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特許7562104メリッサ・オフィシナリス(Melissa officinalis)葉抽出物の画分を含む医薬組成物
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  • 特許-メリッサ・オフィシナリス(Melissa  officinalis)葉抽出物の画分を含む医薬組成物 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-27
(45)【発行日】2024-10-07
(54)【発明の名称】メリッサ・オフィシナリス(Melissa officinalis)葉抽出物の画分を含む医薬組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 36/53 20060101AFI20240930BHJP
   A61P 27/16 20060101ALI20240930BHJP
   A61K 127/00 20060101ALN20240930BHJP
【FI】
A61K36/53
A61P27/16
A61K127:00
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2021551874
(86)(22)【出願日】2020-05-21
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-25
(86)【国際出願番号】 KR2020006669
(87)【国際公開番号】W WO2020235952
(87)【国際公開日】2020-11-26
【審査請求日】2023-04-20
(31)【優先権主張番号】10-2019-0060305
(32)【優先日】2019-05-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】521389169
【氏名又は名称】アンジオラボ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】ANGIOLAB,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】110001508
【氏名又は名称】弁理士法人 津国
(72)【発明者】
【氏名】キム,ミン-ヨン
(72)【発明者】
【氏名】パク・ビュンヨン
(72)【発明者】
【氏名】イ,ヒソク
(72)【発明者】
【氏名】ユ,ヒョンス
(72)【発明者】
【氏名】キム,ジョンウン
(72)【発明者】
【氏名】キム,ヒョンジュン
【審査官】池上 文緒
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2013/0243889(US,A1)
【文献】特表2010-536847(JP,A)
【文献】特表2004-520294(JP,A)
【文献】Int. J. Pediatr. Otorhinolaryngol.,2006年,vol.70, issue 7,p.1155-1158
【文献】Clin. Otolaryngol.,2001年,vol.26, issue 6,p.491-494
【文献】J. Laryngol. Otol.,2005年,vol.119, issue 6,p.436-442
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 36/53
A61P 27/16
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
メリッサ・オフィシナリス(Melissa officinalis)葉抽出物の画分を含む、滲出性中耳炎を予防又は処置するための医薬組成物であって、
前記抽出物の画分が、メリッサ・オフィシナリス葉を50~100% エタノールで抽出し、濃縮し、酢酸エチルで分画し、そして乾燥させることにより得られる、医薬組成物
【請求項2】
滲出性中耳炎を予防又は処置するための医薬の製造における、請求項に記載のメリッサ・オフィシナリス葉抽出物の画分を含む医薬組成物の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メリッサ・オフィシナリス(Melissa officinalis)葉抽出物の画分を含む医薬組成物に関する。更に具体的には、本発明は、有効成分として本発明のメリッサ・オフィシナリス葉抽出物の画分を含む、滲出性中耳炎を予防又は処置するための医薬組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
