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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-27
(45)【発行日】2024-10-07
(54)【発明の名称】精製焙煎管理システム
(51)【国際特許分類】
   A23N 12/08 20060101AFI20240930BHJP
   A23F 5/02 20060101ALI20240930BHJP
   A23F 5/04 20060101ALI20240930BHJP
   A23G 1/02 20060101ALI20240930BHJP
   A23G 1/04 20060101ALI20240930BHJP
【FI】
A23N12/08 A
A23N12/08 Z
A23F5/02
A23F5/04
A23G1/02
A23G1/04
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2023197420
(22)【出願日】2023-11-21
【審査請求日】2023-11-21
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】518342847
【氏名又は名称】株式会社富久栄商会
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】デロイトトーマツ弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】中島 茂
【審査官】関根 崇
(56)【参考文献】
【文献】特開2022-157744(JP,A)
【文献】国際公開第2005/029969(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第112293542(CN,A)
【文献】特開2011-103901(JP,A)
【文献】特開2023-160424(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-2301035(KR,B1)
【文献】福島から世界へ。風評被害をバネに「最高級」のコーヒーを生んだ珈琲店,Wayback Machine Archive [online],2022年03月11日,<URL:https://web.archive.org/web/20220313040902/https://forbesjapan.com/articles/detail/46270/2/1/1>,[検索日2024年1月23日]
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23N 12/08
A23F 5/
A23G 1/
G06Q 50/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コーヒーチェリーとカカオ果実とのいずれか一方または両方を精製させ焙煎する精製焙煎管理システムであって、
コーヒーチェリーとカカオ果実とのいずれか一方または両方を乾燥させる乾燥条件を決定する乾燥条件設定部と、
前記乾燥条件設定部により設定された乾燥条件により乾燥させたコーヒーチェリーとカカオ果実とのいずれか一方または両方を開放式のタンクに入れ有酸素状態で添加物を付加して発酵により精製する精製条件を決定する精製条件設定部と、
前記精製条件設定部により設定された精製条件により精製したコーヒーチェリーとカカオ果実とのいずれか一方または両方を焙煎させる焙煎条件を決定する焙煎条件設定部とを備え、
前記乾燥条件設定部は、ベースとなるコーヒー種別とカカオ果実とのいずれか一方または両方を選定することにより、選定したコーヒー種別とカカオ果実とのいずれか一方または両方に添加可能な発酵菌種を含めた乾燥条件が選択可能に構成され、
前記精製条件設定部は、前記乾燥条件設定部において選定したコーヒー種別とカカオ果実とのいずれか一方または両方および乾燥条件から、コーヒーチェリーとカカオ果実とのいずれか一方または両方と共に前記タンクに投入される飲食物が選択可能に構成され、選定したコーヒー種別とカカオ果実とのいずれか一方または両方と選択された飲食物とに対応した精製条件による精製を実行し、
前記焙煎条件設定部は、選定したコーヒー種別とカカオ果実とのいずれか一方または両方と前記精製条件設定部において選択された飲食物と精製条件とに対応した焙煎条件による焙煎を実行することを特徴とする精製焙煎管理システム。
【請求項2】
請求項1に記載の精製焙煎管理システムにおいて、
