(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-27
(45)【発行日】2024-10-07
(54)【発明の名称】包装箱
(51)【国際特許分類】
B65D 27/00 20060101AFI20240930BHJP
B65D 5/18 20060101ALI20240930BHJP
B65D 5/355 20060101ALI20240930BHJP
【FI】
B65D27/00 U
B65D5/18 Z
B65D27/00 L
B65D5/355
(21)【出願番号】P 2021103391
(22)【出願日】2021-06-22
【審査請求日】2024-04-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000115980
【氏名又は名称】レンゴー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111202
【氏名又は名称】北村 周彦
(74)【代理人】
【識別番号】100177644
【氏名又は名称】児玉 和樹
(72)【発明者】
【氏名】長原 耕太郎
(72)【発明者】
【氏名】浅香 智之
(72)【発明者】
【氏名】櫻井 彩花
(72)【発明者】
【氏名】吉井 悠恭
【審査官】佐藤 正宗
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3063919(JP,U)
【文献】特開2001-206350(JP,A)
【文献】特開2009-161200(JP,A)
【文献】実開昭63-40314(JP,U)
【文献】米国特許第6328160(US,B1)
【文献】特開2017-186036(JP,A)
【文献】特開2018-70187(JP,A)
【文献】特開2020-70020(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 27/00
B65D 5/355
B65D 5/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被包装物(G)を収容する収容空間(S)の厚さを変更可能に形成される包装箱(1~3)であって、
厚さ方向に対向し、奥行方向の少なくとも一方に前記収容空間への開口部(M)を有する一対の平面板(10,11)と、
一対の前記平面板の幅方向の両側に配置され、前記開口部に接近するに従って互いに離れるように傾斜しつつ奥行方向に伸長する一対の第1伸縮折線(L5)を介して一対の前記平面板に連設される一対の側板(12)と、を備え、
各々の前記側板には、
一対の前記第1伸縮折線の間を奥行方向に沿って伸長する第2伸縮折線(L6)と、
一対の前記第1伸縮折線から前記第2伸縮折線に向かって奥行方向の一方へ傾斜しつつ伸長する一対の第1仕切線(L7)と、が形成され、
各々の前記側板は、
一対の前記第1仕切線よりも奥行方向の一方において前記第2伸縮折線で区画される一対の第1側部(21)と、
一対の前記第1仕切線よりも奥行方向の他方において前記第2伸縮折線で区画される一対の第2側部(22)と、を有し、
一対の前記平面板が接触または近接した場合に、各々の前記側板は、幅方向の外側に突き出すように前記第2伸縮折線に沿って正折りされた屈曲形態(F3)になり、
一対の前記平面板が離間した場合に、各々の前記側板は、厚さ方向に伸ばされた伸長形態(F4)になり、
各々の前記側板が前記伸長形態にされた場合に、一対の前記第2側部は厚さ方向に伸ばされた状態に維持され、一対の前記第1側部は幅方向の内側に窪むように一対の前記第1仕切線および前記第2伸縮折線に沿って逆折りされることで前記開口部を狭めることを特徴とする包装箱。
【請求項2】
各々の前記側板には、一対の前記第1伸縮折線と一対の前記第1仕切線との交点(P)の間を架け渡すように伸長する一対の第2仕切線(L8)が形成され、
一対の前記第2側部は、一対の前記第2仕切線よりも奥行方向の他方において前記第2伸縮折線で区画され、
各々の前記側板は、一対の前記第1仕切線と一対の前記第2仕切線との間において前記第2伸縮折線で区画される一対の内折側部(23)を更に有し、
各々の前記側板が前記伸長形態にされ、前記開口部を狭める場合に、一対の前記内折側部は前記第2伸縮折線に沿って逆折りされつつ一対の前記第2仕切線に沿って正折りされて幅方向の内側に傾斜することを特徴とする請求項1に記載の包装箱。
【請求項3】
前記側板の奥行方向の一端から前記第1伸縮折線と前記第1仕切線との交点(P)までの距離(D1)は、前記側板の奥行方向の全長(D)の1/4を超え、且つ1/2未満であることを特徴とする請求項1または2に記載の包装箱。
【請求項4】
一対の前記平面板の少なくとも一方には、前記開口部を狭める場合に前記平面板を湾曲または折曲させる弱め部(L10)が形成されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の包装箱。
【請求項5】
前記弱め部は、幅方向の両側に位置する前記第1伸縮折線と前記第1仕切線との交点間を結ぶように伸長した補助折線(L10)であり、
前記補助折線は、奥行方向の一方または他方に向けて膨出するように湾曲または屈曲していることを特徴とする請求項4に記載の包装箱。
【請求項6】
一対の前記平面板は、互いに厚さ方向に対向して奥行方向の他端で連設され、
一対の前記側板は、前記第1伸縮折線を介して一対の前記平面板のいずれか一方の幅方向の両端に連設され、
一対の前記平面板のいずれか一方の奥行方向の一端には、前記開口部を閉塞する封緘片(14)が連設され、
一対の前記側板の幅方向の両端には、前記第1伸縮折線を介して一対の連結片(13)が連設され、
各々の前記側板が一対の前記平面板に架け渡された状態で、一対の前記連結片は、他方の前記平面板に連結されて他方の前記平面板の一部となることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の包装箱。
【請求項7】
