(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-26
(45)【発行日】2024-10-04
(54)【発明の名称】電動機制御装置
(51)【国際特許分類】
H02K 3/52 20060101AFI20240927BHJP
H02K 3/46 20060101ALI20240927BHJP
H02K 3/38 20060101ALI20240927BHJP
H02K 11/30 20160101ALI20240927BHJP
【FI】
H02K3/52
H02K3/46 C
H02K3/38 Z
H02K11/30
(21)【出願番号】P 2023525150
(86)(22)【出願日】2021-05-31
(86)【国際出願番号】 JP2021020644
(87)【国際公開番号】W WO2022254502
(87)【国際公開日】2022-12-08
【審査請求日】2023-06-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100206081
【氏名又は名称】片岡 央
(74)【代理人】
【識別番号】100188673
【氏名又は名称】成田 友紀
(74)【代理人】
【識別番号】100188891
【氏名又は名称】丹野 拓人
(72)【発明者】
【氏名】吉村 圭央
【審査官】服部 俊樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-103849(JP,A)
【文献】国際公開第2019/038849(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/096596(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 3/52
H02K 3/46
H02K 3/38
H02K 11/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動機制御装置であって、
機構部と、前記機構部に電力を供給する電動機端子とを有する電動機と、
ユニットケースと、前記電動機と前記ユニットケースとの間に位置するとともに電気回路を有する基板と、前記電動機制御装置の外部から入力される電力及び信号を受けるコネクタと、前記電動機端子と前記電気回路とを接続する中継端子を有しかつ前記電動機と前記基板との間の電気的接続を中継する中継部品と、を有し、前記電動機の駆動を制御する制御部と、
を備え、
前記ユニットケースは、前記基板、前記コネクタ、及び前記中継部品を固定し、
前記電動機端子は、前記電動機から前記制御部に向けて延びており、
前記電動機端子は、前記中継部品の前記中継端子に接続されており、
前記中継端子は、前記電気回路に電気的に接続されて
おり、
前記ユニットケースは、ソケット着座面と、前記ソケット着座面に設けられた穴とを有し、
前記中継部品は、ソケットを有し、
前記ソケットは、前記ソケット着座面に対向する対向面と、前記対向面から突出するとともに前記穴に挿入される円筒部とを有し、
前記ソケットは、前記基板よりも前記電動機に近い位置、又は、前記基板に対して前記電動機とは反対側の位置において、前記ユニットケースに固定されている、
電動機制御装置。
【請求項2】
電動機制御装置であって、
機構部と、前記機構部に電力を供給する電動機端子とを有する電動機と、
ユニットケースと、前記電動機と前記ユニットケースとの間に位置するとともに電気回路を有する基板と、前記電動機制御装置の外部から入力される電力及び信号を受けるコネクタと、前記電動機端子と前記電気回路とを接続する中継端子を有しかつ前記電動機と前記基板との間の電気的接続を中継する中継部品と、を有し、前記電動機の駆動を制御する制御部と、
を備え、
前記ユニットケースは、前記基板、前記コネクタ、及び前記中継部品を固定し、
前記電動機端子は、前記電動機から前記制御部に向けて延びており、
前記電動機端子は、前記中継部品の前記中継端子に接続されており、
前記中継端子は、前記電気回路に電気的に接続されており、
前記ユニットケースは、ソケット着座面と、前記ソケット着座面に設けられた穴とを有し、
前記中継部品は、ソケットを有し、
前記ソケットは、前記ソケット着座面に対向する対向面と、前記対向面から突出するとともに前記穴に挿入される円筒部とを有し、
前記ソケットに生じる復元力、及び、前記ソケットと前記ユニットケースとの間に塗布される接着剤の接着力のうち少なくとも一方によって、前記ソケットが前記ユニットケースに固定されている、
電動機制御装置。
【請求項3】
電動機制御装置であって、
機構部と、前記機構部に電力を供給する電動機端子とを有する電動機と、
ユニットケースと、前記電動機と前記ユニットケースとの間に位置するとともに電気回路を有する基板と、前記電動機制御装置の外部から入力される電力及び信号を受けるコネクタと、前記電動機端子と前記電気回路とを接続する中継端子を有しかつ前記電動機と前記基板との間の電気的接続を中継する中継部品と、を有し、前記電動機の駆動を制御する制御部と、
を備え、
前記ユニットケースは、前記基板、前記コネクタ、及び前記中継部品を固定し、
前記電動機端子は、前記電動機から前記制御部に向けて延びており、
前記電動機端子は、前記中継部品の前記中継端子に接続されており、
前記中継端子は、前記電気回路に電気的に接続されており、
前記中継部品は、ソケットを有し、
前記ソケット及び前記コネクタは、一体に構成されている、
電動機制御装置。
【請求項4】
前記基板は、前記電動機に電力を供給するパワー基板と、前記電動機の駆動を制御する制御基板とで構成されており、
前記中継端子は、前記パワー基板に接続されている、
請求項1
から請求項3のいずれか一項に記載の電動機制御装置。
【請求項5】
前記ソケットは、前記基板よりも前記電動機に近い位置、又は、前記基板に対して前記電動機とは反対側の位置において、前記ユニットケースに固定されている、
請求項2又は請求項3に記載の電動機制御装置。
【請求項6】
前記ソケットに生じる復元力、及び、前記ソケットと前記ユニットケースとの間に塗布される接着剤の接着力のうち少なくとも一方によって、前記ソケットが前記ユニットケースに固定されている、
請求項1又は請求項3に記載の電動機制御装置。
【請求項7】
前記中継部品は、ソケットを有し、
前記ソケット及び前記コネクタは、一体に構成されている、
請求項1又は請求項2に記載の電動機制御装置。
【請求項8】
前記電動機は、出力軸を有しており、
前記制御部は、前記電動機の前記出力軸に配置されている、
請求項1から
請求項7のいずれか一項に記載の電動機制御装置。
【請求項9】
前記電動機は、出力軸を有しており、
前記制御部は、前記電動機の前記出力軸とは反対側に配置されている、
請求項1から
請求項7のいずれか一項に記載の電動機制御装置。
【請求項10】
前記ソケットは、前記円筒部の周りに設けられたリブを有し、
前記リブは、前記円筒部の径方向外側に向けて前記円筒部の表面から突出している、
請求項1又は請求項2に記載の電動機制御装置。
