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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-27
(45)【発行日】2024-10-07
(54)【発明の名称】横型ピロー包装機
(51)【国際特許分類】
   B65B 9/06 20120101AFI20240930BHJP
【FI】
B65B9/06
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021188999
(22)【出願日】2021-11-19
(65)【公開番号】P2023075840
(43)【公開日】2023-05-31
【審査請求日】2023-11-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000206093
【氏名又は名称】大森機械工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092598
【弁理士】
【氏名又は名称】松井 伸一
(72)【発明者】
【氏名】小川 拓己
【審査官】▲桑▼原 恭雄
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-041073(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0377278(US,A1)
【文献】特開2015-193413(JP,A)
【文献】特開平08-058705(JP,A)
【文献】特開2014-237465(JP,A)
【文献】特開2001-341709(JP,A)
【文献】特開平10-175619(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 9/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
異なる製品長の製品を1つずつ包装する横型ピロー包装機であって、
ピロー包装する包装機本体と、
前記包装機本体に帯状の包材を間欠的搬送して供給する包材供給装置と、
を備え、
前記包装機本体は、前記包材を筒状に形成する製袋器と、その製袋器で筒状に形成された前記包材の両側端縁部をシールするセンターシール装置と、そのセンターシール装置の下流側に配置され前記包材を搬送方向に対して直交する方向にシール・カットするトップシール装置を有し、
前記包材供給装置は、前記包材が巻き取られた原反ロールを複数保持可能とする機能と、その複数の原反ロールの内の一つから前記包材を前記包装機本体に供給し、その供給中の前記包材に対し、前記複数の原反ロールの内の残りのいずれかの原反ロールに巻き取られている包材をテープにより貼り付けて接合する機能を有し、
前記包材供給装置による前記包材の搬送が一時停止した際の前記テープの位置が、前記トップシール装置から最大カット長分の第1範囲の範囲内であって、前記第1範囲の上流端側の前後に設定される第2範囲の範囲外の場合、最大カット長分だけ前記包材を送るとともに空袋を製造し、前記一時停止した際の前記テープの位置が、前記第2範囲の範囲内の場合、最大カット長に所定距離を加えた分だけ前記包材を送るとともに空袋を製造するように前記包装機本体と前記包材供給装置の動作を制御する制御機能を備え、
前記第2範囲は、前記トップシール装置が有する上下のトップシーラのシール可能な領域の搬送方向に沿った前端から後端に相当する範囲である横型ピロー包装機。
【請求項2】
前記所定距離は、前記空袋を製造する際に前記テープが前記トップシール装置でシールされない長さに設定する請求項1に記載の横型ピロー包装機。
【請求項3】
前記所定距離は、前記テープの前後方向の幅の2倍とする請求項1または2に記載の横型ピロー包装機。
【請求項4】
前記所定距離は、前記テープと前記トップシール装置との距離に関係なく固定値とする請求項1または2に記載の横型ピロー包装機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、横型ピロー包装機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
