(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-26
(45)【発行日】2024-10-04
(54)【発明の名称】バッテリーモジュール、それを含むバッテリーパック及び自動車
(51)【国際特許分類】
H01M 10/6568 20140101AFI20240927BHJP
H01M 50/204 20210101ALI20240927BHJP
H01M 10/613 20140101ALI20240927BHJP
H01M 50/569 20210101ALI20240927BHJP
H01M 50/507 20210101ALI20240927BHJP
H01M 50/249 20210101ALI20240927BHJP
H01M 10/625 20140101ALI20240927BHJP
H01M 10/647 20140101ALI20240927BHJP
H01M 10/6551 20140101ALI20240927BHJP
H01M 50/211 20210101ALI20240927BHJP
H01M 50/284 20210101ALI20240927BHJP
【FI】
H01M10/6568
H01M50/204 401H
H01M10/613
H01M50/569
H01M50/204 401D
H01M50/507
H01M50/249
H01M10/625
H01M10/647
H01M10/6551
H01M50/211
H01M50/284
(21)【出願番号】P 2023517792
(86)(22)【出願日】2022-06-07
(86)【国際出願番号】 KR2022008029
(87)【国際公開番号】W WO2022260409
(87)【国際公開日】2022-12-15
【審査請求日】2023-03-16
(31)【優先権主張番号】10-2021-0074425
(32)【優先日】2021-06-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】ウン-ア・ジュ
(72)【発明者】
【氏名】ヒョン-キ・ユン
(72)【発明者】
【氏名】ギュンター・タンネンベルガー
(72)【発明者】
【氏名】ヤン・ヤンケ
(72)【発明者】
【氏名】ウーヴェ・ハラストージ
【審査官】田中 慎太郎
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2013/0029193(US,A1)
【文献】特開2019-100611(JP,A)
【文献】特開2012-204129(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/6568
H01M 50/204
H01M 10/613
H01M 50/569
H01M 50/507
H01M 50/249
H01M 10/625
H01M 10/647
H01M 10/6551
H01M 50/211
H01M 50/284
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のバッテリーセル及び隣接したバッテリーセル同士の間に介在される冷却フィンを備えるセル積層体アセンブリを含むサブモジュールと、
前記サブモジュールを収容するモジュールハウジングと、
前記モジュールハウジングの長手方向の一側開口部を覆ってインレットを備える前方シーリングプレートと、
前記モジュールハウジングの長手方向の他側開口部を覆ってアウトレットを備える後方シーリングプレートと、
前記バッテリーセルの電圧をセンシングするセンシングアセンブリと、
を含む、
バッテリーモジュールであって、
前記冷却フィンは、
互いに隣接したバッテリーセル同士の間に介在されるボディ接触部と、
前記ボディ接触部の上端又は下端のいずれか一方から折り曲げられて前記バッテリーセル
のセルウィング部を覆うウィングカバー部と、
を含み、
前記バッテリーモジュールは、
前記モジュールハウジングと前記バッテリーセルのセルウィング部との間に形成された冷却液流路と、
前記ウィングカバー部と前記バッテリーセルのセルウィング部との間に形成される冷却液流路と、をさらに備える、バッテリーモジュール。
【請求項2】
前記センシングアセンブリは、
前記サブモジュールの上端に配置される、請求項1に記載のバッテリーモジュール。
【請求項3】
前記センシングアセンブリは、
