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特許7562190物品の三次元線図を生成する方法及び三次元線図生成装置及び三次元形状検査装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-27
(45)【発行日】2024-10-07
(54)【発明の名称】物品の三次元線図を生成する方法及び三次元線図生成装置及び三次元形状検査装置
(51)【国際特許分類】
   G01B 11/245 20060101AFI20240930BHJP
   G01B 11/24 20060101ALI20240930BHJP
【FI】
G01B11/245 H
G01B11/24 K
【請求項の数】 30
(21)【出願番号】P 2023574915
(86)(22)【出願日】2022-01-18
(86)【国際出願番号】 JP2022001652
(87)【国際公開番号】W WO2023139659
(87)【国際公開日】2023-07-27
【審査請求日】2023-10-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000146722
【氏名又は名称】ヤマハロボティクスホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】村松 啓且
(72)【発明者】
【氏名】足立 卓也
【審査官】井上 昌宏
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-340728(JP,A)
【文献】特開2018-146442(JP,A)
【文献】国際公開第2014/196010(WO,A1)
【文献】特開2010-261965(JP,A)
【文献】特開2009-145072(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B11/00~11/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
三次元の物品を垂直上方から撮像した垂直視画像と、前記物品を複数の斜め上方から撮像した複数の斜視画像とに基づいて前記物品の三次元線図を生成する方法であって、
前記垂直視画像の中の輪郭線を抽出して前記物品の垂直視線図を生成する垂直視線図生成ステップと、
前記物品の高さ情報を含む形状パラメータに基づいて、前記垂直視線図を複数の斜視線図にそれぞれ変換し、変換後の各前記斜視線図が各前記斜視画像と重なるまで前記形状パラメータの調整と、前記垂直視線図の各前記斜視線図への変換と、を繰り返して実行する線図変換ステップと、
生成した前記垂直視線図と変換した各前記斜視線図とを合成して前記物品の前記三次元線図を生成する線図合成ステップと、を備えること、
を特徴とする方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、
前記物品は、複数の部品と各部品の間を接続する複数のワイヤとで構成される装置であり、
前記垂直視線図生成ステップは、前記垂直視画像の中の各部品と各前記ワイヤの各輪郭線を抽出して前記装置の前記垂直視線図を生成し、
前記形状パラメータは、各部品の基準面からの高さと、各部品の表面の傾きと、各前記ワイヤの屈曲パラメータであること、
を特徴とする方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法であって、
前記垂直視線図生成ステップは、ユーザが描画した前記垂直視画像の中の輪郭線を前記垂直視線図として生成し、
前記線図変換ステップは、前記ユーザが入力した調整後の前記形状パラメータに基づいて前記垂直視線図の各前記斜視線図への変換を行うこと、
を特徴とする方法。
【請求項4】
請求項3に記載の方法であって、
前記物品は、複数の部品と各部品の間を接続する複数のワイヤとで構成される装置であり、
前記垂直視線図生成ステップは、前記ユーザが描画した前記垂直視画像の中の各部品と各前記ワイヤの各輪郭線を前記装置の前記垂直視線図として生成し、
前記形状パラメータは、各部品の基準面からの高さと、各部品の表面の傾きと、各前記ワイヤの屈曲パラメータであること、
を特徴とする方法。
【請求項5】
請求項2又は4に記載の方法であって、
各前記ワイヤは始点と終点との間に複数の屈曲点をそれぞれ有し、
前記屈曲パラメータは、各前記ワイヤが有する各前記屈曲点の各三次元座標位置であり、
各前記屈曲点の各前記三次元座標位置は、それぞれ、
前記基準面の面内で前記ワイヤの前記始点から前記終点に向かって延びる長手方向軸と、前記基準面の面内で前記ワイヤの前記始点から前記長手方向軸と直交する方向に延びる横方向軸と、前記始点を通り前記基準面に対して垂直方向に延びる高さ方向軸とで構成される座標系における長手方向座標位置と横方向座標位置と高さ方向座標位置の組であること、
を特徴とする方法。
【請求項6】
請求項5に記載の方法であって、
各前記屈曲点の各前記三次元座標位置は、
前記始点と前記終点との間のワイヤ全長に比例する比例長手方向座標位置と、前記ワイヤ全長に比例する比例横方向座標位置と、前記ワイヤ全長に比例する比例高さ方向座標位置と、の組である三次元比例座標位置を含むこと、
を特徴とする方法。
【請求項7】
請求項2に記載の方法であって、
前記垂直視線図生成ステップは、複数の前記ワイヤを、始点が位置する部品と、終点が位置する部品と、太さと、が共通する前記ワイヤで構成される複数のグループにグルーピングすると共に、前記垂直視画像の中の各部品と各前記ワイヤの各輪郭線を抽出して前記装置の前記垂直視線図を生成し、
前記屈曲パラメータは、前記グループ毎に規定された複数のグループ別屈曲パラメータで構成されており、
前記線図変換ステップは、各前記グループ別屈曲パラメータに基づいて、各グループに含まれる各前記ワイヤの各垂直視線図をそれぞれ複数の前記斜視線図に変換し、各前記グループに含まれる各前記ワイヤの変換後の各前記斜視線図が各グループに含まれる各前記ワイヤの各前記斜視画像と重なるまで各前記グループの各前記グループ別屈曲パラメータの調整と、各前記グループに含まれる前記ワイヤの各前記垂直視線図の各前記斜視線図への変換とを繰り返して実行すること、
を特徴とする方法。
【請求項8】
請求項4に記載の方法であって、
前記垂直視線図生成ステップは、複数の前記ワイヤを、始点が位置する部品と、終点が位置する部品と、太さと、が共通する前記ワイヤで構成される複数のグループにグルーピングすると共に、前記垂直視画像の中の各部品と各前記ワイヤの各輪郭線を抽出して前記装置の前記垂直視線図を生成し、
前記屈曲パラメータは、前記グループ毎に規定された複数のグループ別屈曲パラメータで構成されており、
前記線図変換ステップは、各前記グループ別屈曲パラメータに基づいて、各グループに含まれる各前記ワイヤの各垂直視線図をそれぞれ複数の前記斜視線図に変換し、その後、前記ユーザが入力した調整後の各前記グループ別屈曲パラメータに基づいて各前記グループに含まれる前記各ワイヤの各前記垂直視線図の各前記斜視線図への変換を行うこと、
を特徴とする方法。
【請求項9】
請求項7に記載の方法であって、
一の前記グループにグルーピングされる複数の前記ワイヤは、前記始点と前記終点との間に複数の屈曲点をそれぞれ有し、
前記グループ別屈曲パラメータは、一の前記グループにグルーピングされる各前記ワイヤが共通に有する各前記屈曲点の各三次元座標位置であり、
各前記屈曲点の各前記三次元座標位置は、ぞれぞれ、
前記基準面の面内で前記ワイヤの前記始点から前記終点に向かって延びる長手方向軸と、前記基準面の面内で前記ワイヤの前記始点から前記長手方向軸と直交する方向に延びる横方向軸と、前記始点を通り前記基準面に対して垂直方向に延びる高さ方向軸とで構成される座標系における長手方向座標位置と横方向座標位置と高さ方向座標位置の組であること、
を特徴とする方法。
【請求項10】
請求項9に記載の方法であって、
前記各屈曲点の各前記三次元座標位置は、
前記始点と前記終点との間のワイヤ全長に比例する比例長手方向座標位置と、前記ワイヤ全長に比例する比例横方向座標位置と、前記ワイヤ全長に比例する比例高さ方向座標位置と、の組である三次元比例座標位置を含むこと、
を特徴とする方法。
【請求項11】
三次元の物品の三次元線図を生成する三次元線図生成装置であって、
前記物品を撮像した画像に基づいて前記物品の前記三次元線図を生成する制御部を備え、
前記制御部は、
前記物品を垂直上方から撮像した垂直視画像と、前記物品を複数の斜め上方から撮像した複数の斜視画像と、を取得し、
前記物品の前記垂直視画像の中の輪郭線を抽出して前記物品の垂直視線図を生成し、
記憶部に格納した前記物品の高さ情報を含む形状パラメータに基づいて、前記垂直視線図を複数の斜視線図にそれぞれ変換し、変換後の各前記斜視線図が各前記斜視画像と重なるまで前記形状パラメータの調整と、前記垂直視線図の各前記斜視線図への変換と、を繰り返して実行し、
生成した前記垂直視線図と、各前記斜視画像と重なった各前記斜視線図と、を合成して前記三次元線図を生成すること、
を特徴とする三次元線図生成装置。
【請求項12】
請求項11に記載の三次元線図生成装置であって、
前記物品は、複数の部品と各部品の間を接続する複数のワイヤとで構成される装置であり、
前記制御部は、
前記垂直視画像の中の各部品と各前記ワイヤの各輪郭線を抽出して前記装置の前記垂直視線図を生成し、
前記形状パラメータは、各部品の基準面からの高さと、各部品の表面の傾きと、各前記ワイヤの屈曲パラメータであること、
を特徴とする三次元線図生成装置。
【請求項13】
請求項11に記載の三次元線図生成装置であって、
画像と線図とを表示する表示部と、
ユーザがデータの入力を行う入力部と、を備え、
前記制御部は、
前記物品の前記垂直視画像を前記表示部に表示し、前記ユーザが前記入力部を操作して描画した前記垂直視画像の中の輪郭線を前記垂直視線図として生成し、
前記ユーザが前記入力部から入力した調整後の前記形状パラメータに基づいて前記垂直視線図の各前記斜視線図への変換を行い、変換後の各前記斜視線図と各前記斜視画像とを重ね合わせて前記表示部に表示すること、を繰り返して実行すること、
を特徴とする三次元線図生成装置。
【請求項14】
請求項13に記載の三次元線図生成装置であって、
前記物品は、複数の部品と各部品の間を接続する複数のワイヤとで構成される装置であり、
前記制御部は、
前記ユーザが前記入力部を操作して描画した前記垂直視画像の中の各部品と各前記ワイヤの各輪郭線を前記装置の前記垂直視線図として生成し、
前記形状パラメータは、各部品の基準面からの高さと、各部品の表面の傾きと、各前記ワイヤの屈曲パラメータであること、
を特徴とする三次元線図生成装置。
【請求項15】
請求項12又は14に記載の三次元線図生成装置であって、
各前記ワイヤは始点と終点との間に複数の屈曲点をそれぞれ有し、
前記屈曲パラメータは、各前記ワイヤが有する各前記屈曲点の各三次元座標位置であり、
各前記屈曲点の各前記三次元座標位置は、それぞれ、
前記基準面の面内で前記ワイヤの前記始点から前記終点に向かって延びる長手方向軸と、前記基準面の面内で前記ワイヤの前記始点から前記長手方向軸と直交する方向に延びる横方向軸と、前記始点を通り前記基準面に対して垂直方向に延びる高さ方向軸とで構成される座標系における長手方向座標位置と横方向座標位置と高さ方向座標位置の組であること、
を特徴とする三次元線図生成装置。
【請求項16】
請求項15に記載の三次元線図生成装置であって、
各前記屈曲点の各前記三次元座標位置は、
前記始点と前記終点との間のワイヤ全長に比例する比例長手方向座標位置と、前記ワイヤ全長に比例する比例横方向座標位置と、前記ワイヤ全長に比例する比例高さ方向座標位置と、の組である三次元比例座標位置を含むこと、
を特徴とする三次元線図生成装置。
【請求項17】
請求項12に記載の三次元線図生成装置であって、
前記制御部は、複数の前記ワイヤを、始点が位置する部品と、終点が位置する部品と、太さと、が共通する前記ワイヤで構成される複数のグループにグルーピングすると共に、前記垂直視画像の中の輪郭線を抽出して前記物品の前記垂直視線図を生成し、
前記記憶部に格納された前記屈曲パラメータは、前記グループ毎に規定された複数のグループ別屈曲パラメータで構成されており、
前記制御部は、
前記記憶部に格納された各前記グループ別屈曲パラメータに基づいて、各前記グループに含まれる各前記ワイヤの各垂直視線図をそれぞれ複数の前記斜視線図に変換し、各前記グループに含まれる各前記ワイヤの変換後の各前記斜視線図が各グループに含まれる各前記ワイヤの各前記斜視画像と重なるまで各前記グループの各前記グループ別屈曲パラメータの調整と、各前記グループに含まれる前記ワイヤの各前記垂直視線図の各前記斜視線図への変換とを繰り返して実行すること、
を特徴とする三次元線図生成装置。
【請求項18】
請求項14に記載の三次元線図生成装置であって、
前記制御部は、複数の前記ワイヤを、始点が位置する部品と、終点が位置する部品と、太さと、が共通する前記ワイヤで構成される複数のグループにグルーピングすると共に、前記ユーザが前記入力部を操作して描画した前記垂直視画像の中の各部品と各前記ワイヤの各輪郭線を前記装置の前記垂直視線図として生成し、
前記記憶部に格納された前記屈曲パラメータは、前記グループ毎に規定された複数のグループ別屈曲パラメータで構成されており、
前記制御部は、
各前記グループ別屈曲パラメータに基づいて、各前記グループに含まれる各前記ワイヤの各垂直視線図をそれぞれ複数の前記斜視線図に変換し、
その後、前記ユーザが前記入力部から入力した調整後の各前記グループ別屈曲パラメータに基づいて各前記グループに含まれる前記各ワイヤの各前記垂直視線図の各前記斜視線図への変換を行い、変換後の各前記斜視線図と各前記斜視画像とを重ね合わせて前記表示部に表示すること、を繰り返して実行すること、
を特徴とする三次元線図生成装置。
【請求項19】
請求項17又は18に記載の三次元線図生成装置であって、
一の前記グループにグルーピングされる複数の前記ワイヤは、前記始点と前記終点との間に複数の屈曲点をそれぞれ有し、
前記グループ別屈曲パラメータは、一の前記グループにグルーピングされる各前記ワイヤが共通に有する各前記屈曲点の各三次元座標位置であり、
前記各屈曲点の各前記三次元座標位置は、ぞれぞれ、
前記基準面の面内で前記ワイヤの前記始点から前記終点に向かって延びる長手方向軸と、前記基準面の面内で前記ワイヤの前記始点から前記長手方向軸と直交する方向に延びる横方向軸と、前記始点を通り前記基準面に対して垂直方向に延びる高さ方向軸とで構成される座標系における長手方向座標位置と横方向座標位置と高さ方向座標位置の組であること、
を特徴とする三次元線図生成装置。
【請求項20】
請求項19に記載の三次元線図生成装置であって、
前記各屈曲点の各前記三次元座標位置は、
前記始点と前記終点との間のワイヤ全長に比例する比例長手方向座標位置と、前記ワイヤ全長に比例する比例横方向座標位置と、前記ワイヤ全長に比例する比例高さ方向座標位置と、の組である三次元比例座標位置を含むこと、
を特徴とする三次元線図生成装置。
【請求項21】
三次元の物品の形状検査を行う三次元形状検査装置であって、
前記物品の標準品のマスタ三次元線図を生成するマスタ三次元線図生成部と、
前記物品の三次元線図と前記マスタ三次元線図とを比較して前記物品の検査を行う検査部と、を備え、
前記マスタ三次元線図生成部は、
前記標準品を垂直上方から撮像した標準垂直視画像と、前記標準品を複数の斜め上方から撮像した複数の標準斜視画像と、を取得し、
前記標準品の前記標準垂直視画像の中の輪郭線を抽出して前記標準品の標準垂直視線図を生成し、
記憶部に格納した前記標準品の高さ情報を含む形状パラメータに基づいて、前記標準垂直視線図を複数の標準斜視線図にそれぞれ変換し、変換後の各前記標準斜視線図が各前記標準斜視画像と重なるまで前記形状パラメータの調整と、前記標準垂直視線図の各前記標準斜視線図への変換と、を繰り返して実行し、
