(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-27
(45)【発行日】2024-10-07
(54)【発明の名称】卓上半田付け装置及びこれを用いた半田付け方法
(51)【国際特許分類】
B23K 1/08 20060101AFI20240930BHJP
H05K 3/34 20060101ALI20240930BHJP
【FI】
B23K1/08 320Z
H05K3/34 506K
B23K1/08 320A
(21)【出願番号】P 2023076896
(22)【出願日】2023-05-08
【審査請求日】2023-07-18
(73)【特許権者】
【識別番号】596162131
【氏名又は名称】有限会社森永技研
(74)【代理人】
【識別番号】100101627
【氏名又は名称】小林 宜延
(72)【発明者】
【氏名】永野 光春
【審査官】岩見 勤
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-22627(JP,A)
【文献】特開2011-35044(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 1/08
H05K 3/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半田槽の上方に突き出す吐出口から噴流する溶融半田に、保持枠を介してマスク治具にセットした基板のスルーホールが浸かる下端位置と、噴流する該溶融半田から該スルーホールが上方へ離れた上端位置との間で、該保持枠を昇降させる昇降機構を備えた卓上半田付け装置において、
有底筒状ケースの底部域から起立するピンを前記スルーホールに通し、該ピンの突端部が前記基板から突き出すようにして、該ケース内に該基板が載置されたケース付き基板と、
該ケース付き基板を逆さ置きにセットする係止用ストッパを互いに離間させて複数設け、且つ各基板の前記スルーホールとの対向域に透孔を設けて、保持枠に支えられるマスク治具と、
前記下端位置で前記吐出口内に前記ピンを挿入させて噴流する筒状ノズル部に係る先端部分が、該吐出口に向けて先細り筒部分に形成され、且つ該先細り筒部分の傾斜側壁に逃し孔が形成されて、該筒状ノズル部が前記マスク治具にセットされた前記各ケース付き基板と対向する主部上面に複数立設した噴流ノズルと、を具備することを特徴とする卓上半田付け装置。
【請求項2】
前記ピンが前記ケースの側壁内面近くに起立し、且つ前記基板が実装済みの基板であって、前記マスク治具へ逆さ置きにセットした前記ケース付き基板の実装済み部品が該基板の下方側に配され、さらに前記筒状ノズル部が四角筒状体にして、その一側壁が前記主部上面に対し垂直起立して、前記下端位置で、該一側壁が前記ピンと前記側壁内面との間に入り込むようにし、且つ該一側壁との対向壁を前記傾斜側壁とする請求項1記載の卓上半田付け装置。
【請求項3】
前記逃し孔の孔口面積が該吐出口の出口面積の1/2よりも小さく形成されると共に、前記下端位置で、該逃し孔が前記マスク治具にセットされたケース付き基板に係る該ケースの開口縁又は該開口縁近くの高さに設けられる請求項2記載の卓上半田付け装置。
【請求項4】
逆さ置きにされた前記ケース付き基板に係る該基板が、該ケースの底部から落下隙間をつくって前記ストッパで受け支えられ、且つ前記保持枠が前記下端位置に下降することにより前記筒状ノズル部の先端部分が前記基板を押し上げ、前記落下隙間をなくすようにした請求項1乃至3のいずれか1項に記載の卓上半田付け装置。
【請求項5】
半田槽の上方に突き出す吐出口から噴流する溶融半田に、保持枠を介してセットした基板のスルーホールが浸かる下端位置と、噴流する該溶融半田から該スルーホールが上方へ離れた上端位置との間で、該保持枠を昇降させる昇降機構と備え、且つ有底筒状ケースの底部から起立するピンを前記スルーホールに通して、該ケース内に該ピンの突端部が突き出す前記基板を載置したケース付き基板と、該ケース付き基板を逆さ置きに係止セットするストッパを互いに離間させて複数設け、且つ各基板の前記スルーホールとの対向域に透孔を設けて、保持枠に支えられるマスク治具と、前記下端位置で前記吐出口内に前記ピンを挿入させて噴流する筒状ノズル部の先端が吐出口に向けて先細り筒部分に形成され、且つ該先細り筒部分の傾斜壁に逃し孔が前記吐出口よりも小さく形成されて、該筒状ノズル部が前記各ケース付き基板と対向する主部上面に複数立設した噴流ノズルと、を具備する卓上半田付け装置を用いて、
該保持枠に支えられる該マスク治具に該ケース付き基板を逆さ置きにしてセットした後、前記昇降機構により該保持枠を前記下端位置にまで下降させ、次に、前記逃し孔から余剰の溶融半田を流して前記吐出口から溶融半田を噴流させ、前記スルーホールに通した前記ピンの半田付けを行い、その後、該昇降機構によって該保持枠を前記上端位置にまで上昇させる卓上半田付け装置を用いた半田付け方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は小型の卓上半田付け装置及びこれを用いた半田付け方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、
