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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-27
(45)【発行日】2024-10-07
(54)【発明の名称】測長装置
(51)【国際特許分類】
   G01B 5/02 20060101AFI20240930BHJP
   G01B 5/24 20060101ALI20240930BHJP
【FI】
G01B5/02
G01B5/24
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020177036
(22)【出願日】2020-10-22
(65)【公開番号】P2021181974
(43)【公開日】2021-11-25
【審査請求日】2023-09-27
(31)【優先権主張番号】P 2020084212
(32)【優先日】2020-05-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】599047228
【氏名又は名称】菅機械産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121773
【弁理士】
【氏名又は名称】相原 正
(72)【発明者】
【氏名】菅 英治
【審査官】三笠 雄司
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-152400(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0097628(US,A1)
【文献】特開2009-192254(JP,A)
【文献】特開2012-2706(JP,A)
【文献】特開2006-21361(JP,A)
【文献】特開2017-217713(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0277389(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 5/00- 5/30
B23Q 17/00-17/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
切断刃を有する切断装置と組み合わせて使用され、前記切断刃により切断されるワークの長さを測定する測長装置において、
測長時に前記切断装置に対して相対的に固定されるスライドレールと、
前記スライドレールにスライド自在に設置されたスライド部であって、
スライド本体と、
前記スライド本体の前記スライドレールに対するスライド距離を測定する測長器と、
切断位置に設置される前記ワークに当接するアーム部材と、
を有するスライド部と、を備え、
前記スライド部は、
前記アーム部材の前記ワークに当接する先端部に設置され、前記切断刃に当接して前記切断刃の切断角度を計測する角度ゲージ部材であって、
前記アーム部材に設置される角度ゲージベース部と、前記角度ゲージベース部に対して前記測長器の測長方向と直交する方向にスライド自在に設置された角度ゲージスライド部と、を有するベース台と、
前記角度ゲージスライド部に固定された角度ゲージと、
前記角度ゲージに対して回動自在に設置された、前記切断刃に接触する当接面を有する回動当接部と、
を備え、前記回動当接部の前記角度ゲージに対する回動角度を測定可能な角度ゲージ部材をさらに備えることを特徴とする測長装置。
【請求項2】
前記角度ゲージ部材は、前記アーム部材の前記先端部に着脱自在に設置されていることを特徴とする請求項1記載の測長装置。
【請求項3】
前記角度ゲージ部材は、前記切断角度を計測する際に、前記当接面が前記アーム部材の前記ワークに当接する先端よりも先端側に突出するように構成されていることを特徴とする請求項1又は2記載の測長装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、切断装置により切断されるワークの長さを測定する測長装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、被加工物であるワークに対して、切断加工を行う切断装置が広く知られている。このような切断装置において、ワークに対して正確な切断位置で切断するためには、ワークの所望の場所から切断位置までの長さを正確に測定する必要がある。
【0003】
このため、切断装置により切断されるワークの長さを測定する測長装置が提供されており、例えば、下記特許文献1,2に、このような測長装置が開示されている。特許文献1,2に開示された測長装置は、スライドレールに対してスライド自在に設置された測長器を有するスライド体に、ワークの端面に当接する当接部を設け、この当接部がワークの端面に当接した状態での測定器の測定値からワークの長さを測定するよう構成されている。
【0004】
