(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-27
(45)【発行日】2024-10-07
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
A63F 7/02 20060101AFI20240930BHJP
【FI】
A63F7/02 351A
A63F7/02 301C
A63F7/02 346A
(21)【出願番号】P 2022101031
(22)【出願日】2022-06-23
【審査請求日】2023-07-07
(73)【特許権者】
【識別番号】599104196
【氏名又は名称】株式会社サンセイアールアンドディ
(74)【代理人】
【識別番号】100112472
【氏名又は名称】松浦 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100202223
【氏名又は名称】軸見 可奈子
(72)【発明者】
【氏名】中園 武
(72)【発明者】
【氏名】小川 慎也
(72)【発明者】
【氏名】森 圭史
(72)【発明者】
【氏名】原 一功
(72)【発明者】
【氏名】田中 勝巳
(72)【発明者】
【氏名】加藤 徹也
(72)【発明者】
【氏名】淺野 幸平
(72)【発明者】
【氏名】加治佐 隆恭
【審査官】小河 俊弥
(56)【参考文献】
【文献】特開2022-039393(JP,A)
【文献】特開2022-071295(JP,A)
【文献】特開2004-242827(JP,A)
【文献】特開2017-023168(JP,A)
【文献】特開2015-012917(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発射装置により遊技領域に打ち込まれて流下し終えた遊技球が列をなして誘導経路を通過して前記発射装置に戻り、遊技機単体で複数の遊技球を循環して使用する遊技機において、
前記誘導経路に沿って延び、
発泡体からなるローラ部品を前記誘導経路を通過する遊技球に当接
させ、遊技球を磨いて汚れを除去すると共に、遊技球にコーティング剤を付着させるローラ部材を備える遊技機。
【請求項2】
前記ローラ部材には、遊技球の汚れを除去するために表面に凹凸を有し、前記コーティング剤が付着又は含浸された
前記ローラ部品が含まれる請求項1に記載の遊技機。
【請求項3】
前記ローラ部材には、
前記ローラ部品として、遊技球の汚れを除去するための磨き用ローラ部品と、遊技球に前記コーティング剤を付着させるためのコーティング用ローラ部品と、が含まれる請求項1に記載の遊技機。
【請求項4】
前記コーティング用ローラ部品として、表面に凹凸を有する
前記ローラ部品に前記コーティング剤が付着又は含浸されたものを備え、
前記磨き用ローラ部品として、前記ローラ部品に前記コーティング剤が付着又は含浸されていないものを備える請求項3に記載の遊技機。
【請求項5】
前記発泡体は、発泡倍率が10~20倍の発泡樹脂である請求項1から4の何れか1の請求項に記載の遊技機。
【請求項6】
前記ローラ部品の径は、遊技球の径の1.5~2.0倍になっている請求項1から4の何れか1の請求項に記載の遊技機。
【請求項7】
前記誘導経路は上下方向に延び、
遊技球を支持可能な螺旋ブレードが張り出したスクリューが駆動源から動力を受けて回転し、前記誘導経路内の遊技球を上昇させ、
前記ローラ部材は、前記スクリューに対向配置されている請求項1に記載の遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の遊技機として、遊技機単体で複数の遊技球を循環して使用するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-034569号(段落[0010]等)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した従来の遊技機においては、遊技球の滑りをよくすることが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の遊技機は、発射装置により遊技領域に打ち込まれて流下し終えた遊技球が列をなして誘導経路を通過して前記発射装置に戻り、遊技機単体で複数の遊技球を循環して使用する遊技機において、前記誘導経路に沿って延び、発泡体からなるローラ部品を前記誘導経路を通過する遊技球に当接させ、遊技球を磨いて汚れを除去すると共に、遊技球にコーティング剤を付着させるローラ部材を備える遊技機。
【発明の効果】
【0006】
本開示に係る遊技機によれば、遊技球にコーティング剤が付着するので、遊技球の滑りを良くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図5】遊技機本体下部に備えられる球回収路周辺の分解図
【
図21】メンテナンスタイミング特定プログラムのフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0008】
[第1実施形態]
以下、
図1~
図21を参照して、本開示の第1実施形態に係る遊技機10について説明する。本実施形態の遊技機10は、パチンコ遊技機であって、
図1に示すように、前面扉10Zを前面に備え、その前面扉10Zに形成されたガラス窓10Wを通して遊技板11の前面に形成された遊技領域R1が視認可能になっている。なお、以下の説明において、遊技機10のうち遊技者に近い側を「前側」、その反対側を「後側」といい、遊技機10のうち、その前側から対峙した遊技者にとっての「右側」及び「左側」を単に「右側」及び「左側」ということとする。
【0009】
遊技領域R1は、
図2に示すように、遊技板11の前面から突出したガイドレール12に四方を囲まれることで形成されている。そして、発射ユニット31から発射された遊技球は、ガイドレール12によって形成された遊技板11の左側部の球誘導路17を通って上端寄り位置の進入口12Kから遊技領域R1に進入する。
【0010】
遊技板11のうち遊技領域R1の中央には、表示開口11Hが貫通形成され、この表示開口11Hを通して、表示装置13の表示画面13Gが前方に臨んでいる。なお、表示装置13の表示画面13Gには、遊技に関する種々の演出が表示される。
【0011】
表示開口11Hの開口縁には、表示装飾枠23が取り付けられている。表示装飾枠23は、遊技板11の前面側から表示開口11Hに嵌め込まれて遊技板11の前面から突出し、遊技領域R1を流下する遊技球が表示装飾枠23の内側に進入することを規制している。
【0012】
表示装飾枠23の下辺部には、遊技球が転動可能なステージ24が形成されている。ステージ24の最下端部には、遊技球を1つずつ排出可能な排出部24Aが3つ形成されている。また、表示装飾枠23の左辺部には、遊技領域R1を流下する遊技球を受け入れてステージ24へと誘導するワープ路24Rが形成されている。そして、ワープ路24Rを通過した遊技球は、ステージ24の左端から放出されて、ステージ24上を転動し、排出部24Aから表示装飾枠23の下方に流下する。
【0013】
表示装飾枠23の下方には、第1と第2の始動入賞口14A,14Bが上下に並べて設けられている。具体的には、3つの排出部24Aのうち真ん中の排出部24Aの真下に、第1の始動入賞口14Aが配置されている。表示装飾枠23の右側には、始動ゲート18が備えられている。表示装飾枠23の右下側、即ち、第1と第2の始動入賞口14A,14Bの右側には、大入賞口15が設けられている。また、遊技領域R1には、始動入賞口14A,14B及び大入賞口15のほかに、複数の一般入賞口20が備えられている。また、図示しないが、遊技領域R1全体に亘って複数の障害釘が分散配置されている。
【0014】
始動ゲート18は、遊技球が潜って通過可能な門形構造をなしている。始動ゲート18を遊技球が通過すると、普通図柄当否判定が行われる。
【0015】
第1の始動入賞口14Aは、上側に開放したポケット構造になっている一方、第2の始動入賞口14Bは、前方に開放し、開閉扉14Tにより開閉される。開閉扉14Tは、通常は、第2の始動入賞口14Bを閉塞する閉位置に配置され、上述した普通図柄当否判定で当りとなったことを起因にして、第2の始動入賞口14Bを開放する開位置に配置される。
【0016】
始動入賞口14A,14Bに遊技球が入賞すると、予め定められた所定数の遊技球が賞球として付与されると共に、特別図柄当否判定が行われる。その判定結果は、表示装置13の表示画面13Gにおいて特別図柄13A,13B,13Cの組み合わせで表示される。そして、特別図柄当否判定の判定結果が当りであると、大当り遊技が実行される。
【0017】
具体的には、表示画面13Gには、
図2に示すように、通常、3つの左、中、右の特別図柄13A,13B,13Cが横並びに停止表示されている。これら各特別図柄13A,13B,13Cは、例えば、「0」~「11」の数字を表記した複数種類のもので構成されており、通常は、各特別図柄13A,13B,13Cごと、所定の種類のものが停止表示されている。そして、第1及び第2の始動入賞口14A,14Bに遊技球が入賞したときに、これら3つの特別図柄13A,13B,13Cが、上下方向にスクロール表示され、所定時間後に、例えば、左、右、中の順で各特別図柄13A,13B,13Cが停止表示される。そして、判定結果が当り(以下、「大当り」という)の場合には、各特別図柄13A,13B,13Cが全て同じ図柄(ゾロ目)で停止表示され、遊技が「大当り遊技状態」に移行する。これに対し、判定結果が外れの場合には、ゾロ目以外の組み合わせで停止表示され、「大当り遊技状態」ではない通常遊技状態が続く。
【0018】
大入賞口15は、遊技板11の前面に開放して横長形状をなしており、常には、可動扉15Tにて閉塞されている。そして、上記したように「大当り遊技状態」になると、可動扉15Tが前側に倒れて大入賞口15が開放し、可動扉15Tをガイドにして大入賞口15に遊技球が入賞可能になる。大入賞口15に遊技球が入賞すると、予め定められた所定数の遊技球が賞球として付与される。
【0019】
一般入賞口20は、上側に開放したポケット構造をなし、遊技球が入賞すると、所定数の遊技球が賞球として付与される。
【0020】
上述した各入賞口14A,14B,15,20の何れにも入賞しなかった遊技球は、遊技領域R1の下端に設けられた複数のアウト口16に全て取り込まれる。
【0021】
本実施形態の遊技機10は、内部に所定数(例えば、40~49球)の遊技球が封入された、所謂、封入式遊技機である。そして、前面扉10Zの右下隅部に備えられた発射ハンドル28(
図1参照)が回動操作されると、機台内に封入された遊技球が発射ユニット31によって1球ずつ発射され、前述したように遊技板11の球誘導路17を通って進入口12Kから遊技領域R1へ進入する。そして、発射された遊技球は、各入賞口14A,14B,15,20に入賞したか否かに関わらず全ての遊技球が、球回収路40を通って回収され、揚上装置60により発射ユニット31に戻される。球回収路40及び揚上装置60については後に詳説する。このように、本実施形態の遊技機10では、内部の遊技球が循環的に使用されるようになっている。
【0022】
本実施形態では、機台内に封入された遊技球が循環するため、現実の遊技球が貸し出されるのではなく、貸出の金額に応じた遊技球の数が記憶される。そこで、遊技機10の隣には、カードユニット26(
図3参照)が配されている。カードユニット26は、カードが挿入されるカード挿入口を有し、カード挿入口に挿入されたカードに対して、遊技者の持ち球(遊技者が所有する遊技球)等についての読み込み、書き込み等の情報処理を行う。具体的には、遊技者の持ち球の数をカード内貯球の数としてカードに書き込む。また、カードに書き込まれているカード内貯球の数を読み込む。なお、カードユニット26は、現金で遊技球の貸出を行うための紙幣挿入口も有していて、残金の情報についてもカードに書き込み可能となっている。
【0023】
また、遊技機10の前面扉10Zの下部中央には、球管理ユニット19が設けられている(
図1参照)。球管理ユニット19では、遊技者の持ち球数や、カードユニット26の紙幣挿入口に挿入された現金のうち遊技球の貸し出しに使用されなかった残りの金額等が表示される。そして、遊技者は、球管理ユニット19上で操作を行って、カード内貯球の一部を、遊技機10において消費可能な遊技機側貯球として設定したり、紙幣挿入口に挿入した現金から遊技球の貸出を行ったりすることができる。また、球管理ユニット19の右方には、後述するメンテナンス報知ランプ53が設けられている。
【0024】
また、発射ユニット31には、発射ユニット31により発射される遊技球を検出する発射球センサ31Sと、発射ユニット31により発射されたが遊技領域R1に到達しなかった遊技球を検出する戻り球センサ36Sと(
図3参照)が備えられ、遊技球が発射球センサ31Sに検出されると、検出された遊技球の数が遊技機側貯球の数から減算され、遊技球が戻り球センサ36Sに検出されると、検出された遊技球の数が遊技機側貯球に加算される。また、各入賞口14A,14B,15,20に遊技球が入賞すると、各入賞センサ25(
図3参照)に検出されるようになっていて、入賞に応じた賞球分の遊技球の数が遊技機側貯球の数に加算される。
【0025】
図2には、一部の部品を除いた遊技機本体30の略全体が示されている。遊技板11は、遊技機本体30に嵌め込まれていて、発射ユニット31は、遊技機本体30の前面のうち遊技板11の下方に設けられている。発射ユニット31は、遊技機本体30の前面のうち左右方向のほぼ中央部に配設され、発射ハンドル28(
図1参照)の回動操作に伴って遊技球を遊技領域R1に向けて打ち出す。発射ユニット31の左側方には、発射ユニット31から発射された遊技球を遊技板11上の球誘導路17へと案内する発射球案内部36が設けられている。なお、遊技機本体30の一側部(正面視左側部)に前面扉10Z(
図1参照)が回動可能に連結される。つまり、
図2は、前面扉10Zを開いた状態の遊技機10の正面図と略同一である。
【0026】
図4に示すように、発射ユニット31は、発射装置31Aと球供給装置31Bとから、主に構成される。具体的には、発射ユニット31は、発射装置31Aのベース板33に、球供給装置31B、発射レール31R、打撃槌34、図示しない発射用モータ等の部品を組み付けてなる。球供給装置31Bは、揚上装置60から送られてくる遊技球をベース板33に貫通形成された供給口33Kから取り込んで、発射レール31R上に1球ずつ供給する。打撃槌34は、ベース板33の中央位置に上下に延びていて、発射レール31R上に供給された遊技球は、球受部材35により受け止められている。発射用モータは、発射ハンドル28の回動操作により駆動され、打撃槌34は、発射用モータの駆動力を受けて回動する。打撃槌34が回動して打撃位置に配されると、打撃槌34が球受部材35により受け止められた遊技球を弾く。これにより、遊技球が発射レール31Rに沿って斜め上方に発射される。なお、球供給装置31Bには、発射球センサ31Sが備えられていて(
図4には図示せず)、発射レール31R上に供給した遊技球をカウントする。
【0027】
図5に示すように、発射球案内部36は、後方に開放した扁平な箱状をなし、遊技板11と平行に配置されるベース板36Aと、ベース板36Aから後側に延びて後述する回収部43に突き当てられる複数の突壁36Bとを有し、これら複数の突壁36Bによりベース板36Aと回収部43との間に通路を形成する。具体的には、
