(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-27
(45)【発行日】2024-10-07
(54)【発明の名称】電子決済代行システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 20/08 20120101AFI20240930BHJP
G06Q 50/10 20120101ALI20240930BHJP
G07B 15/00 20110101ALI20240930BHJP
【FI】
G06Q20/08 302
G06Q50/10
G07B15/00 N
(21)【出願番号】P 2022034143
(22)【出願日】2022-03-07
(62)【分割の表示】P 2021080705の分割
【原出願日】2018-11-22
【審査請求日】2022-03-12
【審判番号】
【審判請求日】2023-09-08
(73)【特許権者】
【識別番号】516046134
【氏名又は名称】株式会社オーガスタス
(74)【代理人】
【識別番号】100107674
【氏名又は名称】来栖 和則
(72)【発明者】
【氏名】吉川 幸孝
(72)【発明者】
【氏名】吉川 明宏
【合議体】
【審判長】伏本 正典
【審判官】月野 洋一郎
【審判官】相崎 裕恒
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-97662(JP,A)
【文献】特開2018-92686(JP,A)
【文献】特開2018-206334(JP,A)
【文献】特開平11-353382(JP,A)
【文献】特開2005-71081(JP,A)
【文献】国際公開第2015/151510(WO,A1)
【文献】特開2014-56558(JP,A)
【文献】特開2012-93814(JP,A)
【文献】特開2012-93813(JP,A)
【文献】特開2004-110666(JP,A)
【文献】特開2014-56558(JP,A)
【文献】特開2012-93814(JP,A)
【文献】特開2012-93813(JP,A)
【文献】特開2004-110666(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のサービスをユーザに提供する第1のシステムのユーザが前記第1のサービスを利用することの対価として
前記ユーザに課金される第1の料金を電子決済することを代行する第2のシステムとしての電子決済代行システムであって、
前記第1のシステムは、単独で非電子決済に対応可能であるが単独では電子決済に対応できない
第1の駐車管理システムを含み、
前記第1の駐車管理システムは、ユーザによる現金決済またはカード決済である非電子決済を可能にする精算機と、第1の管理サーバとを含み、
当該電子決済代行システムは、第2の管理サーバ
を有する第2の駐車管理システムを含み、
前記第2の管理サーバは、
前記第2の管理サーバが前記ユーザの通信端末によってアクセスされた場合に、前記第1の料金について電子決済を行うことを可能にし、
前記第2の管理サーバは、前記電子決済が完了した場合に、そのことを表す決済完了信号を
前記第1の管理サーバに送信し、
前記第1の管理サーバは、前記第1のシステムが前記第1のサービスを前記ユーザに提供した場所から前記ユーザが退出することを許可するための許可信号を前記精算機に対して送信し、
前記精算機は、前記許可信号を受信した場合に、退出許可装置に対し、前記ユーザが前記場所から退出することを許可する状態に切り換えるための信号を送信する電子決済代行システム。
【請求項2】
前記第1のシステムまたは前記第2のシステムは、前記第1の料金を計算する第1の料金計算部を含む請求項1に記載の電子決済代行システム。
【請求項3】
当該電子決済代行システムは、前記ユーザの通信端末の測位機能
による測位結果を用いるかおよび/または前記第1のシステムが前記第1のサービスを前記ユーザに提供する場所に表示されるコードを前記通信端末で読み取った結果を用いることにより、
複数の第1のシステムのうち前記ユーザが現在居る第1のシステムを特定することを可能にする請求項1または2に記載の電子決済代行システム。
【請求項4】
前記通信端末が、前記第1のシステムの
前記第1の管理サーバまたは前記第2のシステムの前記第2の管理サーバを用いて前記第1の料金の額を計算するための料金計算ステージと、前記第2の管理サーバを用いて電子決済サービスを前記ユーザに提供するための電子決済ステージとに遷移することを可能にする請求項1ないし3のいずれかに記載の電子決済代行システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ある種のサービスをユーザに提供する技術に関し、特に、ユーザの通信端末を用いる電子決済に対応できないシステムを、追加の負担を抑制しつつ、ユーザの通信端末を用いる電子決済に対応可能なシステムに改修することを可能にする技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ある種のサービスをユーザに提供するシステムが既に普及している。この種のサービスの一例は、不動産または動産であるレンタル対象をユーザにレンタルするというサービスである。
【0003】
具体的には、不動産としてのレンタル対象の一例が、貸席や駐車場などのレンタル・スペースであり、また、動産としてのレンタル対象の一例が、貸し自転車やレンタカーなどの運搬・輸送手段である。
【0004】
さらに具体的には、不動産としてのレンタル対象としては、例えば、ユーザが短期的に滞在可能である宿泊施設(例えば、ホテル内の部屋、一時的に他人にレンタルされる個人宅、共同住宅などの居室)またはユーザが長期的に滞在可能である滞在施設(例えば、個別住宅、共同住宅など)の部屋、コインロッカー、駐車場(例えば、一または複数の車室を有する駐車場)、個別の駐車スペース(例えば、駐車場内の複数の車室の各々)などがある。
【0005】
動産としてのレンタル対象としては、例えば、陸上、水上または飛行する乗物(例えば、レンタカー、貸し自転車など)、レンタル家具、レンタル衣服類、レンタル電気製品(後述の音声ガイド装置を含む)、電気製品に着脱可能に装着されるレンタル付属品(例えば、電池または充電器)、視聴覚コンテンツが記録されているレンタル記録媒体(例えば、CD)であってユーザによって再生可能なものなどがある。
【0006】
ここで、駐車場ビジネスを例にとり、ある種のサービスをユーザに提供するシステムのいくつかの従来例を、特に、決済方式に着目して説明する。
【0007】
特許文献1には、電子決済(「スマートフォン決済」ともいい、例えば、クレジットカード決済が該当する。)には対応可能であるが現金決済やプリペイド式ICカード決済(単に「カード決済」ともいう。)には対応不能な駐車場管理システムが開示されている。
【0008】
このシステムは、駐車場外に設置されるサーバであって、ユーザの携帯端末と通信可能なものと、駐車場内に設置される出庫制限装置であって前記サーバまたはユーザの携帯端末と通信してそれらによって制御されるものとを備えている。本明細書の全体を通じ、「出庫制限装置」は、ユーザによる決済が完了しないうちは、駐車場に入庫した車両がその駐車場から出庫することを物理的に制限し、ユーザによる決済が完了すると、出庫を物理的に許可するものであり、出庫許可装置とも称される。
【0009】
特許文献2には、現金決済またはカード決済のみに対応可能、すなわち、非電子決済に対応可能な駐車場管理システムが開示されている。
【0010】
このシステムには、駐車場内に設置される精算機(ユーザが非電子決済を行うことを可能にする装置)と、駐車場内に設置される出庫制限装置であって前記精算機によって制御されるものと、駐車場外に設置されるサーバであって、ユーザの携帯端末とではなく、前記精算機と通信可能なものとを備えている。
【0011】
特許文献3には、非電子決済と電子決済との双方に対応可能な駐車場管理システムが開示されている。このシステムは、駐車場内に設置される発券機であって非電子決済を可能にするものと、駐車場外に設置される管理サーバであって、ユーザの携帯端末と通信して、ユーザによる電子決済を可能にするものとを備えている。この場合、その管理サーバは、当該駐車場を管理する業者と同じ業者によって管理され、よって、このシステムにおいては、発券機と管理サーバとが同じ業者の管理下に置かれることになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【文献】特許第6401849号公報
【文献】特開2016-045916号公報
【文献】特開2018-173965号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
サービスの対価の決済方法として電子決済が普及しつつある。一方で、非電子決済を要望するユーザも依然として存在する。
【0014】
ところで、非電子決済に専ら対応するようにシステムを構築した後、電子決済の要望に応えるべく、そのシステムのハードウエア構成を少なくとも部分的に改修して電子決済にも対応するようにすることは可能である。しかし、その場合には、システムの改修にかかる負担が増加してしまうおそれがある。
【0015】
