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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-27
(45)【発行日】2024-10-07
(54)【発明の名称】不燃性木質ボード並びにその製造方法
(51)【国際特許分類】
   B27N 3/02 20060101AFI20240930BHJP
   B27K 3/02 20060101ALI20240930BHJP
   B27K 3/26 20060101ALI20240930BHJP
   E04C 2/12 20060101ALI20240930BHJP
【FI】
B27N3/02 D
B27N3/02 C
B27K3/02 C
B27K3/26
E04C2/12 F
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2023084470
(22)【出願日】2023-05-23
【審査請求日】2023-11-09
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】504087732
【氏名又は名称】株式会社きんぱら
(73)【特許権者】
【識別番号】521495482
【氏名又は名称】株式会社ザマックス
(73)【特許権者】
【識別番号】523191498
【氏名又は名称】原田 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100086438
【弁理士】
【氏名又は名称】東山 喬彦
(74)【代理人】
【識別番号】100217168
【弁理士】
【氏名又は名称】東山 裕樹
(72)【発明者】
【氏名】金原 隆之
(72)【発明者】
【氏名】前田 米蔵
(72)【発明者】
【氏名】原田 茂
(72)【発明者】
【氏名】松浦 昌孝
【審査官】小林 直暉
(56)【参考文献】
【文献】特開平03-258538(JP,A)
【文献】特開2020-131511(JP,A)
【文献】特開平01-226302(JP,A)
【文献】特開平03-211007(JP,A)
【文献】特開昭54-088977(JP,A)
【文献】特開2009-126057(JP,A)
【文献】特開2005-053181(JP,A)
【文献】特開2017-177087(JP,A)
【文献】国際公開第91/009093(WO,A1)
【文献】特開2007-1120(JP,A)
【文献】特開2005-212342(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B27N 3/02
B27K 3/02
B27K 3/26
E04C 2/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボード基材を接着剤とともにプレス、加熱して板状本体を形成した不燃性ボードであって、
前記ボード基材は、木質素材が含まれるものであり、
前記木質素材には、ホウ酸またはポリホウ酸ナトリウムの何れか一方または双方が含侵されており、
前記接着剤は、アルミナセメントを用いたものであり、
また前記板状本体には、少なくとも一方の面に金属箔が積層されており、
コーンカロリーメータIIIを用いた 認定試験(建築基準法)(グレード:不燃)において、20分経過後も着火が確認されない且つ20分経過後も総発熱量が8MJを越えないことを特徴とする不燃性木質ボード。
【請求項2】
ボード基材を接着剤とともに型枠に充填し、続いてプレス、加熱して板状とした不燃性ボードの製造方法であって、
前記ボード基材は、木質素材が含まれるものであり、
また前記接着剤は、アルミナセメントであり、
前記木質素材には、ホウ酸またはポリホウ酸ナトリウムの何れか一方または双方を含侵させ、
また前記ボード基材の、少なくとも一方の面に金属箔を配した状態でプレスした後、加熱することを特徴とする不燃性木質ボードの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築資材や、シンクユニット(キッチンユニット)等の室内調度品等に用いることが適切な、不燃性能を高める改良を施した不燃性木質ボード並びにその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
木質素材の小片を接着剤と混ぜ合わせ熱圧成型して板状に成形されたボード資材が、建材や家具、音響機器の筐体等として広く用いられている。しかしながらこのものは、主原料を木質素材とするものであり、不燃性については充分な性能を発揮できない。
【0003】