ここで、切断装置においては、ワークの測長方向に対して垂直ではなく、所定の角度傾斜した切断角度でワークを切断する場合があり、このような場合には、切断装置の切断刃を所定の角度旋回させた状態でワークを切断する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2012-002706号公報
【文献】特開2015-152400号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、切断装置の切断刃を所定の角度の位置に正確に位置決め旋回するのは困難であり、所望の切断角度に対して、数度以上のずれが生じてしまう場合が多い。
【0007】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、切断装置の切断刃を所望の切断角度の位置に正確に位置決めすることのできる測長装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明に係る測長装置は、切断刃を有する切断装置と組み合わせて使用され、前記切断刃により切断されるワークの長さを測定する測長装置において、測長時に前記切断装置に対して相対的に固定されるスライドレールと、前記スライドレールにスライド自在に設置されたスライド部であって、スライド本体と、前記スライド本体の前記スライドレールに対するスライド距離を測定する測長器と、切断位置に設置される前記ワークに当接するアーム部材と、を有するスライド部と、を備え、前記スライド部は、前記アーム部材の前記ワークに当接する先端部に設置され、前記切断刃に当接して前記切断刃の切断角度を計測する角度ゲージ部材であって、前記アーム部材に設置される角度ゲージベース部と、前記角度ゲージベース部に対して前記測長器の測長方向と直交する方向にスライド自在に設置された角度ゲージスライド部と、を有するベース台と、前記角度ゲージスライド部に固定された角度ゲージと、前記角度ゲージに対して回動自在に設置された、前記切断刃に接触する当接面を有する回動当接部と、を備え、前記回動当接部の前記角度ゲージに対する回動角度を測定可能な角度ゲージ部材をさらに備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る測長装置によれば、切断装置による切断前に、測長装置に設置された角度ゲージ部材により切断刃の切断角度を計測することで、切断刃を所望の切断角度の位置に正確に位置決めして、ワークを切断することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本発明の第一実施形態に係る測長装置の斜視図である。
図2図2は、本発明の第一実施形態に係る角度ゲージ部材の構成を示す図である。
図3図3は、本発明の第一実施形態に係る角度ゲージ部材の設置状態を説明するための図である。
図4図4は、本発明の第一実施形態に係る測長装置の使用態様を説明するための斜視図である。
図5図5は、本発明の第一実施形態に係る測長装置の使用態様を説明するための平面図である。
図6図6は、本発明の第一実施形態に係る測長装置の使用態様を説明するための平面図である。
図7図7は、本発明の第一実施形態に係る測長装置の使用態様を説明するための平面図である。
図8図8は、本発明の第二実施形態に係る角度ゲージ部材の構成を示す図である。
図9図9は、本発明の第二実施形態に係る測長装置の使用態様を説明するための平面図である。
図10図10は、本発明の第二実施形態に係る測長装置の使用態様を説明するための平面図である。
図11図11は、本発明の第二実施形態に係る測長装置の使用態様を説明するための平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しながら、本発明の第一実施形態に係る測長装置について説明する。測長装置1は、切断装置9により所定の長さに切断されるワークの長さを計測するものであるが、さらに、切断装置9の切断刃91の切断角度を計測することもでき、切断刃91を所望の切断角度に位置決めできることを特徴とする。
【0012】
測長装置1は、切断装置9に対して固定されるベース部10と、ベース部10に対してスライド自在に設置されたスライド部20とを備えている。ベース部10は、長板形状のベース台11と、長尺方向(測長方向)に平行にベース台11上に設置されたスライドレール13とを備えている。
【0013】
スライドレール13は、その長尺方向であるスライド方向の両側面にスライド方向に延在する一対のスライド溝14が形成されている。また、スライドレール13の長手方向両端には、スライド部20がスライドレール13の末端から離脱するのを防ぐためのスライドストッパー15が設置されている。
【0014】
スライド部20は、スライド本体21と、ワークに接触するアーム部材30と、角度ゲージ部材40と、デジタル測長器60とを備え、スライド本体21がスライドレール13に対して長尺方向にスライド自在に設置されている。
【0015】
スライド本体21は、スライド本体21に固定されたリニアガイド22と、スライド本体21をスライドレール13に対してスライドできないように固定するためのクランプ25と、アーム部材30を保持するためのアーム保持部27とを備える。