【請求項11】
前記基板は、前記電動機端子に対応する位置に形成された基板貫通孔を有し、
前記電動機端子は、前記基板貫通孔に挿通し、かつ、前記中継端子により前記電気回路に接続されている、
請求項1から請求項10のいずれか一項に記載の電動機制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電動機制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、機電一体の制御装置が知られている。機電一体の制御装置は、電動機と、電動機を制御する制御部とを備える。制御部は、電動機へ電力を供給するパワー回路、制御回路、及び電子部品が実装された基板を有する。基板には、電動機や電源等から延びる配線の端子が接続される。特許文献1は、電動機の端子と基板を接続する構造を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示された装置においては、基板上にバスバーが実装されている。電動機の端子をバスバーへ圧入して接続する際に、基板へ応力が発生し、基板に実装している電子部品が損傷するという問題があった。
【0005】
本開示は、上記のような課題を解決するためになされたもので、電動機の端子と基板を接続する際における基板配線部や電子部品に発生する応力を低減することができる電動機制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る電動機制御装置は、電動機と制御部とを備える。電動機は、機構部と、前記機構部に電力を供給する電動機端子とを有する。制御部は、ユニットケースと、前記電動機と前記ユニットケースとの間に位置するとともに電気回路を有する基板と、前記電動機制御装置の外部から入力される電力及び信号を受けるコネクタと、前記電動機端子と前記電気回路とを接続する中継端子を有しかつ前記電動機と前記基板との間の電気的接続を中継する中継部品と、を有し、前記電動機の駆動を制御する。前記ユニットケースは、前記基板、前記コネクタ、及び前記中継部品を固定する。前記電動機端子は、前記電動機から前記制御部に向けて延びている。前記電動機端子は、前記中継部品の前記中継端子に接続されている。前記中継端子は、前記電気回路に電気的に接続されている。前記ユニットケースは、ソケット着座面と、前記ソケット着座面に設けられた穴とを有する。前記中継部品は、ソケットを有する。前記ソケットは、前記ソケット着座面に対向する対向面と、前記対向面から突出するとともに前記穴に挿入される円筒部とを有する。前記ソケットは、前記基板よりも前記電動機に近い位置、又は、前記基板に対して前記電動機とは反対側の位置において、前記ユニットケースに固定されている。
本開示に係る電動機制御装置は、電動機と制御部とを備える。電動機は、機構部と、前記機構部に電力を供給する電動機端子とを有する。制御部は、ユニットケースと、前記電動機と前記ユニットケースとの間に位置するとともに電気回路を有する基板と、前記電動機制御装置の外部から入力される電力及び信号を受けるコネクタと、前記電動機端子と前記電気回路とを接続する中継端子を有しかつ前記電動機と前記基板との間の電気的接続を中継する中継部品と、を有し、前記電動機の駆動を制御する。前記ユニットケースは、前記基板、前記コネクタ、及び前記中継部品を固定する。前記電動機端子は、前記電動機から前記制御部に向けて延びている。前記電動機端子は、前記中継部品の前記中継端子に接続されている。前記中継端子は、前記電気回路に電気的に接続されている。前記ユニットケースは、ソケット着座面と、前記ソケット着座面に設けられた穴とを有する。前記中継部品は、ソケットを有する。前記ソケットは、前記ソケット着座面に対向する対向面と、前記対向面から突出するとともに前記穴に挿入される円筒部とを有する。前記ソケットに生じる復元力、及び、前記ソケットと前記ユニットケースとの間に塗布される接着剤の接着力のうち少なくとも一方によって、前記ソケットが前記ユニットケースに固定されている。
本開示に係る電動機制御装置は、電動機と制御部とを備える。電動機は、機構部と、前記機構部に電力を供給する電動機端子とを有する。制御部は、ユニットケースと、前記電動機と前記ユニットケースとの間に位置するとともに電気回路を有する基板と、前記電動機制御装置の外部から入力される電力及び信号を受けるコネクタと、前記電動機端子と前記電気回路とを接続する中継端子を有しかつ前記電動機と前記基板との間の電気的接続を中継する中継部品と、を有し、前記電動機の駆動を制御する。前記ユニットケースは、前記基板、前記コネクタ、及び前記中継部品を固定する。前記電動機端子は、前記電動機から前記制御部に向けて延びている。前記電動機端子は、前記中継部品の前記中継端子に接続されている。前記中継端子は、前記電気回路に電気的に接続されている。前記中継部品は、ソケットを有する。前記ソケット及び前記コネクタは、一体に構成されている。
【発明の効果】
【0007】
本開示に係る電動機制御装置によれば、基板に発生する応力や、基板上に設けられた電子部品に発生する応力を低減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施の形態1に係る電動機制御装置の構成を示す断面図である。
【
図2】実施の形態1に係る電動機制御装置を示す分解斜視図である。
【
図3】実施の形態1に係る電動機制御装置のモータ端子と中継部品との接続部を示す模式的な斜視図である。
【
図5】
図3に示すソケットとユニットケースを省略した図であって、モータ端子が中継端子に接続される前の状態を模式的に示す斜視図である。
【
図6】実施の形態1に係る電動機制御装置を構成する中継部品を示す斜視図である。
【
図7】実施の形態2に係る電動機制御装置の構成を示す断面図である。
【
図8】実施の形態3に係る電動機制御装置の構成を示す断面図である。
【
図9】実施の形態4に係る電動機制御装置の構成を示す断面図である。
【
図10】実施の形態5に係る電動機制御装置の構成を模式的に示す図であって、
図3に示すX-X線に沿う断面図である。
【
図11】実施の形態6に係る電動機制御装置の構成を示す図であって、中継部品とコネクタとが一体化した一体型中継部品をユニットケースに組み付けた状態を示す平面図である。
【
図12】実施の形態6に係る電動機制御装置の構成を示す図であって、中継部品とコネクタとが一体化した一体型中継部品を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施の形態に係る電動機制御装置について、
図1~
図12を参照して説明する。
図1~
図12において、互いに同一又は同様の構成部分には同じ符号が付されている。
実施の形態に係る電動機制御装置は、電動機の機構部と、電動機を制御する制御部とが一体となった機電一体型の制御装置である。
【0010】
実施の形態に係る電動機制御装置の説明においては、電動機制御装置を構成するモータ10の軸方向を単に「軸方向」と称する。モータ10の径方向を単に「径方向」と称する。
【0011】
実施の形態1.