このような事情を背景とし、本発明は、ユーザの通信端末を用いる電子決済に対応できないシステムを、追加の負担を抑制しつつ、ユーザの通信端末を用いる電子決済に対応可能なシステムに改修することを可能にする技術を提供することを課題としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
その課題を解決するために、本発明の一側面によれば、第1のサービスをユーザに提供する第1のシステムのユーザが前記第1のサービスを利用することの対価として前記ユーザに課金される第1の料金を電子決済することを代行する第2のシステムとしての電子決済代行システムであって、
前記第1のシステムは、単独で非電子決済に対応可能であるが単独では電子決済に対応できない第1の駐車管理システムを含み、
前記第1の駐車管理システムは、ユーザによる現金決済またはカード決済である非電子決済を可能にする精算機と、第1の管理サーバとを含み、
当該電子決済代行システムは、第2の管理サーバを有する第2の駐車管理システムを含み、
前記第2の管理サーバは、前記第2の管理サーバが前記ユーザの通信端末によってアクセスされた場合に、前記第1の料金について電子決済を行うことを可能にし、
前記第2の管理サーバは、前記電子決済が完了した場合に、そのことを表す決済完了信号を前記第1の管理サーバに送信し、
前記第1の管理サーバは、前記第1のシステムが前記第1のサービスを前記ユーザに提供した場所から前記ユーザが退出することを許可するための許可信号を前記精算機に対して送信し、
前記精算機は、前記許可信号を受信した場合に、退出許可装置に対し、前記ユーザが前記場所から退出することを許可する状態に切り換えるための信号を送信する電子決済代行システムが提供される。
また、本発明の第1のアスペクトによれば、第1のサービスをユーザに提供する第1のシステムのユーザが前記第1のサービスを利用することの対価としてそのユーザに課金される第1の料金を電子決済することを代行する第2のシステムとしての電子決済代行システムであって、
前記第1のシステムは、単独で非電子決済に対応可能であるが単独では電子決済に対応できない決済システムを含み、
当該電子決済代行システムは、第2の管理サーバを含み、
その第2の管理サーバは、その第2の管理サーバが前記ユーザの通信端末によってアクセスされた場合に、前記第1の料金について電子決済を行うことを可能にし、
当該電子決済代行システムは、前記電子決済が完了した場合に、そのことを表す決済完了信号を前記通信端末および/または前記第1のシステムが受信することを可能にし、
前記第1のシステムは、ユーザによる現金決済またはカード決済である非電子決済を可能にする精算機を含み、
当該電子決済代行システムは、前記電子決済が完了した場合に、前記第1のシステムが前記第1のサービスを前記ユーザに提供した場所から前記ユーザが退出することを許可するための許可信号を前記精算機に対して送信し、
その精算機は、前記許可信号を受信した場合に、退出許可装置に対し、前記ユーザが前記場所から退出することを許可する状態に切り換えるための信号を送信する電子決済代行システムが提供される。
また、本発明の第2のアスペクトによれば、第1のサービスをユーザに提供する第1のシステムのユーザが前記第1のサービスを利用することの対価としてそのユーザに課金される第1の料金を電子決済することを代行する第2のシステムとしての電子決済代行システムであって、
前記第1のシステムは、単独で非電子決済に対応可能であるが単独では電子決済に対応できない決済システムを含み、
当該電子決済代行システムは、第2の管理サーバを含み、
前記第1のシステムは、複数の第1のシステムとして存在し、
当該電子決済代行システムは、前記ユーザの通信端末の測位機能を用いることにより、前記複数の第1のシステムのうち前記ユーザが現在居る第1のシステムを特定することを可能にし、
当該電子決済代行システムは、前記第2の管理サーバが前記ユーザの通信端末によってアクセスされた場合に、前記第1の料金について電子決済を行うことを可能にし、
当該電子決済代行システムは、前記電子決済が完了した場合に、そのことを表す決済完了信号を前記通信端末および/または前記第1のシステムが受信することを可能にする電子決済代行システムが提供される。
また、本発明の一側面によれば、第1のサービスをユーザに提供する第1のシステムのユーザが前記第1のサービスを利用することの対価としてそのユーザに課金される第1の料金を電子決済することを代行する第2のシステムとしての電子決済代行システムであって、
前記第1のシステムは、単独で非電子決済に対応可能であるが単独では電子決済に対応できない決済システムであり、
当該電子決済代行システムは、第2の管理サーバを含み、
その第2の管理サーバは、その第2の管理サーバが前記ユーザの通信端末によってアクセスされると、決済サーバが、前記第1の料金について電子決済を行うのに必要な電子決済情報であって前記通信端末が送信したものを用いることによって前記第1の料金について電子決済を行うことを可能にし、
当該電子決済代行システムは、前記決済サーバによって前記電子決済が完了すると、そのことを表す決済完了信号を前記通信端末および/または前記第1のシステムが受信することを可能にする電子決済代行システムが提供される。
また、本発明の第1のアスペクトによれば、電子決済に対応できない第1のシステムのための電子決済を、電子決済に対応できる第2のシステムによって代行することを可能とする電子決済代行システムであって、
第1のサービスをユーザに提供する第1のシステムであって、単独で非電子決済に対応可能であるが単独では電子決済に対応できない決済システムを含むものと、
その第1のシステムのユーザが前記第1のサービスを利用することの対価としてそのユーザに課金される第1の料金を電子決済することを代行する第2のシステムと
を含み、
その第2のシステムは、第2の管理サーバを含み、
その第2の管理サーバは、前記第1のシステムの第1の管理サーバを経由するかまたは経由せずに前記第1のサービスのユーザの通信端末によってアクセスされ、それにより、前記第1の料金について電子決済を行うのに必要な電子決済情報であって前記第1の料金の額を含むものを電子決済リクエストと共に決済サーバに送信し、
その決済サーバは、前記電子決済リクエストに応答し、前記第1の料金について電子決済を行う電子決済代行システムが提供される。
【0017】
また、本発明の第2のアスペクトによれば、電子決済に対応できない第1のシステムのための電子決済を、電子決済に対応できる第2のシステムによって代行することを可能とする電子決済代行型システム組合せ体であって、
第1のサービスをユーザに提供する第1のシステムであって、単独で非電子決済に対応可能であるが単独では電子決済に対応できない決済システムを含むものと、
その第1のシステムのユーザが前記第1のサービスを利用することの対価としてそのユーザに課金される第1の料金を電子決済することを代行する第2のシステムと
を含み、
その第2のシステムは、第2の管理サーバを含み、
その第2の管理サーバは、前記第1のサービスのユーザの通信端末によってアクセスされ、それにより、前記第1の料金について電子決済を行うのに必要な電子決済情報であって前記第1の料金の額を含むものを電子決済リクエストと共に決済サーバに送信し、
その決済サーバは、前記電子決済リクエストに応答し、前記第1の料金について電子決済を行う電子決済代行型システム組合せ体が提供される。
【0018】
また、本発明の第1の側面によれば、第1のサービスをユーザに提供する第1のシステムとしての電子決済対応型サービス提供システムであって、
当該第1のシステムは、電子決済に対応可能である第2のシステムに、ユーザが当該第1のシステムにおいて前記第1のサービスを利用することの対価としてそのユーザに課金される第1の料金を電子決済することを代行させ、そのために当該第1のシステムが電子決済モードを実行し、
前記第2のシステムは、第2の管理サーバを含み、
当該第1のシステムが前記電子決済モードを実行すると、前記第2の管理サーバが前記第1のサービスのユーザの通信端末によってアクセスされ、それにより、前記第2の管理サーバが前記第1の料金について電子決済を行い、
その第2の管理サーバは、前記電子決済が完了したことを表す決済完了信号を前記第1のサービスのユーザの通信端末に送信する電子決済対応型サービス提供システムが提供される。
【0019】
また、本発明の第2の側面によれば、第1のサービスをユーザに提供する第1のシステムにおいてそのユーザが前記第1のサービスを利用することの対価としてそのユーザに課金される第1の料金を電子決済することを代行する第2のシステムとしての電子決済代行型サービス提供システムであって、
当該第2のシステムは、第2の管理サーバを含み、
その第2の管理サーバは、前記第1のサービスのユーザの通信端末によってアクセスされ、それにより、その第2の管理サーバが前記第1の料金について電子決済を行い、
その第2の管理サーバは、前記電子決済が完了したことを表す決済完了信号を前記第1のサービスのユーザの通信端末に送信する電子決済代行型サービス提供システムが提供される。
【0020】
<本発明の第1のアスペクト>
本発明の第1のアスペクトによれば、第1のサービスをユーザに提供する第1のシステムとしての電子決済対応型サービス提供システムであって、
当該第1のシステムは、
ユーザが前記第1のサービスを利用することの対価としてそのユーザに課金される第1の料金を計算する第1の料金計算部と、
前記第1のサービスのユーザの通信端末と通信可能な第1の管理サーバと
