(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-27
(45)【発行日】2024-10-07
(54)【発明の名称】ウォータータンクが備えられた電気自動車用アンダーボディー
(51)【国際特許分類】
H01M 10/659 20140101AFI20240930BHJP
H01M 10/613 20140101ALI20240930BHJP
H01M 10/625 20140101ALI20240930BHJP
H01M 10/6568 20140101ALI20240930BHJP
H01M 10/6556 20140101ALI20240930BHJP
H01M 50/204 20210101ALI20240930BHJP
B62D 25/20 20060101ALI20240930BHJP
【FI】
H01M10/659
H01M10/613
H01M10/625
H01M10/6568
H01M10/6556
H01M50/204 401H
B62D25/20 Z
(21)【出願番号】P 2023501657
(86)(22)【出願日】2022-02-04
(86)【国際出願番号】 KR2022001784
(87)【国際公開番号】W WO2022177210
(87)【国際公開日】2022-08-25
【審査請求日】2023-01-11
(31)【優先権主張番号】10-2021-0022219
(32)【優先日】2021-02-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2021-0022220
(32)【優先日】2021-02-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2022-0004292
(32)【優先日】2022-01-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】キュン・ウ・キム
(72)【発明者】
【氏名】ジョン・オ・ムン
(72)【発明者】
【氏名】ヨン・ブム・チョ
(72)【発明者】
【氏名】ヒョン・キ・ユン
(72)【発明者】
【氏名】ジン・ハ・パク
【審査官】田中 慎太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-087774(JP,A)
【文献】国際公開第2021/006560(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/659
H01M 10/613
H01M 10/625
H01M 10/6568
H01M 10/6556
H01M 50/204
B62D 25/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池パックを収納できるように上部に向かって所定深さだけ陥没した収納部が備えられ、前記収納部の上部には
、前記電池パックのヒートシンクである、及び/又は火災鎮火のための消火用タンクである第1ウォータータンクが装着された、車両用アンダーボディー。
【請求項2】
前記第1ウォータータンクは、前記車両用アンダーボディーに一体型で装着された、請求項1に記載の車両用アンダーボディー。
【請求項3】
前記第1ウォータータンクの下側には、一つ以上の電池モジュールを含む電池パックが位置する、請求項2に記載の車両用アンダーボディー。
【請求項4】
前記第1ウォータータンクは、上部胴体、所定形状の貫通口が設けられた下部胴体、及び前記貫通口に備えられるシーリング部材を含み、
前記シーリング部材は、所定温度に加熱されるときに溶融又は破断される素材からなる、請求項3に記載の車両用アンダーボディー。
【請求項5】
前記電池モジュールは、モジュールケース及び一つ以上の電池セルを含み、前記モジュールケースは、一部が開放された形状である、請求項3又は4に記載の車両用アンダーボディー。
【請求項6】
前記モジュールケースは、電池セルスタックの両側面にそれぞれ位置する一対の側面板、及び前記一対の側面板を互いに固定するための一つ以上のストラップを含み、
前記側面板には、前記車両用アンダーボディーの所定部位とボルト又は溶接で固定できるように羽根部が備えられた、請求項5に記載の車両用アンダーボディー。
【請求項7】
前記モジュールケースは、電池セルスタックの両側面にそれぞれ位置する一対の側面板、並びに前記一対の側面板を互いに連結する下面板及び上面板を含み、
前記側面板には、前記車両用アンダーボディーの所定部位とボルト又は溶接で固定できるように羽根部が備えられ、
