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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-27
(45)【発行日】2024-10-07
(54)【発明の名称】放熱部材およびこれを含む電池パック
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/6555 20140101AFI20240930BHJP
   H01M 10/658 20140101ALI20240930BHJP
   H01M 10/6551 20140101ALI20240930BHJP
   H01M 50/204 20210101ALI20240930BHJP
   H01M 10/613 20140101ALI20240930BHJP
   H01M 10/647 20140101ALI20240930BHJP
   H01M 10/625 20140101ALI20240930BHJP
   H01M 50/209 20210101ALI20240930BHJP
   H01M 50/211 20210101ALI20240930BHJP
   H01M 10/653 20140101ALI20240930BHJP
【FI】
H01M10/6555
H01M10/658
H01M10/6551
H01M50/204 401H
H01M50/204 401F
H01M10/613
H01M10/647
H01M10/625
H01M50/209
H01M50/211
H01M10/653
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2023553095
(86)(22)【出願日】2022-11-10
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-29
(86)【国際出願番号】 KR2022017658
(87)【国際公開番号】W WO2023085810
(87)【国際公開日】2023-05-19
【審査請求日】2023-08-31
(31)【優先権主張番号】10-2021-0156871
(32)【優先日】2021-11-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】チャンクン・ソン
(72)【発明者】
【氏名】ドゥハン・ユン
【審査官】柳下 勝幸
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/146438(WO,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2021-0077971(KR,A)
【文献】米国特許出願公開第2021/0184195(US,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2013-0136141(KR,A)
【文献】韓国公開特許第10-2021-0127415(KR,A)
【文献】特表2018-508931(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/6555
H01M 10/658
H01M 10/6551
H01M 50/204
H01M 10/613
H01M 10/647
H01M 10/625
H01M 50/209
H01M 50/211
H01M 10/653
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1熱分散部および第2熱分散部を含む熱分散部材と、
前記熱分散部材の外面に沿って形成される断熱部材と、
前記第1熱分散部と前記第2熱分散部とが離隔した空間に形成される消火部材とを含む放熱部材。
【請求項2】
前記消火部材は、前記離隔した空間の全体または一部を満たす、請求項1に記載の放熱部材。
【請求項3】
前記消火部材は、
消火薬剤と、
前記消火薬剤を収容するケースとを含む、請求項1に記載の放熱部材。
【請求項4】
前記消火薬剤は、ATH(Alumina trihydrate)およびカリウム系消火薬剤のうち1種以上の消火薬剤を含む、請求項3に記載の放熱部材。
【請求項5】
前記ケースは、ポリプロピレン(PP、Polypropylene)素材、ポリエチレンテレフタレート(PET、Polyethylene terephthalate)素材、ポリエチレン(PE、polyethylene)素材およびアルミニウム(Al)素材のうち1種以上の素材を含む、請求項3に記載の放熱部材。
【請求項6】
前記消火部材は、前記離隔した空間に固定部材を介して結合される、請求項1~5のいずれか一項に記載の放熱部材。
【請求項7】
前記第1熱分散部および前記第2熱分散部は、それぞれ折曲されて延び、
前記第1熱分散部および前記第2熱分散部が折曲される方向は、互いに反対方向である、請求項1に記載の放熱部材。
【請求項8】
前記第1熱分散部に形成される第1陥没部と、