生成した前記標準垂直視線図と、各前記標準斜視画像と重なった各前記標準斜視線図と、を合成して前記マスタ三次元線図を生成し、
前記検査部は、
前記物品を垂直上方から撮像した垂直視画像と、前記物品を複数の斜め上方から撮像した複数の斜視画像とを取得し、
前記マスタ三次元線図を参照しながら前記垂直視画像から輪郭線を抽出して前記物品の垂直視線図を生成し、
前記マスタ三次元線図を参照しながら各前記斜視画像から輪郭線をそれぞれ抽出して前記物品の複数の斜視線図を生成し、
前記垂直視線図と各前記斜視線図とを合成して前記物品の前記三次元線図を生成し、
生成した前記物品の前記三次元線図と前記マスタ三次元線図とを比較して前記物品の三次元形状の検査を行うこと、
を特徴とする三次元形状検査装置。
【請求項22】
請求項21に記載の三次元形状検査装置であって、
前記物品及び前記標準品は、複数の部品と各部品の間を接続する複数のワイヤとで構成される装置であり、
前記マスタ三次元線図生成部は、
前記標準垂直視画像の中の各部品と各前記ワイヤの各輪郭線を抽出して前記装置の前記標準垂直視線図を生成し、
前記形状パラメータは、各部品の基準面からの高さと、各部品の表面の傾きと、各前記ワイヤの屈曲パラメータであること、
を特徴とする三次元形状検査装置。
【請求項23】
請求項21に記載の三次元形状検査装置であって、
画像と線図とを表示する表示部と、
ユーザがデータの入力を行う入力部と、を備え、
前記マスタ三次元線図生成部は、
前記標準品の前記標準垂直視画像を前記表示部に表示し、前記ユーザが前記入力部を操作して描画した前記標準垂直視画像の中の輪郭線を前記標準垂直視線図として生成し、
前記ユーザが前記入力部から入力した調整後の前記形状パラメータに基づいて前記標準垂直視線図の各前記標準斜視線図への変換を行い、変換後の各前記標準斜視線図と各前記標準斜視画像とを重ね合わせて前記表示部に表示すること、を繰り返して実行すること、
を特徴とする三次元形状検査装置。
【請求項24】
請求項23に記載の三次元形状検査装置であって、
前記物品及び前記標準品は、複数の部品と各部品の間を接続する複数のワイヤとで構成される装置であり、
前記マスタ三次元線図生成部は、前記ユーザが前記入力部を操作して描画した前記標準垂直視画像の中の各部品と各前記ワイヤの各輪郭線を前記装置の前記標準垂直視線図として生成し、
前記形状パラメータは、各部品の基準面からの高さと、各部品の表面の傾きと、各前記ワイヤの屈曲パラメータであること、
を特徴とする三次元形状検査装置。
【請求項25】
請求項22又は24に記載の三次元形状検査装置であって、
各前記ワイヤは始点と終点との間に複数の屈曲点をそれぞれ有し、
前記屈曲パラメータは、各前記ワイヤが有する各前記屈曲点の各三次元座標位置であり、
各前記屈曲点の各前記三次元座標位置は、それぞれ、
前記基準面の面内で前記ワイヤの前記始点から前記終点に向かって延びる長手方向軸と、前記基準面の面内で前記ワイヤの前記始点から前記長手方向軸と直交する方向に延びる横方向軸と、前記始点を通り前記基準面に対して垂直方向に延びる高さ方向軸とで構成される座標系における長手方向座標位置と横方向座標位置と高さ方向座標位置の組であること、
を特徴とする三次元形状検査装置。
【請求項26】
請求項25に記載の三次元形状検査装置であって、
各前記屈曲点の各前記三次元座標位置は、
前記始点と前記終点との間のワイヤ全長に比例する比例長手方向座標位置と、前記ワイヤ全長に比例する比例横方向座標位置と、前記ワイヤ全長に比例する比例高さ方向座標位置と、の組である三次元比例座標位置を含むこと、
を特徴とする三次元形状検査装置。
【請求項27】
請求項22に記載の三次元形状検査装置であって、
前記マスタ三次元線図生成部は、複数の前記ワイヤを、始点が位置する部品と、終点が位置する部品と、太さと、が共通する前記ワイヤで構成される複数のグループにグルーピングすると共に、前記標準品の前記標準垂直視画像の中の輪郭線を抽出して前記標準品の前記標準垂直視線図を生成し、
前記記憶部に格納された前記屈曲パラメータは、前記グループ毎に規定された複数のグループ別屈曲パラメータで構成されており、
前記マスタ三次元線図生成部は、
各前記グループ別屈曲パラメータに基づいて、前記各グループに含まれる各前記ワイヤの各標準垂直視線図をそれぞれ複数の前記標準斜視線図に変換し、
各前記グループに含まれる各前記ワイヤの変換後の各前記標準斜視線図が各グループに含まれる各前記ワイヤの各前記標準斜視画像と重なるまで各前記グループの各前記グループ別屈曲パラメータの調整と、各前記グループに含まれる前記ワイヤの各前記標準垂直視線図の各前記標準斜視線図への変換とを繰り返して実行すること、
を特徴とする三次元形状検査装置。
【請求項28】
請求項24に記載の三次元形状検査装置であって、
前記マスタ三次元線図生成部は、複数の前記ワイヤを、始点が位置する部品と、終点が位置する部品と、太さと、が共通する前記ワイヤで構成される複数のグループにグルーピングすると共に、前記ユーザが前記入力部を操作して描画した前記標準垂直視画像の中の各部品と各前記ワイヤの各輪郭線を前記標準品の前記垂直視線図として生成し、
前記記憶部に格納された前記屈曲パラメータは、前記グループ毎に規定された複数のグループ別屈曲パラメータで構成されており、
前記マスタ三次元線図生成部は、
各前記グループ別屈曲パラメータに基づいて、前記各グループに含まれる各前記ワイヤの各標準垂直視線図をそれぞれ複数の前記標準斜視線図に変換し、
その後、前記ユーザが前記入力部から入力した調整後の各前記グループ別屈曲パラメータに基づいて各前記グループに含まれる前記各ワイヤの各前記標準垂直視線図の各前記標準斜視線図への変換を行い、変換後の各前記標準斜視線図と各前記標準斜視画像とを重ね合わせて前記表示部に表示すること、を繰り返して実行すること、
を特徴とする三次元形状検査装置。
【請求項29】
請求項27又は28に記載の三次元形状検査装置であって、
一の前記グループにグルーピングされる複数の前記ワイヤは、前記始点と前記終点との間に複数の屈曲点をそれぞれ有し、
前記グループ別屈曲パラメータは、一の前記グループにグルーピングされる各前記ワイヤが共通に有する各前記屈曲点の各三次元座標位置であり、
前記各屈曲点の各前記三次元座標位置は、それぞれ、
前記基準面の面内で前記ワイヤの前記始点から前記終点に向かって延びる長手方向軸と、前記基準面の面内で前記ワイヤの前記始点から前記長手方向軸と直交する方向に延びる横方向軸と、前記始点を通り前記基準面に対して垂直方向に延びる高さ方向軸とで構成される座標系における長手方向座標位置と横方向座標位置と高さ方向座標位置の組であること、
を特徴とする三次元形状検査装置。
【請求項30】
請求項29に記載の三次元形状検査装置であって、
前記各屈曲点の各前記三次元座標位置は、
前記始点と前記終点との間のワイヤ全長に比例する比例長手方向座標位置と、前記ワイヤ全長に比例する比例横方向座標位置と、前記ワイヤ全長に比例する比例高さ方向座標位置と、の組である三次元比例座標位置を含むこと、
を特徴とする三次元形状検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、物品の三次元線図を生成する方法及び三次元線図生成装置並びに三次元形状検査装置の構成に関する。
【背景技術】
【0002】
XYステージの上に固定されたボンディングワイヤを左右2方向から顕微鏡を介してCCDカメラで撮像し、左右の画像データに基づいてボンディングワイヤの三次元座標を算出する方法が開示されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載された方法では、パッドとリードの位置を登録しておき、パッドからリードまでの間にワイヤの中心線を含む小領域を設定し、その小領域の中からワイヤの輪郭を検出することを繰り返して行うことにより、ワイヤの中心線の位置を検出し、これに基づいてワイヤの三次元線図を生成することが開示されている。
【0003】
また、特許文献2には、ワイヤを左右二方向からカメラで撮像し、ワイヤの基板への接続情報と、ワイヤの太さ情報とを用いたパターンマッチングにより各カメラが撮像した二次元画像からワイヤの三次元線図を生成することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平10-54709号公報
【文献】国際公開2020/217970号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、近年、半導体チップの電極と基板の電極とを接続する全てのワイヤの形状の測定を行うことが求められている。しかし、特許文献1、2に記載のワイヤの形状測定方法では多数のワイヤを1本ずつ画像分析してワイヤの三次元線図を生成することが必要で、短時間に多数のワイヤの形状測定を行うことが難しかった。
【0006】
また、ワイヤの形状を高精度で検出することが求められている。しかし、ワイヤのボンディング位置の情報は、基板の歪み、半導体ダイのボンディング誤差、ワイヤボンディングによるボンディング位置の誤差等様々な誤差を含んでいる。このため、特許文献1、2に記載されているように予め登録したパッドとリードの位置や接続点情報に基づいて三次元線図を生成した場合には、誤差が大きく高精度にワイヤの三次元線図を生成することが難しかった。
【0007】
そこで、本開示は、ワイヤを含む多数の物品の三次元線図を高精度で生成すると共に、高精度で短時間に物品の形状検査を行うことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の方法は、三次元の物品を垂直上方から撮像した垂直視画像と、物品を複数の斜め上方から撮像した複数の斜視画像とに基づいて物品の三次元線図を生成する方法であって、垂直視画像の中の輪郭線を抽出して物品の垂直視線図を生成する垂直視線図生成ステップと、物品の高さ情報を含む形状パラメータに基づいて、垂直視線図を複数の斜視線図にそれぞれ変換し、変換後の各斜視線図が各斜視画像と重なるまで形状パラメータの調整と、垂直視線図の各斜視線図への変換と、を繰り返して実行する線図変換ステップと、生成した垂直視線図と変換した各斜視線図とを合成して物品の三次元線図を生成する線図合成ステップと、を備えること、を特徴とする。
【0009】
このように、各斜視線図が各斜視画像と重なるまで形状パラメータの調整と垂直視線図の各斜視線図への変換とを繰り返して実行することにより、各斜視画像に正確にフィッテングした各斜視線図を生成できる。これにより物品の三次元線図を高精度で効率的に生成することができる。
【0010】
本開示の方法において、物品は、複数の部品と各部品の間を接続する複数のワイヤとで構成される装置であり、垂直視線図生成ステップは、垂直視画像の中の各部品と各ワイヤの各輪郭線を抽出して装置の垂直視線図を生成し、形状パラメータは、各部品の基準面からの高さと、各部品の表面の傾きと、各ワイヤの屈曲パラメータでもよい。
【0011】
これにより、複数の部品と各部品の間を接続する複数のワイヤとで構成される装置の三次元線図を高精度に効率的に生成することができる。
【0012】
本開示の方法において、垂直視線図生成ステップは、ユーザが描画した垂直視画像の中の輪郭線を垂直視線図として生成し、線図変換ステップは、ユーザが入力した調整後の形状パラメータに基づいて垂直視線図の各斜視線図への変換を行ってもよい。
【0013】
このように、ユーザが描画した垂直視画像の輪郭線を垂直視線図として生成するので、画像処理が困難な垂直視画像でも確実に垂直視線図を生成することができる。また、ユーザの入力により形状パラメータを調整するので、ユーザの意図にあった斜視線図を生成することができる。これにより、ユーザの意図にあった物品の三次元線図を高精度で効率的に生成することができる。
【0014】
また、本開示の方法において、物品は、複数の部品と各部品の間を接続する複数のワイヤとで構成される装置であり、垂直視線図生成ステップは、ユーザが描画した垂直視画像の中の各部品と各ワイヤの各輪郭線を装置の垂直視線図として生成し、形状パラメータは、各部品の基準面からの高さと、各部品の表面の傾きと、各ワイヤの屈曲パラメータでもよい。
【0015】
これにより、ユーザの少ないパラメータの入力により、複数の部品と各部品の間を接続する複数のワイヤとで構成される装置の三次元線図を高精度に効率的に生成することができる。
【0016】
本開示の方法において、各ワイヤは始点と終点との間に複数の屈曲点をそれぞれ有し、屈曲パラメータは、各ワイヤが有する各屈曲点の各三次元座標位置であり、各屈曲点の各三次元座標位置は、それぞれ、基準面の面内でワイヤの始点から終点に向かって延びる長手方向軸と、基準面の面内でワイヤの始点から長手方向軸と直交する方向に延びる横方向軸と、始点を通り基準面に対して垂直方向に延びる高さ方向軸とで構成される座標系における長手方向座標位置と横方向座標位置と高さ方向座標位置の組でもよい。
【0017】
一の部品と他の部品とを複数のワイヤで接続する場合、各ワイヤの始点からの立ち上がりと湾曲形状は同一であるから、複数のワイヤで1つの屈曲パラメータを用いてワイヤの垂直視線図を斜視線図へ効率的に変換することができる。これにより、短時間にワイヤの三次元線図を効率的に生成することができる。
【0018】
本開示の方法において、各屈曲点の各三次元座標位置は、始点と終点との間のワイヤ全長に比例する比例長手方向座標位置と、ワイヤ全長に比例する比例横方向座標位置と、ワイヤ全長に比例する比例高さ方向座標位置と、の組である三次元比例座標位置を含んでもよい。
【0019】
一の部品と他の部品とを複数のワイヤで接続する場合、各ワイヤの終点側の屈曲点の位置は、ワイヤの全長に比例する位置に設定される。このため、屈曲パラメータとしてワイヤの全長に対する比率を規定することにより、複数のワイヤの終点側の屈曲点の位置を規定することができる。そして、少ない形状パラメータで複数のワイヤの形状を規定でき、簡便に形状パラメータの調整を行うことができ、短時間に各ワイヤの各斜視画像に正確にフィッテングした各ワイヤの各斜視線図を効率的に生成できる。
【0020】
本開示の方法において、垂直視線図生成ステップは、複数のワイヤを、始点が位置する部品と、終点が位置する部品と、太さと、が共通するワイヤで構成される複数のグループにグルーピングすると共に、垂直視画像の中の各部品と各ワイヤの各輪郭線を抽出して装置の垂直視線図を生成し、屈曲パラメータは、グループ毎に規定された複数のグループ別屈曲パラメータで構成されており、線図変換ステップは、各グループ別屈曲パラメータに基づいて、各グループに含まれる各ワイヤの各垂直視線図をそれぞれ複数の斜視線図に変換し、各グループに含まれる各ワイヤの変換後の各斜視線図が各グループに含まれる各ワイヤの各斜視画像と重なるまで各グループの各グループ別屈曲パラメータの調整と、各グループに含まれるワイヤの各垂直視線図の各斜視線図への変換とを繰り返して実行してもよい。
【0021】
本開示の方法において、垂直視線図生成ステップは、複数のワイヤを、始点が位置する部品と、終点が位置する部品と、太さと、が共通するワイヤで構成される複数のグループにグルーピングすると共に、垂直視画像の中の各部品と各ワイヤの各輪郭線を抽出して装置の垂直視線図を生成し、屈曲パラメータは、グループ毎に規定された複数のグループ別屈曲パラメータで構成されており、線図変換ステップは、各グループ別屈曲パラメータに基づいて、各グループに含まれる各ワイヤの各垂直視線図をそれぞれ複数の斜視線図に変換し、その後、ユーザが入力した調整後の各グループ別屈曲パラメータに基づいて各グループに含まれる各ワイヤの各垂直視線図の各斜視線図への変換を行ってもよい。
【0022】
