(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-27
(45)【発行日】2024-10-07
(54)【発明の名称】身体用シェルター
(51)【国際特許分類】
E04H 9/02 20060101AFI20240930BHJP
【FI】
E04H9/02
(21)【出願番号】P 2024098175
(22)【出願日】2024-06-18
【審査請求日】2024-06-18
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】524093667
【氏名又は名称】岩堀 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100080090
【氏名又は名称】岩堀 邦男
(72)【発明者】
【氏名】岩堀 真之
【審査官】須永 聡
(56)【参考文献】
【文献】特許第6482495(JP,B2)
【文献】特許第5469137(JP,B2)
【文献】特開2006-265849(JP,A)
【文献】特開平08-243182(JP,A)
【文献】特開平08-226248(JP,A)
【文献】登録実用新案第3115937(JP,U)
【文献】特開昭56-139707(JP,A)
【文献】特許第7519737(JP,B1)
【文献】特許第7519736(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04H 9/02
A62B 3/00
A62B 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水平面状の金属製薄板として長方形主板の長辺を長手方向と短辺を幅方向とし、それぞれの長手方向の両側端には、前記長方形主板と同一材であって,前記金属製薄板の水平線を基準として外側に向かって下向き傾斜状の端部嵩上げ部が設けられ、対向する両前記端部嵩上げ部間には緊張紐状物が結ばれてなり、
日常時には前記長方形主板は扁平状を成し、大地震時には前記緊張紐状物が人力の引張力にて適宜短縮されつつ前記長方形主板は長手方向全体が湾曲状に形成されて固定されてなると共に前記端部
嵩上げ部は垂直状に形成されてなることを特徴とする身体用シェルター。
【請求項2】
請求項1に記載の身体用シェルターにおいて、前記端部嵩上げ部は、前記水平線を基準として下面内側から外側に向かって110度前後から150度前後の範囲内の所定角度を有してなることを特徴とする身体用シェルター。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の身体用シェルターにおいて、前記長方形主板の長手方向の両側端箇所及び前記端部嵩上げ部に跨る補強体が形成されてなることを特徴とする身体用シェルター。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の身体用シェルターにおいて、前記緊張紐状物には短縮操作部材を介して短縮されて固定されることを特徴とする身体用シェルター。
【請求項5】
請求項
4に記載の身体用シェルターにおいて、前記短縮操作部材はフック部を用いることを特徴とする身体用シェルター。
【請求項6】
請求項
4に記載の身体用シェルターにおいて、前記短縮操作部材は磁力部材を用いることを特徴とする身体用シェルター。
【請求項7】
請求項
4に記載の身体用シェルターにおいて、前記短縮操作部材は吸盤部材を用いることを特徴とする身体用シェルター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、日常時には室内の額縁材又は置物材として、大地震時(震度7相当)には数秒以内で同居の家族の身体を保護するシェルターにできる身体用シェルターに関する。
【背景技術】
【0002】
今年(令和6年)の元旦の夕方に、能登半島の大地震が発生し、多くの家屋が倒壊している。特に、石川県における本年1月20日までの死亡の状況を同県の行政機関が公表していた。240人余の死亡者中で、家族の同意が得られた死亡者103人の状況において、何と9割が家屋倒壊にて圧死との悲惨な現実が現れていた。
【0003】
2016年の熊本大地震でも、阪神淡路大地震でも、多くの家屋が倒壊し、且つ家屋倒壊にて圧死されている状況が多く発表されている。この2011年の東日本大震災では、津波や火災状況としており多元化している。この家屋倒壊による圧死に関係しているの家屋の強度が一番に関係している。
【0004】
建築基準法を遵守した2000年代の家屋は倒壊しにくいという利点があるが、これ以前に建てた木造2階建ての家屋では、震度7では可成りの割合で倒壊する危険性が高いのが現実である。このような一見ひ弱な家屋が、地震国日本にかなりの割合で存在している。
【0005】
引用文献1(実用新案登録第3119420号)の安心ホームシェルターでは、上側に膨出した円弧状アーチが形成されており、この下側に身体が入る空間部として成り、該空間部内で、睡眠していれば、大地震時に、家屋倒壊があっても一命をとりとめることができるという発明であり、それなりに安心できるシェルターであることは認められる。しかるに、日常では、これを寝室に備えることには場所も取るし、睡眠にも邪魔にもなることもある。普及させるのには困難性がある。
【0006】
引用文献2(特許第6482495号)の個人用シェルターも、棒片を多数組み合わせて多角形状で、正面から見て台形を成し且つ側面から見て三角形を成したものの内部空間内において、日常時も睡眠を取り、大地震時に家屋倒壊があっても一命をとりとめることができるという発明であり、この発明は、特に、日常では、これを寝室のベットに備えること大きな抵抗あるし、睡眠の邪魔にもなることもあり、普及させるには難しいと思料される。