複数のバッテリーモジュールと電気的に接続され、前記バッテリーセルの長手方向の一端部から他端部まで延在されるセンシングラインを含む、請求項1に記載のバッテリーモジュール。
【請求項4】
前記センシングラインは、
前記バッテリーセルのセルボディ部と前記セルボディ部に向かって折り曲げられたセルウィング部との間に介在されている、請求項3に記載のバッテリーモジュール。
【請求項5】
前記センシングアセンブリは、
前記センシングライン上に実装される温度センサをさらに含む、請求項3に記載のバッテリーモジュール。
【請求項6】
前記温度センサは、
前記バッテリーセルのセルボディ部と前記セルボディ部に向かって折り曲げられたセルウィング部との間に介在されている、請求項5に記載のバッテリーモジュール。
【請求項7】
前記サブモジュールは、
前記セル積層体アセンブリの長手方向の一側に結合される前方バスバーフレームアセンブリと、
前記セル積層体アセンブリの長手方向の他側に結合される後方バスバーフレームアセンブリと、
を含む、請求項
1に記載のバッテリーモジュール。
【請求項8】
前記前方バスバーフレームアセンブリ及び後方バスバーフレームアセンブリは、前記モジュールハウジングと前記バッテリーセルのセルウィング部との間及び前記ウィングカバー部と前記バッテリーセルのセルウィング部との間に形成される冷却液流路と対応する位置に形成される複数の冷却液孔を備える、請求項
7に記載のバッテリーモジュール。
【請求項9】
前記インレットを通って前記モジュールハウジングの内部に流れ込んだ絶縁冷却液は、前記前方バスバーフレームアセンブリに形成された冷却液孔を通過して前記冷却液流路に流入される、請求項
8に記載のバッテリーモジュール。
【請求項10】
前記冷却液流路を通過した絶縁冷却液は、前記後方バスバーフレームアセンブリに形成された冷却液孔を通過し、前記アウトレットを通って前記モジュールハウジングの外部に排出される、請求項
9に記載のバッテリーモジュール。
【請求項11】
請求項1から
10のいずれか一項に記載のバッテリーモジュールを含む、バッテリーパック。
【請求項12】
請求項1から
10のいずれか一項に記載のバッテリーモジュールを含む、自動車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリーモジュール、それを含むバッテリーパック及び自動車に関し、より具体的には、モジュールハウジング内に流れ込む絶縁冷却液がバッテリーセルのセルウィング部とモジュールハウジングとの間の空間を通って流れながらバッテリーセルを冷却する構造を有するバッテリーモジュール、それを含むバッテリーパック及び自動車に関する。
本出願は、2021年6月8日付け出願の韓国特許出願第10-2021-0074425号に基づく優先権を主張し、当該出願の明細書及び図面に開示された内容は、すべて本出願に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
冷却水を用いた間接水冷方式を採用するバッテリーモジュールの場合、冷却水がバッテリーセルと直接接触せず、バッテリーセルを収容するモジュールハウジングを通じて間接的に接触するため、その冷却性能に限界がある。また、冷却のための流路を形成するため、別途のヒートシンクなどの冷却装置をモジュールハウジングの外側に備えなければならず、バッテリーモジュールの全体体積が大きくなってエネルギー密度の損失が発生する。
【0003】
このような間接水冷方式の問題を解決するため、冷却のための絶縁冷却液がモジュールハウジング内に直接流れ込んでバッテリーセルと直接接触可能な冷却構造を有するバッテリーモジュールの開発が求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上述した問題点に鑑みてなされたものであり、絶縁冷却液がバッテリーモジュールの内部に流れ込んでバッテリーセルと接触することで効率的な冷却を実現可能な構造を有し、またバッテリーモジュールの内部に流れ込んだ冷却液が円滑に流動可能な構造を有するバッテリーモジュールを提供することを目的とする。
【0005】
また、本発明は、バッテリーセルの電圧及び温度をセンシングするために設けられるセンシングライン及び温度センサがバッテリーモジュールの内部に流れる絶縁冷却液によって破損されることを防止し、正確な温度測定も可能にすることを他の目的とする。
【0006】
