(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-26
(45)【発行日】2024-10-04
(54)【発明の名称】コントローラ
(51)【国際特許分類】
G06F 3/0338 20130101AFI20240927BHJP
【FI】
G06F3/0338 411
(21)【出願番号】P 2023536287
(86)(22)【出願日】2021-07-21
(86)【国際出願番号】 JP2021027301
(87)【国際公開番号】W WO2023002596
(87)【国際公開日】2023-01-26
【審査請求日】2024-01-05
(73)【特許権者】
【識別番号】310021766
【氏名又は名称】株式会社ソニー・インタラクティブエンタテインメント
(74)【代理人】
【識別番号】100122275
【氏名又は名称】竹居 信利
(72)【発明者】
【氏名】香田 祐太
【審査官】星野 裕
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-128841(JP,A)
【文献】特開2014-052664(JP,A)
【文献】特開2007-265278(JP,A)
【文献】特開2012-204062(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/033
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸部と、前記軸部の先端に配された操作部材とを備え、傾倒操作可能な操作体と、
前記操作体が傾倒操作されていない状態にあるときの軸部の長手方向に平行な内面であって、前記軸部との間に間隙を置いて配される内面を有する筒状体と、
前記筒状体と前記操作体の軸部との間に配され、前記操作体を傾倒操作したときに、前記筒状体の内面または前記操作体の軸部の少なくとも一方に当接する弾性部材と、
を有
し、
前記弾性部材を、前記軸部に沿って移動可能に支持する支持手段と、
当該弾性部材の前記移動を規制し、前記弾性部材を、前記軸部に沿った所望の位置で固定する固定手段とを備えているコントローラ。
【請求項2】
軸部と、前記軸部の先端に配された操作部材とを備え、傾倒操作可能な操作体と、
前記操作体が傾倒操作されていない状態にあるときの軸部の長手方向に平行な内面であって、前記軸部との間に間隙を置いて配される内面を有する筒状体と、
前記筒状体と前記操作体の軸部との間に配され、前記操作体を傾倒操作したときに、前記筒状体の内面または前記操作体の軸部の少なくとも一方に当接する弾性部材と、
を有し、
前記操作体の軸部はその少なくとも一部にねじ溝が形成された円筒形状をなし、
当該ねじ溝に係合するねじ溝が内周面に形成され、前記軸部の長手方向の軸まわりの回転により前記軸部の長手方向に沿って移動可能な円板状部材と、
前記操作体の軸部の長手方向の軸まわりの回転を許容する状態と、当該回転を規制する状態とのいずれかの状態に設定される固定手段とを備え、
前記弾性部材は、前記円板状部材の外周に配され、前記操作体を傾倒操作したときに、前記筒状体の内面に当接するコントローラ。
【請求項3】
軸部と、前記軸部の先端に配された操作部材とを備え、傾倒操作可能な操作体と、
前記操作体が傾倒操作されていない状態にあるときの軸部の長手方向に平行な内面であって、前記軸部との間に間隙を置いて配される内面を有する筒状体と、
前記筒状体と前記操作体の軸部との間に配され、前記操作体を傾倒操作したときに、前記筒状体の内面または前記操作体の軸部の少なくとも一方に当接する弾性部材と、
を有し、
前記筒状体の内径に収容可能な外径を有し、その外周面にねじ溝が形成された中空円筒状をなす円板状部材であって、内面に前記弾性部材が配されて、前記操作体の前記軸部が、その内径に挿入される円板状部材と、
前記円板状部材の前記外周面のねじ溝に係合するねじ溝を有し、前記円板状部材の長手方向の軸に平行な軸周りに回転可能に支持されて、当該回転により、前記円板状部材を前記軸部の長手方向に沿って移動させる回転部材と、
前記回転部材の回転を許容する状態と、当該回転を規制する状態とのいずれかの状態に設定される固定手段とを備え、
前記操作体を傾倒操作したときに、前記円板状部材の内面に配された前記弾性部材が前記操作体の前記軸部に当接するコントローラ。
【請求項4】
軸部と、前記軸部の先端に配された操作部材とを備え、傾倒操作可能な操作体と、
前記操作体が傾倒操作されていない状態にあるときの軸部の長手方向に平行な内面であって、前記軸部との間に間隙を置いて配される内面を有する筒状体と、
