(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-26
(45)【発行日】2024-10-04
(54)【発明の名称】センサモジュール及びそれを備えたタッチパネル
(51)【国際特許分類】
G06F 3/041 20060101AFI20240927BHJP
G06F 3/044 20060101ALI20240927BHJP
G06F 3/042 20060101ALI20240927BHJP
G02F 1/1334 20060101ALI20240927BHJP
G02F 1/13 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
G06F3/041 580
G06F3/044 120
G06F3/042 480
G02F1/1334
G02F1/13 505
(21)【出願番号】P 2023505215
(86)(22)【出願日】2022-02-03
(86)【国際出願番号】 JP2022004175
(87)【国際公開番号】W WO2022190724
(87)【国際公開日】2022-09-15
【審査請求日】2023-09-08
(31)【優先権主張番号】P 2021040519
(32)【優先日】2021-03-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】弁理士法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】後藤 尚志
【審査官】槙 俊秋
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-075022(JP,A)
【文献】特開2014-182657(JP,A)
【文献】特開2000-280896(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/01-3/04895
G02F 1/13ー1/141
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のセンサを備える非接触式センサアレイと、
前記非接触式センサアレイから出力される検出信号を受信し、前記検出信号に基づいて
座標情報を生成する制御部と、
前記制御部から前記座標情報を受信し、前記座標情報に基づいて駆動信号を出力する駆動部と、
前記非接触式センサアレイと重畳し、前記駆動信号に基づいて駆動される遮光パネルと、
を備え、
前記遮光パネルは、前記非接触式センサアレイの主面に平行な方向へ進む光の遮光及び透過を切り替え可能なセンサモジュール。
【請求項2】
前記座標情報は、第1方向の座標を示す第1座標情報、及び前記第1方向とは異なる第2方向の座標を示す第2座標情報を含み、
前記駆動信号は、前記第1座標情報に基づいて出力される第1駆動信号と、前記第2座標情報に基づいて出力される第2駆動信号を含む、請求項1に記載のセンサモジュール。
【請求項3】
前記遮光パネルは、前記第1方向に沿って設けられ、前記第1駆動信号に基づいて駆動される第1遮光パネルと、前記第2方向に沿って設けられ、前記第2駆動信号に基づいて駆動される第2遮光パネルと、を含む、請求項2に記載のセンサモジュール。
【請求項4】
前記第1遮光パネルは、前記第1方向に沿って設けられた複数の第1電極を有し、
前記複数の第1電極のうち、前記第1座標情報に基づいて選択された少なくとも1つの第1電極に前記第1駆動信号が印加され、
前記第2遮光パネルは、前記第2方向に沿って設けられた複数の第2電極を有し、
前記複数の第2電極のうち、前記第2座標情報に基づいて選択された少なくとも1つの第2電極に前記第2駆動信号が印加される、請求項3に記載のセンサモジュール。
【請求項5】
前記第1遮光パネルは、前記複数の第1電極に対向する第1対向電極と、前記複数の第1電極と前記第1対向電極との間に設けられた高分子分散型液晶と、を有し、
前記第2遮光パネルは、前記複数の第2電極に対向する第2対向電極と、前記複数の第2電極と前記第2対向電極との間に設けられた高分子分散型液晶と、を有し、
前記第1遮光パネルは、前記第1駆動信号が印加された第1電極に対応する領域が不透明に変化し、
前記第2遮光パネルは、前記第2駆動信号が印加された第2電極に対応する領域が不透明に変化する、請求項4に記載のセンサモジュール。
【請求項6】
前記複数のセンサの各々は、導体の接近に応じて静電容量が変化する電極を含み、
前記検出信号は、前記電極の前記静電容量の変化を示す信号、または前記静電容量の大きさを示す信号である、請求項1乃至5の何れか一項に記載のセンサモジュール。
【請求項7】
第1センサモジュールと、
前記第1センサモジュールに隣接して設けられる第2センサモジュールと、
を備え、
前記第1センサモジュールは、
複数のセンサを備える非接触式センサアレイと、
前記非接触式センサアレイから出力される検出信号を受信し、前記検出信号に基づいて座標情報を生成する制御部と、
前記制御部から前記座標情報を受信し、前記座標情報に基づいて駆動信号を出力する駆動部と、
前記駆動信号に基づいて駆動される遮光パネルと、
を備え、
前記第2センサモジュールは、
基板と、
前記基板上に設けられた発光部と、
前記基板上に設けられ、前記発光部に対向する受光部と、
を備え、
前記第1センサモジュールの前記遮光パネルは、前記第2センサモジュールの前記発光部と前記受光部との間に位置する、タッチパネル。
【請求項8】
前記発光部は、赤外線を発光する発光素子を含み、
前記受光部は、前記発光素子からの赤外線を受光する受光センサを含む、請求項7に記載のタッチパネル。
【請求項9】
前記座標情報は、第1方向の座標を示す第1座標情報、及び前記第1方向とは異なる第2方向の座標を示す第2座標情報を含み、
