(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-26
(45)【発行日】2024-10-04
(54)【発明の名称】治具およびコネクタ装着方法
(51)【国際特許分類】
H01R 43/26 20060101AFI20240927BHJP
【FI】
H01R43/26
(21)【出願番号】P 2023576517
(86)(22)【出願日】2022-01-28
(86)【国際出願番号】 JP2022003332
(87)【国際公開番号】W WO2023145000
(87)【国際公開日】2023-08-03
【審査請求日】2024-05-15
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000236056
【氏名又は名称】三菱電機ビルソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】楠 万知
(72)【発明者】
【氏名】根本 英次
【審査官】山下 寿信
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2007/0141902(US,A1)
【文献】特開2011-258324(JP,A)
【文献】特開2011-141342(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第102011122748(DE,A1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0043219(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0036190(US,A1)
【文献】特開2006-285149(JP,A)
【文献】特開2007-156331(JP,A)
【文献】国際公開第2009/136583(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 43/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気機器にコネクタを接続するための治具であって、
前記コネクタを着脱可能に保持する保持部と、
前記保持部に接続され、前記保持部から第1方向に沿って延在するハンドル部とを備え、
前記ハンドル部には、前記コネクタに接続されている部材を搭載する事が可能な凹部が形成され、
前記凹部は、前記コネクタに接続されている部材を搭載可能な底面を含
み、
前記第1方向に対して交差する方向であって、前記保持部に対する前記コネクタの着脱方向を第2方向とし、
前記第1方向および前記第2方向に交差する方向を第3方向とした場合に、
前記ハンドル部は、前記第1方向および前記第3方向に沿った平面に沿う主面を有する板状の形状を有し、
前記凹部は前記主面に形成されている、治具。
【請求項2】
前記保持部は、前記コネクタを把持するための第1側壁と第2側壁とを含み、
前記第2側壁は前記第1側壁と間隔を隔てて配置され、
前記保持部は、前記第1側壁と前記第2側壁との間の距離が変更されるように弾性変形可能である、請求項
1に記載の治具。
【請求項3】
前記保持部は、前記コネクタを把持するための第1側壁と第2側壁とを含み、
前記第2側壁は前記第1側壁と間隔を隔てて配置され、
前記第1側壁は、前記第2側壁に対する相対的な位置が変更可能である、請求項
1に記載の治具。
【請求項4】
前記第2側壁は前記ハンドル部に固定され、
前記保持部は、前記ハンドル部に対して変位可能に接続された移動部材を含み、
前記第1側壁は、前記移動部材に固定されている、請求項
3に記載の治具。
【請求項5】
前記保持部は、前記第1側壁および前記第2側壁の少なくともいずれか一方に接続されるとともに、前記第1側壁と前記第2側壁との間の空間に面する底部を含む、請求項
2~
4のいずれか1項に記載の治具。
【請求項6】
前記保持部には、前記第1側壁と前記第2側壁との間の前記空間に連なる溝が形成されている、請求項
5に記載の治具。
【請求項7】
前記ハンドル部が前記保持部から延在する前記第1方向から見て、前記保持部において前記コネクタと接触する部分は前記ハンドル部と重ならない位置に配置されている、請求項1~請求項
6のいずれか1項に記載の治具。
【請求項8】
前記保持部に隣接するガイド突起部をさらに備え、
