IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 三菱電機株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-半導体装置 図1
  • 特許-半導体装置 図2
  • 特許-半導体装置 図3
  • 特許-半導体装置 図4
  • 特許-半導体装置 図5
  • 特許-半導体装置 図6
  • 特許-半導体装置 図7
  • 特許-半導体装置 図8
  • 特許-半導体装置 図9
  • 特許-半導体装置 図10
  • 特許-半導体装置 図11
  • 特許-半導体装置 図12
  • 特許-半導体装置 図13
  • 特許-半導体装置 図14
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-26
(45)【発行日】2024-10-04
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/34 20060101AFI20240927BHJP
   H01L 23/29 20060101ALI20240927BHJP
   H01L 23/48 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
H01L23/34 B
H01L23/36 A
H01L23/48 G
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2023578975
(86)(22)【出願日】2022-06-10
(86)【国際出願番号】 JP2022023460
(87)【国際公開番号】W WO2023238385
(87)【国際公開日】2023-12-14
【審査請求日】2023-12-21
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002941
【氏名又は名称】弁理士法人ぱるも特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】澤川 麻緒
(72)【発明者】
【氏名】宮路 仁崇
(72)【発明者】
【氏名】塩田 裕基
(72)【発明者】
【氏名】山竹 厚
【審査官】庄司 一隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-199829(JP,A)
【文献】特開2013-065648(JP,A)
【文献】特開2020-072102(JP,A)
【文献】特開2020-115495(JP,A)
【文献】特許第6972432(JP,B1)
【文献】特開2015-195415(JP,A)
【文献】特開2012-248700(JP,A)
【文献】特開2014-123644(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 23/34
H01L 23/29
H01L 23/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒートスプレッダ、前記ヒートスプレッダの一方の面上に設けられた半導体チップおよび前記半導体チップに電気的に接続された電極端子を樹脂封止し、前記ヒートスプレッダの他方の面が封止樹脂から露出した底面を有し、前記電極端子が側面および上面の少なくとも1つの面から突出した半導体パッケージと、
前記半導体パッケージの底面に配設された絶縁シートと、
前記半導体パッケージの底面を収容する凹部を有し、前記凹部の深さは前記絶縁シートの厚さよりも深く、前記凹部の底面と前記半導体パッケージの底面とは前記絶縁シートを介して接合され、前記凹部内に前記半導体パッケージを支持するヒートシンクとを備え
前記半導体パッケージは、前記ヒートスプレッダの前記絶縁シートと接触する面と同一面上に前記封止樹脂で形成され、前記ヒートスプレッダの前記絶縁シートと接触する面から前記凹部の底面に向かって突出する高さが一定で連続した凸部または高さが等しい複数の凸部を有し、前記凸部は前記絶縁シートを介さずに前記凹部の底面と接触し、前記ヒートスプレッダの他方の面は前記絶縁シートを押圧し、さらに前記ヒートスプレッダの他方の面は前記絶縁シートを介して前記凹部の底面と接合されている半導体装置。
【請求項2】
前記電極端子として2つ以上の電極端子を備えた、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
少なくとも1つの電極端子は、前記半導体パッケージの少なくとも1つの側面から突出し、前記凹部の深さは、側面から突出した電極端子から前記半導体パッケージの底面までの最短長さよりも浅いこと、
