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特許7561965リップ間隔調整装置、押出成形用ダイ、押出成形装置、リップ間隔調整方法、及びフィルム製造方法
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  • 特許-リップ間隔調整装置、押出成形用ダイ、押出成形装置、リップ間隔調整方法、及びフィルム製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-26
(45)【発行日】2024-10-04
(54)【発明の名称】リップ間隔調整装置、押出成形用ダイ、押出成形装置、リップ間隔調整方法、及びフィルム製造方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 48/31 20190101AFI20240927BHJP
   B29C 48/92 20190101ALI20240927BHJP
【FI】
B29C48/31
B29C48/92
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2023506457
(86)(22)【出願日】2021-03-16
(86)【国際出願番号】 JP2021010695
(87)【国際公開番号】W WO2022195735
(87)【国際公開日】2022-09-22
【審査請求日】2023-12-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000004215
【氏名又は名称】株式会社日本製鋼所
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】横溝 和哉
(72)【発明者】
【氏名】菅 祐志
(72)【発明者】
【氏名】高橋 正樹
(72)【発明者】
【氏名】富山 秀樹
【審査官】大谷 謙仁
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2010/116842(WO,A1)
【文献】特開2016-036926(JP,A)
【文献】特開2005-186481(JP,A)
【文献】特開2020-179519(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 48/31
B29C 48/92
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
押出成形用ダイの可動リップと相手リップとの間のリップ間隔を調整するリップ間隔調整装置であって、
前記押出成形用ダイの幅方向に複数配置され、各々の配置箇所で前記リップ間隔を調整するリップ間隔調整機構を備え、
前記リップ間隔調整機構は、アクチュエータと、前記アクチュエータの出力軸と前記可動リップとを連結する連結部材と、を備え
前記アクチュエータは、サーボモータを含むリップ間隔調整装置。
【請求項2】
前記アクチュエータは、回転軸である出力軸を含み、
前記連結部材は、先端部が前記可動リップに螺合し、基端部が前記アクチュエータの出力軸に連結されたロッド部材であり、
前記アクチュエータが前記ロッド部材を回転させ当該ロッド部材の前記可動リップに対する螺合量を変化させることにより、前記リップ間隔を調整する請求項1に記載のリップ間隔調整装置。
【請求項3】
前記アクチュエータは、回転軸である出力軸を含み、
前記連結部材は、先端部が前記可動リップに連結され、基端部が前記アクチュエータの出力軸に連結された差動ねじであり、
前記アクチュエータが前記差動ねじを回転させることにより、前記リップ間隔を調整する請求項1に記載のリップ間隔調整装置。
【請求項4】
前記アクチュエータは、アクチュエータ本体に対して押し出し又は引き込まれる出力軸を含み、
前記連結部材は、一端部が前記可動リップに連結され、他端部が前記アクチュエータの出力軸に連結されたロッド部材であり、
前記アクチュエータが前記出力軸を押し出し又は引き込むことにより、前記リップ間隔を調整する請求項1に記載のリップ間隔調整装置。
【請求項5】
前記リップ間隔調整機構は、第1リップ間隔調整機構、及び第2リップ間隔調整機構を含み、
前記第1リップ間隔調整機構、及び前記第2リップ間隔調整機構は、前記押出成形用ダイの幅方向に交互に配置されており、
前記第1リップ間隔調整機構は、第1アクチュエータと、前記第1アクチュエータの出力軸と前記可動リップとを連結する第1連結部材と、を備え、
前記第2リップ間隔調整機構は、第2アクチュエータと、前記第2アクチュエータの出力軸と前記可動リップとを連結する第2連結部材と、を備え、
前記第1アクチュエータは、前記可動リップの近くに配置され、
前記第2アクチュエータは、前記第1アクチュエータに干渉しないように前記可動リップから遠くに配置されている請求項1に記載のリップ間隔調整装置。
【請求項6】
前記相手リップは、固定リップである請求項1からのいずれか1項に記載のリップ間隔調整装置。
【請求項7】
前記相手リップは、前記可動リップとは別の可動リップである請求項1からのいずれか1項に記載のリップ間隔調整装置。
【請求項8】
