用を最小化する一組の重み付けとして決定される。
【0006】
いくつかの実施形態では、一組の学習された重み付けを決定する工程は、空間の状態空
間熱モデルを特定する工程と、状態空間熱モデルを使用して費用関数を定義する工程と、
各シナリオのニューラルネットワークにより、シナリオの模擬測定結果および一組の重み
付けに基づき模擬制御ディスパッチを生成する工程と、模擬制御ディスパッチおよび一組
の模擬測定結果を所与として、シナリオの模擬期間にわたって機器を操作する推定費用を
、費用関数を使用することにより計算する工程とを含む。一組の学習された重み付けを決
定する工程はまた、費用を費用関数の最小値方向に駆り立てるために一組の重み付けを修
正する工程と、この修正された一組の学習された重み付けを、複数のシナリオにわたる最
小費用を生じる一組の重み付けとして決定する工程とを含み得る。
【0007】
いくつかの実施形態では、制御ディスパッチは、温度設定点、温度スケジュール、湿度
設定点、気流設定点、電力レベル、オン/オフセッティング、ダンパ位置、ファン速度、
コンプレッサ周波数、または資源消費割り振りのうちの1つまたは複数を含む。いくつか
の実施形態では、機器は、空気供給側システムまたは水供給側システムのうちの1つまた
は複数を含む。いくつかの実施形態では、機器は、可変冷媒流量システム、室空調機、ま
たはパッケージ化空調機のうちの1つまたは複数を含む。
【0008】
本開示の別の実施形態はシステムである。本システムは、空間の可変状態または条件に
影響を与えるように動作可能なHVAC機器と、空間に関係する測定結果を収集するよう
に構成された1つまたは複数のセンサと、複数の模擬シナリオにわたってHVAC機器を
操作する推定費用をモデル化することにより、ニューラルネットワークの一組の学習され
た重み付けを決定するように構成されたオフライントレーニングシステムとを含む。各模
擬シナリオは空間に関係する模擬測定結果を含む。ニューラルネットワークは模擬測定結
果に基づきHVAC機器の模擬制御ディスパッチを生成するように構成される。本システ
ムはまた、一組の学習された重み付けに従って構成されたニューラルネットワークを有す
るHVAC機器の制御ディスパッチを生成するために1つまたは複数のセンサからの測定
結果をニューラルネットワークへ適用し、制御ディスパッチに従ってHVAC機器を制御
するように構成されたオンライン制御回路を含む。
【0009】
いくつかの実施形態では、オフライントレーニングシステムは複数の模擬シナリオにわ
たって機器を操作する推定費用を最小化する一組の重み付けとして、一組の学習された重
み付けを決定するように構成される。いくつかの実施形態では、オフライントレーニング
システムは、空間の状態空間熱モデルを特定し、状態空間熱モデルを使用して費用関数を
定義し、ニューラルネットワークにより、そしてシナリオ毎に、シナリオの模擬測定結果
および一組の重み付けに基づき模擬制御ディスパッチを生成し、模擬制御ディスパッチお
よび一組の模擬測定結果を所与として、シナリオの模擬期間にわたってHVAC機器を操
作する推定費用を費用関数を使用することにより計算するように構成される。いくつかの
実施形態では、オフライントレーニングシステムは、費用を費用関数の最小値方向に駆り
立てるために一組の重み付けを修正し、この修正された一組の学習された重み付けを、複
数のシナリオにわたる最小費用を生じる一組の重み付けとして決定するように構成される
。
【0010】
いくつかの実施形態では、HVAC機器は空気供給側システムまたは水供給側システム
のうちの1つまたは複数を含む。いくつかの実施形態では、オンライン制御回路はHVA
C機器と共にローカルに含まれ、オフライントレーニングシステムは1つまたは複数のク
ラウドコンピューティング資源を含む。
【0011】
本開示の別の実施形態はシステムである。本システムは、空間の温度に影響を与えるよ
うに動作可能な冷却機と、空間に関係する測定結果を収集するように構成された1つまた
は複数のセンサと、複数の模擬シナリオにわたって冷却機を操作する推定費用をモデル化
することにより、ニューラルネットワークの一組の学習された重み付けを決定するように
構成されたオフライントレーニングシステムとを含む。各模擬シナリオは空間に関係する
模擬測定結果を含む。ニューラルネットワークは模擬測定結果に基づき冷却機の模擬制御
ディスパッチを生成するように構成される。本システムはまた、一組の学習された重み付
けに従って構成されたニューラルネットワークを有する冷却機の制御ディスパッチを生成
するために1つまたは複数のセンサからの測定結果をニューラルネットワークへ適用し、
この制御ディスパッチに従って冷却機を制御するように構成されたオンライン制御回路を
含む。
【0012】
いくつかの実施形態では、オフライントレーニングシステムは複数の模擬シナリオにわ
たって冷却機を操作する推定費用を最小化する一組の重み付けとして、一組の学習された
重み付けを決定するように構成される。いくつかの実施形態では、オフライントレーニン
グシステムは空間の状態空間熱モデルを特定し、状態空間熱モデルを使用して費用関数を
定義し、ニューラルネットワークにより、そしてシナリオ毎に、シナリオの模擬測定結果
および一組の重み付けに基づき模擬制御ディスパッチを生成し、模擬制御ディスパッチお
よび一組の模擬測定結果を所与として、シナリオの模擬期間にわたって冷却機を操作する
推定費用を費用関数を使用することにより計算するように構成される。いくつかの実施形
態では、オフライントレーニングシステムは、費用を費用関数の最小値方向に駆り立てる
ために一組の重み付けを修正し、この修正された一組の学習された重み付けを、複数のシ
ナリオにわたる最小費用を生じる一組の重み付けとして決定するように構成される。
【0013】
いくつかの実施形態では、冷却機は、室空調機、パッケージ化空調機、または可変冷媒
流量装置のうちの1つまたは複数を含む。いくつかの実施形態では、オンライン制御回路
は、冷却機と共にローカルに含まれ、オフライントレーニングシステムは1つまたは複数
のクラウドコンピューティング資源を含む。いくつかの実施形態では、制御ディスパッチ
は温度設定点を含む。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】例示的実施形態によるHVACシステムを備えた建物の図である。
【
図2】例示的実施形態による
図1の建物をサービスするように使用され得る水供給側システムのブロック図である。
【
図3】例示的実施形態による
図1の建物をサービスするように使用され得る空気供給側システムのブロック図である。
【
図4】例示的実施形態による
図1の建物を監視および制御するために使用され得る建物管理システム(BMS:building management system)のブロック図である。
【
図5】例示的実施形態による
図1の建物を監視および制御するために使用され得る別のBMSのブロック図である。
【
図6】例示的実施形態による可変冷媒流量システムによりサービスされる建物の図である。
【
図7】例示的実施形態による
図6の可変冷媒流量システムの図である。
【
図8】例示的実施形態による可変冷媒流量システムの詳細な図である。
【
図9】例示的実施形態による窓空調機のブロック図である。
【
図10】例示的実施形態による室空調システムのブロック図である。
【
図11】例示的実施形態によるパッケージ化空調機システムのブロック図である。
【
図12】例示的実施形態によるシステムマネージャのブロック図である。
【
図13】例示的実施形態によるオフライントレーニングシステムのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
HVACシステムの構築および建物管理システムの構築
次に
図1~5を参照すると、いくつかの実施形態による、本開示のシステムおよび方法
が実装され得るいくつかの建物管理システム(BMS)およびHVACシステムが示され
る。概要では、
図1はHVACシステム100を備えた建物10を示す。
図2は建物10
をサービスするように使用され得る水供給側システム200のブロック図である。
図3は
建物10をサービスするように使用され得る空気供給側システム300のブロック図であ
る。
図4は建物10を監視および制御するために使用され得るBMSのブロック図である
。
図5は建物10を監視および制御するために使用され得る別のBMSのブロック図であ
る。
【0016】
建物およびHVACシステム
特に
図1を参照すると、建物10の斜視図が示される。建物10はBMSによりサービ
スされる。BMSは、一般的には、建物または建物領域内のまたはその周囲の機器を制御
、監視、および管理するように構成されるデバイス群のシステムである。BMSは例えば
、HVACシステム、セキュリティシステム、照明システム、火事警報システム、建物機
能またはデバイスを管理することができる任意の他のシステム、またはそれらの任意の組
合せを含み得る。
【0017】
建物10をサービスするBMSはHVACシステム100を含む。HVACシステム1
00は、建物10への暖房、冷房、換気または他のサービスを提供するように構成された
多数のHVACデバイス(例えば、加熱機、冷凍機、空気処理ユニット、ポンプ、ファン
、熱エネルギー貯蔵など)を含み得る。例えば、HVACシステム100は、水供給側シ
ステム120および空気供給側システム130を含むように示されている。水供給側シス
テム120は、空気供給側システム130の空気処理ユニットに加熱または冷却流体を提
供することができる。空気供給側システム130は、加熱または冷却流体を使用して、建
物10に提供される気流を加熱または冷却することができる。HVACシステム100で
使用することができる例示的な水供給側システムおよび空気供給側システムの例は、
図2
~3を参照してさらに詳細に説明する。
【0018】
HVACシステム100は、冷凍機102、ボイラ104および屋上空気処理ユニット
(AHU)106を含むように示されている。水供給側システム120は、ボイラ104
および冷凍機102を使用して動作流体(例えば、水、グリコールなど)を加熱または冷
却することができ、動作流体をAHU 106まで循環させることができる。様々な実施
形態では、水供給側システム120のHVACデバイスは、建物10内または建物10の
周りに位置することも(
図1に示されるように)、中央プラントなどの現場を離れた場所
に位置することも(例えば、冷凍機プラント、蒸気プラント、熱プラントなど)可能であ
る。動作流体は、建物10において暖房が必要かまたは冷房が必要かに応じて、ボイラ1
04で加熱することも、冷凍機102で冷却することもできる。ボイラ104は、可燃性
物質(例えば、天然ガス)を燃やすことによってまたは電熱要素を使用することによって
循環流体に熱を加えることができる。冷凍機102は、循環流体から熱を吸収するために
、循環流体と熱交換器(例えば、蒸発器)内の別の流体(例えば、冷媒)とを熱交換関係
に置くことができる。冷凍機102および/またはボイラ104からの動作流体は、配管
108を介してAHU 106に輸送することができる。
【0019】
AHU 106は、動作流体とAHU 106中を流れる気流とを熱交換関係に置くこ
とができる(例えば、冷却コイルおよび/または加熱コイルの1つまたは複数の段を介し
て)。気流は、例えば、外気、建物10内からの還気または両方の組合せであり得る。A
HU 106は、気流に対する加熱または冷却を提供するために、気流と動作流体との間
で熱を伝達することができる。例えば、AHU 106は、動作流体を含む熱交換器上ま
たは熱交換器中で気流を通過させるように構成された1つまたは複数のファンまたはブロ
ワを含み得る。次いで、動作流体は、配管110を介して、冷凍機102またはボイラ1
04に戻ることができる。
【0020】
空気供給側システム130は、給気ダクト112を介して、AHU 106によって供
給された気流(すなわち、給気流)を建物10に送ることができ、還気ダクト114を介
して、建物10からAHU 106に還気を提供することができる。いくつかの実施形態
では、空気供給側システム130は、複数の可変空気量(VAV)ユニット116を含む
。例えば、空気供給側システム130は、建物10の各階またはゾーンに別個のVAVユ
ニット116を含むように示されている。VAVユニット116は、建物10の個々のゾ
ーンに提供される給気流の量を制御するように動作することができるダンパまたは他のフ
ロー制御要素を含み得る。他の実施形態では、空気供給側システム130は、中間VAV
ユニット116または他のフロー制御要素を使用することなく、給気流を建物10の1つ
