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  • 特許-中空棟構造 図1
  • 特許-中空棟構造 図2
  • 特許-中空棟構造 図3
  • 特許-中空棟構造 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-27
(45)【発行日】2024-10-07
(54)【発明の名称】中空棟構造
(51)【国際特許分類】
   E04D 1/30 20060101AFI20240930BHJP
【FI】
E04D1/30 601A
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2024081185
(22)【出願日】2024-05-17
【審査請求日】2024-05-21
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】517357826
【氏名又は名称】株式会社シェルタージャパン
(74)【代理人】
【識別番号】100103207
【弁理士】
【氏名又は名称】尾崎 隆弘
(74)【代理人】
【識別番号】100196106
【弁理士】
【氏名又は名称】杉田 一直
(72)【発明者】
【氏名】矢野 昭彦
【審査官】坂田 誠
(56)【参考文献】
【文献】実公平3-14489(JP,Y2)
【文献】特開平11-200560(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04D 1/30
E04D 3/40
E04G 23/03
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
屋根の頂部に設置される中空棟構造であって、
野地板部の両傾斜面に沿って設置されるとともに、前記野地板部に固定される支持部と、
前記支持部から突設して設けられる棟本体と、
前記支持部と前記棟本体とを可撓連結する連結部と、を備え、
前記支持部は、一対の支持板と、一対の前記支持板を回動可能に接続するヒンジ部とを有し、
前記支持部、前記棟本体、および前記連結部は協働して中空部を画定し、
前記中空部への雨水の侵入を防止するための水切り板をさらに備え、
前記水切り板は、一端が前記棟本体の中間部に設けられる接続部に嵌合し、他端が屋根瓦に接触することを特徴とする中空棟構造。
【請求項2】
前記支持板は、前記中空部の外部側に位置する打込み部が設けられ、
前記打込み部に固定具を打ち込むことで、前記支持板と前記野地板部は相互に固定されることを特徴とする請求項1に記載の中空棟構造。
【請求項3】
前記接続部は、長手方向に延びる凹部が設けられ、前記凹部は、長手方向に延びる第1接続板と、前記第1接続板の下方に位置し前記第1接続板と平行な状態で長手方向に延びる第2接続板とによって画定され、
前記水切り板は、前記凹部に嵌入される嵌入部が設けられることを特徴とする請求項に記載の中空棟構造。
【請求項4】
前記第1接続板と前記水切り板は、上面がほぼ面一の状態であることを特徴とする請求項に記載の中空棟構造。
【請求項5】
前記棟本体の外面側は、棟瓦に似せた装飾が施されることを特徴とする請求項1に記載の中空棟構造
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、屋根の頂部に設置される中空棟構造に関する。
【背景技術】
【0002】
大棟に設置される棟構造については、屋根棟木の上側にある垂木の上に設置した野地板に、直接に練土を盛り、のし瓦を積み重ね、更に最上部に冠瓦を載置し、棟築土で固着し、棟築土の乾燥固化によりのし瓦及び冠瓦を相互に固定し築造していた。すなわち、完成した棟構造は、のし瓦及び冠瓦は釘止め等により固定さていない状態となっている。したがって、従来の棟構造は、台風や地震の振動に対して弱く、棟部の冠瓦や、のし瓦が棟築土から剥がれて脱落し、棟築土が崩壊する事例が数多くみられた。さらに、経年変化によって、棟築土が風化し、より一層の弱体化を招く結果となっていた。
【0003】
また、この築造方法では多量の棟築土を使用するので、大棟には常時、極めて大きな荷重が載荷される状態となる。その結果、地震の発生を契機として、家屋の倒壊が発生する事態も数多く確認されている。例えば、2024年1月1日に発生した能登半島地震では、多くの家屋が倒壊した。また、倒壊を免れた家屋についても、棟構造の破壊が数多く確認されている。