前記保持部に対する前記コネクタの着脱方向において、前記ガイド突起部の高さは前記保持部の高さより大きい、請求項1~請求項
7のいずれか1項に記載の治具。
【請求項9】
請求項1に記載の治具を準備する工程と、
前記治具の前記保持部に前記コネクタを保持させる工程と、
前記治具の前記ハンドル部を操作して、前記電気機器に前記コネクタを接続する工程と、
前記電気機器に接続された前記コネクタから前記治具を取り外す工程とを備える、コネクタ装着方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、治具およびコネクタ装着方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電気機器にケーブルなどのコネクタを装着するために用いられる治具が知られている(たとえば、特開2006-120551号公報参照)。特開2006-120551号公報では、電気機器に装着されるケーブル側コネクタを保持するコネクタ保持部と、当該コネクタ保持部に接続された操作部と、コネクタ保持部と操作部との間に配置され、電気機器の所定位置に係合する係止部とを備える治具が開示されている。当該治具は、係止部を電気機器の所定位置に係合させ、当該係止部を支点として治具を揺動させることにより、コネクタ保持部に保持されたケーブル側コネクタを、電気機器側のコネクタに対して接続および分離させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した治具では、適用する電気機器の表面に係止部を係合させる突起部が必要であり、適用可能な電気機器が限られるという点で改善の余地がある。
【0005】
そこで、本開示は、適用可能な電気機器の制約が少ないコネクタ装着用の治具およびコネクタ装着方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る治具は、電気機器にコネクタを装着するための治具であって、保持部とハンドル部とを備える。保持部は、コネクタを着脱可能に保持する。ハンドル部は、保持部に接続されている。
【0007】
本開示に係るコネクタ装着方法は、準備する工程と、保持させる工程と、接続する工程と、取り外す工程とを備える。準備する工程では、上記治具を準備する。保持させる工程では、治具の保持部にコネクタを保持させる。接続する工程では、治具のハンドル部を操作して、電気機器にコネクタを接続する。取り外す工程では、電気機器に接続されたコネクタから治具を取り外す。
【発明の効果】
【0008】
上記によれば、適用可能な電気機器の制約が少ない治具およびコネクタ装着方法が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図6】
図1に示された治具を用いてコネクタを装着する制御盤の部分模式図である。
【
図7】
図6に示された制御盤における電気機器の底面を示す模式図である。
【
図8】
図7に示された電気機器においてコネクタを装着する部分の拡大断面模式図である。
【
図9】
図1に示された治具を用いたコネクタ装着方法を説明するためのフローチャートである。
【
図10】
図9に示されたコネクタ装着方法を説明するための模式図である。
【
図11】
図9に示されたコネクタ装着方法を説明するための模式図である。
【
図12】
図9に示されたコネクタ装着方法を説明するための模式図である。
【
図13】
図9に示されたコネクタ装着方法を説明するための模式図である。
【
図14】
図9に示されたコネクタ装着方法を説明するための模式図である。
【
図15】
図9に示されたコネクタ装着方法を説明するための模式図である。
【
図16】
図1に示された治具の第1変形例を示す平面模式図である。
【
図18】
図17の線分XVIII-XVIIIにおける断面模式図である。
【
図19】
図16に示された治具を用いたコネクタ装着方法を説明するための模式図である。
【
図20】
図1に示された治具の第2変形例を示す平面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示の実施の形態を説明する。なお、同一の構成には同一の参照番号を付し、その説明は繰り返さない。
【0011】
<治具の構成>
図1は、実施の形態に係る治具の斜視模式図である。
図2は、
図1に示された治具の平面模式図である。
図3は、
図1に示された治具の側面模式図である。