請求項1からのいずれか1項に記載のリップ間隔調整装置と、
前記可動リップと、
前記相手リップと、を備えた押出成形用ダイ。
【請求項9】
請求項に記載のリップ間隔調整装置と、
前記可動リップを含む第1ダイブロックと、
前記相手リップを含む第2ダイブロックと、を備え、
前記リップ間隔調整機構は、第3リップ間隔調整機構、及び第4リップ間隔調整機構を含み、
前記第3リップ間隔調整機構は、前記第1ダイブロックの幅方向に複数配置され、各々の配置箇所で前記リップ間隔を調整するリップ間隔調整機構であり、
前記第4リップ間隔調整機構は、前記第2ダイブロックの幅方向に複数配置され、各々の配置箇所で前記リップ間隔を調整するリップ間隔調整機構であり、
前記第3リップ間隔調整機構は、第1アクチュエータと、前記第1アクチュエータの出力軸と前記可動リップとを連結する第1連結部材と、を備え、
前記第4リップ間隔調整機構は、第2アクチュエータと、前記第2アクチュエータの出力軸と前記相手リップとを連結する第2連結部材と、を備える押出成形用ダイ。
【請求項10】
請求項8又は9に記載の押出成形用ダイを備えた押出成形装置。
【請求項11】
前記押出成形用ダイの幅方向に沿った複数位置で測定された前記リップ間隔に基づいて、前記リップ間隔が均一となるように、前記アクチュエータを制御する制御部と、をさらに備える請求項10に記載の押出成形装置。
【請求項12】
前記リップ間隔を、前記押出成形用ダイの幅方向に沿った複数位置で測定するリップ間隔測定部をさらに備え、
前記制御部は、前記リップ間隔測定部により測定された前記リップ間隔に基づいて、前記リップ間隔が均一となるように、前記アクチュエータを制御する請求項11に記載の押出成形装置。
【請求項13】
前記リップ間隔から押し出される溶融樹脂により形成されるフィルムの厚みを、前記押出成形用ダイの幅方向に沿った複数位置で測定する厚みセンサと、
前記複数位置で測定された前記フィルムの厚みに基づいて、前記フィルムの厚みが均一となるように、前記アクチュエータを制御する制御部と、をさらに備える請求項10に記載の押出成形装置。
【請求項14】
押出成形用ダイの可動リップと相手リップとの間のリップ間隔を、前記押出成形用ダイの幅方向に沿った複数位置で測定するリップ間隔測定ステップと、
前記複数位置で測定された前記リップ間隔に基づいて、前記リップ間隔が均一となるように、前記押出成形用ダイの幅方向に複数配置され、各々の配置箇所で前記リップ間隔を調整するリップ間隔調整機構の、サーボモータを含むアクチュエータを制御する制御ステップと、を備えるリップ間隔調整方法。
【請求項15】
押出成形用ダイの可動リップと相手リップとの間のリップ間隔から押し出される溶融樹脂により形成されるフィルムの厚みを、前記押出成形用ダイの幅方向に沿った複数位置で測定する厚み測定ステップと、
前記複数位置で測定された前記フィルムの厚みに基づいて、前記フィルムの厚みが均一となるように、前記押出成形用ダイの幅方向に複数配置され、各々の配置箇所で前記リップ間隔を調整するリップ間隔調整機構の、サーボモータを含むアクチュエータを制御する制御ステップと、を備えるリップ間隔調整方法。
【請求項16】
押出成形用ダイの可動リップと相手リップとの間のリップ間隔から溶融樹脂により形成されるフィルムを押し出すステップと、
前記リップ間隔から押し出される前記フィルムの厚みを、前記押出成形用ダイの幅方向に沿った複数位置で測定する厚み測定ステップと、
前記複数位置で測定された前記フィルムの厚みに基づいて、前記フィルムの厚みが均一となるように、前記押出成形用ダイの幅方向に複数配置され、各々の配置箇所で前記リップ間隔を調整するリップ間隔調整機構の、サーボモータを含むアクチュエータを制御する制御ステップと、を備えるフィルム製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リップ間隔調整装置、押出成形用ダイ、押出成形装置、リップ間隔調整方法、及びフィルム製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
先端に形成されたリップ間の間隔(スリット、隙間。以下、リップ間隔と呼ぶ)からフィルム状の溶融樹脂を押し出す押出成形用ダイ(Tダイ)が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1には、リップ間隔から押し出されるフィルム状の溶融樹脂の厚みをその幅方向の全域に亘って均一に制御するため、押出成形用ダイの幅方向に配置された複数のヒートボルトが開示されている。リップ調整ねじを手動で回転させることにより、ヒートボルトは、その軸方向に移動して一方のリップ(可動リップ、フレキシブルリップ)を押し引きし、リップ間隔を局所的に調整する。これにより、リップ間隔からその後に押し出されるフィルム状の溶融樹脂の厚さが均一に制御される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2013-52574号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
複数のヒートボルトそれぞれのリップ調整ねじを一つずつ手動で回転させてリップ間隔を調整するには相当の時間を要するため、改善の余地がある。