一対の前記側板は、前記第1伸縮折線を介して一対の前記平面板のいずれか一方の幅方向の両端に連設され、
一対の前記側板の幅方向の両端には、一対の分割片(11D)が前記第1伸縮折線を介して連設され、
一方の前記平面板の奥行方向の一端には、前記開口部を閉塞する封緘片(14)が連設され、
一方の前記平面板の奥行方向の他端には、連結片(17)が連設され、
一対の前記分割片は、一方の前記平面板に対向するように折り返されることで他方の前記平面板となり、
前記連結片は、折り返されて他方の前記平面板に連結されることで他方の前記平面板の一部となることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の包装箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、厚さを変更可能に形成される包装箱に関する。
【背景技術】
【0002】
表面に連設された接着しろを折り返して裏面に接着することで形成される段ボール紙製封筒が知られている(特許文献1)。この封筒の底部および両側には複数の折り込み線が形成され、折り込み線を適宜折り込むことで封筒の下部および両側部に内容物の厚みに応じたマチが構成される。また、この封筒の上端には閉じしろ部が連設され、この閉じしろ部には封筒が膨らんだときに閉じしろ部を撓ませて折りやすくするための折り込み線が形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記した段ボール紙製封筒では、上下左右にマチができるため、厚みのある内容物を封緘することができていた。しかしながら、閉じしろ部は封筒の開口部を絞り込んで閉じられるものではないため、封緘した後に撓んだ閉じしろ部や封筒の両側等が厚さ方向に伸縮しやすく、封緘後の封筒の形状が定まらない虞があった。
【0005】
本発明は、上記事情を考慮し、側板を絞り込んで開口部を閉じることができる包装箱を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、被包装物を収容する収容空間の厚さを変更可能に形成される包装箱であって、厚さ方向に対向し、奥行方向の少なくとも一方に前記収容空間への開口部を有する一対の平面板と、一対の前記平面板の幅方向の両側に配置され、前記開口部に接近するに従って互いに離れるように傾斜しつつ奥行方向に伸長する一対の第1伸縮折線を介して一対の前記平面板に連設される一対の側板と、を備え、各々の前記側板には、一対の前記第1伸縮折線の間を奥行方向に沿って伸長する第2伸縮折線と、一対の前記第1伸縮折線から前記第2伸縮折線に向かって奥行方向の一方へ傾斜しつつ伸長する一対の第1仕切線と、が形成され、各々の前記側板は、一対の前記第1仕切線よりも奥行方向の一方において前記第2伸縮折線で区画される一対の第1側部と、一対の前記第1仕切線よりも奥行方向の他方において前記第2伸縮折線で区画される一対の第2側部と、を有し、一対の前記平面板が接触または近接した場合に、各々の前記側板は、幅方向の外側に突き出すように前記第2伸縮折線に沿って正折りされた屈曲形態になり、一対の前記平面板が離間した場合に、各々の前記側板は、厚さ方向に伸ばされた伸長形態になり、各々の前記側板が前記伸長形態にされた場合に、一対の前記第2側部は厚さ方向に伸ばされた状態に維持され、一対の前記第1側部は幅方向の内側に窪むように一対の前記第1仕切線および前記第2伸縮折線に沿って逆折りされることで前記開口部を狭める。
【0007】
この場合、各々の前記側板には、一対の前記第1伸縮折線と一対の前記第1仕切線との交点の間を架け渡すように伸長する一対の第2仕切線が形成され、一対の前記第2側部は、一対の前記第2仕切線よりも奥行方向の他方において前記第2伸縮折線で区画され、各々の前記側板は、一対の前記第1仕切線と一対の前記第2仕切線との間において前記第2伸縮折線で区画される一対の内折側部を更に有し、各々の前記側板が前記伸長形態にされ、前記開口部を狭める場合に、一対の前記内折側部は前記第2伸縮折線に沿って逆折りされつつ一対の前記第2仕切線に沿って正折りされて幅方向の内側に傾斜してもよい。
【0008】
この場合、前記側板の奥行方向の一端から前記第1伸縮折線と前記第1仕切線との交点までの距離は、前記側板の奥行方向の全長の1/4を超え、且つ1/2未満であってもよい。
【0009】
この場合、一対の前記平面板の少なくとも一方には、前記開口部を狭める場合に前記平面板を湾曲または折曲させる弱め部が形成されてもよい。
【0010】
この場合、前記弱め部は、幅方向の両側に位置する前記第1伸縮折線と前記第1仕切線との交点間を結ぶように伸長した補助折線であり、前記補助折線は、奥行方向の一方または他方に向けて膨出するように湾曲または屈曲してもよい。
【0011】
この場合、一対の前記平面板は、互いに厚さ方向に対向して奥行方向の他端で連設され、一対の前記側板は、前記第1伸縮折線を介して一対の前記平面板のいずれか一方の幅方向の両端に連設され、一対の前記平面板のいずれか一方の奥行方向の一端には、前記開口部を閉塞する封緘片が連設され、一対の前記側板の幅方向の両端には、前記第1伸縮折線を介して一対の連結片が連設され、各々の前記側板が一対の前記平面板に架け渡された状態で、一対の前記連結片は、他方の前記平面板に連結されて他方の前記平面板の一部となってもよい。
【0012】
また、この場合、一対の前記側板は、前記第1伸縮折線を介して一対の前記平面板のいずれか一方の幅方向の両端に連設され、一対の前記側板の幅方向の両端には、一対の分割片が前記第1伸縮折線を介して連設され、一方の前記平面板の奥行方向の一端には、前記開口部を閉塞する封緘片が連設され、一方の前記平面板の奥行方向の他端には、連結片が連設され、一対の前記分割片は、一方の前記平面板に対向するように折り返されることで他方の前記平面板となり、前記連結片は、折り返されて他方の前記平面板に連結されることで他方の前記平面板の一部となってもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、側板を絞り込んで開口部を閉じることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の一実施形態に係る包装箱(薄手形態)を示す斜視図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る包装箱(厚手形態)を示す斜視図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る包装箱のブランクを示す平面図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係る包装箱に薄い被包装物を収容する過程を示す斜視図である。