を含み、
当該第1のシステムは、第2のサービスをユーザに提供する第2のシステムであって電子決済に対応可能であるものに、前記第1のサービスのユーザが前記第1の料金を電子決済することを代行させ、そのために当該第1のシステムが電子決済モードを実行し、
前記第2のシステムは、
本来、ユーザが前記第2のサービスを利用することの対価としてそのユーザに課金される第2の料金を計算する第2の料金計算部と、
本来、前記第2のサービスのユーザの通信端末と通信可能な第2の管理サーバと
を含み、
当該第1のシステムの前記電子決済モードにおいて、
(a)前記第1の料金計算部または前記第2の料金計算部が、前記第1のサービスについての前記第1の料金を計算し、
(b)前記第2の管理サーバが、前記第1の管理サーバを経由するかまたは経由せずに前記第1のサービスのユーザの通信端末によってアクセスされ、それにより、前記第2の管理サーバが、前記第1の料金について電子決済を行い、
(c)その電子決済の終了後、前記第2の管理サーバが、前記第1の管理サーバを経由するかまたは経由せずに前記第1のサービスのユーザの通信端末に、前記電子決済が完了したことを表す決済完了信号を送信する電子決済対応型サービス提供システムが提供される。
【0021】
<本発明の第2のアスペクト>
また、本発明の第2のアスペクトによれば、第1のサービスをユーザに提供する第1のシステムにおいてそのユーザが前記第1のサービスを利用することの対価としてそのユーザに課金される第1の料金を電子決済することを代行する第2のシステムとしての電子決済代行型サービス提供システムであって、
当該第2のシステムは、第2のサービスをユーザに提供し、
当該第2のシステムは、
本来、ユーザが当該第2のサービスを利用することの対価としてそのユーザに課金される第2の料金を計算する第2の料金計算部と、
本来、前記第2のサービスのユーザの通信端末と通信可能な第2の管理サーバと
を含み、
当該第2のシステムは、前記第1のシステムのために、前記第1のサービスのユーザが前記第1の料金を電子決済することを代行し、そのために前記第1のシステムが電子決済モードを実行し、
前記第1のシステムの前記電子決済モードにおいて、
(a)前記第1のシステムの第1の料金計算部または前記第2の料金計算部が,前記第1のサービスについての前記第1の料金を計算し、
(b)前記第2の管理サーバが、前記第1のシステムの第1の管理サーバを経由するかまたは経由せずに前記第1のサービスのユーザの通信端末によってアクセスされ、それにより、前記第2の管理サーバが、前記第1の料金について電子決済を行い、
(c)その電子決済の終了後、前記第2の管理サーバが,前記第1の管理サーバを経由するかまたは経由せずに前記第1のサービスのユーザの通信端末に、前記電子決済が完了したことを表す決済完了信号を送信する電子決済代行型サービス提供システムが提供される。
【0022】
<本発明の第3のアスペクト>
また、本発明の第3のアスペクトによれば、前記電子決済対応型サービス提供システムと前記電子決済代行型サービス提供システムとを含むシステム組合せ体が提供される。
【0023】
<本発明の別のいくつかの側面>
また、本発明の第1の側面によれば、ある種のサービスをユーザに提供するシステムであって、
ユーザによる現金決済またはカード決済である非電子決済を可能にする非電子決済実行装置と、
その非電子決済実行装置と通信可能な管理サーバと
を含み、
当該システムは、単独では、電子決済に対応しないが、当該システムと同種のサービスをユーザに提供する第2のシステムであって電子決済に対応するものとの協働により、電子決済モードを実行し、
前記第2のシステムは、
ユーザの通信端末と通信可能な第2の管理サーバと、
ユーザによる電子決済を可能とする決済サーバであって、前記第2の管理サーバと通信可能であるものと
を含み、
当該システムは、前記電子決済モードにおいて、ユーザの通信端末が、前記管理サーバを経由するかまたは経由せずに前記第2の管理サーバにアクセスし、それにより、前記決済サーバを用いて電子決済を行い、その電子決済の終了後、前記第2の管理サーバが前記管理サーバを経由するかまたは経由せずに前記非電子決済実行装置に、前記電子決済が完了したことを表す決済完了信号を送信する電子決済対応型サービス提供システムが提供される。
【0024】
本発明の第1の側面によれば、ある種のサービスをユーザに提供するシステムであって、
ユーザによる現金決済またはカード決済である非電子決済を可能にする非電子決済装置と、
その非電子決済装置と通信可能な管理サーバと
を含み、
当該システムは、当該システム単独では、電子決済に対応しないが、当該システムと同種のサービスをユーザに提供する第2のシステムであって電子決済に対応するものとの協働により、擬似電子決済モードを実行し、
前記第2のシステムは、
ユーザの通信端末と通信可能な第2の管理サーバと、
ユーザによる電子決済を可能とする決済サーバであって、前記第2の管理サーバと通信可能であるものと
を含み、
当該システムは、前記擬似電子決済モードにおいて、ユーザの通信端末が、前記管理サーバを経由するかまたは経由せずに前記第2の管理サーバにアクセスし、それにより、前記決済サーバを用いて電子決済を行い、その後、前記第2の管理サーバが前記管理サーバを経由するかまたは経由せずに前記非電子決済装置と通信し、それにより、その非電子決済装置は決済完了信号を受信する擬似電子決済対応型サービス提供システムが提供される。
【0025】
また、本発明の第2の側面によれば、ある種のサービスをユーザに提供するシステムであって、
ユーザによる現金決済またはカード決済である非電子決済を可能にする非電子決済装置と、
その非電子決済装置と通信可能な管理サーバと
を含み、
当該システムは、当該システム単独では、電子決済に対応しない非電子決済モードを実行し、その非電子決済モードにおいては、ユーザが前記非電子決済装置を用いて非電子決済を行い、
当該システムは、当該システムと同種のサービスをユーザに提供する第2のシステムとの協働により、擬似電子決済モードを実行し、
前記第2のシステムは、
ユーザの通信端末と通信可能な第2の管理サーバと、
ユーザによる電子決済を可能とする決済サーバであって、前記第2の管理サーバと通信可能であるものと
を含み、
その第2のシステムは、ユーザが当該第2のシステムの会員であることを条件に、当該第2のシステム単独で、電子決済に対応する電子決済モードを実行し、その電子決済モードにおいては、ユーザの通信端末が前記第2の管理サーバと通信し、それにより、前記決済サーバを用いて電子決済を行い、その後、前記第2の管理サーバが決済完了信号を前記通信端末に送信し、
当該システムは、前記擬似電子決済モードにおいては、ユーザの通信端末が、ユーザが前記第2のシステムの会員になりすますか、または実際に前記第2のシステムの会員になった状態で、前記管理サーバを経由するかまたは経由せずに前記第2の管理サーバにアクセスし、それにより、前記決済サーバを用いて電子決済を行い、その後、前記第2の管理サーバが前記管理サーバを経由するかまたは経由せずに前記非電子決済装置と通信し、それにより、その非電子決済装置は前記決済完了信号を受信する擬似電子決済対応型サービス提供システムが提供される。
【0026】
本発明によって下記の各態様が得られる。各態様は、項に区分し、各項には番号を付し、必要に応じて他の項の番号を引用する形式で記載する。これは、本発明が採用し得る技術的特徴の一部およびそれの組合せの理解を容易にするためであり、本発明が採用し得る技術的特徴およびそれの組合せが以下の態様に限定されると解釈すべきではない。すなわち、下記の態様には記載されていないが本明細書には記載されている技術的特徴を本発明の技術的特徴として適宜抽出して採用することは妨げられないと解釈すべきなのである。
【0027】
さらに、各項を他の項の番号を引用する形式で記載することが必ずしも、各項に記載の技術的特徴を他の項に記載の技術的特徴から分離させて独立させることを妨げることを意味するわけではなく、各項に記載の技術的特徴をその性質に応じて適宜独立させることが可能であると解釈すべきである。
【0028】
(1) ある種のサービスをユーザに提供するシステムであって、
ユーザによる現金決済またはカード決済である非電子決済を可能にする精算機と、
その精算機と通信可能な管理サーバと
を含み、
当該システムは、当該システム単独では、電子決済に対応しないが、当該システムと同種のサービスをユーザに提供する第2のシステムであって電子決済に対応するものとの協働により、擬似電子決済モードを実行し、
前記第2のシステムは、
ユーザの通信端末と通信可能な第2の管理サーバと、
ユーザによる電子決済を可能とする決済サーバであって、前記第2の管理サーバと通信可能であるものと
を含み、
当該システムは、前記擬似電子決済モードにおいて、ユーザの通信端末が、ユーザが前記第2のシステムの会員になりすました状態で、前記管理サーバを経由するかまたは経由せずに前記第2の管理サーバにアクセスし、それにより、前記決済サーバを用いて電子決済を行う擬似電子決済対応型サービス提供システム。
【0029】
(2) ある種のサービスをユーザに提供するシステムであって、
ユーザによる現金決済またはカード決済である非電子決済を可能にする精算機と、
その精算機と通信可能な管理サーバと
を含み、