図4は、
図2の領域IVの拡大模式図である。
図5は、
図3の領域Vの拡大模式図である。
図6は、
図1に示された治具を用いてコネクタを装着する制御盤の部分模式図である。
図7は、
図6に示された制御盤における電気機器の底面を示す模式図である。
図8は、
図7に示された電気機器においてコネクタを装着する部分の拡大断面模式図である。
【0012】
図1~
図5に示される治具1は、電気機器61(
図6参照)にコネクタを接続するための治具であって、保持部2と、ハンドル部3と、ガイド突起部4とを主に備える。保持部2は、コネクタを着脱可能に保持する。ハンドル部3は、保持部2に接続されている。ハンドル部3は、
図3の矢印71で示される第1方向に沿って、保持部2から伸びるように形成されている。ガイド突起部4は保持部2に隣接して配置されている。ガイド突起部4は、上記第1方向に交差する方向(
図3の矢印72で示される方向)である第2方向に伸びるように形成されている。ガイド突起部4は保持部2から見てハンドル部3が位置する側と反対側に配置されている。ガイド突起部4は保持部2に接続されている。
【0013】
保持部2は、コネクタ51(
図10参照)を空間S(
図5参照)において把持するための第1側壁21および第2側壁22と、当該第1側壁21および第2側壁22を支持するベース部25と、突起部26とを主に含む。第2側壁22は第1側壁21と間隔を隔てて配置されている。ベース部25は、第1側壁21と第2側壁22との端部を接続する。突起部26は、第1側壁21および第2側壁22において互いに対向する内周面にそれぞれ形成されている。
【0014】
保持部2は、第1側壁21と第2側壁22との間の距離W(
図4参照)が変更されるように弾性変形可能である。具体的には、保持部2はたとえば樹脂材料により構成されている。保持部2を構成する材料としては、弾性変形可能であれば任意の材料を使用できる。たとえば、保持部2を含む治具1全体を樹脂により構成してもよい。あるいは、保持部2のベース部25を、可撓性を有する樹脂により構成してもよい。この場合、第1側壁21および第2側壁22を、ベース部25の材料よりも相対的に硬度の高い材料(たとえば金属など)により構成してもよい。
【0015】
突起部26は、
図5に示されるように矢印72により示される第2方向に沿って伸びるように形成されている。突起部26の上端部(ベース部25から最も遠い端部)は、第1側壁21および第2側壁22によりコネクタが把持されたときに、当該コネクタの底面と接触する底部23となる。底部23は、第1側壁21と第2側壁22との間の空間Sに面している。つまり、保持部2によりコネクタが保持された場合、第1側壁21および第2側壁22により当該コネクタの側面が把持されるとともに、当該コネクタの底面が底部23と接触した状態となる。なお、突起部26は第1側壁21および第2側壁22のいずれか一方のみに形成されていてもよい。この場合、底部23は第1側壁21および第2側壁22の一方のみに接続された状態となる。
【0016】
第1側壁21および第2側壁22は、
図4に示されるように、第1方向および第2方向に交差する方向である、矢印73により示される第3方向に沿って伸びるように形成されている。第1側壁21及び第2側壁22の間に隙間が形成されている。当該隙間は、空間Sに連なる溝24を構成する。
【0017】
保持部2に対するコネクタ51(
図10参照)の着脱方向である
図3の矢印72で示される方向において、ガイド突起部4の高さT1は保持部2の高さT2より大きくなっている。つまり、ハンドル部3が保持部2から延在する第1方向(矢印71で示される方向)に対して交差する方向(
図3の矢印72で示される方向)において、ガイド突起部4の高さT1は保持部2の高さT2より大きい。
図5に示されるように、ガイド突起部4において第2方向での先端部には、第2方向に対して傾斜しているテーパー部4aが形成されている。当該テーパー部4aが形成されていることで、後述するコネクタ装着方法においてガイド突起部4を電気機器61の第2凹部68(
図8参照)に挿入する操作を容易に行うことができる。
【0018】
図2に示されるように、ハンドル部3が保持部2から延在する第1方向(矢印71により示される方向)から見て、保持部2においてコネクタ51(