実施の形態1に係る電動機制御装置1について、
図1~
図6を参照して説明する。本実施の形態1に係る電動機制御装置1は、例えば、運転者によるステアリング操作を補助するための電動パワーステアリング装置に適用される。電動機制御装置1は、操舵アシストトルクを電動パワーステアリング装置に出力する。電動機制御装置1から入力された操舵アシストトルクに基づき、電動パワーステアリング装置が駆動する。
【0012】
<電動機制御装置1の全体構成>
まず、
図1及び
図2を参照して、電動機制御装置1の全体的な構成について説明する。電動機制御装置1は、モータ10(機構部)と、駆動制御装置20(制御部)とを備える。電動機制御装置1は、モータ10と駆動制御装置20とが一体化された構造を有する。
【0013】
<モータ10>
モータ10は、電動機として機能する。換言すると、モータ10は、回転電機として機能する。モータ10は、3相ブラシレスモータである。モータ10は、モータケース11、複数のステータ12、巻線13、ロータ14、シャフト15、環状接続リング16、及びモータ端子18(電動機端子)を備える。モータケース11には、複数のステータ12、巻線13、ロータ14、シャフト15の一部、環状接続リング16、及びモータ端子18が内蔵されている。複数のステータ12、巻線13、ロータ14、及びシャフト15は、電動機の機構部を構成する。
【0014】
<モータケース11>
モータケース11は、金属製部材で構成されている。モータケース11を構成する材料は、モータ10から生じる熱の放熱性と、モータケース11の加工性とを考慮して決定される。モータケース11を構成する材料としては、例えば、鉄、アルミニウム等が好ましい。
モータケース11は、貫通孔11aを有する。貫通孔11aは、駆動制御装置1の接地部に設けられている。後述するように、貫通孔11aには、ネジ50が挿通される。
【0015】
<ステータ12>
複数のステータ12は、モータケース11の内壁に固定されている。
複数のステータ12は、ロータ14を囲むように環状に配置されている。複数のステータ12の各々は、隙間を介して、ロータ14に面している。複数のステータ12の各々には、巻線13が巻回されている。
図1には詳細に示されていないが、モータケース11の内壁には、3相交流のU相、V相、W相の各々に対するU相ステータ12U、V相ステータ12V、及びW相ステータ12Wが配置されている。以下の説明では、3相のステータ12を単にステータ12と称する場合がある。
【0016】
<巻線13>
巻線13は、U相ステータ12U、V相ステータ12V、及びW相ステータ12Wの各々に巻回されている。具体的には、U相ステータ12UにU相巻線13Uが巻回されている。V相ステータ12VにV相巻線13Vが巻回されている。W相ステータ12WにW相巻線13Wが巻回されている。以下の説明では、3相の巻線13を単に巻線13と称する場合がある。
【0017】
<環状接続リング16>
環状接続リング16は、環状形状を有する。環状接続リング16の近くには、U相巻線13U、V相巻線13V、及びW相巻線13Wの各々の端部13Tが位置する。具体的には、U相巻線13Uの端部13TU、V相巻線13Vの端部13TV、及びW相巻線13Wの端部13TWが環状接続リング16に接続されている。
【0018】
<モータ端子18>
モータ端子18は、モータ10を駆動するための電力を巻線13に供給する。
モータ端子18は、3相の巻線13、すなわち、U相巻線13U、V相巻線13V、及びW相巻線13Wの各々に電気的に接続されている。具体的には、U相巻線13UにU相モータ端子18Uが接続されている。V相巻線13VにV相モータ端子18Vが接続されている。W相巻線13WにW相モータ端子18Wが接続されている。以下の説明では、3相のモータ端子18を単にモータ端子18と称する場合がある。
モータ端子18は、モータ10から駆動制御装置20へ向けて延びている。
【0019】
<ロータ14>
ロータ14は、モータケース11の内部において、シャフト15の周囲に固定されている。ロータ14は、永久磁石で構成されている。
【0020】
<シャフト15>
シャフト15は、棒状の部材である。シャフト15の材料としては、公知の金属材料が用いられる。軸方向から見て、シャフト15の中心と、ロータ14の中心とは一致している。シャフト15は、モータ10から駆動制御装置20に向けて延在するように軸方向に延在している。シャフト15は、第1シャフト部15Aと第2シャフト部15Bとを有する。第1シャフト部15Aは、シャフト15のうち、モータケース11に内蔵されている部分である。第2シャフト部15Bは、シャフト15のうち、モータケース11から駆動制御装置20に向けて突出する部分である。
【0021】
第1シャフト部15Aは、モータケース11の内部に設けられた第1ベアリング40によって支持されている。
第2シャフト部15Bは、後述するユニットケース27に設けられた第2ベアリング41によって支持されている。つまり、第1ベアリング40及び第2ベアリング41によって、シャフト15は、回転可能に支持されている。これにより、シャフト15及びロータ14は、回転可能である。換言すると、第2シャフト部15Bは、モータ10の出力軸である。
【0022】
<駆動制御装置20>
駆動制御装置20は、モータ10の駆動を制御する制御部として機能する。
駆動制御装置20は、主に、基板21、コネクタ25、ユニットケース27、及び中継部品60を備える。駆動制御装置20においては、基板21及び中継部品60の各々がユニットケース27に固定されている。
駆動制御装置20は、軸方向において、上述したモータ10と接続されている。駆動制御装置20の中央部20Cにおいて、シャフト15は、駆動制御装置20を貫通する。
【0023】
<基板21>
基板21は、モータ10とユニットケース27との間に位置する。
基板21としては、例えば、公知の電気回路を有するプリント基板である。本実施の形態1では、基板21の種類を限定しない。
基板21は、軸方向に対して垂直な面を有する。基板21の面に関し、以下の説明では、モータ10に対向する基板21の面を第1面21a(モータ対向面)と称する。駆動制御装置20に対向する基板21の面を第2面21b(制御装置対向面)と称する。