前記筒状体と前記操作体の軸部との間に配され、前記操作体を傾倒操作したときに、前記筒状体の内面または前記操作体の軸部の少なくとも一方に当接する弾性部材と、
を有し、
前記筒状体の内径に収容可能なサイズの中空筒状をなし、内面に前記弾性部材が配されて、前記操作体の前記軸部が、その内径に挿入される板状部材であって、当該板状部材の外周面に配され、前記筒状体の外へ突出する突出部を有する板状部材と、
前記突出部の移動を許容する状態と、当該突出部の移動を規制する状態とのいずれかの状態に設定される固定手段とを備え、
前記操作体を傾倒操作したときに、前記板状部材の内面に配された前記弾性部材が前記操作体の前記軸部に当接するコントローラ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、傾倒操作可能なコントローラに関する。
【背景技術】
【0002】
傾倒操作可能なコントローラは、家庭用ゲーム機のコントローラを始めとして種々のコントローラにおいて採用されている。このようなコントローラでは、操作の対象となる操作体が軸状の部材を備え、この軸状の部材の一端側を支持するとともに、傾倒した軸状の部材を当初の位置に復帰させるよう付勢する付勢部材が配される。
【0003】
またこの傾倒操作可能なコントローラは、上記軸状の部材を含む操作体の傾倒操作に応じて回動する部材を備えた一対の回転センサを用い、当該一対の回転センサの、上記回動する部材の回動軸を互いに直交させて配して、傾倒操作の方向及び傾倒角を検出している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来のコントローラでは、傾倒操作に抵抗して初期位置に復帰させる復元力、つまり傾倒操作に対する抵抗感が、軸状の部材を支持する支持部に廃された付勢部材の付勢力に依存している。このため、どのような場合であっても傾倒操作に対する抵抗感がほぼ一定となる。
【0005】
ところが上記付勢部材による抵抗感に違和感のあるユーザも存在し得る。このようなユーザにとって、傾倒操作の抵抗感を調整する手段が従来存在していなかった。
【0006】
また、上記付勢部材による抵抗感に違和感がない場合でも、例えば家庭用ゲーム機のコントローラでは、ゲームにおいて微細な操作が要求されるために傾倒操作の抵抗感を大きくしたいといった要求がある。このような、操作の目的に応じて傾倒操作に対する抵抗感を設定したいという要求は、家庭用ゲーム機だけでなく、医療用機器のコントローラ、各種移動体の操縦用のコントローラなど、種々のコントローラにおいて共通して存在する。
【0007】
本発明は上記実情に鑑みて為されたもので、傾倒操作に対する抵抗感をユーザが調整可能なコントローラを提供することを、その目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記従来例の問題点を解決するための本発明の一態様は、コントローラであって、軸部と、前記軸部の先端に配された操作部材とを備え、傾倒操作可能な操作体と、前記操作体が傾倒操作されていない状態にあるときの軸部の長手方向に平行な内面であって、前記軸部との間に間隙を置いて配される内面を有する筒状体と、前記筒状体と前記操作体の軸部との間に配され、前記操作体を傾倒操作したときに、前記筒状体の内面または前記操作体の軸部の少なくとも一方に当接する弾性部材と、を有するものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によると、傾倒操作時に前記筒状体の内面または前記操作体の軸部の少なくとも一方に当接する弾性部材を配したので、この当接位置を調整すれば傾倒操作に対する抵抗感をユーザが調整可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の実施の形態に係るコントローラの概略斜視図である。
【
図2】本発明の実施の形態に係るコントローラの操作部の第1の例に係る概略斜視図である。
【
図3】本発明の実施の形態に係るコントローラの操作部の第1の例に係る概略断面図である。
【
図4】本発明の実施の形態に係るコントローラの操作部の第1の例の動作例を示す説明図である。
【
図5】本発明の実施の形態に係るコントローラの操作部の第2の例に係る概略斜視図である。
【
図6】本発明の実施の形態に係るコントローラの操作部の第2の例に係る概略断面図である。
【
図7】本発明の実施の形態に係るコントローラの操作部の第2の例の動作例を示す説明図である。
【
