(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-26
(45)【発行日】2024-10-04
(54)【発明の名称】プラズマを始動させるためのシステム、装置、および方法
(51)【国際特許分類】
H05H 1/26 20060101AFI20240927BHJP
【FI】
H05H1/26
(21)【出願番号】P 2023518404
(86)(22)【出願日】2021-09-20
(86)【国際出願番号】 US2021071519
(87)【国際公開番号】W WO2022067303
(87)【国際公開日】2022-03-31
【審査請求日】2023-11-16
(32)【優先日】2020-09-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】515084719
【氏名又は名称】シックスケー インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シャン,ゾンレン
(72)【発明者】
【氏名】コズラウスキー,マイク
【審査官】鳥居 祐樹
(56)【参考文献】
【文献】特表2019-520894(JP,A)
【文献】特開平10-296446(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05H 1/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラズマトーチのプラズマを始動させるための装置であって、
前記プラズマトーチに挿入される細長い中空のワンド部材であって、閉じた遠位端と、近位端と、前記ワンド部材の中空内部から前記ワンド部材の外面まで延在する1つまたは複数の開口部と、を含むワンド部材と、
前記ワンド部材の前記中空内部内に配置され、前記ワンド部材の長さの少なくとも一部に沿って延びる1つまたは複数のワイヤを含む細長いワイヤ部材であって
、電源と動作可能に
通信し、且つ前記開口部を介して前記プラズマトーチのガス流に接触して配置されるように構成され、それにより前記電源が作動されて前記プラズマトーチ内の前記プラズマが開始され得る、ワイヤ部材と、を含み、
前記ワイヤ部材が、前記プラズマが始動されたときに前記ワンド部材の前記中空内部内に実質的に留まるように構成さ
れ、
前記電源がマイクロ波発生器を含み、前記ワイヤ部材の長さが、前記マイクロ波発生器によって発生されるマイクロ波の波長の1/4以上を含む、装置。
【請求項2】
前記ワンド部材が1つの開口部を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記ワンド部材が、1から100個の開口部を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記ワイヤ部材が1つのワイヤを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記ワイヤ部材が2つ以上のワイヤを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記ワンド部材が石英を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記ワンド部材が、マイクロ波透過性材料を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記ワイヤ部材が金属を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記ワイヤ部材が金属合金を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
前記ワンド部材が開いた近位端を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項11】
前記1つまたは複数の開口部のうちの少なくとも1つが、前記ワンド部材の前記閉じた遠位端に近接して配置される、請求項1に記載の装置。
【請求項12】
前記ワイヤ部材が、少なくとも前記閉じた遠位端に近接する位置から前記近位端の外側の位置まで延びる、請求項1に記載の装置。
【請求項13】
前記ワンド部材が、前記中空のワンド部材の前記閉じた遠位端に近接した複数の開口部を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項14】
前記ワイヤ部材が、前記ワンド部材の前記中空内部に融着される、請求項1に記載の装置。
【請求項15】
プラズマトーチのプラズマを始動させるためのシステムであって、
前記プラズマトーチに挿入される細長い中空のワンド部材であって、閉じた遠位端と、近位端と、前記ワンド部材の中空内部から前記ワンド部材の外面まで延在する1つまたは複数の開口部と、を含むワンド部材と、
前記ワンド部材の前記中空内部内に配置され、前記ワンド部材の長さの少なくとも一部に沿って延びる細長いワイヤ部材であって
、電源と動作可能に
通信し、且つ前記開口部を介して前記プラズマトーチの加熱ガス流と接触して配置されるように構成され、それにより前記電源が作動されて前記プラズマトーチ内の前記プラズマが開始され得る、ワイヤ部材と、
前記ワンド部材と動作可能に連通するモータであって、前記モータが前記ワンド部材に運動を与えて前記ワンド部材を前記プラズマトーチ内に配置するように構成され、それにより前記ワイヤ部材
が前記電
源と動作可能に
通信し、且つ前記開口部を介して前記加熱ガス流に接触するように配置されるように構成される、モータと、
前記モータと通信し、前記モータに1つまたは複数の制御信号を提供するようにプログラムされた制御ユニットと、を含むシステム。
【請求項16】
前記電源がマイクロ波発生器を含み、前記ワイヤ部材の長さが、前記マイクロ波発生器によって発生されるマイクロ波の波長の1/4以上を含む、請求項
15に記載のシステム。
【請求項17】
前記ワンド部材が1つの開口部を含む、請求項
15に記載のシステム。
【請求項18】
前記ワンド部材が、1から100個の開口部を含む、請求項
15に記載のシステム。
【請求項19】
前記ワイヤ部材が1つのワイヤを含む、請求項
15に記載のシステム。
【請求項20】
前記ワイヤ部材が2つ以上のワイヤを含む、請求項
15に記載のシステム。
【請求項21】
前記ワンド部材が石英を含む、請求項
15に記載のシステム。
【請求項22】
前記ワンド部材がマイクロ波透過性材料を含む、請求項
15に記載のシステム。
【請求項23】
前記ワイヤ部材が金属を含む、請求項
15に記載のシステム。
【請求項24】