を特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記側面から突出した電極端子と前記ヒートシンクとが対向する間に絶縁ブロックを備えている請求項3に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記絶縁ブロックのうち、前記側面から突出した電極端子と前記ヒートシンクとの間の少なくとも沿面経路を構成する面において、前記ヒートシンクと前記絶縁ブロックとの接合面と平行に、窪んだ溝部または突出した畝部を有する請求項4に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記絶縁シートは、シリコーンゴム、ウレタンゴムまたは熱硬化性エラストマーを含む、請求項1から請求項のいずれか一項に記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、半導体装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体装置のうち、例えば電力変換に用いられる半導体装置は、産業用機器から、家電、情報端末、自動車や電車など幅広い機器の電力制御に用いられる。より具体的には、直流電力を交流電力に変換するインバータなどが挙げられる。特に、大電流、高電圧化で動作する半導体装置では、高い絶縁性を確保するとともに、動作に伴う発熱を効率よく外部に逃がすことが必要不可欠である。また、機器によっては、高温や低温、低気圧や振動といった過酷な環境下で使用され得ることから、過酷な環境下でも安定した信頼性を保持するために、部材同士の接合安定性が求められる。例えば、特許文献1では、半導体パッケージにヒートシンクの一部を埋め込むことによって、半導体パッケージと絶縁シートとヒートシンクとの間のずれや剥がれを防止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013―115167号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に示したような従来技術では、ヒートシンクと絶縁シートとを半導体パッケージで覆うため、ヒートシンクと冷却媒体との接触面積が制限されてしまい、放熱性が低下するという課題がある。
【0005】
本開示は、上述のような課題を解決するためになされたものであって、半導体パッケージと絶縁シートとをヒートシンクで覆うことにより、半導体パッケージと絶縁シートとヒートシンクとの間のずれや剥がれを防止しつつ、放熱性の低下を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る半導体装置は、ヒートスプレッダ、ヒートスプレッダの一方の面上に設けられた半導体チップおよび半導体チップに電気的に接続された電極端子を樹脂封止し、ヒートスプレッダの他方の面が封止樹脂から露出した底面を有し、電極端子が側面および上面の少なくとも1つの面から突出した半導体パッケージと、半導体パッケージの底面に配設された絶縁シートと、半導体パッケージの底面を収容する凹部を有し、凹部の深さは絶縁シートの厚さよりも深く、凹部の底面と半導体パッケージの底面とは絶縁シートを介して接合され、凹部内に半導体パッケージを支持するヒートシンクとを備え
前記半導体パッケージは、前記ヒートスプレッダの前記絶縁シートと接触する面と同一面上に前記封止樹脂で形成され、前記ヒートスプレッダの前記絶縁シートと接触する面から前記凹部の底面に向かって突出する高さが一定で連続した凸部または高さが等しい複数の凸部を有し、前記凸部は前記絶縁シートを介さずに前記凹部の底面と接触し、前記ヒートスプレッダの他方の面は前記絶縁シートを押圧し、さらに前記ヒートスプレッダの他方の面は前記絶縁シートを介して前記凹部の底面と接合されているものである。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、半導体パッケージと絶縁シートとをヒートシンクで覆うことにより、半導体パッケージと絶縁シートとヒートシンクとの接合部のずれや剥がれを防止しつつ、放熱性の低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施の形態1に係る半導体装置100の上面図である。
図2】ワイヤボンド構造を適用した場合の実施の形態1に係る半導体装置100のA-A断面図である。
図3】ダイレクトリード接合構造を適用した場合の実施の形態1に係る半導体装置100のA-A断面図である。
図4】実施の形態1に係る半導体装置100において、1つのヒートシンク8に複数の半導体パッケージ110を搭載した例の上面図である。
図5】実施の形態2に係る半導体装置200の上面図である。
図6】実施の形態2に係る半導体装置200のB-B断面図である。
図7】実施の形態2に係る半導体装置200のC-C断面図である。
図8】実施の形態3に係る半導体装置300のA-A断面図である。