【0007】
引用文献3(特許第5469137号)の耐震シェルターは、家屋の倒壊から保護する発明であり、個人が大地震時に、睡眠時においても直ぐに起きて、前記耐震シェルターに入れば家屋倒壊があっても一命をとりとめることができるという発明である。この発明は、寝室等に置けるスペースがあれば良いものである。
【0008】
それらの引用文献1、引用文献2及び引用文献3のそれぞれのシェルターは、日常時においては、寝室又は居間であったとしても場所を取るのみならず、日常時の生活行動の邪魔になることが多く、その普及し難い問題があったことは事実である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】実用新案登録第3119420号
【文献】特許第6482495号
【文献】特許第5469137号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
そこで、日常時(通常時)にはシェルターとしてではなく、邪魔にならないでいて、いざという時の大地震の時のみシェルターとしての役割を成すものが望まれているのに、このような要望に応えられる製品等は皆無であったが、このように日常時のときの状態と大地震時の状態の両目的を、地震大国日本でも要望はされ、且つ望まれていた。このため本発明が解決しようとする課題(技術的課題又は目的等)は、日常時のときに邪魔にならずに、大地震時ときのみ身体を保護するシェルターとしての役割を果たし、且つ実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
発明者は上記課題を解決すべく鋭意,研究を重ねた結果、請求項1の発明を、水平面状の金属製薄板として長方形主板の長辺を長手方向と短辺を幅方向とし、それぞれの長手方向の両側端には、前記長方形主板と同一材であって,前記金属製薄板の水平線を基準として外側に向かって下向き傾斜状の端部嵩上げ部が設けられ、対向する両前記端部嵩上げ部間には緊張紐状物が結ばれてなり、日常時には前記長方形主板は扁平状を成し、大地震時には前記緊張紐状物が人力の引張力にて適宜短縮されつつ前記長方形主板は長手方向全体が湾曲状に形成されて固定されてなると共に前記端部嵩上げ部は垂直状に形成されてなることを特徴とする身体用シェルターとしたことにより、前記課題を解決した。
【0012】
請求項2の発明を、請求項1に記載の身体用シェルターにおいて、前記端部嵩上げ部は、前記水平線を基準として下面内側から外側に向かって110度前後から150度前後の範囲内の所定角度を有してなることを特徴とする身体用シェルターとしたことにより、前記課題を解決した。請求項3の発明を、請求項1又は2に記載の身体用シェルターにおいて、前記長方形主板の長手方向の両側端箇所及び前記端部嵩上げ部に跨る補強体が形成されてなることを特徴とする身体用シェルターとしたことにより、前記課題を解決した。
【0013】
請求項4の発明を、請求項1又は2に記載の身体用シェルターにおいて、前記緊張紐状物には短縮操作部材を介して短縮されて固定されることを特徴とする身体用シェルターとしたことにより、前記課題を解決した。請求項5の発明を、請求項1又は2に記載の身体用シェルターにおいて、前記短縮操作部材はフック部を用いることを特徴とする身体用シェルターとしたことにより、前記課題を解決した。
【0014】
請求項6の発明を、請求項1又は2に記載の身体用シェルターにおいて、前記短縮操作部材は磁力部材を用いることを特徴とする身体用シェルターとしたことにより、前記課題を解決した。請求項7の発明を、請求項1又は2に記載の身体用シェルターにおいて、前記短縮操作部材は吸盤部材を用いることを特徴とする身体用シェルターとしたことにより、前記課題を解決したものである。
【発明の効果】
【0015】
請求項1の発明においては、日常時(通常時)にはシェルターとしてではなく、扁平状の長方形主板を絵画的に壁等に立て掛けたり、横置きしており、部屋の邪魔にならないでいて、いざという時の大地震の時のみに長方形主板の長手方向全体が湾曲状に形成(立体形成)されて固定されて、これが即、身体用のシェルターとしての役割を成す。これによって、大地震発生して家屋倒壊しても、本発明のシェルターにて命を救うことができる最大の利点がある。特に、人力にて曲げることを想定しているために、種々の金属板をも想定されるし、さらには薄板での亜鉛鉄板鋼鈑よりステンレス系の金属板が弾性力の点ではより薄材にできる利点があり、取扱い性に優れたものにできる。
【0016】
請求項2の発明では、より効果的な湾曲状としたシェルターを得ることができる。請求項3の発明では、補強体を入れたことで、薄板材でも強度を補償できる利点がある。請求項4の発明では、短縮操作部材を介したことで、より短縮操作をし易くできる利点がある。請求項5の発明では、短縮操作部材をフック部としたことで、より簡易な構造の短縮操作ができる。請求項6の発明では、短縮操作部材を磁力部材としたことで、より簡易で且つ音鳴りもあり、正確な短縮操作ができる。請求項6の発明では、短縮操作部材を吸盤部材としたことで、より簡易でありながら、正確な短縮操作ができる。
【0017】
本件特許明細書中において、「扁平状」とは、ひらたいことであり、全体として地上面に置いた場合には平坦面状又は水平面状をなしている。また、建築物の内外の垂直状の壁面に置いた場合には、直立面状として形成されている。特に、数度の折れ曲がりの場合、具体的は、
図15(B)に示すように、両側から角度θ1として形成されている。具体的には、角度θ1は約1度~約3度前後の折れ曲がりであっても「扁平状」の概念に含まれる[
図15(B)(ii)及び(iii)]。好ましくは、角度θ1は約2度~約3度として構
成されている。
【0018】
