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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-27
(45)【発行日】2024-10-07
(54)【発明の名称】圧縮成形装置
(51)【国際特許分類】
   B29C 43/34 20060101AFI20240930BHJP
   B29C 43/18 20060101ALI20240930BHJP
   H01L 21/56 20060101ALI20240930BHJP
【FI】
B29C43/34
B29C43/18
H01L21/56 R
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021168583
(22)【出願日】2021-10-14
(65)【公開番号】P2023058834
(43)【公開日】2023-04-26
【審査請求日】2024-01-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000144821
【氏名又は名称】アピックヤマダ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001726
【氏名又は名称】弁理士法人綿貫国際特許・商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】田上 秀作
(72)【発明者】
【氏名】柳澤 誠
【審査官】田村 佳孝
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-159170(JP,A)
【文献】特開2019-136944(JP,A)
【文献】特開2009-088403(JP,A)
【文献】特開2019-111820(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 43/34
B29C 43/18
H01L 21/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上型もしくは下型の一方に三組のキャビティが設けられ、他方に対応する三組のワーク保持部が設けられた封止金型を用いて、三個以下のワークを一括して樹脂により封止する圧縮成形装置であって、
前記ワークの供給を行うワーク供給ユニットと、前記樹脂の供給を行う樹脂供給ユニットと、前記封止金型が配設されて前記ワークを樹脂封止して成形品への加工を行うプレスユニットと、前記成形品の収納を行う成形品収納ユニットと、を備え、
所定のX方向に沿って、前記ワーク供給ユニット、前記プレスユニット、前記樹脂供給ユニット、前記成形品収納ユニットの順、もしくは、前記ワーク供給ユニット、前記プレスユニット、前記樹脂供給ユニット、前記プレスユニット、前記成形品収納ユニットの順に配置されており、
前記成形品をガイドに沿って搬送する成形品ローダと、
前記樹脂を第1位置から第2位置へ搬送し、前記第2位置から前記X方向に向かって前記封止金型内へ搬送する樹脂ローダと、を備え、
前記樹脂ローダは、前記第1位置にてディスペンサから供給された顆粒状、粉末状、または液状の前記樹脂を載置する構成であり、
前記第1位置は、前記ガイドを挟んで前記第2位置と反対側であること
を特徴とする圧縮成形装置。
【請求項2】
前記ワーク供給ユニットと前記プレスユニットとの間で前記ワークの搬送を行うワーク搬送部をさらに備え、
前記ワーク搬送部及び前記成形品ローダと、前記樹脂ローダとの間に、仕切りが設けられていること
を特徴とする請求項1記載の圧縮成形装置。
【請求項3】
前記ワーク搬送部は、前記ワークを前記X方向と直交するY方向に沿って前記封止金型内へ搬入するワークローダを有すること
を特徴とする請求項2記載の圧縮成形装置。
【請求項4】
前記ワークの収容に用いられるワークストッカと、前記成形品の収容に用いられる成形品ストッカと、前記樹脂の収容に用いられる樹脂ストッカと、を備え、
前記ワークストッカ及び前記成形品ストッカは、相対的に装置上方側に配置されており、
前記樹脂ストッカは、相対的に装置下方側に配置されていること
を特徴とする請求項1記載の圧縮成形装置。
【請求項5】
前記ワークの体積測定を行う体積測定ユニットをさらに備え、
前記体積測定ユニットは、前記ワーク供給ユニット内、または前記ワーク供給ユニットと隣接する位置に配置されていること
を特徴とする請求項1記載の圧縮成形装置。
【請求項6】
前記成形品の外観検査を行う外観検査ユニットをさらに備え、
前記外観検査ユニットは、前記成形品収納ユニット内、または前記成形品収納ユニットと隣接する位置に配置されていること
を特徴とする請求項1記載の圧縮成形装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧縮成形装置に関する。
【背景技術】
【0002】
基材に電子部品が搭載されたワークを封止樹脂(以下、単に「樹脂」と称する場合がある)により封止して成形品に加工する樹脂封止装置及び樹脂封止方法の例として、トランスファ成形方式や圧縮成形方式によるものが知られている。
【0003】
トランスファ成形方式は、上型と下型とを備えて構成される封止金型に設けられる二個の封止領域(キャビティ)に所定量の樹脂を供給するポットを設け、当該各封止領域に対応する位置にワークをそれぞれ配置して、上型と下型とでクランプしポットからキャビティに樹脂を流し込む操作によって樹脂封止する技術である。また、圧縮成形方式は、上型と下型とを備えて構成される封止金型に設けられる封止領域(キャビティ)に所定量の樹脂を供給すると共に当該封止領域にワークを配置して、上型と下型とでクランプする操作によって樹脂封止する技術である。一例として、上型にキャビティを設けた封止金型を用いる場合、ワーク上の中心位置に一括して樹脂を供給して成形する技術等が知られている。一方、下型にキャビティを設けた封止金型を用いる場合、当該キャビティを含む金型面を覆うフィルム及び樹脂を供給して成形する技術等が知られている(特許文献1:特開2019-145550号公報参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2019-145550号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に例示されるような従来の圧縮成形方式においては、封止金型を備えるプレスユニットを複数台(例えば、二~四台等)配置すると共に、一組の封止金型当たりの成形品の取り個数(成形個数)を二個とすることによって、生産性の向上を図っていた。
【0006】
しかしながら、例えば、プレスユニットが三台、四台と増加する程、封止金型への材料供給(特に、粒状の樹脂を用いる場合)に時間がかかってしまう結果となり、台数増加に見合う生産性向上が図られないという課題があった。また、装置全体のサイズが大きくなるばかりか、部品点数の増加や構成の複雑化によってコストが増加するという課題があった。
【0007】