前記精製条件設定部は、選定したコーヒー種別とカカオ果実とのいずれか一方または両方と選択された飲食物とを前記タンクに入れ発酵により精製し、
ベースとなるコーヒーチェリーとカカオ果実とのいずれか一方または両方を選定するコーヒー種別・カカオ果実選定部と、
前記タンクに前記コーヒー種別・カカオ果実選定部により選定されたコーヒーチェリーとカカオ果実とのいずれか一方または両方と共に投入される飲食物を選定する飲食物選定部と、
前記コーヒー種別・カカオ果実選定部により選定されたコーヒーチェリーとカカオ果実とのいずれか一方または両方と前記飲食物選定部により選定された飲食物との組み合わせから前記発酵の発酵条件と焙煎条件とのいずれか一方または両方をレコメンドするレコメンド部と、
を備えることを特徴とする精製焙煎管理システム。
【請求項3】
請求項2に記載の精製焙煎管理システムにおいて、
記レコメンド部は、前記コーヒー種別・カカオ果実選定部により選定されたコーヒーチェリーとカカオ果実とのいずれか一方または両方と前記飲食物選定部により選定された飲食物との組み合わせから前記有酸素状態での発酵条件と焙煎条件とのいずれか一方または両方をレコメンドすることを特徴とする精製焙煎管理システム。
【請求項4】
請求項2記載の精製焙煎管理システムにおいて、
前記レコメンド部は、前記コーヒー種別・カカオ果実選定部により選定されたコーヒーチェリーとカカオ果実とのいずれか一方または両方と前記飲食物選定部により選定された飲食物との組み合わせから、所望の香りとなるように、前記発酵の発酵時間と焙煎時間とのいずれか一方または両方をレコメンドすることを特徴とする精製焙煎管理システム。
【請求項5】
請求項3記載の精製焙煎管理システムにおいて、
前記レコメンド部は、前記コーヒー種別・カカオ果実選定部により選定されたコーヒーチェリーとカカオ果実とのいずれか一方または両方と前記飲食物選定部により選定された飲食物との組み合わせから、所望の香りとなるように、前記有酸素状態での発酵時間と焙煎時間とのいずれか一方または両方をレコメンドすることを特徴とする精製焙煎管理システム。
【請求項6】
請求項2~5のいずれか1項に記載の精製焙煎管理システムにおいて、
前記飲食物選定部は、前記飲食物として酒類と酒類発酵物とのいずれか一方または両方が選定されることを特徴とする精製焙煎管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、精製焙煎管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
コーヒーチェリーを精製して焙煎するシステムとして、特許文献1に記載のシステムでは、コーヒーチェリーを乾燥処理において乾燥機を用いる場合、任意の温度(例えば20~70℃、30~70℃、40~70℃、または50~70℃)で1~3日程度乾燥させる工程は有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2023-42085号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1のシステムでは、コーヒー種別に乾燥条件を選択可能とする構成は有しておらず、さらに、コーヒーチェリーとカカオ果実とのいずれか一方または両方と共にタンクに投入される飲食物が選択可能に構成され、この飲食物とに対応した精製条件による精製を実行する構成は有していない。また、特許文献1のシステムでは、選択された飲食物と精製条件とに対応した焙煎条件による焙煎を実行する構成は有していない。このため、特許文献1のシステムでは、要望に沿った精製焙煎を行うことができないという問題があった。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、要望に沿った精製焙煎を行うことができる精製焙煎管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明は、コーヒーチェリーとカカオ果実とのいずれか一方または両方を精製させ焙煎する精製焙煎管理システムであって、
コーヒーチェリーとカカオ果実とのいずれか一方または両方を乾燥させる乾燥条件を決定する乾燥条件設定部と、
前記乾燥条件設定部により設定された乾燥条件により乾燥させたコーヒーチェリーとカカオ果実とのいずれか一方または両方を開放式のタンクに入れ有酸素状態で添加物を付加して発酵により精製する精製条件を決定する精製条件設定部と、
前記精製条件設定部により設定された精製条件により精製したコーヒーチェリーとカカオ果実とのいずれか一方または両方を焙煎させる焙煎条件を決定する焙煎条件設定部とを備え、
