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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-27
(45)【発行日】2024-10-07
(54)【発明の名称】車両誘導システム及び車両誘導方法
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/14 20060101AFI20240930BHJP
   G16Y 10/40 20200101ALI20240930BHJP
   G16Y 20/20 20200101ALI20240930BHJP
   G16Y 40/60 20200101ALI20240930BHJP
【FI】
G08G1/14 A
G16Y10/40
G16Y20/20
G16Y40/60
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2021049588
(22)【出願日】2021-03-24
(65)【公開番号】P2022148061
(43)【公開日】2022-10-06
【審査請求日】2023-12-18
(73)【特許権者】
【識別番号】322003857
【氏名又は名称】パナソニックオートモーティブシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 良樹
(72)【発明者】
【氏名】上村 知範
(72)【発明者】
【氏名】田中 享二
(72)【発明者】
【氏名】徳田 洋一
(72)【発明者】
【氏名】野口 功
【審査官】▲高▼木 真顕
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-160086(JP,A)
【文献】特表2018-508082(JP,A)
【文献】特開2021-039687(JP,A)
【文献】特開2020-034366(JP,A)
【文献】特開平11-261993(JP,A)
【文献】国際公開第2017/149744(WO,A1)
【文献】特開2018-173571(JP,A)
【文献】特表2018-502357(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0026566(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0351267(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00 - 99/00
B60W 30/00 - 60/00
B60R 25/00 - 99/00
G06T 7/00 - 7/90
G06V 10/00 - 20/90
G06V 30/418
G06V 40/16
G06V 40/20
G16Y 10/00 - 40/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
開始位置から目標位置に至る駐車場における経路を車両外部で特定する経路特定部と、
前記経路のうち少なくとも1つの区間を、通信ネットワークを介して車両に送信する通信部と、
前記車両を監視する監視部のうち、前記区間を辿る前記車両の自律走行中の逸脱を監視する前記監視部である第1の監視部の検出精度を判定する精度判定部と、
前記第1の監視部の検出精度が基準精度より低いと判定された場合、前記監視部のうち、前記第1の監視部が検出していた範囲を検出範囲に含み、検出精度が前記基準精度以上であり、且つ前記第1の監視部とは異なる前記監視部である第2の監視部を、前記第1の監視部として設定する設定部と、を備える
車両誘導システム。
【請求項2】
前記精度判定部は、前記第1の監視部の検出精度が前記基準精度より低いと判定した場合に、前記第1の監視部の検出精度が前記基準精度より低い要因を更に特定し、
前記設定部は、特定された前記要因に基づいて、前記第2の監視部を設定する
請求項1に記載の車両誘導システム。
【請求項3】
前記第2の監視部は、前記駐車場に設けられた前記監視部又は前記車両に設けられた前記監視部であり、
前記設定部は、特定された前記要因に基づいて、前記駐車場に設けられた前記監視部又は前記車両に設けられた前記監視部から、前記第2の監視部を設定する
請求項2に記載の車両誘導システム。
【請求項4】
前記精度判定部は、前記第1の監視部とは異なる前記監視部の検出精度を更に判定し、
前記設定部は、判定した当該監視部の検出精度に基づいて、前記第2の監視部を設定する
請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の車両誘導システム。
【請求項5】
前記精度判定部は、前記第1の監視部の周囲の照度が第1設定値より低い場合に、前記第1の監視部の検出精度が前記基準精度より低いと判定する
請求項1~請求項4のいずれか1項に記載の車両誘導システム。
【請求項6】
前記精度判定部は、前記駐車場における天気情報に基づいて、所定の条件を満たす場合に、前記第1の監視部の検出精度が前記基準精度より低いと判定する
請求項1~請求項5のいずれか1項に記載の車両誘導システム。
【請求項7】
前記精度判定部は、雨若しくは雪が降っている場合、又は霧が発生している場合に、前記所定の条件を満たすと判定する
請求項6に記載の車両誘導システム。
【請求項8】
前記精度判定部は、前記第1の監視部の検出方向のずれ量が第2設定値より大きい場合に、前記第1の監視部の検出精度が前記基準精度より低いと判定する
請求項1~請求項7のいずれか1項に記載の車両誘導システム。
【請求項9】
前記精度判定部は、前記第1の監視部の検出面に付着した汚れが前記検出面の一定割合より大きい部分を覆っている場合に、前記第1の監視部の検出精度が前記基準精度より低いと判定する
請求項1~請求項8のいずれか1項に記載の車両誘導システム。
【請求項10】
前記精度判定部は、前記第1の監視部の揺れ量が第3設定値より大きい場合に、前記第1の監視部の検出精度が前記基準精度より低いと判定する
請求項1~請求項9のいずれか1項に記載の車両誘導システム。
【請求項11】
前記精度判定部は、前記第1の監視部が故障している場合に、前記第1の監視部の検出精度が前記基準精度より低いと判定する
請求項1~請求項10のいずれか1項に記載の車両誘導システム。
【請求項12】
前記第1の監視部によって逸脱発生が識別された場合、前記経路特定部は、当該逸脱を解消するための解消経路を特定し、
前記通信部は、当該解消経路を、前記通信ネットワークを介して前記車両に送信する、
請求項1~請求項11のいずれか1項に記載の車両誘導システム。
【請求項13】
開始位置から目標位置に至る駐車場における経路を車両外部で特定する経路特定ステップと、
前記経路のうち少なくとも1つの区間を、通信ネットワークを介して車両に送信する通信ステップと、
前記車両を監視する監視部のうち、前記区間を辿る前記車両の自律走行中の逸脱を監視する前記監視部である第1の監視部の検出精度を判定する精度判定ステップと、
前記第1の監視部の検出精度が基準精度より低いと判定された場合、前記監視部のうち、前記第1の監視部が検出していた範囲を検出範囲に含み、検出精度が前記基準精度以上であり、且つ前記第1の監視部とは異なる前記監視部である第2の監視部を、前記第1の監視部として設定する設定ステップと、を含む