本件特許明細書中において、「湾曲状」とは、長方形主板の長手方向(X方向)全体が湾曲形成されて固定されている状態のことである。前記長方形主板1の長手方向全体が大地震時において、Z方向(X方向を有する水平面に直交する方向)に膨出して湾曲されたことを言い、弓形に曲がったり、半円アーチ型になることをも前記「湾曲状」に包含される。具体的には、
図15(C)に示すように、水平線を基準としての角度θ2として形成されている。角度θ2は約20度~約60度前後となって湾曲している[
図15(C)(iv)及び(v)]。
【0019】
好ましくは、角度θ2は約30度~約50度として構成されている。ベストでは、角度θ2は約35度~約45度、さらに、角度θ2は、約40度強で45度近辺と思料される。該角度θ2は、前記長方形主板のみが水平線を基準としていることに注意を要する。特に、前記端部嵩上げ部が垂直状に形成されたときには、角度θ3=90度+角度θ2 となる。この点は後述する。特に、大地震には、震度7までならなくとも、場所によっては震度6弱,震度6強でも包含される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の金属製薄板の手動タイプのフック部による第1実施形態であって、(A)は日常時に縦置きした状態の全体斜視図、(B)は大地震時においての湾曲状にされて固定された全体斜視図、(C)は大地震時において横座状態で半円アーチ型に固定された全体横座図、(D)は(A)の(α)箇所の拡大斜視図、(E)は(D)の別実施例の斜視図である。
【
図2】(A)は
図1(A)の縦置きした状態で僅かに傾けた全体正面図、(B)は大地震時においての湾曲状態に固定された全体立面図、(C)は大地震時において湾曲状となって半円アーチ型の固定状態に移行している途中の各瞬時段階の全体立面図である。なお、この明細書においての「全体略正面図」又は「略正面図」のみは、対象面に対して90度(法線)方向ではなく、約80度~約85度の方向からの図面であり、以後の「略正面図」も同様である。
【
図3】本発明の金属製薄板の手動タイプの磁石セットによる第2実施形態であって、(A)は下側が磁石で上側が鉄製部材をなして日常時の縦置きした状態の要部斜視図、(B)は磁石セットが結合完了した状態の斜視図、(C)は磁石セットが結合する直前状態の状態図、(D)は磁石セットの上下が逆となっている別実施例の断面図である。
【
図4】本発明の金属製薄板の手動タイプの吸盤セットによる第3実施形態であって、(A)は上側が吸盤ゴム片で下側が扁平ゴム片での日常時の縦置きした状態の要部斜視図、(B)は吸盤セットが結合する直前状態の断面図、(C)は(B)の状態の断面図、(D)は吸盤セットが結合完了した状態の断面図、(E)は吸盤セットの別の実施形態の断面図である。
【
図5】(A)は補強アングルにて補強されつつ大地震時に湾曲して半円アーチ型に固定されている横座状態での全体斜視図、(B)は補強アングル及びこの取付状態の一部斜視図、(C)は補強板材にて補強されつつ大地震時に湾曲して半円アーチ型に固定されている全体横座図、(D)は補強板材及びこの取付状態の一部斜視図である。
【
図6】(A)は金属製薄板の長方形主板周囲の長辺及び端部嵩上げ部の外周囲に装着せんとする安全のための化粧枠材及びこの取付状態一部斜視図、(B)は金属製薄板の端部嵩上げ部の角部に装着する角部ピース及びこれを装着した端部嵩上げ部の一部正面図である。
【
図7】本発明の使用状態を示した各段階状態図であって、(A)は本発明品を寝室の壁箇所に立て掛けにして日常時の睡眠状態と大地震時に起き上がる位置を仮想している日常時の状態図、(B)は大地震時に立ち上がって引手ハンドルに手を掛けた瞬間の第1状態図、(C)及び(D)は引手ハンドルに手を掛けつつ押し下げている瞬間の第2,第3状態図、(E)は緊張紐状物を短縮させて半円アーチ型に固定された瞬間で最終形状とした第4状態図、(F)は半円アーチ型で横座されて家族の何人かが入っている身体保護のシェルターとした最終横座図である。
【
図8】(A)は半円アーチ型に固定された状態時に、家屋倒壊時に家屋部材が落下して本発明品に衝突する直前状態の瞬時状態図、(B)は家屋倒壊時の家屋部材が本発明品に衝突した瞬時状態図である。
【
図9】(A)は金属製部材に曲げモーメント作用して曲げ応力が発生し曲率半径が生じている状態図及び所要な公式(1)を表した図、(B)は金属製部材の長方形断面や金属製部材の薄板の断面係数及び所要な公式(2)を表した図である。
【
図10】本発明の金属製薄板の手動タイプの第1実施形態の使用例であって、(A)は壁箇所に立て掛けて設置した場合の側面図、(B)は(A)の下側箇所に飲料水等のペットボトルを枕とした箇所を拡大した斜視図、(C)は(B)箇所の要部拡大断面図、(D)はSタイプの長方形主板の略正面図、(E)のMタイプの長方形主板の略正面図、(F)のLタイプの長方形主板の略正面図である。
【
図11】金属製薄板の長方形主板を用いた本発明の手動タイプ及び電動タイプの日常時を表す図であって、(A)は手動タイプを縦置きしつつ上半分にのれんを掛けて壁絵として置く状態図、(B)は(A)の上端に掲げるのれんの一例の斜視図、(C)も日常時において、電動タイプで横置きして約上半分以上にのれんを掛けて壁絵として置く状態図、(D)は(A)の(α)箇所の拡大斜視図である。
【
図12】金属製薄板の長方形主板を用いた本発明の電動タイプの横置きしたものであり、(A)は日常時に横置きした全体斜視図、(B)は大地震時において湾曲状(半円アーチ型)にして固定した最終状態図、(C)は半円アーチ型に横座して身体のシェルターとした状態の最終状態図、(D)は小型巻上機の拡大斜視図である。
【
図13】本発明のさらに別の実施形態であって、長方形主板がFRP材からなるもので手動タイプであり、(A)は日常時に縦置きした全体斜視図、(B)は大地震時において湾曲状(半円アーチ型)にして固定した最終状態図、(C)は半円アーチ型に横座して身体のシェルターとした状態の最終状態図である。