【0006】
その他の課題と新規な特徴は、本明細書の記述及び添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一実施の形態に係るリップ間隔調整装置では、押出成形用ダイの幅方向に複数配置され、各々の配置箇所でリップ間隔を調整するリップ間隔調整機構が、アクチュエータと、アクチュエータの出力軸と可動リップとを連結する連結部材と、を備えている。そして、アクチュエータが連結部材を介してリップ間隔を調整する。
【発明の効果】
【0008】
前記一実施の形態によれば、リップ間隔の調整に要する時間を短縮できるリップ間隔調整装置、押出成形用ダイ、押出成形装置、リップ間隔調整方法、及びフィルム製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施の形態1に係る押出成形装置1の全体構成を示す概略図である。
図2】リップ間隔調整装置30が取り付けられたTダイ20の斜視図である。
図3図2中の矢印A1方向から見た矢視図である。
図4図3のIV-IV断面図である。
図5】リップ間隔調整装置30の動作例(成形開始前)のフローチャートである。
図6】リップ間隔調整装置30の動作例(成形開始後)のフローチャートである。
図7】リップ間隔調整装置30によりリップ間隔Sを調整する場合の時間と可動リップ21cの変位量との関係を表すグラフである。
図8A】比較例のリップ間隔調整装置30Aである。
図8B】比較例のリップ間隔調整装置30A(ヒートボルト33)によりリップ間隔Sを調整する場合の時間と可動リップ21cの変位量との関係を表すグラフである。
図9】リップ間隔調整装置30(変形例1)が取り付けられたTダイ20の断面図である。
図10】リップ間隔調整装置30(変形例2)が取り付けられたTダイ20の断面図である。
図11】リップ間隔調整装置30A(変形例3)が取り付けられたTダイ20の斜視図である。
図12図11中の矢印A2方向から見た矢視図である。
図13図12のXIII-XIII断面図である。
図14】可動リップ21Acを含むダイブロック21A、可動リップ21Bcを含むダイブロック21Bを備えたTダイ20(変形例4)の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、具体的な実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。但し、以下の実施の形態に限定される訳ではない。また、説明を明確にするため、以下の記載及び図面は、適宜簡略化されている。
【0011】
(実施の形態1)
<押出成形装置の全体構成>
まず、図1を参照して、実施の形態1に係る押出成形装置1の全体構成について説明する。図1は、実施の形態1に係る押出成形装置1の全体構成を示す概略図である。
【0012】
押出成形装置1は、押出機10(溶融樹脂出口11)から押し出される溶融樹脂を、Tダイ20(押出成形用ダイ)の先端に形成されたスリット出口、すなわち、リップ間の間隔(スリット、隙間。以下、リップ間隔と呼ぶ)からフィルム状に押し出す装置である。本明細書において、フィルムは、シートを含む。
【0013】
図1に示すように、押出成形装置1は、押出機10、Tダイ20、リップ間隔調整装置30、冷却ロール40、搬送ロール群50、巻取機60、厚みセンサ70、リップ間隔測定部71、制御部80を備えている。すなわち、押出成形装置1は、無延伸フィルム製造装置である。なお、押出成形装置1は、冷却ロール40と巻取機60との間に、フィルムを縦方向に延伸(MD(Machine Direction)延伸)する縦延伸装置、フィルムを横方向に延伸(TD(Transverse Direction)延伸)する横延伸装置がこの順に直列に配置された二軸延伸フィルム製造装置であってもよいし、冷却ロール40と巻取機60との間に、フィルムを縦方向及び横方向に延伸する延伸装置が配置された同時二軸延伸フィルム製造装置であってもよいし、その他構成のフィルム製造装置であってもよい。
【0014】
押出機10は、加熱溶融された樹脂(以下、溶融樹脂と呼ぶ)を溶融樹脂出口11から押し出す装置である。押出機10は、スクリュー式押出機であってもよいし、プランジャー式押出機であってもよい。
【0015】
冷却ロール40は、Tダイ20から押し出されたフィルム状の溶融樹脂92aを冷却しつつ、フィルム状の溶融樹脂92aが固化したフィルム93を搬出する。冷却ロール40から搬出されたフィルム93は、搬送ロール群50を介して搬送され、巻取機60によって巻き取られる。図1の例では、搬送ロール群50は、8個の搬送ロール51~58を備えている。搬送ロールの個数、配置は適宜決定される。
【0016】
厚みセンサ70は、オンライン型の厚みセンサ(厚み計)で、Tダイ20から押し出される溶融樹脂により形成されるフィルムの厚みを、Tダイ20の幅方向(図1中、紙面に直交する方向)に沿った複数位置(少なくとも後述のように配置される複数のリップ間隔調整機構31に対応する複数位置)でリアルタイムに測定する。厚みセンサ70は、非接触式(例えば、レーザ式、β線式、X線式)の厚みセンサであってもよいし、直接式(例えば、リニアゲージ式)の厚みセンサであってもよい。
【0017】