【0004】
地震などに起因して破損した棟構造を現状の通りに修復するには、数多くののし瓦や、冠瓦を調達する必要がある。しかし、このような材料は、現在、大量に生産されているものではなく、材料の調達に長期に渡る時間を要することとなる。また、仮に、これらの材料が早期に調達できたとしても、棟構造の修復は複雑な工程を経ることから、困難を極める。加えて、修復施工できる作業員が圧倒的に不足している。これらの事実を総合的に勘案すると、早期の修復は困難であると考えられる。
【0005】
特許文献1では、棟の軽量化により耐震性能を向上させ、構造面でジョイントを減らすことで防水性を高め、さらに棟瓦に緊急メッセージやライトアップ等の機能性を付与させた耐震棟が提案されている。耐震棟は、断面が中空であり、底部と側面を一体構造とした上部笠木部分を着脱自在に装着するとともに、取付構造体を介して屋根下地に直接に置かれた状態で、瓦に固定されている。
【0006】
特許文献2では、棟瓦の葺設の際に屋根勾配に関わらず確実、且つ容易に棟瓦を位置決めし、位置決めした状態で棟瓦を容易に屋根の棟に取付けることができ、棟瓦を取付けた状態において外観が美しくコストのかからない棟瓦の取付け構造が提案されている。棟瓦の取付け構造は、棟の上方を覆う棟瓦本体と、棟瓦本体の両側端部に設けた載置部とで構成されている。棟瓦本体の裏面の両側に略下方に突出する支持部が設けられている。両支持部を打入部よりも内方に配置する。両支持部の外側面に下に行く程内方に位置するように傾斜する当たり部が形成されている。棟瓦の両載置部を最上部の両屋根瓦に載置されると共に傾斜した両当たり部の任意の位置を両笠木の棟側の上角部に当接されている。棟瓦本体の打入部から打入した固着具は、両笠木に固着されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2014-198981号公報
【文献】特開2004-150041号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1で提案されている耐震棟は、屋根下地の勾配に合わせて、その都度の毎に取付構造体を作製する必要があり短期間に容易に製作できないと考えられる。また、屋根下地の施工誤差に対応できず、屋根下地と取付構造体との間に大きな隙間が生じる可能性がある。特許文献2で提案されている棟瓦の取付け構造は、固着具を、棟瓦本体の打入部から打入して、両笠木に固着するので、棟瓦本体の強度の弱体化が懸念される。また、打入部から雨水が侵入する虞も否定できない。
【0009】
本発明は、これらの問題点に着目してなされたものであり、短期間に簡単に大棟に取り付けることができて、耐久性や耐震性能に優れた中空棟構造を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するための発明は、屋根の頂部に設置される中空棟構造であって、野地板部の両傾斜面に沿って設置されるとともに、野地板部に固定される支持部と、支持部から突設して設けられる棟本体と、支持部と棟本体とを可撓連結する連結部と、を備え、支持部は一対の支持板と、一対の支持板を回動可能に接続するヒンジ部とを有し、支持部、棟本体、および連結部は協働して中空部を画定することを特徴とする。
【0011】
この構成によれば、野地板部の両傾斜面に沿って設置されるとともに、野地板部に固定される支持部は、支持部は一対の支持板と、一対の支持板を回動可能に接続するヒンジ部とを有し、さらに棟本体と支持部は可撓連結されているのでするので、所定範囲の屋根勾配について支持板を回動することのみで中空棟構造を簡単に、短期間に屋根に設置することができる。また、支持部、棟本体、および連結部は協働して中空部を画定するので、中空棟構造の軽量化が可能となる。
【0012】
好ましくは、支持板は、中空部の外部側に位置する打込み部が設けられ、打込み部に固定具を打ち込むことで、支持板と野地板部は相互に固定されることを特徴とする。
【0013】
この構成によれば、支持板と野地板部を固定するための固定具は、中空部の外部側に位置する打込み部から打込むので、棟本体の外部側から容易に打ち込むことができる。
【0014】
好ましくは、中空部への雨水の侵入を防止するための水切り板を備え、水切り板は、一端が棟本体の中間部に設けられる接続部に嵌合し、他端が屋根瓦に接触することを特徴とする。
