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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-26
(45)【発行日】2024-10-04
(54)【発明の名称】接合ツールユニット
(51)【国際特許分類】
   B21D 39/03 20060101AFI20240927BHJP
   B21J 15/38 20060101ALI20240927BHJP
   B23P 19/06 20060101ALI20240927BHJP
   B21J 15/28 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
B21D39/03 B
B21J15/38 Z
B23P19/06 Z
B21J15/28 M
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2024508751
(86)(22)【出願日】2022-07-06
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-10
(86)【国際出願番号】 EP2022068682
(87)【国際公開番号】W WO2023016708
(87)【国際公開日】2023-02-16
【審査請求日】2024-06-27
(31)【優先権主張番号】102021121090.9
(32)【優先日】2021-08-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】500091678
【氏名又は名称】トックス・プレッソテヒニック・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング・ウント・コンパニー・コマンディトゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】バーデント ミヒャエル
(72)【発明者】
【氏名】プファイファー ウォルフガング
(72)【発明者】
【氏名】マツケ マルクス
【審査官】豊島 唯
(56)【参考文献】
【文献】特開昭61-61724(JP,A)
【文献】特開平6-23631(JP,A)
【文献】特開平8-39372(JP,A)
【文献】国際公開第2018/235641(WO,A1)
【文献】特開2019-895(JP,A)
【文献】特開2013-103249(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21J 15/00 ー 15/38
B23P 19/00 ー 19/06
B21D 39/03
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
接合ツールユニット(2)であって、
前記接合ツールユニット(2)は、押さえ部材(6)、可動ツール(7)、ツール対向要素(4)、駆動ユニット(8)、光源(10)、及び制御ユニット(40)を有し、
前記押さえ部材(6)及び前記可動ツール(7)は前記ツール対向要素(4)に対向して設けられ、
前記押さえ部材(6)は前記駆動ユニット(8)によって前記ツール対向要素(4)の方向に移動可能であり、
前記接合ツールユニット(2)は、前記ツール対向要素(4)に対して前記可動ツール(7)を移動させることによって、前記接合ツールユニット(2)上に配置される工作物(25)を接合するように構成され、
前記制御ユニット(40)は前記駆動ユニット(8)を制御及び/または調整するように構成され、
前記制御ユニット(40)は前記光源(10)を制御及び/または調整するように構成され、
前記接合ツールユニット(2)は、前記押さえ部材(6)を前記ツール対向要素(4)の方向に、前記押さえ部材(6)と前記ツール対向要素(4)とが前記接合ツールユニット(2)上に配置される前記工作物(25)に接触する位置まで移動させるように構成され、
前記接合ツールユニット(2)は、前記押さえ部材(6)が前記位置に到達したときに、前記光源(10)の光で前記工作物(25)の接合位置を照射または照光することを開始するように構成され、
前記押さえ部材(6)は導光システム(9)を有し、前記押さえ部材(6)は、反射された光を捕獲して吸収するビームトラップまたはビーム受けを備える、接合ツールユニット(2)。
【請求項2】
請求項1記載の接合ツールユニット(2)であって、
前記導光システム(9)は、前記押さえ部材(6)上に、前記光源(10)の光の光線が、前記可動ツール(7)の移動軸(35)に対して0°よりも大きな角度で、前記工作物(25)の接合位置だけを照らすようにして設けられることを特徴とする、接合ツールユニット(2)。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の接合ツールユニット(2)であって、
前記押さえ部材(6)は、前記駆動ユニット(8)により、前記ツール対向要素(4)の方向に移動自在であることを特徴とする、接合ツールユニット(2)。
【請求項4】
請求項1または請求項2に記載の接合ツールユニット(2)であって、
前記接合ツールユニット(2)の前記制御ユニット(40)は、前記可動ツール(7)の移動開始と同時に、または前記可動ツール(7)の移動開始後に経時的に、前記光源(10)の光で前記配置後の工作物(25)の前記接合位置を照射または照光することを終了するように構成されることを特徴とする、接合ツールユニット(2)。
【請求項5】
請求項1または請求項2に記載の接合ツールユニット(2)であって、
前記接合ツールユニット(2)は、第1ステップでは、前記押さえ部材(6)を前記ツール対向要素(4)の方向にある所定の位置まで移動させるように構成され、第2ステップでは、前記光源(10)が前記接合位置を照射または照光することを開始するように構成され、第3ステップでは、前記可動ツール(7)の移動を開始するように構成され、第4ステップでは、照光または照射を終了するように構成され、第5ステップでは、前記押さえ部材(6)を、前記ツール対向要素(4)に対して前記位置から離れるように移動させるように構成されることを特徴とする、接合ツールユニット(2)。