図12のようなソリッドステートリレー(SSR)の製品がある。ケース8側からピン84が突出し(
図6)、一方、当初は別体の実装済み基板に該ピン84のスルーホール70が形成されている(
図8)。ケース8の上面開口810からピン84をスルーホール70に貫通させ、後付けで該ピン84のスルーホール70域を半田付けして製品化される。
製造現場では、半導体スイッチング素子等の電子部品72を実装した基板7が、スルーホール70にピン84を貫通させてケース8内に載置された後(
図9)、該ピン84に半田付けを行って製品化していくが、その半田付けが難しかった。上面開口810の小さな箱形で有底筒状ケース8の底近くで且つケース8の側壁812の傍で、スルーホール70を貫通して基板71から突き出すピン84の根元に在る該スルーホール部位に半田付けするのは容易ではなかった。局所的な場所であるため、局所的に半田付けできる自動半田付け装置が検討されてきた(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1の噴流半田付け装置は、その請求項1のごとく「…前記吐出口には切欠きが形成され、該切欠きに半田を斜め下方へと導くフードを設けたことを特徴とする噴流半田付け装置。」であり、小さいケース8内の奥底に基板71が配されており、ケース周壁812がフードを設けることに邪魔をした。また、半田付け箇所の周りには実装済み電子部品72が存在しており、切欠きからの半田を斜め下方へとフードを導くのが困難であった。
作業員の半田付け作業に頼るにしても、小さな樹脂製ケース8でありしかも狭い有底筒状ケース8内で、且つ周りに実装済み電子部品72が存在することから、半田付け作業は難しかった。ケース8の上面開口810側から作業するので、ケース側壁812や、また溶融半田Mが垂れて基板71や電子部品72を傷つける事態も発生し、歩留まりを高く維持するのが難しかった。ロボットによる半田付けを行うことも検討したが、一個ずつ半田付けするので生産性向上に期待がもてない。
【0005】
本発明は、上記問題を解決するもので、生産性向上,歩留まり向上に貢献する卓上半田付け装置及びこれを用いた半田付け方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成すべく、本発明の第一態様は、半田槽の上方に突き出す吐出口から噴流する溶融半田に、保持枠を介してマスク治具にセットした基板のスルーホールが浸かる下端位置と、噴流する該溶融半田から該スルーホールが上方へ離れた上端位置との間で、該保持枠を昇降させる昇降機構を備えた卓上半田付け装置において、有底筒状ケースの底部域から起立するピンを前記スルーホールに通し、該ピンの突端部が前記基板から突き出すようにして、該ケース内に該基板が載置されたケース付き基板と、該ケース付き基板を逆さ置きにセットする係止用ストッパを互いに離間させて複数設け、且つ各基板の前記スルーホールとの対向域に透孔を設けて、保持枠に支えられるマスク治具と、前記下端位置で前記吐出口内に前記ピンを挿入させて噴流する筒状ノズル部に係る先端部分が該吐出口に向けて先細り筒部分に形成され、且つ該先細り筒部分の傾斜側壁に逃し孔が形成されて、該筒状ノズル部が前記マスク治具にセットされた前記各ケース付き基板と対向する主部上面に複数立設した噴流ノズルと、を具備することを特徴とする卓上半田付け装置にある。
ここで、「ケースの底部域から起立するピンを前記スルーホールに通して」のピンには、リードも含まれるのとみなす。
本発明の第二態様は、第一態様で、ピンが前記ケースの側壁内面近くに起立し、且つ前記基板が実装済みの基板であって、前記マスク治具へ逆さ置きにセットした前記ケース付き基板の実装済み部品が該基板の下方側に配され、さらに前記筒状ノズル部が四角筒状体にして、その一側壁が前記主部上面に対し垂直起立して、前記下端位置で、該一側壁が前記ピンと前記側壁内面との間に入り込むようにし、且つ該一側壁との対向壁を前記傾斜側壁とすることを特徴とする。本発明の第三態様は、第二態様で、前記逃し孔の孔口面積が該吐出口の出口面積の1/2よりも小さく形成されると共に、前記下端位置で、該逃し孔が前記マスク治具にセットされたケース付き基板に係る該ケースの開口縁又は該開口縁近くの高さに設けられることを特徴とする。本発明の第四態様は、第一態様~第三態様で、逆さ置きにされた前記ケース付き基板に係る該基板が、該ケースの底部から落下隙間をつくって前記ストッパで受け支えられ、且つ前記保持枠が前記下端位置に下降することにより前記筒状ノズル部の先端部分が前記基板を押し上げ、前記落下隙間をなくすようにしたことを特徴とする。