図9】実施の形態3に係る半導体装置300の半導体パッケージ310の下面図である。
図10】実施の形態3の変形例に係る半導体装置300の半導体パッケージ310の下面図である。
図11】実施の形態4に係る半導体装置400の上面図である。
図12】実施の形態4に係る半導体装置400のD-D断面図である。
図13】実施の形態4の変形例に係る半導体装置400の上面図である。
図14】実施の形態4の変形例に係る半導体装置400のE-E断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の実施の形態に係る半導体装置について、図面を参照して説明する。機能が同じ又は相当する構成要素には同じ符号を付し、説明の繰り返しを省略する場合がある。
【0010】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る半導体装置100の上面図を示し、図2は、ワイヤボンド構造を適用した場合の実施の形態1に係る半導体装置における、図1でのA-A断面の断面図を示す。また、図3は、ダイレクトリード接合構造を適用した場合の実施の形態1に係る半導体装置における、図1でのA-A断面の断面図を示す。図4は、実施の形態1に係る半導体装置において、一つのヒートシンク8上に複数の半導体パッケージを備えた変形例の上面図を示す。図1に示すように、半導体パッケージ110は、ヒートシンク8上に位置し、半導体パッケージ110の一方の側方には第1の電極端子2を有し、もう一方の側面からは第2の電極端子3を有している。また、図2に示すように、ヒートシンク8の一方の面には半導体パッケージ110の底面を収容して接合する凹部が形成されており、凹部の底面に絶縁シート7を介して半導体パッケージ110が接合されている。さらに、半導体パッケージ110は、ヒートシンク8に形成された凹部の側壁によって支持されている。半導体パッケージ110は、ヒートスプレッダ4、ヒートスプレッダ4の一方の面上に有した半導体チップ1、半導体チップ1とワイヤ5によって電気的に接合された第1の電極端子2およびヒートスプレッダ4を介し半導体チップ1と電気的に接合された第2の電極端子3を備え、封止樹脂6によって封止されている。ヒートスプレッダ4の他方の面は、半導体パッケージ110の絶縁シート7を介してヒートシンク8に接合する面であり、半導体パッケージ110の外部に露出している。尚、ヒートシンク8に形成された凹部は、半導体パッケージ110の底面が収容され、凹部の側壁の少なくとも一部によって半導体パッケージ110が支持されればよい。したがって、凹部の底面積は、少なくとも絶縁シート7を介して接合される半導体パッケージ110の面の面積よりも広ければよい。さらに、凹部の側壁の少なくとも一部によって半導体パッケージ110を支持するため、絶縁シート7の厚さは、凹部の側壁の高さよりも薄ければよい。
【0011】
ここで、半導体チップ1は、IGBT(Insulated Gate Transistor)、MOS-FET(Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor)、またはダイオードなどの大電流制御用の素子を1つもしくは複数搭載している。図2において、半導体チップ1は1つのみ記載しているが、複数搭載してもよい。また、半導体チップ1の材料は、Si(シリコン)を使用可能だが、SiC(シリコンカーバイト)、GaN(ガリウムナイトライド)、およびC(ダイヤモンド)といったワイドバンドギャップ半導体の材料も使用可能である。ワイドバンドギャップ半導体を半導体チップ1として使用した場合、Siを材料とした半導体チップ1を使用した場合に比べて電力損失を小さくでき得るため、半導体装置100の消費電力を低減することができる。さらに、ワイドバンドギャップ半導体を半導体チップ1として使用した場合、Siを材料とした半導体チップ1を使用した場合に比べて、耐熱性に優れ、より高温で動作可能なため、熱設計に裕度が広がり、半導体装置100の小型化が可能である。
【0012】
第1の電極端子2および第2の電極端子3は、半導体装置100内外の電気接続を担う部品である。第1の電極端子2および第2の電極端子3の材料は、電気伝導率の高い金属が好ましく、例えば銅を使用することが好ましい。第1の電極端子2および第2の電極端子3の材料は、銅以外の例として、アルミニウムまたは鉄によって形成されてもよく、それらの合金によって形成されても良い。図2では、第1の電極端子および第2の電極端子は、半導体パッケージ110の側面から外部に突出しているが、半導体パッケージ110の上面から外部に突出してもよい。すなわち、第1の電極端子および第2の電極端子は、半導体パッケージ110の側面および上面の少なくとも一つの面から突出すればよい。なお、第1の電極端子および第2の電極端子として電極端子を1つずつ備えた半導体装置を示したが、第1の電極端子および第2の電極端子として複数の電極端子を備えていても良い。また、半導体装置の仕様に応じて、第1の電極端子および第2の電極端子に加え、さらに別の電極端子を備えていても良い。