【請求項6】
請求項1または請求項2に記載の接合ツールユニット(2)であって、
前記押さえ部材(6)は、工作物(25)が前記接合ツールユニット(2)上に配置されている状態であるときに、前記押さえ部材(6)は前記工作物(25)の表面(42)に接する位置に、前記押さえ部材(6)が前記工作物(25)の前記接合位置を取り囲むように配置されることで、前記押さえ部材(6)と前記工作物(25)の表面との間の光の放射力の最大20%が外側に放射されるようにして構成されることを特徴とする、接合ツールユニット(2)。
【請求項7】
請求項1または請求項2に記載の接合ツールユニット(2)を有し、かつ、ツールブラケット(3)を有する、ツールトング(1)のセット。
【請求項8】
請求項1または請求項2に記載の接合ツールユニット(2)による工作物(25)の接合作業方法であって、
加工しようとする工作物(25)を前記接合ツールユニット(2)上に配置するステップと、
前記接合ツールユニット(2)の押さえ部材(6)を、前記接合ツールユニット(2)のツール対向要素(4)に対して、前記押さえ部材(6)と前記ツール対向要素(4)とが前記工作物(5)に接触する位置まで移動させるステップと、
前記押さえ部材(6)を前記位置に保持するステップと、
前記押さえ部材(6)が前記位置に到達したら、前記接合ツールユニット(2)の光源(10)の光で前記工作物(25)の接合位置を照射または照光することを開始するステップと、
前記接合ツールユニット(2)の前記押さえ部材(6)のビームトラップまたはビーム受けを用いて、前記接合ツールユニット(2)の前記光源(10)の反射された光を捕獲して吸収するステップと、を連続して行う接合作業方法。
【請求項9】
請求項8に記載の接合作業方法であって、
前記工作物(25)を接合するために、前記接合ツールユニット(2)の可動ツール(7)を前記工作物(25)の前記接合位置の方向に移動させることを開始するステップをさらに行う、接合作業方法。
【請求項10】
請求項8に記載の接合作業方法であって、
前記工作物(25)の前記接合位置を照射または照光することを終了するステップと、
前記押さえ部材(6)を前記位置から離れるように移動させるステップとをさらに行う、接合作業方法。
【請求項11】
請求項8に記載の接合作業方法であって、
前記接合ツールユニット(2)の前記可動ツール(7)を前記工作物(25)の前記接合位置の方向に移動させることを開始するのと同時に、または前記接合ツールユニット(2)の前記可動ツール(7)を前記工作物(25)の前記接合位置の方向に移動させることを開始した後に経時的に、前記工作物(25)の前記接合位置を照射または照光することを終了するステップをさらに行う、接合作業方法。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
[背景技術]
接合ツールユニット、特にクリンチング用接合ツールユニットが既に知られている。例えば、レーザビームによる熱導入によって工作物(ワークピース)を接合しようとする位置を加熱する接合ツールユニットが知られており、この加熱は、接合ツールユニットで、加熱された状態のこの加熱された位置に工作物を接合するために行われている。
【0002】
既知の接合ツールユニットの難点は、接合サイクル時間が比較的長いことである。同様に、レーザを使用した結果として、接合ツールユニットを使って働く人員や、接合ツールユニットの領域内にいる可能性がある人員の放射線からの防護を確実に行う必要があることも、難点であると知られている。このために、既知の接合ツールユニットにおいて、完全な接合ツールユニットには、レーザビーム光を透過させないように構成されている外郭ハウジングが設けられている。これにより、既知の接合ツールユニットは比較的コスト高で複雑に構成されている。
【0003】
[発明の概要]
本発明の目的は、改良された接合ツールユニットを提供することである。特に、本発明の目的は、熱的に支援された接合方法を実施可能な改良された接合ツールユニットを提供することである。
【0004】
この目的は請求項1の特徴によって達成される。
従属請求項には、本発明の効果的かつ好都合な実施形態が記述されている。
本発明は接合ツールユニットに基づいており、接合ツールユニットは、押さえ部材、可動ツール、ツール対向要素、駆動ユニット、光源、及び制御ユニットを有し、押さえ部材と可動ツールはツール対向要素に対向して設けられ、押さえ部材は駆動ユニットによってツール対向要素の方向に移動可能であり、接合ツールユニットは、ツール対向要素に対して可動ツールを移動させることによって、接合ツールユニット上に配置される工作物を接合するように構成され、制御ユニットは駆動ユニットを制御及び/又は調整するように構成され、制御ユニットは光源を制御及び/又は調整するように構成され、接合ツールユニットは、押さえ部材をツール対向要素の方向に、押さえ部材とツール対向要素とが接合ツールユニット上に配置される工作物に接触する位置まで移動させるように構成され、接合ツールユニットは、押さえ部材がその位置に到達したら、光源の光で工作物の接合位置を照射又は照光することを開始するように構成される。これにより、比較的短い接合サイクル時間を実現し得る。また、接合ツールユニットはこれにより比較的経済的に組み立てられる。
【0005】
例えば、工作物は、接合ツールユニットを用いて互いに接合可能である2つ以上の工作部分を備える。接合ツールユニットは、例えば、パンチナット、リベットナット、プレスインナット、ボルト、ネジ要素を工作物上に設置するための、及び/又は、クリンチング又はプレス接合を行うための、及び/又は、例えばクリンチリベット、中実押し抜きリベット、又は半中空押し抜きリベット等のリベットを設置するための機能要素を設置するように設計される。機能要素は、例えば工作物内において、接合ツールユニットを用いてリベット締め、プレス加工、押し抜き、又はクリンチングを行うことができる。例えば、工作物の複数の工作部分を互いに接続することは、接合ツールユニット、例えばリベット等の接続要素を用いて実行可能であり、又は、接続要素を用いずに、例えばクリンチング作業でも実行可能である。