前記乾燥条件設定部は、ベースとなるコーヒー種別とカカオ果実とのいずれか一方または両方を選定することにより、選定したコーヒー種別とカカオ果実とのいずれか一方または両方に添加可能な発酵菌種を含めた乾燥条件が選択可能に構成され、
前記精製条件設定部は、前記乾燥条件設定部において選定したコーヒー種別とカカオ果実とのいずれか一方または両方および乾燥条件から、コーヒーチェリーとカカオ果実とのいずれか一方または両方と共に前記タンクに投入される飲食物が選択可能に構成され、選定したコーヒー種別とカカオ果実とのいずれか一方または両方と選択された飲食物とに対応した精製条件による精製を実行し、
前記焙煎条件設定部は、選定したコーヒー種別とカカオ果実とのいずれか一方または両方と前記精製条件設定部において選択された飲食物と精製条件とに対応した焙煎条件による焙煎を実行することを特徴とする。
【0007】
本発明によれば、乾燥条件設定部は、ベースとなるコーヒー種別とカカオ果実とのいずれか一方または両方を選定することにより、選定したコーヒー種別とカカオ果実とのいずれか一方または両方に添加可能な発酵菌種を含めた乾燥条件が選択可能に構成されるので、要望に沿った精製焙煎を行うことができる。
【0008】
また、精製条件設定部は、前記乾燥条件設定部において選定したコーヒー種別とカカオ果実とのいずれか一方または両方および乾燥条件から、コーヒーチェリーとカカオ果実とのいずれか一方または両方と共に前記タンクに投入される飲食物が選択可能に構成され、選定したコーヒー種別とカカオ果実とのいずれか一方または両方と選択された飲食物とに対応した精製条件による精製を実行するので、要望に沿った精製焙煎を行うことができる。
【0009】
さらに、焙煎条件設定部は、選定したコーヒー種別とカカオ果実とのいずれか一方または両方と前記精製条件設定部において選択された飲食物と精製条件とに対応した焙煎条件による焙煎を実行するので、要望に沿った精製焙煎を行うことができる。
【0010】
前記精製条件設定部は、選定したコーヒー種別とカカオ果実とのいずれか一方または両方と選択された飲食物とを前記タンクに入れ発酵により精製し、
ベースとなるコーヒーチェリーとカカオ果実とのいずれか一方または両方を選定するコーヒー種別・カカオ果実選定部と、
前記タンクに前記コーヒー種別・カカオ果実選定部により選定されたコーヒーチェリーとカカオ果実とのいずれか一方または両方と共に投入される飲食物を選定する飲食物選定部と、
前記コーヒー種別・カカオ果実選定部により選定されたコーヒーチェリーとカカオ果実とのいずれか一方または両方と前記飲食物選定部により選定された飲食物との組み合わせから前記発酵の発酵条件と焙煎条件とのいずれか一方または両方をレコメンドするレコメンド部と、
を備えることが好ましい。
【0011】
この構成によれば、選定されたコーヒーチェリーとカカオ果実とのいずれか一方または両方と選定された飲食物との組み合わせから発酵の発酵条件と焙煎条件とのいずれか一方または両方をレコメンドするので、要望に沿った精製焙煎を行うことができる。
【0012】
記レコメンド部は、前記コーヒー種別・カカオ果実選定部により選定されたコーヒーチェリーとカカオ果実とのいずれか一方または両方と前記飲食物選定部により選定された飲食物との組み合わせから前記有酸素状態での発酵条件と焙煎条件とのいずれか一方または両方をレコメンドすることが好ましい。
【0013】
この構成によれば、選定されたコーヒーチェリーとカカオ果実とのいずれか一方または両方と選定された飲食物との組み合わせから嫌気性発酵の発酵条件と焙煎条件とのいずれか一方または両方をレコメンドするので、要望に沿った精製焙煎を行うことができる。
【0014】
前記レコメンド部は、前記コーヒー種別・カカオ果実選定部により選定されたコーヒーチェリーとカカオ果実とのいずれか一方または両方と前記飲食物選定部により選定された飲食物との組み合わせから、所望の香りとなるように、前記発酵の発酵時間と焙煎時間とのいずれか一方または両方をレコメンドすることが好ましい。
【0015】
この構成によれば、所望の香りにすることができる。
【0016】
前記レコメンド部は、前記コーヒー種別・カカオ果実選定部により選定されたコーヒーチェリーとカカオ果実とのいずれか一方または両方と前記飲食物選定部により選定された飲食物との組み合わせから、所望の香りとなるように、前記有酸素状態での発酵時間と焙煎時間とのいずれか一方または両方をレコメンドすることが好ましい。
【0017】
この構成によれば、嫌気性発酵を行う場合に、所望の香りにすることができる。
【0018】
前記飲食物選定部は、前記飲食物として酒類と酒類発酵物とのいずれか一方または両方が選定されることが好ましい。
【0019】