または複数のゾーンに送る(例えば、供給ダクト112を介して)。AHU 106は、
給気流の属性を測定するように構成された様々なセンサ(例えば、温度センサ、圧力セン
サなど)を含み得る。AHU 106は、建物ゾーンのセットポイント条件を達成するた
めに、AHU 106内および/または建物ゾーン内に位置するセンサから入力を受信し
、AHU 106中の給気流の流速、温度または他の属性を調整することができる。
【0021】
水供給側システム
次に
図2を参照すると、いくつかの実施形態による水供給側システム200のブロック
図が示される。様々な実施形態では、水供給側システム200は、HVACシステム10
0内の水供給側システム120を補完または置換し得る、またはHVACシステム100
から離れて実装され得る。HVACシステム100内に実装される際、水供給側システム
200は、HVACシステム100内のHVACデバイスのサブセット(例えばボイラ1
04、冷凍機102、ポンプ、バルブなど)を含み得、加熱または冷却された流体をAH
U106へ供給するように動作し得る。水供給側システム200のHVACデバイスは、
建物10内に(例えば水供給側システム120の部品として)または中央プラントなどの
現場を離れた場所に位置し得る。
【0022】
図2では、水供給側システム200は、多数のサブプラント202~212を有する中
央プラントとして示されている。サブプラント202~212は、加熱機サブプラント2
02、熱回収冷凍機サブプラント204、冷凍機サブプラント206、冷却塔サブプラン
ト208、温熱エネルギー貯蔵(TES)サブプラント210および冷熱エネルギー貯蔵
(TES)サブプラント212を含むように示されている。サブプラント202~212
は、建物またはキャンパスの熱エネルギー負荷(例えば、湯水、冷水、加熱、冷却など)
を提供するために、公益事業から資源(例えば、水、天然ガス、電気など)を消費する。
例えば、加熱機サブプラント202は、加熱機サブプラント202と建物10との間で温
水を循環させる温水ループ214において水を加熱するように構成することができる。冷
凍機サブプラント206は、冷凍機サブプラント206と建物10との間で冷水を循環さ
せる冷水ループ216において水を冷却するように構成することができる。熱回収冷凍機
サブプラント204は、温水の追加の加熱および冷水の追加の冷却を提供するために、冷
水ループ216から温水ループ214に熱を伝達するように構成することができる。復水
器水ループ218は、冷凍機サブプラント206の冷水から吸熱し、冷却塔サブプラント
208の吸熱を排熱するかまたは吸熱を温水ループ214に伝達することができる。温熱
TESサブプラント210および冷熱TESサブプラント212は、後の使用のために、
温熱および冷熱エネルギーをそれぞれ貯蔵することができる。
【0023】
温水ループ214および冷水ループ216は、加熱および/または冷却水を、建物10
の屋上に位置する空気処理器(例えば、AHU106)へまたは建物10の個々の階もし
くはゾーン(例えば、VAVユニット116)へ送られ得る。空気処理器は、空気の加熱
または冷却を提供するために水が流れる熱交換器(例えば、加熱コイルまたは冷却コイル
)に空気を通過させる。加熱または冷却された空気は、建物10の熱エネルギー負荷に役
立つように建物10の個々のゾーンへ送られ得る。次いで、水は、さらなる加熱または冷
却を受けるためにサブプラント202~212へ戻る。
【0024】
サブプラント202~212は建物への循環のために水を加熱および冷却するものとし
て示され、説明されているが、熱エネルギー負荷を供給するために、水の代わりにまたは
水に加えて、他のいかなるタイプの動作流体(例えば、グリコール、CO2など)も使用
できることが理解されよう。他の実施形態では、サブプラント202~212は、中間熱
伝達流体を必要とすることなく、建物またはキャンパスに加熱および/または冷却を直接
提供することができる。水供給側システム200のこれらのまたは他の変形形態は、本開
示の教示の範囲内である。
【0025】
サブプラント202~212の各々は、サブプラントの機能を促進するように構成され
た様々な機器を含み得る。例えば、加熱機サブプラント202は、温水ループ214にお
いて温水に熱を加えるように構成された多数の加熱要素220(例えば、ボイラ、電気加
熱機など)を含むように示されている。また、加熱機サブプラント202は、いくつかの
ポンプ222、224を含むようにも示されており、いくつかのポンプ222、224は
、温水ループ214において温水を循環させ、個々の加熱要素220中を流れる温水の流
速を制御するように構成される。冷凍機サブプラント206は、冷水ループ216におい
て冷水から熱を除去するように構成された多数の冷凍機232を含むように示されている
。また、冷凍機サブプラント206は、いくつかのポンプ234、236を含むようにも
示されており、いくつかのポンプ234、236は、冷水ループ216において冷水を循
環させ、個々の冷凍機232中を流れる冷水の流速を制御するように構成される。
【0026】
熱回収冷凍機サブプラント204は、冷水ループ216から温水ループ214に熱を伝
達するように構成された多数の熱回収熱交換器226(例えば、冷蔵回路)を含むように
示されている。また、熱回収冷凍機サブプラント204は、いくつかのポンプ228、2
30を含むようにも示されており、いくつかのポンプ228、230は、熱回収熱交換器
226を通じて温水および/または冷水を循環させ、個々の熱回収熱交換器226中を流
れる水の流速を制御するように構成される。冷却塔サブプラント208は、復水器水ルー
プ218において復水器水から熱を除去するように構成された多数の冷却塔238を含む
ように示されている。また、冷却塔サブプラント208は、いくつかのポンプ240を含
むようにも示されており、いくつかのポンプ240は、復水器水ループ218において復
水器水を循環させ、個々の冷却塔238中を流れる復水器水の流速を制御するように構成
される。
【0027】
温熱TESサブプラント210は、後の使用のために温水を貯蔵するように構成された
温熱TESタンク242を含むように示されている。また、温熱TESサブプラント21
0は、温熱TESタンク242へのまたは温熱TESタンク242からの温水の流速を制
御するように構成された1つまたは複数のポンプまたはバルブも含み得る。冷熱TESサ
ブプラント212は、後の使用のために冷水を貯蔵するように構成された冷熱TESタン
ク244を含むように示されている。また、冷熱TESサブプラント212は、冷熱TE
Sタンク244へのまたは冷熱TESタンク244からの冷水の流速を制御するように構
成された1つまたは複数のポンプまたはバルブも含み得る。
【0028】
いくつかの実施形態では、水供給側システム200のポンプ(例えば、ポンプ222、
224、228、230、234、236および/または240)または水供給側システ
ム200のパイプラインの1つまたは複数は、それらのポンプまたはパイプラインと関連
付けられた遮断バルブを含む。遮断バルブは、水供給側システム200の流体の流れを制
御するために、ポンプと統合することも、ポンプの上流または下流に配置することもでき
る。様々な実施形態では、水供給側システム200は、水供給側システム200の特定の
構成および水供給側システム200によって供給される負荷のタイプに基づいて、より多
くの、より少ないまたは異なるタイプのデバイスおよび/またはサブプラントを含み得る
。
【0029】
空気供給側システム
次に
図3を参照すると、いくつかの実施形態による空気供給側システム300のブロッ
ク図が示される。様々な実施形態では、空気供給側システム300は、HVACシステム
100内の空気供給側システム130を補完または置換し得る、またはHVACシステム
100から離れて実装され得る。HVACシステム100内に実装される際、空気供給側
システム300は、HVACシステム100内のHVACデバイスのサブセット(例えば
AHU106、VAVユニット106、ダクト112-114、ファン、ダンパなど)を
含み得、建物10内またはその周囲に位置し得る。空気供給側システム300は、水供給
側システム200により供給される加熱または冷却された流体を使用することにより、建
物10へ供給される気流を加熱または冷却するように動作し得る。
【0030】
図3では、空気供給側システム300は、エコノマイザタイプの空気処理ユニット(A
HU)302を含むように示されている。エコノマイザタイプのAHUは、加熱または冷
却のために空気処理ユニットによって使用される外気および還気の量を変動させる。例え
ば、AHU 302は、還気ダクト308を介して建物ゾーン306から還気304を受
け取り、給気ダクト312を介して給気310を建物ゾーン306に送ることができる。
いくつかの実施形態では、AHU 302は、建物10の屋根に位置する屋上ユニットで
も(例えば、
図1に示されるようなAHU 106)、還気304と外気314の両方を
受け取るように別の方法で配置することも可能である。AHU 302は、組み合わせて
給気310を形成する外気314および還気304の量を制御するように排気ダンパ31
6、混合ダンパ318および外気ダンパ320を操作するように構成することができる。
混合ダンパ318を通過しないいかなる還気304も、排気322として排気ダンパ31
6を通じてAHU 302から排気することができる。
【0031】
ダンパ316~320の各々は、アクチュエータによって操作することができる。例え
ば、排気ダンパ316は、アクチュエータ324によって操作することができ、混合ダン
パ318は、アクチュエータ326によって操作することができ、外気ダンパ320は、
アクチュエータ328によって操作することができる。アクチュエータ324~328は
、通信リンク332を介してAHUコントローラ330と通信することができる。アクチ
ュエータ324~328は、AHUコントローラ330から制御信号を受信し、AHUコ
ントローラ330にフィードバック信号を提供することができる。フィードバック信号は
、例えば、現在のアクチュエータもしくはダンパ位置の表示、アクチュエータによって与
えられるトルクもしくは力の量、診断情報(例えば、アクチュエータ324~328によ
って実行された診断テストの結果)、ステータス情報、試運転情報、構成設定、較正デー
タ、および/または、アクチュエータ324~328によって収集、格納もしくは使用す
ることができる他のタイプの情報もしくはデータを含み得る。AHUコントローラ330
は、1つまたは複数の制御アルゴリズム(例えば、状態ベースアルゴリズム、極値探索制
御(ESC)アルゴリズム、比例・積分(PI)制御アルゴリズム、比例・積分・微分(
PID)制御アルゴリズム、モデル予測制御(MPC)アルゴリズム、フィードバック制
御アルゴリズムなど)を使用してアクチュエータ324~328を制御するように構成さ
れたエコノマイザコントローラであり得る。
【0032】
依然として
図3を参照すると、AHU 302は、給気ダクト312内に配置された冷
却コイル334、加熱コイル336およびファン338を含むように示されている。ファ
ン338は、給気310に強制的に冷却コイル334および/または加熱コイル336を
通過させ、建物ゾーン306に給気310を提供するように構成することができる。AH
Uコントローラ330は、給気310の流速を制御するために、通信リンク340を介し
てファン338と通信することができる。いくつかの実施形態では、AHUコントローラ
330は、ファン338の速度を変調することによって、給気310に適用される加熱ま
たは冷却の量を制御する。
【0033】
冷却コイル334は、配管342を介して水供給側システム200から(例えば、冷水
ループ216から)冷却流体を受け取り、配管344を介して水供給側システム200に
冷却流体を戻すことができる。バルブ346は、冷却コイル334中を流れる冷却流体の
流速を制御するために、配管342または配管344に沿って配置することができる。い
くつかの実施形態では、冷却コイル334は、給気310に適用される冷却の量を変調す
るために独立して起動および解除を行うことができる(例えば、AHUコントローラ33
0によって、BMSコントローラ366によってなど)冷却コイルの複数の段を含む。
【0034】
加熱コイル336は、配管348を介して水供給側システム200から(例えば、温水
ループ214から)加熱流体を受け取り、配管350を介して水供給側システム200に
加熱流体を戻すことができる。バルブ352は、加熱コイル336中を流れる加熱流体の
