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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-27
(45)【発行日】2024-10-07
(54)【発明の名称】航空機
(51)【国際特許分類】
   B64U 10/20 20230101AFI20240930BHJP
   B64C 27/08 20230101ALI20240930BHJP
   B64C 27/26 20060101ALI20240930BHJP
   B64C 39/02 20060101ALI20240930BHJP
   B64U 30/12 20230101ALI20240930BHJP
   B64U 30/21 20230101ALI20240930BHJP
   B64U 40/10 20230101ALI20240930BHJP
【FI】
B64U10/20
B64C27/08
B64C27/26
B64C39/02
B64U30/12
B64U30/21
B64U40/10
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2024511025
(86)(22)【出願日】2022-03-31
(86)【国際出願番号】 JP2022016516
(87)【国際公開番号】W WO2023188267
(87)【国際公開日】2023-10-05
【審査請求日】2024-08-14
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】517421611
【氏名又は名称】三共木工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103687
【弁理士】
【氏名又は名称】百瀬 尚幸
(72)【発明者】
【氏名】野村誠
【審査官】諸星 圭祐
(56)【参考文献】
【文献】特表2020-526436(JP,A)
【文献】特開2018-20742(JP,A)
【文献】登録実用新案第3231301(JP,U)
【文献】中国特許出願公開第110418755(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64U 10/20
B64C 27/08
B64C 27/26
B64C 39/02
B64U 30/12
B64U 30/21
B64U 40/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体と、
前記本体に接続された複数のアームと、
前記複数のアームの先端に設けられた複数のモータと、
前記複数のモータにより回転する複数のプロペラと、
前記本体に支柱により支持された薄翼と、
を備える航空機であって、
前記薄翼は、翼断面の上面と下面との間の中心線が上に凸の形状を有する翼であり、
前記複数のプロペラの回転速度が変化することにより、前記航空機の方向が変化し、
前記薄翼の翼断面の前端と後端とを結ぶ直線を基準に上側を正、下側を負とすると、前記翼断面の前記前端から前記後端までの前記翼断面の上面と下面との各々の各点の過半数は正であり、
前記支柱の一端は、前記本体に固定され、
前記支柱の他端は、ユニバーサルジョイントを介して、前記薄翼の中央に固定され、
前記航空機は、
前記薄翼の傾斜状態を変化させる傾斜状態変化機構と、
前記航空機のヨー方向、ピッチ方向、又は、ローリング方向が変化するように、前記複数のプロペラと前記傾斜状態変化機構とを制御する制御装置と、
を備え、
前記傾斜状態変化機構は、前記薄翼を、前記ユニバーサルジョイントを中心に3次元的に傾斜させる、
航空機。
【請求項2】
前記航空機の推進力を発生させる推進力プロペラと、
前記推進力プロペラを回転させる推進力モータと、
を更に備える、請求項1に記載の航空機。
【請求項3】
前記薄翼の前記翼断面の上面と下面との各々は、上に凸である、
請求項1又は請求項2に記載の航空機。
【請求項4】
前記傾斜状態変化機構は、前記本体の上面を、当該上面の中央を中心に進行方向と進行方向に垂直な方向とに分割して得られる第1の領域~第4の領域のそれぞれに配置された第1の変更機構~第4の変更機構を備え、
前記第1の変更機構~前記第4の変更機構の各々の上端は、前記薄翼の、前記第1の領域~前記第4の領域に対向する面に固定され、
前記第1の変更機構~前記第4の変更機構の各々は、円柱を上昇又は下降し、