本発明の第五態様は、半田槽の上方に突き出す吐出口から噴流する溶融半田に、保持枠を介してセットした基板のスルーホールが浸かる下端位置と、噴流する該溶融半田から該スルーホールが上方へ離れた上端位置との間で、該保持枠を昇降させる昇降機構と備え、且つ有底筒状ケースの底部から起立するピンを前記スルーホールに通して、該ケース内に該ピンの突端部が突き出す前記基板を載置したケース付き基板と、該ケース付き基板を逆さ置きに係止セットするストッパを互いに離間させて複数設け、且つ各基板の前記スルーホールとの対向域に透孔を設けて、保持枠に支えられるマスク治具と、前記下端位置で前記吐出口内に前記ピンを挿入させて噴流する筒状ノズル部の先端が吐出口に向けて先細り筒部分に形成され、且つ該先細り筒部分の傾斜壁に逃し孔が前記吐出口よりも小さく形成されて、該筒状ノズル部が前記各ケース付き基板と対向する主部上面に複数立設した噴流ノズルと、を具備する卓上半田付け装置を用いて、該保持枠に支えられる該マスク治具に該ケース付き基板を逆さ置きにしてセットした後、前記昇降機構により該保持枠を前記下端位置にまで下降させ、次に、前記逃し孔から余剰の溶融半田を流して前記吐出口から溶融半田を噴流させ、前記スルーホールに通した前記ピンの半田付けを行い、その後、該昇降機構によって該保持枠を前記上端位置にまで上昇させる卓上半田付け装置を用いた半田付け方法にある。
【発明の効果】
【0007】
本発明の卓上半田付け装置及びこれを用いた半田付け方法は、半田付けの品質を良好に保って一度に複数の半田付けができ、生産性向上,歩留り向上に優れた効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の卓上半田付け装置の一形態で、その概略側面断面図である。
【
図3】
図2で、保持枠が下端位置にある概略断面図である。
【
図4】
図2の噴流ノズル周りの一部断面表示した左側面図である。
【
図9】
図1の側面図で、下端位置にして保持枠へ逆さ置きにセットされたケース付き基板周りの要部詳細断面図である。
【
図10】
図3で、保持枠にセットした最右方のケース付き基板周りの要部詳細断面図である。
【
図12】半田付けを終えた
図11のケース付き基板の断面図である。
【
図13】
図1のケース付き基板と筒状ノズル部周りの詳細拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明に係る卓上半田付け装置及びこれを用いた半田付け方法について詳述する。
図1~
図13は本発明の卓上半田付け装置(以下、単に「半田付け装置」ともいう。)の一形態で、
図1はその側面断面図、
図2は
図1のII-II線断面図、
図3は
図2で、保持枠が下端位置にある断面図、
図4は
図2の噴流ノズル周りの一部断面表示した左側面図、
図5はケースの平面図、
図6は
図5のVI-VI線矢視図、
図7は実装済み基板の平面図、
図8は
図7のVIII-VIII線矢視図、
図9は
図1の側面図で、下端位置にして保持枠にセットしたケース付き基板周りの断面図、
図10は
図3で、保持枠にセットした最右方のケース付き基板周りの断面図、
図11は
図10の状態下で半田付けを行う断面図、
図12は半田付けを終えた
図11のケース付き基板の断面図、
図13は
図1のケース付き基板と筒状ノズル部周りの拡大図を示す。尚、図面を判り易くするため、発明要部を強調図示し、本発明に直接関係しない構成部分や部材等は省略する。
図2のケース付き基板と、半田槽の縦筒部及び有底筒部は断面表示する。
【0010】
(1)卓上半田付け装置
卓上半田付け装置は、半田槽1と昇降機構4と噴流ノズル2とを具備する(
図1)。
溶融半田Mをポンプ31で循環させる半田槽1が設けられ、該半田槽1の上方に突出する噴流ノズル2の吐出口230から噴流する溶融半田Mに、保持枠45が支えるマスク治具5にセットした半田付け用基板71のスルーホール70が浸かる下端位置と、噴流する溶融半田Mから基板71が上方へ離れた上端位置との間で、保持枠45を昇降させる昇降機構4を備える卓上半田付け装置になっている。昇降機構4によって、マスク治具5にセットした基板71のスルーホール70が浸かる
図3,
図11の下端位置と、噴流する溶融半田Mの液面からスルーホール70が上方へ離れた
図2の上端位置と、の間で保持枠45を昇降させる。上端位置でマスク治具5の透孔50上に被半田付け部品たるケース付き基板6が配されるようにして、下端位置へ下降させ、半田付け対象箇所(スルーホール70とピン84との接近部位)を半田付けし、半田付けの終了後に元の上端位置へと上昇させる。
本発明の半田付け装置は、起動スイッチS2の前に作業者が通常立って作業する
図1の側面断面図で、紙面左方を前方,前側、紙面右方を後方,後側、紙面上方を上方、紙面手前方向を右方、紙面奥方を左方、紙面左右横方向の線を含む紙面垂直面方向を水平方向という。
【0011】