流速を制御するために、配管348または配管350に沿って配置することができる。い
くつかの実施形態では、加熱コイル336は、給気310に適用される加熱の量を変調す
るために独立して起動および解除を行うことができる(例えば、AHUコントローラ33
0によって、BMSコントローラ366によってなど)加熱コイルの複数の段を含む。
【0035】
バルブ346および352の各々は、アクチュエータによって制御することができる。
例えば、バルブ346は、アクチュエータ354によって制御することができ、バルブ3
52は、アクチュエータ356によって制御することができる。アクチュエータ354~
356は、通信リンク358~360を介してAHUコントローラ330と通信すること
ができる。アクチュエータ354~356は、AHUコントローラ330から制御信号を
受け取り、コントローラ330にフィードバック信号を提供することができる。いくつか
の実施形態では、AHUコントローラ330は、給気ダクト312(例えば、冷却コイル
334および/または加熱コイル336の下流)に配置された温度センサ362から給気
温度の測定値を受信する。また、AHUコントローラ330は、建物ゾーン306に配置
された温度センサ364から建物ゾーン306の温度の測定値を受信することもできる。
【0036】
いくつかの実施形態では、AHUコントローラ330は、給気310に提供される加熱
または冷却の量を変調するために(例えば、給気310のセットポイント温度を達成する
かまたは給気310の温度をセットポイント温度範囲内に維持するために)、アクチュエ
ータ354~356を介してバルブ346、352を操作する。バルブ346、352の
位置は、冷却コイル334または加熱コイル336によって給気310に提供される加熱
または冷却の量に影響を及ぼし、所望の給気温度を達成するために消費されるエネルギー
の量と相関し得る。AHU330は、コイル334~336を起動もしくは解除すること
によって、ファン338の速度を調整することによって、または、両方の組合せによって
、給気310および/または建物ゾーン306の温度を制御することができる。
【0037】
依然として
図3を参照すると、空気供給側システム300は、建物管理システム(BM
S)コントローラ366およびクライアントデバイス368を含むように示されている。
BMSコントローラ366は、空気供給側システム300、水供給側システム200、H
VACシステム100および/または建物10に資源供給する他の制御可能システム用の
システムレベルコントローラ、アプリケーションまたはデータサーバ、ヘッドノードある
いはマスタコントローラとして機能する1つまたは複数のコンピュータシステム(例えば
、サーバ、監視コントローラ、サブシステムコントローラなど)を含み得る。BMSコン
トローラ366は、同様のまたは異種のプロトコル(例えば、LON、BACnetなど
)に従って、通信リンク370を介して、複数の下流建物システムまたはサブシステム(
例えば、HVACシステム100、セキュリティシステム、照明システム、水供給側シス
テム200など)と通信することができる。様々な実施形態では、AHUコントローラ3
30およびBMSコントローラ366は、分離することも(
図3に示されるように)、統
合することもできる。統合された実装形態では、AHUコントローラ330は、BMSコ
ントローラ366のプロセッサによって実行するように構成されたソフトウェアモジュー
ルであり得る。
【0038】
いくつかの実施形態では、AHUコントローラ330は、BMSコントローラ366か
ら情報(例えば、コマンド、セットポイント、動作境界など)を受信し、BMSコントロ
ーラ366に情報(例えば、温度測定値、バルブまたはアクチュエータ位置、動作ステー
タス、診断など)を提供する。例えば、AHUコントローラ330は、温度センサ362
~364からの温度測定値、機器オン/オフ状態、機器動作能力、および/または、建物
ゾーン306内の可変状態もしくは条件のモニタおよび制御を行うためにBMSコントロ
ーラ366によって使用することができる他の任意の情報をBMSコントローラ366に
提供することができる。
【0039】
クライアントデバイス368は、HVACシステム100、そのサブシステムおよび/
またはデバイスを制御、閲覧または別の方法で相互作用するための1つまたは複数のヒュ
ーマンマシンインタフェースまたはクライアントインタフェース(例えば、グラフィカル
ユーザインタフェース、報告用のインタフェース、テキストベースのコンピュータインタ
フェース、顧客に直接対応するウェブサービス、ウェブクライアントにページを提供する
ウェブサーバなど)を含み得る。クライアントデバイス368は、コンピュータワークス
テーション、クライアント端末、リモートもしくはローカルインタフェース、または、他
の任意のタイプのユーザインタフェースデバイスであり得る。クライアントデバイス36
8は、据置型端末でも、モバイルデバイスでもよい。例えば、クライアントデバイス36
8は、デスクトップコンピュータ、ユーザインタフェースを有するコンピュータサーバ、
ラップトップコンピュータ、タブレット、スマートフォン、PDA、または、他の任意の
タイプのモバイルもしくは非モバイルデバイスであり得る。クライアントデバイス368
は、通信リンク372を介して、BMSコントローラ366および/またはAHUコント
ローラ330と通信することができる。
【0040】
建物管理システム
ここで
図4を参照すると、いくつかの実施形態による、建物管理システム(BMS)4
00のブロック図が示されている。BMS 400は、様々な建物機能の自動的なモニタ
および制御を行うために建物10において実装することができる。BMS 400は、B
MSコントローラ366および多数の建物サブシステム428を含むように示されている
。建物サブシステム428は、建物電気サブシステム434、情報通信技術(ICT)サ
ブシステム436、セキュリティサブシステム438、HVACサブシステム440、照
明サブシステム442、エレベータ/エスカレータサブシステム432および火災安全サ
ブシステム430を含むように示されている。様々な実施形態では、建物サブシステム4
28は、より少ない、追加のまたは代替のサブシステムを含み得る。例えば、建物サブシ
ステム428は、冷蔵サブシステム、広告もしくは看板サブシステム、調理サブシステム
、自動販売サブシステム、プリンタもしくはコピーサービスサブシステム、または、建物
10のモニタおよび制御を行うために制御可能な機器および/またはセンサを使用する他
の任意のタイプの建物サブシステムを同様に含むことも、それらを代替として含むことも
できる。いくつかの実施形態では、建物サブシステム428は、
図2~3を参照して説明
されるような、水供給側システム200および/または空気供給側システム300を含む
。
【0041】
建物サブシステム428の各々は、その個々の機能および制御活動を完了するためのい
かなる数のデバイス、コントローラおよび接続も含み得る。HVACサブシステム440
は、
図1~3を参照して説明されるような、HVACシステム100と同じコンポーネン
トの多くを含み得る。例えば、HVACサブシステム440は、冷凍機、ボイラ、任意の
数の空気処理ユニット、エコノマイザ、フィールドコントローラ、監視コントローラ、ア
クチュエータ、温度センサ、および、建物10内の温度、湿度、気流または他の可変条件
を制御するための他のデバイスを含み得る。照明サブシステム442は、任意の数の照明
器具、バラスト、照明センサ、調光器、または、建物空間に提供される光の量を制御可能
に調整するように構成された他のデバイスを含み得る。セキュリティサブシステム438
は、占有センサ、映像監視カメラ、デジタル映像レコーダ、映像処理サーバ、侵入検出デ
バイス、アクセス制御デバイスおよびサーバまたは他のセキュリティ関連デバイスを含み
得る。
【0042】
依然として
図4を参照すると、BMSコントローラ366は、通信インタフェース40
7およびBMSインタフェース409を含むように示されている。インタフェース407
は、BMSコントローラ366および/またはサブシステム428のユーザ制御、モニタ
リングおよび調整を可能にするために、BMSコントローラ366と外部のアプリケーシ
ョン(例えば、モニタリングおよび報告アプリケーション422、企業制御アプリケーシ
ョン426、リモートシステムおよびアプリケーション444、クライアントデバイス4
48上に存在するアプリケーションなど)との間の通信を容易にすることができる。また
、インタフェース407は、BMSコントローラ366とクライアントデバイス448と
の間の通信を容易にすることもできる。BMSインタフェース409は、BMSコントロ
ーラ366と建物サブシステム428(例えば、HVAC、照明セキュリティ、エレベー
タ、配電、ビジネスなど)との間の通信を容易にすることができる。
【0043】
インタフェース407、409は、建物サブシステム428または他の外部のシステム
もしくはデバイスとのデータ通信を実施するための有線または無線通信インタフェース(
例えば、ジャック、アンテナ、送信機、受信機、トランシーバ、ワイヤ端子など)である
ことも、それらを含むことも可能である。様々な実施形態では、インタフェース407、
409を介する通信は、直接的であることも(例えば、ローカル有線または無線通信)、
通信ネットワーク446を介することも(例えば、WAN、インターネット、セルラネッ
トワークなど)可能である。例えば、インタフェース407、409は、イーサネット(
登録商標)ベース通信リンクまたはネットワークを介してデータを送信および受信するた
めのイーサネットカードおよびポートを含み得る。別の例では、インタフェース407、
409は、無線通信ネットワークを介して通信するためのWi-Fiトランシーバを含み
得る。別の例では、インタフェース407、409の一方または両方は、セルラフォンま
たは携帯電話通信トランシーバを含み得る。一実施形態では、通信インタフェース407
は送電線通信インタフェースであり、BMSインタフェース409はイーサネットインタ
フェースである。他の実施形態では、通信インタフェース407およびBMSインタフェ
ース409は両方とも、別個のイーサネットインタフェースであるかまたは同じイーサネ
ットインタフェースである。
【0044】
依然として
図4を参照すると、BMSコントローラ366は、処理回路404を含むよ
うに示されており、処理回路404は、プロセッサ406およびメモリ408を含む。処
理回路404は、処理回路404およびその様々なコンポーネントがインタフェース40
7、409を介してデータの送信および受信を行えるように、BMSインタフェース40
9および/または通信インタフェース407に通信可能に接続することができる。プロセ
ッサ406は、汎用プロセッサ、特定用途向け集積回路(ASIC)、1つもしくは複数
のフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、処理コンポーネントのグループ
、または、他の適切な電子処理コンポーネントとして実装することができる。
【0045】
メモリ408(例えば、メモリ、メモリユニット、記憶装置など)は、本出願で説明さ
れる様々なプロセス、層およびモジュールを完了および/または促進するためのデータお
よび/またはコンピュータコードを格納するための1つまたは複数のデバイス(例えば、
RAM、ROM、フラッシュメモリ、ハードディスク記憶装置など)を含み得る。メモリ
408は、揮発性メモリまたは不揮発性メモリであることも、それらを含むことも可能で
ある。メモリ408は、データベース構成要素、オブジェクトコード構成要素、スクリプ
ト構成要素、または、他の任意のタイプの様々な活動をサポートするための情報構造およ
び本出願で説明される情報構造を含み得る。いくつかの実施形態によれば、メモリ408
は、処理回路404を介してプロセッサ406に通信可能に接続することができ、本明細
書で説明される1つまたは複数のプロセスを実行する(例えば、処理回路404および/
またはプロセッサ406によって)ためのコンピュータコードを含む。
【0046】
いくつかの実施形態では、BMSコントローラ366は、単一のコンピュータ(例えば
、1つのサーバ、1つのハウジングなど)内で実装される。様々な他の実施形態では、B
MSコントローラ366は、複数のサーバまたはコンピュータ(例えば、分散した場所に
存在することができる)にわたって分散させることができる。さらに、
図4はBMSコン
トローラ366の外部に存在するものとしてアプリケーション422、426を示してい