【
図5】本発明の一実施形態に係る包装箱に厚い被包装物を収容する過程を示す斜視図である。
【
図6】本発明の一実施形態に係る包装箱を厚手形態にする過程を示す斜視図である。
【
図7】本発明の一実施形態に係る包装箱を厚手形態にする際の側板の一部を拡大して示す斜視図である。
【
図8】本発明の一実施形態の第1変形例に係る包装箱のブランクを示す平面図である。
【
図9】本発明の一実施形態の第2変形例に係る包装箱のブランクを示す平面図である。
【
図10】本発明の一実施形態の第3変形例に係る包装箱のブランクを示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付の図面を参照しつつ、本発明の実施形態について説明する。なお、図面に示すFr、Rr、L、R、U、Dは、前、後、左、右、上、下を示している。前後方向、左右方向および上下方向は互いに直交している。前後方向が奥行方向の一例であり、左右方向が幅方向の一例であり、上下方向が厚さ方向の一例である。本明細書では方向や位置を示す用語を用いるが、それらの用語は説明の便宜のために用いるものであって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。また、方向や位置を示す用語は、主に、包装箱を使用する際の方向や位置を基準にしている。
【0016】
図1ないし
図3を参照して、本実施形態に係る包装箱1について説明する。
図1は包装箱1(薄手形態F1)を示す斜視図である。
図2は包装箱1(厚手形態F2)を示す斜視図である。
図3は包装箱1のブランク1Aを示す平面図である。
【0017】
図1および
図2に示すように、包装箱1は、厚さ(高さ)を前後方向と左右方向との寸法よりも短くした薄い直方体状に形成されている。包装箱1は、例えば、郵便箱に投函可能に形成された所謂ポストイン・ボックスである。包装箱1は、被包装物Gを収容する収容空間Sの厚さ(高さ)を変更可能に形成されている。具体的には、包装箱1は、例えば数枚の書類やノート等の薄い被包装物Gを収容可能な薄手形態F1(
図1参照)と、例えばハードカバーの書籍や箱状のパッケージ商品等の分厚い被包装物Gを収容可能な厚手形態F2(
図2参照)との間で変形する。包装箱1の厚さは、被包装物Gの厚さに応じて適宜調整される。なお、厚手形態F2にされた包装箱1の最大高さは、一般的な郵便箱に投函可能な30mm以下であることが好ましいが、本発明の技術範囲は、30mmを越える高さの包装箱1を除外するものではない。
【0018】
包装箱1は、
図3に示すブランク1Aを組み立てることで形成される。ブランク1Aは、1枚の紙製の段ボールシートを抜型等で打ち抜いて形成されている。段ボールシートは、例えば、波状の中しん9Aに表ライナ9Bと裏ライナ9C(
図4等も参照)とを貼り合せた両面段ボールシートである。なお、
図2は、表ライナ9B側(包装箱1の外面)を示している。本明細書では、段ボールシートの中しん9Aと平行な方向を「段方向」と呼び、段方向に直交する方向を「流れ方向」と呼ぶこととする。図面に示す「X」は「段方向」を示し、「Y」は「流れ方向」を示している。
【0019】
[ブランク]
図3に示すように、ブランク1Aは、一対の平面板10,11と、一対の側板12と、一対の連結片13と、封緘片14と、を備えている。なお、本明細書では、説明の便宜上、一方の平面板10を「第1の平面板10」と呼び、他方の平面板11を「第2の平面板11」と呼び、両者に共通する説明では、単に「平面板10,11」と呼ぶこととする。また、一対の側板12および一対の連結片13は、それぞれ、第1の平面板10を中心に流れ方向(左右方向)に線対称に形成されているため、以下、特に明記した場合を除き、1つの側板12および1つの連結片13について説明する。
【0020】
<平面板>
一対の平面板10,11は、段方向に並べられ、第1折曲線L1を介して連設されている。第1の平面板10は、第1折曲線L1から段方向に離れるに従って徐々に流れ方向に幅狭くなる略台形状に形成されている。第2の平面板11は、概ね、第1折曲線L1を対称軸として第1の平面板10と線対称となるような略台形状に形成されている。第2の平面板11の流れ方向の両端の自由端側には、第1伸縮補助折線L9を介して一対の補助側板15が連設されている。各々の補助側板15は、第1伸縮補助折線L9から流れ方向に離れるに従って徐々に段方向に幅狭くなる略台形状に形成されている。詳細は後述するが、包装箱1を組み立てた状態で、各補助側板15は側板12の裏面に重なる部位となる。なお、一対の補助側板15は省略されてもよい。
【0021】
(段潰し部)
一対の平面板10,11の第1折曲線L1の近傍には、それぞれ、中しん9Aを裏ライナ9Cの側から押し潰した段潰し部16が形成されている。一対の段潰し部16は、第1折曲線L1を対称軸として線対称となる位置に形成されている。各々の段潰し部16は、平面板10,11を流れ方向に横断するように延在し、第1折曲線L1から離れる方向へ膨らむように湾曲した略三日月状に形成されている。
【0022】
(補助折線)
また、一対の平面板10,11の第1折曲線L1から段方向に離れた位置には、それぞれ弱め部の一例としての補助折線L10が形成されている。一対の補助折線L10は、第1折曲線L1を対称軸として線対称となる位置に形成されている。各々の補助折線L10は、平面板10,11の流れ方向の両端を結ぶように延在し、第1折曲線L1に接近する方向へ膨らむように湾曲した線である。
