(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-26
(45)【発行日】2024-10-04
(54)【発明の名称】フィーダ管理システム
(51)【国際特許分類】
H05K 13/02 20060101AFI20240927BHJP
【FI】
H05K13/02 D
(21)【出願番号】P 2023215134
(22)【出願日】2023-12-20
(62)【分割の表示】P 2022577991の分割
【原出願日】2021-01-29
【審査請求日】2023-12-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000237271
【氏名又は名称】株式会社FUJI
(74)【代理人】
【識別番号】110000604
【氏名又は名称】弁理士法人 共立特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】谷澤 由治
【審査官】内田 茉李
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-220687(JP,A)
【文献】特開平11-177298(JP,A)
【文献】特開2006-108322(JP,A)
【文献】特開平11-204988(JP,A)
【文献】特開2003-37391(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バルクフィーダにおいて部品が搬送される搬送路を形成され、前記バルクフィーダのフィーダ本体に着脱可能に取り付けられる軌道部材を対象としたクリーニングの実施履歴を、前記軌道部材の識別情報ごとに示すクリーニング情報を記憶する記憶部を備える、フィーダ管理システム。
【請求項2】
前記記憶部は、前記バルクフィーダの識別情報と、当該バルクフィーダの前記フィーダ本体に取り付けられた前記軌道部材の識別情報に対応する前記クリーニング情報とを関連付けて記憶する、請求項1のフィーダ管理システム。
【請求項3】
前記クリーニング情報としてクリーニングを実施済であることが記憶された前記軌道部材を取り付けた前記バルクフィーダに前記部品が装填されると、当該軌道部材の識別情報に対応する前記クリーニング情報を破棄する処理部をさらに備える、請求項1または2に記載のフィーダ管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィーダ管理システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
フィーダ管理システムは、バルク状態の部品を供給するバルクフィーダを管理対象とする。バルクフィーダは、基板に部品を装着する部品装着機に装備される。特許文献1には、搬送路に振動を付与して複数の部品を搬送する構成が開示されている。このような搬送動作によって、バルクフィーダは、吸着ノズルが部品を採取できるように上方に開口した供給領域において部品を供給する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このようなバルクフィーダにより供給される部品は、キャリアテープに収容された部品と異なり包装されておらず、バルクフィーダに装填される部品の種類が変更される場合に、搬送路から確実に除去される必要がある。フィーダ管理システムには、バルクフィーダにおける部品の装填状態を管理することの要請がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書は、バルクフィーダに装填された部品の種類を含む部品情報、および前記バルクフィーダにおいて前記部品が搬送される搬送路を少なくとも対象に含むクリーニングの実施履歴を示すクリーニング情報を前記バルクフィーダに関連付けて記憶する記憶部と、前記部品情報の更新要求を受け付けた場合に、前記クリーニング情報に基づいて前記部品情報の更新要求前に前記クリーニングが実施されたか否かを判定する判定部と、を備えるフィーダ管理システムを開示する。
本明細書は、バルクフィーダにおいて部品が搬送される搬送路を形成され、前記バルクフィーダのフィーダ本体に着脱可能に取り付けられる軌道部材を対象としたクリーニングの実施履歴を、前記軌道部材の識別情報ごとに示すクリーニング情報を記憶する記憶部を備える、フィーダ管理システムを開示する。
【発明の効果】
【0006】
このような構成によると、部品情報の更新要求があった場合に、搬送路を少なくとも対象に含むクリーニングが実施されたか否かの判定結果を取得することができる。この判定結果は、例えば新たな部品の装填を許容できるか否かの判定指標となるなど、バルクフィーダの管理上で有用な情報である。このように、フィーダ管理システムは、バルクフィーダの搬送路における部品の除去状態を含む装填状態を管理することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】生産システムに適用されたフィーダ管理システムの機能ブロックおよび部品装着機を模式的に示す平面図である。
【
図3】バルクフィーダの要部を模式的に示す側面図である。
【
図5】部品情報およびクリーング情報を示す図である。
【
図6】フィーダ管理処理を示すフローチャートである。
【
図7】
図6の対応処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