図10参照)と接触する部分、すなわち第1側壁21および第2側壁22において底部23より上方に位置する部分および底部23は、ハンドル部3と重ならない位置に配置されている。つまり、第1方向からみて、保持部2は矢印73に示される第3方向において、ハンドル部3と重なる領域から重ならない領域まで延在している。保持部2において、第3方向にてハンドル部3と重ならない領域に位置する保持部2の部分にて、コネクタ51(
図10参照)が保持される。
【0019】
ハンドル部3は、第1方向および第3方向に沿った平面に沿う主面を有する板状の形状を有する。ハンドル部3には凹部31が形成されている。凹部31はハンドル部3において保持部2に隣接する位置に形成されている。当該凹部31は、
図10に示されるようにコネクタ51に接続されている部材としての配線52およびバッテリー53を保持する事が可能である。バッテリー53はたとえば交換用バッテリーである。ハンドル部3において凹部31以外の領域は、凹部31よりも相対的に厚みが厚くなっている。ハンドル部3の凹部31以外の領域には、表面にマーキングが形成されていてもよい。たとえば、当該マーキングとして、保持部2に保持されるコネクタ51の方向を示す図または立体構造を当該表面に配置してもよい。
【0020】
上述した治具1は、
図6~
図8に示される電気機器61にコネクタ51(
図10参照)を装着するために用いられる。
図6~
図8に示されるように、電気機器61は、例えば制御盤62の内部に設置された電気機器61である。電気機器61としては、任意の機器を適用できるが、たとえばプログラマブルロジックコントローラのような制禦機器などでもよい。電気機器61は、制御盤62の内壁に設置されたレール63に固定されている。電気機器61には各種のケーブル64および電源ケーブル65が接続されている。電気機器61の下方には、ケーブル64を挿通させるケーブルラック69が配置されている。
【0021】
電気機器61の底面(ケーブルラック69に面する表面)には、電源ケーブル65が接続される部分と、コネクタ51(
図10参照)を接続するためのコネクタ66(
図8参照)とが配置されている。コネクタ66はたとえば交換用バッテリー用の雌コネクタである。
【0022】
コネクタ66は、
図7および
図8に示されるように電気機器61の底面に形成された第1凹部67の内部に配置されている。電気機器61の底面では、第1凹部67に隣接するように第2凹部68が形成されている。第2凹部68には、
図8に示されるように治具1のガイド突起部4が挿入可能である。第1凹部67には保持部2が挿入可能である。保持部2は、第1凹部67に挿入されたときに、当該保持部2が保持するコネクタ51(
図10参照)が電気機器61側のコネクタ66と対向するように、形状が決定されている。
【0023】
図6に示されるように、電気機器61とケーブルラック69との間(電気機器61の底面下)には狭い隙間しかなく、たとえばコネクタを指で摘まんだ状態の手を当該隙間に入れることは困難である。従来は、このような設置状況の電気機器61の底面におけるコネクタ66に対して交換用バッテリーのコネクタを接続する場合、電気機器61を制御盤62のレール63から取り外していた。その上で、壁面に対して電気機器61を傾けて、電気機器61の底面下のスペースを広げたうえで作業を行っていた。しかし、このように電気機器61を傾けると、当該電気機器61に接続されているケーブル64に負荷がかかり、当該ケーブル64が電気機器61から外れる、あるいはケーブル64が断線するといった問題の発生が懸念される。
【0024】
そこで、上述した治具1を用いることで、後述するように電気機器61をレール63から取り外して傾けることなく、容易に電気機器61にコネクタを接続できる。このように、上記治具1は、制御盤62の内部に配置された電気機器61であって、コネクタを接続する表面上の領域に十分なスペースが無いような構成(たとえば電気機器61と他の機器(たとえばケーブルラック69)とが隣接して配置されている構成)の電気機器61に対してコネクタを装着する場合に、特に有効である。
【0025】
<治具を用いたコネクタ装着方法>
図9は、
図1に示された治具を用いたコネクタ装着方法を説明するためのフローチャートである。
図10~
図15は、
図9に示されたコネクタ装着方法を説明するための模式図である。
【0026】
図9に示されるように、本実施の形態に係るコネクタ装着方法では、まず準備する工程(S10)を実施する。当該工程(S10)では、
図1~
図5に示された治具1を準備する。