始点が位置する部品と、終点が位置する部品と、太さと、が共通するワイヤでは、ワイヤの形状が類似している。このため、ワイヤをグルーピングすることで少ない屈曲パラメータにより各ワイヤの各斜視画像にフィッテングした各ワイヤの各斜視線図を生成できる。
【0023】
本開示の方法において、一のグループにグルーピングされる複数のワイヤは、始点と終点との間に複数の屈曲点をそれぞれ有し、グループ別屈曲パラメータは、一のグループにグルーピングされる各ワイヤが共通に有する各屈曲点の各三次元座標位置であり、各屈曲点の各三次元座標位置は、ぞれぞれ、基準面の面内でワイヤの始点から終点に向かって延びる長手方向軸と、基準面の面内でワイヤの始点から長手方向軸と直交する方向に延びる横方向軸と、始点を通り基準面に対して垂直方向に延びる高さ方向軸とで構成される座標系における長手方向座標位置と横方向座標位置と高さ方向座標位置の組でもよい。
【0024】
始点が位置する部品と、終点が位置する部品と、太さと、が共通するワイヤでは、各ワイヤの始点からの立ち上がりと湾曲形状は同一である。従って、一つのグループに含まれるワイヤにおいては、1つのグループ別屈曲パラメータを用いて各ワイヤの各斜視画像にフィッテングした各ワイヤの各斜視線図を生成できる。
【0025】
本開示の方法において、各屈曲点の各三次元座標位置は、始点と終点との間のワイヤ全長に比例する比例長手方向座標位置と、ワイヤ全長に比例する比例横方向座標位置と、ワイヤ全長に比例する比例高さ方向座標位置と、の組である三次元比例座標位置を含んでもよい。
【0026】
始点が位置する部品と、終点が位置する部品と、太さと、が共通するワイヤでは、各ワイヤの終点側の屈曲点の位置は、ワイヤの全長に比例する位置に設定される。このため、屈曲パラメータとしてワイヤの全長に対する比率を規定することにより、複数のワイヤの終点側の屈曲点の位置を規定することができる。このため、少ない形状パラメータで1つのグループに含まれる複数のワイヤの形状を規定でき、簡便に形状パラメータの調整を行うことができ、短時間に各ワイヤの各斜視画像に正確にフィッテングした各ワイヤの各斜視線図を生成できる。
【0027】
本開示の三次元線図生成装置は、三次元の物品の三次元線図を生成する三次元線図生成装置であって、物品を撮像した画像に基づいて物品の三次元線図を生成する制御部を備え、制御部は、物品を垂直上方から撮像した垂直視画像と、物品を複数の斜め上方から撮像した複数の斜視画像と、を取得し、物品の垂直視画像の中の輪郭線を抽出して物品の垂直視線図を生成し、記憶部に格納した物品の高さ情報を含む形状パラメータに基づいて、垂直視線図を複数の斜視線図にそれぞれ変換し、変換後の各斜視線図が各斜視画像と重なるまで形状パラメータの調整と、垂直視線図の各斜視線図への変換と、を繰り返して実行し、生成した垂直視線図と、各斜視画像と重なった各斜視線図と、を合成して三次元線図を生成すること、を特徴とする。
【0028】
このように、各斜視線図が各斜視画像と重なるまで形状パラメータの調整と垂直視線図の各斜視線図への変換とを繰り返して実行することにより、各斜視画像に正確にフィッテングした各斜視線図を生成できる。これにより物品の三次元線図を高精度で効率的に生成することができる。
【0029】
本開示の三次元線図生成装置において、物品は、複数の部品と各部品の間を接続する複数のワイヤとで構成される装置であり、制御部は、垂直視画像の中の各部品と各ワイヤの各輪郭線を抽出して装置の垂直視線図を生成し、形状パラメータは、各部品の基準面からの高さと、各部品の表面の傾きと、各ワイヤの屈曲パラメータでもよい。
【0030】
これにより、複数の部品と各部品の間を接続する複数のワイヤとで構成される装置の三次元線図を高精度に効率的に生成することができる。
【0031】
本開示の三次元線図生成装置において、画像と線図とを表示する表示部と、ユーザがデータの入力を行う入力部と、を備え、制御部は、物品の垂直視画像を表示部に表示し、ユーザが入力部を操作して描画した垂直視画像の中の輪郭線を垂直視線図として生成し、ユーザが入力部から入力した調整後の形状パラメータに基づいて垂直視線図の各斜視線図への変換を行い、変換後の各斜視線図と各斜視画像とを重ね合わせて表示部に表示すること、を繰り返して実行してもよい。
【0032】
このように、ユーザが表示部に描画した垂直視画像の輪郭線を垂直視線図として生成するので、画像処理が困難な垂直視画像でも確実に垂直視線図を生成することができる。また、ユーザの入力により形状パラメータを調整して変換後の各斜視線図と各斜視画像とを重ね合わせて表示部に表示するので、ユーザは変換後の各斜視線図と各斜視画像とを比較しながら両者が重なるまで形状パラメータを調整することができ、ユーザの意図にあった斜視線図を生成することができる。これにより、ユーザの意図にあった物品の三次元線図を高精度で効率的に生成することができる。
【0033】
本開示の三次元線図生成装置において、物品は、複数の部品と各部品の間を接続する複数のワイヤとで構成される装置であり、制御部は、ユーザが入力部を操作して描画した垂直視画像の中の各部品と各ワイヤの各輪郭線を装置の垂直視線図として生成し、形状パラメータは、各部品の基準面からの高さと、各部品の表面の傾きと、各ワイヤの屈曲パラメータでもよい。
【0034】
これにより、ユーザの少ないパラメータの入力により、複数の部品と各部品の間を接続する複数のワイヤとで構成される装置の三次元線図を高精度に効率的に生成することができる。
【0035】
本開示の三次元線図生成装置において、各ワイヤは始点と終点との間に複数の屈曲点をそれぞれ有し、屈曲パラメータは、各ワイヤが有する各屈曲点の各三次元座標位置であり、各屈曲点の各三次元座標位置は、それぞれ、基準面の面内でワイヤの始点から終点に向かって延びる長手方向軸と、基準面の面内でワイヤの始点から長手方向軸と直交する方向に延びる横方向軸と、始点を通り基準面に対して垂直方向に延びる高さ方向軸とで構成される座標系における長手方向座標位置と横方向座標位置と高さ方向座標位置の組でもよい。
【0036】
一の部品と他の部品とを複数のワイヤで接続する場合、各ワイヤの始点からの立ち上がりと湾曲形状は同一であるから、複数のワイヤで1つの屈曲パラメータを用いてワイヤの垂直視線図を斜視線図へ変換することができる。これにより、ユーザの少ないパラメータの入力によりワイヤの三次元線図を効率的に生成することができる。
【0037】
本開示の三次元線図生成装置において、各屈曲点の各三次元座標位置は、始点と終点との間のワイヤ全長に比例する比例長手方向座標位置と、ワイヤ全長に比例する比例横方向座標位置と、ワイヤ全長に比例する比例高さ方向座標位置と、の組である三次元比例座標位置を含んでもよい。
【0038】
始点が位置する部品と、終点が位置する部品と、太さと、が共通するワイヤでは、各ワイヤの終点側の屈曲点の位置は、ワイヤの全長に比例する位置に設定される。このため、屈曲パラメータとしてワイヤの全長に対する比率を規定することにより、全長の異なる複数のワイヤの終点側の屈曲点の位置を規定することができる。このため、ユーザの少ない形状パラメータの入力で1つのグループに含まれる複数のワイヤの形状を規定できる。
【0039】
本開示の三次元線図生成装置において、制御部は、複数のワイヤを、始点が位置する部品と、終点が位置する部品と、太さと、が共通するワイヤで構成される複数のグループにグルーピングすると共に、垂直視画像の中の輪郭線を抽出して物品の垂直視線図を生成し、記憶部に格納された屈曲パラメータは、グループ毎に規定された複数のグループ別屈曲パラメータで構成されており、制御部は、記憶部に格納された各グループ別屈曲パラメータに基づいて、各グループに含まれる各ワイヤの各垂直視線図をそれぞれ複数の斜視線図に変換し、各グループに含まれる各ワイヤの変換後の各斜視線図が各グループに含まれる各ワイヤの各斜視画像と重なるまで各グループの各グループ別屈曲パラメータの調整と、各グループに含まれるワイヤの各垂直視線図の各斜視線図への変換とを繰り返して実行してもよい。
【0040】
本開示の三次元線図生成装置において、制御部は、複数のワイヤを、始点が位置する部品と、終点が位置する部品と、太さと、が共通するワイヤで構成される複数のグループにグルーピングすると共に、ユーザが入力部を操作して描画した垂直視画像の中の各部品と各ワイヤの各輪郭線を装置の垂直視線図として生成し、記憶部に格納された屈曲パラメータは、グループ毎に規定された複数のグループ別屈曲パラメータで構成されており、制御部は、各グループ別屈曲パラメータに基づいて、各グループに含まれる各ワイヤの各垂直視線図をそれぞれ複数の斜視線図に変換し、その後、ユーザが入力部から入力した調整後の各グループ別屈曲パラメータに基づいて各グループに含まれる各ワイヤの各垂直視線図の各斜視線図への変換を行い、変換後の各斜視線図と各斜視画像とを重ね合わせて表示部に表示すること、を繰り返して実行してもよい。
【0041】
始点が位置する部品と、終点が位置する部品と、太さと、が共通するワイヤでは、ワイヤの形状が類似している。このため、ワイヤをグルーピングすることでユーザの少ない屈曲パラメータの入力により各ワイヤの各斜視画像にフィッテングした各ワイヤの各斜視線図を生成できる。
【0042】
本開示の三次元線図生成装置において、一のグループにグルーピングされる複数のワイヤは、始点と終点との間に複数の屈曲点をそれぞれ有し、グループ別屈曲パラメータは、一のグループにグルーピングされる各ワイヤが共通に有する各屈曲点の各三次元座標位置であり、各屈曲点の各三次元座標位置は、ぞれぞれ、基準面の面内でワイヤの始点から終点に向かって延びる長手方向軸と、基準面の面内でワイヤの始点から長手方向軸と直交する方向に延びる横方向軸と、始点を通り基準面に対して垂直方向に延びる高さ方向軸とで構成される座標系における長手方向座標位置と横方向座標位置と高さ方向座標位置の組でもよい。
【0043】
始点が位置する部品と、終点が位置する部品と、太さと、が共通するワイヤでは、各ワイヤの始点からの立ち上がりと湾曲形状は同一である。従って、一つのグループに含まれるワイヤにおいては、ユーザが1つのグループ別屈曲パラメータを調整することにより各ワイヤの各斜視画像にフィッテングした各ワイヤの各斜視線図を生成できる。
【0044】
本開示の三次元線図生成装置において、各屈曲点の各三次元座標位置は、始点と終点との間のワイヤ全長に比例する比例長手方向座標位置と、ワイヤ全長に比例する比例横方向座標位置と、ワイヤ全長に比例する比例高さ方向座標位置と、の組である三次元比例座標位置を含んでもよい。
【0045】
これにより、ユーザの少ないパラメータの入力により各ワイヤの各斜視画像にフィッテングした各ワイヤの各斜視線図を生成できる。
【0046】
本開示の三次元形状検査装置は、三次元の物品の形状検査を行う三次元形状検査装置であって、物品の標準品のマスタ三次元線図を生成するマスタ三次元線図生成部と、物品の三次元線図とマスタ三次元線図とを比較して物品の検査を行う検査部と、を備え、マスタ三次元線図生成部は、標準品を垂直上方から撮像した標準垂直視画像と、標準品を複数の斜め上方から撮像した複数の標準斜視画像とを取得し、標準品の標準垂直視画像の中の輪郭線を抽出して標準品の標準垂直視線図を生成し、記憶部に格納した標準品の高さ情報を含む形状パラメータに基づいて、標準垂直視線図を複数の標準斜視線図にそれぞれ変換し、変換後の各標準斜視線図が各標準斜視画像と重なるまで形状パラメータの調整と、標準垂直視線図の各標準斜視線図への変換と、を繰り返して実行し、生成した標準垂直視線図と、各標準斜視画像と重なった各標準斜視線図と、を合成してマスタ三次元線図を生成し、検査部は、物品を垂直上方から撮像した垂直視画像と、物品を複数の斜め上方から撮像した複数の斜視画像と、を取得し、マスタ三次元線図を参照しながら垂直視画像から輪郭線を抽出して物品の垂直視線図を生成し、マスタ三次元線図を参照しながら各斜視画像から輪郭線をそれぞれ抽出して物品の複数の斜視線図を生成し、垂直視線図と各斜視線図とを合成して物品の三次元線図を生成し、生成した物品の三次元線図とマスタ三次元線図とを比較して物品の三次元形状の検査を行うこと、を特徴とする。
【0047】
このように、各標準斜視線図が各標準斜視画像と重なるまで形状パラメータの調整と標準垂直視線図の各標準斜視線図への変換とを繰り返して実行することにより、各標準斜視画像に正確にフィッテングした各標準斜視線図を生成できる。これにより物品のマスタ三次元線図を高精度で生成することができる。そして、高精度のマスタ三次元線図を参照して物品の三次元線図を生成してマスタ三次元線図と比較することにより物品の形状の検査を行うので、ワイヤを含む多数の物品の形状を高精度で短時間に検査することができる。
【0048】
本開示の三次元形状検査装置において、物品及び標準品は、複数の部品と各部品の間を接続する複数のワイヤとで構成される装置であり、マスタ三次元線図生成部は、標準垂直視画像の中の各部品と各ワイヤの各輪郭線を抽出して装置の標準垂直視線図を生成し、形状パラメータは、各部品の基準面からの高さと、各部品の表面の傾きと、各ワイヤの屈曲パラメータでもよい。
【0049】
これにより、複数の部品と各部品の間を接続する複数のワイヤとで構成される装置の三次元線図を高精度に生成し、ワイヤを含む多数の物品の形状を高精度で短時間に検査することができる。
【0050】
本開示の三次元形状検査装置において、画像と線図とを表示する表示部と、ユーザがデータの入力を行う入力部と、を備え、マスタ三次元線図生成部は、標準品の標準垂直視画像を表示部に表示し、ユーザが入力部を操作して描画した標準垂直視画像の中の輪郭線を標準垂直視線図として生成し、ユーザが入力部から入力した調整後の形状パラメータに基づいて標準垂直視線図の各標準斜視線図への変換を行い、変換後の各標準斜視線図と各標準斜視画像とを重ね合わせて表示部に表示すること、を繰り返して実行してもよい。
【0051】
本開示の三次元形状検査装置において、物品及び標準品は、複数の部品と各部品の間を接続する複数のワイヤとで構成される装置であり、マスタ三次元線図生成部は、ユーザが入力部を操作して描画した標準垂直視画像の中の各部品と各ワイヤの各輪郭線を装置の標準垂直視線図として生成し、形状パラメータは、各部品の基準面からの高さと、各部品の表面の傾きと、各ワイヤの屈曲パラメータでもよい。
【0052】
本開示の三次元形状検査装置において、各ワイヤは始点と終点との間に複数の屈曲点をそれぞれ有し、屈曲パラメータは、各ワイヤが有する各屈曲点の各三次元座標位置であり、各屈曲点の各三次元座標位置は、それぞれ、基準面の面内でワイヤの始点から終点に向かって延びる長手方向軸と、基準面の面内でワイヤの始点から長手方向軸と直交する方向に延びる横方向軸と、始点を通り基準面に対して垂直方向に延びる高さ方向軸とで構成される座標系における長手方向座標位置と横方向座標位置と高さ方向座標位置の組でもよい。
【0053】
本開示の三次元形状検査装置において、各屈曲点の各三次元座標位置は、始点と終点との間のワイヤ全長に比例する比例長手方向座標位置と、ワイヤ全長に比例する比例横方向座標位置と、ワイヤ全長に比例する比例高さ方向座標位置と、の組である三次元比例座標位置を含んでもよい。
【0054】
本開示の三次元形状検査装置において、マスタ三次元線図生成部は、複数のワイヤを、始点が位置する部品と、終点が位置する部品と、太さと、が共通するワイヤで構成される複数のグループにグルーピングすると共に、標準品の標準垂直視画像の中の輪郭線を抽出して標準品の標準垂直視線図を生成し、記憶部に格納された屈曲パラメータは、グループ毎に規定された複数のグループ別屈曲パラメータで構成されており、マスタ三次元線図生成部は、各グループ別屈曲パラメータに基づいて、各グループに含まれる各ワイヤの各標準垂直視線図をそれぞれ複数の標準斜視線図に変換し、各グループに含まれる各ワイヤの変換後の各標準斜視線図が各グループに含まれる各ワイヤの各標準斜視画像と重なるまで各グループの各グループ別屈曲パラメータの調整と、各グループに含まれるワイヤの各標準垂直視線図の各標準斜視線図への変換とを繰り返して実行してもよい。