バルクフィーダ30を管理対象とするフィーダ管理システム70について、図面を参照して説明する。バルクフィーダ30は、例えば基板に部品を装着する部品装着機10に装備され、バルク状態(それぞれの姿勢が不規則なばら状態)の部品を供給する。
【0009】
1.部品装着機10の構成
部品装着機10は、例えば他の部品装着機10を含む複数種類の対基板作業機とともに、基板製品を生産する生産ラインを構成する。上記の生産ラインを構成する対基板作業機には、印刷機や検査装置、リフロー炉などが含まれ得る。
1-1.基板搬送装置
部品装着機10は、
図1に示すように、基板搬送装置11を備える。基板搬送装置11は、基板91を搬送方向へと順次搬送するとともに、基板91を機内の所定位置に位置決めする。
【0010】
1-2.部品供給装置12
部品装着機10は、部品供給装置12を備える。部品供給装置12は、基板91に装着される部品を供給する。部品供給装置12は、複数のスロット121にフィーダ122をそれぞれ装備される。フィーダ122には、例えば多数の部品が収納されたキャリアテープを送り移動させて、部品を採取可能に供給するテープフィーダが適用される。また、フィーダ122には、バルク状態で収容された部品を採取可能に供給するバルクフィーダ30が適用される。バルクフィーダ30の詳細については後述する。
【0011】
1-3.部品移載装置13
部品装着機10は、部品移載装置13を備える。部品移載装置13は、部品供給装置12により供給された部品を基板91上の所定の装着位置に移載する。部品移載装置13は、ヘッド駆動装置131、移動台132、装着ヘッド133、および吸着ノズル134を備える。ヘッド駆動装置131は、直動機構により移動台132を水平方向(X方向およびY方向)に移動させる。装着ヘッド133は、図示しないクランプ部材により移動台132に着脱可能に固定され、機内において水平方向に移動可能に設けられる。
【0012】
装着ヘッド133は、回転可能に且つ昇降可能に複数の吸着ノズル134を支持する。吸着ノズル134は、フィーダ122により供給される部品92を採取して保持する保持部材である。吸着ノズル134は、供給される負圧エアにより、フィーダ122により供給される部品を吸着する。装着ヘッド133に取り付けられる保持部材としては、部品を把持することにより保持するチャックなどが採用され得る。
【0013】
1-4.部品カメラ14、基板カメラ15
部品装着機10は、部品カメラ14、および基板カメラ15を備える。部品カメラ14、および基板カメラ15は、CMOSなどの撮像素子を有するデジタル式の撮像装置である。部品カメラ14、および基板カメラ15は、制御信号に基づいて撮像を行い、当該撮像により取得した画像データを送出する。部品カメラ14は、吸着ノズル134に保持された部品を下方から撮像可能に構成される。基板カメラ15は、装着ヘッド133と一体的に水平方向に移動可能に移動台132に設けられる。基板カメラ15は、基板91を上方から撮像可能に構成される。
【0014】
また、基板カメラ15は、基板91の表面を撮像対象とする他に、移動台132の可動範囲であれば種々の機器などを撮像対象にできる。例えば、基板カメラ15は、本実施形態において、
図4に示すように、バルクフィーダ30が部品92を供給する供給領域Asやバルクフィーダ30の上部に設けられた基準マーク344をカメラ視野に収めて撮像することができる。このように、基板カメラ15は、種々の画像処理に用いられる画像データを取得するために、異なる撮像対象の撮像に兼用され得る。
【0015】
1-5.制御装置16
部品装着機10は、
図1に示すように、制御装置16を備える。制御装置16は、主として、CPUや各種メモリ、制御回路、および記憶装置により構成される。制御装置16は、制御装置16には、装着処理の制御に用いられる制御プログラムなどの各種データが記憶される。制御プログラムは、装着処理において基板91に装着される部品の装着位置、装着角度、および装着順序を示す。
【0016】
制御装置16は、複数の保持部材(吸着ノズル134)のそれぞれに保持された部品の保持状態の認識処理を実行する。具体的には、制御装置16は、部品カメラ14の撮像により取得された画像データを画像処理し、装着ヘッド133の基準位置に対する各部品の位置および角度を認識する。なお、制御装置16は、部品カメラ14の他に、例えば装着ヘッド133に一体的に設けられるヘッドカメラユニットなどが部品を側方、下方、または上方から撮像して取得された画像データを画像処理するようにしてもよい。
【0017】
制御装置16は、制御プログラムに基づいて、装着ヘッド133による部品の装着動作を制御して装着処理を実行する。ここで、装着処理には、採取動作と装着動作とが含まれるPPサイクル(ピックアンドプレースサイクル)を複数回に亘って繰り返す処理が含まれる。上記の「採取動作」とは、部品供給装置12により供給された部品を吸着ノズル134により採取する動作である。
【0018】
本実施形態において、制御装置16は、上記の採取動作の実行に際して、バルクフィーダ30を含む部品供給装置12の動作を制御する。また、制御装置16は、基板カメラ15の撮像により取得した画像データに基づいて、バルクフィーダ30の供給領域Asにおける複数の部品92の供給状態を認識する。供給状態の認識処理には、供給領域Asに採取可能な部品92があるか否かを認識し、採取可能な部品92がある場合にはその部品92の位置および角度を認識する処理が含まれる。そして、制御装置16は、供給状態の認識処理の結果に基づいて、採取動作における装着ヘッド133の動作を制御する。
【0019】
2.生産システムの構成