【0023】
<側板、連結片>
一対の側板12は、第1伸縮折線L5を介して第1の平面板10の流れ方向の両端に連設されている。一対の連結片13は、第1伸縮折線L5を介して一対の側板12の流れ方向(幅方向)の両端に連設されている。つまり、側板12は一対の第1伸縮折線L5の間に形成され、連結片13は側板12の流れ方向の先端に連設されている。一対の第1伸縮折線L5は、第1折曲線L1の端部付近から段方向の一方に向かって互いに流れ方向に離れるように傾斜しており、略V字状に形成されている。したがって、一対の第1伸縮折線L5の間に形成された側板12は、略三角形状に形成されている。正確には、側板12の段方向の一端(第2の平面板11とは反対側)の流れ方向の外側は斜めに切り欠かれているため、側板12は歪な四角形状に形成されている。連結片13は、流れ方向の基端から先端に向かって徐々に段方向に幅狭くなる略台形状に形成されている。連結片13の流れ方向の先端は段方向と略平行に延びており、第1の平面板10と一対の側板12と一対の連結片13とを合わせた全体形状は略八角形状に形成されている。
【0024】
<第2伸縮折線、第1仕切線、第2仕切線>
側板12の詳細について説明する。側板12には、第2伸縮折線L6、一対の第1仕切線L7および一対の第2仕切線L8が形成されている。
【0025】
第2伸縮折線L6は、一対の第1伸縮折線L5の間を段方向(奥行方向)に沿って伸長している。第2伸縮折線L6は、一対の第1伸縮折線L5が成す角を二等分するように段方向と略平行に伸長している。したがって、上記した一対の第1伸縮折線L5は、第2伸縮折線L6に対して略同一の角度で傾斜している。
【0026】
一対の第1仕切線L7および一対の第2仕切線L8は、側板12の段方向の一端寄り(第2の平面板11とは反対側)に形成されている。一対の第1仕切線L7および一対の第2仕切線L8は、それぞれ、一対の第1伸縮折線L5と第2伸縮折線L6との間を架け渡すように形成されている。具体的には、一対の第1仕切線L7は、一対の第1伸縮折線L5から第2伸縮折線L6に向かって段方向(奥行方向)の一方へ傾斜しつつ伸長している。一対の第2仕切線L8は、一対の第1伸縮折線L5と一対の第1仕切線L7との交点Pから第2伸縮折線L6に向かって段方向の他方へ傾斜しつつ伸長している。つまり、一対の第1仕切線L7と一対の第2仕切線L8とは、互いに逆向きとなる略V字状に形成されている。各第1仕切線L7および各第2仕切線L8は、略同一の長さとされ、第2伸縮折線L6に対して略45度の角度で傾斜している。
【0027】
なお、上記した第1の平面板10の補助折線L10は、流れ方向(幅方向)の両側に位置する第1伸縮折線L5と第1仕切線L7との交点P間を結ぶように伸長している。また、各連結片13には、第1伸縮折線L5と第1仕切線L7との交点Pから流れ方向の先端に向かって連結補助折線L11が伸長している。詳細は後述するが、各連結補助折線L11は、各連結片13を第2の平面板11に固定した状態で第2の平面板11の補助折線L10に略一致する。
【0028】
<第1側部、第2側部、内折側部>
側板12は、一対の第1伸縮折線L5、第2伸縮折線L6、一対の第1仕切線L7および一対の第2仕切線L8によって6つの領域に区画されている。具体的には、側板12は、一対の第1側部21と、一対の第2側部22と、一対の内折側部23とに区画されている。
【0029】
一対の第1側部21は、第1仕切線L7よりも段方向(奥行方向)の一方において第2伸縮折線L6で区画されている。第1の平面板10に隣接する第1側部21は略台形状に形成され、連結片13に隣接する第1側部21は略平行四辺形状に形成されている。一対の第2側部22は、第2仕切線L8よりも段方向の他方において第2伸縮折線L6で区画されている。一対の第2側部22は、第2伸縮折線L6を対称軸として互いに線対称となる略三角形状に形成されている。一対の内折側部23は、一対の第1仕切線L7と一対の第2仕切線L8との間において第2伸縮折線L6で区画されている。一対の内折側部23は、第2伸縮折線L6を対称軸として互いに線対称となる略二等辺三角形状に形成されている。一対の内折側部23は全体として略菱形状に形成されている。
【0030】
内折側部23(第1仕切線L7、第2仕切線L8)は、側板12の段方向の一端寄り(前寄り)に形成されている。具体的な一例としては、側板12の段方向の一端(前端)から第1伸縮折線L5と第1仕切線L7との交点Pまでの距離D1は、側板12の段方向の全長Dの1/4よりも僅かに長く設定されている。なお、当該距離D1は、上記の一例に限らず、側板12の段方向の全長Dの1/4を超え、且つ1/2未満の範囲(D/4<D1<D/2)で設定されるとよい。
【0031】
<封緘片>
封緘片14は、第1の平面板10の段方向の一端(前端)に連設されている。封緘片14は、前板部31と、積層板部32と、を有している。
【0032】
(前板部)
前板部31は、段方向の基端から先端に向かって流れ方向に幅狭くなる略台形状に形成され、第2折曲線L2を介して第1の平面板10の段方向の一端に連設されている。詳細には、前板部31の流れ方向の両側は第1の平面板10に隣接する一対の第1側部21に連設され、前板部31の流れ方向の両側を除く部分が第1の平面板10に連設されている。前板部31の流れ方向の両側には、段方向に伸長する折込線L12によって一対の折込片31Aが略直角三角形状に区画されている。各折込片31Aは第1の平面板10に隣接する第1側部21に連設され、各折込片31Aの斜辺は連結片13とこれに隣接する第1側部21との傾斜した辺と同一直線を成している。
【0033】
(積層板部)
積層板部32は、第3折曲線L3を介して一対の折込片31Aを除く前板部31の段方向の一端に連設されている。積層板部32は、基端から先端に向かって段階的に流れ方向に幅狭くなる多角形状に形成されている。積層板部32の段方向の先端側には、接合片部32Aが略台形状に形成されている。接合片部32Aには、流れ方向に伸長する2本の接合折線L13が略平行に形成されている。また、積層板部32の段方向の中央付近(接合片部32Aよりも段方向の基端側)には、流れ方向に伸長する開封帯33を挟んで一対の開封線34が形成されている。各開封線34は、略L字状の切目を流れ方向に間隔をあけて複数並設した所謂ジッパーである。開封帯33の流れ方向の一端部(
