(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-27
(45)【発行日】2024-10-07
(54)【発明の名称】OLEDスタック膜の品質査定のためのシステム、デバイス、および方法
(51)【国際特許分類】
H10K 71/70 20230101AFI20240930BHJP
H10K 59/10 20230101ALI20240930BHJP
【FI】
H10K71/70
H10K59/10
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022209107
(22)【出願日】2022-12-26
(62)【分割の表示】P 2021063587の分割
【原出願日】2014-02-13
【審査請求日】2023-01-25
(32)【優先日】2013-02-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】513317345
【氏名又は名称】カティーバ, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100140833
【氏名又は名称】岡東 保
(72)【発明者】
【氏名】クリストファー コッカ
【審査官】酒井 康博
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-118752(JP,A)
【文献】特開2003-187222(JP,A)
【文献】特開2009-128083(JP,A)
【文献】特開2006-065582(JP,A)
【文献】特開2001-041899(JP,A)
【文献】特開平04-355353(JP,A)
【文献】特開2011-198604(JP,A)
【文献】特開2010-218814(JP,A)
【文献】特開2006-145484(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2007-0028709(KR,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0276510(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H10K 71/70
H10K 59/10
H10K 71/13
B05C 5/00
B05C 11/00
G06T 7/00
G06T 7/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置であって、前記装置は、
基板支持装置と、
可動支持体に取り付けられたカメラであって、前記カメラは前記基板支持装置に対向し、基板上の膜の所定寸法の領域を包含するデジタル画像データを捕捉する、カメラと、
コントローラと、を備え、
前記コントローラは、
前記画像データを受信することと、
前記画像データにマスク機能または境界検出機能を適用することによって、前記膜のピクセルセルに対応するデータを分離することと、
前記分離されたデータを処理し、前記分離されたデータの特性を強調することと、
前記処理されたデータに勾配畳み込みを適用し、前記処理されたデータの複数の勾配値を決定することと、
前記勾配値に基づいて前記膜が欠陥品であるかどうかを決定することと、
前記膜が欠陥品であるかどうか示す出力を生成すること、
を実行するように構成されているコントローラと、を備える装置。
【請求項2】
インクジェットプリンタを、さらに備える、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記特性は、輝度、グレースケール値、色相、または色強度を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記勾配畳み込みは、ソーベルフィルタ、プリューウィットフィルタ、およびキルシュフィルタから成る群から選択されるフィルタを備える、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記膜が欠陥品であるかどうかを決定することは、前記複数の勾配値に統計的尺度を適用することを含む、請求項1記載の装置。
【請求項6】
前記統計的尺度は、前記勾配値の絶対値の合計を含む、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記勾配値のそれぞれは、前記分離されたデータの隣接する要素間の強度差に対応する、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記勾配畳み込みは、行列による畳み込みを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記統計的尺度は、前記勾配値の絶対値の標準偏差を含む、請求項
5に記載の装置。
【請求項10】
前記コントローラは、さらに、前記カメラを制御し、前記基板のすべてのピクセルウェルを包含する1つ以上の画像を捕捉する、請求項1に記載の装置。
【請求項11】
装置であって、前記装置は、
基板支持装置と、
可動支持体に取り付けられたカメラであって、前記カメラは前記基板支持装置に対向し、基板上のピクセルウェル内の層を包含するデジタル画像データを捕捉する、カメラと、
前記カメラから前記画像データを受信するストレージシステムと、
コントローラと、を備え、
前記コントローラは、
前記カメラまたは前記ストレージシステムから前記画像データを受信することと、
勾配関数を適用し、前記画像データから前記ピクセルウェル内の前記層に対応するデータを分離することと、
前記分離されたデータを変換し、画像特性を強調することと、
前記変換されたデータに勾配畳み込みを適用し、前記ピクセルウェル内の複数のピクセルのそれぞれに対して勾配値を生成することと、
前記複数のピクセルのそれぞれについて、前記生成された勾配値を使用し統計的尺度を決定することと、
前記統計的尺度と、しきい値と、を比較することと、
前記比較に依存するピクセルウェル内の層間剥離の存在を検出することと、
前記ピクセルウェル内で前記層に欠陥があるかどうかを示す出力を生成すること、
を実行するように構成されているコントローラと、を備える装置。
【請求項12】
インクジェットプリンタを、さらに備える、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記画像特性は、輝度、グレースケール値、色相、または色強度を含む、請求項11に記載の装置。
【請求項14】
前記勾配畳み込みは、ソーベルフィルタ、プリューウィットフィルタ、およびキルシュフィルタから成る群から選択される、フィルタを備える、請求項11に記載の装置。
【請求項15】
前記統計的尺度は、前記ピクセルウェル内の複数の前記ピクセルの勾配値の絶対値の合計を含む、請求項11に記載の装置。
【請求項16】
前記勾配値のそれぞれは、前記画像データの隣接する要素間の強度差に対応する、請求項15に記載の装置。
【請求項17】
前記勾配畳み込みは、行列による畳み込みを含む、請求項11に記載の装置。
【請求項18】
前記統計的尺度は、前記勾配値の絶対値の標準偏差を含む、請求項11に記載の装置。
【請求項19】
前記可動支持体は、前記基板支持装置上のブリッジに結合され、前記装置は、運動システムによって、前記ブリッジに結合されたプリントヘッドアセンブリを、さらに備える、請求項11に記載の装置。
【請求項20】
装置であって、前記装置は、
基板支持装置と、
前記基板支持装置に配置された基板のピクセルウェル内に層を形成するインクジェットプリンタと、
可動支持体に取り付けられたカメラであって、前記インクジェットプリンタによって形成された
前記層を包含するデジタル画像データを捕捉するために前記基板支持装置に対向している、カメラと、
コントローラと、を備え、
前記コントローラは、
前記画像データを受け取ることと、
前記画像データにマスク機能または境界検出機能を適用し、前記層に対応するデータを分離することと、
前記分離されたデータを処理し、前記分離されたデータの特性を強調することと、
前記処理されたデータに勾配行列畳み込みを適用し、前記分離された画像データの複数の勾配値を決定することと、
前記勾配値の統計的尺度を決定することと、
前記統計的尺度に基づいて、
前記層が欠陥品であるかどうかを決定することと、
前記
層が欠陥品であるかどうかを示す出力を生成すること、
を実行するように構成されているコントローラと、を備える装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、“Systems and Methods for the Detection of Defective EML Films”に対する、最初に表記された発明者Christopher Coccaを代表して2013年2月18日に出願された、米国仮特許出願第61/766,064号に対する優先権を主張するものであり、該先行特許出願は、参照により本明細書中に援用される。
【0002】
本教示は、有機発光ダイオード(「OLED」)デバイスの製造中にピクセルウェル構造に形成される種々の膜の品質査定のために有用なシステム、デバイス、および方法に関する。
【背景技術】
【0003】
OLEDデバイス技術の可能性への関心は、大部分が、高度に飽和した色を有し、高いコントラストを有し、極薄かつエネルギー効率的である、フラットパネルの実証によって動かされている。加えて、可撓性ポリマー材料を含む、多種多様の基板材料をOLEDデバイスの加工で使用することができる。OLEDデバイスは、工業印刷システムを使用して、基板上への種々の有機および他の薄膜の印刷によって製造することができる。携帯電話ディスプレイとして使用するために定寸される基板から、非常に大型のテレビ(「TV」)画面として使用するための基板まで、ほぼあらゆる所望のサイズの基板をそのようなプロセスで使用することができる。2つの非限定的実施例を提供するために、薄膜のインクジェット印刷を、約195cm×225cmの寸法を有するGen 7.5基板に使用することができ、これらの基板は、次いで、基板につき8枚の42インチまたは6枚の47インチフラットパネルに切断され、約220×250cmの寸法を有するGen 8.5基板に使用することができ、これらの基板は、次いで、基板につき6枚の55インチまたは8枚の46インチフラットパネルに切断される。
【0004】
OLEDデバイスは、典型的には、ディスプレイを構成するいくつかのピクセルを有する。カラーディスプレイでは、各ピクセルは、典型的には、3つの別個の色生成要素を有する。これらの要素のそれぞれは順に、典型的には、インクジェット印刷プロセス中に1つ以上の薄膜層を受容するために「ウェル」を使用する。OLEDデバイスの各ピクセルは、典型的には、それぞれのピクセル色に対応する、3つのウェルと関連付けられる。各色成分のための層の集合(すなわち、各ウェルと関連付けられる)は、「OLEDスタック」を形成する。各OLEDスタックは、6~7個の膜層を含むことができる。製造中に、これらの層のそれぞれを一様に堆積させることが所望される。
【0005】
遠近感のために、高解像度フラットパネルディスプレイは、約300ppi~約450ppiのピクセル密度で、2百万個以上のピクセルを含有することができる。明確には、種々のOLEDデバイスの製造中に基板上に形成されなければならない機能ピクセルのシート数を考慮すると、高度な製造精度が必要とされる。種々の層を形成するプロセスでは、設計通りに機能しない、または別様に欠陥があると識別されるピクセルをもたらし得る、膜層間または内の種々の非連続性が起こり得る。
【0006】