部品装着機10を含む生産ラインは、基板製品を生産する生産システムを構成する。本実施形態において、生産システムには、
図1に示すように、ホストコンピュータ20、キッティングステーション60、フィーダ倉庫81、部品倉庫82、および端末装置85が含まれる。キッティングステーション60の構成については後述する。
【0020】
2-1.ホストコンピュータ20
ホストコンピュータ20は、部品装着機10を含む生産ラインを統括して制御する。また、ホストコンピュータ20は、キッティングステーション60の管理装置65、フィーダ倉庫81、および部品倉庫82と通信可能に接続される。ホストコンピュータ20は、生産ラインの動作状況を監視し、部品装着機10による装着処理の進行の度合いや、部品装着機10における所定の部品の残数に基づいて、対応する部品装着機10または作業者Hが携帯する端末装置85などに部品切れ予告を通知する。作業者Hによる部品の補給が促され、部品切れに伴う装着処理の中断が防止される。
【0021】
2-2.フィーダ倉庫81、部品倉庫82
フィーダ倉庫81は、バルクフィーダ30などのフィーダ122を保管する。また、部品倉庫82は、装着処理に用いられる部品92を保管する。部品倉庫82は、例えばキャリアテープをリールに巻回した状態、または部品ケース50にバルク状態で部品92を保管する。また、フィーダ倉庫81および部品倉庫82は、搬入および搬出されたフィーダ122、リール、および部品ケース50の識別情報(ID)を取得することにより、保管している部品92の種類などを把握している。
【0022】
2-3.端末装置85
端末装置85は、例えば作業者Hに携帯されるタブレットである。端末装置85は、ホストコンピュータ20やキッティングステーション60の管理装置65と通信可能に接続される。端末装置85は、例えばホストコンピュータ20から入力した各種情報を表示する。また、端末装置85は、作業者Hによる各種の操作を受け付け、ホストコンピュータ20に対して所定の情報を出力するように要求することができる。
【0023】
3.バルクフィーダ30の構成
バルクフィーダ30は、部品装着機10に装備されて部品供給装置12の一部として機能する。バルクフィーダ30は、キャリアテープのように整列されていないバルク状態で収容された部品92を供給する。そのため、バルクフィーダ30は、テープフィーダと異なりキャリアテープを用いないため、キャリアテープの装填や使用済みテープの回収などを省略できる点でメリットがある。
【0024】
バルクフィーダ30には、例えば平面状の供給領域Asに不規則な姿勢で部品92を供給するタイプがある。しかしながら、供給領域Asにおいて部品92同士が接触するほど接近していたり堆積(上下方向に重なり合っている状態)していたり、部品92の幅方向が上下方向となるような横立ち姿勢であったりすると、部品装着機10は、これらの部品92を採取対象にすることができない。そこで、採取可能な部品92の割合を増加すべく、バルクフィーダ30には、供給領域Asにおいて部品92を整列させた状態で供給するタイプがある。本実施形態では、部品92を整列させるタイプのバルクフィーダ30を例示して説明する。
【0025】
3-1.フィーダ本体31
バルクフィーダ30は、
図2に示すように、扁平な箱状に形成されたフィーダ本体31を備える。フィーダ本体31の前部には、コネクタ311および2つのピン312が設けられる。フィーダ本体31は、部品供給装置12のスロット121にセットされると、コネクタ311を介して給電されるとともに、制御装置16と通信可能な状態となる。2つのピン312は、スロット121に設けられたガイド穴に挿入され、フィーダ本体31がスロット121にセットされる際の位置決めに用いられる。
【0026】
3-2.受容部材32
フィーダ本体31には、複数の部品92をバルク状態で収容する部品ケース50が受容部材32を介して着脱可能に取り付けられる。部品ケース50は、バルクフィーダ30の外部機器である。フィーダ本体31には、種々のタイプの部品ケース50から装着処理に適合する1つが選択されて取り付けられる。部品ケース50の前部には、外部へ部品92を排出する排出口51が形成される。
【0027】
受容部材32は、フィーダ本体31に対して振動可能に設けられ、取り付けられた部品ケース50を支持する。受容部材32は、部品ケース50から排出された部品92を受容する受容領域Arを形成される。本実施形態において、受容部材32は、受容領域Arにおいて水平面に対して前側に傾斜した傾斜部321を有する。この傾斜部321は、部品ケース50の排出口51の下方に位置し、且つ平面状をなす。受容部材32は、受容領域Arの上方に延伸する部品92の流路を形成され、この流路が上方に開口する送出部322を形成される。
【0028】
3-3.ブラケット33、軌道部材34、ロックユニット35
バルクフィーダ30は、ブラケット33および軌道部材34を備える。ブラケット33は、フィーダ本体31に対して振動可能に設けられる。ブラケット33は、フィーダ本体31の前後方向に延伸するブロック状に形成され、上面に軌道部材34を取り付けられる。ブラケット33は、後述する加振装置40の支持部材41により支持される。軌道部材34は、複数の部品92が搬送される搬送路R、および搬送路Rに連通して複数の部品92を採取可能に上方に開口する供給領域Asを形成される。
【0029】
バルクフィーダ30は、ロックユニット35を備える。ロックユニット35は、軌道部材34がブラケット33に取り付けられた状態で、軌道部材34をロックする。軌道部材34は、ロックユニット35によりロックされると、フィーダ本体31に対してブラケット33と一体的に振動する状態となる。軌道部材34は、ロックユニット35のアンロックによりブラケット33から取り外し可能な状態となる。