前記第2熱分散部に形成される第2陥没部と、
前記第1陥没部および前記第2陥没部に形成される冷却部材とをさらに含む、請求項1に記載の放熱部材。
【請求項9】
前記第1熱分散部に形成される第1湾入部と、
前記第2熱分散部に形成される第2湾入部とをさらに含み、
前記第1湾入部および前記第2湾入部は、互いに接触するように形成されて前記離隔した空間を形成する、請求項1に記載の放熱部材。
【請求項10】
複数の電池モジュールと、
前記複数の電池モジュールのうち隣り合う電池モジュールの間に位置する放熱部材とを含み、
前記放熱部材は、
第1熱分散部および第2熱分散部を含む熱分散部材と、
前記熱分散部材の外面に沿って形成される断熱部材と、
前記第1熱分散部と前記第2熱分散部とが離隔した空間に形成される消火部材とを含む電池パック。
【請求項11】
前記離隔した空間は、前記隣り合う電池モジュールの間に位置する、請求項10に記載の電池パック。
【請求項12】
前記消火部材は、前記離隔した空間の全体または一部を満たす、請求項10に記載の電池パック。
【請求項13】
前記消火部材は、前記離隔した空間に固定部材を介して結合される、請求項10~12のいずれか一項に記載の電池パック。
【請求項14】
前記断熱部材は、前記電池モジュールと接するように形成される、請求項10に記載の電池パック。
【請求項15】
前記第1熱分散部および前記第2熱分散部は、それぞれ折曲されて延び、
前記第1熱分散部および前記第2熱分散部が折曲される方向は、互いに反対方向である、請求項10に記載の電池パック。
【請求項16】
前記第1熱分散部に形成される第1湾入部と、
前記第2熱分散部に形成される第2湾入部とをさらに含み、
前記第1湾入部および前記第2湾入部は、互いに接触するように形成されて前記離隔した空間を形成する、請求項10に記載の電池パック。
【請求項17】
前記第1熱分散部に形成される第1陥没部と、
前記第2熱分散部に形成される第2陥没部と、
前記第1陥没部および前記第2陥没部に形成される冷却部材とをさらに含む、請求項10に記載の電池パック。
【請求項18】
前記複数の電池モジュールを収容するパックフレームをさらに含み、
前記冷却部材は、前記パックフレームの上部と接触する、請求項17に記載の電池パック。
【請求項19】
前記電池モジュールの下部と前記パックフレームの底部との間に形成される熱伝導性樹脂層をさらに含む、請求項18に記載の電池パック。
【請求項20】
前記熱伝導性樹脂層と前記パックフレームの底部との間に形成されるヒートシンクをさらに含む、請求項19に記載の電池パック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願との相互参照]
本出願は、2021年11月15日付の韓国特許出願第10-2021-0156871号に基づく優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示されたすべての内容は本明細書の一部として含まれる。
本発明は、放熱部材およびこれを含む電池パックに関し、より具体的には、隣り合う電池モジュール間の熱伝播を防止しながらも効果的に熱が分散し、火炎の抑制が可能な放熱部材およびこれを含む電池パックに関する。
【背景技術】
【0002】
モバイル機器に対する技術開発と需要の増加に伴い、エネルギー源として二次電池の需要が急激に増加している。特に、二次電池は、携帯電話、デジタルカメラ、ノートパソコン、ウェアラブルデバイスなどのモバイル機器だけでなく、電気自転車、電気自動車、ハイブリッド電気自動車などの動力装置に対するエネルギー源としても大きな関心がもたれている。
【0003】
小型モバイル機器には、デバイス1台あたり1個、または2、3、4個の電池セルが用いられるのに対し、自動車などのような中大型デバイスには高出力大容量が必要である。したがって、多数の電池セルを電気的に連結した中大型電池モジュールが用いられる。
【0004】
中大型電池モジュールは、できるだけ小さいサイズと重量で製造されることが好ましいので、高い集積度で積層可能であり、容量に対する重量が小さい角型電池、パウチ型電池などが中大型電池モジュールの電池セルとして主に用いられている。
【0005】
しかし、従来技術の電池パックは、複数の電池モジュールを備え、それぞれの電池モジュールの電池セルの一部に熱暴走が発生して、発火乃至爆発する場合、隣接した二次電池に熱または火炎が伝達されて2次爆発などが起こる場合があり、2次発火乃至爆発を防止するための努力が重ねられている。
【0006】
これによって、電池パック内の一部の電池モジュールで発火乃至爆発時に隣接した電池モジュールに熱伝達されるのを防止しながらも、発生した熱が効果的に分散し、火炎の発生確率を減少させることができる放熱部材およびこれを含む電池パックを開発する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の解決しようとする課題は、隣り合う電池モジュール間の熱伝播を防止しながらも効果的に熱が分散し、火炎の発生確率を減少させる放熱部材およびこれを含む電池パックに関する。
【0008】