前記上面板には、一つ以上の貫通ホールが形成された、請求項5に記載の車両用アンダーボディー。
【請求項8】
前記第1ウォータータンクと前記電池パックとの間には熱伝導性接着部材が位置する、請求項3に記載の車両用アンダーボディー。
【請求項9】
前記第1ウォータータンクと前記電池パックとの間には第1緩衝パッドが位置する、請求項3に記載の車両用アンダーボディー。
【請求項10】
前記収納部を開放又は閉鎖するためのカバー部材がさらに備えられた、請求項3に記載の車両用アンダーボディー。
【請求項11】
前記電池パックと前記カバー部材との間には第2ウォータータンクが位置する、請求項10に記載の車両用アンダーボディー。
【請求項12】
前記電池パックと前記第2ウォータータンクとの間には熱伝導性接着部材が位置する、請求項11に記載の車両用アンダーボディー。
【請求項13】
前記第2ウォータータンクはヒートシンクである、請求項12に記載の車両用アンダーボディー。
【請求項14】
前記第1ウォータータンクはヒートシンクである、請求項1から13のいずれか一項に記載の車両用アンダーボディー。
【請求項15】
請求項1から14のいずれか一項に記載の車両用アンダーボディーが備えられた電気自動車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2021年2月19日付けの韓国特許出願第2021-0022219号、2021年2月19日付けの韓国特許出願第2021-0022220号及び2022年1月11日付けの韓国特許出願第2022-0004292号に基づいた優先権の利益を主張し、該当の韓国特許出願の文献に開示された全ての内容は、本明細書の一部として含まれる。
【0002】
本発明は、ウォータータンクが備えられた電気自動車用アンダーボディーに関し、より具体的には、車両用アンダーボディーと一体型で備えられ、普段は電池パックを冷却させ、バッテリーで火災が発生したときは水が放出され、2次被害を防止できる構造を有するウォータータンクが備えられた車両用アンダーボディーに関する。
【背景技術】
【0003】
近年、化石燃料の使用によって生じる大気汚染及びエネルギーの枯渇による代替エネルギーの開発により、生産された電気エネルギーを貯蔵できる二次電池に関する需要が増加している。充放電が可能な二次電池は、モバイル機器、電気自動車、ハイブリッド電気自動車などに使用されるなど、日常生活に密接して使用されている。
【0004】
現代社会で必須的に使用されている各種電子機器のエネルギー源として使用されている二次電池は、モバイル機器の使用量の増加及び複雑化、電気自動車などの開発により、要求される容量が増加している。ユーザーの需要を充足させるために、小型機器には多数の電池セルを配置しているが、自動車などには、多数個の電池セルを電気的に連結する電池モジュール又はこのような電池モジュールを多数備えた電池パックが使用される。
【0005】
一方、上記のような二次電池が電気自動車などのように大容量及び高電圧を必要とするデバイスに使用されるときは、多数の電池セルが配列された構造の電池モジュール及び電池パックなどの形態で使用される。
【0006】
例えば、電池パックが電気自動車に装着されるとき、車両アンダーカバーの収納空間に電池パックが収納されるが、電池モジュール、熱伝導性フィルム及びヒートシンクの順に収納された後、カバー部材で収納部を仕上げることが一般的である。
【0007】
しかし、ヒートシンクが電池モジュールの下側に位置しているので、電池モジュールや電池パック部品を交替又は修理するとき、ヒートシンクを先に分離しなければならないので、作業時に時間が多くかかるという問題がある。
【0008】
さらに、二次電池の充放電過程では必然的に熱が発生し、場合によっては、短絡、熱衝撃、絶縁破壊などによって熱暴走が起こることもあるが、これは、火災及び爆発などの大きな事故につながることもある。
【0009】
これと関連して、
図1は、従来技術に係る電池パックを切断した断面図である。
図1に示したように、従来技術に係る電池パックは、複数個の電池セル10と、複数個の電池セル10を収納するモジュールケース20と、モジュールケース20の上面に位置する消火部材タンク30と、消火部材タンク30の下面に位置するノズル40とを含んでいる。
【0010】
従来技術に係る電池パックは、電池セルで火災が発生したとき、ノズル40の下部ストッパーが溶け、消火部材タンク30内の消火部材が噴出されることによって火災を鎮圧している。
【0011】
このような従来技術の電池パックによると、火災を鎭火するためにはノズル40が別途に必要であるので、体積及び重さが増加し、これは、エネルギー密度につながるという短所がある。