【0055】
本開示の三次元形状検査装置において、マスタ三次元線図生成部は、複数のワイヤを、始点が位置する部品と、終点が位置する部品と、太さと、が共通するワイヤで構成される複数のグループにグルーピングすると共に、ユーザが入力部を操作して描画した標準垂直視画像の中の各部品と各ワイヤの各輪郭線を標準品の垂直視線図として生成し、記憶部に格納された屈曲パラメータは、グループ毎に規定された複数のグループ別屈曲パラメータで構成されており、マスタ三次元線図生成部は、各グループ別屈曲パラメータに基づいて、各グループに含まれる各ワイヤの各標準垂直視線図をそれぞれ複数の標準斜視線図に変換し、その後、ユーザが入力部から入力した調整後の各グループ別屈曲パラメータに基づいて各グループに含まれる各ワイヤの各標準垂直視線図の各標準斜視線図への変換を行い、変換後の各標準斜視線図と各標準斜視画像とを重ね合わせて表示部に表示すること、を繰り返して実行してもよい。
【0056】
本開示の三次元形状検査装置において、一のグループにグルーピングされる複数のワイヤは、始点と終点との間に複数の屈曲点をそれぞれ有し、グループ別屈曲パラメータは、一のグループにグルーピングされる各ワイヤが共通に有する各屈曲点の各三次元座標位置であり、各屈曲点の各三次元座標位置は、それぞれ、基準面の面内でワイヤの始点から終点に向かって延びる長手方向軸と、基準面の面内でワイヤの始点から長手方向軸と直交する方向に延びる横方向軸と、始点を通り基準面に対して垂直方向に延びる高さ方向軸とで構成される座標系における長手方向座標位置と横方向座標位置と高さ方向座標位置の組でもよい。
【0057】
本開示の三次元形状検査装置において、各屈曲点の各三次元座標位置は、始点と終点との間のワイヤ全長に比例する比例長手方向座標位置と、ワイヤ全長に比例する比例横方向座標位置と、ワイヤ全長に比例する比例高さ方向座標位置と、の組である三次元比例座標位置を含んでもよい。
【発明の効果】
【0058】
本開示は、ワイヤを含む多数の物品の三次元線図を高精度で生成すると共に、高精度で短時間に物品の形状検査を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0059】
図1】実施形態の三次元線図生成装置の系統構成を示す立面図である。
図2】実施形態の三次元線図生成装置の系統構成を示す平面図である。
図3】三次元の物品である半導体装置を示す立面図であって、図2に示すA部の詳細立面図である。
図4】三次元の物品である半導体装置を示す平面図であって、図2に示すA部の詳細平面図である。
図5】実施形態の三次元線図生成装置の構成を示す機能ブロック図である。
図6図5に示す部品形状パラメータデータベースのデータ構造を示す図である。
図7図5に示す屈曲パラメータデータベースのデータ構造を示す図である。
図8図7に示す屈曲パラメータデータに基づいて算出した各ワイヤのワイヤ別屈曲パラメータのデータ構造を示す図である。
図9】実施形態の三次元線図生成装置の動作を示すフローチャートである。
図10】実施形態の三次元線図生成装置の表示部に垂直視カメラで撮像した半導体装置の垂直視画像を表示した状態を示す図である。
図11】実施形態の三次元線図生成装置の表示部に斜視カメラで撮像した半導体装置の斜視画像を表示した状態を示す図である。
図12】実施形態の三次元線図生成装置の表示部に垂直視カメラで撮像した半導体装置の垂直視画像の輪郭線を描画した垂直視線図を表示した図である。
図13】実施形態の三次元線図生成装置の表示部に図11に示す斜視画像と図12に示す垂直視線図とを重ね合わせて表示した図である。
図14】実施形態の三次元線図生成装置の表示部に調整前の形状パラメータを用いて図12に示す垂直視線図を変換した斜視線図を表示した図である。
図15】実施形態の三次元線図生成装置の表示部に図14に示す斜視線図と図11に示す斜視画像とを重ね合わせて表示した図である。
図16】実施形態の三次元線図生成装置の表示部に調整後の形状パラメータを用いて図12に示す垂直視線図を変換して図11に示す斜視画像と重なるようにした斜視線図を表示した図である。
図17】他の実施形態の三次元線図生成装置の系統構成を示す立面図である。
図18図17に示す半導体装置の平面図である。
図19図18に示す半導体装置のB部の詳細立面図である。
図20図18に示す半導体装置のB部の詳細平面図である。
図21】他の実施形態の三次元線図生成装置の機能ブロック図である。
図22図21に示すワイヤグルーピングデータベースのデータ構造を示す図である。
図23図21に示す部品形状パラメータデータベースのデータ構造を示す図である。
図24図21に示すグループ別屈曲パラメータデータベースのデータ構造を示す図である。
図25図21に示すグループ別屈曲パラメータデータに基づいて算出した各ワイヤのワイヤ別屈曲パラメータのデータ構造を示す図である。
図26】他の実施形態の三次元線図生成装置の動作を示すフローチャートである。
図27】他の実施形態の三次元線図生成装置の動作を示すフローチャートで、図26に示すフローチャートの続きである。
図28】他の実施形態の三次元線図生成装置の表示部に垂直視カメラで撮像した図17図20に示す半導体装置の垂直視画像を表示した状態を示す図である。
図29】他の実施形態の三次元線図生成装置の表示部に斜視カメラで撮像した図17図20に示す半導体装置の斜視画像を表示した状態を示す図である。
図30】他の実施形態の三次元線図生成装置の表示部に図17図20に示す半導体装置の垂直視線図を表示した状態を示す図である。
図31】他の実施形態の三次元線図生成装置の表示部に図17図20に示す半導体装置の斜視線図を表示した状態を示す図である。
図32】実施形態の三次元形状検査装置のマスタ三次元線図生成部の構成を示す機能ブロック図である。
図33】実施形態の三次元形状検査装置の検査部の構成を示す機能ブロック図である。
図34】実施形態の三次元形状検査装置のマスタ三次元線図生成部の動作を示すフローチャートである。
図35】実施形態の三次元形状検査装置の検査部の動作を示すフローチャートである。
図36】実施形態の三次元形状検査装置において、標準垂直視線図と検査対象の半導体装置の垂直視画像とを重ね合わせた状態を示す図である。
図37】実施形態の三次元形状検査装置において、標準斜視線図と検査対象の半導体装置の斜視画像とを重ね合わせた状態を示す図である。
図38】他の実施形態の三次元形状検査装置のマスタ三次元線図生成部の構成を示す機能ブロック図である。
図39】他の実施形態の三次元形状検査装置のマスタ三次元線図生成部の動作を示すフローチャートである。
図40】他の実施形態の三次元形状検査装置のマスタ三次元線図生成部と入力部と表示部との構成を示す機能ブロック図である。
図41図2、3に示すワイヤの始点近傍の屈曲部に複数の屈曲点を設定した例である。
【発明を実施するための形態】
【0060】
以下、図面を参照しながら実施形態の三次元線図生成装置100について説明する。三次元線図生成装置100は、三次元の物品を撮像した撮像画像に基づいて物品の三次元線図を生成する装置である。以下の説明では、三次元線図生成装置100は、三次元の物品である半導体装置10の三次元線図を生成することとして説明するが、半導体装置10の他の三次元の物品の三次元線図を生成することもできる。ここで、半導体装置10は、図1、2に示すようなリードフレーム11と、リードフレーム11に取付けられた半導体チップ20と、半導体チップ20のパッド25とリードフレーム11のリード12を接続するワイヤ30と、で構成されるとして説明するが、他の構成の半導体装置10でも構わない。
【0061】
図1、2に示すように、三次元線図生成装置100は、1つの垂直視カメラ41と、4つの斜視カメラ42~45と、制御部50と、入力部53と、表示部54とで構成されている。又、三次元線図生成装置100は、半導体装置10を照明する照明装置46を備えている。尚、以下の説明では、X方向、Y方向は水平面で互いに直交する方向であり、Z方向は垂直方向であるとして説明する。尚、実施形態の三次元線図生成装置100は、4つの斜視カメラ42~45を備えることとして説明するが、これに限定されない。斜視カメラは2つ以上あればよく、4つ以上であってもよい。
【0062】
図1、2に示すように、垂直視カメラ41は、光軸41aが半導体装置10の表面に対して垂直にZ方向に延びるように、半導体装置10の直上に配置され、半導体装置10を垂直上方から撮像して図10に示すような垂直視画像110を取得する。斜視カメラ42、43は、光軸42a、43aがX方向に延びるように配置されており、X方向の斜め上方向から半導体装置10を撮像するように配置されている。また、斜視カメラ44、45は、光軸44a,45aがY方向に延びるように配置されており、Y方向の斜め上方から半導体装置10を撮像するように配置されている。斜視カメラ42~45は、複数の斜め上方から半導体装置10を撮像して図11に示すような複数の斜視画像510を取得する。垂直視カメラ41と、斜視カメラ42~45が取得した画像データは、制御部50に入力される。照明装置46は、例えば、LED又はランプの様な複数の波長を含む可視光を発する可視光照明装置でもよい。
【0063】
制御部50は、内部に情報処理を行うプロセッサであるCPU51とデータやプログラム等を格納する記憶部52とを備えるコンピュータである。制御部50は、垂直視カメラ41の取得した垂直視画像110と、斜視カメラ42~45の取得した斜視画像510とに基づいて半導体装置10の三次元線図を生成する。制御部50の構成の詳細については、後で図5を参照しながら説明する。制御部50には、ユーザが制御部50にデータの入力を行う入力部53が接続されている。また、制御部50には、画像や線図の表示を行う表示部54が接続されている。入力部53は、例えば、キーボードやマウス等で構成してもよい。表示部54は、例えば、ディスプレイで構成してもよい。
【0064】
次に図3図4を参照して半導体装置10のワイヤ30の詳細構造について説明する。尚、説明のため、半導体チップ20のパッド25と、リードフレーム11のリード12とは、半導体チップ20、リードフレーム11の表面より突出しているとするが、これに限らず、パッド25、リード12は半導体チップ20、リードフレーム11の表面と同一面でもよいし、表面より凹んでいてもよい。
【0065】
図3に示す例では、ワイヤ30は、半導体チップ20のパッド25とリードフレーム11のリード12とを接続する。ワイヤ30は、パッド25の上にボンディングされた後、複数の屈曲部が形成され、その後、リード12に向かってルーピングされ、リード12にボンディングされる。従って、ワイヤ30は、パッド25の上の始点31と、パッド25の近傍に位置する第1屈曲点32~第3屈曲点34と、終点側の第4屈曲点35と、リード12の上の終点36を備えている。以下の説明では、ワイヤ30は、始点31と、第1~第4屈曲点32~35と、終点36とを結んだ折れ線形状であるとして説明する。始点31と、第1~第4屈曲点32~35、終点36の各位置は、基準面であるリードフレーム11の上面11aの面内でワイヤ30の始点31から終点36に向かって延びる長手方向軸Lと、リードフレーム11の上面11a面内でワイヤ30の始点31から長手方向軸Lと直交する方向に延びる横方向軸Rと、始点31を通り、リードフレーム11の上面11aに対して垂直方向に延びる高さ方向軸Hとで構成されるLRH座標系における長手方向座標位置Lnと横方向座標位置Rnと高さ方向座標位置Hnの組で表される。ここで、nは自然数であり、LRH座標系における長手方向座標位置Lnと横方向座標位置Rnと高さ方向座標位置Hnの組は三次元座標位置を構成する。
【0066】
このLRH座標系によって始点31の位置を示すと、図3図4に示すように、始点31の座標位置は、(L1,R1,H1)で表される。同様に、第1屈曲点32~第4屈曲点35の各座標位置は、それぞれ、(L2,R2,H2)、(L3,R3,H3)、(L4,R4,H4)、(L5,R5,H5)で表される。また、終点36の座標位置は、(L6,R6,H6)で表される。図4に示すように、ワイヤ30の始点31から終点36までの長手方向軸Lに沿った全長は、ワイヤ全長LTである。また、始点31から第4屈曲点35までの長手方向軸Lに沿った長さは、長さL5である。
【0067】
次に図5を参照しながら実施形態の三次元線図生成装置100の制御部50の詳細について説明する。図5に示すように、三次元線図生成装置100の制御部50は、画像取得部61と、垂直視線図生成部62と、線図変換部63と、線図合成部64と、三次元線図格納部65と、形状パラメータデータベース70とを含んでいる。
【0068】
画像取得部61は、垂直視カメラ41と、斜視カメラ42~45とが接続され、垂直視カメラ41が取得した垂直視画像110と、斜視カメラ42~45がそれぞれ取得した複数の斜視画像510とが入力される。画像取得部61は、垂直視画像110を垂直視線図生成部62に出力し、斜視画像510を線図変換部63に出力する。
【0069】
垂直視線図生成部62には、入力部53と表示部54とが接続されている。垂直視線図生成部62は、画像取得部61から入力された垂直視画像110を表示部54に表示する。また、垂直視線図生成部62は、ユーザが入力部53を操作して描画した垂直視画像110の中の輪郭線の描画線を表示部54に表示する。そして、ユーザの入力した垂直視画像110の中の輪郭線を図12に示す垂直視線図110aとして生成して線図変換部63と線図合成部64とに出力する。
【0070】
線図変換部63は、形状パラメータデータベース70に格納された形状パラメータに基づいて垂直視線図生成部62から入力された垂直視線図110aを斜視線図510aに変換し、変換後の斜視線図510aと画像取得部61から入力された斜視画像510とを重ね合わせて表示部54に表示する。また、線図変換部63は、ユーザが入力部53から入力した調整後の形状パラメータに基づいて垂直視線図生成部62から入力された垂直視線図110aを斜視線図510aに変換し、変換後の斜視線図510aと画像取得部61から入力された斜視画像510とを重ね合わせて表示部54に表示することをユーザが承認するまで繰り返して実行する。線図変換部63は、図16に示すようなユーザが承認した斜視線図510aを線図合成部64に出力する。
【0071】
線図合成部64は、垂直視線図生成部62から入力された垂直視線図110aと線図変換部63から入力された斜視線図510aとを合成して半導体装置10の三次元線図を生成する。三次元線図は、ワイヤ30の始点31、第1~第4屈曲点32~35、終点36を接続する線図に沿って配置された多数の点の集合、及び、パッド25、リード12の輪郭線に沿って配置された多数の点の集合で構成されており、三次元線図はこれらの各点の位置情報を含んでいる。位置情報は、例えば、図1、2に示すXYZ座標系で規定される座標位置である。線図合成部64は、生成した三次元線図を三次元線図格納部65に格納する。
【0072】
形状パラメータデータベース70は、半導体装置10の高さ情報を含む各種のパラメータを格納したデータベースであり、部品形状パラメータデータベース71と、屈曲パラメータデータベース72とを含んでいる。
【0073】
図6に示すように部品形状パラメータデータベース71は、半導体装置10を構成するワイヤ30以外の部品であるリードフレーム11、リード12、半導体チップ20、パッド25の高さと、表面の傾斜とを格納したデータベースである。図6に示す基準面は、図3に示すリードフレーム11の上面11aである。従って、リードフレーム11の基準面からの高さZは、0となる。また、リード12の表面、半導体チップ20の表面、パッド25の表面は、それぞれリードフレーム11の上面11aよりも10μm、200μm、210μmだけ高いことを示す。また、各部品の表面の傾斜は、X方向傾斜XT、Y方向傾斜YR、Z方向傾斜ZRの組で表される。
