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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-27
(45)【発行日】2024-10-07
(54)【発明の名称】鉢物出荷用の包装材
(51)【国際特許分類】
   B65D 5/50 20060101AFI20240930BHJP
【FI】
B65D5/50 E
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021038167
(22)【出願日】2021-03-10
(65)【公開番号】P2022138340
(43)【公開日】2022-09-26
【審査請求日】2023-11-10
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 公開日 令和3年3月7日 公開場所 松浦園芸(愛知県豊橋市東七根町銭田263) 公開者 松浦 秀昭
(73)【特許権者】
【識別番号】000115980
【氏名又は名称】レンゴー株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】521102823
【氏名又は名称】松浦 秀昭
(74)【代理人】
【識別番号】100130513
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 直也
(74)【代理人】
【識別番号】100074206
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 文二
(74)【代理人】
【識別番号】100130177
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 弥一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100117400
【弁理士】
【氏名又は名称】北川 政徳
(74)【代理人】
【識別番号】100161746
【弁理士】
【氏名又は名称】地代 信幸
(74)【代理人】
【識別番号】100166796
【弁理士】
【氏名又は名称】岡本 雅至
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 友和
(72)【発明者】
【氏名】松浦 芳大
【審査官】米村 耕一
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3106521(JP,U)
【文献】特開2009-286491(JP,A)
【文献】特開2018-184178(JP,A)
【文献】特開2015-128997(JP,A)
【文献】特開2013-032176(JP,A)
【文献】実開昭55-158825(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2015/0282648(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 5/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉢物を輸送時に保持する保持台(1)であって、天壁(2)、対向する側壁(3)、底壁(4)、前壁(5)及び後壁(6)を備え、前記後壁(6)の下端に底敷板(7)が連設され、
前記天壁(2)には、鉢物の容器を挿入する鉢穴(10)を形成するための鉢穴形成部(8)が設けられ、前記鉢穴形成部(8)の周縁には、縁折片(8a)が放射状の切込を介し周方向に配置されるとともに、前側部分から保持片(8b)が延出され、前記保持片(8b)の基部には、先端側へ順次間隔をあけて複数本の山折線(8b1,8b2,8b3)が入れられ、
前記後壁(6)と前記底敷板(7)の境界部分には、切目の間に受止部(9)が設けられ、前記受止部(9)の両端に山折線(9a)が、中間部に谷折線(9b)がそれぞれ入れられており、