前後方向の長さの異なる製品がランダムに供給されてくるものに対応する横型ピロー包装機として、例えば特許文献1に開示されるように、センターシール装置より上流側に製品の長さを検出する製品検出センサを配置し、制御装置が製品検出センサによって検出したデータに基づいて算出した製品の長さに基づき、トップシール装置のトップシーラの動作パターンと動作タイミングや、包装に必要な包材の長さを演算し、その演算した動作パターンと動作タイミングと必要なフィルム長さに基づいてトップシーラの動作を制御するようにしたピロー型包装装置がある。
【0003】
また、この種の横型ピロー包装機は、通常、ロール状に巻き取られた原反ロールから繰り出された帯状の包材を包装機本体に供給する。そして、ピロー型包装装置は複数個の原反ロールを保持し、現在供給中の一方の原反ロールから繰り出した一方の包材を包装機本体に対して供給するとともに、移送中の一方の包材に沿って、他方の原反ロールから繰り出した他方の包材の先端を近接状態で待機させ、一方の包材が無くなる際にその終端近くの所定の部位と、待機している他方の包材の先端部位をシールして接合し、包装機本体に対して継続して包材を供給する機能を備える。そして、これらの包材同士の接合は、例えばつなぎ目にテープを貼ることで行うものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第5325179号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
例えば包材の移送途中でテープの位置を検知すると、その後の包材の移動量から現在におけるテープの位置、すなわち、トップシール装置との位置関係を知ることができる。しかし、包装対象の製品の長さがランダムに異なる場合、例えば、次に包装する製品の長さによっては、包材のつなぎ目の部分であるテープが包装体に存在してしまうおそれがある。このように包材同士のつなぎ目の部分が製造された包装体に存在すると、不良品となり取り除く必要がある。
【0006】
さらにタイミングによっては包材のつなぎ目の位置でトップシールをしたりしてしまう可能性ある。そして、このようにつなぎ目のテープの部分をトップシールしてしまうと、テープの噛み込み検知による装置の停止を招いたり、テープによりトップシール装置のトップシーラのシール面等を汚してしまったりするおそれなどもある。
【0007】
上述した課題はそれぞれ独立したものとして記載しているものであり、本発明は、必ずしも記載した課題の全てを解決できる必要はなく、少なくとも一つの課題が解決できればよい。またこの課題を解決するための構成についても単独で分割出願・補正等により権利取得する意思を有する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決するために、本発明の横型ピロー包装機は、(1)異なる製品長の製品を1つずつ包装する横型ピロー包装機であって、ピロー包装する包装機本体と、前記包装機本体に帯状の包材を間欠的搬送して供給する包材供給装置と、を備え、前記包装機本体は、前記包材を筒状に形成する製袋器と、その製袋器で筒状に形成された前記包材の両側端縁部をシールするセンターシール装置と、そのセンターシール装置の下流側に配置され前記包材を搬送方向に対して直交する方向にシール・カットするトップシール装置を有し、前記包材供給装置は、前記包材が巻き取られた原反ロールを複数保持可能とする機能と、その複数の原反ロールの内の一つから前記包材を前記包装機本体に供給し、その供給中の前記包材に対し、前記複数の原反ロールの内の残りのいずれかの原反ロールに巻き取られている包材をテープにより貼り付けて接合する機能を有し、前記包材供給装置による前記包材の搬送が一時停止した際の前記テープの位置が、前記トップシール装置から最大カット長分の第1範囲の範囲内であって、前記第1範囲の上流端側の前後に設定される第2範囲の範囲外の場合、最大カット長分だけ前記包材を送るとともに空袋を製造し、前記一時停止した際の前記テープの位置が、前記第2範囲の範囲内の場合、最大カット長に所定距離を加えた分だけ前記包材を送るとともに空袋を製造するように前記包装機本体と前記包材供給装置の動作を制御する制御機能を備え、前記第2範囲は、前記トップシール装置が有する上下のトップシーラのシール可能な領域の搬送方向に沿った前端から後端に相当する範囲であるようにした。
【0009】