前記制御装置は、前記円柱の上昇又は下降により前記薄翼が3次元的に傾斜するように、前記第1の変更機構~前記第4の変更機構を選択的に制御する、
請求項1に記載の航空機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の技術は、航空機に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2019-181965号公報には、各々プロペラ及びプロペラを回転させるモータを備え且つ胴体の側面に接続された右前、右後、左前、及び左後の4枚の翼と、胴体に備えられた各翼を回転させる4個のモータと、を備えた航空機が開示されている。この航空機は、モータにより翼を上向き又は下向きにすることにより、プロペラを上向き又は下向きにして、上昇又は下降する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、上記航空機は、航空機の方向を変化させるために、翼を上向き又は下向きにするので、航空機の方向を容易に変化させることができない。
【0004】
本開示の技術は、航空機の方向を従来技術より容易に変化させることができる航空機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため本開示の技術の第1の態様の航空機は、本体と、前記本体に接続された複数のアームと、前記複数のアームの先端に設けられた複数のモータと、前記複数のモータにより回転する複数のプロペラと、前記本体に取り付けられた薄翼と、を備える航空機であって、前記薄翼は、翼断面の上面と下面との間の中心線が上に凸の形状を有する翼であり、前記複数のプロペラの回転速度が変化することにより、前記航空機の方向が変化する。
【0006】
第2の態様の航空機は、第1の態様において、前記航空機の推進力を発生させる推進力プロペラと、前記推進力プロペラを回転させる推進力モータと、を更に備える。
【0007】
第3の態様の航空機は、第1の態様又は第2の態様において、前記薄翼の傾斜状態を変化させる傾斜状態変化機構を更に備える。
【発明の効果】
【0008】
本開示の技術の第1の態様は、航空機の方向を従来技術より容易に変化させることができる。
【0009】
本開示の技術の第2の態様は、航空機の揚力を増加させることができる。
【0010】
本開示の技術の第3の態様は、航空機の姿勢を制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】上部は、第1の実施の形態のドローン10Aの上面図であり、下部は、ドローン10Aの左側面図である。
図2】薄翼14の断面図である。
図3】他の薄翼14Aの断面図である。
図4】更に他の薄様14Bの断面図である。
図5】上部は、第2の実施の形態のドローン10Bの上面図であり、ドローン10Bの左側面図である。
図6】上部は、第3の実施の形態のドローン10Cの上面図であり、ドローン10Cの左側面図である。
図7】上部は、第4の実施の形態のドローン10Dの上面図であり、ドローン10Dの左側面図である。
図8】上部は、第5の実施の形態のドローン10Eの上面図であり、ドローン10Eの左側面図である。
図9】上部は、第6の実施の形態のドローン10Fの上面図であり、ドローン10Fの左側面図である。
図10】第1の変形例のドローンの第1の変形例のドローンの傾斜状態変更機構を示す図である。
図11】第1の変形例のドローンの各変更機構の上端が薄翼14の裏面に固定された位置を示す図である。
図12】第1の変形例のドローンの第1の変更機構162の構成を示す図である。
図13】第2の変形例のドローンの傾斜状態変更機構の、進行方向Fから見て左側の第1の変更機構の側面図である。
図14】第2の変形例のドローンの傾斜状態変更機構の断面図である。
図15】第3の変形例のドローンの傾斜状態変更機構を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して、本開示の技術の実施の形態を説明する。
[第1の実施の形態]
図1の上部には、第1の実施の形態のドローン10Aの上面図が、下部には、ドローン10Aの左側面図が示されている。図1に示すように、ドローン10Aは、本体12と、本体に接続された複数(例えば、4個)のアーム20N1~20N4と、4個のアーム20N1~20N4の先端に設けられた4個のモータ22N1~22N4と、4個のモータ22N1~22N4により回転する4個のプロペラ24N1~24N4と、を備えている。
【0013】