【0006】
工作物が正確に1つの工作部分を備えることも想定できる。例えば、1回の接合作業で工作物に機能要素が固定される。例えば、1回の接合作業で1つの工作部分に機能要素が固定される。
【0007】
例えば、接合作業で接合ツールユニットによって接合接続を用いて互いに接続される2つ以上の工作部分は、可動ツールとツール対向要素との間に配置可能である。各工作部分は異なる材料で製造可能である。例えば、各工作部分(工作物の一部分)は異なる金属組成又は異なる材料硬度を有していてもよい。好ましくは、接合作業中に可動ツールが当接する工作部分は、工作物の別の工作部分よりも硬度が高い、及び/又は、脆性が高い。
【0008】
例えば、接合ツールユニットは、可動ツールが係合する工作部分が、光源の光によって加熱可能なように組み立てられる。接合しようとする工作物を接合ツールユニットによって加熱可能である結果、硬い及び/又は脆い工作部分と別の材料、例えば柔らかめの材料でできた工作部分との間で接合接続を形成することが可能である。接合しようとする工作物を接合ツールユニットによって加熱可能である結果、既に使用可能又は現在知られている接続用途の改良を実現し得る。
【0009】
例えば、可動ツールは、接合ツールユニットの移動軸に沿って移動自在に設けられる。例えば、可動ツールは、専ら接合ツールユニットの移動軸に沿って直線移動自在であるように設けられる。例えば、駆動ユニットは、例えば空気圧/油圧式、油圧式、空気圧式及び/又は電気式駆動ユニット等のリニア駆動装置を備える。
【0010】
例えば、可動ツールは下金型ユニット形状又は押し型ユニット形状である。例えば、ツール対向要素は下金型ユニット形状又は押し型ユニット形状である。可動ツールが押し型ユニット形状で、ツール対向要素が下金型ユニット形状であることが想定でき、またその逆も想定できる。接合ツールユニットが2つの可動ツールを有することが想定でき、この場合に可動ツールは接合ツールユニット上に、互いに対向して存在する。
【0011】
例えば、接合ツールユニットは、工作物が接合ツールユニット上に配置されている状態において、可動ツールをツール対向要素の方向に移動させることによって、工作物を接合するように構成される。
【0012】
例えば、可動ツール及び/又はツール対向要素は接合面を有している。例えば、接合ツールユニット上に配置される工作物は、接合位置で接合面を用いて接合される。つまり、接合作業中、接合ツールユニットは接合面を介して工作物に直に接触している。
【0013】
接合ツールユニットに工作物が配置されている状態において、可動ツールがツール対向要素に対して相対移動を開始する前には、可動ツール、例えば可動ツールの接合面が工作物の接合される位置に対して2cmから20cmの間、2cmから15cmの間、又は2cmから10cmの間の間隔を有するようにして、接合ツールユニットが設けられることが想定できる。例えば、可動ツールがツール対向要素に対して相対移動を開始する前には、可動ツール、例えば可動ツールの接合面は、可動ツールの接合面が工作物の接合される位置から2cm、2.5cm、3cm、3.5cm、4cm、4.5cm、5cm、6cm、7cm、8cm、9cm、10cm、15cm、又は20cm離れて配置される。この間隔は、例えば、可動ツールの接合面と工作物の接触面との間の距離であり、ここで工作物の接触面は、接合作業において可動ツールの接合面が係合する位置である。
【0014】
ツール対向要素に対する可動ツールの特有の最高移動速度は0.1m/sから2m/sの間、例えば1m/sから2m/sの間である。ツール対向要素に対する可動ツールの特有の最高移動速度は0.1m/s、0.5m/s、0.8m/s、1m/s、1.1m/s、1.2m/s、1.3m/s、1.4m/s、1.5m/s、1.6m/s、1.7m/s、1.8m/s、1.9m/s、又は2m/sである。
【0015】
例えば、光源はレーザ方式である。レーザがパルスレーザ動作及び/又は連続レーザ動作で動作可能であると想定できる。例えば、光源の波長は、加工される工作物の材料の最大吸収に合わせることによって、光源の光によりエネルギー換算で可能な限り効率的な工作物への熱の導入が実現される。
【0016】
さらに、押さえ部材は導光システムを有することが提案される。これにより接合ツールユニットは、比較的簡素化されて、特に比較的経済的に設けられる。よって、例えば、人員をビームから保護するための追加の外郭ハウジングを全く必要としない接合ツールユニットを実現し得る。
【0017】
例えば、導光システムは光源の光を光線に沿って取り囲むが、導光システムによって光線に対して径方向に光を透過させないように外側で光を仕切るようにして取り囲む。例えば、押さえ部材の導光システムは、光を光線に沿って、光を透過させないようにして外側で仕切る。
【0018】
導光システムがツール対向要素上に形成されることも想定できる。例えば、押さえ部材とツール対向要素は、接合ツールユニット上に互いに対向して設けられる。
【0019】
例えば、押さえ部材と可動ツールとを備える押し型ユニットが設けられる。例えば、押さえ部材は押し型押さえ部材形状であり、可動ツールは押し型ツール形状である。例えば、ツール対向要素は下金型ユニット形状で設けられる。
【0020】
押さえ部材と可動ツールとを備える下金型ユニットが設けられることが想定できる。例えば、押さえ部材は下金型押さえ部材形状であり、可動ツールは下金型ツール形状である。例えば、ツール対向要素は押し型ユニット形状で設けられる。
【0021】
接合ツールユニットが押し型ユニット及び/又は下金型ユニットを備えることが想定できる。
例えば、押さえ部材は押さえ機能を行うように構成される。例えば、押さえ部材はツール対向要素に対して移動自在に設けられており、押さえ部材とツール対向要素との間隔を変更できる。例えば、押さえ部材とツール対向要素との相対運動が、駆動ユニットによって生じる。