さらに、圧縮成形方式においては、必要となる材料供給工程及び成形品収納工程に適したユニット配置とすると、ワーク供給ユニットと成形品収納ユニットとを隔離することが困難となり、また、ワーク搬送部と樹脂搬送部とを隔離することが困難となる。その結果、成形品から生じた異物(バリ等)や、搬送中の樹脂から生じた異物(粉塵等)がワークや封止金型に付着して、成形不良を発生させてしまうという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みてなされ、プレスユニットを三台以上に増加するような従来の手法によらずに生産性の向上を図ることができ、且つ、異物の付着に起因する成形不良の発生を防止して、成形品質を向上させることが可能な圧縮成形装置を提供することを目的とする。
【0009】
本発明は、一実施形態として以下に記載するような解決手段により、前記課題を解決する。
【0010】
本発明に係る圧縮成形装置は、上型もしくは下型の一方に三組のキャビティが設けられ、他方に対応する三組のワーク保持部が設けられた封止金型を用いて、三個以下のワークを一括して樹脂により封止する圧縮成形装置であって、前記ワークの供給を行うワーク供給ユニットと、前記樹脂の供給を行う樹脂供給ユニットと、前記封止金型が配設されて前記ワークを樹脂封止して成形品への加工を行うプレスユニットと、前記成形品の収納を行う成形品収納ユニットと、を備え、所定のX方向に沿って、前記ワーク供給ユニット、前記プレスユニット、前記樹脂供給ユニット、前記成形品収納ユニットの順、もしくは、前記ワーク供給ユニット、前記プレスユニット、前記樹脂供給ユニット、前記プレスユニット、前記成形品収納ユニットの順に配置されており、前記成形品をガイドに沿って搬送する成形品ローダと、前記樹脂を第1位置から第2位置へ搬送し、前記第2位置から前記X方向に向かって前記封止金型内へ搬送する樹脂ローダと、を備え、前記樹脂ローダは、前記第1位置にてディスペンサから供給された顆粒状、粉末状、または液状の前記樹脂を載置する構成であり、前記第1位置は、前記ガイドを挟んで前記第2位置と反対側であることを要件とする。
【0011】
これによれば、一組の封止金型当たりの成形品の取り個数を最大で三個にすることができ、プレスユニットの台数を二台以下に抑えることができる。したがって、同じ取り個数の従来装置(具体的には、一組の封止金型当たりの成形品の取り個数が二個で、プレスユニットが三台の装置)と比較すると、封止金型への材料(ワーク、封止樹脂、リリースフィルム)の供給回数を低減することができるため、生産性を向上することができる。また、プレス回数(すなわち、樹脂封止工程の実施回数)を低減することができるため、製造コストを低減することができる。また、装置全体の小型化と構成の簡素化による装置コストの低減を図ることができる。
【0012】
また、ワーク供給ユニットと成形品収納ユニットとを隔離した構成、及び、ワーク搬送部と樹脂搬送部とを隔離した構成を容易に実現することができる。したがって、成形品から生じた異物(バリ等)や、搬送中の樹脂から生じた異物(粉塵等)に起因する成形不良の発生を防止でき、成形品質を向上させることができる。
【0013】
さらに、基本ユニットに対する拡張ユニットとして、例えば、ワークの体積測定ユニット、成形品の外観検査ユニット、ヒートスプレッダ供給ユニット、シート樹脂供給ユニット等を容易に追加設置することができ、きわめて拡張性が高い装置が実現できる。
【0014】
また、前記ワーク供給ユニットと前記プレスユニットとの間で前記ワークの搬送を行うワーク搬送部をさらに備え、前記ワーク搬送部及び前記成形品ローダと、前記樹脂ローダとの間に、仕切りが設けられていることが好ましい。さらに、前記ワーク供給ユニット、前記プレスユニット、前記樹脂供給ユニット、前記成形品収納ユニットにおいて、それぞれの間も仕切られていることが好ましい。これによれば、ワーク搬送部と樹脂搬送部との隔離、及び、成形品搬送部と樹脂搬送部との隔離をより確実に行うことができる。
【0015】
また、前記ワーク搬送部は、前記ワークを前記X方向と直交するY方向に沿って前記封止金型内へ搬入するワークローダを有することが好ましい。これによれば、封止金型に対するワークの搬入経路及び成形品の搬出経路と、樹脂の搬入経路とが極力、重複しないようにすることができると共に、ワーク搬送部及び成形品搬送部と樹脂搬送部との隔離をより確実に行うことができる。
【0016】
また、前記ワークの収容に用いられるワークストッカと、前記成形品の収容に用いられる成形品ストッカと、前記樹脂の収容に用いられる樹脂ストッカと、を備え、前記ワークストッカ及び前記成形品ストッカは、相対的に装置上方側に配置されており、前記樹脂ストッカは、相対的に装置下方側に配置されていることが好ましい。これによれば、ワークの移動装置及び成形品の移動装置による移動経路と、樹脂の移動装置による移動経路とが直交する装置構成が実現できる。したがって、装置の幅及び奥行のコンパクト化を図ることができる。また、ワーク搬送部及び前記成形品搬送部と、樹脂搬送部との間に確実な仕切りを設ける装置構成が実現できる。さらに、作業者が腰をかがめることなくワークストッカ及び成形品ストッカの交換作業を行えるため、作業性の向上を図ることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、成形品の取り個数が同じ従来装置と比較して、封止金型への材料の供給回数及びプレス回数を低減することができるため、生産性の向上及び製造コストの低減を図ることができる。また、装置全体の小型化と構成の簡素化を図ることができるため、装置コストを低減することができる。さらに、樹脂のバリや塵埃等の異物がワークや封止金型に付着することを防止できるため、成形品質を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の第一の実施形態に係る圧縮成形装置の例を示す平面図である。
図2図1のII-II線位置における側面図である。
図3図1のIII-III線位置における側面図である。
図4図1のIV-IV線位置における側面図である。
図5図1の圧縮成形装置の型開閉機構の例を示す断面図である。
図6図1の圧縮成形装置の封止金型の例を示す断面図である。
図7図1の圧縮成形装置の樹脂ローダの例を示す断面図である。
図8図1の圧縮成形装置の動作説明図である。
図9図1の圧縮成形装置の動作説明図である。
図10図1の圧縮成形装置の動作説明図である。
図11図1の圧縮成形装置の動作説明図である。
図12】本発明の第二の実施形態に係る圧縮成形装置の例を示す平面図である。
図13】本発明の第三の実施形態に係る圧縮成形装置の例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
[第一の実施形態]
(全体構成)
以下、図面を参照して、本発明の第一の実施形態について詳しく説明する。図1は、本実施形態に係る圧縮成形装置1の例を示す平面図(概略図)である。また、図2図3図4は、それぞれ図1におけるII-II線位置での側面図、III-III線位置での側面図、IV-IV線位置での側面視による配置構成の説明図である。尚、説明の便宜上、図中において矢印により圧縮成形装置1における左右方向(X方向)、前後方向(Y方向)、上下方向(Z方向)を示す。また、各実施形態を説明するための全図において、同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その繰返しの説明は省略する場合がある。