ドローン10Aは、本体12の上面に支柱16A、16Bにより支持された1本の薄翼14を備えている。1本の薄翼14は、薄翼14の中央が本体12の上面の中央上部に位置し且つ長手方向が進行方向Fに垂直な左右方向に一致するように、配置されている。
【0014】
図2には、薄翼14の断面が示されている。図2に示すように、第1の実施の形態の薄翼14は、翼断面の上面USと下面DSとの間の中心線CLが上に凸の形状を有する翼である。例えば、翼断面の前端FPと後端BPとを結ぶ直線SLを基準に上側を正、下側を負とすると、翼断面の前端FPから後端BPまでの翼断面の上面USと下面DSとの各々の各点は正である部分を有する。図2に示す薄翼14は、ゲッチンゲンの薄翼である。なお、薄翼は、図2に示す例に限定されず、以下の薄翼も適用できる。この点、他の実施の形態も同様である。
【0015】
図3には、他の薄翼14Aの断面図が示されている。図3に示す薄翼14Aは、エッフェルの薄翼である(Eiffel 10 (Wright) - 1903 Wright Flyer airfoil (eiffel10-il))
図4には、更に他の薄様14Bの断面図が示されている。図4に示す薄翼14Bは、エプラーの薄翼である(EPPLER 379 AIRFOIL)。
【0016】
次に、本実施の形態の作用を説明する。
【0017】
図示しないフライトコントローラが、モータ22N1~22N4を制御することにより、プロペラ24N1~24N4の回転速度を制御する。これにより、ドローン10Aが上昇又は下降したり、ドローン10Aのヨー方向、ピッチ方向、又はローリング方向が変化したりする。
【0018】
ドローン10Aの揚力は、プロペラ24N1~24N4の回転と、ドローン10Aが進行することにより、薄翼14により発生する。
【0019】
以上説明したように本実施の形態では、ドローン10Aの方向を変化させるために、プロペラ24N1~24N4の回転速度を変化させるので、ドローン10Aの方向を、翼の向きを変化させることにより、変化させる従来技術より容易に変化させることができる
[第2の実施の形態]
第2の実施の形態の構成は、第1の実施の形態と同様の部分があるので、同一部分には同一の符号を付してその説明を省略し、主として異なる部分について説明する。なお、第2の実施の形態の作用は第1の実施の形態と同様であるので、その説明を省略する。
【0020】
図5の上部には、第2の実施の形態のドローン10Bの上面図が、下部には、ドローン10Bの左側面図が示されている。図5に示すように、薄翼は、第1の薄翼14B1と第2の薄翼14B2とを備えている。第1の薄翼14B1は、長手方向が進行方向Fに垂直な右方向に一致するように、本体12の、ドローン10Bの進行方向Fに対して右側面に接続されている。第2の薄翼14B2は、長手方向が進行方向Fに垂直な左方向に一致するように、本体12の、ドローン10Bの進行方向Fに対して左側面に接続されている。
[第3の実施の形態]
第3の実施の形態の構成は、第1の実施の形態と同様の部分があるので、同一部分には同一の符号を付してその説明を省略し、主として異なる部分について説明する。なお、第3の実施の形態の作用は第1の実施の形態と同様であるので、その説明を省略する。
【0021】
図6の上部には、第3の実施の形態のドローン10Cの上面図が、下部には、ドローン10Cの左側面図が示されている。図6に示すように、薄翼は、第1の薄翼14N1と第2の薄翼14N2とを備えている。
【0022】
第1の薄翼14N1は、本体12の進行方向F前側上面に支柱16A1、16B1により支持された1本の薄翼である。1本の薄翼14N1は、薄翼14N1の中央が本体12の上面の前側中央に位置し且つ長手方向が進行方向Fに垂直な左右方向に一致するように、配置されている。
【0023】
第2の薄翼14N2は、本体12の進行方向F後側上面に支柱16A2、16B2により支持された1本の薄翼である。1本の薄翼14N2は、薄翼14N2の中央が本体12の上面の後側中央に位置し且つ長手方向が進行方向Fに垂直な左右方向に一致するように、配置されている。
【0024】
薄翼は、前側の第1の薄翼14N1と後側の第2の薄翼14N2とに限定されない。3以上の複数の薄翼を備えてもよい。なお、各薄翼は、長手方向が進行方向Fに垂直な左右方向に一致するように、配置されている。
【0025】
本実施の形態は、第1の実施の形態より、薄翼14による揚力を増加させることができる。
[第4の実施の形態]
第4の実施の形態の構成は、第1の実施の形態と同様の部分があるので、同一部分には同一の符号を付してその説明を省略し、主として異なる部分について説明する。なお、第4の実施の形態の作用は第1の実施の形態と同様であるので、その説明を省略する。