前記後壁(6)から前記底敷板(7)が前記底壁(4)の上面に重なるように折り曲げられて、前記受止部(9)が前記保持台(1)の内側へ突出し、前記鉢穴(10)に挿入される鉢物の容器のサイズに応じて、前記保持片(8b)が基部の山折線(8b1,8b2,8b3)のうちのいずれかを軸に下方へ折り曲げられる鉢物出荷用の包装材。
【請求項2】
請求項1に記載の鉢物出荷用の包装材において、前記底壁(4)の上面に重なる前記底敷板(7)には、左右方向に延びる切溝(7a)が設けられており、
前記天壁(2)から下方へ折り曲げられた前記保持片(8b)の先端部が前記切溝(7a)に係合して、前記保持片(8b)の揺動が阻止されることを特徴とする鉢物出荷用の包装材。
【請求項3】
前記保持台(1)には、前記底壁(4)の後端に後立板(11)が連設され、前記後立板(11)の両側に側立板(12)が連設されており、
前記後立板(11)が前記底壁(4)から上方へ、前記側立板(12)が前記後立板(11)から前方へ順次折り曲げられて、前記側立板(12)と前記側壁(3)とが係止され、前記後立板(11)及び前記側立板(12)が前記保持台(1)の後部及び両側部上方を囲むように起立した状態に保持されることを特徴とする請求項1又は2に記載の鉢物出荷用の包装材。
【請求項4】
鉢物を輸送時に保持する保持台(1)であって、天壁(2)、対向する側壁(3)、底壁(4)、前壁(5)及び後壁(6)を備え、前記後壁(6)の下端に底敷板(7)が連設され、
前記天壁(2)には、鉢物の容器を挿入する鉢穴(10)を形成するための鉢穴形成部(8)が設けられ、前記鉢穴形成部(8)の周縁には、縁折片(8a)が放射状の切込を介し周方向に配置されるとともに、前側部分から保持片(8b)が延出され、前記保持片(8b)の基部には、先端側へ順次間隔をあけて複数本の山折線(8b 1 ,8b 2 ,8b 3 )が入れられ、
前記後壁(6)と前記底敷板(7)の境界部分には、切目の間に受止部(9)が設けられ、前記受止部(9)の両端に山折線(9a)が、中間部に谷折線(9b)がそれぞれ入れられており、
前記後壁(6)から前記底敷板(7)が前記底壁(4)の上面に重なるように折り曲げられて、前記受止部(9)が前記保持台(1)の内側へ突出し、前記鉢穴(10)に挿入される鉢物の容器のサイズに応じて、前記保持片(8b)が基部の山折線(8b 1 ,8b 2 ,8b 3 )のうちのいずれかを軸に下方へ折り曲げられ、
前記鉢穴(10)に挿入される鉢物の容器としての紙製鉢体(20)であって、古紙を溶解させて型により成形したパルプモウルド製の内鉢(21)と、段ボール製のスペーサー(22)及びカバー(23)とからなり、
前記内鉢(21)が角筒状に巻かれた前記スペーサー(22)で包囲され、前記内鉢(21)の上縁部のリブ(21b)が前記スペーサー(22)の上端に嵌合して、前記内鉢(21)が吊下状態で支持されるとともに、前記スペーサー(22)が下窄まりの角錐状に巻かれた前記カバー(23)で包囲され、前記スペーサー(22)と前記カバー(23)とが係止されて一体化される紙製鉢体(20)を備えたことを特徴とする鉢物出荷用の包装材
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、胡蝶蘭等の販売される鉢物を出荷時に包装するための包装材及び紙製鉢体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
鉢物を運ぶ際に使用する包装材として、下記特許文献1には、図12に示すようなものが記載されている。この包装材51は、外装箱50の底部に内挿されるものであり、天壁52の周囲各辺に側壁53が連設され、天壁52に設けられた鉢穴形成部54の周縁に、ヒンジ線55aを根元として延びる縁折片55が放射状の切込55bを介し周方向に配置された構成となっている。
【0003】