したがって、当技術分野では、OLEDデバイスの製造中に基板上に形成される薄膜の品質を適時かつ系統的に査定するために使用することができる、システム、デバイス、および方法の必要性がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示は、OLEDデバイス加工中に堆積させられる薄膜層の品質の評価のためのシステム、デバイス、および方法を提供する。OLEDスタックの1つ以上の層は、基板の標的領域上に連続的に印刷することができる。各標的領域は、随意に、完成したOLEDデバイスによって生成される光のピクセルの特定の色成分と関連付けられるであろう、ピク
セルウェルである。インクジェット印刷プロセスが、随意に、この印刷プロセスに使用される。堆積層を有機または無機材料のいずれかで形成することができるが、典型的には、OLEDスタックは、このプロセスを使用して形成される、少なくとも1つの有機層(例えば、随意に、発光材料層または「EML」)を含む。特定のインクを標的領域の中へ印刷した後、例えば、堆積流体を永久構造に変換することによって、各層を完成させるために、1つ以上の印刷後処理ステップを行うことができる。各標的領域中で形成される各層の品質を査定するために、例えば、高速高解像度カメラを使用して、層堆積および/または形成中または後に、全ての標的領域の画像が捕捉される。前の「湿潤」層または完成した層の品質を査定するために(すなわち、層形成プロセスの任意の段階で)、OLEDスタックの次の層の堆積に先立って、そのような撮像を随意に行うことができる。
【0008】
この画像捕捉の結果として得られる画像データの評価を通して、堆積層における非一様性を検出することができる。各捕捉画像は、典型的には、OLEDデバイス基板の1つ以上のピクセルウェルまたは1つ以上のピクセルの高解像度接近図である。非一様性は、例えば、膜間の層間剥離、間隙、ピンホール、または他の種類の問題を示す、ピクセルウェル内の膜層間の非連続性として表すことができる。各捕捉画像は、非限定的実施例として、1つ以上のピクセルウェル、1つ以上のピクセルウェルを包囲する領域、各ピクセルウェルの境界を画定するバンク、およびOLEDスタックの一部を形成するように各ピクセルウェルに堆積させられる膜を包含することができる。フィルタにかけられたデータを単離して生成し、目的とする膜の堆積層のみに対応する画像データを単離するように、および不必要なデータ(1つまたは複数の所与のピクセルウェルの外側の領域の画像データ等)を除去するように、捕捉画像をフィルタにかけることができる。このフィルタにかけられたデータは、典型的には、問題になっている膜層の画像データにすぎない。処理されたデータを形成するように、勾配関数を、このフィルタにかけられたデータに適用することができる。処理されたデータは、典型的には、一様な画像データからの非連続性を強調表示する、勾配値の画像である。本教示のシステムおよび方法の種々の実施形態については、例えば、非連続性の規模、非連続性の数、または1つ以上の他の基準に応じて、1つ以上のウェル内のOLEDスタック膜の品質を評価するために、そのような処理されたデータを使用することができる。次いで、処理された画像データを使用して評価された、ピクセルウェルの品質を表す、結果または出力を生成することができる。本教示の種々の実施形態では、この出力は、特定のピクセルウェル内の堆積層が充填問題または層間剥離問題を有するかどうかを表すことができる。別の実施形態では、説明されたプロセスは、容認不可能な誤差を示し、その結果として、後続の処理を決定付けるために使用される結果を伴って、ピクセルウェル内のOLEDスタックの中の各層に反復して適用することができる。最終的に、次いで、任意の欠陥が識別された場合に、随意に、改善策を講じることができる。明白となるはずであるように、いかなる製造プロセスも完璧ではなく、欠陥の適時検出およびそのような改善策の使用は、品質および生産速度を最大限化し、費用を最小限化するために重要である。
【0009】
一実施形態では、フィルタにかけられたデータ(すなわち、分析中の堆積層のみを表す画像データ)は、(勾配関数の適用に先立って)輝度、グレースケール値、色相、色強度、または別の画像特性等の特定の画像特性を強調することに役立つ、特定の形式に変換することができる。一実施形態では、例えば、カラー画像を表す、フィルタにかけられたデータは、フィルタにかけられたデータの各ピクセルまたは「PEL」に1つずつ、8ビットグレースケール強度値に変換される(「PEL」が、典型的には、カメラからの高解像度捕捉データのピクセルを指す際に使用されるであろう一方で、「ピクセル」は、典型的には、完成したOLEDパネルおよび関連光生成構成要素および/またはこれらの構成要素によって占有される領域の画素を指す際に使用されるであろう)。次いで、この強調されたデータ(例えば、グレースケール変換の場合は単色画像データ)は、処理されたデータを生成するように勾配関数を受ける。勾配関数は、記述されるように、監視下にあるピクセルウェル内の非一様性を局所的に際立たせる。
【0010】
本教示の一実施形態は、その上に記憶されたコンピュータ可読命令を有する、コンピュータ可読媒体を提供する。実行されたとき、これらのコンピュータ可読命令は、プロセッサに、堆積膜の品質を分析するように、標的領域を表す捕捉画像データを処理させる。再度、標的領域は、捕捉画像によって表される、少なくとも1つのピクセルウェルを含むことができる。コンピュータ可読媒体は、非一過性の媒体であり、電子、磁気、光学、または他の形態でデータを記憶するように適合される、物理的構造であることを意味する。そのような媒体の実施例は、例えば、フラッシュドライブ、フロッピー(登録商標)ディスク、テープ、サーバ記憶装置または大容量記憶装置、ハードドライブ、ダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)、コンパクトディスク(CD)、または他のローカルあるいは遠隔記憶装置を含む。コンピュータ可読媒体は、プロセッサによって実行されたときに、システムに、OLEDデバイス基板上に形成される膜内の非連続性を識別するための方法の種々の実施形態を行わせることができる、その上に記憶された命令を有することができる。コンピュータ可読媒体は、随意に、より大型の機械またはシステム(例えば、デスクトップコンピュータまたはプリンタ内の常駐メモリ)の一部として具現化することができ、または単離した基準で存在することができる(例えば、後にファイルを別のコンピュータまたはプリンタに転送するであろう、フラッシュドライブまたは独立型記憶装置)。より大型の機械またはシステムは、随意に、カメラおよびプロセッサと、随意に、プリントヘッドおよび/またはカメラ運搬機構を含む、印刷デバイスとを含むことができる。カメラは、画像捕捉中にOLEDデバイス基板の標的領域を照射するため、すなわち、その基板の外部の照明を使用して、加工中に非活性OLEDデバイス基板の写真を撮影するように、光源を含むアセンブリ上に搭載することができる。
【0011】
依然としてさらに詳細な実施形態では、勾配関数は、2つの行列からの要素間の畳み込みとして、特定の標的領域を表す画像データに対する数学的プロセスによって適用される。この画像データは、上記で参照される、フィルタにかけられたデータであり得、典型的には、捕捉画像のPELSから導出される画像データを含む。記述されるようなこの画像データは、色強度、輝度等の特定の画像特性を強調することができる。畳み込みは、随意に、ソフトウェアまたはファームウェアによって、つまり、ソフトウェアおよび/またはファームウェアの制御下で作動する1つ以上の機械によって、行うことができる。畳み込みの結果は、監視下にある膜層に対応する、勾配値の行列として表すことができる。次いで、堆積膜の品質を査定するように、尺度(すなわち、1つ以上の基準または閾値)が適用される。結果が適用された尺度を満たす場合、堆積層は、満足できる品質を有すると判定され、別様に、起こり得る問題を提起すると判定される。問題の識別に応答して講じることができる措置の非限定的実施例として、表示パネルは、さらなる処理を伴わずに(潜在的に製造時間および経費を節約して)拒否することができるか、または問題を改善しようとしてさらなる処理を受けることができる。品質を査定するように、多種多様の異なる基準を適用できることに留意されたい。例えば、以下で議論される1つの具体的で詳細な実施形態では、ピクセルウェル内の層の勾配値の絶対値がともに合計され(または勾配値の二乗がともに合計され)、堆積膜は、結果として生じた合計が閾値未満であれば容認可能であると判定される。別の実施形態では、代わりに、大きい顕著な非連続性または勾配(例えば、有意な問題)を、いくつかの小さい非連続性(例えば、問題がないことを表し得る)と区別するように、第2の試験を適用することができる。この点に関して、問題を表し得る任意の特定の特性を識別するように、統計的試験も適用することができる(例えば、第2の閾値との結果行列からの値の標準偏差の比較)。例えば、以下で議論される1つの用途では、監視下にある層を含有する各ピクセルウェルと関連付けられる、勾配値について、ヒストグラムが計算され、強い勾配の高い発生率は、所与のピクセルウェル内の層間剥離と関連付けられる「レーストラック」効果を示し得る。これらの試験はまた、例えば、両方の試験が満たされた場合のみ、所与のウェル内の層を許容品質と見なすように、所望であれば相互と組み合わせて使用されてもよい。明確には、多くの代替的な試験および試験の組み合わせも存在し、種々の実施形態のために選択することができる。
【0012】
さらに別の実施形態では、第2の勾配関数を随意に適用することができる。例えば、上記で議論されるフィルタリングプロセスはまた、捕捉画像から堆積層の輪郭を識別するために勾配関数を使用することもでき、次いで、これらの輪郭は、検討中の堆積層を直接表さない、捕捉画像の複数部分をマスクするために使用される。より具体的な実装では、各ピクセルウェルの輪郭を構造的に画定する「バンク」の場所を特定するように、そのような勾配関数を使用して、各捕捉画像のコピーがフィルタにかけられる。次いで、(例えば、目的とする堆積層に対応し得る)バンク内で画像データを通過させる(すなわち、マスクしない)ように、および問題になっているピクセルウェルの境界の外側の(すなわち、バンクの外側に位置する)基板構造に対応する画像データを遮断する(すなわち、マスクする)ように、この分析に基づいて、マスク関数が定義される。次いで、このマスクは、フィルタにかけられたデータ(すなわち、監視下にある層のみを表す)を取得するために、元の画像データに適用される。
【0013】
前述の内容から明白となるはずであるように、上記で議論される種々の動作、ならびにこれらの動作を行う方法、デバイス、およびシステムは、OLEDデバイスの膜の品質の適時かつ系統的な評価を促進する。したがって、これらの種々の方法、デバイス、およびシステムは、潜在的な欠陥をより正確に検出することができるため、より信頼性のあるOLEDデバイスにつながる。それらはまた、潜在的に欠陥のあるOLEDデバイス上のさらなる処理と関連付けられる経費および時間、または復旧可能な材料の破棄と関連付けられる経費および時間を伴わずに、そのような欠陥を検出する(および潜在的に修復する)ことができるため、製造費用の削減にもつながる。
【0014】
付加的な詳細およびオプションが、以下の議論から当業者に明白となるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0015】
添付図面を参照して、本発明の例証的実施形態を以降で説明する。
【
図1A】
図1Aは、本教示による、表示パネル内の例示的なピクセル配列の概略図である。
