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  • 特許-スティック製品用の糊を含まないケース 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-26
(45)【発行日】2024-10-04
(54)【発明の名称】スティック製品用の糊を含まないケース
(51)【国際特許分類】
   A45D 40/00 20060101AFI20240927BHJP
   A45D 40/06 20060101ALI20240927BHJP
   B65D 83/00 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
A45D40/00 N
A45D40/06 A
B65D83/00 C
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2023542651
(86)(22)【出願日】2022-01-14
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-11
(86)【国際出願番号】 US2022012605
(87)【国際公開番号】W WO2022155522
(87)【国際公開日】2022-07-21
【審査請求日】2023-08-25
(31)【優先権主張番号】17/148,702
(32)【優先日】2021-01-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】513161449
【氏名又は名称】イーエルシー マネージメント エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヤン、チエン
【審査官】遠藤 邦喜
(56)【参考文献】
【文献】特開平04-064307(JP,A)
【文献】特表2016-527019(JP,A)
【文献】米国特許第05096318(US,A)
【文献】特開2006-204415(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45D 40/00
A45D 40/06
B65D 83/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スティック製品用の容器であって、
基部と、
前記基部に接続されている中空円筒形内側本体であって、前記中空円筒形内側本体が、
壁であって、前記壁を通って延在する少なくとも1つの長手方向スロットを有する、前記壁を含む、前記中空円筒形内側本体と、
カムスリーブであって、前記中空円筒形内側本体の周りに同心円状に取り付けられ、そのため、前記カムスリーブ及び前記中空円筒形内側本体が、互いに対して回転することができ、
前記カムスリーブが、
側壁によって分離された頂部及び底部を有する略円筒形本体であって、前記側壁が、少なくとも1つの螺旋溝を有する内面及び1つ以上の凹状壁であって、前記カムスリーブの厚み方向に凹み、前記カムスリーブの前記底部上に開口している、1つ以上の凹状壁を有する外面を有する、略円筒形本体、及び
可撓性タブであって、前記可撓性タブを外側方向に付勢するリビングヒンジによって前記凹状壁の前記頂部側端部に接続された前記可撓性タブ、を含む、前記カムスリーブと、
スティック製品用のホルダーカップであって、前記ホルダーカップが、前記中空円筒形内側本体内に嵌合され、前記中空円筒形内側本体の前記長手方向スロットを通って延在して、前記カムスリーブの前記螺旋溝と係合する少なくとも1つのカムフォロアを含む、前記ホルダーカップと、
Aシェルであって、前記カムスリーブ及び可撓性タブ上にぴったりと嵌合する内面を有し、
前記Aシェル内面と前記カムスリーブ外面との間に滑り止めワニスが塗布され、そのため、
前記可撓性タブが、前記カムスリーブの前記凹状壁に対して平坦になり、
前記可撓性タブによって前記Aシェルの前記内面に外向きの圧力が及ぼされ、
前記外向きの圧力が、前記Aシェルが前記基部に対して回転するときに前記カムスリーブ及び前記Aシェルが一体となって移動することを確実にするのに十分である静止摩擦力を生成する、前記Aシェルと、を含む、容器。
【請求項2】
前記可撓性タブ上で測定された前記カムスリーブの直径が、前記Aシェルの前記内面の直径よりも少なくとも0.02mm大きい、請求項に記載の容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リップスティックなどのスティック製品を収容するための容器に関する。
【背景技術】
【0002】