【
図14】本発明は、長方形主板がFRP材からなるもので電動タイプであり、(A)は日常時に横置きした全体斜視図、(B)は大地震時において湾曲状(半円アーチ型)にして固定した最終状態図、(C)は半円アーチ型に横座して身体のシェルターとした状態の最終状態図である。
【
図15】金属製の長方形主板の長手方向の状態を示す図であって、(A)はその斜視図、(B)は扁平状なる概念を示す図の一例であり、(i),(ii),(iii)も何れも扁平状に含まれる図例の断面図、(C)は湾曲状なる概念を示す図の一例であり、(iv),(v)も何れも湾曲状に含まれる図例の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態について図面に基づいて説明する。
[金属製薄板の手動タイプの第1実施形態]
金属製薄板で手動タイプの第1実施形態について、
図1乃至
図3及び
図5,
図6について説明する。まず、基本となる主要部材が金属製薄板の長方形主板1であって、
図1(A),
図2(A)及び
図7(A)に示すように、それぞれの図では縦長であり、長辺11(長い辺)を長手方向(X方向)と、短辺12(短い辺)を幅方向(Y方向)として形成されている。
【0022】
前記長方形主板1の基本形としては、周囲に長辺11,11及び短辺12,12で構成され、特に、横幅(短辺12:Y方向)が1に対し、長手方向長さ(長辺11:X方向)が約2倍前後のとして形成されている。具体的には、横幅(Y方向)の短辺12が約90cm前後で、長手方向幅(X方向)の長辺11が約180cm前後に構成されている。基本形での日常時においては、前記長方形主板1は扁平状を成している[
図20(B)参照]。場合によっては僅かに湾曲している場合もあり、その長手方向は、扁平状を成している場合に比して約1又は2cm程度の長さが短縮されることがあるが、本件出願では、扁平状の場合と同様の数値としておく。
【0023】
2は端部嵩上げ部であって、前記長方形主板1の長手方向の両側端には、該長方形主板1と同一材であって,前記水平状としての水平線を基準に内側から外側に向かって約110度前後から約150度前後の範囲内の所定角度θ3を有して傾斜状に一体形成されている。このような角度θ3の状態は、日常時の状態であっても、大地震時において、前記長方形主板1の長手方向が人力又は動力にての引張力にて適宜短縮されつつ湾曲状に形成されて固定され、さらに前記端部嵩上げ部2が垂直状(約85度内外でも垂直状に包含される。)に形成されたときにも、その角度θ3なる角度は略同一角度で保持されるものとして本発明を完成させている。この角度の変化は金属材の材質や板厚にも関係している。後述の補強体3が設けられた場合には角度θ3は同一角度が保持されることは勿論である。
【0024】
該角度θ3=90度+角度θ2であり、該角度θ3について、好ましくは、約120度~約140度(θ2は約30度~50度)として構成されている。さらに好ましくは、約125度から約135度(35度~45度)、ベストでは、約130度強(40度強で、45度近辺)である。前記角度θ3に折り曲げ加工は大型プレス加工にて成形される。本件発明では、日常時においては、前記長方形主板1は扁平状を成しており、後述する緊張紐状物4に張力無し状態に構成されている。仮に約1kg以内の張力があったとしてもこの明細書では張力無しの概念に包含される。さらに、前記長方形主板1及び両端部嵩上げ部2,2には、具体的には、3タイプが存在している。
【0025】
3タイプでは、Sタイプ、Mタイプ、Lタイプである。
図10(C),(D)及び(E)に示されており、かかる一例では、θ3は135度として記載しておく。Sタイプの横幅(X方向)は90cmであって、長方形主板1の長手方向は170cmで両端部
嵩上げ部2,2の嵩上げ高さ(Y方向)は約25cmである。この場合の長手方向の全長は約205cmとして形成されている。Mタイプの横幅(X方向)は95cmであって、長方形主板1の長手方向は175cmで両端部
嵩上げ部2,2の嵩上げ高さ(Y方向)は約30cmである。この場合の長手方向の全長は約220cmとして形成されている。また、Lタイプの横幅(X方向)は100cmであって、長方形主板1の長手方向は180cmで両端部
嵩上げ部2,2の嵩上げ高さ(Y方向)は約30cmである。この場合の長手方向の全長は約225cmとして形成されている。
【0026】
前記長方形主板1及び両前記端部嵩上げ部2,2の金属製薄板は、鉄鋼製の亜鉛メッキ鋼板、鉄にクロムを混ぜたステンレス鋼板等で形成されており、特に、弾力性が優れた部材が適宜選択されることが好ましい。前記長方形主板1の長手方向の両側端箇所及び両前記端部嵩上げ部2,2に跨る補強体3が形成されている。該補強体3としては、複数の実施例が存在する。
【0027】
[金属製薄板の長方形主板1及び端部嵩上げ部2の補強対策]
第1番目は、
図1及び
図2に示すように、補強リブ31として形成されている。該補強リブ31は、折り曲げ箇所に2箇所であるが、3又は4箇所の場合もある。該補強リブ3はプレス加工のみで可能なため大型設備は必要であるが追加部材もなく量産化でき全体としては比較的安価に製造できる可能性がある。
第2番目は、別部材であって、
図5(A)及び(B)に示すように、側面から見て角度θ3の補強アングル32がビス等の固定具にて固着されている。また、
図5(C)及び(D)に示すように、第3番目も別部材であって、金属板の断面が角度θ3を有して前記長方形主板1の短辺12又は前記端部
嵩上げ部2の下端辺21と同等幅になるような補強板材33として構成されることもあり、これもビス等の固定具にて固着されている。