図3で右側)には、ユーザが指を掛けるための指掛け穴35が開口している。なお、接合折線L13は、1本であってもよいし、省略されてもよい。
【0034】
なお、補助折線L10、第2仕切線L8、連結補助折線L11、折込線L12、第3折曲線L3および接合折線L13は、段ボールシートを裏ライナ9C側から厚み方向に潰した汎用罫線である。第1折曲線L1、第1伸縮補助折線L9、第1伸縮折線L5、第2伸縮折線L6および第2折曲線L2は、汎用罫線上に複数の切目を所定間隔に形成したリード罫である。第1仕切線L7は、段ボールシートを表ライナ9B側から厚み方向に潰した逆罫線である。汎用罫線やリード罫は、主に、裏ライナ9Cを内側に向けるように段ボールシートを折り曲げる(正折りする)機能を有している。逆罫線は、主に、表ライナ9Bを内側に向けるように段ボールシートを折り曲げる(逆折りする)機能を有している。なお、上記した各線は、汎用罫線、リード罫または逆罫線に限らず、ミシン目等、段ボールシートを所望の向きに折り曲げる構造であれば如何なるものでもよい。
【0035】
[包装箱の製造]
次に、
図4を参照して、包装箱1の製造について説明する。
図4は包装箱1に薄い被包装物Gを収容する過程を示す斜視図である。包装箱1は、上記したブランク1Aを適宜折り曲げたり接着したりすることで製造される。なお、接着剤としては、例えば、ホットメルト接着剤、合成樹脂系エマルジョン接着剤、両面テープ等を用いることができる。
【0036】
具体的には、第2の平面板11は、第1折曲線L1に沿って折り返され(正折りされ)、第1の平面板10の裏面(裏ライナ9C)上に重ねられる。この状態で、第2の平面板11の補助折線L10は第1の平面板10の補助折線L10に略一致するように重なり、一対の補助折線L10は前方に向けて膨出するように湾曲した曲線となる。第1伸縮補助折線L9は第1の平面板10と各側板12との間の第1伸縮折線L5に略一致するように重なる。
【0037】
次に、一対の連結片13の裏面に接着剤が塗布され、一対の側板12が第2伸縮折線L6に沿って内側に折り返され(正折りされ)、一対の連結片13が第2の平面板11の左右両側の表面(表ライナ9B)に接着される。これにより、各側板12が、連結片13を介して第2の平面板11に連結され、一対の平面板10,11に架け渡された状態になる。この状態で、側板12と連結片13との間の第1伸縮折線L5は第1伸縮補助折線L9に略一致するように重なり、第1伸縮補助折線L9は第1伸縮折線L5の一部として機能する。各補助側板15は、連結片13に隣接した第1側部21と内折側部23との裏面に重なって側板12の一部となる。各連結片13は、第2の平面板11に連結されて第2の平面板11の一部となる。各連結片13の連結補助折線L11は、第2の平面板11の補助折線L10に略一致するように重なって補助折線L10の一部として機能する。
【0038】
以上によって、折り畳まれた包装箱1が完成する。なお、折り畳まれた包装箱1(未封緘時)は、薄手形態F1(封緘時)に近似した形態を成している。この状態で、一対の平面板10,11は、被包装物Gの収容空間Sを挟んで(または接触して)上下方向(厚さ方向)に対向し、後端(奥行方向の他端)で連設されている。また、一対の平面板10,11の前端には、収容空間Sに被包装物Gを出し入れするための開口部Mが形成されている。一対の側板12は、一対の平面板10,11の左右両側に配置されている。各側板12は、開口部Mに接近するに従って互いに離れるように傾斜しつつ前後方向に伸長する一対の第1伸縮折線L5を介して一対の平面板10,11(第2の平面板11の一部となった連結片13を含む)に連設されている。換言すれば、一対の第1伸縮折線L5は、第2伸縮折線L6に直交すると共に第2伸縮折線L6から各第1伸縮折線L5まで延ばした法線(図示せず)の長さが開口部Mに接近するに従って徐々に長くなるように傾斜し、各側板12は、一対の第1伸縮折線L5を介して一対の平面板10,11の間に架設されている。一対の平面板10,11が接触または近接した場合に、各側板12は、左右方向の外側に突き出すように第2伸縮折線L6に沿って正折りされた屈曲形態F3になっている。
【0039】
なお、本明細書において、「一対の平面板10,11が近接した場合」とは、例えば、一対の平面板10,11の間に、ノート等の薄い被包装物Gを収容できる状態を意味する。また、本明細書において、各側板12が「左右方向の外側に突き出すように第2伸縮折線L6に沿って正折り」されるとは、一対の第1側部21、一対の第2側部22および一対の内折側部23がそれぞれ二重に折り返されることに加え、概ね90度以下の角度で正折りされることも含んでいる。つまり、屈曲形態F3とされた側板12では、一対の第1側部21同士等の成す角度が概ね0度以上90度以下とされる。
【0040】
[包装箱の封緘]
次に、
図1、
図2、
図4ないし
図7を参照して、包装箱1を封緘する作業について説明する。
図5は包装箱1に厚い被包装物Gを収容する過程を示す斜視図である。
図6は包装箱1を厚手形態F2にする過程を示す斜視図である。
図7は包装箱1を厚手形態F2にする際の側板12の一部を拡大して示す斜視図である。
【0041】
既に説明したが、包装箱1は、包装箱1は、被包装物Gの厚さ(高さ)に応じて、封緘時の厚みを変更することができる。
【0042】
<薄手形態>
薄い被包装物Gを包装箱1に収容し、包装箱1を薄手形態F1にする場合について説明する。