図6に示すように、発射レール31Rに沿って斜め上方に発射された遊技球を、遊技板11の球誘導路17へ進入させる発射通路37と、発射力が弱いために遊技領域R1まで到達せず、球誘導路17を逆戻りした遊技球を回収する第1戻り通路38Aと、球誘導路17まで到達しなかった遊技球を回収する第2戻り通路38Bと、を形成する。第1及び第2戻り通路38A,38Bは下端で合流し、回収部43に貫通形成された戻り球受入部43Kから回収部43の後面側へ案内される。なお、第1及び第2戻り通路38A,38Bの合流部分には、前述の戻り球センサ39が設けられていて、第1及び第2戻り通路38A,38Bを通過した遊技球をカウントする。
【0028】
そして、遊技領域R1に進入した遊技球は、各入賞口14A,14B,15,20又はアウト口16に入球した後、遊技板11の後方に配置された図示しない回収ダクト誘導路に案内されて遊技板11の下端まで誘導される。回収ダクト誘導路は、各入賞口14A,14B,15,20、及びアウト口16の何れにも連通していて、遊技球を遊技板11の下方で上方に開口する回収ダクト40に向けて排出する(
図5参照)。回収ダクト40は球回収路41に連通している。
【0029】
図2に示すように、遊技機本体30のうち遊技板11の下方でかつ発射ユニット31及び発射球案内部36の後方には、遊技板11と略平行に配置されて後方に開放した扁平な箱状の回収部43が嵌め込まれている。回収部43の後面には、
図5に示す板状のカバー部42が組み付けられていて、回収部43の後面から突出する複数の突壁43Tにより回収部43とカバー部42との間に回収ダクト40と球回収路41が形成されている。
【0030】
具体的には、
図7及び
図8に示すように、上端部の1対の突壁43Tにより、左右の両端部から中央に向かって下るように傾斜した1対の傾斜面40Sが形成されていて、これら1対の傾斜面40Sが回収ダクト40となっている。
【0031】
そして、回収ダクト40の下方に、球回収路41が形成されている。球回収路41は、1対の傾斜面40Sの間に形成された開口部40Kから下方に延び、さらに左右方向の一端(前方から見て左端)寄り位置まで斜め下方に延びる第1案内面41Aと、第1案内面41Aから下方に延び、さらに左右方向の中央位置まで斜め下方に延びて下端で急勾配となっている第2案内面41Bと、第2案内面41Bから他端部(前方から見て右端部)まで斜め下方に延びる第3案内面41Cと、を有している。第3案内面41Cまで流下してきた遊技球は、カバー部42に貫通形成された回収球排出部42K(
図5参照)からカバー部42の後方に排出される。回収球排出部42Kは、揚上装置60の球入口60A(
図9参照)に連通していて、遊技領域R1を流下した遊技球は全て、回収ダクト40で回収され、球回収路41を通過して揚上装置60に送られるようになっている。なお、第2案内面41Bには、遊技球を検出する球回収センサ44が備えられていて、機台内を循環する遊技球数を管理できるようになっている。
【0032】
また、第2案内面41Bの下方には、第2案内面41Bに沿って、戻り球案内面45が延びている。戻り球案内面45は下端部で第3案内面41Cに合流している。戻り球案内面45の上端部は、回収部43に貫通形成された前述の戻り球受入部43Kに連通している。これにより、発射ユニット31により発射されたが、発射力が弱いために発射球案内部36の第1戻り通路38A又は第2戻り通路38Bにより回収された戻り球も球回収路41を通過して揚上装置60に送られるようになっている。
【0033】
次に、揚上装置60について詳細を説明する。
図5及び
図9に示すように、揚上装置60は、カバー部42の裏面のうち右端部に固定されている。
図10~
図12に示すように、揚上装置60は、前面が開放した箱形のケース61に、上下方向に延びたスクリュー62と、スクリュー62と共に遊技球を囲む樋部材63と、スクリュー62を回転駆動するモータ64と、を備える。樋部材63は、左右方向で対向する1対の樋壁部63Aを有し、ケース61内の右側領域に配されている。樋壁部63Aは、前後方向の長さがケース61の前後方向の長さの2/3~4/5程になっていて、前後方向の中央部に、互いに近づくように内側に膨出し、上下方向に延びた1対の仕切り膨出部63Bが形成されている。1対の仕切り膨出部63Bは、前方に向かうにつれて互いに近づき、間に遊技球が受容されるように湾曲し、前端部同士の間は、遊技球が通過不能な幅になっている。また、
図12及び
図13に示すように、樋部材63の下端部には、1対の樋壁部63Aの前端部同士を連絡する前壁部63Cと、1対の樋壁部63Aの後端部同士を連絡する後壁部63Dと、が設けられている。
【0034】
スクリュー62は、中心軸62Aから螺旋状のブレード62Bが張り出した形状になっていて、樋部材63のうち1対の仕切り膨出部63と後壁部63Dとの間の空間に配されている。また、スクリュー62は、上端部に、ブレード62Bの上端部とその真下の位置とを連絡するように中心軸62Aから径方向に張り出した押出片62Cを備える。スクリュー62の中心軸62Aの上端は断面円形をなしてケース61の軸受容部61E(
図10参照)に受容されている一方、スクリュー62の中心軸62Aの下端は断面四角状になっていて、スクリュー用ギア62Gに固定されている。このスクリュー用ギア62Gは、複数の連絡ギア64R(
図13参照)を介してモータ64(
図10参照)の駆動ギア64Gと連結されていて、スクリュー62はモータ64の動力を受けて回転する。
【0035】
図11及び
図14に示すように、スクリュー62と1対の樋壁部63Aの仕切り膨出部63Bとに囲まれた領域は、遊技球が通過する誘導経路65となっている。誘導経路65の下端部に進入した遊技球は、1対の樋壁部63Aにより左右方向で位置決めされた状態となり、スクリュー62の回転によりブレード62Bのうち誘導経路65内に張り出す部分が上昇していくにつれて、上昇する。そして、ブレード62Bによって上昇させられた遊技球は、誘導経路65の上端部に到達すると、押出片62Cによって側方へ(次述する上側通路61Bへ)押し出される。
【0036】
また、揚上装置60には、揚上装置60の前端から誘導経路65の下端部までを連絡する下側通路61A(
図13参照)と、誘導経路65の上端部から揚上装置60の前端までを連絡する上側通路61B(
図15参照)と、が設けられている。詳細には、
図13に示すように、ケース61には、樋部材63の右側面下端部に遊技球1球分挟んで対向する対向壁61A1が固定されている。対向壁61A1の後端部は、左方へ湾曲している。
図12及び
図13に示すように、右側の樋壁部63Aの下端中央には切り欠き63A1が形成されていて、下側通路61Aが樋部材63内に続いている。そして、樋部材63にも、前後方向で対向する対向壁部63Eが設けられていて、樋部材63と対向壁61A1との間と、対向壁部63E同士の間と、から下側通路61Aが構成されている。この下側通路61Aの前端の開口が、揚上装置60に遊技球が進入する球入口60Aとなっている。
【0037】
また、
図15に示すように、左側の樋壁部63Aにおける仕切り膨出部63Bの上方には、誘導経路65の上端に到達した遊技球が左方へ転動可能となる通路面61B1が設けられている。通路面61B1は、誘導経路65の上端から左方に延びたのち前方に屈曲して、ケース61全体の前端面よりも前方に突出している。また、ケース61には、通路面61B1を挟む対向壁61B2が設けられている。これら通路面61B1及び対向壁61B2から上側通路61Bが構成されている。この上側通路61Bの前端の開口が、誘導経路65から遊技球が排出される球出口60Bとなっている。
【0038】
揚上装置60の球入口60Aは、上述した回収球排出部42Kと重ね合わされていて(
図9参照)、揚上装置60の球出口60Bは、回収部43に形成された中継通路43R(
図5及び
図16参照)の後面開口に重ね合わされている。中継通路43Rは、発射ユニット31の供給口33Kと連通している。なお、カバー部42には、ケース61全体の前端面よりも前方に突出した上側通路61Bが挿通される貫通孔42Yが形成されている。
【0039】
以上の構成により、発射ユニット31から発射されたのち、回収ダクト40により回収された遊技球及び第1戻り通路38A又は第2戻り通路38Bにより回収された遊技球は、球回収路41を通過して回収球排出部42Kから揚上装置60の下側通路61Aに進入し、誘導経路65内を上昇したのち、上側通路61B及び中継通路43Rを通過して再び発射ユニット31へ送られる。
【0040】
さて、遊技機10で遊技を行っていると、遊技球が遊技領域R1を流下する際に、釘や樹脂の削りカス等が付着して遊技球が汚れてしまうことがある。これに対して、現実の遊技球が貸し出され、実際に賞球を払い出す従来の遊技機では、遊技領域R1を流下し終えた遊技球が遊技機の外に排出されるので、遊技球の汚れを除去するクリーニング作業が遊技機の外(例えば、遊技ホールの島に設置され、遊技球を遊技機の上方へ上昇させる揚上装置)で行われることが一般的であった。
【0041】
しかしながら、本実施形態の遊技機10のような封入式の遊技機の場合、遊技中に遊技球が遊技機の外に排出されないので、クリーニング作業を遊技機の外で行う場合、汚れが蓄積しやすかったり、遊技球を遊技機の外に出す作業に手間がかかるという問題が生じ得る。そこで、本実施形態の遊技機10では、遊技球を遊技機10内でクリーニングするためのクリーニング機構70が揚上装置60に組み込まれている。以下、このクリーニング機構70について詳細を説明する。
【0042】
図12及び
図14に示すように、クリーニング機構70は、ローラ部材71と、ローラ部材71を保持するためのローラ保持機構80と、を備える。ローラ部材71は、スクリュー62に沿って上下方向に延びる軸部材72に複数のローラ部品75が嵌合されてなる。
図14及び
図17に示すように、軸部材72は、断面円形の軸本体72Aと、軸本体72Aの中央部に取り付けられた持ち手部73と、軸本体72Aの両端部に固定された連結機構部72Bと、を有している。
【0043】
持ち手部73は、前後方向に延びた帯板部73Aの前端部に、帯板部73Aよりも厚みがある把持部73Bを有している。
図18に示すように、持ち手部73の帯板部73Aには、後端部に、貫通孔73Kが形成されている。一方、軸本体72Aには、中央に、滑り性がよい軸受リング72Cが固定されていて、この軸受リング72Cが持ち手部73の貫通孔73Kに受容されている。
【0044】
軸本体72Aのうち軸受リング72Cの上下には、フランジ部材72Dが固定されている。フランジ部材72Dは、中央に軸本体72Aが挿通される貫通孔72D2を有する円板部72D1と、貫通孔72D2の開口縁から軸受リング72C側へ突出した突部72D3と、を有する。円板部72D1は、軸受リング72Cより側方へ張り出している。また、フランジ部材72Dの突部72D3が軸受リング72Cに当接可能となっている。軸本体72Aには、軸方向におけるフランジ部材72Dの外側に切り欠き72A1が形成され、この切り欠き72A1に止め輪72Eが取り付けられ、フランジ部材72D及び軸受リング72Cが位置決めされる。
【0045】
上下の連結機構部72Bは同形状であるため、連結機構部72Bについて、上側の連結機構部72Bを例にして説明する。
図14及び
図19に示すように、連結機構部72Bは、円筒状をなし、下端部に、径方向の内側に張り出したフランジ部72B1を有する。フランジ部72B1の中央には、軸本体72Aが挿通される貫通孔72B2が形成されている。連結機構部72Bは、軸本体72Aの先端にネジ72Nにより固定されている。
【0046】
連結機構部72Bにおける軸方向の外側端部72B3は、ギザギザの波状になっている。詳細には、外側端部72B3は、鉛直方向に延びる第1面72BAと、第1面72BAの下端から右上方に延びた第2面72BBと、を複数連ねた形状になっている。
【0047】
図11及び
図14に示すように、ローラ部品75はリング状をなし、軸部材72のうち、上側の連結機構部72Bと上側のフランジ部材72Dとの間と、下側の連結機構部72Bと下側のフランジ部材72Dとの間と、にそれぞれ5つずつ配されている。本実施形態のローラ部品75は、例えばポリエチレン製の発泡樹脂からなる。なお、ローラ部品75の外径は、遊技球の直径の1.5~2.0倍程であり、その発泡倍率は、10~20倍程(特に15倍が好ましい)である。
【0048】
ローラ部材71は以下のように組み立てられる。即ち、まず、軸本体72Aに軸受リング72Cと、例えば下方のフランジ部材72Dとが嵌められる。そして、例えば上方から持ち手部73が軸受リング72Cの外側に嵌合され、上方のフランジ部材72Dも軸本体72Aに嵌められる。次いで、軸本体72Aのうち上下のフランジ部材72Dの上又は下に、5つずつローラ部品75を嵌め、さらに連結機構部72Bを嵌めて、ネジ72Nにより固定する。以上により、ローラ部材71が完成する。
【0049】
次に、ローラ保持機構80について説明する。ローラ保持機構80は、1対の樋壁部63Aの間のうち仕切り膨出部63Bよりも前方にローラ部材71を回転可能に保持するためのものである。詳細には、ローラ保持機構80は、ケース61内の上端に固定された上側連結部81と、下端に固定された下側連結部82と、を備える。
【0050】
図14及び
図19に示すように、上側連結部81は、ケース61の上壁から垂下する上側軸81Jに回転可能に嵌合している。上側連結部81は、上側軸81Jに嵌合する円筒部81Eと、円筒部81Eの中間部から側方に張り出す円板部81Fと、を備え、円板部81Fの下面は、ローラ部材71の連結機構部72Bにおける第1面72BA及び第2面72BBに対応して、鉛直方向に延びる第1面81Aと、第1面81Aの下端から右上方へ延びた第2面81Bと、が複数連なるギザギザの波状になっている。上側連結部81と上側の連結機構部72Bとは、第1面81A,72B3同士、第2面81B,72B4同士を重ね合わせることで、回転を伝達可能に連結する。なお、上側軸81Jには上側連結部81を抜け止めする止め輪81Tが取り付けられている。
【0051】
図12及び
図14に示すように、ケース61の下壁には、下側軸82Jがケース61に対して回動可能に支持されている。下側軸82Jは、上側軸81Jよりも長くなっていて、中間部が断面円形で、ケース61に固定された軸受部材61Uに受容され、その上下の部分は断面非円形(本実施形態では「D」字状)になっている。また、下側軸82Jのうち軸受部材61Uに受容される部分の上隣には、下側軸82Jの断面形状と対応した非円形の貫通孔82F1が形成されたフランジ部材82Fが固定されている。下側連結部82には、下側軸82Jの断面形状と対応した非円形の貫通孔82Kが形成されていて、下側連結部82は、下側軸82Jに対する回転不可能かつ直動可能に遊嵌されている。下側軸82Jの上端部には、下側連結部82を抜け止めする止め輪82Tが固定されている。
【0052】
下側連結部82とフランジ部材81Fとの間にはコイルばね82Cが圧縮状態に配されていて、下側連結部82は上方に付勢されている。また、下側連結部82の上面には、上側連結部81と同様に、ローラ部材71の連結機構部72Bにおける第1面72BA及び第2面72BBに対応して、第1面82Aと、第2面82Bと、が複数連なって形成されていて、下側連結部82及び下側の連結機構部72Bも回転を伝達可能に連結する。
【0053】
ローラ部材71は以下のようにしてローラ保持機構80に取り付けられる。即ち、まず、持ち手部73を把持してローラ部材71を揚上装置60に前方から近づけ、下端部を先にケース61内に進入させるように斜めにする。下側の連結機構部72Bを下側連結部82に宛がい下側連結部82を押し下げたのち、上側の連結機構部72Bが上側連結部81の真下に位置するようにローラ部材71の姿勢を上下方向に合わせる(
図20参照)。そして、コイルばね82Cの弾性力に従いローラ部材71を上昇させることで、上下の連結機構部72Bと、上側及び下側の連結部81,82とがそれぞれ噛み合って連結される。
【0054】
