(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-27
(45)【発行日】2024-10-07
(54)【発明の名称】スプライサー装置及びストレッチ包装機
(51)【国際特許分類】
B65H 19/18 20060101AFI20240930BHJP
B65B 9/20 20120101ALI20240930BHJP
【FI】
B65H19/18
B65B9/20
(21)【出願番号】P 2020173398
(22)【出願日】2020-10-14
【審査請求日】2023-10-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000206093
【氏名又は名称】大森機械工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092598
【氏名又は名称】松井 伸一
(72)【発明者】
【氏名】中村 友哉
【審査官】大山 広人
(56)【参考文献】
【文献】実開平05-044809(JP,U)
【文献】実開昭60-033542(JP,U)
【文献】特開2012-025497(JP,A)
【文献】実開昭55-125422(JP,U)
【文献】実開昭60-110354(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 19/00-19/30
B65B 9/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ストレッチ包装機に用いられるスプライサー装置であって、
ストレッチフィルムをロール状に巻き取った第1原反ロールを回転可能に支持する第1支持部材と、
別のストレッチフィルムをロール状に巻き取った第2原反ロールを回転可能に支持する第2支持部材と、
前記第1原反ロールから引き出されたストレッチフィルムの搬送経路と、前記第2原反ロールから引き出されたストレッチフィルムの搬送経路は、近接した位置で下降移動する区間を有し、
その下降移動する区間を通過するストレッチフィルムを挟んで接近離反可能に対向配置する第1圧着ローラ及び第2圧着ローラと、
前記第1原反ロールから引き出されたストレッチフィルムの搬送経路における前記下降移動する区間の上方側の第1位置と、前記第1圧着ローラの下方側の第2位置を往復移動するバー部材と、
前記第2原反ロールから引き出されたストレッチフィルムの搬送経路における前記下降移動する区間の上方側の第1位置と、前記第2圧着ローラの下方側の第2位置を往復移動するバー部材とを備え、
前記第1原反ロールと前記第2原反ロールのうち、待機している側のバー部材を前記第1位置に置くとともに、その待機している側の原反ロールから引き出したストレッチフィルムの先端を前記第1位置にあるバー部材に下から通して折り返した状態で、そのバー部材を第2位置に戻すことで、その折り返されたストレッチフィルムのフィルム部位を前記下降移動する区間に位置させるとともに、そのフィルム部位の先端を前記第1圧着ローラ或いは前記第2圧着ローラの下側に位置させるようにし、
前記下降移動する区間に、前記第1原反ロールから引き出されたストレッチフィルムと、前記第2原反ロールから引き出されたストレッチフィルムが位置した状態で、前記第1圧着ローラと前記第2圧着ローラが接近移動してそれら2つのストレッチフィルムを挟み込んで加圧して、フィルム同士を接合するスプライサー装置。
【請求項2】
前記折り返した先のフィルム部位を載せるフィルム載せ部材を備えた請求項1に記載のスプライサー装置。
【請求項3】
前記フィルム載せ部材は、前記フィルム部位を幅方向にカットする際の基準部位を有する請求項2に記載のスプライサー装置。
【請求項4】
前記フィルム載せ部材は、移動する前記バー部材とは別に固定設置する請求項2または3に記載のスプライサー装置。
【請求項5】
前記バー部材とともに移動する補助バー部材を備え、
前記補助バー部材は、前記第1位置において、前記バー部材で折り返されたフィルム部位の下方に位置するようにした請求項1から4のいずれか1項に記載のスプライサー装置。
【請求項6】
前記バー部材は、ストレッチフィルムの搬送方向と直交する方向に延びるように配置した回転軸に連結された連結アームに取り付けられ、
前記回転軸に取り付けた操作レバーを前記回転軸を回転中心として所定角度範囲内で正逆回転することで前記バー部材を前記第1位置と前記第2位置間で往復移動するようにした請求項1から5のいずれか1項に記載のスプライサー装置。
【請求項7】
前記第1圧着ローラの表面は弾力性を有し、前記第2圧着ローラの表面は金属で構成する請求項1から6のいずれか1項に記載のスプライサー装置。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれか1項に記載のスプライサー装置と、
そのスプライサー装置から供給されるストレッチフィルムを用いてストレッチ包装する包装機本体を備えたストレッチ包装機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スプライサー装置及びストレッチ包装機に関する。
【背景技術】
【0002】