【0016】
アーム保持部27は、スライド方向に延在するアーム支持軸28と、アーム支持軸28が貫通するスプリング29とを備える。スプリング29は、縮んだ状態でアーム支持軸28により支持されるアーム部材30に接触して設置されており、その弾性力により、スライド方向においてアーム部材30を切断装置9による切断位置に向けて付勢するように構成されている。
【0017】
クランプ25は、クランプレバーを操作することで、スライド本体21をスライドレール13に対して固定する固定状態と、スライド本体21をスライドレール13に対してスライド自在に解放する固定解除状態とを切り換えることができる。
【0018】
アーム部材30は、スライド本体21のアーム支持軸28が貫通する支持軸穴が形成された根元部32と、根元部32から加工位置に向けて伸びるバー部35とを備えている。バー部35は、測長の際に、その先端がワークに接触する。バー部35は、その先端部に、角度ゲージ部材40を着脱可能に連結固定するための連結穴36が形成されている。
【0019】
角度ゲージ部材40は、アーム部材30の先端に取り付けた状態で、切断装置9の切断刃91の切断角度を計測するために使用される。図2(a)は、角度ゲージ部材40の平面図、図2(b)は、角度ゲージ部材40の正面図、図2(c)は、角度ゲージ部材40の底面図である。図3(a)は、アーム部材30のバー部35から、着脱自在な角度ゲージ部材40を外した状態を示す斜視図、図3(b)は、アーム部材30のバー部35に角度ゲージ部材40を設置した状態を示す斜視図である。
【0020】
角度ゲージ部材40は、切断刃91の初期位置からの旋回角度を切断角度として計測する。通常、平面視において、切断刃91が測長装置1のスライド方向(ワークの測長方向)に垂直な状態が初期位置となるが、もちろん、切断刃91の初期位置は適宜変更可能である。
【0021】
角度ゲージ部材40は、長板形状のゲージベース台41と、ゲージベース台41の上面に固定されたデジタル角度ゲージ50と、切断刃91に接触する回動当接部57とを備えている。ゲージベース台41は、アーム部材30のバー部35の先端部に着脱自在であり、連結固定するための固定ねじ42と、バー部35の連結穴36に挿入される略円筒状の連結凸部43とを備えている。
【0022】
デジタル角度ゲージ50は、測定角度の入力軸である入力軸51と、測定結果をデジタル表示するディスプレイである表示部52と、測定角度を0°にリセットするリセットボタン53とを備えている。
【0023】
回動当接部57は、デジタル角度ゲージ50の入力軸51に固定されており、入力軸51と一体に回動する。回動当接部57は、平面視において略T字形状をしており、T字形状の根元部分が入力軸51に固定されて回動中心となり、T字形状の上端部は、回動先端となり、切断刃91への当接面57aとして機能する。
【0024】
デジタル角度ゲージ50は、平面視において反時計回り方向を正方向として計測しており、リセットボタン53により測定確度がリセットされた位置を基準位置として、この基準位置からの回動角度を測定値として表示部52に表示する。このとき、デジタル角度ゲージ50は、回動当接部57の基準位置からの総回動角度ではなく、回動当接部57が現在位置する場所の基準位置からの角度を表示するように構成されている。
【0025】
本実施形態では、角度ゲージ部材40の切断刃91への接触部となる当接面57aが、後述する初期位置の切断刃91に接触する基準位置に位置する際に、アーム部材30のバー部35の先端よりも先端側に10cm程度突出する位置に設置されている。通常、ワークの切断作業のための測長の際には、スライド本体21を切断位置方向へスライドさせることで、アーム部材30の先端を切断刃91の下方の切断位置に設置されているワークに対して接触させる。
【0026】
このため、切断現場では、測長装置1を切断装置9に対して固定する際に、種々の大きさのワーク切断長さ(例えば、短い切断長さ)に対応できるように、スライド本体21を最も切断位置側へスライドさせた際に、バー部35の先端が切断位置近傍に位置するように固定されるケースが多い。
【0027】
よって、角度ゲージ部材40の切断刃91との当接面57aが、バー部35の先端近傍に位置していると、スライド本体21を最も切断位置側へスライドさせても、当接面57aが切断刃91に到達しないケースも起こり得る。
【0028】
これに対して、本実施形態のように、初期位置に位置する当接面57aをバー部35の先端よりも先端側(切断位置側)に10cm突出するように、角度ゲージ部材40を構成しアーム部材30に設置することで、当接面57aをより確実に切断刃91に接触させて、角度ゲージ部材40による角度測定をより確実に行うことができる。
【0029】
もちろん、当接面57aのバー部35の先端からの突出長さは適宜変更可能であり、当接面57aをより確実に切断刃91の表面に到達させるためには、バー部35の先端よりも先端側に突出して位置させるのが望ましく、望ましくは3cm以上、より望ましくは7cm以上突出させるのが望ましい。
