(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-27
(45)【発行日】2024-10-07
(54)【発明の名称】エネルギー回収型圧電プリントヘッド
(51)【国際特許分類】
B41J 2/045 20060101AFI20240930BHJP
【FI】
B41J2/045
(21)【出願番号】P 2019120857
(22)【出願日】2019-06-28
【審査請求日】2022-06-28
【審判番号】
【審判請求日】2023-08-07
(32)【優先日】2018-07-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】596170170
【氏名又は名称】ゼロックス コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】XEROX CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141553
【氏名又は名称】鈴木 信彦
(72)【発明者】
【氏名】デイヴィッド・エル・クニエリム
【合議体】
【審判長】川俣 洋史
【審判官】門 良成
【審判官】山本 一
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-46028(JP,A)
【文献】特開2011-46029(JP,A)
【文献】特開2014-188501(JP,A)
【文献】特開2002-79181(JP,A)
【文献】特開2015-70759(JP,A)
【文献】特開2003-200573(JP,A)
【文献】特開2003-53973(JP,A)
【文献】特開2014-184584(JP,A)
【文献】特開2012-158173(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01- 2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリントヘッドにおけるエネルギー回収回路であって、
少なくとも1つの波形用のレールと、
圧電アクチュエータが
負荷容
量を生成する、波形用のレールに選択的に電気的に接続される圧電アクチュエータのアレイと、
いくつの圧電アクチュエータが波形用のレールに接続されているかに応じて、波形用のレールに選択的に結合される、少なくとも一つの擬似的なジェットの
負荷容量と、及び
それぞれが波形用のレールの
負荷容量を有する、共振周波数が前記波形のパルス幅と
対応するように設計された共振回路を形成し、エネルギーを電源にリサイクルする、前記少なくとも1つの波形用のレールの1つに結合される、少なくとも1つのインダクタと、を含み、
前記少なくとも1つの波形用のレールは、正の波形用のレール及び負の波形用のレールを含み、前記少なくとも1つのインダクタは、正の波形用のレールの
負荷容量を有する共振回路を形成する第一インダクタ、及び負の波形用のレールの
負荷容量を有する共振回路を形成する第二インダクタの2つのインダクタを含むことを特徴とする、プリントヘッドにおけるエネルギー回収回路。
【請求項2】
少なくとも一つの擬似的なジェットの負荷
容量が複数の擬似的なジェットの負荷
容量を含み、それが前記少なくとも1つの波形用のレールにそれぞれ選択的に結合されることと、結合する擬似的なジェットの負荷
容量の数が所与の波形の間に作動するアクチュエータの数に依存することと、を特徴とする、請求項1に記載のプリントヘッドにおけるエネルギー回収回路。
【請求項3】
前記レール
に供給される前記波形がプリントヘッド内部で生成されることを特徴とする請求項1に記載のプリントヘッドにおけるエネルギー回収回路。
【請求項4】
前記レール
に供給される前記波形がプリントヘッド外部で生成されることを特徴とする請求項1に記載のプリントヘッドにおけるエネルギー回収回路。
【請求項5】
前記波形用のレールの
負荷容量が、ベースとなる
負荷容量と、波形用のレールに接続されるジェットによる負荷容量と、及び波形用のレールに結合される任意の擬似的なジェットの負荷
容量と、を含むことを特徴とする、請求項1に記載のエネルギー回収回路。
【請求項6】
プリントヘッドにおけるエネルギー回収方法であって、
少なくとも1つの波形用のレールに選択的に電気的に接続される圧電アクチュエータのアレイに波形を提供することと、
波形用のレールに接続される圧電アクチュエータの数に応じて、少なくとも1つの擬似的なジェットの負荷
容量を波形用のレールに選択的に結合することと、及び