ローラ部材71を取り外すときは、まず、コイルばね82Cの弾性力に抗してローラ部材71を押し下げ、ローラ部材71の上端を先にケース61から抜くように斜めにして上方へ引き抜く。なお、
図5に示すように、カバー部42及び回収部43には、ローラ部材71を露出させる貫通孔42X,43Xが形成されていて、ローラ部材71は、前面扉10Zを開いた状態(
図2の状態)で着脱可能となっている。
【0055】
図12及び
図14に示すように、下側軸82Jの下端部には、スクリュー用ギア62Gと連結するローラ用ギア82Gが固定されていて、ローラ部材71はスクリュー62と共に回転する。ローラ部材71は、スクリュー62とは反対向きに回転する。なお、スクリュー62により揚上される遊技球は、スクリュー62とは反対向きに回転するので、ローラ部材71は遊技球と同じ向きに回転することとなる。
【0056】
これにより、遊技球が揚上装置60の誘導経路65内を上昇する際に、遊技球がローラ部材71(ローラ部品75)に当接するので、遊技球の汚れが除去される。しかも、スクリュー62の回転による遠心力で遊技球がローラ部材71側へ押し付けられるので汚れがより除去されやすくなる。さらに、ローラ部材71も回転駆動されるので、単に当接する場合よりも遊技球の表面に力がかかることになり、汚れがより除去されやすくなる。また、ローラ部品75が発泡樹脂により構成されているので、比較的安価に製造できるとともに、表面の凹凸により汚れを除去しやすくなっている。
【0057】
また、ローラ部材71が複数のローラ部品75を軸方向で並べて備えるので、誘導経路65内を上昇する遊技球が各ローラ部品75の上縁部及び下縁部を横切って通過する、つまり、遊技球が発泡樹脂のエッジに複数回当接することになり、遊技球の汚れをより除去しやすくなる。また、誘導経路65により遊技球が通過する方向が定められているので、確実に遊技球に発泡樹脂のエッジを横切らせることができる。
【0058】
ところで、現実の遊技球が貸し出され、実際に賞球を払い出す従来の遊技機では、例えば遊技ホールの島に設置された揚上装置において汚れが除去されると共に遊技球の滑りをよくするコーティング剤が付着された遊技球が使用されることが一般的であった。しかしながら、遊技球が排出されない封入式の遊技機では、封入前に遊技球にコーティング剤を付着させていたとしても、累積稼働時間が長くなるにつれてコーティング剤が剥がれて滑りにくくなり、遊技球が想定される挙動をしなくなる。また、コーティング剤には遊技球を保護する役割もあると考えられ、コーティング剤が付着していないと遊技球が摩耗しやすくなり、遊技球の挙動が不安定になる。これにより、例えば、本実施形態の遊技機10のように、ステージ24の真ん中の排出部24Aの真下に第1の始動入賞口14Aが配されている場合、真ん中の排出部24Aに到達する前にその手前の排出部24Aから遊技球が落下しやすくなり、入賞率が低下するという不具合が生じ得る。
【0059】
この不具合を解消するには、例えば、コーティング剤が付着されていない状態での滑り具合を基準として遊技機を開発することも考えられるが、従来の遊技機開発のノウハウが通用しにくく、開発に時間を要すると思われる。
【0060】
これに対して、本実施形態の遊技機10は、揚上装置60において、遊技球にコーティング剤を付着させる構成となっている。具体的には、本実施形態では、ローラ部材71のローラ部品75に、コーティング剤(例えば、フッ素化合物を含む潤滑剤)が含浸されている。なお、ローラ部材71は、例えば、長尺ロール状の発泡樹脂を、高温で液状になったコーティング剤に浸してから取り出しすことで、コーティング剤が固化した発泡樹脂とし、それを輪切りすることで製造される。
【0061】
これにより、遊技球が誘導経路65内を上昇する度に、汚れが除去されると共に、コーティング剤が付着されることとなる。そして、遊技球が、従来の遊技機で使用される遊技球と同程度の滑り具合を保つことが可能となる。また、コーティング剤により遊技球が保護されるので、遊技球の摩耗が防がれる。よって、遊技球の挙動が安定して入賞率が低下するという不具合を防ぐことが可能となると共に、従来の遊技機開発のノウハウを十分活かして遊技機開発を行うことが可能となる。
【0062】
また、本実施形態では、ローラ部品75にコーティング剤が含浸されているので、一か所で球磨きとコーティングとが両方行われることとなり、それらを別個の場所で行う構成とするよりも揚上装置60の設計が容易となる。しかもそれが誘導経路65で行われるので、他に球磨き及びコーティング用のスペースを設ける場合よりも揚上装置60をコンパクトにすることができる。また、ローラ部品75が球磨きの機能とコーティングの機能とに兼用されるので、別個に設けるよりも部品点数を減らすことができる。また、ローラ部品75が発泡樹脂から構成されるので、コーティング剤を含浸させることが容易である。
【0063】
また、球磨きとコーティングとが、誘導経路65内で遊技球が列をなして並んでいるところで行われるので、汚れの除去具合やコーティング剤の付着量に遊技球ごとにムラが発生することが防がれる。また、ローラ部材71のように、遊技球に当接するものをローラ形状にして回転させる構成にすることで、遊技球に当接する発泡樹脂の面が変化し、汚れを落としやすくかつ遊技球に付着させやすくすることができるとともに、発泡樹脂の摩耗の偏り及びコーティング剤の減少の偏りを抑制することができる。また、スクリュー62の回転を受けて遊技球も回転するので、磨き残しやコーティング剤の付着の偏りが抑制される。
【0064】
なお、ローラ部材71には、例えば持ち手部73の帯板部73Aに、シール73Sを貼り付けられるシール貼り付け部73Rが設けられている(
図11参照)。シール73Sには、例えば、ローラ部材71の種類(コーティング剤の種類)を識別可能な識別番号が記載されたり、ローラ部材71の使用可能時期を書き込み可能となっている。なお、識別番号は、同種類のローラ部材には同じ番号が設定されていてもよいし、1種類のローラ部材に対して複数かつ各ローラ部材ごとに異なるように設定されていてもよい。
【0065】
ここで、誘導経路65内を多数の遊技球が通過して、多数の遊技球の球磨きとコーティングが行われると、ローラ部品75に汚れが溜まって遊技球の汚れを除去できなくなり、また、ローラ部品75に含浸されたコーティング剤の量が減少して遊技球に適切な量のコーティング剤を付着できなくなるという問題が生じ得る。これに対して、本実施形態では、ローラ部材71が、上述したように、交換可能な状態で揚上装置60に設置され、さらに、前面扉10Zを開いた状態の遊技機本体30の前面から着脱可能となっているので、作業者は容易にローラ部材71の交換を行うことができる。しかも、本実施形態では、ローラ部品75にコーティング剤が含浸されているので、ローラ部材71を交換するだけで、遊技球における球磨きとコーティングの両方のメンテナンスを同時に行うことができる。
【0066】
本実施形態では、ローラ部材71における汚れの堆積やコーティング剤の含浸量の低下は、遊技球が機台内を循環した時間の経過により生じることから、遊技球が機台内を循環した時間に基づいてローラ部材71の交換時期を特定し、交換時期が到来すると、メンテナンス報知ランプ53を点灯させることで作業者にその旨を報知して、ローラ部材71の交換を促すようになっている。ローラ部材71の交換時期の特定については、後に詳説する。
【0067】
また、本実施形態の遊技機10において使用されるコーティング剤は、無色透明であってもよいし、有色であってもよい。有色の場合、ローラ部品75に含浸させた際に、コーティング剤が含浸している部分が識別可能になるようにすることが好ましい。例えば、ローラ部品75として青色の発泡樹脂を使用し、コーティング剤を灰色とすることで、ローラ部品75が灰色に変化してコーティング剤を認識可能となる。このコーティング剤は、上述した通りローラ部材71が遊技球と当接するたびに遊技球に付着していく。このため、遊技球と当接する回数が増えていくにつれて含浸されているコーティング剤が少なくなり、ローラ部品75は元来の色(青色)に戻っていく。これによれば、ローラ部品75の色の変化によってもローラ部材71のメンテナンス(例えばローラ部材71の交換)のタイミングが容易に判断できる。
【0068】
なお、上述した例では、コーティング剤は灰色であったが、赤や青など、ローラ部75品に含浸させた際に識別可能になる色であればどんなものでもよい。またローラ部品75も青色に限られるものではなく、白色や他の色であってもよい。なお、ローラ部品75は遊技球の汚れが付着して黒ずむことも考えられるので、黒ずんでもコーティング剤を認識可能な配色とすることが好ましい。
【0069】
図3には、遊技機10の電気的構成が示されている。同図に示す符号50は、主制御基板50であって、CPU50A、RAM50B、ROM50C及び複数のカウンタを備えたマイクロコンピュータと、該マイクロコンピュータとサブ制御基板52を結ぶ入出力回路と、大入賞口15等が接続された中継基板及び遊技球管理基板54等を結ぶ入出力回路とを備え、遊技に関わる主制御を行う。CPU50Aは、当否判定部、制御部、演算部、各種カウンタ、各種レジスタ、各種フラグ等を備え、演算制御を行う他、特別図柄当否判定や普通図柄当否判定に関する乱数等も生成し、制御信号をサブ制御基板52等へ出力(送信)可能に構成されている。RAM50Bは、CPU50Aで生成される各種乱数値用の記憶領域、各種データを一時的に記憶する記憶領域やフラグ、CPU50Aの作業領域を備える。ROM50Cには、制御データ、特別図柄13A,13B,13C及び普通図柄の変動表示に関する図柄変動データ等が書き込まれている他、特別図柄当否判定及び普通図柄当否判定の判定値等が書き込まれている。
【0070】
サブ制御基板52は、主制御基板50と同様に、CPU52A、RAM52B、ROM52C及び複数のカウンタを備えたマイクロコンピュータと、該マイクロコンピュータと主制御基板50を結ぶ入出力回路と、表示装置13等を結ぶ入出力回路を備えている。CPU52Aは、制御部、演算部、各種カウンタ、各種レジスタ、各種フラグ等を備え、演算制御を行う他、制御信号を表示装置13やメンテナンス報知ランプ53等へ出力(送信)可能に構成されている。RAM52Bは、各種データの記憶領域とCPU52Aによる作業領域を有している。ROM52Cには、各種演出のデータ等が記憶されている。ROM52Cには後述するメンテナンスタイミング特定プログラムPG1も記憶されており、CPU52Aは、メンテナンスタイミング特定プログラムPG1を実行して、ローラ部材71の交換時期を特定する。
【0071】
遊技球管理基板54は、発射装置31、発射球センサ31S、戻り球センサ36S、入賞センサ25、球回収センサ44等に接続され、各入賞口14A,14B,15,20及びアウト口16への遊技球の入球に基づいた主制御基板50からの信号に基づいて機台内を循環する遊技球を管理する。また、遊技球管理基板54は、カードユニット26に接続され、カードから読み取った情報を受信し、カードユニット26にカードに書き込む情報を送信する。また、遊技球管理基板54は、球管理ユニット19に接続され、球管理ユニット19から受信した信号に基づいて、カード内貯球から遊技機側貯球へ遊技球を移したり、遊技機側貯球からカード内貯球へ遊技球を移したりすると共に、球管理ユニット19の表示部19H(
図1参照)に表示する持ち球の情報を球管理ユニット19へ出力する。
【0072】
なお、主制御基板50、サブ制御基板52及び遊技球管理基板54等は、電源基板51からの電源供給を受けて作動する。
【0073】
ところで、上述したように、本実施形態では、サブ制御基板52のCPU52Aは、メンテナンスタイミング特定プログラムPG1を実行することで、ローラ部材71の交換時期を特定する。具体的には、CPU53Aは、メンテナンスタイミング特定プログラムPG1を実行することで、計測部55、判定部56、報知部57、リセット部58として機能する。
【0074】
計測部55は、遊技機10の累積稼動時間T1をカウントする。具体的には、遊技機10への電力供給中の経過時間を時計機能により計測し、電力供給が停止した場合には、計測した経過時間を、遊技機10の稼動時間としてRAM52Bに一時的に記憶させる。そして、電力供給が再開した際にRAM52Bからその稼動時間を読み出し、さらに時計機能により計測した経過時間を加算することで、遊技機10の累積稼動時間T1を計測する。なお、遊技機10への電力供給が停止された際には、サブ制御基板52は図示しないバックアップ電源から供給される電力によって動作するので、遊技機10への電力供給が停止されても累積稼動時間T1のデータは消失しないようになっている。メンテナンスタイミング特定プログラムPG1は、遊技機10へ電力が供給されている間実行される。本実施形態では、時計機能として、図示しないリアルタイムクロックを使用している。
【0075】
判定部56は、例えば、一日に一回所定の時刻に自動的に実行されるようになっている。判定部56は、遊技機10の累積稼動時間T1をROM52Cに記憶されている基準時間Tcと比較し、累積稼動時間T1が基準時間Tcを超えた場合に、ローラ部材71の交換時期が到来したと判定する。なお、本実施形態では、判定部56は一日に一回実行されるが、一日に複数回実行される構成であってもよい。
【0076】
報知部57は、判定部56がローラ部材71の交換時期が到来したと判定した場合に、メンテナンス報知ランプ53を点灯させる。このメンテナンス報知ランプ53の点灯により、作業者に、ローラ部材71の交換時期が到来したことを報知し、ローラ部材71を交換するように促すことができる。
【0077】
リセット部58は、作業者がローラ部材71を交換する際に、作業者のみアクセス可能な入力部(図示せず)に、新しいローラ部材71に貼付されたシール73Sに記載の識別番号を入力したときに、メンテナンス報知ランプ53を消灯すると共に、累積稼動時間T1をリセットし、遊技機10の稼動時間を再び0からカウントを開始する。但し、リセット部58は、入力された識別番号が遊技機10に予め登録されている指定識別番号と一致するか否かを判定し、一致した場合にのみ累積稼動時間T1をリセットし、メンテナンス報知ランプ53を消灯する。つまり、入力された識別番号が指定識別番号と相違する場合には、メンテナンス報知ランプ53による報知が継続される。
【0078】
このように、本実施形態では、遊技機10が稼動している間、メンテナンスタイミング特定プログラムPG1が実行されて、遊技機10の累積稼動時間T1が計測される。この遊技機10の累積稼動時間T1に基づいて、ローラ部材71の交換時期を判定して、交換時期が到来するとメンテナンス報知ランプ53を点灯させるので、作業者はローラ部材71の交換時期が到来したことを容易に把握することができ、適切なタイミングでローラ部材71を交換して、遊技球における球磨きとコーティングのメンテナンスを行うことができる。また、交換時に作業者がローラ部材71の識別番号を入力するまで、メンテナンス報知ランプ53による報知が継続されるので、ローラ部材71の交換時期に交換し忘れることを抑制し、ローラ部材71を適切なタイミングで交換することができる。また、入力された識別番号が予め登録されている指定識別番号と一致しない場合には、メンテナンス報知ランプ53による報知が継続されるので、例えば、遊技機10に使用している遊技球に不適合なコーティング剤が含浸されたローラ部材が誤って取り付けられたり、不正な目的で推奨されないローラ部材が取り付けられたりすることを防止することができる。
【0079】
以下、サブ制御基板52のCPU52Aが実行するメンテナンスタイミング特定プログラムPG1の一例を