【0030】
3-4.軌道部材34の詳細構成、カバー36、シャッタ37、連結部材38
軌道部材34は、フィーダ本体31の前後方向(
図4の左右方向)に延伸するように形成される。軌道部材34の幅方向(
図4の上下方向)の両縁には、上方に突出する一対の側壁341が形成される。一対の側壁341は、軌道部材34の先端部342とともに搬送路Rの周縁を囲い、搬送路Rを搬送される部品92の漏出を防止する。先端部342の上面には、供給領域Asの基準位置を示す円形の基準マーク344が左右一対で付される。
【0031】
本実施形態において、軌道部材34には、整列部材345が交換可能に取り付けられる。整列部材345は、複数の部品92を個々に収容する複数のキャビティ346を有する。詳細には、複数のキャビティ346は、供給領域Asにおいてマトリックス状に配列される。例えば、整列部材345は、規則的に搬送方向に8個、搬送路Rの幅方向に10個それぞれ配列された計80個のキャビティ346を有する。複数のキャビティ346のそれぞれは、上方に開口し、部品92の厚み方向が上下方向となる姿勢で部品92を収容する。
【0032】
キャビティ346の開口は、上方視における部品92の外形状よりも僅かに大きくなる寸法に設定される。キャビティ346の深さは、部品92の種類(形状、質量など)に応じて設定される。軌道部材34には、種々のタイプの軌道部材34から、部品92の種類や、キャビティ346の必要数、機能性に基づいて選択された1つが取り付けられる。
【0033】
ここで、軌道部材34の「供給領域As」とは、部品92をバルク状態で供給する領域であって、装着ヘッド133に支持された吸着ノズル134により部品92を採取可能な領域である。また、軌道部材34の「搬送路R」とは、受容領域Arから軌道部材34へと流通した部品92が供給領域Asへと搬送される部品92の通り道である。
【0034】
バルクフィーダ30は、カバー36を備える。カバー36は、軌道部材34に固定され、搬送路Rの上方を覆う。カバー36は、上面に複数の排気口361が形成されている。排気口361には、目地が部品92の外形寸法より小さいメッシュが張られている。このような構成により、カバー36は、搬送路Rからの部品92の飛び出しを防止しつつ、排気口361からエアを外部に排出することができるように構成されている。
【0035】
バルクフィーダ30は、軌道部材34の上部に設けられ、供給領域Asの開口を閉塞可能なシャッタ37を備える。バルクフィーダ30は、シャッタ37を開閉することによって部品92の飛び出しや供給領域Asへの異物混入を防止することができる。本実施形態において、シャッタ37は、開閉動作により開状態、および閉状態を切り換えられる。シャッタ37の閉状態とは、シャッタ37が軌道部材34に接触し、供給領域Asの開口が完全に閉塞された状態である。このとき、シャッタ37は、
図4の破線で示すように、軌道部材34の一対の基準マーク344よりもフィーダ本体31の後側に位置し、上方視において一対の基準マーク344を視認および撮像可能とする。
【0036】
また、シャッタ37の開状態とは、供給領域Asの開口が閉塞されておらず、且つ供給領域Asの主要範囲(本実施形態において複数のキャビティ346が設けられた範囲)を露出させた状態である。このとき、吸着ノズル134は、何れのキャビティ346に対して部品92の採取動作を実行することができる。シャッタ37は、図略の駆動装置により開閉動作を行い、駆動装置の駆動状態に応じて閉状態または開状態とされる。
【0037】
軌道部材34は、後部において下方に延伸する部品92の流路を形成され、この流路が下方に開口する導入部343を有する。導入部343は、受容部材32の送出部322と上下方向に対向する。バルクフィーダ30は、管状をなす連結部材38を備える。連結部材38は、受容部材32の送出部322および軌道部材34の導入部343を連結する。本実施形態において、連結部材38は、密着コイルばねであり、全体として可撓性を有する。
【0038】
上記のような構成により、連結部材38は、受容領域Arと搬送路Rとの間を複数の部品92を流通可能に連結する。また、連結部材38は、フィーダ本体31に対する受容部材32の振動および軌道部材34の振動に応じて変形することにより振動を吸収する。連結部材38は、互いに独立して振動する受容部材32および軌道部材34の間で伝達される振動を軽減または遮断する。
【0039】
3-5.エア供給装置39
バルクフィーダ30は、エア供給装置39を備える。エア供給装置39は、受容領域Arの下方から正圧エアを供給して、受容部材32から連結部材38を介して軌道部材34まで複数の部品92を流通させる。本実施形態において、エア供給装置39は、外部から供給される正圧エアを、図略のフィーダ制御装置の指令に基づいて受容領域Arの下方から供給または遮断する。
【0040】
エア供給装置39が正圧エアを供給すると、受容領域Arに滞留していた複数の部品92は、正圧エアにより上方に吹き上げられる。正圧エアおよび複数の部品92は、受容部材32の送出部322、連結部材38、および導入部343の順に流通し、軌道部材34の搬送路Rに到達する。ここで、正圧エアは、カバー36の排気口361から外部に排気される。また、複数の部品92は、自重により軌道部材34の搬送路Rに落下する。
【0041】
3-6.加振装置40