【
図1B】
図1Bは、本教示による、OLEDスタックの実施形態の概略図である。
【
図2A】
図2Aは、本教示による、例証的なピクセルウェルを描写する断面図である。
【
図2B】
図2Bは、本教示による、単一のピクセルと関連付けられる構造を描写する上面図である。
【
図3】
図3は、例証的実施形態による、OLEDデバイス品質査定システム300の概略図である。
【
図4】
図4は、例証的実施形態による、
図3のパネル検査システムのデータ収集装置のブロック図を描写する。
【
図5】
図5は、例証的実施形態による、
図4のデータ収集アセンブリを伴う印刷システムを描写する。
【
図6】
図6は、
図5の印刷システムの種々の実施形態等の印刷システムを収納することができる、ガスエンクロージャシステムの概略断面図である。
【
図7A】
図7A-
図7Dは、本教示のシステムおよび方法の種々の実施形態による、データ収集装置の画像処理アプリケーションによって行われる例示的動作を図示する、種々のフロー図を描写する。
【
図7B】
図7A-
図7Dは、本教示のシステムおよび方法の種々の実施形態による、データ収集装置の画像処理アプリケーションによって行われる例示的動作を図示する、種々のフロー図を描写する。
【
図7C】
図7A-
図7Dは、本教示のシステムおよび方法の種々の実施形態による、データ収集装置の画像処理アプリケーションによって行われる例示的動作を図示する、種々のフロー図を描写する。
【
図7D】
図7A-
図7Dは、本教示のシステムおよび方法の種々の実施形態による、データ収集装置の画像処理アプリケーションによって行われる例示的動作を図示する、種々のフロー図を描写する。
【
図8A】
図8A-
図8Fは、本教示の種々の実施形態による、画像処理アプリケーションの動作を図示するために使用される、1つ以上のピクセルウェルの概略図を描写する。
【
図8B】
図8A-
図8Fは、本教示の種々の実施形態による、画像処理アプリケーションの動作を図示するために使用される、1つ以上のピクセルウェルの概略図を描写する。
【
図8C】
図8A-
図8Fは、本教示の種々の実施形態による、画像処理アプリケーションの動作を図示するために使用される、1つ以上のピクセルウェルの概略図を描写する。
【
図8D】
図8A-
図8Fは、本教示の種々の実施形態による、画像処理アプリケーションの動作を図示するために使用される、1つ以上のピクセルウェルの概略図を描写する。
【
図8E】
図8A-
図8Fは、本教示の種々の実施形態による、画像処理アプリケーションの動作を図示するために使用される、1つ以上のピクセルウェルの概略図を描写する。
【
図8F】
図8A-
図8Fは、本教示の種々の実施形態による、画像処理アプリケーションの動作を図示するために使用される、1つ以上のピクセルウェルの概略図を描写する。
【
図9】
図9は、
図9の左側に見られる、ピクセルウェル内の堆積層の表現に対応する、勾配強度のヒストグラムを図示する。
【
図10】
図10は、
図10の左側に見られる、ピクセルウェル内の堆積層の表現に対応する、勾配強度のヒストグラムを図示する。
【
図11】
図11は、本教示の種々の実施形態による、データ収集装置の画像処理アプリケーションによって行われる例示的動作を図示する、フロー図を描写する。
【
図12】
図12は、本教示の種々の実施形態による、データ収集装置の画像処理アプリケーションによって行われる例示的動作を図示する、フロー図を描写する。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1Aは、基板10の表面上に形成される6つのピクセルのための回路を示す拡大
図20を伴う、OLEDデバイス基板10の概略上面図である。単一のピクセルは、数字30によって指定され、赤色、緑色、および青色光生成要素(32、34、および36)から成ることが分かる。それぞれのピクセルウェルによる光の生成に対する制御を支援するように、(数字38によって描写されるような)付加的な回路をOLEDデバイスディスプレイ基板上に形成することができる。
【0017】
前述のように、OLEDフラットパネルディスプレイの製造中に、OLEDピクセルは、電圧が印加されたときに発光することができる、少なくとも1つのOLED膜スタックを含むように形成される。
図1Bは、アノードとカソードとの間に、正孔注入層(HIL)、正孔輸送層(HTL)、発光層(EML)、および電子注入層(EIL)と組み合わせられた電子輸送層(ETL)を含む、OLEDスタック膜構造の実施形態を描写する。電圧がアノードおよびカソードにわたって印加されたとき、特定の波長の光が、
図1Bで示されるように、EML層から放射される。本教示のシステム、デバイス、および方法の種々の実施形態では、インクジェット印刷を使用して、
図1Bで描写されるHIL、HTL、EML、およびETL/EIL層を印刷することができる。HIL、HTL、およびETL.EIL OLEDスタック層のそれぞれは、これらのOLEDスタック膜層の機能を定義する材料を含む、インク調合を有する。後でさらに詳細に議論されるように、ピクセルは、3つの色生成要素を含むことができ、各要素は、例えば、限定されないが、赤、緑、および青色の異なる光の波長を放射する、EML層を有する。本教示のOLEDピクセルセルの種々の実施形態については、各EML層は、標的電磁波長範囲内で放射することができるOLED材料を含む、インク調合を有する。(例えば、各ピクセルのための単一のピクセルウェルを伴う)単色ディスプレイ、ならびに任意の数または組み合わせの色成分および関連ピクセルウェルを有することが可能であることに留意されたい。
【0018】
図2Aは、単一の色生成要素を画定するように、種々のOLEDスタック層を形成するためのインクをその中に印刷することができる、ピクセルウェル50の断面図を示す。断面図は、堆積した流体を閉じ込める働きをする、一対の二重バンク構造(数字52および54によって指定される)を描写するが、実際には、これらの構造は、典型的には、(例えば、赤色、緑色、または青色光生成領域、それぞれ、
図2Bの数字62、64、および66の輪郭によって表されるような)単一の閉鎖形状の一部を形成する。ピクセルウェル50の場合、基板51は、典型的には、透明な構造であり、その結果として、領域58が、(妨げられていない)生成された光と関連付けられるであろう、活性ピクセル幅の領域を表す一方で、領域56は、堆積層と関連付けられるウェル幅を表す。種々の構造の相対高度および距離は、
図2Aの右上側で見られる凡例によって識別される。以前に参照されたように、いくつかの実施形態では、ピクセルウェル幅(56)に対応する、このフィルタにかけられた画像データのみが、層の非連続性を査定するよう処理されるように、ピクセルバンク、より具体的には、閉じ込めバンク54が検出され、堆積層を分析するために使用される捕捉画像データをフィルタにかけるために使用される。これは、全ての実施形態に必要とされるわけではない。
【0019】
図2Bは、幅約95μ×長さ約85μの寸法を有する、ピクセルセル60の平面図を描写する。ピクセルセル60では、OLEDスタック、つまり、赤色光生成構成要素(62)用の1つのスタック、緑色光生成構成要素(64)用の1つのスタック、および青色光生成構成要素(66)用の1つのスタックを画定するであろう、層を受容するためにそれぞれ使用される、3つの異なるウェル(62、64、および66)がある。
図2B内で識別される寸法は、(326ピクセル/インチまたは「ppi」の解像度を有する)フラットパネルディスプレイ用の各色成分のピクセルセルピッチおよびピクセルウェル寸法を識別する。
【0020】
当業者であれば容易に理解することができるように、ピクセルサイズ、形状、およびアスペクト比は、いくつかの要因に応じて変動し得る。例えば、100ppiに対応するピクセル密度は、コンピュータディスプレイに使用されるパネルにとって十分であり得る。対照的に、300ppi~約450ppiに対応するピクセル密度を超高解像度ディスプレイに使用することができる。ウェル62、64、および66のそれぞれが、1つまたは複数の同一のインクを使用する必要がないように、種々の波長の光とともに使用するための異なる層を形成するために、多種多様のインクを使用できることに留意されたい。また、
図1Bで描写されるような他の層を形成するように、種々のインクを調合することができる。
【0021】
本教示は、OLEDデバイス基板の多数のピクセルウェルにわたる堆積層の品質の適時検査および客観的判定のための自動システムおよび方法を促進する。例えば、以前に提示された異なる基板サイズの議論を熟考して、多くの設計(例えば、Gen 5.5-Gen 8.5)について、典型的には、パネルにつき何百万ものピクセルがあることが想起されるであろう。この数は、付加的なディスプレイ技術が実績を挙げるにつれて、将来著しく増加し得る。以前に議論されたように、OLEDデバイスにおける適正な機能のために、膜の一様性が望ましい。
【0022】
図3は、例証的実施形態による、OLEDデバイス品質査定システム300の概略図である。品質査定システム300は、データ収集システム304、画像処理システム306、およびネットワーク308、ならびにデータ記憶システム305を含むことができる。データ収集システム304は、カメラ、例えば、高速CCDカメラを含む。カメラは、OLEDデバイス基板の高倍率高解像度表示を表す、画像を捕捉する。データ収集システム304はまた、随意に、1つ以上のプリンタおよび/または他のデバイスを含む、OLEDデバイス加工機構を伴って実装することができる。一実施形態では、カメラは、カメラを位置付けるとともに、種々の膜層を印刷するために使用されるインクジェットプリントヘッドを位置付けるために使用される、輸送機構によって搬送される。捕捉画像および/または他のデータは、記憶システム305に記憶することができる。画像処理システム306は、捕捉画像を処理し、ピクセルに欠陥があるか、または別様に用途のために設計されたように機能しない場合があるかどうかを判定する。典型的には、画像処理システムは、画像処理システム306の1つ以上のプロセッサにこの分析を行わせる、コンピュータ可読媒体(すなわち、携帯用デバイス、デスクトップコンピュータまたはラップトップ、あるいは他の処理デバイスの一部)を含む。これらの種々の要素を接続するネットワーク308は、同一または異なる種類の1つ以上のネットワークを含むことができる。ネットワーク308は、セルラーネットワーク、Bluetooth(登録商標)ネットワーク、ピアツーピアネットワーク、ローカルエリアネットワーク、インターネット等の広域ネットワーク、内部システムバス、または別の種々の描写されたデバイスを接続するための別の方式を含むが、それらに限定されない、任意の種類の有線および無線公衆またはプライベートネットワークを含むことができる。ネットワーク308はさらに、サブネットワークを含み、任意の数の付加的な、またはより少ないデバイスから成ることができる。OLEDデバイス品質検査システム300の構成要素を、単一のコンピュータデバイスに含むことができ、単一の施設内の単一の部屋または隣接する部屋の中に位置付けることができ、または相互から遠隔にあり得る。種々の実施形態では、本教示は、
図3で図示される任意の単一の構成要素で、またはそのような構成要素の集合として、あるいは関連方法、デバイス、またはシステムとして具現化することができる。
【0023】