リップ間隔測定部71は、リップ間隔を、Tダイ20の幅方向に沿った複数位置(後述のように配置される複数のリップ間隔調整機構31に対応する複数位置)で測定する。複数位置それぞれのリップ間隔は、カメラにより撮像されたリップ間隔を含む画像に対して所定画像処理を施すことにより検出してもよいし、レーザー式ギャップセンサにより検出してもよい。なお、複数位置それぞれのリップ間隔は、隙間ゲージを使用して手動測定してもよい。但し、手動測定の場合、測定データを手動で制御部80に入力する必要がある。
【0018】
制御部80は、厚みセンサ70により複数位置で測定されたフィルムの厚み(厚みデータ)に基づいて、フィルムの厚みが均一となるように、アクチュエータを制御する。制御部80は、図示しないが、プロセッサを備えている。プロセッサは、例えば、CPU(Central Processing Unit)である。制御部80の動作については後述する。
【0019】
<Tダイの構成>
次に、図2図4を参照して、Tダイ20の構成について説明する。
【0020】
図2はリップ間隔調整装置30が取り付けられたTダイ20の斜視図、図3図2中の矢印A1方向から見た矢視図、図4図3のIV-IV断面図である。
【0021】
Tダイ20は、押出機10から押し出される溶融樹脂をフィルム状に成形するブロック状の部材である。Tダイ20は、典型的には、金属製である。
【0022】
図4等に示すように、Tダイ20は、その先端部20a及び基端部20bが鉛直方向に配置された状態でその基端部20b側が押出機10に取り付けられる。なお、図示しないが、Tダイ20は、その先端部20a及び基端部20bが水平方向に配置された状態でその基端部20b側が押出機10に取り付けられる場合もある。
【0023】
Tダイ20は、一対のダイブロック21、22を備えている。ダイブロック21が本発明の第1ダイブロックの一例で、ダイブロック22が本発明の第2ダイブロックの一例である。一対のダイブロック21、22は、それぞれ、互いに対向する面21a、22aを含む。図示しないが、Tダイ20は、この互いに対向する面21a、22aの間に形成される導入通路、マニホールド、及びスリット23cを含む。
【0024】
導入通路は、押出機10が接続されるTダイ20の基端部20bとマニホールドとを連通する通路である。導入通路は、Tダイ20の基端部20bからその反対側の先端部20aに向かって延びている。導入通路には、押出機10から押し出される溶融樹脂が導入される。
【0025】
マニホールドは、Tダイ20の幅方向(図4中紙面に直交する方向)に延びた通路である。マニホールドは、Tダイ20の基端部20bと先端部20aとの間の中間に形成されている。マニホールドには、導入通路を通過した溶融樹脂が導入される。導入通路を通過した溶融樹脂は、マニホールドを通過することによりTダイ20の幅方向に押し広げられる。導入通路及びマニホールドはT字を構成する。導入通路がT字を構成する縦棒に相当し、マニホールドがT字を構成する横棒に相当する。
【0026】
スリット23cは、Tダイ20の先端部20aとマニホールドとを連通する隙間である。スリット23cは、Tダイ20の幅方向に延びている。
【0027】
一対のダイブロック21、22は、それぞれ、先端に向かって傾斜したテーパ面21b、22bを含む先端部を備えている。ダイブロック21は、可動リップ21c(フレキシブルリップ)を含む。可動リップ21cは、後述のリップ間隔調整機構31により押し引きされることにより、ダイブロック21の先端部に形成された凹部21dの底部を支点として局所的に変位することができる。ダイブロック21の先端部の先端(図4中下端)が可動リップ21cである。
【0028】
一方、ダイブロック22は、固定リップ22cを含む。固定リップ22cが本発明の相手リップの一例である。固定リップ22cは、可動リップ21cが後述のリップ間隔調整機構31により押し引きされても変位しない。ダイブロック22の先端部の先端(図4中下端)が固定リップ22cである。可動リップ21c、固定リップ22c、及び凹部21dは、Tダイ20の幅方向に延びている。
【0029】
上記構成のTダイ20においては、押出機10から押し出される溶融樹脂は、Tダイ20の内部に設けられた導入通路、及びマニホールドをこの順に通過する。その際、溶融樹脂は、マニホールドを通過することによりTダイ20の幅方向に押し広げられる。このTダイ20の幅方向に押し広げられた溶融樹脂は、スリット23cを通過し、最終的に、Tダイ20の先端に形成されたスリット出口、すなわち、可動リップ21cと固定リップ22cとの間のリップ間隔Sからフィルム状に押し出される。このフィルム状に押し出される溶融樹脂92a(図1参照)の幅は、Tダイ20の幅に対応している。
【0030】
<リップ間隔調整装置の構成>
実施の形態1は、以下に説明するリップ間隔調整装置30を備えることを特徴とする。
【0031】
図2に示すように、リップ間隔調整装置30は、Tダイ20の幅方向に複数配置され、各々の配置箇所でリップ間隔Sを調整するリップ間隔調整機構31を備えている。図4等に示すように、リップ間隔調整機構31は、アクチュエータ311と、アクチュエータ311の出力軸311bと可動リップ21cとを連結する連結部材312と、を備えている。