バルクフィーダ30は、フィーダ本体31に設けられる加振装置40を備える。加振装置40は、複数の部品92が搬送路Rに沿って搬送されるように軌道部材34に振動を付与する。具体的には、加振装置40は、複数の支持部材41、複数の圧電素子42、振動センサ43、および給電装置44を有する。複数の支持部材41は、フィーダ本体31とブラケット33を直接的または間接的に連結して、ブラケット33を支持する。
【0042】
複数の圧電素子42は、給電装置44から給電される電力に応じた周波数で振動する振動子である。複数の圧電素子42は、複数の支持部材41のそれぞれに貼付されている。複数の圧電素子42の少なくとも一部が振動すると、ブラケット33を介して軌道部材34に振動が付与される。また、圧電素子42に印加する電圧に応じて、軌道部材34の振幅が変動する。振動センサ43は、加振装置40の加振により振動する軌道部材34の振動状態を示す振動値を検出する。上記の振動状態を示す振動値としては、振幅や周波数などを適用することができる。
【0043】
ここで、加振装置40が軌道部材34に振動を付与すると、軌道部材34は、側方視において楕円運動する。これにより、搬送路Rにある複数の部品92は、軌道部材34の楕円運動の回転方向に応じて前方且つ上方の外力、または後方且つ上方の外力を加えられる。これにより、複数の部品92は、軌道部材34の前側に搬送されたり、後側に搬送されたりすることになる。
【0044】
給電装置44は、図略のフィーダ制御装置の指令に基づいて、圧電素子42に供給する電力の周波数、および印加電圧を変動させる。これにより、軌道部材34に付与される振動の周波数および振幅が調整され、軌道部材34の楕円運動の回転方向が定まる。軌道部材34の振動の周波数や振幅、振動による楕円運動の回転方向が変動すると、搬送される部品92の搬送速度、部品92の分散度合い、および搬送方向などが変動する。
【0045】
上記のような構成からなるバルクフィーダ30は、部品供給装置12のスロット121にセットされると、コネクタ311を介して給電され、また部品装着機10の制御装置16と通信可能な状態となる。バルクフィーダ30のフィーダ制御装置には、部品供給処理の制御に用いられるプログラムや搬送パラメータなどの各種データが記憶される。また、フィーダ制御装置には、現在取り付けられている軌道部材34および部品ケース50の識別情報(ID)が記憶される。
【0046】
上記の軌道部材34および部品ケース50の識別情報は、例えば部品ケース50が取り付けられる作業において読み込まれ、外部機器から通信により入力したものである。その他に、それぞれの識別情報は、バルクフィーダ30に軌道部材34または部品ケース50が取り付けられると、これらの所定位置に付されたコードを読み取るリーダがバルクフィーダ30に内蔵のリーダにより読み取られたものとしてもよい。
【0047】
4.キッティングステーション60
4-1.キッティングステーション60の概要
キッティングステーション60は、生産の段取り作業や保守作業など種々の作業が行われる作業領域である。キッティングステーション60における作業には、フィーダ122に部品92を装填する作業および部品92をフィーダ122から取り外す作業が含まれる。上記のような部品92の装填が行われると、フィーダ122に装填された部品92の種類を含む部品情報D1がフィーダ122に関連付けられて、後述する記憶部71に記憶される。
【0048】
なお、フィーダ122に部品92を装填する作業とは、フィーダ122がテープフィーダである場合には、フィーダ122がキャリアテープを送り移動可能な状態となるようにセットすることをいう。また、フィーダ122がバルクフィーダ30である場合には、複数の部品92をバルク状態で収容する部品ケース50がバルクフィーダ30に取り付けられることによって新たな部品92が装填される。または、バルクフィーダ30に取り付けられた空の部品ケース50に複数の部品92が補給されることによって新たな部品92が装填される。
【0049】
図5は、バルクフィーダ30の識別情報(ID)ごとに装填されている部品92の部品情報D1を示す。
図5において、部品情報D1が「なし」となっているバルクフィーダ30は、部品92を装填されていない状態にある。換言すると、バルクフィーダ30に関連付けられる部品情報D1は、そのバルクフィーダ30に対する部品92の装填に応じて更新される。なお、部品情報D1は、バルクフィーダ30から部品92が除去(部品ケース50の取り外しを含む)されても直前に装填されていた部品92を示すものとして破棄されない。
【0050】
4-2.キッティングステーション60の構成、スタンド61
キッティングステーション60は、スタンド61、クリーナ62、コマンドバーコード63、リーダ64、および管理装置65を備える。本実施形態において、管理装置65には、フィーダ管理システム70が組み込まれている。スタンド61は、セットされたフィーダ122を支持するとともに、フィーダ122に電力を供給し、管理装置65およびフィーダ122の制御装置と通信可能に接続される。
【0051】
ここで、作業者Hは、キッティングステーション60において、段取り作業または保守作業として、部品92を装填されていないバルクフィーダ30のクリーニングを実施することがある。このクリーニングの対象には、バルクフィーダ30において部品92が搬送される搬送路Rが含まれる。クリーニングの実施によって、搬送路Rなどの対象部位から部品92や異物などが除去される。なお、クリーニングの対象には、搬送路Rを形成された軌道部材34、軌道部材34に取り付けられた整列部材345、受容部材32、連結部材38、および部品ケース50が含まれ得る。