このようにすると、テープが第1範囲内であって第2範囲外の領域に一時停止した場合、最大カット長分だけ包材が送られるため、そのテープはトップシール装置のシール面と対向しない下流側に位置する。よって、トップシール装置でのテープの噛み込みの発生を抑制できる。また、制御も、トップシール装置からのテープの距離の長短などに依存せず一律に行えるので容易となる。さらに、一時停止した際のテープの位置が第2範囲内に存在する場合、最大カット長よりも所定距離だけ長く包材を送ることで、トップシール装置でテープの噛み込みを生じるおそれを減少させることができる。このように、包材を、最大カット長分送ることと、その最大カット長に加えてさらに所定距離長い分送るという2段階の制御で対応できる。そして、第1範囲内であって第2範囲外になる可能性の方が高いことから、多くのケースでは確実にテープの噛み込みを抑制できる。
【0010】
(2)前記所定距離は、前記空袋を製造する際に前記テープがトップシール装置でシールされない長さとするとよい。このようにすると、より確実にトップシール装置におけるテープの噛み込みを抑止できる。
【0011】
(3)前記所定距離は、前記テープの前後方向の幅の2倍とするとよい。このようにすると、テープ幅のみに基づき、所定距離を設定できるのでよい。そして、一般的にシール幅(例えば包材の搬送方向に沿ったトップシーラのシール可能な領域の前後方向の長さの半分)よりもテープ幅の方が長いので、テープ幅の2倍という簡単な設定で、多くのケースにおいてテープの噛み込みを抑制できる。
【0012】
(4)前記所定距離は、前記テープと前記トップシール装置との距離に関係なく固定値とするとよい。例えば所定距離をテープ位置にかかわらず固定値にすると、送り制御は、一時停止した際のテープ位置に応じて2つのパターンで対応できる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、長さが異なる製品を包装する場合でも簡単な制御でテープの噛み込みを抑制し、テープが包装体内に紛れるなどの不良品の発生も可及的に抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明に係る横型ピロー包装機の好適な一実施形態を示す正面図である。
図2】作用を説明する図である。
図3】作用を説明する図である。
図4】作用を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の好適な実施形態について図面に基づき、詳細に説明する。なお、本発明は、これに限定されて解釈されるものではなく、本発明の範囲を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づいて、種々の変更、修正、改良を加え得るものである。
【0016】
図1は、本発明に係る横型ピロー包装機の好適な一実施形態を示している。本実施形態の横型ピロー包装機10は、ランダムに供給される異なるサイズの製品13をピロー包装するものである。この横型ピロー包装機10は、製品13の搬送方向に沿った前後方向の長さである製品長に合わせた包材のカット寸法を調整し、製品13のサイズに合わせた寸法形状からなる包装体を製造する。
【0017】
少なくとも前後長のサイズが異なる各種の製品13を順次包装する横型ピロー包装機10は、包装機本体11と、その包装機本体11に対して帯状の包材15を連続して供給する包材供給装置12等を備える。包材15は、例えばフィルム、紙など各種の材質のものを用いるとよい。
【0018】
包材供給装置12は、製品13を包み込むための帯状の包材15を連続して包装機本体11に供給するためのものである。この包材供給装置12は、帯状の包材15をロール状に巻き取った原反ロール16を支持する回転支持軸17と、原反ロール16から連続して繰り出される包材15を包装機本体11に導く搬送経路を構成する複数のローラ18(図では代表して1つ描画)と、包材15を挟み込んで搬送力を与えて引き出すフィードローラ19と、フィードローラ19を回転駆動させる図示省略する駆動モータ(サーボモータ等の速度制御可能なモータ)等を備える。
【0019】