図4に示すように、作業者は、薄い被包装物Gを開口部Mから収容空間S(一対の平面板10,11の間)に進入させる。被包装物Gは、一対の平面板10,11の裏面に接触しながら収容空間Sに挿入される。一対の側板12は屈曲形態F3に維持され、一対の平面板10,11は被包装物Gの厚さ分だけ上下方向に離間し(押し広げられ)、段潰し部16で僅かに湾曲または折曲する。一対の平面板10,11とは、互いに後端で連設されているため、少なくとも段潰し部16よりも後方では互いに近接するように傾斜する。なお、被包装物Gがある程度の厚さである場合には一対の平面板10,11は段潰し部16で僅かに湾曲または折曲するが、被包装物Gが非常に薄い場合には、一対の平面板10,11は段潰し部16で曲がらないこともある。
【0043】
次に、作業者は、接合片部32Aの裏面に接着剤を付し、前板部31を第2折曲線L2に沿って正折りし、積層板部32を第3折曲線L3に沿って正折りして第2の平面板11の表面に重ねる(
図1参照)。封緘片14の前板部31は開口部Mを閉塞し、接合片部32Aは第2の平面板11の表面に接着される。
【0044】
以上によって、包装箱1が薄手形態F1にされた状態で封緘される(
図1参照)。薄手形態F1とされた包装箱1は、後方から前方(開口部M)に向かって徐々に厚さを増加させる板形状となる。なお、例えば、被包装物Gが枚葉の書類等の非常に薄いものである場合、側板12が二重に折り返された状態(一対の第1側部21同士等の成す角度が概ね0度)になり、包装箱1は最も薄くなり、略平板形状となる。この場合、前板部31が第2折曲線L2で折り返されて開口部Mを塞ぐと共に第2の平面板11上に積層され、積層板部32は第3折曲線L3で折り曲げられないこともある。
【0045】
<厚手形態>
厚い被包装物Gを包装箱1に収容し、包装箱1を厚手形態F2にする場合について説明する。なお、引き続き、主に1つの側板12に着目して説明する。
【0046】
図5に示すように、作業者が厚い被包装物Gを開口部Mから収容空間Sに進入させると、一対の平面板10,11は進入してくる被包装物Gによって上下方向に押し広げられ、段潰し部16で湾曲または折曲する。一対の平面板10,11が離間した場合に、各側板12は屈曲形態F3から上下方向に伸ばされた伸長形態F4になる。
【0047】
なお、本明細書において「一対の平面板10,11が離間した場合」とは、例えば、一対の平面板10,11の間に、箱状のパッケージ商品等の厚い被包装物Gを収容できる状態を意味する。また、本明細書において、各側板12が「上下方向に伸ばされた伸長形態F4になる」とは、一対の第1側部21、一対の第2側部22および一対の内折側部23が略同一平面上に配置されるまで伸ばされた状態に加え、一対の第1側部21等同士の成す角度が概ね90度を超える角度(鈍角)とされる状態も含んでいる。つまり、伸長形態F4とされた側板12では、一対の第1側部21同士等の成す角度が概ね90度を超え180度以下とされる。一対の第1側部21同士等の成す角度が180度(側板12が起立姿勢)になった状態で、包装箱1は最も厚くなる。なお、以上で述べた屈曲形態F3または伸長形態F4における一対の第1側部21同士等の成す角度の範囲は一例であって、これに限定されるものではなく、当該角度の範囲は自由に変更してもよい。
【0048】
次に、
図6および
図7に示すように、作業者は、各側板12の一対の第1側部21を収容空間Sの内部に押し込む。この際、封緘片14の一対の折込片31Aも折込線L12で正折りされながら内側に折り込まれる。側板12の一対の第2側部22は上下方向に伸ばされた状態に維持され、一対の第1側部21は左右方向の内側に窪むように一対の第1仕切線L7および第2伸縮折線L6に沿って逆折りされる。一対の第1側部21の押し込みに伴って、一対の内折側部23も収容空間Sの内部に引き込まれる。一対の内折側部23は、第2伸縮折線L6に沿って逆折りされつつ一対の第2仕切線L8に沿って正折りされて左右方向の内側に傾斜する。また、作業者は、一対の第1側部21を押し込みながら一対の平面板10,11を互いに接近させるように補助折線L10で湾曲または折曲させ、一対の平面板10,11の前端同士を接触または近接させる。これにより、開口部Mが狭められる(被包装物Gの厚さによっては閉じられる)。
【0049】
次に、上記した包装箱1を薄手形態F1にする場合と同様に、作業者は、接合片部32Aの裏面に接着剤を付し、前板部31および積層板部32を正折りする(
図2参照)。封緘片14(接合片部32A)は、開口部Mを閉塞し、第2の平面板11の表面に接着固定される。なお、接合片部32Aは、第2の平面板11に沿うように2本の接合折線L13で適宜折り曲げながら接着されるとよい。
【0050】
以上によって、包装箱1が厚手形態F2にされた状態で封緘される。厚手形態F2とされた包装箱1は、前後方向の中央領域(段潰し部16と補助折線L10との間の領域)から前後両側に向かって徐々に厚さが減少する箱形状(ピロー形状)となる。厚手形態F2とされた包装箱1は前後両側の厚さ(高さ)を窄めた形状であるため、第1の平面板10と第2の平面板11とが被包装物Gの上下両面に圧力をもって接触する。これにより、被包装物Gは移動規制された状態で収容空間Sに収容される。
【0051】
なお、上記の説明では、封緘片14(接合片部32A)が第2の平面板11の表面に接着剤を介して接着されていたが、例えば、接着剤に代えて、接合片部32Aの表面に貼付した粘着テープによって封緘片14を第2の平面板11に固定してもよい(図示せず)。
【0052】
また、封緘された包装箱1を開封する場合、ユーザは、指掛け穴35に指を入れて開封帯33の端部を摘み、開封帯33を一対の開封線34に沿って切断する。これにより、接合片部32Aが積層板部32から概ね分離され、封緘片14を展開して開口部Mを開放することができる。ユーザは開口部Mから収容空間Sに収容された被包装物Gを取り出す。
【0053】