【0022】
導光システムは好ましくは、押さえ部材上に、導光システムが光源の光を光線に沿って取り囲むことにより、導光システムによって光線に対して径方向に外側で光を仕切るようにして構成される。
【0023】
例えば、押さえ部材には、導光システムの凹部、特に円筒形凹部が設けられ、凹部の円筒軸、例えば凹部の長手方向の長さに沿って、光を工作物の方向に導くことができる。凹部は、例えば穴形状、例えば貫通穴形状で押さえ部材内に設けられる。凹部が管状で、例えば管形で押さえ部材内に存在することも想定できる。しかし、導光システムがグラスファイバを有し、グラスファイバが押さえ部材に固定されることも想定できる。
【0024】
また、導光システムは、押さえ部材上に、光源の光の光線が、可動ツールの移動軸に対して0°よりも大きな角度で、接合位置だけを照らすようにして設けられることが提案される。
【0025】
好ましくは、導光システムは、光源の光の光線が、可動ツールの移動軸に対して5°から40°の角度範囲内で、工作物の接合位置だけを照らすようにして構成される。例えば、凹部の長手方向軸は、押さえ部材内にある可動ツールの移動軸に対して5°から40°の間の角度範囲で設けられる。
【0026】
例えば、押さえ部材には、追加の凹部、例えば第2凹部が設けられる。第2凹部が、押さえ部材内で第1凹部に対して鏡面対称であるように設けられることが想定できる。好ましくは、鏡面対称軸は可動ツールの移動軸に平行に延在する。例えば可動ツールの移動軸が押さえ部材の中心を通って延在する場合、移動軸は好ましくは鏡面対称軸に相当する。
【0027】
例えば、第1及び第2凹部は、押さえ部材内で、押さえ部材が工作物に接する位置にある場合に、光源の光が第1凹部に沿って工作物上へと誘導され、工作物によって反射された光源の光が第2凹部に沿って誘導されるようにして構成される。例えば、押さえ部材は放射トラップ又は放射受けを備え、その中で反射光が捕獲されて吸収される。光線が押さえ部材内で第1及び第2凹部に沿って誘導される結果として、保護筐体を省くことができる。
【0028】
さらに、導光システムがシャッタを有することが想定できる。例えば、光源の光による接合位置の照光はシャッタを用いて始動あるいは停止できる。例えば、シャッタは、光学的閉鎖方式、例えば機械的及び/又は電子的閉鎖方式、例えば可動要素である。例えば、シャッタは制御ユニットを用いて制御できる。
【0029】
さらに、押さえ部材は駆動ユニットによりツール対向要素の方向に移動自在であることが提案される。これにより、比較的小型である接合ツールユニットの構造がもたらされる。
【0030】
例えば、制御ユニットは、特に駆動ユニットによって、押さえ部材をツール対向要素の方向に、押さえ部材が接合ツールユニット上に配置される工作物に接触するまで移動させるように構成される。
【0031】
例えば、押さえ部材は、ツール対向要素に対して移動自在であるように設けられる。例えば、押さえ部材と可動ツールとは、駆動ユニットによって互いに独立して移動自在に設けられる。押さえ部材は、例えば駆動ユニットによって、ツール対向要素の方向に移動自在である。押さえ部材とツール対向要素とが、駆動ユニットによって互いと相対的に移動自在であるように設けられることが想定できる。例えば、駆動ユニットは、押さえ部材及び/又はツール対向要素を移動可能である。
【0032】
例えば、押さえ部材とツール対向要素とは、配置された工作物が押さえ部材とツール対向要素との間で締着できるように、互いに向かって移動できる。例えばこれにより、一方では接合作業のために工作物を固定することができ、他方では、工作物の工作部分同士を互いに対して、工作物の一方の工作部分から他方の工作部分への熱伝導が高まるように締着することもできる。押さえ部材と工作物との間の領域が、押さえ部材が工作物に接して配置されている状態であることで光の遮蔽が生じることよって閉鎖されることも想定できる。
【0033】
ツール対向要素に対する押さえ部材の特有の最高移動速度は0.1m/sから2m/sの間、例えば1m/sから2m/sの間である。ツール対向要素に対する押さえ部材の特有の最高移動速度は0.1m/s、0.5m/s、0.8m/s、1m/s、1.1m/s、1.2m/s、1.3m/s、1.4m/s、1.5m/s、1.6m/s、1.7m/s、1.8m/s、1.9m/s、又は2m/sである。
【0034】
例えば、押さえ部材、導光システム、及び/又は光源は、押さえ部材、導光システム及び/又は光源がすべて一緒に移動できるように、互いに関連して、又は互いに接して配置されている。例えば、押さえ部材、導光システム、及び/又は光源は、互いに対して所定の位置に固定された状態で設けられる。
【0035】
さらに、押さえ部材が掻き出し機能を有することが想定できる。例えば、ツール対向要素に対する工作物の接合作業が終わったときに、可動ツールを工作物から離れるように移動させる。この場合、工作物が可動ツールと密着したままであることが想定でき、この場合、押さえ部材は、例えばツール対向要素に対して工作物に接して配置された位置に留まるので、工作物が押さえ部材とツール対向要素との間に締着された状態であるために、工作物は位置が固定されたままである。したがって、工作物は可動ツールによって掻き出される。
【0036】
さらに、接合ツールユニットの制御ユニットは、可動ツールの移動開始と同時に、又は可動ツールの移動開始後に経時的に、光源の光で配置後の工作物の接合位置を照射又は照光することを終了するように構成されることが提案される。これにより、接合サイクル時間が比較的短めになる。
【0037】
例えば、制御ユニットは、可動ツールの移動開始と同時に、又は可動ツールの移動開始後に経時的に、光源を停止し、よって光源の光で配置後の工作物の接合位置を照射又は照光することを終了するように構成される。制御ユニットが、光源の光で配置後の工作物の接合位置を照射又は照光することを終了し、その後に可動ツールの移動を開始するように構成されることも想定できる。
【0038】