前記駆動信号は、前記第1座標情報に基づいて出力される第1駆動信号と、前記第2座標情報に基づいて出力される第2駆動信号を含む、請求項7又は8に記載のタッチパネル。
【請求項10】
前記遮光パネルは、前記第1方向に沿って設けられ、前記第1駆動信号に基づいて駆動される第1遮光パネルと、前記第2方向に沿って設けられ、前記第2駆動信号に基づいて駆動される第2遮光パネルと、を含み、
前記発光部は、前記第1方向に沿って設けられる第1発光部と、前記第2方向に沿って設けられる第2
発光部と、を含み、
前記受光部は、前記第1発光部に対向する第1受光部と、前記第2
発光部に対向する第2受光部と、を含み、
前記第1遮光パネルは、前記第1発光部と前記第1受光部との間に設けられ、
前記第2遮光パネルは、前記第2発光部と前記第2受光部との間に設けられる、請求項9に記載のタッチパネル。
【請求項11】
前記第1遮光パネルは、前記第1方向に沿って設けられた複数の第1電極を有し、各第1電極は、前記第1発光部の発光素子と前記第1受光部の受光センサの間であって当該発光素子の光軸上に設けられており、
前記複数の第1電極のうち、前記第1座標情報に基づいて選択された少なくとも1つの第1電極に前記第1駆動信号が印加され、
前記第2遮光パネルは、前記第2方向に沿って設けられた複数の第2電極を有し、各第2電極は、前記第2発光部の発光素子と前記第2受光部の受光センサの間であって当該発光素子の光軸上に設けられており、
前記複数の第2電極のうち、前記第2座標情報に基づいて選択された少なくとも1つの第2電極に前記第2駆動信号が印加される、請求項10に記載のタッチパネル。
【請求項12】
前記第1遮光パネルは、前記複数の第1電極に対向する第1対向電極と、前記複数の第1電極と前記第1対向電極との間に設けられた高分子分散型液晶と、を有し、
前記第2遮光パネルは、前記複数の第2電極に対向する第2対向電極と、前記複数の第2電極と前記第2対向電極との間に設けられた高分子分散型液晶と、を有し、
前記第1遮光パネルは、前記第1駆動信号が印加された第1電極に対応する領域が不透明に変化し、
前記第2遮光パネルは、前記第2駆動信号が印加された第2電極に対応する領域が不透明に変化する、請求項11に記載のタッチパネル。
【請求項13】
前記複数のセンサの各々は、導体の接近に応じて静電容量が変化する電極を含み、
前記検出信号は、前記電極の前記静電容量の変化を示す信号、または前記静電容量の大きさを示す信号である、請求項7に記載のタッチパネル。
【請求項14】
第1センサモジュールと、
前記第1センサモジュールに隣接して設けられる第2センサモジュールと、
を備え、
前記第1センサモジュールは、
複数のセンサを備える非接触式センサアレイと、
前記非接触式センサアレイと重畳し、前記非接触式センサアレイの主面に平行な方向へ進む第1光の遮光及び透過を切り替え可能な第1遮光パネルと、
を備え、
前記第2センサモジュールは、
基板と、
前記基板上に設けられた第1発光部と、
前記基板上に設けられ、前記
第1発光部に対向する第1受光部と、
を備え、
前記第1遮光パネルは、前記第2センサモジュールの前記第1発光部と前記第1受光部との間に位置する、タッチパネル。
【請求項15】
前記第1発光部は、前記非接触式センサアレイが検出した検出位置と、平面視で交差する
第1出射光
と、前記検出位置と平面視で交差しない第2出射光とを出射し、
前記第1遮光パネルは、前記
第1出射光を遮光する、請求項14に記載のタッチパネル。
【請求項16】
前記第1光は、赤外線である、請求項14に記載のタッチパネル。
【請求項17】
前記非接触式センサアレイと重畳する第2遮光パネルと、前記第2センサモジュールが備える第2発光部と、前記第2センサモジュールが備える第2受光部と、を更に備え、
前記第1光は第1方向へ進み、
前記第2遮光パネルは、前記第2発光部と前記第2受光部との間に位置し、前記第1方向と交差する第2方向へ進む第2光の遮光、透過を切り替え可能である、請求項14に記載のタッチパネル。
【請求項18】
前記第1発光部は、前記非接触式センサアレイが検出した検出位置と、平面視で交差する第1出射光
と、前記検出位置と平面視で交差しない第2出射光とを出射し、
前記第
2発光部は、前記非接触式センサアレイが検出した検出位置と、平面視で交差する
第3出射光と、前記検出位置と平面視で交差しない第4出射光とを出射し、
前記第1遮光パネルは、前記第
1出射光を遮光し、
前記第2遮光パネルは、前記第
3出射光を遮光する、請求項17に記載のタッチパネル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の一実施形態は、センサモジュール及び該センサモジュールを備えたタッチパネルに関する。特にホバーセンサを備えたセンサモジュール及び該センサモジュールを備えたタッチパネルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、液晶パネルなどの表示パネル上にタッチセンサを備えたタッチパネルが実用化されている。タッチパネルは、タッチパネルの表面を指やペンなどで触れることによって操作することができる。タッチパネルは、ATM(automatic teller machine)、自動精算機、券売機などに実装されている。タッチパネルを指で操作する場合、不特定多数のユーザが指先で直接タッチパネルに接触する。そのため、タッチパネルを介して細菌やウイルスなどの接触感染が発生する虞があり、衛生面で課題があった。
【0003】
このような課題を解決するため、例えば、特許文献1には、表示画像が浮き出した実像表示面上に非接触センサを配置した、非接触型ユーザインターフェースが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載された非接触型ユーザインターフェースは、表示部に表示画像が浮き出して表示できるものを使用する。そのため、ATM、自動精算機、券売機などに適用されている既存のタッチパネルに特許文献1に記載された非接触型ユーザインターフェースを適用する場合、既存のシステムの置き換えや、表示部を構成する機器を変更する必要がある。