メリッサ・オフィシナリスは、シソ科(Labiatae)に属する多年生草本であり、レモンバーム(Lemon Balm)という異名でも呼ばれる。
【0003】
メリッサ・オフィシナリス葉抽出物は、フラボノイド、トリテルペン酸、揮発性油、アルコールの配糖体、フェノール化合物など、更にはコーヒー酸誘導体を含有する。特に、メリッサ・オフィシナリス葉に含まれるフラボノイドは、シナロシド、コスモシン、ラムノシトリン、イソクエルシトリンなど、及びトリテルペン酸としてのウルソール酸である。メリッサ・オフィシナリス葉抽出物は、最近注目を集めている不揮発性成分の1つであるロスマリン酸などのヒドロキシケイ皮酸誘導体を含有しており、また揮発性油としてゲラニオール、ネラール、シトロネラール及びオイゲノールも含有している。
【0004】
鼓室で発生する炎症は、中耳炎と呼ばれる。中耳炎は、急性中耳炎と滲出性中耳炎に大別され、そのうち約40~50%が滲出性中耳炎である。
【0005】
滲出性中耳炎は、幼児及び高齢者に頻発する。中耳と鼻咽頭をつなぐ耳管機能が低下すると、鼓膜内外の圧力制御が悪くなり、よって中耳が陰圧になり、粘膜から液体が染み出して滞留する。そのため、難聴、耳閉感などの症状が現れる。患者の背景に急性上気道炎、慢性副鼻腔炎、アレルギー性鼻炎、アデノイド肥大などが見られる場合は、鼻や喉の炎症が、常に耳管を介して中耳に影響を与えるため、慢性化及び難治化しやすい。滲出性中耳炎が難治化すると、難聴などの後遺症を引き起こし、手術が必要になる場合がある。よって、早期治療が重要であると考えられている。幼児の場合には、鼓膜切開術、中耳腔換気チューブの留置術などの外科的処置を頻繁に行うことは困難である。よって、外科的処置を最小限にするための医薬の必要性がある。
【0006】
一般に、滲出性中耳炎に使用される治療薬は、主に去痰薬(例えば、カルボシステインなど)、マクロライド系抗生物質(例えば、エリスロマイシンエチルコハク酸エステル、クラリスロマイシンなど)などを包含するが、満足のいく効果を達成できていない。よって、効力の高い経口剤を開発することが急務である。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【文献】Human Reproduction Vol.18, No.12 pp. 2668-2671, 2003
【発明の開示】
【0008】
技術的課題
本発明の目的は、メリッサ・オフィシナリス葉抽出物の画分を含む、滲出性中耳炎を予防又は処置するための医薬組成物を提供することである。
【0009】
本発明の別の目的は、治療有効量のメリッサ・オフィシナリス葉抽出物の画分をそれを必要とする対象に投与することによって、滲出性中耳炎を予防又は処置するための方法を提供することである。
【0010】
本発明の更に別の目的は、滲出性中耳炎を予防又は処置するための医薬の製造における、メリッサ・オフィシナリス葉抽出物の画分を含む医薬組成物の使用を提供することである。
【0011】
課題の解決法
本発明者らは、滲出性中耳炎の予防又は処置に関する研究の必要性を認識し、この疾患を予防又は処置することができる天然物質に関する研究の目標を達成した。
【0012】
具体的には、本発明者らは、有効成分としてメリッサ・オフィシナリス葉抽出物の画分を含有する場合が、滲出性中耳炎の予防及び処置に有効であることを見い出し、それにより本発明を完成させた。
【0013】
本発明は、メリッサ・オフィシナリス葉抽出物の画分を含む、滲出性中耳炎を予防又は処置するための医薬組成物を提供する。
【0014】
有効成分として本発明のメリッサ・オフィシナリス葉抽出物の画分を含む医薬組成物は、中耳滲出液(MEE)が改善され、MEEが再吸収されることで観察されなくなり、中耳粘膜の厚さが著しく減少し、そしてIL-23及びTNF-α遺伝子の発現を調べると、IL-23及びTNF-α遺伝子が有意に減少するといったように、滲出性中耳炎を予防又は処置し得ることが確認されている。
【0015】
以下に、本発明は更に詳細に説明される。
本発明の滲出性中耳炎を予防又は処置するための医薬組成物は、有効成分としてメリッサ・オフィシナリス葉抽出物の画分を含有するが、これは、メリッサ・オフィシナリス葉を50~100% アルコール(v/v)で抽出し、濃縮し、酢酸エチルで分画し、次に乾燥させることによりメリッサ・オフィシナリス葉抽出物の画分を与えることで得られる。
【0016】
具体的には、メリッサ・オフィシナリスの葉抽出物の画分は、メリッサ・オフィシナリス葉を50~100% アルコール(v/v)で抽出して乾燥させ、そしてアルコール抽出物を水に懸濁し、酢酸エチルで分画し、次に乾燥させ、そして酢酸エチル画分を水に再懸濁して乾燥させるといった方法で得られる。
【0017】