例えば、接合ツールユニットは、接合ツールユニットによる工作物の接合作業に対して、ツール対向要素の方向への可動ツールの移動を開始し、同時に、又はその後に経時的に、光源の光で接合位置を照射又は照光することを終了するように構成される。接合ツールユニットによる工作物の接合作業に対して、接合ツールユニットは、光による接合位置の照射又は照光終了後、ある時間範囲内に、可動ツールの移動を開始するように構成されることも想定できる。例えばその時間範囲は、0ミリ秒(ms)から100msの間、例えば0msから50msの間、例えば0msから40msの間、又は例えば0msから30msの間である。
【0039】
さらに、接合ツールユニットはセンサユニットを有することが想定でき、ここで接合ツールユニットは、センサユニットを用いて、押さえ部材がその位置で工作物に接して配置されているかどうかを検出するように構成される。このために、例えば、センサユニットは、押さえ部材内部の動圧を検出する圧力センサを備える。
【0040】
例えば、センサユニットは、押さえ部材が工作物とともに光源の光を透過させないようにして外側で仕切るように、押さえ部材が工作物に接する位置に配置されているかどうかを判定するように構成され、これにより、人員が接合ツールユニットを囲む領域において危険にさらされることを防げることが可能である。この場合、例えばセンサユニットは、圧力センサで、押さえ部材と工作物との間の動圧を検出する。
【0041】
例えば、接合ツールユニットは、特に制御ユニットは、光源の光で配置後の工作物の接合位置を照射又は照光することを開始する前に、及び/又は可動工作物の移動を開始する前に、センサユニットのセンサ値が所定の所望範囲内にあるかどうかをチェックする。センサ値が所定の所望範囲外である場合は、接合ツールユニットは、特に制御ユニットは、配置後の工作物の接合位置を光源の光で照射又は照光することを開始すること、及び/又は可動工作物の移動を開始することを阻止する。
【0042】
好適な実施形態において、接合ツールユニットの制御ユニットは、可動ツールがツール対向要素の方向に移動中であって光源の光の光線内に導入されうる前に、光源の光で配置後の工作物の接合位置を照射又は照光することを終了するように構成される。例えば、可動ツールが光源の光の光線に入る直前に、制御ユニットは、光源の光で配置後の工作物の接合位置を照射又は照光することを停止する。これにより、可動ツールの加熱が防がれ、よって可動ツールの損傷が防がれる。
【0043】
接合ツールユニットの変形例において、接合ツールユニットは、第1ステップでは、押さえ部材をツール対向要素の方向の所定の位置まで移動させるように構成され、第2ステップでは、光源が接合位置を照射又は照光することを開始するように構成され、第3ステップでは、可動ツールの移動を開始するように構成され、第4ステップでは、照光又は照射を終了するように構成され、第5ステップでは、押さえ部材を、ツール対向要素に対して位置から離れるように移動させるように構成される。これにより、特に人員をビームから保護ことに関して、比較的安全な接合工程を実施できる。接合ツールユニットの作業中に、好ましくは例えばレーザ等の光源が確実に停止又は動作停止されたときにだけ、押さえ部材を工作物から上昇させる。
【0044】
例えば、第1ステップから第5ステップは次々に実行される。例えば、接合ツールユニットは、第1ステップにおいて、押さえ部材をツール対向要素の方向にある位置内へと移動させてその位置で保つようにして、第2、第3、及び第4ステップを実行し、その後に、押さえ部材をその位置から移動させて戻すように構成される。例えば、工作物が接合ツールユニット上に配置された状態では、押さえ部材は工作物の表面と接触している位置にある、又は接触しようとする状態である。例えば、制御ユニットは、上述のステップを制御及び/又は調整するように構成される。例えば、接合ツールユニットは、ツール対向要素の方向への可動ツールの移動を、押さえ部材が工作物と接触した直後、又は接触した状態の後に経時的に開始するように構成される。
【0045】
また、押さえ部材は、工作物が接合ツールユニット上に配置されている状態であるときに、押さえ部材は工作物の表面に接する位置に、押さえ部材が工作物の接合位置を取り囲むように配置されることで、押さえ部材と工作物の表面との間の光の照射力(放射力)の最大20%が外側に放射されるようにして構成されることが提案される。
【0046】
例えば、接合ツールユニットは、工作物が接合ツールユニット上に配置されている状態であるときに、押さえ部材は工作物の表面に接する位置に、押さえ部材が工作物の接合位置を取り囲むように配置されることで、押さえ部材と工作物の表面との間の光のうちの、接合される工作物の位置を取り囲む隣接領域に到達する照射力の最大20%が外側に放射されるようにして構成される。
【0047】
例えば、押さえ部材は、押さえ部材が工作物に接する位置にあるときに、押さえ部材と工作物の表面との間の光の照射力の0%から30%、0%から20%、0%から25%、0%から15%、又は0%から10%が外側に放射されるようにして構成される。例えば、押さえ部材は、押さえ部材が工作物に接する位置にあるときに、押さえ部材と工作物の表面との間の光の照射力の最大15%又は最大10%が外側に放射されるように構成される。
【0048】
例えば、押さえ部材は凹部を備える。例えば、凹部は、ツール対向要素に対向するように位置し、工作物が接合ツールユニット上に配置されている状態であると同時に押さえ部材が工作物に接する位置にあるときに、凹部が工作物の接合位置の周りの領域に位置する。例えば、第1及び第2凹部はそれぞれ、一端ではまとまった凹部になる。接合作業中、例えば、可動ツールは凹部内で、又は凹部を貫通して係合する。例えば、凹部は穴形状で押さえ部材内に設けられる。
【0049】
例えば、押さえ部材は、押さえ部材が凹部を取り囲むようにして設けられるので、理想的な場合には、押さえ部材が、工作物に接して配置されている状態において、工作物と一緒に凹部を完全に取り囲む。
【0050】