【0032】
アクチュエータ311は、アクチュエータ本体311a、回転軸である出力軸311bを含む。アクチュエータ311は、例えば、サーボモータ(DCサーボモータ、ACサーボモータ)、ステッピングモータ、コアレスモータ、DDモータである。
【0033】
連結部材312は、先端部が可動リップ21cに螺合し、基端部がアクチュエータ311の出力軸311bに連結(固定)されたロッド部材(又は調整ボルト。以下、ロッド部材32と呼ぶ)である。ロッド部材32は、典型的には、金属製である。
【0034】
図4等に示すように、アクチュエータ本体311aは、ダイブロック21に設けられた保持部21eに固定(例えば、ねじ固定)されている。アクチュエータ311の出力軸311bは、保持部21eに形成された貫通穴Hに挿入された状態で、先端部が可動リップ21cに螺合したロッド部材32の基端部に連結(固定)されている。なお、アクチュエータ311の出力軸311bの中心軸AX311b(回転軸)とロッド部材32の中心軸AX32(回転軸)とは一致(略一致)している。
【0035】
アクチュエータ311には、制御部80が電気的に接続されている。制御部80は、後述のように出力軸311bの回転方向(正方向又は逆方向)及び回転量を制御する。アクチュエータ311は、制御部80の制御に従い、出力軸311b(及びロッド部材32)を回転させ当該ロッド部材32の可動リップ21cに対する螺合量を変化させる。これにより、可動リップ21cが固定リップ22cに対して変位し(押し引きされ)、リップ間隔Sが調整される。
【0036】
リップ間隔Sから押し出されるフィルム状の溶融樹脂の厚みをTダイ20の幅方向の全域に亘って均一にするため、図2図3に示すように、Tダイ20(ダイブロック21)には、その幅方向に複数のリップ間隔調整機構31が取り付けられている。各々のリップ間隔調整機構31は、ダイブロック21に設けられた保持部21eに固定(例えば、ねじ固定)されている。なお、図2図3中、リップ間隔調整機構31の個数が11である例を図示してあるが、これに限らず、リップ間隔調整機構31の個数は、Tダイ20(ダイブロック21)の幅に応じた個数(1以上)であればよい。
【0037】
<リップ間隔調整機構の動作例>
次に、上記構成のリップ間隔調整機構31の動作例について説明する。
【0038】
上記構成のリップ間隔調整機構31によれば、出力軸311b(及びロッド部材32)の回転方向(正方向又は逆方向)及び回転量を制御することにより、リップ間隔Sを局所的に調整することができる。
【0039】
例えば、アクチュエータ311により出力軸311b(及びロッド部材32)を回転(例えば、正回転)させ当該ロッド部材32の可動リップ21cに対する螺合量を変化(減少)させる。これにより、可動リップ21cが凹部21dの底部を支点として局所的に変位して固定リップ22cに接近する。これにより、リップ間隔Sが局所的に狭くなる。その結果、リップ間隔Sからその後に押し出されるフィルム状の溶融樹脂(フィルム93)の厚さが局所的に減少する。
【0040】
反対に、アクチュエータ311により出力軸311b(及びロッド部材32)を回転(例えば、逆回転)させ当該ロッド部材32の可動リップ21cに対する螺合量を変化(増加)させる。これにより、可動リップ21cが凹部21dの底部を支点として局所的に変位して固定リップ22cから離れる。これにより、リップ間隔Sが局所的に広くなる。その結果、リップ間隔Sからその後に押し出されるフィルム状の溶融樹脂(フィルム93)の厚さが局所的に増加する。
【0041】
<リップ間隔調整装置の動作例(成形開始前)>
次に、上記構成のリップ間隔調整装置30の動作例(成形開始前)について説明する。以下に説明するように、成形開始前に、複数位置それぞれのリップ間隔を均一に調整することにより、成形開始後、リップ間隔Sから押し出されるフィルム状の溶融樹脂(フィルム93)の厚さを迅速に均一に調整することができる。
【0042】
図5は、リップ間隔調整装置30の動作例(成形開始前)のフローチャートである。
【0043】
以下の処理は、制御部80(プロセッサ)がハードディスク装置等の記憶装置(図示せず)からRAM(Random Access Memory)等のメモリ(図示せず)に読み込まれたプログラムを実行することで実現される。
【0044】
Tダイ20の昇温が完了すると(ステップS10)、リップ間隔測定部71は、リップ間隔(リップギャップ)を測定する(ステップS11)。具体的には、リップ間隔測定部71は、リップ間隔(リップギャップ)を、Tダイ20の幅方向に沿った複数位置(複数のリップ間隔調整機構31に対応する複数位置)で測定する。この測定されたリップ間隔(隙間データ)は、制御部80に転送される。
【0045】
次に、ステップS11で測定されたリップ間隔(複数)が均一でない場合(ステップS12:No)、例えば、少なくとも1つの位置で測定されたリップ間隔が許容範囲外である場合、制御部80は、制御解析を行い(ステップS13)、許容範囲外のリップ間隔が測定された位置に対応するリップ間隔調整機構31のアクチュエータ311を制御する(ステップS14)。
【0046】