前記ワイヤ部材が金属合金を含む、請求項
15に記載のシステム。
【請求項25】
前記ワンド部材が開いた近位端を含む、請求項
15に記載のシステム。
【請求項26】
前記1つまたは複数の開口部のうちの少なくとも1つが、前記ワンド部材の前記閉じた遠位端に近接して配置される、請求項
15に記載のシステム。
【請求項27】
前記ワイヤ部材が、少なくとも前記閉じた遠位端に近接する位置から前記近位端の外側の位置まで延びる、請求項
15に記載のシステム。
【請求項28】
前記ワンド部材が、前記中空のワンド部材の前記閉じた遠位端に近接した複数の開口部を含む、請求項
15に記載のシステム。
【請求項29】
前記ワイヤ部材が、前記ワンド部材の前記中空内部に融着される、請求項
15に記載のシステム。
【請求項30】
前記ワンド部材の位置を決定するためのアクチュエータを含むリミットスイッチをさらに含む、請求項
15に記載のシステム。
【請求項31】
前記プラズマトーチをさらに含む、請求項
15に記載のシステム。
【請求項32】
プラズマトーチのプラズマを自動的に始動させる方法であって、
制御ユニットを介して、前記プラズマトーチの前記プラズマを始動させる命令を送信するステップと、
前記制御ユニットと通信するモータを使用して、前記プラズマトーチのガス流中に前記プラズマを始動させるための装置を移動させるステップであって、前記装置が、
前記プラズマトーチに挿入される細長い中空のワンド部材であって、閉じた遠位端と、近位端と、前記ワンド部材の中空内部から前記ワンド部材の外面まで延在する1つまたは複数の開口部と、を含むワンド部材と、
前記ワンド部材の前記中空内部内に配置され、前記ワンド部材の長さの少なくとも一部に沿って延びる細長いワイヤ部材と、を含み、
前記装置を前記ガス流中に移動させることにより、前記ワイヤ部材
を電源と動作可能に
通信させ、且つ前記開口部を介して前記プラズマトーチの前記ガス流に接触させる、ステップと、
前記プラズマトーチ内で前記プラズマを始動させるために前記電源を作動させるステップと、を含む方法。
【請求項33】
前記モータを使用して、前記装置を前記プラズマトーチの前記ガス流の外に移動させるステップをさらに含む、請求項
32に記載の方法。
【請求項34】
前記電源がマイクロ波発生器を含み、前記ワイヤ部材の長さが、前記マイクロ波発生器によって発生されるマイクロ波の波長の1/4以上を含む、請求項
32に記載の方法。
【請求項35】
前記ワンド部材が1つの開口部を含む、請求項
32に記載の方法。
【請求項36】
前記ワンド部材が、1から100個の開口部を含む、請求項
32に記載の方法。
【請求項37】
前記ワイヤ部材が1つのワイヤを含む、請求項
32に記載の方法。
【請求項38】
前記ワイヤ部材が2つ以上のワイヤを含む、請求項
32に記載の方法。
【請求項39】
前記ワンド部材が石英を含む、請求項
32に記載の方法。
【請求項40】
前記ワンド部材がマイクロ波透過性材料を含む、請求項
32に記載の方法。
【請求項41】
前記ワイヤ部材が金属を含む、請求項
32に記載の方法。
【請求項42】
前記ワイヤ部材が金属合金を含む、請求項
32に記載の方法。
【請求項43】
前記ワンド部材が開いた近位端を含む、請求項
32に記載の方法。
【請求項44】
前記1つまたは複数の開口部のうちの少なくとも1つが、前記ワンド部材の前記閉じた遠位端に近接して配置される、請求項
32に記載の方法。
【請求項45】
前記ワイヤ部材が、少なくとも前記閉じた遠位端に近接する位置から前記近位端の外側の位置まで延びる、請求項
32に記載の方法。
【請求項46】
前記ワンド部材が、前記中空のワンド部材の前記閉じた遠位端に近接した複数の開口部を含む、請求項
32に記載の方法。
【請求項47】
前記ワイヤ部材が、前記ワンド部材の前記中空内部に融着される、請求項
32に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権出願の参照による組み込み
本出願は、2020年9月24日に出願された米国仮出願第63/082,919号の米国特許法第119条(e)に基づく優先権の利益を主張し、その開示全体が参照により本明細書に組み込まれる。本出願と共に提出された出願データシートにおいて外国または国内の優先権主張が特定されているすべての出願は、米国特許規則第1.57条に基づいて参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本明細書の開示は、プラズマを始動させるための装置および方法に関し、特に、プラズマを自動的に始動させるための装置および方法に関する。
【背景技術】
【0003】
プラズマトーチは、様々な目的のためにプラズマの高温指向流を生成して提供する。プラズマトーチの2つの主なタイプは、誘導プラズマトーチおよびマイクロ波プラズマトーチである。これらの2つのタイプのトーチの間にはいくつかの明確な違いがあるが、それらは両方とも高温プラズマを提供する。
【0004】
これらの高温プラズマは、例えば、プラズマに曝されるかまたはプラズマに供給される様々な材料の処理を可能にすることができる。そのようなタイプの処理の1つは、特定のサイズおよび形状の1つまたは複数の材料を採取し、それをプラズマに曝露または供給した後に、1つまたは複数の材料を異なるサイズまたは形状に処理または変換することである。
【0005】
プラズマを最初に点火または「始動」することは、典型的には、特定の材料をプラズマトーチに曝露して火花を発生させてプラズマを点火することによって手動で行われる。この手順は、オペレータにとって危険である可能性があり、通常、スパークを生成するために使用される材料からの過剰な材料でプロセスを汚染する。
【0006】
したがって、既存のプロセスの問題を克服するための方法および装置を提供することが望ましい。
【発明の概要】
【0007】
この概要の目的のために、本発明の特定の態様、利点、および新規な特徴が本明細書に記載されている。本発明の任意の特定の実施形態に従って、そのような利点のすべてが必ずしも達成され得るわけではないことを理解されたい。したがって、例えば、当業者は、本発明が、本明細書で教示または示唆され得るような他の利点を必ずしも達成することなく、本明細書で教示されるような1つの利点または利点の群を達成するように具体化または実施され得ることを認識するであろう。
【0008】