るが、いくつかの実施形態では、アプリケーション422、426は、BMSコントロー
ラ366内(例えば、メモリ408内)でホストすることができる。
【0047】
依然として
図4を参照すると、メモリ408は、企業統合層410、自動化測定および
検定(AM&V)層412、需要応答(DR)層414、欠陥検出および診断(FDD)
層416、統合制御層418および建物サブシステム統合層420を含むように示されて
いる。層410~420は、建物サブシステム428および他のデータ源から入力を受信
し、入力に基づいて建物サブシステム428の最適な制御動作を決定し、最適な制御動作
に基づいて制御信号を生成し、生成された制御信号を建物サブシステム428に提供する
ように構成することができる。以下の段落は、BMS 400の層410~420の各々
によって実行される一般機能のいくつかを説明する。
【0048】
企業統合層410は、様々な企業レベルのアプリケーションをサポートするために情報
およびサービスをクライアントまたはローカルアプリケーションに供給するように構成す
ることができる。例えば、企業制御アプリケーション426は、グラフィカルユーザイン
タフェース(GUI)または任意の数の企業レベルビジネスアプリケーション(例えば、
会計システム、ユーザ識別システムなど)にサブシステム全体に及ぶ制御を提供するよう
に構成することができる。企業制御アプリケーション426は、BMSコントローラ36
6を構成するための構成GUIを提供するように同様に構成することも、そのように代替
として構成することもできる。さらなる他の実施形態では、企業制御アプリケーション4
26は、インタフェース407および/またはBMSインタフェース409で受信された
入力に基づいて建物性能(例えば、効率、エネルギー使用、快適性または安全性)を最適
化するために、層410~420と連動することができる。
【0049】
建物サブシステム統合層420は、BMSコントローラ366と建物サブシステム42
8との間の通信を管理するように構成することができる。例えば、建物サブシステム統合
層420は、建物サブシステム428からセンサデータおよび入力信号を受信し、建物サ
ブシステム428に出力データおよび制御信号を提供することができる。また、建物サブ
システム統合層420は、建物サブシステム428間の通信を管理するように構成するこ
ともできる。建物サブシステム統合層420は、多数のマルチベンダ/マルチプロトコル
システムにわたって通信(例えば、センサデータ、入力信号、出力信号など)を翻訳する
。
【0050】
需要応答層414は、建物10の需要を満たすことに応答して、資源使用量(例えば、
電気使用、天然ガス使用、水使用など)および/またはそのような資源使用量の金銭的費
用を最適化するように構成することができる。最適化は、使用時間価格、削減信号、エネ
ルギー利用可能性、または、ユーティリティプロバイダ、分散型エネルギー生成システム
424、エネルギー貯蔵427(例えば、温熱TES 242、冷熱TES 244など
)もしくは他の供給源から受信された他のデータに基づき得る。需要応答層414は、B
MSコントローラ366の他の層(例えば、建物サブシステム統合層420、統合制御層
418など)から入力を受信することができる。他の層から受信される入力は、温度、二
酸化炭素レベル、相対湿度レベル、大気質センサ出力、占有センサ出力、部屋スケジュー
ルおよび同様のものなどの環境またはセンサ入力を含み得る。また、入力は、電気使用(
例えば、kWhで表現される)、熱負荷測定値、価格情報、予想価格、平準化価格、公益
事業からの削減信号および同様のものなどの入力も含み得る。
【0051】
いくつかの実施形態によれば、需要応答層414は、受信したデータおよび信号に応答
するための制御論理を含む。これらの応答は、統合制御層418の制御アルゴリズムと通
信すること、制御戦略を変更すること、セットポイントを変更すること、または、制御の
下で建物機器もしくはサブシステムを起動/解除することを含み得る。また、需要応答層
414は、貯蔵されたエネルギーをいつ利用するかを決定するように構成された制御論理
も含み得る。例えば、需要応答層414は、ピーク使用時間が始まる直前に、エネルギー
貯蔵427からのエネルギーの使用を開始すると決定することができる。
【0052】
いくつかの実施形態では、需要応答層414は、需要(例えば、価格、削減信号、需要
レベルなど)を表す1つまたは複数の入力に基づいてまたは同需要に基づいてエネルギー
費用を最小化する制御動作を能動的に開始する(例えば、自動的にセットポイントを変更
する)ように構成された制御モジュールを含む。いくつかの実施形態では、需要応答層4
14は、制御動作の最適なセットを決定するために、機器モデルを使用する。機器モデル
は、例えば、建物機器の様々なセットによって実行される入力、出力および/または機能
を説明する熱力学モデルを含み得る。機器モデルは、建物機器の集合体(例えば、サブプ
ラント、冷凍機アレイなど)または個々のデバイス(例えば、個々の冷凍機、加熱機、ポ
ンプなど)を表し得る。
【0053】
需要応答層414は、1つまたは複数の需要応答ポリシ定義(例えば、データベース、
XMLファイルなど)をさらに含むことも、それらを活用することも可能である。ポリシ
定義は、ユーザのアプリケーション、所望の快適レベル、特定の建物機器に合わせてまた
は他の関心事に基づいて、需要入力に応答して開始された制御動作を調整できるように、
ユーザによって(例えば、グラフィカルユーザインタフェースを介して)編集または調整
することができる。例えば、需要応答ポリシ定義は、特定の需要入力に応答してどの機器
をオンまたはオフにするか、システムまたは機器の部品をどのくらいの時間オフにするべ
きか、どのようなセットポイントを変更することができるか、許容セットポイント調整範
囲はどれほどか、通常のスケジューリングされたセットポイントに戻る前に高需要セット
ポイントをどのくらいの時間保持するか、能力限界にどれほど近づいているか、どの機器
モードを利用するか、エネルギー貯蔵デバイス(例えば、熱貯蔵タンク、バッテリバンク
など)へのおよびエネルギー貯蔵デバイスからのエネルギー伝達料金(例えば、最大料金
、警報料金、他の料金限界情報など)、現場生成されたエネルギーをいつ送り出すか(例
えば、燃料電池、電動発電機セットを介して)を指定することができる。
【0054】
統合制御層418は、制御決定を行うために建物サブシステム統合層420および/ま
たは需要応答層414のデータ入力または出力を使用するように構成することができる。
建物サブシステム統合層420によって提供されるサブシステム統合により、統合制御層
418は、サブシステム428が単一の統合上位体系として挙動するように、サブシステ
ム428の制御活動を統合することができる。いくつかの実施形態では、統合制御層41
8は、別個のサブシステムが単独で提供できる快適性およびエネルギー節約と比べて、よ
り優れた快適性およびエネルギー節約を提供するために、多数の建物サブシステムからの
入力および出力を使用する制御論理を含む。例えば、統合制御層418は、第2のサブシ
ステムに対するエネルギー節約制御決定を行うために、第1のサブシステムからの入力を
使用するように構成することができる。これらの決定の結果は、建物サブシステム統合層
420に送り返すことができる。
【0055】
統合制御層418は、論理的には、需要応答層414の下であるように示されている。
統合制御層418は、需要応答層414と協力して建物サブシステム428およびそれら
のそれぞれの制御ループの制御を可能にすることによって、需要応答層414の有効性を
強化するように構成することができる。この構成は、有利には、従来のシステムと比べて
、破壊的な需要応答挙動を低減することができる。例えば、統合制御層418は、冷却水
温度のセットポイントの需要応答駆動上方調整(または温度に直接もしくは間接的に影響
を及ぼす別の成分)が、冷凍機で保存されたものより多くの総建物エネルギー使用をもた
らすことになるファンエネルギー(または空間を冷却するために使用される他のエネルギ
ー)の増加をもたらさないことを保証するように構成することができる。
【0056】
統合制御層418は、需要負荷制限が進行中の間でさえも制約(例えば、温度、照明レ
ベルなど)が適切に維持されることを需要応答層414がチェックするように、需要応答
層414にフィードバックを提供するように構成することができる。また、制約は、安全
性、機器動作制限および性能、快適性、消防規則、電気工事規定、エネルギー規定および
同様のものに関連するセットポイントまたは検知境界も含み得る。また、統合制御層41
8は、論理的には、欠陥検出および診断層416および自動化測定および検定層412の
下でもある。統合制御層418は、複数の建物サブシステムからの出力に基づいて、これ
らのより高いレベルに計算済みの入力(例えば、集計)を提供するように構成することが
できる。
【0057】
自動化測定および検定(AM&V)層412は、統合制御層418または需要応答層4
14によって命令される制御戦略が正しく機能していることを検証するように構成するこ
とができる(例えば、AM&V層412、統合制御層418、建物サブシステム統合層4
20、FDD層416によって集計されたデータを使用してまたは別の方法で)。AM&
V層412によって行われる計算は、建物システムエネルギーモデルおよび/または個々
のBMSデバイスもしくはサブシステムに対する機器モデルに基づき得る。例えば、AM
&V層412は、モデルの精度を決定するために、モデル予測出力を建物サブシステム4
28からの実際の出力と比較することができる。
【0058】
欠陥検出および診断(FDD)層416は、建物サブシステム428、建物サブシステ
ムデバイス(すなわち、建物機器)、ならびに、需要応答層414および統合制御層41
8によって使用される制御アルゴリズムに対する進行中の欠陥検出を提供するように構成
することができる。FDD層416は、統合制御層418から、1つもしくは複数の建物
サブシステムもしくはデバイスから直接、または、別のデータ源から、データ入力を受信
することができる。FDD層416は、検出された欠陥を自動的に診断し、応答すること
ができる。検出または診断された欠陥への応答は、ユーザ、保守スケジューリングシステ
ム、または、欠陥の修理を試みるかもしくは欠陥に対処するように構成された制御アルゴ
リズムに警告メッセージを提供することを含み得る。
【0059】
FDD層416は、建物サブシステム統合層420で利用可能な詳細なサブシステム入
力を使用して、欠陥コンポーネントの具体的な識別または欠陥の原因(例えば、緩んだダ
ンパリンク機構)を出力するように構成することができる。他の例示的な実施形態では、
FDD層416は、統合制御層418に「欠陥」事象を提供するように構成され、統合制
御層418は、受信された欠陥事象に応答して、制御戦略およびポリシを実行する。いく
つかの実施形態によれば、FDD層416(または、統合制御エンジンまたはビジネスル
ールエンジンによって実行されるポリシ)は、エネルギー浪費を低減するため、機器の寿
命を延ばすためまたは正しい制御応答を保証するために、欠陥デバイスまたはシステムの
周りのシステムまたは直接制御活動を停止することができる。
【0060】
FDD層416は、様々な異なるシステムデータストア(またはライブデータ用のデー
タポイント)に格納するかまたはアクセスするように構成することができる。FDD層4
16は、データストアの何らかのコンテンツを使用して、機器レベル(例えば、特定の冷
凍機、特定のAHU、特定の端末ユニットなど)で欠陥を識別することができ、他のコン
テンツを使用して、コンポーネントまたはサブシステムレベルで欠陥を識別することがで
きる。例えば、建物サブシステム428は、BMS 400およびその様々なコンポーネ
ントの性能を示す時間的な(すなわち、時系列)データを生成することができる。建物サ
ブシステム428によって生成されるデータは、統計特性を呈する測定済みのまたは計算
済みの値を含み得、対応するシステムまたはプロセス(例えば、温度制御プロセス、フロ
ー制御プロセスなど)がそのセットポイントからの誤差の観点からどのように機能してい
るかについての情報を提供することができる。これらのプロセスは、システムの性能がい
つ劣化し始めるかを暴露し、その劣化がより深刻になる前に欠陥を修理するようにユーザ
に警告するために、FDD層416によって検査することができる。
【0061】
ここで
図5を参照すると、いくつかの実施形態による、別の建物管理システム(BMS
)500のブロック図が示されている。BMS 500は、HVACシステム100、水