本発明が解決しようとする技術的課題は上述した課題に限定されず、他の課題は下記の発明の説明から通常の技術者に明らかに理解できるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するため、本発明の一態様によるバッテリーモジュールは、複数のバッテリーセル及び隣接したバッテリーセル同士の間に介在される冷却フィンを備えるセル積層体アセンブリを含むサブモジュールと、前記サブモジュールを収容するモジュールハウジングと、前記モジュールハウジングの長手方向の一側開口部を覆ってインレットを備える前方シーリングプレートと、前記モジュールハウジングの長手方向の他側開口部を覆ってアウトレットを備える後方シーリングプレートと、前記バッテリーセルの電圧をセンシングするセンシングアセンブリと、を含む。
【0008】
前記センシングアセンブリは、前記サブモジュールの上端に配置され得る。
【0009】
前記センシングアセンブリは、前記複数のバッテリーモジュールと電気的に接続され、前記バッテリーセルの長手方向の一端部から他端部まで延在されるセンシングラインを含み得る。
【0010】
前記センシングラインは、前記バッテリーセルのセルボディ部と前記セルボディ部に向かって折り曲げられたセルウィング部との間に介在され得る。
【0011】
前記センシングアセンブリは、前記センシングライン上に実装される温度センサをさらに含み得る。
【0012】
前記温度センサは、前記バッテリーセルのセルボディ部と前記セルボディ部に向かって折り曲げられたセルウィング部との間に介在され得る。
【0013】
前記冷却フィンは、互いに隣接したバッテリーセル同士の間に介在されるボディ接触部と、前記ボディ接触部の上端又は下端のいずれか一方から折り曲げられて前記バッテリーセルのセルウィング部を覆うウィングカバー部と、を含み得る。
【0014】
前記サブモジュールは、前記セル積層体アセンブリの長手方向の一側に結合される前方バスバーフレームアセンブリと、前記セル積層体アセンブリの長手方向の他側に結合される後方バスバーフレームアセンブリと、を含み得る。
【0015】
前記前方バスバーフレームアセンブリ及び後方バスバーフレームアセンブリは、前記モジュールハウジングとバッテリーセルのセルウィング部との間及び前記ウィングカバー部とバッテリーセルのセルウィング部との間に形成される冷却液流路と対応する位置に形成される複数の冷却液孔を備え得る。
【0016】
前記インレットを通って前記モジュールハウジングの内部に流れ込んだ絶縁冷却液は、前記前方バスバーフレームアセンブリに形成された冷却液孔を通過して前記冷却液流路に流入され得る。
【0017】
前記冷却液流路を通過した絶縁冷却液は、前記後方バスバーフレームアセンブリに形成された冷却液孔を通過し、前記アウトレットを通って前記モジュールハウジングの外部に排出され得る。
【0018】
上記の目的を達成するため、本発明の一態様によるバッテリーパック及び自動車は、本発明によるバッテリーモジュールを含む。
【発明の効果】
【0019】
本発明の一態様によれば、絶縁冷却液がバッテリーモジュールの内部に流れ込んでバッテリーセルと接触し、またバッテリーモジュールの内部に流れ込んだ冷却液が円滑に流れることができるため、効率的且つ迅速な冷却が可能になる。
【0020】
また、本発明の一態様によれば、バッテリーセルの電圧及び温度をセンシングするために設けられるセンシングライン及び温度センサがバッテリーモジュールの内部を流れる絶縁冷却液によって破損されることを防止することができ、バッテリーセルの温度を測定する際に絶縁冷却液による影響を最小化して正確な温度測定も可能になる。
【0021】
本明細書に添付される次の図面は、本発明の望ましい実施形態を例示するものであり、発明の詳細な説明とともに本発明の技術的な思想をさらに理解させる役割をするものであるため、本発明は図面に記載された事項だけに限定されて解釈されてはならない。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明の一実施形態によるバッテリーモジュールを示した斜視図である。
【
図2】本発明の一実施形態によるバッテリーモジュールを示した分解斜視図である。
【
図4】
図1に示されたバッテリーモジュールにおいて、前方エンドプレート及び前方シーリングプレートを除去した状態を示した図である。
【
図5】冷却のための絶縁冷却液の流れを示した図である。
【
図6】冷却のための絶縁冷却液の流れを示した図である。