【0024】
基板21は、ネジ51によって、後述するユニットケース27の基板支持部27cに固定されている。基板21の周囲における複数箇所において基板21と基板支持部27cとを固定することが好ましい。この場合、基板21をユニットケース27に組み付ける際に生じるユニットケース27からの基板21の浮きを防ぐことができる。
第2面21b上には、CPU36(Central Processing Unit)及びコンデンサ35が実装されている。
【0025】
さらに、第2面21b上には、基板21に電気的に接続される接続端子が形成されている。具体的に、後述する中継端子61の中継接続部61c(基板接続部)に接続される接続端子、後述するコネクタ25のコネクタ接続部25b(基板接続部)に接続される接続端子、及び後述する回転センサ26のセンサ接続部26a(基板接続部)に接続される接続端子が、第2面21b上に形成されている。
【0026】
基板21には、モータ端子18が挿通する基板貫通孔21dが形成されている。基板貫通孔21dは、モータ端子18に対応する位置に形成されている。3つの基板貫通孔21dよりも径方向内側に位置する領域21Iには、電子部品が配置される。
基板貫通孔21dの各々における径方向外側の位置には、3つの穴が形成されている。3つの穴は、1つの基板貫通孔21dの隣に形成されており、基板貫通孔21dの長手方向に沿って配列している。後述する
図5に示す中継接続部61cは、この3つの穴の各々を貫通し、半田によって基板21に接続される。
【0027】
<ユニットケース27>
ユニットケース27は、基板支持部27cと、保持部27Sと、回転センサ26と、回転センサ用ロータ19とを備える。ユニットケース27は、基板21、コネクタ25、及び中継部品60を固定する。
【0028】
ユニットケース27は、金属製部材で構成されている。ユニットケース27を構成する材料は、電動機制御装置1から生じる熱の放熱性と、ユニットケース27の加工性とを考慮して決定される。ユニットケース27を構成する材料としては、例えば、アルミニウム等が好ましい。
基板支持部27cは、基板21の貫通孔を挿通するネジ51が螺入される部位である。基板支持部27cにおいては、ネジ51によって基板21とユニットケース27とが固定される。
【0029】
保持部27Sは、回転センサ26及び回転センサ用ロータ19を保持する部位である。回転センサ26は、保持部27Sを介して、ユニットケース27に固定されている。
回転センサ26は、例えば、レゾルバである。回転センサ26にはレゾルバコイルが内蔵されている。回転センサ26は、センサ接続部26aを有する。センサ接続部26aは、基板21に半田等で接続される端子である。
【0030】
回転センサ用ロータ19は、第2ベアリング41に支持されている第2シャフト部15Bに装着されている。回転センサ用ロータ19は、回転センサ26に対向している。モータ10の駆動に伴ってシャフト15が回転すると、第2シャフト部15Bと共に回転センサ用ロータ19が回転する。これにより、回転センサ26は、シャフト15の回転角を検出する。
【0031】
ユニットケース27は、駆動制御装置20の中央部20Cに対応する位置に設けられた穴27Hを有する。穴27Hには、シャフト15の第2シャフト部15Bが貫通可能である。ユニットケース27の外周の一部には、コネクタ固定部27Eが形成されている。コネクタ固定部27Eは、ユニットケース27の外周の一部が切り欠かれた部位である。コネクタ固定部27Eには、コネクタ25が装着されている。
【0032】
ユニットケース27の外周縁27Fには雌ネジ部27aが形成されている。雌ネジ部27aには、モータケース11の貫通孔11aを挿通するネジ50が螺入される。ネジ50が雌ネジ部27aに螺入することによって、ユニットケース27にモータケース11が締結され、固定される。
【0033】
駆動制御装置20の外形は、金属製のユニットケース27の外形と、後述するコネクタ25の樹脂部25cの外形との組み合わせによって形成されている。ユニットケース27は、駆動制御装置20を覆う機能を有する。ユニットケース27は、ハウジングと称することもできる。
【0034】
ユニットケース27において、基板支持部27cが形成されている部分以外の部分は、軸方向における基板支持部27cの高さよりも低い高さを有する。このため、ユニットケース27の上面27Uと、基板21の第2面21bとの間には、間隙27eが形成されている。ユニットケース27は、後述するソケット着座面27hとソケット圧入孔27gとを有する。ソケット着座面27hは、上面27Uに形成された凹部27Bの底面に位置する。ソケット圧入孔27gは、ソケット着座面27hに設けられた穴である。
【0035】
間隙27eには、高熱伝導率を有する放熱用部材37が配置されている。放熱用部材37は、CPU36で発生する熱をユニットケース27に伝熱している。また、第2面21bに実装されたコンデンサ35に対応する上面27Uの位置には、凹部27fが形成されている。間隙27eに放熱用部材37を配置し、コンデンサ35から発生する熱をユニットケース27に放熱することも可能である。
【0036】
<中継部品60>
中継部品60は、モータ端子18と基板21とを接続させるモータ接続用部品である。
換言すると、中継部品60は、モータ10と駆動制御装置20との間の電気的接続を中継する中継部品である。
【0037】
中継部品60は、中継端子61とソケット62とで構成される。ソケット62は、樹脂部品である。中継端子61は、上述したモータ端子18に接続される端子である。後述するように、中継端子61は、中継接続部61cを有する。中継端子61は、モータ端子18と基板21の電気回路とを接続する。
【0038】
ソケット62は、基板21よりもモータ10に近い位置に固定されている。
変形例として、ソケット62は、基板21に対してモータ10と反対側の位置において、ユニットケース27に固定されてもよい。
【0039】