【0006】
また、特許文献1に記載された非接触型ユーザインターフェースを作動させるには、タッチ検出用の赤外線が照射される領域に被検出体を近づけなければならないため、誤って表示パネルに被検出体が接触してしまう虞がある。
【0007】
本発明の課題の一つは、既存のシステムに容易に適用することができる、非接触式タッチインタパネルを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の一実施形態に係るセンサモジュールは、カバー部材と、複数のセンサを備え、前記カバー部材と重畳して設けられる非接触式センサアレイと、前記非接触式センサアレイから出力される検出信号を受信し、前記検出信号に基づいて座標情報を生成する制御部と、前記制御部から前記座標情報を受信し、前記座標情報に基づいて駆動信号を出力する駆動部と、前記駆動信号に基づいて駆動される遮光パネルと、
を備える。
【0009】
本開示の一実施形態に係る、タッチパネルは、第1センサモジュールと、前記第1センサモジュールに隣接して設けられる第2センサモジュールと、を備え、前記第1センサモジュールは、カバー部材と、複数のセンサを備え、前記カバー部材と重畳して設けられる非接触式センサアレイと、前記非接触式センサアレイから出力される検出信号を受信し、前記検出信号に基づいて座標情報を生成する制御部と、前記制御部から前記座標情報を受信し、前記座標情報に基づいて駆動信号を出力する駆動部と、前記駆動信号に基づいて駆動される遮光パネルと、を備え、前記第2センサモジュールは、基板と、前記基板上に設けられた発光部と、前記基板上に設けられ、前記発光部に対向する受光部と、を備え、前記第1センサモジュールの前記遮光パネルは、前記第2センサモジュールの前記発光部と前記受光部との間に位置する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】一実施形態に係るタッチパネルの構成の一例を示す概略図である。
【
図2】一実施形態に係る非接触センサアレイの構成の一例を示す平面図である。
【
図3】第1IC素子、及び第2IC素子の構成の一例を示すブロック図である。
【
図4】第3IC素子の構成の一例を示すブロック図である。
【
図5】一実施形態に係る第2遮光パネルの構成の一例を示す平面図である。
【
図6】一実施形態に係る第2遮光パネルの構成の一例を示す断面図である。
【
図7】一実施形態に係る第2センサモジュールの構成の一例を示す斜視図である。
【
図8】一実施形態に係る第2センサモジュールの構成の一例を示す平面図である。
【
図9】一実施形態に係るタッチパネルの動作の一例を説明するための概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示の実施形態について、図面等を参照しつつ説明する。但し、本開示は、その要旨を逸脱しない範囲において様々な態様で実施することができる。本開示は、以下に例示する実施形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。図面は、説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合がある。しかしながら、図面は、あくまで一例であって、本開示の解釈を限定するものではない。
【0012】
本開示の実施形態を説明する際、「上に」又は「下に」という表現は、単に、各要素の相対的な位置関係を説明しているにすぎない。例えば、第1の構成要素が第2の構成要素の「上に」配置されるという表現は、第1の構成要素が第2の構成要素の「直上に」ある場合だけではなく、第1の構成要素と第2の構成要素との間に別の構成要素が介在する場合も含む。さらに、「上に」又は「下に」という表現は、平面視において各要素が重畳する場合だけでなく、重畳しない場合をも含む。
【0013】
本明細書において「αはA、B又はCを含む」、「αはA、B及びCのいずれかを含む」、「αはA、B及びCからなる群から選択される一つを含む」といった表現は、特に明示が無い限り、αはA~Cの複数の組み合わせを含む場合を排除しない。さらに、これらの表現は、αが他の要素を含む場合も排除しない。
【0014】
本開示の実施形態を説明する際、既に説明した要素と同様の機能を備えた要素については、同一の符号又は同一の符号にアルファベット等の記号を付して、説明を省略することがある。例えば、ある符号を付した要素が図面中に複数存在する場合、それぞれ「a」、「b」等を符号に付して区別する場合がある。他方、それぞれの要素を区別する必要がない場合は、その要素を示す符号のみを用いて説明する。
【0015】
[タッチパネルの構成]
図1を参照して、本開示の一実施形態に係るタッチパネル10の構成について説明する。
【0016】
図1は、本開示の一実施形態に係るタッチパネル10の構成の一例を示す概略図である。
図1に示すように、タッチパネル10は、第1センサモジュール100、及び第2センサモジュール200を含む。
【0017】
以下、
図1~
図6を参照して、第1センサモジュール100の構成について説明する。
図1に示すように、第1センサモジュール100は、カバー部材101と、非接触センサアレイ103と、遮光パネル105と、回路基板107と、第1IC素子113と、第2IC素子115と、第3IC素子117とを備える。
【0018】
カバー部材101は、ガラス基材であってもよい。しかしながら、カバー部材101の材質はガラスに限定されるわけではない。カバー部材101は、例えば、アクリル樹脂などの可視光線を透過可能な絶縁性の材料から構成されてもよい。
【0019】