【
図7】本発明による冷却フィンとバッテリーセルとの結合関係を示した図である。
【
図8】本発明による冷却フィンとバッテリーセルとの結合関係を示した図である。
【
図9】本発明による冷却フィンを示した斜視図である。
【
図10】本発明によるバスバーフレームアセンブリと冷却フィンとの結合構造を示した図である。
【
図11】本発明による端子アセンブリの具体的な構造を示した図である。
【
図12】本発明による端子アセンブリの具体的な構造を示した図である。
【
図13】本発明によるセンシングアセンブリの配置構造を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、添付された図面を参照して本発明の望ましい実施形態を詳しく説明する。これに先立ち、本明細書及び特許請求の範囲において使われた用語や単語は通常的及び辞書的な意味に限定して解釈されてはならず、発明者自らは発明を最善の方法で説明するために用語の概念を適切に定義できるという原則に則して本発明の技術的な思想に応ずる意味及び概念で解釈されねばならない。したがって、本明細書に記載された実施形態及び図面に示された構成は、本発明の最も望ましい一実施形態に過ぎず、本発明の技術的な思想のすべてを代弁するものではないため、本出願の時点においてこれらに代替できる多様な均等物及び変形例があり得ることを理解せねばならない。
【0024】
図1、
図2及び
図4を参照すると、本発明の一実施形態によるバッテリーモジュールは、サブモジュール100、モジュールハウジング200、前方シーリングプレート300、後方シーリングプレート400、及びセンシングアセンブリ800を含む。前記バッテリーモジュールは、上述した構成要素の他にも前方エンドプレート500及び/又は後方エンドプレート600及び/又は一対の端子アセンブリ700をさらに含み得る。
【0025】
図2~
図9を参照すると、前記サブモジュール100は、セル積層体アセンブリ110を含む。前記サブモジュール100は、セル積層体アセンブリ110の他にも前方バスバーフレームアセンブリ120A及び後方バスバーフレームアセンブリ120Bを含む。
【0026】
前記セル積層体アセンブリ110は、複数のバッテリーセル111を含む。前記セル積層体アセンブリ110は、その他にも隣接したバッテリーセル111同士の間に介在される少なくとも一つの冷却フィン112及び/又は隣接したバッテリーセル111同士の間に介在される少なくとも一つの緩衝パッド113をさらに含んでもよい。前記複数のバッテリーセル111は、地面(X-Y平面に平行な面)にほぼ垂直に起立した形態で積層されて一つのセル積層体アセンブリ110を形成する。前記セル積層体アセンブリ110が冷却フィン112及び/又は緩衝パッド113を含む場合、冷却フィン112及び/又は緩衝パッド113は複数のバッテリーセル111と共に地面(X-Y平面に平行な面)にほぼ垂直に起立した形態で積層されて一つのセル積層体アセンブリ110を形成する。
【0027】
前記バッテリーセル111としては、長手方向(X軸方向)に沿って互いに反対方向に引き出される一対の電極リード111aを備えるパウチ型のバッテリーセルが用いられ得る。
【0028】
図7~
図9を参照すると、前記冷却フィン112は、互いに隣接したバッテリーセル111同士の間に介在されるボディ接触部112a、及びボディ接触部112aの上端又は下端のいずれか一方から折り曲げられてバッテリーセル111のセルウィング部Wを覆うウィングカバー部112bを含む。前記冷却フィン112は、ウィングカバー部112bの長手方向(X軸方向)の両側端部に形成される一対の固定部112cをさらに含み得る。
【0029】
図7に示されたように前記バッテリーセル111がパウチ型である場合、電極組立体(図示せず)が収容される領域をセルボディ部Bと定義し、セルボディ部Bの周縁に形成されるシーリング領域のうち、バッテリーモジュールの長手方向(X軸方向)に沿って長く延在された領域をセルウィング部Wと定義し得る。
【0030】
前記ボディ接触部112aは、隣接した一対のバッテリーセル111それぞれのセルボディ部B同士の間に介在され、バッテリーセル111のセルボディ部Bと直接接触する。前記ボディ接触部112aは、バッテリーセル111のセルボディ部Bから発生する熱を冷却フィン112の幅方向、すなわちバッテリーモジュールの高さ方向(Z軸方向)に沿って素早く伝導してウィングカバー部112b側へと移動させる。このようにウィングカバー部112b側に伝導された熱は、バッテリーセル111のセルウィング部Wと冷却フィン112のウィングカバー部112bとの間に形成された冷却液流路Pを通って流れる絶縁冷却液によってバッテリーモジュールの長手方向(X軸方向)に沿って移動し、バッテリーモジュールの外部へと排出される。