車両誘導方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両誘導システム及び車両誘導方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、駐車場における車両の誘導方法を開示する。この駐車場における車両の誘導方法では、開始位置から目標位置に至る駐車場におけるルートを車両外部で特定する。そして、この誘導方法では、特定したルートのうち少なくとも1つの区間を、通信ネットワークを介して車両に送信する。さらに、この誘導方法では、この車両が上記区間を辿る自律走行中の逸脱について、車両外部の監視システムによって監視する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特表2018-502357号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載された駐車場における車両の誘導方法によれば、監視システムの精度が低下した場合、自律走行中の車両の逸脱を検知できない恐れがある。特に、監視システムとしてカメラを使用する場合には、雨等の悪天候時にはその検知精度が低下し、自律走行中の車両の逸脱を検知できない恐れがある。
【0005】
本開示は、上記の課題を解決するためになされたものであり、自律走行中の車両の逸脱を適切に検知し得る車両誘導システム及び車両誘導方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示における車両誘導システムは、経路特定部と、通信部と、精度判定部と、設定部と、を備える。経路特定部は、開始位置から目標位置に至る駐車場における経路を車両外部で特定する。通信部は、前記経路のうち少なくとも1つの区間を、通信ネットワークを介して車両に送信する。精度判定部は、前記車両を監視する監視部のうち、前記区間を辿る前記車両の自律走行中の逸脱を監視する前記監視部である第1の監視部の検出精度を判定する。設定部は、前記第1の監視部の検出精度が基準精度より低いと判定された場合、前記監視部のうち、前記第1の監視部が検出していた範囲を検出範囲に含み、検出精度が前記基準精度以上であり、且つ前記第1の監視部とは異なる前記監視部である第2の監視部を、前記第1の監視部として設定する。
【発明の効果】
【0007】
本開示における車両誘導システムは、自律走行中の車両の逸脱を適切に検知し得る。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施の形態における車両誘導システムの構成を示すブロック図である。
図2図2は、実施の形態における車両誘導システムを適用した自動バレー駐車場を示す図である。
図3図3は、実施の形態における車両誘導システムの車両誘導処理を示すフローチャートである。
図4図4は、実施の形態における車両誘導システムのハードウェア構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、適宜図面を参照しながら、実施の形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。
【0010】
なお、添付図面および以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供されるのであって、これらにより特許請求の範囲に記載の主題を限定することは意図されていない。
【0011】
以下、図1図3を用いて、実施の形態を説明する。
【0012】
(構成)
まず、本実施の形態に係る車両誘導システム100の構成について図1及び図2を用いて説明する。
【0013】
図1は、実施の形態における車両誘導システム100の構成を示すブロック図である。車両誘導システム100は、いわゆる自動バレーパーキングを実現する駐車場である自動バレー駐車場1に適用されるシステムである。まず、自動バレーパーキングについて概説する。
【0014】
図2は、車両誘導システムを適用した自動バレー駐車場の一例を示す図である。
【0015】
自動バレーパーキングとは、乗員の降車後に車両200が自動運転制御により自動走行して駐車することを意味する。具体的には、自動バレーパーキングとは、例えば、乗員が自動バレー駐車場1の降車場所3で車両200を降りた後に、車両200を自動バレー駐車場1内の所定エリアに自動的に駐車させるとともに、乗員の乗車タイミングで車両200を乗車場所6まで自動的に走行させることをいう。自動バレー駐車場1は、複数の駐車エリア5を有する。駐車エリア5とは、車両200の駐車対象となる領域である。駐車エリア5は、例えば、構内において白線で区画された枠内であり、車両200が駐車できるスペースを有し、車両200が駐車できるレイアウトで配置された領域である。
【0016】
自動バレー駐車場1内には、車両200が走行可能な走行路4が設けられている。なお、自動バレー駐車場1内には、遮蔽壁又は支柱等の構造物が存在してもよい。自動バレー駐車場1には、車両200が進入するための入口2、車両200が退出するための出口7、乗員が降車する降車場所3、乗員が乗車する乗車場所6、等が設けられている。
【0017】
自動バレーパーキングでは、自動バレー駐車場1の降車場所3で車両200の乗員が降車する。車両200の乗員には、車両200の運転者も含まれる。そして、車両200は、駐車エリア5に自動運転制御により入庫する。出庫時には、駐車している駐車エリア5から乗車場所6まで車両200が自動運転制御により移動する。そして、乗車場所6で乗員が車両200に乗車する。
【0018】
自動運転制御とは、運転者による介入が行われない状態で車両200を走行させる制御を意味する。自動運転制御では、自動バレー駐車場1内の車両200を現在位置から予め設定された自動バレー駐車場1内の目標位置へ走行させる。現在位置とは、自動運転制御の開始位置であり、例えば前述した降車場所3、又は車両200が現在駐車している駐車エリア5である。目標位置とは、自動運転制御の終了位置であり、例えば、駐車エリア5、又は乗車場所6である。駐車制御とは、運転者による介入が行われない状態で自動運転制御により車両200を駐車させる制御を意味する。
【0019】
図1に戻り説明を続ける。本実施の形態に係る車両誘導システム100は、駐車エリア5に車両200を駐車させる駐車制御を行うシステムである。図1に示すように、車両誘導システム100は、駐車場センサ110、データベース120、ECU(Engine Control Unit)130、及び通信部140を備える。ECU130と、データベース120、駐車場センサ110、及び通信部140の各々とは、通信可能に接続されている。
【0020】
駐車場センサ110は、カメラ111、レーダ112、ソナー113、及びLiDAR(Light Detection And Ranging)114、並びにその他のセンサ(図示せず)を含む。カメラ111、レーダ112、ソナー113、及びLiDARのそれぞれは、降車場所3、乗車場所6、駐車エリア5、及び走行路4のそれぞれにおける車両200の駐車を検出する。駐車場センサ110は、これらのセンサにより検出された検出結果をECU130に対して出力する。その他のセンサには、後述する検出精度の判定処理に用いられる雨滴センサ、雪センサ、霧センサ、日照センサ、角速度センサ等が含まれる。