【0028】
対向する両前記端部
嵩上げ部2,2の端部寄りで幅方向の中間位置(略中央位置)の両前記端部
嵩上げ部2,2間には、緊張紐状物4が結束されて構成されている。該緊張紐状物4は金属製のワイヤーや布製のロープ等で構成されており、引張荷重には、約7,80乃至約100kg程度は耐えうるように供えられている。日常時には、ある程度の緩みを有して設けられている[
図1(A),
図2(A)参照]。
【0029】
大地震時においては、前記緊張紐状物4が人力の引張力(約35kg乃至約70kg程度)にて適宜短縮されつつ前記長方形主板1の長手方向が湾曲状に形成されて固定されて、この内部に家族(夫婦及び子供)の身体を隠すことで身体用シェルターにできるものである。前述の人力の引張力(約35kg乃至約70kg)は、約1,2割程度の割増であっても人力の引張力に包含される。また、大地震時においての本発明の概念としての内容であるが、具体的には、前記緊張紐状物4が人力の引張力にて適宜短縮される構成については、1本もので全長が緊張紐状物4として構成されている。
【0030】
大きな大地震時というと、一般人には、一生に一度あるか無いかの災害時である。こんなときに、冷静に操作ができるかというとできないのが通例である。このようなことを考慮して、緊張紐状物4の適宜短縮する構成を案出している。短縮構成の第1種類は、
図1(A)及び
図2(A)に示すように、前記緊張紐状物4が1本の連続物であって、この場合には、該緊張紐状物4の上端寄りの適宜の位置に、フック部5が固定されている。この上端寄りの適宜の該フック部5の位置と、前記緊張紐状物4の端部に設けられた被係止部4aとは距離Qを有している。前記被係止部4aは、前記緊張紐状物4の一部が輪状に丸められて構成されている[
図1(A)参照]。
【0031】
前記距離Qは、具体的には、長方形主板1の長手方向全幅が約170cmの場合には、約25cm前後である。該フック部5には、必要に応じて公知の外れ止めが設けられているが、図面上では省略している。
図1でも、
図2でも、日常時には、
図1(A)の状態から
図1(B)に示すように、前記フック部5が前記緊張紐状物4の端部寄りの被係止部4aに係止されて短縮構成にされて固定状態となっている。大地震発生という極めて緊張時であっても、フック部5の位置は前記緊張紐状物4の端部(必ず目視できる位置で、前記距離Q)に付いているために前記フック部5を探すということは全く無いという安全性がある。
【0032】
[本発明品の実際の使い方:手動操作例]
短縮構成としてのフック部5の係止する構成としては、実際には、約25cm前後の距離Qを短縮させる動作であり、前述したように、人力の引張力(約35kg乃至約70kg程度)を介して行われる。この動作について
図7に基づいて説明する。まず、日常時においては、
図7(A)の状態であって、人はベット又は敷布団等に睡眠しており(寝具は省略)、本発明品は垂直状に立て掛けた状態下にある。次に、万一であるが、大地震時においては、その人が掛け布団を跳ね除け、
図7(B)に示すように、立ち上がって直ぐに引手ハンドル81に手を掛ける。
【0033】
そして、直後に該当者は、引手ハンドル81に体重を掛けつつ押し下げて
図7(C)及び(D)に示すようにする。さらに体重を掛けて押し下げて、このときフック部5を上側の被係止部4aに係止して固定する〔
図7(E)参照〕。このような動作〔
図7(B)~(E)〕は、実際には、約2~3秒で行われる。その後に、このように両端部
嵩上げ部2,2付き長方形主板1の長手方向全体が湾曲状に形成されてこれも固定状態になったことで、
図7(F)に示すように、本発明品を横座させて操作者及び家族の者の数人がうつ伏せ状態で家屋倒壊からの身体を守ることができる。
【0034】
つまり、大地震時においては、前記緊張紐状物4が人力の引張力にて適宜短縮されつつ前記長方形主板1の長手方向が湾曲状に形成されて固定されて、両端部嵩上げ部2,2付き前記長方形主板1が湾曲状となって前記両端部嵩上げ部2,2の存在にてスペースを十分に取れる内部に家族の数人が身体を隠すことで身体用シェルターにできるものである。日常時は扁平状に近い額状で邪魔にならない状態であっても、いざというときには身体のシェルターとしての役割を成すという発明であり、このいざというときに、湾曲状にするのに簡易で且つ確実な操作手段が求められ、この要求に確実に応え得る発明である。
【0035】
[金属製薄板の手動タイプの第1実施形態]
これには、前述したように、短縮構成の第1種類目が、
図1(A)及び
図2(A)に示すように、前記緊張紐状物4が1本の連続物で上端寄りの適宜の位置に設けたフック部5のみで構成された単純な内容であるが、これが安全且つ確実に係止できる技術内容でもある。前記フック部5のみでも後述の短縮操作部材Sとも称する。前述したように、前記緊張紐状物4の一部を輪状に丸めて被係止部4aが構成されているが、
図1(E)に示すように、吊り輪4bを設けることもある。これに前記フック部5を係止するとなると緊急時に解りやすく且つ操作しやすい利点もある。
【0036】
[金属製薄板の手動タイプの第2実施形態]
次に、本発明の金属製薄板の手動タイプの第2実施形態であって、前記短縮操作部材Sを磁力部材6のタイプであり、
図3に示すように、マグネット材よりなる磁力部61と、これに着磁する鉄系部材62とから構成されている。この場合も、前記緊張紐状物4が1本の連続物であって、該緊張紐状物4の上端寄りからある程度の位置に前記磁力部61が固定されている。この上端寄りに前記鉄系部材62が設けられている。このときにも前記磁力部61と前記鉄系部材62とは距離Qを有している。前記緊張紐状物4の途中に前記磁力部61又は前記鉄系部材62が固定されるのに止め座金4c,4cが使用されることが多い。この他にも公知例として確実な固定が必要である。