さらに本実施形態では、回転支持軸17を左右に所定の間隔をおいて2本備え、それぞれに原反ロール16を装着させることができるようにしている。そして、一方の原反ロール16(図1では左側)から引き出される包材15が包装機本体11に供給され、他方の原反ロール16(図1では右側)は待機用となる。そして、待機用の原反ロール16の包材の先端部位は、スプライサー30にセットされ、現在包材15を供給中の原反ロール16の残りが少なくなると、スプライサー30は、供給中の包材15の終端近くの所定の部位と待機している他方の包材15の先端部位をテープ31にて貼り合わせ、また、現在供給中であった包材15に対し、テープ31の後方側の所定位置をカットして原反ロール16から分離する。これにより、以後、フィードローラ19により現在包装機本体11に供給中の包材15を引き出すと、それに追従して一体となった今まで待機中の原反ロール16から引き出された包材15が連続して引き出され、その後、継続して包装機本体11に供給される。なお、本実施形態では、テープ31は、包材15の進行方向に対して直交する幅方向の全体にわたり貼り付けるようにしたが、一部に貼り付けるようにしてもよい。
【0020】
包材15は、適宜位置に配置されたローラ18に掛け渡されることで、所定の経路を通って包装機本体11に導かれる。このローラ18は、テンションを掛けるテンションローラや、弛みの発生を解消するダンサーローラや、帯状の包材15の搬送方向を変更したり搬送をガイドしたりするフリーローラなどがある。この例では、駆動モータの出力をフィードローラに連携し、包材15を引き出すようにしたが、例えば、回転支持軸17に駆動モータの出力を連係し、包材15を繰り出させるようにするなど、各種の態様がとれる。
【0021】
本実施形態では、作業員が手作業で待機エリアにある製品13を包装機本体11に供給し、その供給した状態で横型ピロー包装機10が、供給された製品13を自動包装して包装体26を製造する。このように、この実施形態の横型ピロー包装機10は、人手による供給を行い、1個ずつ自動包装を行う。このように1個ずつ自動包装するため、横型ピロー包装機10は、間歇運転を行い、一つの製品13に対する包装処理が終了すると一時停止し、次に製品13が供給されるのを待つ。
【0022】
包装機本体11は、その搬入側に供給される包材15を筒状に製袋する製袋器20を備える。製袋器20は、包材供給装置12から連続して供給される帯状の包材15を通過させることで、包材15の両側端縁部同士を接触(重合)させるとともに、筒状に製袋するものである。
【0023】
更に包装機本体11は、製袋器20の下流側に配置された包材15の両側縁部を合わせて接合するセンターシール装置21と、そのセンターシール装置21の下流側に配置されたトップシール装置22と、そのトップシール装置22の下流側に配置された搬出コンベア23等を備える。さらに図示省略するが、センターシール装置21とトップシール装置22の間に搬送路を構成するベルト或いは渡り板等を配置するとよい。
【0024】
センターシール装置21は、所定の間隔をおいて左右に配置した2枚の上板21aを備える。包材15の両側端縁部は、左右の上板21aの間の隙間から下方に突出した状態で搬送される。さらにセンターシール装置21は、上板21aの下方に配置され包材15の両側端縁部に対して加熱する左右一対のバーシーラ21bと、バーシーラ21bの上流側に配置される左右一対の第一ピンチローラ21cと、バーシーラ21bの下流側に配置される左右一対の第二ピンチローラ21dを備える。一対のバーシーラ21bは、開閉して対向する加熱面が接近離反するように構成する。一対のバーシーラ21bは、作業員が製品13を投入するあいだは、包材15を余計に加熱しないよう開いた状態で待機する。そして、製品13の投入が完了し、包装処理の開始に伴う包材15の搬送開始のタイミングに合わせて閉じて包材15を加熱する。
【0025】
この第一ピンチローラ21c,第二ピンチローラ21dは、製袋器20を経て接触した包材15の両側端縁部同士を所定の圧力で挟み込むとともに、同期して回転することで、その両側端縁部ひいては包材15に対して搬送力を与えるようになっている。また、第二ピンチローラ21dは、バーシーラ21bで加熱した包材15の両側端縁部を、加圧するとともに冷却して融着してシールする加圧ローラとしても機能する。このシールされた部位が、包装体26におけるセンターシール部となる。
【0026】