しかし、本発明が解決しようとする課題が上述した課題に制限されるわけではなく、言及されていない課題は本明細書および添付した図面から本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者に明確に理解されるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一実施例による放熱部材は、第1熱分散部および第2熱分散部を含む熱分散部材と、前記熱分散部材の外面に沿って形成される断熱部材と、前記第1熱分散部と前記第2熱分散部とが離隔した空間に形成される消火部材とを含む。
【0010】
前記消火部材は、前記離隔した空間の全体または一部を満たすことができる。
【0011】
前記消火部材は、消火薬剤と、前記消火薬剤を収容するケースとを含むことができる。
【0012】
前記消火薬剤は、ATH(Alumina trihydrate)およびカリウム系消火薬剤のうち1種以上の消火薬剤を含むことができる。
【0013】
前記ケースは、ポリプロピレン(PP、Polypropylene)素材、ポリエチレンテレフタレート(PET、Polyethylene terephthalate)素材、ポリエチレン(PE、polyethylene)素材およびアルミニウム(Al)素材のうち1種以上の素材を含むことができる。
【0014】
前記消火部材は、前記離隔した空間に固定部材を介して結合される。
【0015】
前記第1熱分散部および前記第2熱分散部は、それぞれ折曲されて延び、前記第1熱分散部および前記第2熱分散部が折曲される方向は、互いに反対方向であってもよい。
【0016】
前記放熱部材は、前記第1熱分散部に形成される第1陥没部と、前記第2熱分散部に形成される第2陥没部と、前記第1陥没部および前記第2陥没部に形成される冷却部材とをさらに含むことができる。
【0017】
前記放熱部材は、前記第1熱分散部に形成される第1湾入部と、前記第2熱分散部に形成される第2湾入部とをさらに含み、前記第1湾入部および前記第2湾入部は、互いに接触するように形成されて前記離隔した空間を形成することができる。
【0018】
本発明の他の実施例による電池パックは、複数の電池モジュールと、前記複数の電池モジュールのうち隣り合う電池モジュールの間に位置する放熱部材とを含み、前記放熱部材は、第1熱分散部および第2熱分散部を含む熱分散部材と、前記熱分散部材の外面に沿って形成される断熱部材と、前記第1熱分散部と前記第2熱分散部とが離隔した空間に形成される消火部材とを含む。
【0019】
前記離隔した空間は、前記隣り合う電池モジュールの間に位置することができる。
【0020】
前記消火部材は、前記離隔した空間の全体または一部を満たすことができる。
【0021】
前記消火部材は、前記離隔した空間に固定部材を介して結合される。
【0022】
前記断熱部材は、前記電池モジュールと接するように形成される。
【0023】
前記第1熱分散部および前記第2熱分散部は、それぞれ折曲されて延び、前記第1熱分散部および前記第2熱分散部が折曲される方向は、互いに反対方向であってもよい。
【0024】
本実施例による電池パックに含まれる前記放熱部材は、前記第1熱分散部に形成される第1湾入部と、前記第2熱分散部に形成される第2湾入部とをさらに含み、前記第1湾入部および前記第2湾入部は、互いに接触するように形成されて前記離隔した空間を形成することができる。
【0025】
本実施例による電池パックに含まれる前記放熱部材は、前記第1熱分散部に形成される第1陥没部と、前記第2熱分散部に形成される第2陥没部と、前記第1陥没部および前記第2陥没部に形成される冷却部材とをさらに含むことができる。
【0026】
本実施例による電池パックは、前記複数の電池モジュールを収容するパックフレームをさらに含み、前記冷却部材は、前記パックフレームの上部と接触できる。
【0027】
本発明のさらに他の実施例による電池パックは、前記電池モジュールの下部と前記パックフレームの底部との間に形成される熱伝導性樹脂層をさらに含むことができる。
【0028】
本実施例による電池パックは、前記熱伝導性樹脂層と前記パックフレームの底部との間に形成されるヒートシンクをさらに含むことができる。
【発明の効果】
【0029】
実施例によれば、本発明は、放熱部材およびこれを含む電池パックにおいて、放熱部材に含まれている熱分散部材が断熱部材の間に位置し、各熱分散部材の間には離隔した空間が形成されることによって、電池モジュール間の熱伝播を防止しながらも効果的に熱が分散できる。
【0030】
また、前記離隔した空間に形成される消火部材を含むことによって、火炎の発生確率を減少させ、火炎を抑制することができる。
【0031】
本発明の効果が上述した効果に制限されるわけではなく、言及されていない効果は本明細書および添付した図面から本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者に明確に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】本発明の一実施例による放熱部材を示す斜視図である。