図8】本発明の実施の形態に係るコントローラの操作部の第3の例に係る概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。本発明の実施の形態の一例に係るコントローラ1は、例えば
図1に例示するような家庭用ゲーム機のコントローラであり、本体部2と、本体部2の両端部から手前側へ互いに離隔する方向へ延びて形成される把持部3L,3Rと、左側の把持部3Lを左手で把持するユーザが、その左手の指で操作可能な範囲に配されたボタン4a,4b,4c,4d及び傾倒操作可能な操作体10Lと、右側の把持部3Rを右手で把持するユーザが、その右手の指で操作可能な範囲に配されたボタン5a,5b,5c,5d及び傾倒操作可能な操作体10Rとを備える。
図1は、本実施の形態の一例に係るコントローラ1の斜視図である。
【0012】
なお、このコントローラ1には、例えば背面側の、ユーザの左右の手の人さし指や中指で操作可能な位置に、押し込みボタンなど、他のボタンやスイッチ、センサ等が配されてもよい。
【0013】
またこの操作体10L,10R(以下、区別の必要がない場合は操作体10と略記する)のそれぞれは、軸部11と、この軸部11の一方の先端(一端側)に配された操作部材12とを含む傾倒操作可能な操作体10を備える。
【0014】
この操作体10の軸部11の他端側は、軸部11を傾倒操作可能な状態で支持する支持部により支持されるとともに、その傾倒操作に連動し、互いに直交する各軸方向の傾倒角を検出する検出器に連結されている。またこの支持部には、軸部11の傾倒角を当初の角度に復元するよう付勢部材が配される。このような操作体10は、広く知られたものを採用できるので、その詳細な説明は省略する。
【0015】
コントローラ1は、家庭用ゲーム機などの情報処理装置に対して有線または無線で接続され、ユーザによるボタン4a,4b…や、操作体10などに対する操作の内容を表す情報を、情報処理装置に対して送出する。ここで操作の内容を表す情報は、例えば操作体10の傾倒方向や傾倒角度を表す情報を含む。
【0016】
[第1の例]
また、本実施の形態の一例では、
図2,
図3に例示するように、この操作体10の軸部11は、コントローラ1の筐体に設けられる筒状体20に挿入され、これを通じて筐体外部に上記一端側が突出するよう配置されている。
図2は、筒状体20を含むコントローラ1の一部を表す概略斜視図であり、説明のため、筒状体20の一部を破断して表している。また
図3は、コントローラ1を、操作体10の軸部11の中心軸を含む面で破断した断面図である。なお、以下の各図において、検出器等は図を見やすくするために省略している。
【0017】
図2,
図3に例示するように、本実施の形態の一例に係る筒状体20は、中空円筒形状をなし、操作体10の軸部11の中心軸と、当該筒状体20の中心軸Zとが一致するように配される。つまりこの筒状体20は、その内面の長手方向が、操作体10が傾倒操作されていない状態にあるときの軸部11の長手方向に平行となるように配置される。またこの筒状体20は、軸部11の傾倒操作を阻害しない程度に、軸部11から間隔をおいて配される。
【0018】
本実施の形態の一例では、操作体10の軸部11は実質的に円筒状の形状を有し、その少なくとも一部に、ねじ溝11aが形成されている。またこの例の軸部11は、支持部15により中心軸周りに回転可能に支持される。例えば支持部15は、
図3に例示するように、軸部11を、その外周に配されたベアリング151により支持する。
【0019】
さらにこの例のコントローラ1は、円板状部材30を有し、この円板状部材30はその中心に上記軸部11を挿通する挿通口30aが形成された円板部30bを備える。この円板部30bの内周面31(挿通口30aの壁面)には、操作体10の軸部11のねじ溝11aに係合するねじ溝31aが形成されている。
【0020】
またこの円板部30bの外径は筒状体20の内径より小さいものとする。さらにこの円板状部材30の円板部30bの外周には、弾性部材32が配される。この弾性部材32は、例えばゴムや渦巻きばねなどであり、その外周が操作体10の傾倒操作時に筒状体20の内面に当接し、軸部11を筒状体20の中心方向へ付勢する。
【0021】
さらに円板状部材30の円板部30bの挿通口30aより外側には、挿通口30aと平行に形成された貫通部30cが形成され、軸部11と連動して傾倒するガイド軸33が挿通されている。このガイド軸33は、少なくとも後に説明する円板状部材30の軸部11に沿った移動可能範囲の長さに亘って延設されており、円板状部材30が軸部11の軸周りに回転することを規制する。