【0074】
図7に示す屈曲パラメータデータベース72は、図3図4に示すワイヤ30の始点31、第1~第4屈曲点32~35、終点36のLRH座標系における長手方向座標位置Lnと横方向座標位置Rnと高さ方向座標位置Hnの組と、後で説明する比例長手方向座標位置LPnと比例横方向座標位置RPnと比例高さ方向座標位置Hpnとの組とを関連付けて格納したデータベースである。ここで、長手方向座標位置Lnと横方向座標位置Rnと高さ方向座標位置Hnの組は三次元座標位置を構成し、比例長手方向座標位置LPnと比例横方向座標位置RPnと比例高さ方向座標位置Hpnとの組は、三次元比例座標位置を構成する。
【0075】
比例長手方向座標位置LPnは、ワイヤ30のワイヤ全長LTの始点から何%の位置に屈曲点が位置するかを示している。また、比例横方向座標位置RPnはその屈曲点の横方向座標位置がワイヤ30のワイヤ全長LTの何%の位置となっているかを示している。そして、比例高さ方向座標位置Hpnは、その屈曲点よりも始点31の側の屈曲点からの高さ方向の変位がワイヤ30の全長の何%となるかを示している。図7の例では、第4屈曲点35の長手方向座標位置Lは、始点31からワイヤ30のワイヤ全長LTの60%の位置にあり、横方向座標位置は0であり、高さは始点31の側の第3屈曲点34の高さ位置からワイヤ30の全長の1%だけ低くなっていることを示している。
【0076】
図8に示すように、ワイヤ30の全長が1900μmの場合の第4屈曲点35の長手方向座標位置L5は、1900×60%=1140μmとなる。また、第4屈曲点35の高さ方向座標位置は、始点31の側の第3屈曲点34の高さ座標位置300μmよりも1900×1%=19μmだけ低い281μmとなる。ワイヤ30の長さが2300μmの場合の第4屈曲点35の長手方向座標位置、高さ方向座標位置は、それぞれ、1380μm、277μmとなる。また、ワイヤ30の長さが2500μmの場合の第4屈曲点35の長手方向座標位置、高さ方向座標位置は、それぞれ、1500μm、272μmとなる。尚、図7に示す屈曲パラメータデータベース72の長手方向座標位置Lnと横方向座標位置Rnと高さ方向座標位置Hnのいずれかが0でない場合には、屈曲パラメータデータベース72に格納されている長手方向座標位置Lnと横方向座標位置Rnと高さ方向座標位置Hnの数値がそのまま各座標位置となる。
【0077】
図1図4に示すように、半導体チップ20のパッド25とリードフレーム11のリード12との間を複数のワイヤ30で接続する場合、複数のワイヤ30はワイヤ全長LTの異なる複数種類のワイヤ30を含んでいる。ここで、複数のワイヤ30の始点31からの立ち上がりと湾曲形状はみな同一である。従って、始点31の近傍の第1~第3屈曲点32~34の始点31に対する相対位置は同一位置となる。このため、図7に示す屈曲パラメータデータベース72では、第1~第3屈曲点32~34のLRH座標系(図3図4参照)の長手方向座標位置Lnと横方向座標位置Rnと高さ方向座標位置Hnは、複数のワイヤ30の第1~第3屈曲点32~34に対してそれぞれ1組だけ規定されている。
【0078】
一方、複数のワイヤ30の終点側の第4屈曲点35の位置は、ワイヤ30のワイヤ全長LTに比例する位置に設定される。このため、第4屈曲点35の屈曲パラメータとしてワイヤ30のワイヤ全長LTに対する比率を規定することにより、図7図8を参照して説明したように、複数のワイヤ30の終点側の第4屈曲点35の位置を1つのパラメータで規定することができる。
【0079】
このように、図7に示す屈曲パラメータデータベース72は、少ないパラメータで複数のワイヤ30の始点31、第1~第4屈曲点32~35、終点36の座標位置を規定したものである。
【0080】
以上説明した制御部50の各機能ブロックの内の画像取得部61、垂直視線図生成部62、線図変換部63、線図合成部64は、図1に示す記憶部52に格納したプログラムをプロセッサであるCPU51が実行することにより実現できる。また、三次元線図格納部65、形状パラメータデータベース70は、所定のデータ構造のデータを記憶部52に格納することで実現できる。
【0081】
次に図9図16を参照しながら実施形態の三次元線図生成装置100の動作について説明する。
【0082】
図9のステップS101に示すように、画像取得部61は、垂直視カメラ41で撮像した半導体装置10の垂直視画像110を取得して記憶部52に格納すると共に、垂直視線図生成部62に出力する。図1、2に示す垂直視カメラ41で図2に示す半導体装置10のA部を撮像した垂直視画像110を図10に示す。図10に示すように、垂直視画像110は、垂直視パッド画像125、垂直視ワイヤ画像130、垂直視リード画像112、垂直視半導体チップ画像120を含んでいる。図10に示すように、垂直視ワイヤ画像130は、垂直視始点画像131と、垂直第1~第4屈曲点画像132~135、垂直視終点画像136とを含み、垂直視始点画像131と垂直視終点画像136の間を結ぶ直線状の画像となっている。また、垂直視始点画像131は、LRH座標系の原点に重なっている。
【0083】
画像取得部61は、図9のステップS102で、4つの斜視カメラ42~45で撮像した複数の斜視図画像を取得して記憶部52に格納すると共に、取得した斜視画像を線図変換部63に出力する。
【0084】
図2に示す斜視カメラ45で半導体装置10の図1に示すA部を撮像した斜視画像510を図11に示す。図11に示すように、斜視画像510は、斜視パッド画像525、斜視ワイヤ画像530、斜視リード画像512、斜視半導体チップ画像520を含んでいる。図3に示すように、パッド25とリード12とは基準面であるリードフレーム11の上面11aよりも高くなっている。このため、斜視パッド画像525、斜視リード画像512は、パッド25とリード12の高さに応じてLRH座標の原点からR方向プラス側にずれている。
【0085】
また、斜視ワイヤ画像530は、斜視始点画像531と、斜視第1~第4屈曲点画像532~535と、斜視終点画像536とを含んでいる。ワイヤ30の始点31と終点36とはそれぞれパッド25、リード12の表面に位置しているので、斜視パッド画像525、斜視リード画像512と同様、パッド25とリード12の高さに応じてLRH座標の原点からR方向プラス側にずれている。また、ワイヤ30の第1~第4屈曲点32~35も基準面であるリードフレーム11の上面11aよりも高い位置となっている。このため、斜視第1~第4屈曲点画像532~535は第1~第4屈曲点32~35のリードフレーム11の上面11aからの高さに応じてR方向プラス側にずれている。このため、斜視ワイヤ画像530は全体としてR方向プラス側に突に湾曲した画像となっている。
【0086】
図9のステップS103において、垂直視線図生成部62は、画像取得部61から入力された図10に示す垂直視画像110を表示部54に表示する。ユーザが入力部53を操作して表示部54に表示された垂直視画像110の輪郭に沿って輪郭線を描画すると、垂直視線図生成部62は、ユーザの入力した描画線を垂直視画像110に重ね合わせて表示部54に表示する。これにより、ユーザは、表示部54に表示された垂直視画像110の輪郭線を描画することができる。そして、ユーザの輪郭線の描画が終了したら、垂直視線図生成部62は、図9のステップS104においてユーザが描画した垂直視画像110の輪郭線を図12に示すような垂直視線図110aとして生成する(垂直視線図生成ステップ)。図10に示すように垂直視線図110aは、垂直視パッド線図125a、垂直視リード線図112a、垂直視ワイヤ線図130a、垂直視半導体チップ線図120aを含んでいる。ここで、垂直視ワイヤ線図130aは、垂直視始点線図131a、垂直視第1~第4屈曲点線図132a~135a、垂直視終点線図136aを含んでいる。そして、垂直視線図生成部62は、生成した垂直視線図110aを線図変換部63に出力する。
【0087】
以下の説明では、線図変換部63が斜視カメラ45で撮像した斜視画像510を処理する場合について説明する。線図変換部63は、図9のステップS105において、形状パラメータデータベース70に格納した形状パラメータを用いて図12に示す垂直視線図110aを図15に示すように斜視画像510に近似する斜視線図510aに変換する(線図変換ステップ)。図13に示すように、変換前の垂直視線図110aは斜視画像510とずれている。
【0088】
線図変換部63は、図6に示す部品形状パラメータデータベース71に格納されたリードフレーム11、リード12、半導体チップ20、パッド25それぞれの基準面であるリードフレーム11の上面11aからの高さZと、各部位の表面の傾きと、各斜視カメラ42~45の配置位置、半導体装置10に対する各光軸42a~45aの傾斜角度に基づいて、各斜視カメラ42~45で半導体装置10を撮像した場合に、表示部54に表示される斜視リード画像512、斜視半導体チップ画像520、斜視パッド画像525の位置を計算する。そして、その位置に垂直視リード線図112a、垂直視半導体チップ線図120a、垂直視パッド線図125aを移動させて斜視リード線図512a、斜視半導体チップ線図520a、斜視パッド線図525aに変換する。
【0089】
次に、線図変換部63は、図7に示す屈曲パラメータデータベース72に基づいて、図8に示すような複数のワイヤ30のワイヤ別屈曲パラメータを算出して記憶部52に格納する。そして、線図変換部63は、図8に示すワイヤ別屈曲パラメータと、各斜視カメラ42~45の配置位置、各ワイヤ30に対する各光軸42a~45aの傾斜角度に基づいて、各斜視カメラ42~45でワイヤ30を撮像した場合に、表示部54に表示される斜視始点画像531、斜視第1~第4屈曲点画像532~535、斜視終点画像536の位置を計算する。そして、図14に示すように、その位置に垂直視始点線図131a、垂直視第1~第4屈曲点線図132a~135a、垂直視終点線図136aを移動させて、それぞれ、斜視始点線図531a、斜視第1~第4屈曲点線図532a~535a、斜視終点線図536aに変換し、その間を線で接続して斜視ワイヤ線図530aを生成する。
【0090】
線図変換部63は、図9のステップS105で半導体装置10の垂直視線図110aを斜視画像510に近似する斜視線図510aに変換したら、図9のステップS106、図15に示すように、半導体装置10の斜視画像510と斜視線図510aとを重ね合わせて表示部54に表示する。
【0091】
図15に示すように、表示部54に表示される斜視画像510に近似する斜視線図510aは斜視画像510と僅かながらずれている。ユーザは、表示部54に表示された斜視画像510と斜視線図510aとを対比して部品形状パラメータ、あるいは屈曲パラメータを入力する。線図変換部63は、図9のステップS107においてユーザの入力に基づいて、部品形状パラメータ、あるいは屈曲パラメータを調整する。部品形状パラメータ、あるいは屈曲パラメータの調整は、例えば、ユーザの入力により、図6に示す部品形状パラメータデータベース71の各セルに格納されている基準面からの高さZやXYZ方向の傾斜のデータを更新して記憶部52に格納すると共に、図7に示す屈曲パラメータデータベース72の各座標位置のデータを更新して記憶部52に格納するようにしてもよい。
【0092】
線図変換部63は、図9のステップS108で、調整後の部品形状パラメータ、屈曲パラメータを用いて図9のステップS105と同様、垂直視線図110aを斜視線図510aに変換し、図9のステップS109で半導体装置10の斜視画像510と斜視線図510aとを重ね合わせて表示部54に表示する(線図変換ステップ)。そして、線図変換部63は、図9のステップS110で入力部53からユーザの承認入力があったかどうか判断する。そして、ユーザからの承認がない場合には、図9のステップS113でユーザの入力を受け付け、図9のステップS107に戻って形状パラメータの調整を行い、図9のステップS109で垂直視線図110aを斜視線図510aに変換し、図9のステップS109で斜視画像510と斜視線図510aとを重ね合わせて表示部54に表示する。このように、線図変換部63は、図9のステップS110でユーザが承認入力を行うまで、図9のステップS107~S110、S113を繰り返し実行する。
【0093】
ユーザの入力によって形状パラメータを調整することにより、表示部54に重ね合わせて表示される斜視線図510aと斜視画像510のずれは次第に小さくなり、図16に示すように一点鎖線で示す斜視線図510aと実線で示す斜視画像510の輪郭線とが重なる。尚、図16では、斜視線図510aと斜視画像510の輪郭線とを明示するために図中ではわずかにずらして記載しているが、実際には、一点鎖線で示す斜視線図510aと実線で示す斜視画像510の輪郭線とは重なっている。そして、ユーザが図9のステップS110で承認入力を行ったら線図変換部63は、承認された斜視線図510aを記憶部52に格納する。
【0094】
尚、斜視線図510aと実線で示す斜視画像510の輪郭線とが重なった際には、図6に示す部品形状パラメータデータベース71の各セルに格納されている基準面からの高さZやXYZ方向の傾斜のデータは、半導体装置10の各部品の高さと傾斜を示すデータとなっている。このため、部品形状パラメータデータベース71の各セルに格納されている基準面からの高さZやXYZ方向の傾斜のデータを用いて半導体装置10の各部品の高さと傾斜を検出することもできる。
【0095】
以上の説明では、線図変換部63が、半導体装置10を斜視カメラ45で撮像した場合に表示部54に表示される斜視画像に一致するような斜視線図510aに垂直視線図110aを変換することを説明したが、他の斜視カメラ42~44で撮像した場合に表示部54に表示される斜視画像に一致するような斜視線図に垂直視線図110aを変換する場合も同様である。
【0096】
線図変換部63は、半導体装置10を4つの斜視カメラ42~45で撮像した場合に表示部54に表示される各斜視画像に一致するような各斜視線図に垂直視線図110aをそれぞれ変換し、変換後の各斜視線図を記憶部52に格納する。線図合成部64は、図9のステップS111で垂直視線図110aと各斜視線図を合成して半導体装置10の三次元線図を生成する(線図合成ステップ)。線図合成部64は、ワイヤ30の始点31、第1~第4屈曲点32~35、終点36を接続する線に沿って配置された多数の点の集合、及び、パッド25、リード12の輪郭線に沿って配置された多数の点の集合として三次元線図を構成する。そして、三次元線図を構成する多数の点の座標位置を算出し、各座標位置を各点と関連付けて半導体装置10の各部位の位置情報を含む三次元線図として生成する。ここで、位置情報は、例えば、図1、2に示すXYZ座標系で規定される座標位置である。
【0097】
そして、線図合成部64は、図9のステップS112で生成した半導体装置10の各部位の位置情報を含む三次元線図を記憶部52の三次元線図格納部65に格納する。
【0098】
以上、説明した実施形態の三次元線図生成装置100は、ユーザが表示部54に描画した垂直視画像110の輪郭線を垂直視線図110aとして生成するので、画像処理が困難な垂直視画像110でも確実に垂直視線図110aを生成することができる。また、ユーザの入力により形状パラメータを調整して変換後の斜視線図510aと斜視画像510とを重ね合わせて表示部54に表示するので、ユーザは変換後の斜視線図510aと斜視画像510とを比較しながら両者が重なるまで形状パラメータを調整することができ、ユーザの意図にあった斜視線図510aを生成することができる。これにより、ユーザの意図にあった物品の三次元線図を高精度で生成することができる。
【0099】
また、三次元線図生成装置100は、屈曲パラメータデータベース72で屈曲パラメータとしてワイヤ30のワイヤ全長LTに対する比率を規定しているので、ワイヤ全長LTの異なる複数のワイヤ30の終点側の屈曲点の位置を1つのパラメータで規定することができる。このため、ユーザの少ない形状パラメータの入力で1つのグループに含まれる複数のワイヤ30の形状を規定できる。