以上説明した本実施形態に係る包装箱1では、各々の側板12が伸長形態F4にされた場合に、一対の第2側部22は厚さ方向に伸ばされた状態に維持され、一対の第1側部21は左右方向の内側に窪むように一対の第1仕切線L7および第2伸縮折線L6に沿って逆折りされることで開口部Mを狭める構成とした。この構成によれば、分厚い被包装物Gを収容して開口部Mが大きく開かれた状態であっても、開口部M付近の側板12の一部を絞り込んで開口部Mを閉じることができる。これにより、封緘後の包装箱1の形状を概ね安定させることができる。また、厚手形態F2とされた包装箱1は前後両側を窄めた形状とされるため、一対の平面板10,11の間に被包装物Gを確りと挟み込むことができる。これにより、例えば、運搬中の振動等で包装箱1に収容された被包装物Gが移動することが抑制され、包装箱1や被包装物Gの破損を予防することができる。
【0054】
仮に、内折側部23(第2仕切線L8)が省略され、第1側部21と第2側部22とが直接連結されている場合、一対の第1側部21の折り込みに伴って、各第2側部22の一部が正折りされながら内側に引き込まれる。この際、一対の第2側部22の一部を引き込みながら一対の第1側部21を折り込むには大きな力が必要になる。また、各第2側部22が正折りされる位置は不安定であるため、一対の第1側部21を折り込んだ後の見た目も悪くなる。これに対し、本実施形態に係る包装箱1では、内折側部23が第1側部21と第2側部22とを連結し、各々の側板12が伸長形態F4にされ、開口部Mを狭める場合に、内折側部23が第2側部22に対して正折りされ、第1側部21が内折側部23に対して逆折りされる構成とした。この構成によれば、一対の第1側部21を折り込む際に、内折側部23を容易且つ安定した位置で正折りすることができる。また、一対の第1側部21を折り込んだ後の見た目を良くすることもできる。
【0055】
また、本実施形態に係る包装箱1によれば、第1伸縮折線L5と第1仕切線L7との交点Pを側板12の前寄りに設定することで、一対の第1側部21を容易に折り込むことができる。これにより、側板12の前部を適正に絞り込むことができる。
【0056】
また、本実施形態に係る包装箱1によれば、一対の平面板10,11には、それぞれ、開口部Mを狭める場合に平面板10,11を湾曲または折曲させる補助折線L10が形成されているため、一対の第1側部21を折り込みながら一対の平面板10,11を補助折線L10に沿って容易に曲げることができる。これにより、容易に開口部Mを閉じることができる。
【0057】
なお、本実施形態に係る包装箱1では、各側板12が第1の平面板10に連設されていたが、これに限らず、第2の平面板11の左右両端に連設されてもよい(図示せず)。
【0058】
また、本実施形態に係る包装箱1では、封緘片14が第1の平面板10に連設されていたが、これに限らず、第2の平面板11の先端に連設されてもよい(図示せず)。また、封緘片14が前板部31と積層板部32とを有していたが、前板部31が省略されてもよく、積層板部32が一対の平面板10,11のいずれか一方に直接連設されてもよい(図示せず)。
【0059】
また、本実施形態に係る包装箱1では、各連結片13が第2の平面板11の表面に接合されていたが、これに限らず、第2の平面板11の裏面に接合されてもよい(図示せず)。
【0060】
また、本実施形態に係る包装箱1では、封緘片14によって開口部Mが閉塞されていたが、これに限らず、例えば、封緘片14が省略され、一対の平面板10,11の前端同士が粘着テープ等で固定されてもよい(図示せず)。
【0061】
[変形例]
以下、本実施形態の各種の変形例について説明する。なお、以下の説明では、既に説明した本実施形態に係る包装箱1と同一または対応する構成については同一の符号を付し、包装箱1と同一または対応する説明は省略する。
【0062】
<第1変形例>
図8に示すように、第1変形例に係る包装箱2のブランク2Aでは、一対の側板12は、第1伸縮折線L5を介して第1の平面板10の流れ方向(左右方向)の両端に連設されている。一対の側板12の流れ方向の両端(先端)には、一対の分割片11Dが第1伸縮折線L5を介して連設されている。各分割片11Dには、略半分にされた段潰し部16と補助折線L10とが形成されている。第1の平面板10の段方向の一端(前端)には、開口部Mを閉塞する封緘片14が連設されている。第1の平面板10の段方向の他端(後端)には、2本の第4折曲線L4(リード罫)を介して連結片17が連設されている。2本の第4折曲線L4は流れ方向に略平行に伸長しており、2本の第4折曲線L4の間には額縁部18が形成されている。
【0063】
図示は省略するが、包装箱2は、上記したブランク2Aを適宜折り曲げたり接着したりすることで製造される。具体的には、一対の分割片11Dは、第1の平面板10に対向するように第2伸縮折線L6に沿って折り返されることで第2の平面板11となる。詳細には、一対の分割片11Dは、折り返されて先端側同士を互いに重ね合わせ、その重ね合わせ部分を連結(接着)されることで一体になる(第2の平面板11になる)。連結片17(額縁部18)は、2本の第4折曲線L4に沿って折り返されて第2の平面板11に連結(接着)されることで第2の平面板11の一部となる。
【0064】
以上説明した第1変形例に係る包装箱2によれば、側板12を絞り込んで開口部Mを閉じることができる等、先に説明した包装箱1と同様の作用、効果を得ることができる。
【0065】
<第2変形例>
図9に示すように、第2変形例に係る包装箱3(ブランク3A)では、一対の平面板10,11の前後両側にそれぞれ開口部Mが開口する構成であり、包装箱2(ブランク2A)の連結片17(額縁部18)に代えて、封緘片14が連設されている。つまり、第1の平面板10の段方向の両端(前後両端)に一対の封緘片14が連設されている。
【0066】
一対の第1伸縮折線L5は、段方向(前後方向)の中央から両端に向かって(一対の開口部Mに接近するに従って)互いに離れるように傾斜している。一対の第1伸縮折線L5は、段方向の中央を互いに接近させるように略く字状に屈曲している。一対の第1伸縮折線L5の段方向の中央は互いに離間している(接していない)。各側板12は、2つの台形の上底(短い辺)同士を突き合せたような多角形状に形成されている。各側板12には、二対の第1仕切線L7と二対の第2仕切線L8が段方向の中央を支点に線対称となるように形成されている。これにより、各側板12には、一対の第1側部21と一対の内折側部23とが段方向の両側に2組形成されている。なお、一対の第2側部22は2組の一対の内折側部23の間に形成されている。