そこでこのようなボード資材に不燃性を付与するために、接着剤の中に難燃薬剤を混合する試みがなされているが(例えば特許文献1参照)、薬剤がボードの表面に析出して見た目が悪くなってしまう等の課題があった。
更に接着剤としてフェノール、イソシアネート、レゾシノール等が使用されている場合には、これらの成分が発火してしまうことは避けられなかった。
【0004】
ところで、良好な不燃性を有する建築用ボードの一例として、石膏ボードやプラスターボードと呼ばれる、石膏を板状に形成し、その表面を特殊な紙で仕上げたものが広く流通している。このものは、不燃性が高いだけでなく、断熱性、施工性、遮音性にも優れており、更に各種建築用ボードの中では比較的安価・低コストであるとされている。しかしながらこのような利点を有するものの、石膏ボードは他の業種や一般の感覚では安価とは言い難いものである。
【0005】
このような状況の下、本出願人らは、不燃性を高めると共に、耐キズ性能、抗菌性能、耐水性能、耐汚れ性能、防蟻性能等の機能を併せ発揮する不燃性木質ボード等を開発し、既に特許出願に及んでいる(特許文献2、3参照)。
そしてその後も本出願人は、ボード資材の不燃性向上に加え、製造コストの削減についての研究開発に鋭意取り組んできた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特許3919639号公報
【文献】特開2022-21088号公報
【文献】特願2021-184316
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明はこのような背景の下、更に低コスト化と不燃性の向上を図るべくなされたものであって、一定以上の不燃性を確保すると共に、製造コストを抑えることのできる、新規な不燃性木質ボード並びにその製造方法の開発を技術課題とした。
【課題を解決するための手段】
【0008】
すなわち請求項1記載の不燃性木質ボードは、ボード基材を接着剤とともにプレス、加熱して板状本体を形成した不燃性ボードであって、前記ボード基材は、木質素材が含ま
れるものであり、前記木質素材には、ホウ酸またはポリホウ酸ナトリウムの何れか一方
または双方が含侵されており、前記接着剤は、アルミナセメントを用いたものであり、
また前記板状本体には、少なくとも一方の面に金属箔が積層されており、コーンカロリ
ーメータIIIを用いた 認定試験(建築基準法)(グレード:不燃)において、20
分経過後も着火が確認されない且つ20分経過後も総発熱量が8MJを越えないことを
特徴として成るものである。
【0009】
また請求項2記載の不燃性木質ボードの製造方法は、ボード基材を接着剤とともに型枠に充填し、続いてプレス、加熱して板状とした不燃性ボードの製造方法であって、前記ボード基材は、木質素材が含まれるものであり、また前記接着剤は、アルミナセメントであり、前記木質素材には、ホウ酸またはポリホウ酸ナトリウムの何れか一方または双方を含侵させ、また前記ボード基材の、少なくとも一方の面に金属箔を配した状態でプレスした後、加熱することを特徴として成るものである。
そしてこれら各請求項記載の発明の構成を手段として前記課題の解決が図られる。
【発明の効果】
【0010】
まず請求項1及び記載の発明によれば、不燃性木質ボードに、金属箔による、耐熱性能、不燃性能を付与することができる。また研磨工程が不要となるため、不燃性木質ボード1のコストダウンを図ることができる。
また、不燃性木質ボードを、木質素材を含みながらも、不燃性能が高く、且つ低コストのものとすることができる。特に不燃性木質ボードに、アルミナセメントによる接着効果に加え、不燃効果、耐熱効果を付与することができる。
また、不燃性木質ボードに、ホウ酸またはポリホウ酸ナトリウムによる不燃効果、耐熱効果、防蟻効果、防腐効果を付与することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の不燃性木質ボードの製造方法を示す工程図である。
図2】不燃性木質ボードの製造方法を示すフローチャートである。
図3】ホウ酸を含侵させた木質素材を用いた不燃性木質ボードをコーンカロリメータによる燃焼試験にかけた結果を示すグラフである。
図4】ポリホウ酸ナトリウムを含侵させた木質素材を用いた不燃性木質ボードをコーンカロリメータによる燃焼試験にかけた結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明を実施するための形態は、以下に述べる実施の形態をその一つとするものであり、更にこの技術思想の中で改変される種々の形態を含むものである。
【0013】
以下、本発明の「不燃性木質ボード並びにその製造方法」について、図示の実施の形態に基づいて具体的に説明する。