図2図1の放熱部材に含まれる熱分散部材を示す図である。
図3図2の熱分散部材の断面を示す図である。
図4図1の放熱部材に含まれる熱分散部材および消火部材が結合した様子を示す図である。
図5図4のA部分を拡大して示す図である。
図6図1の放熱部材に含まれる熱分散部材、消火部材および断熱部材が結合した様子を示す図である。
図7図6の熱分散部材、消火部材および断熱部材に冷却部材が結合して放熱部材が形成される様子を示す図である。
図8】本発明の他の実施例による電池パックを示す図である。
図9】本発明のさらに他の実施例による電池パックを示す図である。
図10図8および図9の電池パックに含まれる電池モジュールを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施できるように、本発明の実施例について詳細に説明する。しかし、本発明は種々の異なる形態で実現可能であり、ここで説明する実施例に限定されない。
【0034】
本発明を明確に説明するために説明上不必要な部分は省略し、明細書全体にわたって同一または類似の構成要素については同一の参照符号を付す。
【0035】
また、図面に示された各構成の大きさおよび厚さは説明の便宜のために任意に示したので、本発明が必ずしも図示のものに限定されない。図面において、様々な層および領域を明確に表現するために厚さを拡大して示した。そして、図面において、説明の便宜のために、一部の層および領域の厚さを誇張して示した。
【0036】
また、層、膜、領域、板などの部分が他の部分の「上に」あるとする時、これは、他の部分の「直上に」ある場合のみならず、その中間にさらに他の部分がある場合も含む。逆に、ある部分が他の部分の「直上に」あるとする時には、中間に他の部分がないことを意味する。さらに、基準となる部分の「上に」あるというのは、基準となる部分の上または下に位置することであり、必ずしも重力の反対方向に向かって「上に」位置することを意味するのではない。
【0037】
また、明細書全体において、ある部分がある構成要素を「含む」とする時、これは、特に反対の記載がない限り、他の構成要素を除くのではなく他の構成要素をさらに包含できることを意味する。
【0038】
さらに、明細書全体において、「平面上」とする時、これは対象部分を上から見た時を意味し、「断面上」とする時、これは対象部分を垂直に切断した断面を横から見た時を意味する。
【0039】
本出願で使用される第1、第2の用語は多様な構成要素を説明するのに使用できるが、構成要素は用語によって限定されてはならない。用語は1つの構成要素を他の構成要素から区別する目的でのみ使用される。
【0040】
以下、図1図7を参照して、本発明の一実施例による放熱部材について説明する。
【0041】
図1は、本発明の一実施例による放熱部材を示す斜視図である。図2は、図1の放熱部材に含まれる熱分散部材を示す図である。図3は、図2の熱分散部材の断面を示す図である。図4は、図1の放熱部材に含まれる熱分散部材および消火部材が結合した様子を示す図である。図5は、図4のA部分を拡大して示す図である。図6は、図1の放熱部材に含まれる熱分散部材、消火部材および断熱部材が結合した様子を示す図である。図7は、図6の熱分散部材、消火部材および断熱部材に冷却部材が結合して放熱部材が形成される様子を示す図である。
【0042】
図1図3を参照すれば、本実施例による放熱部材100は、第1熱分散部151および第2熱分散部152を含む熱分散部材150を含む。
【0043】
熱分散部材150は、一体型で形成される第1熱分散部151および第2熱分散部152を含むことができる。この時、第1熱分散部151と第2熱分散部152は、一部が互いに離隔するように形成される。したがって、第1熱分散部151と第2熱分散部152との間には離隔した空間Gが形成される。
【0044】
第1熱分散部151および第2熱分散部152は、それぞれ折曲されて延びることができ、第1熱分散部151および第2熱分散部152が折曲される方向は、互いに反対方向であってもよい。具体的には、第1熱分散部151は、熱分散部材150(図3)の中央を基準として左側領域を意味するものであってもよく、第2熱分散部152は、右側領域を意味するものであってもよい。したがって、第1熱分散部151と第2熱分散部152とが一体化される熱分散部材150の下端部から遠ざかることによって、第1熱分散部151および第2熱分散部152は、折曲される部分を有することができる。したがって、このように折曲されることによって、第1熱分散部151および第2熱分散部152は、互いに反対方向に折曲された延長部分を有することができる。
【0045】
一方、図2および図3を参照すれば、本実施例による放熱部材100は、第1熱分散部151に形成される第1陥没部156と、第2熱分散部152に形成される第2陥没部157とをさらに含むことができる。この時、第1陥没部156は、第1熱分散部151の前記折曲された延長部分に形成され、第2陥没部157は、第2熱分散部152の前記折曲された延長部分に形成されるものであってもよい。
【0046】