【0031】
前記ウィングカバー部112bは、上述したような冷却液流路Pを形成することの他にも、外部衝撃が加えられてセル積層体アセンブリ110がモジュールハウジング200内で上下方向(Z軸方向)に動くとき、衝撃を吸収する機能も果たすことができる。前記ウィングカバー部112bのこのような衝撃吸収機能は、セルウィング部Wとセルボディ部Bとの間に介在されるセンシングライン810及び温度センサ820の破損防止に役立つことができる(
図13を参照)。前記センシングライン810及び温度センサ820を含むセンシングアセンブリ800について詳しくは後述する。
【0032】
前記固定部112cは、後述するガイドリブ121bと対応する形状を有する。前記固定部112cは、ガイドリブ121bと結合されることで、冷却フィン112を含むセル積層体アセンブリ110とバスバーフレームアセンブリ(前方バスバーフレームアセンブリ120A、後方バスバーフレームアセンブリ120B)との間の締結をガイドする。
【0033】
前記緩衝パッド113は、隣接したバッテリーセル111同士の間に介在されてバッテリーセル111のスウェリングによる体積膨張を吸収することができる。
【0034】
前記前方バスバーフレームアセンブリ120A及び後方バスバーフレームアセンブリ120Bはそれぞれ、セル積層体アセンブリ110の長手方向(X軸方向)の一側及び他側に結合されて複数のバッテリーセル111同士を電気的に接続する。前記前方バスバーフレームアセンブリ120Aと後方バスバーフレームアセンブリ120Bとは、前方バスバーフレームアセンブリ120Aは内部端子123を備え、後方バスバーフレームアセンブリ120Bは内部端子123を備えないという点を除けば、実質的に同じ構造を有する。したがって、前記後方バスバーフレームアセンブリ120Bの具体的な構造についての詳しい説明は省略し、前方バスバーフレームアセンブリ120Aの具体的な構造について集中的に説明する。
【0035】
図4~
図10を参照すると、前記前方バスバーフレームアセンブリ120Aは、バスバーフレーム121及び複数のバスバー122を含む。前記前方バスバーフレームアセンブリ120Aは、上述した構成要素の他にも、一対の内部端子123をさらに含み得る。前記バスバーフレーム121は、セル積層体アセンブリ110の長手方向(X軸方向)の一側を覆う。
【0036】
前記バスバーフレーム121は、複数の冷却液孔121aを備える。前記冷却液孔121aは、前方シーリングプレート300に設けられたインレットP1を通ってモジュールハウジング200の内部に流れ込んだ絶縁冷却液がバスバーフレーム121を通過してセル積層体アセンブリ110側へと流れる通路として機能する。
【0037】
図7及び
図8に示されたように、冷却液流路Pはモジュールハウジング200とセルウィング部Wとの間に形成される。本発明のセル積層体アセンブリ110が冷却フィン112を備える場合、冷却液流路Pは、モジュールハウジング200とセルウィング部Wとの間の他に、ウィングカバー部112bとセルウィング部Wとの間にも形成され得る。これにより、絶縁冷却液の円滑な供給及び排出のために、前記冷却液孔121aは、モジュールハウジング200とセルウィング部Wとの間に形成され得る。また、冷却液孔121aは、ウィングカバー部112bとセルウィング部Wとの間に形成される冷却液流路Pと対応する位置にも形成され得る。
【0038】
前記前方バスバーフレームアセンブリ120Aに形成された冷却液孔121aからセル積層体アセンブリ110側に流入された絶縁冷却液は、矢印(
図5及び
図6を参照)に沿って冷却液流路Pを通って後方バスバーフレームアセンブリ120B側へと移動する。前記後方バスバーフレームアセンブリ120B側に移動した絶縁冷却液は、後方バスバーフレームアセンブリ120Bに形成された冷却液孔121aを通って後方シーリングプレート400側に流れ込み、後方シーリングプレート400に設けられたアウトレットP2を通ってバッテリーモジュールの外部へと排出される。この過程で前記絶縁冷却液は、バッテリーセル111の電極リード111a及びセルウィング部Wと直接接触してバッテリーセル111を冷却する。