本明細書のいくつかの実施形態は、プラズマトーチのプラズマを始動させるための装置に関し、装置は、細長い中空のワンド部材であって、閉じた遠位端と、近位端と、ワンド部材の中空内部からワンド部材の外面まで延在する1つまたは複数の開口部と、を含むワンド部材と、ワンド部材の中空内部内に配置され、ワンド部材の長さの少なくとも一部に沿って延びる1つまたは複数のワイヤを含む細長いワイヤ部材であって、開口部を介して電源と動作可能に連通して配置されるように構成され、それにより電源が作動されてプラズマトーチ内のプラズマが開始され得る、ワイヤ部材と、を含み、ワイヤ部材が、プラズマが始動されたときにワンド部材の中空内部内に実質的に留まるように構成される。
【0009】
いくつかの実施形態では、電源はマイクロ波発生器を含み、ワイヤ部材の長さは、マイクロ波発生器によって発生されるマイクロ波の波長の1/4以上を含む。
【0010】
いくつかの実施形態では、ワンド部材は1つの開口部を含む。いくつかの実施形態では、ワンド部材は、1から100個の開口部を含む。いくつかの実施形態では、ワイヤ部材は1つのワイヤを含む。いくつかの実施形態では、ワイヤ部材は2つ以上のワイヤを含む。いくつかの実施形態では、ワンド部材は石英を含む。いくつかの実施形態では、ワンド部材はマイクロ波透過性材料を含む。いくつかの実施形態では、ワイヤ部材は金属を含む。いくつかの実施形態では、ワイヤ部材は金属合金を含む。いくつかの実施形態では、ワンド部材は開いた近位端を含む。
【0011】
いくつかの実施形態では、1つまたは複数の開口部のうちの少なくとも1つは、ワンド部材の閉じた遠位端に近接して配置される。いくつかの実施形態では、ワイヤ部材は、少なくとも閉じた遠位端に近接する位置から近位端の外側の位置まで延びる。いくつかの実施形態では、ワンド部材は、中空のワンド部材の閉じた遠位端に近接した複数の開口部を含む。いくつかの実施形態では、ワイヤ部材はワンド部材の中空内部に融着される。
【0012】
本明細書のいくつかの実施形態は、プラズマトーチのプラズマを始動させるためのシステムに関し、システムは、細長い中空のワンド部材であって、閉じた遠位端と、近位端と、ワンド部材の中空内部からワンド部材の外面まで延在する1つまたは複数の開口部と、を含むワンド部材と、ワンド部材の中空内部内に配置され、ワンド部材の長さの少なくとも一部に沿って延びる細長いワイヤ部材であって、開口部を介して電源および加熱ガス流と動作可能に連通して配置され、それにより電源が作動されてプラズマトーチ内のプラズマが開始され得る、ワイヤ部材と、ワンド部材と動作可能に連通するモータであって、モータがワンド部材に運動を与えてワンド部材をプラズマトーチ内に配置するように構成され、それによりワイヤ部材が開口部を介して電源および加熱されたガス流と動作可能に連通するように配置されるように構成される、モータと、モータと通信し、モータに1つまたは複数の制御信号を提供するようにプログラムされた制御ユニットと、を含む。
【0013】
いくつかの実施形態では、電源はマイクロ波発生器を含み、ワイヤ部材の長さは、マイクロ波発生器によって発生されるマイクロ波の波長の1/4以上を含む。いくつかの実施形態では、ワンド部材は1つの開口部を含む。いくつかの実施形態では、ワンド部材は、1から100個の開口部を含む。いくつかの実施形態では、ワイヤ部材は1つのワイヤを含む。いくつかの実施形態では、ワイヤ部材は2つ以上のワイヤを含む。いくつかの実施形態では、ワンド部材は石英を含む。いくつかの実施形態では、ワンド部材はマイクロ波透過性材料を含む。いくつかの実施形態では、ワイヤ部材は金属を含む。いくつかの実施形態では、ワイヤ部材は金属合金を含む。いくつかの実施形態では、ワンド部材は開いた近位端を含む。いくつかの実施形態では、1つまたは複数の開口部のうちの少なくとも1つは、ワンド部材の閉じた遠位端に近接して配置される。いくつかの実施形態では、ワイヤ部材は、少なくとも閉じた遠位端に近接する位置から近位端の外側の位置まで延びる。いくつかの実施形態では、ワンド部材は、中空のワンド部材の閉じた遠位端に近接した複数の開口部を含む。いくつかの実施形態では、ワイヤ部材はワンド部材の中空内部に融着される。
【0014】
いくつかの実施形態では、システムは、ワンド部材の位置を決定するためのアクチュエータを含むリミットスイッチをさらに含む。いくつかの実施形態では、システムはプラズマトーチをさらに含む。
【0015】
本明細書のいくつかの実施形態は、プラズマトーチのプラズマを自動的に始動させる方
法に関し、本方法は、制御ユニットを介して、プラズマトーチのプラズマを始動させる命令を送信するステップと、制御ユニットと通信するモータを使用して、プラズマトーチのガス流中にプラズマを始動させるための装置を移動させるステップであって、装置が、細長い中空のワンド部材であって、閉じた遠位端と、近位端と、ワンド部材の中空内部からワンド部材の外面まで延在する1つまたは複数の開口部と、を含むワンド部材と、ワンド部材の中空内部内に配置され、ワンド部材の長さの少なくとも一部に沿って延びる細長いワイヤ部材と、を含み、装置をガス流中に移動させることにより、ワイヤ部材を開口部を介して電源と動作可能に連通させる、ステップと、プラズマトーチ内でプラズマを始動させるために電源を作動させるステップと、を含む。
【0016】
いくつかの実施形態では、本方法は、モータを使用して、装置をプラズマトーチのガス流の外に移動させるステップをさらに含む。いくつかの実施形態では、電源はマイクロ波発生器を含み、ワイヤ部材の長さは、マイクロ波発生器によって発生されるマイクロ波の波長の1/4以上を含む。いくつかの実施形態では、ワンド部材は1つの開口部を含む。いくつかの実施形態では、ワンド部材は、1から100個の開口部を含む。いくつかの実施形態では、ワイヤ部材は1つのワイヤを含む。いくつかの実施形態では、ワイヤ部材は2つ以上のワイヤを含む。いくつかの実施形態では、ワンド部材は石英を含む。いくつかの実施形態では、ワンド部材はマイクロ波透過性材料を含む。いくつかの実施形態では、ワイヤ部材は金属を含む。いくつかの実施形態では、ワイヤ部材は金属合金を含む。いくつかの実施形態では、ワンド部材は開いた近位端を含む。いくつかの実施形態では、1つまたは複数の開口部のうちの少なくとも1つは、ワンド部材の閉じた遠位端に近接して配置される。いくつかの実施形態では、ワイヤ部材は、少なくとも閉じた遠位端に近接する位置から近位端の外側の位置まで延びる。いくつかの実施形態では、ワンド部材は、中空のワンド部材の閉じた遠位端に近接した複数の開口部を含む。いくつかの実施形態では、ワイヤ部材はワンド部材の中空内部に融着される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図面は、例示的な実施形態を示すために提供されており、本開示の範囲を限定することを意図するものではない。本明細書に記載のシステムおよび方法のより良い理解は、添付の図面と併せて以下の説明を参照することで理解されよう。