スティック製品用の周知のタイプの容器(100)は、円筒形内側本体(4)に接続されている基部(3)と、内側本体の周りに置かれたカムスリーブ(1’)とを特徴とし、そのため、カムスリーブ及び本体が互いに対して回転することができる。内側本体は、中空であり、壁を通って延在する少なくとも1つの長手方向スロットを備える壁を有する。カムスリーブは、内壁の実質的な長さに沿って延在する少なくとも1つの螺旋溝を特徴とする内壁を有する。製品ホルダーカップ(5)には、ラグの形態の少なくとも1つのカムフォロアが装備されている。ホルダーカップが内側本体内に嵌合されると、ラグは、カムスリーブの螺旋溝と係合するように、内側本体の長手方向スロットを通って延在する。この構成では、内側本体が(基部を回転させることによって)カムスリーブに対して回転するとき、カムスリーブの螺旋溝がホルダーカップのラグに圧力を加え、それがホルダーカップを内側本体の長手方向スロット内で上下に駆動し、それによってスティック製品を前進位置と後退位置との間で移動させる。一般的に行われているように、円筒形Aシェル部材がカムスリーブ上に配置され、Aシェルとカムスリーブとの間に糊が使用されて、これら2つの部材が一体となって移動することを確実にする。基部は、内側本体に接続され、Aシェルは、糊によってカムスリーブに接続されるので、ホルダーカップの昇降は、基部に対してAシェルを回転させることによって達成される。
【0003】
組み立てにおいて、ある量の糊がAシェルの内面に塗布される。Aシェルとカムスリーブとの間に糊を使用することには問題がある。例えば、糊がAシェルの内面に塗布された後、糊がまだ濡れている間に、カムスリーブがAシェル内で摺動する。これにより、糊の一部がカムスリーブの端部に向かって押し付けられる可能性があり、そこで糊がカムスリーブとAシェルとの間から漏れる。これは、組み立てを面倒にし、洗浄のための望ましくないコスト及び組み立てのための余分な時間を招く。また、糊がスティック製品に接触し、スティック製品を汚染する可能性がある。この場合、製品は、廃棄されなければならない。また、糊の量及び配置は、カムスリーブ及びAシェルが容器の寿命にわたって一体となって移動することを確実にするのにもはや適していない可能性がある。
【0004】
これらの問題を回避するために、米国特許第9,603,434号は、糊を使用しないリップスティック管組み立てを記載している。このリップスティック管は、Aシェルを渦巻き形に固定する2つの異なる構造的特徴を含む(すなわち、カムスリーブ)。キースロット構造は、渦巻き形及びAシェルの円周方向固定のために使用される。クラスプ-クランピング-溝構造は、渦巻き形及びAシェルの軸方向固定のために使用される。組み立て中、渦巻き形及びAシェルは、2つの構造によって互いに固定的に整合されなければならない。この機構及び他の機構の最大の欠点は、比較的複雑なAシェル設計が必要なことである。Aシェルは、その最も単純な形態では薄壁管であるが、むしろより複雑になり、内面上に形成された多数の軸方向スプライン及びそれ自体の上を巻いて戻るへりを必要とする。カムスリーブはまた、Aシェルのスプラインと係合するために、その外面に90本の長手方向溝などの大規模なカスタマイズを必要とする。糊は使用されないが、設計は複雑であり、比較的高価である。対照的に、本発明は、カムスリーブのわずかなカスタマイズのみを必要とし、従来のAシェルの変更を必要としない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の主な目的は、Aシェル-カムスリーブ組み立てが単純であり、糊を使用しないスティック製品用の機構を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明による糊を含まないリップスティックケースは、Aシェル及びカムスリーブを含み、それらの間に糊がない。むしろ、カムスリーブには、その外面に1つ以上の可撓性タブが装備されている。可撓性タブは、半径方向外側方向に付勢される。Aシェル部材は、カムスリーブ及び可撓性タブ上にぴったりと嵌合し、そのため、タブによってカムスリーブの内面に及ぼされた外向きの圧力が、2つの部材が一体となって移動することを確実にするのに役立つ。任意選択で、Aシェル内面とカムスリーブの内面との間に、例えばカムスリーブの可撓性タブ上に、滑り止めワニスを塗布してもよい。これは、Aシェル及びカムスリーブが一体となって移動することを更に確実にする。
【0007】
本発明による容器は、表面を横切って製品を引くことによって表面に適用される全てのタイプのスティック製品に有用であり得る。これらには、リップスティック、リップバーム、デオドラントスティック、制汗剤スティック、グルースティックなどが含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】可撓性タブを有するカムスリーブの立面図である。
図2】可撓性タブを有するカムスリーブの斜視図である。
図3】Aシェルに挿入されている可撓性タブを有するカムスリーブを示す図である。
図4図3の描写の断面図である。
図5】スティック製品用の周知のタイプの容器の要素を示す分解図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書全体を通して、「含む(comprises)」という用語は、対象の集合が必ずしも明示的に列挙されたものに限定されず、追加の対象を含んでも含まなくてもよいことを意味する。
【0010】