本発明の不燃性木質ボード1は、ボード基材を接着剤とともにプレス、加熱して板状本体を形成した不燃性ボードであって、前記ボード基材は、木質素材2が含まれるものであり、また前記板状本体には、少なくとも一方の面に金属箔15が積層されていることを特徴とするものである。
なお前記「ボード基材」とは、ボード原料10の成分の内、不燃性木質ボード1の強度を担う主要成分を意味するものであり、この実施の形態では木質素材2が該当するものである。
【0014】
以下、本発明の不燃性木質ボード1について詳しく説明する。
なお不燃性木質ボード1の形態としては、JIS5908で規定される「パーティクルボード」及び「OSB」並びにJIS5905で規定される「MDF((Medium Density Fiberboard)」、「インシュレーションボード」及び「ハードボード」等の形態が採られる。
【0015】
そして木質素材2の形態は、不燃性木質ボード1の態様に応じて、木質細片または木質繊維とされる。
まず前記木質細片は、木質材を切削・破砕することにより得られるものであり、JIS5908で規定される「パーティクルボード」に準じた不燃性木質ボード1に適用される場合、2~9mm、好ましくは2~7mm、更に好ましくは4~5mmとされる。
また同じくJIS5908で規定される「OSB」に準じた不燃性木質ボード1に適用される木質細片は、ストランドと呼ばれる厚さ0.5~1.0mmの短冊状の削片とされる。
更に木質細片の乾燥度(含水率)は、8~30%、好ましくは8~20%、更に好ましくは8~13%とされる。
【0016】
一方、前記木質繊維は、木質材を蒸煮・解繊することにより得られるものであり、JIS5905で規定される「MDF((Medium Density Fiberboard)」、「インシュレーションボード」、「ハードボード」に準じた不燃性木質ボード1に適用されるものである。
【0017】
また前記木質素材2は、木質材であれば何でも適用することが可能であるが、間伐材、林地残材、工場残廃材、解体廃材等の廃材を適用することが好ましい。また木質素材2は、木質材の木部のみならず樹皮を含むようにしてもよい。
なお木質素材2の樹種としては、国産ではスギ、ヒノキ、マツ(カラマツ、エゾマツ、トドマツ)、シナ、ヒバ、モミ、ケヤキ、ナラ、カバ、ニレ、セン、タモ、クルミ、トチ、ナナカマド、モミジ、センダン、イヌエンジュ、キリ、ハンノキ、シラカバ等が挙げられる。
一方、外国産では、シダー、ヨーロッパモミ、ヨーロッパカラマツ、トウヒ、スプルース、ベイマツ、ツガ、スプルース、モミ、バーズアイ・メープル、カーリー・メープル、ウォールナット、ホワイト・オーク、レッド・オーク、ホワイト・アッシュ、ササフラス、チューリップ・ポプラ、ウォールナット・バール、マドローネ・バール、メープル・バール、ローズ(インド)、コクタン、チーク、ブビンガ、サペリ、ビーチ(ぶな)、シカモア、マッパ・バール、アッシュ・バール、モスルビヨルク、エルム・バール、ラジェーター・パイン、ラワン、ユーカリ、ゴム、アカシア、アユース、ファルカタ、ラミン、ジェルトン、アサメラ、マホガニー、ジャカランダ等が挙げられる。
なお木質素材2を単一の樹木種で用いる他、他の一または複数の樹種の木質素材2と混合して用いることもできる。
【0018】
次に前記接着剤としてのアルミナセメント3について説明すると、このものはアルミン酸カルシウムAl23 、CaOを主成分とした水硬性セメントであって、大別して構築用と耐熱材用に分類される。
前記構築用のセメントはCaO・Al23 が主な鉱物であり、少量の12CaO・7Al23 その他を含むものである。一方、耐火用セメントはAl23 の量を増やし耐火度を上げたものである。
【0019】
そしてこの実施の形態では、アルミナセメント3として、一例としてデンカ株式会社製「デンカハイアルミナセメントスーパーS90」を採用した。このものは酸化アルミニウム(Al23 )の含有率が約89%と非常に高い一方、酸化カルシウム(CaО)の含有率が約9%と非常に低く調製されているものである。
なおアルミナセメント3は350円/kg程度の安価で流通しているものであり、このようなアルミナセメント3を接着剤の主成分とすることにより、不燃性木質ボード1の製造コストを抑えることができる。
【0020】
また本発明の不燃性木質ボード1においては、接着剤として、尿素(ユリア)とホルマリンを主原料とするユリア系接着剤(熱硬化性樹脂系)、メラミンとホルマリンを主原料とするメラミン樹脂系接着剤(熱硬化性樹脂系)、フェノールとホルマリンを主原料とするフェノール樹脂系接着剤(熱硬化性樹脂系)、CMC(カルボキシメチルセルロース)、レゾシノール、イソシアネート等を使用しないため、これらの成分による発火を回避することができる。