当該システムは、当該システム単独では、電子決済に対応しない非電子決済モードを実行し、その非電子決済モードにおいては、ユーザが前記精算機を用いて非電子決済を行い、
当該システムは、当該システムと同種のサービスをユーザに提供する第2のシステムとの協働により、擬似電子決済モードを実行し、
前記第2のシステムは、
ユーザの通信端末と通信可能な第2の管理サーバと、
ユーザによる電子決済を可能とする決済サーバであって、前記第2の管理サーバと通信可能であるものと
を含み、
その第2のシステムは、ユーザが当該第2のシステムの会員であることを条件に、当該第2のシステム単独で、電子決済に対応する電子決済モードを実行し、その電子決済モードにおいては、ユーザの通信端末が前記第2の管理サーバと通信し、それにより、前記決済サーバを用いて電子決済を行い、その後、前記第2の管理サーバが決済完了信号を前記通信端末に送信し、
当該システムは、前記擬似電子決済モードにおいては、ユーザの通信端末が、ユーザが前記第2のシステムの会員になりすました状態で、前記管理サーバを経由するかまたは経由せずに前記第2の管理サーバにアクセスし、それにより、前記決済サーバを用いて電子決済を行い、その後、前記第2の管理サーバが前記管理サーバを経由するかまたは経由せずに前記精算機と通信し、それにより、その精算機は決済完了信号を受信する擬似電子決済対応型サービス提供システム。
【0030】
(3) 前記サービスは、自転車、自動車または自動二輪車を含む車両を駐車するためのスペースをユーザに貸与するサービスおよび/または自転車、自動車または自動二輪車を含む車両をユーザに貸与するサービスを含む(1)または(2)項に記載の擬似電子決済対応型サービス提供システム。
【0031】
(4) 前記サービスは、駐車場において、自転車、自動車または自動二輪車を含む車両を駐車するためのスペースをユーザに貸与するサービスを含み、
当該システムは、さらに、
ユーザによる決済が完了しないうちは、前記駐車場に入庫した車両がその駐車場から出庫することを物理的に制限し、ユーザによる決済が完了すると、出庫を物理的に許可する出庫許可装置であって、前記精算機によって制御されるものを含み、
前記精算機は、前記決済完了信号を受信すると、出庫許可信号を前記出庫許可装置に送信する(3)項に記載の擬似電子決済対応型サービス提供システム。
【0032】
(5) 前記サービスは、駐車場において、自転車、自動車または自動二輪車を含む車両をユーザが駐車するための複数のスペースである複数の車室のうちそのユーザによって選択されたものをそのユーザに貸与するサービスを含み、
当該システムは、さらに、
ユーザの通信端末は、前記選択された車室に車両が入庫する入庫ステージまたはその車室から車両が出庫する出庫ステージにおいて、前記擬似電子決済モードがユーザによって選択されると、前記駐車場を特定するための情報と前記選択された車室を特定するための情報との組合せを取得し、その組合せに、前記第2のシステムの会員として前記第2のシステムの前記第2の管理サーバにアクセスするためのなりすまし会員IDを割り当て、そのなりすまし会員IDを用いて前記管理サーバを経由するかまたは経由せずに前記第2の管理サーバにアクセスするなりすましアクセス手段を含む(1)ないし(4)項のいずれかに記載の擬似電子決済対応型サービス提供システム。
【0033】
(6) さらに、
ユーザの通信端末は、前記擬似電子決済モードがユーザによって選択されると、そのユーザのユーザIDまたはそのユーザに一義的に対応する情報を取得し、それらユーザIDまたは情報に、前記第2のシステムの会員として前記第2のシステムの前記第2の管理サーバにアクセスするためのなりすまし会員IDを割り当て、そのなりすまし会員IDを用いて前記管理サーバを経由するかまたは経由せずに前記第2の管理サーバにアクセスするなりすましアクセス手段を含む(1)ないし(4)項のいずれかに記載の擬似電子決済対応型サービス提供システム。
【0034】
(7) (1)ないし(6)項のいずれかに記載の通信端末としてコンピュータを機能させるためのプログラム。
【0035】
本明細書の全体を通じて、「プログラム」という用語は、例えば、それの機能を果たすためにコンピュータにより実行される指令の組合せを意味するように解釈したり、それら指令の組合せのみならず、各指令に従って処理されるファイルやデータをも含むように解釈することが可能であるが、それらに限定されない。
【0036】
また、このプログラムは、それ単独でコンピュータにより実行されることにより、所期の目的を達するものとしたり、他のプログラムと共にコンピュータにより実行されることにより、所期の目的を達するものとすることができるが、それらに限定されない。後者の場合、本項に係るプログラムは、データを主体とするものとすることができるが、それに限定されない。
【0037】
(8) (1)ないし(6)項のいずれかに記載の管理サーバとしてコンピュータを機能させるためのプログラム。
【0038】
(9) (1)ないし(6)項のいずれかに記載の精算機としてコンピュータを機能させるためのプログラム。
【0039】
(10) (7)ないし(9)項のいずれかに記載のプログラムをコンピュータ読み取り可能に記録した記録媒体。
【0040】
本明細書の全体を通じて、「記録媒体」という用語は、種々な形式の記録媒体を意味するように解釈することが可能であり、そのような記録媒体は、例えば、フレキシブル・ディスク等の磁気記録媒体、CD、CD-ROM等の光記録媒体、MO等の光磁気記録媒体、ROM等のアンリムーバブル・ストレージ等を含むが、それらに限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【
図1】
図1は、本発明の例示的な一実施形態に従う駐車場管理システムであってそれ単独では電子決済に対応できないものを、第2の駐車場管理システムであってそれ単独で電子決済に対応できるものと共に概念的に表す斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1に示す第2の駐車場管理システムにおける発信機、ユーザの携帯端末および管理サーバのそれぞれの作動であって入庫ステージにおいて行われるものを概念的に表すフローチャートである。
【
図3】
図2は、
図1に示す第2の駐車場管理システムにおける発信機、ユーザの携帯端末および管理サーバのそれぞれの作動であって出庫ステージにおいて行われるものを概念的に表すフローチャートである。
【
図4】
図4は、
図1に示す駐車場管理システムを、同図に示す第2の駐車場管理システムを部分的に利用して電子決済に対応可能とするための通信手順の3つの例をそれぞれ示すブロック図である。
【
図5】
図5は、
図1に示す駐車場管理システムにおける精算機、ユーザの携帯端末および管理サーバならびに第2の駐車場管理システムにおける管理サーバおよび決済サーバのそれぞれの作動であって出庫ステージにおいて擬似電子決済モードを実行するために行われるものを概念的に表すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0042】
以下、本発明のさらに具体的な例示的な実施の形態のうちのいくつかを図面に基づいて詳細に説明する。
【0043】
<全体構成>
【0044】
図1には、本発明の例示的な一実施形態に従う擬似電子決済対応型の駐車場管理システム10(以下、単に「システム10」という。)が、電子決済対応型の第2の駐車場管理システム110(以下、単に「システム110」という。)と共に示されている。システム10は、本発明の一実施形態に従う擬似電子決済対応型サービス提供システムの一例である。また、システム10は、本発明の一実施形態に従う駐車場管理方法を実施し、その駐車場管理方法は、本発明の一実施形態に従う擬似電子決済対応型サービス提供方法の一例である。
【0045】
システム10は、当該システム単独では、電子決済に対応しない非電子決済モードを実行する。その非電子決済モードにおいては、ユーザが、システム10における精算機30を用いて非電子決済を行う。非電子決済の一例は、現金決済であり、別の例は、プリペイド式ICカード決済(単に「カード決済」ともいう。)である。
【0046】
さらに、システム10は、当該システムと同種のサービスをユーザに提供する第2のシステム110との協働により、擬似電子決済モードを実行する。その擬似電子決済モードにおいては、ユーザが、自身の携帯端末(前記通信端末の一例)90を用いることにより、第2のシステム110における管理サーバ140および決済サーバ160を利用して電子決済を行う。電子決済は、「スマートフォン決済」ともいい、例えば、クレジットカード決済が該当する。
【0047】
このシステム10は、ユーザが実際に駐車した時間の長さに見合う額の後払い駐車料金をユーザが支払うことを条件に、ユーザが駐車場20から出庫することを許可する後払い式である。ただし、これに代えて、このシステム10は、駐車場20の利用開始に先立ち、ユーザが希望する駐車時間(例えば、予定駐車時間)の長さに見合う額の前払い駐車料金をユーザが支払うことを条件に、ユーザが駐車場20を利用することを許可する前払い式を採用することも可能である。
【0048】
<システム10の構成>
【0049】
図1を参照するに、システム10は、駐車場20を管理するためのシステムである。駐車場20には、複数の車室22が存在する。各車室22に、1台の車両が駐車される。各車室22ごとに、出庫許可装置24が設置される。