トップシール装置22は、製品13を内包する筒状の包材15に対し、搬送方向に対して直交する方向で搬送面と平行な方向で横断する方向にシールするとともにカットするものである。このトップシール装置22は、包材15を挟んでその上下に上側トップシーラ24と下側トップシーラ25を備える。上側トップシーラ24と下側トップシーラ25は、ヒータが内蔵され、互いの先端のシール面が所定の温度に加熱される。さらに、例えば上側トップシーラ24のシール面24aの前後方向の中央部には、カッター刃が内蔵される。また、下側トップシーラ25のシール面25aの前後方向の中央部にはカッター溝を有する。
【0027】
本形態では、上側トップシーラ24と下側トップシーラ25は、シール面24a,25aが対向した状態のまま接近離反し、接近時に上下のシール面24a,25aが包材15を上下から挟み込んで加熱し、カッター刃がカッター溝に進入してカットする。よって、トップシール装置22は、センターシールされた包材15の所定位置(製品の存在しない部分)を横方向にシール・カットし、横方向に延びるトップシール部を形成する。これにより、包材15の先端部分(先頭の製品13を内包する部分)は、後続の包材15から分離され、包装体26が製造される。
【0028】
さらに本実施形態では、包材供給装置12におけるスプライサー30の下流側であって帯状の包材15の搬送経路の所定位置に、包材15同士のつなぎ目を検知するつなぎ目検知センサ32を設ける。このつなぎ目検知センサ32は、例えばテープ31を検知するものとするとよい。このテープ31の検知は、例えば、包材15の表面の高さを検知し、その表面位置がテープ31の厚さ分だけ高くなると、スプライサー30で貼り付けられたテープがあると認識する。このつなぎ目検知センサ32の出力信号は、図示省略する制御装置に送られる。制御装置は、駆動モータの動作も制御し、包材15の送り量からテープ31の現在位置を求める機能を備える。
【0029】
さらに本実施形態では、製袋器20の入口からトップシール装置22までの距離を、1個の包装体の長さ以下(カット長以下)にする。トップシール装置22の位置は、例えば、上側トップシーラ24と下側トップシーラ25が包材15を挟み込んでカットする位置とすると良い。このようにすると、包装機本体11内の製袋器20からトップシール装置22に至る領域には一つの製品13しか存在せず、次に包装処理される製品13を容易に確認できる。つまり、トップシール装置22の直前には、一回分の製品13が置かれた状態となる。
【0030】
本実施形態の横型ピロー包装機10は、ランダムに供給される異なるサイズの製品13を包装処理するに際し、その製品長さに合わせたカット長で包材15をトップシール装置22にてシール・カットするように制御する機能を備える。そこで本実施形態では、トップシール装置22の上流側であって製品13,包材15の搬送経路の外側所定位置に、製品13を検知するための製品検知センサ27を配置する。この製品検知センサ27は、例えば透過型や反射型の光電センサを用い、製品13の通過位置に向けて光を出射し、その透過光或いは反射光を受光可能に配置する。これにより、出射された光が製品13に照射された場合にはセンサ出力がONになり、照射されない場合にはセンサ出力がOFFになる。
【0031】
さらに本実施形態では、製品13の包装機本体11への供給は、作業員が人手により1つずつ行う。すなわち、制御装置は、駆動モータを停止或いは出力の駆動ローラへの連携を遮断し包材15を一時停止する。この状態で、作業員は製品13を製袋器20内に挿入し、製品13を包材15内の所定位置にセットする。所定位置へのセットは、例えば製品13の前端が筒状に製袋された包材15の先端近くに位置するように作業員の手または所定の道具或いは押し込む装置等を用いて製品13を包材15内に挿入するとよい。ついで、作業員は、横型ピロー包装機10が備える運転再開指示を与えるための操作部を操作する。この操作は、所定のボタンを押したり画面にタッチしたりするものとするとよい。
【0032】
所定位置は、本実施形態では、製品検知センサ27が製品13を検知、すなわち、センサ出力がONになる位置とするとよい。これにより、製品13の前端が製品検知センサ27の検知位置にあるか、前端が製品検知センサ27を超えて下流側に位置する状態にセットされる。そして、制御装置は、上記の運転再開指示を与えるための操作部の操作と、製品検知センサ27の出力がONの場合に、運転再開し包材15を移動させるとともに、シール装置等の動作を制御する機能を備える。これにより、例えば製品13が包材15の奥まで充分に挿入されずに製品13の前端と包材15の先端との間に余分な空間が空いてしまうことや、製品13が供給されていない状態で誤って操作部が操作されるなどして空袋が発生するのを抑制できる。