【0100】
以上説明した三次元線図生成装置100は、ユーザが表示部54に描画した垂直視画像110の輪郭線を垂直視線図110aとして生成し、ユーザの入力により形状パラメータを調整して変換後の斜視線図510aと斜視画像510とを重ね合わせて表示部54に表示し、ユーザが両者を比較して両者が重なるまで形状パラメータを調整するとして説明したがこれに限らない。例えば、後で図32~37を参照して説明する三次元形状検査装置300のマスタ三次元線図生成部360と同様、垂直視線図生成部62がユーザの入力なしにエッジ処理等の技術を用いて垂直視画像110の輪郭線を抽出して垂直視線図110aを生成するようにしてもよい。
【0101】
また、線図変換部63は、後で図32~37を参照して説明する三次元形状検査装置300のマスタ三次元線図生成部360と同様、ユーザの入力によらずに、例えば、エッジ処理等の技術を用いて斜視画像510の輪郭線を抽出し、抽出した輪郭線と垂直視線図110aを変換した斜視線図510aに含まれる各線とを対比することにより、形状パラメータを調整し、斜視画像510と重なる斜視線図510aを生成するようにしてもよい。
【0102】
次に図17図31を参照して他の実施形態の三次元線図生成装置200について説明する。先に図1から図16を参照して説明した三次元線図生成装置100と同様の部分については、同様の符号を付して説明は省略する。
【0103】
三次元線図生成装置200は、図17に示すように始点が位置する部品と終点が位置する部品とが異なる二種類のワイヤ30と上ワイヤ90を含む半導体装置210の三次元線図を生成する装置である。三次元線図生成装置200は、三次元線図生成装置100の制御部50に代えて、制御部55を備えている。制御部55の構成については、後で図21を参照しながら説明する。
【0104】
最初に図18~20を参照しながら半導体装置210の構成について説明する。半導体装置210は、リードフレーム11と、リード12と、第1半導体チップ21と、第1半導体チップ21の上面に配置された第1パッド26と、第2パッド27と、第2半導体チップ22と、第2半導体チップ22の上面に配置された第3パッド28と、ワイヤ30と、上ワイヤ90とを含んでいる。以下の説明では、上ワイヤ90はワイヤ30と同様、始点91と、第1~第4屈曲点92~95と、終点96とを結んだ折れ線形状として説明する。
【0105】
第1半導体チップ21は、先に図1~4を参照して説明した半導体チップ20と同様の大きさ、厚さであり、上面の中央部に第2パッド27が配置されたものである。尚、上面の周囲に配置された第1パッド26は半導体チップ20のパッド25と同一の配置である。第2半導体チップ22は、第1半導体チップ21よりも小さく、厚さが第1半導体チップ21よりも厚く、第1半導体チップ21の中央の上面に取り付けられている。第2半導体チップ22の上面には、第3パッド28が配置されている。リード12と、第1~第3パッド26~28、第1、第2半導体チップ21、22の上面の高さは、リード12、第1半導体チップ21の上面、第1、第2パッド26、27、第2半導体チップ22の上面、第3パッド28の順に高くなっている。
【0106】
ワイヤ30は第1半導体チップ21の第1パッド26とリードフレーム11のリード12とを接続する。ワイヤ30の形状は、先に図3図4を参照して説明したワイヤ30と同一である。上ワイヤ90は、第2半導体チップ22の第3パッド28と、第1半導体チップ21の第2パッド27とを接続する。
【0107】
図19に示すように、ワイヤ30は、先に説明したと同様、始点31と、第1~第4屈曲点32~35、終点36とを含んでいる。上ワイヤ90は、第2半導体チップ22の第3パッド28の上に位置する始点91と、第1~第4屈曲点92~95と、第1半導体チップ21の第2パッド27に位置する終点96とを含んでいる。
【0108】
ワイヤ30の始点31と、第1~第4屈曲点32~35、終点36の位置は、先に図3図4を参照した、長手方向軸L、横方向軸R、高さ方向軸Hと同様の長手方向軸L1、横方向軸R1、高さ方向軸H1で構成される第1LRH座標系における長手方向座標位置L1nと横方向座標位置R1nと高さ方向座標位置H1nの組で表される。
【0109】
図19、20に示すように第1LRH座標系の始点31の座標位置は、(L11,R11,H11)で表される。同様に、第1屈曲点92~第4屈曲点95の各座標位置は、それぞれ、(L12,R12,H12)、(L13,R13,H13)、(L14,R14,H14)、(L15,R15,H15)で表される。また、終点36の座標位置は、(L16,R16,H16)で表される。図20に示すように、ワイヤ30の始点31から終点36までの長手方向軸L1に沿った全長は、ワイヤ全長LT1である。また、始点31から第4屈曲点35までの長手方向軸Lに沿った長さは、長さL15である。
【0110】
一方、上ワイヤ90の始点91と、第1~第4屈曲点92~95、終点96の各位置は、基準面であるリードフレーム11の上面11aの面内で上ワイヤ90の始点91から終点96に向かって延びる長手方向軸L2と、リードフレーム11の上面11a面内で上ワイヤ90の始点91から長手方向軸L2と直交する方向に延びる横方向軸R2と、始点91を通りリードフレーム11の上面11aに対して垂直方向に延びる高さ方向軸H2とで構成される第2LRH座標系における長手方向座標位置L2nと横方向座標位置R2nと高さ方向座標位置H2nの組で表される。ここで、nは自然数である。
【0111】
この第2LRH座標系によって始点91と、第1~第4屈曲点92~95、終点96の各位置を示すと、図19、20に示すように、始点91の座標位置は、(L21、R211,H21)で表される。同様に、第1屈曲点92~第4屈曲点95の各座標位置は、それぞれ、(L22,R22,H22)、(L23,R23,H23)、(L24,R24,H24)、(L25,R25,H25)で表される。また、終点96の座標位置は、(L26,R26,H26)で表される。図20に示すように、上ワイヤ90の始点91から終点96までの長手方向軸L2に沿った全長は、ワイヤ全長LT2である。また、始点91から第3屈曲点94、第4屈曲点95までの長手方向軸L2に沿った長さは、それぞれ長さL24、L25である。
【0112】
図21に示すように、三次元線図生成装置200の制御部55は、図5を参照して説明した三次元線図生成装置200の制御部50にワイヤグルーピングデータベース73を備えると共に、制御部50の形状パラメータデータベース70を部品形状パラメータデータベース71とグループ別屈曲パラメータデータベース74とを含む形状パラメータデータベース75としたものである。また、垂直視線図生成部262は、ユーザが入力部53を操作して描画した垂直視画像1210(図28参照)の中の各部品と各ワイヤ30、上ワイヤ90の各輪郭線を半導体装置210の垂直視線図1210a(図30参照)として生成すると共に、複数のワイヤ30、上ワイヤ90を、始点が位置する部品と、終点が位置する部品と、太さと、が共通するワイヤで構成される複数のグループにグルーピングする。線図変換部263は、グループ別屈曲パラメータデータベース74を用いて垂直視線図1210aを斜視線図5210a(図31参照)に変換する。他の各機能ブロックは、先に図5を参照して説明した制御部50と同一である。
【0113】
図22に示すように、ワイヤグルーピングデータベース73は、始点が位置する部品と終点が位置する部品とワイヤの太さが同一の複数のワイヤを一つのワイヤグループとして規定したグルーピング情報を格納したデータベースである。始点が位置する部品と終点が位置する部品とワイヤの太さが同一のワイヤは、始点の近傍の屈曲点の位置は始点に対して相対的に同一位置であり、終点側の屈曲点の位置は、ワイヤの全長に比例して規定されるから、一つのワイヤグループに含まれる複数のワイヤは、1種類の屈曲パラメータデータで屈曲形状を規定することができる。
【0114】
図23に示すように、部品形状パラメータデータベース71は、先に図6を参照して説明した部品形状パラメータデータベース71と同一のデータ構造であるが、図23に示すように、第1半導体チップ21、第1パッド26、第2パッド27、第2半導体チップ22、第3パッド28の各高さと各表面の傾きのデータが格納されている。
【0115】
図24に示すように、グループ別屈曲パラメータデータベース74は、複数のグループ別屈曲パラメータデータベース74a、74bで構成されている。図24に示す例では、グループ別屈曲パラメータデータベース74aは、第1ワイヤグループに適用され、グループ別屈曲パラメータデータベース74bは第2ワイヤグループに適用される。
【0116】
第2ワイヤグループを構成する上ワイヤ90は、第3屈曲点94、第4屈曲点95の座標位置が上ワイヤ90のワイヤ全長LT2に比例して規定されるので、長手方向座標位置L、横方向座標位置R、高さ方向座標位置Hの欄はいずれも0が入力されており、比例長手方向座標位置LP、比例横方向座標位置RP、比例高さ方向座標位置HPの少なくとも1つには数値が格納されている。
【0117】
図25は、図8と同様、図24に示すグループ別屈曲パラメータデータベース74aを用いて第1グループのワイヤ30の始点31と第1~第4屈曲点32~35、終点36の各座標位置を算出した例と、図24に示すグループ別屈曲パラメータデータベース74bを用いて第2グループの上ワイヤ90の始点91、第1~第4屈曲点92~95、終点96の各座標位置を算出した例を示す。図25中に網掛けで示す、第1ワイヤグループのワイヤ30の第4屈曲点35と、第2ワイヤグループの上ワイヤ90の第3、第4屈曲点94、95の各座標位置は、それぞれ比例長手方向座標位置LP、比例横方向座標位置RP、比例高さ方向座標位置HPに基づいて算出されている。
【0118】
次に図26、27を参照しながら三次元線図生成装置200の動作について説明する。尚、先に図9を参照して説明した三次元線図生成装置100と同様の動作については、簡単に説明する。
【0119】
画像取得部61は、図26のステップS201で、画像取得部61は、垂直視カメラ41で撮像した図28に示すような半導体装置210の垂直視画像1210を取得して記憶部52に格納すると共に、垂直視線図生成部262に出力する。また、画像取得部61は、図26のステップS202で、斜視カメラ45で撮像した図29に示す斜視画像5210と他の3つの斜視カメラ42~44で撮像した複数の斜視図画像(図示せず)を取得して記憶部52に格納すると共に、取得した斜視画像5210と他の斜視画像を線図変換部263に出力する。尚、図28~29に示すように、半導体装置210の垂直視画像1210は、図10に示す垂直視画像110に垂直視第2パッド画像127と、垂直視上ワイヤ画像190と、垂直視第3パッド画像128と、垂直視第1半導体チップ画像121と、垂直視第2半導体チップ画像122とを合わせた画像となる。また、斜視画像5210は、それぞれ図11に示す斜視画像510に斜視第2パッド画像527と、斜視上ワイヤ画像590と、斜視第3パッド画像528と、斜視第1半導体チップ画像521と、斜視第2半導体チップ画像522とを合わせた画像となる。尚、垂直視第1パッド画像126、斜視第1パッド画像526は、図10に示す垂直視パッド画像125、斜視パッド画像525と同一の画像である。ここで、垂直視上ワイヤ画像190は、垂直視始点画像191、垂直視第1~第4屈曲点画像192~195、垂直視終点画像196を含み、斜視上ワイヤ画像590は、斜視始点画像591、斜視第1~第4屈曲点画像592~595、斜視終点画像596を含んでいる。
【0120】
図26のステップS203で垂直視線図生成部262は、画像取得部61から入力された垂直視画像1210を図28に示すように表示部54に表示する。ユーザが入力部53を操作して表示部54に表示された垂直視画像1210の輪郭に沿って輪郭線を描画すると、垂直視線図生成部262は、ユーザの入力した描画線を垂直視画像1210に重ね合わせて表示部54に表示する。垂直視線図生成部262は、図26のステップS204において、ユーザの入力した描画線に基づいて、各ワイヤ30、上ワイヤ90の各始点31、91の位置する部品と、終点36の位置する部品とを認識する。そして、図22に示すワイヤグルーピングデータベース73を参照して複数のワイヤ30と複数の上ワイヤ90を複数のグループにグルーピングする。
【0121】
本実施形態では、複数のワイヤ30は、全て始点31が第1半導体チップ21の第1パッド26の上にあり、終点36が全てリードフレーム11のリード12の上にあり、太さは同一の25μmである。従って、垂直視線図生成部262は、図22のワイヤグルーピングデータベース73を参照して複数のワイヤ30を全て第1グループにグルーピングする。また、図18中に一点鎖線の枠の中に配置されている複数の上ワイヤ90は、全て始点91が第2半導体チップ22の第3パッド28の上にあり、終点96が全て第1半導体チップ21の第2パッド27の上にあり太さは同一の10μmである。従って、垂直視線図生成部262は、図22のワイヤグルーピングデータベース73を参照して複数の上ワイヤ90を全て第2グループにグルーピングする。尚、本実施形態では、半導体装置210は、2つのワイヤグループを含むものとして説明するので、グループの総数Nendは2であるが、例えば、屈曲形状や太さの異なる3つ以上のワイヤグループを含んでもよい。
【0122】
そして、ユーザの輪郭線の描画と各ワイヤ30、上ワイヤ90のグルーピングが終了したら、垂直視線図生成部262は、図26のステップS204においてユーザが描画した垂直視画像1210の輪郭線を図30に示す垂直視線図1210aとして生成する(垂直視線図生成ステップ)。
【0123】
線図変換部263は、図26のステップS205において、カウンタNを1にセットする。そして、線図変換部263は、図26のステップS206において、図9のステップS105と同様、図23に示す部品形状パラメータと、第1グループのグループ別屈曲パラメータデータベース74aを用いてリード12、第1半導体チップ21、第1パッド26の各部品と第1グループに含まれる複数のワイヤ30との垂直視リード線図112a、垂直視第1パッド線図126a、垂直視第1半導体チップ線図121a、垂直視ワイヤ線図130aをそれぞれ、斜視リード線図512a、斜視第1パッド線図526a、斜視第1半導体チップ線図521a、斜視ワイヤ線図530aに変換する。ここで、垂直視上ワイヤ線図190aは、垂直視始点線図191a、垂直視第1~第4屈曲点線図192a~195a、垂直視終点線図196aを含み、斜視上ワイヤ線図590aは、斜視始点線図591a、斜視第1~第4屈曲点線図592a~595a、斜視終点線図596aを含んでいる。
【0124】
次に線図変換部263は、図26のステップS207において、図9のステップS106と同様、変換後の斜視リード線図512a、斜視第1パッド線図526a、斜視ワイヤ線図530a、斜視第1半導体チップ線図521aを斜視画像5210に重ね合わせて表示部54に表示する。
【0125】
線図変換部263は、図27のステップS208において、ユーザの入力に基づいて、部品形状パラメータ、あるいは第1グループのワイヤ30の屈曲パラメータを調整する。部品形状パラメータ、あるいは屈曲パラメータの調整は、例えば、ユーザの入力により、図23に示す部品形状パラメータデータベース71の各セルに格納されている基準面からの高さZやXYZ方向の傾斜のデータを更新して記憶部52に格納すると共に、図24に示すグループ別屈曲パラメータデータベース74の各座標位置のデータを更新して記憶部52に格納するようにしてもよい。
【0126】