【0021】
なお、車両誘導システム100は、カメラ111、レーダ112、ソナー113、及びLiDAR114、並びにその他のセンサの少なくとも1つを、複数備えた構成であってもよい。例えば、車両誘導システム100は、複数のカメラ111を備えた構成であってもよい。この場合、複数のカメラ111は、それぞれ、自動バレー駐車場1内における互いに異なる位置に配置されていればよい。すなわち、これらの複数のカメラ111は、撮影範囲の少なくとも一部が非重複となるように、画角および撮影方向が予め調整されていればよい。また、レーダ112、ソナー113、及びLiDAR114、並びにその他のセンサについても同様に、車両誘導システム100が複数備えている場合には、検出範囲の少なくとも一部が非重複となるように配置されていればよい。
【0022】
データベース120は、例えば、自動バレー駐車場1のマップデータ、すなわち駐車エリア5及び走行路4等の所在を示すデータを格納する。データベース120は、ECU130により参照可能に構成されている。
【0023】
ECU130は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等を有する電子制御ユニットである。ECU130は、例えば、CPUが出力する信号に基づいて、CAN通信回路を動作させてデータを入出力し、データをRAMに記憶し、ROMに記憶されているプログラムをRAMにロードし、RAMにロードされたプログラムを実行することで、各種の機能を実現する。ECU130は、複数の電子制御ユニットから構成されてもよい。
【0024】
ECU130は、精度判定部131、設定部132、及び経路特定部133を含む。
【0025】
経路特定部133は、開始位置から目標位置に至る自動バレー駐車場1における経路を車両200の外部で特定する。
【0026】
詳細には、経路特定部133は、駐車場センサ110で検出した検出結果に基づいて、自動バレー駐車場1の駐車状況を認識する。自動バレー駐車場1の駐車状況は、例えば、車両200が駐車されている1又は複数の駐車エリア5に関する情報や、車両200が駐車されていない1又は複数の駐車エリア5に関する情報すなわち空き情報を含む。
【0027】
経路特定部133は、駐車場センサ110で検出した検出結果に基づいて、自動バレー駐車場1の降車場所3に到着した車両200を認識する。
【0028】
経路特定部133は、認識した車両200及び自動バレー駐車場1の駐車状況、並びに自動バレー駐車場1のマップデータに基づいて、入庫及び出庫時の車両200の経路を特定する。経路は、例えば、降車場所3から駐車エリア5までの走行路4の道筋である入庫経路と、駐車エリア5から乗車場所6までの走行路4の道筋である出庫経路とを含む。経路特定部133は、特定した経路に関する情報を、通信部140を介して車両200へ送信する。
【0029】
ここで、本実施の形態における車両誘導システム100では、経路特定部133により特定された経路は複数の区間に分割され、分割された区間ごとに、経路に関する情報が車両200へ送信されるように構成されている。
【0030】
精度判定部131は、駐車場センサ110の検出精度を判定する。つまり、精度判定部131は、駐車場センサ110に含まれる、カメラ111、レーダ112、ソナー113、LiDAR114、及び車載センサ210の検出精度を判定する。本実施の形態では、精度判定部131は、特にカメラ111の検出精度を判定する。
【0031】
本実施の形態における、カメラ111、レーダ112、ソナー113、LiDAR114、及び車載センサ210は、特許請求の範囲に記載の「監視部」の一例である。また、本実施の形態におけるカメラ111は、特許請求の範囲に記載の「第1の監視部」の一例である。
【0032】
また、本実施の形態における、第1の監視部であるカメラ111とは異なる別のカメラ111、レーダ112、ソナー113、LiDAR114、若しくは車載センサ210、又は後述する車載センサ210は、特許請求の範囲に記載の「第2の監視部」の一例である。精度判定部131による検出精度の判定の詳細については後述する。
【0033】
設定部132は、逸脱監視対象の監視部を設定する。逸脱監視対象の監視部とは、車両200の逸脱を監視する監視部である。車両誘導システム100では、設定部132によって逸脱監視対象として設定された監視部が、車両200の逸脱を監視する。なお、初期状態では、第1の監視部が、逸脱監視対象の監視部として設定されているものとする。
【0034】
設定部132は、精度判定部131の判定結果に基づいて、駐車場センサ110及び後述する車載センサ210の中から一のセンサを選択し、当該センサを逸脱監視対象の監視部として設定する。設定部132による逸脱監視対象の監視部の設定の詳細については後述する。
【0035】
通信部140は、路車間通信により車両200との間で通信を行う。通信部140は、各種の信号をECU130に対して入出力する。本実施の形態では、通信部140は、経路特定部133で特定された経路のうち少なくとも1つの区間を、通信ネットワークを介して、車両200へ送信する。
【0036】
車両200は、車載通信部220及び車載センサ210を備える。
【0037】
車載センサ210は、例えば、車両200の周辺に存在する障害物又は白線等の物体を検出するセンサ、及び車両200の位置を示す位置情報を取得するセンサを含む。車両200の周辺に存在する物体を検出するセンサには、例えば、カメラ、レーダ、ソナー、又はLiDARが含まれる。車両200の位置を示す位置情報を取得するセンサには、GNSS(Global Navigation Satellite System)等、車両200の自動バレー駐車場1内における座標、すなわち緯度及び経度を特定できるセンサを含む。
【0038】
車載通信部220は、路車間通信により車両誘導システム100の通信部140との間で通信を行う。
【0039】
車両200は、車両誘導システム100から送信された、開始位置から目標位置に至る駐車場における経路のうちの少なくとも1つの区間を受信する。そして、車両200は、受信した区間を辿って自律走行する。このため、車両200は、車両誘導システム100から順次送信される区間を辿って自律走行することで、自動バレーパーキングを実現する。例えば、車両200は、区間を辿って自律走行することで、自動バレー駐車場1の降車場所3から駐車エリア5へ自律走行する。
【0040】
第1の監視部の一例であるカメラ111は、区間を辿る車両200の自律走行中の逸脱について車両200を監視する。
【0041】
設定部132によって逸脱監視対象の監視部として設定された第1の監視部は、車両200の逸脱発生を識別する。例えば、第1の監視部であるカメラ111によって、車両200の逸脱が識別された場合を想定する。この場合、経路特定部133は、当該逸脱を解消するための解消経路を特定する。解消経路の特定には、公知の方法を用いればよい。そして、通信部140は、特定された解消経路を、通信ネットワークを介して車両200に送信する。車両200は、当該解消経路を辿る走行により、逸脱を解消可能である。
【0042】