本明細書において、「医薬組成物」という用語は、化学的又は生物学的化合物又は物質、あるいは少なくとも2つの化合物又は物質の混合物又は組合せとして定義され、これらは、疾患又は病気を医学的に診断し、対処し、処置又は予防するのに使用されることを目的としている。
【0018】
本発明のメリッサ・オフィシナリス葉抽出物の画分を調製する場合、乾燥メリッサ・オフィシナリス葉、非乾燥メリッサ・オフィシナリス葉又はそれらの混合物を使用することができる。効果的な抽出のために、メリッサ・オフィシナリス葉は、細かく刻まれた後に使用してもよい。
【0019】
本明細書において、「アルコール」という用語は、ヒドロキシル基がアルキル又は置換アルキル基の炭素原子に結合している化合物を意味し、「アルキル」という用語は、直鎖飽和炭化水素基又は分岐飽和炭化水素基を意味し、そして「置換アルキル基」という用語は、アルキル基の炭素に結合した置換基が、ヒドロキシ、シアノ、ハロなどで置換されているものを意味する。
【0020】
本明細書において、「抽出物」という用語は、抽出液自体、及び抽出液を使用することによって形成され得る抽出物の全ての投与剤形(例えば、メリッサ・オフィシナリス葉に抽出を実施することによって得られる抽出液、抽出液の希釈物又は濃縮物、抽出液を乾燥させて得られる乾燥物、抽出液の粗精製物又は精製物、それらの混合物など)を包含する。
【0021】
本明細書において、「画分」という用語は、多くの異なる成分を含む混合物から特定の成分又は特定の成分群を分離するために分画を実施することによって得られる生成物を意味する。
【0022】
本発明において、抽出物の画分を得る分画方法は、特に限定されるものではなく、当技術分野で従来から使用されている方法により実施することができる。具体的には、各種溶媒を処理して行われる溶媒分画法、一定の分子量カットオフ値を有する限外濾過膜を通過させて行う限外濾過を用いる分画法、各種クロマトグラフィータイプで行われるクロマトグラフィー分画法(サイズ、電荷、疎水性又は親和性による分離用に製造)、それらの組合せなどがある。具体的には、本発明のメリッサ・オフィシナリス葉に抽出を行い、その後、得られた抽出物を所定の溶媒で処理して、抽出物から画分を得る方法であってよい。
【0023】
本発明において、画分を得るために使用される分画溶媒の種類は具体的には限定されず、当技術分野で一般に知られている任意の溶媒を使用することができる。具体的には、非極性溶媒である酢酸エチルであってよい。
【0024】
本明細書において、「有効成分」という用語は、固有の薬理作用により、直接又は間接的にその組成物の効能及び効果を示すことが期待される物質又は物質群(薬理活性成分等がまだ特定されていない薬草等を含む)のような主成分を包含することを意味する。
【0025】
メリッサ・オフィシナリス葉のアルコール抽出物を調製するために、抽出は、メリッサ・オフィシナリス葉の5~15倍量(v/w)で50~100% アルコール(v/v)、好ましくは70~80% アルコール(v/v)を使用することによって、従来の抽出方法により実施され得る。
【0026】
アルコールとは、エタノール、メタノールなどを含むC1~C6アルコールのことをいい、好ましくはエタノール又はメタノールであってよい。
【0027】
本明細書において、「C1~C6」という用語は、1個以上かつ6個以下の炭素原子を有する官能基又は主鎖を意味する。
【0028】
本発明の1つの実施態様において、メリッサ・オフィシナリス葉抽出物の画分は、メリッサ・オフィシナリス葉の75%エタノール抽出物を水に懸濁し、次に酢酸エチルで分画し、そして乾燥させることによって調製された。
【0029】
メリッサ・オフィシナリス葉抽出物の画分は、メリッサ・オフィシナリス葉のエタノール抽出物の酢酸エチル画分であってよい。
【0030】
この方法は、50~100% アルコール(v/v)を用いることにより、水溶性物質と水不溶性物質を効果的に抽出し、そして水への溶解度は低いが酢酸エチルへの溶解度は高い水不溶性物質を抽出する効果を有する。
【0031】
酢酸エチルは、収率、残留溶媒の毒性、マーカー化合物の相対含有量などを考慮して、メリッサ・オフィシナリス葉の二次抽出溶媒として選択される。
【0032】
メリッサ・オフィシナリス葉抽出物の画分の大量生産には、メリッサ・オフィシナリス葉の50~100% アルコール抽出物を水に懸濁し、次に酢酸エチルで分画し、そして次に凍結乾燥又は熱風乾燥する方法によって、メリッサ・オフィシナリス葉抽出物の画分を大量に調製することができる。
【0033】
メリッサ・オフィシナリス葉抽出物の画分は、メリッサ・オフィシナリス葉抽出物の画分を含む組成物の総重量に対して20重量%~80重量%の含有量を有する。
【0034】