【0020】
本実施形態に係る圧縮成形装置1は、上型204及び下型206を備える封止金型202を用いて、ワーク(被成形品)Wの樹脂封止成形を行う装置である。以下、圧縮成形装置1として、上型204に三組のキャビティ208(208A、208B、208C)が設けられ、下型206に対応する三組のワーク保持部205(205A、205B、205C)が設けられた封止金型202を用いて、複数個のワークW(例えば、一組のキャビティ208で一個のワークWを封止する場合、最大三個のワークW)を一括して樹脂Rにより封止する圧縮成形装置を例に挙げて説明する。但し、この構成に限定されるものではなく、ワークWの個数は三個以下に設定してもよい。
【0021】
先ず、成形対象であるワークWは、基材Waに複数の電子部品Wbが行列状に搭載された構成を備えている。より具体的には、基材Waの例として、短冊状に形成された樹脂基板、セラミックス基板、金属基板、キャリアプレート、リードフレーム、ウェハ等の板状の部材(いわゆる、短冊ワーク)が挙げられる。また、電子部品Wbの例として、半導体チップ、MEMSチップ、受動素子、放熱板、導電部材、スペーサ等が挙げられる。尚、基材Waの他の例として、円形状、正方形状等に形成された上記部材を用いる構成としてもよい(不図示)。
【0022】
基材Waに電子部品Wbを搭載する方法の例として、ワイヤボンディング実装、フリップチップ実装等による搭載方法がある。あるいは、樹脂封止後に成形品Wpから基材(ガラス製や金属製のキャリアプレート)Waを剥離する構成の場合には、熱剥離性を有する粘着テープや紫外線照射により硬化する紫外線硬化性樹脂を用いて電子部品Wbを貼付ける方法もある。
【0023】
一方、樹脂Rの例として、顆粒状(円柱状等を含む)、粉砕状、もしくは粉末状(本願において「粒状」と総称する場合がある)の熱硬化性樹脂(例えば、フィラー含有のエポキシ系樹脂等)が用いられる。尚、樹脂Rは、上記の状態に限定されるものではなく、液状、板状、シート状等、他の状態(形状)であってもよく、エポキシ系熱硬化性樹脂以外の樹脂であってもよい。
【0024】
また、フィルムFの例として、耐熱性、剥離容易性、柔軟性、伸展性に優れたフィルム材、例えば、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、ETFE(ポリテトラフルオロエチレン重合体)、PET、FEP、フッ素含浸ガラスクロス、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニリジン等が好適に用いられる。本実施形態においては、フィルムFとしてロール状のフィルムが用いられる。尚、変形例として、短冊状のフィルム用いる構成としてもよい(不図示)。
【0025】
続いて、本実施形態に係る圧縮成形装置1の概要について説明する。図1に示すように、圧縮成形装置1は、ワークWの供給を主に行うワーク供給ユニット100A、ワークWを樹脂封止して成形品Wpへの加工を主に行うプレスユニット100B、樹脂の供給を主に行う樹脂供給ユニット100C、及び樹脂封止後の成形品Wpの収納を主に行う成形品収納ユニット100Dを主要構成として備えている。
【0026】
本実施形態においては、所定の一方向(一例として、図1中のX方向)に沿って、ワーク供給ユニット100A、プレスユニット100B、樹脂供給ユニット100C、プレスユニット100B、成形品収納ユニット100Dの順に配置されている。ここで、ワーク供給ユニット100Aとプレスユニット100Bとの間でワークWの搬送を行うワーク搬送部104、及び、プレスユニット100Bと成形品収納ユニット100Dとの間で成形品Wpの搬送を行う成形品搬送部106が設けられている。また、樹脂供給ユニット100Cとプレスユニット100Bとの間で樹脂Rの搬送を行う樹脂搬送部108が設けられている。
【0027】
上記の構成によれば、ワーク供給ユニット100Aと成形品収納ユニット100Dとの隔離を確実に行うことができる。したがって、成形品Wpから生じた異物(バリ等)がワークWや封止金型202に付着して、成形不良を発生させてしまうことの防止が可能となる。さらに、後述の第三の実施形態に示すように、拡張ユニットとして、例えば、ワークの体積測定ユニット、成形品の外観検査ユニット、ヒートスプレッダ供給ユニット、シート樹脂供給ユニット等を容易に追加設置することができ、きわめて拡張性が高い装置が実現できる。
【0028】
また、本実施形態においては、ワーク搬送部104は、ワークローダ210、及びスライダー116、ガイド117等を有する移動装置130を備えて構成されている。また、成形品搬送部106は、成形品ローダ212、及びスライダー118、ガイド119等を有する移動装置132を備えて構成されている。また、樹脂搬送部108は、樹脂ローダ304、及びガイド305等を有する移動装置134を備えて構成されている。例えば、移動装置130及び移動装置132には、リニアコンベア等の直動機構が用いられる。また、移動装置134には、リニアコンベア等の直動機構及びエレベータ等の昇降機構が組み合わされて用いられる。但し、これらの構成に限定されるものではない。
【0029】
ここで、図2に示すように、ワーク搬送部104及び成形品搬送部106と、樹脂搬送部108との間に、仕切り300が設けられている。これにより、ワーク搬送部104と樹脂搬送部108との隔離、及び、成形品搬送部106と樹脂搬送部108との隔離を確実に行うことができる。したがって、搬送中の樹脂Rから生じた異物(粉塵等)がワークWや封止金型202に付着して、成形不良を発生させてしまうことの防止が可能となる。
【0030】
尚、圧縮成形装置1は、ユニットの構成を変えることによって、全体の構成態様を変更することができる。例えば、図1に示す構成は、プレスユニット100Bを二台設置した例であるが、プレスユニット100Bを一台のみ設置する構成(後述の第二の実施形態)等も可能である。また、他のユニットを追加設置する構成(後述の第三の実施形態)等も可能である。
【0031】
(ワーク供給ユニット)
続いて、圧縮成形装置1が備えるワーク供給ユニット100Aについて詳しく説明する。
【0032】
ワーク供給ユニット100Aは、ワークWの収容に用いられるワークストッカ110と、ワークWを封止金型202内へ搬送するワーク搬送部104と、ワークストッカ110からワーク搬送部104へワークWを受け渡す供給ピックアップ120とを備えている。ここで、図3に示すように、ワークストッカ110は、後述の樹脂ストッカ302よりも相対的に装置上方側に配置されている。尚、ワークストッカ110には、公知のスタックマガジン、スリットマガジン等が用いられる。
【0033】
ワーク搬送部104のスライダー116は、供給ピックアップ120からワークWを受け取って、搬送し、ワークローダ210へ受け渡す作用をなす。構成例として、X方向に三列並設されてそれぞれ一個のワークWを保持可能なワーク保持部116A、116B、116Cが設けられている。また、ガイド117に沿ってワーク供給ユニット100Aとプレスユニット100Bとの間をX方向に移動可能に構成されている。尚、ワーク保持部116A、116B、116Cには、公知の保持機構(例えば、保持爪を有して挟持する構成、吸引装置に連通する吸引孔を有して吸着する構成、等)が用いられる(不図示)。