ここで、逸脱監視対象の監視部として設定された第1の監視部の検知精度が低下する場合がある。この場合、自律走行中の車両200の逸脱を検出できないおそれがある。そこで、本実施の形態の車両誘導システム100では、設定部132は、第1の監視部の検出精度が基準精度以上であると判定された場合、第1の監視部を逸脱監視対象の監視部として設定する。一方、第1の監視部の検出精度が基準精度より低いと判定された場合、設定部132は、監視部のうち、第1の監視部とは異なる監視部である第2の監視部を、逸脱監視対象の監視部として設定する。これらの処理について、詳細に説明する。
【0043】
(検出精度の判定)
まず、精度判定部131による、第1の監視部の一例であるカメラ111の検出精度を判定する処理について、想定される検出精度低下の要因の例を示しながら説明する。
【0044】
精度判定部131は、例えば、天気、カメラ111の撮影方向のずれ、カメラ111のレンズ面の汚れ、カメラ111の揺れ、及び、カメラ111の故障、の少なくとも1つに基づいて、カメラ111の検出精度を判定する。
【0045】
(1)天気
精度判定部131は、天気情報に基づいて、カメラ111の検出精度を判定する。具体的には、精度判定部131は、天気情報に基づいて、所定の条件を満たす場合に、カメラ111の検出精度が基準精度より低いと判定する。例えば、精度判定部131は、駐車場センサ110に含まれるその他のセンサにより検出された自動バレー駐車場1における天気情報に基づいて、カメラ111の検出精度を判定する。この場合、その他のセンサには、雨滴センサ、雪センサ、霧センサ、日照センサ等が含まれる。
【0046】
精度判定部131は、雨滴センサ若しくは雪センサにより雨若しくは雪が降っていることが検出された場合、霧センサにより霧が発生していることが検出された場合、又は日照センサによりカメラ111の周囲の照度が設定値より低くなっていることが検出された場合に、上記所定条件を満たすと判定する。この設定値は、予め定めればよい。また、この設定値は、ユーザによる操作指示などに応じて適宜変更可能としてもよい。この設定値は、特許請求の範囲に記載の「第1設定値」の一例である。
【0047】
また、精度判定部131は、カメラ111により撮影された画像に基づいて、雨若しくは雪が降っていること、霧が発生していること、又は日没して周囲が暗くなっていることを検出した場合に、カメラ111の検出精度が基準精度より低いと判定してもよい。
【0048】
あるいは、精度判定部131は、その他のセンサが受信した天気情報に基づいて、雨若しくは雪が降っていること、霧が発生していること、又は日没して周囲が暗くなっていることを検出した場合に、カメラ111の検出精度が基準精度より低いと判定してもよい。この場合、その他のセンサには、天気情報を含む気象情報を配信する公知の情報処理装置等から当該気象情報を受信する装置等が含まれる。
【0049】
もしくは、精度判定部131は、時刻情報に基づいて、カメラ111の検出精度を判定してもよい。この場合、その他のセンサには、日没時刻の情報を配信する情報処理装置等から当該日没時刻の情報を受信する装置等が含まれる。精度判定部131は、現在時刻と日没時刻とを比較し、現在時刻が日没時刻より遅い場合に、日没して周囲が暗くなっていると予測し、カメラ111の検出精度が基準精度より低いと判定する。
【0050】
(2)撮影方向のずれ
精度判定部131は、カメラ111の撮影方向のずれ量に基づいて、カメラ111の検出精度を判定する。精度判定部131は、予めカメラ111により撮影された画像データにおける視標のパターン及び位置を記憶する。精度判定部131は、新たにカメラ111により撮影された画像データと視標のパターンのデータとを用いて、テンプレートマッチング法等のパターン認識方法によって、画像データ内における視標のパターンを抽出する。そして、精度判定部131は、抽出した視標の位置を検出し、検出した視標の位置と予め記憶されていた指標の位置とを比較する。これにより、視標の位置のずれ量が導出され、カメラ111の撮影方向のずれ量が求められる。精度判定部131は、カメラ111の撮影方向のずれ量が設定値より大きい場合に、カメラ111の検出精度が基準精度より低いと判定する。この設定値は、予め定めればよい。また、この設定値は、ユーザによる操作指示などに応じて適宜変更可能としてもよい。この設定値は、特許請求の範囲に記載の「第2設定値」の一例である。
【0051】
(3)レンズ面の汚れ
精度判定部131は、カメラ111のレンズ面の汚れに基づいて、カメラ111の検出精度を判定する。カメラ111のレンズ面に汚れ等が付着した場合、カメラ111により撮影された撮影時刻の異なる画像データ間における、汚れ等に対応する部分の画素値の差分がほとんどなくなる。よって、精度判定部131は、カメラ111により撮影された画像データ間の差分を検出することで、カメラ111の検出精度を判定する。精度判定部131は、一定期間以上差分が生まれていない部分の画素数の、画像全体の画素数に対する割合を検出する。そして、精度判定部131は、差分のない画素が一定割合より大きくなった場合に、カメラ111のレンズ面に付着した汚れがレンズ面の一定割合より大きい部分を覆っていると予測し、カメラ111の検出精度が基準精度より低いと判定する。
【0052】
(4)揺れ
精度判定部131は、カメラ111の揺れの度合に基づいて、カメラ111の検出精度を判定する。例えば、精度判定部131は、駐車場センサ110に含まれるその他のセンサにより検出された揺れに関する情報に基づいて、カメラ111の検出精度を判定する。この場合、その他のセンサには、角速度センサ等が含まれる。角速度センサは、カメラ111の角度が単位時間当たりどれだけ変化しているか、すなわちカメラ111の揺れ量を検出する。精度判定部131は、角速度センサにより検出されたカメラ111の揺れ量が設定値より大きい場合に、カメラ111の検出精度が基準精度より低いと判定する。この設定値は、予め定めればよい。また、この設定値は、変更可能としてもよい。
【0053】
また、精度判定部131は、カメラ111により撮影された画像の揺れに基づいて、カメラ111の揺れ量が設定値以上であることを検出した場合に、カメラ111の検出精度が基準精度より低いと判定してもよい。この設定値は、予め定めればよい。また、この設定値は、変更可能としてもよい。このカメラ111の揺れ量の設定値は、特許請求の範囲に記載の「第3設定値」の一例である。
【0054】
あるいは、精度判定部131は、地震情報に基づいて、カメラ111の検出精度を判定してもよい。この場合、その他のセンサには、地震計や地震情報を配信する情報処理装置等から当該地震情報を受信する装置等が含まれる。精度判定部131は、地震情報に基づいて、カメラ111の揺れ量がある閾値以上であると判断される場合、又は当該揺れ量がある閾値以上になると予測される場合に、カメラ111の検出精度が基準精度より低いと判定する。
【0055】
もしくは、精度判定部131は、風の情報に基づいて、カメラ111の検出精度を判定してもよい。この場合、その他のセンサには、風力計や風の情報を配信する情報処理装置等から当該風の情報を受信する装置等が含まれる。精度判定部131は、風の情報に基づいて、カメラ111の揺れ量がある閾値以上であると判断される場合、又は当該揺れ量がある閾値以上になると予測される場合に、カメラ111の検出精度が基準精度より低いと判定する。
【0056】
(5)故障