中継端子61は、3相のモータ端子18、すなわち、U相モータ端子18U、V相モータ端子18V、及びW相モータ端子18Wの各々に電気的に接続されている。具体的には、U相モータ端子18UにU相中継端子61Uが接続されている。V相モータ端子18VにV相中継端子61Vが接続されている。W相モータ端子18WにW相中継端子61Wが接続されている。以下の説明では、3相の中継端子61を単に中継端子61と称する場合がある。
【0040】
また、U相中継端子61Uを有する中継部品をU相中継部品と称する場合がある。V相中継端子61Vを有する中継部品をV相中継部品と称する場合がある。W相中継端子61Wを有する中継部品をW相中継部品と称する場合がある。以下の説明では、3相の中継部品60を単に中継部品60と称する場合がある。
【0041】
中継端子61には、基板貫通孔21dを挿通するモータ端子18がプレスフィット接続によって接続されている。
中継端子61は、ソケット62と一体化されている。ソケット62は、ユニットケース27に固定されている。また、中継端子61は、半田等によって基板21に電気的に接続される。
すなわち、モータ端子18は、中継部品60の中継端子61を介して基板21に接続されている。これにより、駆動制御装置20は、中継部品60を介して、モータ10に電気的に接続される。
【0042】
<コネクタ25>
コネクタ25は、電動機制御装置1の外部に露出する部位である。
コネクタ25は、電動機制御装置1の外部から入力される電力及び信号を受ける。
コネクタ25は、電源端子25a(電源系端子)、不図示の信号端子、コネクタ接続部25b、及び樹脂部25cを有する。電源端子25a及び信号端子は、コネクタ25の内部に設けられている。電源端子25aは、車両に搭載されたバッテリと接続される端子である。信号端子は、電動機制御装置1の各種情報を検出するセンサ類と接続される端子である。
コネクタ25は、ユニットケース27にネジ52にて固定されている。コネクタ25のコネクタ接続部25bは、半田等により基板21と電気的に接続されている。
【0043】
上述した電動機制御装置1を製造する工程を説明する。
例えば、まず、コネクタ25と中継部品60とをユニットケース27に組み付ける。その後、基板21をユニットケース27に組み付ける。これによって、駆動制御装置20が得られる。次に、駆動制御装置20とモータ10とを組み付ける。このとき、モータ端子18は、中継端子61を介して基板21と接続される。
【0044】
<端子接続構造>
次に、電動機制御装置1における端子接続構造について、
図3~
図6を参照して説明する。この端子接続構造においては、巻線13から引き出されたモータ端子18と、中継端子61とが接続されている。
図3~
図5においては、基板21、モータ端子18、中継端子61、及びソケット62が設けられた部分が示されており、基板21及びユニットケース27の全体の形状が簡略化されている。
【0045】
図3~
図6に示すように中継部品60は、中継端子61とソケット62とで構成されている。中継端子61とソケット62とは一体化されている。中継端子61とソケット62とを一体化する方法としては、例えば、アウトサート成形法又はインサート成形法が挙げられる。ユニットケース27に中継部品60を圧入することで、中継部品60はユニットケース27に組み付けられる。
【0046】
図4及び
図6に示すように、ソケット62は、例えば、円筒部62aと、複数のリブ62bを有する。ソケット62は、ソケット着座面27hに対向する対向面62fを有する。円筒部62aは、対向面62fから突出している。複数のリブ62bは、円筒部62aの周りに設けられている。リブ62bは、円筒部62aの径方向外側に向けて円筒部62aの表面から突出している。
図6に示す例では、リブ62bは、対向面62fから円筒部62aが突出する方向に沿って延びている。
【0047】
図6に示す例では、円筒部62aの周りに2つのリブ62bが形成されているが、リブ62bの数は、限定されない。複数のリブ62bは、円筒部62aの周りに等間隔で設けられてもよい。
リブ62bの形状は、
図6に示す形状に限定されない。例えば、リブ62bは、円筒部62aの表面から突出する複数のドット(点状部)であってもよい。リブ62bは、円筒部62aの表面から突出するとともに、円筒部62aと同心円状のリング(環状部)であってもよい。リブ62bは、対向面62fから円筒部62aが突出する方向に交差する方向に沿って延びてもよい。リブ62bは、円筒部62aの表面に螺旋状に形成されてもよい。つまり、リブ62bは、円筒部62aの表面に形成された雄ネジ形状を有してもよい。
ソケット圧入孔27gにソケット62を圧入した際に円筒部62a及びリブ62bが弾性変形することが可能であれば、リブ62bの数、リブ62bの配置、及びリブ62bの形状は限定されない。
【0048】
図4に示すように、ユニットケース27は、ソケット圧入孔27gを有する。
図4には、1つのソケット圧入孔27gが示されているが、3相の中継部品60に応じて、ソケット圧入孔27gは、ユニットケース27に3箇所設けられている。つまり、ユニットケース27には、U相ソケット圧入孔27g、V相ソケット圧入孔27g、W相ソケット圧入孔27gが設けられている。
【0049】
ソケット圧入孔27gの径Aは、ソケット62の円筒部62aの径Bよりも大きい(A>B)。ソケット圧入孔27gの径Aは、ソケット62の円筒部62aとリブ62bとを含む幅Cよりも小さい(C>A)。文言「ソケット62の円筒部62aとリブ62bとを含む幅C」とは、対向面62fに平行な円筒部62aの断面において、円筒部62aの径方向における幅を意味する。さらに、幅Cを規定する2点間の距離は、2つのリブ62bの端面間の距離でもよいし、1つのリブ62bの端面と円筒部62aの表面との間の距離でもよい。
【0050】
中継部品60は、上述した形状を有するユニットケース27に圧入されている。中継部品60をユニットケース27に圧入する際には、まず、リブ62bが形成されている円筒部62aをソケット圧入孔27gに対向させる。さらに、円筒部62a及びリブ62bをソケット圧入孔27gに挿入する。径Aは、幅Cよりも小さいため、リブ62bは、ソケット圧入孔27gの径方向内側に向けて、ソケット圧入孔27gの内壁面によって押圧される。リブ62bに加わる押圧力によって、または、円筒部62a及びリブ62bの両方に加わる押圧力によって、円筒部62a及びリブ62bは弾性変形しつつ、ユニットケース27に対して中継部品60が圧入される。ソケット62の対向面62fの少なくとも一部がユニットケース27のソケット着座面27hに接触するまで、中継部品60は、ユニットケース27に軸方向へ圧入される。U相、V相、W相の中継部品60は、U相、V相、W相のソケット圧入孔27gに各々圧入される。