【0034】
ワーク搬送部104のワークローダ210は、スライダー116からワークWを受け取って、搬送し、封止金型202へ受け渡す作用をなす。構成例として、X方向に三列並設されてそれぞれ一個のワークWを保持可能なワーク保持部210A、210B、210Cが設けられている。また、プレスユニット100B内でY方向(X方向と水平面内で直交する方向)に移動可能に構成されている。尚、ワーク保持部210A、210B、210Cには、公知の保持機構(例えば、保持爪を有して挟持する構成、吸引装置に連通する吸引孔を有して吸着する構成、等)が用いられる(不図示)。
【0035】
この構成によれば、ワーク搬送部104を用いて一度に最大三個のワークWを封止金型202内へ搬入して、下型206のワーク保持部205(205A、205B、205C)に保持させることができる。
【0036】
本実施形態においては、ワーク搬送部104として、スライダー116がX方向に移動し、ワークローダ210がY方向に移動してワークWを封止金型202内へ搬入する構成としている。このように、ワーク搬送部104のワークローダ210のX軸を固定し、スライダー116をX軸可動とし、プレスユニット100Bにワークローダ210を設置する構成によって、ワークローダ210上に堆積したゴミをまき散らすことがない。ただし、これに限定されるものではなく、ワーク搬送部104として、一つのワークローダがX方向及びY方向に移動して、ワークWを封止金型202内へ搬入する構成としてもよい(不図示)。
【0037】
また、スライダー116は、ワークWを下面側(基材Wa側)から加熱するヒータを備えている(不図示)。一例として、ヒータには、公知の加熱機構(例えば、電熱線ヒータ、赤外線ヒータ、等)が用いられる。これにより、ワークWが封止金型202内に搬入されて加熱される前に予備加熱をしておくことができる。尚、ヒータを備えない構成としてもよい。
【0038】
(プレスユニット)
続いて、圧縮成形装置1が備えるプレスユニット100Bについて詳しく説明する。ここで、図5に圧縮成形装置1の型開閉機構250の正面断面図(概略図)を示す。また、図6に圧縮成形装置1の封止金型202の側面断面図(概略図)を示す。
【0039】
プレスユニット100Bは、開閉される一対の金型(例えば、合金工具鋼からなる複数の金型ブロック、金型プレート、金型ピラー等やその他の部材が組み付けられたもの)を有する封止金型202を備えている。本実施形態においては、一対の金型のうち、鉛直方向において上方側の一方の金型を上型204とし、下方側の他方の金型を下型206としている。この封止金型202は、上型204と下型206とが相互に接近・離反することで型閉じ・型開きがなされる。すなわち、鉛直方向(上下方向)が型開閉方向となる。
【0040】
封止金型202は、公知の型開閉機構250によって型開閉が行われる。一例として図5に示すように、型開閉機構250は、一対のプラテン252、254と、一対のプラテン252、254が架設される複数の連結機構256と、プラテン254を可動(昇降)させる駆動源(例えば、電動モータ)260及び駆動伝達機構(例えば、ボールねじやトグルリンク機構)262等を備えて構成されている。
【0041】
ここで、封止金型202は、当該型開閉機構250における一対のプラテン252、254間に配設されている。本実施形態においては、上型204が固定プラテン(連結機構256に固定されるプラテン)252に組み付けられ、下型206が可動プラテン(連結機構256に沿って昇降するプラテン)254に組み付けられている。但し、この構成に限定されるものではなく、上型204を可動プラテンに組み付け、下型206を固定プラテンに組み付けてもよく、あるいは、上型204、下型206共に可動プラテンに組み付けてもよい。
【0042】
次に、封止金型202の上型204について詳しく説明する。図6に示すように、上型204は、上プレート222、キャビティ駒226、クランパ228等を備え、これらが組み付けられて構成されている。本実施形態においては、上型204の下面(下型206側の面)にキャビティ208が設けられている。
【0043】
より具体的に、キャビティ駒226は、上プレート222の下面に対して固定して組み付けられる。一方、クランパ228は、キャビティ駒226を囲うように環状に構成されると共に、付勢部材232を介して、上プレート222の下面に対して離間(フローティング)して上下動可能に組み付けられる。このキャビティ駒226がキャビティ208の奥部(底部)を構成し、クランパ228がキャビティ208の側部を構成する。ここで、本実施形態においては、図1に示すように、一個の上型204にキャビティ208がX方向に三組並設されており(図中の208A、208B、208C)、三個以下のワークWを一括して樹脂封止する構成となっている。
【0044】
ここで、クランパ228に対向する下型206の金型面206aには吸引溝(不図示)が設けられ、これが吸引装置(不図示)に連通している。また、これらを囲うシール構造が設けられることで、吸引装置を駆動させて減圧することにより、型閉じされた状態でキャビティ208内の脱気を行うことが可能となる。
【0045】
また、本実施形態においては、フィルム供給機構(後述)から供給されるフィルムFを上型204に吸引保持する吸着機構が設けられている。この吸着機構は、一例として、クランパ228を貫通して配設された吸引路230a、230b、及び上プレート222、キャビティ駒226を貫通して配設された吸引路230cを介して吸引装置(不図示)に連通している。具体的には、吸引路230a、230b、230cの一端が上型204の金型面204aに通じ、他端が上型204外に配設される吸引装置と接続される。これにより、吸引装置を駆動させて吸引路230a、230b、230cからフィルムFを吸引し、キャビティ208の内面を含む金型面204aにフィルムFを吸着させて保持することが可能となる。
【0046】
このように、キャビティ208の内面、及び上型204の金型面204a(一部)を覆うフィルムFを設けることにより、成形品Wpの上面における樹脂Rの部分を容易に剥離させることができるため、成形品Wpを封止金型202(この場合は、上型204)から容易に取り出すことが可能となる。
【0047】
尚、クランパ228の内周面とキャビティ駒226の外周面との間に設けられる所定寸法の隙間は、上記の吸引路230aの一部を構成する。そのため、当該隙間の所定位置にシール部材234(例えば、Oリング)が配設されて、フィルムFを吸引する際のシール作用をなす。
【0048】
また、本実施形態においては、上型204を所定温度に加熱する上型加熱機構が設けられている。この上型加熱機構は、ヒータ(例えば、電熱線ヒータ)、温度センサ、電源等を備えており、制御部によって加熱の制御が行われる(いずれも不図示)。一例として、ヒータは、上プレート222やこれらを収容する金型ベース(不図示)に内蔵され、主に上型204全体及び樹脂Rに熱を加える構成となっている(後述)。これにより、上型204が所定温度(例えば、100℃~200℃)に調整されて加熱される。