線図変換部263は、図27のステップS209において、調整後の部品形状パラメータ、第1グループのワイヤ30の屈曲パラメータを用いて図27のステップS206と同様、垂直視リード線図112a、垂直視第1パッド線図126a、垂直視第1半導体チップ線図121a、垂直視ワイヤ線図130aをそれぞれ、斜視リード線図512a、斜視第1パッド線図526a、斜視第1半導体チップ線図521a、斜視ワイヤ線図530a、に変換し、図27のステップS210で変換後の斜視リード線図512a、斜視第1パッド線図526a、斜視第1半導体チップ線図521a、斜視ワイヤ線図530aを斜視画像5210に重ね合わせて表示部54に表示する。
【0127】
そして、線図変換部263は、図27のステップS211で入力部53からユーザの承認入力があったかどうか判断する。そして、ユーザからの承認がない場合には、図27のステップS212でユーザの入力を受け付け、図27のステップS208に戻って第1グループのワイヤ30の形状パラメータの調整を行う。そして線図変換部263は、図27のステップS211でユーザが承認入力を行うまで、図27のステップS208~S211、S212を繰り返し実行する。これにより、変換後の斜視リード線図512a、斜視第1パッド線図526a、斜視第1半導体チップ線図521a、斜視ワイヤ線図530aは、斜視リード画像512、斜視第1パッド画像526、斜視第1半導体チップ画像521、斜視ワイヤ画像530に重なる。
【0128】
そして、線図変換部263は、図27のステップS211で、ユーザが承認入力を行ったら線図変換部263は、図27のステップS213に進んで、カウンタNがグルーピングしたグループの総数Nendかどうか判断する。そして、図27のステップS213でNOと判断した場合には、図27のステップS214でカウンタNを1だけインクレメントして、図26のステップS206に戻る。そして、線図変換部263は、図23に示す部品形状パラメータと、第2グループのグループ別屈曲パラメータデータベース74bを用いて垂直視第2パッド線図127a、垂直視第3パッド線図128a、垂直視第2半導体線図122a、垂直視上ワイヤ線図190a、をそれぞれ、斜視第2パッド線図527a、斜視第3パッド線図528a、斜視第2半導体チップ線図522a、斜視上ワイヤ線図590aに変換する(線図変換ステップ)。
【0129】
そして、線図変換部263は、図27のステップS207で第2パッド27、第2半導体チップ22、第3パッド28の各部品と第2グループに含まれる複数の上ワイヤ90の各斜視線図に各斜視画像を重ねて表示し、ユーザが承認するまで第2パッド27、第2半導体チップ22、第3パッド28の各部品と第2グループに含まれる複数の上ワイヤ90について図32のステップS208からS210を繰り返し実行する。これにより、変換後の斜視第2パッド線図527a、斜視第3パッド線図528a、斜視第2半導体チップ線図522a、斜視上ワイヤ線図590aは、斜視第2パッド画像527、斜視第3パッド画像528、斜視第2半導体チップ画像522、斜視上ワイヤ画像590に重なる。そして、図27のステップS211でユーザの承認入力があった場合には、図27のステップS213に進む。そして、図27のステップS213でYESと判断したら図27のステップS215に進む。
【0130】
線図合成部64は、図32のステップS215で、垂直視線図生成部262が生成した垂直視線図1210aと、第1グループのワイヤの斜視線図と第2グループの斜視線図とを含む全てのワイヤの斜視線図を含む斜視線図5210aとを合成して半導体装置210の各部位の位置情報を含む三次元線図を生成する(線図合成ステップ)。
【0131】
そして、線図合成部64は、図32のステップS216で生成した三次元線図を記憶部52の三次元線図格納部65に格納する。
【0132】
尚、斜視線図5210aと斜視画像5210の輪郭線とが重なった際には、図23に示す部品形状パラメータデータベース71の各セルに格納されている基準面からの高さZやXYZ方向の傾斜のデータは、半導体装置210の各部品の高さと傾斜を示すデータとなっている。このため、部品形状パラメータデータベース71の各セルに格納されている基準面からの高さZやXYZ方向の傾斜のデータを用いて半導体装置210の各部品の高さと傾斜を検出することもできる。
【0133】
以上説明したように、始点が位置する部品と終点が位置する部品とワイヤの太さが同一のワイヤは、始点の近傍の屈曲点の位置は始点に対して相対的に同一位置であり、終点側の屈曲点の位置は、ワイヤの全長に比例して規定されるから、一つのワイヤグループに含まれる複数のワイヤは、1種類の屈曲パラメータデータで屈曲形状を規定することができる。このため、三次元線図生成装置200は、ユーザの少ない屈曲パラメータの入力により各ワイヤ30、上ワイヤ90の各斜視画像にフィッテングした各ワイヤ30、上ワイヤ90の各斜視線図を生成できる。
【0134】
図26、27を参照して説明した三次元線図生成装置200の動作では、説明のため、第1グループのワイヤ30について垂直視線図の斜視線図への変換を行い、次に第2グループの上ワイヤ90について垂直視線図の斜視線図への変換を行うこととして説明したが、これに限らない。例えば、第1グループのワイヤ30と、第2グループの上ワイヤ90の垂直視線図から斜視線図への変換を同時に行い、ユーザが全体の斜視線図を承認したらその斜視線図に基づいて三次元線図の合成を行うようにしてもよい。
【0135】
次に図32から図37を参照して実施形態の三次元形状検査装置300について説明する。先に、図1から図16を参照して説明した三次元線図生成装置100と同様の部位には同様の符号を付して説明は省略する。
【0136】
図32に示すように、三次元形状検査装置300は、図1に示す三次元線図生成装置100の制御部50をマスタ三次元線図生成部360と、検査部380とで構成される制御部56としたものである。マスタ三次元線図生成部360は、図1~4に示す半導体装置10の標準品の三次元線図を生成する。ここで、標準品とは、各部の寸法が略設計図の通りに形成されている半導体装置10をいう。従って、標準品の半導体装置10の標準垂直視画像110、標準斜視画像510、標準垂直視線図110a、標準斜視線図510aは図10から図16の各図に示す垂直視画像110、斜視画像510は、垂直視線図110a、斜視線図510aと略同一である。
【0137】
図32に示すように、三次元形状検査装置300のマスタ三次元線図生成部360は、先に図5を参照して説明した三次元線図生成装置100の制御部50の垂直視線図生成部62、線図変換部63を、それぞれ標準垂直視線図生成部362、標準線図変換部363としたものである。他の機能ブロックについては、制御部50と同一である。
【0138】
標準垂直視線図生成部362は、制御部50の垂直視線図生成部62のように、ユーザの入力を受け付け、ユーザの描画した垂直視画像110の輪郭線を垂直視線図110aとして生成するのではなく、パターン認識、エッジ認識等の手段により、標準垂直視画像110の輪郭線を抽出して標準垂直視線図110aを生成する。
【0139】
また、標準線図変換部363は、ユーザの入力なしに、形状パラメータデータベース70の部品形状パラメータデータベース71、屈曲パラメータデータベース72に格納された形状パラメータを用いて標準垂直視線図110aを斜視線図510aに変換し、変換した斜視線図510aと標準斜視画像510の輪郭線とを比較し、斜視線図510aが標準斜視画像510と重なるまで形状パラメータを修正しながら変換を行い、斜視線図510aが標準斜視画像510と重なったら標準斜視画像510と重なった斜視線図510aを標準斜視線図510aとして生成する。
【0140】
線図合成部64は、標準垂直視線図生成部362が生成した標準垂直視線図110aと、標準線図変換部363が変換した標準斜視線図510aを含む複数の標準斜視線図を合成して半導体装置10の各部位の位置情報を含むマスタ三次元線図を生成する(線図合成ステップ)。
【0141】
図33に示すように、検査部380は、二次元線図生成部381と、線図合成部82と、線図比較部83とを備えている。
【0142】
二次元線図生成部381には、マスタ三次元線図生成部360の画像取得部61が垂直視カメラ41と、4つの斜視カメラ42~45でそれぞれ取得した垂直視画像110、斜視画像510が入力される。また、二次元線図生成部381には、マスタ三次元線図生成部360の三次元線図格納部65からマスタ三次元線図が入力される。二次元線図生成部381は、三次元線図格納部65から入力されたマスタ三次元線図を参照して画像取得部61から入力された垂直視画像110に含まれる各部品やワイヤ30の輪郭線を抽出して垂直視線図110aを生成する。また、二次元線図生成部381は、三次元線図格納部65から入力されたマスタ三次元線図を参照して画像取得部61から入力された斜視画像510に含まれる各部品やワイヤ30の輪郭線を抽出して斜視線図510aを生成する。そして、二次元線図生成部381は、生成した垂直視線図110aと斜視線図510aを線図合成部82に出力する。
【0143】
線図合成部82は、二次元線図生成部381から入力された垂直視線図110aと斜視線図510aとを合成して半導体装置10の各部位の位置情報を含む三次元線図を生成する。
【0144】
線図比較部83は、線図合成部82が合成した半導体装置10の各部位の位置情報を含む三次元線図と三次元線図格納部65から入力された半導体装置10の標準品の各部位の位置情報を含むマスタ三次元線図とを比較して各線図のずれ量を検出し、検出したずれ量に基づいて半導体装置10の形状検査を行い、検査結果を表示部54に表示する。
【0145】
次に、図34~35を参照しながら、実施形態の三次元形状検査装置300の動作について説明する。
【0146】
図34のステップS301で、画像取得部61は、垂直視カメラ41で撮像した標準品の半導体装置10の標準垂直視画像110を取得して記憶部52に格納すると共に、標準垂直視線図生成部362に出力する。また、画像取得部61は、図34のステップS302で、4つの斜視カメラ42~45で撮像した複数の標準斜視図画像を取得して記憶部52に格納すると共に、取得した標準斜視画像を標準線図変換部363に出力する。
【0147】
標準垂直視線図生成部362は、図34のステップS303において、パターン認識、エッジ認識等の手段により、画像取得部61から入力された標準垂直視画像110の輪郭線を抽出して標準垂直視線図110aを生成する。標準垂直視線図生成部362は、生成した標準垂直視線図110aを標準線図変換部363に出力する(垂直視線図生成ステップ)。
【0148】
以下の説明では、標準線図変換部363が斜視カメラ45で撮像した斜視画像510を処理する場合について説明する。標準線図変換部363は、図34のステップS304において、形状パラメータデータベース70の部品形状パラメータデータベース71、屈曲パラメータデータベース72に格納された形状パラメータを用いて標準垂直視線図110aを標準斜視線図510aに変換する。そして、標準線図変換部363は、図34のステップS305において、パターン認識、エッジ認識等の手段により標準斜視画像510の輪郭線を抽出し、変換した斜視線図510aと抽出した標準斜視画像510の輪郭線とを比較する。そして、標準線図変換部363は、図34のステップS306において、変換した標準斜視線図510aと標準斜視画像510の輪郭線とが重なったかどうかを判断する。
【0149】
標準線図変換部363は、図34のステップS306でNOと判断した場合には、図34のステップS310に進んで形状パラメータを調整し、図34のステップS304に戻る。そして、標準斜視線図510aが標準斜視画像510と重って図34のステップS306でYESと判断するまで形状パラメータを修正しながら変換を実行する。そして、標準線図変換部363は、図34のステップS306でYESと判断したら、図34のステップS307に進み、標準斜視画像510と重なった標準斜視線図510aを合成用の標準斜視線図510aとして生成する(線図変換ステップ)。
【0150】
同様に、標準線図変換部363は、図34のステップS304~306、S310を繰り返して実行して標準垂直視線図110aを斜視カメラ42~44で撮像した斜視画像に重なる標準斜視線図に変換し、合成用の各標準斜視線図を生成する。
【0151】
線図合成部64は、図34のステップS308において、標準垂直視線図110aと合成用の標準斜視線図510a、及び斜視カメラ42~44で撮像した合成用の標準斜視線図を合成してマスタ三次元線図を生成する。そして線図合成部64は、図34のステップS309で生成したマスタ三次元線図を三次元線図格納部65に格納する(線図合成ステップ)。
【0152】
次に、図35を参照して検査部380の動作について説明する。検査対象の半導体装置10は、マスタ三次元線図を生成する際に用いた標準品の半導体装置10と同一構造である。
【0153】
マスタ三次元線図生成部360の画像取得部61は、図34のステップS301、S302と同様、垂直視カメラ41で撮像した検査対象の半導体装置10の標準垂直視画像110と、4つの斜視カメラ42~45で撮像した検査対象の半導体装置10の複数の斜視図画像を取得して記憶部52に格納すると共に、二次元線図生成部381に出力する。
【0154】
図35のステップS401、S402に示すように、二次元線図生成部381は、画像取得部61から垂直視画像110と複数の斜視画像とを取得する。
【0155】
二次元線図生成部381は、図35のステップS402において、三次元線図格納部65からマスタ三次元線図を読み出し、図36に示すようなマスタ垂直視線図110bを抽出する。マスタ垂直視線図110bは、先に図12を参照して説明した垂直視線図、標準垂直視線図110aと同様の線図であるが、マスタ三次元線図から抽出した点が異なる。マスタ垂直視線図110bの各部の線図は符号の末尾にアルファベットのbを付して垂直視線図、標準垂直視線図110aの各部の線図と区別する。
【0156】
図36に示すように、垂直視画像110の中の垂直視ワイヤ画像130、垂直視リード画像112、垂直視パッド画像125の各輪郭線は、製造誤差によりマスタ垂直視線図110bの中のマスタ垂直視ワイヤ線図130b、マスタ垂直視リード線図112b、マスタ垂直視パッド線図125bと少しずれているが近接した位置にある。二次元線図生成部381は、マスタ垂直視ワイヤ線図130b、マスタ垂直視リード線図112b、マスタ垂直視パッド線図125bの近傍に、輪郭線を探索する領域を設け、その領域でエッジ検出処理等の画像処理を行うことにより、垂直視画像110の輪郭線を抽出し、検査対象の半導体装置10の垂直視線図110cを生成する。
【0157】
同様に、二次元線図生成部381は、図35のステップS403において、三次元線図格納部65からマスタ三次元線図を読み出し、検査対象の半導体装置10の複数の斜視線図を生成する。ここで、以下の説明では、二次元線図生成部381は、斜視カメラ45で撮像した斜視画像510に基づいて斜視線図510cを生成する場合について説明する。
【0158】
二次元線図生成部381は、図35のステップS403において、図37に示すようなマスタ斜視線図510bを抽出する。先に説明したマスタ垂直視線図110bと同様、マスタ斜視線図510bは、先に図14を参照して説明した斜視線図、標準斜視線図510aと同様の線図であるが、マスタ三次元線図から抽出した点が異なり、マスタ斜視線図510bの各部の線図は符号の末尾にアルファベットのbを付して垂直視線図、標準垂直視線図110aの各部の線図と区別する。
【0159】
図37に示すように、斜視画像510の中の斜視ワイヤ画像530、斜視リード画像512、斜視パッド画像525の各輪郭線は、製造誤差によりマスタ斜視線図510bの中のマスタ斜視ワイヤ線図530b、マスタ斜視リード線図512b、マスタ斜視パッド線図525bと少しずれているが近接した位置にある。二次元線図生成部381は、先に検査対象の半導体装置10の垂直視線図110cを生成したと同様、マスタ斜視ワイヤ線図530b、マスタ斜視リード線図512b、マスタ斜視パッド線図525bの近傍に、輪郭線を探索する領域を設け、その領域でエッジ検出処理等の画像処理を行うことにより、斜視画像510の輪郭線を抽出し、検査対象の半導体装置10の斜視線図510cを生成する。