【0021】
またこの実施の形態では、前記木質素材2にホウ酸4またはポリホウ酸ナトリウム40の何れか一方または双方が含浸されるものであり、このホウ酸4およびポリホウ酸ナトリウム40は、前記アルミナセメント3に含まれるアルミニウム化合物の不燃性・難燃性との相乗効果により、不燃性・難燃性を高めるものである。
そして不燃化・難燃化のメカニズムとしては、ホウ酸水溶液、ポリホウ酸ナトリウム水溶液が木質素材2等の内部に浸透してセルロースに定着し、高温となったときに発泡し熱を遮断する事により、燃焼を防ぐことが知られている。
なおこの実施の形態では、ポリホウ酸ナトリウム40として、一例としてアベ・ホーム株式会社製「SOUFA」を採用した。
【0022】
更にまたこの実施の形態では、前記ボード原料10は、木質素材2と、アルミナセメント3を一例とする接着剤とを必須とし、これにホウ酸4またはポリホウ酸ナトリウム40の何れか一方または双方を含有するものとしたが、更に酸化亜鉛等、他の成分を添加するようにしてもよい。
【0023】
また本発明の不燃性木質ボード1においては、少なくとも一方の面(片面または両面)に金属箔15が積層されるものであり、一例として厚さ40μmのアルミ箔が適用される。
なおJIS規格では、アルミ箔の厚さは0.2mm~0.006mmと規定されており、また一般的な家庭用アルミホイルの厚さは約12μm(0.012mm)である。
金属箔15としては、アルミニウム以外の金属のものであっても良いが、軽量であること、安価で流通していることなどから、アルミ箔を適用するのが好ましい。
〔不燃性木質ボードの製造方法〕
【0024】
次いで本発明の不燃性木質ボード1の製造方法について、図1に示す工程図及び図2に示すにフローチャートに沿って説明する。
(1)蒸煮工程S1
まず木質素材2にホウ酸4またはポリホウ酸ナトリウム40の何れか一方または双方を含浸させるものであり、この実施の形態では、一例として水7が入れられた圧力釜100に、木質素材2、ホウ酸4またはポリホウ酸ナトリウム40の何れか一方または双方を投入した後、常圧+60kPa(約161.325kPa)、120℃で18分加熱を行うようにした。
【0025】
(2)静置・乾燥工程S2
次いで、加熱を停止した圧力釜100を静置して冷却し、ホウ酸4またはポリホウ酸ナトリウム40の何れか一方または双方が木質素材2内に浸透してセルロースに定着するのを促すものであり、一例として15時間(好ましくは24時間以上、更に好ましくは2週間以上)、静置する。
次いで図示は省略するが、木質素材2を水切りした後、乾燥させることにより、ホウ酸4またはポリホウ酸ナトリウム40の何れか一方または双方が含侵された処理済木質素材20が得られる。
【0026】
(3)原料調製工程S3
次いで、処理済木質素材20を圧力釜100から取り出し、水7が入れられた適宜の容器に投入するとともに、更にアルミナセメント3を投入し、適宜のミキサを用いてこれらを満遍なく混合してボード原料10を調製する。
【0027】
(4)ボード原料注入工程S4
次いでボード原料10を下型11に流し込むものであり、ここでは一例として両面に金属箔15が積層されるものとする。
まず下型11の底部に金属箔15を設置する(ボード原料注入工程S41)。
次いで所定量のボード原料10を下型11に流し混む(ボード原料注入工程S42)。
次いで下型11内のボード原料10に金属箔15を載置する(ボード原料注入工程S43)。
【0028】
(5)プレス工程S5
次いで下型11を上型12の下方に位置させて、一例として40tf/m2 の圧力をかけてプレスすることによりボード原料10を成型する。
【0029】
(6)加熱工程S6、整形工程S7
次いでプレスされたボード原料10を下型11ごと電気釜200に投入し、加熱(一例として、220℃、40分間)した後、離型し、所望の寸法に裁断することにより、本発明の不燃性木質ボード1が得られる。
なお従来の木質ボードの場合、整形工程S7において、適宜表裏面を研磨する作業が行われていたが、本発明の不燃性木質ボード1にあっては、少なくとも金属箔15が設けられた面については平滑性が確保されているため、研磨作業が不要となる。
【0030】
このようにして得られた不燃性木質ボード1は、アルミナセメント3が接着剤として機能して、木質素材2同士が強固に接合されたものとなり、更にその片面または両面に金属箔15が強固に一体化されたものとなる。
以下、本発明の不燃性木質ボード1の実施例を記載する。
【実施例
【0031】
〔実施例1〕サンプルA(不燃性木質ボード1)
・蒸煮工程S1(常圧+60kPa、120℃、18分加熱)
木質素材2:100g
形態:木質細片
寸法:2~20mm
ホウ酸4:200g
水7:1000ml