このような包装材51では、天壁52から側壁53を下方へ折り曲げて台状とし、縁折片55を下方へ折り曲げつつ、縁折片55の先端の内周側に形成される鉢穴56に鉢物の容器57を上方から挿入すると、縁折片55により鉢物の容器57が外装箱50の内部で水平方向へ移動しないように緩衝保持される。
【0004】
また、下記特許文献2には、図13に示すような植物育成用の鉢体61が記載されている。この鉢体61は、ポリエチレンテレフタレート(PET)製の鉢62と、鉢62を上方から挿入する段ボール製のケース63とからなり、鉢62の上縁部に外側へ張り出して下方へ湾曲したリブ62aを有し、リブ62aがケース63の上端に嵌合して、鉢62が吊下状態で支持されるようになっている。
【0005】
このような鉢体61では、鉢62がケース63により外周を囲まれた状態で安定して保持され、また、鉢62とケース63の間に空隙部が形成されるので、植物が外気の影響を受けにくくなり、急激な気温の変化等から植物が保護される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2019―104506号公報
【文献】登録実用新案第3213867号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記特許文献1に記載されたような包装材では、鉢物が特定の方向へ転倒しやすいものである場合、輸送のための十分な緩衝性が得られない恐れがある。
【0008】
また、上記特許文献2に記載されたような鉢体では、プラスチック製の鉢と段ボール製のケースとを組み合わせて構成されているため、鉢物の出荷に使用した場合、鉢の廃棄処分が煩わしくなるという問題がある。
【0009】
さらに、一般的な鉢の内部に花卉の株を植えた軟質ポットを複数個並べる場合、それぞれの軟質ポットを支持する発泡スチロール製の固定材を要するほか、花の高さを見映えよく調整するために、固定材の底部に発泡スチロール製の小片を敷く必要があり、これらの固定材や小片の廃棄処分にも煩わしさを感じるという問題がある。
【0010】
そこで、この発明は、不安定な鉢物を転倒させることなく輸送できる出荷用包装材と、包装作業及び廃棄処分が容易な鉢体とを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するため、この発明では、鉢物を輸送時に保持する保持台であって、天壁、対向する側壁、底壁、前壁及び後壁を備え、前記後壁の下端に底敷板が連設され、
前記天壁には、鉢物の容器を挿入する鉢穴を形成するための鉢穴形成部が設けられ、前記鉢穴形成部の周縁には、縁折片が放射状の切込を介し周方向に配置されるとともに、前側部分から保持片が延出され、前記保持片の基部には、先端側へ順次間隔をあけて複数本の山折線が入れられ、
前記後壁と前記底敷板の境界部分には、切目の間に受止部が設けられ、前記受止部の両端に山折線が、中間部に谷折線がそれぞれ入れられており、
前記後壁から前記底敷板が前記底壁の上面に重なるように折り曲げられて、前記受止部が前記保持台の内側へ突出し、前記鉢穴に挿入される鉢物の容器のサイズに応じて、前記保持片が基部の山折線のうちのいずれかを軸に下方へ折り曲げられる鉢物出荷用の包装材を提供することとしたのである。
【0012】
また、この鉢物出荷用の包装材において、前記底壁の上面に重なる前記底敷板には、左右方向に延びる切溝が設けられており、
前記天壁から下方へ折り曲げられた前記保持片の先端部が前記切溝に係合して、前記保持片の揺動が阻止されるものとしたのである。
【0013】
また、前記保持台には、前記底壁の後端に後立板が連設され、前記後立板の両側に側立板が連設されており、
前記後立板が前記底壁から上方へ、前記側立板が前記後立板から前方へ順次折り曲げられて、前記側立板と前記側壁とが係止され、前記後立板及び前記側立板が前記保持台の後部及び両側部上方を囲むように起立した状態に保持されるものとしたのである。
【0014】