【0022】
この状態で操作体10の軸部11が、その軸周りに回転されると、当該軸部11の外周のねじ溝31aに係合する円板状部材30が軸部11に沿ってその回転方向により、軸方向上下方向のいずれかの方向に移動する。
【0023】
また本実施の形態のこの例では、
図3に例示するように、支持部15内に、軸部11の回転軸周りの回転を許容する状態と、規制する状態とのいずれかの状態に設定可能な固定手段として、クラッチ16が配されてもよい。このクラッチ16は、例えば軸部11の他端側の外周に配され、軸部11の軸周りの回転に連動する第1のクラッチ板161と、コントローラ1の筐体側に配され、軸部11の長手方向に往復動して、第1のクラッチ板161と係合が解除された状態と係合した状態との間で切り替え可能な第2のクラッチ板162とを備える。
【0024】
このコントローラ1のユーザは、操作体10の軸部11を軸周りに回転させて、円板状部材30を軸部11に沿って上下させ、軸部11が傾倒操作されたときの弾性部材32と当接位置を調整する。例えばこの当接位置が軸部11の比較的上方(操作部材12に近接する側)に配すると(
図4(a))、比較的小さい角度での傾倒操作で弾性部材32が筒状体20の内面に当接し、それ以上の角度の傾倒操作は、弾性部材32の付勢力に抗して行う必要が生じるため、傾倒操作に対する抵抗力は比較的大きいものとなる。
【0025】
一方、ユーザが軸部11を回転させて円板状部材30を軸部11の他端側(支持部15側)に近い位置まで移動すると(
図4(b))、傾倒操作の角度が比較的大きくなるまで弾性部材32が筒状体20の内面に当接しない。これより、それまでは弾性部材32の付勢力に抗することなく傾倒操作を行うことが可能となるので、傾倒操作に対する抵抗力は比較的小さいものとなる。
【0026】
なお、クラッチ16を備える場合、ユーザは、円板状部材30が所望の位置に達するまで軸部11を回転させた後、クラッチ16の第1、第2のクラッチ板161,162を係合させて軸部11の回転を規制することとしてもよい。この例では、操作体10の操作中に、意図せず軸部11が回転して傾倒操作に対する抵抗力が変化してしまうことを防止できる。
【0027】
[第2の例]
また、本発明の実施形態は以上の例に限られない。本発明の実施の形態の第2の例は、第1の例とは異なり、
図5,
図6に例示するように、円板状部材30′の内周側に弾性部材32′が配される。
【0028】
この例でも操作体10の軸部11は、コントローラ1の筐体に設けられる筒状体20′に挿入され、これを通じて筐体外部に上記一端側が突出するよう配置される。
図5は、この第2の例に係るコントローラ1の一部を表す概略斜視図であり、説明のため、筒状体20′の一部を破断して表している。また
図6は、コントローラ1を、操作体10の軸部11の中心軸を含む面で破断した断面図である。なお、各図において、検出器等は図を見やすくするために省略している。
【0029】
図5,
図6に例示するように、本実施の形態の一例に係る筒状体20′は、基本的に中空円筒形状をなす。またこの例の筒状体20′の一部には、筒状体20′の長手方向の所定範囲に亘って開口する開口部20aが形成される。
【0030】
また
図5,6の例では、筒状体20′は、その中心軸Zが、操作体10の軸部11の中心軸に一致するように配される。つまりこの筒状体20′は、その内面の長手方向が、操作体10が傾倒操作されていない状態にあるときの軸部11の長手方向に平行となるように配置される。またこの例でも筒状体20′は、軸部11の傾倒操作を阻害しない程度に、軸部11から間隔をおいて配される。
【0031】
本実施の形態の一例では、操作体10の軸部11は実質的に円筒状の形状を有する。この例では、この軸部11にねじ溝を形成しておく必要はなく、その中心軸周りに回転可能である必要もない。
【0032】
この例のコントローラ1の円板状部材30′は、その内周側面30′aにリング状の弾性部材32′が配されており、軸部11は、このリング状の弾性部材32′の環の内部に挿通される。円板状部材30′の外周側面30′bには、ねじ溝31′が形成される。
【0033】
さらに円板状部材30′の円板部30′cには、円板状部材30′の長手方向(母線の方向)に平行に形成された貫通部30′dが形成され、軸部11と連動して傾倒するガイド軸33が挿通されている。このガイド軸33は、少なくともこの円板状部材30′の軸部11に沿った移動可能範囲に亘る長さを有して延設されており、円板状部材30′が軸部11の軸周りに回転することを規制する。