非接触センサアレイ103は、カバー部材101に重畳し、カバー部材101に隣接して設けられる。
図2は、非接触センサアレイ103の構成の一例を示す平面図である。
図2に示すように、非接触センサアレイ103は、基板109、及び複数のセンサ111を含む。また、非接触センサアレイ103は、電圧調整回路112を含んでもよい。
【0020】
基板109は、絶縁性の基板である。基板109は、ガラス基板109であってもよい。しかしながら、基板109はガラス基板に限定されるわけではない。基板109は、可視光線を透過可能な絶縁性の材料から構成されてもよい。このような絶縁性の材料としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、ビニル系樹脂、ポリカーボネート(PC)、ポリアミド(PA)、ポリイミド(PI)、ポリビニルアルコール(PVA)、アクリル樹脂、トリアセチルセルロース(TAC)等の樹脂材料があげられる。基板109の形状は限定されないが、ここでは一例として、基板109が、第1方向Dx、及び第1方向Dxに直交する第2方向Dyに沿った辺を有する矩形状である場合を説明する。
【0021】
基板109上には、複数のセンサ111が形成される。
図2に示すように、複数のセンサ111は、第1方向Dx及び第2方向Dyに沿って、基板上109にマトリクス状に配置されることができる。
図2では、一例として、複数のセンサ111が、基板109上において、4行×8列のマトリックス状に配置された形態を示している。しかしながら、センサ111の数、及び配置はこれに限定されるわけではない。
【0022】
センサ111は、矩形状の面状パターンから構成されてもよい。センサ111のサイズは、例えば、28mm×30mmの矩形状であってもよい。但し、センサ111のサイズはこれに限定されない。センサ111のサイズが大きくなれば、センサ111の感度が向上する。すなわち、センサ111のサイズが大きくなるほど、非接触式センサアレイ103から離れた被検出体の検知が可能になる。一方、センサ111のサイズが大きすぎると、非接触式センサアレイ103に近接する被検出体の位置の検出精度が落ちる。そのため、センサ111のサイズは、非接触式センサアレイ103から離れた被検出体の検知が可能であり、且つ非接触式センサアレイ103に近接する被検出体の位置が特定できる程度のサイズであればよい。尚、細菌やウイルスなどの接触感染を考慮し、センサ111は、非接触式センサアレイ103から5cm程度離れた被検出体を検知することができるほどのサイズを有することが好ましい。
【0023】
センサ111は、電極から構成される。センサ111を構成する電極は、酸化インジウムスズ(ITO:Indium Tin Oxide)、チオフェン系ポリマーであるPEDOT/PSSなどの導電性高分子などの透明導電性材料あるいは金属細線等のメタル材料(メッシュレイアウト)から構成される。複数のセンサ111のうち、隣接する二つのセンサ111は互いに電気的に独立している。
【0024】
複数のセンサ111はそれぞれ、図示しない電源部に電気的に接続される。電源部は、複数のセンサ111に所定の電圧を周期的に印加する。各センサ111にそれぞれ印加される電圧は、パルス電圧(交流矩形波)であってもよい。センサ111に被検出体である導体(例えば、人の指など)が接近すると、該センサ111を構成する電極と被検出体との間に疑似的なコンデンサが形成される。その結果、該センサ111を構成する電極の静電容量が変化する。センサ111は、該センサ111を構成する電極の静電容量の変化を検出信号として出力してもよい。また、センサ111は、該センサ111を構成する電極の静電容量の大きさを検出信号として出力してもよい。
【0025】
図示はしないが、基板109上には複数の配線が設けられる。複数の配線はそれぞれ、対応するセンサ111から出力される検出信号を後述する回路基板107に伝達する。非接触式センサアレイ103が、電圧調整回路112を含む場合、検出信号は、各配線に接続される配線を介してまず電圧調整回路112に伝達される。電圧調整回路112は、オペアンプ(図示せず)を含む。電圧調整回路112は、入力された検出信号を増幅する。増幅された検出信号は、回路基板107に出力される。
【0026】
遮光パネル105は、高分子分散型液晶パネルである。遮光パネル105は、第1方向Dxに沿って設けられる第1遮光パネル105aと、第2方向Dyに沿って設けられる第2遮光パネル105bとを含む。第1遮光パネル105a及び第2遮光パネル105bはそれぞれ、被検出体の位置を示す座標情報に基づく駆動信号によって駆動される。遮光パネル105の詳細な構成については後述する。
【0027】
回路基板107は、フレキシブル回路(FPC)基板であってもよい。回路基板107には、第1IC素子113、第2IC素子115及び第3IC素子117が実装される。
【0028】
図3は、第1IC素子113、及び第2IC素子115の構成の一例を示すブロック図である。
図3を参照して、第1IC素子113、及び第2IC素子115の構成について説明する。
【0029】
第1IC素子113は、アナログフロントエンド(AFE:Analog Front End)を含むICチップであってもよい。非接触式センサアレイ103に設けられた複数のセンサ111から出力された検出信号は、第1IC素子113に入力される。第1IC素子113に入力された検出信号は、アナログフロントエンドにより調整される。調整された検出信号は、第1IC素子113から配線(図示せず)を介して第2IC素子115に出力される。
【0030】
第2IC素子115は、マイクロコントローラユニット(MCU:Micro Controller Unit)であってもよい。第2IC素子115のMCUは、制御部300を構成する。制御部300は、制御回路301、メモリ部303と、A/D変換部309と、演算部315と、I/Oインターフェース317とを含む。