【0052】
本実施形態のバルクフィーダ30において、受容部材32、軌道部材34、カバー36、および連結部材38は、フィーダ本体31およびブラケット33から取り外し可能な振動ユニットとして取り扱われる。振動ユニットは、各部材を組み付けられた状態で交換され、識別情報を付与されている。作業者Hは、振動ユニットまたは部品ケース50にエアを吹き付けたり、ブラッシングしたりすることによってクリーングを実施する。
【0053】
4-3.クリーナ62、コマンドバーコード63、リーダ64
クリーナ62は、装備されたバルクフィーダ30に対してクリーニングを自動で実施可能に構成される。例えば、クリーナ62には、部品92を取り外されたバルクフィーダ30を作業者Hにより装備され、このバルクフィーダ30の搬送路Rなどを対象(振動ユニットや部品ケース50)にしてクリーニングを実施する。なお、クリーナ62は、上記のように作業者Hにより装備される他に、スタンド61と一体的に構成され、全自動でクリーニングを実施する構成を適用し得る。
【0054】
上記のようなクリーニングが実施されると、クリーニングの実施履歴を示すクリーニング情報D2がバルクフィーダ30に関連付けられて、後述する記憶部71に記憶される。
図5は、バルクフィーダ30の識別情報(ID)ごとにクリーニングの実施履歴を示すクリーニング情報D2を示す。本実施形態において、バルクフィーダ30のフィーダ本体31から部品ケース50および軌道部材34が取り外し可能であることから、これらを別々の部材として実施履歴が記録される。
【0055】
具体的には、
図5に示すように、クリーニング情報D2は、部品ケース50および軌道部材34をそれぞれ特定する識別情報(ID)ごとのクリーニングの実施履歴を示す。なお、軌道部材34が振動ユニットを構成する場合には、軌道部材34の識別情報は、実質的に振動ユニットの識別情報に相当する。
図5において、クリーニング情報D2の一部が「なし」となっているバルクフィーダ30は、部品ケース50または振動ユニットがバルクフィーダ30から取り外された状態、またはクリーニングの実施後に部品92を装填されてクリーニング情報D2が破棄された状態にある。
【0056】
例えば、作業者Hは、軌道部材34が含まれる振動ユニットをキッティングステーション60においてクリーニングした場合には、クリーニングの実施済み(
図5の「済」)を管理装置65に報知するコマンドバーコード63をリーダ64により読み取る。これにより、管理装置65には、振動ユニットの識別情報(ID)とともにクリーニング情報D2が送信される。また、バルクフィーダ30のクリーニングにクリーナ62が用いられた場合に、管理装置65は、クリーニングの実施履歴を記録する。
【0057】
なお、振動ユニットがフィーダ本体31から取り外された状態でクリーニングされた場合には、作業者Hは、振動ユニットに付され振動ユニットの識別情報(ID)を示す識別コード、およびコマンドバーコード63を読み取る。これにより、この振動ユニットについてクリーニングが実施済みであることが記録され、この振動ユニットが何れかのフィーダ本体31に取り付けられたときに、バルクフィーダ30の識別情報に関連付けられるクリーニング情報D2が更新される。上記のように例示した振動ユニットのクリーニングおよびクリーニング情報D2の更新は、対象が部品ケース50であった場合にも同様である。
【0058】
4-4.管理装置65
管理装置65は、主として、CPUや各種メモリ、制御回路により構成される。管理装置65は、スタンド61、クリーナ62、ホストコンピュータ20、および端末装置85と通信可能に接続され、またリーダ64により読み取られた情報を入力する。管理装置65は、キッティングステーション60における各種の作業を監視し、クリーナ62によるクリーニングなどの動作を制御する。
【0059】
5.フィーダ管理システム70
フィーダ管理システム70は、生産システムにおけるバルクフィーダ30を管理対象とする。上記のように、バルクフィーダ30により供給される部品92は、キャリアテープに収容された部品と異なり包装されていない。テープフィーダではキャリアテープの取り外しによって装填されていた部品92を確実に除去できるのに対して、バルクフィーダ30では搬送路Rから部品92を除去するためにクリーニングの実施が必要となる。
【0060】
フィーダ管理システム70には、バルクフィーダ30における部品92の装填状態を管理することの要請がある。詳細には、バルクフィーダ30に装填される部品92の種類が変更される場合に、フィーダ管理システム70は、搬送路Rに先の部品92が残存して後の部品92と混ざることを防止するように管理することが望ましい。本実施形態のフィーダ管理システム70は、このような事情に着目し、バルクフィーダ30のクリーニングが実施済みであるかを併せて管理する構成を採用する。
【0061】
5-1.記憶部71
フィーダ管理システム70は、
図1に示すように、記憶部71を備える。記憶部71は、部品情報D1およびクリーニング情報D2をバルクフィーダ30に関連付けて記憶する。本実施形態において、部品情報D1は、
図5に示すように、部品92の種類に加えて、部品92のベンダおよびロットを特定する情報と部品92の残数が含まれる。部品92のベンダは、その部品92を製造する供給者である。部品92のロットは、同一の種類の部品92について製造時期などにより区分された単位である。部品92の残数は、概数であり、例えば初期値から供給に使用された分だけ減算して記録される。