【0034】
また本実施の形態のこの例では、コントローラ1は、上記筒状体20′の開口部20aを通じて、筒状体の外部にその一部が突出するなどして操作可能に配されている回転部材40を備える。ここで回転部材40は、その長手方向が軸部11の長手方向に平行であり、円板状部材30′の移動可能範囲に亘る高さlを有する実質的に円柱状の形状の部材である。またこの回転部材40の外周側面には、円板状部材30′の外周側面30′bに形成されたねじ溝31′に係合するねじ溝41が形成される。そしてこの回転部材40は、その中心軸周りに回転可能に配される。
【0035】
一例として回転部材40は、筒状体20′の開口部20aの上辺20bと下辺20cとに両端部45a,bのそれぞれが固定された軸45をその中心に挿通させ、この軸45の周りに回転可能に配置される。このような回転部材40の配置の例については広く知られている方法を採用できる。
【0036】
この例のコントローラ1のユーザは、筒状体20′の開口20aを通じて回転部材40を、その軸周りに回転させる。このとき円板状部材30′はガイド軸33によって軸部11周りの回転が規制されているため、円板状部材30′は軸部11に沿って上下することとなる。これによりユーザは、軸部11が傾倒操作されたときの弾性部材32と軸部11との当接位置を調整する。
【0037】
例えばこの当接位置が軸部11の比較的上方(操作部材12に近接する側)となるように回転部材40を操作して円板状部材30′の位置を移動した状態では(
図7(a))、比較的小さい角度での傾倒操作で弾性部材32が筒状体20′の内面に当接し、それ以上の角度の傾倒操作は、弾性部材32の付勢力に抗して行う必要が生じるため、傾倒操作に対する抵抗力は比較的大きいものとなる。
【0038】
一方、ユーザが回転部材40を回転させることで円板状部材30′を軸部11の他端側(支持部15側)に近い位置まで移動すると(
図7(b))、傾倒操作の角度が比較的大きくなるまで弾性部材32が軸部11に当接しないこととなる。これより、それまでは弾性部材32の付勢力に抗することなく傾倒操作を行うことが可能となるので、傾倒操作に対する抵抗力は比較的小さいものとなる。
【0039】
またこの例でもユーザが回転部材40を操作して円板状部材30′を軸部11の長手方向の所望の位置まで移動した後、操作体10の操作によってその位置が移動してしまうことを防止するため、回転部材40の回転を規制するようにしてもよい。
【0040】
この回転規制の方法は、例えば回転部材40の底部40pに噛み合い可能なクラッチを設け、回転部材40の回転を許容する状態と、当該回転を規制する状態とのいずれかの状態に設定するようにしてもよい。
【0041】
[第3の例]
本実施の形態では、軸部11に対する円板状部材30,30′の位置が変更できればよく、ここまでの第1、第2の例では軸部11または回転部材40と螺合して、それらの回転によって軸部11に沿った円板状部材30,30′の移動を行うこととしていた。
【0042】
しかしながら本実施の形態はこれに限られない。例えば
図8に例示するように、第2の例の円板状部材30′の外周に、筒状体20′の開口20aを通じて筒状体20′の外部から操作可能な突出部34が形成されてもよい。この場合、回転部材40は設けない。また、ガイド軸33も必ずしも必要ではない。
【0043】
この例でも操作体10の軸部11は、コントローラ1の筐体に設けられる筒状体20′に挿入され、これを通じて筐体外部に上記一端側が突出するよう配置される。
図8は、コントローラ1を、操作体10の軸部11の中心軸を含む面で破断した断面図である。なお、この図においても、検出器等は図を見やすくするために省略している。
【0044】
この例のコントローラ1のユーザは、筒状体20′の開口20aを通じて円板状部材30′の外周に形成された突出部34を、軸部11の長手方向に沿って移動することで、円板状部材30′を所望の位置へ移動する。
【0045】
なお、この例では、筒状体20′の開口20aは、突出部34が操作可能な位置まで突出すればよいので、スリット状の開口でよい。
【0046】
またこの例でもユーザが円板状部材30′を軸部11の長手方向の所望の位置まで移動した後、当該位置からの円板状部材30′の移動を規制することとしてもよい。この例では、上記突出部34の位置が変わらないようにすればよいので、例えば突出部34を所望の位置で筒状体20′にビス35などで固定可能としておいてもよい。この場合、突出部34の外周にビス35に噛み合うねじ溝を形成しておき、ビス35をこのねじ溝に噛み合わせた状態で、突出部34の移動を許容する状態(ビス35を緩めた状態)と、突出部の移動を規制する状態(ビス35により筒状体20′に固定した状態)との間で移動可能としておく。本実施の形態のこの例では、このビス35が固定手段の一例に相当する。