ケーシング9は、
図1,
図2に示すような平面視矩形の箱形容器である。水平配設される底板90の前立板91寄りに半田槽1が配され、該半田槽1と後立板92との間に図示しない仕切り壁で分割されたスペースを確保し、該スペースにポンプ31の駆動用モータ32が配される。前立板91,後立板92,両側立板93,94で底板90の周縁を囲って半田槽1,モータ32等を収容する。後立板92は高くし、その上縁で屈曲させて前方に上板95を延設し、さらに該上板95はその先で下降傾斜してモータ32を被う。該上板95からポンプ31の上方をカバーするポンプカバーが設けられる。一方、前立板91は上方部が後方傾斜して傾板部分となり、該傾板部分の上縁から水平鍔が後方に張り出す。前立板91の該水平鍔とポンプカバーの間を上方開口部とし、該上方開口部に半田槽1の噴流ノズル2が配される。
【0012】
半田槽1はケーシング9内にヒータHTで加熱した溶融半田Mを収容する容器である(
図1,
図2)。溶融半田Mを貯める槽本体を備え、さらに槽本体内の溶融半田Mをポンプ31で循環させ、この循環する溶融半田Mを吐出口230から噴流させるよう、横長筒部15と縦筒部16とを備える。槽本体は板状の底部10,前壁部11,後壁部12,両側壁部13からなる上方開口の方形箱容器とする。
横長筒部15は、
図1,
図2のごとく四角筒の有蓋有底筒部であり、その蓋部と底部に前壁部11,後壁部12の上縁から吊り下げた吊板部19の下端部が固着して、半田槽1内に横置きされる。前方にあたる蓋部寄り横長筒部15の上面に円形の吐出側口15bを設け、後方にあたる底部寄り横長筒部15の下面に吸込み側口15aを設ける。該吸込み側口15aの上方に在る横長筒部15の上面にはポンプ用孔が形成される。
縦筒部16は四角筒の下部から横断面が一回り小さな横断面円形の有底筒体17が延在する。有底筒体17を吐出側口15bから横長筒部15内へ挿着させて、縦筒部16が横長筒部15上に立設する。有底筒体17の筒側面には横長筒部15内と縦筒部16内とを導通させる導孔17aが設けられる。
【0013】
昇降機構4は、アクチュエータたるシリンダ41と保持枠45とを備える。ケーシング9内の両側壁部13近くにエアシリンダで構成したシリンダ41がそれぞれ設けられる。両シリンダ41が起立し、シリンダ本体から上方へ向けて伸びるロッド42の先端に、水平配設される保持枠45を固定し、該保持枠45を昇降させる昇降機構4とする(
図2,
図3)。ケーシング9がつくる前記上方開口部上で、該上方開口部よりも外形が若干小さめの保持枠45が上下動する(
図1~
図3)。
ポンプ31が作動中で、昇降機構4のロッド42が退動すると、半田槽1の上方に突き出す噴流ノズル2の吐出口230から噴流する溶融半田Mに、保持枠45を介してマスク治具5にセットした基板71のスルーホール70が浸かる下端位置に達して止まる。吐出口230から溶融半田Mが噴流する状況になれば、透孔50を通る半田液面の上昇に伴って保持枠45が支えるマスク治具5にセットした基板71のスルーホール70を通るピン84がスルーホール70部位で半田付けされる。一方、ロッド42が進出すると、保持枠45と一緒に、吐出口230で噴流する溶融半田Mから基板71が上方へ離れ、保持枠45が上端位置に達して止まる。
【0014】
ケース付き基板6はケース8と基板71の別体組付け品で、マスク治具5に取付けセットされる。有底筒状ケース8の底部811域から起立するピン84をスルーホール70に通し、ピン84の突端部841が基板71から突き出すようにして、ケース8内に基板71が載置された半田付け対象品である(
図9)。ここでのケース8は、底部811と側壁812とで
図5,
図6のような上面開口810のケース本体81に、底部811域からピン84が垂直起立した箱形容器になっている。ピン84はケース8の側壁内面812a近くに立設する。符号815,816はケース8を相手部材に取付ける係止穴と係止孔、符号814は底部811を隆起して設けた台座を示す。
また、基板71は
図7,
図8のような実装済み基板7(以下、単に「基板71」ともいう。)になっており、ケース8のピン84を通すスルーホール70が設けられる。符号72は表面実装によって基板71に固着された電子部品(一部省略する)、符号73は接続端子を示す。
最終製品がソリッドステートリレーになるケース付き基板6の組付けは、
図6の上面開口810のケース8の上方から、スルーホール70にピン84を挿通させて
図8の基板71をケース8内に載置する。基板71が台座814に載って安定したケース付き基板6になる(
図9)。そうして、半田付け装置の上端位置にてマスク治具5へ逆さ置きにセットし、ケース付き基板6の実装済み部品72が該基板71の下方側に配される。尚、本半田付け装置は図示しない押え部材を保持枠45に組付け、マスク治具5へケース付き基板6を反転セット後、該押え部材で
図13のケース裏面8bを上から押え付けるようにしている。
【0015】