図4は、例証的実施形態による、データ収集装置400のブロック図を示す。データ収集装置400は、1つの非限定的実施例を提供するために、収集アセンブリ450、カメラアセンブリ460、位置付けシステム470、および少なくとも1つのプロセッサ406を含むことができる。少なくとも1つのプロセッサ406へのデータの入力および出力を支援するために、データ収集装置400は、入力インターフェース402、出力インターフェース404、通信インターフェース408、キーボード410、マウス412、ディスプレイ414、プリンタ416、コンピュータ可読媒体420、およびデータ収集アプリケーション430をさらに含むことができる。より少ない、異なる、および付加的な構成要素をデータ収集装置400に組み込むことができる。
【0024】
図4のデータ収集装置400の収集アセンブリ450に関して、カメラアセンブリ460は、随意に、当業者によって理解されるように、レンズを使用して画像データを捕捉するように構成することができる。捕捉画像データは、入力インターフェース402を通してデータ収集装置400の中へ受信される。データ収集アセンブリ450はまた、カメラアセンブリ460を搭載するため、およびOLEDデバイス基板に対してカメラアセンブリを輸送するために使用される、位置付けシステム470を含むこともできる。この点に関して、位置付けシステム470は、フラットパネルディスプレイの表面全体にわたってカメラアセンブリ460の移動を提供する。したがって、収集装置400のデータ収集アセンブリ450は、任意のフラットパネルディスプレイデバイスの一式のピクセルウェル全体を表す、画像を完全に捕捉することができる。前述のように、一実施形態では、カメラアセンブリ460は、プリンタ(例えば、プリンタ416)の一部であり得、プロセッサ406および/または収集アセンブリ450もまた、プリントヘッド運動を制御するために使用されることに留意されたい。そのようなシステムでは、カメラアセンブリ460は、随意に、品質分析の目的で、堆積したばかりの「湿潤インク」の画像を捕捉するよう、プリントヘッドと統合することができる。代替として、カメラアセンブリ460は、随意に、位置付けシステム470が2つの役目を果たし、時としてOLEDデバイス基板を印刷する際に使用するための1つ以上のプリントヘッドを搭載し、他の時にはカメラアセンブリ460を搭載する、マルチツールプリンタの一部として実装することができる。一実施形態では、層がプリンタ内の第1の基板を覆って堆積させられた後に、その基板が製造装置内の別の位置まで前進させられ、品質分析のために撮像され、同時に、類似層を堆積させる目的で、第2の基板がプリンタの中へ運ばれるように、OLEDデバイス用の製造装置が複数の基板をパイプライン輸送する。
【0025】
入力インターフェース402は、当業者によって理解されるように、データ収集装置400の中へデータを受信するポートを提供する。入力インターフェース402は、情報がデータ収集装置400の中へ受信されることを可能にするように、またはディスプレイ414上に表示されるユーザインターフェースから選択を行うように、キーボード410、マウス412、ディスプレイ414、カメラアセンブリ460、トラックボール、キーパッド、1つ以上のボタン等を含むが、それらに限定されない、種々の入力技術と連動することができる。キーボード410は、当業者によって理解されるような種々のキーボードのうちのいずれかであり得る。ディスプレイ414は、薄膜トランジスタディスプレイ、発光ダイオードディスプレイ、液晶ディスプレイ、または当業者によって理解されるような種々の異なるディスプレイのうちのいずれかであり得る。マウス412は、当業者によって理解されるような種々のマウス型デバイスのうちのいずれかであり得る。同一のインターフェースは、入力インターフェース402および出力インターフェース404の両方をサポートすることができる。例えば、ディスプレイ414は、ユーザ入力をサポートし、出力をユーザに提示する、タッチスクリーンを含むことができる。データ収集装置400は、同一または異なる入力インターフェース技術を使用する、1つ以上の入力インターフェースを有することができる。キーボード410、マウス412、ディスプレイ414、カメラアセンブリ460等はさらに、通信インターフェース408を通してデータ収集装置400によってアクセス可能であり得る。
【0026】
出力インターフェース404は、データ収集装置400から情報を出力するためのインターフェースを提供することができる。例えば、出力インターフェース404は、ディスプレイ、プリンタ、カメラ、位置付けシステム、またはデータ収集装置400の一部ではない場合は別のデバイスを含むが、それらに限定されない、種々の出力技術と連動することができる。少なくとも1つの実施形態では、出力インターフェース404は、他のネットワーク接続要素と通信する目的で、ローカルエリア接続または無線接続を備える。
【0027】
プロセッサ406は、当業者によって理解されるような命令を実行する。命令は、特殊用途コンピュータ、論理回路、またはハードウェア回路によって実行することができる。「実行」という用語は、それぞれの命令によって要求される動作を行うプロセスを指す。命令は、1つ以上のプログラミング言語、スクリプト言語、アセンブリ言語等の形態で表すことができる。プロセッサ406は、非一過性のコンピュータ可読媒体、例えば、ローカル、ネットワークアタッチト、または遠隔メモリから命令を受信し、例えば、これらの命令のコピーをローカルRAMに記憶し、次いで、これらのローカルに記憶された命令に作用することによって、そのような命令を実行する。データ収集装置はまた、例えば、マルチコアデバイスとして、統合デバイスの一式のプロセッサとして、または集合的に動作を行い、これらの動作と関連してデータを交換する、一式のネットワークアタッチトデバイスとして実装される、種々の機能を果たすいくつかのプロセッサを含むこともできる。
【0028】
図5は、例証的実施形態による、OLED基板上に種々のOLEDスタック層を印刷するためのインクジェット印刷システム500の正面斜視図を描写する。
図5のインクジェット印刷システム500等のOLEDインクジェット印刷システムは、基板支持装置520上に位置付けられる基板522等の基板上の特定の場所の上へのインク液滴の確実な配置を可能にする、いくつかのデバイスおよび装置から成ることができる。これらのデバイスおよび装置は、限定ではないが、プリントヘッドアセンブリ、インク送達システム、運
動システム、基板支持装置、ならびに基板装填および非装填システムを含むことができる。運動システムは、非限定的実施例として、
図5のインクジェット印刷システム500について描写されるように、ガントリシステムまたは分割軸XYZシステムであり得る。プリントヘッドアセンブリが静止基板を覆って移動することができる(ガントリ形式)か、またはプリントヘッドおよび基板の両方が移動することができる(分割軸構成の場合)かのいずれかである。別の実施形態では、プリントヘッドアセンブリは、実質的に静止し得、例えば、基板を1つ以上のプリントヘッドに対してXおよびY次元で輸送することができ、Z軸運動が、基板支持装置によって、またはプリントヘッドアセンブリと関連付けられるZ軸運動システムによってのいずれかで提供される。1つ以上のプリントヘッドが基板に対して移動すると、インクの液滴が、基板上の所望の場所で堆積させられるように、正しい時間に放出される。基板装填および非装填システムを使用して、基板を挿入し、プリンタから除去することができる。インクジェット印刷システムの構成に応じて、機械コンベヤ、運搬アセンブリを伴う基板浮遊テーブル、またはエンドエフェクタを伴う基板移送ロボットを使用して、これを達成することができる。一実施形態では、不要な粒子状物質を除外するように、周囲空気に対して密閉されるチャンバの内側で印刷が行われることに留意されたい。データ収集システムはまた、随意に、この隔離環境で操作することもできる。以下で参照される、1つの考慮された用途では、不活性ガス等の特異的に選択された雰囲気の存在下で印刷および/または撮像を行うために、密閉チャンバを使用することができる。
【0029】
図5のインクジェット印刷システム500は、以前に説明されたように、データ収集アセンブリを含むことができる。インクジェット印刷システム500の種々の実施形態は、印刷システム基部510によって支持することができる。この基部の上方の第1および第2のライザ512および514は、印刷システムおよび撮像システム(例えば、カメラ)を支持するために使用される、ブリッジ516を支持する。ケーブルトレイアセンブリ542は、インクジェット印刷システム500の動作に必要とされる、種々のケーブル、ワイヤ、および管アセンブリのためのエンクロージャおよびルーティングを提供し、そのようなケーブル、ワイヤ、および管アセンブリによって生成される任意の粒子を含有することに役立つ。ケーブルトレイアセンブリ542は、概して、トレイ排出プレナム544を介して、そのような粒子の排出を提供する、ケーブルトレイアセンブリ排出システム540の一部である。この点に関して、ケーブルトレイ排出アセンブリ540は、印刷および/または撮像プロセス中に低粒子環境を促進することに役立つことができる。
【0030】
ブリッジ516は、第1のX、Z軸キャリッジアセンブリ530および第2のX、Z軸キャリッジアセンブリ530Aを支持することに役立つ。各キャリッジアセンブリは、基板支持装置520に対してブリッジ516上でX軸方向に移動することができる。インクジェット印刷システム500は、第1および第2のX、Zキャリッジアセンブリ530および530Aが、それぞれ、空気軸受線形スライダアセンブリ上で移動する、本質的に低粒子を生成するX軸運動システムを使用することができる。当業者であれば理解し得るように、空気軸受線形スライダアセンブリは、ブリッジ516の全体を包み込むことができ、第1および第2のX、Zキャリッジアセンブリ530および530Aの無摩擦移動を可能にする。そのような空気軸受線形スライダアセンブリは、各X、Zキャリッジアセンブリの移動の精度を保ち、傾斜に抵抗することに役立つ、3点搭載を提供することに役立つ。第1のX、Z軸キャリッジアセンブリ530が、第1のZ軸移動プレート532を有する一方で、第2のX、Z軸キャリッジアセンブリ530は、第2のZ軸移動プレート532Aを有し、各Z軸移動プレートは、その上に搭載する装置のZ軸移動を制御することに役立つ。インクジェット印刷システム500については、プリントヘッドアセンブリ550が、Z軸移動プレート532上に搭載されて描写される一方で、カメラアセンブリ560は、Z軸移動プレート532A上に搭載されて描写される。2つのX、Z軸キャリッジアセンブリを有するインクジェット印刷システムの種々の実施形態では、プリントヘッドアセンブリおよびカメラアセンブリをいずれか一方のX、Z軸キャリッジアセンブリ上に交換可能に搭載できることを容易に理解することができる。他の実施形態は、その上に搭載されたプリントヘッドアセンブリ、およびプリントヘッドアセンブリに近接して搭載されたカメラアセンブリを有する、単一のX、Z軸キャリッジアセンブリを使用することができる。
【0031】
インクジェット印刷システム500の種々の実施形態では、基板支持装置520は、基板522の摩擦支持を提供する浮遊テーブルであり得、他の実施形態では、基板支持装置520は、チャックであり得る。一体レールシステムとして
図5で描写されるY軸運動システム524は、線形空気軸受運動システム、または線形機械軸受運動システムを利用することができ、空気軸受運動システムは、Y軸方向への基板520の無摩擦運搬の促進に役立つ。Y軸運動システム524はまた、随意に、再度、線形空気軸受運動システムまたは線形機械軸受運動システムによって提供される二重レール運動を使用することもできる。
【0032】