この構成によれば、飲食物として酒類と酒類発酵物とのいずれか一方または両方が選定されるので、より一層、要望に沿った精製焙煎を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】精製焙煎管理システムにより管理される工程を示すフローチャート。
図2】精製焙煎管理システムを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態に係る精製焙煎管理システムについて説明する。
【0022】
図1に示すように、精製焙煎管理システム10は、コーヒーチェリーとカカオ果実とのいずれか一方または両方、及び飲食物(詳しくは後述)を精製させ焙煎するものであり、乾燥工程(STEP1)、嫌気性発酵による精製工程(STEP2)、焙煎工程(STEP3)の各工程を管理する。
【0023】
乾燥工程(STEP1)では、コーヒーチェリーとカカオ果実とのいずれか一方または両方を乾燥させる。
【0024】
精製工程(STEP2)では、コーヒーチェリーとカカオ果実とのいずれか一方または両方、及び飲食物を密閉式のタンクに入れ無酸素状態として嫌気性発酵により精製する。
【0025】
焙煎工程(STEP3)では、コーヒー種別とカカオ果実とのいずれか一方または両方、及び飲食物を焙煎する。
【0026】
図2に示すように、精製焙煎管理システム10は、乾燥条件設定部11と、精製条件設定部12と、焙煎条件設定部13と、コーヒー種別・カカオ果実選定部14と、飲食物選定部15と、レコメンド部16とを備える。
【0027】
乾燥条件設定部11は、コーヒーチェリーとカカオ果実とのいずれか一方または両方を乾燥させる乾燥条件を決定するものであり、ベースとなるコーヒー種別・カカオ果実を選定するコーヒー種別・カカオ果実選定部14を備える。
【0028】
乾燥条件設定部11は、コーヒー種別・カカオ果実選定部14により、ベースとなるコーヒー種別とカカオ果実とのいずれか一方または両方を選定することにより、選定したコーヒー種別とカカオ果実とのいずれか一方または両方に添加可能な発酵菌種を含めた乾燥条件が選択可能に構成されている。
【0029】
本実施形態では、例えば、選定したコーヒー種別とカカオ果実とのいずれか一方または両方の組み合わせ(複数)に対応した複数の乾燥条件が、乾燥条件設定部11の記憶部(図示せず)に複数記憶され、上記組み合わせに応じた乾燥条件が選択され、選択された乾燥条件による乾燥が実行される。
【0030】
精製条件設定部12は、乾燥条件設定部11により設定された乾燥条件により乾燥させたコーヒー種別とカカオ果実とのいずれか一方または両方を密閉式のタンクに入れ嫌気性発酵により精製する精製条件を決定するものであり、タンクにコーヒー種別・カカオ果実選定部14により選定されたベースとなるコーヒー種別とカカオ果実とのいずれか一方または両方と共に投入される飲食物を選定する飲食物選定部15を備える。
【0031】
精製条件設定部12は、乾燥条件設定部11において選定したコーヒー種別とカカオ果実とのいずれか一方または両方、および乾燥条件から、飲食物選定部15により、コーヒーチェリーとカカオ果実とのいずれか一方または両方と共にタンクに投入される飲食物が選択可能に構成され、選定したコーヒー種別とカカオ果実とのいずれか一方または両方と選択された飲食物とに対応した精製条件による精製を実行する。
【0032】
本実施形態では、例えば、選定したコーヒー種別とカカオ果実とのいずれか一方または両方と選択された飲食物との組み合わせ(複数)に応じて、所望の香りとなるような嫌気性発酵の発酵条件(精製条件)が、精製条件設定部12の記憶部(図示せず)に複数記憶され、上記組み合わせ及び所望の香りに応じた精製条件が選択され、選択された精製条件による精製が実行される。
【0033】
飲食物選定部15は、例えば、酒類と酒類発酵物とのいずれか一方または両方を選定する。本実施形態では、飲食物選定部15は、例えば、酒類と酒類発酵物との両方を選定する。
【0034】
焙煎条件設定部13は、精製条件設定部12により設定された精製条件により精製したコーヒー種別とカカオ果実とのいずれか一方または両方を焙煎させる焙煎条件を決定するものであり、選定したコーヒー種別とカカオ果実とのいずれか一方または両方と、精製条件設定部12において選択された飲食物と精製条件とに対応した焙煎条件による焙煎を実行する。
【0035】
レコメンド部16は、コーヒー種別・カカオ果実選定部14により選定されたベースとなるコーヒー種別とカカオ果実とのいずれか一方または両方と、飲食物選定部15により選定された飲食物との組み合わせから、所望の香りとなるように、嫌気性発酵の発酵条件と焙煎条件とのいずれか一方または両方をレコメンドする。レコメンド部16は、レコメンドする情報を表示する表示部17(例えば、LCD)を備える。