本明細書において、「糊」という用語は、結合を破壊するためにかなりの非ゼロ張力が必要とされるように、2つの表面を一緒に結合する任意のタイプの接着剤を指す。糊には、溶剤系及びポリマー分散接着剤、感圧接着剤、並びに2つの表面を一緒に接合するコンタクト及びホットメルト接着剤が含まれる。
【0011】
本発明の目的のために、スティック製品は、細長い塊が一端で懸架されたときにそれ自体の重量を支持することができる固体又は半固体製品の細長い塊である。
【0012】
カムスリーブ 本発明によるカムスリーブ(1)が図1及び図2に示されている。カムスリーブは、側壁によって分離された頂部(1p)及び底部(1q)を有する略円筒形本体を含む。頂部及び底部は、円筒形本体の内側に開いている。頂部は、容器の通常の使用中にスティック製品が突出する円筒形本体の端部として特定されてもよい。側壁は、略中実であり、外面(1a)及び内面(1b)を有する。内面には、少なくとも1つの螺旋溝(1c)が装備されている。螺旋溝は、カムスリーブの頂部から始まり、数回又はその端数分回転してカムスリーブの底部付近で終わる。また、カムスリーブは、内側本体(4)に取り付けることができる。例えば、カムスリーブは、内側本体の底部をカムスリーブの頂部に挿入することによって内側本体の外側に取り付けられてもよい。内側本体上に完全に着座されると、カムスリーブ及び内側本体は、同心であり、カムスリーブ及び内側本体は、互いに対して回転することができる。
【0013】
図1を参照すると、1つ以上の凹状壁(1f)が、カムスリーブ(1)の外面(1a)に、開いた底部(1q)の近くに位置する。各凹状壁には可撓性タブ(1d)が付随している。各可撓性タブは、カムスリーブの凹状壁から生じ、リビングヒンジ(1e)によってカムスリーブに接続される。リビングヒンジは、可撓性タブを外側方向に付勢し、その結果、各タブの静止位置は、その関連付けられた凹状壁(1f)から離れて延在する。タブを凹状壁に対して平坦にするために力が必要である。力が除去されると、可撓性タブは、リビングヒンジの付勢の結果として、それらの延在位置に戻る。
【0014】
一般に、凹状タブ(1d)の全てがカムスリーブ(1)に沿って同じ高さに位置する必要はない。しかしながら、カムスリーブに沿って同じ高さに位置する全ての凹状タブを有することが好ましい場合がある。好ましくは、カムスリーブの周りに対称的に位置する少なくとも2つの凹状タブ(1d)が存在する。好ましくは、可撓性タブの総環状範囲は、カムスリーブの円周の少なくとも25%、より好ましくは少なくとも50%、更により好ましくはカムスリーブの円周の少なくとも75%である。好ましくは、可撓性タブ(1d)が凹状壁(1f)に対して静止しているとき、可撓性タブの少なくともいくらかの部分は、カムスリーブの外面(1a)を越えて延在する。換言すれば、可撓性タブ上で測定されたカムスリーブの直径は、可撓性タブから離れて測定されたカムスリーブの直径よりも大きい。
【0015】
Aシェル 図3及び図4に示すように、Aシェル(2)は、カムスリーブ(1)及び可撓性タブ(1d)上にぴったりと嵌合する円筒形管である。カムスリーブ上へのAシェルの嵌合は、可撓性タブ(1d)がカムスリーブ(1)の凹状壁(1f)に対して平坦にするのに十分に緊密である。Aシェルは、可撓性タブを凹状壁(1f)に対して平坦にする方向に、カムスリーブ上に摺動されなければならない。本考察では、図面に示されるように、カムスリーブの頂部(1p)が最初にAシェルに挿入される。次いで、組み立てを容易にするために、可撓性タブが反対側の端部、すなわちカムスリーブの底部(1q)の近くに位置することが好ましい。例えば、凹状壁は、図1に示されるように、カムスリーブの底部に開口してもよい。組み立てられると、可撓性タブによってAシェルの内面(2a)に及ぼされた外向きの圧力が、実質的な静止摩擦力を生成し、カムスリーブ及びAシェルが一体となって移動することを確実にするのに十分である。
【0016】
十分な量の静止摩擦を達成するために、可撓性タブ(1d)にわたって測定されるカムスリーブ(1)の直径及びAシェル(2)の内面の直径は、最小量の干渉のために定寸される。例えば、可撓性タブ上で測定されるカムスリーブ(1)の直径は、Aシェルの内面の直径よりも少なくとも0.02mm大きくなければならない。好ましくは、Aシェルの内面の直径よりも少なくとも0.05mm大きく、より好ましくは少なくとも0.08mm大きい。
【0017】
Aシェルと可撓性タブとの間の摩擦力は、任意の方向(すなわち、軸方向又は円周方向)に作用し、したがって、2つの別個の機構は、(米国特許第9,603,434号におけるように)必要とされない。任意選択で、Aシェル内面とカムスリーブの外面との間に滑り止めワニス(1g)を塗布してもよい。滑り防止ワニスが使用される場合、好ましくは、滑り防止ワニスは、カムスリーブの可撓性タブに塗布される。滑り防止ワニスは、Aシェルとカムスリーブとの間に永久的な結合を生成することなく、それらの間の静止摩擦を増加させるであろう。タブは、比較的小さく、滑り防止ワニスは、比較的薄いので、またワニスは、Aシェル及びカムスリーブの組み立て前に乾燥されるので、上述したように、糊のようにワニスが汚れる心配はない。
図1
図2
図3
図4
図5