【0047】
[変形例]
またここまでの説明では、第1の例の軸部11や、第2の例の回転部材40は、ユーザが手で回転させることとしていたが本実施の形態はこの例に限られない。例えば軸部11や回転部材40をモータ(ステッピングモータなど)で回転させつつ、その回転角をロータリ・エンコーダで取得し、これらの回転量を電気的に制御して、軸部11の長手方向に沿って円板状部材30,30′の位置を移動してもよい。
【0048】
さらに第3の例においても、円板状部材30′をリニアアクチュエータにより電気的に制御して、軸部11の長手方向に沿って当該円板状部材30′の位置を移動してもよい。
【0049】
この例の場合、コントローラ1が備えるプロセッサは、コントローラ1に接続されている情報処理装置からの指示に従い、モータによる回転角度あるいはリニアアクチュエータによる移動方向及び移動量を決定し、モータやリニアアクチュエータを制御することとしてもよい。
【0050】
あるいはコントローラ1が備えるプロセッサは、ユーザの操作によって決定されたモータによる回転角度あるいはリニアアクチュエータによる移動方向及び移動量の情報を、情報処理装置から受け入れて、当該情報に従ってモータやリニアアクチュエータを制御することとしてもよい。
【0051】
さらにコントローラ1は、ユーザが手動で操作した軸部11や回転部材40の回転量(つまり円板状部材30,30′の位置)を表す情報を取得して情報処理装置に送出してもよい。この場合、情報処理装置はこの情報を保持しておき、ユーザの指示により当該保持した情報をコントローラ1に送出するようにしておく。コントローラ1は当該情報処理装置が送出した当該情報を受け、当該情報に従ってモータやリニアアクチュエータを制御し、軸部11や回転部材40を回転させるなどして、円板状部材30,30′の位置を再現する。
【0052】
なお、本実施の形態のこの例では、例えば第2の例において回転部材40は必ずしも手動で回転させる必要はなく、従って、筒状体20′は開口20aなどを備える必要は必ずしもない。同様に第3の例においても、突出部34は必ずしも必要でなく、筒状体20′が開口20aを備える必要もない。
【0053】
[クリック感の呈示]
また、軸部11や回転部材40の外周の周縁部に、外側水平方向へ突出した複数の凸部を設け、回転に伴って周期的に、一対の凸部の間に板バネ等が噛み合うように構成して、軸部11や回転部材40を回転させる際にクリック感を呈示するようにしてもよい。同様に、筒状体20′の開口20a側辺の突出部34の移動軌跡近傍に複数の凸部を形成して、突出部34を移動させる際に突出部34が凸部に断続的に当接することでクリック感を呈示するようにしてもよい。なお、クリック感を呈示するための構成は、これらの例に限られず、広く知られた種々の方法を採用できる。
【0054】
[目盛り]
また回転量や、移動量の目安となる目盛りを、軸部11や回転部材40の外周、あるいは、筒状体20′の外周に設けてもよい。例えば第3の例において、筒状体20′の外周に、突出部34の移動方向に沿って目盛りを形成しておけば、ユーザは、過去の移動時の突出部34の目盛りの位置を記憶し、当該記憶した位置まで突出部34を移動させて過去の操作感を再現できる。
【0055】
[実施形態の効果]
本実施の形態によると、傾倒操作可能な操作体が軸部を備え、傾倒操作されていない状態にあるときの軸部の長手方向に平行な内面を有する筒状体を、傾倒操作を阻害しない程度に、当該軸部との間に間隙を置いて配して構成される。また、この操作体は、当該筒状体と操作体の軸部との間に、操作体を傾倒操作したときに、筒状体の内面または操作体の軸部の少なくとも一方に当接する弾性部材を、上記軸部に沿って移動可能に支持している。これにより、弾性部材の位置を調整することで、操作体の傾倒操作に対する抵抗感を調整できる。また本実施の形態の例では、位置は連続的に調整でき、当該弾性部材の位置を移動することにより傾倒操作に対する抵抗感を線形的に変化させることができる。
【符号の説明】
【0056】
1 コントローラ、2 本体部、3 把持部、4,5 ボタン、10 操作体、11 軸部、12 操作部材、15 支持部、16 クラッチ、20,20′ 筒状体、30,30′ 円板状部材、32,32′ 弾性部材、33 ガイド軸、34 突出部、35 ビス、40 回転部材。