そして、上記のような包装材の鉢穴形成部に挿入される鉢物の容器としての紙製鉢体であって、古紙を溶解させて型により成形したパルプモウルド製の内鉢と、段ボール製のスペーサー及びカバーとからなり、
前記内鉢が角筒状に巻かれた前記スペーサーで包囲され、前記内鉢の上縁部のリブが前記スペーサーの上端に嵌合して、前記内鉢が吊下状態で支持されるとともに、前記スペーサーが下窄まりの角錐状に巻かれた前記カバーで包囲され、前記スペーサーと前記カバーとが係止されて一体化されるものを提供することとしたのである。
【発明の効果】
【0015】
この発明に係る鉢物出荷用の包装材では、天壁の鉢穴に挿入される鉢物が安定性に乏しいものである場合でも、鉢穴形成部の前側部分から延出された保持片と、後壁の下部から内側へ突出した受止部とで、鉢物の容器の前後方向への移動が抑制されるので、不安定な鉢物の輸送時における転倒が防止される。
【0016】
また、この包装材の鉢穴に挿入する鉢物の容器として、パルプモウルド製の内鉢と、段ボール製のスペーサー及びカバーとからなる紙製鉢体を使用すると、内鉢を適宜変形させて花の高さを調整でき、包装作業を容易に行うことができる。
【0017】
このため、作業負荷を軽減しつつ、胡蝶蘭等の鉢物を見映えのよい3本立てや5本立てとして、出荷することができる。
【0018】
さらに、このような鉢体は、全ての部材が紙製であるので、分別を行うことなく、可燃ごみ或いはリサイクルされる廃品として、容易に廃棄処分することができ、鉢物を受け取った者の作業負荷も軽減される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】この発明の実施形態に係る鉢物出荷用の包装材の使用状態を示す斜視図
図2】同上の包装材のブランクを示す図
図3】同上のブランクの要部拡大図
図4】同上の折畳状態を示す斜視図
図5】同上の組立過程を示す斜視図
図6】同上の紙製鉢体の組立状態を示す斜視図
図7】同上のスペーサーとカバーのブランクを示す図
図8】同上の内鉢、スペーサー及びカバーの組立過程を示す斜視図
図9】同上の包装材による細型鉢包装時の(9A)平面図、(9B)鉢穴の幅方向中央部での縦断側面図
図10】同上の包装材による中型鉢包装時の(10A)平面図、(10B)鉢穴の幅方向中央部での縦断側面図
図11】同上の包装材による紙製鉢体包装時の(11A)平面図、(11B)鉢穴の幅方向中央部での縦断側面図
図12】特許文献1に記載の包装材による鉢物の包装を示す斜視図
図13】特許文献2に記載の鉢体を示す縦断面図
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、この発明の実施形態を添付図面に基づいて説明する。
【0021】
<鉢物包装の概要>
図1に示すように、この包装材は、直方体状の保持台1の後部及び両側部の上方を囲むように後立板11及び側立板12が起立した形状とされ、紙製鉢体20に胡蝶蘭を3本立てとした鉢物のほか、サイズの異なる鉢を用いた鉢物の出荷に兼用できるものである。
【0022】
<包装材について>
(ブランク)
段ボールを材料とする包装材のブランクでは、図2に示すように、保持台1を構成する部分として、天壁2の一側に一方の側壁3、底壁4及び他方の側壁3が順次連設され、他方の側壁3の外側に継代片3aが連設され、天壁2の前端に外前板5aが、一対の側壁3の前端に内前板5bが、底壁4の前端に中前板5cがそれぞれ連設され、天壁2の後端に後壁6及び底敷板7が順次連設されている。このうち、外前板5a、内前板5b、中前板5cは、前壁5の構成要素となっている。これらの各部分の境界線は、段ボールを裏面から押圧した罫線である山折線とされている。
【0023】
天壁2の外側部は、継代片3aが貼り付けられる糊貼部2aとされており、図2において、糊貼部2aと継代片3aには、網掛けを施している。なお、糊貼りではなく、天壁2の外側部と継代片3aとの係合により組み立てる構成としてもよい。
【0024】