【0012】
さらに、従来技術の消火部材タンク30は、イベントの発生時に供給できる消火部材のみを収納しているので、電池パックで発生する熱を冷却させるためにはヒートシンクが追加的に備えられなければならない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
上記のような問題を解決するための本発明に係るウォータータンクが備えられた電気自動車用アンダーボディーは、普段はヒートシンク機能を行い、電池セルでイベントが発生したときには火災鎮火用として使用できるウォータータンクが備えられた電気自動車用アンダーボディーを提供することを目的とする。
【0015】
また、本発明に係るウォータータンクが備えられた電気自動車用アンダーボディーは、電池パックの装着や電池パックの維持補修を容易に行える構造を有するウォータータンクが備えられた電気自動車用アンダーボディーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記のような目的を達成するために、本発明に係る電気自動車用アンダーボディーは、電池パック200を収納できるように上部に向かって所定深さだけ陥没した収納部110が備えられ、前記収納部110の上部には第1ウォータータンク120が装着されたことを特徴とする。
【0017】
また、本発明の電気自動車用アンダーボディーにおいて、前記第1ウォータータンク120は、アンダーボディーに一体型で装着されたことを特徴とする。
【0018】
また、本発明の電気自動車用アンダーボディーにおいて、前記第1ウォータータンク120の下側には、一つ以上の電池モジュール210を含む電池パック200が位置することを特徴とする。
【0019】
また、本発明の電気自動車用アンダーボディーにおいて、前記第1ウォータータンク120は、上部胴体121、所定形状の貫通口122’が設けられた下部胴体122、及び前記貫通口122’に備えられるシーリング部材123を含み、前記シーリング部材123は、所定温度に加熱されるときに溶融又は破断される素材からなることを特徴とする。
【0020】
また、本発明の電気自動車用アンダーボディーにおいて、前記電池モジュール210は、モジュールケース211、及び一つ以上の電池セル212を含み、前記モジュールケース211は、一部が開放された形状であることを特徴とする。
【0021】
また、本発明の電気自動車用アンダーボディーにおいて、前記モジュールケース211は、電池セル212スタックの両側面にそれぞれ位置する一対の側面板211(a)、及び前記一対の側面板211(a)を互いに固定するための一つ以上のストラップ211(c)を含み、前記側面板211(a)には、アンダーボディーの所定部位とボルト又は溶接で固定できるように羽根部211(b)が備えられたことを特徴とする。
【0022】
また、本発明の電気自動車用アンダーボディーにおいて、前記モジュールケース211は、電池セル212スタックの両側面にそれぞれ位置する一対の側面板211(a)、及び前記一対の側面板211(a)を互いに連結する下面板及び上面板211(d)を含み、前記側面板211(a)には、アンダーボディーの所定部位とボルト又は溶接で固定できるように羽根部211(b)が備えられ、前記上面板211(d)には、一つ以上の貫通ホール211’が形成されたことを特徴とする。
【0023】
また、本発明の電気自動車用アンダーボディーにおいて、前記第1ウォータータンク120と電池パック200との間には熱伝導性接着部材140が位置することを特徴とする。
【0024】
また、本発明の電気自動車用アンダーボディーにおいて、前記第1ウォータータンク120と電池パック200との間には第1緩衝パッド130が位置することを特徴とする。
【0025】
また、本発明の電気自動車用アンダーボディーにおいて、前記収納部110を開放又は閉鎖するためのカバー部材180がさらに備えられたことを特徴とする。
【0026】
また、本発明の電気自動車用アンダーボディーにおいて、前記電池パック200とカバー部材180との間には第2ウォータータンク170が位置することを特徴とする。
【0027】
また、本発明の電気自動車用アンダーボディーにおいて、前記電池パック200と第2ウォータータンク170との間には熱伝導性接着部材140が位置することを特徴とする。
【0028】
また、本発明の電気自動車用アンダーボディーにおいて、前記第2ウォータータンク170はヒートシンクであることを特徴とする。
【0029】
また、本発明の電気自動車用アンダーボディーにおいて、前記第1ウォータータンク120はヒートシンクであることを特徴とする。