図21に示す。メンテナンスタイミング特定プログラムPG1は、上述したように、遊技機10が稼動している間実行され、遊技機10の累積稼動時間T1がカウントされる(S11)。そして、一日に一回所定の時刻になると(S12でYES)、累積稼動時間T1が基準時間Tcを超えたか否かが判定される(S13)。累積稼動時間T1が基準時間Tcを超えるまでは(S13でNO)、累積稼動時間T1の加算が継続され(S11)、累積稼動時間T1が基準時間Tcを超えると(S13でYES)、メンテナンス報知ランプ53を点灯させる(S15)。
【0080】
そして、ローラ部材71を交換した作業者により識別番号が入力され(S16でYES)、その識別番号が指定識別番号と一致すると(S17でYES)、メンテナンス報知ランプ53が消灯され(S18)、累積稼動時間T1がリセットされて(S19)、再び0からカウントが開始される(S11)。そして、識別番号が入力されない場合(S16でNO)や、入力された識別番号が指定識別番号と相違する場合(S17でNO)は、正しい識別番号が入力されるまで(S16でYESかつS17でYES)、累積稼動時間T1の加算が継続され、メンテナンス報知ランプ53は点灯し続ける(S11及びS14でYES)。ここで、ステップS11を実行しているときのCPU52Aが上述した計測部55、ステップS12,S13を実行しているときのCPU52Aが上述した判定部56、S14,S15を実行しているときのCPU52Aが上述した報知部57、S16~S19を実行しているときのCPU52Aが上述したリセット部58に相当する。
【0081】
[第2実施形態]
本実施形態の遊技機10では、揚上装置60Vの構成が上記第1実施形態の揚上装置60と異なっている。具体的には、
図22に示すように、揚上装置60Vは、誘導経路65内を上昇する遊技球とローラ部材71との間が1対の仕切り膨出部63Bにより仕切られていて、1対の仕切り膨出部63Bの前端部同士の間に形成された隙間から露出する遊技球に対してローラ部材71が側方から当接する点で第1実施形態の揚上装置60と共通しているが、その当接状態が異なる。第1実施形態では、1対の仕切り膨出部63Bの前端部同士の間には、その上端部から下端部まで、ローラ部材71が当接可能な幅の隙間が形成されているのに対して(
図11,14参照)、本実施形態では、1対の仕切り膨出部63Bの前端部同士の間に形成される隙間は、その上端部から上下方向の中間部分までの間は、ローラ部材71が当接不能な幅となり、中間部分から下端部までの間は、ローラ部材71が当接可能な幅の隙間となっている。
【0082】
即ち、
図23に示すように、1対の仕切り膨出部63Bの前端部のうち上端部から上下方向の中間部分までの間には、互いに近づく方向に突出した仕切突部69が形成されている。この1対の仕切突部69により、誘導経路65の下端部から上下方向の中間部分までを移動する遊技球に対してはローラ部材71は側方から当接できるが、誘導経路65の上下方向の中間部分から上端部を移動する遊技球に対してはローラ部材71は側方から当接できないようになっている。
【0083】
この構成により、ローラ部材71の下半分だけを球磨きとコーティングに使用することになる。ここで、発射ユニット31から発射された遊技球が再び発射ユニット31に戻ってくるまでの間に遊技球に付着する汚れやコーティングの剥がれ落ちに対する処理として、遊技球が誘導経路65内を上昇している間ずっとローラ部材71を当接させることは、過剰の処理になる場合があり、ローラ部品75を無駄に消耗させてしまうことになる。本実施形態の揚上装置60Vによれば、ローラ部材71の下半分だけを球磨きとコーティングに使用し、例えば、ローラ部材71の交換時期が到来したときに、ローラ部材71をそれまでとは上下逆さまにして揚上装置60Vに設置すれば、遊技球を適切にメンテナンスしつつローラ部材71を長期にわたって効率よく使用することができ、ローラ部品75に対するメンテナンス性を向上させることができる。なお、本実施形態では、1対の仕切突部69は、1対の仕切り膨出部63Bの前端部のうち上端部から上下方向の中間部分までの間に形成されていたが、上下方向の中間部分から下端部までの間に形成されていてもよい。
【0084】
[第3実施形態]
本実施形態の遊技機10では、ローラ部材71だけでなく、スクリュー62の押出片62Cによっても、遊技球にコーティング剤が付着される。具体的には、押出片62Cのうち遊技球が当接する側の面に、コーティング剤を含浸させた発泡樹脂62D(
図24参照)が貼り付けられている。これによれば、遊技球を上側通路61Bに向かって押し出す際の力を利用して、遊技球にコーティング剤を付着させることができる。なお、コーティング剤の付着を発泡樹脂を用いて行うので、遊技球の汚れも除去される。
【0085】
また、押出片62Cに貼り付けられるのは、コーティング剤が含浸されていない発泡樹脂であってもよい。これによれば、ローラ部品75によって塗布されたコーティング剤が過剰であった際に、その過剰分をふき取って適切なコーティング剤の量にすることができる。
【0086】
なお、発泡樹脂62Dを設けず、押出片62Cに直接コーティング剤を塗布する構成になっていてもよい。また、ローラ部材71を備えない構成としてもよい。
【0087】
[第4実施形態]
遊技球にコーティング剤が付着しすぎると滑り具合が想定よりもよくなりすぎて、遊技球が想定された挙動をしなくなることも考えられる。これに対して、本実施形態では、遊技球に付着させるコーティング剤の量を調整することが可能になっている。
【0088】
具体的には、本実施形態の遊技機10は、ローラ部品75として、コーティング剤に含浸させた第1のローラ部品75と、コーティング剤に含浸させていない第2のローラ部品75と、を備えている。初期には、例えば、第1のローラ部品75と第2のローラ部品75とは1つずつ交互に並べられて、軸本体72Aに通されている。つまり、全ローラ部品75中の第1のローラ部品75の割合が50%となっている。そして、遊技球の滑り具合が想定よりも大きければ、第1のローラ部品75を減らして第2のローラ部品75を増やし、遊技球の滑り具合が想定よりも小さければ、第2のローラ部品75を減らして第1のローラ部品75を増やすことで、想定する滑り具合に近づけることができる。
【0089】
ところで、遊技機10の累積稼働時間が長くなると、遊技領域R1(遊技板11の前面)の摩耗や、遊技領域R1上の障害釘,樹脂体などが劣化して遊技球の流れが悪くなり、遊技球が想定された挙動をしなくなるという問題も発生する。しかしこれに対して、遊技領域R1や障害釘,樹脂体を新しいものと交換するという解決策は、コストや作業の手間といった観点から現実的ではない。これに対して、本実施形態によれば、遊技球に付着させるコーティング剤の量を増やすことで、遊技球の流れをよくすることができ、上記問題を解消することができる。なお、遊技領域R1や障害釘,樹脂体等の劣化は目視で判断されてもよいし、入賞率等の変化で判断されてもよい。
【0090】
なお、本実施形態では第1のローラ部品75と第2のローラ部品75とが交互に配されていたが、どのように配されていてもよい。例えば、軸受リング72Cよりも上側には第1のローラ部品75のみを配し、下側には第2のローラ部品75のみを配してもよい。この場合、第2のローラー部品75による球磨きが行われた後に、第1のローラー部品75によりコーティング剤が付着されることとなる。反対に、軸受リング72Cよりも上側に第2のローラー部品75のみを配し、下側に第1のローラー部品75のみを配して、コーティング剤が付着された後に球磨きが行われるようにしてもよい。
【0091】
また、ローラ部材71が複数のローラ部品75を備えるのではなく、1本の長いローラ部品を備える場合、ローラ部品の一部にのみコーティング剤が含浸される構成になっていてもよい。例えば初期には、ローラ部品の左右方向の片側にのみコーティング剤を含浸させておき、累積稼働時間が所定の時間に達した、あるいは目視で遊技領域R1や障害釘,樹脂体等に劣化が認められた場合は、ローラ部品の全体をコーティング剤に含浸させる構成になっていてもよい。
【0092】
[第5実施形態]
累積稼働時間が長くなるにつれて遊技領域R1や障害釘等が劣化し、遊技球の滑りが悪くなるという問題は、コーティング剤の種類を滑り性の高いものに変更することによっても解決できる。このために本実施形態では、ローラ部材71のメンテナンスの際、コーティング剤を別の種類のものに変更することが可能になっている。
【0093】
具体的には、ローラ部品75に異なる種類のコーティング剤が含浸された別のローラ部材71が用意されている。そして、遊技球の滑り具合が低下した際に、使用中のローラ部材71をローラ保持機構80から外した後、別のローラ部材71をローラ保持機構80に取り付けることで、コーティング剤を滑り性の高いものに変更することが可能となる。
【0094】
ここで、別のローラ部材71に含浸されたコーティング剤の色が、ローラ部材71に含浸されているものの色と異なるものになっていれば、識別が容易になり、つけ間違い等の不都合が防がれる。
【0095】
また、メンテナンスのタイミングだけでなく、機種によって適切な滑りやすさに設定するために、機種ごとにコーティング剤を異ならせてもよい。
【0096】
また、ローラ部品75が別の種類のコーティング剤が含浸されたものに交換される構成であってもよい。
【0097】
[第6実施形態]
【0098】
限られた数の遊技球を繰り返し使用する遊技機10においては、遊技球に汚れが蓄積しやすくなっている。遊技球に汚れが蓄積してしまうと、ローラ部品75に当接するだけでは落としきれない汚れが発生する恐れがある。そこで、遊技球に蓄積する汚れを落としやすくするために、本実施形態の遊技機10は、汚れを除去する工程を室温よりも高い温度で行うように構成されている。
【0099】
詳細には、本実施形態では、
図25及び
図26に示すように、モータ64と樋部材63との間に、板状の金属部材である伝熱板110が備えられている。伝熱板110は、モータ64と樋部材63とに隙間を作らないように当接している。伝熱板110は樋部材63のモータ64側の側壁とほぼ同一の大きさ、つまりクリーニング機構70とスクリュー62とに側方から重なる大きさになっている。
【0100】
モータ64は駆動すると、図示しないモータコイルの巻き線抵抗とそこに流れる電流によって発生する電力損失等によって、30℃~50℃程度に発熱する。ここで発生した熱は伝熱板110を通して樋部材63に伝わり、スクリュー62を加熱する。スクリュー62が加熱されることで、スクリュー62によって揚上される遊技球にも熱が伝わり、汚れの落ちやすい状態になる。そして、同じく加熱されたクリーニング機構70のローラ部材71と遊技球が当接し、汚れが除去される。また、ローラ部品75に含浸されたコーティング剤も加熱されることで、遊技球に付着しやすくなる。
【0101】
なお、モータ64から発生する熱を利用せず、ヒーター等を設けて加熱する方法を用いてもよい。また、伝熱板110を設けず、樋部材63を熱伝導率の高い金属で形成してもよい。また、遊技球の汚れを落としやすくする上で、モータ64の発熱は30℃以上で行われることが望ましいが、これに限定されるものではない。
【0102】
[他の実施形態]
(1)上記第1実施形態の遊技機10では、ローラ部材71の交換時期の到来を、メンテナンス報知ランプ53の点灯により作業者に報知する構成であったが、表示画面13G、又は、球管理ユニット19の表示部19Hに表示することにより報知する構成であってもよい。また、図示しないスピーカーから出力される音声により報知する構成であってもよい。また、これら全てにより報知する構成であってもよい。
【0103】
ここで、ローラ部材71の交換時期の到来を表示画面13Gや表示部19Hで報知する場合には、例えば、報知部57は、遊技機10の電源投入時に一定期間その旨を報知してもよいし、当否判定や大当り遊技等遊技に係る種々の演出が行われていないとき(「待機状態」)に報知してもよい。この構成によれば、遊技中にローラ部材71の交換時期の到来が報知され、遊技者を興覚めさせてしまうことが防がれる。また、遊技機10が稼動中ずっとローラ部材71の交換時期の到来を報知する構成としてもよい。
【0104】
(2)上記第1実施形態の遊技機10では、ローラ部材71の交換時期を、判定部56は、遊技機10の累積稼動時間T1に基づいて判定していたが、遊技機10の累積稼動日数に基づいて判定してもよい。
【0105】
また、判定部56は、ローラ部材71の交換時期を、特別図柄当否判定の判定結果を報知する特別図柄13A,13B,13Cの変動表示に係る累積時間に基づいて判定してもよい。
【0106】
また、判定部56は、ローラ部材71の交換時期を、揚上装置60の動作時間、即ち、遊技球が誘導経路65内を上昇する時間に基づいて判定してもよい。この構成によれば、ローラ部材71が実際に遊技球に当接した時間によりローラ部材71の交換時期を判定することができる。
【0107】
(4)上記第1実施形態の遊技機10では、ローラ部材71の交換時期を、判定部56は、遊技球が機台内を循環した時間の経過に基づいて判定していたが、コーティング剤が剥がれた遊技球の挙動が変化することに基づいて判定してもよい。例えば、上述したように、ステージ24上を転動する遊技球は、コーティング剤が剥がれると、真ん中の排出部24Aに到達する前にその手前の排出部24Aから遊技球が落下しやすくなって第1の始動入賞口14Aの入賞率が低下することから、ローラ部材71の交換時期を第1の始動入賞口14Aの入賞率に基づいて判定してもよい。
【0108】
また、判定部56は、ローラ部材71の交換時期を、発射ユニット31から発射された発射球数に対するアウト口16に入球したアウト球数の割合に基づいて判定してもよい。
【0109】
また、コーティング剤が剥がれると、遊技領域R1を流下する遊技球の流下速度が変化することから、判定部56は、ローラ部材71の交換時期を、遊技球の流下速度に基づいて判定してもよく、例えば、発射ユニット31から発射されてからアウト口16に取り込まれるまでの時間に基づいて判定してもよい。この場合、複数の遊技球の平均値で判定してもよい。
【0110】
また、コーティング剤が剥がれると、遊技球における光の屈折率が変化することから、判定部56は、ローラ部材71の交換時期を、遊技球の屈折率に基づいて判定してもよい。この場合、例えば、球回収路41で回収された遊技球に測定光を当てて屈折率を測定する機構を備えればよい。
【0111】
(5)上記第2実施形態の揚上装置60Vでは、1対の仕切り膨出部63Bに1対の仕切突部69が形成され、1対の仕切り膨出部63Bの前端部の間の隙間を小さくして誘導経路65から露出する遊技球をローラ部材71に当接不能にしていたが、1対の仕切り膨出部63Bの前端部の間の隙間を塞ぐ板部材を配置して誘導経路65とローラ部材71との間を仕切って誘導経路65とローラ部材71とを当接不能にしてもよい。
【0112】
この場合、ローラ部材71の交換時期が到来したときには、上記第2実施形態と同様にローラ部材71をそれまでとは上下逆さまにして揚上装置60Vに設置する構成にしてもよいし、板部材の位置を上下方向にずらす構成でもよい。また、板部材の位置を上下方向にずらす構成の場合、板部材の位置の移動は手動であってもよいし、自動であってもよい。また、ずらす位置を任意に設定できるようにしてもよいし、一定周期でずれるように設定されていてもよい。
【0113】