【0050】
なお、「車両」なる用語の定義について付言するに、「車両」なる用語は、自動車のみならず、自転車、自動二輪車等、あらゆる種類の移動体を包含する用語として解釈すべきである。
【0051】
出庫許可装置24の一例は、対応する車室22における車両の存在(対応する車室22への車両の入庫など)を検出する車両存否センサ(例えば、地中に埋設されるループコイル、駐車場20の支持面上に露出するように設置されるフォトセンサなど)と、車室22における車両に対し、その車両の車室22からの退出(出庫)を阻止する出庫阻止状態と出庫を許可する出庫許可状態とに切り換わる可動部材としての邪魔板(フラップ、昇降具、車止め具、輪止め具など)を有する機構部とを有する。
【0052】
その機構部は、前記車両存否センサによって車両の存在が検知されると、前記邪魔板を例えば上昇または傾斜させるなどして出庫阻止状態に移行させる一方、ユーザが後払い駐車料金を決済すると、前記邪魔板を例えば下降または水平化させるなどして出庫許可状態に移行させる。
【0053】
本実施形態においては、複数の車室22に共通に精算機30が設置される。精算機30は、車室22ごとの前記車両存否センサと通信を行い、その車両存否センサからの信号に基づき、各車室22における車両の存否を監視する。さらに、複数の出庫許可装置24に共通に精算機30が設置される。精算機30は、車室22ごとの前記機構部と通信を行い、その機構部を、適宜、出庫許可状態と出庫阻止状態とに切り換える。精算機30は、シーケンサを主体として構成される場合もあれば、コンピュータを主体として構成される場合もある。
【0054】
別の例においては、複数の車室22に共通に出庫許可装置24が設置される。その出庫許可装置24は、例えば、駐車場20の出入り口においてゲートを開閉させる機構部を有する。
【0055】
なお、本発明を実施するために駐車場20に出庫許可装置24を設置することは不可欠ではなく、後払い式でありながら、出庫許可装置24を有しない駐車場20に対して本発明を適用することが可能である。
【0056】
このシステム10は、さらに、管理サーバ40を有する。この管理サーバ40は、例えば、駐車場20を所有するオーナに代わってその駐車場20を管理する駐車場管理業者によって運営される。
【0057】
この管理サーバ40は、非電子決済モードにおいては、精算機30のみとの間で通信(例えば、無線通信)を行い、それにより、駐車場20の稼働状況をリアルタイムで遠隔的に監視する機能を含む複数の機能を実現する。
【0058】
これに対し、管理サーバ40は、擬似電子決済モードにおいては、ユーザの携帯端末90および第2のシステム110の管理サーバ140(前記第2の管理サーバの一例)のそれぞれとの間で通信(例えば、無線通信)を行い、それにより、このシステム10単独では電子決済に対応不可能であるが、ユーザが第2のシステム110の会員に合法的になりすましてその第2のシステム110に合法的にアクセスし、それにより、電子決済を可能にするなりすましアクセス機能を含む複数の機能を実現する。
【0059】
<携帯端末90の構成>
【0060】
ユーザの携帯端末90は、例えば、ユーザによって携帯されるとともに無線通信機能を有するデバイス、例えば、携帯電話機、スマートフォン、ラップトップ型コンピュータ、タブレット型コンピュータ、PDAなどである。また、携帯端末90は、ユーザの通信端末の一例であり、その通信端末は、ユーザによって携帯されないもの、例えば、車載通信端末でもよい。
【0061】
携帯端末90は、プロセッサおよびそのプロセッサによって実行される複数のアプリケーションを記憶するメモリを有するコンピュータを主体として構成されている。
【0062】
この携帯端末90は、さらに、情報を画面上に表示する表示部(例えば、液晶ディスプレイ)と、外部の通信デバイスからの信号を受信する受信部と、信号を生成してその信号を外部の通信デバイスに送信する送信部とを有する。
【0063】
この携帯端末90は、さらに、ユーザからデータやコマンドを入力するための入力部を有する。その入力部は、例えば、所望の情報(例えば、コマンド、データなど)を携帯端末90に入力するためにユーザによって操作可能な操作部を有する。
【0064】
その操作部としては、ユーザによって操作可能ないくつかのアイコン(例えば、仮想的なボタン)を表示するタッチスクリーン(データの手入力を可能にする手段)、ユーザによって操作可能な物理的な操作部(例えば、キーボード、キーパッド、ボタンなどのように、データの手入力を可能にする手段)、音声を感知するマイク(データの音声入力を可能にする手段)などがあるが、これらに限定されない。
【0065】
前記入力部は、さらに、イメージを撮像するイメージ・センサ(デジタル・カメラを含む)を有する。
【0066】
この携帯端末90は、さらに、GPS(衛星測位システム)受信機を有する。GPS受信機は、よく知られているように、複数のGPS衛星から複数のGPS信号を受信し、それらGPS信号に基づき、GPS受信機の地球上における位置(緯度、経度および高度)を三角測量によって測定する。
【0067】
<第2のシステム110の構成>
【0068】
図1に示すように、第2のシステム110は、システム10と同様に、後払い式の駐車場120を管理するために構成されている。その駐車場120も、複数の車室122を有する。
【0069】
駐車場120には、1個の発信機130が、複数の車室122に共通に設置されている。別の例においては、図示しないが、車室122の数より少数複数個の発信機130が、複数の車室群のそれぞれに関連付けて設置される。さらに別の例においては、図示しないが、車室122と同数の発信機130が、それぞれ、車室122ごとに設置される。
【0070】
図1に示す例においては、1個の発信機130に、1つの駐車場120が関連付けられ、さらに、すべての車室122も関連付けられる。よって、その発信機130がユーザの携帯端末190によって特定されれば、それに関連付けられた駐車場120の場所、すなわち、ユーザによって選択された駐車場120の駐車場コード(または駐車場ID)および存在場所(地名、地理的位置など)は分かるが、ユーザによって選択された1個の車室122の場所は不明である。
【0071】
携帯端末190は、前述の携帯端末90と共通の構成を有する。よって、携帯端末190についての重複した説明は省略する。
【0072】
この第2のシステム110においては、ユーザは、電子決済モードのみ選択可能であり、非電子決済モードは選択できない。
【0073】
<発信機130の構成>
【0074】
まず、概念的に説明するに、発信機130は、固有の発信機コード(または発信機ID)を識別し得る識別信号を発信する非接触式または接触(近接)式の通信デバイスである。
【0075】
ユーザの携帯端末190は、その発信機130からの識別信号を一方向にかつ近距離無線通信方式で専ら受信する。携帯端末190が発信機130からの信号を受信できる距離、すなわち、受信半径(例えば、0m-約50m)は、携帯端末190上でソフト的に可変に設定される。その受信半径を有する円で囲まれる領域は、受信可能エリアまたは受信圏と称される。
【0076】
発信機130は、通常、対応する駐車場120に移動不能に固定的に設置されるが、随時移動可能であるように可動的に設置することも可能である。また、発信機130は、少なくとも送信機能を有すれば足りるが、必要に応じ、受信機能をも併有するように構成してもよい。
【0077】
次に、作動方式を説明するに、発信機130は、固有の識別信号を外部からのトリガ信号を要することなく能動的に、局地的に、かつ、供給電力が不足しない限り永続的に発信する。
【0078】
発信機130は、一般に、識別信号としてのビーコン信号を発信するビーコン装置、無線標識などの名称でも知られている装置である。この発信機130は、一例においては、原信号を変調することにより、対応する発信機コードを表す識別信号を生成し、その生成された識別信号を、IR信号、Bluetooth(登録商標)信号、NFC(近距離無線通信)信号などとして局地的に発信する。
【0079】
次に、図を参照することなくハードウエア構成を説明するに、この発信機130は、プロセッサおよびそのプロセッサによって実行される複数のアプリケーションを記憶するメモリを有するコンピュータを主体として構成されている。
【0080】
<管理サーバ140の構成>
【0081】
第2のシステム110は、さらに、管理サーバ140を有する。この管理サーバ140は、ユーザの携帯端末190との間で双方向にかつ遠距離無線通信方式で通信を行う。
【0082】
図を参照することなくハードウエア構成を説明するに、管理サーバ140は、プロセッサおよびそのプロセッサによって実行される複数のアプリケーションを記憶するメモリを有するコンピュータを主体として構成されている。
【0083】
具体的には、この管理サーバ140は、携帯端末190からの信号を受信する受信部と、信号を生成してその信号を携帯端末190に送信する送信部と、現在時刻を計測する時計とを有する。この管理サーバ140は、発信機130からの受信を直接的には行わず、事実上、携帯端末190を介して行うことになる。
【0084】
<第2のシステム110の作動>
【0085】
次に、
図2および
図3を参照することにより、第2のシステム110の作動を説明する。
【0086】
<入庫ステージ>
【0087】
まず、