【0018】
【
図1】本開示の実施形態による、粉末の製造に使用することができる上部供給マイクロ波プラズマトーチの一実施形態を示す図である。
【
図2A】本開示の側部供給ホッパーの実施形態による、粉末の製造に使用することができるマイクロ波プラズマトーチの実施形態を示す図である。
【
図2B】本開示の側部供給ホッパーの実施形態による、粉末の製造に使用することができるマイクロ波プラズマトーチの実施形態を示す図である。
【
図3】本開示の実施形態による、マイクロ波プラズマトーチを打撃するための自動ストライクワンド機構の一実施形態を示す図である。
【
図4】本開示の実施形態による、マイクロ波プラズマトーチを打撃するための自動ストライクワンド機構の一実施形態の断面図である。
【
図5】本開示の実施形態による、自動ストライクワンドの動きを制御するためのモータおよび摩擦ローラ機構の一実施形態を示す図である。
【
図6】本開示の実施形態による、自動ストライクワンドを有するマイクロ波プラズマトーチで使用するための上限スイッチ機構の一実施形態を示す図である。
【
図7】本開示の実施形態による、プラズマトーチを打撃するための自動ストライクワンドの一実施形態を示す図である。
【
図8】本開示の実施形態による、プラズマトーチを打撃するための自動ストライクワンドの別の実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
特定の好ましい実施形態および例が以下に開示するが、本発明の主題は、具体的に開示した実施形態を超えて、他の代替的な実施形態および/または使用、ならびにそれらの修正形態および均等物に及ぶ。したがって、添付の特許請求の範囲は、以下に説明する特定の実施形態のいずれによっても限定されない。例えば、本明細書に開示する任意の方法またはプロセスでは、方法またはプロセスの動作(acts)または動作(operations)は、任意の適切な順序で実行されてもよく、必ずしも任意の特定の開示された順序に限定されない。様々な動作は、特定の実施形態を理解するのに役立ち得る方法で、複数の個別の動作として順に説明することができるが、しかし、説明の順序は、これらの動作が順序に依存することを意味すると解釈されるべきではない。さらに、本明細書に記載の構造、システム、および/または装置は、統合された構成要素として、または別個の構成要素として具体化されてもよい。様々な実施形態を比較する目的で、これらの実施形態の特定の態様および利点を説明する。必ずしもそのような態様または利点のすべてが特定の実施形態によって達成されるわけではない。したがって、例えば、様々な実施形態は、本明細書で教示または示唆され得るような他の態様または利点を必ずしも達成することなく、本明細書で教示されるような1つの利点または利点群を達成または最適化するように実行され得る。
【0020】
ここで、本明細書に開示する装置および方法の構造、機能、製造、および使用の原理の全体的な理解を提供するために、特定の例示的な実施形態を説明する。これらの実施形態の1つまたは複数の例が、添付の図面に示されている。当業者は、本明細書に具体的に記載され、添付の図面に示す装置および方法が非限定的な例示的な実施形態であり、本発明の範囲が特許請求の範囲によってのみ定義されることを理解するであろう。1つの例示的な実施形態に関連して図示または説明された特徴は、他の実施形態の特徴と組み合わせることができる。そのような修正および変形は、本技術の範囲内に含まれることが意図される。
【0021】
プラズマを点火するために点火する特定の材料、通常は金属をプラズマトーチに曝露することによって、以前にプラズマを点火、「打撃」または「始動」することは手動で行われた。場合によっては、マイクロ波発生器を備えたマイクロ波プラズマトーチは、低電力で初期化され、続いて人間のオペレータによって、プラズマトーチのポートを通ってプラズマトーチのガス流に金属材料を挿入することができる。金属材料は、プラズマトーチを点火するスパークを開始することができる。点火すると、人間のオペレータは、ポートを通して金属材料を手動で取り出すことができる。この手順は、オペレータにとって危険である可能性があり、通常、スパークを生成するために使用される金属材料からの過剰な材料でプロセスを汚染する。この汚染は、プラズマトーチ内の温度および処理条件、ならびにプラズマトーチを使用して製造された最終製品の品質に影響を及ぼす可能性がある。したがって、既存のプラズマ打撃プロセスの問題を克服するための新規な方法および装置が望まれている。
【0022】
本明細書のいくつかの実施形態は、ワンドを利用してプラズマを自動的に始動させるための装置および方法に関する。いくつかの実施形態では、ワンドは、後述するように、例えばマイクロ波プラズマトーチまたは誘導プラズマトーチなどのプラズマトーチ内でプラズマを始動させるために使用することができる。本明細書で説明するプラズマトーチは、例えば、ナノ材料、マイクロ粉末、コーティング、積層造形法のための合金組成物などの先進材料の大量合成を含む様々な用途に使用することができる。例えば、本明細書で論じられる自動ストライクワンドは、マサチューセッツ州ノースアンドバー01845の32
Commerce Wayの住所を有する6K Inc.によるUniMelt(登録商標)システムで使用されてもよい。このようなシステムは、同等のシステムと比較して、体積が大きく、多孔性が低く、真球度が向上した高度な材料の連続フロー製造が可能で
ある。このようなシステムは、高反応性イオンと設計された化学物質とを高熱下で組み合わせて、連続的な流れのハイスループット生産環境を作り出すことによって機能する。いくつかの実施形態では、そのようなシステムは大気圧で動作することができる。マイクロ波加工プラズマは、各粒子が同じ熱動力学に導入されるように、極端な均一性の熱生成ゾーンを提供する。
【0023】
いくつかの実施形態では、プラズマを始動させるためにオペレータがトーチ流に材料を手動で導入する必要がないように、ワンドを使用してプラズマを自動的に開始することができる。代わりに、ワンドは、遠隔プロセスおよび/またはコントローラを使用してプラズマトーチに導入されてもよい。プラズマの点火後に、プラズマの安定した連続動作が可能であり、プラズマトーチは、粉末または他の先進材料の製造を含む様々な用途に使用することができる。したがって、本明細書の実施形態は、プラズマ物理理論を利用してプラズマ始動機構を実施し、これにより、高効率、高成功率、および長期持続性のプラズマ始動構造が提供される。
【0024】