【0062】
クリーニング情報D2は、
図5に示すように、軌道部材34および部品ケース50をそれぞれ特定する識別情報(ID)ごとのクリーニングの実施履歴が含まれる。記憶部71は、バルクフィーダ30ごとに固有の識別情報(ID)に、部品情報D1およびクリーニング情報D2を関連付けて記憶する。部品情報D1は、バルクフィーダ30に部品92が装填されたときに更新される。クリーニング情報D2は、軌道部材34および部品ケース50に付随し、これらにクリーニングが実施されたり、フィーダ本体31に取り付けられたりしたときに更新され、これらがフィーダ本体31から取り外しされたりバルクフィーダ30に部品92が装填されたりしたときに破棄される。
【0063】
5-2.判定部72
フィーダ管理システム70は、
図1に示すように、判定部72を備える。判定部72は、フィーダ管理システム70が部品情報D1の更新要求を受け付けた場合に、クリーニング情報D2に基づいて部品情報D1の更新要求前にクリーニングが実施されたか否かを判定する。本実施形態において、フィーダ管理システム70は、バルクフィーダ30に新たな部品92が装填される場合に、バルクフィーダ30に関連付ける部品92に関する部品情報D1の更新要求を受け付ける。
【0064】
具体的には、キッティングステーション60において、バルクフィーダ30に新たな部品92が収容された部品ケース50を取り付ける場合に、作業者Hは、部品ケース50の識別コードがリーダ64により読み取る。これにより、フィーダ管理システム70は、部品ケース50に収容された部品92の部品情報D1を取得する。そして、フィーダ管理システム70は、このバルクフィーダ30に部品92が装填されるとし、この部品92の部品情報D1への更新要求として受け付ける。
【0065】
上記のような部品ケース50の取り付けの他に、多数の部品92を収容する部品パックから空の部品ケース50に新たな部品92が補給される場合にも同様である。つまり、部品パックに付された識別コードが読み取られた場合に、フィーダ管理システム70は、その部品92が装填されるとし、この部品92の部品情報D1への更新要求として受け付ける。
【0066】
また、判定部72は、部品情報D1の更新要求を受け付けた場合に、クリーニング情報D2に基づく判定処理を実行する。この判定処理において、判定部72は、部品情報D1の更新要求前にクリーニングが実施されたか否かを判定する。この判定結果は、後述するように、例えば新たな部品92の装填を許容できるか否かの判定指標となるなど、バルクフィーダ30の管理上で有用な情報である。このように、フィーダ管理システム70は、バルクフィーダ30の搬送路Rにおける部品92の除去状態を含む装填状態を管理することが可能となる。
【0067】
5-3.処理部73
フィーダ管理システム70は、
図1に示すように、処理部73を備える。処理部73は、判定部72によりクリーニングが未実施であると判定された場合に、部品情報D1の更新を規制する。また、本実施形態において、処理部73は、部品情報D1の更新を規制した場合に、クリーニングが未実施であることを外部に通知する。具体的には、処理部73は、管理装置65の表示装置や端末装置85に通知し、部品92を装填しようとしているバルクフィーダ30についてクリーニングが未実施であることを表示させる。
【0068】
これにより、作業者Hによるクリーニングの実施を促すことができる。そして、クリーニングが実施された後に、コマンドバーコード63の読み取られるとクリーニング情報D2が更新される。また、キッティングステーション60において、クリーナ62が自動でクリーニングを実施可能に構成されている場合に、処理部73は、クリーナ62にクリーニングの実施を指令してもよい。これにより、クリーニングが自動実施され、その後にクリーナ62からの通知を受けると、処理部73は、クリーニング情報D2を更新する。
【0069】
そして、フィーダ管理システム70は、改めて部品情報D1の更新要求を受け付けたものとし、判定部72に更新されたクリーニング情報D2に基づく判定処理を実行させる。処理部73は、この判定処理によりクリーニングが実施済みであると判定されると、部品情報D1を更新する。これにより、バルクフィーダ30に新たな部品情報D1が関連付けられ、部品情報D1に対応する部品92が装填されているものとして記録される。処理部73は、部品92の装填に伴ってクリーニング情報D2を破棄する。
【0070】
6.フィーダ管理処理
フィーダ管理システム70によるフィーダ管理処理について
図6および
図7を参照して説明する。基板製品の生産の段取り作業として、作業者Hがバルクフィーダ30に部品92を装填する作業を実施するものとする。先ず作業者Hによりスタンド61にバルクフィーダ30が装備されると、管理装置65は、バルクフィーダ30との通信によりバルクフィーダ30の識別情報を取得する(S11)。
【0071】
次に、バルクフィーダ30に取り付ける部品ケース50の識別コードがリーダ64により読み取られると、フィーダ管理システム70は、部品情報D1の更新要求を受け付ける(S12)。判定部72は、部品情報D1の更新を許容するか否かを判定する(S13)。具体的には、判定部72は、新たな部品情報D1と、直前の部品情報D1とを比較して、部品92の種類が異なる場合に、クリーニング情報D2を参照して判定処理を実行する。判定部72は、クリーニングが実施済みである場合には(S13:Yes)、部品情報D1の更新を許容する。
【0072】