【0030】
また、本発明は、前記言及した車両用アンダーボディーを含む電気自動車であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0031】
以上説明したように、本発明に係るウォータータンクが備えられた電気自動車用アンダーボディーによると、電池パックを冷却させる機能と火災鎮火のための消火機能を同時に備えており、エネルギー密度を高めることができるという利点がある。
【0032】
また、本発明に係るウォータータンクが備えられた電気自動車用アンダーボディーによると、ウォータータンクがアンダーボディーに一体型で装着されており、車両用アンダーボディーにヒートシンクを装着するための製造工程を省略できるという長所がある。
【0033】
さらに、本発明に係るウォータータンクが備えられた電気自動車用アンダーボディーによると、電池パックの上部にウォータータンクが位置するので、電池モジュールや電池パックの電装部品の修理や交替が容易であるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図1】従来技術に係る電池モジュールを切断した断面図である。
【
図2】本発明の好ましい第1実施例に係る車両用アンダーボディーの斜視図である。
【
図3】本発明の好ましい第1実施例に係る車両用アンダーボディーの分解斜視図である。
【
図4】
図2のA-A’線に沿って切断した断面図である。
【
図5】本発明の好ましい第1実施例に係る第1ウォータータンクと電池パックとの結合構造を説明するための分解斜視図である。
【
図6】本発明の好ましい第1実施例に係る第1ウォータータンクの分解斜視図である。
【
図7】本発明の好ましい第1実施例に係る変形した電池モジュールの斜視図である。
【
図8】本発明の好ましい第2実施例に係る車両用アンダーボディーの分解斜視図である。
【
図9】本発明の好ましい第2実施例に係る車両用アンダーボディーを切断した断面図である。
【
図10】本発明の好ましい第2実施例に係る第1ウォータータンクの分解斜視図である。
【
図11】本発明の好ましい第3実施例に係る車両用アンダーボディーを切断した断面図である。
【
図12】本発明の好ましい第3実施例に係る第1ウォータータンクと電池パックとの結合構造を説明するための分解斜視図である。
【
図13】本発明の好ましい第3実施例に係る第1ウォータータンクの分解斜視図である。
【
図14】本発明の好ましい第4実施例に係る電気自動車用アンダーボディーの分解斜視図である。
【
図15】本発明の好ましい第4実施例に係る電気自動車用アンダーボディーを切断した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、添付の図面を参照して、本発明の属する技術分野で通常の知識を有する者が本発明を容易に実施できる実施例を詳細に説明する。ただし、本発明の好ましい実施例に対する動作原理を詳細に説明するにおいて、関連する公知の機能又は構成に対する具体的な説明が本発明の要旨を必要以上に不明瞭にし得ると判断される場合は、それについての詳細な説明を省略する。
【0036】
また、図面全体にわたって類似する機能及び作用をする部分に対しては、同一の図面符号を使用する。明細書全体において、一つの部分が他の部分と連結されているとしたとき、これは、直接連結されている場合のみならず、その中間に他の素子を挟んで間接的に連結されている場合も含む。また、一つの構成要素を含むことは、特に反対の記載がない限り、他の構成要素を除外するのではなく、他の構成要素をさらに含み得ることを意味する。
【0037】
以下、本発明に係るウォータータンクが備えられた電気自動車用アンダーボディーについて添付の各図面を参考にしながら説明する。
【0038】
図2は、本発明の好ましい第1実施例に係る車両用アンダーボディーの斜視図で、
図3は、本発明の好ましい第1実施例に係る車両用アンダーボディーの分解斜視図である。また、
図4は、
図2のA-A’線に沿って切断した断面図で、
図5は、本発明の好ましい第1実施例に係る第1ウォータータンクと電池パックとの結合構造を説明するための分解斜視図である。
【0039】
図2~
図5を参照して説明すると、本発明の第1実施例に係る車両用アンダーボディー100においては、上部、すなわち、車両の室内空間方向に向かって所定深さだけ陥没した収納部110が備えられており、収納部110には第1ウォータータンク120及び電池パック200が装着される。
【0040】