いくつかの実施形態では、ワンドは、石英および/またはガラスもしくはアルミナなどの他のマイクロ波透過性材料を含むことができる。いくつかの実施形態では、ワンドはまた、1つまたは複数の金属ワイヤを含む密閉されたアンテナを含むことができる。いくつかの実施形態では、この構造はワイヤを含み、アンテナをスリップフリーにするリスクを最小限に抑える。いくつかの実施形態では、金属アンテナは、アンテナを定位置に固定したままにするためにワンドの内面に融着されてもよい。金属ワイヤの長さも変化させることができる。例えば、いくつかの実施形態では、金属ワイヤは、ワンドの全長にわたって延在してもよい。あるいは、いくつかの実施形態では、金属ワイヤは、ワンドの長さに沿って部分的にのみ延在してもよい。例えば、金属ワイヤは、以下で詳細に説明するように、ワンド内の1つまたは複数の開口部の位置にのみ設けられてもよい。いくつかの実施形態では、アンテナ長さは、マイクロ波プラズマトーチで使用される電磁波の波長に対応し得る。例えば、アンテナの長さは、プラズマトーチのマイクロ波の波長の約1/4の長さ、または波長の1/4の倍数を含んでもよい。いくつかの実施形態では、アンテナの長さは、プラズマトーチのマイクロ波の約1/8、約1/4、約3/8、約1/2、約3/4、約7/8、約1波長またはそれより長くてもよい。
【0025】
ワンドは、ワンドの外面から1つまたは複数の金属ワイヤまで延在する1つまたは複数の開口部、切断部、またはスロット(以下「開口部」)を含むことができる。いくつかの実施形態では、単一または複数のワイヤアンテナは、ワンド内の1つまたは複数の開口部と連通するワンドの内部に配置されて、プラズマの始動の高い成功率を達成する。いかなる特定の理論にも限定されるものではないが、ワンドに開口部が存在することにより、電子が金属ワイヤからガス流に移動することが可能になる。この電子の流れは、プラズマトーチ内のプラズマを「打ち付ける」ガス種におけるイオン化のカスケードを初期化することができる。いくつかの実施形態では、ワンド上の1つまたは複数の開口部は、プラズマトーチ内のワイヤ気化の汚染を最小限に抑えることができる。さらに、いくつかの実施形態では、プラズマトーチの供給原料が金属である場合、汚染が実質的に排除されるように、アンテナ材料を供給原料と同じ金属から形成することができる。このように、自動打撃プラズマトーチにワンドおよびアンテナ構造を適用してプラズマを自動的に始動させることは、プラズマプロセスを有する材料の製造において利益をもたらす。
【0026】
いくつかの実施形態では、打撃機構の効率を最適化し、プラズマトーチ内への金属ワイヤの汚染を最小限に抑えるために、開口部の数、配置、および向きを変えることができる。
【0027】
ワンドは、例えば、N2、Ar、H2、炭化水素、他の希ガス、および他のガス混合物
(例えば、90%のAr、10%のH2)を含む多くの異なるガス種でプラズマを打撃することができる。上記のガスは本質的に例示的なものであり、特定の用途に応じて任意のガスをプラズマガス種として使用できることが理解されよう。
【0028】
いくつかの実施形態では、摩擦ローラおよび上限スイッチと組み合わせてモータを使用して、プラズマトーチ内のガス流に出入りするワンドの動きを制御することができる。モータによって駆動される摩擦ローラは、摩擦力を使用して、内側の1つまたは金属ワイヤを含むワンドを上下に移動させる。上限スイッチは、ワンドの位置を感知し、ワンドがその意図された動きの範囲を超えないことを保証する。リミットスイッチは、制御システムの一部として、安全インターロックとして、および/またはワンドがプラズマを打ち付けるために使用された回数をカウントするために使用されてもよい。
【0029】
本明細書に記載の装置および方法は、プラズマチャンバまたはトーチ内でプラズマを始動させる高い成功率を有する。プラズマトーチのオペレータは、オペレータの安全性を向上させるために、ある距離でプラズマを始動させるために装置および方法を使用することができる。さらに、本明細書に記載のワンドは、打撃ワンドおよび金属ワイヤの寿命を延ばすことができ、その結果、構成要素の交換の必要性が少なくなる。さらに、ワンド設計は、処理チャンバ内のアンテナ材料の汚染を最小限に抑える。
【0030】
プラズマトーチ
図1は、本開示の実施形態による、粉末の製造に使用することができる例示的な上部供給マイクロ波プラズマトーチを示す。いくつかの実施形態では、供給材料9、10は、マイクロ波生成プラズマ11を維持するマイクロ波プラズマトーチ3に導入することができる。例示的な一実施形態では、マイクロ波放射源1を介してプラズマ11を点火する前に、エントレインメントガス流およびシース流(下向き矢印)を入口5を通して注入して、プラズマトーチ内に流れ条件を作り出すことができる。供給材料9は、マイクロ波プラズマトーチ内に軸方向に導入され、そこで材料をプラズマに向けるガス流によって引き込まれる。上述したように、ガス流は、ヘリウム、ネオン、アルゴンなどの周期表の希ガス列からなることができる。
【0031】
マイクロ波生成プラズマ内では、材料を球状化するために供給材料が溶融される。入口5は、プラズマ11に向かって軸12に沿って粒子9、10を引き込んで加速するためにプロセスガスを導入するために使用することができる。最初に、粒子9は、プラズマトーチ内の環状ギャップを通して生成されたコア層流ガス流(矢印の上側の組)を使用してエントレインメントによって加速される。プラズマ11からの熱放射による溶融から誘電トーチ3を保護するために、誘電トーチ3の内壁のための層状被覆材を提供するために、第2の環状隙間を通して第2の層流(矢印の下側の組)を生成することができる。例示的な実施形態では、層流は、軸12に可能な限り近い経路に沿って粒子9、10をプラズマ11およびホットゾーン6に向けて導き、それらをプラズマ内の実質的に均一な温度に曝露する。いくつかの実施形態では、プラズマ付着が起こり得るプラズマトーチ3の内壁に粒子10が到達するのを防ぐのに適した流れ条件が存在する。マイクロ波プラズマ11に向かうガス流によって誘導された粒子9、10は、それぞれ均一な熱処理を受けた。
【0032】
マイクロ波生成プラズマの様々なパラメータ、ならびに粒子パラメータは、所望の結果を達成するために調整することができる。これらのパラメータは、マイクロ波電力、供給材料サイズ、供給材料挿入速度、ガス流量、プラズマ温度、滞留時間および冷却速度を含むことができる。上述のように、この特定の実施形態では、ガス流は層状である。しかしながら、代替的な実施形態では、供給材料をプラズマに向けるために旋回流または乱流を使用することができる。
【0033】
図2A~
図2Bは、