精度判定部131は、カメラ111が故障しているか否かに基づいて、カメラ111の検出精度を判定する。例えば、精度判定部131は、カメラ111との通信においてカメラ111からの応答が所定時間以上無い事を検出し、又は、カメラ111により撮影された画像の半分が写っていない等の画像からの異常を検出する。これらを検出した場合、精度判定部131は、カメラ111が故障していることを認識し、カメラ111の検出精度が基準精度より低いと判定する。
【0057】
(逸脱監視対象の監視部の設定)
以下、設定部132による、逸脱監視対象の監視部を設定する処理について説明する。まず、精度判定部131は、第1の監視部、すなわち、逸脱監視対象として現在設定されている監視部の一例であるカメラ111の検出精度が基準精度より低いと判定した場合、基準精度が低い要因を更に特定する。そして、設定部132は、特定された要因に基づいて、第2の監視部を設定する。すなわち、設定部132は、特定された要因を有さない他の駐車場センサ110又は車載センサ210を、第2の監視部として選択する。そして、設定部132は、選択した第2の監視部を、新たな逸脱監視対象の監視部として設定する。
【0058】
この設定部132による第2の監視部の設定について、上述した「検出精度の判定」の説明において挙げた検出精度低下の要因に対応させながら説明する。
【0059】
(1)天気
精度判定部131が、天気の影響によりカメラ111の検出精度が基準精度より低いと判定した場合を想定する。この場合、設定部132は、このカメラ111が検出していた区間を検出範囲に含む別の駐車場センサ110又は車載センサ210を選択し、当該駐車場センサ110を第2の監視部として設定する。
【0060】
詳細には、設定部132は、現在逸脱監視対象の監視部として設定しているカメラ111とは別に、自動バレー駐車場1に設置された他のカメラ111の中に、天気の影響を受けていない他のカメラ111が存在するか否かを判定する。そして、設定部132は、そのような他のカメラ111が存在すると判定した場合、当該カメラ111を選択し、第2の監視部として設定する。すなわち、設定部132は、検出精度が基準精度以上であると判定された他のカメラ111を選択し、第2の監視部として設定する。そして、設定部132は、設定した第2の監視部を、新たな逸脱監視対象の監視部として設定する。
【0061】
例えば、雨が降っていることにより、逸脱監視対象の監視部として現在設定されているカメラ111の検出精度が基準精度より低いと判定された場合を想定する。ここで、屋根の下等に設置されている他のカメラ111は、雨の影響を受けにくい。このため、この場合、設定部132は、この屋根の下に設置されている他のカメラ111を選択し、第2の監視部として設定する。
【0062】
また、設定部132は、自動バレー駐車場1に設置されたレーダ112、ソナー113、又はLiDAR114を選択して、第2の監視部として設定し得る。一般に、レーダやソナー、LiDARは、雨や霧の時、及び夜間時に、カメラ111より高い検出精度を有する。このため、設定部132は、これらのセンサを選択して第2の監視部として設定し得る。
【0063】
あるいは、設定部132は、車両200が備える車載センサ210を選択して第2の監視部として設定し得る。これにより、車両200の周辺の状況については、カメラ111を使用する場合より高い検出精度で検出し得る。
【0064】
(2)撮影方向のずれ
精度判定部131が、カメラ111の撮影方向がずれたことによりカメラ111の検出精度が基準精度より低いと判定した場合を想定する。この場合、設定部132は、このカメラ111が検出していた区間を検出範囲に含む、別の駐車場センサ110又は車載センサ210を選択する。そして、設定部132は、選択した該駐車場センサ110又は車載センサ210を、第2の監視部として設定する。なお、撮影方向がずれたカメラ111で撮影可能な部分は、該カメラ111で撮影してもよい。そして、カメラ111の撮影方向がずれたことにより撮影できなくなった部分を、別の駐車場センサ110又は車載センサ210により検出することとしてもよい。この場合、設定部132は、カメラ111及び別の駐車場センサ110又は車載センサ210、の双方を選択する。そして、設定部132は、カメラ111及び当該駐車場センサ110又は当該車載センサ210を、第2の監視部として設定する。
【0065】
設定部132は、例えば、カメラ111が撮影していた区間と隣接する区間を撮影する、他のカメラ111を選択し、第2の監視部として設定し得る。また、設定部132は、自動バレー駐車場1に設置されたレーダ112、ソナー113、若しくはLiDAR、又は車両200が備える車載センサ210を選択する。そして、設定部132は、選択した監視部を、第2の監視部として設定し得る。
【0066】
(3)レンズ面の汚れ
精度判定部131が、カメラ111のレンズ面の汚れによりカメラ111の検出精度が基準精度より低いと判定した場合を想定する。この場合、設定部132は、このカメラ111が検出していた区間を検出範囲に含む別の駐車場センサ110又は車載センサ210を選択する。そして、設定部132は、選択した当該駐車場センサ110又は車載センサ210を、第2の監視部として設定する。設定部132は、カメラ111とは別に自動バレー駐車場1に設置された他のカメラ111の中に、レンズ面の汚れの影響を受けていないカメラ111が存在するか否かを判定する。そして、設定部132は、そのような他のカメラ111が存在すると判定した場合、当該カメラ111を選択して第2の監視部として設定し得る。すなわち、設定部132は、検出精度が基準精度以上であると判定された他のカメラ111を選択し、第2の監視部として設定する。そして、設定部132は、設定した第2の監視部を、新たな逸脱監視対象の監視部として設定する。
【0067】
また、設定部132は、自動バレー駐車場1に設置されたレーダ112、ソナー113、若しくはLiDAR114、又は車両200が備える車載センサ210を選択して第2の監視部として設定し得る。
【0068】
(4)揺れ
精度判定部131が、カメラ111の揺れによりカメラ111の検出精度が基準精度より低いと判定した場合を想定する。この場合、設定部132は、このカメラ111が検出していた区間を検出範囲に含む別の駐車場センサ110又は車載センサ210を選択する。そして、設定部132は、選択した当該駐車場センサ110又は車載センサ210を、第2の監視部として設定する。設定部132は、カメラ111とは別に自動バレー駐車場1に設置された他のカメラ111の中に、揺れの影響を受けていないカメラ111が存在するか否かを判定する。そして、設定部132は、そのような他のカメラ111が存在すると判定した場合、当該カメラ111を選択して第2の監視部として設定し得る。すなわち、設定部132は、検出精度が基準精度以上であると判定された他のカメラ111を選択し、第2の監視部として設定する。そして、設定部132は、設定した第2の監視部を、新たな逸脱監視対象の監視部として設定する。
【0069】
また、設定部132は、自動バレー駐車場1に設置されたレーダ112、ソナー113、若しくはLiDAR114、又は車両200が備える車載センサ210を選択して第2の監視部として設定し得る。
【0070】
(5)故障