ストレッチフィルムを用いたストレッチ包装機の基本的な構成としては、原反ロールから連続的に繰り出されるストレッチフィルムを進行方向両側にやや引っ張りながら被包装物を筒状に包み込み、ストレッチフィルムの持つ自己粘着性により、フィルム両側縁部をシールして筒状とする。そして、適宜長さを残してストレッチフィルムの前後端部を切断してフィルムの耳部とし、その耳部を被包装物が前進している間に吸引力により下方に垂下させ、フィルムの前端耳部並びに後端耳部を順次被包装物の下側に折り曲げるようになっている。この種のストレッチ包装機は、例えば特許文献1に開示されている。
【0003】
この種のストレッチ包装機では、1本の原反ロールからのフィルム供給が終了すると、ストレッチ包装機の動作を停止し、使用済みの原反ロールを取り外すとともに新たな原反ロールをセットし、その後その新たな原反ロールに巻き取られたストレッチフィルムを引き出してストレッチ包装機の所定位置にセットする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したように、従来のストレッチ包装機は、使用中の原反ロールからのストレッチフィルムの供給が終わると、装置を一時停止し、原反ロールの交換作業が必要であり、その交換作業中の稼働率の低下を招く。一方、例えばピロー包装機に用いられるスプライサー装置は、フィルム供給中の原反ロールとは別に、予備の原反ロールをセットし、供給しているフィルムがなくなる際に、その供給中のフィルムに、セットされた予備用の原反ロールからくり出される新しいフィルムを接合し、継続して包装機本体にフィルムを供給するものである。このスプライサー装置を用いると、フィルム切れに伴う原反ロール、フィルムセットの都度包装機を止める必要が無いので稼働率が上がる。
【0006】
この種のスプライサー装置をストレッチ包装機に用いようとすると、以下に示す問題を生じる。ストレッチフィルムは、ピロー包装機に用いられるフィルムにくらべて腰がなく粘着性がある性質を有し、すぐにくしゃくしゃになる。その結果、人の手により新しいフィルムの先端をつまみ、フィルムを接合する位置まで持って行く必要がある。係る場合、新しいストレッチフィルムは、現在使用中で走行しているストレッチフィルムのそばを通ってセット位置に持ってくため、走行中のストレッチフィルムに手や腕等が触れるおそれがある。
【0007】
上述した課題はそれぞれ独立したものとして記載しているものであり、本発明は、必ずしも記載した課題の全てを解決できる必要はなく、少なくとも一つの課題が解決できれば良い。またこの課題を解決するための構成についても単独で分割出願・補正等により権利取得する意思を有する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決するために、本発明のスプライサー装置は、(1)ストレッチ包装機に用いられるスプライサー装置であって、ストレッチフィルムをロール状に巻き取った第1原反ロールを回転可能に支持する第1支持部材と、別のストレッチフィルムをロール状に巻き取った第2原反ロールを回転可能に支持する第2支持部材と、前記第1原反ロールから引き出されたストレッチフィルムの搬送経路と、前記第2原反ロールから引き出されたストレッチフィルムの搬送経路は、近接した位置で下降移動する区間を有し、その下降移動する区間を通過するストレッチフィルムを挟んで接近離反可能に対向配置する第1圧着ローラ及び第2圧着ローラと、前記第1原反ロールから引き出されたストレッチフィルムの搬送経路における前記下降移動する区間の上方側の第1位置と、前記第1圧着ローラの下方側の第2位置を往復移動するバー部材と、前記第2原反ロールから引き出されたストレッチフィルムの搬送経路における前記下降移動する区間の上方側の第1位置と、前記第2圧着ローラの下方側の第2位置を往復移動するバー部材とを備え、前記第1原反ロールと前記第2原反ロールのうち、待機している側のバー部材を前記第1位置に置くとともに、その待機している側の原反ロールから引き出したストレッチフィルムの先端を前記第1位置にあるバー部材に下から通して折り返した状態で、そのバー部材を第2位置に戻すことで、その折り返されたストレッチフィルムのフィルム部位を前記下降移動する区間に位置させるとともに、そのフィルム部位の先端を前記第1圧着ローラ或いは前記第2圧着ローラの下側に位置させるようにし、前記下降移動する区間に、前記第1原反ロールから引き出されたストレッチフィルムと、前記第2原反ロールから引き出されたストレッチフィルムが位置した状態で、前記第1圧着ローラと前記第2圧着ローラが接近移動してそれら2つのストレッチフィルムを挟み込んで加圧して、フィルム同士を接合するようにした。バー部材は、実施形態では第1バー67に対応する。
【0009】
このようにすると、第1位置にあるバー部材は、ストレッチフィルムの搬送経路の上方であるので、予備用のストレッチフィルムを引き出してバー部材に下から通して折り返すことで、その作業中に走行中のストレッチフィルムに作業員の手等が触れることが可及的に抑制される。その後、バー部材を第2位置に向けて下降移動すると、バー部材で折り返されているフィルム部位がバー部材に案内されて下降移動し、垂れ下がった状態で第1圧着ローラと第2圧着ローラ間に位置する。このフィルム部位の下降移動は、バー部材を第2位置に位置させることででき、予備用のストレッチフィルムの先端を手で摘まんで下降移動する必要が無いので、その下降移動時に走行中のストレッチフィルムに作業員の手等が触れることが可及的に抑制される。このように安全に予備用のストレッチフィルムを、走行中のストレッチフィルムが下降移動する区間に位置させることができる。そして、その後の適宜のタイミングで第1圧着ローラと第2圧着ローラで両フィルムを挟み込み加圧することで両フィルムを接合することができ、予備用のストレッチフィルムは、走行中のストレッチフィルムと一体になって下流側に移動する。