一対の側壁3には、組立状態での上端となる位置に、積載時の保護用の突片3bが形成されており、後部寄りに、根元が括れた押込片3cと先広がりの押込片3dとが切込により設けられている。押込片3cは、押し込みに伴い強力なロック機能を有する変形スリット状の穴を形成するものとなっている。
【0025】
前壁5を構成する部分において、外前板5aと中前板5cには、組立状態での下端中央部となる位置に、先広がりの押込片5dが切込により設けられ、一対の内前板5bには、先端側の角部に押込片5dに対応して切欠部5eが設けられている。外前板5aには、組立状態での上端両角部となる位置に、積載時の保護用の突片5fが設けられている。
【0026】
底敷板7には、後壁6との境界から離れて、左右方向に延びる切溝7aが設けられ、切溝7aは、中間部が底敷板7の先端側へ接近する方向へ湾曲している。切溝7aの後壁6側の端縁には、2個の半円状の凹所が形成され、切溝7aの後壁6側の端縁のうち、凹所の間の部分は係合縁7a1とされ、凹所の部分は係合縁7a2とされている。
【0027】
そして、図3に示すように、天壁2には、鉢穴10を開口させるための鉢穴形成部8が後壁6に寄せて設けられ、鉢穴形成部8の輪郭は、前後方向に少し長い円形状となっている。鉢穴形成部8の周縁には、根元にヒンジ線を有する縁折片8aが放射状の切込を介し周方向に配置されるとともに、前側部分から一対の保持片8bが延出されている。
【0028】
保持片8bの基部には、先端側から順次間隔をあけて3本の山折線8b1,8b2,8b3が入れられ、山折線8b2,8b3は、鉢穴形成部8の輪郭と同様に弧状に湾曲し、保持片8bに近接する縁折片8aにも、切目を有する湾曲した山折線が入れられている。
【0029】
後壁6と底敷板7の境界部分には、稜線に交差した2本の切目の間に受止部9が設けられている。受止部9の両端には山折線9aが、中間部には谷折線9bがそれぞれ入れられており、谷折線9bは、切目を有するものとされている。
【0030】
また、図2に示すように、上述の保持台1を構成する部分に付加されて、底壁4の後端には、上述の後立板11が連設され、後立板11の両側には、上述の一対の側立板12がそれぞれ連設されている。後立板11には、底壁4との境界に臨む部分の中央部に、根元が括れた押込片11aが切込により設けられ、一対の側立板12には、側壁3の押込片3c,3dにそれぞれ対応するように、根元が括れた先細りの押込片12aと先広がりの押込片12bとが切込により設けられている。
【0031】
(折り畳み)
上記のような包装材のブランクを、図4に示す折畳状態としておくには、保持台1の部分において、継代片3aを有する側壁3とこれに隣接する底壁4との境界に沿って折り重ねるとともに、天壁2とこれに隣接する側壁3との境界に沿って折り重ね、天壁2の裏面の糊貼部2aと継代片3aとを貼り合わせる。
【0032】
また、後壁6の裏面側へ底敷板7を折り重ねる。このとき、受止部9は、山折線9a及び谷折線9bを軸として裏面側へ折れ曲がり、後壁6と底敷板7の間に挟まれる。このように折り畳んでおくと、嵩張らない状態で保管しておくことができる。
【0033】
(組み立て)
次に、使用時に組み立てる際には、図5に示すように、天壁2、一対の側壁3及び底壁4が四角筒状をなすように立体化し、内前板5b、中前板5c及び外前板5aを順次折り重ね、外前板5aと中前板5cの押込片5dを重ね合わせ、切欠部5eを介し押し込んで前壁5を形成し、天壁2から後壁6を垂下させ、底敷板7を底壁4の上面に重ねると、保持台1が直方体状に形成され、受止部9が保持台1の内側へ突出する。
【0034】
そして、図1に示すように、後立板11を底壁4から上方へ折り曲げ、一対の側立板12を後立板11から前方へ折り曲げて、押込片12aを予め押し込んだ押込片3cの抜出穴に差し込むとともに、押込片12bと押込片3dとを重ね合わせて押し込むと、側立板12と側壁3とが係止される。押込片11aは、受止部9の窪みに押し込んでおく。
【0035】
これにより、後立板11及び側立板12が保持台1の後部及び両側部上方を囲むように起立した状態に保持され、外装となる包装材の組み立てが完了する。