【0039】
前記バスバー122は、バスバーフレーム121上に固定され、バスバーフレーム121に形成されたリードスリットを通って引き出された電極リード111aと結合されて複数のバッテリーセル111を電気的に接続する。
【0040】
前記内部端子123は、バスバーフレーム121上に固定され、セル積層体アセンブリ110に設けられたバッテリーセル111のうち最外郭に位置したバッテリーセル111の電極リード111aと結合される。前記内部端子123は高電位端子として機能する。前記バスバーフレーム121の長手方向(Y軸方向)の一側に位置する内部端子123は正極高電位端子として機能し、バスバーフレーム121の長手方向の他側に位置する内部端子123は負極高電位端子として機能する。前記内部端子123は、後述する外部端子710(
図11及び
図12を参照)と電気的に接続される。
【0041】
一方、
図5~
図10を参照すると、前記前方バスバーフレームアセンブリ120Aのバスバーフレーム121及び後方バスバーフレームアセンブリ120Bのバスバーフレーム121は、上端及び下端に長手方向(Y軸方向)に沿って形成された複数のガイドリブ121bを備える。前記ガイドリブ121bは、セル積層体アセンブリ110に向かう方向に延在された形態を有する。前記ガイドリブ121bは、冷却フィン112の固定部112cと対応する位置に形成される。
【0042】
上述したように、前記冷却フィン112のウィングカバー部112bの長手方向(X軸方向)の両側端部には、ガイドリブ121bと対応する形状を有する固定部112cが形成される。前記ガイドリブ121b及び固定部112cにより、冷却フィン112は上下方向(Z軸方向)及び長手方向(X軸方向)における動きが制限される。これにより、セル積層体アセンブリ110に前方バスバーフレームアセンブリ120A及び後方バスバーフレームアセンブリ120Bを結合するとき、結合位置をガイドすることができ、組み立ての便宜性が増大される。
【0043】
図1~
図6を参照すると、前記モジュールハウジング200は、セル積層体アセンブリ110、前方バスバーフレームアセンブリ120A、及び後方バスバーフレームアセンブリ120Bを含むサブモジュール100を収容する。前記モジュールハウジング200は、長手方向(X軸方向)の一側及び他側が開放された形態を有する。
【0044】
図5、
図6、
図11及び
図12を参照すると、前記前方シーリングプレート300は、モジュールハウジング200の長手方向(X軸方向)の一側に形成された開口部を覆う。前記前方シーリングプレート300は、絶縁冷却液の流入のための冷却液インレット(インレット)P1を備える。絶縁冷却液の漏出を防止するため、前方シーリングプレート300の周縁面とモジュールハウジング200の内側面との間にはガスケットGが介在され得る(
図12を参照)。
【0045】
前記前方シーリングプレート300は、前方バスバーフレームアセンブリ120Aに設けられた内部端子123と後述する外部端子710との間の電気的接続のための部品が通過可能な一対の端子孔300aを備える。前記端子孔300aは、内部端子123と対応する位置に形成される。
【0046】
図6を参照すると、前記後方シーリングプレート400は、モジュールハウジング200の長手方向(X軸方向)の他側開口部を覆い、絶縁冷却液の排出のための冷却液アウトレット(アウトレット)P2を備える。前記前方シーリングプレート300の場合と同様に、絶縁冷却液の漏出を防止するため、後方シーリングプレート400の周縁面とモジュールハウジング200の内側面との間にはガスケットGが介在され得る。
【0047】
前記前方シーリングプレート300及び後方シーリングプレート400は、電気絶縁のために絶縁性樹脂からなり得る。
【0048】
図11及び
図12を参照すると、前記端子アセンブリ700は、前方シーリングプレート300の外側に位置する外部端子710、及び外部端子710とバッテリーセル111との間を電気的に接続するスタッド720を含む。前記スタッド720は内部端子123に固定される。前記スタッド720は、内部端子123を貫通して押し込み方式によって内部端子123に固定され得る。前記内部端子123に固定されたスタッド720は、前方シーリングプレート300に形成された端子孔300aを通って外部に引き出されて外部端子710と結合される。
【0049】