本発明の医薬組成物は、有効成分としてメリッサ・オフィシナリス葉抽出物の画分を含有してよく、更に薬学的に許容し得る担体を含み、そして従来法により散剤、顆粒剤、錠剤、カプセル剤、懸濁剤、乳剤、シロップ剤、エアゾール剤などの経口剤形、更には外用調剤の剤形及び注射用無菌液剤に製剤化されてもよい。
【0035】
本明細書において、「薬学的に許容し得る」という用語は、生理学的に許容し得、ヒトに投与された場合に、胃腸障害、めまいなどのアレルギー反応、又はそれに類似する他の反応を通常引き起こさない組成物のことをいう。
【0036】
本明細書において、「薬学的に許容し得る担体」という用語は、典型的には、医薬組成物の液体又は非液体基剤を包含する。医薬組成物が液体剤形で提供される場合、担体は、典型的にはパイロジェンフリー水、等張生理食塩水又は緩衝液(水溶液)、例えば、リン酸塩、クエン酸塩などであろう。注射緩衝液は、特定の参照媒体に対して高張、等張又は低張であってよい。言い換えれば、緩衝液は、特定の参照媒体に対して高いか、同一であるか又は低い塩含有量を有していてよい。好ましくは、浸透又は他の濃度効果による細胞の損傷をもたらさない上記の塩の濃度を使用することが可能である。参照媒体は、例えば、血液、リンパ液、サイトゾル液又は他の体液などの「インビボ」法で存在する液体であるか、あるいは例えば、普通の緩衝液又は液体などの「インビトロ」法で参照媒体として使用され得る液体である。このような普通の緩衝液又は液体は、当業者には公知である。
【0037】
薬学的に許容し得る担体は、当技術分野で従来から使用されている担体、例えば、乳糖、デキストロース、ショ糖、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、エリスリトール、マルチトール、デンプン、アカシアゴム、アルギン酸塩、ゼラチン、リン酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、セルロース、メチルセルロース、微結晶性セルロース、ポリビニルピロリドン、水、ヒドロキシ安息香酸メチル、ヒドロキシ安息香酸プロピル、タルク、ステアリン酸マグネシウム、鉱油などを包含し得るが、これらに限定されない。
【0038】
また、本発明の医薬組成物は、充填剤、増量剤、結合剤、保湿剤、崩壊剤、界面活性剤などの希釈剤又は賦形剤、あるいは他の薬学的に許容し得る添加剤を含有してもよい。
【0039】
本発明の医薬組成物は、液剤、懸濁剤、散剤、顆粒剤、錠剤、カプセル剤、丸剤又はエキス剤の剤形に調製してもよい。
【0040】
本発明の組成物は、経口投与又は非経口投与(例えば、静脈内、皮下又は腹腔内に適用又は注射)されてよい。
【0041】
本明細書において、「経口投与」という用語は、症状を改善するための物質が口から摂取される投与経路である。本明細書において、「非経口投与」という用語は、口を介する投与を除いて、物質が、皮下投与、筋肉内投与、静脈内投与、及びチューブを介して腹腔内投与される投与経路を意味する。
【0042】
経口投与用の固体製剤は、散剤、顆粒剤、錠剤、カプセル剤、ソフトカプセル剤、丸剤などを包含してもよい。経口投与用の液体製剤は、懸濁剤、内服用液剤、乳剤、シロップ剤、エアゾール剤などを包含してもよいが、また普通に使用される単純な希釈剤である水及び流動パラフィンの他に、種々の賦形剤、例えば、保湿剤、甘味剤、香味剤、保存料などを包含してもよい。
【0043】
非経口投与用の製剤は、それぞれの従来法により、滅菌水性液剤、液剤、非水性溶媒、懸濁剤、乳剤、点眼剤、眼軟膏剤、シロップ剤、坐剤、エアゾール剤などのような、外用製剤及び無菌注射用製剤の剤形に製剤化して使用されてもよく、そして好ましくは、クリーム剤、ゲル剤、貼付剤、スプレー剤、軟膏剤、硬膏剤、ローション剤、リニメント剤、眼軟膏剤、点眼剤、プラスター剤又はパップ剤の医薬組成物を調製することによって使用されてもよいが、これらに限定されない。局所投与用の組成物は、臨床処方に応じて、無水又は水性の剤形であってよい。非水性溶媒及び懸濁剤として、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、オリーブ油などの植物油、オレイン酸エチルなどの注射可能なエステルなどを使用することができる。坐剤の基剤として、ウイテプゾール、マクロゴール、トゥイーン61、カカオ脂、ラウリン脂(laurinum)、グリセロゼラチン(glycerogelatin)などを使用することができる。
【0044】
本発明の薬学的に許容し得る添加剤は、組成物に対して0.1~99.9重量部の量、具体的には0.1~50重量部の量で含有されてよいが、これに限定されない。
【0045】