(6)上記実施形態の揚上装置60,60Vでは、誘導経路65を上昇する遊技球に対するローラ部材71の距離は一定であったが、誘導経路65を上昇する遊技球に対してローラ部材71が前後方向に移動可能としてもよい。この構成によれば、発泡樹脂により構成されるローラ部品75を、誘導経路65を上昇する遊技球に近づけた状態に配置したときには、遊技球に強く押し付けることができる一方、誘導経路65を上昇する遊技球から離した状態に配置したときには、遊技球に当接しない、又は、遊技球に触れる程度に当接させる等、当接状態の強さを変更することができる。この構成によれば、例えば、遊技球の汚れが少なく、コーティング量も十分あるときには、ローラ部材71を誘導経路65を上昇する遊技球に触れない状態や、軽く押し当てる状態に配置し、汚れがひどくなったり、コーティング量が不足してきたときには、ローラ部材71を誘導経路65を上昇する遊技球に近づけた状態に配置する構成にすることで、遊技球に対して適切なタイミングでメンテナンスを行うことができると共に、ローラ部材71を長期にわたって効率よく使用することができ、ローラ部材71に対するメンテナンス性を向上させることができる。このローラ部材71の移動は、手動であってもよいし、自動であってもよい。また、誘導経路65を上昇する遊技球に対するローラ部材71の距離を任意に設定できるようにしてもよいし、一定周期で距離が変化するように設定されていてもよい。また、ローラ部材71を、上下方向で分割可能にして、一部が誘導経路65を上昇する遊技球に近づけた状態に配置し、他の一部が誘導経路65を上昇する遊技球から離した状態に配置できるようにしてもよい。
【0114】
(7)上記第1実施形態では、リセット部58が、入力された識別番号と一致するか否かを判別する指定識別番号は、遊技機10に予め登録されたものであったが、図示しない管理コンピュータと通信することにより随時更新されるものであってもよい。
【0115】
(8)上記第1実施形態では、リセット部58は、指定識別番号と相違する識別番号が入力された場合に、メンテナンス報知ランプ53を消灯せず、累積稼動時間T1の加算を継続する構成であったが、新たに図示しない警告ランプを点灯する等して指定識別番号と相違することを明確に報知する構成としてもよい。
【0116】
(9)ローラ部材71に識別番号が付されず、例えば、遊技機10内に設けられるリセットボタンを操作するだけで、リセット部58が累積稼動時間T1をリセットし、メンテナンス報知ランプ53を消灯する構成としてもよい。
【0117】
(10)メンテナンスタイミングが報知されず、作業者の判断でメンテナンスを行う構成であってもよい。
【0118】
(11)上記実施形態では、遊技球の汚れをクリーニング機構70によって落としきれず、ブレード62Bに汚れが付着してしまうことが考えられる。そこで
図27のようにスクリュー62に沿ってブラシ111を配置し、ブレード62Bの汚れを落とす構成を備えていてもよい。
【0119】
これによれば、スクリュー62の回転によってブレード62Bの全体がブラシに当接するため、汚れを落としやすくなっている。また、スクリュー62を挟んで上側通路61B及び下側通路61Aと反対側に備えられているため、遊技球の進入、揚上、押し出しといった挙動を邪魔することなくブレード62Bの汚れを落とすことができる。
【0120】
なお、ブラシ111は、ブラシ形状でもよく、エラストマーや布素材のものを用いてもよい。さらに、スクリュー62の上端部付近にシャワーを設け、流水によってブレード62Bの汚れを落とす構成になっていてもよいし、風をあててゴミを飛ばすような構成であってもよい。
【0121】
(12)上記第1実施形態では、誘導経路65内でコーティング剤が含浸されたロール部材71が遊技球にコーティング剤を付着させる構成であったが、遊技球が回収部43に回収されてから誘導経路65に送られるまでの間に、コーティング剤が貯留されたコーティング剤貯留部に浸り、誘導経路65内でコーティング剤が含浸されていないロール部材71が遊技球に付着したコーティング剤の余剰分を拭い取る構成であってもよい。また、ロール部材71とは別に、遊技球が内側を通過可能なリング状又は筒状の拭き取り部材を設けてもよい。
【0122】
(13)また、汚れが除去された後に、コーティング剤が付着する構成であってもよい。例えば、上側通路61Bにコーティング剤が含浸又は付着されたコーティング部材を配し、誘導経路65内でコーティング剤が含浸されていないロール部材71により汚れが除去された後に、上側通路61Bでコーティング部材によりコーティング剤が付着される構成であってもよい。なお、コーティング部材は、ブロック状に固化したコーティング剤であってもよい。
【0123】
(14)カバー部42及び回収部43の貫通孔42X,43X等を介してローラ部品75にコーティング剤を補充してもよい。この場合、コーティング剤を補充するタイミングが報知される構成であってもよい。
【0124】
(15)上記第1実施形態では、遊技球に当接する部品(ローラ部品75)がポリエチレン製であったが、ポリスチレンやポリウレタン等他の発泡樹脂製であってもよいし、布や紙、エラストマー等でも良いし、ブラシであってもよい。また、ローラ状ではなく、平たいシート状や球状等であってもよい。
【0125】
(16)コーティング剤は、シリコーン系化合物を含む潤滑剤やエステル系化合物を含む潤滑剤であってもよい。
【0126】
(17)ロール部材71は回転駆動されなくてもよい。
【0127】
(18)上記第1実施形態では、ロール部材71が複数のローラ部品75を並べて備えていたが、長いローラ部品を1つ又は上下に1つずつ備える構成であってもよい。この場合、例えば、
図28(A),(B)のように軸方向の複数個所に周方向に延びるスリット75Sが形成されていたり、
図29(A),(B)のように周方向の複数個所に軸方向に延びるスリット75Sが形成されていると、そのスリット75Sを挟む両側のエッジにより遊技球の汚れが除去されやすくなる。
【0128】
(19)遊技球に当接する部品は、ローラ状ではなく、板状や球状等の発泡体にスリットが形成されたものであってもよい。
【0129】
(20)上記第1実施形態では、ローラ部品75の断面形状が円形であったが、多角形状や楕円形、外縁が波形(
図29(C)参照)等の非円形状であってもよい。この場合、径が小さいところの窪みに遊技球がフィットして汚れがより除去されやすくなる。また、ローラ部材のうち遊技球と当接する部分が、径が小さいところから径が大きいところへ変化する際に、遊技球にかかる圧力が強くなり、汚れがより除去されやすくなる。なお、ローラ部材の断面形状は、軸方向で均一になっていてもよいし、軸方向でずれて外面が周方向及び軸方向で凹凸した構成になっていてもよい。
【0130】
また、軸方向で小径部分と大径部分とが並んでいる構成であってもよい。この場合も、径が小さいところの窪みに遊技球がフィットして汚れがより除去されやすくなる。
【0131】
(21)スクリュー62にコーティング剤を付着又は含浸させてもよい。この場合、例えば、誘導経路65の反対側で、スクリュー62にコーティング剤を付着させる補充部を設けてもよい。また、固化したコーティング剤により移動部材を形成してもよい。
【0132】
(22)スクリュー62ではなく、ベルトコンベア状の部材によって遊技球を上昇させてもよい。
【0133】
(23)ロール部材71とスクリュー62とは、回転速度が同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0134】
(24)上記第1実施形態では、コーティング剤がローラ部品75に含浸されて固化していたが、液状であってもよい。例えば、ロール部材71の中心部に液状のコーティング剤が貯留された貯留部を備え、そこからコーティング剤がローラ部品75に染み出して付着する構成であってもよい。また、ローラ部材71の周囲にコーティング剤の貯留部を備え、そこからローラ部品75にコーティング剤が吸着される構成であってもよい。
【0135】
なお、本明細書及び図面には、特許請求の範囲に含まれる技術の具体例が開示されているが、特許請求の範囲に記載の技術は、これら具体例に限定されるものではなく、具体例を様々に変形、変更したものも含み、また、具体例から一部を単独で取り出したものも含む。
【0136】
<付記>
以下、上述した実施形態から抽出される発明群の特徴について、必要に応じて効果等を示しつつ説明する。なお、以下では、理解の容易のため、上記実施形態において対応する構成を括弧書き等で適宜示すが、この括弧書き等で示した具体的構成に限定されるものではない。
【0137】
[第1の特徴群]
本開示は、遊技機に関し、従来、この種の遊技機として、遊技機単体で複数の遊技球を循環して使用するものが知られている(例えば、特開2016-034569号(段落[0010]等)参照)。上述した従来の遊技機においては、遊技球の滑りをよくすることが求められている。これに対し、本特徴群によれば、遊技球の滑りを良くすることができる。
【0138】
[特徴1]
遊技機単体で複数の遊技球を循環して使用する遊技機において、
遊技球にコーティング剤を付着させるコーティング手段を備える遊技機。
【0139】
特徴1によれば、遊技球の滑りを良くすることができる。
[特徴2]
発射装置により遊技領域に打ち込まれて流下し終えた遊技球が前記発射装置に戻る途中にあり、遊技球が列をなして通過する誘導経路を備え、
前記コーティング手段は、前記誘導経路内の遊技球に当接する特徴1に記載の遊技機。
【0140】
特徴2によれば、遊技球が列をなしているところでコーティング剤が付着するので、遊技球ごとのコーティング剤の付着量のばらつきが抑えられる。また、誘導経路内で遊技球にコーティング剤を付着させることができるため、コーティング手段を設置する場所を別途設ける必要がなくなる。
【0141】
[特徴3]
前記コーティング手段には、前記コーティング剤を含浸又は付着させたコーティング部材が含まれる特徴2に記載の遊技機。
【0142】
コーティング剤を含浸又は付着させたコーティング部材を備えていてもよいし、コーティング剤貯留部を有し、そこからコーティング剤を吸着させる構成になっていてもよい。また、コーティング剤の補給口やコーティング剤貯留部にコーティング剤を補給してもよいし、コーティング部材に直接補給してもよい。
【0143】
[特徴4]
前記コーティング部材は発泡体からなる特徴3に記載の遊技機。
【0144】
コーティング部材は、布、エラストマー等の素材でも良いし、ブラシ形状であってもよい。特徴4のように発泡体であれば、発泡体であれば安価に手に入るだけでなく、コーティング剤を付着または含浸させることが容易である。
【0145】
[特徴5]
前記コーティング手段には、シール貼り付け部が設けられている特徴3又は4に記載の遊技機。
【0146】
特徴5によれば、シール貼り付け部にシールをはりつけることができる。このシールに、例えばコーティング部材の使用開始時を記載してメンテナンス時期の目安にしたり、コーティング部材の種類が複数存在する場合に識別番号等を記載してコーティング部材の種類の判別を容易にしたりすることができる。
【0147】
[特徴6]
駆動源から動力を受けて前記誘導経路内の遊技球を移動させる移動部材を備え、
前記コーティング手段は、誘導経路を挟んで前記移動部材と対向している特徴3から5の何れか1の特徴に記載の遊技機。
【0148】
特徴6によれば、コーティング手段が、動力を受けて移動する遊技球に当接するので、コーティング手段との摩擦により遊技球が移動しにくくなることが防がれる。
【0149】
[特徴7]
駆動源から動力を受けて前記誘導経路内の遊技球を移動させる移動部材を備え、
前記コーティング手段は、前記移動部材に前記コーティング剤を塗布又は含浸してなる特徴2に記載の遊技機。
【0150】
特徴7のように、コーティング手段は、移動部材にコーティング剤を塗布又は含浸させたものであってもよい。
【0151】
[特徴8]
前記誘導経路は上下方向に延び、
前記移動部材は、遊技球を支持可能な螺旋ブレードが張り出したスクリューである特徴6又は7に記載の遊技機。
【0152】
移動部材はベルトコンベアであってもよいし、特徴8のようにスクリューであってもよい。
【0153】
[特徴9]
前記コーティング剤は、フッ素系化合物を含む潤滑剤である特徴1から8の何れか1の特徴に記載の遊技機。
【0154】
コーティング剤は、シリコーン系化合物を含む潤滑剤やエステル系化合物を含む潤滑剤でもよいが、特徴9のようにフッ素系化合物を含む潤滑剤であれば、遊技球を滑りやすくする上で好適である。
【0155】
[第1の特徴群の構成要素と実施形態上の各部位との対応関係]
遊技機:遊技機10、コーティング手段:ローラ部材71、発射装置:発射ユニット31、遊技領域:遊技領域R1、誘導経路:誘導経路65、コーティング部材:ローラ部品75、駆動源:モータ64、移動部材:スクリュー62、螺旋ブレード:ブレード62B
【0156】
[第2の特徴群]
本開示は、遊技機に関し、従来、この種の遊技機として、遊技機単体で複数の遊技球を循環して使用するものが知られている(例えば、特開2016-034569号(段落[0010]等)参照)。上述した従来の遊技機においては、遊技球の滑りをよくすることが求められている。これに対し、本特徴群によれば、遊技球の滑りを良くすることができる。
【0157】
[特徴1]
遊技機単体で複数の遊技球を循環して使用する遊技機において、
遊技球を磨いて汚れを除去する球磨き手段と、
遊技球にコーティング剤を付着させるコーティング手段と、を備える遊技機。
【0158】
特徴1によれば、遊技球をきれいに保ちかつ、滑りを良くすることができる。
【0159】
[特徴2]
発射装置により遊技領域に打ち込まれて流下し終えた遊技球が前記発射装置に戻る途中にあり、遊技球が列をなして通過する誘導経路を備え、
前記コーティング手段及び前記球磨き手段は、前記誘導経路内の遊技球に当接する特徴1に記載の遊技機。
【0160】
特徴2によれば、遊技球が列をなしているところでコーティング剤が付着するので、遊技球ごとのコーティング剤の付着量のばらつきが抑えられる。また、誘導経路内で遊技球にコーティング剤を付着させることができるため、コーティング手段を設置する場所を別途設ける必要がなくなる。
【0161】
[特徴3]
前記コーティング手段及び前記球磨き手段の少なくとも一部として、遊技球に当接する磨き部材に前記コーティング剤を含浸又は付着させたものを備える特徴2に記載の遊技機。
【0162】
特徴3によれば、磨き部材にコーティング剤を含浸又は付着させたものを、コーティング手段及び球磨き手段として兼用することができる。
【0163】
[特徴4]
前記磨き部材は発泡体からなる特徴3に記載の遊技機。
【0164】
磨き部材は布やエラストマー、ブラシ等であってもよいし、特徴4のように発泡体であってもよい。発泡体であれば安価に手に入るだけでなく、コーティング剤を付着または含浸させることが容易である。
【0165】
[特徴5]
前記球磨き手段と前記コーティング手段とは、前記誘導経路内の遊技球に別個に当接する特徴2に記載の遊技機。
【0166】
特徴5のように、球磨き手段とコーティング手段とが、誘導経路内の遊技球に別個に当接する構成であってもよい。
【0167】
[特徴6]
前記コーティング手段が遊技球に前記コーティング剤を付着させたのちに、前記球磨き手段が遊技球に付着した前記コーティング剤を拭う特徴1に記載の遊技機。
【0168】
特徴6のように遊技球にコーティング剤を付着させたのちに、球磨き手段が遊技球に付着したコーティング剤を拭う構成にしてもよい。
【0169】
[特徴7]
前記球磨き手段には、シール貼り付け部が設けられている特徴1から6の何れか1の特徴に記載の遊技機。
【0170】
特徴7によれば、シール貼り付け部にシールをはりつけることができる。このシールに、例えば磨き部材の使用開始時を記載してメンテナンス時期の目安にしたり、磨き部材の種類が複数存在する場合に識別番号等を記載して磨き部材の種類の判別を容易にしたりすることができる。
【0171】
[第2の特徴群の構成要素と実施形態上の各部位との対応関係]
遊技機:遊技機10、球磨き手段:ローラ部材71、ローラ部品75、発射装置:発射ユニット31、遊技領域:遊技領域R1、誘導経路:誘導経路65、磨き部材:ローラ部品75、
【0172】
[第3の特徴群]