図2を参照することにより、車両がいずれかの車室122に入庫する入庫ステージにおける第2のシステム110の作動を説明するに、ユーザが、携帯端末190上においてこの駐車場利用プログラムを起動させると、まず、携帯端末190が、管理サーバ140にログインするためのログイン・リクエストを、ユーザが第2のシステム110を利用する資格を有する会員であることを表す会員IDと共に、管理サーバ140に送信する。
【0088】
これに対し、管理サーバ140が、ステップS231において、そのログイン・リクエストを会員IDと共に受信し、次に、ステップS232において、管理サーバ140の前記メモリ内の会員データベースを参照することにより、今回のユーザが正規の会員であるか否かを判定する。
【0089】
今回のユーザが正規の会員であれば、ステップS232の判定がYESとなり、ステップS233において、ログイン完了を表すログイン完了信号を今回のユーザの携帯端末190に返信する。これに対し、今回のユーザが正規の会員でなければ、ステップS232の判定がNOとなり、ステップS231に戻り、正規の会員IDの入力が待たれる。
【0090】
その後、携帯端末190は、ステップS211において、前記ログイン完了信号を受信し、このタイミングで、ステップS212を実行し、それにより、ユーザが現在居る駐車場120に設置されている発信機130から信号を受信する。
【0091】
続いて、携帯端末190は、ステップS213において、今回の発信機130から受信した信号から、その発信機130に対応する発信機コードを抽出する。その後、携帯端末190は、ステップS214において、発信機コードと駐車場コードとの間に予め定められている関係であって携帯端末190の前記メモリに保存されているものに従い、前記抽出された発信機コードを、対応する駐車場コードに変換する。これにより、今回のユーザが入庫した駐車場120が特定されることになる。
【0092】
続いて、携帯端末190は、ステップS215において、ユーザによる入庫の意思を確認するために、自身の画面上に入庫ボタンを表示する。その入庫ボタンをユーザがタッチすると、ユーザに入庫の意思があると判定して、ステップS216において、ユーザが入庫を要求するための入庫リクエストと前記駐車場コードと前記会員IDとを互いに関連付けて管理サーバ140に送信する。その後、携帯端末190は、ステップS217において、今回の駐車場コードを、後で参照するために、入庫駐車場コードとして携帯端末190の前記メモリに保存する。
【0093】
これに対し、管理サーバ140は、ステップS234において、それら入庫リクエストと駐車場コードと会員IDとを互いに関連付けて受信し、続いて、ステップS235において、前記時計を用いることにより、現在時刻を計測する。その後、管理サーバ140は、ステップS236において、その計測された現在時刻を入庫時刻として取り扱い、続いて、ステップS237において、その入庫時刻を会員IDに関連付けて管理サーバ140の前記メモリに保存する。その結果、会員IDと駐車場20のIDと入庫時刻とが互いに関連付けて管理サーバ140の前記メモリに保存されることになる。
【0094】
<出庫ステージ>
【0095】
次に、
図3を参照することにより、車両がいずれかの車室122から出庫する出庫ステージにおける第2のシステム110の作動を説明するに、ユーザの携帯端末190が、まず、ステップS311において、ユーザが現在居る駐車場120に設置されている発信機130から信号を受信する。次に、携帯端末190は、ステップS312において、発信機130から受信した信号から、その発信機130に対応する発信機コードを抽出する。
【0096】
その後、携帯端末190は、ステップS313において、発信機コードと駐車場コードとの間に予め定められている関係であって携帯端末190の前記メモリに保存されているものに従い、前記抽出された発信機コードを、対応する駐車場コードに変換する。これにより、今回のユーザが現在居る駐車場120、すなわち、ユーザがこれから出庫したい出庫駐車場120が特定されることになる。
【0097】
続いて、携帯端末190は、ステップS314において、携帯端末190の前記メモリから、既に保存されている入庫駐車場コードを読み出し、それと、前記変換された駐車場コードすなわち出庫駐車場コードとが互いに一致するか否かを判定する。一致する場合には、ステップS314の判定がYESとなり、ステップS315に進むが、一致しない場合には、その判定がNOとなり、ステップS311に戻り、正しい出庫駐車場コードの取得が待たれる。
【0098】
続いて、携帯端末190は、ステップS315において、ユーザによる出庫の意思を確認するために、自身の画面上に出庫ボタンを表示する。その出庫ボタンをユーザがタッチすると、ユーザに出庫の意思があると判定して、ステップS316において、出庫リクエストと前記出庫駐車場コードと前記会員IDとを互いに関連付けて管理サーバ140に送信する。
【0099】
これに対し、管理サーバ140は、ステップS331において、それら出庫リクエストと出庫駐車場コードと会員IDとを互いに関連付けて受信し、続いて、ステップS332において、前記受信した出庫駐車場コードと会員IDとの組合せと同じものが管理サーバ140の前記メモリに存在するか否かを判定することにより、今回のユーザおよび今回の駐車場120をそれぞれ正規のものとして認証するか否かを判定する。
【0100】
その後、その認証に成功すると、管理サーバ140は、ステップS333において、前記時計を用いることにより、現在時刻を計測する。その後、管理サーバ140は、ステップS334を、その計測された現在時刻を出庫時刻として取り扱い、続いて、ステップS335において、今回の会員IDに関連付けて管理サーバ140の前記メモリに保存されている入庫時刻をそのメモリから読み出し、前記出庫時刻から前記入庫時刻を引き算することにより、駐車時間を計算する。
【0101】
その後、管理サーバ140は、ステップS336において、駐車時間の長さと駐車料金の額との間に予め定められている関係であって管理サーバ140の前記メモリに保存されているものに従い、前記計算された駐車時間の長さに見合う額の駐車料金を計算する。続いて、管理サーバ140は、その計算された駐車料金の額をユーザの携帯端末190に送信する。
【0102】
これに対し、携帯端末190は、ステップS317において、その駐車料金の額を受信し、続いて、ステップS318において、その駐車料金の額を前記画面上に表示する。
【0103】
一方、管理サーバ140は、ステップS336の実行後、ステップS337において、前記駐車料金について電子決済を行うための決済リクエストを、電子決済に必要な情報と共に、決済サーバ160に送信する。
【0104】
これに対し、決済サーバ160は、ステップS351において、その決済リクエストを受信し、続いて、ステップS352において、指定された内容で電子決済を行う。続いて、決済サーバ160は、ステップS353において、電子決済が完了したことを表す決済完了信号を管理サーバ140に送信する。
【0105】
これに対し、管理サーバ140は、ステップS338において、その決済完了信号を受信し、続いて、ステップS339において、出庫許可信号を携帯端末190に送信する。
【0106】
これに対し、携帯端末190は、ステップS319において、その出庫許可信号を受信し、それにより、今回の駐車料金が電子決済によって支払われたために自分が今回の駐車場120から正当に出庫できる権限を得たことをユーザが知ることになる。
【0107】
<システム10の作動>
【0108】
<入庫ステージ>
【0109】
このシステム10の作動を説明するに、車両がいずれかの車室22に入庫する入庫ステージにおいては、対応する車両存否センサが車両を検知すると、そのことを表す信号が精算機30に送信される。その精算機30は、そのときの時刻を入庫時刻として計測し、その入庫時刻にいずれの車室22に入庫したこと(車室番号に関連付けて)を記録する。これにより、入庫時刻と車室22の番号(または車室ID)との間の紐付けが行われる。
【0110】
精算機30は、さらに、入庫時刻と車室22の番号(または車室ID)とを互いに関連付けて管理サーバ40に送信し、その管理サーバ40は、それらデータを互いに関連付けて保存する。これにより、管理サーバ40は、駐車場20の稼働状況をリアルタイムで監視できることになる。この管理サーバ40は、他の駐車場20の稼働状況をも監視するように、複数の駐車場20を集中的に管理するように構成される。
【0111】
<出庫ステージ>
【0112】
<非電子決済モード>
【0113】
これに対し、車両がいずれかの車室22から出庫する出庫ステージにおいては、まず、ユーザが、非電子決済モードと擬似電子決済モード(このモードは、ユーザには、みかけ上、このシステム10によって実現される電子決済モードとして認識される)とのうちのいずれかを選択する。
【0114】
非電子決済モードを選択した場合には、ユーザは、精算機30に自分の車室22の番号を入力し、それを受けて、精算機30は、その時刻を出庫時刻として計測し、前記記録された入庫時刻からその出庫時刻までの経過時間を駐車時間として計算し、その長さに見合う額の後払い駐車料金を計算する。
【0115】