本発明の組成物の好ましい投与量は、活性成分のインビボ吸収度、患者の年齢、性別及び肥満の程度に応じて変化し得るが、当技術分野の当業者によって適切に選択され得る。しかしながら、経口投与の場合には好ましい効果のために、本発明の組成物は、一般に1日あたり0.0001~40mg/kg、好ましくは1日あたり0.001~30mg/kgの用量で成人に投与することができる。
【0046】
投与は、1日1回、又は製剤を分割することにより1日数回で実施されてよい。上記の投与量は、いかなる態様においても本発明の範囲を限定するものではない。
【0047】
メリッサ・オフィシナリス葉抽出物の画分を含む滲出性中耳炎を予防又は処置するための医薬組成物
本発明は、メリッサ・オフィシナリス葉抽出物の画分を含む、滲出性中耳炎を予防又は処置するための医薬組成物を提供する。
【0048】
本発明において、「滲出性中耳炎(OME)」という用語は、耳痛、発熱などの何の症状も伴わずに、耳の鼓膜内の空間である中耳が滲出液と呼ばれる液体で満たされる疾患を意味する。
【0049】
有効成分として本発明のメリッサ・オフィシナリス葉抽出物の画分を含む、滲出性中耳炎を予防又は処置するための医薬組成物は、中耳滲出液(MEE)が改善され、滲出液が再吸収されることで観察されなくなり、中耳粘膜の厚さが著しく減少し、IL-23及びTNF-α遺伝子の発現を調べると、IL-23及びTNF-α遺伝子が有意に減少するといったように、滲出性中耳炎を予防又は処置する効果を有する。
【0050】
有効成分として本発明のメリッサ・オフィシナリス葉抽出物の画分を含む、滲出性中耳炎を予防又は処置するための医薬組成物は、従来のやり方で、経口、直腸内、静脈内、動脈内、腹腔内、筋肉内、胸骨内、経皮的、局所的、眼内に又は皮内経路を介して投与することができ、そして具体的には経口投与することができる。
【0051】
有効成分として本発明のメリッサ・オフィシナリス葉抽出物の画分を含む、滲出性中耳炎を予防又は処置するための医薬組成物は、1日に1回~数回投与される場合、0.001~40mg/kgの用量で投与され得ることが好ましい。
【0052】
メリッサ・オフィシナリスの葉の抽出物の画分は、上記と同じである。
【0053】
予防及び処置の方法
本発明の別の目的は、治療有効量のメリッサ・オフィシナリス葉抽出物の画分をそれを必要とする対象に投与することによって、滲出性中耳炎を予防又は処置するための方法を提供することである。
【0054】
本明細書において、「処置を必要とする対象」という用語は、サル、ウシ、ウマ、イヌ、ネコ、ウサギ、ラット、マウスなどの哺乳動物を意味し、特にヒトを包含する。「投与」という用語は、任意の適切な方法を介して患者に所望の物質を提供することを意味する。
【0055】
本発明の処置方法において、有効成分として本発明のメリッサ・オフィシナリス葉抽出物の画分を含む、滲出性中耳炎を予防又は処置するための医薬組成物は、経口、直腸内、静脈内、動脈内、腹腔内、筋肉内、胸骨内、経皮的、局所的、眼内又は皮内経路を介する普通のやり方で投与することができ、そして具体的には経口投与することができる。
【0056】
本明細書において、「治療有効量」という用語は、研究者、獣医、医師又は他の療法士によって考慮される組織系、動物又はヒトにおいて生物学的又は医学的応答を誘導し、そして処置される疾患又は障害の症状の緩和を誘導する、有効成分又は医薬組成物の量を意味する。本発明の有効成分の治療上有効な投与量及び投与回数は、所望の効果に応じて変化し得ることは当業者には明らかである。よって、投与される最適な投与量は、当業者によって容易に決定され得、そして疾患の種類、疾患の重症度、有効成分の含有量及び組成物に含有される他の成分、投与剤形の種類、患者の年齢、体重、一般的な健康状態、性別及び食事、投与時間、投与経路、組成物の分泌速度、処置期間及び併用薬を包含する種々の要因に応じて調整され得る。本発明の処置方法において、有効成分として本発明のメリッサ・オフィシナリス葉抽出物の画分を含む滲出性中耳炎を予防又は処置するための医薬組成物は、1日に1回~数回投与される場合、0.001~40mg/kgの用量で投与され得ることが成人には好ましい。
【0057】
本明細書において、「予防」という用語は、本発明の医薬組成物を投与することによって、滲出性中耳炎を抑制するか又は遅延させる任意の作用のことをいう。
【0058】
本明細書において、「処置」という用語は、本発明の医薬組成物を投与することによって、滲出性中耳炎を改善するか又は有益に変化させる任意の作用のことをいう。
【0059】
医薬組成物の使用
本発明の目的は、滲出性中耳炎を予防又は処置するための医薬の製造における、メリッサ・オフィシナリス葉抽出物の画分を含む医薬組成物の使用を提供することである。
【0060】
本発明の1つの実施態様において、医薬の製造におけるメリッサ・オフィシナリス葉抽出物の画分を含む医薬組成物は、許容し得る担体などと混合されてもよく、更に他の薬剤を含有してもよい。