【0027】
次に、保持させる工程(S20)を実施する。当該工程(S20)では、
図10および
図11に示されるように、治具1の保持部2にコネクタ51を保持させる。このとき、コネクタ51に接続された配線52およびバッテリー53も治具1に保持される。具体的には、バッテリー53はハンドル部3の凹部31内部に配置される。配線52は、コネクタ51から溝24内を介して凹部31内のバッテリー53にまで伸びるように配置される。
【0028】
次に、接続する工程(S30)を実施する。この工程(S30)では、治具1のハンドル部3を操作して、
図12~
図14に示されるように電気機器61にコネクタ51を接続する。具体的には、電気機器61の底面に対向するように治具1を配置する。治具1のガイド突起部4が電気機器61の底面における第2凹部68に挿入されるように治具1を位置決めする。この状態で、
図12に示されるように治具1を電気機器61の底面に押圧する。この結果、
図14に示されるように、治具1に保持されているコネクタ51が電気機器61側のコネクタ66に接続される。なお、保持部2において底部23がコネクタ51の底面に接触しているため、
図14の上向きにコネクタ51を当該底部23により容易に押圧できる。このように、上記治具1を用いることで、
図12などに示されるように電気機器61の底面下に十分なスペースがない場合であっても、電気機器61にコネクタ51を容易に装着できる。
【0029】
次に、取り外す工程(S40)を実施する。この工程(S40)では、電気機器61に接続されたコネクタ51から治具1を取り外す。なお、治具1の第1側壁21と第2側壁22とによりコネクタ51を把持する力が、コネクタ66からコネクタ51を引き抜く為に要する力より小さくなるように、保持部2は構成されている。たとえば、第1側壁21と第2側壁22との間の距離を、保持するべきコネクタ51の幅と同じまたは当該幅よりごくわずか(例えば0.1mm程度)小さくしておくことで、コネクタ51を保持する力を十分小さくできる。あるいは、第1側壁21および第2側壁22を構成する材料として、硬度の相対的に低い(柔軟性のある)材料を用いてもよい。この場合、第1側壁21および第2側壁22を構成する材料として樹脂材料、たとえばABS樹脂などを用いることができる。この結果、電気機器61にコネクタ51を装着できる。具体的には、上述した例では
図15に示されるようにコネクタ51(
図14参照)を介してバッテリー53を電気機器61に接続できる。
【0030】
<変形例>
図16は、
図1に示された治具の第1変形例を示す平面模式図である。
図17は、
図16に示された治具の側面模式図である。
図18は、
図17の線分XVIII-XVIIIにおける断面模式図である。
図19は、
図16に示された治具を用いたコネクタ装着方法を説明するための模式図である。
図16から
図19に示された治具1は、基本的には
図1に示された治具1と同様の構成を備え同様の効果を得ることができるが、保持部2の構成が
図1に示された治具1と異なっている。具体的には、
図16から
図19に示された治具1において、第1側壁21は第2側壁22に対する相対的な位置が変更可能となっている。
【0031】
図16から
図19に示された治具1において、第2側壁22はハンドル部3に固定されている。保持部2は移動部材27を含む。移動部材27は、ハンドル部3に対して変位可能に接続されている。移動部材27は、ハンドル部3の底面に沿って延びる延在部27aを含む。延在部27aの先端側に第1側壁21が固定されている。また、移動部材27には、第1側壁21と間隔を隔ててガイド突起部4が固定されている。
【0032】
延在部27aは、ハンドル部3の底面に固定された1組のガイド部32に摺動可能な状態で保持されている。具体的には、1組のガイド部32は、延在部27aを挟むように配置されている。ガイド部32は延在部27aの延びる方向に沿って延びている。1組のガイド部32において、互いに対向する面には凹部32aが形成されている。延在部27aの両端は、1組のガイド部32における凹部32aに挿入された状態となっている。延在部27aがガイド部32の凹部32aに沿って移動することにより、移動部材27は、
図19の矢印74に沿った方向に移動可能である。第1側壁21は、対向面27cにおいてベース部25と分離している。
【0033】