【0010】
(2)前記折り返した先のフィルム部位を載せるフィルム載せ部材を備えるとよい。このようにすると、バー部材で折り返されたストレッチフィルムのフィルム部位の先端側がフィルム載せ部材に載ることで、ストレッチフィルムは少なくともバー部材とフィルム載せ部材の2点で支持されるのでよい。フィルム載せ部材は、実施形態では、固定バー70に対応する。
【0011】
(3)前記フィルム載せ部材は、前記フィルム部位を幅方向にカットする際の基準部位を有するとよい。このようにすると、バー部材で折り返されたフィルム部位の長さが一定となるのでよい。基準部位は、実施形態では端縁70aに対応する。
【0012】
(4)前記フィルム載せ部材は、移動する前記バー部材とは別に固定設置するとよい。このようにすると、バー部材からフィルム載せ部材までの距離、すなわち、折り返されるフィルム部位の長さを適宜に設定することができ、例えば十分な長さを確保することができるのでよい。
【0013】
(5)前記バー部材とともに移動する補助バー部材を備え、前記補助バー部材は、前記第1位置において、前記バー部材で折り返されたフィルム部位の下方に位置するようにするとよい。このようにすると、例えば折り返されたフィルム部位がたるんだとしても、補助バー部材が支え、バー部材よりも上流側のフィルム部位と接触して自己粘着力によりくっついてしまう恐れを可及的に抑制できる。
【0014】
(6)前記バー部材は、ストレッチフィルムの搬送方向と直交する方向に延びるように配置した回転軸に連結された連結アームに取り付けられ、前記回転軸に取り付けた操作レバーを前記回転軸を回転中心として所定角度範囲内で正逆回転することで前記バー部材を前記第1位置と前記第2位置間で往復移動するようにするとよい。このようにすると、操作レバーを回転操作することで、簡単かつ安全にバー部材を2つの位置間で遷移することができる。
【0015】
(7)前記第1圧着ローラの表面は弾力性を有し、前記第2圧着ローラの表面は金属で構成するとよい。このようにすると、2枚のストレッチフィルムをしっかりと加圧し、接合することができるのでよい。
【0016】
(8)本発明に係るストレッチ包装機は、(1)から(7)のいずれか1に記載のスプライサー装置と、そのスプライサー装置から供給されるストレッチフィルムを用いてストレッチ包装する包装機本体を備えるとよい。このようにすると、一方の原反ロールからのストレッチフィルムの供給が終了する際に、そのストレッチフィルムに予備用のストレッチフィルムの先端を接合し、包装機を一時停止することなくそのまま連続・継続してストレッチフィルムが供給され、包装処理を行うことができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、予備の原反ロールから引き出されたストレッチフィルムを所定位置にセットする際に、作業員かが誤って走行中のストレッチフィルムに接触するおそれが可及的に抑制され、安全性が向上したスプライサー装置となる。係るスプライサーを備えたストレッチ包装機は、フィルム交換の際に包装機を一時停止する必要が無いので、稼働率が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明に係るストレッチ包装機の好適な一実施形態を示す正面図である。
【
図5】本発明に係るスプライサー装置の好適な一実施形態を示す正面図である。
【
図7】第2圧着ローラと第2フィルムセット用部材を示す図である。
【
図8】第2圧着ローラと第2フィルムセット用部材を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の好適な実施形態について図面に基づき、詳細に説明する。なお、本発明は、これに限定されて解釈されるものではなく、本発明の範囲を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づいて、種々の変更、修正、改良を加え得るものである。
【0020】
図1は、本発明に係るストレッチ包装機の好適な一実施形態を示している。同図に示すように、本実施形態のストレッチ包装機は、包装機本体11と、その包装機本体11に対して帯状のストレッチフィルムを連続して供給するスプライサー装置12と、包装機本体11の上流側に配置され、その包装機本体11に対して被包装物13を所定間隔毎に供給する被包装物搬送供給装置14等を備えている。被包装物13は、例えばトレー16内に食品その他の物品17を置いた状態で搬送される。
【0021】
被包装物搬送供給装置14は、例えばフィンガー付きのエンドレスチェーンや、エンドレスベルトなどの各種の搬送手段から構成され、被包装物13を所定間隔毎に搬送するように構成される。被包装物搬送供給装置14は、前後に配置されたスプロケット間に掛け渡されたエンドレスチェーンに、フィンガー47が取り付けられ、このフィンガー47の上端が搬送路を構成する受け板48より上方に突出している。この突出したフィンガー47により、受け板48上に置かれたトレー16を押送するようにしている。これに伴いトレー16内におかれた物品17がトレー16とともに搬送される。