【0037】
この場合にも、前記磁力部61の位置が
図3(C)の位置となって両者が磁力結合し易くなるように構成されている。いざというとき(大地震時)に、上側の前記鉄系部材62と下側の前記磁力部61との確実な磁力結合を求める。実施例では、下側を磁力部61とし、上側を鉄系部材62としたが、図示しないが、この逆も当然にあり得る構成である。
【0038】
[金属製薄板の手動タイプの第3実施形態]
また、本発明の金属製薄板の手動タイプの第3実施形態であって、前記短縮操作部材Sを吸着部材7とした場合は、
図4に示すように、下面が凹状となったゴム系の吸着部71と平らなゴム系の板部72とから構成されている。この場合も、前記緊張紐状物4が1本の連続物であって、該緊張紐状物4の上端寄りからある程度の位置に前記吸着部71が固定されている。この上端寄りに前記板部72が設けられている。このときにも前記吸着部71と前記板部72とは距離Qを有している。
【0039】
この場合にも、前記吸着部71の位置が
図4(C)の位置となって両者が吸着結合し易くなるように構成されている。いざというとき(大地震時)に、上側の前記吸着部71と下側の前記板部72との確実な吸着結合を求める。実施例では、下側を板部72とし、上側を吸着部71としたが、図示しないが、この逆も当然にあり得る構成である。
【0040】
[本発明品の使用例]
部屋内の壁個所に立て掛けて設置しておく。この立て掛け状態を安定化させるためと、緊急時の飲料対策を兼ねておく。具体的には、
図10(A)に示すように、飲料水入りのペットボトル45のホルダー88を前記端部
嵩上げ部2の裏面の適宜の個所に固定しておき、これに前記ペットボトル45の首個所に結束しておくことが好ましい。具体的には、前記ホルダー88は前片88aと後片88bと山形部88cとからなり、該山形部88cの一辺が前記端部
嵩上げ部2の裏面の適宜の個所に糊付けされ且つ前記ペットボトル45を支えるような舌片88dが切り欠き形成されている。前記ペットボトル45には、呼笛46も供えられており、万一の大地震時において家屋倒壊した後に横座して前記長方形主板1及び端部
嵩上げ部2,2(半円アーチ発明)内で助かった場合の早期救出に役立てるためである。
【0041】
[金属製薄板の電動タイプ]
次に、本発明の金属製薄板の電動タイプにて湾曲状にする実施形態ついて説明する。特に、前記金属製薄板の長方形主板1に設けた緊張紐状物4を電動にて行うものである。具体的には、
図12(A)及び(B)に示すように、前記緊張紐状物4の先端寄りに小型巻上機9が設けられ、該小型巻上機9の係止部97が前記端部嵩上げ部2,2の中間位置に係止されている。前記小型巻上機9の外筐部91には回転するドラム部92が内蔵され、ワイヤー94が巻き付けられ、前記外筐部91の外側に露出したフック片93を、モータ部95及び電源部96(12V又は24V)を介して巻き上げ可能に構成されている。この電源部9cは家庭用交流電源100vが使われることもある。
【0042】
実際の巻上量としては、約20cm~約30cm前後(距離Q)であって、この巻上力としては、約100kg前後が必要とされている。初期トルクはかなり大きな力であり、特に、本発明に係る金属製薄板の前記長方形主板1の長手方向全体を湾曲させるための初期力が必要である。前記小型巻上機9の正面位置には、スタートボタン(図示しない)が設けられ、該スタートボタンを押した瞬間に駆動して前記緊張紐状物4に対して短縮操作が行われ、所定長さを短縮(巻上)したときには、ブレーキが自動的に加わり、
図12(B)に示すように、前記長方形主板1の長手方向(X方向)を湾曲状にしつつ固定される。
【0043】
[本発明品の実際の使い方:電動操作例]
電動タイプの場合には、操作に人力を必要ないことと、前記小型巻上機9が設けられていることで、縦型にではなく、
図12(A)に示すように、日常時においては横置きし、実際の大地震時においては、前記小型巻上機9のスタートボタンを押して瞬間に駆動させて前記緊張紐状物4に対して短縮操作を成して所定長さ(距離Q)を短縮(巻上)して、ブレーキ操作が掛かって自動的に停止して、前記長方形主板1の長手方向(X方向)を湾曲状にしつつ固定状態とする。そして、湾曲された前記長方形主板1の内部にうつ伏せ状態で身体を護る。このように、実際には、スタートスイッチを押してから前記長方形主板1の内部にうつ伏せ状態になるまでは数秒(約3~約6秒程度)にて操作する。
【0044】
[本発明品の材料力学、構造力学的及び機構学的な考察]
[第1番目]
日常時において長方形主板1が扁平湾曲状にしつつも、大地震時において長方形主板1の長手方向全体を湾曲状(立体的)に構成するという発案であるが、特に、一例ではあるが、Sタイプで、X方向の全高さ約205cmでY方向の幅が90cmとした場合において、前記X方向を約25cm(距離Q)押し下げるのみで、Z方向の湾曲最大高さPを最大約60cmに立体物としてのシェルターとしてすることができるという機構学的にも効率的な動作を得ることができる。つまり、X方向の約25cm強(距離Q)という短縮操作で、Z方向の湾曲最大高さPを約60cmに近似しての湾曲状立体物を得られるものである。
【0045】
Mタイプで、X方向の全高さ約210cmでY方向の幅が約100cmとした場合において、前記X方向を約30cm(距離Q)押し下げるのみで、Z方向の湾曲最大高さPを最大約70cmの立体物としてのシェルターにできる。Lタイプで、X方向の高さ約220cmでY方向の幅が110cmとした場合において、前記X方向を約35cm弱(距離Q)押し下げるのみで、Z方向の湾曲最大高さPを約75cmの立体物としてのシェルターにできる。
【0046】
[第1番目の結論]