具体的には、車両用アンダーボディー100の収納部110には、上から第1ウォータータンク120及び電池パック200が順次位置し、これらの第1ウォータータンク120と電池パック200との間には、第1緩衝パッド130及び熱伝導性接着部材140のうちいずれか一つ以上が介在し得る。
【0041】
ここで、第1ウォータータンク120は、電池パック200で発生した熱を冷やすためのヒートシンクであってもよく、このような第1ウォータータンク120は、車両用アンダーボディー100に一体型で装着されることが好ましい。
【0042】
一般に、電池セルで発生する熱を冷やすために電池モジュール及び電池パックにヒートシンクが装着される一方で、本発明では、車両用アンダーボディー100の成形時、ヒートシンク機能を行う第1ウォータータンク120を一体化させて製作するので、電池モジュール及び電池パックのみを装着又は交換することが可能である。
【0043】
これによって、車両用アンダーボディーにヒートシンクを装着するための製造工程を略することが可能であり、さらに、ヒートシンクを分離しなくても、電池モジュールなどの修理や交替が可能である。
【0044】
一方、電池パック200の下側にはカバー部材180が位置し、電池パック200とカバー部材180との間には第2緩衝パッド160が追加的に備えられることが好ましい。
【0045】
前記各構成をより詳細に説明すると、第1ウォータータンク120と電池パック200との間に位置する第1緩衝パッド130、及び電池パック200とカバー部材180との間に介在する第2緩衝パッド160は、第1ウォータータンク120と電池パック200及び電池パック200とカバー部材180とが互いに緊密に密着するように誘導する一方で、外部衝撃から電池パック200を保護するためのものであって、スポンジなどのように体積の膨張及び減少が容易な所定の弾性を有する材質からなり得る。
【0046】
カバー部材180は、略平板形状であり、車両用アンダーボディー100に形成された収納部110を開閉するためのものであって、収納部110の開口部の縁部に沿って設けられている複数個の第2固定部材190とねじ締結方式などによって固定される。
【0047】
熱伝導性接着部材140は、第1ウォータータンク120と電池パック200との間に位置し、第1ウォータータンク120と電池パック200とを互いに固定する一方で、第1ウォータータンク120と電池パック200との間で熱交換が容易に起こるようにする。
【0048】
ここで、熱伝導性接着部材140としては、熱伝導性及び耐熱性を有する素材であれば特に限定されないが、一例として、硬化性グリース(Grease)及びエポキシ(Epoxy)系接着性グルー(Glue)のうち一つ以上であり得る。
【0049】
図5では、第1ウォータータンク120と電池パック200との間に第1緩衝パッド130と熱伝導性接着部材140が同時に介在することを示しているが、これらのうちいずれか一つのみが備えられてもよい。
【0050】
一方、電池パック200は、車両用アンダーボディー100に一次的に固定される。すなわち、車両用アンダーボディー100の両側縁部及び収納部110の中間には、四角形又は「H」ビーム状の第1固定部材150が設けられており、電池パック200は、これらの第1固定部材150とねじ結合などの公知の締結手段を通じて結合される。
【0051】
次は、電池パック200について説明する。車両用アンダーボディー100の収納部110に装着された状態で、第1ウォータータンク120の下側に位置する電池パック200は、一つ以上の電池モジュール210を含んで構成される。
【0052】
具体的には、電池モジュール210は、一部が開放されているモジュールケース211、及びモジュールケース211に収納される複数個の電池セル212を含む。
【0053】
モジュールケース211は、多数個の電池セル212が垂直又は水平方向に並んで積層された電池セル212スタックの両側面にそれぞれ位置する一対の側面板211(a)、一対の側面板211(a)を互いに固定するための一つ以上のストラップ211(c)、及び下面板(図示せず)を含んで構成される。
【0054】
ここで、一つ以上のストラップ211(c)は、モジュールケース211の上面を完全にカバーしない方が良いが、これは、モジュールケース211の内部に空気や液体が容易に通過できるようにするためである。
【0055】
そして、電池セル212スタックの上側に位置するストラップ211(c)には、上述した第1緩衝パッド130及び熱伝導性接着部材140のうちいずれか一つ以上が位置するようになる。
【0056】