図5で描写されるようなカメラアセンブリ560は、カメラ562、カメラマウントアセンブリ564、およびレンズアセンブリ568を含むことができる。レンズアセンブリは、カメラマウントアセンブリ564を介してZ軸移動プレート532Aに搭載することができる。カメラ562は、非限定的実施例として、電荷結合素子デバイス(CCD)、相補型金属酸化膜半導体(CMOS)デバイス、またはN型金属酸化膜半導体(NMOS)デバイス等の、光学画像を電子信号に変換する任意の画像センサデバイスであり得る。
図5で描写されるように、Z軸移動プレート532Aは、基板522に対してカメラアセンブリ560のZ軸位置を制御可能に調整することができる。例えば、印刷およびデータ収集等の種々のプロセス中に、Y軸運動システム524を使用して、カメラアセンブリ560に対して基板522を制御可能に位置付けることができる。
図5で描写されるようなカメラアセンブリ560もまた、ブリッジ上に搭載されたキャリッジアセンブリ530Bを介したX軸移動を介して、基板522に対して制御可能に位置付けることもできる。したがって、
図5の分割軸運動システムは、任意の所望の焦点および/または高度において基板522の任意の部分上で画像データを捕捉するために、3次元で相互に対するカメラアセンブリ560および基板522の精密な位置付けを提供することができる。前述のように、例えば、基板に対してプリントヘッドアセンブリおよび/またはカメラアセンブリの間の3次元の精密な移動を提供するために、ガントリ運動システム等の他の運動システムも使用することができる。いずれか一方の実施形態では、運動システムは、基板522の表面の一連の1つ以上の画像を捕捉するように、連続または段階的運動あるいはそれらの組み合わせを使用して、基板522に対してカメラアセンブリ560を位置付けることができる。各画像は、1つ以上のピクセルウェル、個々のピクセル、またはそれらの任意の組み合わせと関連付けられ、周辺表面積を含む(例えば、関連電子回路構成要素、経路、およびコネクタを包含する)領域を包含することができる。極めて細かい粒度(ピクセル解像度につき3ミクロン)を提供しながら、比較的広い視野(>0.5mm)を有することができる、種々のカメラのうちのいずれかを使用することができる。
【0033】
図6は、以前に参照されたように、印刷システムを収納することができる、ガスエンクロージャシステム600の概略図である。ガスエンクロージャシステム600は、ガスエンクロージャアセンブリ650と、ガスエンクロージャアセンブリ650と流体連通しているガス精製ループ630と、少なくとも1つの熱調節システム640とを備えることができる。加えて、ガスエンクロージャシステムの種々の実施形態は、基板浮遊テーブル、空気軸受線形スライダアセンブリ、および線形空気軸受アセンブリ等のOLED印刷システムの種々のデバイスを操作するために不活性ガスを供給することができる、加圧不活性ガス再循環システム660を有することができる。加圧不活性ガス再循環システム660の種々の実施形態は、不活性ガス再循環システム660の種々の実施形態のための供給源
として、圧縮機、送風機、および2つの組み合わせを利用することができる。加えて、ガスエンクロージャシステム600は、ケーブルトレイ排出アセンブリ、基板浮遊テーブル、空気軸受線形スライダアセンブリ、および線形空気軸受アセンブリ等の他の構成要素とともに、実質的に低粒子の印刷環境を提供することができる、ガスエンクロージャシステム600の内部の濾過および循環システム(図示せず)を有することができる。
【0034】
図6で描写されるように、ガスエンクロージャアセンブリ600の種々の実施形態について、ガス精製ループ630は、ガス精製システム634への次の連結とともに、ガスエンクロージャアセンブリ650から溶媒除去構成要素632までの出口ライン631を含むことができる。次いで、溶媒ならびに酸素および水蒸気等の他の反応性ガス種を精製された不活性ガスは、入口ライン633を通してガスエンクロージャアセンブリ650に返還される。ガス精製ループ630はまた、適切な導管および接続と、センサ、例えば、酸素、水蒸気、および溶媒蒸気センサとを含むことができる。ファン、送風機、またはモータ、および同等物等のガス循環ユニットは、ガス精製ループ630を通してガスを循環させるように、別々に提供するか、または(例えば、ガス精製システム634に)組み込むことができる。溶媒除去システム632およびガス精製システム634は、
図6では別個のユニットとして示されているが、溶媒除去システム632およびガス精製システム634はまた、単一の精製ユニットとしてともに収納することもできる。各熱調節システム640は、例えば、少なくとも1つの冷却器641(例えば、冷却剤をガスエンクロージャアセンブリの中へ循環させるための流体出口ライン643を有することができる)と、冷却剤を冷却器に返還するための流体入口ライン645とを含むことができる。
【0035】
ガスエンクロージャアセンブリ600の種々の実施形態については、ガス源は、窒素ガス等の不活性ガス、希ガスのうちのいずれか、およびそれらの任意の組み合わせであり得る。ガスエンクロージャアセンブリ600の種々の実施形態については、ガス源は、清浄な乾燥した空気(CDA)等のガス源であり得る。ガスエンクロージャアセンブリ600の種々の実施形態については、ガス源は、不活性ガスおよびCDA等のガスの組み合わせを供給するガス源であり得る。
【0036】
システム600はまた、100ppm以下で(例えば、10ppm以下で、1.0ppm以下で、または0.1ppm以下で)水蒸気、酸素、および/または有機溶媒蒸気等のガスを含む、種々の反応性ガス種のレベルを必要に応じて維持することにも役立つ。さらに、ガスエンクロージャシステム600は、ISO 14644クラス1-クラス5のクリーンルーム規格に従って、浮遊粒子状物質の一連の仕様を満たす、低粒子環境を提供することに役立つ。
【0037】
以前に参照されたように、ガスエンクロージャシステム600は、印刷および/または撮像をサポートすることに留意されたい。例えば、ガスエンクロージャシステムは、プリンタの内外に基板を移動させるために、基板浮遊テーブル、空気軸受線形スライダアセンブリ、および/または線形空気軸受アセンブリを使用することができる。ガスエンクロージャシステムはまた、随意に、上記で議論されるように、データ収集装置(例えば、カメラ、カメラ位置付けシステム、および他の画像捕捉要素等)を封入することもできる。
【0038】
図7Aは、画像データを処理するための1つの方法と関連付けられる、フローチャート701を示す。本方法は、随意に、コンピュータ可読媒体上に記憶された命令として、すなわち、以前に紹介されたような1つ以上のプロセッサを制御するソフトウェアまたはファームウェアとして、実装することができる。数字703によって描写されるように、捕捉画像データが、最初にプロセッサによって受信される。そのようなデータは、プロセッサの制御下で捕捉できた可能性があり、またはローカルあるいは遠隔に記憶されたファイルから取り出すことができる。一実施形態では、捕捉画像データは、カメラが連続的また
は段階的に種々のピクセルウェルにわたって走査されると、捕捉画像の「ストリーム」として各画像を捕捉するときに、カメラから直接受信される。次いで、捕捉画像データは、目的とする1つ(または複数)の堆積膜を単離するように、フィルタにかけられる(705)。例えば、1つ以上のピクセルウェルの内部と関連付けられる画像データを表す、このプロセスの結果として生成される、フィルタにかけられたデータについて、次いで、膜完全性が分析される(707)。一実施形態では、この分析は、任意の印刷後完成ステップに続いて、完成した層に行われることが以前に記述されたことに留意されたい。別の実施形態では、この分析(および画像捕捉)は、例えば、充填が不完全である状況、気泡がインク内に存在する状況、または別の潜在的欠陥を識別するように、依然として湿潤したインクに行うことができる。種々の実施形態では、検出された欠陥に応答して、改善努力(708)を要し得る。例えば、OLEDデバイス基板を破棄することができ(それによって、付加的な時間および堆積経費を潜在的に節約する)、または代替として、堆積層を除去することによって、堆積層に追加することによって、または堆積層をさらに処理することによって、欠陥を修正することができる。例えば、分析が湿潤インクに行われる場合、湿潤インクを除去し、堆積を再び行うことができる。気泡が存在する場合、気泡を排除するように、インクを加熱するか、または別様に処理することができる。充填が不完全である場合、充填を完了するように、精密な場所で付加的なインクを追加することができる。実質的により効率的な製造プロセスを提供する、多くの他の可能な改善策が存在する。
【0039】
欠陥が識別されない場合には、処理は次のピクセルウェルに続く(709)。この機能は、その潜在的性質を示すように、鎖線で描写されていることに留意されたい。1度に複数のウェル内の層を精査する実施形態では、所与の捕捉画像は、1つより多くのピクセルウェル、および潜在的に、分析を必要とする1つより多くの堆積層またはインクを表してもよい。数字709は、このような場合に、該当する場合、そのような付加的なピクセルウェルのために、ステップ703で受信される捕捉画像をさらに処理できることを示す。一実施形態では、各捕捉画像は、1つ以上のピクセルと関連付けられる領域を包含し、第2の実施形態では、各捕捉画像は、単一のピクセルウェルのみを包含する(またはそれを識別するようにフィルタにかけられ)、第3の実施形態では、1つ以上のピクセルまたは1つ以上のピクセルの一部を表す、複数のピクセルウェルを1度に処理することができる。所与の捕捉画像が完全に処理された場合、または付加的なピクセルウェルが所与の堆積のために依然として分析を必要とする場合には、本方法は、数字711および713によって表されるように、異なる捕捉画像を考慮するようにループする。全てのピクセルウェルが評価され、所望の品質閾値に合格した、すなわち、欠陥が検出されない場合には、参照数字715によって示されるように、分析が完了する。
【0040】
図7Bは、監視下にある堆積層のみに対応する画像データを単離するために使用される、例示的なフィルタリング動作についての付加的な詳細を提供するために使用される。このフィルタリング動作は、概して、一連のステップ721によって識別される。数字723によって示されるように、捕捉画像に対応する画像データが受信され、RAM等の高速アクセスメモリに記憶される。画像は、オンザフライで受信することができるか、または記述されるように機械可読媒体から取り出すことができる。
図8Aは、単一の表示で約2.5個のピクセルウェルを示す、1つの仮想画像の実施例を提供することに留意されたい。一実施形態では、処理が1度にこれらのピクセルウェルのうちの1つに集中する一方で、別の実施形態では、複数のピクセルウェル(ウェル807および809等)を同時に考慮することができる。次いで、監視下にある堆積層の予測領域境界を単離するように、境界検出関数(725)を適用することができる。随意に、勾配関数を使用して、すなわち、層周囲に対応する境界または輪郭(727)の識別を可能にする、そのような検出関数も適用することができる。そのような輪郭は、例えば、充填の精度を判定するように、予測データ(729)と比較することができる。例えば、
図8A-8Fを見据えると、ある種類の堆積誤差または相違を確認するように、参照ピクセルウェルのデータ(
図8C)を堆積層のフィルタにかけられた画像データ(
図8D)と比較することによって、不完全な充填の領域(832)の存在を検出することができる。層領域境界がこの時点で参照データと比較されるかどうかにかかわらず、画像分析(例えば、勾配分析)を通したピクセルバンクの識別は、マスク(731)を作成するために使用し、かつピクセルウェルのコンテンツに対応する画像データを単離するために使用することができる。そのようなマスクは、