【0015】
この構成によれば、中空棟構造は水切り板を備えているので、中空部への雨水の侵入を防止できる。また、水切り板は、一端が棟本体の中間部に設けられる接続部に嵌合し、他端が屋根瓦に接触するので、水切り板を取り付けない状態で棟本体を屋根の頂点に設置できることから、施工性の改善を図り得る。
【0016】
好ましくは、接続部は、長手方向に延びる凹部が設けられ、凹部は、長手方向に延びる第1接続板と、第1接続板の下方に位置し第1接続板と平行な状態で長手方向に延びる第2接続板とによって画定され、水切り板は、凹部に嵌入される嵌入部が設けられることを特徴とする。
【0017】
この構成によれば、接続部は、長手方向に延びる凹部が設けられ、凹部は、長手方向に延びる第1接続板と、第1接続板の下方に位置し第1接続板と平行な状態で長手方向に延びる第2接続板とによって画定され、水切り板は、凹部に嵌入される嵌入部が設けられるので、水切り板の接続部への嵌入が容易となる。
【0018】
好ましくは、第1接続板と水切り板は、上面がほぼ面一の状態であることを特徴とする。
【0019】
この構成によれば、第1接続板と水切り板は、上面がほぼ面一の状態であるので、棟本体に降り注いだ雨水を滑らかに屋根に流下できる。
【0020】
好ましくは、棟本体の外面側は、棟瓦に似せた装飾が施されることを特徴とする。
【0021】
この構成によれば、棟本体の外面側は、棟瓦に似せた装飾が施されるので、中空棟構造を美観に優れた外観とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】中空棟構造の概略斜視図である。
図2】接続部の断面図である。
図3】連結部の断面図である。
図4】連結部の変形例である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図1~3を参照して、本発明の中空棟構造の実施形態を詳述する。
【0024】
図1に示す通り、中空棟構造1は、屋根100の頂部101に設置されており、支持部10、および棟本体20を有している。本実施形態における屋根100の頂部101は、大棟を例示しているが、これに限るものではなく、隅棟であってもよい。支持部10と棟本体20は連結部30を介して可撓連結されており、支持部10、棟本体20、及び連結部30は、協働して中空部50を画定している。さらに、中空部50への雨水の侵入を防止するために水切り板70が設けられている。水切り板70の一端は棟本体20の中間部に設けられる接続部25に着脱可能な状態で嵌合している。また、水切り板70の他端は屋根瓦105に接触している。
【0025】
野地板部110は、野地板111と調整板112を有している。屋根100の頂部101において、野地板111の上に調整板112が積層固定されている。調整板112の先端は屋根瓦105と接続している。また、屋根瓦105は野地板111に支持されている。
【0026】
支持部10は、一対の支持板11、11と、支持板11同士を回動可能に接続するヒンジ部15を有している。支持板11は、長手方向L1に沿って延びる板部材である。ヒンジ部15は、支持板11と同様に長手方向L1に沿って延びるヒンジ構造の部材である。支持板11を回動して、支持板11同士のなす角度を調整することで、支持板11は調整板112に面接触する状態となっている。また、支持板11は固定具60によって調整板112に固定されている。支持板11およびヒンジ部15は、強度に優れ、錆による劣化の影響を受けない素材であることが好ましい。具体的には、ステンレス製、銅製が例示されるが、これに限るものではない。なお、本実施形態における長手方向L1とは、屋根100の頂部101が延びる方向である。
【0027】
支持板11は打込み部12が設けられ、打込み部12に固定具60を打ち込むことで、支持板11と野地板111、及び調整板112は相互に固定される。なお、打込み部12は、中空部50の外部側に設けられている。
【0028】
棟本体20は、長手方向L1に沿って延びる断面視が椀形状の板状部材であり、連結部30を介して支持板11に接続している。支持部10、棟本体20、及び連結部30は協働して中空部50を画定している。中空棟構造1に空洞となる中空部50を設けることで、充実構造となる一般的な棟瓦と比較して大幅な軽量化が可能となる。これにより、家屋及び棟構造を地震で破損し難い構造とすることができる。