【0031】
制御回路301は、後述するROM305に記憶された制御プログラムをCPUにより実行して、第1IC素子113から出力された検出信号に基づいて、被検出体の位置を示す座標情報を生成するための機能を実現する。
【0032】
メモリ部303は、ROM305及びRAM307を含む。ROM305は、制御回路301が実行する各種のコンピュータプログラム、制御回路301が所定のコンピュータプログラムを実行する際に参照する各種のデータなどを読み出し可能に記憶する。RAM307は、制御回路301が所定のコンピュータプログラムを実行する際に発生する各種データなどを一時的に記憶するワーキングメモリとして使用される。また、RAM307は、実行中のコンピュータプログラムやそれに関連するデータを一時的に記憶するメモリなどとして使用することもできる。
【0033】
A/D変換部309は、ローパスフィルタ(LPF)311、及びA/Dコンバータ313を有する。ローパスフィルタ311は、検出信号に含まれる高周波成分(ノイズ成分)を除去する。A/Dコンバータ313は、ノイズが除去された、アナログの検出信号をサンプリングしてデジタル信号に変換する。A/D変換部309は、デジタル化された検出信号を演算部315に出力する。
【0034】
演算部315は、非接触式センサアレイ103に対する被検出体の接近の有無を判定し、さらに被検出体の座標上の位置を決定する論理回路であってもよい。演算部315は、A/D変換部309から入力されたデジタル化された検出信号に基づいて、非接触式センサアレイ103に対する被検出体の接近の有無を決定する。センサ111が該センサを構成する電極の静電容量の変化を検出信号として出力する場合、演算部315は、検出信号を出力したセンサ111に被検出体が接近したと判定し、検出信号を出力したセンサ111の位置に基づいて、被検出体のxy座標上の位置を決定する。演算部315は、決定された被検出体のxy座標上の位置を示す座標情報を生成する。座標情報は、x座標情報(第1座標情報)及びy座標情報(第2座標情報)を含む。演算部315は、I/Oインターフェース317を介して第3IC素子117に座標情報を伝達する。
【0035】
センサ111が、該センサ111を構成する電極の静電容量の大きさを検出信号として出力する場合、演算部315は、検出された静電容量の大きさが、以前に検出された静電容量の大きさから変化しているか否かを判定する。判定の結果、検出された静電容量の大きさが、以前に検出された静電容量の大きさから所定の変化量以上に変化している場合、演算部315は、静電容量が変化している電極に対応するセンサ111に被検出体が接近したと判定し、検出信号を出力したセンサ111の位置に基づいて、被検出体のxy座標上の位置を決定する。尚、判定の結果、検出された静電容量の大きさが、以前に検出された静電容量の大きさと変わらない場合、又は静電容量が変化していたとしても、その変化量が所定の変化量未満の場合、演算部315は、該静電容量を有する電極に対応するセンサ111への被検出体の接近はないと判定する。
【0036】
図4は、第3IC素子117の構成の一例を示すブロック図である。
図4を参照して、第3素子117の構成について説明する。第3IC素子117は、駆動部400、及び電源部410を含む。
【0037】
駆動部400は、遮光パネル150を駆動するための駆動電圧(駆動信号)を生成して、生成された駆動電圧を遮光パネルに出力する。駆動部400は、第1駆動回路401、第2回路駆動部403、第3回路駆動部405及び駆動制御部407を含む。
【0038】
駆動制御部407は、制御部300から座標情報を受信する。駆動制御部407は、受信した座標情報に含まれるx座標情報に基づいて、第1遮光パネル105aに設けられた複数の電極のうちからx座標情報に対応する電極を少なくとも1つ選択する。また、駆動制御部407は、受信した座標情報に含まれるy座標情報に基づいて、第2遮光パネル105bに設けられた複数の電極のうちからy座標情報に対応する電極を少なくとも1つ選択する。駆動制御部407は、x座標情報と第1遮光パネル105aに設けられた複数の電極とがそれぞれ関連付けられたテーブルを保持していてもよい。駆動制御部407は、このテーブルを参照して、受信したx座標情報に対応付けられた少なくとも1つの電極を第1遮光パネル105aに設けられた複数の電極から選択してもよい。同様に、駆動制御部407は、y座標情報と第2遮光パネル105bに設けられた複数の電極とがそれぞれ関連付けられたテーブルを保持していてもよい。駆動制御部407は、このテーブルを参照して、受信したy座標情報に対応付けられた少なくとも1つの電極を第2遮光パネル105bに設けられた複数の電極から選択してもよい。駆動制御部407は、選択された電極を示す駆動制御信号を第1駆動回路401及び第2駆動回路403に出力する。
【0039】
第1駆動回路401は、第1遮光パネル105aを駆動するための第1駆動電圧(第1駆動信号)VXを生成し、第1遮光パネル105aに生成した第1駆動電圧VXを出力する。ここで、第1駆動回路401は、駆動制御信号に基づいて、第1遮光パネル105aに設けられた複数の電極のうちから少なくとも1つ選択された電極に第1駆動電圧VXを出力する。
【0040】
第2駆動回路403は、第2遮光パネル105bを駆動するための第2駆動電圧(第2駆動信号)VYを生成して、第2遮光パネル105bに第2駆動電圧VYを出力する。ここで、第2駆動回路403は、駆動制御信号に基づいて、第2遮光パネル105bに設けられた複数の電極のうちから少なくとも1つ選択された電極に第2駆動電圧VYを出力する。
【0041】
第3駆動回路405は、第1遮光パネル105a及び第2遮光パネル105bを駆動するための第3駆動電圧(第3駆動信号)Vcomを生成して、第1遮光パネル105a及び第2遮光パネル105bに第3駆動電圧Vcomを出力する。第3駆動電圧Vcomは、第1駆動電圧VX及び第2駆動電圧VYに対して電位差を有する電圧である。