供給側システム200、空気供給側システム300、建物サブシステム428のデバイス
、ならびに、他のタイプのBMSデバイス(例えば、照明機器、セキュリティ機器など)
および/またはHVAC機器のモニタおよび制御を行うために使用することができる。
【0062】
BMS 500は、自動機器発見および機器モデル分散を促進するシステムアーキテク
チャを提供する。機器発見は、複数の異なる通信バス(例えば、システムバス554、ゾ
ーンバス556~560、564、センサ/アクチュエータバス566など)にわたって
および複数の異なる通信プロトコルにわたってBMS 500の複数のレベルで起こり得
る。いくつかの実施形態では、機器発見は、各通信バスに接続されたデバイスのステータ
ス情報を提供するアクティブノードテーブルを使用して遂行される。例えば、各通信バス
は、新しいノードに対して対応するアクティブノードテーブルをモニタすることによって
、新しいデバイスに対するモニタを行うことができる。新しいデバイスが検出されると、
BMS 500は、ユーザが対話することなく、新しいデバイスとの相互作用を開始する
ことができる(例えば、制御信号を送信する、デバイスからのデータを使用する)。
【0063】
BMS 500のいくつかのデバイスは、機器モデルを使用して、それら自体をネット
ワークに提示する。機器モデルは、他のシステムとの統合のために使用される機器オブジ
ェクト属性、ビュー定義、スケジュール、傾向および関連BACnet値オブジェクト(
例えば、アナログ値、2進値、多状態値など)を定義する。BMS 500のいくつかの
デバイスは、それら自体の機器モデルを格納する。BMS 500の他のデバイスは、外
部(例えば、他のデバイス内)に格納された機器モデルを有する。例えば、ゾーンコーデ
ィネータ508は、バイパスダンパ528の機器モデルを格納することができる。いくつ
かの実施形態では、ゾーンコーディネータ508は、バイパスダンパ528またはゾーン
バス558の他のデバイスの機器モデルを自動的に作成する。また、他のゾーンコーディ
ネータも、それらのゾーンバスに接続されたデバイスの機器モデルを作成することができ
る。デバイスの機器モデルは、ゾーンバスのデバイスによって暴露されたデータポイント
のタイプ、デバイスタイプおよび/または他のデバイス属性に基づいて自動的に作成する
ことができる。自動機器発見および機器モデル分散のいくつかの例は、以下でさらに詳細
に論じる。
【0064】
依然として
図5を参照すると、BMS 500は、システムマネージャ502、いくつ
かのゾーンコーディネータ506、508、510、518およびいくつかのゾーンコン
トローラ524、530、532、536、548、550を含むように示されている。
システムマネージャ502は、BMS500内のデータ点を監視し、そして監視された変
数を様々な監視および/または制御アプリケーションへ報告し得る。システムマネージャ
502は、データ通信リンク574(例えば、BACnet IP、イーサネット、有線
または無線通信など)を介しクライアントデバイス504(例えば、ユーザデバイス、デ
スクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ、モバイルデバイスなど)と通信し
得る。システムマネージャ502は、データ通信リンク574を介してクライアントデバ
イス504にユーザインタフェースを提供することができる。ユーザインタフェースは、
ユーザがクライアントデバイス504を介してBMS 500のモニタおよび/または制
御を行えるようにする。
【0065】
いくつかの実施形態では、システムマネージャ502は、システムバス554を介して
ゾーンコーディネータ506~510、518と接続される。システムマネージャ502
は、マスタスレーブトークンパッシング(MSTP)プロトコルまたは他の任意の通信プ
ロトコルを使用して、システムバス554を介してゾーンコーディネータ506~510
、518と通信するように構成することができる。また、システムバス554は、システ
ムマネージャ502を、定容(CV)屋上ユニット(RTU)512、入力/出力モジュ
ール(IOM)514、サーモスタットコントローラ516(例えば、TEC5000シ
リーズサーモスタットコントローラ)、および、ネットワークオートメーションエンジン
(NAE)または第三者コントローラ520などの他のデバイスと接続することもできる
。RTU 512は、システムマネージャ502と直接通信するように構成することがで
き、システムバス554に直接接続することができる。他のRTUは、中間デバイスを介
してシステムマネージャ502と通信することができる。例えば、有線入力562は、第
三者RTU 542をサーモスタットコントローラ516に接続することができ、サーモ
スタットコントローラ516は、システムバス554に接続される。
【0066】
システムマネージャ502は、機器モデルを含むいかなるデバイスに対するユーザイン
タフェースも提供することができる。ゾーンコーディネータ506~510、518およ
びサーモスタットコントローラ516などのデバイスは、システムバス554を介してシ
ステムマネージャ502にそれらの機器モデルを提供することができる。いくつかの実施
形態では、システムマネージャ502は、機器モデルを含まない接続バイス(例えば、I
OM 514、第三者コントローラ520など)の機器モデルを自動的に作成する。例え
ば、システムマネージャ502は、デバイス木要求に応答するいかなるデバイスの機器モ
デルも作成することができる。システムマネージャ502によって作成された機器モデル
は、システムマネージャ502内に格納することができる。次いで、システムマネージャ
502は、システムマネージャ502によって作成された機器モデルを使用して、それら
自体の機器モデルを含まないデバイスに対するユーザインタフェースを提供することがで
きる。いくつかの実施形態では、システムマネージャ502は、システムバス554を介
して接続された機器の各タイプのビュー定義を格納し、格納されたビュー定義を使用して
機器に対するユーザインタフェースを生成する。
【0067】
各ゾーンコーディネータ506~510、518は、ゾーンバス556、558、56
0、564を介してゾーンコントローラ524、530~532、536、548~55
0のうちの1つまたは複数と接続することができる。ゾーンコーディネータ506~51
0、518は、MSTPプロトコルまたは他の任意の通信プロトコルを使用してゾーンバ
ス556~560、564を介してゾーンコントローラ524、530~532、536
、548~550と通信することができる。また、ゾーンバス556~560、564は
、ゾーンコーディネータ506~510、518を、可変空気量(VAV)RTU 52
2、540、切替バイパス(COBP)RTU 526、552、バイパスダンパ528
、546およびPEAKコントローラ534、544などの他のタイプのデバイスと接続
することもできる。
【0068】
ゾーンコーディネータ506~510、518は、様々なゾーニングシステムに対する
モニタおよび命令を行うように構成することができる。いくつかの実施形態では、各ゾー
ンコーディネータ506~510、518は、別個のゾーニングシステムに対するモニタ
および命令を行い、別個のゾーンバスを介してゾーニングシステムに接続される。例えば
、ゾーンコーディネータ506は、ゾーンバス556を介してVAV RTU 522お
よびゾーンコントローラ524に接続することができる。ゾーンコーディネータ508は
、ゾーンバス558を介してCOBP RTU 526、バイパスダンパ528、COB
Pゾーンコントローラ530およびVAVゾーンコントローラ532に接続することがで
きる。ゾーンコーディネータ510は、ゾーンバス560を介してPEAKコントローラ
534およびVAVゾーンコントローラ536に接続することができる。ゾーンコーディ
ネータ518は、ゾーンバス564を介してPEAKコントローラ544、バイパスダン
パ546、COBPゾーンコントローラ548およびVAVゾーンコントローラ550に
接続することができる。
【0069】
ゾーンコーディネータ506~510、518の単一のモデルは、複数の異なるタイプ
のゾーニングシステム(例えば、VAVゾーニングシステム、COBPゾーニングシステ
ムなど)を処理するように構成することができる。各ゾーニングシステムは、RTU、1
つもしくは複数のゾーンコントローラおよび/またはバイパスダンパを含み得る。例えば
、ゾーンコーディネータ506、510は、VAV RTU 522、540にそれぞれ
接続されたVerasys VAVエンジン(VVE)として示されている。ゾーンコー
ディネータ506は、ゾーンバス556を介してVAV RTU 522に直接接続され
るのに対して、ゾーンコーディネータ510は、PEAKコントローラ534に提供され
た有線入力568を介して第三者VAV RTU 540に接続される。ゾーンコーディ
ネータ508、518は、COBP RTU 526、552にそれぞれ接続されたVe
rasys COBPエンジン(VCE)として示されている。ゾーンコーディネータ5
08は、ゾーンバス558を介してCOBP RTU 526に直接接続されるのに対し
て、ゾーンコーディネータ518は、PEAKコントローラ544に提供された有線入力
570を介して第三者COBP RTU 552に接続される。
【0070】
ゾーンコントローラ524、530~532、536、548~550は、センサ/ア
クチュエータ(SA)バスを介して個々のBMSデバイス(例えば、センサ、アクチュエ
ータなど)と通信することができる。例えば、VAVゾーンコントローラ536は、SA
バス566を介してネットワーク接続センサ538に接続されるように示されている。ゾ
ーンコントローラ536は、MSTPプロトコルまたは他の任意の通信プロトコルを使用
してネットワーク接続センサ538と通信することができる。
図5では1つのSAバス5
66しか示されていないが、各ゾーンコントローラ524、530~532、536、5
48~550は異なるSAバスに接続できることを理解すべきである。各SAバスは、ゾ
ーンコントローラを、様々なセンサ(例えば、温度センサ、湿度センサ、圧力センサ、光
センサ、占有センサなど)、アクチュエータ(例えば、ダンパアクチュエータ、バルブア
クチュエータなど)および/または他のタイプの制御可能な機器(例えば、冷凍機、加熱
機、ファン、ポンプなど)と接続することができる。
【0071】
各ゾーンコントローラ524、530~532、536、548~550は、異なる建
物ゾーンのモニタおよび制御を行うように構成することができる。ゾーンコントローラ5
24、530~532、536、548~550は、それらのSAバスを介して提供され
た入力および出力を使用して、様々な建物ゾーンのモニタおよび制御を行うことができる
。例えば、ゾーンコントローラ536は、温度制御アルゴリズムにおけるフィードバック
として、SAバス566を介してネットワーク接続センサ538から受信された温度入力
(例えば、建物ゾーンの測定温度)を使用することができる。ゾーンコントローラ524
、530~532、536、548~550は、様々なタイプの制御アルゴリズム(例え
ば、状態ベースアルゴリズム、極値探索制御(ESC)アルゴリズム、比例・積分(PI
)制御アルゴリズム、比例・積分・微分(PID)制御アルゴリズム、モデル予測制御(
MPC)アルゴリズム、フィードバック制御アルゴリズムなど)を使用して、建物10内
または建物10の周りの可変状態または条件(例えば、温度、湿度、気流、照明など)を
制御することができる。
【0072】
可変冷媒流量システム
次に
図6~7参照すると、いくつかの実施形態による可変冷媒流量(VRF)システム
2100が示される。VRFシステム2100は1つまたは複数の室外VRFユニット2
102と複数の室内VRFユニット2104とを含むように示される。室外VRFユニッ
ト2102は、建物の外に位置し得、冷媒を加熱または冷却するように動作し得る。室外
VRFユニット2102は、液相、気相、および/または加熱気相(super-hea
ted gas phase)間で冷媒を変換するために電気を消費し得る。室内VRF
ユニット2104は建物内の様々な建物ゾーンにわたって分散され得、加熱または冷却さ
れた冷媒を室外VRFユニット2102から受け取り得る。各室内VRFユニット210
4は、室内VRFユニット2104が位置する特定建物ゾーンの温度制御を提供し得る。
用語「室内」は、室内VRFユニット2104が通常は建物の内部に位置するということ
を表すために使用されるが、いくつかのケースでは1つまたは複数の室内VRFユニット