具体的には、制御部80は、ステップS11で測定されたリップ間隔(隙間データ)に基づいて、リップ間隔が均一となるように(例えば、許容範囲外のリップ間隔が許容範囲内に収まるように)、許容範囲外のリップ間隔が測定された位置に対応するリップ間隔調整機構31のアクチュエータ311(出力軸311bの回転方向及び回転量)を制御することにより、リップ間隔を局所的に調整する。
【0047】
次に、再度、リップ間隔測定部71は、リップ間隔(リップギャップ)を測定する(ステップS11)。
【0048】
以後、ステップS11で測定されたリップ間隔(複数)が均一となるまで、上記ステップS13、S14、S11の処理を繰り返し実行する(ステップS12:No)。
【0049】
一方、ステップS11で測定されたリップ間隔(複数)が均一となった場合(ステップS12:Yes)、すなわち、複数位置それぞれで測定された全てのリップ間隔が許容範囲内となった場合、成形が開始される(ステップS15)。
【0050】
<リップ間隔調整装置の動作例(成形開始後)>
次に、上記構成のリップ間隔調整装置30の動作例(成形開始後)について説明する。
【0051】
図6は、リップ間隔調整装置30の動作例(成形開始後)のフローチャートである。
【0052】
以下の処理は、制御部80(プロセッサ)がハードディスク装置等の記憶装置(図示せず)からRAM(Random Access Memory)等のメモリ(図示せず)に読み込まれたプログラムを実行することで実現される。
【0053】
成形開始後(ステップS20)、すなわち、リップ間隔Sからフィルム状の溶融樹脂が押し出されている最中、厚みセンサ70は、Tダイ20(リップ間隔S)から押し出される溶融樹脂により形成されるフィルムの厚みを測定する(ステップS21)。具体的には、厚みセンサ70は、フィルムの厚みを、Tダイ20の幅方向に沿った複数位置(複数のリップ間隔調整機構31に対応する複数位置)でリアルタイムに測定する。この測定されたフィルムの厚み(厚みデータ)は、制御部80に転送される。
【0054】
次に、ステップS21で測定されたフィルムの厚み(複数)が均一でない場合(ステップS22:No)、例えば、少なくとも1つの位置で測定されたフィルムの厚みが許容範囲外である場合、制御部80は、制御解析を行い(ステップS23)、許容範囲外のフィルムの厚みが測定された位置に対応するリップ間隔調整機構31のアクチュエータ311を制御する(ステップS24)。
【0055】
具体的には、制御部80は、ステップS21で測定されたフィルムの厚み(厚みデータ)に基づいて、フィルムの厚みが均一となるように(例えば、許容範囲外のフィルムの厚みが許容範囲内に収まるように)、許容範囲外のフィルムの厚みが測定された位置に対応するリップ間隔調整機構31のアクチュエータ311(出力軸311bの回転方向及び回転量)を制御することにより、リップ間隔を局所的に調整する。
【0056】
次に、再度、厚みセンサ70は、Tダイ20(リップ間隔)から押し出される溶融樹脂により形成されるフィルムの厚みを測定する(ステップS21)。
【0057】
以後、ステップS21で測定されたフィルムの厚み(複数)が均一となるまで、上記ステップS23、S24、S21の処理を繰り返し実行する(ステップS22:No)。
【0058】
一方、ステップS21で測定されたフィルムの厚み(複数)が均一となった場合(ステップS22:Yes)、すなわち、複数位置それぞれで測定された全てのフィルムの厚みが許容範囲内となった場合、調整が完了する(ステップS25)。以上のようにして、厚みが均一なフィルムを製造することができる。
【0059】
<リップの変位量>
次に、上記構成のリップ間隔調整装置30によりリップ間隔Sを調整する場合の時間と可動リップ21cの変位量との関係について説明する。
【0060】
図7は、リップ間隔調整装置30によりリップ間隔Sを調整する場合の時間と可動リップ21cの変位量との関係を表すグラフである。
【0061】
図7を参照すると、リップ間隔調整装置30によりリップ間隔Sを調整した場合、2秒未満で可動リップ21cの変位量(固定リップ22cに対する可動リップ21cの変位量)が安定すること、すなわち、2秒未満でリップ間隔Sを調整できることが分かる。
【0062】
<比較例>
次に、比較例について説明する。
【0063】
図8Aは、比較例のリップ間隔調整装置130である。
【0064】
図8Aに示すように、比較例のリップ間隔調整装置130においては、リップ間隔調整機構31として、アクチュエータ311及びロッド部材32に代えて、先端部が可動リップ21cに連結(固定)され、基端部がダイブロック21に設けられた保持部21fに連結(固定)されたヒートボルト33が配置されている。ヒートボルト33は、ヒータ(図示せず)の加熱温度を上昇させることにより熱膨張してその軸方向の長さが増加し、一方、ヒータの加熱温度を低下させることにより収縮してその軸方向の長さが減少する。比較例のリップ間隔調整装置130においては、ヒータの加熱温度を制御し、ヒートボルト33をその軸方向に伸縮させることにより、リップ間隔が調整される。
【0065】
図8Bは比較例のリップ間隔調整装置130(ヒートボルト33)によりリップ間隔Sを調整する場合の時間と可動リップ21cの変位量との関係を表すグラフである。
【0066】