【0030】
デジタル測長器60は、スライド本体21のスライドレール13に対するスライド距離を測定する測距部61(図示せず)と、測距部61が測定した測定値をデジタル表示するディスプレイである表示部62と、測距部61の測定値をリセットするリセットボタン65(図示せず)とを備えている。
【0031】
ここで、測長装置1は、ワークの加工位置(切断位置)から測定対象であるワークの所定の部分までの距離を測定するためのものであり、測距部61は、リセットボタン65によりスライド距離がリセットされた場所を原点として、この原点からの距離を測定値として出力するように構成されている。
【0032】
測距部61は、加工位置から離れる方向(図4において略右方向)を正方向として計測しており、原点からのスライド本体21の総スライド距離ではなく、スライド本体21が現在位置する場所の原点からの距離を表示するよう構成されている。
【0033】
なお、上述したデジタル角度ゲージ50及びデジタル測長器60は、内蔵電池(図示せず)で駆動され、電源にコードで接続する必要がないため、測長装置1は配線不要で設置場所を自由に選択することができる。
【0034】
続いて、測長装置1が連結固定される切断装置9の構成について、図4等を参照しながら説明する。切断装置9は、ワークを切断する回転刃である切断刃91と、ワークを切断する切断位置と退避位置との間で切断刃91を上下方向に移動させるための進退レバー92と、切断時にワークを固定して保持しておくワーク固定部材95とを備えている。
【0035】
また、切断装置9は、進退レバー92を操作することで、平面視において、円板形状の切断刃91の最下端の下方に位置する切断位置を中心にして、切断刃91が旋回可能に構成されている。このように、進退レバー92は、旋回レバー兼用である。
【0036】
本実施形態では、測長装置1のスライド方向である測長方向に対して切断刃91が垂直となる位置を初期位置(0°)として、切断刃91は、時計回り及び反時計回りの両方向に0~65°程度旋回可能に構成されている。
【0037】
以上、測長装置1及び切断装置9の構成について説明したが、続いて、切断装置9によりワークを所定の切断角度で所定の長さに切断して切り出す切断処理の手順について、図5図7等を参照しながら説明する。本実施形態では、切断刃91を初期位置から45°旋回させてワークを切断する場合について説明する。図5及び図6では、切断刃91が初期位置である切断角度0°の状態、図7では、切断刃91が切断角度45°の位置に旋回した状態を示している。
【0038】
本実施形態における切断処理は、まず、角度ゲージ部材40により切断装置9の切断刃91を所定の切断角度に正確に旋回させて位置させた後、測長装置1によりワークの切断長さを測定しながらワークを設置し、最後に切断装置9によりワークの切断を行う。
【0039】
具体的には、ワークを設置する前に、まず、測長装置1(デジタル測長器60)の原点リセットを行う。デジタル測長器60のスライド距離の原点リセットは、切断装置9の切断刃91が測長方向に直交する初期位置(0°)に位置させた状態で行い、スライド部20をスライドさせて、角度ゲージ部材40を外したアーム部材30の先端を切断刃91の表面に当接させる(図5参照)。このように、アーム部材30の先端を正確に切断位置に位置させた状態で、デジタル測長器60のリセットボタン65を押して、測定値を0にリセットする。
【0040】
続いて、切断刃91の切断角度の調整を行う。まず、角度ゲージ部材40をアーム部材30の先端に固定設置する。具体的には、角度ゲージ部材40の連結凸部43をバー部35の連結穴36に挿入した後、固定ねじ42を締めることで、角度ゲージ部材40をバー部35に対して固定する。
【0041】
本実施形態では、上述した初期位置(0°)を基準位置とするため、スライド部20をスライドさせて、初期位置に位置した切断刃91の測長装置1側の表面に対して、角度ゲージ部材40の当接面57aを面接触させる(図6参照)。接触後、デジタル角度ゲージ50のリセットボタン53を押して測定角度を0°にリセットする。
【0042】
続いて、スライド部20をスライドさせることで角度ゲージ部材40を退避させて、切断刃91を所望の切断角度である45°の位置へと旋回させる。通常、切断角度が可変で旋回可能な切断装置9では、切断刃91の旋回角度の目安となる角度メモリが設置されているので、操作者は、この角度メモリを目視しながら、切断刃91を所望の角度位置へと旋回させることができる。
【0043】
旋回後、切断刃91の切断角度が正確に45°となるように微調整を行う。微調整にあたっては、角度ゲージ部材40の当接面57aを切断刃91に当接させる(図7参照)ことで、角度ゲージ部材40による切断刃91の切断角度の測定を繰り返し、その測定値が正確に45°となるように、旋回角度の微調整を行う。
【0044】
切断刃91の切断角度の調整後、バー部35から角度ゲージ部材40を取り外し、続いて、ワークを所望の長さで切り出せるように、デジタル測長器60により測長を行いながら、スライド部20の位置決めを行う。