マスク治具5は、
図2のごとく、ケース付き基板6を逆さ置きに複数個(ここでは四個)セットする係止用ストッパ51を表面側に互いに離間させて複数(ここでは四セット)設け、且つ各基板71のスルーホール70との対向域に透孔50を設けて、保持枠45に支えられる半田付けの補助部材である。複数のケース付き基板6を互いに離した状態で夫々を係止して、半田付けを助ける補助的役割を担う。
保持枠45の上端位置で、ケース8に合わせたストッパ51たる段差部512の凹みに、マスク治具5へ逆さ置きにするケース8が係止セットされ、また逆さ置きによってケース8に載置状態にあった基板71が、ケース底部811から重力落下し、僅かな落下隙間εをつくってマスク治具5の端子用挿入孔510周りのストッパ51で受け止められる(
図13)。落下隙間εを強調図示したが、該ストッパ51は端子用挿入孔510周りの板厚を部分的に厚くして、実際の落下隙間εは小さい。マスク治具5は基板71を受け止める透孔50の周縁板厚も厚くして(図示省略)、落下隙間εを小さくする。ちなみに、落下隙間εができないように、例えばマスク治具5に係る透孔50の周縁板厚を厚くしてもよい。ここでは、マスク治具5のケース付き基板6の逆さ置きセットで落下隙間εができるが、保持枠45の下端位置への下降に伴って、噴流ノズル2の先端部分232が基板71へ下から当接して突く形にし、該落下隙間εがなくなるよう該基板71を押し上げている(
図10)。
【0016】
噴流ノズル2は、基端部21と主部22と複数の筒状ノズル部23とが一体の筒状体である。
基端部21は、縦筒部16へ嵌め込める大きさの角筒部と、上端中央に主部22と導通する抜孔を設けた上板とを一体にした取付け枠部である。該基端部21を用いて、上方から縦筒部16へ噴流ノズル2が着脱自在に取付けられる。
主部22は、下板を前記上板と略同形にして、正面視で上方に向かって横方向に広がる横長逆台形の形をして、縦筒部16から受け取った溶融半田Mを各筒状ノズル部23へ略均等に送り込む噴流ノズル2の中継部である。主部22は正面視が
図2の横長逆台形の形で、且つ側面視が
図1のような四角筒形にして、その下面に基端部21と通じる孔を設け、且つ上面に複数の筒状ノズル部23と導通する通孔を設ける。
筒状ノズル部23は、保持枠45が支えるマスク治具5にセットした夫々のケース付き基板6と対向させて主部上面22aに複数立設する四角筒状体である。ポンプ31の作動で、筒状ノズル部23が半田槽1内の溶融半田Mを縦筒部16,主部22を経由して先端部分232の先端口たる吐出口230へ送り込む。本実施形態はマスク治具5にセットする四個のケース付き基板6に対し、図示のごとく四個の筒状ノズル部23が主部上面22a上で互いに離間して横一列に並ぶ。各筒状ノズル部23は、昇降機構4による保持枠45の下端位置で、吐出口230内にピン84を挿入させて溶融半田Mが該吐出口230から噴流するように配される(
図10,
図11)。筒状ノズル部23に係る先端部分232は吐出口230に向けて先細り筒部分に形成され、且つ先細り筒部分の傾斜側壁232fに逃し孔2320が形成される。
【0017】
本実施形態の筒状ノズル部23は、ベース部分231と先端部分232の先細り筒部分を備える。ベース部分231は短筒の筒内に主部22の通孔を取り込んで起立する等断面形状の四角筒部分とする。先端部分232は、ベース部分231から先端の吐出口230まで垂直上方へ延在する
図10のような一側壁232eたる起立側壁を有し、且つ前方側に傾斜側壁232fを有する縦長の先細り四角筒部分とし、さらに該傾斜側壁232fに逃し孔2320を形成する。マスク治具5へ逆さ置きにセットしたケース付き基板6の実装済み部品72が基板71の下方側に配されるが、該部品72をかわして、一側壁232eたる起立側壁が主部上面22aに対し垂直起立し、保持枠45の下端位置で、該起立側壁232eがピン84とケース8の側壁内面812aとの間に入り込むように設定される(
図10)。
筒状ノズル部23の先端部分232を図示ごとくの先細り四角筒部分にするのは、溶融半田Mが噴流する吐出口230の大きさに合わせて初めから縮小した筒断面形状のノズル部にすると、溶融半田Mの送量が少なくなり、途中の温度低下で半田付けに支障をきたすからである。これを防止すべく、ベース部分231、先端部分232の下方域では熱容量大に保てる溶融半田Mの量を送り込んで、その先の先端部分232で先細りにし、且つ余剰分をその途中の逃し孔2320で流し出す構造とする。ここでは、さらに吐出口230周縁の傾斜側壁232f側を小さく切り取った切欠き2321を形成して(
図4)、半田付け使用量を超える微調整用余剰分を傾斜側壁232f面に垂れ流すようにしている。
こうして、筒状ノズル部23の先端部分232が基板71に当接し、先端口の吐出口230から良好な半田付け温度を保って噴流する溶融半田Mにスルーホール70が浸かる構成とする(
図11)。
【0018】