【0061】
本発明の医薬組成物、処置方法及び使用に記載されている事項は、互いに矛盾しない限り、等しく適用される。
【0062】
発明の有利な効果
有効成分として本発明のメリッサ・オフィシナリス葉抽出物の画分を含む医薬組成物は、中耳滲出液(MEE)が改善され、MEEが再吸収されることで観察されなくなり、中耳粘膜の厚さが著しく減少し、そしてIL-23及びTNF-α遺伝子の発現を調べると、IL-23及びTNF-α遺伝子が著しく減少するといったように、滲出性中耳炎を予防又は処置し得る。
【図面の簡単な説明】
【0063】
図1図1は、実験群(実施例1のメリッサ・オフィシナリス葉抽出物の画分)及び対照群で処理した場合の、RAW 264.7細胞におけるLPS誘導炎症でのNO産生に対する阻害効果に関する実験の結果を示すグラフである。
図2図2は、実験群(実施例1のメリッサ・オフィシナリス葉抽出物の画分)及び対照群で処理した場合の、RAW 264.7細胞におけるLPS誘導炎症でのIL-6タンパク質発現レベルに対する阻害効果の実験結果を示すグラフである。
図3図3は、本発明の1つの実施態様の、耳管を閉塞することによって誘導された、SD白ラットの実験モデルにおける滲出性中耳炎を示す写真である。
図4図4は、本発明の1つの実施態様の、実験群(実施例1のメリッサ・オフィシナリス葉抽出物の画分)を投与した場合の、耳管を閉塞することによって誘導された、SD白ラットの実験モデルにおける滲出性中耳炎に対する治療効果(グレードI)を示す写真である。
図5図5は、本発明の1つの実施態様の、実験群(実施例1のメリッサ・オフィシナリス葉抽出物の画分)を投与した場合の、耳管を閉塞することによって誘導された、SD白ラットの実験モデルにおける滲出性中耳炎に対する治療効果(グレード0)を示す写真である。
図6図6は、実験群(実施例1のメリッサ・オフィシナリス葉抽出物の画分)及び対照群(0.5% CMC)で処置した後、耳管を閉塞後7日目に摘出された中耳腔の組織病理学的所見の結果を示す写真である。
図7図7は、実験群(実施例1のメリッサ・オフィシナリス葉抽出物の画分)及び対照群(0.5% CMC)で処置した後の中耳粘膜の厚さを評価した結果を示すグラフである。
図8図8は、LPSによってアップレギュレートされたIL-23遺伝子が実験群(実施例1のメリッサ・オフィシナリス葉抽出物の画分)で処理された場合の、IL-23発現レベルの減少を示すグラフである。
図9図9は、LPSによってアップレギュレートされたTNF-α遺伝子が実験群(実施例1のメリッサ・オフィシナリス葉抽出物の画分)で処理された場合の、TNF-α遺伝子発現レベルの減少を示すグラフである。
【0064】
発明の態様
本明細書に使用される用語は、本発明における機能を考慮しながら可能な限り広く現在使用されている一般用語から選択されたが、これは、当業者の意図、先例、新技術の到来などに応じて変更される可能性がある。更に場合によっては、出願人が任意に選択する用語もある。この場合、それらの意味は、対応する発明の説明において詳細に記載されよう。よって、本発明に使用される用語は、単に用語の名称によって定義されるべきではなく、本発明の至るところで提供される用語及び内容の意味に基づいて定義されるべきである。
【0065】
技術用語又は科学用語を含む本明細書に使用される全ての用語は、他に定義されない限り、本発明が関係する技術分野の当業者によって共通に理解されるのと同じ意味を有する。一般的に使用される辞書で定義されているような用語は、従来技術の文脈上の意味と等しい意味を持つと解釈されるべきであり、本出願で明確に定義されない限り、理想的な意味又は過度に形式的な意味を持つと解釈されるべきではない。
【0066】
数値範囲は、上記の範囲で定義された数値を包含する。本明細書の至るところで与えられる全ての最大数値限界は、それより小さい数値限界が明確に書かれているかのように、全てのそれより小さい数値限界を包含する。本明細書の至るところで与えられる全ての最小数値限界は、それより大きい数値限界が明確に書かれているかのように、全てのそれより大きい数値限界を包含する。本明細書の至るところで与えられる全ての数値限界は、それより狭い数値限界が明確に書かれているかのように、より広い数値範囲内の全てのそれより狭い数値範囲を包含するであろう。
【0067】
実施例及び調製例は、本発明をよりよく理解するために提供されている。以下の実施例及び調製例は、本発明を説明する目的でのみ提供されており、よって本発明はそれらに限定されない。
【実施例
【0068】
[実施例1]
メリッサ・オフィシナリス葉抽出物の画分の調製