【0022】
スプライサー装置12は、帯状のストレッチフィルム20をロール状に巻き取った原反ロール(第1原反ロール18,第2原反ロール19)を回転可能に支持し、一方の原反ロール(例えば第1原反ロール18)から引き出されるストレッチフィルム20aを包装機本体11に供給し、その供給中のストレッチフィルム20aが無くなる際に、待機中の他方の原反ロール(例えば第2原反ロール19)から引き出されるストレッチフィルム20bの先端部位をストレッチフィルム20aに接合し、そのままストレッチフィルム20bを連続して、一時停止することなく包装機本体11に供給する機能等を備える。ストレッチフィルムの符号は、第1原反ロール18から引き出されたものは「20a」とし、第2原反ロール19から引き出されたものは「20b」とし、両者を区別する必要が無い場合には、代表して20とする。そして、このスプライサー装置12の具体的な構成については、後述する。
【0023】
包装機本体11は、引き出されたストレッチフィルム20で被包装物13の周囲を包み込むようにして帯状のストレッチフィルム20を筒状に製袋する製袋装置21と、その製袋装置21の下流側に配置され、筒状に製袋されたストレッチフィルム20の両側端縁同士をシールするセンターシール装置22と、筒状のストレッチフィルム20の所定位置を横方向にカットするフィルムカッター装置23と、フィルムカッター装置23によりカットされて形成されるストレッチフィルム20の被包装物13の前後に延びる耳部を被包装物13の底面側に折り曲げる耳部折曲装置24と、耳部折曲装置24の下流側に配置する排出コンベア25等を備える。
【0024】
製袋装置21は、スプライサー装置12から引き出される帯状のストレッチフィルム20の両側縁を外側、つまり、フィルムの進行方向横側に引っ張りながら進行する第1区間と、その横方向に引っ張ったストレッチフィルムを斜め下方に向けて下降移動させて被包装物13の上面及び側面を覆う第2区間と、フィルム両側縁部位を被包装物13の底面側に位置させる第3区間を備える。
【0025】
第1区間は、フィルムの搬送経路の左右に配置された一対の第1緊張用ガイドローラ26と、その第1緊張用ガイドローラ26にストレッチフィルム20を挟んで配置される抑えローラ27と、第1緊張用ガイドローラ26の下流側に配置される第2緊張用ガイドローラ28等を備える。第1緊張用ガイドローラ26は、被包装物13の搬送路の上方において両側が被包装物の進行方向後側にその先端を傾斜させて配置している。この第1緊張用ガイドローラ26に掛けられることによりストレッチフィルム20の両側縁は外側、つまり、フィルムの進行方向横側に引っ張られながら進行する状態となる。
【0026】
抑えローラ27は、その回転軸が第1緊張用ガイドローラ26の回転軸と平行になるとともに、第1緊張用ガイドローラ26と接触可能に配置している。これにより、ストレッチフィルム20の両側端縁は、第1緊張用ガイドローラ26と抑えローラ27によりしっかりと把持される。
【0027】
第2緊張用ガイドローラ28は、第1緊張用ガイドローラ26の下側に一定の間隔を置いて配置される。上述したように、第1緊張用ガイドローラ26,抑えローラ27によってストレッチフィルム20の両側縁は引っ張られた状態を保持しているので、第2緊張用ガイドローラ28にてもその引っ張られた状態を保持し、そのまま被包装物13(トレー16+物品17)に被せられる。
【0028】
第2区間は、第2緊張用ガイドローラ28に近接して進行方向前方の両側にそれぞれ配置された上下一対のフィルム挟持ベルト30等を備える。フィルム挟持ベルト30は、進行方向前方に向けて下降傾斜し、その先端は搬送面よりも下方に位置している。これにより、両緊張用ガイドローラ26,28により進行方向横方向に引っ張られたストレッチフィルム20は、そのまま両側縁がそれぞれ上下一対のフィルム挟持ベルト30で挟持される。そして、ストレッチフィルム20は、両側縁から外側に向けて引っ張られた状態のまま下降しながら前進移動され、その途中で被包装物13を包み込む。
【0029】
第3区間は、フィルム挟持ベルト30の下流側端から被包装物13の搬送面に沿って配置される一対の製袋ベルト31を備える。この一対の製袋ベルト31は、搬送面と平行な水平平面内で回転し、その対向面が徐々に接近するように配置される。ストレッチフィルム20の両側縁は、製袋ベルト31によって進行方向前方に進むにつれて製袋ベルト31により中央に寄せるようになり最終的に被包装物13の下方で重ね合わされる。
【0030】
センターシール装置22は、左右一対の加圧ローラ22aを備え、製袋ベルト31で重ね合わされたフィルム重合端縁が、加圧ローラ22a間を通過する。これにより、フィルム重合端は、左右両側から加圧されて密着し、自己粘着力によりシールされる。これにより、被包装物13は筒状のストレッチフィルム20内に供給された状態となり、その状態のまま搬送路上をフィルムとともに搬送される。なお、本実施形態では、ストレッチフィルム20が持つ自己粘着力によりフィルム同士が接着されるようにしたが、より確実に密封する場合には、例えば加圧ローラ22aにヒータを内蔵し、熱シールするようにするとよい。
【0031】