精度判定部131が、カメラ111の故障によりカメラ111の検出精度が基準精度より低いと判定した場合を想定する。この場合、設定部132は、このカメラ111が検出していた区間を検出範囲に含む別の駐車場センサ110又は車載センサ210を選択する。そして、設定部132は、選択した当該駐車場センサ110又は車載センサ210を第2の監視部として設定する。設定部132は、カメラ111とは別に自動バレー駐車場1に設置された他のカメラ111の中に、故障の影響を受けていないカメラ111が存在する場合、当該カメラ111を選択して第2の監視部として設定し得る。すなわち、設定部132は、検出精度が基準精度以上であると判定された他のカメラ111を選択し、第2の監視部として設定する。そして、設定部132は、設定した第2の監視部を、新たな逸脱監視対象の監視部として設定する。
【0071】
また、設定部132は、自動バレー駐車場1に設置されたレーダ112、ソナー113、若しくはLiDAR114、又は車両200が備える車載センサ210を選択して第2の監視部として設定し得る。特に車載センサ210を選択することについては、災害等により駐車場センサ110が全て故障している場合等に有用である。
【0072】
上記の(1)~(5)に記載した以外にも、例えば、設定部132は、精度判定部131により検出精度が基準精度より低いと判定されたカメラ111が撮影していた区間以外の区間に対応する駐車場センサ110又は車載センサ210を選択してもよい。この場合、当該カメラ111が撮影していた区間を含まない経路を経路特定部133が特定することとすることにより、車両誘導システム100による車両誘導の精度を向上し得る。
【0073】
(処理動作)
図3を用いて、車両誘導システム100の車両誘導の処理動作について説明する。
【0074】
まず、ステップS11において、経路特定部133は、車両200が自動バレー駐車場1に到着したか否かを判定する。経路特定部133は、カメラ111の検出結果に基づいて、降車場所3に到着した車両200が認識されたか否かを判定することで、車両200が自動バレー駐車場1に到着したか否かを判定する。経路特定部133により車両200が自動バレー駐車場1に到着したと判定された場合(ステップS11でYes)、処理はステップS12に進む。
【0075】
一方、経路特定部133により車両200が自動バレー駐車場1に到着したと判定されていない場合(ステップS11でNo)、再度ステップS11の処理が実行される。
【0076】
ステップS12において、経路特定部133は、車両200を駐車エリア5に駐車させるための経路を特定する。経路特定部133は、カメラ111の検出結果に基づいて自動バレー駐車場1の駐車状況を認識し、駐車可能な駐車エリア5を目標位置に設定する。さらに、経路特定部133は、データベース120に格納されている自動バレー駐車場1のマップデータを参照する。経路特定部133は、認識した自動バレー駐車場1の駐車状況及び自動バレー駐車場1のマップデータに基づいて、降車場所3から目標位置までの経路を特定する。経路特定部133は、特定した経路に関する情報を通信部140に出力する。その後、処理はステップS13に進む。
【0077】
ステップS13において、通信部140は、経路特定部133から出力された経路に関する情報を、車両200へ送信する。その後、処理はステップS14に進む。
【0078】
ステップS14において、精度判定部131は、第1の監視部であるカメラ111の検出精度が基準精度より低いか否かを判定する。精度判定部131は、該カメラ111から該カメラ111による検出結果を取得し、この検出結果に基づいて、該カメラ111の検出精度が基準精度より低いか否かを判定する。精度判定部131は、該カメラ111の検出精度が基準精度より低いと判定した場合(ステップS14でYes)、該カメラ111の検出精度が基準精度より低いことを設定部132に通知する。さらに、精度判定部131は、該カメラ111の検出精度が基準精度より低い要因を設定部132に通知する。その後、処理はステップS15に進む。
【0079】
ステップS15において、設定部132は、逸脱監視対象の監視部を設定する。設定部132は、精度判定部131により通知された、第1の監視部であるカメラ111の検出精度が基準精度より低い要因に基づいて、カメラ111を除く駐車場センサ110及び車載センサ210から一のセンサを選択して第2の監視部として設定し、当該第2の監視部を新たな逸脱監視対象の監視部として設定する。設定部132は、設定した逸脱監視対象の監視部を経路特定部133に通知する。その後、処理はステップS16に進む。
【0080】
一方、精度判定部131は、第1の監視部であるカメラ111の検出精度が基準精度以上であると判定した場合(ステップS14でNo)、該カメラ111の検出精度が基準精度以上であることを設定部132に通知する。この場合、設定部132は、第1の監視部である該カメラ111を逸脱監視対象の監視部として設定し、該カメラ111を逸脱監視対象として設定したことを経路特定部133に通知する。その後、処理はステップS16に進む。
【0081】
ステップS16において、逸脱監視対象として設定された監視部は、車両200が経路から逸脱しているか否かについて、車両200を監視する。つまり、逸脱監視対象の監視部は、車両200が経路を正確に辿りながら走行しているか否か、すなわち経路特定部133により特定された経路と車両が実際に走行した軌跡との間に差があるか否かについて、車両200を監視する。逸脱監視対象の監視部は、経路走行中の車両200の逸脱を検出した場合(ステップS16でYes)、車両200が経路から逸脱したことを経路特定部133に通知する。その後、処理はステップS17に進む。
【0082】
ステップS17において、経路特定部133は、車両200が逸脱を解消するための逸脱解消経路を特定する。経路特定部133は、逸脱監視対象の監視部の検出結果に基づいて自動バレー駐車場1の状況を認識し、認識した自動バレー駐車場1の状況に基づいて逸脱解消経路を特定する。経路特定部133は、特定した逸脱解消経路に関する情報を通信部140に出力する。その後、処理はステップS18に進む。
【0083】
ステップS18において、通信部140は、経路特定部133から出力された逸脱解消経路に関する情報を、車両200へ送信する。その後、処理はステップS19に進む。
【0084】
一方、逸脱監視対象の監視部は、経路走行中の車両200の逸脱を検出しなかった場合(ステップS16でNo)、車両200が経路から逸脱していないことを経路特定部133に通知する。その後、処理はステップS19に進む。
【0085】
ステップS19において、経路特定部133は、車両200が目標位置に到達したか否かを判定する。経路特定部133は、逸脱監視対象の監視部の検出結果に基づいて、車両200が目標位置に到達したか否かを判定する。経路特定部133により車両200が目標位置に到達したと判定された場合(ステップS19でYes)、車両誘導システム100の車両誘導処理は終了する。
【0086】
一方、経路特定部133により車両200が目標位置に到達したと判定されていない場合(ステップS19でNo)、処理はステップS14に戻り、ステップS14以降の処理が実行される。
【0087】