が例えばパティオ、入口通路、歩道などを加熱/冷却するために「室外」(すなわち建物
の外部に)位置する。
【0073】
VRFシステム2100の1つの利点は、他の室内VRFユニット2104が加熱モー
ドで動作する一方でいくつかの室内VRFユニット2104は冷却モードで動作し得ると
いうことである。例えば、室外VRFユニット2102および室内VRFユニット210
4のそれぞれは加熱モード、冷却モード、またはオフモードで動作し得る。各建物ゾーン
は独立に制御され得、様々な温度設定点を有し得る。いくつかの実施形態では、各建物は
、建物外(例えば屋上)に位置する最大3つの室外VRFユニット2102と、建物全体
にわたって(例えば様々な建物ゾーン内に)分散される最大128個の室内VRFユニッ
ト2104とを有する。建物ゾーンは、他の可能性の中でも、アパートユニット、オフィ
ス、小売りスペース、および共用領域を含み得る。いくつかのケースでは、様々な建物ゾ
ーンは、多様なテナントにより所有される、リースされる、またはそうでなければ占有さ
れ、すべてVRFシステム2100によりサービスされる。
【0074】
多くの様々な構成がVRFシステム2100には存在する。いくつかの実施形態では、
VRFシステム2100は、各室外VRFユニット2102が単一冷媒戻りラインと単一
冷媒出口ラインとへ接続する二重配管システムである。二重配管システムでは、室外VR
Fユニット2102のすべては、加熱された冷媒または冷却された冷媒のうちの一方だけ
が単一冷媒出口ラインを介し供給され得るので、同じモードで動作し得る。他の実施形態
では、VRFシステム2100は、各室外VRFユニット2102が冷媒戻りライン、温
熱冷媒出口ライン、および冷熱冷媒出口ラインへ接続する三重配管システムである。三重
配管システムでは、加熱と冷却の両方がデュアル冷媒出口ラインを介し同時に提供される
。三重配管VRFシステムの例が
図8を参照し詳細に説明される。
【0075】
次に
図8を参照すると、いくつかの実施形態によるVRFシステム2200を示すブロ
ック図が示される。VRFシステム2200は、室外VRFユニット202、いくつかの
熱回収ユニット2206、およびいくつかの室内VRFユニット2204を含むように示
される。室外VRFユニット202は、コンプレッサ2208、ファン2210、または
液相、気相、および/または加熱気相間で冷媒を変換するように構成された他の電力消費
冷却部品を含み得る。室内VRFユニット2204は建物内の様々な建物ゾーンにわたっ
て分散され得、加熱または冷却された冷媒を室外VRFユニット202から受け取り得る
。各室内VRFユニット2204は、室内VRFユニット2204が位置する特定建物ゾ
ーンの温度制御を提供し得る。熱回収ユニット2206は、室外VRFユニット202と
室内VRFユニット2204との間の冷媒の流れを(例えばバルブを開閉することにより
)制御し得、室外VRFユニット202によりサービスされる加熱または冷却負荷を最小
化し得る。
【0076】
室外VRFユニット202はコンプレッサ2208および熱交換器2212を含むよう
に示される。コンプレッサ2208は冷媒を熱交換器2212と室内VRFユニット22
04との間で循環する。コンプレッサ2208は室外ユニット制御回路214により制御
される可変周波数で動作する。高周波では、コンプレッサ2208はより大きな伝熱容量
を室内VRFユニット2204に与える。コンプレッサ2208の消費電力はコンプレッ
サ周波数に比例して増加する。
【0077】
熱交換器2212は、VRFシステム2200が冷却モードで動作するときは凝縮器(
冷媒が熱を外気へ廃棄し得るようにする)として、またはVRFシステム2200が加熱
モードで動作するときには蒸発器(冷媒が外気から熱を吸収し得るようにする)として機
能し得る。ファン2210は熱交換器2212を介し気流を供給する。ファン2210の
速度は熱交換器2212内の冷媒へのまたはそれからの伝熱速度を変調するように調整さ
れ得る(例えば室外ユニット制御回路214により)。
【0078】
各室内VRFユニット2204は熱交換器2216および膨張バルブ2218を含むよ
うに示される。熱交換器2216のそれぞれは、室内VRFユニット2204が加熱モー
ドで動作するときは凝縮器(冷媒が熱を部屋またはゾーン内の大気へ廃棄し得るようにす
る)として、または室内VRFユニット2204が冷却モードで動作するときには蒸発器
(冷媒が部屋またはゾーン内の大気から熱を吸収し得るようにする)として機能し得る。
ファン2220は熱交換器2216を介し気流を供給する。ファン2220の速度は熱交
換器2216内の冷媒へのまたはそれからの伝熱速度を変調するように調整され得る(例
えば室内ユニット制御回路2222により)。
【0079】
図8では、室内VRFユニット2204は冷却モードで動作するように示される。冷却
モードでは、冷媒は冷却ライン2224を介し室内VRFユニット2204へ供給される
。冷媒は、膨張バルブ2218により冷たい低圧状態へ膨張され、そして建物内の部屋ま
たはゾーンから熱を吸収するために熱交換器2216(蒸発器として機能する)を貫流す
る。次に、加熱された冷媒は戻りライン2226を介し室外VRFユニット202へ逆流
し、コンプレッサ2208により熱い高圧状態に圧縮される。圧縮された冷媒は、熱交換
器2212(凝縮器として機能する)を貫流し、熱を外気へ廃棄する。冷却された冷媒は
冷却ライン2224を介し室内VRFユニット2204へ供給され得る。冷却モードでは
、流量調節バルブ2228が閉じられ得、膨張バルブ230は完全に開放され得る。
【0080】
加熱モードでは、冷媒は加熱ライン2232を介し熱い状態の室内VRFユニット22
04へ供給される。温熱冷媒は、熱交換器2216(凝縮器として機能する)を貫流し、
熱を建物の部屋またはゾーン内の大気へ廃棄する。次に、冷媒は、冷却ライン2224を
介し室外VRFユニット(
図8に示す流れ方向とは反対方向)へ逆流する。冷媒は膨張バ
ルブ230により冷たい低圧状態へ膨張され得る。膨張された冷媒は熱交換器2212(
蒸発器として機能する)を貫流し、外気から熱を吸収する。加熱された冷媒は、コンプレ
ッサ2208により圧縮され、熱い圧縮状態の加熱ライン2302を介し室内VRFユニ
ット2204へ供給され得る。加熱モードでは、流量調節バルブ2228は、コンプレッ
サ2208からの冷媒が加熱ライン2302に流入し得るように完全に開放され得る。
【0081】
図8に示すように、各室内VRFユニット2204は室内ユニット制御回路2222を
含む。室内ユニット制御回路2222は、建物ゾーン温度設定点に応答して、または建物
ゾーンへ加熱/冷却を提供する他の要求に応答して、ファン2220および膨張バルブ2
218を含む室内VRFユニット2204の部品の動作を制御する。例えば、室内ユニッ
ト制御回路2222はファン2220をオン/オフする信号を生成し得る。室内ユニット
制御回路2222はまた、室内VRFユニット2204により必要とされる伝熱容量とこ
の容量に対応するコンプレッサ2208の周波数とを決定する。室内VRFユニット22
04がある容量の加熱または冷却を提供しなければならないということを室内ユニット制
御回路2222が決定すると、室内ユニット制御回路2222は、必要とされる容量に対
応するコンプレッサ周波数を含むコンプレッサ周波数要求を生成し、これを室外ユニット
制御回路214へ送信する。
【0082】
室外ユニット制御回路214は、1つまたは複数の室内ユニット制御回路2222から
コンプレッサ周波数要求を受信し、次に例えばこれらのコンプレッサ周波数要求を合計す
ることによりコンプレッサ全周波数に集約する。いくつかの実施形態では、コンプレッサ
周波数は上限を有し、コンプレッサ全周波数が上限を越えることができないようにする。
室外ユニット制御回路214は、例えばコンプレッサのDCインバータコンプレッサモー
タに与えられる入力周波数としてコンプレッサ全周波数をコンプレッサへ提供する。した
がって、室内ユニット制御回路2222および室外ユニット制御回路214は共同して、
加熱/冷却要求に整合するようにコンプレッサ周波数を変調する。室外ユニット制御回路
214はまた、流量調節バルブ2228および膨張バルブ230のバルブ位置、コンプレ
ッサ電力設定点、冷媒流量設定点、冷媒圧力設定点(例えば圧力センサ2306により測
定される圧力の差圧設定点)、オン/オフ命令、ステージング命令を制御する信号、また
はコンプレッサ2208の動作に影響を与える他の信号、およびファン速度設定点、ファ
ン電力設定点、気流設定点、オン/オフ命令、またはファン2210の動作に影響を与え
る他の信号を含むファン2210へ提供される制御信号を生成し得る。
【0083】
室内ユニット制御回路2222および室外ユニット制御回路214は、制御回路221
4、2222により生成されるまたはそれへ提供される1つまたは複数の制御信号のデー
タ履歴を格納および/または提供し得る。例えば、室内ユニット制御回路2222は、生
成されたコンプレッサ要求周波数、ファンオン/オフ時間および室内VRFユニット22
04オン/オフ時間のログを格納および/または提供し得る。室外ユニット制御回路21
4は、コンプレッサ要求周波数および/またはコンプレッサ全周波数およびコンプレッサ
実行時間のログを格納および/または提供し得る。
【0084】
VRFシステム2200は、室外メータ2252および室内のメータ2254を介しエ
ネルギーグリッド2250により供給される電力で動作するものとして示される。様々な
実施形態によると、エネルギーグリッド2250は、電力の任意の供給源(例えば公益事
業会社により維持され、1つまたは複数の電力プラントにより電力が供給される電気グリ
ッド)である。室外メータ2252は、室外VRFユニット202の時間の経過に伴う消
費電力を例えばキロワット時(kWh)で測定する。室内メータ2254は室内VRFユ
ニット2204の時間の経過に伴う消費電力を例えばkWhで測定する。VRFシステム
2200は、電力を供給する公益事業会社により課金されるエネルギー消費費用を室外メ
ータ2252および/または室内メータ2254の測定消費電力に基づき発生する。電力
の価格(例えばkWh当たりドル)は時間の経過に伴って変動し得る。
【0085】
VRFシステム2200はまた、システムマネージャ502を含む。
図12~13を参
照して以下に詳細に説明されるように、システムマネージャ502は居住者快適性も維持
しながらVRFシステム2200のエネルギー消費費用を最小化するように構成される。
【0086】
窓空調機
次に
図9を参照すると、例示的実施形態による窓空調機2300が示される。窓空調機
2300は、建物の外壁2302に跨るように建物の窓に取り付けられるように構成され
る。したがって、窓空調機2300は、室内(すなわち建物内)と室外(すなわち建物外
)との両方へ気流を供給および/またはそれらから空気を受け取り得る。窓空調機230
0は時に、当該技術分野では室空調機とも呼ばれる。
【0087】
窓空調機2300は、熱を室内空気から外気へ転送するヒートポンプとして働く。
図9
に示すように、窓空調機2300は室内空気を取り入れ、冷却された空気を部室内へ出力
する。窓空調機2300はまた、外気を取り入れ、排気を建物の外に出力する。窓空調機
2300は、コンプレッサ、復水器、蒸発器、および外壁2302を横断する(すなわち
室内から室外への)熱の転送を容易にする1つまたは複数のファンを含み得る。したがっ
て、窓空調機2300は室内空気の温度を温度設定点に向かって低下させるように構成さ
れる。
【0088】
窓空調機2300は、熱を外壁2302を横断して転送するように操作する際にエネル
ギーグリッド2250から電力を消費する。窓空調機2300は、例えば温度設定点に基
づき様々なレベルの冷却を建物へ提供するために様々な電力で動作するように制御可能か
もしれない。窓空調機2300はまた、必要に応じオン/オフされ得る。したがって、窓
空調機2300は、より多くの冷却を提供する際により多くの電力を、より少ない冷却を
提供する際により少ない電力を消費する。
【0089】
システムマネージャ502は、窓空調機2300の制御信号を提供するとともに窓空調
機2300からデータを受信するために窓空調機2300へ通信可能に結合される。例え
ば、システムマネージャ502は温度設定点を窓空調機2300へ提供し得る。システム
マネージャ502は
図12~13を参照して詳細に説明される。いくつかの実施形態では
、システムマネージャ502は窓空調機2300に一体化される。いくつかの実施形態で
は、システムマネージャ502は複数の窓空調機2300を遠隔的に(例えばクラウドサ