【0029】
棟本体20の外面は、棟瓦に似せた装飾が施されている。これにより、屋根瓦105と中空棟構造1によって、日本家屋で通常よく目にする大棟のような外観を創出することができる。棟本体20に施される装飾は、棟本体20を棟瓦に似せた色で塗装してもよいし、瓦片を外面に貼り付けてもよい。また、外面を棟瓦に似せた形状に成型加工したうえで、棟瓦に似せた色で塗装してもよい。棟本体20は、軽量で強度に優れた素材であることが好ましい。具体的には、FRP製が例示されるが、これに限るものではない。
【0030】
水切り板70は、長手方向L1に沿って延びる断面視がL字型を約90度回転した異形の板状部材であり、一端が棟本体20の中間部に設けられる接続部25に後述する凹部26を介して嵌合し、他端が後述する接触部73を介して屋根瓦105の表面に接触している。水切り板70を棟本体20に取り付けることで、接続部25が外部空間に晒されること回避できる。これにより、接続部25の劣化を防止できる。また、中空部50への雨水の侵入を防止できる。
【0031】
屋根瓦105と水切り板70との間に生じると考えられる隙間については、シーリング材を用いて塞ぐことが好ましい。シーリング材は、シリコン系、変性シリコン系、ウレタン系、又はアクリル系のものが例示されるが、これに限るものではない。これにより、中空部50への雨水の侵入を防止できる。水切り板70は、軽量で強度に優れた素材であることが好ましい。具体的には、FRP製が例示されるが、これに限るものではない。
【0032】
図2に示す通り、水切り板70は、嵌合部71、傾斜部72、及び接触部73で構成されている。嵌合部71と接触部73は傾斜部72を介して接続している。嵌合部71は、凹部26に後述するように嵌合している。この嵌合部71は、凹部26に着脱可能な状態で嵌合していてもよい。凹部26は、棟本体20の中間部に位置する接続部25に設けられている。嵌合部71、及び傾斜部72は、屋根100の上方に位置し、断面視で、屋根100の傾斜に沿って延びている。嵌合部71、及び傾斜部72の傾斜角度は屋根100の傾斜角度と同じか、少し大きく設定されることが好ましい。接触部73は、傾斜部72の先端から屋根100に向かって延びており、その先端は屋根瓦105に接触している。
【0033】
接続部25は、長手方向L1に延びる凹部26を画定している。具体的には、凹部26は、長手方向L1に延びる第1接続板21と、第1接続板21の下方に位置し第1接続板21と平行な状態で長手方向L1に延びる第2接続板22とによって画定されている。第1接続板21、及び第2接続板22の傾斜角度は屋根100の傾斜角度と同じか、少し大きく設定されることが好ましい。
【0034】
嵌合部71の厚さは傾斜部72の厚さに比べて薄く設定されている。その厚さは、第1接続板21の厚さに相当する厚さである。これにより、第1接続板21と傾斜部72の上面をほぼ面一の状態とすることができる。なお、第1接続板21と傾斜部72の間に生じると考えられる隙間については、シーリング材を用いて塞ぐことが好ましい。シーリング材は、シリコン系、変性シリコン系、ウレタン系、又はアクリル系のものが例示されるが、これに限るものではない。
【0035】
図3に示す通り、棟本体20の端部に突設部27が設けられている。突設部27は、棟本体20の端部に位置し、外方に向かって延びる部位である。突設部27は充填凹部35に充填される充填材36を介して支持板11に接続している。
【0036】
充填凹部35は、第1充填板31、第2充填板32、対向板33、及び支持板11によって画定される空間である。第1充填板31は、長手方向L1に沿って延びる板状部材であり、一端が支持板11に接続固定されている。また、対向板33は第1充填板31の先端部に接続固定された板状の部材であり、突設部27の上方に位置し突設部25に対向して設けられている。
【0037】
対向板33を突設部27に対向して設けることで、棟本体20が、充填凹部35から抜け落ちることを防止できる。例えば、強風の影響で棟本体20が浮き上がろうとするとき、突設部27が対向板33に接触することで、棟本体20の浮き上がりを防止できる。対向板33は、第1充填板31の全長に渡って設置してもよいし、複数個を所定の間隔をあけて設置してもよい。
【0038】