本開示は、遊技機に関し、従来、この種の遊技機として、遊技機単体で複数の遊技球を循環して使用するものが知られている(例えば、特開2016-034569号(段落[0010]等)参照)。上述した従来の遊技機においては、遊技球の滑りをよくすることが求められている。これに対し、本特徴群によれば、遊技球の滑りを良くすることができる。
【0173】
[特徴1]
発射装置により遊技領域に打ち込まれて流下し終えた遊技球が列をなして誘導経路を通過して前記発射装置に戻り、遊技機単体で複数の遊技球を循環して使用する遊技機において、
前記誘導経路に沿って延び、前記誘導経路を通過する遊技球に当接し、遊技球を磨いて汚れを除去すると共に、遊技球にコーティング剤を付着させるローラ部材を備える遊技機。
【0174】
特徴1によれば、遊技球をきれいに保ちつつ、滑りを良くすることができる。
【0175】
[特徴2]
前記ローラ部材には、遊技球の汚れを除去するために表面に凹凸を有し、前記コーティング剤が付着又は含浸されたローラ部品が含まれる特徴1に記載の遊技機。
【0176】
[特徴3]
前記ローラ部材には、遊技球の汚れを除去するための磨き用ローラ部品と、遊技球に前記コーティング剤を付着させるためのコーティング用ローラ部品と、が含まれる特徴1に記載の遊技機。
【0177】
1のローラ部品が汚れの除去とコーティング剤の付着とを両方行う構成であってもよいし(特徴2)、汚れを除去する磨き用ローラ部品とコーティング剤を付着させるコーティング用ローラ部品とを別個に備えてもよい(特徴3)。
【0178】
[特徴4]
前記コーティング用ローラ部品として、表面に凹凸を有するローラ部品に前記コーティング剤が付着又は含浸されたものを備え、
前記磨き用ローラ部品として、前記ローラ部品に前記コーティング剤が付着又は含浸されていないものを備える特徴3に記載の遊技機。
【0179】
コーティング用ローラ部品はコーティング剤を固化させたものをローラ形状にしたものであってもよいし、特徴4のように磨き用ローラ部品と同じローラ部品にコーティング剤が付着又は含浸されたものであってもよい。
【0180】
[特徴5]
前記ローラ部品は、発泡体からなる特徴2又は4に記載の遊技機。
【0181】
ローラ部品は布やエラストマー、ブラシ等であってもよいし、特徴5のように発泡体であってもよい。発泡体であれば安価に手に入るだけでなく、コーティング剤を付着または含浸させることが容易である。
【0182】
[特徴6]
前記発泡体は、発泡倍率が10~20倍の発泡樹脂である特徴5に記載の遊技機。
【0183】
特徴6のように発泡体が発泡倍率が10~20倍の発泡樹脂であれば、コーティング剤を含浸または付着させたり、遊技球の汚れを除去したりするのに好適である。
【0184】
[特徴7]
前記ローラ部品の径は、遊技球の径の1.5~2.0倍になっている特徴5又は6に記載の遊技機。
【0185】
特徴7のようにローラ部品の径が、遊技球の径の1.5~2.0倍になっていれば、コーティング剤を含浸または付着させたり、遊技球の汚れを除去したりするのに好適である。
【0186】
[特徴8]
前記誘導経路は上下方向に延び、
遊技球を支持可能な螺旋ブレードが張り出したスクリューが駆動源から動力を受けて回転し、前記誘導経路内の遊技球を上昇させ、
前記ローラ部材は、前記スクリューに対向配置されている特徴1から7の何れか1の特徴に記載の遊技機。
【0187】
遊技球はベルトコンベア状の部材によって上昇させられてもよいが、特徴8によれば、スクリューの回転を受けて遊技球も回転し、磨き残しやコーティング剤の付着の偏りが抑制される。
【0188】
[第3の特徴群の構成要素と実施形態上の各部位との対応関係]
遊技機:遊技機10、ローラ部材:ローラ部材71、ローラ部品:ローラ部品75、発射装置:発射ユニット31、遊技領域:遊技領域R1、誘導経路:誘導経路65、螺旋ブレード:ブレード62B、スクリュー:スクリュー62、駆動源:モータ64、
【0189】
[第4の特徴群]
本開示は、遊技機に関し、従来、この種の遊技機として、遊技機単体で複数の遊技球が循環して使用され、その遊技球の汚れを除去する構成を備えるものが知られている(例えば、特開2016-034569号(段落[0010]等)参照)。上述した従来の遊技機においては、遊技球の汚れを除去しやすくすることが求められている。これに対し、本特徴群によれば、遊技球の汚れを除去しやすくすることができる。
【0190】
[特徴1]
発射装置により遊技領域に打ち込まれて流下し終えた遊技球が列をなして誘導経路を通過して前記発射装置に戻り、遊技機単体で複数の遊技球を循環して使用する遊技機において、
前記誘導経路を通過する遊技球に当接して汚れを除去する発泡体を備え、
前記発泡体には、前記誘導経路を通過する遊技球が横切るエッジが形成されている遊技機。
【0191】
特徴1によれば、発泡体のエッジを遊技球が横切ることで、遊技球の表面の汚れが除去されやすくなる。また、誘導経路により遊技球が通過する方向が定められているので、遊技球が発泡体のエッジを横切りやすくなる。
【0192】
[特徴2]
前記発泡体は、複数の発泡体部品が集合してなり、
各前記発泡体部品の外縁部が前記エッジとなっている特徴1に記載の遊技機。
【0193】
特徴2によれば、遊技球が各発泡体部品の外縁部に当接して汚れが除去される。また、発泡体部品を複数備えることで、遊技球が発泡体のエッジ(発泡体部品の外縁部)に当接する回数が多くなり、遊技球の汚れをより除去しやすくなる。
[特徴3]
前記発泡体は、前記誘導経路に沿って延びたローラ形状をなし、かつ、前記発泡体部品としての複数のローラ部品が軸方向に並んでなる特徴2に記載の遊技機。
【0194】
特徴3によれば、発泡体がローラ形状になっていることで、遊技球に当接する発泡体の面が変化し、汚れを落としやすくするとともに、発泡体の摩耗の偏りを抑制することができる。
【0195】
[特徴4]
前記発泡体には、スリットが設けられていて、そのスリットを挟む両側に前記エッジが配されている特徴1から3の何れか1の特徴に記載の遊技機。
【0196】
特徴4によれば、遊技球がスリットを挟むエッジに当接して汚れが除去される。
【0197】
[特徴5]
前記発泡体は、前記誘導経路に沿って延びたローラ形状をなし、軸方向に延びた前記スリットが複数形成されている特徴4に記載の遊技機。
【0198】
スリットは、周方向に延びていてもよいし、特徴5のように軸方向に延びていてもよい。
[特徴6]
前記発泡体は回転駆動されている特徴1から5の何れか1の特徴に記載の遊技機。
【0199】
特徴6によれば、発泡体が回転駆動することで、遊技球に当接する発泡体の面が変化させ、汚れを落としやすくするとともに、発泡体の摩耗の偏りを抑制することができる。また、特徴5のようにスリットが軸方向に延びている場合、エッジが遊技球に擦接するので汚れが除去されやすくなる。
【0200】
[特徴7]
前記発泡体には、遊技球に付着されるコーティング剤が付着又は含浸されている特徴1から6の何れか1の特徴に記載の遊技機。
【0201】
特徴7によれば、遊技球の汚れを落としつつ、遊技球にコーティング剤を付着させて滑りを良くすることができる。
【0202】
[第4の特徴群の構成要素と実施形態上の各部位との対応関係]
遊技機:遊技機10、ローラ部材:ローラ部材71、発泡体:ローラ部品75、発射装置:発射ユニット31、遊技領域:遊技領域R1、誘導経路:誘導経路65
【0203】
[第5の特徴群]
本開示は、遊技機に関し、従来、この種の遊技機として、遊技機単体で複数の遊技球が循環して使用され、その遊技球の汚れを除去する構成を備えるものが知られている(例えば、特開2016-034569号(段落[0010]等)参照)。上述した従来の遊技機においては、遊技球の汚れを除去しやすくすることが求められている。これに対し、本特徴群によれば、遊技球の汚れを除去しやすくすることができる。
【0204】
[特徴1]
発射装置により遊技領域に打ち込まれて流下し終えた遊技球が列をなして誘導経路を通過して前記発射装置に戻り、遊技機単体で複数の遊技球を循環して使用する遊技機において、
前記誘導経路に沿って延び、前記誘導経路を通過する遊技球に回転しながら当接して汚れを除去するローラ部材を備え、
前記ローラ部材は、径が不均一になっている遊技機。
【0205】
特徴1によれば、遊技球の汚れを除去できるとともに、ローラ部材が回転して遊技球に当接する場所が変化することで、ローラ部材の摩耗の偏りを少なくすることができる。また、ローラ部材の径が不均一になっていることで、径が小さいところの窪みに遊技球がフィットして汚れがより除去されやすくなる。また、ローラ部材のうち遊技球と当接する部分が、径が小さいところから径が大きいところへ変化する際に、遊技球にかかる圧力が強くなり、汚れがより除去されやすくなる。
【0206】
[特徴2]
前記ローラ部材は、断面非円形となっている特徴1に記載の遊技機。
【0207】
[特徴3]
前記ローラ部材は、断面の外縁が波形になっている特徴2に記載の遊技機。
【0208】
[特徴4]
前記ローラ部材は、軸方向で小径部分と大径部分とが並んでいる特徴1から3の何れか1の特徴に記載の遊技機。
【0209】
ローラ部材は、断面形状が多角形状や楕円形状、星形状等であってもよいし(特徴2)、外縁が波形になった形状(例えば、ギアのような形状)であってもよい(特徴3)。また、ローラ部材の断面形状は、軸方向で均一になっていてもよいし、軸方向でずれて外面が周方向及び軸方向で凹凸した構成になっていてもよい。また、軸方向で小径部分と大径部分とが並んでいる構成であってもよい(特徴4)
【0210】
[第5の特徴群の構成要素と実施形態上の各部位との対応関係]
遊技機:遊技機10、ローラ部材:ローラ部材71、発泡体:ローラ部品75、発射装置:発射ユニット31、遊技領域:遊技領域R1、誘導経路:誘導経路65
【0211】
[第6の特徴群]
本開示は、遊技機に関し、例えば、特開2020-014953号公報(段落[0040]、[0041]、
図2)には、内部に複数の遊技球を封入し、それら複数の遊技球を循環させて遊技に使用するものが開示されている。上述した従来の遊技機において、遊技球に当接して汚れを除去する磨き部材が備えられており、磨き部材の汚れや消耗が進むと適切に遊技球の汚れを除去できなくなることから、磨き部材の交換等のメンテナンス性の向上が求められている。これに対し、本特徴群によれば、磨き部材に対するメンテナンス性を向上させることができる。
【0212】
[特徴1]
遊技機単体で複数の遊技球を循環して使用する遊技機において、
遊技球に当接して汚れを除去する磨き部材を備え、
前記磨き部材の遊技球に対する当接状態が変更可能となっている遊技機である。
【0213】
特徴1によれば、例えば、磨き部材がある当接状態で遊技球に当接して汚れを除去して磨き部材が消耗したり汚れが堆積した場合に、磨き部材における遊技球の当接状態を変更することで、その磨き部材の使用を適切な状態で継続することができるので、磨き部材を長期にわたって効率よく使用することができ、磨き部材に対するメンテナンス性を向上させることができる。
【0214】
[特徴2]
発射装置により遊技領域に打ち込まれて流下し終えた遊技球が前記発射装置に戻る途中にあり、遊技球が列をなして通過する誘導経路を備え、
前記磨き部材は、前記誘導経路内の遊技球に当接可能である特徴1に記載の遊技機である。
【0215】
特徴2によれば、磨き部材は、誘導経路上の列をなしている遊技球に当接可能となっているので、磨き部材の遊技球に対する当接状態をコントロールしやすくなる。
【0216】
[特徴3]
前記磨き部材は、遊技球に当接する当接状態と、遊技球に当接しない非当接状態とに切り替え可能になっている特徴1又は2に記載の遊技機である。
【0217】
[特徴4]
前記磨き部材は、遊技球と当接可能な位置と、当接不能な位置とに移動可能となっている特徴3に記載の遊技機である。
【0218】
磨き部材における遊技球の当接状態を変更する構成として、例えば、特徴3のように、遊技球に当接する当接状態と、遊技球に当接しない非当接状態とに切り替える構成とすることができる。当接状態と非当接状態との切り替えは手動であってもよいし、駆動であってもよい。また、当接状態と非当接状態とを切り替える構成として、特徴4のように、磨き部材を、遊技球と当接可能な位置と当接不能な位置とに移動させる構成とすることができる。
【0219】
[特徴5]
前記磨き部材と前記誘導経路内の遊技球の列との間に配置可能で、前記磨き部材を遊技球に当接不能とする仕切り部材を備える特徴2に記載の遊技機である。
【0220】
特徴5によれば、仕切部材を配置することで、磨き部材の遊技球に対する当接状態を当接不能にすることができる。
【0221】
[特徴6]
遊技球に対する前記磨き部材の押圧力が変更可能となっている特徴1から5の何れか1の特徴に記載の遊技機である。
【0222】
[特徴7]
前記磨き部材は、発泡体からなり、遊技球に対して移動可能となっている特徴1から6の何れか1の特徴に記載の遊技機である。
【0223】
磨き部材における遊技球の当接状態を変更する構成として、例えば、特徴6のように、磨き部材の遊技球に対する押圧力を変更する構成とすることができる。そして、押圧力を変更する構成として、例えば、特徴7のように、発泡体からなる磨き部材を、遊技球に対して移動可能としてもよい。
【0224】
[特徴8]
前記磨き部材には、コーティング材が含浸又は付着されている特徴1から7の何れか1の特徴に記載の遊技機である。
【0225】
特徴8によれば、磨き部材により遊技球の汚れを除去する際に、遊技球をコーティング材でコーティングすることもできる。
【0226】
[第6の特徴群の構成要素と実施形態上の各部位との対応関係]
遊技機:遊技機10、磨き部材:ローラ部品75、発射装置:発射装置31、遊技領域:遊技領域R1、誘導経路:誘導経路65、仕切部材:1対の仕切突部69
【0227】
[第7の特徴群]
本開示は、遊技機に関し、例えば、特開2020-014953号公報(段落[0040]、[0041]、
図2)には、内部に複数の遊技球を封入し、それら複数の遊技球を循環させて遊技に使用するものが開示されている。上述した従来の遊技機において、遊技球に当接して汚れを除去する磨き部材が備えられており、磨き部材の汚れや消耗が進むと適切に遊技球の汚れを除去できなくなることから、磨き部材の交換等のメンテナンス性の向上が求められている。これに対し、本特徴群によれば、磨き部材に対するメンテナンス性を向上させることができる。
【0228】
[特徴1]
遊技機単体で複数の遊技球を循環して使用する遊技機において、
遊技球に当接して汚れを除去する磨き部材を備え、
前記磨き部材は、遊技球を向く面が遊技球と当接可能となる当接可能部と、当接不可能となる当接不能部と、を有し、
前記当接可能部と前記当接不能部とが切り替え可能になっている遊技機である。
【0229】
特徴1によれば、磨き部材のうち遊技球と対向したときに遊技球と当接して遊技球を磨く当接可能部が、例えば、消耗したり汚れが堆積した場合に、その当接可能部を、磨き部材のうち遊技球を向く面が遊技球と当接不能な当接不能部に切り替えることで、その磨き部材の使用を適切な状態で継続することができるので、磨き部材を長期にわたって効率よく使用することができ、磨き部材に対するメンテナンス性を向上させることができる。
【0230】
[特徴2]
発射装置により遊技領域に打ち込まれて流下し終えた遊技球が前記発射装置に戻る途中にあり、遊技球が列をなして通過する誘導経路を備え、
前記磨き部材は、前記誘導経路内の遊技球に当接可能である特徴1に記載の遊技機である。
【0231】
特徴2によれば、磨き部材は、誘導経路上の列をなしている遊技球に当接可能となっているので、磨き部材の遊技球に対する当接状態をコントロールしやすくなる。
【0232】
[特徴3]
前記磨き部材は前記誘導経路に沿って延びた長尺状をなし、
前記磨き部材と前記誘導経路内の遊技球の列との間に、前記当接可能部と対向する当接窓を備える仕切り部を備え、