【0049】
また、本実施形態においては、ロール状でシート面に開口(孔)の無いフィルムFを封止金型202の内部へ搬送(供給)するフィルム供給機構214A、214B、214Cが設けられている。このフィルム供給機構214A、214B、214Cは、未使用のフィルムFが巻出し部214aから送り出されて型開きした封止金型202に供給され、封止金型202で樹脂封止に使用された後、使用済みのフィルムFとして巻取り部214bで巻取られる構成となっている。尚、巻出し部214aと巻取り部214bとはY方向において逆に配置してもよく、あるいは、X方向に1条のフィルムFを供給するように配置してもよい(いずれも不図示)。
【0050】
次に、封止金型202の下型206について詳しく説明する。図6に示すように、下型206は、下プレート224、保持プレート236等を備え、これらが組み付けられて構成されている。ここで、保持プレート236は、下プレート224の上面(上型204側の面)に対して固定して組み付けられている。
【0051】
また、本実施形態においては、ワークWを保持プレート236の上面における所定位置に保持するワーク保持部205が設けられている。このワーク保持部205は、一例として、保持プレート236及び下プレート224を貫通して配設され、吸引装置(不図示)に連通する吸引路240aを有している。具体的には、吸引路240aの一端が下型206の金型面206aに通じ、他端が下型206外に配設される吸引装置と接続される。これにより、吸引装置を駆動させて吸引路240aからワークWを吸引し、金型面206a(ここでは、保持プレート236の上面)にワークWを吸着させて保持することが可能となる。さらに、吸引路240aを備える構成と並設して、ワークWの外周を挟持する保持爪を備える構成としてもよい(不図示)。
【0052】
また、本実施形態においては、下型206を所定温度に加熱する下型加熱機構が設けられている。この下型加熱機構は、ヒータ(例えば、電熱線ヒータ)、温度センサ、電源等を備えており、制御部によって加熱の制御が行われる(いずれも不図示)。一例として、ヒータは、下プレート224やこれらを収容する金型ベース(不図示)に内蔵され、主に下型206全体及びワークWに熱を加える構成となっている。これにより、下型206が所定温度(例えば、100℃~200℃)に調整されて加熱される。
【0053】
ここで、本実施形態においては、前述の上型204の構成、すなわちキャビティ208がX方向に三組並設される構成(図中の208A、208B、208C)に対応して、一個の下型206にワーク保持部205がX方向に三組並設される構成(図中の205A、205B、205C)となっている。尚、上記の構成に限定されるものではなく、キャビティ208及び対応するワーク保持部205がY方向に三組並設される構成としてもよい(不図示)。
【0054】
上記の構成によれば、一組の封止金型202当たりの成形品Wpの取り個数を最大で三個にすることができ、プレスユニット100Bの台数を二台以下に抑えることができる(本実施形態は、プレスユニット100Bを二台設置した例である)。すなわち、同じ取り個数の従来装置(具体的には、一組の封止金型当たりの成形品の取り個数が二個で、プレスユニットが三台の装置)と比較すると、封止金型202への材料(ワークW、封止樹脂R、リリースフィルムF)の供給回数を低減することができるため、生産性を向上することができる。また、プレス回数(すなわち、樹脂封止工程の実施回数)を低減することができるため、製造コストを低減することができる。また、装置全体の小型化と構成の簡素化による装置コストの低減を図ることができる。
【0055】
(樹脂供給ユニット)
続いて、圧縮成形装置1が備える樹脂供給ユニット100Cについて詳しく説明する。ここで、図7に圧縮成形装置1の樹脂ローダ304の側面断面図(概略図)を示す。
【0056】
樹脂供給ユニット100Cは、樹脂Rの収容に用いられる樹脂ストッカ302と、樹脂ストッカ302から樹脂Rを供給するディスペンサ312と、供給された樹脂Rを封止金型202内へ搬送する樹脂ローダ304とを備えている。ここで、図3図4に示すように、樹脂ストッカ302は、ワークストッカ110および後述の成形品ストッカ112よりも相対的に装置下方側に配置されている。また、ディスペンサ312は、三組のキャビティ208に対応して設けられる三個の押圧プレート314(後述)に対して、同時に樹脂Rの供給が可能なように三個配設されている。但し、この構成に限定されるものではない。尚、変形例として、押圧プレート314を振動させる機構を樹脂ローダ304に設けて、押圧プレート314上に供給された樹脂Rの厚さを均一化させる構成としてもよい(不図示)。
【0057】
また、樹脂供給ユニット100Cは、ディスペンサ312に隣接する位置等に、樹脂ローダ304によって搬送される樹脂Rを加熱する樹脂ヒータ306を備えている。一例として、樹脂ヒータ306には、公知の加熱機構(例えば、電熱線ヒータ、赤外線ヒータ、等)が用いられる。これにより、押圧プレート314に載置された粒状の樹脂Rの表面を加熱して溶融もしくは軟化状態とすることができ、搬送中の樹脂Rから塵埃(樹脂の微細粉末等)が発生することを防止して、製品の成形不良や、装置の動作不良の発生を防止することができる。尚、樹脂ヒータ306を備えない構成としてもよい。
【0058】
ここで、図7に示すように、樹脂ローダ304には、ディスペンサ312から投下された樹脂Rを上面314aに載置させる押圧プレート314と、押圧プレート314における上面314aよりも高い位置まで外周部の全周を囲う周壁部316aを有するガード316とが設けられている。本実施形態は、一個の上型204に三組のキャビティ208を有し、一個の下型206に三個のワークW(例えば、短冊状等のワーク)を配置して一括して樹脂封止を行い、同時に三個の成形品Wpを得る構成である。したがって、キャビティ208の位置に対応して、三個の押圧プレート314が設けられている。また、ガード316は、三個の押圧プレート314の全周を周壁部316aが囲うよう構成されている。すなわち、ガード316は、各押圧プレート314の周囲に設けられる枠体として構成されている。尚、成形品Wpの取り個数は三個以下にも設定できる。
【0059】
本実施形態に係る樹脂ローダ304は、昇降可能に(すなわち、Z方向に往復動可能に)構成されている。また、当該樹脂ローダ304には、押圧プレート314を上方へ移動させて、載置された樹脂Rをキャビティ208内でフィルムFに押圧させる移動貼着機構315が設けられている。これによれば、樹脂ローダ304を上昇させて、ガード316の周壁部316aを上型204(一例として、クランパ228における金型面204a)に当接させることができる。さらに、その状態で、移動貼着機構315により押圧プレート314を上方へ移動させて、所定温度に加熱された状態の上型204におけるキャビティ208内で押圧プレート314に載置された樹脂RをフィルムFに押圧させることができる。したがって、フィルムFを介して上型204の熱を樹脂Rに伝えることができるため、樹脂Rが軟化(溶融)状態となることによる接着力を発生させて、フィルムFの下面に貼着させることができる。尚、変形例として、ガード316を昇降させる機構を樹脂ローダ304に設けて、樹脂ローダ304に対してガード316を昇降させる構成としてもよい(不図示)。