【0160】
同様に、二次元線図生成部381は、図35のステップS403でマスタ三次元線図用いて斜視カメラ42~44で撮像した斜視画像から検査対象の半導体装置10の複数の斜視画像を生成する。
【0161】
線図合成部82は、図35のステップS404で二次元線図生成部381が生成した垂直視線図110cと斜視線図510cを含む複数の斜視線図と合成して検査対象の半導体装置10の三次元線図を生成する。そして、線図合成部82は、生成した三次元線図を線図比較部83に出力する。
【0162】
線図比較部83は、三次元線図格納部65からマスタ三次元線図を読みだし、図35のステップS405で線図合成部82から入力された検査対象の半導体装置10の三次元線図の各部におけるマスタ三次元線図とのずれ量を比較する。比較は、例えば、マスタ三次元線図中のワイヤ30の始点、各屈曲点、終点の各位置と三次元線図中のワイヤ30の始点、各屈曲点、終点の各位置のずれ量を算出してもよい。
【0163】
そして、線図比較部83は、図35のステップS406で算出した各点のずれ量が許容値以下かどうか判断する。そして、線図比較部83は、図35のステップS406でYESと判断した場合には、図35のステップS407に進んで、検査対象の半導体装置10は、検査に合格した信号を表示部54に出力する。表示部54は、図35のステップS409で検査対象の半導体装置10が検査に合格したこと表示する。
【0164】
一方、線図比較部83は、図35のステップS406でNOと判断した場合には、図35のステップS408に進んで、検査対象の半導体装置10は、検査で不合格となった信号を表示部54に出力する。表示部54は、図35のステップS409で検査対象の半導体装置10が不合格であることを表示する。
【0165】
以上、説明したように、実施形態の三次元形状検査装置300は、標準斜視線図510aが標準斜視画像510と重なるまで標準線図変換部363が形状パラメータの調整と標準垂直視線図110aの標準斜視線図510aへの変換とを繰り返して実行することにより、標準斜視画像510に正確にフィッテングした標準斜視線図510aを生成できる。これにより半導体装置10のマスタ三次元線図を高精度で生成することができる。そして、高精度のマスタ三次元線図を参照して検査対象の三次元線図を生成してマスタ三次元線図と比較することにより検査対象の半導体装置10の形状の検査を行うので、ワイヤ30を含む多数の物品の形状を高精度で短時間に検査することができる。
【0166】
次に、図38~39を参照して他の実施形態の三次元形状検査装置400について説明する。先に図32~37を参照して説明した三次元形状検査装置300と同一の部位には同一の符号を付して説明は省略する。三次元形状検査装置400は、図1に示す三次元線図生成装置100の制御部50をマスタ三次元線図生成部460と検査部380とで構成される制御部57としたものである。検査部380は、図32図33に示す三次元形状検査装置300の検査部380と同一の構成なので図示と説明は省略する。
【0167】
図38に示すように、三次元形状検査装置400のマスタ三次元線図生成部460は、図21を参照して説明した三次元線図生成装置200と同様、ワイヤグルーピングデータベース73と、グループ別屈曲パラメータデータベース74を含む形状パラメータデータベース75を備えている。また、標準垂直視線図生成部462は、ワイヤグルーピングデータベース73を参照して図17~19に示すような半導体装置210のワイヤを複数のグループにグルーピングすると共に、標準垂直視線図1210aを生成する。また、標準線図変換部463は、部品形状パラメータデータベース71と、グループ別屈曲パラメータデータベース74を用いて、各部品と各グループの各ワイヤを含む標準垂直視線図1210aを、標準斜視線図5210aを含む複数の斜視線図に変換する。
【0168】
次に、図39を参照しながら実施形態の三次元形状検査装置400の動作について説明する。尚、以下の説明では、三次元形状検査装置400が、図17図20に示すワイヤ30と上ワイヤ90とを含む半導体装置210の標準品のマスタ三次元画像を生成する場合について説明する。
【0169】
図39のステップS501、S502に示すように、画像取得部61は、図28に示す標準品の半導体装置210の標準垂直視画像1210と図29に示す標準斜視画像5210とを取得して記憶部52に格納すると共に、標準垂直視画像1210を標準垂直視線図生成部462に出力し、標準斜視画像5210を標準線図変換部463に出力する。
【0170】
図39のステップS503で標準垂直視線図生成部462は、ワイヤ30、上ワイヤ90の各始点31、91の位置する部品と、終点36の位置する部品とを認識する。そして、図22に示すワイヤグルーピングデータベース73を参照して複数のワイヤ30と複数の上ワイヤ90を複数のグループにグルーピングする。
【0171】
また、標準垂直視線図生成部462は、図32に示す標準垂直視線図生成部362と同様、パターン認識、エッジ認識等の手段により、画像取得部61から入力された標準垂直視画像1210の輪郭線を抽出して図30に示す標準垂直視線図1210aを生成する。標準垂直視線図生成部362は、生成した標準垂直視線図1210aをワイヤ30、上ワイヤ90のグルーピング情報と共に標準線図変換部363に出力する(垂直視線図生成ステップ)。
【0172】
以下の説明では、標準線図変換部463が斜視カメラ45で撮像した斜視画像5210を処理する場合について説明する。標準線図変換部463は、図39のステップS504において、部品形状パラメータデータベース71と、グループ別屈曲パラメータデータベース74とを用いて第1半導体チップ21、第2半導体チップ22、リード12、第1~第3パッド26~28の各部品とワイヤ30、上ワイヤ90とを含む図30に示す標準垂直視線図1210aを図31に示す標準斜視線図5210aに変換する。
【0173】
標準線図変換部463は、図39のステップS505において、パターン認識、エッジ認識等の手段により標準斜視画像5210に含まれる第1半導体チップ21、第2半導体チップ22、リード12、第1~第3パッド26~28の各部品とワイヤ30、上ワイヤ90の輪郭線を抽出し、抽出した輪郭線と変換した標準斜視線図5210aと重ね合わせて比較する。
【0174】
そして、標準線図変換部463は、図39のステップS506において、変換した標準斜視線図5210aに含まれる斜視第1半導体チップ線図521a、斜視第2半導体チップ線図522a、斜視リード線図512a、斜視第1~第3パッド線図526a~528a、斜視ワイヤ線図530a、斜視上ワイヤ線図590aと抽出した標準斜視画像5210の各輪郭線と重なったかどうか判断する。
【0175】
標準線図変換部463は、図39のステップS506でNOと判断した場合には、図39のステップS509に進んで、部品形状パラメータと各グループのグループ別屈曲パラメータを調整して図39のステップS504に戻る。そして、標準線図変換部463は、図39のステップS506でYESと判断するまで図39のステップS504~S506、ステップS509とを繰り返して実行する。
【0176】
同様に、標準線図変換部463は、図39のステップS504~506、S509を繰り返して実行して標準垂直視線図1210aを斜視カメラ42~44で撮像した斜視画像に重なる標準斜視線図に変換し、合成用の各標準斜視線図を生成する(線図変換ステップ)。そして、標準線図変換部463は、図39のステップS506でYESと判断した場合には、合成用の標準斜視線図5210a、及び斜視カメラ42~44で撮像した合成用の標準斜視線図を合成用の標準斜視線図として生成して図39のステップS508に進む。
【0177】
線図合成部64は、図39のステップS508において、標準垂直視線図1210aと合成用の標準斜視線図5210a、及び斜視カメラ42~44で撮像した合成用の標準斜視線図を合成してマスタ三次元線図を生成する(線図合成ステップ)。そして線図合成部64は、図39のステップS508で生成したマスタ三次元線図を三次元線図格納部65に格納する。
【0178】
以上説明した三次元形状検査装置400は、先に説明した三次元形状検査装置300と同様の効果に加え、少ない屈曲パラメータの入力により各ワイヤ30、上ワイヤ90の各斜視画像にフィッテングした各ワイヤ30、上ワイヤ90の各斜視線図を生成し、マスタ三次元線図の生成を行うことができる。
【0179】
以上説明した三次元形状検査装置300、400は、標準線図変換部363、463が形状パラメータの調整と標準垂直視線図110aの標準斜視線図510aへの変換とを繰り返して実行することとして説明したがこれに限らない。例えば、図40に示す三次元形状検査装置350は、ユーザがデータの入力を行う入力部53と画像と線図とを表示する表示部と54とを有し、制御部58のマスタ三次元線図生成部365は、垂直視画像110とユーザが入力した標準垂直視画像110の輪郭線の描画線とを重ね合わせて表示するように構成した垂直視線図生成部362aと、ユーザの入力部53の操作による形状パラメータの変更を受け付けて、変換後の標準斜視線図510aと標準斜視画像510とを表示部に重ね合わせて表示する標準線図変換部363aとを備えたものである。
【0180】
三次元形状検査装置350は、先に図1図16を参照して説明した三次元線図生成装置100と同様、標準垂直視線図110aを生成する場合に、標準垂直視画像110を表示部54に表示し、ユーザの入力した標準垂直視画像110の輪郭線を標準垂直視線図110aとして生成する。また、標準線図変換部363aがユーザの入力部53の操作により変更された形状パラメータに基づいて標準垂直視線図110aを標準斜視線図510aに変更し、変換後の標準斜視線図510aを標準斜視画像510と重ね合わせて表示部54に表示することを繰り返して実行することにより合成用の標準斜視線図510aを生成する。
【0181】
これにより、三次元形状検査装置350は、先に説明した三次元線図生成装置100と同様、ユーザが表示部54に描画した標準垂直視画像110の輪郭線を標準垂直視線図110aとして生成するので、画像処理が困難な標準垂直視画像110でも確実に標準垂直視線図110aを生成することができる。また、ユーザの入力により形状パラメータを調整して変換後の標準斜視線図510aと標準斜視画像510とを重ね合わせて表示部54に表示するので、ユーザは変換後の標準斜視線図510aと標準斜視画像510とを比較しながら両者が重なるまで形状パラメータを調整することができ、ユーザの意図にあった標準斜視線図510aを生成することができる。これにより、ユーザの意図にあった標準品の半導体装置10の三次元線図を高精度で生成することができ、検査対象品の半導体装置10を高精度で検査することができる。
【0182】
以上説明した、三次元線図生成装置100、200が三次元線図の生成を行うワイヤ30、上ワイヤ90は、始点31、91と、第1屈曲点32、92~第4屈曲点35、95と、終点36、96を結んだ折れ線形状として取り扱うこととして説明したが、これに限定されない。
【0183】
例えば、図41に示すように、第1屈曲点32と第2屈曲点33との間の屈曲部に複数の屈曲点37a~37jを設定し、ワイヤ30の第1屈曲点32と第2屈曲点33との間をより細かく規定してもよい。これにより、より詳細なワイヤ30の三次元線図を生成することができる。上ワイヤ90についても同様である。
【符号の説明】
【0184】
10、210 半導体装置、11 リードフレーム、11a 上面、12 リード、20 半導体チップ、21 第1半導体チップ、22 第2半導体チップ、25 パッド、26 第1パッド、27 第2パッド、28 第3パッド、30 ワイヤ、31、91 始点、32~35、92~95 第1~第4屈曲点、36、96 終点、37a~37j 屈曲点、41 垂直視カメラ、41a~45a 光軸、42~45 斜視カメラ、46 照明装置、50、55、56、57 制御部、51 CPU、52 記憶部、53 入力部、54 表示部、61 画像取得部、62 垂直視線図生成部、63 線図変換部、64、82 線図合成部、65 三次元線図格納部、70 形状パラメータデータベース、71 部品形状パラメータデータベース、72 屈曲パラメータデータベース、73 ワイヤグルーピングデータベース、74、74a,74b グループ別屈曲パラメータデータベース、75 形状パラメータデータベース、83 線図比較部、90 上ワイヤ、100、200 三次元線図生成装置、110、1210 垂直視画像(標準垂直視画像)、110a、110c、1210a 垂直視線図(標準垂直視線図)、110b マスタ垂直視線図、112 垂直視リード画像、112a 垂直視リード線図、112b マスタ垂直視リード線図、120 垂直視半導体チップ画像、120a 垂直視半導体チップ線図、121 垂直視第1半導体チップ画像、121a 垂直視第1半導体チップ線図、122 垂直視第2半導体チップ画像、122a 垂直視第2半導体線図、125 垂直視パッド画像、125a 垂直視パッド線図、125b マスタ垂直視パッド線図、126 垂直視第1パッド画像、126a 垂直視第1パッド線図、127 垂直視第2パッド画像、127a 垂直視第2パッド線図、128 垂直視第3パッド画像、128a 垂直視第3パッド線図、130 垂直視ワイヤ画像、130a 垂直視ワイヤ線図、130b マスタ垂直視ワイヤ線図、131 垂直視始点画像、131a 垂直視始点線図、132~135 第1~第4屈曲点画像、132a~135a 第1~第4屈曲点線図、136 垂直視終点画像、136a 垂直視終点線図、190 垂直視上ワイヤ画像、190a 垂直視上ワイヤ線図、191 垂直視始点画像、191a 垂直視始点線図、192~195 第1~第4屈曲点画像、192a~195a 第1~第4屈曲点線図、196 垂直視終点画像、196a 垂直視終点線図、300、400 三次元形状検査装置、360 マスタ三次元線図生成部、362 標準垂直視線図生成部、380 検査部、381 二次元線図生成部、460 マスタ三次元線図生成部、462 標準垂直視線図生成部、463 標準線図変換部、510、5210 斜視画像(標準斜視画像)、510a,510c、5210a 斜視線図(標準斜視線図)、510b マスタ斜視線図、512 斜視リード画像、512a 斜視リード線図、512b マスタ斜視リード線図、520 斜視半導体チップ画像、520a 斜視半導体チップ線図、521 斜視第1半導体チップ画像、521a 斜視第1半導体チップ線図、522 斜視第2半導体チップ画像、522a 斜視第2半導体チップ線図、525 斜視パッド画像、525a 斜視パッド線図、525b マスタ斜視パッド線図、526~528 斜視第1~第3パッド画像、526a~528a 斜視第1~第3パッド線図、530 斜視ワイヤ画像、530a 斜視ワイヤ線図、530b マスタ斜視ワイヤ線図、531 斜視始点画像、531a 斜視始点線図、532~535 斜視第1~第4屈曲点画像、532a~535a 斜視第1~第4屈曲点線図、536 斜視終点画像、536a 斜視終点線図、590 斜視上ワイヤ画像、590a 斜視上ワイヤ線図、591 斜視始点画像、591a 斜視始点線図、592~595 斜視第1~第4屈曲点画像、592a~595a 斜視第1~第4屈曲点線図、596 斜視終点画像、596a 斜視終点線図。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33
図34
図35
図36
図37
図38
図39
図40
図41