フィルムカッター装置23は、搬送面の下方に昇降移動可能に配置したフィルムカッター32と、そのフィルムカッター32に対向して搬送面の上方で昇降するフィルム押圧部材33を有し、それらフィルムカッター32とフィルム押圧部材33が図示省略した上下動機構と連結してある。これにより、所定のタイミングでフィルムカッター32が上昇するとともにフィルム押圧部材33が下降移動して筒状に製袋されたストレッチフィルム20を横方向に切断する。フィルムカッター装置23を通過することにより、筒状に連続したストレッチフィルム20は所定間隔毎に横方向にカットされて筒状に包装された被包装物の前後端にフィルムの耳部が形成される。
【0032】
耳部折曲装置24は、この耳部を被包装物13の底面側に折り曲げるもので、フィルムカッター装置23を挟んで前後に配置される前側耳部折曲装置35と後側耳部折曲装置36並びにサイドベルト37等を備えて構成される。
【0033】
前側耳部折曲装置35はサイドベルト37の下方でフィルムカッター装置23よりも上流側に位置し、搬送面を構成し被包装物13等を支持する受け板の先端に近接するようにして、第1吸引ノズル38が配置されている。この第1吸引ノズル38は、図外の吸引ブロアーに接続されている。これにより、吸引処理すると、フィルムカッター装置23により切断された直後の被包装物13を包み込んだストレッチフィルム20の前端側フリー状態にある前側耳部45が吸引されて第1吸引ノズル38内に吸い込まれる。
【0034】
さらにまた、この第1吸引ノズル38の内部には、その開口側(上方)に開閉シャッタを配置する。そして、開閉シャッタが開位置のときには、第1吸引ノズル38の前方側内壁との間で所定の空間が確保され、上記のように吸引された前側耳部の進入を許容する。また、開閉シャッタが閉位置のときには、第1吸引ノズル38の前方側内壁と開閉シャッタの先端が接触し、両者間で第1吸引ノズル38内に吸い込まれた前側耳部45を把持可能とする。これにより、第1吸引ノズル38内に吸い込まれた前側耳部45を把持した状態で被包装物13が前進移動すると、前側耳部45は被包装物13の底面側に折りたたまれ、適宜のタイミングで開閉シャッタを開くと、前側耳部45がフリートなり被包装物13とともに前進移動する。
【0035】
後側耳部折曲装置36は、サイドベルト37の下方でフィルムカッター装置23よりも下流側に位置し、進行方向両サイドにそれぞれ平行に配置された複数のスプロケットに掛け渡された2本のエンドレスチェーン44間に回転自在のローラ39を多数取り付けるとともに、その1周のうちの1か所に所定長さ分だけローラ39を設けない空隔部40を有している。
【0036】
さらに、この多数のローラ39で形成される空間内に第2吸引ノズル41が配置されている。この第2吸引ノズル41は、その上面の吸引面が平板状となるとともにスリット状の透孔41aを備えており、この第2吸引ノズル41も吸引ブロアー42に接続されており、その吸引ブロアー42を作動させて吸引処理すると、
図3に示すように空隔部40の位置が第2吸引ノズル41の上方に位置した場合、カッターで切断された直後の被包装物13を包み込んだストレッチフィルム20の後端側フリー状態にある後側耳部が吸引されて第2吸引ノズル41の透孔41aを介して内部に吸い込まれる。
【0037】
また、サイドベルト37は、筒状に形成されたストレッチフィルム20で覆われた被包装物13の両側端を挟持するエンドレスベルトを備え、
図3に示すようにその進行方向後端はフィルム挟持ベルト30に、前端は排出コンベア25にそれぞれ近接するようになっている。そして、このサイドベルト37の搬送速度よりも上述したローラ39の移動速度の方が十分に早く設定している。これにより、後側耳部が第2吸引ノズル41の内部に吸い込まれた状態で、サイドベルト37よりも高速移動するローラ39が相対的に被包装物13に対して前進移動することで、空隔部40から第2吸引ノズル41内に垂れ下がっていた後側耳部は、ローラ39により巻き込まれて前進移動し、被包装物13の底面側に折り曲げられる。そして、ローラ39の移動に伴い、当該ローラ39により後側耳部は被包装物13の底面に押し付けられる。これにより、後側耳部は被包装物13の下面に強く折り込まれ、密着される。このようにして形成されたストレッチ包装体43は、排出コンベア25にて搬送される。
【0038】
本実施形態のスプライサー装置12は、第1原反ロール18を回転可能に支持する一対の第1支持ローラ51と、第2原反ロール19を回転可能に支持する一対の第2支持ローラ52を備える。第1支持ローラ51は、水平平面内で所定の距離を置いてフリー状態で回転自在に配置され、例えば第1原反ロール18からストレッチフィルム20aが引き出されることに伴い第1原反ロール18が回転しようとすると、第1支持ローラ51も自転して第1原反ロール18の回転を許容する。同様に、第2支持ローラ52は、水平平面内で所定の距離を置いてフリー状態で回転自在に配置され、例えば第2原反ロール19からストレッチフィルム20bが引き出されることに伴い第2原反ロール19が回転しようとすると、第2支持ローラ52も自転して第2原反ロール19の回転を許容する。
【0039】
スプライサー装置12は、第1原反ロール18から引き出されたストレッチフィルム20a並びに第2原反ロール19から引き出されたストレッチフィルム20bを所定の経路で搬送する複数のガイドローラ53を備える。
図3の斜視図では、図示の便宜上代表して2つずつガイドローラ53を描画している。また、