【0045】
具体的には、ワークに当接するアーム部材30のバー部35の先端が切断位置から所望の長さ離れた場所に位置するように、スライド部20をスライドさせる。スライド部20を加工位置から離れる方向にスライドさせると、デジタル測長器60の表示部62には、先ほど測定値をリセットした位置(切断位置)からスライド本体20の移動距離、すなわち、バー部35の先端の切断位置からの距離が表示される。
【0046】
そして、表示部62の測定値が、所望の長さの数値となる位置でスライド部20を停止して固定する。そうすると、原点である切断位置からワーク当接基準面となるバー部35の先端までの距離が、所望の長さと等しくなる。
【0047】
続いて、ワークを切断装置9へとセットする。このとき、ワークの切断箇所と反対側の部分がバー部35の先端に接触するよう設置する。この状態で、ワーク固定部材95によりワークをしっかりと固定し、進退バー92を操作することで、45°に旋回した状態の切断刃91を下降させれば、所望の長さで切断面が測長方向に対して45°傾斜したワークを切り出すことができる。
【0048】
以上、本実施形態に係る測長装置1について詳細に説明したが、測長装置1によれば、スライド部20のワークに当接するアーム部材30の先端部に角度ゲージ部材40を着脱可能に設置することで、切断刃91の切断角度を事前に正確に測定し、切断刃の切断角度を所望の角度に正確に微調整することができ、ワークを所望の切断角度で正確に切断することができる。
【0049】
また、本実施形態では、切断刃91の切断角度を測定する角度ゲージ部材40を切断装置9に設けるのではなく、切断装置9とは別体の測長装置1に設置することで、既存の切断装置9に対して変更を加えることなく、後付けの測長装置1により、容易に切断角度を正確に計測することができようになる。
【0050】
なお、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。例えば、本実施形態に係る測長装置を構成する各部材の形状やサイズは適宜変更可能である。
【0051】
また、上記実施形態では、切断装置と組み合わせて使用する測長装置を、切断装置に直接固定して設置する構成としたが、測長装置は、切断装置の傍でワークの長さを測長できるように切断装置に対して安定して相対的に固定できる構成であれば良く、切断装置の傍の床面上に設置される自立式の測長装置であっても良い。
【0052】
また、上記実施形態では、角度ゲージ部材をアーム部材のバー部の先端部に着脱自在に設置し、測長時に角度ゲージ部材を外すことで、アーム部材の先端をワークに当接できるように構成したが、測長時に、アーム部材の先端をワークに当接できる構成であれば、適宜他の構成を採用することができる。
【0053】
例えば、角度ゲージ部材を折り畳みや回動等の変形が可能な設置部材を介してアーム部材の先端部に設置し、測長時に設置部材の変形により角度ゲージ部材の回動当接部をアーム部材の根元側に移動させることで、アーム部材の先端をワークに当接するできるように構成しても良い。
【0054】
続いて、本発明の第二実施形態について、図8図11を参照しながら説明する。第二実施形態に係る測長装置1’は、角度ゲージ部材40’の構成が上記第一実施形態と異なるため、主として異なる構成部分について説明し、同様の構成については、説明を省略する。
【0055】
第一実施形態では、角度ゲージ部材40のデジタル角度ゲージ50は、ゲージベース台41を介してアーム部材30に対して固定されている。ここで、切断装置9は、装置によっては、旋回可能な切断刃91を測長方向に対して直交する初期位置(0°)に正確に位置させるのが困難な場合があり、初期位置がずれていると、角度ゲージ部材40を0°にリセットする際の基準位置がずれてしまうため、角度ゲージ部材40による切断刃91の切断角度の測定値も正確な値ではなくなってしまう。
【0056】
本実施形態では、角度ゲージ部材40’を0°にリセットする際の基準位置を、切断装置9にワークを設置する際の基準面となるワーク当接基準面93(-90°)とし、角度ゲージ部材40’の当接面57’aをワーク当接基準面93に接触させることができるように、デジタル角度ゲージ50’及び回動当接部57’を測長方向と直交する方向にスライド可能に角度ゲージ部材40’を構成したことを特徴とする。
【0057】
切断装置9のワーク当接基準面93は、切断位置に設置されたワークの測長装置1’による測長方向に平行な面として形成されており、測長方向に直交する方向において、切断刃91による切断位置から離れた場所に位置する。
【0058】
したがって、切断位置において切断刃91に接触可能に設置されている角度ゲージ部材40’の当接面57’aをワーク当接基準面93に接触させるためには、回動当接部57’を軸支するデジタル角度ゲージ50’を測長方向に直交する方向にスライド可能に構成する必要がある。
【0059】