【0036】
<紙製鉢体について>
(鉢体の構成)
図6に示すように、紙製鉢体20は、古紙を溶解させて型により成形したパルプモウルド製の内鉢21と、段ボール製のスペーサー22及びカバー23から構成される。
【0037】
(内鉢)
内鉢21は、胡蝶蘭の株を植えた3個の軟質ポットをバランスよく配置するため、下窄まりの3個の収納部21aが三角形状に連結され、その上縁部に外側へ張り出して下方へ曲がったリブ21bが設けられた形状となっている。
【0038】
(スペーサーのブランク)
図7に示すように、スペーサー22のブランクは、横方向に長い帯状とされ、幅が広い3つの胴板部22aと、その間に挟まれた幅が狭い2つの胴板部22bと、両端に位置する幅が狭い胴板部22cとが連なり、それらの境界には山折線が入れられている。
【0039】
一方の胴板部22cには、根元の括れた上下2個の押込片22d1が切込により設けられ、他方の胴板部22cには、上下2個の押込穴22d2が設けられている。3つの胴板部22aの上端中央部には、それぞれ凹所22eが設けられ、両側の2つの胴板部22aの中央よりやや下部には、比較的大きな押込穴22fがそれぞれ設けられている。
【0040】
(カバーのブランク)
図7に示すように、カバー23のブランクは、下方が窄まった扇状とされ、幅が狭い5つの胴板部23aと、その両側に位置する幅が広い胴板部23bと、両端に位置する幅が狭い胴板部23cとが連なり、それらの境界には山折線が入れられている。胴板部23a及び胴板部23bの上端には、それぞれ重合板23dが2本の山折線を介して連設され、隣り合う重合板23dは、一方の胴板部23cから延びるものを除き、先端側で僅かに繋がり、その他の部分がスロット状の抜穴を介して切り離されている。
【0041】
一端の胴板部23cの外側縁の下部には、根元の括れた差込片23e1が切込により設けられ、他端の胴板部23cと胴板部23bの境界部には、スリット状の差込穴23eが設けられている。また、一端の胴板部23cの上部には、根元が括れた押込片23f1が切込により設けられ、他端の胴板部23cの上部には、押込穴23f2が設けられている。両側の胴板部23bの下部には、根元が括れた比較的大きな押込片23gがそれぞれ切込により設けられている。
【0042】
(組み立て)
図8に示すように、スペーサー22を組み立てるには、胴板部22a,22b,22cを角筒状に折り曲げ、両端の胴板部22c同士を重ね合わせ、押込片22d1を押込穴22d2に押し込む。これにより、スペーサー22は組立状態に保形される。
【0043】
そして、内鉢21をスペーサー22に上方から挿入して、内鉢21がスペーサー22で包囲されるようにすると、内鉢21の上縁部のリブ21bがスペーサー22の上端に嵌合し、リブ21bのV字状の窪みが凹所22eで回避され、内鉢21がスペーサー22により吊下状態で支持される。
【0044】
同様に、カバー23を組み立てるには、胴板部23a,23b,23cを底面が開口した下窄まりの八角錐状に折り曲げ、それらの上部内面に重ねるように重合板23dを内側へ折り曲げて、カバー23の上部を補強し、スペーサー22の外周にカバー23を巻き付け、スペーサー22がカバー23で包囲されるようにする。
【0045】
その後、両端の胴板部23c同士を重ね合わせ、差込片23e1を差込穴23eに差し込み、押込片23f1を押込穴23f2に押し込むことにより、カバー23を組立状態で保形する。さらに、押込片23gを押込穴22fに押し込むと、スペーサー22とカバー23とが係止されて一体化され、紙製鉢体20の組み立てが完了する。紙製鉢体20は、前後方向の寸法が左右方向の寸法よりも少し長くなっている。
【0046】
<鉢物の容器の挿入時の状態>
(細型鉢挿入時)
図9に示すように、陶器の細型鉢Psを上記包装材により包装する際には、鉢穴形成部8の保持片8bを基部の山折線8b1を軸に下方へ折り曲げ、細型鉢Psを開口した鉢穴10に上方から挿入する。このとき、縁折片8aは折れ曲がらず、保持片8bの先端部が底敷板7の切溝7aの係合縁7a1に係合して、保持片8bの揺動が防止される。