【0042】
電源部410は、駆動部400を駆動するための各種の駆動電力を駆動部400に供給する。
【0043】
遮光パネル105の詳細な構成について、
図5及び
図6を参照して説明する。
図5は、遮光パネル105の構成の一例を示す平面図である。尚、
図5では、遮光パネル105として、第2遮光パネル105bの構成を示している。
図6は、第2遮光パネル105bの構成の一例を示す断面図である。第1遮光パネル105aの構成は、
図5及び
図6に示す第2遮光パネル105bの構成と略同一であるため、図示を省略し、重複する説明を省略する。
【0044】
第2遮光パネル105bは、リバースモード高分子分散型液晶(Reverse-mode Polymer Dispersed Liquid Crystal:R-PDLC)パネルである。第2遮光パネル105bは、複数の電極(第2電極)501と、対向電極(第2対向電極)503と、液晶層505と、垂直配向膜509、513とを備える。
【0045】
複数の電極501は、基板511上に設けられる。基板511は、ガラスなどの絶縁性の透明基板であってもよい。また、基板511は、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル樹脂、ポリメチルメタクリレート(PMMA)等のアクリル樹脂、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン樹脂、トリアセチルセルロース(三酢酸セルロース:TAC)等のセルロース系樹脂、シクロオレフィンポリマー(COP)、ポリカーボネート(PC)樹脂などを含有する透明な絶縁性基板又はフィルム材であってもよい。複数の電極501はそれぞれ、ITO(Indium Tin Oxide)、IZO(Indium Zinc Oxide)等などの透明電極から構成される。複数の電極501は、後述する第2センサモジュール200の第2発光部(203b)に設けられる複数の発光素子(701)に対応して設けられる。複数の電極501のうち、y座標情報に基づいて少なくとも1つ選択された電極501には、第2駆動電圧が第2駆動回路403から配線を介して印加される。電極501の対向電極503と対向する面には、垂直配向膜509が設けられる。
【0046】
対向電極503は、複数の電極501に対向する。対向電極503は、複数の電極501に対向する1つの共通電極であってもよい。対向電極503は、ITO、IZOなどの透明電極から構成される。対向電極503は、ガラスなどの絶縁性の透明基板である基板507上に設けられてもよい。なお、当該基板507は基板511と同様の樹脂材料により形成することも可能である。基板507には、電極501に電気的に接続される配線が設けられる。対向電極503には、第3駆動電圧Vcomが第3駆動回路405から配線を介して印加される。第3駆動電圧Vcomは、例えば、0Vであってもよい。対向電極503の複数の電極501と対向する面には、垂直配向膜513が設けられる。
【0047】
液晶層505は、複数の電極501と対向電極503との間に設けられる。液晶層505では、ポリマー515中に液晶分子517の液滴519が分散している。図示はしないが、液晶層505には、電極501と対向電極503との距離を所定の間隔に保持するためのスペーサが設けられていてもよい。
【0048】
液晶分子517には、ネガ型の液晶分子である。電極501と対向電極503との間に電界が生じていない状態において、液晶分子517には、垂直配向膜509、513による配向作用によって垂直配向される。そのため、電極501と対向電極503との間に電界が生じていない状態では、液晶層505は光を透過させる。
【0049】
一方、複数の電極501のうち、y座標情報に基づいて選択された電極501に第2駆動電圧が印加されると、選択された電極501と対向電極503との間に電界が生じる。電極501と対向電極503との間に電界が生じると、液晶分子517の向きは不規則になる。そのため、電極501と対向電極503との間に電界が生じると、液晶層505は光を散乱させる。その結果、第2駆動電圧が印加された電極501に対応する領域において、第2遮光パネル105bに照射された光は透過しない。
【0050】
以上では、第2遮光パネル105bがパッシブ型の液晶パネルである場合を説明した。しかしながら、本実施形態はこれに限定されず、第2遮光パネル105bはアクティブ型の液晶パネルであってもよい。
【0051】
また、以上では、第2遮光パネル105bがPDLC構造である場合を説明した。しかしながら、本実施形態はこれに限定されず、第2遮光パネル105bは、ポリマーの3次元ネットワーク構造に液晶分子が分散されたポリマーネットワーク(Polymer Network Liquid Crystal:PNLC)構造を有してもよい。
【0052】
図5及び
図6を参照して説明された、第2遮光パネル105bの構成は、第1遮光パネル105aの構成にも同様に適用される。尚、第1遮光パネル105aに設けられる複数の電極(第1電極)は、第2センサモジュール200の第1発光部203aに設けられる複数の発光素子701に対応して設けられる。また、第1遮光パネル105aには、第2遮光パネル105bに印加された第2駆動電圧に代わって、複数の電極(第1電極)のうちx座標情報に基づいて選択された電極に第1駆動電圧が印加される。
【0053】
次に、
図1、
図7及び
図8を参照して、第2センサモジュール200の構成について説明する。
図7は、第2センサモジュール200の構成の一例を示す斜視図である。
図8は第2センサモジュール200の構成の一例を示す平面図である。
【0054】
図1に示すように、第2センサモジュール200は、基板201と、発光部203と、受光部205とを備える。尚、