図8Dの数字825によって表され、次いで、マスクは、元の捕捉画像をフィルタにかけて、分析中の1つ以上のピクセルウェルのコンテンツを単離する(733)、フィルタにかけられたデータを生成するように適用される。次いで、フィルタリング動作は、所与の画像内の所与のウェルについて終了する(735)。
【0041】
図7Cは、数字727および729を参照して上記で紹介される随意的な境界処理、および堆積層を表す画像データ内の非連続性を識別する勾配関数の適用を含む、フィルタにかけられたデータの処理について議論するために使用される。この処理は、概して、
図7Cの参照数字741によって識別される、一連のステップによって表される。本明細書で議論される他のフローチャートと同様に、
図7Cで表される方法は、再度、コンピュータ可読媒体上に記憶された命令の後援の下で動作する、1つ以上のプロセッサによって行うことができる。
図7Aの処理に関連して、各所与のウェル内の堆積膜層の品質を査定するために、フィルタにかけられた画像データがウェルにつき利用可能であることが仮定される。
【0042】
フィルタにかけられたデータについて、画像特性は、随意に、プロセス743によって単離され、対象層の品質を査定するために使用される。この画像特性は、限定ではないが、色強度、色相、輝度、または他の特性を含むことができる。以下でさらに議論される一実施形態では、例えば、グレースケール強度を取得するように、複数の色成分の強度を組み合わせる、周知の公式に従って、色データが輝度値に変換される。処理を所与の色値のみ、色差値、またはある他の尺度に集中すること等の他の可能性も可能である。次いで、所望の特性を表す、強調されたデータ(またはフィルタにかけられたデータ)は、充填不足を検出する随意的なプロセスにおいて、数字745および747によって、特定のプリントウェル内の層の予測パターン(例えば、予測輪郭)に対応する、記憶されたファイルデータと比較される。例えば、
図8A-8Fを参照して記述されるように、選択された特性は、堆積層の予測輪郭を示す、記憶されたファイルからの輪郭データと比較することができる。画像処理ソフトウェアは、この比較の一部として、誤差があるかどうか、誤差が品質または充填欠陥のレベルまで生じるかどうか(749)、および任意の識別された欠陥を考慮して特別な改善策が講じられるべきであるかどうか(751)を判定するように、輪郭分析を行うことができる。任意の種類の誤差尺度または比較プロセスを使用できることに留意されたい。例えば、堆積層の輪郭に誤差があるが、誤差が、所与の基準または一式の基準、あるいは領域閾値を下回る場合、ピクセルウェル輪郭は、依然として容認可能であると見なすことができる。別の実施例を引用すると、いくつかの用途は、予測ウェル境界を超える堆積層輪郭に依存しない場合があり、すなわち、誤差を不足の領域のみと選択的に関連付けることができる。多くの他の可能な基準を使用することができる。堆積層の輪郭(例えば、境界)が容認可能であることが分かった場合には、堆積層内の勾配について(すなわち、ピクセル性能問題を表し得る非連続性について)堆積層を分析することができる。
【0043】
この分析の一部として、勾配関数が、数字753によって、堆積層内の非一様性を識別するように、画像データ(すなわち、フィルタにかけられた、または強調されたデータ)に適用される。一実施形態では、空間的変動の欠如が各PELのゼロ値をもたらす一方で、勾配(または非連続性)が非ゼロ属性(例えば、8ビット絶対値、例えば、0~255も有する、隣接PELの8ビット強度値間の強度差)をもたらすように、勾配フィルタは、本質的に高域通過フィルタとして動作する。これは、全ての実施形態に当てはまる必要はなく、例えば、非連続性を示すように、ゼロまたは負の値の出力を提供する、処理を使用することが可能であり、明確には、多くの変形例が存在する。勾配分析の結果は、選択された画像特性の次元で勾配または他の非連続性が存在するかどうかを各値が示す、一式の値を備える、処理されたデータである。これは、
図7Cの数字755によって表される。層間剥離等の問題が存在するかどうか、または別の実質的な問題が存在するかどうかを判定するために、再度、ほぼあらゆる誤差尺度を使用できることに留意されたい(757)。そのような問題が存在する場合、結果を生成することができ(759)、再度、他の処理に影響を及ぼすか、または別様に別の形態の改善策につながる。いったん所与のピクセルウェルの全ての画像データが処理されると、本方法は、次のピクセルウェルに進む(755)。
【0044】
図7Dは、一実施形態では勾配分析および関連品質分析と関連付けられる、付加的な特定の処理を識別する、フローチャートである。
図7Dの方法は、概して、参照数字761によって指定される。数字763によって示されるように、フィルタにかけられた画像データは、随意に、選択された特性(例えば、上記で参照されるような強度)を強調するように、記述されるように単純化され、再度、任意の所望の画像属性を使用することができ、単純に、未加工またはフィルタにかけられた画像データ自体に影響することも可能である。処理のために選択されるデータ(G)は、一連の重複タイルとして抽出され、プロセス765および関数767によって、勾配演算子(行列指示子Fによって表される)を用いて畳み込み積分され、この動作は、処理されたデータをもたらす。一実施形態では、超高周波数変動を追跡するために、非常に単純な演算子が使用され、本質的に、隣接PEL間の高域通過フィルタとして動作する。この点に関して、演算子は、フィルタにかけられたデータ(または強度等のそのデータの強調された特性)においてその直接隣接部を用いて各PELを畳み込み積分し、差異に依存する値を生成する、行列であり得る。一実施形態では、結果として生じた値は、連続画像データについてはゼロであり、1つ以上の直接隣接PELとの差異(非連続性)がある場合はゼロではない値である。この動作の結果は、典型的には、一式の処理されたデータ769(例えば、各勾配値が、非連続性または勾配の存在を強調するとともに、そのような非連続性の規模を定量化する、フィルタにかけられたデータによって表される各PELの結果値または勾配値)である。次いで、これらの種々の勾配値は、検討中のピクセルウェル内の層と関連付けられる、起こり得る品質問題を検出するように処理される(771)。この査定を行うために、種々の尺度を使用することができる。例えば、
図7Dの右側で見られ、数字773によって表されるように、一実施形態では、勾配値の絶対値をともに合計することができ、次いで、合計値が閾値と比較される。例えば、検討中のウェル全体の無符号勾配値の合計を、経験的に判定された基準値(例えば、「250000」)と比較することができる。総勾配規模がこの基準値より小さい場合には、ピクセルウェルは、健全である(例えば、合格する)と判定することができ、そうではない場合には、ピクセルウェルは、問題があると判定することができる。
【0045】
明確には、多くの他の基準も適用することができる。
図7Dのボックス775によって表される第2のオプションでは、勾配値を1つ以上の統計的尺度と比較することができる。例えば、示されるように、勾配値の分散または標準偏差を閾値と比較することができる(例えば、分散または標準偏差が閾値に対して小さい場合は、ピクセルウェルが特定の層堆積について「合格した」)。明確には、任意の形態の統計的検定(779)を含む、
図7Dで「他の基準」(777)と標識されるボックスによって表されるように、多くの実施例が可能である。尺度の組み合わせも使用することができ、1つの具体的に考慮された実施形態では、所与のピクセルウェルに対する勾配規模の合計および統計的尺度(例えば、分散または標準偏差)の両方が計算され、閾値と比較され、合計および分散が両方ともそれぞれの閾値に対して小さい場合に、堆積層が「合格した」ことに留意されたい。
【0046】
数字781によって、層が特定の層堆積と関連付けられる全てのピクセルウェルについて合格すると判定される場合には、次いで、例えば、別のピクセルウェル層、パネルカプセル化層、またはある他のプロセスの追加とともに、OLEDデバイス基板の処理が継続することができる。代替として、問題が検出された場合、処理を中断することができ、または識別された問題を修正し、問題になっているOLEDデバイス基板を復旧させようとして、改善策を講じることができる。
【0047】
図8A-8Fは、上記で議論される種々のプロセスをさらに例示するために使用される。
【0048】
図8Aは、捕捉画像801の1つの仮想実施例を表す。この画像は、第1のピクセルウェル805、第2のピクセルウェル807、および第3のピクセルウェル809の一部を含む、基板803上に形成される3つのピクセルウェルを包含することが分かる。これらの種々のピクセルウェルは、OLEDデバイスの単一のピクセルのための回路の一部を形成することができるが、これは必要とはされない。数字811によって表されるように、各ピクセルウェルは、ピクセルウェルのうちの対応する1つの内側の発光層による光生成を制御するために使用される、関連トレースおよび電子機器を有することができる。3つのピクスェルウェルのうち、中央ウェル807は、数字835によって表されるように、堆積層の領域内に(堆積層がこの領域中でバンクに到達しないため)仮想誤充填832および欠陥を有することが図示されている。
【0049】
図8Bは、対照的に、1度に1つのピクセルウェルのみ、すなわち、
図8Aからの中央ウェル807に集中するように、画像データをトリミングする随意的なステップを表す。一実施形態では、複数のピクセルウェルを同時に分析することができ(例えば、これらのウェルが印刷プロセスを介して同一の層材料を受容した場合)、別の実施形態では、1つだけのウェルが1度に処理されることに留意されたい。
図8Bでは、画像データ815が、ウェル領域807と、ウェル内で堆積流体を閉じ込める働きをするバンク構造816と、例えば、バンク構造の境界の外側の支持構造および電子機器811を表す、余分な画像データ813とを包含することが分かる。
【0050】
以前に参照されたように、一実施形態では、
図8Aまたは
図8Bによって表されるような捕捉画像データは、余分な画像データを排除するようにフィルタにかけられる。一実施形態では、このフィルタリングは、バンク構造816を検出する、第2の勾配関数または他の処理等の境界分析を使用して行われる。別の実施形態では、堆積層の境界を識別し、(
図8Cの参照数字822によって指定される)参照データと比較し、充填欠陥があるかどうかを判定するために使用することができる。具体的な方法にかかわらず、これらの動作は、この目的で使用されるであろうマスクを生成するために使用することができ、マスクは、数字825によって
図8Dで図示される。斜線領域827に合致させられる(例えば、
図8Bからの)画像データは、マスクされて使用されず、空白領域829に合致させられる画像データは、フィルタにかけられず、後続の勾配分析で使用されるであろう。
【0051】
フィルタリング動作の結果は、参照数字831によって
図8Eで描写されている。一般的に言えば、本実施形態では、フィルタにかけられたデータは、ピクセルウェル境界に対応する画像データ(長円形807)と、(例えば、数字833による)他の領域中のヌルデータと、数字832および835によって表される潜在的な欠陥に対応する可変画像データとを含む。この時点で、数字832によって指定されるような充填問題を識別するように、随意的な分析を行うことができる。例えば、本方法が、(例えば、完成した硬化層とは対照的に)湿潤インクの堆積に続いて適用される場合、領域832は、一実施形態で適用される色フィルタを使用して識別することができる、実質的に異なる色特性を有するであろうことが期待される。欠陥の性質に応じて、問題を改善しようとして改善策を適用