前記磨き部材の向き又は位置を変えることで、前記当接可能部と前記当接不能部とが切り替えられる特徴2に記載の遊技機である。
【0233】
[特徴4]
前記磨き部材は前記誘導経路に沿って延びた長尺状をなし、
前記磨き部材と前記誘導経路内の遊技球の列との間に、前記当接可能部と対向する当接窓を備える仕切り部を備え、
前記仕切り部における前記当接窓の位置を変更することで、前記当接可能部と前記当接不能部とが切り替えられる特徴2に記載の遊技機である。
【0234】
磨き部材が当接可能部と当接不能部とを有する構成として、例えば、誘導経路に沿って延びた長尺状の磨き部材と、誘導経路内の遊技球の列との間に、仕切り部を備え、仕切部に当接窓を設けて、磨き部材のうち当接窓と対向する部位を当接可能部とする構成とすることができる。そして、当接可能部と当接不能部とを切り替える構成としては、特徴3のように、仕切り部に対する磨き部材の向き又は位置を変える構成としてもよいし、特徴4のように、仕切り部における当接窓の位置を変更する構成としてもよい。
【0235】
[特徴5]
前記磨き部材には、遊技球に付着させるコーティング材が含浸又は付着されている特徴1から4の何れか1の特徴に記載の遊技機である。
【0236】
特徴5によれば、磨き部材により遊技球の汚れを除去する際に、遊技球をコーティング材でコーティングすることもできる。
【0237】
[第7の特徴群の構成要素と実施形態上の各部位との対応関係]
遊技機:遊技機10、磨き部材:ローラ部品75、発射装置:発射装置31A、遊技領域:遊技領域R1、誘導経路:誘導経路65、仕切り部:1対の仕切突部69
【0238】
[第8の特徴群]
本開示は、遊技機に関し、例えば、特開2016-34569号公報(段落[0010])には遊技機単体で複数の遊技球を循環して使用するものが開示されている。上述した従来の遊技機に対して、遊技球の滑りをよくする技術の開発が求められている。これに対し、本特徴群によれば、遊技球をコーティングすることで遊技球の滑りを良くすることができる。また、コーティング剤が有色になっているので、コーティング剤同士の識別が容易になる。
【0239】
[特徴1]
遊技機単体で複数の遊技球を循環して使用する遊技機において、
遊技球にコーティング剤を付着させるコーティング手段を備え、
前記コーティング剤が有色になっている遊技機。
【0240】
特徴1によれば、遊技球をコーティングすることで遊技球の滑りを良くすることができる。また、コーティング剤が有色になっているので、コーティング剤同士の識別が容易になる。
【0241】
[特徴2]
前記コーティング手段は、前記コーティング剤が付着又は含浸され、遊技球に当接するコーティング部材を備え、
前記コーティング部材は、前記コーティング剤を識別可能な色になっている特徴1に記載の遊技機。
【0242】
特徴2によれば、コーティング部材にコーティング剤が付着または含浸されているかどうかが一目でわかるため、メンテナンスの時期が分かりやすくなる。
【0243】
[特徴3]
前記コーティング部材は、発泡体からなる特徴2に特徴に記載の遊技機。
【0244】
コーティング部材は布やエラストマー、ブラシ等であってもよいし、特徴3のように発泡体であってもよい。発泡体であれば安価に手に入るだけでなく、コーティング剤を付着または含浸させることが容易である。
【0245】
[特徴4]
発射装置により遊技領域に打ち込まれて、流下し終えた遊技球が前記発射装置に戻る途中にあり、遊技球が列をなして通過する誘導経路を備え、
前記コーティング部材は、前記誘導経路に沿って延び、前記誘導経路内の遊技球に当接する特徴2または3に記載の遊技機。
【0246】
特徴4によれば、遊技球が列をなしているところでコーティング剤が付着するので、遊技球ごとのコーティング剤の付着量のばらつきが抑えられる。また、誘導経路内で遊技球にコーティング剤を付着させることができるため、コーティング手段を設置する場所を別途設ける必要がなくなる。
【0247】
[特徴5]
駆動源から動力を受けて、前記誘導経路内の遊技球を移動させる移動部材を備え、
前記コーティング部材は、前記誘導経路を挟んで前記移動部材と対向している特徴4に記載の遊技機。
【0248】
特徴5によれば、コーティング部材が、動力を受けて移動する遊技球に当接するので、コーティング部材との摩擦により遊技球が移動しにくくなることが防がれる。
【0249】
[特徴6]
前記コーティング部材の色の変化に基づいて、前記コーティング手段のメンテナンスタイミングを決定するタイミング決定手段と、
前記タイミング決定手段が決定した前記メンテナンスタイミングを報知するタイミング報知手段とを備える特徴1から5の何れか1の特徴に記載の遊技機。
【0250】
特徴6によれば、メンテナンスの時期を容易に知ることができる。
【0251】
[第8の特徴群の構成要素と実施形態上の各部位との対応関係]
遊技機:遊技機10、コーティング手段:ローラ部材71、コーティング部材:ローラ部品75、発射装置:発射装置31、遊技領域:遊技領域R1、誘導経路:誘導経路6
【0252】
[第9の特徴群]
本開示は、遊技機に関し、例えば、特開2016-34569号公報(段落[0010])には、遊技機単体で複数の遊技球を循環して使用するものが開示されている。上述した従来の遊技機に対して、遊技球の滑りをよくすることが求められている。これに対し、本特徴群によれば、遊技球の滑りを良くすることができる。また、コーティング剤の量を調整することで遊技球の滑りも調整することができる。
【0253】
[特徴1]
遊技機単体で複数の遊技球を循環して使用する遊技機において、
遊技球にコーティング剤を付着させるコーティング手段を備え、
前記コーティング手段は、遊技球に付着させる前記コーティング剤の量を調整可能になっている遊技機。
【0254】
特徴1によれば、遊技球にコーティング剤を付着させることで遊技球の滑りを良くすることができる。また、コーティング剤の量を調整することで遊技球の滑りも調整することができる。
【0255】
[特徴2]
前記コーティング手段は、遊技球に当接する当接部材を備え、
前記当接部材の少なくとも一部が前記コーティング剤を含むコーティング部となっていて、
前記当接部材における前記コーティング部の割合を変更可能になっている特徴1に記載の遊技機。
【0256】
特徴2によれば、当接部材におけるコーティング部の割合を変更することで、コーティング剤の量を調整することが可能になる。
【0257】
[特徴3]
発射装置により遊技領域に打ち込まれて流下し終えた遊技球が前記発射装置に戻る途中にあり、遊技球が列をなして通過する誘導経路を備え、
前記当接部材は、前記誘導経路に沿って延びて前記誘導経路内の遊技球に接触可能である特徴2に記載の遊技機。
【0258】
特徴3によれば、発射装置に戻る途中の遊技球にコーティング剤を付着させることができるため、コーティングを行うための場所を別途設ける必要がなくなる。また、遊技球が列をなしているところでコーティング剤が付着するので、遊技球ごとのコーティング剤の付着量のばらつきが抑えられる。
【0259】
[特徴4]
前記当接部材は、複数の当接部品を長手方向に並べて備え、前記複数の当接部品のうちの少なくとも一部が前記コーティング部となっている特徴3に記載の遊技機。
【0260】
特徴4によれば、複数の当接部品のうちのコーティング部の数によってコーティング剤の量を調節可能にである。
【0261】
[特徴5]
前記当接部材は、前記誘導経路に沿って延びたローラ状になっている特徴3又は4に記載の遊技機。
【0262】
特徴5によれば、ローラ―が回転することで、当接部材のうち遊技球に当接する面が変化するため、当接部材の一カ所のコーティング剤だけが減っていくという不具合を抑制できる。
【0263】
[特徴6]
前記当接部材は、前記誘導経路に沿って延びる軸部材に、断面円環状の前記当接部品を複数嵌合してなる特徴4に記載の遊技機。
【0264】
当接部材は断面円環状であってもよいし、星形や外周に波形を有する円形など、断面が概ね左右対称かつ軸部材に嵌合可能な形状であればどんなものでもよい。
【0265】
[特徴7]
前記当接部品は、前記軸部材に対して着脱可能になっている特徴6に記載の遊技機。
【0266】
特徴7によれば、当接部品を着脱することでコーティング剤の量を調整可能になるだけでなく、劣化した当接部品を新しいものと交換することもできる。
【0267】
[特徴8]
前記当接部材は、遊技球を磨いて汚れを除去可能な発泡体を備え、
前記コーティング部は、前記発泡体の少なくとも一部に前記コーティング剤が付着又は含浸されてなる特徴2から7の何れか1の特徴に記載の遊技機。
【0268】
特徴8によれば、球磨きとコーティングとを同一の部品で行うことができるので、それらを別個に設ける必要がなくなる。また、発泡体は安価に手に入れることができるだけでなく、コーティング剤を付着または含浸させることも容易であるため好ましい。
【0269】
[第9の特徴群の構成要素と実施形態上の各部位との対応関係]
遊技機:遊技機10、コーティング手段:ローラ部材71、当接部材:ローラ部品75、コーティング部:第1ローラ部品75A、発射装置:発射装置、遊技領域:遊技領域R1、誘導経路:誘導経路65、軸部材:軸本体72A
【0270】
[第10の特徴群]
本開示は、遊技機に関し、例えば、特開2016-34569号公報(段落[0010])には遊技機単体で複数の遊技球を循環して使用するものが開示されている。上述した従来の遊技機に対して、遊技球の滑りをよくすることが求められている。これに対し、本発明群によれば、遊技球にコーティング剤を付着させることで遊技球の滑りを良くすることができる。また、機種を変更する際にコーティング手段も交換することができ、遊技機をその機種に適した滑りやすさに調整することができる。
【0271】
[特徴1]
着脱可能に取り付けられた遊技盤の遊技領域に、発射装置により打ち込まれて流下し終えた遊技球を前記発射装置に戻す循環手段を備え、遊技機単体で複数の遊技球を循環して使用する遊技機において、
前記循環手段は、遊技球にコーティング剤を付着させるコーティング手段を着脱可能に備える遊技機。
【0272】
特徴1によれば、遊技球にコーティング剤を付着させることで遊技球の滑りを良くすることができる。また、機種を変更する際にコーティング手段も交換することができ、遊技機をその機種に適した滑りやすさに調整することができる。
【0273】
[特徴2]
前記コーティング手段には、前記コーティング剤を含浸または付着させたコーティング部材が含まれる特徴1に記載の遊技機。
【0274】
コーティング部材はコーティング剤が固化したものでもよいし、特徴2のようにコーティング部材にコーティング剤を含浸または付着させたものであってもよい。
【0275】
[特徴3]
前記循環手段は遊技球が列をなして通過する誘導経路と、
駆動源から動力を受けて、遊技球を前記誘導経路内を移動させる移動部材とを備え、
前記コーティング部材は、前記誘導経路に沿って延び、前記移動部材によって運搬される遊技球に当接する特徴2に記載の遊技機。
【0276】
特徴3によれば、遊技球が列をなしているところにコーティング剤を付着させられるため、遊技球ごとのコーティング剤の付着量のばらつきが少なくなる。また、発射装置に戻る途中の遊技球をコーティングできるため、別途コーティング手段を設ける場所を確保する必要がない。
【0277】
[特徴4]
前記誘導経路は上下方向に延び、
前記移動部材は遊技球を支持可能な螺旋ブレードが張り出したスクリューである特徴3に記載の遊技機。
【0278】
前記移動経路はコンベアでもよいし、特徴4のようにスクリューでもよい。
【0279】
[特徴5]
前記コーティング部材は、発泡体からなる特徴2から4の何れか1の特徴に記載の遊技機。
【0280】
コーティング部材は、布素材やエラストマー、ブラシ形状であってもよいし、特徴5のように発泡体であってもよい。発泡体を用いれば、、安価に入手できるだけでなく、コーティング剤を容易に付着または含浸させることができる。
【0281】
[特徴6]
前記コーティング剤が有色である特徴2から5の何れか1の特徴に記載の遊技機。
[特徴7]
前記コーティング剤は、前記コーティング部材に含浸または付着した際、識別可能な色になっている特徴6に記載の遊技機。
【0282】
特徴6,7によれば、コーティング剤がコーティング部材に付着または含浸していることが一目でわかり、コーティング剤が不足してきた場合のメンテナンス時期が分かりやすくなる。また、機種ごとにコーティング剤を異ならせれば、意図しない機種にコーティング部材をつけてしまうという不都合が防がれる。
【0283】
[特徴8]
前記コーティング手段には、シール貼り付け部が設けられている特徴2から7の何れか1の特徴に記載の遊技機。
【0284】
特徴8によれば、シール貼り付け部にシールをはりつけることができる。このシールに、例えばコーティング部材の使用開始時を記載してメンテナンス時期の目安にしたり、識別番号等を記載して遊技機ごとのコーティング部材の判別をが容易にできる。
[第10の特徴群の構成要素と実施形態上の各部位との対応関係]
遊技機:遊技機10、循環手段:揚上装置60、コーティング手段:ローラ部材71、コーティング部材:ローラ部品75、発射装置:発射装置31A、遊技領域:遊技領域R1、誘導経路:誘導経路65、螺旋ブレード:ブレード62B、移動部材:スクリュー62、駆動源:モータ64、
【0285】
[第11の特徴群]
本開示は、遊技機に関し、例えば、特開2020-014953号公報(段落[0040]、[0041]、
図2)には、内部に複数の遊技球を封入し、それら複数の遊技球を循環させて遊技に使用するものが開示されている。上述した従来の遊技機において、遊技球を磨いて汚れを除去する球磨き手段が備えられており、球磨き手段の汚れや消耗が進むと遊技球の汚れを除去できなくなることから、適切なタイミングで球磨き手段の交換等のメンテナンスを行うことが求められている。これに対し、本特徴群によれば、適切なタイミングで球磨き手段のメンテナンスを行うことができる。
【0286】
[特徴1]
遊技機単体で複数の遊技球を循環して使用する遊技機において、
遊技球を磨いて汚れを除去する球磨き手段と、
前記球磨き手段のメンテナンスタイミングを決定するタイミング決定手段と、
前記タイミング決定手段が決定した前記メンテナンスタイミングを報知するタイミング報知手段と、を備える遊技機である。
【0287】
特徴1によれば、球磨き手段のメンテナンスタイミングを決定するタイミング決定手段を備え、タイミング決定手段が決定したメンテナンスタイミングがタイミング報知手段により報知されるので、適切なタイミングで球磨き手段のメンテナンスを行うことができる。
【0288】
[特徴2]
前記タイミング決定手段は、時間の経過に基づいて前記メンテナンスタイミングを決定する特徴1に記載の遊技機である。
【0289】
[特徴3]
前記タイミング決定手段は、前記メンテナンスタイミングの決定を、遊技の当否判定の判定結果を報知する図柄の変動表示に係る累積時間に基づいて行う特徴2に記載の遊技機である。
【0290】
[特徴4]
発射装置により遊技領域に打ち込まれて流下し終えた遊技球を取り込んで前記発射装置まで移送する移送部材を備え、
前記タイミング決定手段は、前記メンテナンスタイミングの決定を、前記移送部材の動作時間に基づいて行う特徴2に記載の遊技機である。
【0291】
[特徴5]
前記タイミング決定手段は、前記メンテナンスタイミングの決定を、遊技機の累積稼動時間に基づいて行う特徴2に記載の遊技機である。
【0292】
[特徴6]
前記時間の経過は、リアルタイムクロックを用いて特定される特徴2から5の何れか1の特徴に記載の遊技機である。
【0293】