溶融半田Mの余剰分が流れ出る前記逃し孔2320は、保持枠45の下端位置で、マスク治具5にセットしたケース付き基板6に係る該ケース8の開口縁又は該開口縁近くの高さ位置に設けられる。半田付けに使用されない余剰の溶融半田Mが逃し孔2320から流れ出すが、筒状ノズル部23の下部域にて早めに該溶融半田Mを流すと、送量が減って溶融半田Mが冷えやすくなり、吐出口230での溶融半田Mの必要温度の確保が難しくなる。一方、吐出口230近くに逃し孔2320を設けると、逃し孔2320からの溶融半田Mがケース付き基板6を損傷させる虞がある。よって、溶融半田Mでケース付き基板6に損傷を与えずに、できるだけ上方位置になるケース8の開口縁又は該開口縁近くの高さ位置に逃し孔2320を設けている。尚、電子部品72を回避して透孔50を横断して仕切る遮蔽壁55(
図11にのみ図示)がマスク治具5に取付けられており、逃し孔2320から流れ出る溶融半田Mのケース付き基板6への損傷防止に完全を期している。
逃し孔2320は吐出口230よりも小さく形成され、より好ましくは逃し孔2320の孔口面積が吐出口230の出口面積の1/2よりも小さく形成される。半田付けに必要な適温の溶融半田M量を吐出口230へ送り込み、且つ余剰分を流し落すに必要大きさの逃し孔2320を確保できるからである。逃し孔2320を
図4のように横長に形成したのは、逃し孔2320の孔下縁を少しでも上方位置にし、吐出口230へ運ぶ溶融半田Mの熱容量を大きくするためである。
【0019】
ヒータHTは半田槽1内の溶融半田Mを加温して溶融維持する熱源で、ここでは、
図2のごとく半田槽1内の底部10寄り紙面垂直方向に二本配設する。
ポンプ31は半田槽1内の溶融半田Mを循環させるもので、本実施形態は、半田槽1内の後壁部12寄りにポンプ31を設置し、該ポンプ31を駆動するモータ32を半田槽1外で、ケーシング9内の後立板92寄りに設置する(
図1)。モータ32に固着したプーリ33とポンプ31に固着したプーリ34とにベルト35で巻回し、モータ32の回転で、横長筒部15内に配されたポンプ31のインペラ31aを回転させ、噴流ノズル2の吐出口230から溶融半田Mを噴流させる。
前記ポンプ用孔にポンプ31の支軸を挿通させ、支軸先端部に取着したインペラ31aを横長筒部15内に配して、ポンプ31の作動により、吸込み側口15aから吸込んだ溶融半田Mを、
図1の黒矢印のごとく横長筒部15内,縦筒部16内を経て噴流ノズル2の筒状ノズル部23内を上昇し、吐出口230から溶融半田Mを噴流させる。
【0020】
かくして、保持枠45の上端位置で、ケース付き基板6をマスク治具5に逆さ置きにセットした後、昇降機構4で下端位置に下げ、落下隙間εが在る場合はこれをなくすよう噴流ノズル2の先端部分232で基板71を押し上げる。しかる後、溶融半田Mの液面が上昇し吐出口230から溶融半田Mを噴流させれば、
図11のようにスルーホール70に溶融半田Mが入り込み、ピン84が基板71に半田付けされる。半田付けを終え、昇降機構4で元の上端位置へ保持枠45を上昇させると、一度に複数のワーク(ケース付き基板6)に係る各ピン84が挿通した各スルーホール70の箇所で、溶融半田Mが固化した良好なフィレット(固化半田)を形成する所望の卓上半田付け装置になっている。
【0021】
(2)卓上半田付け装置を用いた半田付け方法
次に、前記半田付け装置を用いた半田付けの一方法及びその作用について述べる。
半田付け装置は、既述のごとく槽内にヒータHTで加熱した溶融半田Mを収容する半田槽1が設けられ、且つ溶融半田Mをポンプ31で循環させ、下端位置でマスク治具5にセットした基板71に筒状ノズル部23の先端が当接し、吐出口230から溶融半田Mをスルーホール70内に進出させる装置である。
詳しくは、余剰の溶融半田Mが逃し孔2320から流れ出てセーブされ、吐出口230から適量の溶融半田Mが噴流し、スルーホール70内へ進出した溶融半田Mが基板71に係るスルーホール70の略全域を満たす(
図11)。この噴流する溶融半田Mに、保持枠45で支えるマスク治具5にセットしたケース付き基板6のスルーホール70が浸かり、該スルーホール70とここを通ったピン84との半田付けが行われる下端位置と、噴流する吐出口230の溶融半田Mから基板71,スルーホール70が離れた上端位置との間で、保持枠45を昇降させる昇降機構4を具備する装置になっている。
【0022】
本半田付け方法は、予め上記半田付け装置の電源スイッチS1をオンにし、ヒータHTによって半田槽1に溶融半田Mが貯留された
図2の初期状態とする。
前処理として、
図1の逆さ置きにしたケース付き基板6のマスク治具5へのセットと、スルーホール70周りの半田付け対象箇所にフラックス塗布をする。マスク治具5に設けたスリット状端子挿入孔510に、ケース8の四隅から突出する端子73を差し込めば、ケース付き基板6がストッパ51に係止されて、半田付け対象箇所がマスク治具5の透孔50上にセットされる。ケース付き基板6がセットされたマスク治具5を上端位置にある保持枠45に取付ける(