【0026】
図7の上部には、第4の実施の形態のドローン10Dの上面図が、下部には、ドローン10Dの左側面図が示されている。図7に示すように、ドローン10Dは、第1の薄翼14M1と、第2の薄翼14M2とを備えている。
【0027】
第1の薄翼14M1は、本体12の上面に支柱16A、16Bにより支持された1本の薄翼であり、第1の実施の形態の薄翼14と同様である。
【0028】
第2の薄翼14M2は、本体12の下面の2本の支柱(支柱16Aに対応し且つ本体12の下面に接続された支柱16A12と、支柱16Bに対応し且つ本体12の下面に接続された支柱とである)により支持された1本の薄翼である。第2の薄翼14M2は、薄翼14M2の中央が本体12の下面の中央に位置し且つ長手方向が進行方向Fに垂直な左右方向に一致するように、配置されている。
【0029】
なお、ドローン10Dを支持する脚部は省略されている。
【0030】
薄翼は、上側の第1の薄翼14M1と下側の第2の薄翼14M2とに限定されない。上側及び下側の各々に、複数の薄翼を備えてもよい。なお、各薄翼は、長手方向が進行方向Fに垂直な左右方向に一致するように、配置されている。
【0031】
本実施の形態は、第1の実施の形態より、薄翼14による揚力を増加させることができる。
[第5の実施の形態]
第5の実施の形態の構成は、第1の実施の形態と同様の部分があるので、同一部分には同一の符号を付してその説明を省略し、主として異なる部分について説明する。
【0032】
図8の上部には、第5の実施の形態のドローン10Eの上面図が、下部には、ドローン10Eの左側面図が示されている。図8に示すように、本体12の後側に、1個のモータ27と、1個のモータ27により回転する1個のプロペラ25とを備えている。
【0033】
第4の実施の形態の作用は、第1の実施の形態と略同様であるので、主として異なる部分のみ説明する。即ち、モータ27によりプロペラ25が回転することにより、進行すると共に、薄翼14に発生する揚力を大きくすることができる。
【0034】
モータ27及びプロペラ25は、本体12の後側に配置することに限定されず、本体12の前側に配置してもよい。
【0035】
なお、モータ27及びプロペラ25は、その他の実施の形態及び変形例(例えば、第2~第4実施の形態とそれらの変形例、第6の実施の形態、第1の変形例~第3の変形例)にも適用することができる。
[第6の実施の形態]
第6の実施の形態の構成は、第1の実施の形態と同様の部分があるので、同一部分には同一の符号を付してその説明を省略し、主として異なる部分について説明する。なお、第2の実施の形態の作用は第1の実施の形態と同様であるので、その説明を省略する。
【0036】
図9の上部には、第6の実施の形態のドローン10Fの上面図が、下部には、ドローン10Fの左側面図が示されている。図9に示すように、ドローン10Fは、第1の実施の形態のドローン10Aの、アーム20N1、20N4と、モータ22N1、22N4と、プロペラ24N1、24N4と、を備えていない。ドローン10Fは、本体12に進行方向F前側に接続されたアーム20N10と、アーム20N10の先端に設けられた1個のモータ22N10と、1個のモータ22N10により回転する1個のプロペラ24N10と、を備えている。
【0037】
本実施の形態は、第1の実施の形態より、構成を簡略化することができる。
[変形例]
次に、第1の変形例~第3の変形例を説明する。第1の変形例~第3の変形例の構成は、第1の実施の形態と同様の部分があるので、同一部分には同一の符号を付してその説明を省略し、主として異なる部分について説明する。
(第1の変形例)
図10には、第1の変形例のドローンの傾斜状態変更機構が示されている。第1の変形例のドローンの薄翼14は、本体12に支柱152により支持されている。支柱152の一端は、本体12の上面の中央に固定され、支柱152の他端は、ユニバーサルジョイント150を介して、薄翼14の中央に固定されている。よって、薄翼14の中央が本体12の上面の中央上部に位置し且つ長手方向が進行方向Fに垂直な左右方向に一致するように、配置されている。
【0038】
薄翼14の裏面(即ち、本端12の上面に向く面)には、各々ユニバーサルジョイント150に接続された第1の支持柱142、第2の支持柱144、第3の支持柱146、及び第4の支持柱146が設けられている。第1の支持柱142は、ユニバーサルジョイント150から進行方向F後側の端まで伸びている。第2の支持柱144は、ユニバーサルジョイント150から進行方向Fに垂直は右側の端まで伸びている。第3の支持柱146は、ユニバーサルジョイント150から進行方向F前側の端まで伸びている。第4の支持柱146は、ユニバーサルジョイント150から進行方向Fに垂直な左側の端まで伸びている。