ーバ上で)操作および/またはサービスする。
【0090】
室空調システム
次に
図10を参照すると、例示的実施形態による室空調システム2400が示される。
室空調システム2400は建物の部屋の冷却を提供する。室空調システム2400は室外
ユニット2402および室内ユニット2404を含む。室外ユニット2402は、室内ユ
ニット2404が建物の外壁2302により室外ユニット2402から分離されるように
、建物の外に位置し、一方室内ユニット2404は建物の内部に位置する。室内ユニット
2404は外壁2302の室内面上に取り付けられ得る。室内ユニット2404および室
外ユニット2402は制御信号およびデータを交換するようへ通信可能に結合される。室
内ユニット2404はまた、室外ユニット2402を介し電力を受け取り得、その逆も正
しい。
【0091】
室外ユニット2402は冷媒を冷却するためにエネルギーグリッド2250から電力を
消費する。次に、冷媒は、室外ユニット2402から室内ユニット2404へ外壁406
を貫通するパイプ2408を通して送られる。ファン2410は、熱を部屋から冷媒へ転
送するために空気を部屋からパイプ2408全体にわたって吹き付ける。次に、冷媒は、
室外ユニット2402へ逆流し、ここで再冷却され室内ユニット2404へ循環して戻る
。したがって、室空調システム2400は、熱を室内から室外へ外壁2302全体にわた
って転送するように操作する。
【0092】
室外ユニット2402および室内ユニット2404は部屋の温度設定点を追跡するよう
に制御され得る。例えば、室外ユニット2402は、冷媒流の可変速度および/または様
々な冷媒温度を室内ユニット2404へ提供するために様々な電力で動作するように制御
され得る。ファン2410は様々な速度で動作するように制御され得る。室空調システム
2400はまた、必要に応じオン/オフするように制御可能である。したがって、室空調
システム2400は、より多くの冷却を部屋へ提供する際により多くの電力をエネルギー
グリッド2250から消費する。
【0093】
システムマネージャ502は、室空調機システム2400の制御信号を提供するととも
にデータを室空調機システム2400から受信するために室外ユニット2402および/
または室内ユニット2404へ通信可能に結合される。例えば、システムマネージャ50
2は温度設定点を室空調機システム2400へ提供し得る。システムマネージャ502は
図12~13を参照して詳細に説明される。いくつかの実施形態では、システムマネージ
ャ502は室外ユニット2402および/または室内ユニット2404に一体化される。
いくつかの実施形態では、システムマネージャ502は複数の室空調機システム2400
を遠隔的に(例えばクラウドサーバ上で)操作および/またはサービスする。
【0094】
パッケージ化空調機
次に
図11を参照すると、例示的実施形態によるパッケージ化空調機システム2500
が示される。パッケージ化空調機システム2500は、パッケージ化空調機2504、吸
気ベント2506、および冷気ダクト2508を含む。パッケージ化空調機2504は室
外に位置し、一方、吸気ベント2506および冷気ダクト2508は、空気がパッケージ
化空調機2504と建物の内部との間に流れ得るようにするために、パッケージ化空調機
2504から建物の外壁2302を貫通する。
【0095】
パッケージ化空調機システム2500は、吸気ベント2506を介し建物の内部から室
内空気を吸い込むためにエネルギーグリッド2250から電力を消費し、空気を冷却する
ために室内空気から熱を除去し、冷気を冷気ダクト2508へ供給する。パッケージ化空
調機システム2500は熱を外気へ追い出す。冷気ダクト2508は、建物の室内気温を
下げるために、冷気が外壁2302を横断して流れ、建物の空気内に流れることを可能に
する。
【0096】
パッケージ化空調機2504は建物の温度設定点を追跡するように制御され得る。例え
ば、パッケージ化空調機2504は、様々な温度の冷気および/または様々な流速の冷気
を冷気ダクト2508へ供給するために様々な電力で動作し得る。パッケージ化空調機2
504は、より高い比率の電力消費量で動作することによりおよび/またはより多くの時
間の間動作することにより多くの冷却を部屋へ提供する際に、エネルギーグリッド225
0からより多くの電力を消費する。
【0097】
システムマネージャ502は、室空調機システム2400の制御信号を提供するととも
にパッケージ化空調機2504からデータを受信するためにパッケージ化空調機2504
へ通信可能に結合される。例えば、システムマネージャ502は温度設定点をパッケージ
化空調機2504へ提供し得る。システムマネージャ502は
図12~13を参照して詳
細に説明される。いくつかの実施形態では、システムマネージャ502はパッケージ化空
調機2504に一体化される。いくつかの実施形態では、パッケージ化空調機2504は
複数の室空調機システム2400を遠隔的に(例えばクラウドサーバ上で)操作および/
またはサービスする。
【0098】
ニューラルネットワークを備えたシステムマネージャ
次に
図12を参照すると、例示的実施形態によるシステムマネージャ502のブロック
図が示される。
図12は、機器600およびセンサ602へ通信可能に結合されたシステ
ムマネージャ502を示す。様々な実施形態によると、機器600は、
図1~5に示す様
々なHVAC機器(例えばHVACシステム100、水供給側システム200、空気供給
側システム300およびその部品)、
図6~7のVRFシステム2100、
図8のVRF
システム2200、
図9の窓空調機2300、
図10の室空調システム400、および/
または
図11のパッケージ化空調機システム2500含む。いくつかの実施形態では、機
器600は複数の窓空調機2300、室空調システム2400、および/またはパッケー
ジ化空調機システム2500を含む。例えば、機器600は室、建物、またはキャンパス
の1つまたは複数の可変状態または条件(建物内部の気温)に影響を与えるように動作可
能である。機器600が複数の機器を含む場合、複数の機器の1つまたは複数は所定時刻
にオフラインになり得る。機器600は、オフラインまたはオンラインステータスをシス
テムマネージャ502へ提供するように構成され得る。
【0099】
センサ602は、機器600およびシステムマネージャ502の動作を手助けする測定
結果を提供する。センサ602は、温度センサ、湿度センサ、気流速度センサ、占有カウ
ンタなどを含み得る。センサ602は、建物の室内気温、建物の外部の外気温、建物の内
部の湿度、建物の外部の湿度、建物内の人の数などを測定し得る。センサ602は、この
測定データを収集し、これをシステムマネージャ502へ提供する。センサ602はまた
、測定データを機器600へ提供し得る。
【0100】
システムマネージャ502はディスパッチ生成回路604を含むように示される。ディ
スパッチ生成回路604は、センサ602からリアルタイム測定結果をそして機器600
から機器ステータス情報を受信し、そして、機器600の経済的ディスパッチを生成する
ためにこれらの測定結果およびステータスデータを処理する。本明細書で使用されるよう
に、経済的ディスパッチ(制御ディスパッチ)は、機器600の制御入力(例えば温度設
定点、スケジュール、湿度設定点、気流設定点、電力レベル、オン/オフセッティング、
ダンパ位置、ファン速度、コンプレッサ周波数、資源消費割り振り)の任意の集合、組、
またはグループを指す。
【0101】
ディスパッチ生成回路604は、測定結果および機器ステータス情報と、居住者快適性
を達成する一方で公益価格を最小化する経済的ディスパッチとを関連付けるためにニュー
ラルネットワークを使用する。ニューラルネットワークでは、人工ニューロンのネットワ
ークが隣接ニューロンへ信号を送信することを許容される。人工ニューロンが信号を受信
すると、ニューロンはこの信号を処理し、次に、出力を様々な隣接ニューロンへ伝達する
。ニューロンの出力はその入力の合計に応じて計算され得る。特定ニューロン間で送信さ
れる信号の強度はニューラルネットワークの一組の学習された重み付けにより影響を与え
られ得る。ニューロン同士は結合して、入力データを出力信号へ変換するためにトレーニ
ングされ得るニューラルネットワークを形成する。いくつかの実施形態では、ニューラル
ネットワークは、効率を改善するために層およびプール化を使用する畳み込みニューラル
ネットワークである。
図13を参照して以下に詳述されるように、学習された重み付けは
オフライントレーニングシステムによりディスパッチ生成回路604へ提供され得る。
【0102】
ディスパッチ生成回路604により操作されるニューラルネットワークは、測定結果お
よびステータスに基づき経済的ディスパッチを生成する伝統的手法より実質的に効率的で
あり、より少ない計算資源を必要とし得る。したがって、ディスパッチ生成回路604は
、システムマネージャ502が例えばHVACシステム100、水供給側システム200
、空気供給側システム300、VRFシステム2100、VRFシステム2200、窓空
調機2300、室空調システム、および/またはパッケージ化空調機システム2500と
共に、利用可能計算資源を所与として、洗練されたディスパッチがリアルタイムオンライ
ン制御には以前複雑過ぎた場所に配備されることを可能にし得る。
【0103】
決定論的規則がユーザにより規定される従来の計算プログラムとは対照的に、ニューラ
ルネットワークは通常、入力データと出力信号との間の望ましい関連付けをするために「
トレーニング」される。ニューラルネットワークをトレーニングすることは、ニューラル
ネットワークに入力と出力との間の望ましい関連付けをさせる一組の学習された重み付け
を学習する際にニューラルネットワークを手助けすることを含む。ニューラルネットワー
クは通常、ニューラルネットワークがモデル化しようとするシステムの入力および出力の
現実世界トレーニングデータ(例えば測定されたデータ)のデータセットを使用すること
によりトレーニングされる。しかし、加熱および/または冷却を本明細書で説明された建
物へ提供する文脈では、広範囲な一組のトレーニングデータは数か月または数年間のデー
タを必要とし得るが、建物が直面し得るすべての状況(例えば極端な気象事象、まれな機
器故障)をカバーしないかもしれない。したがって、機械学習およびニューラルネットワ
ークへの従来の手法はシステムマネージャ502および機器600と共に使用するには不
適当かもしれない。しかし、
図13を参照して以下に詳述されるように、本開示は、建物
機器(例えば機器600)がこれらのチャレンジに対処するためのモデル駆動型深層学習
のためのシステムおよび方法を導入する。
【0104】
次に
図13を参照すると、例示的実施形態によるオフライントレーニングシステム70
0が示される。オフライントレーニングシステム700は、オンライン制御に使用される
ディスパッチ生成回路604へ提供すべき1つまたは複数組の学習された重み付けを生成
するためにモデル駆動型深層学習プロセスを実行するように構成される。オフライントレ
ーニングシステム700はトレーニング最適化プログラム回路702およびシステムモデ
ルシミュレータ回路704を含む。
【0105】
システムモデルシミュレータ回路704は、経済的ディスパッチ(例えば機器設定点お
よび動作点)および所与のシナリオに基づきシステム(すなわち機器600、および機器
600によりサービスされる建物またはキャンパス)のシミュレーションを実行するよう
に構成される。各シナリオは一組の模擬測定結果(例えば内部気温、外気温)および機器
ステータス(例えば、どの機器600がオンラインまたはオフラインであるかの指標)を
含む。システムモデルシミュレータ回路704は、経済的ディスパッチ、模擬測定結果、
および機器ステータスをシステムモデルへ適用する。システムモデルは、建物機器を制御
するためのモデル予測制御手法において使用される1つまたは複数のモデルと同じまたは
それに似ているモデルであり得る。例えば、本システムモデルは、参照のためその全体を
本明細書に援用する2018年4月14日出願の(特許文献1)、“BUILDING
MANAGEMENT SYSTEM WITH SYSTEM IDENTIFICA
TION USING MULTI-STEP AHEAD ERROR PREDIC
TION”に記載のシステムモデルとして特定され得る。
【0106】
システムモデルシミュレータ回路704は、ある期間にわたる費用を決定するためにこ
の期間のモデルを使用してシミュレーションを実行する。費用は、この期間にわたる機器