なお、ここまでは入庫時の車両誘導処理について記載したが、車両誘導処理は出庫時にも実行される。入庫時にはステップS11において車両200が自動バレー駐車場1に到着したか否かを判定したが、出庫時には、経路特定部133は利用者の端末装置から迎車リクエストを受信したか否かを判定する。経路特定部133が利用者の端末装置から迎車リクエストを受信したと判定した場合、経路特定部133は車両200が現在駐車している駐車エリア5から乗車場所6までの経路を特定する。その後、入庫時のステップS13以降の処理が実行される。
【0088】
(効果等)
以上のように、本実施の形態において、車両誘導システム100は、通信部140、駐車場センサ110、データベース120、及びECU130を備え、ECU130は、精度判定部131、設定部132、及び経路特定部133を含む。精度判定部131は、車両200を監視する監視部のうち、区間を辿る車両200の自律走行中の逸脱を監視する監視部である第1の監視部の検出精度を判定する。設定部132は、カメラ111(第1の監視部)の検出精度が基準精度より低いと判定された場合、第1の監視部であるカメラ111とは異なる監視部である、他の駐車場センサ110及び車載センサ210の中から一のセンサである第2の監視部を、第1の監視部として設定する。
【0089】
これにより、カメラ111の検出精度が基準精度より低いと判定されたときには、検出精度が低下したカメラ111以外のセンサである、他の駐車場センサ110又は車載センサ210によって、自律走行中の車両200の逸脱を監視することができる。このため、本実施の形態によれば、当該監視の精度を向上し得る。カメラ111の検出精度が基準精度より低い場合にカメラ111により自律走行中の車両200の逸脱について監視を行えば、当該逸脱を検知できない状況が起こり得る。本実施の形態における車両誘導システム100によれば、このような課題が解決され、当該逸脱を適切に検知できる車両誘導システムが実現され得る。
【0090】
また、本実施の形態によれば、経路走行中の車両200の逸脱が検出された場合、経路特定部133は車両200が逸脱を解消するための逸脱解消経路を特定する。これにより、車両200はこの逸脱解消経路を辿る走行をすることにより逸脱を解消し得る。
【0091】
さらに、本実施の形態によれば、経路特定部133により特定された経路は複数の区間に分割され、分割された区間ごとに、経路に関する情報が車両200へ送信される。これにより、車両200は駐車するために必要な情報を有している必要はなく、受信した区間ごとの経路を辿る走行により目標位置に到達し得る。車両200は、ある区間の一区間を辿りながら自律走行することは可能であっても、経路全体を一気に辿りながら自律走行することはできない可能性がある。本実施の形態によれば、このような車両200であっても、適切に誘導し得る。
【0092】
(他の実施の形態)
上記の実施の形態では、精度判定部131はカメラ111の検出精度を判定していたが、精度判定部131はカメラ111(第1の監視部)以外のセンサの検出精度も判定してもよい。例えば、カメラ111の検出精度が基準精度より低いと判定した場合に、カメラ111以外のセンサの検出精度を判定し、当該検出精度が基準精度以上であるセンサの中から一のセンサを設定部132が選択してもよい。また、設定部132は検出精度が最も高いセンサを選択してもよい。このように、精度判定部131がカメラ111(第1の監視部)以外のセンサの検出精度も判定することにより、自律走行中の車両200の逸脱をより適切に検知し得る。
【0093】
また、上記の実施の形態では、精度判定部131がカメラ111の検出精度を判定し、当該検出精度が基準精度より低い場合に、設定部132がカメラ111以外のセンサの中から一のセンサを選択していたが、本開示の実施の形態はこれに限定されない。つまり、特許請求の範囲に記載の「第1の監視部」は、カメラ111に限定されない。精度判定部131がカメラ111以外のセンサ、例えばソナー113の検出精度を判定し、ソナー113の検出精度が基準精度より低いと判定された場合、設定部132がソナー113を除く駐車場センサ110及び車載センサ210の中から一のセンサを選択することとしてもよい。
【0094】
図4は、本実施の形態の車両誘導システム100のECU130の、ハードウェア構成図の一例である。
【0095】
上記実施の形態のECU130は、CPU36等の制御装置と、ROM38、RAM40及びHDD42等の記憶装置と、各種機器とのインターフェースであるI/F部32と、出力情報等の各種情報を出力する出力部30と、ユーザによる操作を受け付ける入力部34と、各部を接続するバス46とを備えており、通常のコンピュータを利用したハードウェア構成となっている。
【0096】
上記実施の形態の異常検出装置10では、CPU36が、ROM38からプログラムをRAM40上に読み出して実行することにより、上記各部がコンピュータ上で実現される。
【0097】
なお、上記実施の形態のECU130で実行される上記各処理を実行するためのプログラムは、HDD42に記憶されていてもよい。また、上記実施形態のECU130で実行される上記各処理を実行するためのプログラムは、ROM38に予め組み込まれて提供されていてもよい。
【0098】
また、上記実施の形態のECU130で実行される上記処理を実行するためのプログラムは、インストール可能な形式または実行可能な形式のファイルでCD-ROM、CD-R、メモリカード、DVD(Digital Versatile Disk)、フレキシブルディスク(FD)等のコンピュータで読み取り可能な記憶媒体に記憶されてコンピュータプログラムプロダクトとして提供されるようにしてもよい。また、上記実施の形態のECU130で実行される上記処理を実行するためのプログラムを、インターネットなどのネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するようにしてもよい。また、上記実施の形態のECU130で実行される上記処理を実行するためのプログラムを、インターネットなどのネットワーク経由で提供または配布するようにしてもよい。
【0099】
なお、上記には、本発明の実施の形態を説明したが、上記実施の形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施の形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。この実施の形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0100】
(まとめ)
上記実施の形態から明らかなように、本開示は、下記の態様を含む。以下では、実施の形態との対応関係を明示するためだけに、符号を括弧付きで付している。
【0101】
第1の態様の車両誘導システム(100)は、経路特定部(133)と、通信部(140)と、精度判定部(131)と、設定部(132)と、を備える。経路判定部(133)は、開始位置から目標位置に至る駐車場における経路を車両(200)外部で特定する。通信部(140)は、経路のうち少なくとも1つの区間を、通信ネットワークを介して車両(200)に送信する。精度判定部(131)は、車両(200)を監視する監視部のうち、区間を辿る車両(200)の自律走行中の逸脱を監視する監視部である第1の監視部の検出精度を判定する。設定部(132)は、第1の監視部の検出精度が基準精度より低いと判定された場合、監視部のうち、第1の監視部とは異なる監視部である第2の監視部を、第1の監視部として設定する。第1の態様によれば、第1の監視部の検出精度が低下した場合にも、別の監視部により車両(200)の監視を継続し得る。このため、車両(200)の逸脱についてより適切に監視し得る。