【0039】
薄翼14は、支柱152に、ユニバーサルジョイント150を中心に3次元的に傾斜可能である。
【0040】
第1の変形例のドローンは、薄翼14の傾斜状態を変更させる傾斜状態変更機構を備えている。
【0041】
図10に示すように、傾斜状態変更機構は、第1の変更機構162、第2の変更機構164、第3の変更機構166、及び第4の変更機構168を備えている。第1の変更機構162、第2の変更機構164、第3の変更機構166、及び第4の変更機構168はそれぞれ、本体12の上面を、本体12の上面の中央を中心に進行方向Fと進行方向Fに垂直な方向とに分割した4つの領域の各領域の中央に配置されている。
【0042】
第1の変更機構162は、上記4つの領域の内の左後側の領域に配置されている。第2の変更機構164は、上記4つの領域の内の右後側の領域に配置されている。第3の変更機構166は、上記4つの領域の内の右前側の領域に配置されている。第4の変更機構168は、上記4つの領域の内の左前側の領域に配置されている。
【0043】
図11には、第1の変形例のドローンの各変更機構の上端が薄翼14の裏面に固定された位置が示されている。図11に示すように、第1の変更機構162の上端162Cは、翼14の裏面の、上記左後側の領域に対応する領域に配置されている。第2の変更機構164の上端164Cは、翼14の裏面の、上記右後側の領域に対応する領域に配置されている。第3の変更機構166の上端166Cは、翼14の裏面の、上記右前側の領域に対応する領域に配置されている。第4の変更機構168の上端168Cは、翼14の裏面の、上記左前側の領域に対応する領域に配置されている。
【0044】
第1の変更機構162、第2の変更機構164、第3の変更機構166、及び第4の変更機構168の各構成は同様であるので、第1の変更機構162の構成を説明し、第2の変更機構164、第3の変更機構166、及び第4の変更機構168の構成の説明を省略する。
【0045】
図12には、第1の変更機構162の構成が示されている。図12に示すように、第1の変更機構162は、ねじ駆動式の電動リニアアクチュエータにより構成されている。具体的には、第1の変更機構162は、表面にはねじ部が形成された円柱162P1と、内部に、円柱162P1の表面のはねじ部と接続(係合)されるねじ溝部が形成された支持部材162P2と、支持部材162P2の内部に配置され、円柱162P1の表面のはねじ部と接続(係合)されるねじ溝部が形成された回転部材162P3と、支持部材162P2の内部に配置され、回転部材162P3を回転させるモータ162P4と、を備えている。
【0046】
モータ162P4を第1の方向に回転させると、回転部材162P3が回転し、円柱162P1が上昇し、モータ162P4を第1の方向と逆の第2の方向に回転させると、回転部材162P3が逆回転し、円柱162P1が下降する。
【0047】
例えば、第1に、図示しない制御装置(例えば、フライトコントローラ)が、薄翼14が水平の状態から、第1の変更機構162及び第2の変更機構164の各々のモータ162P4を第1の方向に同じ回転数だけ回転させると、第1の変更機構162及び第2の変更機構162の各々の円柱162P1が上昇し、薄翼14の進行方向後側が上方に傾斜する。
【0048】
第2に、制御装置が、薄翼14が水平の状態から、第3の変更機構166及び第4の変更機構168の各々のモータ162P4を第1の方向に同じ回転数だけ回転させると、第3の変更機構166及び第4の変更機構168の各々の円柱162P1が上昇し、薄翼14の進行方向前側が上方に傾斜する。
【0049】
よって、第1の場合及び第2の場合、ドローン10Aの下側及び上側へのピッチ方向を変化させることができる。
【0050】
第3に、制御装置が、薄翼14が水平の状態から、第4の変更機構168のみのモータ162P4を第1の方向に同じ回転数だけ回転させると、第4の変更機構168の円柱162P1が上昇し、薄翼14の進行方向から見て右前側のみが上方に傾斜するようにねじれる。
【0051】
よって、ドローン10Aの進行方向に沿って右側へのヨー方向又はローリング方向を変化させることができる。
【0052】