その駐車料金をユーザが精算機30に対して現金またはプリペードカードを用いて支払うと、その精算機30は、今回の車室22に対応する出庫許可装置24を出庫阻止状態から出庫許可状態に切り換える。これにより、ユーザが車両を今回の車室22から出庫させることが可能となる。このように、出庫ステージにおいては、ユーザによって精算機30に入力された車室22の番号をキーとして、駐車料金の額を特定する。
【0116】
<擬似電子決済モード>
【0117】
これに対し、擬似電子決済モードを選択した場合には、ユーザは、携帯端末90に予めインストールされている擬似電子決済用プログラムを起動させる。
【0118】
その擬似電子決済用プログラムは後に
図5を参照して詳述するが、概略的には、擬似電子決済モードにおいて、
図4のうちの最上欄に示すように、後払い駐車料金の計算を、精算機30に代わって管理サーバ40が行う(第1の通信手順)が、これに代えて、その料金計算を、
図4のうちの中央欄に示すように、精算機30に代わって第2のシステム110の管理サーバ140が行う可能性(第2の通信手順)と、
図4のうちの最下欄に示すように、精算機30が依然として行う可能性(第3の通信手順)とが存在する。
【0119】
ここで、
図4に示す3つの通信手順について説明するに、いずれの通信手順においても、携帯端末90と精算機30との間に、管理サーバ40と管理サーバ140と決済サーバ160との組合せ(同図において、破線で包囲された領域内に存在する3つの要素またはサーバ)が、システム10単独では電子決済に対応できないシステム10を、第2のシステム110を部分的に利用して、電子決済に対応可能とするように機能するために存在し、その意味において、その組合せは、電子決済実現化手段とも称される。
【0120】
この電子決済実現化手段において、管理サーバ40は、システム10に実在する管理サーバという意味において、「実管理サーバ」ともいう。これに対し、管理サーバ140は、システム10にではなく第2のシステム110に実在し、かつ、ユーザから見ると、あたかも、システム10に実在する管理サーバとみなされるという意味において、「なりすまし管理サーバ」ともいう。
【0121】
次に、それら通信手順を個々に説明するに、第1の通信手順においては、携帯端末90が実管理サーバ40と無線通信(例えば、電話回線網を介して)を行い、それにより、実管理サーバ40に、駐車料金の計算(「料金計算」ともいう。)を行わせる。
【0122】
料金計算が終了すると、この実管理サーバ40は、なりすまし管理サーバ140を経由して決済サーバ160に接続し、それにより、決済サーバ160に電子決済を行わせる。電子決済が完了すると、実管理サーバ40は、出庫許可信号を精算機30を経由して出庫許可装置24に送信し、それにより、ユーザによる出庫が許可される。
【0123】
第2の通信手順においては、携帯端末90がなりすまし管理サーバ140と無線通信(例えば、電話回線網を介して)を行い、それにより、なりすまし管理サーバ140に、駐車料金の計算(「料金計算」ともいう。)を行わせる。
【0124】
料金計算が終了すると、このなりすまし管理サーバ140は、決済サーバ160に接続し、それにより、ユーザによる電子決済を可能とする。電子決済が完了すると、なりすまし管理サーバ140は、実管理サーバ40に電子決済完了を通知し、それに応答し、実管理サーバ40は、出庫許可信号を精算機30を経由して出庫許可装置24に送信し、それにより、ユーザによる出庫が許可される。
【0125】
第3の通信手順においては、携帯端末90が精算機30と無線通信(例えば、Bluetooth(登録商標)通信方式で)を行い、それにより、携帯端末90は、精算機30に駐車時間の計算と駐車料金の計算とを行わせ、さらに、その計算された駐車料金を携帯端末90に返信させる。
【0126】
その後、携帯端末90は、なりすまし管理サーバ140と無線通信(例えば、電話回線網を介して)を行い、それを受けて、このなりすまし管理サーバ140は、決済サーバ160に接続し、それにより、ユーザによる電子決済を可能とする。電子決済が完了すると、なりすまし管理サーバ140は、実管理サーバ40に電子決済完了を通知し、それに応答し、実管理サーバ40は、出庫許可信号を精算機30を経由して出庫許可装置24に送信し、それにより、ユーザによる出庫が許可される。
【0127】
次に、
図5を参照することにより、出庫ステージにおいて擬似電子決済モードが実行される際のシステム10の精算機30、携帯端末90および管理サーバ40と第2のシステム110の管理サーバ140および決済サーバ160とのそれぞれの作動を説明する。
【0128】
この
図5に示す複数のステップのうち、携帯端末90において実行されるものの時系列が、前述の擬似電子決済用プログラムに相当し、また、管理サーバ40において実行されるものの時系列が、実管理サーバ用の擬似電子決済用プログラムに相当し、また、管理サーバ140において実行されるものの時系列が、なりすまし管理サーバ用の擬似電子決済用管理プログラムに相当し、また、決済サーバ160において実行されるものの時系列が、電子決済プログラムに相当する。
【0129】
ユーザが、携帯端末90上において、前記擬似電子決済用プログラムを起動させると、まず、ステップS511において、ユーザによる出庫(非電子決済モードではなく擬似電子決済モードでの出庫)の意思を確認するために、自身の画面上に出庫ボタンを表示する。次に、ステップS512において、その出庫ボタンをユーザが操作した(例えば、タッチした)か否かを判定する。出庫ボタンが操作されると、その判定がYESとなり、ユーザに出庫の意思があると判定する。
【0130】
続いて、携帯端末90は、ステップS513において、ユーザが現在居る駐車場20を特定するために、ユーザに対し、その駐車場20を識別するための駐車場識別情報、例えば、駐車場コードの入力を催促する。それに対し、ユーザは、該当する駐車場コードを手動で(例えば、前記手入力または前記音声入力により)または半自動もしくは完全自動で(携帯端末90によって入力が支援される方法で)携帯端末90に入力する。
【0131】
駐車場コードの入力支援方法の第1の例においては、携帯端末90が、今回の駐車場20の位置において、前記GPS機能を用いて現在位置を測定するとともに、複数の駐車場20と複数の地図上位置との間に予め定められている関係であって携帯端末90の前記メモリに保存されているものに従い、前記複数の地図上位置のうち前記測定された現在位置の近傍に位置するものに対応する少なくとも一つの駐車場20を、今回の駐車場20の候補として、ユーザに提示する。
【0132】
この第1の例においては、ユーザがいずれかの駐車場20を携帯端末90上で選択すると、その駐車場20に対応する駐車場コードが携帯端末90に入力される。
【0133】
駐車場コードの入力支援方法の第2の例においては、携帯端末90が、精算機30と無線通信(例えば、Bluetooth(登録商標)通信方式で)を行い、このとき、精算機30は、その精算機30が設置されている駐車場20に対応する駐車場コードを表す信号を携帯端末90に返信する。これにより、ユーザは、現在居る駐車場20の駐車場コードを携帯端末90に入力できる。
【0134】
駐車場コードの入力支援方法の第3の例においては、携帯端末90のイメージ・センサが、精算機30または車室22ごとに装着されている識別マーク、例えば、コンピュータ読み取り可能な模様(例えば、バーコード、QRコード(登録商標)などの2次元コードなど)を読み取り、その読み取り結果を、今回の駐車場20に対応する駐車場コードに変換する。これにより、ユーザは、現在居る駐車場20の駐車場コードを携帯端末90に入力できる。
【0135】
続いて、携帯端末90は、ステップS514において、ユーザが現在居る駐車場20のうち、ユーザの車両が現在駐車している車室22を特定するために、ユーザに対し、その車室22を識別する車室識別情報、例えば、車室番号の入力を催促する。それに対し、ユーザは、該当する車室番号を手動で(例えば、前記手入力または前記音声入力により)または半自動もしくは完全自動で(携帯端末90によって入力が支援される方法で)携帯端末90に入力する。
【0136】
車室番号の入力支援方法の一例においては、携帯端末90のイメージ・センサが、車室22ごとに装着されている識別マーク、例えば、コンピュータ読み取り可能な模様(例えば、バーコード、QRコード(登録商標)などの2次元コードなど)を読み取り、その読み取り結果を、今回の車室22に対応する車室番号に変換する。これにより、ユーザは、自身の車両が現在駐車している車室22の車室番号を携帯端末90に入力できる。
【0137】
なお、ここに、「識別マーク」は、車室22の識別マークと、駐車場20の識別マークとの双方を含む多目的識別マークとして構成してもよい。この場合には、携帯端末90のイメージ・センサが、車室22ごとに装着されている多目的識別マークを読み取り、その読み取り結果を、今回の駐車場20に対応する駐車場コードと今回の車室22に対応する車室番号との組合せに変換する。
【0138】
この例示的な入力支援方法によれば、ユーザは、ユーザが現在居る駐車場20の駐車場コードと、自身の車両が現在駐車している車室22の車室番号とを一挙に携帯端末90に入力できる。
【0139】
その後、携帯端末90は、ステップS515において、今回のユーザが、第2のシステム110の電子決済手段を利用するために第2のシステム110に合法的にアクセスするために、今回のユーザ(正確には、今回の駐車場コードと今回の車室番号との組合せ)に対し、1個のなりすまし会員IDを割り当てる。なりすまし会員IDは、ユーザごとに異なるように設定される。