図1の実施形態に示す上部供給ホッパーではなく側部供給ホッパーを含み、したがって下流供給を可能にする例示的なマイクロ波プラズマトーチを示す。したがって、この実施態様では、マイクロ波プラズマトーチの「プルーム」または「排気」で処理するために、マイクロ波プラズマトーチアプリケータの後に供給原料が注入される。したがって、マイクロ波プラズマトーチのプラズマは、
図1に関して説明した上部供給(または上流供給)とは対照的に、原料の下流供給を可能にするためにプラズマトーチの出口端部で係合される。この下流供給は、有利には、高温ゾーンが高温ゾーンライナの壁上の任意の材料堆積物から無期限に保護されるので、トーチの寿命を延ばすことができる。さらに、これは、温度レベルおよび滞留時間の正確な目標化によって粉末の最適な溶融に適した温度で下流のプラズマプルームを係合させることを可能にする。例えば、プラズマプルームを含む急冷容器内のマイクロ波粉末、ガス流、および圧力を使用して、プルームの長さを調整する能力がある。
【0034】
一般に、下流球状化方法は、安定したプラズマプルームを確立するために2つの主要なハードウェア構成を利用することができ、それらは、米国特許出願公開第2018/0297122号明細書、現在は米国特許第10,987,735号明細書に記載されているような環状トーチであるか、または米国特許第8,748,785号明細書および米国特許第9,932,673号明細書に記載されている旋回トーチである。
図2Aおよび
図2Bの両方は、環状トーチまたは旋回トーチのいずれかで実施することができる方法の実施形態を示す。プラズマトーチの出口でプラズマプルームと密接に結合された供給システムは、プロセスの均一性を保つために軸対称に粉末を供給するために使用される。他の供給構成は、プラズマプルームを取り囲む1つまたはいくつかの個々の供給ノズルを含むことができる。
【0035】
供給材料314は、マイクロ波プラズマトーチ302に導入することができる。ホッパー306を使用して、供給材料314をマイクロ波プラズマトーチ302、プルーム、または排気に供給する前に供給材料314を貯蔵することができる。代替的な実施形態では、供給原料は、プラズマトーチの長手方向軸に沿って注入することができる。マイクロ波放射は、導波管304を介してプラズマトーチに導入することができる。供給材料314は、プラズマチャンバ310内に供給され、プラズマトーチ302によって生成されたプラズマと接触するように配置される。プラズマ、プラズマプルーム、またはプラズマ排気と接触すると、供給材料は溶融する。供給材料314は、プラズマチャンバ310内にまだある間に、容器312内に収集される前に冷却されて凝固する。あるいは、供給材料314は、依然として溶融相にある間にプラズマチャンバ310から出て、プラズマチャンバの外側で冷却および凝固することができる。いくつかの実施形態では、陽圧を使用しても使用しなくてもよい急冷チャンバを使用することができる。
図1とは別に記載されているが、
図2A~
図2Bの実施形態は、
図1の実施形態と同様の特徴および条件を使用すると理解される。
【0036】
自動ストライク装置および方法
図3は、本開示の実施形態による、マイクロ波プラズマトーチを打撃するための自動ストライクワンド機構の一実施形態を示す。自動ストライクワンド機構400は、オペレータによる手動操作なしにプラズマトーチを打撃するために利用することができる。プラズマトーチは、
図1のマイクロ波プラズマトーチ3および
図2A~
図2Bのマイクロ波プラズマトーチ302を含む、任意の誘導または電磁波プラズマトーチであってもよい。自動ストライクワンド機構400は、オペレータを介して、またはコンピュータ化されたコントローラを介して遠隔制御されてもよい。自動ストライクワンド機構の機能は、プラズマトーチを始動させるために、プラズマトーチのガス流に自動ストライクワンド402を挿入することであってもよい。ワンド402は、
図7を参照して以下で詳細に説明するように、石英、ガラス、および/または他のマイクロ波透過性材料の外殻を含むことができる
。ワンド402はまた、金属ワイヤアンテナが配置され得る中空コアを含んでもよい。プラズマトーチを打ち付けるために、金属ワイヤアンテナが高熱下でプラズマトーチガス流に直接接触することを可能にするために、1つまたは複数の開放開口部がワンド402に切断されてもよい。ワンド402は、ガス流に対して平行、垂直、または別の角度でプラズマトーチのガス流に挿入することができる。プラズマトーチに衝突した後に、ワンド402をプラズマトーチガス流から後退させて、プラズマトーチおよび製品への金属ワイヤの汚染を最小限に抑え、繰り返し使用するためにワンド402を保存することができる。
【0037】
図4に示すように、ワンド402は、モータ404を使用してプラズマトーチガス流に挿入され、そこから後退させられて、1つまたは複数の摩擦ローラ406を駆動することができる。いくつかの実施形態では、モータ404、したがって摩擦ローラ406は、オペレータまたはコンピュータ化された自動化コントローラを介して遠隔制御することができる。したがって、安全性を高めるために、自動ストライクワンド機構400を使用して、人間のオペレータがプラズマトーチに近接していない状態でプラズマトーチを始動させることができる。自動ストライクワンド402はまた、自動ストライクワンド402の向きおよび完全性を維持する1つまたは複数のワンドベアリング408によって自動ストライクワンド機構400内で支持されてもよい。リミットスイッチ410を使用して、定位置でワンド402を感知することができる。
【0038】
図4は、本開示の実施形態による、マイクロ波プラズマトーチを打撃するための自動ストライクワンド機構の一実施形態の断面図である。
図4の図示した断面は、モータ404によって駆動される摩擦ローラ406を示す。図示の実施形態では、摩擦ローラ406は、モータ404によって駆動されて、ワンド402を垂直に上下に移動または並進させることができる。ワンドベアリング408は、自動ストライクワンド機構400内でワンド402の向きを固定することができる。
【0039】
図5は、本開示の実施形態による、自動ストライクワンドの動きを制御するためのモータおよび摩擦ローラ機構の一実施形態を示す。図示の実施形態では、モータ404は、モータ404から摩擦ローラ406にトルクおよび回転を伝達するドライブシャフト412を介して摩擦ローラ406に接続されている。このようにして、摩擦ローラ406は、トーチを点火するために、ワンド402をプラズマトーチの内外に搬送することができる。いくつかの実施形態では、摩擦ローラ406は、ワンドベアリング408が配置されているワンドハウジング416に接続され得るワンド機構本体414内に収容されてもよい。いくつかの実施形態では、ワンドハウジング416および/またはワンド機構本体414は、モータおよび他の構成要素から真空密封されてもよい。