600の電力消費量、この期間にわたる資源消費の公益価格、様々なインセンティブベー
ス要求応答プログラム、需要電力料金、および/または例えば参照のためその全体を本明
細書に援用する2017年2月7日出願の(特許文献2)に記載の経済的費用関数内の様
々な他の項または変数により規定され得る。例えば、費用は、居住者快適性を費用に取り
込むペナルティ関数を含む費用関数により(例えば気温が快感温度範囲の外にあると費用
を増加することにより)決定され得る。本明細書で使用される用語「費用」は任意のこの
ような数式を指し得る。したがって、システムモデルシミュレータ回路704は、トレー
ニング最適化プログラム回路702から経済的ディスパッチとシナリオとを受信し、費用
をトレーニング最適化プログラム回路702へ戻す。換言すれば、システムモデルシミュ
レータ回路は、どのように建物システムが規定シナリオ下で規定経済的ディスパッチに応
答するかをシミレーションし、そして所定期間にわたって発生されるであろう費用を予測
する。
【0107】
トレーニング最適化プログラム回路702は、以下に詳述されるように、多様な模擬測
定結果および多様な機器ステータスの費用を最小化する学習された重み付けを決定するよ
うに構成される。トレーニング最適化プログラム回路702は、ディスパッチ生成回路6
04による使用のための、学習された重み付けを生成する。トレーニング最適化プログラ
ム回路702により生成される学習された重み付けは、ディスパッチ生成回路604によ
り生成される経済的ディスパッチが機器600を制御して費用を最小化するように、ニュ
ーラルネットワークを調節し得る。トレーニング最適化プログラム回路702は、システ
ムモデルシミュレータ回路704と通信可能であり、オフラインディスパッチ生成回路7
06、シナリオ回路708、および重み付け選択回路710を含む。
【0108】
シナリオ回路708は、様々なシナリオを生成し、シナリオをオフラインディスパッチ
生成回路706へ提供するように構成される。シナリオ回路708により生成されるシナ
リオは、
図13のオンラインディスパッチ生成回路604への入力として示されるリアル
タイムステータスおよび測定結果のそれぞれの値を含む。例えば、シナリオは、オフライ
ンであり得る機器の指標だけでなく室内気温、外気温、相対湿度などの値を含み得る。し
たがって、シナリオ回路708は、オンライン制御のためにディスパッチ生成回路604
へ提供される同じタイプの入力をオフラインディスパッチ生成回路706へ提供する。シ
ナリオはまた、システムモデルシミュレータ回路704へ提供され得る。シナリオ回路7
08は、オフラインディスパッチ生成回路706に幅広いシナリオを提供するためにシナ
リオを変更(すなわち、測定結果のステータスおよび値を変更)し得る。
【0109】
重み付け選択回路710は、オフラインディスパッチ生成回路706により使用される
重み付けを変更し、学習された重み付けへの収束を促進するように構成される。重み付け
選択回路710はシステムモデルシミュレータ回路704から費用を受信し、重み付け選
択回路710は、オフラインディスパッチ生成回路706へ提供する新しい重み付けを選
択する際にこの費用を使用する。重み付け選択回路710は、学習された重み付けを決定
するために傾斜降下(gradient descent)または確率的傾斜降下(st
ochastic gradient descent)手法に従い得る。このような場
合、学習された重み付けは費用極値(例えば最小費用)に対応する。
【0110】
いくつかの実施形態では、一組の学習された重み付けは一組の機器ステータス毎に決定
される。すなわち、オンライン機器とオフライン機器との組合せ毎に、重み付け選択回路
710は対応する一組の学習された重み付け(例えばオンラインおよびオフライン機器の
組合せ毎に異なるニューラルネットワークモデル)を決定する。オンライン制御では、デ
ィスパッチ生成回路604は、現在の一組の機器ステータスを決定し、それに応じて、対
応する一組の学習された重み付けを適用し得る。次に、リアルタイム測定結果は、経済的
ディスパッチを生成するためにそれらの学習された重み付けにより調節されるニューラル
ネットワークにより処理され得る。
【0111】
図13に示すように、シナリオ回路708により提供されるシナリオはオフラインディ
スパッチ生成回路706のニューラルネットワークへの入力であり、経済的ディスパッチ
はニューラルネットワークの出力である。重み付け選択回路710は、システムモデルシ
ミュレータ回路704により生成される費用に基づき重み付けを決定する。シナリオ回路
708は、多数のシナリオ(現実世界データ内には見出すのが困難であり得るシナリオを
含む)が現実世界において発生するのを待つ必要なく、トレーニングシステム700がこ
のようなシナリオ(現実世界データ内には見出すのが困難であり得るシナリオを含む)へ
露出されることを可能にする。さらに、システムモデルシミュレータ回路704は、現実
世界費用データを待つ必要性をシミュレーション費用を生成することにより置換する。し
たがって、シナリオ回路708とシステムモデルシミュレータ回路704は共同して、モ
デルベースデータを使用することによりニューラルネットワークのトレーニングを促進す
る。したがって、現実世界データがニューラルネットワークをトレーニングするのに不十
分であっても、トレーニングシステム700は、ディスパッチ生成回路604による使用
のための、学習された重み付けを確実に生成する。
【0112】
図12を再び参照すると、トレーニングシステム700により生成される学習された重
み付けはディスパッチ生成回路604へ提供される。ディスパッチ生成回路604は、学
習された重み付けをディスパッチ生成回路604のニューラルネットワーク内に適用する
。したがって、ディスパッチ生成回路604は、一組のリアルタイム機器ステータスおよ
び測定値(すなわち、実際の一組の建物機器を制御するためにオンラインで動作する現実
世界シナリオ)を受信し、費用(例えば資源消費費用またはいくつかの他の費用関数)を
最小化する経済的ディスパッチを生成するように構成される。ニューラルネットワークお
よびディスパッチ生成回路604は伝統的オンライン制御方法より実質的に少ない計算能
力を必要とし得るので、システムマネージャ502は、伝統的手法を使用する制御システ
ムと比較して、より効率的であり、より少ないエネルギーを消費し、そしてより安いコン
ピューティング部品を含み得る。
【0113】
例示的な実施形態の構成
様々な例示的実施形態に示されたシステムおよび方法の構造、配置は単に例示的である
。この開示ではほんのわずかだけの実施形態を詳細に説明してきたが、多くの変更形態(
例えば、様々な要素のサイズ、寸法、構造、形状および割合、パラメータの値、取り付け
方法、材料の使用、色、配向などの変化)が可能である。例えば、要素の位置を逆にする
かまたは別の方法で変化させることができ、個別の要素または位置の性質または数を変更
するかまたは変化させることができる。したがって、そのような変更形態はすべて本開示
の範囲内に含まれるように意図されている。いかなるプロセスまたは方法工程の順序また
は並びも代替の実施形態に従って変更され得るまたは並べ替えられ得る。本開示の範囲か
ら逸脱することなく、例示的実施形態の設計、動作条件および配列における他の置換、変
更、変化および省略がなされ得る。
【0114】
本明細書で使用される用語「回路」は、本明細書で説明された機能を実行するように構
造化されたハードウェアを含み得る。いくつかの実施形態では、各「回路」は、本明細書
で説明された機能を実行するようにハードウェアを構成するための機械可読媒体を含み得
る。回路は、限定しないが処理回路系、ネットワークインタフェース、周辺デバイス、入
力デバイス、出力デバイス、センサなどを含む1つまたは複数の回路系部品として具現化
され得る。いくつかの実施形態では、回路は、1つまたは複数のアナログ回路、電子回路
(例えば集積回路(IC)、ディスクリート回路、システムオンチップ(SOC:sys
tem on a chip)回路)、通信回路、ハイブリッド回路、および任意の他の
タイプの「回路」の形式を採用し得る。この点に関し、「回路」は、本明細書で説明され
た動作を遂行するためのまたはその実現を容易にするための任意のタイプの部品を含み得
る。例えば、本明細書で述べた回路は、1つまたは複数のトランジスタ、論理ゲート(例
えばNAND、AND、NOR、またはXOR、NOT、XNORなど)、抵抗器、マル
チプレクサ、レジスタ、キャパシタ、インダクタ、ダイオード、配線等々を含み得る。
【0115】
「回路」はまた、1つまたは複数のメモリデバイスへ通信可能に結合された1つまたは
複数のプロセッサを含み得る。この点に関し、1つまたは複数のプロセッサは、メモリ内
に格納された命令を実行し得る、またはそうでなければ1つまたは複数のプロセッサへア
クセス可能な命令を実行し得る。いくつかの実施形態では、1つまたは複数のプロセッサ
は様々なやり方で具現化され得る。1つまたは複数のプロセッサは、少なくとも本明細書
で説明された動作を実行するのに十分なやり方で構築され得る。いくつかの実施形態では
、1つまたは複数のプロセッサは複数の回路により共有され得る(例えば、回路Aおよび
回路Bが同じプロセッサを含み得るまたはそうでなければ共有し得、いくつかの例示的実
施形態では、メモリの様々な領域を介し格納されるまたはそうでなければアクセスされる
命令を実行し得る)。その代りにまたは追加的に、1つまたは複数のプロセッサは、1つ
または複数のコプロセッサとは独立にいくつかの動作を実行するように構造化され得る。
他の例示的実施形態では、2つ以上のプロセッサが、独立した、並列の、パイプライン化
された、またはマルチスレッド化された命令実行を可能にするためにバスを介し結合され
得る。各プロセッサは、1つまたは複数の汎用プロセッサ、特定用途向け集積回路(AS
IC:application specific integrated circu
it)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA:field progra
mmable gate array)、デジタルシグナルプロセッサ(DSP:dig
ital signal processor)、またはメモリにより提供される命令を
実行するように構造化された他の好適な電子データ処理部品として実装され得る。1つま
たは複数のプロセッサは、シングルコアプロセッサ、マルチコアプロセッサ(例えばデュ
アルコアプロセッサ、トリプルコアプロセッサ、クワッドコアプロセッサなど)、マイク
ロプロセッサなどの形式を採用し得る。いくつかの実施形態では、1つまたは複数のプロ
セッサは装置外にあってもよく、例えば1つまたは複数のプロセッサは遠隔プロセッサ(
例えば、クラウドベースプロセッサ)であり得る。その代りにまたは追加的に、1つまた
は複数のプロセッサは装置の内部および/または局所に存在し得る。この点に関し、その
所与の回路または部品は、局所的に(例えばローカルサーバ、ローカルコンピューティン
グシステムなどの一部として)または遠隔的に(例えばクラウドベースサーバなどの遠隔
サーバの一部として)配置され得る。そのために、本明細書で説明した「回路」は1つま
たは複数の場所全体にわたり分散された部品を含み得る。本開示は、様々な動作を遂行す
るためのいかなる機械可読媒体における方法、システムおよびプログラム製品をも企図す
る。本開示の実施形態は、既存のコンピュータプロセッサを使用して、このまたは別の目
的のために組み込まれた適切なシステム用の専用コンピュータプロセッサによって、ある
いは、配線接続されたシステムによって実装することができる。本開示の範囲内の実施形
態は、格納された機械実行可能命令またはデータ構造を保持するかまたは有するための機
械可読媒体を含むプログラム製品を含む。そのような機械可読媒体は、汎用もしくは専用
コンピュータまたはプロセッサを伴う他の機械によるアクセスが可能な利用可能ないかな
る媒体でもあり得る。例示として、そのような機械可読媒体は、RAM、ROM、EPR
OM、EEPROM、CD-ROMまたは他の光ディスク記憶装置、磁気ディスク記憶装
置または他の磁気記憶装置、あるいは、機械実行可能命令またはデータ構造の形態の所望
のプログラムコードを保持または格納するために使用することができ、汎用もしくは専用
コンピュータまたはプロセッサを伴う他の機械によるアクセスが可能な他の任意の媒体を
含み得る。上記の組合せもまた、機械可読媒体の範囲内に含まれる。機械実行可能命令は
、例えば、ある特定の機能または機能グループを汎用コンピュータ、専用コンピュータま
たは専用処理機械に実行させる命令およびデータを含む。