【0140】
ところで、車両を駐車するという本来の目的のために第2のシステム110を利用することを希望するユーザは、その第2のシステム110の会員として事前に登録されることを要求される。しかし、システム10のユーザは、そのシステム10を利用するために、第2のシステム110の会員であることを要求されない。
【0141】
そこで、本実施形態においては、携帯端末90のデータ処理により、ユーザが、システム10のユーザの意思とは無関係に、かつ、ユーザに気付かれることなく、一時的に第2のシステム110の会員になりすます。このなりすまし会員という資格は、ユーザが今回のシステム10の使用を終了すると(駐車料金を擬似電子決済によって支払うと)、自動的に消滅する。
【0142】
そのなりすまし処理を行うために、携帯端末90の前記メモリには、複数の仮想会員ID、すなわち、第2のシステム110のいずれのユーザにも割り当てられることはないが、電子決済のみを目的として携帯端末90が第2のシステム110にアクセスすることを許可するものが保存されている。それら仮想会員IDと同じものは、第2のシステム110の前記メモリにも保存されており、それにより、第2のシステム110において、システム10のユーザについて会員認証を行うことが可能となる。
【0143】
携帯端末90は、ユーザから擬似電子決済モードでの出庫リクエストを受け付けるごとに、それら仮想会員IDのうちのいずれかを、同じ携帯端末90において使用済のものとも、他の携帯端末90において使用済のものとも重複しないように選択して、今回のユーザに割り当てる。これにより、今回の駐車場コードと今回の車室番号と今回のなりすまし会員IDとが互いに紐付けられる。各携帯端末90は、あるなりすまし会員IDを選択すると、その結果を管理サーバ40に送信し、その管理サーバ40は、他の携帯端末90に対し、同じなりすまし会員IDを選択しないように情報を提供する。
【0144】
その後、携帯端末90は、ステップS516において、ユーザが出庫(非電子決済モードではなく擬似電子決済モードでの出庫)を要求するための出庫リクエストと駐車場コードと車室番号とを互いに関連付けて管理サーバ40に送信する。
【0145】
これに対し、管理サーバ40は、ステップS531において、それら出庫リクエストと駐車場コードと車室番号とを互いに関連付けて受信する。
【0146】
続いて、管理サーバ40は、ステップS532において、前記時計を用いることにより、現在時刻を計測する。その後、管理サーバ40は、その計測された現在時刻を出庫時刻として取り扱い、続いて、今回の車室番号に関連付けて管理サーバ40の前記メモリに保存されている入庫時刻をそのメモリから読み出し、前記出庫時刻から前記入庫時刻を引き算することにより、駐車時間を計算する。
【0147】
その後、管理サーバ40は、ステップS533において、駐車時間の長さと駐車料金の額との間に予め定められている関係であって管理サーバ40の前記メモリに保存されているものに従い、前記計算された駐車時間の長さに見合う額の駐車料金を計算する。続いて、管理サーバ40は、ステップS534において、その計算された駐車料金の額をユーザの携帯端末90に送信する。
【0148】
これに対し、携帯端末90は、ステップS517において、その駐車料金の額を受信し、続いて、その駐車料金の額を前記画面上に表示する。
【0149】
その後、携帯端末90は、ステップS518において、前記駐車料金の額とその駐車料金について電子決済を行うための決済リクエストと今回のなりすまし会員IDとを、電子決済に必要な情報と共に、第2のシステム110の管理サーバ140に送信する。これに代えて、その決済リクエストを、携帯端末90ではなく管理サーバ40が管理サーバ140に送信してもよい。
【0150】
これに対し、管理サーバ140は、ステップS551において、それら駐車料金の額と決済リクエストと今回のなりすまし会員IDと電子決済に必要な情報とを受信する。
【0151】
続いて、管理サーバ140は、ステップS552において、自身のメモリを参照することにより、前記受信したなりすまり会員IDと一致する仮想会員IDが存在するか否かを判定し、存在する場合に、今回のユーザが、電子決済のみを目的として、第2のシステム110にアクセスすることを許可する。会員認証が行われるのである。
【0152】
その後、管理サーバ140は、ステップS553において、前記駐車料金について電子決済を行うための決済リクエストを、電子決済に必要な情報と共に、決済サーバ160に送信する。
【0153】
これに対し、決済サーバ160は、ステップS571において、その決済リクエストを受信し、続いて、ステップS572において、指定された内容で電子決済を行う。続いて、決済サーバ160は、ステップS573において、電子決済が完了したことを表す決済完了信号を管理サーバ40に送信する。
【0154】
これに対し、管理サーバ40は、ステップS535において、その決済完了信号を受信し、続いて、ステップS536において、駐車料金の精算が電子決済により完了したと判定する。その後、管理サーバ40は、ステップS537において、出庫許可信号を精算機30に送信する。
【0155】
これに対し、精算機30は、ステップS501において、その出庫許可信号を受信し、続いて、ステップS502において、ユーザの車両が今回の車室22から出庫することを可能にするために、出庫許可装置24に対し、出庫許可信号を送信する。その出庫許可信号に応答し、出庫許可装置24は、前記邪魔板を作用位置から非作用位置に退避させ(格納し)、それにより、車両が出庫許可装置24から退出することを可能にする。
【0156】
以上説明したいくつかの実施態様においては、携帯端末90が、前記擬似電子決済モードがユーザによって選択されると、今回の駐車場20を特定するための情報(例えば、駐車場コード)と今回選択された車室22を特定するための情報(例えば、車室番号)との組合せを取得し、その組合せに、第2のシステム110の会員としてその第2のシステム110の第2の管理サーバ140にアクセスするためのなりすまし会員IDを割り当て、そのなりすまし会員IDを用いて第2の管理サーバ140にアクセスするなりすましアクセス手段を含むように設計される。
【0157】
これに代えて、携帯端末90は、擬似電子決済モードがユーザによって選択されると、そのユーザのユーザIDまたはそのユーザに一義的に対応する情報(後述する)を取得し、それらユーザIDまたは一義的対応情報に、第2のシステム110の会員としてその第2のシステム110の第2の管理サーバ140にアクセスするためのなりすまし会員IDを割り当て、そのなりすまし会員IDを用いて管理サーバ40を経由するかまたは経由せずに第2の管理サーバ140にアクセスするなりすましアクセス手段を含むように設計してもよい。
【0158】
ここに、「ユーザに一義的に対応する情報(一義的対応情報)」としては、例えば、携帯端末90の電話番号、メールアドレス、IPアドレス、ユーザの車両の登録番号(ナンバープレート上の番号など)などのテキスト(文字・数字列)情報や、ユーザ本人または本人の車両を撮影した画像などのイメージ情報などがある。「車両の登録番号」は、ユーザが文字・数字列を携帯端末90に手入力することによって取得したり、ユーザが携帯端末90のカメラで車両のナンバープレートを含む画像を撮像してその撮像結果から携帯端末90または他のデバイスによる画像認識処理によって番号を抽出することによって取得してもよい。
【0159】
以上説明したいくつかの実施形態は、本発明を、後払い式の駐車場20を用いたサービスに適用した場合のいくつかの例であったが、本発明は、前払い式の駐車場を用いたサービスに適用してもよい。
【0160】
以上説明したいくつかの実施形態は、本発明を、事業者(駐車場管理業者)が管理する駐車場20においてユーザが車両を駐車するためのスペースをそのユーザに貸与する駐車場サービスに適用した場合のいくつかの例であるが、他の種のサービスに本発明を適用することが可能である。
【0161】
具体的には、本発明は、例えば、個人が所有する駐車場を他人の車両を駐車するためにその他人に貸与するサービス(いわゆる駐車場シェアリング・サービス)に適用したり、事業者が事業所において車両をユーザに貸与するサービス(いわゆる車両レンタル・サービス)に適用したり、事業者が無人駐車場において車両をユーザに貸与するサービス(いわゆる車両シェアリング・サービス)に適用したり、個人が自身の車両を他人に貸与するサービス(いわゆる車両シェアリング・サービス)に適用してもよい。
【0162】
さらに、本発明は、不動産または動産であるレンタル対象をユーザにレンタルするというサービスに適用してもよい。
【0163】
以上説明したいくつかの実施形態においては、システム10のユーザが、本人が知らなう状態で、第2のシステム110の会員としての資格を与えられるようになっているが、本人に了解をもらうかまたは本人からの指示を待って、第2のシステム110の会員としての資格を得る態様で本発明を実施してもよい。
【0164】
以上、本発明の例示的な実施の形態のいくつかを図面に基づいて詳細に説明したが、これらは例示であり、前記[発明の概要]の欄に記載の態様を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変形、改良を施した他の形態で本発明を実施することが可能である。