第4に、制御装置が、薄翼14が水平の状態から、第2の変更機構164及び第4の変更機構168の各々のモータ162P4を第1の方向に同じ回転数だけ回転させると、第2の変更機構164及び第4の変更機構168の各々の円柱162P1が上昇し、薄翼14の進行方向から見て左後側及び右前側が上方に傾斜するようにねじれる。
【0053】
よって、ドローン10Aの進行方向に沿って右側へのヨー方向又はローリング方向を、第3の場合より大きく変化させることができる。
【0054】
第5に、制御装置が、薄翼14が水平の状態から、第3の変更機構166のみのモータ162P4を第1の方向に同じ回転数だけ回転させると、第3の変更機構166の円柱162P1が上昇し、薄翼14の進行方向から見て左前側のみが上方に傾斜するようにねじれる。
【0055】
よって、ドローン10Aの進行方向に沿って左側へのヨー方向又はローリング方向を変化させることができる。
【0056】
第6に、制御装置が、薄翼14が水平の状態から、第1の変更機構162及び第3の変更機構166の各々のモータ162P4を第1の方向に同じ回転数だけ回転させると、第1の変更機構162及び第3の変更機構166の各々の円柱162P1が上昇し、薄翼14の進行方向から見て右後側及び左前側が上方に傾斜するようにねじれる。
【0057】
よって、ドローン10Aの進行方向に沿って左側へのヨー方向又はローリング方向を、第5の場合より大きく変化させることができる。
【0058】
次に、第1の変形例の作用を説明する。
【0059】
制御装置が、モータ22N1~22N4を制御することにより、プロペラ24N1~24N4の回転速度を制御する。これにより、ドローン10Aが上昇又は下降したり、ドローン10Aのヨー方向、ピッチ方向、又はローリング方向が変化したりする。
【0060】
また、制御装置は、傾斜状態変更機構を制御して、即ち、第1の変更機構162、第2の変更機構164、第3の変更機構166、及び第4の変更機構168を選択的に制御して、ドローン10Aのヨー方向、ピッチ方向、又はローリング方向を変化させる。
【0061】
このように、ドローン10Aのヨー方向、ピッチ方向、又はローリング方向を変化させるために第1の変形例は、モータ22N1~22N4と傾斜状態変更機構とを制御する。
【0062】
以上説明したように第1の変形例は、ドローン10Aのヨー方向、ピッチ方向、又はローリング方向を変化させるために、モータ22N1~22N4と傾斜状態変更機構とを制御するので、ドローン10Aのヨー方向、ピッチ方向、又はローリング方向を迅速に変化させることができる。
【0063】
第1の変更機構162、第2の変更機構164、第3の変更機構166、及び第4の変更機構168の構成は、ねじ駆動式のアクチュエータに限定されない。ラックアンドピニオン式のアクチュエータでもよい。
【0064】
第1の変更機構162、第2の変更機構164、第3の変更機構166、及び第4の変更機構168の構成は、電動リニアアクチュエータに限定されず、例えば、空圧シリンダ又は液(油又は水)圧シリンダのアクチュエータでもよい。即ち、空気圧又は液(油又は水)圧により円柱(ピスト)を上昇及び下降させる構成でもよい。
(第2の変形例)
図13には、第2の変形例のドローンの傾斜状態変更機構の、進行方向Fから見て左側の第1の変更機構の側面図が示されている。図14には、第2の変形例のドローンの傾斜状態変更機構の断面図が示されている。
【0065】
第2の変形例のドローンは、薄翼と、薄翼の傾斜状態を変更する傾斜状態変更機構とを備えている。
【0066】
第2の変形例のドローンの薄翼は、進行方向Fから見て左側の第1の薄翼14Lと、進行方向Fから見て右側の第2の薄翼14Rと、を備える。
【0067】
第2の変形例のドローンの傾斜状態変更機構は、第1の薄翼14Lの傾斜状態を進行方向Fの前側を上向き又は下向きに変更する第1の変更機構と、第2の薄翼14Rの傾斜状態を進行方向Fの前側を上向き又は下向きに変更する第2の変更機構と、を備える。第1の変更機構及び第2の変更機構は同一の構成であるので、以下、第1の変更機構の構成を説明し、第2の変更機構の構成の説明を省略する。
【0068】
第1の変更機構は、第1の薄翼14Lに接続する接続部材140Lと、接続部材140Lに接続された支柱板16Lと、支柱板16Lを支持する第1の支持板52L及び第2の支持板54Lと、を備える。
【0069】
第1の支持板52Lは、本体12の中央側に配置され、回転溝52LCが形成されている。第2の支持板54Lは、本体の中央から左側に配置され、回転貫通孔54Lが形成されている。
【0070】