第2充填板32は、長手方向L1に沿って延びる板状部材であり、一端が支持板11に接続固定されている。
【0039】
充填凹部35は、突設部27が収容されるとともに充填材36が充填されている。充填材36は、連結部30において、支持部10と棟本体20を可撓連結するためのものである。この場合、棟本体20は充填材36を介して支持部10に対して全方位(無方向)に撓み変形可能(弾性変形可能)となる。これにより、棟本体20や支持部10の揺れは、充填材36で吸収・緩和されることになり、耐震性に寄与することができる。なお、充填材36は弾性体として可撓性能を具備することが好ましく、具体的には、加硫ゴム、可撓性エポキシ樹脂が例示されるが、これに限るものではない。
【0040】
中空棟構造1の大棟への設置手順を説明する。
【0041】
支持板11を調整板112の上に載せて、支持板11の下面が調整板112の上面に面接触するように支持板11同士を回動する。このとき水切り板70は外しておく。支持板11の下面が調整板112の上面に面接触することを確認した後に、固定具60を打込み部12に打ち込み、支持板11と野地板部110を固定する。複数個の固定具60を所定間隔で打込み部12に打ち込むことで、支持板11と野地板部110は強固に固定できる。支持板11と野地板部110の固定強度は、所定風速下で、中空棟構造1が飛ばされない強度を確保することが好ましい。所定風速は、中空棟構造1の設置個所における予想される最大風速、家屋の重要度等を勘案して、適宜に定めればよい。
【0042】
棟本体20の設置が完了した後に、水切り板70を取り付ける。水切り板70の形状は想定される屋根100の傾斜角度の範囲内で瓦に接触できる状態に設定しておく。水切り板70の棟本体20への取り付けは、接続部25で画定される凹部26に嵌合部71を挿入して嵌合する。このとき、水切り板70の端部は、屋根瓦105を付勢する状態となっている。
【0043】
屋根瓦105の表面の不均等性な不陸や水切り板70の精度誤差等に起因して、屋根瓦105と水切り板70との間に隙間が生じる事態が想定される。仮に、屋根瓦105と水切り板70との間の隙間が確認された場合は、シーリング材によってその隙間を埋めることが好ましい。
【0044】
また、第1接続板21と傾斜部72との間に隙間が認められる場合は、同様に、シーリング材によってその隙間を埋めることが好ましい。
【0045】
本実施形態は例示であり、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲で改変できることは勿論である。例えば、連結部30の構成を、図4に示す通り、充填材236を突設部27と支持板11で挟持して接続固定して可撓連結構造としてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明に係る中空棟構造は、地震等によって棟が損壊したとき、早急に棟の復旧ができることから産業用の利用可能性は大である。
【符号の説明】
【0047】
1 :中空棟構造
10 :支持部
11 :支持板
12 :打込み部
15 :ヒンジ部
20 :棟本体
21 :第1接続板
22 :第2接続板
25 :接続部
26 :凹部
27 :突設部
30 :連結部
50 :中空部
60 :固定具
70 :水切り板
71 :嵌入部
100 :屋根
101 :頂部
105 :屋根瓦
110 :野地板部
L1 :長手方向
【要約】
【課題】短期間に簡単に大棟に取り付けることができて、耐久性や耐震性能に優れた中空棟構造を提供する。
【解決手段】中空棟構造1は、屋根100の頂部101に設置され、支持部10、および棟本体20を有している。支持部10と棟本体20は連結部30を介して可撓連結されており、支持部10、棟本体20、及び連結部30は、協働して中空部50を画定している。さらに、中空部50への雨水の侵入を防止するために水切り板70が設けられている。水切り板70の一端は棟本体20の中間部に設けられる接続部25に着脱可能な状態で嵌合している。また、水切り板70の他端は屋根瓦105に接触している。支持部10は、一対の支持板11、11と、支持板11同士を回動可能に接続するヒンジ部15を有している。支持板11を回動して、支持板11同士のなす角度を調整することで、支持板11は調整板112に面接触する状態となっている。
【選択図】 図1
図1
図2
図3
図4