【0060】
上記の押圧プレート314は、上面314aにおいて樹脂Rの付着を防止する表面処理が施されている構成が好適である。これによれば、樹脂RをフィルムFに押圧して貼着させた後、押圧プレート314を下方に移動(下降)させた際に、当該樹脂Rが押圧プレート314に付着してしまって、上型204にセットできない不具合を防止できる。
【0061】
本実施形態においては、樹脂ローダ304が、X方向に沿って樹脂Rを封止金型202内へ搬入する構成となっている。
【0062】
(成形品収納ユニット)
続いて、圧縮成形装置1が備える成形品収納ユニット100Dについて詳しく説明する。
【0063】
成形品収納ユニット100Dは、成形品Wpの収容に用いられる成形品ストッカ112と、成形品Wpを封止金型202外へ搬送する成形品搬送部106と、成形品搬送部106から成形品ストッカ112へ成形品Wpを受け渡す収納ピックアップ122とを備えている。ここで、図4に示すように、成形品ストッカ112は、前述の樹脂ストッカ302よりも相対的に装置上方側に配置されている。尚、成形品ストッカ112には、公知のスタックマガジン、スリットマガジン等が用いられる。
【0064】
成形品搬送部106の成形品ローダ212は、封止金型202から成形品Wpを受け取って、搬送し、スライダー118へ受け渡す作用をなす。構成例として、X方向に三列並設されてそれぞれ一個の成形品Wpを保持可能な成形品保持部212A、212B、212Cが設けられている。また、プレスユニット100B内でY方向に移動可能に構成されている。尚、成形品保持部212A、212B、212Cには、公知の保持機構(例えば、保持爪を有して挟持する構成、吸引装置に連通する吸引孔を有して吸着する構成、等)が用いられる(不図示)。
【0065】
成形品搬送部106のスライダー118は、成形品ローダ212から成形品Wpを受け取って、搬送し、収納ピックアップ122へ受け渡す作用をなす。構成例として、X方向に三列並設されてそれぞれ一個の成形品Wpを保持可能な成形品保持部118A、118B、118Cが設けられている。また、ガイド119に沿ってプレスユニット100Bと成形品収納ユニット100Dとの間を移動可能に構成されている。尚、成形品保持部118A、118B、118Cには、公知の保持機構(例えば、保持爪を有して挟持する構成、吸引装置に連通する吸引孔を有して吸着する構成、等)が用いられる(不図示)。
【0066】
この構成によれば、樹脂封止されて上型204のキャビティ208(208A、208B、208C)に保持された状態の最大三個の成形品Wpを、成形品搬送部106を用いて一度に封止金型202外へ搬出することができる。
【0067】
本実施形態においては、成形品搬送部106として、成形品ローダ212がY方向に移動し、スライダー118がX方向に移動して、成形品Wpを封止金型202外へ搬出する構成となっている。このように、成形品搬送部106の成形品ローダ212のX軸を固定し、スライダー118をX軸可動とし、プレスユニット100Bに成形品ローダ212を設置する構成によって、成形品ローダ212上に堆積したゴミをまき散らすことがない。ただし、これに限定されるものではなく、成形品搬送部106として、一つの成形品ローダがX方向及びY方向に移動して成形品Wpを封止金型202外へ搬出する構成としてもよい(不図示)。
【0068】
以上の構成を備える圧縮成形装置1においては、ワークローダ210が、Y方向に沿ってワークWを封止金型202内へ搬入する構成であると共に、成形品ローダ212が、Y方向に沿って成形品Wpを封止金型202外へ搬出する構成である。一方、樹脂ローダ304が、X方向に沿って樹脂Rを封止金型202内へ搬入する構成である。これにより、封止金型202に対するワークWの搬入経路及び成形品Wpの搬出経路と、樹脂Rの搬入経路とがほぼ重ならないようにすることができ、且つ、ワーク搬送部104及び成形品搬送部106と、樹脂搬送部108との隔離を確実に行うことができる。したがって、成形品Wpから生じた異物(バリ等)や、搬送中の樹脂Rから生じた異物(粉塵等)がワークWや封止金型202に付着することを防止でき、成形品質を向上させることができる。
【0069】
また、ワークストッカ110及び前記成形品ストッカ112は相対的に装置上方側に配置され、樹脂ストッカ302は、相対的に装置下方側に配置されて構成されている。さらに、移動装置130及び132と、移動装置134とが、相互に移動方向を直交させる配置で構成されている。これにより、装置の全体寸法をコンパクトにすることができる。また、これらの構成も、ワーク搬送部104及び成形品搬送部106と、樹脂搬送部108との隔離の確実化に寄与するものとなる。さらに、作業者が腰をかがめることなくワークストッカ110及び成形品ストッカ112の交換作業を行えるため、作業性の向上を図ることができる。
【0070】
(樹脂封止動作)
続いて、本実施形態に係る圧縮成形装置1を用いて樹脂封止を行う動作(すなわち、本実施形態に係る圧縮成形方法)について、図8図11を参照しながら説明する。ここでは、一個の上型204に三組のキャビティ208を設けると共に、一個の下型206に三個のワークW(例えば、短冊状等のワーク)を配置して一括して樹脂封止を行い、同時に三個の成形品Wpを得る構成を例に挙げる。但し、この構成に限定されるものではなく、一個もしくは二個のワークWを樹脂封止する構成としてもよい。
【0071】
先ず、上型加熱機構によって、上型204を所定温度(例えば、100℃~200℃)に調整して加熱する加熱工程(上型加熱工程)を実施する。また、下型加熱機構によって、下型206を所定温度(例えば、100℃~200℃)に調整して加熱する加熱工程(下型加熱工程)を実施する。
【0072】
次いで、図8に示すように、樹脂ローダ304によって、三個の押圧プレート314がそれぞれ三個のディスペンサ312のノズル312aの直下位置となるように、押圧プレート314の周囲を囲うガード316と共に搬送する。このとき、押圧プレート314における上面314aよりも高い位置まで外周部の全周をガード316(周壁部316a)によって囲った状態となっている。その状態において、三個のノズル312aから、それぞれの押圧プレート314の上面314aに規定量の樹脂Rを投下(供給)して載置する載置工程を実施する。前述の通り、ガード316は、押圧プレート314の外周部の全周を囲って配設される枠体である。したがって、樹脂Rを投下する際に、押圧プレート314から樹脂Rがこぼれ落ちないようにすることができる。尚、本実施形態においては、より平坦になるように樹脂Rを供給するが、変形例として、載置工程の後、押圧プレート314を振動させて、押圧プレート314の上面314aに載置された樹脂Rを最外周位置まで行き渡らせつつ、平坦化(厚さを均一化)させる工程を実施してもよい。
【0073】