【0102】
第2の態様の車両誘導システム(100)は、第1の態様との組合せにより実現され得る。第2の態様では、精度判定部(131)は、第1の監視部の検出精度が基準精度より低いと判定した場合に、第1の監視部の検出精度が基準精度より低い要因を更に特定する。設定部(132)は、特定された要因に基づいて、第2の監視部を設定し、当該第2の監視部を第1の監視部として設定する。第2の態様によれば、第1の監視部の検出精度が低下した要因に基づいて第2の監視部の設定をなし得、より適切に第2の監視部を選択し得る。このため、車両(200)の逸脱についてより適切に監視し得る。
【0103】
第3の態様の車両誘導システム(100)は、第2の態様との組合せにより実現され得る。第3の態様では、第2の監視部は、駐車場に設けられた監視部(110)又は車両(200)に設けられた監視部(210)である。設定部(132)は、特定された要因に基づいて、駐車場に設けられた監視部(110)又は車両(200)に設けられた監視部(210)から、第2の監視部を設定する。第3の態様によれば、第1の監視部の検出精度が低下した要因に基づいて第2の監視部の設定をなし得、より適切に第2の監視部を選択し得る。このため、車両(200)の逸脱についてより適切に監視し得る。
【0104】
第4の態様の車両誘導システム(100)は、第1~第3の態様のいずれか1つとの組合せにより実現され得る。第4の態様では、精度判定部(131)は、第1の監視部とは異なる監視部の検出精度を更に判定する。設定部(132)は、判定した当該監視部の検出精度に基づいて、第2の監視部を設定する。第4の態様によれば、第1の監視部とは別に設けられた監視部の検出精度に基づいて第2の監視部の設定をなし得、より適切に第2の監視部を選択し得る。このため、車両(200)の逸脱についてより適切に監視し得る。
【0105】
第5の態様の車両誘導システム(100)は、第1~第4の態様のいずれか1つとの組合せにより実現され得る。第5の態様では、精度判定部(131)は、第1の監視部の周囲の照度が第1設定値より低い場合に、第1の監視部の検出精度が基準精度より低いと判定する。第5の態様によれば、第1の監視部の検出精度をより適切に判定し得る。このため、車両(200)の逸脱についてより適切に監視し得る。
【0106】
第6の態様の車両誘導システム(100)は、第1~第5の態様のいずれか1つとの組合せにより実現され得る。第6の態様では、精度判定部(131)は、駐車場における天気情報に基づいて、所定の条件を満たす場合に、第1の監視部の検出精度が基準精度より低いと判定する。第6の態様によれば、第1の監視部の検出精度をより適切に判定し得る。このため、車両(200)の逸脱についてより適切に監視し得る。
【0107】
第7の態様の車両誘導システム(100)は、第6の態様との組合せにより実現され得る。第7の態様では、精度判定部(131)は、雨若しくは雪が降っている場合、又は霧が発生している場合に、所定の条件を満たすと判定する。第7の態様によれば、第1の監視部の検出精度をより適切に判定し得る。このため、車両(200)の逸脱についてより適切に監視し得る。
【0108】
第8の態様の車両誘導システム(100)は、第1~第7の態様のいずれか1つとの組合せにより実現され得る。第8の態様では、精度判定部(131)は、第1の監視部の検出方向のずれ量が第2設定値より大きい場合に、第1の監視部の検出精度が基準精度より低いと判定する。第8の態様によれば、第1の監視部の検出精度をより適切に判定し得る。このため、車両(200)の逸脱についてより適切に監視し得る。
【0109】
第9の態様の車両誘導システム(100)は、第1~第8の態様のいずれか1つとの組合せにより実現され得る。第9の態様では、精度判定部(131)は、第1の監視部の検出面に付着した汚れが検出面の一定割合より大きい部分を覆っている場合に、第1の監視部の検出精度が基準精度より低いと判定する。第9の態様によれば、第1の監視部の検出精度をより適切に判定し得る。このため、車両(200)の逸脱についてより適切に監視し得る。
【0110】
第10の態様の車両誘導システム(100)は、第1~第9の態様のいずれか1つとの組合せにより実現され得る。第10の態様では、精度判定部(131)は、第1の監視部の揺れ量が第3設定値より大きい場合に、第1の監視部の検出精度が基準精度より低いと判定する。第10の態様によれば、第1の監視部の検出精度をより適切に判定し得る。このため、車両(200)の逸脱についてより適切に監視し得る。
【0111】
第11の態様の車両誘導システム(100)は、第1~第10の態様のいずれか1つとの組合せにより実現され得る。第11の態様では、精度判定部(131)は、第1の監視部が故障している場合に、第1の監視部の検出精度が基準精度より低いと判定する。第11の態様によれば、第1の監視部の検出精度をより適切に判定し得る。このため、車両(200)の逸脱についてより適切に監視し得る。
【0112】
第12の態様の車両誘導システム(100)は、第1~第11の態様のいずれか1つとの組合せにより実現され得る。第12の態様では、第1の監視部によって逸脱発生が識別された場合、経路特定部(133)は、当該逸脱を解消するための解消経路を特定する。通信部(140)は、当該解消経路を、通信ネットワークを介して車両(200)に送信する。第12の態様によれば、逸脱の解消経路を車両(200)に送信し得、車両(200)が当該解消経路を辿る走行をすることにより逸脱を解消し得る。
【0113】
第13の態様の車両誘導方法は、経路特定ステップと、通信ステップと、精度判定ステップと、設定ステップと、を含む。経路特定ステップは、開始位置から目標位置に至る駐車場における経路を車両(200)外部で特定する。通信ステップは、経路のうち少なくとも1つの区間を、通信ネットワークを介して車両(200)に送信する。精度判定ステップは、車両(200)を監視する監視部のうち、区間を辿る車両(200)の自律走行中の逸脱を監視する監視部である第1の監視部の検出精度を判定する。設定ステップは、第1の監視部の検出精度が基準精度より低いと判定された場合、監視部のうち、第1の監視部とは異なる監視部である第2の監視部を、第1の監視部として設定する。第12の態様によれば、第1の監視部の検出精度が低下した場合にも、別の監視部により車両(200)の監視を継続し得る。このため、車両(200)の逸脱についてより適切に監視し得る。
【産業上の利用可能性】
【0114】
本開示は、自律走行中の車両の逸脱を適切に検知し得る車両誘導システムに適用可能である。
【符号の説明】
【0115】
1 自動バレー駐車場
2 入口
3 降車場所
4 走行路
5 駐車エリア
6 乗車場所
7 出口
100 車両誘導システム
110 駐車場センサ
111 カメラ
112 レーダ
113 ソナー
114 LiDAR
120 データベース
130 ECU
131 精度判定部
132 設定部
133 経路特定部
140 通信部
200 車両
210 車載センサ
220 車載通信部
図1
図2
図3
図4