前記端子アセンブリ700は、前方シーリングプレート300に形成された端子孔300aに挿入される環状の端子スペーサ730をさらに含み得る。前記端子スペーサ730は金属材質からなり得る。前記端子スペーサ730が備えられる場合、スタッド720は端子スペーサ730を貫通するようになる。
【0050】
前記端子アセンブリ700は、外部端子710をスタッド720に締結するための締結ナット740をさらに含み得る。前記締結ナット740は、端子スペーサ730及び外部端子710の締結部712を貫通したスタッド720に締結されることで、外部端子710の締結部712を端子スペーサ730に密着固定させる。これにより、前記内部端子123と外部端子710とが端子スペーサ730を通じて互いに電気的に接続される。
【0051】
前記端子アセンブリ700は、端子スペーサ730の外周面を覆って、前方シーリングプレート300の内側面と内部端子123との間に介在される第1のOリング750をさらに含み得る。
図11及び
図12を参照すると、前記第1のOリング750は、前方シーリングプレート300とバスバーフレーム121との間の空間に流れ込んだ絶縁冷却液が端子孔300aの内側面と端子スペーサ730との間の空間から前方シーリングプレート300の外側に漏れることを防止する。
【0052】
また、前記端子アセンブリ700は、内部端子123に押し込まれて内部端子123とバスバーフレーム121との間の空間に露出したスタッド720の外周に位置し、内部端子123とバスバーフレーム121との間に介在される第2のOリング760をさらに含み得る。前記第2のOリング760は、前方シーリングプレート300とバスバーフレーム121との間の空間に流れ込んだ絶縁冷却液が内部端子123とスタッド720との間の空間及び端子スペーサ730の内側面とスタッド720との間の空間から前方シーリングプレート300の外側に漏れることを防止する。
【0053】
図1、
図2、
図5及び
図6を参照すると、前記前方エンドプレート500は、前方シーリングプレート300を覆ってモジュールハウジング200に固定される。前記後方エンドプレート600は、後方シーリングプレート400を覆ってモジュールハウジング200に固定される。
【0054】
前記前方エンドプレート500は、外部端子710の連結部711を前方エンドプレート500の外側に露出させる端子露出部500a、及び冷却液インレット(インレット)P1を前方エンドプレート500の外側に露出させるインレット露出部500bを備える。前記後方エンドプレート600は、冷却液アウトレット(アウトレット)P2を後方エンドプレート600の外側に露出させるアウトレット露出部600bを備える。
【0055】
本発明によるバッテリーモジュールに前方エンドプレート500及び後方エンドプレート600が適用される場合、前方エンドプレート500とモジュールハウジング200との結合部位、そして後方エンドプレート600とモジュールハウジング200との結合部位には、絶縁冷却液の漏れを防止するためのガスケットが適用され得る。
【0056】
図4、
図7及び
図13を参照すると、前記センシングアセンブリ800は、サブモジュール100の上端に配置されてバッテリーセル111の電圧をセンシングする。前記センシングアセンブリ800は、複数のバッテリーセル111と電気的に接続され、バッテリーセル111の長手方向(X軸方向)の一端部から他端部まで延在されるセンシングライン810を含む。前記センシングライン810は、セル積層体アセンブリ110の長手方向(X軸方向)の一側及び他側においてバッテリーセル111と電気的に接続される。このようなセンシングライン810とバッテリーセル111との間の電気的接続は、センシングライン810がバスバー122に結合されることで具現され得る。但し、本発明はこれに限定されず、前記センシングライン810がバッテリーセル111の電極リード111aと直接結合されてもよい。
【0057】
前記センシングライン810は、パウチ型のバッテリーセル111のセルボディ部Bとセルボディ部Bに向かって折り曲げられたセルウィング部Wとの間に介在され得る。これは、バッテリーモジュールの内部を流れる絶縁冷却液によってセンシングライン810が損傷されることを防止するためである。
【0058】