【0051】
ユニットケース27にソケット62を圧入して固定するとは、ソケット62の円筒部62a及びリブ62bがソケット圧入孔27gの内部において弾性変形することを意味する。円筒部62a及びリブ62bの復元力の作用により、ソケット圧入孔27gに円筒部62aが固定される。
【0052】
ユニットケース27のソケット圧入孔27gにソケット62を圧入することが可能であれば、ソケット62の形状は、上述した実施の形態に示された形状に限定されない。
変形例として、中継部品60とソケット着座面27hとの間に接着剤を塗布し、ユニットケース27に中継部品60を固定してもよい。これにより、上述した圧入による中継部品60とユニットケース27との固定だけでなく、接着剤の接着力によって中継部品60とユニットケース27とを固定することが可能となる。なお、接着剤の種類としては、公知の材料が用いられる。
【0053】
変形例として、中継部品60とユニットケース27とは、圧入によって固定されなくてもよい。この場合、接着剤の接着力によって中継部品60とユニットケース27とを固定する。この場合でも、中継部品60とユニットケース27とを固定する固定力を十分に得られる。
【0054】
中継端子61は、銅材などの金属板材を折曲して形成されている。
例えば、
図5に示すように、中継端子61の平面部61aは、軸方向に対して垂直に配置している。平面部61aは、モータ端子18と中継端子61との接続のために、2箇所の貫通孔61bを有する。
【0055】
モータ端子18の先端18aは、モータ端子18の先端18aが2つに分割された形状を有する。換言すると、モータ端子18の先端18aは、二又形状を有する。モータ端子18の先端18aが中継端子61の貫通孔61bに圧入によって挿入された際、モータ端子18の先端18aが貫通孔61bにおいて広がり、先端18aと貫通孔61bとが弾性的に接触することが可能である。これにより、モータ端子18と中継端子61とが電機的に接続される。
【0056】
モータ端子18と中継端子61は、中継端子61に対するモータ端子18の圧入によってモータ端子18と中継端子61とが電気的に接続することが可能であれば、モータ端子18及び中継端子61の各々の形状は、上述した実施の形態に示された形状に限定されない。
【0057】
中継端子61の中継接続部61cは、モータ端子18が挿通する平面部61aに対して垂直な方向に延在している。換言すると、中継接続部61c及び平面部61aは、L字形状を形成している。中継接続部61cは、中継端子61が3つに分割された形状を有する。換言すると、中継接続部61cは、三又形状を有する。換言すると、中継接続部61cは、3つの端子を有する。中継接続部61cは、半田等によって基板21に接続される。中継接続部61cの端子の数は3に限定されない。中継接続部61cの端子の数は、2つでもよいし、4つ以上であってもよい。
【0058】
図5に示すように、中継接続部61cは、基板貫通孔21dを貫通している。基板貫通孔21dを貫通する中継接続部61cは、基板21の径方向外側に配置されていることが好ましい。この場合、基板貫通孔21dよりも径方向内側に位置する基板21の領域21Iに電子部品を配置することが可能になる。
【0059】
上述した構成を有する実施の形態1においては、基板21及び中継部品60の各々がユニットケース27に固定されている。この構成によれば、モータ端子18は、基板21に直接的に接続されていない。モータ端子18は、中継部品60を介して、基板21に電気的に接続されている。したがって、モータ端子を基板に接続することに起因して応力が基板21に発生することを低減できる。
【0060】
また、中継接続部61cを基板21の基板貫通孔21dの径方向外側へ配置することで、基板21における基板貫通孔21dの径方向内側に位置する領域21Iに電子部品を配置することが容易になる。領域21Iに電子部品を配置することで、基板21及び接続端子に応力が発生した場合でも、基板貫通孔21dから電子部品への応力の伝達を低減できる。
【0061】
中継端子61の中継接続部61cは、分割された複数の端子を有する。本実施の形態1では、中継接続部61cは、3つの端子を有する。断面積が一定である条件において、中継接続部61cが1つの端子を有する場合と、中継接続部61cが複数の端子を有する場合とを比較すると、複数の端子を有する中継接続部61cの剛性を下げることができる。このため、中継接続部61cの複数の端子に応力が発生した場合、基板21に対する応力の伝達を低減することができる。また、中継接続部61cが複数の端子を有することで、複数の端子のうちの1つが破断した場合でも、電気的接続を継続することが可能である。
【0062】
本実施の形態1では、基板21の第2面21b上に、中継接続部61cに接続される接続端子、コネクタ接続部25bに接続される接続端子、センサ接続部26aに接続される接続端子が形成されている。換言すると、これらの接続端子は、第1面21aには形成されていない。
【0063】
このため、基板21の第2面21bのみに、センサ接続部26a、コネクタ接続部25b、及び中継接続部61cを半田等によって接合することができる。第1面21aと第2面21bとを反転させる必要がなく、基板21を固定したまま、上記の接合を行うことができる。一つの接合工程において、センサ接続部26a、コネクタ接続部25b、及び中継接続部61cを一括的に基板21に接合することができ、電動機制御装置1を効率的に製造することが可能である。
【0064】
次に、上述した実施の形態1とは異なる複数の実施の形態の各々について説明する。
以下の説明では、実施の形態1と同一部材には同一符号を付して、その説明は省略または簡略化する。
【0065】
実施の形態2.