【0047】
このため、鉢穴10に挿入した細型鉢Psの前後方向への移動が前方の保持片8bと後方の受止部9とで抑制され、輸送時における細型鉢Psの転倒が防止される。
【0048】
(中型鉢挿入時)
図10に示すように、陶器の中型鉢Pmを上記包装材により包装する際には、鉢穴形成部8の保持片8bを基部の山折線8b2を軸に下方へ折り曲げ、中型鉢Pmを開口した鉢穴10に上方から挿入する。このとき、縁折片8aも折れ曲がり、保持片8bの先端部が底敷板7の切溝7aの凹所の係合縁7a2に係合して、保持片8bの揺動が防止される。
【0049】
このため、鉢穴10に挿入した中型鉢Pmの前後方向への移動が前方の保持片8bと後方の受止部9とで抑制され、輸送時における中型鉢Pmの転倒が防止される。
【0050】
(紙製鉢体挿入時)
図11に示すように、紙製鉢体20を上記包装材により包装する際には、鉢穴形成部8の保持片8bを基部の山折線8b3を軸に折り返すように下方へ大きく折り曲げ、紙製鉢体20を開口した鉢穴10に上方から挿入する。このとき、縁折片8aも根元から折れ曲がり、保持片8bの先端部が切溝7aに係合することなく底敷板7の上面から離脱して、折曲部の反発により底敷板7の端縁に当接する。
【0051】
このため、鉢穴10に挿入した紙製鉢体20に対して、保持片8bと受止部9による前後方向の移動抑制作用は働かないが、紙製鉢体20は、前後方向の寸法が大きく、重量が軽いため、鉢穴10の開口部縁の破損が防止され、保持片8bと受止部9とで固定しなくても、輸送時に転倒する危険性が殆どない。
【0052】
<紙製鉢体による花卉包装の効果>
上記のように、この包装材の鉢穴10に挿入する鉢物の容器として、パルプモウルド製の内鉢21と、それぞれ段ボール製のスペーサー22及びカバー23とからなる紙製鉢体20を使用すると、内鉢21の収納部21aを適宜変形させて花の高さを調整でき、図1に示すような鉢物の包装作業を容易に行うことができる。
【0053】
このため、作業負荷を軽減しつつ、胡蝶蘭等の鉢物を見映えのよい3本立てや5本立てとして、出荷することができる。
【0054】
さらに、このような紙製鉢体20は、全ての部材が紙製であるので、分別を行うことなく、可燃ごみ或いはリサイクルされる廃品として、容易に廃棄処分することができ、鉢物を受け取った者の作業負荷も軽減される。
【0055】
<その他>
なお、この実施形態では、外装の包装材として、保持台1の後部及び両側部の上方を囲む後立板11及び側立板12を備えたものを例示しており、鉢物の花卉を和紙等を被せて保護するものとしているが、包装材は、後立板11や側立板12のない保持台1のみからなるものとし、保持台1により鉢物を保持した状態で、大きな段ボール製の外箱に収納する包装形態を採用してもよい。
【符号の説明】
【0056】
1 保持台
2 天壁
2a 糊貼部
3 側壁
3a 継代片
3b 突片
3c,3d 押込片
4 底壁
5 前壁
5a 外前板
5b 内前板
5c 中前板
5d 押込片
5e 切欠部
5f 突片
6 後壁
7 底敷板
7a 切溝
7a1,7a2 係合縁
8 鉢穴形成部
8a 縁折片
8b 保持片
8b1,8b2,8b3 山折線
9 受止部
9a 山折線
9b 谷折線
10 鉢穴
11 後立板
11a 押込片
12 側立板
12a,12b 押込片
20 紙製鉢体
21 内鉢
21a 収納部
21b リブ
22 スペーサー
22a,22b,22c 胴板部
22d1 押込片
22d2 押込穴
22e 凹所
22f 押込穴
23 カバー
23a,23b,23c 胴板部
23d 重合板
23e1 差込片
23e 差込穴
23f1 押込片
23f2 押込穴
23g 押込片
Pm 中型鉢
Ps 細型鉢
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13