図1)。
【0023】
その後、作業者が起動スイッチS2を押す。すると、制御手段,昇降機構4等によって経時的動作を加えて、スルーホール70周りにて基板71へのピン84の半田付けが行なわれる。その動作工程と作用を以下に説明する。
まず、起動スイッチS2が入ると、ポンプ31及び昇降機構4が起動する。昇降機構4のロッド42が直ちに収縮し、保持枠45と共にケース付き基板6が下降して下端位置に達する(
図3)。ここで、ケース付き基板6の下降に伴い(
図13)、基板71は噴流ノズル2の先端部分232に当たって、落下隙間εがある場合はこれをなくすように押し上げられて台座814に当接する(
図10)。この当接によって、基板71がケース8に対し正規位置に配される。
そして、下端位置に達すると、基板71やピン84が半田槽1から溶融半田Mの熱を受けるので、フラックスが活性化していく。前記ポンプ31の起動によって、溶融半田Mの上昇、及び半田液面が吐出口230に達する間に、プリヒートが行なわれる。フラックスを活性化させ、またワークたるケース付き基板6が温められて、半田付けの熱衝撃を和らげて半田付け品質を向上させる。
【0024】
次いで、吐出口230から溶融半田Mを噴流させてスルーホール70に通したピン84の半田付けを行う。溶融半田Mをピン84が貫通するスルーホール70に到達させてピン84を基板71に半田付けする。逃し孔2320から余剰の溶融半田M2を流して吐出口230から溶融半田Mを噴流させ、スルーホール70に通したピン84の半田付けを行う(
図11)。
【0025】
本発明は、半田付けに必要な温度を保つべく必要以上の溶融半田Mの量を吐出口230へ向かわせるが、逃し孔2320を設けている。したがって、吐出口230から噴流する溶融半田Mは、スルーホール70を埋めてピン84を基板71に半田付けする量を超える部分M2が該逃し孔2320から流れ落ちる(
図11)。溶融半田Mが流れ落ちる逃し孔2320の高さは、保持枠45の下端位置で、前記マスク治具5にセットされたケース付き基板6に係る該ケース8の開口縁819又は該開口縁近くの高さ位置に設けられているので(
図11)、流れ出る溶融半田Mでケース8や基板71を損傷させない。遮蔽壁55も設けており、該損傷が回避される。
また、吐出口230から噴流する半田付けの必要量を超える余剰分は、大半が逃し孔2320から流れ落ちるが、さらに吐出口230周りの傾斜側壁232fに切欠き2321を設けて(
図4)、溶融半田Mのオーバーした微調整分を流し落して半田付けが円滑に行なわれる。溶融半田Mが吐出口230、スルーホール70に到達して、被半田付け部品(ピン84と基板71)を半田付けする。こうして、半田付けが完了する。
【0026】
その後、昇降機構4のロッド42が伸長し、
図11のマスク治具5が上昇して溶融半田Mからスルーホール70が離れ、保持枠45の上端位置へ向かう。少し遅れてポンプ31が停止して、半田液面が下降していく。
ロッド42の伸長により保持枠45が上端位置に達したところで、昇降機構4の信号が切られ一連の半田付け工程が終了する。また、ポンプ31の停止によって、溶融半田Mの液面は
図2の初期状態に戻る。起動スイッチSを押すだけで、これらスタートから終了までの一連動作がシーケンス制御によって行われている。
一回の操作だけで、複数(四個)のケース付き基板6の全てに対し、ピン84が通るスルーホール70周りに良好なフィレットを形成した所望の半田付け製品が完成する(
図12)。
連続運転の場合は、上記一連の半田付け工程が繰り返されていく。
【0027】
(3)効果
このように構成した卓上半田付け装置及びこれを用いた半田付け方法は、ケース8内に収められた基板71のスルーホール70に通したピン84の半田付けを良好な品質に仕上げ、且つ該半田付けを連続的に実施できる。
上面開口810の小さな箱形で有底筒状ケース8の底近くで且つケース8の壁ぎわで、スルーホール70を貫通して基板71から突き出すピン84の根元近くに在るスルーホール70部位に半田付けする難しさを、本発明はケース付き基板6を逆さ置きにセットして、且つ先細り筒部分の先端部分232と逃し孔2320とを形成した噴流ノズル2によって解消する。
【0028】
マスク治具5にケース付き基板6を逆さ置きにセットすると、保持枠45を介してマスク治具5にセットした基板71のスルーホール70が浸かる下端位置と、噴流する該溶融半田Mから該スルーホール70が上方へ離れた上端位置との間で、該保持枠45を昇降させる昇降機構4を備えた卓上半田付け装置で対応できる。そして、逆さ置きセットしたケース付き基板6の基板71はマスク治具5のストッパ51で係止できるよう構成し、たとえケース8から基板71が自然落下して落下隙間εができても(
図13)、保持枠45の下降に伴い、基板71は噴流ノズル2の先端に当たって押し上げられるので(