【0033】
制御装置は、係る操作に伴う運転再開指示を受け付けると、フィードローラ19を回転駆動させて包材15の搬送を開始するとともに、間歇駆動のため一時停止していた包装機本体11の動作を開始する。すると、包材15の移動に伴い製袋器20で筒状に製袋された包材15内の製品13も、包材15とともに搬送される。
【0034】
そして制御装置は、製品検知センサ27の出力に基づいて以下の制御を行い、包装体26を製造する。すなわち、製品検知センサ27からトップシール装置22例えば上側トップシーラ24と下側トップシーラ25の前後方向の中心までの距離は既知のため、製品13の後端位置を検知すると、制御装置は、フィードローラの回転にともなう包材15の送りを継続し、その製品13の後端位置がトップシール装置22を通過し、製品13の後端位置からさらに余長βの長さ分だけ移動するまで包材15を送り、搬送を一時停止する。これにより、製品13の検出された後端位置から余長βの長さ分だけ上流側のフィルム部位が、上側トップシーラ24と下側トップシーラ25の前後方向の中心に位置する。そこで制御装置は、トップシール装置22を制御し、上側トップシーラ24と下側トップシーラ25で包材15を挟み込んでシール・カットする。
【0035】
また、トップシール装置22の上流側に、筒状の包材15を挟み込んで開き具合を狭くして製品の通過を阻止できるシャッター装置(図示省略)を設けるとよい。このシャッター装置は、例えば上下に開閉する一対のシャッター板とそのシャッター板を昇降させる駆動機構を備える。そしてシャッター装置は、適宜のタイミングでシャッター板が閉じ、筒状の包材15を上下から挟み込みその進路を塞ぐように構成する。このようにすると、製品13の供給に先立ちシャッター板を閉じておくことで、製品13の位置決めが製品13ごとにばらつくことなく精度よく行える。しかもシャッター板に突き当たるまで製品13を挿入すればよいので、位置決めが簡単に行える。そして、運転再開指示の操作部が操作されると、シャッター板が開いて製品13並びに包材15が前進移動可能になり、その後上述した実施形態に示す制御がなされ、製品13の前後長に合わせたカット長で包材がシール・カットされ、包装体26が製造されるようにするとよい。なお、シャッター装置は、必ずしも設ける必要は無いが、設けた方が好ましい。また、シャッター板の構成や、移動方向等も各種の態様がとれる。
【0036】
上述したように、本実施形態では、2つの原反ロール16を保持し、一方の原反ロール16からの帯状の包材15の供給が終了しても、待機中の原反ロール16から継続して包材15の供給を受けることができるようにしている。これにより、例えば図1に示すように左側の原反ロール16から引き出された包材15を供給している状態で、その原反ロール16の残りが少なくなると、適宜のタイミングで右側の原反ロール16に巻き取られた包材15の先端が、スプライサー30により現在包装機本体11に供給中の包材15に対してテープ31を用いて貼り付けられて接合される。そして、そのように接合が完了すると、フィードローラ19により包材15が送られ、右側の原反ロール16からの包材15の供給に切り替わる。この切り替わりのつなぎ目部分にテープ31が貼り付けられており、テープ31は前後に張り合わされた包材15とともに移動し、製袋器20の上流側から包装機本体11に供給される(図2図4参照)。
【0037】
図2図4は、包材15の搬送が一時停止され、製品13が包装機本体11内に供給される前の状態を示している。図において、第1範囲Xは、包装対象となる製品の最大サイズに基づく最大カット長の範囲であり、第2範囲Yは、第1範囲Xの上流側の境界付近、より具体的には、上側トップシーラ24並びに下側トップシーラ25の包材の搬送方向に沿った前後端に等しい領域を特定する範囲である。本実施形態では、上側トップシーラ24のシール面の前後方向の中央にカッター刃が配置されており、そのカッター刃を基準に前側のシール面の幅と後側のシール面の幅が等しい。これにより、第2範囲Yは、第1範囲Xの上流側の端縁を中心に前後方向に等幅の範囲に設定される。そしてカッター刃を第1範囲Xの上流側の端縁に位置させた際のトップシーラの搬送方向に沿った前後端が第2範囲Yの前後の境界に位置するようにするとよい。