前記センシングアセンブリ800は、電圧のセンシングの他にも、バッテリーセル111の温度をセンシングする機能をさらに行い得る。そのため、前記センシングアセンブリ800は、センシングライン810上に実装される少なくとも一つの温度センサ820をさらに含み得る。前記温度センサ820は、発熱量が大きい電極リード111aに隣接するように配置され得る。前記温度センサ820は、センシングライン810と同様に、バッテリーセル111のセルボディ部Bとセルボディ部Bに向かって折り曲げられたセルウィング部Wとの間に介在され得る。これは、バッテリーモジュールの内部を流れる絶縁冷却液によって温度センサ820が損傷されることを防止するためである。また、これは、温度センサ820と絶縁冷却液との接触を防止するか又は最小化することで、バッテリーセル111の温度を正確にセンシングするためである。一方、前記センシングライン810及び温度センサ820は、セルウィング部Wによって覆われた状態で、冷却フィン112のウィングカバー部112bによってさらに覆われてもよい。
【0059】
前記センシングアセンブリ800は、センシングライン810の他にもセンシングライン810と電気的に接続されるプリント回路基板(Printed Circuit Board:PCB)830をさらに含み得る。前記プリント回路基板830は、バスバーフレーム121上に固定され得る。前記プリント回路基板830上にはコネクタアセンブリ(図示せず)が実装され得、このようなコネクタアセンブリを通じてBMS(Battery Management System:バッテリー管理システム)(図示せず)のような制御装置が接続され得る。この場合、前記BMSは、バッテリーセル111の電圧、温度などに関する情報を測定及び/又は受信し、これを参照してバッテリーモジュールの充放電を制御することができる。
【0060】
本発明の一実施形態によるバッテリーパックは、上述したようなバッテリーモジュールを少なくとも一つ含む。前記バッテリーパックは、少なくとも一つのバッテリーモジュールとともに、パックハウジング及び/又はBMSなどの部品をさらに含み得る。前記バッテリーモジュールは、前方エンドプレート500及び/又は後方エンドプレート600に形成された締結孔Hを通じてパックハウジングに締結され得る。すなわち、前記締結孔Hは、パックハウジングとバッテリーモジュールとの締結のためのボルトなどの締結手段が挿入される空間を提供し得る。一方、前記バッテリーパックが複数のバッテリーモジュールを含む場合、複数のバッテリーモジュール同士の締結が前方エンドプレート500及び/又は後方エンドプレート600に形成された締結孔Hを通じて行われてもよい。
【0061】
本発明の一実施形態による自動車は、上述したようなバッテリーモジュール及び/又はバッテリーパックを少なくとも一つ含む。本発明の一実施形態による自動車は、例えば、本発明のバッテリーモジュール及び/又はバッテリーパックから電力の供給を受けて動作するハイブリッド自動車又は電気自動車であり得る。
【0062】
以上のように、本発明を限定された実施形態と図面によって説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、本発明の属する技術分野で通常の知識を有する者によって本発明の技術思想と特許請求の範囲の均等範囲内で多様な修正及び変形が可能であることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0063】
100:サブモジュール
110:セル積層体アセンブリ
111:バッテリーセル
111a:電極リード
112:冷却フィン
112a:ボディ接触部
112b:ウィングカバー部
112c:固定部
113:緩衝パッド
P:冷却液流路
120A:前方バスバーフレームアセンブリ
120B:後方バスバーフレームアセンブリ
121:バスバーフレーム
121a:冷却液孔
121b:ガイドリブ
122:バスバー
123:内部端子
200:モジュールハウジング
300:前方シーリングプレート
300a:端子孔
P1:インレット(inlet)
G:ガスケット
400:後方シーリングプレート
P2:アウトレット(outlet)
500:前方エンドプレート
500a:端子露出部
500b:インレット露出部
600:後方エンドプレート
600b:アウトレット露出部
700:端子アセンブリ
710:外部端子
711:連結部
712:締結部
720:スタッド
730:端子スペーサ
740:締結ナット
750:第1のOリング
760:第2のOリング
800:センシングアセンブリ
810:センシングライン
820:温度センサ
830:プリント回路基板