【0040】
図6は、本開示の実施形態による、自動ストライクワンドを有するマイクロ波プラズマトーチで使用するための上限スイッチ機構の一実施形態を示す。いくつかの実施形態では、リミットスイッチ410は、安全インターロックとして、ワンド制御システムの一部として、またはプラズマトーチガス流の外側のワンド402の定位置を検知するために使用されてもよい。リミットスイッチは、一組の接点に機械的に連結されたアクチュエータからなる電気機械装置である。ワンド402がアクチュエータに接触すると、リミットスイッチ410は接点を動作させて電気的接続を形成または遮断し、これをコントローラに送信することができる。
【0041】
図7は、本開示の実施形態による、プラズマトーチを打撃するための自動ストライクワンドの一実施形態を示す。ワンド402は、実質的に石英または別のマイクロ波透過性材料で作られた細長い中空のワンド部材であって、閉じた遠位端421および開いた近位端と、ワンド部材の中空内部422からワンド部材の外部424まで延在する1つまたは複数の開口部420と、を有する中空のワンド部材を含むことができ、1つまたは複数の開
口部は、必要に応じて変化し得る所定の形状およびサイズを有し、中空のワンド部材は、プラズマトーチと動作可能に連通するように設計されている。
【0042】
ワンド402はまた、中空ワンド部材402の内部422内に配置され、少なくとも閉じた遠位端421および1つまたは複数の開口部420に近接する位置から開いた近位端の外側の位置まで延びる細長いワイヤ部材またはアンテナ426を含むことができ、ワイヤ部材またはアンテナ426は、電源を作動させてマイクロ波プラズマトーチ内でプラズマを始動させることができるように、マイクロ波発生器などの特定の電源と、1つまたは複数の開口部420を介して動作可能に通信するように設計される。
【0043】
いくつかの実施形態では、ワンド402は、石英および/またはガラスなどの他のマイクロ波透過性材料を含むことができる。いくつかの実施形態では、アンテナ426は、1つまたは複数の金属ワイヤを含んでもよい。ワンド402は、1つまたは複数のワイヤを1つまたは複数の開口部を除いて囲み、1つまたは複数のワイヤをスリップフリーにしてプラズマトーチを汚染するリスクを最小限にする。いくつかの実施形態では、アンテナは、金属または金属合金を含んでもよい。いくつかの実施形態では、アンテナ426は、アンテナを定位置に固定したままにするためにワンド402の内部422に融着されてもよい。例えば、アンテナ425は、ガラス-金属酸化物結合によって内部422に融着されてもよい。アンテナ426の長さも変えることができる。例えば、いくつかの実施形態では、金属ワイヤは、ワンド402の全長にわたって延在してもよい。あるいは、いくつかの実施形態では、アンテナ426は、ワンド402の長さに沿って部分的にのみ延在してもよい。例えば、金属ワイヤは、ワンド内の1つまたは複数の開口部420の位置にのみ設けられてもよい。いくつかの実施形態では、アンテナ長さは、マイクロ波プラズマトーチで使用される電磁波の波長に対応し得る。例えば、アンテナの長さは、プラズマトーチのマイクロ波の波長の約1/4の長さ、または波長の1/4の倍数を含んでもよい。いくつかの実施形態では、アンテナの長さは、プラズマトーチのマイクロ波の約1/8、約1/4、約3/8、約1/2、約3/4、約7/8、約1波長またはそれより長くてもよい。理論によって限定されるものではないが、波長の長さの約1/4以上のアンテナ長さは、アンテナを横切る最大電圧を生成する。より高い電圧は、ワイヤによってプラズマトーチのガス流に放出される電子の量を増加させ、それにより、ガスのイオン化が最大化されて連鎖反応を開始し、プラズマが点火される。いくつかの実施形態では、アンテナに使用される特定の金属の特性に応じて、より短いアンテナ長を使用することができる。
【0044】
いくつかの実施形態では、開口部420の数は限定されなくてもよい。いくつかの実施形態では、打撃機構の効率を最適化し、プラズマトーチ内へのアンテナ426の汚染を最小限に抑えるために、開口部420の数、配置、および向きを変えることができる。
【0045】
図8は、本開示の実施形態による、プラズマトーチを打撃するための自動ストライクワンドの別の実施形態を示す。上述したように、開口部420のサイズ方向および数は、所望のプロセス条件に応じて変えることができる。開口部420は、
図8に示すように、円形であってもよい。
【0046】
追加の実施形態
上記の明細書では、本発明をその特定の実施形態を参照して説明した。しかしながら、本発明のより広い精神および範囲から逸脱することなく、様々な修正および変更を行うことができることは明らかであろう。したがって、本明細書および図面は、限定的な意味ではなく例示的な意味で見なされるべきである。
【0047】
実際に、本発明は特定の実施形態および実施例の文脈で開示されているが、本発明は具体的に開示した実施形態を超えて、本発明の他の代替実施形態および/または使用、なら
びに明白な修正例およびその均等例に及ぶことが当業者によって理解されるであろう。さらに、本発明の実施形態のいくつかの変形例を詳細に示し説明したが、本発明の範囲内にある他の修正例は、本開示に基づいて当業者には容易に明らかであろう。また、実施形態の特定の特徴および態様の様々な組み合わせまたは部分的な組み合わせが行われてもよく、依然として本発明の範囲内に入ることも考えられる。開示された発明の様々な形態を形成するために、開示された実施形態の様々な特徴および態様を互いに組み合わせるか、または置き換えることができることを理解されたい。本明細書に開示する方法は、列挙された順序で実行される必要はない。したがって、本明細書に開示する発明の範囲は、上述の特定の実施形態によって限定されるべきではないことが意図される。
【0048】
本開示のシステムおよび方法は各々、いくつかの革新的な態様を有し、そのうちの1つだけが本明細書に開示した望ましい属性を単独で担当または必要とするものではないことが理解されよう。上述した様々な特徴およびプロセスは、互いに独立して使用されてもよく、または様々な方法で組み合わされてもよい。すべての可能な組み合わせおよび部分的な組み合わせは、本開示の範囲内に入ることが意図されている。
【0049】