することができる。堆積層内の起こり得る欠陥を表す数字835は、堆積層の一般的な色特性を保有し得るため、適用される処理の性質に応じて、この段階で識別されないままであり得ることに留意されたい。
【0052】
図8Fは、処理されたデータ841、概して、勾配フィルタ(図示せず)の適用の結果を表す。この図では、(例えば、
図8B-8Eの)各PELに対応する値は、勾配輪郭またはネスト化した一式の輪郭として表される、非連続性842または845に対応する、これらの値を除いて、ヌル値を有するものとして示されている。鎖線843は、単純にピクセルウェル輪郭を識別するように、この図に重ね合わせられる。層の非連続性835は、勾配フィルタの適用に先立って、検出されないままであった場合があるが、勾配フィルタ適用の結果が、問題、例えば、1つ以上のOLEDスタック層の層間剥離を表し得る、強度差を強調表示することに留意されたい。
【0053】
図9-10は、2つの仮想ピクセルウェルの処理されたデータによって表される、勾配の絶対値のそれぞれのヒストグラム901および1001を示す。ピクセルウェルに対応する描写が、各図の右側で見られ、それぞれ、903および1003と番号付けされている。それぞれの図では、数字904および1004は、ピクセル閉じ込めバンクの位置を示す。903および1003が、描写したピクセルウェルと関連付けられる捕捉画像データ内の非連続性を表すように、各描写903および1003は、関連ピクセルウェルの画像を表すPELSに対応する、勾配値を表す。
図9が、品質問題がない堆積層905のデータを表す一方で、
図10は、品質問題、例えば、ピクセルウェルの中心に出現する「レーストラック効果」1006によって表されるようなピクセルの中心の層間剥離または他の欠陥を実際に有する、堆積層1005のデータを表す。再度、描写した勾配が、本実施例ではグレースケール強度値から得られる一方で、実際は、捕捉画像を表すか、または捕捉画像から導出される、多くの他の種類のデータに勾配を適用できることに留意されたい。
【0054】
図9のヒストグラム901を参照すると、図によって示されるように、ヒストグラムの「y軸」が、所与の勾配規模の発生数を表す一方で、「x軸」は、勾配規模を表す。図の右上の隅で見られるように、本実施例では、勾配の絶対値の合計は「164,391」であり、ピクセルウェル描写903は、識別可能な品質問題がない層堆積に対応することが分かる。ヒストグラムによって示されるように、大きな勾配の有意数の発生がなく、ヒストグラムが約「21」の3σ勾配値を有することに留意されたい。ピクセルウェル内の品質層の適切な値は、層の種類(および結果として生じた画像の外観)、カメラの種類、倍率、照明、基板からの距離、問題になっている層が湿潤または乾燥/硬化させられているかどうか、ピクセルウェルサイズ、および多くの他の要因に応じて変動し得る。層品質を査定する1つ以上の閾値は、典型的には、経験的に判定される。本実施例では、合計は、特定の製造プロセス、OLEDデバイス、および(カメラを伴う)機械と関連して判定される閾値(例えば、「250,000」)と比較されるであろう。一実施形態では、特定機器を使用して、例えば、良好および不良なピクセル充填を伴う(すなわち、層欠陥を伴う)調製された基板を使用して、またはこれらの閾値を査定するように(すなわち、参照ウェルの中へ)意図的に注入されたピクセル欠陥を伴って、標準を動的に印刷することによって、そのような標準が事前に調製および分析される。また、以前に参照されたように、一実施形態では、複数の品質試験が適用されることも留意されたい。つまり、
図9の右上の隅で示される勾配合計は、理論的に、比較的少数の非常に大きい勾配または多数の小さい勾配(後者は実際に
図9のヒストグラム901によって表される)の優勢に起因し得る。したがって、一実施形態では、統計的尺度、この場合は3σ分析もまた、これらの事例を区別するように適用され、示されるように、
図9の場合の3σレベルは、分析中のピクセルウェル内の層材料の約99%が、比較的小さい値である「21」以下の勾配値を生成したことを示す、約「21」になる。標準偏差(σ)が、ヒストグラムによって表される勾配値およびPELの数の二乗に依存するため、勾配合計(164,391)が大規模勾配のより大きい発生率によって生成された場合に、この値は、より大きくなることが期待されたであろう。したがって、この場合、ヒストグラムによって表される3σレベルは、別の閾値(例えば、「40」)と比較され、このピクセルウェルのピクセルデータが両方の試験を満たすため、ピクセルウェル内で分析される層は、閾値品質に合格することが判定される。再度、これらの種々のタスクは、典型的には、これらの種々のタスク(任意の所望の是正措置を含む)を行うように1つ以上のプロセッサを制御する、ソフトウェア(コンピュータ可読媒体上の命令)によって行われることに留意されたい。また、以前に参照されたように、限定ではないが、標準偏差、3σレベル、分散、合計、二乗の合計、絶対値、またはその他に基づくかどうかにかかわらず、任意の種類の統計的検定を含む、多くの他の種類の基準および試験を適用することができる。一実施形態では、例えば、堆積層の勾配値を(1つ以上の閾値によって区別される)値のいくつかの範囲のうちの1つと合致させることによって、その層の品質を分類する、複数の試験を適用することができる。
【0055】
図10は、品質問題を有すると判定される層のデータを図示する。第1に、(例えば、膜を完成させる印刷後処理ステップに続く、硬化または完成した膜の)起こり得る層間剥離を表す、勾配値において可視的な「レーストラック効果1006」に留意されたい。レーストラック効果を考慮すると、描写したヒストグラム1003が、描写1003内で示される「レーストラック」形状に対応する、大きい勾配値のはるかに頻繁な発生(例えば、30~70の勾配規模を表す)を示すことは、驚くべきことではないはずである。つまり、
図10の右側で着目されるように、この場合の(絶対)勾配値の合計(339,409)は、「250,000」の仮想閾値より有意に大きい。
図9について上記で参照される試験を適用すると、これらの値の比較は、問題になっている層が品質問題を有する場合があり、再度、随意に改善策を適用できることを示すであろう。また、線1007によって表される、この場合の3σレベルは、
図9に関連して上記で使用される「40」の仮想閾値を超えて、ちょうど「50」以上であることにも留意されたい。
【0056】
図11は、画像データを処理するための方法の別の実施形態(1100)を示す。実装に応じて、付加的な、より少ない、または異なる動作を行うことができる。例えば、
図11の方法1100は、1つ以上の画像を処理する能力を超える付加的な機能性を提供することができる。
図11の方法1100の動作の提示の順序は、限定的であることを目的としていない。したがって、動作フローのうちのいくつかが連続的に提示されているが、種々の反復で、同時に、および図示されているもの以外の順序で、種々の動作を行うことができる。
図11の方法1100の種々の実装は、1つ以上のプロセッサによって実行されたときに、プロセッサに、ピクセルウェルを表す画像データを分析するための
図11で描写される種々の機能を果たさせる、コンピュータ可読命令を有する、画像処理またはプリンタ制御アプリケーションの形態であり得る。
【0057】
動作1102によって、捕捉画像データが、例えば、メモリから、カメラから、または別の宛先から受信される。第1の実施例では、単一の画像を1度に受信することができ、別の実装では、例えば、フラットパネルディスプレイを備える、何百万個ものピクセルウェル内のOLEDスタック膜の超高速分析を提供するために使用される、超並列画像処理と関連して、複数の画像を受信することができる。したがって、動作1102で受信される捕捉画像データは、OLEDスタック膜を含有する、少なくとも1つのピクセルウェルを包含する。捕捉画像データが複数の完全なピクセルウェルを包含する場合には、連続的に、または並行してのいずれかで、それぞれを共通画像から分析することができる。それぞれのピクセルウェルが、分析される異なる層材料、例えば、異なる色の光に対する発光層を有する場合には、これらのウェルの画像データの分析は、分析中の層に好適である、それぞれのプロセス、スレッド、閾値、または他の詳細を使用することができる。一実施
形態では、画像のストリームを表す画像データをリアルタイムで処理することができ、画像処理ソフトウェアが、ウェル位置を追跡し、どのウェルが捕捉画像の間ですでに処理されているか、およびどのウェルが処理されていないか(およびこれらのウェルのそれぞれの場所)を(ソフトウェアにおいて)識別する。画像データは、OLEDデバイス基板の印刷プロセスの一部として、後続の品質保証プロセスの一部として、捕捉することができる。データはまた、データ収集装置または画像処理デバイスのディスプレイ上で同時に表示するか、または人間の目視検査のために別様に印刷することもできる。
【0058】
別のオプションとして、画像データは、コンピュータデバイスのデータベースに記憶し、方法1100の自動画像処理アプリケーションの制御下でデータベースから読み取り、それによって、処理のために画像処理アプリケーションによって受信することができる。ユーザは、随意に、例えば、方法1100の画像処理アプリケーションの制御下で提示されるユーザインターフェースを使用して、読み取るために画像データを選択することができる。当業者によって理解されるように、フラットパネルディスプレイ基板の複数部分の捕捉された画像データは、種々の形式で記憶することができる。例証的実施形態では、画像ファイルは、未処理RGB色ピクセルデータとして記憶することができる。
【0059】
動作1104では、余分なデータを包含する(すなわち、ピクセルウェルの外側の)捕捉画像から、分析中のOLEDスタックを表す、フィルタにかけられた画像データを単離することができる。この目的(すなわち、捕捉画像からOLED膜またはスタックに対応するデータを抽出する)で、多数の異なるアルゴリズムを使用することができる。以前に示唆されたように、一実施形態では、分析中の層の周囲を識別し、その際、堆積層に対応するデータのみを抽出するために、勾配フィルタ(すなわち、第2の勾配演算子)を使用することができる。また、単純に、ピクセルウェルの地理に対応するテンプレートを使用すること、および分析中の画像をマスクするためにそのテンプレートを使用することも可能である。さらに別の実施形態では、動作1104は、画像捕捉ステップと組み合わさられる(すなわち、これにより、画像データが問題になっている層のみについて捕捉されるか、または余分なデータの量を削減するよう、カメラにおいて、または画像処理システムによる受信に先立って、別様にフィルタにかけられる)。
【0060】
動作1106では、例えば、OLEDスタックの発光材料層(「EML」)を表す、フィルタにかけられたデータは、特定の画像特性を強調する形式に変換することができる。この場合、堆積層を表すカラー画像データは、周知の式I(グレースケール)=赤色*0.3+緑色*0.59+青色*0.11に従って、グレースケール強度データに変換される。以下で参照される種々の式では、グレースケール強度値は、概して、xおよびyが捕捉画像内のPEL位置を指す、Gx,yとして表されるであろう。この種類の強調は、純粋に随意的であり、すなわち、カラー画像データに直接的に勾配分析を行うことが可能であり、また、単色画像データを捕捉することも可能であり、明確には、他の代替案も存在することに留意されたい。