乾燥したメリッサ・オフィシナリス葉200kgを、75% エタノール(v/v)を重量で10倍量で使用して4時間還流抽出し、次にカートリッジフィルターで濾過し、次に減圧下で一次濃縮した。得られた濃縮物に等量の酢酸エチルを加え、分画過程を2回繰り返した。次に、酢酸エチル層を集め、減圧下で二次濃縮し、乾燥させ、次に粉砕して、メリッサ・オフィシナリス葉のエタノール抽出物の酢酸エチル画分を得た(収量:8.2kg)。
【0069】
実験例1.NO産生の阻害及びタンパク質発現レベル
(1)実験方法
実施例1のメリッサ・オフィシナリス葉抽出物の画分を、LPSによって刺激されたマウスマクロファージ細胞株であるRAW 264.7細胞におけるNO産生の阻害及びインターロイキン-6(IL-6)のタンパク質発現レベルについて評価した。
LPSによって刺激されたRAW 264.7細胞におけるNO産生の阻害に対する実施例1のメリッサ・オフィシナリス葉抽出物の画分の効果を評価することに関して、RAW 264.7細胞を1×10細胞/mLに調整し、24ウェルプレートに接種し、5% COインキュベーター内で37℃で2時間培養した。その後、細胞を実施例1のメリッサ・オフィシナリス葉抽出物の画分で0、25、50、75及び100μg/mLで処理し、次に1時間たったらLPSにより1μg/mLで刺激し、次に24時間本培養した。得られた上清及びグリース試薬(1% スルファニルアミド+0.1% ナフチレンジアミン二塩酸塩、1:1)を室温で10分間1:1で反応させ、マイクロプレートリーダーを使用して540nmで吸光度を測定した。
LPSによって刺激されたRAW 264.7細胞におけるインターロイキン-6(IL-6)のタンパク質発現レベルに対する実施例1のメリッサ・オフィシナリス葉抽出物の画分の効果を評価することに関して、RAW 264.7の細胞培地に分泌されたインターロイキン-6(IL-6)の量を、ELISAキット(Mouse ELISAセット、R&D Systems Inc.)を用いて測定した。細胞培地を得るために、RAW 264.7細胞を5×10細胞/mLに調整し、24ウェルプレートに接種し、2時間培養し、次に実施例1のメリッサ・オフィシナリス葉抽出物の画分で0、25、50、75、100μg/mLの各濃度で、更にはLPSで1μg/mLで処理した。その後、本培養を24時間実施し、次に遠心分離により上清を得た。酵素免疫測定法(ELISA)には、抗マウスIL-6を捕捉抗体としてマイクロプレートに播種し、室温で一晩コーティングさせ、洗浄緩衝液(#WA126、R&D Systems Inc.)で洗浄し、試薬希釈液(#DY995、R&D Systems Inc.)でブロッキングし、次に洗浄緩衝液で洗浄した。次に、細胞培養上清を各マイクロプレートウェルに播種し、室温で2時間反応させた。反応後、洗浄緩衝液で洗浄を実施し、次いで希釈したビオチン化抗マウスIL-6検出抗体及びストレプトアビジン-西洋ワサビペルオキシダーゼ結合体をここに加え、室温で20分間反応させた。その後、洗浄緩衝液で再度洗浄を実施し、次いで基質溶液(#DY999、R&D Systems Inc.)を加え、室温で20分間暗反応させた。最後に、停止溶液(#DY994、R&D Systems Inc.)で反応を終了させ、次いでマイクロプレートリーダーを使用して450nmで吸光度を測定した。
【0070】
(2)NO産生の阻害に対する効果
NO産生の阻害に対する実施例1のメリッサ・オフィシナリス葉抽出物の画分の効果を、RAW 264.7細胞におけるLPS誘導炎症モデルを使用することによって調べた。
【0071】
【表1】
【0072】
図1に関して、LPSによって誘導されたRAW 264.7細胞では一酸化窒素(NO)の量が増加し、これらの細胞を実施例1のメリッサ・オフィシナリス葉抽出物の画分で処理すると、NO産生が濃度依存的に阻害されることが確認された。実施例1のメリッサ・オフィシナリス葉抽出物の画分は、LPS誘導炎症モデルによってRAW 264.7細胞で増加したNO産生を効果的に阻害した。
【0073】
(3)IL-6タンパク質発現レベルに対する効果
IL-6タンパク質発現レベルに対する実施例1のメリッサ・オフィシナリス葉抽出物の画分の効果を、LPS誘導炎症モデルによってRAW 264.7細胞でのIL-6タンパク質発現レベルの阻害に関する実験により調べた。
【0074】
【表2】
【0075】
図2に関して、RAW 264.7細胞においてLPSによって増加したIL-6タンパク質発現レベルは、実施例1のメリッサ・オフィシナリス葉抽出物の画分で処理すると、濃度依存的に減少することが確認された。実施例1のメリッサ・オフィシナリス葉抽出物の画分は、RAW 264.7細胞におけるLPS誘導炎症によって増加したIL-6タンパク質発現レベルを効果的に減少させた。
【0076】
実験例2.滲出性中耳炎に対する治療効果の確認
(1)実験方法