図7及び
図8において、基板201の図示は省略する。
【0055】
基板201は、ガラス基板であってもよい。また、基板201は、ガラフィルムであってもよい。しかしながら、基板201の材質はガラスに限定されるわけではない。基板201は、例えば、アクリル樹脂などの可視光線を透過可能な絶縁性の材料から構成されてもよい。基板201の形状は限定されないが、ここでは一例として、基板201が、第1方向Dx、及び第1方向Dxに直交する第2方向Dyに沿った辺を有する矩形状である場合を説明する。
【0056】
基板201上には、発光部203が設けられる。発光部203は、第1方向Dxに沿って設けられた第1発光部203aと、第2方向Dyに沿って設けられた第2発光部203bとを含む。第1発光部203aには、赤外線を照射する複数の発光素子701が第1方向Dxに沿って所定の間隔で設けられている。第2発光部203bには、赤外線を照射する複数の発光素子701が第2方向Dyに沿って所定の間隔で設けられている。
【0057】
また、基板201上には、受光部205が設けられる。受光部205は、発光部203に対向して設けられる。受光部205は、第1方向Dxに沿って設けられた第1受光部205aと、第2方向Dyに沿って設けられた第2受光部205bとを含む。
【0058】
第1受光部205aは、第1発光部203aに対向する。第1受光部205aには、赤外線を検知する複数の受光センサ703が第1方向Dxに沿って所定の間隔で設けられている。第1受光部205aにおいて、複数の受光センサ703は、第1受光部205aに対向する第1発光部203aに設けられる発光素子701にそれぞれ対応するように設けられる。
【0059】
第2受光部205bは、第2発光部203bに対向する。第2受光部205bには、赤外線を検知する複数の受光センサ703が第2方向Dyに沿って所定の間隔で設けられている。第2受光部205bにおいて、複数の受光センサ703は、第2受光部205bに対向する第2発光部203bに設けられる発光素子701にそれぞれ対応するように設けられる。
【0060】
[タッチパネルの動作]
次に、
図9を参照して、タッチパネル10の動作の一例について説明する。
図9は、タッチパネル10の動作を説明するための概略図である。
図9では、第1センサモジュール100の遮光パネル105として、第2遮光パネル105bのみを示し、第1遮光パネル105aの図示を省略している。また、
図9では、第2センサモジュール200の発光部203及び受光部205として、第2発光部203b及び第2受光部205bのみを示し、第1発光部203a及び第1受光部205aの図示を省略している。
【0061】
図9に示すように、第2遮光パネル105bは、第2センサモジュール200の第2発光部203b及び第2受光部205bの間に設けられる。図示はしないが、同様に、第1遮光パネル105aは、第2センサモジュール200の第1発光部203a及び第1受光部205aの間に設けられる。より具体的には、第2方向Dyに沿って設けられる各発光素子701の光軸上に受光センサ703が設けられており、各光軸上であって発光素子701と受光センサ703との間となる位置に第2遮光パネル105bの電極(第2電極)501がそれぞれ位置している。第1遮光パネル105aの配置についても同様である。つまり、第1方向Dxに沿って設けられる各発光素子701の光軸上に受光センサ703が設けられており、各光軸上であって発光素子701と受光センサ703との間となる位置に第1遮光パネル105aの電極(第1電極)がそれぞれ位置している。なお、
図1に示す如く、これら遮光パネル105(第1遮光パネル105a、及び第2遮光パネル105b)は受光部205に隣接して設けられていてもよく、発光部203に隣接して設けられていてもよい。
【0062】
第1センサモジュール100の非接触式センサアレイ103に被検出体901が近接すると、被検出体901に近接したセンサ111aを構成する電極、及びセンサ111aの周囲の電極(センサ111b~111i)の静電容量が変化する。センサ111aは、これら電極の静電容量が変化に応じて、検出信号を出力する。
【0063】
検出信号は、第1IC素子113に入力されて、AFEによって調整される。調整された検出信号は、第2IC素子115に出力される。第2IC素子115の制御部300は、入力された検出信号に基づいて、検出信号を出力したセンサ111a~111iからの静電容量の変化量と各センサの位置に基づいて演算部315によって座標の計算を行い、被検出体901のxy座標上の位置を決定する。ここでは、決定された被検出体901の位置を(x1、y1)とする。制御部300は、決定された被検出体901のxy座標上の位置(x1、y1)を示す座標情報を生成する。座標情報は、x座標情報X1及びy座標情報をY1含む。生成された座標情報は、第3IC素子117に出力される。
【0064】
座標情報は、第3IC素子117の駆動部400に入力される。駆動制御部407は、座標情報に基づいて、駆動部400から駆動電圧の印加を受ける電極を選択する。ここでは、駆動制御部407が、y座標情報Y1に基づいて、第2遮光パネル105bに設けられた複数の電極(第2電極)501から、y座標情報Y1に対応する少なくとも1つの電極として電極501Aを選択する場合を説明する。また、駆動制御部407は、x座標情報X1に基づいて、第1遮光パネル105aに設けられた複数の電極(第1電極)のうちからx座標情報に対応する電極を少なくとも1つ選択する。
【0065】
さらに、駆動部400は、第1遮光パネル105a及び第2遮光パネル105bを駆動するための駆動電圧を生成して、座標情報(x座標情報X1、y座標情報Y1)に基づいて選択された電極に生成した駆動電圧を出力する。具体的には、第1駆動回路401は、第1遮光パネル105aを駆動するための第1駆動電圧V