【0038】
横型ピロー包装機10の制御装置は、包材15の搬送に関しては、フィードローラ19の回転動作を制御して包材15を間欠搬送し、一時停止中に包装機本体11内に挿入セットされた製品13を包装すべく製品13の長さに応じた所定長さ分だけ包材15を送り、搬送を一時停止する。制御装置は、つなぎ目検知センサ32がテープ31を検知してからの包材15の送り量から、テープ31の現在位置を求める機能を備える。そして、上述したように包材15は、間欠搬送されるため、包材15の移動とともに間欠移動し、徐々に製袋器20に近づき、その後包装機本体11内に至る。
【0039】
本実施形態では、包材15の搬送が一時停止した際のテープ31の位置に基づき、制御装置は、次のサイクルの包材15の移動を以下のように制御する。
【0040】
[通常包装制御]
まず、包材15が一時停止した際のテープ31の位置が、異なるサイズの包装対象の製品のうちの最大長さの製品を包装するための移動する包材の長さである最大カット長の範囲である第1範囲Xよりも上流側に存在する場合、制御装置は、通常の包装処理を行うための包材15を搬送する制御を行う。すなわち、一時停止から次に一時停止するまでの包材15の送り量は、製品長に応じて変動するため不定であるが、第1範囲Xよりも所定距離以上上流側にあれば、次にどのようなサイズの製品がきても、テープ31は、トップシール装置22に至らない。よって、通常の包装処理が行える。所定距離は、第2範囲Yの上流側の境界の位置までの距離とするとよい。
【0041】
[つなぎ目のテープの噛み込み回避制御(第1パターン)]
包材15が一時停止した際のテープ31の位置が、第1範囲X内或いは第2範囲Y内に存在する場合、次に包装する製品13の製品長によってはトップシール装置22でテープ31を噛み込むおそれがある。そこで制御装置は、一時停止した際のテープ31の位置が、第2範囲Yと重複しない第1範囲X内の場合、制御装置は、空の状態で最大カット長分だけ包材15を送る。これにより、テープ31は、上側トップシーラ24と下側トップシーラ25の間を通過する。さらに制御装置は、トップシール装置22の動作を制御し、上述した包材15の移動中は、上側トップシーラ24と下側トップシーラ25は離れた状態を維持し、包材15が最大カット長分だけ送られて一時停止すると、上側トップシーラ24と下側トップシーラ25が接近移動させ、包材15を上下から挟み込んでシールしカットする。これにより、最大カット長の空袋が製造される。係る空袋は、操作員による手動操作、或いは所定の排出機構により取り除くとよい。
【0042】
テープ31が最大カット長の範囲である第1範囲X内に存在した場合でも、テープ31の位置、すなわちトップシール装置22までの距離と、次に包装する製品13の長さの関係によってはテープ31がトップシール装置22に至らず、正常な包装体を製造することができる。しかし、本実施形態の横型ピロー包装機10は、製品13の製品長はランダムで異なるので、次に包装する製品13の長さが不定である。そのため、必ず正常な包装体を製造できることの保証はできない。また、テープ31の位置に合わせて短いサイズの製品を選択するのは煩雑であり、さらに、次に包装する製品の長さを確認し、製品サイズが短い場合に包装処理をするようにするのも作業性が悪い。
【0043】
そこで、本実施形態では、不良品の発生の可能性のある第1範囲X(第2範囲Yを除く)内にテープ31が存在する場合には、製品13に対する包装処理を行わずに空袋(空の包装体)を製造することで、不良品の発生を可及的に抑制するようにした。さらに、包材15の送り量を一律に最大カット長分にすることで、例えばテープ31の位置に基づいて送り量を求める処理などすることなく、簡単な制御で不良品の発生を抑制し、空袋製造後は通常の包装処理に移行できる。さらにまた、製造される空袋の長さは最大カット長分であり、通常時の包装処理で製造される包装体の最大長さと同じである。よって、搬出コンベア23の長さが短かったり、トップシール装置22を通過して製造された包装体26の搬送方向を変更したりするようなものであって、トップシール装置22の下流側に長めの空間をとれないような場合であっても問題なく空袋を製造し搬出することができる。