図3,
図4に示す斜視図では、第2原反ロール19から引き出されたストレッチフィルム20bが包装機本体11に供給される状態を示し、
図5では第1原反ロール18から引き出されたストレッチフィルム20aが包装機本体11に供給され、第2原反ロール19が予備用で待機している状態を示している。このように、第1原反ロール18と第2原反ロール19は、例えば交互に包装機本体11へフィルムを供給する使用中になったり、予備用になったりする。
【0040】
第1原反ロール18からのストレッチフィルム20a用の複数のガイドローラ53と、第2原反ロール19からのストレッチフィルム20b用の複数のガイドローラ53のうち、上方位置で対向するガイドローラ53の回転軸には、その回転軸を中心に所定角度範囲内で正逆回転する支持アーム55が取り付けられる。そして、第1原反ロール18側の支持アーム55には第1圧着ローラ56が回転自在に支持され、第2原反ロール19側の支持アーム55には第2圧着ローラ57が回転自在に支持される。第1圧着ローラ56と第2圧着ローラ57は、通常状態では、
図5等に示すように離反する。また、一対の支持アーム55は、図示省略するシリンダ等の駆動手段の動力を受けて正逆回転して開閉し、第1圧着ローラ56と第2圧着ローラ57は接近離反移動し、上述した
図5等に示す離反した第1位置と、
図6(d)に示す接近した第2位置の間を往復移動する。第2位置では、第1圧着ローラ56と第2圧着ローラ57は接触可能となり、両者の間に存在する2枚のストレッチフィルム20a,20bを両側から挟み込んで加圧し、圧着可能としている。
【0041】
更に本実施形態では、第1圧着ローラ56と第2圧着ローラ57の一方(例えば第1圧着ローラ56)は、例えばシリコンゴム等の弾力性のある材料から構成し、他方(例えば第2圧着ローラ57)は例えばアルミニウムなどの金属材料から構成すると良い。このようにすると、アルミニウムなどから構成した第2圧着ローラ57は、ストレッチフィルム20に接触して押しつけたときにしっかりとフィルムを加圧し、シリコンゴム等から構成される第1圧着ローラ56は弾力性を有することから表面が押し潰されストレッチフィルム20をしっかりと圧着することができる。
【0042】
更に本実施形態では、金属製の第2圧着ローラ57は、その表面に周方向に延びる多数の溝57aを設け(
図7,
図8参照)、ストレッチフィルム20bが静電気で第2圧着ローラ57に貼り付くのを防止する。静電気で貼り付くのを防止するため、例えば鉄のクロムメッキ等でもよいが本実施形態のようにアルミニウムを用いるとより好ましい。
【0043】
更に第1圧着ローラ56と第2圧着ローラ57が離反した第1位置の状態では、
図5等に示すように、包装機本体11に供給される第1原反ロール18からのストレッチフィルム20aは、ガイドローラ53にガイドされるとともに、第1圧着ローラ56に接した状態で走行し、第1緊張用ガイドローラ26,抑えローラ27間を通過する。第1圧着ローラ56は、フリー状態で自転可能となっており、図示するようにストレッチフィルム20aが接触した状態で走行しても、第1圧着ローラ56も回転し、ストレッチフィルム20aの走行を阻害しない。なお、図示の例では、第1圧着ローラ56もストレッチフィルム20aに接触し、ガイドローラとしての機能を発揮しているが、例えば第1圧着ローラ56を更に後退させてストレッチフィルム20aと非接触としても良い。
【0044】
また、
図5は、後述する予備用のストレッチフィルムのセット処理を行い、その予備用のストレッチフィルムの先端を、走行中のストレッチフィルムとの接合位置付近に位置させた状態を示している。この
図5の状態では、第2原反ロール19からのストレッチフィルム20bは、引き出されてガイドローラ53に掛け渡し、その先端は垂れ下がって第2圧着ローラ57に接した状態にあり、走行中のストレッチフィルム20aからは離反した位置で待機している。このストレッチフィルム20bの先端も、図示の例では第2圧着ローラ57に接触しているが、例えば第2圧着ローラ57が更に後方に待機するようにして、ストレッチフィルム20bが非接触で垂れた状態となっていても良い。
【0045】
更に本実施形態では、第1圧着ローラ56と第2圧着ローラ57の周囲をそれぞれ移動する第1フィルムセット用部材61と第2フィルムセット用部材62を備える。第1フィルムセット用部材61と第2フィルムセット用部材62は、略同様の構成(左右反転)からなり、図示省略するフィルム搬送方向の左右両側に配置する機枠に掛け渡すように回転軸64を軸受け支持し、ストレッチ包装機の手前側の機枠から突出する回転軸64の端部には、操作レバー65を連結する。これにより、操作レバー65を所定角度範囲内で正逆回転操作すると、回転軸64も同一角度で正逆回転する。
【0046】
回転軸64の両端側であって左右の機枠の内側には、一対の連結アーム66の一端をそれぞれ取付け、回転軸64と一体化させる。これにより、回転軸64が正逆回転すると、一対の連結アーム66も一端の連結部位を回転中心として所定角度範囲内で正逆回転する。
【0047】
この左右一対の連結アーム66は、略U字状で先端が開いた同一形状で回転軸64に対して同一角度位置に取り付ける。回転軸64と非連結側の他端側の直線状のアーム部位66aには、その直線方向に沿って3本のバー(第1バー67,第2バー68,第3バー69)の両端をそれぞれ取り付ける。すなわち、これら第1バー67,第2バー68,第3バー69は、左右一対の連結アーム66に掛け渡すように配置される。さらに各第1バー67,第2バー68,第3バー69は、ともに丸棒状から構成され、それぞれが連結アーム66に対して自転可能に連結される。