X1を生成して、第1遮光パネル105aにおける選択された電極に第1駆動電圧V
X1を出力する。尚、第1駆動回路401は、第1遮光パネル105aにおける選択された電極を除く他の電極には、後述する対向電極503に印加される第3駆動電圧V
comと同じ駆動電圧を出力する。つまり、第1遮光パネル105aにおける選択された電極を除く他の電極と対向電極との電位差が0になるようする。第3IC素子の第2駆動回路403は、
図9に示す如く、第2遮光パネル105bを駆動するための第2駆動電圧V
Y1を生成して、第2遮光パネル105bに第2駆動電圧V
Y1を出力する。ここでは、第2駆動回路403は、電極501Aに第2駆動電圧V
Y1を出力する。尚、第2駆動回路403は、第2遮光パネル105bにおける電極501Aを除く他の電極501には、後述する対向電極503に印加される第3駆動電圧V
comと同じ駆動電圧を出力する。つまり、第2遮光パネル105bにおける選択された電極を除く他の電極501と対向電極503との電位差が0になるようする。
【0066】
第3駆動回路405は、第1遮光パネル105a及び第2遮光パネル105bを駆動するための第3駆動電圧Vcomを生成して、第1遮光パネル105a及び第2遮光パネル105bにおける対向電極に出力する。第3駆動電圧Vcomは、所定の周期を有する交流電圧であってもよく、所定の固定電位を有する直流電圧であってもよい。
【0067】
電極501Aに第2駆動電圧V
Y1が印加されると、電極501Aと第3駆動電圧V
comが印加される対向電極(第2対向電極)503(
図9においては図示せず)との間に電界が生じる。すると、第2遮光パネル105bの電極501Aに対応する領域において、第2発光部203bから照射される赤外線が散乱するため、赤外線は第2遮光パネル105bを透過しない。その結果、電極501Aに対応する受光センサ703Aは、対応する発光素子701から照射された赤外線を検知することができない。
【0068】
図示はしないが、第1遮光パネル105aにおいても、同様に、x座標情報X1に基づいて選択された電極(第1電極)に第1駆動電圧VX1が印加されると、第3駆動電圧Vcomが印加される対向電極(第1対向電極)との間に電界が生じる。すると、第1駆動電圧VX1が印加された電極に対応する領域において、第1発光部203aから照射される赤外線が散乱するため、赤外線は第1遮光パネル105aを透過しない。その結果、第1駆動電圧VX1が印加された電極に対応する受光センサは、対応する発光素子から照射された赤外線を検知することができない。
【0069】
従来の赤外線(IR)方式タッチパネルを動作させる場合は、タッチパネル(画面)を指などで直接タッチして赤外線を遮る必要があった。しかしながら、本実施形態では、第2センサモジュール200における、非接触式アレイ103に近接した被検出体901のxy座標上の位置(x1、y1)に対応する赤外線が、第1センサモジュール100の第1遮光パネル105a及び第2遮光パネル105bによって遮断される。したがって、従来の赤外線(IR)方式タッチパネルとは異なり、タッチパネルを直接タッチすることなく、第1センサモジュール100の非接触アレイ103に指を近接させるだけで、第2センサモジュールを動作させることができる。そのため、タッチパネルを介した細菌やウイルスなどの接触感染が発生する虞を低減することができる。
【0070】
また、ATM、自動精算機、券売機などに適用されている既存のIR方式タッチパネルが上記第2センサモジュールのようにX方向とY方向に複数の赤外線光源を並べて配置するものである場合、本実施形態の第1センサモジュール100を光源の前に設置すると共に互いの駆動制御に関連するユニット同士を接続するだけで上記実施形態のセンサ構成を実現することができ、既存のシステムの置き換えや、表示部を構成する機器そのものを変更する必要はない。そのため、本実施形態の第1センサモジュール100を既存のシステムに適用し、非接触式のタッチパネルを容易に実現することができる。
【0071】
上述した実施形態を基にして、当業者が適宜構成要素の追加、削除もしくは設計変更を行ったもの、又は、工程の追加、省略もしくは条件変更を行ったものも、本開示の要旨を備えている限り、本開示の範囲に含まれる。
【0072】
また、上述した実施形態の態様によりもたらされる作用効果とは異なる他の作用効果であっても、本明細書の記載から明らかなもの、又は、当業者において容易に予測し得るものについては、当然に本開示によりもたらされるものと解される。
【符号の説明】
【0073】
10・・・タッチパネル、100・・・第1センサモジュール、101・・・カバー部材、103・・・非接触式センサアレイ、105・・・遮光パネル、105a・・・第1遮光パネル、105b・・・第2遮光パネル、107・・・回路基板、109・・・基板、111・・・センサ、112・・・電圧調整回路、113・・・第1IC素子、115・・・第2IC素子、117・・・第3IC素子、200・・・第2センサモジュール、201・・・基板、203・・・発光部、203a・・・第1発光部、203b・・・第2発光部、205・・・受光部、205a・・・第1受光部、205b・・・第2受光部、300・・・制御部、301・・・制御回路、303・・・メモリ部、309・・・A/D変換部、315・・・演算部、317・・・I/Oインターフェース、400・・・駆動部、401・・・第1駆動回路、403・・・第2駆動回路、405・・・第3駆動回路、407・・・駆動制御部、420・・・電源部、501,501A・・・電極、503・・・対向電極、505・・・液晶層、507・・・基板、509・・・配向膜、511・・・基材フィルム、513・・・配光膜、515・・・ポリマー、517・・・液晶分子、519・・・液滴、701・・・発光素子、703,703A・・・受光センサ、901・・・被検出体