一方で、クリーニングが未実施である場合には(S13:No)、処理部73は、部品情報D1の更新を規制する(S14)。なお、判定処理(S13)において、判定部72は、部品92の種類が異なる場合にクリーニング情報D2を参照し、一方で部品92の種類が同じである場合に部品情報D1の更新を許容してもよい。さらに他の態様として、判定処理(S13)において、判定部72は、部品92の種類が同一であってもベンダまたはロットが異なる場合にもクリーニング情報D2を参照し、クリーニングの実施履歴の有無に基づく判定を行ってもよい。
【0073】
ここで、部品92の種類が同一であってもベンダまたはロットが異なると、部品92の性状が変化し装着処理に影響することがある。そこで、ベンダまたはロットが異なる部品92が混在することを防止すべく、これらを判定処理に反映させてもよい。判定処理に部品92の種類、ベンダ、およびロットの何れを反映させるかは任意に設定することができる。なお、部品92の種類の同異に係わらず、常にクリーニング情報D2を参照し、クリーニングの実施履歴の有無に基づく判定を行ってもよい。
【0074】
処理部73は、部品情報D1の更新を規制し(S14)、対応処理を実行する(S15)。具体的には、処理部73は、
図7に示すように、先ず、クリーニングが未実施であることを外部に通知する(S21)。これにより、作業者Hによるクリーニングの実施が促され、クリーナ62にバルクフィーダ30が装備される(S22)。処理部73は、クリーナ62にクリーニングの実施を指令する(S23)。処理部73は、クリーナ62によるバルクフィーダ30のクリーニングが終了した後に、クリーニング情報D2を更新する(S24)。なお、バルクフィーダ30のクリーニングが作業者Hの手作業により実行される場合には、通知処理(S21)のみがなされ、クリーニングの実施後にコマンドバーコード63が読み取られてクリーニング情報D2が更新される。
【0075】
上記の対応処理(S15)が適正に実行されないなど正常終了しなかった場合には(S16:No)、部品情報D1の更新要求を許容することなくフィーダ管理処理を終了する。一方で、対応処理(S15)が正常終了した場合には(S16:Yes)、フィーダ管理システム70は、改めて部品情報D1の更新要求を受け付けたものとし、判定処理(S13)を再度実行させる。判定部72は、クリーニングが実施済みであると判定し(S13:Yes)、部品情報D1の更新を許容する。
【0076】
処理部73は、部品情報D1を更新すべく、バルクフィーダ30に新たな部品情報D1を関連付ける(S18)。また、処理部73は、バルクフィーダ30に部品92が装填されるものとし、これに伴ってクリーニング情報D2を破棄する。処理部73は、更新要求のあった部品情報D1に係る部品92を装填する準備ができていることを作業者Hに通知する(S19)。これにより作業者Hは、部品ケース50をバルクフィーダ30に取り付ける作業を行う。作業者Hは、スタンド61からバルクフィーダ30を取り外し、部品装着機10における所定のスロット121にバルクフィーダ30を装備する。
【0077】
このようなフィーダ管理システム70の構成によると、部品情報D1の更新要求があった場合に、搬送路Rを少なくとも対象に含むクリーニングが実施されたか否かの判定結果を取得することができる。この判定結果は、新たな部品92の装填を許容できるか否かの判定指標となり、バルクフィーダ30に異種部品が混入することを防止でき、装填状態の管理性を向上させることができる。
【0078】
7.実施形態の変形態様
7-1.フィーダ管理システム70について
実施形態において、フィーダ管理システム70の各部71-73(記憶部71、判定部72、および処理部73)は、キッティングステーション60の管理装置65に組み込まれる構成を例示して説明した。これに対して、各部71-73の一部または全部は、管理装置65の外部装置に組み込まれる構成としてもよい。例えば、各部71-73は、管理装置65と通信可能に接続されるホストコンピュータ20や端末装置85、その他の専用機器に組み込まれる構成としてもよい。何れの態様においても実施形態と同様の効果を奏する。
【0079】
また、バルクフィーダ30に部品92を装填する作業は、キッティングステーション60以外でも行われることがある。例えば、フィーダ倉庫81や部品倉庫82と生産ラインとの間でバルクフィーダ30を搬送する台車において部品92が装填されることがある。また、部品装着機10におけるスロット121にバルクフィーダ30が装備された状態で、部品ケース50の交換がなされ、またはフィーダ本体31に取り付けられた部品ケース50に部品92の補給がなされることによって、部品92が装填されることがある。上記のような種々の装填作業において、部品情報D1の更新要求を受け付けた際にクリーニング情報D2に基づく更新許否の判定処理を実行することで、実施形態と同様の効果を奏する。
【符号の説明】
【0080】
10:部品装着機、 12:部品供給装置、 121:スロット、 122:フィーダ、 20:ホストコンピュータ、 30:バルクフィーダ、 31:フィーダ本体、 32:受容部材、 33:ブラケット、 34:軌道部材、 35:ロックユニット、 36:カバー、 37:シャッタ、 38:連結部材、 39:エア供給装置、 40:加振装置、 50:部品ケース、 60:キッティングステーション、 61:スタンド、 62:クリーナ、 63:コマンドバーコード、 64:リーダ、 65:管理装置、 70:フィーダ管理システム、 71:記憶部、 72:判定部、 73:処理部、 D1:部品情報、 D2:クリーニング情報