移動部材27には突起部27bが形成されている。突起部27bは、移動部材27において第1側壁21が接続された表面側と反対側に位置する裏面に形成されている。治具1を用いてコネクタ51を電気機器61に装着する場合に、
図19に示されるように突起部27bを指81で矢印74に示す方向に移動させることで、第1側壁21と第2側壁22との間にコネクタ51を容易に把持する、あるいはコネクタ51の把持を解除することができる。
【0034】
図20は、
図1に示された治具の第2変形例を示す平面模式図である。
図21は、
図20に示された治具の側面模式図である。
図22は、
図21の領域XXIIの拡大模式図である。
図20から
図22に示された治具1は、基本的には
図1に示された治具1と同様の構成を備え同様の効果を得ることができるが、保持部2の構成が
図1に示された治具1と異なっている。具体的には、
図20から
図22に示された治具1は、
図16から
図19に示された治具1と同様に、第1側壁21は第2側壁22に対する相対的な位置が変更可能となっている。
【0035】
図20から
図22に示された治具1において、第2側壁22およびガイド突起部4はハンドル部3に固定されている。保持部2は移動部材27を含む。移動部材27は、ハンドル部3に対して変位可能に接続されている。移動部材27は、ハンドル部3において第2側壁22が固定された部分とガイド突起部4が固定された部分との間に位置する貫通部33に接続されている。移動部材27には貫通孔27eが形成されている。貫通孔27eにハンドル部3の貫通部33が挿入された状態で、移動部材27がハンドル部3に対して移動可能に接続されている。
【0036】
移動部材27には第1側壁21が固定されている。移動部材27は操作部27dを含む。操作部27dは、第1側壁21の延在方向に沿って突出するように延びる。
図20に示されるように、操作部27dは矢印73に示す方向に沿って、貫通部33から離れる方向に延びている。操作部27dを指81で操作することで、移動部材27を矢印74に沿って移動させることができる。このため、第2側壁22に対する第1側壁21の位置を容易に変更できるため、
図16から
図19に示した治具1と同様の効果を得ることができる。
【0037】
<作用効果>
本開示に係る治具1は、電気機器61にコネクタ51を装着するための治具であって、保持部2とハンドル部3とを備える。保持部2は、コネクタ51を着脱可能に保持する。ハンドル部3は、保持部2に接続されている。
【0038】
このようにすれば、治具1が保持部2とハンドル部3とを備える比較的単純な構成のため、適用される電気機器61の構成に関する制約が少なく様々な電気機器61に適用できる。
【0039】
上記治具1において、ハンドル部3には凹部31が形成されていてもよい。当該凹部31は、コネクタ51に接続されている部材としての配線52およびバッテリー53を保持する事が可能であってもよい。
【0040】
この場合、治具1を用いてコネクタ51を電気機器61に装着するときに、コネクタ51に接続されている配線52およびバッテリー53を凹部31に保持した状態でコネクタ51の装着作業を行うことができる。このため、治具1においてバッテリー53などを支持できない場合と比べて、当該装着作業の作業性を向上させることができる。
【0041】
上記治具1において、保持部2は、コネクタ51を把持するための第1側壁21と第2側壁22とを含んでもよい。第2側壁22は第1側壁21と間隔を隔てて配置されてもよい。保持部2は、第1側壁21と第2側壁22との間の距離が変更されるように弾性変形可能であってもよい。この場合、第1側壁21と第2側壁22とによりコネクタ51を把持することでコネクタ51を治具1において容易に保持できる。
【0042】
上記治具1において、保持部2は、コネクタ51を把持するための第1側壁21と第2側壁22とを含んでもよい。第2側壁22は第1側壁21と間隔を隔てて配置されてもよい。第1側壁21は、第2側壁22に対する相対的な位置が変更可能であってもよい。この場合、第1側壁21と第2側壁22とによりコネクタ51を把持するように第1側壁21を変位させることで、コネクタ51を治具1において容易に保持できる。
【0043】
上記治具1において、第2側壁22はハンドル部3に固定されてもよい。保持部2は、ハンドル部3に対して変位可能に接続された移動部材27を含んでもよい。第1側壁21は、移動部材27に固定されてもよい。この場合、移動部材27を操作することで、第2側壁22に対する第1側壁21の位置を容易に変更できる。このため、第1側壁21と第2側壁22とによりコネクタ51を把持する操作を容易に行うことができる。