実施の形態2に係る電動機制御装置の端子接続構造について、
図7を参照して説明する。
【0066】
実施の形態2は、中継部品60をユニットケースに固定する方法の点で、実施の形態1と同様である。基板の形状と構成及びユニットケースを基板に固定する構造の点で、実施の形態2は、実施の形態1とは異なっている。以下、実施の形態1と実施の形態2との相違点を主に説明する。
【0067】
実施の形態2に係る電動機制御装置2が備える基板は、上述した基板21とは異なり、複数の基板により構成されている。
具体的に、電動機制御装置2は、パワー基板22と制御基板23とを備える。パワー基板22は、モータ10に電力を供給するインバータ回路を有する。制御基板23は、モータ10の駆動を制御する制御回路を有する。インバータ回路及び制御回路の各々としては、公知の回路構成が用いられる。
ユニットケース28は、実施の形態1で説明したユニットケース27に相当する。
【0068】
パワー基板22及び制御基板23は、接続端子38等で互いに電気的に接続されている。例えば、パワー基板22及びユニットケース28は、互いに対向するように配置されている。制御基板23及びモータ10は、互いに対向するように配置されている。パワー基板22及び制御基板23は、モータ端子18に対して垂直に配置されている。パワー基板22及び制御基板23の各々は、ユニットケース28にネジ51で固定される。
【0069】
なお、パワー基板22と制御基板23の配置を替えることも可能である。つまり、モータ10に対向するようにパワー基板22を配置してもよい。ユニットケース28に対向するように制御基板23を配置してもよい。
【0070】
モータ端子18に接続される中継部品60は、パワー基板22とユニットケース28との間に配置されている。中継接続部61cは、パワー基板22に接続される。
【0071】
ところで、1枚の基板がパワー基板22の機能と制御基板23の機能とを兼ね備える構成では、1枚の基板の面積が大きくなり、外形サイズを小さくするには限界がある。換言すると、インバータ回路及び制御回路を1枚の基板に集積するために、1枚の基板の面積が増大してしまう。
【0072】
これに対し、本実施の形態2によれば、上述した実施の形態と同様又は類似の効果が得られる。さらに、パワー基板22及び制御基板23の各々が別の機能を有するので、1枚の基板にインバータ回路及び制御回路を集積する必要がない。したがって、1枚の基板にインバータ回路及び制御回路が集積されている構成に比較して、基板1枚当たりの外形サイズを縮小することができる。さらに、軸方向に平行に互いに対向するようにパワー基板22及び制御基板23を配置とすることで、駆動制御装置20の径方向の外形サイズを小型化することが可能となる。
【0073】
実施の形態3.
実施の形態3に係る電動機制御装置の端子接続構造について、
図8を参照して説明する。
【0074】
実施の形態3は、中継部品をユニットケースに固定する方法の点で、実施の形態1と同様である。中継部品及び基板の配置の点、ソケット、中継端子、基板、及びユニットケースの形状の点で、実施の形態3は、実施の形態1とは異なっている。以下、実施の形態1と実施の形態3との相違点を主に説明する。
【0075】
実施の形態3に係る電動機制御装置3において、中継部品65は、実施の形態1で説明した中継部品60に相当する。基板24は、実施の形態1で説明した基板21に相当する。ユニットケース29は、実施の形態1で説明したユニットケース27に相当する。
【0076】
中継部品65は、基板24の外周よりも径方向外側に配置される。基板24及び中継部品65は、ユニットケース29に固定されている。
中継部品65は、中継端子66とソケット67とで構成される。中継端子66は、実施の形態1で説明した中継端子61に相当する。ソケット67は、実施の形態1で説明したソケット62に相当する。モータ端子18と中継端子66との接続構造は、実施の形態1と同様である。基板24と中継端子66とを接続する中継接続部は、モータ端子18よりも径方向内側に位置する。
図3~
図6に示す中継接続部61cと同様に、中継端子66は、基板24へ接続される。
【0077】
基板24は、モータ端子18が挿通する基板貫通孔を有しない。モータ端子18も、基板24を挿通しない。
【0078】
本実施の形態3によれば、上述した実施の形態と同様又は類似の効果が得られる。さらに、モータ端子18が基板24を挿通しないので、基板24に挿通孔を作成する必要がない。このため、基板24の部品を実装するための領域の面積が増加する。
【0079】
実施の形態4.