【0048】
本実施形態では、第1バー67,第2バー68,第3バー69は、ストレッチフィルム20が静電気でくっつきにくい材料から構成するとよく、例えば樹脂から構成するとよい。樹脂は、例えばポリアセタールを用いるとよい。また、第1バー67,第2バー68,第3バー69は、自転可能に取り付けられた丸棒状のローラ体であるため、ストレッチフィルム20が接触したとしても、その接触面積はわずかであり、また、自転することからストレッチフィルムは簡単に剥がれる。
【0049】
図6(a)の第1原反ロール側に示す通常のストレッチフィルム20の走行中の状態では、第1バー67,第2バー68,第3バー69は、第1圧着ローラ56並びに第2圧着ローラ57の下側に位置し、フィルムの搬送経路から離れた位置で待機する。連結アーム66がこの待機位置にある状態から操作レバー65を操作し、所定角度回転すると、
図6(a)の第2原反ロール側に示すように第1バー67,第2バー68,第3バー69は、第2圧着ローラ57の上方でありストレッチフィルム20の搬送経路の上方のセット位置に位置する。なお、図示省略するが第1フィルムセット用部材61をセット位置にすると、第1フィルムセット用部材61の第1バー67,第2バー68,第3バー69は、第1圧着ローラ56の上方であり、ストレッチフィルム20の搬送経路の上方に位置する。このように、操作レバー65を操作することで、第1バー67,第2バー68,第3バー69は、第1圧着ローラ56並びに第2圧着ローラ57上と下を往復する。
【0050】
また、セット位置にある第1バー67,第2バー68,第3バー69は、ストレッチフィルム20の搬送経路の上方に位置しているため、第1原反ロール18や第2原反ロール19から引き出されたストレッチフィルム20は、第1バー67,第2バー68,第3バー69の下側を通過して、第1圧着ローラ56,第2圧着ローラ57が連結されるガイドローラ53側に至る。そして、予備用の原反ロール(例えば第2原反ロール19)から引き出されたストレッチフィルム20bは、第1バー67で折り返されてセット位置にある第1バー67,第2バー68,第3バー69の上方に位置する。
【0051】
さらに、セット位置にした連結アーム66の先端付近には、固定バー70を配置する。この固定バー70は、ストレッチフィルム20を横断するような平板状の部分を有し、その平板状の部分のフィルム搬送方向の上流側の端縁70aの位置は、フィルム搬送方向に対して直交するように配置される。そして予備用のストレッチフィルム20をセット位置にある第1バー67,第2バー68,第3バー69にセットする際に、そのストレッチフィルム20の先端部位を固定バー70に置き、端縁70aでストレッチフィルム20をカットする(
図6(a))。このように端縁70aは、フィルムカット位置となる。
【0052】
上述した構成のスプライサー装置12は、以下のようにして走行中のストレッチフィルム20aに、予備用の第2原反ロール19から引き出されるストレッチフィルム20bを接合し、包装機本体11に供給するストレッチフィルム20を、ストレッチ包装機を連続運転しながら切り替える。
【0053】
第2フィルムセット用部材62を、
図5等に示す待機位置から、操作レバー65を操作して時計方向に所定角度回転させて第1バー67,第2バー68,第3バー69をセット位置に遷移する。次いで、第2原反ロール19から引き出されるストレッチフィルム20bの先端を引っ張り、その先端側が第1バー67で折り返されてセット位置にある第1バー67,第2バー68,第3バー69の上方に位置させ、さらに適宜量を引き出し、ストレッチフィルム20bの先端部位を固定バー70の上に置く。この状態では、ストレッチフィルム20bは第1バー67と固定バー70間に掛け渡され、例えば第3バー69とは非接触状態となる。この状態において、固定バー70の端縁70aを基準に、ストレッチフィルム20bをカッター等を用いてカットする。なお、待機位置にある操作レバー65を操作するに先立ち、第2原反ロール19からのストレッチフィルム20bを引き出し、その先端を第2圧着ローラ57が取り付けられたガイドローラ53付近まで位置させておくと、第1バー67での折り返し作業が容易に行えるので良い。
【0054】
次いで、第2フィルムセット用部材62の操作レバー65を反時計方向に回転させ、
図6(b)に示すように、第2フィルムセット用部材62を当該反時計方向に回転させると、第1バー67で折り返させて固定バー70の上に位置していたストレッチフィルム20bの先端部分も第1バー67に付勢されて固定バー70から離れて下降移動する。そして、
図6(c)に示すように、第2フィルムセット用部材62を待機位置に戻すと、ストレッチフィルム20bの先端がさらに下降移動して第2圧着ローラ57より下側に至り、走行中のストレッチフィルム20aとともに、第1圧着ローラ56と第2圧着ローラ57の間に位置する。そして、このように
図6(c)の状態で予備用のストレッチフィルム20の先端位置が第1圧着ローラ56と第2圧着ローラ57より下方位置するように、固定バー70の端縁70a(フィルムカット位置)の設置位置を適宜に設定する。