図8Bを参照すると、リップ間隔調整装置130(ヒートボルト33)によりリップ間隔Sを調整した場合、可動リップ21cの変位量(固定リップ22cに対する可動リップ21cの変位量)が安定するまで1600秒程度を要することが分かる。
【0067】
以上のように、リップ間隔調整装置30(アクチュエータ311及びロッド部材32)によりリップ間隔Sを調整する場合、リップ間隔調整装置130(ヒートボルト33)によりリップ間隔Sを調整する場合と比べ、狙いの値まで変位させる時間が圧倒的に短いこと(極めて迅速にリップ間隔Sを調整することができること)が分かる。
【0068】
以上説明したように、実施の形態1によれば、リップ間隔の調整に要する時間を短縮できる。
【0069】
これは、リップ間隔調整機構31として、ヒートボルトではなく、アクチュエータ311、及びロッド部材32を用い、アクチュエータ311がロッド部材32を回転させ当該ロッド部材32の可動リップ21cに対する螺合量を変化させることにより、リップ間隔Sを調整するようにしたことによるものである。
【0070】
また、実施の形態1によれば、連結部材312(ロッド部材又は調整ボルト)一本一本にアクチュエータ311を取り付けることで、粗調整の段階(成形開始前)で全ての連結部材312(ロッド部材又は調整ボルト)を同時に押し引き可能であり、微調整の段階(成形開始後)では、狙いの変位量になるまでの時間がヒートボルトよりも圧倒的に短いため、フィルムの厚み制御にかかる時間を短縮することができる。
【0071】
また、実施の形態1によれば、ボルト締付けによるリップ間隔の調整(粗調整)を手動で行なった場合、無理な締付けにより、ヒートボルトが曲がる等、破損に繋がる恐れがあるが、アクチュエータ311のみでリップ間隔を調整することにより、無理な締付けによる連結部材312(ロッド部材又は調整ボルト)の破損の恐れがないという利点もある。
【0072】
また、実施の形態1によれば、アクチュエータ311で制御することで手動調整レスとなるため、高温物であるTダイ20と回転体であるロール(冷却ロール40等)に成形中に近づいて作業する必要がなくなるという利点もある(安全性向上)。
【0073】
次に、変形例について説明する。
【0074】
(変形例1)
上記実施形態1では、アクチュエータ311の出力軸311bと可動リップ21cとを連結する連結部材312として、ロッド部材32を用いた例について説明したが、これに限らない。
【0075】
例えば、図9に示すように、アクチュエータ311の出力軸311bと可動リップ21cとを連結する連結部材312として、先端部が可動リップ21cに連結(固定)され、基端部がアクチュエータ311の出力軸311bに連結(固定)された差動ねじ(以下、差動ねじ34と呼ぶ)を用いてもよい。図9は、リップ間隔調整装置30(変形例1)が取り付けられたTダイ20の断面図である。
【0076】
差動ねじ34は、外ねじ341のピッチと内ねじ342のピッチが異なる(外ねじ341のピッチ>内ねじ342のピッチ)差動ねじである。
【0077】
差動ねじ34の外ねじ341は、ダイブロック21に設けられた保持部21jに螺合している。差動ねじ34の内ねじ342には、ロッド343が螺合している。差動ねじ34(ロッド343)の先端部は、可動リップ21cに連結(固定)されている。なお、アクチュエータ311の出力軸311bの中心軸AX311b(回転軸)と差動ねじ34の中心軸AX34(回転軸)とは一致(略一致)している。
【0078】
変形例1によっても、リップ間隔の調整に要する時間を短縮できる等、実施の形態1と同様の効果を奏することができる。
【0079】
これは、リップ間隔調整機構31として、ヒートボルトではなく、アクチュエータ311、及び差動ねじ34を用い、アクチュエータ311が差動ねじ34を回転させることにより、リップ間隔Sを調整するようにしたことによるものである。
【0080】
(変形例2)
上記実施形態1では、アクチュエータ本体311a、及び回転軸である出力軸311bを含むアクチュエータ311を用いた例について説明したが、これに限らない。
【0081】
例えば、図10に示すように、アクチュエータ311に代えて、アクチュエータ本体313a、及びアクチュエータ本体313aに対して押し出し又は引き込まれる出力軸313bを含むアクチュエータ313(リニアアクチュエータ)を用いてもよい。図10は、リップ間隔調整装置30(変形例2)が取り付けられたTダイ20の断面図である。この場合、アクチュエータ313の出力軸313bと可動リップ21cとを連結する連結部材312として、一端部が可動リップ21cに連結され、他端部がアクチュエータ313の出力軸313bに連結されたロッド部材35が用いられる。なお、アクチュエータ313の出力軸313bの中心軸AX313b(回転軸)とロッド部材35の中心軸AX35(回転軸)とは一致(略一致)している。
【0082】
変形例2によっても、リップ間隔の調整に要する時間を短縮できる等、実施の形態1と同様の効果を奏することができる。
【0083】
これは、リップ間隔調整機構31として、ヒートボルトではなく、アクチュエータ313、及びロッド部材35を用い、アクチュエータ313が出力軸313bを押し出し又は引き込むことにより、リップ間隔Sを調整するようにしたことによるものである。