そして、一対の側面板211(a)には、外側に所定長さだけ突出した羽根部211(b)が備えられており、このような羽根部211(b)は、車両用アンダーボディー100に設けられている第1固定部材150と密着した後、ボルトなどの公知の締結手段によって締結されることによって、収納部110内で電池モジュール210が安定的に固定され得る。
【0057】
続いて、電池セル212は、セル組立体、セル組立体を収納するセルケース、及び一対のリードを含んで構成される。
【0058】
図3及び
図5では、一つの電池パックが4個の電池モジュールで構成されたことを示しているが、これは、一例示に過ぎなく、電池モジュールの個数はいくらでも変更が可能である。
【0059】
セル組立体は、長いシート状の正極と負極との間に分離膜を介在した後に巻き取られる構造からなるゼリーロール型セル組立体、又は長方形の正極及び負極が分離膜を介在した状態で積層される構造の各単位セルで構成されるスタック型セル組立体、各単位セルが長い分離フィルムによって巻き取られるスタック-フォールディング型セル組立体、又は各単位セルが分離膜を介在した状態で積層され、相互間に付着するラミネーション-スタック型セル組立体などからなり得るが、これに限定しない。
【0060】
上記のようなセル組立体はセルケースに内蔵され、セルケースは、通常、内部層/金属層/外部層のラミネートシート構造からなっている。内部層は、セル組立体と直接接触するので、絶縁性及び耐電解液性を有さなければならなく、また、外部との密閉のために高いシーリング性を示すように、内部層同士が熱接着したシーリング部位は、優れた熱接着強度を有さなければならない。このような内部層の材料としては、耐化学性に優れながらもシーリング性の良いポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンアクリル酸、ポリブチレンなどのポリオレフィン系樹脂、ポリウレタン樹脂及びポリイミド樹脂から選ばれ得るが、これに限定しなく、引張強度、剛性、表面硬度、耐衝撃強度などの機械的物性及び耐化学性に優れたポリプロピレンが最も好ましい。
【0061】
内部層と接している金属層は、外部から水分や各種ガスが電池の内部に浸透することを防止するバリアー層に該当し、このような金属層の好ましい材料としては、軽いながらも成形性に優れたアルミニウム薄膜を使用することができる。
【0062】
そして、金属層の他側面には外部層が備えられ、このような外部層としては、セル組立体を保護しながら耐熱性及び耐化学性を確保できるように引張強度、透湿防止性及び空気透過防止性に優れた耐熱性ポリマーを使用することができ、一例として、ナイロン又はポリエチレンテレフタレートを使用できるが、これに限定しない。
【0063】
一方、正極リード及び負極リードからなる各リードは、セル組立体の正極タブと負極タブとがそれぞれ電気的に連結された後、ケースの外部に露出する構造からなり、上記のような電池セルは、一般的に知られている各構成に該当するので、これについてのより詳細な説明は省略する。
【0064】
図6は、本発明の好ましい第1実施例に係る第1ウォータータンクの分解斜視図である。
図6を参照すると、本発明の好ましい第1実施例に係る第1ウォータータンク120は、所定高さを有する上部胴体121と、上部胴体121の下側に結合され、水が循環できるように所定空間を形成する下部胴体122とを含んで構成される。
【0065】
このようなウォータータンク120には、水の循環のための流路が備えられてもよく、図面には示していないが、一定の温度を維持できるように水の流入ポート及び排出ポートなどがさらに備えられてもよい。
【0066】
図7は、本発明の好ましい第1実施例に係る変形した電池モジュールの斜視図である。
図7のように変形した電池モジュール210において、モジュールケース211は、電池セル212スタックの両側面に位置する一対の側面板211(a)、一対の側面板211(a)の外側に所定長さだけ突出した羽根部211(b)、及び一対の側面板211(a)を連結する上面板211(d)と下面板(図示せず)を含んで構成される。
【0067】
このとき、モジュールケース211の内部に空気や液体が容易に通過できるように上面板211(d)には、所定距離だけ離隔した一つ以上の貫通ホール211’が形成されることが好ましい。
【0068】
図8は、本発明の好ましい第2実施例に係る車両用アンダーボディーの分解斜視図で、
図9は、本発明の好ましい第2実施例に係る車両用アンダーボディーを切断した断面図で、
図10は、本発明の好ましい第2実施例に係る第1ウォータータンクの分解斜視図である。
【0069】
本発明の好ましい第2実施例に係る車両用アンダーボディー100は、第1ウォータータンクを除いては、
図2~