【0044】
上記治具1において、保持部2は底部23を含んでもよい。底部23は、第1側壁21および第2側壁22の少なくともいずれか一方に接続されてもよい。底部23は、第1側壁21と第2側壁22との間の空間Sに面してもよい。この場合、コネクタ51の底面に当該底部23が接触した状態となるため、コネクタ51を電気機器61に装着するときにコネクタ51に対して底面側から容易に応力を加える事ができる。このため、コネクタ51を電気機器61に確実に装着できる。
【0045】
上記治具1において、保持部2には、第1側壁21と第2側壁22との間の空間Sに連なる溝24が形成されていてもよい。この場合、コネクタ51に連結された部材である配線52などを当該溝24に収容することができる。
【0046】
上記治具1では、ハンドル部3が保持部2から延在する第1方向から見て、保持部2においてコネクタ51と接触する部分(第1側壁21および第2側壁22において底部23より上方に位置する部分および底部23)がハンドル部3と重ならない位置に配置されていてもよい。
【0047】
この場合、ハンドル部3の延在方向とずれた位置に保持部2が配置された状態となる。そのため、電気機器61においてコネクタ51を装着する部分の周囲に他の構造(電気機器61に接続された電源ケーブル65など)が存在するときに、当該構造を避けながらコネクタ51を電気機器61に装着する動作を容易に行うことができる。
【0048】
上記治具1は、保持部2に隣接するガイド突起部4をさらに備えてもよい。保持部2に対するコネクタ51の着脱方向(
図3の矢印72で示される方向)において、ガイド突起部4の高さT1は保持部2の高さT2より大きくてもよい。つまり、ハンドル部3が保持部2から延在する第1方向に対して交差する方向(
図3の矢印72で示される方向)において、ガイド突起部4の高さT1は保持部2の高さT2より大きくてもよい。
【0049】
この場合、保持部2にコネクタ51を保持した状態で、電気機器61に当該コネクタ51を装着するときに、ガイド突起部4が保持部2より相対的に大きいため、コネクタ51が誤って電気機器61の表面に接触するといった問題の発生を抑制できる。
【0050】
本開示に係るコネクタ装着方法は、準備する工程(S10)と、保持させる工程(S20)と、接続する工程(S30)と、取り外す工程(S40)とを備える。準備する工程(S10)では、上記治具1を準備する。保持させる工程(S20)では、治具1の保持部2にコネクタ51を保持させる。接続する工程(S30)では、治具1のハンドル部3を操作して、電気機器61にコネクタ51を接続する。取り外す工程(S40)では、電気機器61に接続されたコネクタ51から治具1を取り外す。
【0051】
この場合、電気機器61にコネクタ51を容易に装着できる。また、電気機器61の周囲に十分なスペースが無いような場合であっても、治具1を用いてコネクタ51を電気機器61に容易に装着できるので、従来のように電気機器61を設置部(レール63が設置された制御盤62の内壁)に対して傾けるなどの操作が不要となる。このため、当該操作に起因して電気機器61に予め接続されていたケーブルが断線するなどの問題の発生を抑制できる。
【0052】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。矛盾のない限り、今回開示された実施の形態の少なくとも2つを組み合わせてもよい。本開示の基本的な範囲は、上記した説明ではなく請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることを意図される。
【符号の説明】
【0053】
1 治具、2 保持部、3 ハンドル部、4 ガイド突起部、4a テーパー部、21 第1側壁、22 第2側壁、23 底部、24 溝、25 ベース部、26,27b 突起部、27 移動部材、27a 延在部、27c 対向面、27d 操作部、27e 貫通孔、31,32a 凹部、32 ガイド部、33 貫通部、51,66 コネクタ、52 配線、53 バッテリー、61 電気機器、62 制御盤、63 レール、64 ケーブル、65 電源ケーブル、67 第1凹部、68 第2凹部、69 ケーブルラック、71,72,73,74 矢印、81 指。