また、放熱部材100は、第1熱分散部151に形成される第1湾入部158と、第2熱分散部152に形成される第2湾入部159とをさらに含むことができる。この時、第1湾入部158と第2湾入部159は、第1熱分散部151と第2熱分散部152とが一体化される熱分散部材150の前記下端部に隣接して形成される。
【0047】
特に、第1湾入部158と第2湾入部159は、互いに接触するように形成され、第1湾入部158と第2湾入部159とが互いに接触することによって、第1熱分散部151または第2熱分散部152に伝達された熱が速やかに第2熱分散部152または第1熱分散部151に伝達される。つまり、第1熱分散部151と第2熱分散部152とが一体化される熱分散部材150の前記下端部を通した熱伝達経路と共に、追加的な熱分散部材150内の熱伝達経路を形成できるようにすることによって、熱分散部材150の熱分散性能を向上させることができる。
【0048】
また、第1湾入部158と第2湾入部159とが互いに接触することによって、第1熱分散部151と第2熱分散部152との離隔した空間Gが形成される。したがって、離隔した空間Gは、第1熱分散部151と第2熱分散部152とが一体化される熱分散部材150の前記下端部に隣接して形成される。離隔した空間Gは、第1湾入部158および第2湾入部159に隣接して形成されるものであってもよい。
【0049】
一方、図6および図7を参照すれば、本実施例による放熱部材100は、熱分散部材150の外面に沿って形成される断熱部材130を含む。具体的には、断熱部材130は、熱分散部材150の外面の一部に形成されるものであってもよい。より具体的には、断熱部材130は、熱分散部材150の外面のうち前記折曲された延長部分の下端外面に形成されるものであってもよい。
【0050】
断熱部材130は、熱分散部材150の内面には形成されないものであってもよい。この時、熱分散部材150の第1熱分散部151および第2熱分散部152の間に形成される空間を熱分散部材150の内面と称することができる。したがって、断熱部材130は、熱分散部材150の内面には形成されない。これは、熱分散部材150の第1熱分散部151と第2熱分散部152との間の熱移動を円滑にできる。特に、断熱部材130は、一方の熱分散部151または152から移動した熱の熱伝播を遮断する役割を果たすことが可能なため、前記移動した熱が他方の熱分散部152または151に移動することを妨げる要素として作用しうる。そのため、本実施例による断熱部材130は、熱分散部材150の内面には形成されないことによって、第1熱分散部151および第2熱分散部152の間の熱伝達を確保できる。
【0051】
この時、断熱部材130が形成される部分は、後述する内容の通り、電池モジュール10のモジュールフレーム18と接触する部分であってもよい。したがって、断熱部材130の構成によって、電池モジュール10の発火時、隣接した電池モジュール10に熱伝達されるのを防止しながらも、発生した熱は効果的に分散できるようにする。
【0052】
これとともに、図7を参照すれば、本実施例による放熱部材100は、第1陥没部156および第2陥没部157に形成される冷却部材170をさらに含むことができる。この時、冷却部材170は、冷却パッドであってもよい。前記冷却パッドは、シリコン系またはアクリル系素材で形成される。具体的には、冷却パッドは、シリコンパッド、シリコンゴムパッド、シリコンポリマーパッドなどであってもよいし、アクリルパッド、アクリルポリマーパッドなどであってもよいが、これに制限されるわけではない。冷却部材170は、放熱部材100の熱分散部材150から伝達された熱を冷却することができる。
【0053】
また、熱分散部材150は、アルミニウム(Al)、グラファイト(Graphite)などのような素材からなる。ただし、熱分散部材150の素材はこれに限定されるものではなく、熱伝導性の高い素材であれば本実施例に含まれる。
【0054】
さらに、断熱部材130は、セラミック(ceramic)素材を含むことができる。一例として、前記セラミック素材は、セラミックファイバー(ceramic fiber)のような素材からなる。ただし、断熱部材130の素材はこれに限定されるものではなく、断熱性の高い素材であれば本実施例に含まれる。
【0055】
このような構造により放熱部材100の間に形成される電池モジュール間の熱伝播を防止しながらも熱を効果的に分散させる効果を達成することができる。この時、モジュール内の火炎発生の危険性が増加したり、または火炎が発生する場合、これを鎮圧および抑制し、未然に火炎の発生確率を減少させる構造の必要性も浮上した。
【0056】
したがって、図1および図4を参照すれば、本実施例による放熱部材100は、第1熱分散部151と第2熱分散部152との間の離隔した空間Gに形成される消火部材190を含む。消火部材190は、離隔した空間Gの全体または一部を満たすことができる。図4および図5では、離隔した空間Gの全体を満たす一例を示したが、離隔した空間Gの一部を満たす消火部材190も本発明に含まれる。
【0057】