図7で説明した本発明の好ましい第1実施例に係る車両用アンダーボディー100と同一であるので、同一の構成についての説明は省略する。
【0070】
本発明の好ましい第2実施例に係る第1ウォータータンク120は、所定高さを有する上部胴体121と、上部胴体121の下側に結合され、水が循環できるように所定空間を形成する下部胴体122とを含んで構成される。
【0071】
ここで、下部胴体122には、一つ以上のバー状の貫通口122’が備えられており、貫通口122’には、所定温度に加熱されるときに溶融又は破断される素材、一例として、溶融点が200℃以下であるポリエチレン又はポリプロピレンなどの樹脂からなるシーリング部材123が装着される。
【0072】
第2実施例のように、第1ウォータータンク120の下部胴体122の所定領域にシーリング部材123が備えられる場合、電池パックが正常に作動するときはヒートシンクとしての機能を行う。しかし、特定の電池セルでイベントが発生し、例えば、高温ガス、スパーク又は発火が発生したときは、シーリング部材123が溶融又は破損し、このとき、貫通口122’を介して第1ウォータータンク120の水が電池モジュール及び電池パックに直接流入するので、爆発などの2次被害を事前に防止できるという長所がある。
【0073】
図11は、本発明の好ましい第3実施例に係る車両用アンダーボディーを切断した断面図で、
図12は、本発明の好ましい第3実施例に係る第1ウォータータンクと電池パックとの結合構造を説明するための分解斜視図で、
図13は、本発明の好ましい第3実施例に係る第1ウォータータンクの分解斜視図である。
【0074】
本発明の好ましい第3実施例に係る車両用アンダーボディー100は、
図8~
図10を参考にしながら説明した第2実施例に係る第1ウォータータンク120のみを除いて、残りの構成は同一である。
【0075】
すなわち、第2実施例の第1ウォータータンク120では、上部胴体121に流路が備えられている一方で、第3実施例での上部胴体121には流路が省略され得る。
【0076】
図14は、本発明の好ましい第4実施例に係る電気自動車用アンダーボディーの分解斜視図で、
図15は、本発明の好ましい第4実施例に係る電気自動車用アンダーボディーを切断した断面図である。
【0077】
本発明の好ましい第4実施例に係る電気自動車用アンダーボディー(車両用アンダーボディー)100は、
図8~
図12を参考にしながら説明した第2実施例又は第3実施例に係る第1ウォータータンク120とカバー部材180との間に第2ウォータータンク170がさらに備えられる。
【0078】
このとき、第2ウォータータンク170はヒートシンクであることが好ましく、第1ウォータータンク120は、火災鎮火のための消火用タンクであり、第2ウォータータンク170は、ヒートシンク機能を行うことがさらに好ましい。
【0079】
ここで、ヒートシンクとして機能する第2ウォータータンク170は、
図6のように上部胴体及び下部胴体で構成され、各胴体には流路が形成されていると良い。
【0080】
一方、電池パック200と第2ウォータータンク170との間には、熱伝導性接着部材140及び第2緩衝パッド160のうちいずれか一つ以上が介在してもよく、熱伝導性接着部材140は、既に説明した通りであり、第2緩衝パッド160は、第1緩衝パッド130と同一の構成及び機能を有するので、重複した説明は省略する。
【0081】
本発明は、上述した車両用アンダーボディー100を含む電気自動車であり得る。
【0082】
一方、本発明での電気自動車は、電気を含む動力で車体に付いた車輪を路面と摩擦させ、その反作用で動く交通手段を意味するものであって、乗用自動車、乗合自動車、貸物自動車、トラクター及び耕運機などの特殊自動車などのように、アンダーボディーを備えながら電気で駆動し得る全ての車両を意味する。
【0083】
本発明の属した分野で通常の知識を有する者であれば、前記内容に基づいて本発明の範疇内で多様な応用及び変形が可能であろう。
【符号の説明】
【0084】
100 車両用アンダーボディー(電気自動車用アンダーボディー)
110 収納部
120 第1ウォータータンク
121 上部胴体
122 下部胴体
122’ 貫通口
123 シーリング部材
130 第1緩衝パッド
140 熱伝導性接着部材
150 第1固定部材
160 第2緩衝パッド
170 第2ウォータータンク
180 カバー部材
190 第2固定部材
200 電池パック
210 電池モジュール
211 モジュールケース
211(a) 側面板
211(b) 羽根部
211(c) ストラップ
211(d) 上面板
211’ 貫通ホール
212 電池セル