実験1
インビトロ試験において、炎症性サイトカインであるインターロイキン(IL)-23及び腫瘍壊死因子アルファ(TNF-α)をコードする遺伝子の発現に対する実施例1のメリッサ・オフィシナリス葉抽出物の画分の効果を、リポ多糖(LPS)によってヒト中耳上皮細胞(HMEEC)に炎症が誘導された後に調べた。
【0077】
実験2
オスのスプラグドーリー(SD)白ラットの皮膚を切開後、耳管(ET)の骨の部分に穴を開けてそこに小孔を作り、次に使い捨て1mLシリンジを使用して歯科用セメントを小孔に注入した。
滲出性中耳炎(OME)の発生を確認するために、耳内視鏡を使用して全てのSD白ラットを観察した(図3を参照のこと)。
実施例1のメリッサ・オフィシナリス葉抽出物の画分を0.5% カルボキシメチルセルロース(CMC)に懸濁し、経口投与したが、対照群には0.5% CMCのみを投与した。
耳管(ET)を閉塞した直後に、0.5% CMC(対照群、n=11)及び実施例1のメリッサ・オフィシナリス葉抽出物の画分(実験群、n=11)を100mg/kg/日の用量でSD白ラットに投与した。
滲出性中耳炎に対する治療効果、組織病理学的所見及び中耳粘膜の厚さを評価した。
滲出性中耳炎に対する治療効果は、グレードII(滲出液で完全に満たされた中耳腔、「++」で示される)、グレードI(滲出液で部分的に満たされた中耳腔、「+」で示される)、及びグレード0(滲出液なし、「O」で示される)として定義された。滲出性中耳炎に対する治療効果は、合計3回確認された。耳内視鏡を使用して、最初の確認は耳管閉塞後3日目に行われ、2回目の確認は耳管閉塞後5日目に行われ、そして3回目の確認は耳管閉塞後7日目に行われた。
組織病理学的所見は、耳管閉塞後7日目に中耳腔を摘出し、取り出された中耳組織を観察することによって得られた。
中耳粘膜の厚さは、耳管閉塞後7日目に中耳骨胞を摘出し、10% ホルマリンで固定し、EDTAを使用して脱灰及び脱水し、パラフィンで固定し、次にヘマトキシリン及びエオシン(HE)染色並びにマッソントリクローム染色に付した後に観察された。上皮下層の厚さは、Image Jソフトウェアを使用して、中耳岬角の最も厚い粘膜の周囲の5か所を観察することによって測定された。
【0078】
(2)滲出性中耳炎に対する治療効果
滲出性中耳炎に対する治療効果は、対照群(0.5% CMC)及び実験群(実施例1のメリッサ・オフィシナリス葉抽出物の画分)で測定された。
具体的には、表3に関して、耳管閉塞後3日目(最初の確認)から、対照群及び実験群においてグレードII(++)として滲出性中耳炎が発症した。
実験群(実施例1のメリッサ・オフィシナリス葉抽出物の画分)では、中耳滲出液(MEE)の消失は、耳管閉塞後5日目からグレードII(++)からグレードI(+)へと改善し始め(図4を参照のこと)、合計11匹のSD白ラットのうち10匹で7日以内にグレード0(90.9%)へと改善された(図5を参照のこと)。
しかし対照群(0.5% CMC)では、合計11匹のSD白ラットのうち2匹だけがグレード0へと改善され(18.1%)、11匹中7匹のラットは改善せずに滲出性中耳炎を維持した(63.6%)。
【0079】
【表3】
【0080】
(3)組織病理学的所見
組織病理学的所見は、対照群(0.5% CMC)では炎症細胞を伴い中耳腔に浸出液が存在したが、実験群(実施例1のメリッサ・オフィシナリス葉抽出物の画分)では浸出液が再吸収されることで観察されなかったことを示した。
具体的には、耳管閉塞後7日目に摘出された中耳腔の組織病理学的所見は、対照群(0.5% CMC)では滲出液が吸収されずに、中耳腔に存在したが、一方、実験群(実施例1のメリッサ・オフィシナリス葉抽出物の画分)では滲出液が吸収されたことを示した(図6を参照のこと)。
【0081】
(4)中耳粘膜の厚さの評価
実験群(実施例1のメリッサ・オフィシナリス葉抽出物の画分)では、中耳粘膜の厚さは、対照群(0.5% CMC)の厚さよりも著しく薄かった(図7を参照のこと、p<0.05)。
具体的には、炎症細胞が対照群(0.5% CMC)の中耳腔内に存在したが、実験群(実施例1のメリッサ・オフィシナリス葉抽出物の画分)には炎症細胞が見られず、そして中耳粘膜は、対照群と比較して実験群では有意に薄くなった。
【0082】
(5)炎症性因子の評価
LPSによってアップレギュレートされたIL-23遺伝子が、実験群(実施例1のメリッサ・オフィシナリス葉抽出物の画分)では有意に減少し(図8を参照のこと)、そしてLPSによってアップレギュレートされたTNF-α遺伝子が、実験群(実施例1のメリッサ・オフィシナリス葉抽出物の画分)では有意に減少した(図9を参照)。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9