【0036】
本実施形態では、レコメンド部16は、例えば、気性発酵の発酵条件と焙煎条件との両方をレコメンドし、嫌気性発酵の条件として、例えば温度、時間、PH等をレコメンドし、焙煎条件として、例えば温度、時間等をレコメンドする。
【0037】
本実施形態では、例えば、コーヒー種別・カカオ果実選定部14により選定されたベースとなるコーヒー種別及びカカオ果実と、選定された飲食物との組み合わせ(複数)に対応した複数の気性発酵の発酵条件及び焙煎条件が、レコメンド部16の記憶部(図示せず)に複数記憶され、上記組み合わせに応じた気性発酵の発酵条件及び焙煎条件が選択されて、レコメンドされる。
【0038】
本実施形態では、レコメンド部16は、気性発酵の発酵条件と焙煎条件との両方をレコメンドする場合に、いずれも複数(例えば、5パターン)の条件を、例えば数値化(最適な条件ほど高数値)してレコメンドし、例えば最高数値の条件が選択されて実行される。
【0039】
[実施例]
精製焙煎管理システム10を用いて、コーヒーチェリーとカカオ果実との両方、及び飲食物を精製させ焙煎する工程の一例を説明する。
【0040】
先ず、コーヒー種別・カカオ果実選定部14は、ベースとなるコーヒー種別・カカオ果実を選定する。本実施形態では、例えば、コーヒー種別としてゲイシャ種のゲイシャコーヒー豆が選定され、カカオ果実としてペルークリオロが選定される。
【0041】
乾燥条件設定部11は、複数の選択可能な乾燥条件の中から、コーヒー種別・カカオ果実選定部14により選定されたコーヒー種別(ゲイシャ種のゲイシャコーヒー豆)とカカオ果実(ペルークリオロ)との両方に対応した乾燥条件(添加可能な発酵菌種を含む)を選択する。本実施形態では、例えば、乾燥条件として天日スロードライが選択される。
【0042】
そして、コーヒー種別・カカオ果実選定部14により選定されたコーヒー種別(ゲイシャ種のゲイシャコーヒー豆)とカカオ果実(ペルークリオロ)との両方を、乾燥条件設定部11で選択された乾燥条件(添加可能な発酵菌種を含む)で乾燥させる。
【0043】
次に、精製条件設定部12は、乾燥条件設定部11において選定したコーヒー種別(ゲイシャ種のゲイシャコーヒー豆)とカカオ果実(ペルークリオロ)との両方、および乾燥条件から、飲食物選定部15により、コーヒーチェリーとカカオ果実との両方と共に密閉式のタンクに投入される複数の選択可能な飲食物の中から1つを選択する。本実施形態では、例えば、飲食物として、日本酒(酒類)と、酒粕(酒類発酵物)との両方が選択され、コーヒーチェリーとカカオ果実との両方と共に密閉式のタンクに投入される。
【0044】
レコメンド部16は、選定されたコーヒー種別とカカオ果実との両方と選定された飲食物との組み合わせから、所望の香り(例えば、カカオ香り)となるように、嫌気性発酵の発酵条件(精製条件)をレコメンドする。本実施形態では、嫌気性発酵の条件として、例えば温度:5°C時間:72時間、PH:3.8以下を、レコメンド(表示部17に表示)する。
【0045】
レコメンド部16は、気性発酵の発酵条件をレコメンドする場合に、5パターンの条件を、数値化(最適な条件ほど高数値)してレコメンドする。
【0046】
精製条件設定部12は、レコメンドされた嫌気性発酵の発酵条件(精製条件)の中から、最高数値の条件を選択して実行する。
【0047】
次に、レコメンド部16は、精製したコーヒー種別(ゲイシャ種のゲイシャコーヒー豆)とカカオ果実(ペルークリオロ)との両方と飲食物との組み合わせから、所望の香り(例えば、カカオ香り)となるように、焙煎条件をレコメンドする。本実施形態では、レコメンド部16は、焙煎条件として、例えば温度203度以下、時間:11分をレコメンド(表示部17に表示)する。
【0048】
レコメンド部16は、焙煎条件との両方をレコメンドする場合に、5パターンの条件を、数値化(最適な条件ほど高数値)してレコメンドする。
【0049】
そして、焙煎条件設定部13は、レコメンドされた焙煎条件の中から、最高数値の条件を選択して実行する。
【0050】
以上の工程により、精製焙煎管理システム10を用いて、コーヒーチェリーとカカオ果実との両方、及び飲食物を精製させ焙煎した精製焙煎品をドリップして製造されたコーヒーは、所望の香り(カカオ香り)が付加されたコーヒーとなる。
【0051】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は上述の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様で実施することが可能である。
【0052】