【0055】
これにより、固定バー70の端縁70aにあわせてストレッチフィルム20bの先端をカットし、その状態で機枠の外にある操作レバー65を操作することで、作業員が圧着ローラ間に手を入れなくても上述したようにストレッチフィルム20bの先端を下降移動して第2圧着ローラ57の下方に位置させることができ、係る操作時等に作業員が誤って走行中のストレッチフィルム20aに触れる恐れも可及的に抑制できる。さらに、下降移動した際のストレッチフィルム20bの先端位置は、一定となり、作業員手でフィルムをセットするときよりも再現性が高く、安定供給ができる。
【0056】
また、セット位置にある第2フィルムセット用部材62が回転軸64を中心に回転する際に、ストレッチフィルム20bの先端部は、固定バー70から離反すると、フリーとなり例えば操作レバー65をゆっくり回転すると、第1バー67により付勢される方向の力よりも、フィルム部位がそのまま自重で垂直方向に下降移動する力がまさり、第1バー67で折り返された先端側のフィルム部位が垂れて、連続して第2原反ロール19から引き出されている上流側のフィルム部位に接近し、第2バー68や第3バー69のように両フィルム部位間に部材が存在しないとそのまま接触してくっついてしまう。これに対し、本実施形態では、第2バー68、第3バー69を設けているので当該先端側のフィルム部位とその上流側のフィルム部位の間にそれら各バーが存在するため、折り返されたフィルム部位は垂れても第2バー68や第3バー69棟に接触してそれ以上の垂れ下がりを抑制し、当該フィルム部位同士が接触して自己粘着によりくっつく恐れを可及的に回避できる。
【0057】
また
図6(c)に示すように、第2フィルムセット用部材62を待機位置に戻した状態では、第2フィルムセット用部材62の第1バー67、第2バー68、第3バー69は第2圧着ローラ57の下方に位置し、ストレッチフィルム20bから完全に外れた状態となる。
【0058】
そして、
図6(d)に示すように、例えば走行中の第1原反ロール18から引き出されるストレッチフィルム20aが無くなったり、残りが少なくなったりするなどの適宜のタイミングで、第1圧着ローラ56と第2圧着ローラ57を接近移動させ、ストレッチフィルム20a,20bを挟み込んで加圧する。この加圧に伴い、ストレッチフィルム20の自己粘着力により相互に接合される。よって、現在走行中のストレッチフィルム20aと一体になってストレッチフィルム20bが継続して引き出され、包装機本体11に供給される。
【0059】
上述した例では、第2原反ロール19側が予備用としているが、このフィルム接合切り替え作業により第2原反ロール19からのストレッチフィルム20bが走行中になった場合には、上記と同様の工程により、予備用となった第1原反ロール18のストレッチフィルム20aを、現在走行中のストレッチフィルム20bに接合し、連続してストレッチフィルム20を包装機本体11に供給する。
【0060】
上述した実施形態では、自己のフィルム同士の接触防止のために第2バー68と第3バー69を配置したが、本発明は必ずしもこれらを備える必要は無く、例えば中間の第2バー68を設けないようにしたり、いずれも設けずに第1バー67を備えたものとしたりしても良い。なお、第1バー67のみにした構成の場合には、第1バー67の移動速度が速くなるように、例えばシリンダやモータ等の駆動力を与え、一定速度以上で回転等するようにするとよい。また、固定バーを第1バー側に延長してストレッチフィルムを支持するようにしても良い。
【0061】
また、第1バー67等の形状は任意であり、丸棒状に限ることはなく、例えばくっつきにくい素材の棒状のものであればよく、例えば角棒や板でもよい。但し、丸棒状にすると、ストレッチフィルム20との接触面積が少なくなるので、良い。また、第1バー67等は自転可能に装着したが、例えば自転せずに固定設置しても良い。但し、自転可能とすると、仮にストレッチフィルム20が接触しても離れやすくなるので良い。
【0062】
以上、本発明の様々な側面を実施形態並びに変形例を用いて説明してきたが、これらの実施形態や説明は、本発明の範囲を制限する目的でなされたものではなく、本発明の理解に資するために提供されたものであることを付言しておく。本発明の範囲は、明細書に明示的に説明された構成や製法に限定されるものではなく、本明細書に開示される本発明の様々な側面の組み合わせをも、その範囲に含むものである。本発明のうち、特許を受けようとする構成を、添付の特許請求の範囲に特定したが、現在の処は特許請求の範囲に特定されていない構成であっても、本明細書に開示される構成を、将来的に特許請求する可能性があることを、念のために申し述べる。
【符号の説明】
【0063】
11 :包装機本体
12 :スプライサー装置
13 :被包装物
14 :被包装物搬送供給装置
18 :第1原反ロール
19 :第2原反ロール
20 :ストレッチフィルム
20a :ストレッチフィルム
20b :ストレッチフィルム
51 :第1支持ローラ
52 :第2支持ローラ
53 :ガイドローラ
55 :支持アーム
56 :第1圧着ローラ
57 :第2圧着ローラ
61 :第1フィルムセット用部材
62 :第2フィルムセット用部材
64 :回転軸
65 :操作レバー
66 :連結アーム
67 :第1バー
68 :第2バー
69 :第3バー
70 :固定バー
70a :端縁