【0013】
ヒートスプレッダ4は、半導体チップ1の駆動により発生した熱を半導体パッケージ110の外部に放出するための部品である。図2では、ヒートスプレッダ4の形状が直方体の例を図示したが、ヒートスプレッダ4の形状はこれに限らず、台形、かまぼこ型、または円柱など、他の形状としてもよい。ヒートスプレッダ4の材料は、熱伝導率が高い金属が好ましく、例えば銅を使用することが好ましい。ヒートスプレッダ4の材料は、銅以外の例として、アルミニウムまたは鉄によって形成されてもよく、それらの合金によって形成されてもよい。
【0014】
ワイヤ5は、半導体チップ1と第1の電極端子2とを電気的に接続する部品であり、金、銅、またはアルミニウムといった加工性に優れ導電性の高い金属を使用することが好ましい。また、ワイヤ5は、半導体チップ1の電力を制御する信号線として接続する場合もあり、この場合、半導体パッケージ110の外部からの制御信号を半導体チップ1に伝える役割を担う。なお、図3に示す通り、半導体チップ1と第1の電極端子2とをダイレクトリード接合することで、ワイヤ5を省略する場合もある。
【0015】
封止樹脂6は、ヒートスプレッダ4、半導体チップ1、ワイヤ5、第1の電極端子2および第2の電極端子3を封止し、半導体パッケージ110を形成する絶縁性を有した封止剤である。半導体チップ1の外周部は、特に高電界となるため、半導体チップ1全体を覆う必要がある。封止樹脂6の材料としては、エポキシ、ポリイミド、ポリアミドあるいはポリアミドイミドなどの絶縁性に優れた樹脂、または、エポキシ、ポリイミド、ポリアミドあるいはポリアミドイミドなどの絶縁性に優れた樹脂にシリカ、アルミナ、窒化アルミニウムまたは窒化ホウ素などを添加した混合物を用いることができる。なお、半導体装置の駆動温度範囲内で体積抵抗率1010Ω・cm以上で、比誘電率20以下の材料を用いることによって、同様の機能を得ることができる。また、封止樹脂6は、成型時にボイドなど絶縁性を損なう原因を内包せず、また、振動や熱などの外部要因によって内包物と剥離しないことが求められることから、金型を用いたトランスファーモールド成型の適用が好ましい。
【0016】
絶縁シート7は、ヒートスプレッダ4とヒートシンク8とを絶縁しつつ、ヒートスプレッダ4からの熱をヒートシンク8に放熱するための部品である。また、半導体パッケージ110とヒートシンク8とのずれや剥がれ防止のため、絶縁シート7は半硬化状態で半導体パッケージ110とヒートシンク8との間に挟み、加圧および加熱して硬化させることで形成する。絶縁シート7の材料は、エポキシ、ポリイミド、ポリアミドあるいはポリアミドイミドをはじめとした絶縁性に優れた樹脂、または、エポキシ、ポリイミド、ポリアミドあるいはポリアミドイミドをはじめとした樹脂にシリカ、アルミナ、窒化アルミニウムまたは窒化ホウ素などを添加した混合物である。また、絶縁シート7の材料として、エポキシ、ポリイミド、ポリアミドまたはポリアミドイミドをはじめとした樹脂よりも弾性率が低いシリコーンゴム、ウレタンゴムまたは熱硬化性エラストマーを含む場合、絶縁シート7は弾力を有し、振動を吸収することができるため、耐振動性に優れ、より好ましい。なお、絶縁シート7は、絶縁性を高めるには厚みは厚い方が好ましく、放熱性を高めるには厚みは薄い方が好ましい。絶縁シート7は、絶縁性と放熱性とを兼ね備えるためには、例えば、エポキシ、ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド、シリコーンゴム、ウレタンゴムまたは熱硬化性エラストマーをはじめとした絶縁性に優れた樹脂の場合は20μm~500μmの厚さであることが好ましく、放熱性の高いセラミックフィラーを多く含む混合物の場合には、厚さの上限は2mm程度である。
【0017】
ヒートシンク8は、半導体装置100の放熱を担う部品である。また、本開示においては、ヒートシンク8に設けられた凹部の底面に絶縁シート7を介して半導体パッケージ110を接合し、凹部の側壁によって半導体パッケージ110を支持する役割を担っている。ヒートシンク8の材料は、熱伝導率の高い金属が好ましく、例えば銅を使用することが好ましい。ヒートシンク8の材料は、銅以外の例としては、アルミニウムまたは鉄によって形成されてもよく、それらの合金によって形成されていてもよい。また、図示はしないが、ヒートシンク8は、効率的な熱交換を行うために表面積の大きな構造体として放熱フィンを接続すると、より効率的に半導体装置の放熱が可能であり、放熱フィンと一体構造を適用することで、さらに効率的な放熱が可能となる。
【0018】