例えば、上記実施形態では、嫌気性発酵により精製しているが、他の精製方法(例えば、乳酸菌発酵)により精製するようにしてもよい。
【0053】
上記実施形態では、選定したコーヒー種別とカカオ果実とのいずれか一方または両方の組み合わせ(複数)に対応した複数の乾燥条件が、乾燥条件設定部11の記憶部に複数記憶され、上記組み合わせに応じた乾燥条件が選択され、選択された乾燥条件による乾燥が実行されるが、乾燥条件の選択方法は適宜変更可能であり、選定したコーヒー種別とカカオ果実とのいずれか一方または両方の組み合わせに応じた乾燥条件を選択することができ ればよく、例えば、AI等を用いて選択するようにしてもよい。なお、AIとは、閉じられた空間(例えば、1台のPC)上のデータを用いて各種処理を行うものや、ネットワークに接続されて、ネットワーク上のデータを用いて各種処理を行うものも含む。
【0054】
上記実施形態では、選定したコーヒー種別とカカオ果実とのいずれか一方または両方と選択された飲食物との組み合わせに応じて、所望の香りとなるような嫌気性発酵の発酵条件(精製条件)が、精製条件設定部12の記憶部に複数記憶され、上記組み合わせ及び所望の香りに応じた精製条件が選択され、選択された精製条件による精製が実行されるが、精製条件の選択方法は適宜変更可能であり、選定したコーヒー種別とカカオ果実とのいずれか一方または両方と選択された飲食物との組み合わせに応じて、所望の香りとなるような精製条件を選択することができればよく、例えば、AI等を用いて選択するようにしてもよい。
【0055】
上記実施形態では、選定されたコーヒー種別及びカカオ果実と、選定された飲食物との組み合わせ(複数)に対応した複数の気性発酵の発酵条件及び焙煎条件が、レコメンド部16の記憶部に複数記憶され、上記組み合わせに応じた気性発酵の発酵条件及び焙煎条件が選択されて、レコメンドされるが、気性発酵の発酵条件及び焙煎条件の選択方法は適宜変更可能であり、選定されたコーヒー種別及びカカオ果実と、選定された飲食物との組み合わせに応じて、嫌気性発酵の発酵条件及び焙煎条件を選択することができればよく、例えば、AI等を用いて選択するようにしてもよい。
【0056】
上記実施形態では、コーヒーチェリーとカカオ果実とのいずれか一方または両方、及び飲食物を密閉式のタンクに入れ無酸素状態として嫌気性発酵により精製しているが、開放式のタンクを用い、有酸素状態で精製するようにしてもよい。例えば、バナナの皮を付加した発酵は、空気に触れさせて精製することが好ましい場合もある。この場合、開放式のタンクを用い、有酸素状態で精製する場合の発酵条件と焙煎条件とのいずれか一方または両方をレコメンドすることが好ましい。さらに、所望の香りとなるように、開放式のタンクを用い、有酸素状態で精製する場合の発酵時間と焙煎時間とのいずれか一方または両方をレコメンドすることが好ましい。
【0057】
上記実施形態では、精製条件設定部12は、レコメンドされた嫌気性発酵の発酵条件(精製条件)の中から、最高数値の条件を選択して実行しているが、レコメンドされた嫌気性発酵の発酵条件(精製条件)の中から、システム管理者が1つの条件を選択して実行するようにしてもよい。
【0058】
上記実施形態では、焙煎条件設定部13は、レコメンドされた焙煎条件の中から、最高数値の条件を選択して実行しているが、レコメンドされた焙煎条件の中から、システム管理者が1つの条件を選択して実行するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0059】
10…精製焙煎管理システム、11…乾燥条件設定部、12…精製条件設定部、13…焙煎条件設定部、14…コーヒー種別・カカオ果実選定部、15…飲食物選定部、16…レコメンド部
【要約】      (修正有)
【課題】より要望に沿った精製焙煎を行うことができる精製焙煎管理システムを提供する。
【解決手段】精製焙煎管理システム10は、コーヒー種別・カカオ果実選定部14で選定したコーヒー種別とカカオ果実とのいずれか一方または両方に添加可能な発酵菌種を含めた乾燥条件が選択可能な乾燥条件設定部11と、選定したコーヒー種別とカカオ果実とのいずれか一方または両方と選択された飲食物とに対応した精製条件による精製を実行する精製条件設定部12と、選定したコーヒー種別とカカオ果実とのいずれか一方または両方と、選択された飲食物と精製条件とに対応した焙煎条件による焙煎を実行する焙煎条件設定部13と、選定されたコーヒー種別とカカオ果実とのいずれか一方または両方と、選定された飲食物との組み合わせから、所望の香りとなるように、嫌気性発酵の発酵条件と焙煎条件とのいずれか一方または両方をレコメンドするレコメンド部16とを備える。
【選択図】図2
図1
図2