【0044】
[つなぎ目のテープの噛み込み回避制御(第2パターン)]
図4に示すように、包材15が一時停止した際のテープ31の位置が第2範囲Y内に存在する場合、最大カット長分の長さだけ包材15を送ると、テープ31が上側トップシーラ24と下側トップシーラ25に対向する部位が生じる。すると、トップシール装置22では、テープ31の噛み込みを生じてしまうことになる。そこで係る場合、制御装置は、フィードローラ19を所定量回転駆動させて空の状態で最大カット長+α分だけ包材15を送る。そして、αを適宜に設定することで、テープ31は、上側トップシーラ24と下側トップシーラ25の間を通過する。さらに制御装置は、トップシール装置22の動作を制御し、上述した包材15の移動中は、上側トップシーラ24と下側トップシーラ25は離れた状態を維持し、包材15が最大カット長+α分だけ送られて一時停止すると、上側トップシーラ24と下側トップシーラ25を接近移動させ、包材15を上下から挟み込んでシールしカットする。これにより、最大カット長+α分の空袋が製造される。係る空袋は、操作員による手動操作、或いは所定の排出機構により取り除くとよい。
【0045】
一般にこの種の横型ピロー包装機10のスプライサー30に用いられるテープ31のテープ幅は、トップシール装置22における上側トップシーラ24と下側トップシーラ25のシール可能な領域の前後方向の長さの半分(シール幅)よりも広い。そこで、今回のαは、テープ幅の2倍の長さに設定した。このようにすると、一時停止した際のテープ31の位置に関係なく、最大カット長+α分だけ包材15を送るとテープ31は上側トップシーラ24、下側トップシーラ25に対向せずにその下流側に位置し、トップシール装置22での噛み込みを抑制できる。
【0046】
上述した第1パターンと第2パターンを組み合わせることで、一時停止した際のテープ31の位置に関係なく、トップシール装置22での噛み込みを発生することなくテープ31をトップシール装置22の下流側に移動させることができる。これに伴い、テープ31を有する包装体を製造してしまうことを防止できる。さらに、係る処理を行うための制御は、包材の送り量は2種類でよいので簡単に行える。
【0047】
上述した実施形態では、第2パターンにおいて最大カット長分よりも所定量(α)だけ長く送る際の当該αをテープ幅の2倍に設定したが、本発明はこれに限ることはなく、各種の値を取ることができる。例えば、「シール幅+テープ幅」とすると、第二パターンの時の包材15の送り量をより短くすることができる。但し、テープ幅の2倍とすると、テープ幅の長さがわかればよいので設定が容易であることに加え、テープ幅の方がシール幅よりも長い状況ではより確実にトップシール装置22でのテープの噛み込みを回避できるのでよい。また、上述したようにシール幅よりもテープ幅が長い場合が多いが、シール幅の方が長い場合には、αはシール幅の2倍などとしてもよい。さらには、例えばテープ幅やシール幅の1.8倍などのように小数点以下の数値を含むn倍などとしてもよい。さらにまた、ユーザ設定によりαを変更できる機能を備えるとよい。
【0048】
以上、本発明の様々な側面を実施形態を用いて説明してきたが、これらの実施形態や説明は、本発明の範囲を制限する目的でなされたものではなく、本発明の理解に資するために提供されたものであることを付言しておく。本発明の範囲は、明細書に明示的に説明された構成や製法に限定されるものではなく、本明細書に開示される本発明の様々な側面の組み合わせをも、その範囲に含むものである。本発明のうち、特許を受けようとする構成を、添付の特許請求の範囲に特定したが、現在の処は特許請求の範囲に特定されていない構成であっても、本明細書に開示される構成を、将来的に特許請求する可能性があることを、念のために申し述べる。
【符号の説明】
【0049】
10 :横型ピロー包装機
11 :包装機本体
12 :包材供給装置
13 :製品
15 :包材
16 :原反ロール
17 :回転支持軸
18 :ローラ
19 :フィードローラ
20 :製袋器
21 :センターシール装置
22 :トップシール装置
23 :搬出コンベア
24 :上側トップシーラ
25 :下側トップシーラ
26 :包装体
27 :製品検知センサ
30 :スプライサー
31 :テープ
32 :つなぎ目検知センサ
図1
図2
図3
図4