これは、Y方向の長さが約90cm強で、X方向の長さ約170~180cm前後という数値の金属製薄板という条件の基ではあるが、押し下げるX方向の距離Qに対してZ方向に膨出する最大高さの距離Pとすると、
距離Q<距離P
なる公式がでている。
【0047】
この公式では、前記端部嵩上げ部2の高さ25cm乃至35cmを含む値としての前記長方形主板1のみの長手方向の距離Qと、同長方形主板1のみのZ方向の距離Pとの関係式である。すなわち、押し下げる方向(X方向)距離Qよりも、Z方向に膨出する距離Pの方が大きいという利点も考慮しての発明である。具体例としては、Sタイプ及びMタイプで、X方向で約25cm乃至35cm(距離Q)押し下げ、Z方向最大高さ約40cm+30 cm(距離P)が得られる。また、Lタイプで、X方向で約35cm(距離Q)押し下げ、Z方向最大高さ約45cm+30 cm(距離P)がそれぞれ得られるものである。
【0048】
[第2番目]
曲げモーメントMは、
図9(A)に示すように、
EI:曲げ鋼性、 1/ρ:たわみ曲線の曲率
ρ:曲率半径、 E:縦弾性係数
M=(EI)× 1/ρ・・・・・・(1)
【0049】
前記曲げ鋼性EIは、金属材の材料及びその断面形状より決定される。特に、本発明では、日常時において長方形主板1が扁平状にされつつも、大地震時において湾曲状(立体的)に構成するという発案であるが、特に、弾力性の優れた薄板金属材では、曲げた時(瞬間時から約数分時)が、曲げモーメントMは最大となり、この時に、
図9(B)に示すように、家屋崩壊時に天井部材(梁材も含めて)が落下したときに、落下荷重に耐えうることができる。
【0050】
具体的には、湾曲状となった金属製薄板の長方形主板1の各部からの弾性力が作用すると同時に、細かく瞬時,瞬時を観察すると、弾力性ゆえに一度は凹み状態となっても不規則ではあるが撥ね返してその家屋崩壊時の落下力に十分に耐えうるものにでき、湾曲状となってZ方向が広がり立体状となった長方形主板1内に身体を隠して保護できるといものである。あくまでも想定であり、実験を待たれ、且つ金属材の材質にもよるが、家屋倒壊時の何トンもの落下荷重に耐えうることも可能である。
【0051】
[第3番目]
前記曲げ鋼性EIは金属材の断面形状に影響されるが、具体的に材料力学、構造力学的には、金属材の断面形状に影響される。金属材の長方形断面として見た場合が、
図12(B)の上側図となるが、本願発明のように薄板となっても[
図12(B)下側]、同一の断面係数Zにて表せれる。
つまり、Z=b×(tの2乗)×1/6・・・・・・(2)
この(2)の公式より、断面係数は板厚の2乗に比例している。このため、板厚が2倍となれば、断面係数Zは4倍となる。このようなことは、金属材1.2mm前後の金属板で、本件特許発明品を構成しても、重さは約20kg前後になり、取り扱いし難い状況となる。
【0052】
[金属製薄板の長方形主板1及び両端部嵩上げ部2,2の安全対策]
前記長方形主板1としては金属製薄板であるが、この周囲は素手の人手では怪我をする可能性があるため、
図6(A)に示すように、断面コ字状の化粧枠材15aが薄板の長辺11,11及び端部嵩上げ部21の周縁に接着剤等を介して保護されている。さらに該端部嵩上げ部21の角部22には、
図6(B)に示すような角部ピース15bが弾力性を有しつつ縦置き〔(
図1(A)参照〕又は横置き〔(
図16(A)参照〕されたときに台座的な役割を成すものである。前記角部ピース15bには滑り防止が施されることが好ましい。
【0053】
[金属製薄板の長方形主板1の3タイプ]
図10(C)は長方形主板1及び両端部嵩上げ部2,2の立面図のSタイプで、X方向の高さ約205cmでY方向の幅が約90cm、
図10(D)はMタイプで、前記長方形主板1及び両端部嵩上げ部2,2のX方向の高さ約220cmでY方向の幅が約95cm、
図10(E)はLタイプで、前記長方形主板1及び両端部嵩上げ部2,2の立面図のX方向の高さ約225cmでY方向の幅が約100cmとして構成されている。
【0054】
[実施形態例]
金属板で長方形主板1のみとして(両端部嵩上げ部2を設けないで)の厚み0.8mmで、長辺11が90cm、短辺12が45cmとして、緊張紐状物4を設けて湾曲状にするのに、該緊張紐状物4を短縮する力としては、かなりの力が要求される。ここで、重要なことは、同一部材であっても、板厚を僅かでも増加させた場合には、強度的には、断面係数が影響しているため、板厚tの2乗になることから、例えば、厚み0.8×0.8=tの2乗として計算され、t(求める板厚)が、約1.13mmとなり、具体的には、市販の板厚1.2mmとなる。つ
まり、計算上では、厚み0.8mmの金属材の曲げモーメント力Mを2倍にするのに、曲げ鋼性EIにも影響するが、断面係数Zにも影響して、5割増しの厚さの板厚1.2mmにて得ることができる。
【0055】
[FRP部材製]
また、今までの説明は、金属製薄板(鉄鋼系、ステンレス部材等)であったが、この材料を変えて、
図13及び
図14に示すように、FRP部材(Fiber reinforced plastics)として構成したものである。このFRP部材であっても、
図13(A)の状態から
図13(B)のように湾曲状にするための人力としては、金属製薄板(鉄鋼系、ステンレス部材等)と同等の人力(約35kg乃至約70kg)として想定している。
【0056】
大きさとしては、FRP部材の手動タイプでは、
図13(A)に示すように、予めθ3を約135度前後(θ2は45度前後)として全長のX方向を約220cm前後となるようにして、幅のX方向を約100cmとしつつ、前述の金属製薄板(鉄鋼系、ステンレス部材等)と同様に緊張紐状物4が設けられている。さらに、引手ハンドル81を介して短縮操作部材Sなるフック部5,磁力部材6、吸着部材7等は、
図3及び
図4に示す部材と同様に設けられている。
【0057】