この時、図5を参照すれば、消火部材190は、固定部材195を介して離隔した空間Gに固定される。固定部材195は、消火部材190を離隔した空間G上に固定させるために接着性を有することができ、具体的には、両面接着性を有することができる。この時、固定部材195は、イミドテープを含むことができる。
【0058】
固定部材195は、離隔した空間Gに形成され、具体的には、第1熱分散部151および第2熱分散部152の内側面と消火部材190との間に形成される。固定部材195は、消火部材190の側面に形成され、側面の一部または全体を覆うように形成される。固定部材195によって離隔した空間Gに安定的に消火部材190が形成および固定される。
【0059】
また、消火部材200は、消火薬剤と、前記消火薬剤を収容するケース190aとを含むことができる。したがって、前記消火薬剤は、ケース190aの内部に収容された状態で存在し、高温発生時、外部に流出して化学反応が進行することによって、火炎の消火および抑制を可能にする。これとともに、固定部材195は、消火部材190のケース190aと接触するものであってもよい。
【0060】
ケース190aは、高分子素材を含むことができ、具体的には、ポリプロピレン(PP、Polypropylene)素材、ポリエチレンテレフタレート(PET、Polyethylene terephthalate)素材、ポリエチレン(PE、polyethylene)素材およびアルミニウム(Al)素材のうち1種以上の素材を含むことができ、ケース190aは、高温発生時、消火薬剤の外部流出のために、高温の環境で溶融する素材であれば制限なく選択可能である。また、ケース190aの形態は、カプセル形態またはパウチ形態であってもよい。
【0061】
前記消火薬剤は、ATH(Alumina trihydrate、Al・3HO)およびカリウム系消火薬剤のうち1種以上の消火薬剤を含むことができ、より具体的には、ATHまたは炭酸水素カリウム(KHCO)を含むことができる。この時、ATHは、高温環境で熱を吸収して蒸気を発生させることによって、火炎の発生確率を減少させ、火炎発生時、これを抑制および消火できる。
【0062】
したがって、本実施例による放熱部材100は、熱分散部材150および断熱部材130を含むことで熱伝播を防止しながらも効果的に熱を分散させる構造であると同時に、消火部材190を含むことによって、火炎の発生確率の減少および火炎の抑制効果を達成することができる。
【0063】
以下、図8図10を参照して、本発明の他の実施例による電池パックについて説明する。本実施例による電池パックは、後述のように放熱部材を含むので、上記で説明した放熱部材の内容をすべて含むことができる。
【0064】
図8は、本発明の他の実施例による電池パックを示す図である。図9は、本発明のさらに他の実施例による電池パックを示す図である。図10は、図8および図9の電池パックに含まれる電池モジュールを示す斜視図である。
【0065】
図8図10を参照すれば、本実施例による電池パック1000は、複数の電池モジュール10と、複数の電池モジュール10を収容するパックフレーム1100と、複数の電池モジュール10のうち隣り合う電池モジュール10の間に位置する放熱部材100とを含む。
【0066】
まず、図10を参照すれば、本実施例による電池パック1000に含まれる電池モジュール10は、複数の電池セル11が予め設定された方向に沿って積層された後、モジュールフレーム18に装着される。複数の電池セル11はその種類に特別な制限がないので、パウチ型二次電池または角型二次電池であってもよい。また、電池モジュール10は、複数の電池セル11の前後面をカバーするエンドプレート15をさらに含むことができる。
【0067】
この時、放熱部材100は、上記で述べた特徴をすべて含む放熱部材100であってもよい。つまり、放熱部材100は、熱分散部材150を含み、熱分散部材150は、一体型で形成される第1熱分散部151および第2熱分散部152を含むことができる。この時、第1熱分散部151と第2熱分散部152は、一部が互いに離隔するように形成される。したがって、第1熱分散部151と第2熱分散部152との間には空間が形成されて、離隔した空間Gが形成される。
【0068】
また、放熱部材100は、第1熱分散部151と第2熱分散部152との間の離隔した空間Gに形成される消火部材190を含む。消火部材190は、離隔した空間Gの全体または一部を満たすことができる。
【0069】
消火部材190は、固定部材195を介して離隔した空間Gに固定される。固定部材195は、消火部材190を離隔した空間G上に固定させるために接着性を有することができ、具体的には、両面接着性を有することができる。この時、固定部材195は、イミドテープを含むことができる。
【0070】
固定部材195は、離隔した空間Gに形成され、具体的には、第1熱分散部151および第2熱分散部152の内側面と消火部材190との間に形成される。固定部材195は、消火部材190の側面に形成され、側面の一部または全体を覆うように形成される。
【0071】