例えば、光源の光が凹部の領域に入るときに存在する光のビームの強さ(ビーム力)は、光源の光のビームの強さであるとみなしてもよい。例えば、接合ツールユニットに接して配置されている工作物上で作用する光のビームの強さは、光源の光のビームの強さであるとみなしてもよい。
【0051】
例えば、光源で放出されてすぐの光のビームの強さは、接合ツールユニット上に配置される工作物上で作用する光源の光のビームの強さよりも強く、これは特に、光源から接合位置までの経路上で生じる反射や吸収によって光が損失することに起因する。
【0052】
本発明の例示的実施形態は、ツールブラケットと、上述の実施形態のうちのいずれか1つに係る接合ツールユニットとを有するツールトングセットである。
例えば、ツールブラケットは、可動ツールとツール対向要素との間で非強制的な係止接続が行われるように、可動ツールをツール対向要素に接続する。
【0053】
例えば、ツールトングセットは、クリンチング形式、接合形式、及び/又は押し抜き形式のトングセットである。また、ツールトングセットが、半中空リベット形式トングセット、及び/又は中実押し抜きリベット形式トングセットの形態で設けられることも想定できる。
【0054】
また、接合ツールユニットによる工作物の接合作業が提案される。例えば、上述の実施形態のうちのいずれか1つに係る、接合ツールユニットによる工作物の接合作業方法であって、接合作業方法は、
加工しようとする工作物を接合ツールユニット上に配置するステップと、
接合ツールユニットの押さえ部材を、接合ツールユニットのツール対向要素に対して、押さえ部材とツール対向要素とが工作物に接触する所定の位置まで移動させるステップと、
押さえ部材をその所定の位置に保持するステップと、
押さえ部材がその所定の位置に到達したら、接合ツールユニットの光源の光で工作物の接合位置を照射又は照光することを開始するステップと、を連続して行う接合作業方法である。
【0055】
さらに、接合作業方法は、
接合ツールユニットのセンサユニットによって押さえ部材の位置を検出するステップと、
接合ツールの制御ユニットによって、センサユニットの検出に基づいて、押さえ部材がその所定の位置に到達したかどうかをチェックするステップと、
工作物を接合するために、接合ツールユニットの可動ツールを工作物の接合位置の方向に移動させることを開始するステップと、
接合ツールユニットの可動ツールを工作物の接合位置の方向に移動させることを開始すると同時に、接合ツールユニットの可動ツールを工作物の接合位置の方向に移動させることを開始した後に経時的に、又は、接合ツールユニットの可動ツールを工作物の接合位置の方向に移動させることを開始する前に経時的に、工作物の接合位置の照光又は照射を終了するステップと、
接合ツールユニットによって、可動ツールによる工作物の接合作業中に、工作物の接合される位置への照光又は照射を終了しているかどうかをチェックするステップと、
押さえ部材をその所定の位置から離れるように移動させる前に、可動ツールによって工作物を接合するステップと、
工作物の接合される位置の方向に可動ツールを移動させることを開始した後に、押さえ部材をその所定の位置から離れるように移動させるステップと、
押さえ部材をその所定の位置から離れるように移動させる前に、工作物の接合される位置の照光又は照射を終了しているかどうかを、接合ツールユニットによってチェックするステップと、のうちの1つを含んでいてもよいことが提案される。
【0056】
一方では、これにより、特に、人員が危険にさらされることを防ぐために、安全機能が実行される。他方では、これにより、可動ツールの特に望ましくない加熱を制御できる。
【0057】
追加の詳細及び効果を示しながら、例示的な実施形態を添付図面を参照してより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0058】
図1図1は、接合ツールユニットを有するツールトングセットの、上方から斜めに見た斜視図を示している。
図2図2は接合ツールユニットの一部分の斜視図を示している。
図3図3図2に係る接合ツールユニットの一部分の別の斜視図を示している。
図4図4図1に係る接合ツールユニットの一部分の断面図を示している。ここで接合ツールユニットは、押さえ部材とツール対向要素を用いて工作物に隣接しており、光線経路が示されている。
図5図5図4に係る配置の断面図を示しており、空気流の経路が示されている。
図6図6は、接合ツールユニットにおいて高温計を有する部分の断面図を示している。
図7図7図4及び5に係る配置の断面図を示しており、工作物上で接合接続が形成されている。
図8図8図4、5及び7に係る配置において、接合接続が形成された後の初期位置での断面図を示している。
【発明を実施するための形態】
【0059】
[発明の詳細な説明]
図1は、接合ツールユニット2を有するツールトング1のセット(ツールトングセット)を図示している。ツールトング1のセットはツールブラケット3を有し、接合ツールユニット2はツールブラケット3上に配置されている。ツールブラケット3は好ましくはC字形ブラケットの形状であり、例えば、接続要素5を介して、図1には図示されていないロボットアームに固定されてもよい。
【0060】
接合ツールユニット2上には、ツール対向要素4、押さえ部材6、可動ツール7(図2参照)、駆動ユニット8、光源10、及び制御ユニット40が形成される。
【0061】
駆動ユニット8は、電気、空気圧、油圧、又は油圧/空気圧駆動装置方式であってもよい。駆動ユニット8は例えばツールブラケット3に接続される。
例えば、可動ツール7、高温計24、及び導光システム9は、押さえ部材6上に配置される。導光システム9は、コリメータ11、第1鏡12、第2鏡13、ビームトラップ14又はビーム受け、及び保護ガラス15(図4参照)を備える。例えば、光源10はレーザ、特にファイバレーザ方式である。コリメータ11は好ましくは平行光線を生成するように、例えば、平行レーザビームを生成するように構成される。例えば、光源10の光線は、互いに対して少なくともほぼ平行に指向されて進む。第1鏡12は、例えば、光源10の光線の加工される工作物25上での位置を調整できるように調整可能である。第2鏡13は好ましくは、接合ツールユニット2上の所定の位置に固定されるように配置される。保護ガラス15は、例えば、光学ユニット又は鏡12、13と導光システム9のコリメータ11と押さえ部材6との間で、分離場所を形成する。