また、FRP部材の電動タイプでは、
図14(A)に示すように、Y方向の幅が約100cmでX方向の高さが約220cmとなるようにして、前述の金属製薄板(鉄鋼系、ステンレス部材等)と同様に、緊張紐状物4が設けられている。特に、
図12に示す前記小型巻上機9と同様に、約100kgで巻上できるように構成されて、前記FRP部材の長方形主板1が、その約100kg前後の巻上力にて、湾曲状になって固定されるよう
に構成されている。
【0058】
また、FRP部材の前記長方形主板1は、Y方向の幅が約100cmでX方向の高さが約220cmとなるように形成されえいると説明したが、前述した金属製薄板の前記長方形主板1の大きさの例の
図10(D)に示すSタイプ、
図10(E)に示すMタイプ、
図10(F)に示すLタイプと同様の大きさに形成することもある。特に、
図14(A)及び
図14(B)では、長手方向(X方向)に約数度屈曲して形成されているが、扁平状の定義内に含まれる。
【0059】
[日常時での「のれん85」掛け]
図11(B)に示したものは、日常時において使う「のれん85」であって、全幅は前記長方形主板1のY方向の全幅と同等をなし、割り部85aが1又は複数設けられている。前記のれん85は、
図11(A)に示すように、日常時において縦置きした上半分に掛けて壁絵又は観賞用絵等としておくものである。特に重要な点は、前記割り部85aの位置の真後に、前記引手ハンドル81が位置していることが求められる。これによって、何時起こるとも解らない大地震の際に、前記割り部85aを確認しつつ確実に引手ハンドル81を握ることができる。
【0060】
図11(C)に示したものは、電動タイプの本件発明であり、日常時において横置きして上側の半分以上位置に、のれん85を掛けて壁絵としておくものであるが、このときに必要なことは、前記小型巻上機9のスタートスイッチを直ぐに押せるように、該スタートスイッチの直ぐ前位置に、前記割り部85aの位置が揃うように構成されることが必要である。
【0061】
11(C)に示すのれん85の割り部85aは必要に応じて設けられている。また、前記のれん85に描かれる図案は、その家に伝わる家紋や、好みの絵画や、各種のキャラクター図でも内容的には限定されずに、何でも良く、観賞用にでき得るもの全てが包含される。理由は、日常時には、長方形主板1の主要である額部を、観賞用のれん85で覆いつつ安心した日常生活を過ごすことができるものを提供しつつ、大地震時には、打って変わって、この額が身体用シェルターにできるという大きな役割を果たし得る発明でもある。
【0062】
日常時においては、長方形主板1の長手方向全体は扁平状に形成され、両端部嵩上げ部2,2が傾斜して設けられていることから、前記緊張紐状物4が弓の弦のようになって、前記長方形主板1の位置よりも浮き上がる位置になり、この弦なる前記緊張紐状物3の中間位置を、11(D)に示すように、留め具87を介して引くように構成されている。該留め具87は前記緊張紐状物3の止め部87aと、金属製薄板の長方形主板1に鉄鋼製のときはマグネット部87bが設けられており、ステンレス系の場合には適宜な接着剤又はピン等で前記長方形主板1の略中央位置に固定されている。
【0063】
上述した実施形態に関して、さらに以下の付記を開示する。
(付記1:電動タイプ)
水平面状の金属製薄板として長方形主板の長辺を長手方向と短辺を幅方向とし、それぞれの長手方向の両側端には、前記長方形主板と同一材であって,前記金属製薄板の水平線を基準として外側に向かって下向き傾斜状の端部嵩上げ部が設けられ、対向する両前記端部嵩上げ部間には緊張紐状物が結ばれてなり、日常時には前記長方形主板は扁平状を成し、大地震時には前記緊張紐状物が動力の引張力にて適宜短縮されつつ前記長方形主板は長手方向全体が湾曲状に形成されて固定されてなると共に前記端部嵩上げ部は垂直状に形成されてなることを特徴とする身体用シェルター。
【0064】
(付記2:FRPタイプ)
水平面状のFRP製薄板として長方形主板の長辺を長手方向と短辺を幅方向とし、それぞれの長手方向の両側端には、前記長方形主板と同一材であって,前記金属製薄板の水平線を基準として外側に向かって下向き傾斜状の端部嵩上げ部が設けられ、対向する両前記端部嵩上げ部間には緊張紐状物が結ばれてなり、日常時には前記長方形主板は扁平状を成し、大地震時には前記緊張紐状物が人力又は動力の引張力にて適宜短縮されつつ前記長方形主板は長手方向全体が湾曲状に形成されて固定されてなると共に前記端部嵩上げ部は垂直状に形成されてなることを特徴とする身体用シェルター。
【0065】
本件明細書において、前記端部嵩上げ部2は、前記長方形主板1と同一部材であるとのことを明確に説明をしてきたが、別部材の金属材であったり、非金属材である木材等である場合もある。これは製造費や強度的な課題に対してであり適宜決定されるものである。
【符号の説明】
【0066】
1…長方形主板、11…長辺、12…短辺、2…端部嵩上げ部、
3…補強体、4…緊張紐状物、5…フック部、6…磁力部材、7…吸着部材、S…短縮操作部材。
【要約】
【目的】本発明は、日常時には室内の額縁材として、大地震時(震度7相当)には数秒程度で家族の身体を保護するシェルターにできること。
【構成】
水平面状の金属製薄板として長方形主板1の長辺11を長手方向と短辺12を幅方向とする。それぞれの長手方向の両側端には、長方形主板1と同一材で金属製薄板の水平線を基準として外側に向かって下向き傾斜状の端部嵩上げ部2,2が設けられ、対向する両端部嵩上げ部2,2間には緊張紐状物4が結ばれてなる。日常時には長方形主板1は扁平状を成し、大地震時には緊張紐状物4が人力の引張力にて適宜短縮されて長方形主板1は長手方向全体が湾曲状に形成されて固定され端部
嵩上げ部2,2は垂直状に形成されて身体用シェルターにできる。
【選択図】
図1