また、消火部材200は、消火薬剤と、前記消火薬剤を収容するケース190aとを含むことができる。したがって、前記消火薬剤は、ケース190aの内部に収容された状態で存在し、高温発生時、外部に流出して化学反応が進行することによって、火炎の消火および抑制を可能にする。
【0072】
ケース190aは、高分子素材を含むことができ、具体的には、ポリプロピレン(PP、Polypropylene)素材、ポリエチレンテレフタレート(PET、Polyethylene terephthalate)素材、ポリエチレン(PE、polyethylene)素材およびアルミニウム(Al)素材のうち1種以上の素材を含むことができ、ケース190aは、高温発生時、消火薬剤の外部流出のために、高温の環境で溶融する素材であれば制限なく選択可能である。また、ケース190aの形態は、カプセル形態またはパウチ形態であってもよい。
【0073】
前記消火薬剤は、ATH(Alumina trihydrate、Al・3HO)およびカリウム系消火薬剤のうち1種以上の消火薬剤を含むことができ、より具体的には、ATHまたは炭酸水素カリウム(KHCO)を含むことができる。この時、ATHは、高温環境で熱を吸収して蒸気を発生させることによって、火炎の発生確率を減少させ、火炎発生時、これを抑制および消火できる。
【0074】
特に、後述する内容の通り、消火部材190は、離隔した空間Gに形成されることによって、隣り合う電池モジュール10の間に位置する。そのため、火炎の発生確率を減少させることによって隣接する電池モジュールの安全性を向上させることはもちろん、火炎が発生した場合、速やかに消火部材190から消火薬剤が排出されて火炎を抑制することができる。したがって、消火部材190を介して電池モジュール10および電池パック1000の安全性を非常に向上させることができる。
【0075】
一方、放熱部材100の第1熱分散部151および第2熱分散部152は、それぞれ折曲されて延びることができ、第1熱分散部151および第2熱分散部152が折曲される方向は、互いに反対方向であってもよい。具体的には、第1熱分散部151は、熱分散部材150(図3)の中央を基準として左側領域を意味するものであってもよく、第2熱分散部152は、右側領域を意味するものであってもよい。したがって、第1熱分散部151と第2熱分散部152とが一体化される熱分散部材150の下端部から遠ざかることによって、第1熱分散部151および第2熱分散部152は、折曲される部分を有することができる。また、このように折曲されることによって、第1熱分散部151および第2熱分散部152は、互いに反対方向に折曲された延長部分を有することができる。
【0076】
この時、前記のように互いに反対方向に折曲された延長部分は、電池モジュール10の上部に隣接するように電池パック1000内に位置することができる。つまり、放熱部材100は、熱分散部材150の前記折曲された延長部分が電池モジュール10の上部に隣接するように一対の電池モジュール10の間に挿入固定されるものであってもよい。
【0077】
一方、本実施例による放熱部材100は、第1熱分散部151に形成される第1陥没部156と、第2熱分散部152に形成される第2陥没部157とをさらに含むことができる。この時、第1陥没部156は、第1熱分散部151の前記折曲された延長部分に形成され、第2陥没部157は、第2熱分散部152の前記折曲された延長部分に形成されるものであってもよい。特に、第1陥没部156および第2陥没部157は、電池モジュール10の上部に隣接するように形成されるものであってもよい。
【0078】
また、放熱部材100は、第1熱分散部151に形成される第1湾入部158と、第2熱分散部152に形成される第2湾入部159とをさらに含むことができる。この時、第1湾入部158と第2湾入部159は、第1熱分散部151と第2熱分散部152とが一体化される熱分散部材150の前記下端部に隣接して形成される。つまり、第1湾入部158および第2湾入部159は、一対の電池モジュール10の間に位置するように形成され、より具体的には、電池モジュール10のモジュールフレーム18の側面部に隣接するように形成される。
【0079】
この時、第1湾入部158と第2湾入部159は、互いに接触するように形成されて第1湾入部158と第2湾入部159とが互いに接触することによって、第1熱分散部151または第2熱分散部152に伝達された熱が速やかに第2熱分散部152または第1熱分散部151に伝達される。つまり、第1熱分散部151と第2熱分散部152とが一体化される熱分散部材150の前記下端部を通した熱伝達経路と共に、前記接触により熱分散部材150内の追加的な熱伝達経路を形成できるようにすることによって、熱分散部材150の熱分散性能を向上させることができる。
【0080】
また、第1湾入部158と第2湾入部159は、互いに接触するように形成されて第1熱分散部151と第2熱分散部152との間の離隔した空間Gが形成されるものであってもよい。したがって、離隔した空間Gは、第1熱分散部151と第2熱分散部152とが一体化される熱分散部材150の前記下端部に隣接して形成される。離隔した空間Gは、第1湾入部158および第2湾入部159に隣接して形成されるものであってもよい。