【0062】
さらに、光線のビーム径は、接合ツールユニット2の外側にある調整要素26によって調整可能である。ビームトラップ14又はビーム受けの端部には、好ましくは、ビームトラップ14又はビーム受けを冷却する冷却板31が形成されている。冷却板31は好ましくは押さえ部材6の外側に取り外しできるように配置され、したがって、冷却板31は例えば摩耗や汚染の発生時には交換又は洗浄可能である。
【0063】
光源10を接合ツールユニット2に連結するために、接合ツールユニット2は好ましくは挿入位置16、17を有する。例えば、排出管20の挿入位置18、19及び注入口23の挿入位置21、22もまた、流体を注入口23で注入できるように、又は排出管20で排出することができるように接合ツールユニット上に設けられる。例えば流体は気体状、例えば空気、特に粒子が除去された空気である。例えば流体は粒子のない清浄化された気体として供給される。流体が例えば窒素や二酸化炭素等の特別な気体の形態で供給されることも想定できる。
【0064】
次に、標準的なツールトングのセットには、接合ツールユニット2の一部分、特に押さえ部材6と導光システム9が設けられることが可能であり、この押さえ部材6及び導光システム9は、好ましくはツールブラケット3上に配置される駆動装置8に接続される。このために、接合ツールユニット2は好ましくは固定要素27を有し、接合ツールユニット2の一部分、特に接合ツールユニット2において挿入位置16、17、18、19、21、22が形成された部分は、固定要素27によって駆動装置8に接続可能である。さらに、押さえ部材6は、駆動装置8への接続を行う接続要素29を有する。固定要素27は好ましくは板状の材料、特に金属からできている。固定要素27は、固定手段30、例えばネジで駆動装置8に接続可能である。例えば、固定要素27上には安全スイッチ28が配置される。
【0065】
図4、5、6、7、8は接合ツールユニット2の断面図を図示している。光源10から出た光源の光線は、領域41で導光システム9内に繋がれる。光線の経路は、図4に矢印Lで模式的に示されている。光線は、例えば図4には図示されていない光源から領域41へと進み、さらに前進してコリメータ11に入り、そこで光線は、例えば第1鏡12上、及び第2鏡13上でほぼ反射されて、例えば保護ガラス15を透過して押さえ部材6に到達する。押さえ部材6内には第1凹部32が形成され、ここで第1凹部32は例えば押さえ部材6内にある穴である。例えば、光線Lは、第1凹部32を通って、工作物上にある押さえ部材6の端部に形成された凹部33へと進む。押さえ部材6が工作物25上の位置にある場合、光線Lは、好ましくは工作物25の金属工作物面42上で反射して、例えば押さえ部材6内の穴の形状をしている第2凹部34に到達する。第2凹部34の端部には、ビームトラップ14又はビーム受けが、工作物25によって反射された光線がビームトラップ14又はビーム受けに捕獲されて吸収されるように形成される。
【0066】
例えば、押さえ部材6上には、可動ツール7への別の穴が、可動ツール7を移動軸35に沿って工作物25の方向に直線移動させることができるように設けられている。移動軸35は好ましくは、可動ツール7の長手方向の長さに沿って延在する。さらに移動軸35は、例えば可動ツール7の中央を貫通して延在する。第1凹部32又は第2凹部34の長手方向軸は、例えば、押さえ部材6上にある可動ツール7の移動軸35に対して5°から40°の間の角度範囲αで設けられる。好ましくは、第2凹部34は第1凹部32に対して鏡面対称であるように構成され、ここで移動軸35は例えば鏡映面の一成分である。
【0067】
例えば、導光システム8の一部が流路38を構成する。例えば、導光システム8の第1及び第2凹部32、34と凹部33とが、流路38の一部分を構成する。例えば、流路38は主に導光システム8に沿って延在し、ここで流路38はコリメータ11よりも後ろのみで始まる。さらに流路38は、好ましくは穴形状である追加の第2凹部36を有する。例えば、第2凹部36は第2凹部34の一部に隣接し、可動ツール7の移動軸35に平行に延在する。
【0068】
流体は注入口23を介して流路38内へと流入し、流路38に沿って流れることが可能である。例えば、コリメータ11よりも後ろで保護ガラス15までの領域では、流体は遮断される。流体は第1凹部32に向かうには保護ガラス15の外側しか流れることができないからである。よって、コリメータ11よりも後ろで保護ガラス15までの領域では、流体が注入口23を通って流れる限り、過度の圧力が発生する。
【0069】
例えば、光学ユニット又は鏡12、13を清浄に保つために、流体が注入口23を通って連続的に流入する。流体は、凹部33と第2排出口37を通って流路38から流出可能である。第2排出口37は好ましくは凹部36の端部に配置され、ここで第2排出口37は、例えば流入する流体を凹部36の端部で排出できるように排出管20に接続されている。例えば、流路38から流体を排出可能である排出管20は、流路38上に配置される。
【0070】
例えば、流体は、接合作業全体にわたって、注入口23を通って流路32に通され、押さえ部材6が工作物25上の位置にない限り、流体は凹部33から流れ出る。例えば、始めに、接合作業のために、接合ツールユニット2を加工される工作物25の方向に、押さえ部材6とツール対向要素4とが工作物に当たるまで移動させる。押さえ部材6が工作物25上の位置に来るとすぐ、駆動装置8は、可動ツール7を、移動軸35に沿って工作物25の方向に移動させて、図5に係る開始位置内に入れる。これが可動ツール7の初期位置となる。これにより、可動ツール7と工作物25との間隔が最小化されるので、可動ツール7は工作物25への移動経路が比較的短くなる。
【0071】