また、図4は、実施の形態1に係る半導体装置100において、1つのヒートシンク8に複数の半導体パッケージ110を搭載した例の上面図である。図4に示すように、1つのヒートシンク8に複数の半導体パッケージを搭載しても、上述と同様の効果を得ることができる。
【0019】
このように構成された半導体装置は、ヒートスプレッダ、ヒートスプレッダの一方の面上に設けられた半導体チップ、半導体チップに電気的に接続された第1の電極端子および半導体チップに電気的に接続された第2の電極端子を樹脂封止し、ヒートスプレッダの他方の面が封止樹脂から露出した底面を有し、第1の電極端子および第2の電極端子が側面および上面の少なくとも一つの面から突出した半導体パッケージと、半導体パッケージの底面に配設され、少なくともヒートスプレッダの他方の面が露出した面を覆う絶縁シートと、半導体パッケージの底面を収容する凹部を有し、凹部の深さは絶縁シートの厚さよりも深く、凹部の底面と半導体パッケージの底面とは絶縁シートを介して接合されることで凹部内に半導体パッケージを支持するヒートシンクと、を備えており、ヒートシンクに形成された凹部に絶縁シートを介して半導体パッケージが接合されるため、ヒートシンクが半導体パッケージによって覆われることなく接合される。また、半導体パッケージは、凹部の側壁によって支持されるため、半導体パッケージと絶縁シートとヒートシンクとの接合部のずれや剥がれを防止する。
なお、第1の電極端子または前記第2の電極端子の少なくとも一方が側面から突出した半導体パッケージを有する半導体装置の場合、ヒートシンクの凹部の深さは、絶縁シートの厚さよりも深く、半導体パッケージの底面から第1の電極端子および第2の電極端子が突出する位置までの最短長さよりも浅く構成されることで、同様の機能を得られる。
【0020】
したがって、実施の形態1に示した半導体装置の構成は、半導体パッケージと絶縁シートとヒートシンクとの接合部のずれや剥がれを防止しつつ、放熱性の低下を抑制した半導体装置を提供することができる。
【0021】
実施の形態2.
図5は、実施の形態2に係る半導体装置200の上面図である。図6は、図5におけるB-B断面図を示し、図7は、図5におけるC-C断面図を示す。図5に示す通り、半導体装置200は、第1の電極端子2と第2の電極端子3と第3の電極端子10を有した半導体パッケージ210を備えている。また、図6および図7に示す通り、ヒートシンク8の一方の面には半導体パッケージ210の底面を収容して接合する凹部が形成されており、半導体パッケージ210は、ヒートシンク8の凹部に絶縁シート7を介して接合および支持されている。図6に示すとおり、半導体パッケージ210は、ヒートスプレッダ4およびヒートスプレッダ11を有しており、ヒートスプレッダ4とヒートスプレッダ11とがブリッジ12によって電気的に接続されている。ヒートスプレッダ4上には半導体チップ1を有し、半導体チップ1と第1の電極端子2とは、ワイヤ5によって電気的に接続されている。また、ヒートスプレッダ11上には半導体チップ9を有し、半導体チップ9と第3の電極端子10とは、ワイヤ5によって電気的に接続されている。さらに、ヒートスプレッダ11と第2の電極端子3とは、ワイヤ5によって電気的に接続されている。半導体チップ1と半導体チップ9とは、別々のタイミングで駆動することが可能である。
ここで、ブリッジ12 はヒートスプレッダ4とヒートスプレッダ11とを接続する部品である。ブリッジ12の材料は、電気伝導率の高い金属が好ましく、例えば銅を使用することが好ましい。ブリッジ12の材料は、銅以外の例として、アルミニウムまたは鉄によって形成されてもよく、それらの合金によって形成されていてもよい。または、ブリッジ12は、ワイヤ5を代用とすることも可能である。
なお、実施の形態2では、別々のタイミングで駆動可能な2つの半導体チップを備えた形態を示したが、3つ以上の半導体チップを備えた形態を構成することも可能である。
【0022】
このように構成された半導体装置においては、ヒートシンクに形成された半導体パッケージの底面を収容して接合する凹部に絶縁シートを介して半導体パッケージが接合されるため、ヒートシンクが半導体パッケージによって覆われることなく接合される。また、本実施の形態に係る半導体パッケージは、凹部の側壁によって支持されるため、半導体パッケージと絶縁シートとヒートシンクとの接合部のずれや剥がれを防止する。さらに、本実施の形態に係る半導体装置は、例えば半導体チップ1が駆動しているときの電位をHVとしたとき、0、HVおよび2HVの3レベルでの電力制御が可能であり、さらに2つ以上の半導体チップの構成を適用することによって、3レベル以上の電力制御が可能である。
【0023】
したがって、実施の形態2に示した半導体装置の構成は、実施の形態1と同様の効果に加え、3レベル以上での電力制御が可能な半導体装置を提供することができる。
【0024】
実施の形態3.