次いで、樹脂ヒータ306によって、樹脂ローダ304による搬送中の樹脂Rの加熱(予備加熱)を行う工程を実施する。例えば、樹脂Rが完全に溶融もしくは溶解しない温度(例えば、60℃~80℃)に加熱部分の押し当てや輻射熱により予備加熱し、樹脂Rの粒同士を溶着(もしくは軟化)させ一体化させる。これにより、押圧プレート314に載置された粒状の樹脂Rの表面を溶着(もしくは軟化)させることができ、搬送中の塵埃(樹脂の微細粉末等)の発生を防止して、製品の成形不良や、装置の動作不良の発生を防止することができる。尚、予備加熱工程を備えない構成としてもよい。
【0074】
次いで、フィルム供給機構214A、214B、214Cによって、巻出し部214aから巻取り部214bへフィルムFを搬送して(送り出して)封止金型202における所定位置(上型204と下型206との間の位置)にフィルムFを供給する工程(フィルム供給工程)を実施する。
【0075】
次いで、図9に示すように、吸着機構によって、キャビティ208の内面を含む金型面204aにフィルムFを吸着させて保持させる吸着工程(第1吸着工程)を実施する。次いで、樹脂ローダ304によって、押圧プレート314に載置された樹脂Rを封止金型202内(上型と下型との間)へ搬送する工程を実施する。この工程においては、封止金型202内(上型と下型との間)の所定位置に樹脂ローダ304を配置した状態として、その状態から樹脂ローダ304の上昇を開始する。尚、ガード316の周壁部316aが上型204(この場合は、クランパ228の金型面204a)に当接した状態となったときに樹脂ローダ304の上昇を停止する。
【0076】
次いで、図10に示すように、移動貼着機構315を駆動して押圧プレート314の上昇を開始する。このとき、押圧プレート314のみが上方へ(すなわち、キャビティ208内へ)移動し、上面314aに載置された樹脂RをフィルムFの下面に押圧して貼着させる工程を実施する。
【0077】
このように、所定温度に加熱された状態の上型204におけるキャビティ208内で、押圧プレート314に載置された樹脂RをフィルムFに押圧することができる。したがって、フィルムFを介して上型204の熱を樹脂Rに伝えることができるため、樹脂Rが軟化(溶融)状態となって接着力が発生し、フィルムFの下面に貼着する作用が得られる。尚、貼着工程は、輻射熱や樹脂Rを介した熱伝達により移動貼着機構315が加熱されることのないよう、短時間で行うことが好ましい。この点において、前述の予備加熱工程を実施して事前に樹脂Rを一体化させることにより、フィルムFの下面への樹脂Rの貼着工程を効率的に行うことができる。具体的には、樹脂Rが一体化していることで、短時間でフィルムFの下面への樹脂Rの貼着を行うことができる。また、樹脂Rが一体化していることで樹脂Rの粒が押圧プレート314上に残ってしまうのを防止することもできる。
【0078】
次いで、図11に示すように、移動貼着機構315を駆動して押圧プレート314の下降を開始する工程、及び、樹脂ローダ304の下降を開始する工程を実施する。次いで、樹脂ローダ304を封止金型202外へ移動する工程を実施する(不図示)。
【0079】
次いで、ワーク搬送部104によって、ワークWを封止金型202内へ搬送する工程を実施する。予め、スライダー116のヒータによってワークWの予備加熱を行ったうえで、ワークローダ210によって封止金型202内へ搬送したワークWを下型206の所定位置に保持する(不図示)。本実施形態においては、三個のワークWを並設状態で保持する。尚、ワーク搬送部104によるワークWの封止金型202内への搬送工程は、樹脂Rの貼着工程の前に実施してもよい。
【0080】
これ以降の工程は、従来の樹脂封止方法と同様であって、封止金型202の型閉じを行い、上型204と下型206とで三個のワークWをクランプして樹脂封止する工程(樹脂封止工程)を実施する。このとき、三組のキャビティ208において、それぞれキャビティ駒226が相対的に下降して、三個のワークWに対して樹脂Rを加熱加圧する。これにより、樹脂Rが熱硬化して樹脂封止(圧縮成形)が完了する。次いで、封止金型202の型開きを行い、成形品搬送部106によって、成形品Wpを封止金型202内から取り出して成形品収納ユニット100Dへ搬送する工程(成形品搬送工程)を実施する。また、フィルム供給機構214A、214B、214Cによって、巻出し部214aから巻取り部214bへフィルムFを搬送することにより、使用済みフィルムFを送り出す工程(フィルム排出工程)を実施する。
【0081】
以上が圧縮成形装置1を用いて行う樹脂封止の主要動作である。但し、上記の工程順は一例であって、支障がない限り先後順の変更や並行実施が可能である。例えば、本実施形態においては、二台のプレスユニット100Bを備える構成であるため、上記の動作を並行して実施することで、効率的な成形品形成が可能となる。
【0082】
[第二の実施形態]
続いて、本発明の第二の実施形態について説明する。本実施形態は、前述の第一の実施形態と比較して、ユニットの構成において相違点を有している。以下、当該相違点を中心に説明する。ここで、第二の実施形態に係る圧縮成形装置1の平面図(概略図)を図12に示す。
【0083】
前述の第一の実施形態は、プレスユニット100Bを二台設置した構成例であるのに対し、本実施形態は、プレスユニット100Bを一台のみ設置する構成例である。具体的に、所定の一方向(一例として、図12中のX方向)に沿って、ワーク供給ユニット100A、プレスユニット100B、樹脂供給ユニット100C、成形品収納ユニット100Dの順に配置されている。尚、ワーク搬送部104、成形品搬送部106、樹脂搬送部108の基本構成は、第一の実施形態と同様である。
【0084】
本実施形態によれば、前述の第一の実施形態と比較して、プレスユニット100Bの設置台数を減らすことができるため、特に装置の幅寸法(X方向寸法)の小型化、及び構成の簡素化による装置コストの低減を図ることができる。また、第一の実施形態と同様に、ワーク搬送部104のワークローダ210及び成形品搬送部106の成形品ローダ212のX軸を固定し、スライダー116及びスライダー118をX軸可動とし、プレスユニット100Bにワークローダ210及び成形品ローダ212を設置する構成によって、Y軸の軸数削減が可能となる。また、ワークローダ210及び成形品ローダ212上に堆積したゴミをまき散らすことがない。ただし、これに限定されるものではなく、一つのローダがX方向及びY方向に移動する構成としてもよい(不図示)。尚、上記のユニット配置はワークWの搬送距離を短くできるため塵埃対策の面で有効であるが、プレスユニット100Bと樹脂供給ユニット100Cとの配置を入れ替えた構成も採用し得る。
【0085】
一方、本実施形態に係る圧縮成形装置1を用いて樹脂封止を行う動作(すなわち、本実施形態に係る圧縮成形方法)については、基本的な工程が前述の第一の実施形態と同様であるため、繰返しの説明を省略する。
【0086】
[第三の実施形態]
続いて、本発明の第三の実施形態について説明する。本実施形態は、前述の第一の実施形態と比較して、ユニットの構成において相違点を有している。以下、当該相違点を中心に説明する。ここで、第三の実施形態に係る圧縮成形装置1の平面図(概略図)を図13に示す。
【0087】