支柱板16Lには、軸160Lが貫通且つ固定されている。軸160Lの一端(本体12の中央側の端)は、第1の支持板52Lに形成された回転溝52LCに挿入されている。軸160Lの、上記一端から離れる側は、第2の支持板54Lに形成された回転貫通孔54LCを貫通している。軸160Lの他端は回転板58Lの中心に固定されている。回転板58Lの外周面(側面)には、歯車(図示省略)が形成されている。回転板58Lには、回転板58Lの側面の歯車(図示省略)に噛み合う歯車(図示省略)が外周面(側面)に形成された回転部材60Lが隣接し、回転部材60Lはモータ62Lにより回転する。
【0071】
モータ62Lにより回転部材60Lが第1の方向に回転すると、回転板58Lが第1の方向とは逆の第2の方向に回転し、これに伴って軸160Lが回転し、支柱17Lが軸160Lを中心に、第2の方向に回転し、第1の薄翼14Lの傾斜状態を進行方向Fの前側を上向きに変更することができる。
【0072】
モータ62Lにより回転部材60Lが第2の方向に回転すると、第1の薄翼14Lの傾斜状態を進行方向Fの前側を下向きに変更することができる。
【0073】
次に、第2の変形例の作用を説明する。
【0074】
制御装置が、モータ22N1~22N4を制御することにより、プロペラ24N1~24N4の回転速度を制御する。これにより、ドローン10Aが上昇又は下降したり、ドローン10Aのヨー方向、ピッチ方向、又はローリング方向が変化したりする。
【0075】
また、制御装置は、傾斜状態変更機構を制御して、即ち、第1の変更機構、第2の変更機構を制御して、ドローン10Aのヨー方向、ピッチ方向、又はローリング方向を変化させる。例えば、第1の変更機構及び第2の変更機構を同時に同様に変化させることにより、ドローン10Aのピッチ方向を変化させる。第1の変更機構及び第2の変更機構を同時に逆方向に変化させることにより、第1の薄翼14Lと第2の薄翼14Rとが逆方向に傾斜して、第1の薄翼14L及び第2の薄翼14Rの全体が中央を基準にねじれ、ドローン10Aのヨー方向及びローリング方向を変化させる。
【0076】
このように、第2の変形例は、ドローン10Aのヨー方向、ピッチ方向、又はローリング方向を変化させるために、モータ22N1~22N4と傾斜状態変更機構とを制御する。
【0077】
以上説明したように第2の変形例は、ドローン10Aのヨー方向、ピッチ方向、又はローリング方向を変化させるために、モータ22N1~22N4と傾斜状態変更機構とを制御するので、ドローン10Aのヨー方向、ピッチ方向、又はローリング方向を迅速に変化させることができる。
(第3の変形例)
図15には、第3の変形例のドローンの傾斜状態変更機構が示されている。
【0078】
第3の変形例のドローンは、薄翼と、薄翼の傾斜状態を変更する傾斜状態変更機構とを備えている。
【0079】
第3の変形例のドローンの薄翼は、進行方向Fから見て左側の第1の薄翼14Lと、進行方向Fから見て右側の第2の薄翼14Rと、を備える。
【0080】
第3の変形例のドローンの傾斜状態変更機構は、第1の薄翼14Lの傾斜状態を進行方向Fの前側を上向き又は下向きに変更する第1の傾斜状態変更機構と、第2の薄翼14Rの傾斜状態を進行方向Fの前側を上向き又は下向きに変更する第2の傾斜状態変更機構と、を備える。第1の傾斜状態変更機構及び第2の傾斜状態変更機構は、第1の変形例の傾斜状態変更機構と同一の構成であるので、それらの説明を省略する。
【0081】
第1の傾斜状態変更機構及び第2の傾斜状態変更機構の構成は、ねじ駆動式又はラックアンドピニオン式等の電動アクチュエータ、空圧シリンダ又は液(油又は水)圧シリンダのアクチュエータでもよい。
【0082】
以上説明した実施の形態及び各変形例では、ドローン10を用いて説明したが、本開示の技術はこれに限定されない。例えば、ドローンに代えて、その他の無人飛行機、更には、有人航空機を用いてもよい。
【0083】
本開示において、各構成要素(装置等)は、矛盾が生じない限りは、1つのみ存在しても2つ以上存在してもよい。
【0084】
以上説明した情報出力処理はあくまでも一例である。従って、主旨を逸脱しない範囲内において不要なステップを削除したり、新たなステップを追加したり、処理順序を入れ替えたりしてもよいことは言うまでもない。
【0085】
本明細書に記載された全ての文献、特許出願、及び技術規格は、個々の文献、特許出願、及び技術規格が参照により取り込まれることが具体的にかつ個々に記載された場合と同様に、本明細書中に参照により取り込まれる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15