図8は、実施の形態3の半導体装置300において、図1でのA-A断面と同じ断面箇所の断面図である。なお、実施の形態3の半導体装置の上面図は、図1と同様である。図9は、実施の形態3に係る半導体装置の半導体パッケージ310の下面図である。また、図10は、実施の形態3と同様の効果を得ることができる実施の形態3の変形例に係る半導体装置300の半導体パッケージ320の下面図である。図8に示す通り、半導体パッケージ310は、ヒートスプレッダ4の絶縁シート7と接触する面と同一面上に封止樹脂6によって形成され、ヒートスプレッダ4の絶縁シート7と接触する面から凹部の底面に向かって突出した凸部13を有する。凸部13の高さは、一定で連続し、絶縁シート7の厚さよりも低い。そのため、凸部13は絶縁シート7を介さずに凹部の底面と直接接し、ヒートスプレッダ4の他方の面は絶縁シート7を介して凹部の底面と接合され、絶縁シート7の厚みが凸部13の高さによって規定される。また、図9に示す通り、凸部13は、半導体パッケージ310の下面の外周に連続して形成されている。なお、凸部13の形状は、凸部13を下にして半導体パッケージ310を平面上に置いたときに、半導体パッケージ310が安定して自立し、絶縁シート7の厚みが凸部13の高さによって規定される形状であればよい。例えば、変形例として図10に示す通り、凹部の底面と対向する半導体パッケージ310の下面の四隅に円柱状で高さが同じ凸部13を設けてもよい。
【0025】
このように構成された半導体装置においては、ヒートシンクに形成された凹部に絶縁シートを介して半導体パッケージが接合されるため、ヒートシンクが半導体パッケージによって覆われることなく接合される。また、半導体パッケージは、凹部の側壁によって支持されるため、半導体パッケージと絶縁シートとヒートシンクとの接合部のずれや剥がれを防止する。さらに、本実施の形態に係る半導体パッケージは、ヒートスプレッダの絶縁シートと接触する面と同一面上に前記封止樹脂で形成され、前記ヒートスプレッダの前記絶縁シートと接触する面から凹部の底面に向かって突出する、高さが一定で連続した凸部または高さが等しい複数の凸部を有し、凸部の高さは半導体パッケージと絶縁シートとヒートスプレッダとを接合する前の絶縁シートの厚さよりも低く、凸部は絶縁シートを介さずに凹部の底面と接触し、ヒートスプレッダの他方の面は絶縁シート押圧し、さらにヒートスプレッダの他方の面は絶縁シートを介して凹部の底面と接合される。このような構成により、本実施の形態に係る半導体装置は、凸部によってヒートスプレッダの他方の面と凹部の底面との間隔が規定され、半導体パッケージと絶縁シートとヒートシンクとを接合する際に生じる絶縁シートの厚みのばらつきが抑制されるため、半導体パッケージとヒートシンクとの接合面の傾きを抑制する。
【0026】
したがって、実施の形態3およびその変形例に示した半導体装置の構成は、実施の形態1と同様の効果に加え、半導体パッケージとヒートシンクとの接合面の傾きが抑制されることにより、製造時の安定性が向上した半導体装置を提供することができる。
【0027】
実施の形態4.