【0084】
(変形例3)
図11はリップ間隔調整装置30(変形例3)が取り付けられたTダイ20の斜視図、図12図11中の矢印A2方向から見た矢視図、図13図12のXIII-XIII断面図である。
【0085】
図11図13に示すように、リップ間隔調整装置30A(変形例3)は、第1リップ間隔調整機構31A、及び第2リップ間隔調整機構31Bを含む。第1リップ間隔調整機構31A、及び第2リップ間隔調整機構31Bは、Tダイ20の幅方向に交互に配置されている。
【0086】
第1リップ間隔調整機構31Aは、アクチュエータ311(以下、第1アクチュエータ311Aと呼ぶ)と、第1アクチュエータ311Aの出力軸311bと可動リップ21cとを連結する連結部材312(以下、第1連結部材312Aと呼ぶ)と、を備えている。
【0087】
第2リップ間隔調整機構31Bは、アクチュエータ311(以下、第2アクチュエータ311Bと呼ぶ)と、第2アクチュエータ311Bの出力軸311bと可動リップ21cとを連結する連結部材312(以下、第2連結部材312Bと呼ぶ)と、を備えている。
【0088】
第1アクチュエータ311Aは、可動リップ21cの近くに配置されている。第1アクチュエータ311Aの出力軸311bと可動リップ21cとを連結する第1連結部材312Aの軸方向長さはL1である。
【0089】
一方、第2アクチュエータ311Bは、第1アクチュエータ311Aに干渉しないように可動リップ21cから遠くに配置されている。第2アクチュエータ311Bの出力軸311bと可動リップ21cとを連結する第2連結部材312Bの軸方向長さはL2より長いL2である。
【0090】
変形例3によっても、リップ間隔の調整に要する時間を短縮できる等、実施の形態1と同様の効果を奏することができる。また、変形例3によれば、上記実施形態1と比べ、連結部材312の配置間隔L3を狭くすることができる(図12に示す配置間隔L3<図3に示す配置間隔L4)。
【0091】
(変形例4)
上記実施の形態1では、押出成形用ダイとして、可動リップ21cを含むダイブロック21、固定リップ22cを含むダイブロック22を備えたTダイ20を用いた例について説明したが、これに限らない。
【0092】
例えば、図14に示すように、可動リップ21Acを含むダイブロック21A、可動リップ21Bcを含むダイブロック21Bを備えたTダイ20を用いてもよい。可動リップ21Bcが本発明の相手リップの一例である。図14は、可動リップ21Acを含む第1ダイブロック21A、可動リップ21Bcを含む第2ダイブロック21Bを備えたTダイ20(変形例4)の断面図である。
【0093】
第1ダイブロック21Aは、当該第1ダイブロック21Aの幅方向(図14中、紙面に直交する方向)に複数配置され、各々の配置箇所でリップ間隔Sを調整する第3リップ間隔調整機構31Aを備えている。同様に、第2ダイブロック21Bは、当該第2ダイブロック21Bの幅方向(図14中、紙面に直交する方向)に複数配置され、各々の配置箇所でリップ間隔Sを調整する第4リップ間隔調整機構31Bを備えている。
【0094】
変形例4によっても、実施の形態1と同様の効果を奏することができる。
【0095】
なお、変形例1のTダイ20(図9参照)、変形例2のTダイ20(図10参照)、及び変形例3のTダイ20(図11図13参照)においても、本変形例4と同様、可動リップ21Acを含む第1ダイブロック21A、可動リップ21Bcを含む第2ダイブロック21Bを備えたTダイ20を用いてもよい。
【0096】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は既に述べた実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能であることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0097】
1…押出成形装置
10…押出機
11…溶融樹脂出口
20…Tダイ(押出成形用ダイ)
20a…先端部
20b…基端部
21…ダイブロック
21b…テーパ面
21c…可動リップ
21d…凹部
21e…保持部
21f…保持部
21j…保持部
22…ダイブロック
22b…テーパ面
22c…固定リップ
23c…スリット
30…リップ間隔調整装置
31…リップ間隔調整機構
31A…第1リップ間隔調整機構
31B…第2リップ間隔調整機構
32…ロッド部材
33…ヒートボルト
34…差動ねじ
35…ロッド部材
40…冷却ロール
50…搬送ロール群
51-58…搬送ロール
60…巻取機
70…厚みセンサ
71…リップ間隔測定部
80…制御部
92a…溶融樹脂
93…フィルム
311…アクチュエータ
311A…第1アクチュエータ
311B…第2アクチュエータ
311a…アクチュエータ本体
311b…出力軸
312…連結部材
312A…第1連結部材
312B…第2連結部材
313…アクチュエータ
313a…アクチュエータ本体
313b…出力軸
341…外ねじ
342…内ねじ
343…ロッド
S…リップ間隔
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図9
図10
図11
図12
図13
図14