メンテナンスタイミングは、特徴2のように、時間の経過に基づいて決定することができ、例えば、特徴3のように、遊技の当否判定の判定結果を報知する図柄の変動表示に係る累積時間に基づいて決定してもよいし、特徴4のように、発射装置により遊技領域に打ち込まれて流下し終えた遊技球を取り込んで発射装置まで移送する移送部材の動作時間に基づいて決定してもよいし、特徴5のように、遊技機の稼動日数に基づいて決定してもよい。時間の経過は、例えば、リアルタイムクロックを用いて特定してもよい(特徴6)。
【0294】
[特徴7]
前記球磨き手段には、遊技球に付着させるコーティング材を含浸又は付着させたコーティング部材が含まれる特徴1から6の何れか1の特徴に記載の遊技機である。
【0295】
[特徴8]
前記メンテナンスタイミングは、前記球磨き手段に前記コーティング材を補充するタイミングである特徴7に記載の遊技機である。
【0296】
球磨き手段を、遊技球の汚れを除去する際に遊技球をコーティング材でコーティングする構成とし(特徴7)、メンテナンスタイミングを、コーティング材を補充するタイミングとしてもよい。
【0297】
[特徴9]
前記メンテナンスタイミングは、前記球磨き手段の交換タイミングである特徴1から7の何れか1の特徴に記載の遊技機である。
【0298】
メンテナンスタイミングを、特徴9のように、コーティング材を補充するタイミングとしてもよい。
【0299】
[特徴10]
一定時間遊技がなされなかったことを契機として待機状態となるように設定されており、
前記タイミング報知手段は、前記待機状態時又は電源投入時に、前記メンテナンスタイミングを報知する特徴1から9の何れか1の特徴に記載の遊技機である。
【0300】
特徴10のように、一定時間遊技がなされなかったことを契機として設定される待機状態時又は電源投入時に、メンテナンスタイミングを報知する構成としてもよい。この特徴によれば、遊技中にメンテナンスタイミングが報知され、遊技者を興覚めさせてしまうことが防がれる。
【0301】
[第11の特徴群の構成要素と実施形態上の各部位との対応関係]
遊技機:遊技機10、球磨き手段:ローラ部材71、タイミング決定手段:判定部56、タイミング報知手段:報知部57、発射装置:発射装置31A、移送部材:揚上装置60、コーティング部材:ローラ部品75
【0302】
[第12の特徴群]
本開示は、遊技機に関し、例えば、特開2020-014953号公報(段落[0040]、[0041]、
図2)には、内部に複数の遊技球を封入し、それら複数の遊技球を循環させて遊技に使用するものが開示されている。上述した従来の遊技機において、限られた数の遊技球が繰り返し使用されることで、遊技球が摩耗し、遊技球の挙動が不安定となるという問題があり、その対策が求められている。これに対し、本特徴群によれば、遊技球が摩耗することを抑制して遊技球の挙動を安定させることができる。
【0303】
[特徴1]
遊技機単体で複数の遊技球を循環して使用する遊技機において、
遊技球にコーティング材を付着させるコーティング手段と、
前記コーティング手段のメンテナンスタイミングを決定するタイミング決定手段と、
前記タイミング決定手段が決定した前記メンテナンスタイミングを報知するタイミング報知手段と、を備える遊技機である。
【0304】
特徴1によれば、遊技球にコーティング材を付着させるコーティング手段を備えるので、遊技球の表面が保護され、また、コーティング手段のメンテナンスタイミングを決定するタイミング決定手段を備えてそのコーティング手段のメンテナンスタイミングが報知されるので、適切なタイミングでコーティング手段のメンテナンスを行うことができる。これにより、遊技球の摩耗を抑えて遊技球の挙動を安定させることができる。
【0305】
[特徴2]
前記タイミング決定手段は、遊技球に対するコーティング材の付着量に起因するパラメータの変化に基づいて前記メンテナンスタイミングを決定する特徴1に記載の遊技機である。
【0306】
[特徴3]
前記パラメータは、遊技領域を流下する遊技球が入賞可能な入賞口への入賞率である特徴2に記載の遊技機である。
【0307】
[特徴4]
前記パラメータは、遊技領域を流下する遊技球の流下速度である特徴2に記載の遊技機である。
【0308】
[特徴5]
前記パラメータは、遊技球における光の屈折率である特徴2に記載の遊技機である。
【0309】
メンテナンスタイミングは、特徴2のように、遊技球に対するコーティング材の付着量に起因するパラメータの変化に基づいて決定することができ、パラメータは、例えば、特徴3のように、遊技領域を流下する遊技球が入賞可能な入賞口への入賞率であってもよいし、特徴4のように、遊技領域を流下する遊技球の流下速度であってもよいし、特徴5のように、遊技球における光の屈折率であってもよい。
【0310】
[特徴6]
前記メンテナンスタイミングは、前記コーティング手段の交換タイミングである特徴1から5の何れか1の特徴に記載の遊技機である。
【0311】
[特徴7]
前記メンテナンスタイミングは、前記コーティング手段に前記コーティング材を補充するタイミングである特徴1から5の何れか1の特徴に記載の遊技機である。
【0312】
メンテナンスタイミングは、特徴6のように、コーティング手段の交換タイミングであってもよいし、特徴7のように、コーティング手段にコーティング材を補充するタイミングであってもよい。
【0313】
[特徴8]
一定時間遊技がなされなかったことを契機として待機状態となるように設定されており、
前記タイミング報知手段は、前記待機状態時又は電源投入時に、前記メンテナンスタイミングを報知する特徴1から7の何れか1の特徴に記載の遊技機である。
【0314】
特徴8のように、一定時間遊技がなされなかったことを契機として設定される待機状態時又は電源投入時に、メンテナンスタイミングを報知する構成としてもよい。この特徴によれば、遊技中にメンテナンスタイミングが報知され、遊技者を興覚めさせてしまうことが防がれる。
【0315】
[第12の特徴群の構成要素と実施形態上の各部位との対応関係]
遊技機:遊技機10、コーティング手段:ローラ部材71、タイミング決定手段:判定部56、タイミング報知手段:報知部57、遊技領域:遊技領域R1
【0316】
[第13の特徴群]
本開示は、遊技機に関し、例えば、特開2016-34569号公報(段落[0010])には、遊技機単体で複数の遊技球が循環して使用され、その遊技球の汚れを除去する構成を備えるものが開示されている。上述した従来の遊技機に対して、遊技球の汚れをより落としやすくすることが求められている。これに対し、本特徴群によれば、球磨き工程が室温よりも高い温度で行われることで、遊技球の表面の汚れをより落としやすくすることが可能になる。
[特徴1]
遊技機単体で遊技球を循環させて使用する遊技機において、
遊技球を磨いて汚れを除去する球磨き工程が室温よりも高い温度で行われる遊技機。
【0317】
特徴1によれば、球磨き工程が室温よりも高い温度で行われることで、遊技球の表面の汚れをより落としやすくすることが可能になる。
【0318】
[特徴2]
前記球磨き工程が30度以上で行われる特徴1に記載の遊技機。
【0319】
特徴2によれば、遊技球の汚れを落としやすくする上で、球磨き工程は30度以上で行われることが好ましい。
【0320】
[特徴3]
遊技球を加熱する加熱手段を備える特徴1又は2に記載の遊技機。
【0321】
特徴3によれば、遊技球の表面の汚れが落としやすくなる。
【0322】
[特徴4]
発射装置により遊技領域に打ち込まれて、流下し終えた遊技球が前記発射装置に戻る途中にあり、遊技球が列をなして通過する誘導経路を備え、
前記球磨き工程は、前記誘導経路内で実施される特徴1から3の何れか1の特徴に記載の遊技機。
【0323】
特徴4によれば、遊技球が列をなしているところで球磨き工程が行われるので、磨けていない遊技球が発生することを抑えられる。また、球磨き工程が誘導経路で行われるので、球磨き工程を行う場所を別途設けることなく、遊技球を発射装置に戻す途中で球磨きを行うことができる。
【0324】
[特徴5]
前記誘導経路に沿って延び、前記誘導経路内の遊技球に当接する磨き部材を備える特徴4に記載の遊技機。
【0325】
特徴5によれば、磨き部材が誘導経路に沿って延びていることで、広範囲にわたって遊技球に当接するので、汚れが除去されやすくなる。
【0326】
[特徴6]
前記磨き部材を加熱する加熱手段を備える特徴5に記載の遊技機。
【0327】
特徴6によれば、加熱された磨き部材を遊技球に当接させることで、汚れが落としやすくなる。
【0328】
[特徴7]
前記磨き部材は、発泡体からなる特徴5又は6に記載の遊技機。
【0329】
特徴7によれば、磨き部材は、ブラシ形状であってもよいし、布素材であってもよいし、エラストマー製であってもよい。特徴7のように発泡体であれば、安価に手に入るだけでなく、コーティング剤を付着又は含浸させるのに好適である。
【0330】
[特徴8]
駆動源から動力を受けて前記誘導経路内の遊技球を移動させる移動部材を備え、
前記駆動源の熱を前記誘導経路内に伝える伝熱部を備える特徴4から7の何れか1の特徴に記載の遊技機。
【0331】
特徴3のように遊技球を加熱する加熱手段を備えていても良いし、特徴6のように磨き部材を加熱する加熱手段を備えていてもよいし、特徴8のように伝熱部を備えていてもよい。特徴8によれば、駆動源で発生した熱を有効利用することができる。
【0332】
[第13の特徴群の構成要素と実施形態上の各部位との対応関係]
遊技機:遊技機10、磨き部材:ローラ部品75、誘導経路:誘導経路65、移動部材:スクリュー62、駆動源:モータ64、加熱手段:モータ64,伝熱部:伝熱板110
【0333】
[第14の発明群]
本開示は遊技機に関し、例えば、特開2016-34569号公報(段落[0010])には、遊技機単体で複数の遊技球が循環して使用されるものが開示されている。上述した従来の遊技機に対して、遊技球の流れをスムーズにすることが求められている。これに対し、本特徴群では、押し込み手段により遊技球が後続経路に向かって押し込まれるので、遊技球の流れをスムーズにすることができる。
【0334】
[特徴1]
発射装置により遊技領域に打ち込まれて流下し終えた遊技球を上下方向に延びる誘導経路内で上昇させて前記発射装置に戻し、遊技機単体で複数の遊技球を循環して使用する遊技機において、
前記誘導経路の上端に到達した遊技球を、前記誘導経路の側方に延びる後続経路へ押し込むための押し込み手段を備え、
前記押し込み手段は遊技球の表面の状態を変化させることが可能な遊技機。
【0335】
特徴1によれば、押し込み手段により遊技球が後続経路に向かって押し込まれるので、遊技球の流れをスムーズにすることができる。しかも、その押し出す手段を有効利用して遊技球の表面の状態を変化させることができるので、遊技球の表面の状態を想定の状態にすることができる。
【0336】
[特徴2]
遊技球を支持可能な螺旋ブレードが張り出して動力を受けて回転し、前記誘導経路内の遊技球を上昇させるスクリューを備え、前記押し込み手段は前記スクリューの上端に設けられる特徴1に記載の遊技機。
【0337】
押し込み手段は、特徴2のようにスクリューの上端に備えられていてもよいし、例えば、ベルトコンベアで遊技球を上昇させ、上端に達した遊技球を横から押すような機構を別途備えていてもよい。
【0338】
[特徴3]
前記押し込み手段は、前記スクリューの回転軸から外方に延びた壁であり、遊技球の表面の状態を変化させる変化手段を有する特徴2に記載の遊技機。
【0339】
特徴3によれば、スクリューによって上昇してきた遊技球が、押し込み手段によって後続経路に押し出されつつ、遊技球の表面の状態を変化させることができる。
【0340】
[特徴4]
前記変化手段は、遊技球にコーティング剤を付着させる特徴3に記載の遊技機。
【0341】
特徴4によれば、遊技球の表面にコーティング剤を付着させることで遊技球の滑りを良くすることができる。
【0342】
[特徴5]
遊技球にコーティング剤を付着させるコーティング手段を備え、
前記変化手段は、遊技球の前記コーティング剤を拭う特徴3に記載の遊技機。
【0343】
特徴5によれば、余分なコーティング剤を拭うことができるため、遊技球の滑りやすさが調節される。
【0344】
[特徴6]
前記変化手段は遊技球の汚れを除去する特徴3に記載の遊技機。
【0345】
特徴6によれば、遊技球の表面の汚れが除去されることで、遊技球の滑りを良くすることができる。
【0346】
[第14の特徴群の構成要素と実施形態上の各部位との対応関係]
遊技機:遊技機10、コーティング手段:ローラ部材71、発射装置:発射装置31、遊技領域:遊技領域R1、誘導経路:誘導経路65、螺旋ブレード:ブレード62B、スクリュー:スクリュー62、後続経路:上側通路61B、押し込み手段:押出片62C
【0347】
[第15の特徴群]
本開示は、遊技機に関し、例えば特開2016-34569号公報(段落[0010])には、遊技機単体で複数の遊技球が循環して使用され、その遊技球の汚れを除去する構成を備えているものが開示されている。上述した従来の遊技機に対して、遊技球の表面をきれいに保つことが求められている。これに対し、本特徴群によれば、移動機構が浄化されることで遊技球に汚れがつきにくくなり、遊技球の表面をきれいに保つことができる。
【0348】
[特徴1]
発射装置により遊技領域に打ち込まれて流下し終えた遊技球が列をなして誘導経路を通過して前記発射装置に戻り、遊技機単体で複数の遊技球を循環して使用する遊技機において、
前記誘導経路に沿って延び、前記誘導経路内の遊技球を移動させる移動機構と、
前記移動機構の汚れを除去する移動機構浄化手段を備える遊技機。
【0349】
特徴1によれば、移動機構が浄化されることで遊技球に汚れがつきにくくなり、遊技球の表面をきれいに保つことができる。
【0350】
[特徴2]
前記移動機構浄化手段は、前記移動機構を挟んで前記誘導経路の反対側に設けられ、かつ前記移動機構に沿って配置される特徴1に記載の遊技機。
【0351】
特徴2によれば、移動機構浄化装置は移動機構に沿って設けられているため、コンパクトになっている。
[特徴3]
前記移動機構浄化手段は、前記移動機構に当接して汚れを除去する特徴1または2に記載の遊技機。
【0352】
移動機構浄化手段は特徴3のように移動機構に当接して汚れを除去する構成であってもよいし、シャワーのように流水で洗浄するものでもよいし、風をあててゴミを飛ばすようなものであってもよい。
【0353】
[特徴4]
前記移動機構浄化手段は、ブラシ又は発泡体を含む特徴3に記載の遊技機。
【0354】
移動機構浄化手段は、ブラシ形状でもよく、エラストマーや布素材のものであってもよい。特徴6のように発泡体であれば、安価に手に入るうえ移動機構の汚れを除去しやすい。
【0355】
[特徴5]
前記誘導経路は上下方向に延び、
前記移動機構は、遊技球を支持可能な螺旋ブレードが張り出して動力を受けて回転し、前記誘導経路内の遊技球を上昇させるスクリューを備え、
前記移動機構浄化手段は前記スクリューの汚れを除去する特徴1から4の何れか1の特徴に記載の遊技機。
【0356】
移動機構はベルトコンベアでもよいが、特徴5のように回転するスクリューになっていれば全体を移動機構浄化手段で浄化しやすい。
【0357】
[第15の特徴群の構成要素と実施形態上の各部位との対応関係]
遊技機:遊技機10、発射装置:発射ユニット31、遊技領域:遊技領域R1、誘導経路:誘導経路65、揚上機構:揚上装置60、螺旋ブレード:ブレード62B、移動機構:スクリュー62
【符号の説明】
【0358】
10 遊技機
31 発射ユニット
53 メンテナンス報知ランプ
60 揚上装置
60A 球入口
60B 球出口
61A 下側通路
61B 上側通路
62 スクリュー
62A 中心軸
62B ブレード
62C 押出片
64 モータ
65 誘導経部
70 クリーニング機構
71 ローラ部材
72A 軸本体
75 ローラ部品
80 ローラ保持機構
110 伝熱板
111 ブラシ
R1 遊技領域