【0061】
動作1108に関して、次いで、(強調される、または別様の)ピクセルウェルを表す、フィルタにかけられたデータは、堆積層内の勾配を表す、処理されたデータを生成するように、勾配フィルタを用いて畳み込み分析される。一実施形態では、勾配フィルタは、相対的な単純行列として表され、畳み込みは、フィルタにかけられた画像データのPEL内の窓を使用して適用される。これは、数学的に以下のように表される。
【数1】
【0062】
描写した畳み込み演算は、監視下にある層を表す、捕捉画像データの水平に隣接するPEL間の垂直線差を強調する、勾配値を生じる。完全に一様な層は、全て0のフィルタにかけられた画像行列を有するであろう。この点に関して、処理されたデータによって表される全ての勾配値の絶対値の合計は、監視下にある層、したがって、OLEDスタックの一様性を評価するための基準を提示することができる。
【0063】
勾配フィルタマスクの選択に関して、使用することができる、多くの異なる種類のマスクがある。勾配フィルタは、適用されるマスクに基づいて区別可能である。上記で示される例示的なマスクは、水平軸に沿った双対対称性を提示する。他の種類の勾配フィルタも使用することができる。例えば、ソーベルマスクでは、水平軸が、上部および底部を同一の[1,0,-1]に分割する一方で、垂直軸は、マスクを[1,2,1]および[-1,-2,-1]に分割する。使用することができる、いくつかの例示的な勾配フィルタマスクが、以下の表に示されている。
【表1】
これらの勾配フィルタは、撮像された層内の垂直および水平な非連続性の両方を強調することに留意されたい。
【0064】
動作1110では、本方法は続けて、監視下にある堆積膜の品質を分析する。再度、本方法は、例えば、ソフトウェアの制御下で、完全に自動化することができる。輝度差の絶対値を合計することにより、所与のピクセルウェル内の層の一様性、したがって、所与のピクセルウェル内の堆積OLEDスタックの品質の評価のためのスコアを作成することができる。本実施例では、非常に低い勾配合計が、一様な層間剥離がないピクセルに相関する。
【0065】
しかしながら、以前に示唆されたように、勾配合計スコアのみが、膜品質の問題の手掛かりになるわけではない場合がある。例えば、別様に一様である一方で、膜中心に大きな非連続性を有する、膜層は、膜の全体を通して分布する一様に小さい勾配を有する膜に等
しい勾配合計を有することができる。
【0066】
したがって、一実施形態では、行列要素の分散、標準偏差、ヒストグラム、または他の尺度等の統計的尺度が計算され、欠陥のある膜を示すことができる、有意な強度変化を含有する画像を有する膜層と、満足できる膜を示すことができる、極めて一様なわずかな強度変化を含有する膜を効果的に区別するために使用される。
【0067】
勾配または処理されたデータ(例えば、処理された勾配値の合計)、およびピクセルウェルの全体を通した勾配値の分布を表すデータの両方を評価することによって、OLEDスタック膜の品質を判定することができる。種々の実施形態では、フィルタにかけられた強度データから生成されるデータを、閾値と比較することができる。異なる照明、カメラの異なる位置付け、およびピクセルを形成するために使用される異なる基板構造およびインク等のOLEDスタック膜画像の品質に影響を及ぼし得る要因は、再度、良好な勾配合計および良好なヒストグラム特性を構成するものに影響を及ぼし得る。したがって、特定された一式の条件下で良好な勾配合計および統計的特性を定義するために、標準を使用した較正を使用することができ、定義された一様性の膜層の画像を使用することによって、閾値勾配合計および閾値統計参照を判定することができる。単純な統計的品質制御を使用して、許容ピクセル画像の平均および標準偏差を判定することができる。所望される品質のレベルに応じて、不合格閾値(または一式の閾値)を、良好なピクセル値について識別される平均を超える、対応する数の標準偏差に設定することができる。
【0068】
動作1112では、ある様式で、識別されたピクセルセル場所でのピクセルウェル内の層に欠陥があるかどうかに関して、判定を行うことができる。例えば、合計および分散が、満足できる層について定義される閾値を満たさない場合に、判定を行うことができる。ある様式で層に欠陥があるという判定であり得る場合、処理は動作1114で継続する。識別されたピクセルウェル場所での層に欠陥がないという判定であり得る場合、処理は動作1116で継続する。
【0069】
動作1114では、ピクセルウェル内の層は、少なくとも潜在的に欠陥があると識別することができる。例えば、特定のピクセルセルおよび/またはウェルは、判定を確認するように、検査官による目視検査のためにフラグを付けることができる。スピーカ、プリンタ、ディスプレイを使用して、またはテキスト、Eメール、あるいはボイスメールを介してメッセージを作成および送信することによって、または後続の再検討のために判定に関係付けられる情報をデータベースに保存することによって、検査官またはオペレータへの通知を検査官に提供することができる。以前に議論されたように、他の形態の改善策も可能である。一実施形態では、品質問題が存在するという結果が、後続の処理に影響を及ぼし、例えば、さらなる画像考慮および/または後続のOLEDデバイス加工プロセスを中断する。別の実施形態では、処理は、動作1116を介して継続し、検査官またはオペレータは、任意の潜在的な欠陥の存在について通知され、そのような潜在的な欠陥は、後の時点で対処される。
【0070】
動作1116では、さらに処理する画像データがあるかどうかに関する、判定を行うことができる。さらに処理する画像データがあるという判定であり得る場合、処理は動作1100で継続する。処理する画像データがこれ以上ないという判定であり得る場合、方法1100は停止することができる。処理が継続するべきか、またはOLEDデバイスが拒否されるべきかどうか、あるいは他の是正装置が講じられるべきであるかどうかを判定するように、OLEDデバイスの全体について識別される、欠陥のあるピクセルの数に対して、統計を計算することができる。
【0071】
システムおよび方法の代替的な実施形態が、
図12に示されるフロー図で描写されてい
る。方法1200では、捕捉画像データを、例えば、グレースケール強度を表す、強調されたデータに変換し、勾配関数を適用するステップの後に、ピクセルウェル内の層情報のみに集中するように、膜層の画像データを単離する(フィルタにかける)ステップを行うことができる。以前のように、ステップ1202によって、捕捉画像データが最初に受信される。次いで、このデータは、この選択された画像特性を強調するように、数字1204によって、グレースケール強度データに変換される。ステップ1206によって、次いで、堆積層、OLED閉じ込めバンク、および捕捉画像データに出現する他の特徴の境界および縁を強調するように、勾配フィルタが適用される。ステップ1208および1210に関して、いったん処理された(勾配)データが生成されると、ピクセルウェルの内部の輪郭を単離することに役立つよう、随意に、反転データを作成することができる。実施例として、各ピクセルウェルが、余分なPELに対応する(すなわち、分析される膜層以外の構造を表す)勾配値をマスクするマスクとしての機能を果たすために、標的画像またはマスクを作成することができる。実施例として、勾配分析に続いて、ピクセルウェル閉じ込めバンクを白(勾配、非ゼロ値)で表すことができる一方で、ピクセルウェルを含む他の構造は、黒で表される。次いで、ピクセルウェルの外側の値が黒(ゼロ値)として表され、ピクセルウェルの内部が白(2進値「1」)として表される、マスクを形成することを支援するように、このデータが反転および処理される。次いで、このマスクは、ステップ1212によって、目的とする層の勾配値を単離するよう、勾配値に再び適用することができる。
【0072】
より具体的には、ピクセルウェルに対応する領域中に白色値(「1」)、および標的画像の他の領域に対応する黒色値(「0」)を有する、ピクセルウェル領域を画定するように、標的白色画像を作成することができる。次いで、Iが反転勾配行列であり、Tが標的行列(マスク)である、方程式
【数2】
に従って、処理されたデータの反転バージョン(勾配値)を2進値に変換し、標的画像と組み合わせることができる。この方程式は、本質的に、反転勾配行列(すなわち、処理されたデータ)の上にマスクを位置付け、マスクおよびピクセルウェル場所が正確に整合させられる、2つの間の相対的位置付けの最大結果を生じる。つまり、上記の演算がブール「and」演算を適用したため、かつマスクが白(「1」)または黒(「0」)のいずれかである入力を有するため、「and」演算は、2つが精密に整合させられる最大値を生じるであろう。マスクの適正な位置が確認され、次いで、ピクセルウェルの領域のみに対応する勾配値を単離するために、処理された(勾配)データとともにマスクするように使用される。
【0073】
残りのステップ1216-1224では、いったん問題になっている膜層の勾配値が単離されると、次いで、(欠陥の存在に対して)層の品質を確認するように、および以前に議論されたような通知および/または是正装置を提供するように、データが以前に説明されたように処理される。
【0074】
前述の種々の実施形態が存在することに留意されたい。例えば、画像データがフィルタにかけられているか、または変換されているかどうかにかかわらず、プロセスの任意の段階で、勾配関数をその画像データに適用することができる。また、水平勾配動作の比較的単純な実施例が、上記の方程式に関連して記述されたが、例えば、行列数学に依拠しない、垂直勾配を計算する、または最近傍以外のPELにわたって勾配を計算する、より複雑な勾配関数を適用することができる。
【0075】
さらに別の実施形態では、画像分析は、必ずしもピクセルウェルを備えない、堆積領域
に集中する。例えば、広い領域を覆って膜の層を堆積させるシステムでは、区画基準で膜の品質を査定するように、領域を構成する1つ以上の離散標的領域に撮像を使用することができる。そのような実装は、概して、上記で説明されるように機能し、例えば、画像が、分析中の各標的領域または区画について捕捉され、勾配関数が、処理されたデータを生じるように、この画像データに(またはフィルタにかけられた、強調された、または別様である、その派生物に)適用される。次いで、このデータは、所与の標的領域内の起こり得る欠陥の存在を確認するように分析することができる。他の変形例も存在する。
【0076】
コンピュータ可読媒体で(例えば、ソフトウェアまたはファームウェアとして)、または別様に機械、例えば、ネットワーク機械、プリンタ、OLEDデバイス用の製造システムで、あるいは別の形態で具現化することができる、方法が上記で説明された。
【0077】
本発明の原理が、具体的実施形態に関連して説明されてきたが、これらの説明は、一例のみとして行われ、本発明の範囲を限定することを目的としていないことを明確に理解されたい。本明細書で開示されているものは、例証および説明の目的で提供されている。包括的であること、または開示されるものを説明される精密な形態に限定することは意図されていない。多くの修正および変形例が、当業者に明白となるであろう。開示されるものは、説明される当技術分野の開示された実施形態の原理および実用的応用を最も良好に説明するために、選択および説明され、それによって、当業者が、考慮される特定の用途に適している種々の実施形態および種々の修正を理解することを可能にした。開示されるものの範囲は、以下の請求項およびそれらの均等物によって定義されることが意図される。