角度ゲージ部材40’は、図8に示すように、デジタル角度ゲージ50’を測長方向と直交する方向にスライド自在に保持するゲージベース台71を備えている。ゲージベース台71は、アーム部材30に固定される角度ゲージベース部72と、角度ゲージベース部72に対して測長方向と直交する方向にスライド自在に保持される角度ゲージスライド部77とを備えている。
【0060】
角度ゲージベース部72は、アーム部材30に固定するための固定ねじ73と、アーム部材30の連結穴36に挿入される連結凸部74と、スライドレール75とを備えている。角度ゲージスライド部77は、スライドレール75にスライド自在に連結されるリニアガイド(図示せず)と、リニアガイド(図示せず)のスライドを固定するためのスライド固定ねじ79とを備えている。
【0061】
角度ゲージベース部72のスライドレール75は、測長方向と直交する方向に延在して設置されており、角度ゲージスライド部77は、測長方向と直交する方向にスライド自在であり、スライド固定ねじ79により、所定のスライド位置に固定自在である。
【0062】
デジタル角度ゲージ50’は、角度ゲージスライド部77の切断位置側の先端に固定されており、回動当接部57’とデジタル角度ゲージ50’は、一体に測長方向に直交する方向の所定の位置に固定自在である。
【0063】
したがって、アーム部材30の先端に角度ゲージ部材40’を設置した状態で、切断刃91による切断位置付近に角度ゲージ部材40’が位置するようにアーム部材30をスライドさせた後、角度ゲージスライド部77を測長方向と直交する方向においてワーク当接基準面93に近付く方向にスライドさせることで、回動当接部57’の当接面57’aをワーク当接基準面93に接触させることができる。
【0064】
第二実施形態に係る回動当接部57’は、第一実施形態と比較してT字形状の上辺部57’bが長く形成されており、さらに、上辺部57’bがその延在方向にスライド自在に構成されている。すなわち、回動当接部57’は、入力軸51’に固定されたT字形状の根元部分を中心に回動自在であると共に、当接面57’aは、上辺部57’bの延在方向にスライド自在である。このように、当接面57’aがスライド自在であれば、切断刃91やワーク当接基準面93に良好に接触させることができる。
【0065】
続いて、第二実施形態における測長装置1’による切断角度(45°)の調整処理の流れについて説明する。まず、図9に示すように、角度ゲージ部材40’を外したアーム部材30の先端を切断位置に位置する切断刃91に表面に当接させて、デジタル測長器60の原点リセットを行う。
【0066】
続いて、第一実施形態と同様に、角度ゲージ部材40’をアーム部材30の先端に設置し、スライド部20を測長方向においてスライドさせて角度ゲージ部材40’を切断位置付近まで移動させる。その後、図10に示すように、ゲージベース台71を測長方向に直交する方向にスライドさせ、当接面57’aを基準位置であるワーク当接基準面93に接触させた状態で、デジタル角度ゲージ50’の測定角度を-90°にリセットする。
【0067】
リセット後、角度ゲージ部材40’を退避させて、切断刃91を所望の切断角度である45°の位置へ旋回させてから、図11に示すように、角度ゲージ部材40’の当接面57’aを切断刃91に当接させて切断角度の測定を繰り返すことで、その測定値が正確に45°となるように、旋回角度の微調整を行う。
【0068】
以上、第二実施形態によれば、第一実施形態と同様の作用効果を奏すると共に、角度ゲージ部材40’による切断刃91の切断角度の測定を、切断刃91ではなく、切断の際にワークを設置する基準面であるワーク当接基準面93を基準にして行うことができるので、切断角度を正確に測定することができる。
【0069】
もちろん、第二実施形態においても、第一実施形態と同様に、本発明の主旨を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。
【符号の説明】
【0070】
1 測長装置
10 ベース部
11 ベース台
13 スライドレール
14 スライド溝
15 スライドストッパー
20 スライド部
21 スライド本体
22 リニアガイド
25 クランプ
27 アーム保持部
28 アーム支持軸
29 スプリング
30 アーム部材
32 根元部
35 バー部
36 連結穴
40 角度ゲージ部材
41 ゲージベース台
42 固定ねじ
43 連結凸部
50 デジタル角度ゲージ
51 入力軸
52 表示部
53 リセットボタン
57 回動当接部
57a 当接面60 デジタル測長器
61 測距部
62 表示部
65 リセットボタン
9 切断装置
91 切断刃
92 進退バー
93 ワーク当接基準面
95 ワーク固定部材
1’ 測長装置
40’ 角度ゲージ部材
71 ゲージベース台
72 角度ゲージベース部
73 固定ねじ
74 連結凸部
75 スライドレール
77 角度ゲージスライド部
79 スライド固定ねじ
50’ デジタル角度ゲージ
51’ 入力軸
57’ 回動当接部
57’a 当接面
57’b 上辺部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11