実施の形態4に係る電動機制御装置の端子接続構造について、
図9を参照して説明する。
【0080】
実施の形態4は、中継部品をユニットケースに固定する方法の点で、実施の形態1と同様である。中継部品及び基板の配置の点、中継端子、基板、コネクタ、及びユニットケースの形状の点で、実施の形態4は、実施の形態1とは異なっている。以下、実施の形態1と実施の形態4との相違点を主に説明する。
【0081】
実施の形態4に係る電動機制御装置4において、中継部品75は、実施の形態1で説明した中継部品60に相当する。基板24は、実施の形態1で説明した基板21に相当する。ユニットケース30は、実施の形態1で説明したユニットケース27に相当する。コネクタ39は、実施の形態1で説明したコネクタ25に相当する。コネクタ接続部39bは、実施の形態1で説明したコネクタ接続部25bに相当する。
【0082】
中継部品75は、基板24とモータ10との間に配置されている。中継端子76は、モータ10に面している。中継端子76は、基板24の第1面24aに面している。中継端子76は、基板24に接続されている。モータ端子18と中継端子76との接続構造は、実施の形態1と同様である。基板24と中継端子76とを接続する中継接続部は、モータ10に面している。
【0083】
基板24は、中継端子76に接続される接続端子を有する。しかしながら、基板24は、モータ端子18が挿通する基板貫通孔を有しない。モータ端子18も、基板24を挿通しない。コネクタ39のコネクタ接続部39bは、基板24とモータ10との間に配置されている。コネクタ接続部39bは、基板24の第1面24aに面している。コネクタ接続部39bは、基板24に接続されている。
本実施の形態4の変形例として、コネクタ39のコネクタ接続部39bをユニットケース30から延在させて、コネクタ接続部39bを基板24に接続してもよい。
【0084】
本実施の形態4によれば、上述した実施の形態と同様又は類似の効果が得られる。さらに、モータ端子18が基板24を挿通しないので、基板24に挿通孔を作成する必要がない。このため、基板24の部品を実装するための領域の面積が増加する。また、基板24とユニットケース30との間に中継部品75を配置しないため、ユニットケース30における構造を小型化することが可能となる。
【0085】
実施の形態5.
実施の形態5に係る電動機制御装置の端子接続構造について、
図10を参照して説明する。
図10は、基板21、モータ端子18、中継端子61、ソケット62が設けられた部分を示している。
図10においては、基板21の形状、ユニットケース27の形状を簡略化している。
【0086】
実施の形態5は、ユニットケース27及び中継部品60の形状及び構成の点で、実施の形態1と同様である。中継部品60をユニットケース27に固定する方法の点で、実施の形態5は、実施の形態1とは異なっている。以下、実施の形態1と実施の形態5との相違点を主に説明する。
【0087】
実施の形態5は、実施の形態1とは異なっている。以下、実施の形態1と実施の形態4との相違点を主に説明する。
図10に示すように、まず、ソケット圧入孔27gとソケット着座面27hに接着剤63を塗布する。ユニットケース27に対して中継部品60を軸方向へ圧入する。ユニットケース27に対する中継部品60の圧入によって固定されるだけでなく、接着剤63によって、中継部品60は、ユニットケース27に固定される。
【0088】
本実施の形態5によれば、上述した実施の形態と同様又は類似の効果が得られる。さらに、ユニットケース27と中継部品60の接合強度を高めることができる。電動機制御装置1の作動環境に起因して接合強度が低下する場合にも、接着剤で接合強度を確保することが可能となる。例えば、電動機制御装置1の作動温度が低温である場合、ソケット62とユニットケース27との構成材料の相違による線膨張係数の差により、ユニットケース27と中継部品60との間における圧入部分における接合強度が低下する場合がある。この場合であっても、接着剤を用いることで、接合強度を確保することが可能となる。
【0089】
実施の形態6.
実施の形態6に係る電動機制御装置の端子接続構造について、
図11及び
図12を参照して説明する。以下、実施の形態1と実施の形態6との相違点を主に説明する。
【0090】
実施の形態6に係る電動機制御装置6は、実施の形態1で説明した中継部品60及びコネクタ25が一体化された一体型中継部品70を備える。一体型中継部品70は、実施の形態1と同様の中継端子61を有する。
電動機制御装置6において、ユニットケース31は、実施の形態1で説明したユニットケース27に部分的に対応するが、ユニットケース31は、ユニットケース27とは異なる構成を有する。
一体型中継部品70は、例えば、ネジ53によってユニットケース31に固定されている。
【0091】
図12に示すように一体型中継部品70は、コネクタ部70aと、ソケット部70bとを有する。コネクタ部70aとソケット部70bとは一体化されている。ソケット部70bには、3つの中継端子61が一体化されている。3つの中継端子61とソケット部70bとを一体化する方法としては、例えば、アウトサート成形法又はインサート成形法が挙げられる。ソケット部70bは、上述した実施の形態のソケット62に対応する。
【0092】
ソケット部70bは、ネジが挿通する貫通孔71cを有する。ユニットケース31は、実施の形態1と異なり、一体型中継部品70を固定する雌ネジ部31eを有する。ユニットケース31及び一体型中継部品70は、複数のネジ53を用いて互いに固定される。
【0093】
一体型中継部品70をユニットケース31に固定する固定方法としては、上述した実施の形態1、5で説明した方法が採用されてもよい。
【0094】
本実施の形態6によれば、上述した実施の形態と同様又は類似の効果が得られる。さらに、コネクタとソケットとが一体化した一体型中継部品70を用いるので、一体型中継部品70をユニットケース31に組み付ける作業を単純化することが可能である。また、一体型中継部品70においては、コネクタ部70aとソケット部70bとが複数箇所で固定されている。このため、一体型中継部品70をユニットケース31に確実に固定できる。
【0095】
なお、上述した実施の形態1~6において説明した電動機制御装置1~6を構成するモータ10は、モータ10の出力軸に駆動制御装置20が固定された構造を有する。変形例として、出力軸とは反対側において、モータ10に駆動制御装置20が固定された構造が採用されてもよい。この構造においても、モータ端子と中継部品との接続構造、及び、基板と中継部品との接続構造として、実施の形態1~6と同様の接続構造を採用することが可能である。
【符号の説明】
【0096】
1、2、3、4、6 電動機制御装置
10 モータ(電動機)
18 モータ端子(電動機端子)
20 駆動制御装置(制御部)
21 基板
25 コネクタ
27 ユニットケース
60 中継部品
61 中継端子
62 ソケット