・静置・乾燥工程S2(静置:常温になるまで 乾燥:24時間以上、自然乾燥)

・原料調製工程S3
処理済木質素材20: 88g
アルミナセメント3: 30g
水7: 40g

ボード原料10: 158g
【0032】
このボード原料10を用いて両面に金属箔15が積層された下記サンプルAを作成した。
・プレス工程S5・加熱工程S6
加圧力:40tf/m2 =39240kN/m2
加熱温度:220℃
加熱時間:40分

ボード原料10 プレス・加熱前 158.0g
不燃性木質ボード1 プレス・加熱後 88.7g
不燃性木質ボード1(サンプルA) 整形後 71.38g
【0033】
〔実施例2〕サンプルB(不燃性木質ボード1)
・蒸煮工程S1(常圧+60kPa、120℃、18分加熱)
木質素材2:150g
形態:木質細片
寸法:2~20mm

ポリホウ酸ナトリウム40:250g

水7:1000ml

・静置・乾燥工程S2(静置:15時間 乾燥:6時間、天日干し)

・原料調製工程S3
処理済木質素材20: 80g
アルミナセメント3: 30g
水7: 40g

ボード原料10: 150g
【0034】
このボード原料10を用いて両面に金属箔15が積層された下記サンプルBを作成した。

・プレス工程S5・加熱工程S6
加圧力:40tf/m2 =39240kN/m2
加熱温度:220℃
加熱時間:40分

ボード原料10 プレス・加熱前 150.0g
不燃性木質ボード1 プレス・加熱後 98.5g
不燃性木質ボード1(サンプルB) 整形後 80.56g
【0035】
〔耐火試験結果〕
上記不燃性木質ボード1の二つのサンプルA、サンプルBについて、それぞれ耐火試験を行った。結果を以下に示す。
試験対象:サンプルA
試験方法:コーンカロリーメータIIIを用いた 認定試験(建築基準法)(グレード :不燃)
輻射量:50.0kW/m2 (ヒータ温度753.1℃)
排気流量:0.024m3 /sec(排気温度17.7℃、排気圧力130 .628Pa)
.
試験結果:図3に、発熱速度―時間曲線、総発熱量―時間曲線を示すとともに、酸素ベ ースライン及び質量―時間曲線を示す。
20分経過後も着火は確認されなかった。
20分経過後も総発熱量が8MJを超えることは無かった。
試験験後のサンプルAの重量は61.25gであった。
また、外形の変化も無く、割れ、ひび、反り等も確認されなかった。
【0036】
試験対象:サンプルB
試験方法:コーンカロリーメータIIIを用いた 認定試験(建築基準法)(グレード :不燃)
輻射量:50.0kW/m2 (ヒータ温度753.1℃)
排気流量:0.024m3 /sec(排気温度17.7℃、排気圧力130 .628Pa)
.
試験結果:図4に、発熱速度―時間曲線、総発熱量―時間曲線を示すとともに、酸素ベ ースライン及び質量―時間曲線を示す。
20分経過後も着火は確認されなかった。
20分経過後も総発熱量が8MJを超えることは無かった。
試験験後のサンプルAの重量は61.25gであった。
また、外形の変化も無く、割れ、ひび、反り等も確認されなかった。
【0037】
このようにサンプルA、Bの試験結果から、本発明の不燃性木質ボード1は不燃性能が20分間継続するものであり、建築基準法施行令第108条の2によって定められた不燃材料の不燃性能を有するものであることが確認された。
【符号の説明】
【0038】
1 不燃性木質ボード
10 ボード原料
11 下型
12 上型
15 金属箔
2 木質素材
20 処理済木質素材
3 アルミナセメント(接着剤)
4 ホウ酸
40 ポリホウ酸ナトリウム
7 水
100 圧力釜
200 電気釜
S1 蒸煮工程
S2 静置・乾燥工程
S3 原料調製工程
S4 ボード原料注入工程
S41 ボード原料注入工程
S42 ボード原料注入工程
S43 ボード原料注入工程
S5 プレス工程
S6 加熱工程
S7 整形工程
【要約】
【課題】 一定以上の不燃性を確保すると共に、製造コストを抑えることのできる、新規な不燃性ボード並びにその製造方法の開発を技術課題とした。
【解決手段】 ボード基材を接着剤とともにプレス、加熱して板状本体を形成した不燃性ボード1であって、前記ボード基材は、木質素材2が含まれるものであり、また前記板状本体には、少なくとも一方の面に金属箔15が積層されていることを特徴として成り、不燃性木質ボード1に、金属箔15による、耐熱性能、不燃性能を付与することができる。また研磨工程が不要となるため、不燃性木質ボード1のコストダウンを図ることができる。更に前記接着剤として、アルミナセメント3を用いた場合には、アルミナセメント3による接着効果に加え、不燃効果、耐熱効果を付与することができる。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4