本実施形態は、前述の第一の実施形態のユニット構成に、さらに他のユニットを追加設置した構成例である。他のユニットの一例として、ワークWの体積測定を行う体積測定ユニット100Eをワーク供給ユニット100A内に設置する構成(もしくはワーク供給ユニット100Aに隣接する位置に設置する構成も考えられる)や、成形品Wpの外観検査を行う外観検査ユニット100Fを成形品収納ユニット100D内に設置する構成(もしくは成形品収納ユニット100Dに隣接する位置に設置する構成も考えられる)を備えている。
【0088】
具体的な構成として、ワークWの体積測定ユニット100Eは、ワークテーブル502と、測定部504と、ワークWをワークテーブル502からスライダー116に受け渡すワークピックアップ506と、を備えている。また、成形品Wpの外観検査ユニット100Fは、成形品テーブル602と、検査部604と、成形品Wpをスライダー118から成形品テーブル602に受け渡す成形品ピックアップ606と、を備えている。
【0089】
ワークテーブル502は、X方向に三列並設されてそれぞれ一個のワークWを保持可能なワーク保持部が設けられている。尚、当該ワーク保持部には、公知の保持機構(例えば、保持爪を有して挟持する構成、吸引装置に連通する吸引孔を有して吸着する構成、等)が用いられる(不図示)。
また、測定部504には、レーザ測定器あるいは画像測定ユニット等が1から3セット設置されている(不図示)。
また、ワークピックアップ506は、X方向に三列並設されてそれぞれ一個のワークWを保持可能なワーク保持部が設けられている。尚、当該ワーク保持部には、公知の保持機構(例えば、保持爪を有して挟持する構成、吸引装置に連通する吸引孔を有して吸着する構成、等)が用いられる(不図示)。このワークピックアップ506は、スライダー116のワーク供給ユニット100A内のX方向に隣接する位置に設けてもよい(不図示)。
【0090】
成形品テーブル602は、X方向に三列並設されてそれぞれ一個の成形品Wpを保持可能な成形品保持部が設けられている。尚、当該成形品保持部には、公知の保持機構(例えば、保持爪を有して挟持する構成、吸引装置に連通する吸引孔を有して吸着する構成、等)が用いられる(不図示)。
また、検査部604には、画像ユニット等が1から3セット設置されている(不図示)。
また、成形品ピックアップ606は、X方向に三列並設されてそれぞれ一個の成形品Wpを保持可能な成形品保持部が設けられている。尚、当該成形品保持部には、公知の保持機構(例えば、保持爪を有して挟持する構成、吸引装置に連通する吸引孔を有して吸着する構成、等)が用いられる(不図示)。この成形品ピックアップ606は、スライダー118の成形品収納ユニット100D内のX方向に隣接する位置に設けてもよい(不図示)。
【0091】
上記の構成によれば、供給ピックアップ120からワークテーブル502を用いて一度に最大三個のワークWを保持して、X方向とY方向の移動により測定部504を通過させ体積測定後、ワークピックアップ506を用いてワークWをスライダー116に載置させることができる。
また、スライダー118から成形品ピックアップ606にて載置し、成形品テーブル602を用いて一度に最大三個の成形品Wpを保持して、X方向とY方向の移動により検査部604を通過させ外観検査後、収納ピックアップ122に受け渡すことができる。
【0092】
以上、本実施形態によれば、基本ユニット(例えば、第一の実施形態におけるワーク供給ユニット100A、プレスユニット100B、樹脂供給ユニット100C、成形品収納ユニット100D)に対する拡張ユニット(例えば、第三の実施形態におけるワークW(特に実装物)の体積測定ユニット100Eや、成形品Wpの外観検査ユニット100F)を容易に追加設置することができ、きわめて拡張性が高い装置が実現できる。尚、拡張ユニットは、ワークW(特に実装物)の体積測定ユニット100Eや、成形品Wpの外観検査ユニット100Fに限定されるものではなく、また、設置位置も前述のワーク供給ユニット100A内設置や成形品収納ユニット100D内設置に限定されるものではなく、体積測定ユニット100Eをワーク供給ユニット100Aに対してY方向もしくはX方向に隣接設置してもよく、外観検査ユニット100Fを成形品収納ユニット100Dに対してY方向もしくはX方向に隣接設置してもよい。
【0093】
拡張ユニットの他の構成例として、ワークW(特に実装物)の体積測定ユニットをワーク供給ユニット100Aに隣接する位置に設置する構成(もしくはワーク供給ユニット100A内に設置する構成も考えられる)や、成形品Wpの外観検査ユニットを成形品収納ユニット100Dに隣接する位置に設置する構成(もしくは成形品収納ユニット100D内に設置する構成も考えられる)等も可能である。
【0094】
以上、説明した通り、本発明に係る圧縮成形装置によれば、成形品の取り個数が同じ従来装置と比較して、封止金型への材料の供給回数及びプレス回数を低減することができるため、生産性の向上及び製造コストの低減を図ることができる。また、装置全体の小型化と構成の簡素化を図ることができるため、装置コストを低減することができる。さらに、樹脂のバリや塵埃等の異物がワークや封止金型に付着することを防止できるため、成形品質を向上させることができる。
【0095】
尚、本発明は、上記の実施形態に限定されることなく、本発明を逸脱しない範囲において種々変更可能である。特に、封止樹脂として、顆粒状、粉砕状、粉末状の熱硬化性樹脂を例に挙げて説明したが、これに限定されるものではなく、液状、板状、シート状等の樹脂を用いる構成にも適用し得る。例えば、シート状の樹脂を用いる構成では、もともと平坦で且つ一体化されたシート状の樹脂Rをフィルムの下面に貼着させればよく、簡易に樹脂封止の準備をすることができる。
【0096】
また、上記の実施形態においては、フィルムを介して上型の熱を樹脂に伝え、樹脂を軟化(溶融)状態として接着力を発生させることで、フィルムの下面に樹脂を貼着する構成について説明したが、多孔質のフィルムを用い、吸引装置を駆動させて吸引路からフィルムを吸引することで、樹脂RをフィルムFの下面に吸着して貼着する構成を採用してもよい。
【0097】
また、上記の実施形態においては、上型に三組のキャビティが設けられ、下型に対応する三個のワーク保持部が設けられた封止金型を用いて、三個以下のワークを一括して樹脂により封止する圧縮成形装置を例に挙げて説明したが、これに限定されるものではなく、最大数を四以上に設定することも可能である。
【0098】
また、上記の実施形態においては、上型にキャビティを備える圧縮成形装置を例に挙げて説明したが、下型にキャビティを備える圧縮成形装置にも適用可能である。その場合、樹脂の供給に関しては、搬送用治具であるレジンガード(不図示)を用いてフィルム(例えば、短冊状フィルム)上に樹脂を載置した状態で封止金型へ搬送する構成等が考えられる。
【符号の説明】
【0099】
1 圧縮成形装置
100A ワーク供給ユニット
100B プレスユニット
100C 樹脂供給ユニット
100D 成形品収納ユニット
202 封止金型
W ワーク
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