別個の実施形態の文脈で本明細書に記載される特定の特徴はまた、単一の実施形態において組み合わせて実施されてもよい。逆に、単一の実施形態の文脈で説明される様々な特徴はまた、複数の実施形態において別々に、または任意の適切な下位の組み合わせで実装されてもよい。さらに、特徴は、特定の組み合わせで作用するものとして上述され、最初にそのように特許請求されてもよいが、特許請求される組み合わせからの1つまたは複数の特徴は、場合によっては、組み合わせから削除されてもよく、特許請求される組み合わせは、下位の組み合わせまたは下位の組み合わせの変形に向けられてもよい。単一の特徴または特徴のグループは、あらゆる実施形態に必要または不可欠ではない。
【0050】
本明細書で使用される条件付き言語、とりわけ、「できる」、「できた」、「でもよい」、「してもよい」、「例えば」などは、特に明記しない限り、または使用される文脈内で他の意味で理解されない限り、一般に、特定の実施形態が特定の特徴、要素および/またはステップを含むが、他の実施形態は含まないことを伝えることを意図していることも理解されよう。したがって、そのような条件付き言語は、一般に、特徴、要素および/またはステップが1つまたは複数の実施形態に何らかの形で必要とされること、または1つまたは複数の実施形態が、著者の入力またはプロンプトの有無にかかわらず、これらの特徴、要素および/またはステップが任意の特定の実施形態に含まれるか、または実行されるべきかを決定するための論理を必然的に含むことを意味することを意図するものではない。「備える(comprising)」、「含む(including)」、「有する(having)」などの用語は同義語であり、包括的に、制限のない形で使用され、追加の要素、特徴、動作(acts)、動作(operations)などを排除しない。さらに、「または」という用語は、包括的な意味で(排他的な意味ではなく)使用され、例えば、要素のリストを接続するために使用される場合、「または」という用語は、リスト内の要素の1つ、いくつか、またはすべてを意味する。さらに、本出願および添付の特許請求の範囲で使用される冠詞「a」、「an」、および「the」は、特に指定されない限り、「1つまたは複数」または「少なくとも1つ」を意味すると解釈されるべきである。同様に、動作は特定の順序で図面に示されているが、望ましい結果を達成するために、そのような動作は、示されている特定の順序で、または連続した順序で実行される必要はなく、または示されているすべての動作が実行されることが認識されるべきである。さらに、図面は、フローチャートの形式でさらなる例示的なプロセスを概略的に示すことができる。しかしながら、図示されていない他の動作は、概略的に示されている例示的な方法およびプロセスに組み込まれてもよい。例えば、1つまたは複数の追加の動作を、図示の動作のいずれかの前、後に、同時に、またはその間に実行することができる。さらに、動作は、他の実施形態では並べ替え(rearranged)または並べ替えられて(r
eordered)もよい。特定の状況では、マルチタスク処理および並列処理が有利であり得る。さらに、上述の実施形態における様々なシステム構成要素の分離は、すべての実施形態においてそのような分離を必要とすると理解されるべきではなく、記載されたプログラム構成要素およびシステムは、一般に、単一のソフトウェア製品に一緒に統合されてもよく、または複数のソフトウェア製品にパッケージ化されてもよいことを理解されたい。さらに、他の実施形態は、以下の特許請求の範囲内にある。場合によっては、特許請求の範囲に記載された動作は、異なる順序で実行されてもよく、依然として望ましい結果を達成することができる。
【0051】
さらに、本明細書に記載の方法および装置は、様々な修正および代替形態の影響を受けやすい可能性があるが、その具体例は図面に示されており、本明細書で詳細に説明される。しかしながら、本発明は、開示された特定の形態または方法に限定されるものではなく、逆に、本発明は、記載された様々な実施態様および添付の特許請求の範囲の趣旨および範囲内に入るすべての修正例、均等例、および代替例を包含するものであることを理解されたい。さらに、実装または実施形態に関連する任意の特定の特徴、態様、方法、特性(property)、特性(characteristic)、品質、属性、要素などの本明細書の開示は、本明細書に記載の他のすべての実施態様または実施形態で使用することができる。本明細書に開示する方法は、列挙された順序で実行される必要はない。本明細書に開示する方法は、実行者(practitioner)によって行われる特定の動作を含むことができる。しかしながら、本方法は、明示的または暗示的に、それらの動作の任意の第三者命令を含むこともできる。本明細書に開示する範囲はまた、任意のおよびすべての重複、部分範囲、およびそれらの組み合わせを包含する。「~まで(up to)」、「少なくとも(at least)」、「より大きい(greater than)」、「未満(less than)」、「間(between)」などの言語は、列挙された数字を含む。「約」または「およそ」などの用語が先行する数字は、列挙された数字を含み、状況に基づいて解釈されるべきである(例えば、状況下で合理的に可能な限り正確に、例えば±5%、±10%、±15%など)。例えば、「約3.5mm」は、「3.5mm」を含む。「実質的に」などの用語が先行する語句は、列挙された語句を含み、状況に基づいて(例えば、状況下で合理的に可能な限り)解釈されるべきである。例えば、「実質的に一定」は、「一定」を含む。特に明記しない限り、すべての測定は、温度および圧力を含む標準条件で行われる。
【0052】
本明細書で使用される場合、項目のリストの「少なくとも1つ」を指す語句は、単一の部材を含む、それらの項目の任意の組み合わせを指す。一例として、「A、B、またはCのうちの少なくとも1つ」は、A、B、C、AおよびB、AおよびC、BおよびC、ならびにA、BおよびCを包含することを意図している。句「X、YおよびZのうちの少なくとも1つ、」などの連言的言語は、特に明記しない限り、アイテム、用語などがX、Y、またはZのうちの少なくとも1つであり得ることを伝えるために一般に使用される文脈で別途理解される。したがって、そのような連言的言語は、一般に、特定の実施形態がそれぞれ存在するためにXのうちの少なくとも1つ、Yのうちの少なくとも1つ、およびZのうちの少なくとも1つを必要とすることを意味することを意図しない。本明細書で提供される見出しは、存在する場合、便宜上のものに過ぎず、本明細書に開示する装置および方法の範囲または意味に必ずしも影響しない。
【0053】
したがって、特許請求の範囲は、本明細書に示す実施形態に限定されることを意図するものではなく、本開示、本明細書に開示する原理および新規な特徴と一致する最も広い範囲が与えられるべきである。