【0067】
第1の平面板10は略六角形状に形成され、第1の平面板10には一対の補助折線L10が段方向の中央を支点に線対称となるように形成されている(段潰し部16は省略されている)。これと同様に、第2の平面板11となる一対の分割片11Dにも略半分にされた一対の補助折線L10が形成されている。
【0068】
以上説明した第2変形例に係る包装箱3によれば、側板12の前後両側を絞り込んで一対の開口部Mを閉じることができる等、先に説明した包装箱1と同様の作用、効果を得ることができる。
【0069】
なお、
図10に示すように、第2変形例に係る包装箱3(ブランク3A)の特徴の1つである一対の第1伸縮折線L5、二対の第1仕切線L7および二対の第2仕切線L8の形状や側板12の形状等を、包装箱1(ブランク1A)に適用してもよい(第3変形例)。この場合、一対の平面板10,11の境界となる第1折曲線L1を複数形成することが好ましい。これにより、開口部Mが存在しない包装箱1の後端部を容易に上下方向に絞り込むことができる。
【0070】
<その他の変形例>
なお、本実施形態(第1変形例を含む。)に係る包装箱1~2では、一対の第1伸縮折線L5が後方から前方に向かって互いに離れるように傾斜した略V字状に形成されていたが、本発明はこれに限定されない。例えば、一対の第1伸縮折線L5の後端同士が離間し、一対の第1伸縮折線L5が略ハ字状に形成されてもよい(図示せず)。この場合、側板12は、後方から前方に向かって徐々に幅広くなる略台形状に形成される(図示せず)。
【0071】
また、本実施形態(第1~第3変形例を含む。以下同じ。)に係る包装箱1~3では、一対の第1伸縮折線L5が第2伸縮折線L6に対して略同一の角度で傾斜していたが、本発明はこれに限定されない。一対の第1伸縮折線L5は、互いに第2伸縮折線L6に対して異なる角度で傾斜してもよい(図示せず)。この場合、各第1仕切線L7と各第2仕切線L8とは、互いに異なる長さ、異なる傾斜角度とされてもよい(図示せず)。
【0072】
また、本実施形態に係る包装箱1~3では、各第1仕切線L7と各第2仕切線L8とは第2伸縮折線L6に対して略45度の角度で傾斜し、一対の内折側部23が略菱形に形成されていたが、本発明はこれに限定されない。各第1仕切線L7と各第2仕切線L8との傾斜角度は自由に変更されてもよい。また、一対の第1仕切線L7は開口部Mに向かって突き出すように傾斜している必要があるが、一対の第2仕切線L8は流れ方向(封緘状態で上下方向)に一直線状に形成されてもよい。つまり、一対の第2仕切線L8は、一対の第1伸縮折線L5と一対の第1仕切線L7との交点Pの間を架け渡すように伸長していればよく、その角度や長さは問わない。
【0073】
また、本実施形態に係る包装箱1~3では、各第1伸縮折線L5、各第1仕切線L7および各第2仕切線L8は、直線状に形成されていたが、これに限らず、例えば、複数の直線をつなげて折線状に形成されてもよいし、曲線状に形成されてもよいし、直線と曲線とを組み合わせてもよい(図示せず)。また、一対の第2仕切線L8(内折側部23)は省略されてもよい。この場合、側板12の一対の第2側部22は、第1仕切線L7よりも後方において第2伸縮折線L6で区画される。
【0074】
また、本実施形態に係る包装箱1~3では、各々の平面板10,11に補助折線L10が形成されていたが、本発明はこれに限定されない。補助折線L10は、一対の平面板10,11のいずれか一方にのみ形成されてもよい(図示せず)。また、補助折線L10は円弧状に湾曲していたが、これに限らず、例えば、複数の直線を連続させた折線状に屈曲してもよいし、直線と円弧とを組み合わせた形状であってもよい(図示せず)。また、補助折線L10は、開口部Mから離れる方向へ膨らむように湾曲していたが、本発明はこれに限定されない。例えば、補助折線L10は、開口部Mに接近する方向へ膨らむように湾曲または屈曲してもよい(図示せず)。このように湾曲等させると一対の平面板10,11は曲げ難くなるが、曲げた状態で包装箱1を平面上に置くと安定し易いため、包装箱1の揺れ動きを規制することができる。また、補助折線L10は、湾曲(屈曲)せずに平面板10,11を一直線に横断するように形成されてもよい(図示せず)。さらに、各々の平面板10,11を折曲等させる構成としては、補助折線L10に限定されない。開口部Mを狭める場合に各々の平面板10,11を湾曲または折曲させるための弱め部の他の例として、左右方向に延びた段潰し領域であってもよい(図示せず)。また、上記した補助折線L10の変形例は、各々の平面板10,11に形成された段潰し部16に対しても同様に適用することができる。さらに、段潰し部16と補助折線L10の少なくとも一方は省略されてもよい。
【0075】
また、本実施形態に係る包装箱1~3は、紙製の両面段ボールシートで形成されていたが、これに限らず、片面段ボールシートや複両面段ボールシート、または厚紙、若しくは樹脂製の板(シート)等で形成されていてもよい。また、包装箱1の各部の寸法(幅、奥行き、高さ)や形状、段ボールシートの厚みや中しん9Aが延びる方向等は自由に変更してもよい。
【0076】
なお、上記実施形態の説明は、本発明に係る包装箱における一態様を示すものであって、本発明の技術範囲は、上記実施形態に限定されるものではない。本発明の技術範囲は、上記実施形態に限定されるものではない。本発明は技術的思想の趣旨を逸脱しない範囲において様々に変更、置換、変形されてもよく、実用新案登録請求の範囲は技術的思想の範囲内に含まれ得る全ての実施態様を含んでいる。
【符号の説明】
【0077】
1,2,3 包装箱
10,11 平面板
11D 分割片
12 側板
13,17 連結片
14 封緘片
21 第1側部
22 第2側部
23 内折側部
F3 屈曲形態
F4 伸長形態
G 被包装物
L5 第1伸縮折線
L6 第2伸縮折線
L7 第1仕切線
L8 第2仕切線
L10 補助折線(弱め部)
M 開口部
P 交点
S 収容空間