図6)、ケース8内に基板71を載置した当初の正規状態にして半田付けできる。
【0029】
そして、下端位置で吐出口230内にピン84を挿入させて噴流する筒状ノズル部23に係る先端部分232が該吐出口230に向けて先細り筒部分に形成された筒状ノズル部23を採用することによって、周りに電子部品72が在る実装済み基板7にして、且つ半田付け箇所が狭い所でもそこに的を絞って半田付けできる。
加えて、先端部分232を先細り筒部分にすると、吐出口230から噴流する溶融半田Mの温度が低下する問題が派生するが、先細り筒部分の傾斜側壁232fに逃し孔2320を形成することによって解決する。該逃し孔2320の高さ位置まで溶融半田Mの送量を多くできるので、温度低下を抑えて、吐出口230から最適温度の溶融半田Mを噴流させることができる。その結果、品質が安定した半田付けを簡単且つ確実になし得る。
【0030】
さらに、マスク治具5に、ケース付き基板6を逆さ置きにセットする係止用ストッパ51を互いに離間させて複数設けると共に、マスク治具5にセットされた各ケース付き基板6と対向する噴流ノズル2の主部上面22aに筒状ノズル部23を複数立設することによって、一度に複数個のワークへ半田付けができる。手作業やロボットと違って、一度に複数(ここでは四個)のケース付き基板6の半田付けができ、大いに生産性向上に貢献する。
【0031】
さらにいえば、ピン84がケース8の側壁内面812a近くに起立していても、筒状ノズル部23を四角筒状体にして、その一側壁232eが主部上面22aに対し垂直起立し、保持枠45の下端位置で、該一側壁232eがピン84と側壁内面812aとの間に入り込むようにすることによって、該下端位置で、吐出口230内にピン84を挿入させて、該ピン84を半田付けできる。
しかも、マスク治具5へ逆さ置きにセットしたケース付き基板6の実装済み部品72が該基板71の下方側に配されていても、上からケース8内に載置した基板71に向けて作業する手作業やロボットを用いて半田付けするのと違って、下から筒状ノズル部23の先端部分232を基板71にあてがって半田付けするので、本発明は溶融半田Mの一部が垂れ落ちて実装済み部品等を損傷させる事態も招かない。
【0032】
また、前記一側壁232eとの対向壁を傾斜側壁232fとし、該傾斜側壁232fに形成した逃し孔2320の孔口面積が吐出口230の面積よりも小さく形成されると、吐出口230からの溶融半田Mの最適温度を確保しながら、逃し孔2320から余剰の溶融半田Mが流れ出る勢いを抑えることができる。逃し孔2320からの溶融半田Mでケース8や基板71を傷つけない。逃し孔2320の孔口面積が該吐出口230の出口面積の1/2よりも小さく形成されると、より好適となる。
さらに、逃し孔2320がマスク治具5にセットされたケース付き基板6に係る該ケース8の開口縁819又は該開口縁近くの高さに設けられると(
図11)、逃し孔2320から余剰の溶融半田Mが勢いよく流れ出ても、放物線を描いて該逃し孔2320の下方へ流れ出るので、ケース8や基板71を傷つけることがなくなり、歩留り向上に一層役立つ。
このように本卓上半田付け装置及びこれを用いた半田付け方法は、上述した数々の優れた効果を発揮し、多大な効を奏する。
【0033】
尚、本発明においては前記実施形態に示すものに限られず、目的,用途に応じて本発明の範囲で種々変更できる。半田槽1,噴流ノズル2,筒状ノズル部23,昇降機構4,マスク治具5,ケース付き基板6等の形状,大きさ,個数,材料,材質等は用途に合わせて適宜選択できる。
【符号の説明】
【0034】
1 半田槽
2 噴流ノズル
23 筒状ノズル部
230 吐出口
232 先端部分(先細り部分)
232e 一側壁(起立部分)
232f 傾斜側壁
2320 逃し孔
4 昇降機構
45 保持枠
5 マスク治具
50 透孔
51 ストッパ
6 ケース付き基板
7 実装済み基板
70 スルーホール
71 基板(実装済み基板)
72 電子部品(実装済み部品)
8 ケース
84 ピン
【要約】 (修正有)
【課題】生産性向上,歩留まり向上に貢献する卓上半田付け装置及びこれを用いた半田付け方法を提供する。
【解決手段】有底筒状ケース8の底部域から起立するピン84を前記スルーホールに通し、該ピンの突端部841が前記基板から突き出すようにして、該ケース内に該基板が載置されたケース付き基板6と、該ケース付き基板を逆さ置きにセットする係止用ストッパ51を互いに離間させて複数設け、且つ各基板の前記スルーホールとの対向域に透孔50を設けて、保持枠に支えられるマスク治具5と、前記下端位置で前記吐出口内に前記ピンを挿入させて噴流する筒状ノズル部23に係る先端部分232が該吐出口に向けて先細り筒部分に形成され、且つ該先細り筒部分の傾斜側壁232fに逃し孔2320が形成されて、該筒状ノズル部が前記マスク治具にセットされた前記各ケース付き基板と対向する主部上面22aに複数立設した噴流ノズル2と、を具備する。
【選択図】
図10