【0081】
この時、第1熱分散部151と第2熱分散部152とが一体化される熱分散部材150の前記下端部は、一対の互いに隣り合う電池モジュール10の間に挿入固定される。したがって、上記で説明したように、離隔した空間Gおよび離隔した空間Gに形成される消火部材190も、隣り合う電池モジュール10の間に形成されるものである。
【0082】
また、熱分散部材150は、アルミニウム(Al)、グラファイト(Graphite)などのような素材からなる。ただし、熱分散部材150の素材はこれに限定されるものではなく、熱伝導性の高い素材であれば本実施例に含まれる。
【0083】
一方、本実施例による放熱部材100は、第1陥没部156および第2陥没部157に形成される冷却部材170をさらに含むことができる。この時、冷却部材170は、冷却パッドであってもよい。冷却部材170は、放熱部材100の熱分散部材150から伝達された熱を冷却することができる。また、本実施例による冷却部材170は、パックフレーム1100の上部1100aと接触できる。より具体的には、冷却部材170は、パックフレーム1100の上部1100aの内側面と接触できる。したがって、電池モジュール10内の発火時、熱エネルギーが迅速に放熱部材100およびパックフレーム1100の上部1100aを通して伝達されて外部に放出できる。
【0084】
一方、本実施例による放熱部材100は、熱分散部材150の外面に沿って形成される断熱部材130を含む。具体的には、断熱部材130は、熱分散部材150の外面の一部に形成されるものであってもよい。より具体的には、断熱部材130は、熱分散部材150の外面のうち前記折曲された延長部分の下端外面に形成されるものであってもよい。
【0085】
また、断熱部材130は、セラミック(ceramic)素材を含むことができる。一例として、前記セラミック素材は、セラミックファイバー(ceramic fiber)のような素材からなる。ただし、断熱部材130の素材はこれに限定されるものではなく、断熱性の高い素材であれば本実施例に含まれる。
【0086】
また、本実施例によれば、放熱部材100の断熱部材130は、熱分散部材150および電池モジュール10の間に形成される。より具体的には、一対の電池モジュール10のうち1つの電池モジュール10の一側面は、断熱部材130と接し、一対の電池モジュール10のうち他の1つの電池モジュール10の一側面も、断熱部材130と接することができる。したがって、断熱部材130は、電池モジュール10と接するように形成されるものである。
【0087】
これによって、本実施例において、一部の電池モジュールで発火または爆発時、隣接した電池モジュール10間の熱転移が放熱部材100の断熱部材130によって遮断可能で、隣接した電池モジュール10間の熱伝播による連続的な発火または爆発を防止することができる。また、電池モジュール10および電池パック1000内の火炎発生時、放熱部材100の消火部材190によって抑制可能であり、消火部材190を介して火炎の発生確率も減少させることができる。
【0088】
これとともに、図9を参照すれば、本発明のさらに他の実施例による電池パック1000は、電池モジュール10の下部とパックフレーム1100の底部1100bとの間に形成される熱伝導性樹脂層1200をさらに含むことができる。また、電池パック1000は、熱伝導性樹脂層1200とパックフレーム1100の底部1100bとの間に形成されるヒートシンク1300をさらに含むことができる。したがって、電池モジュール10で発生する熱は、放熱部材100だけでなく、熱伝導性樹脂層1200およびヒートシンク1300を通してパックフレーム1100の底部1100bに伝達されて外部に放出できる。
【0089】
前記電池パックは、多様なデバイスに適用可能である。このようなデバイスには、電気自転車、電気自動車、ハイブリッド自動車などの運送手段に適用できるが、本発明はこれに制限されず、電池モジュールを用いることができる多様なデバイスに適用可能であり、これも本発明の権利範囲に属する。
【0090】
以上、本発明の好ましい実施例について図示および説明したが、本発明は上述した特定の実施例に限定されず、特許請求の範囲で請求する本発明の要旨を逸脱することなく当該発明の属する技術分野における通常の知識を有する者によって多様な変形実施が可能であることはもちろんであり、このような変形実施は本発明の技術的思想や展望から個別的に理解されてはならない。
【符号の説明】
【0091】
10:電池モジュール
100:放熱部材
130:断熱部材
150:熱分散部材
151:第1熱分散部
152:第2熱分散部
156:第1陥没部
157:第2陥没部
158:第1湾入部
159:第2湾入部
170:冷却部材
190:消火部材
1000:電池パック
1100:パックフレーム
1100a:パックフレーム1100の上部
1100b:パックフレーム1100の底部
1200:熱伝導性樹脂層
1300:ヒートシンク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10