図11は、実施の形態4に係る半導体装置400の上面図を示し、図12は、図11でのD-D断面図を示す。図11および図12に示すように、実施の形態4の半導体装置400は、実施の形態1の半導体装置100において、第1の電極端子2とヒートシンク8との間、および第2の電極端子3とヒートシンク8との間に絶縁ブロック14を備えた構成である。絶縁ブロック14は、少なくとも第1の電極端子2とヒートシンク8との間、および第2の電極端子3とヒートシンク8との間に隙間なく備えられることが好ましく、半導体パッケージ410、第1の電極端子2および第2の電極端子3と接して形成される。さらに、図11に示す上面図において、第1の電極端子2および第2の電極端子3が占める面積よりも広く形成することにより、第1の電極端子2とヒートシンク8との間、および第2の電極端子3とヒートシンク8との間の沿面距離を絶縁ブロック14によって延長することができる。なお、絶縁ブロック14の材料は、絶縁性に優れた樹脂を使用することが好ましく、エポキシ、ポリイミド、ポリアミドあるいはポリアミドイミドなどの樹脂、または、エポキシ、ポリイミド、ポリアミドあるいはポリアミドイミドなどの樹脂にシリカ、アルミナ、窒化アルミニウムまたは窒化ホウ素などを添加した混合体である。ただし、絶縁ブロック14の材料は、半導体装置の駆動温度範囲内において体積抵抗率1010Ω・cm以上、比誘電率20以下の特性であれば同様の効果を得られる。
【0028】
また、図13は、実施の形態4の変形例に係る半導体装置400の上面図を示し、図14は、図13でのE-E断面図を示す。図13に示す通り、実施の形態4の変形例においても、絶縁ブロック14は、少なくとも第1の電極端子2とヒートシンク8との間、および第2の電極端子3とヒートシンク8との間に隙間なく備えられる。実施の形態4からの変形箇所は、図14に示す通り、第1の電極端子2とヒートシンク8との間の絶縁ブロック14、および第2の電極端子3とヒートシンク8との間の絶縁ブロック14の、少なくとも沿面経路を構成する面において、ヒートシンク8と絶縁ブロック14との接合面と平行に窪んだ溝部を有する点である。第1の電極端子2とヒートシンク8との間の絶縁ブロック14、および第2の電極端子3とヒートシンク8との間の絶縁ブロック14のうち、少なくとも沿面経路を構成する面において、ヒートシンク8と絶縁ブロック14との接合面と平行に窪んだ溝部を有することで、溝部を有さない場合に比べて第1の電極端子2とヒートシンク8との沿面距離、および第2の電極端子3とヒートシンク8との沿面距離が延長される。なお、実施の形態4の変形例として、絶縁ブロック14に溝部を形成する例を示したが、第1の電極端子2とヒートシンク8との沿面距離、および第2の電極端子3とヒートシンク8との沿面距離が延長されればよいため、絶縁ブロック14に形成される溝部は、ヒートシンク8と絶縁ブロック14との接合面と平行に突出した畝部であってもよく、さらには溝部と畝部との組み合わせであってもよい。
【0029】
このように構成された半導体装置においては、ヒートシンクに形成された凹部に絶縁シートを介して半導体パッケージが接合されるため、ヒートシンクが半導体パッケージによって覆われることなく接合される。また、半導体パッケージは、凹部の側壁によって支持されるため、半導体パッケージと絶縁シートとヒートシンクとの接合部のずれや剥がれを防止する。さらに、本実施の形態に係る半導体装置は、第1の電極端子の少なくとも半導体パッケージから突出した部分とヒートシンクとが対向する間、および第2の電極端子の少なくとも半導体パッケージから突出した部分とヒートシンクとが対向する間に絶縁ブロックを備えていることにより、絶縁ブロックが、半導体パッケージに接し、第1の電極端子とヒートシンクとの間および第2の電極端子とヒートシンクとの間を埋めるため、半導体パッケージとヒートシンクとのずれを防止しつつ、第1の電極端子および第2の電極端子とヒートシンクとの間の空間距離の確保と外部沿面距離の延長とを実現できる。加えて、本実施の形態に係る半導体装置は、絶縁ブロックが、第1の電極端子とヒートシンクとの間および第2の電極端子とヒートシンクとの間の少なくとも沿面経路を構成する面において、前記ヒートシンクと前記絶縁ブロックとの接合面と平行に窪んだ溝部または突出した畝部を有することにより、溝部または畝部を有さない場合に比べて、第1の電極端子および第2の電極端子からヒートシンクまでの沿面距離をさらに延長することができる。
【0030】
したがって、実施の形態4およびその変形例に示した半導体装置は、実施の形態1と同様の効果に加え、半導体パッケージとヒートシンクとのずれをさらに防止し、第1の電極端子および第2の電極端子とヒートシンクとの間の絶縁性をさらに向上した半導体装置を提供することができる。
【符号の説明】
【0031】
1 半導体チップ
2 第1の電極端子
3 第2の電極端子
4 ヒートスプレッダ
5 ワイヤ
6 封止樹脂
7 絶縁シート
8 ヒートシンク
9 半導体チップ
10 第3の電極端子
11 ヒートスプレッダ
12 ブリッジ
13 凸部
14 絶縁ブロック
100 半導体装置
110 半導体パッケージ
200 半導体装置
210 半導体パッケージ
300 半導体装置
310 半導体パッケージ
320 半導体パッケージ
400 半導体装置
410 半導体パッケージ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14