例えば、駆動装置8が可動ツール7を移動した結果、弾性要素が偏ったことによって、工作物25に対する弾性要素の力で押さえ部材6が押圧される。これにより、押さえ部材6が特に確実に工作物25に押し付けられ、よって押さえ部材6と工作物25の間での光の放出を防ぐ。さらに、押さえ部材6に当たる工作物25上において押さえ部材6の押圧力が強い結果、工作物25において押さえ部材と接触している第1被加工部分からの熱を、改良された手法で、工作物25においてツール対向要素4に当たる第2被加工部分に伝えることができる。
【0072】
例えば、次に、押さえ部材6が所望されたように工作物25に当たっているかどうかについてのチェックを行う。そのために、例えば最初に、制御ユニット40によって可動ツール7の位置を決定する。例えば、さらに安全スイッチ28の位置を規定し、これにより押さえ部材と導光システム9の位置をチェックする。例えば、両方のチェックから所望の結果が得られてチェックが正しいと確認された後、流路38内部の圧力を決定する。
【0073】
例えば、圧力を決定するために、第2排出口37、又は排出管20にあるポンプのバルブを閉じる(図4参照)。これにより、凹部33が押さえ部材6において工作物25によって覆われて、流路38又は導光システム9には損傷が全くない場合には、流体は流路38内で遮断される。例えば、流路38内の圧力をセンサ(図示せず)によって測定する。センサが測定した圧力を制御ユニット40に通信し、制御ユニット40は、センサが測定した圧力を所定のしきい値と比較する。しきい値は好ましくは、押さえ部材6と工作物25の間に狭い隙間がある状態であっても、センサが測定した流路38内の圧力がしきい値を超えられないような値に選定される。これにより、押さえ部材6が工作物25上において所望の形態で、例えば垂直な形態で位置決めされていて、外側に発する光放射がない場合にのみ、光源10が作動可能であることが保証される。
【0074】
例えば、流路3内の圧力をチェックした後、第2排出口及び/又は排出管のポンプのバルブを開いて、流路38内の流れを再度発生させる(図5の矢印参照)。その結果、流体は注入口23から第2鏡13に流れ、保護ガラス15へ、第1凹部32に沿って第2凹部34へ、凹部36に沿って第2排出口37へと流れ、第2排出口37で排出される。したがって、流路38からの汚染は、流路38内の流れによって取り除かれる。
【0075】
例えば、流路38内の流れが作られるとすぐに、制御ユニットが光源10を作動させる。例えば、光源10の光線によって工作物25を加熱するが、ここで光線の一部は、特にその表面の加熱がまだ完全でない場合に、工作物25上で反射する。反射された光放射は、第2凹部34に沿ってビームトラップ14又はビーム受けへと進む。よって、ビーム保護筐体を追加することなく、ビームからの保護が確実に行われる。
【0076】
例えば、工作物での温度は、高温計24(図6参照)によって測定される。高温計24は押さえ部材6上に配置され、押さえ部材6には穴39が形成される。例えば、穴39は、押さえ部材6内に、移動軸35を中心にして第1凹部32に対して90°回転された状態で設けられる。これにより、穴39を介した工作物の熱放射が高温計24に到達でき、よって工作物25の温度、特に工作物の接合位置での工作物25の温度が画定できる。例えば、高温計24は測定温度を制御ユニット40に伝達し、制御ユニット40内には、到達すべき温度が保存されていて、測定値と比較される。制御ユニットには、例えば様々な材料に対して到達しようとする温度が既に保存されている。例えば、特定の時間が過ぎる前に到達すべき温度に達した場合、光源10の動作を停止する。特定の時間内に到達すべき温度に到達できない場合、接合作業をまず停止する。
【0077】
例えば、特に光源10の停止直前又は停止と同時に、工作物25を接合位置で接合する(図7)ように、可動ツール7のツール対向要素4の方向への移動を開始する。例えば、制御ユニット40は、可動ツール7がツール対向要素4の方向の経路上にある光源10の光線の放射路の領域に達したときに、光源10、よって工作物25への照光を停止しているかどうかをチェックするように構成される。
【0078】
これにより、光源10の光線を照射することで可動ツール7が望ましくないように加熱された状態になることを防止することが意図される。同様に、これにより、接合ツールユニット2における人員の安全を確保することが意図される。しかし、制御ユニットが光源10、よって工作物25の照光が停止しているかどうかをまずチェックし、停止した光源10がチェックされた後にのみ、可動ツール7の移動を作動することも想定できる。
【0079】
例えば、接合接続の形成中、特に連続的に流路38内の流れが存在するので、接合接続を形成する際に生じる汚染を運び去ることができる。
例えば、接合作業の終了後に、可動ツール7を図4に係る初期位置へと再び移動させる。例えば、次に第2排出口37を閉じる。例えば、次に接合ツールユニット2を、駆動装置8によって、工作物25、特に押さえ部材6から離れるように移動させる。例えば、流体は、注入口23を通って凹部33の方向に連続的に流れるので、ダウンタイム中も含めて光学ユニットが汚染されることがない。
【符号の説明】
【0080】
1…ツールトングセット、2…接合ツールユニット、3…ツールブラケット、4…ツール対向要素、5…接続要素、6…押さえ部材、7…ツール、8…駆動ユニット、9…導光システム、10…光源、11…コリメータ、12…鏡、13…鏡、14…ビーム受け、15…保護ガラス、16…挿入位置、17…挿入位置、18…挿入位置、19…挿入位置、20…排出管、21…挿入位置、22…挿入位置、23…注入口、24…高温計、25…工作物、26…調整要素、27…固定要素、28…安全スイッチ、29…接続要素、30…固定手段、31…冷却板、32…凹部、33…凹部、34…凹部、35…移動軸、36…凹部、37…排出口、38…流路、39…穴、40…制御ユニット、41…領域、42…工作物面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8