少なくとも1つのインダクタを使用して波形用のレールの
負荷容量を有する、共振周波数が前記波形のパルス幅と
対応するように設計された共振回路を形成し、エネルギーを電源にリサイクルすることと、を含み、
前記少なくとも1つの波形用のレールは、正の波形用のレール及び負の波形用のレールを含み、前記少なくとも1つのインダクタは、正の波形用のレールの
負荷容量を有する共振回路を形成する第一インダクタ、及び負の波形用のレールの
負荷容量を有する共振回路を形成する第二インダクタの2つのインダクタを含むことを特徴とする、プリントヘッドにおけるエネルギー回収方法。
【請求項7】
波形用のレールのパルスの立ち上がり時の波形用のレールから圧電アクチュエータを切断することにより、圧電アクチュエータを正規化することを更に含む請求項6に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は圧電プリントヘッドに関し、具体的には圧電プリントヘッドにおけるエネルギー回収に関する。
【0002】
多くのインクジェットプリントヘッドは圧電(PZT)素子を使用する。これらの素子を使用するインクジェットはインクマニホールド及び圧力室を形成するジェットスタックと呼ばれるプレートのスタックを有し、最後のプレートはノズル又はジェットのアレイを有する。PZT素子が電気信号を受信すると、それらは圧力室に隣接して配置される膜を変形させてインクを吐出させる。
【0003】
圧電素子はドライブエレクトロニクスに主に容量性負荷を提供する。素子の静電容量に蓄えられたエネルギーは、機械的/流体運動に変換された実際のエネルギーよりはるかに大きい。通常、素子が静止電圧レベルまで放電するとき、過剰なエネルギーは熱として放散する。このエネルギーはドライブエレクトロニクスのDC電源に収集する及び戻すことができる。
【0004】
エネルギー回収を有するPZT素子を駆動するための回路が存在するが、それらは単一又は少数のアクチュエータを有するシステムのみを企図している。これらの回路は通常、アクチュエータごとに一つのインダクタを必要とする。これは、数百又は数千のアクチュエータを有する典型的なプリントヘッドにとっては実用的ではない。
【0005】
一実施形態はプリントヘッドにおけるエネルギー回収回路であって、それは、少なくとも一つの波形レールと、波形レールに選択的に電気的に接続される圧電アクチュエータアレイであって、圧電アクチュエータが容量性負荷を作るものと、少なくとも一つの擬似ジェット容量性負荷であって、いくつの圧電アクチュエータが波形レールに接続されているかに応じて波形レールに選択的に結合されるものと、第一インダクタであって、波形レールに結合され、ここで、第一インダクタが波形レール容量を有する共振回路を形成し、エネルギーを電源に戻すものと、を含む。
【0006】
他の実施形態はプリントヘッドのエネルギー回収方法であって、それは、波形レールに選択的に電気的に接続される圧電アクチュエータアレイに波形を提供し、いくつの圧電アクチュエータが波形レールに接続されているかに応じて少なくとも一つの擬似ジェット負荷を波形レールに結合し、インダクタを使用することにより波形レールキャパシタンスを有する共振回路を形成し、エネルギーを電源に戻すことを含む。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図2】エネルギーを正電源に戻すための回路図を示す。
【
図3】エネルギーを負電源に戻すための回路図を示す。
【0008】
図1はその内部に全ての電気装置を有するプリントヘッド12を含むプリントシステム10の実施形態を示す。それらは、処理素子16、ジェットスタック26とそれぞれのジェット28を駆動するドライバ24を含んでもよい。
【0009】
プリントヘッド18は、標準化されたコンピューターインターフェース14、例えばユニバーサルシリアルバス(USB)を介して画像データを受信する。通常のUSB2接続により高い周波数で適用するために、電源17からの外部DC電源をプリントヘッドに供給してもよい。
【0010】
プリントヘッドは、内部で生成された「ドットクロック」又は発射信号を含んでもよい。ドットクロックは、28のようなジェットを作動させ、ジェットからプリント基板にインクを吐出させる波形群を起動する。ドットクロックは、プリントヘッドの内部又は外部で生成されてもよい。内部ソースは外部エンコーダに位相ロックしてもよい。
図1のプリントヘッドの構造は、「スタンドアローン」プリントヘッドとも呼ばれる。「スタンドアローン」という用語は外部部品の使用を排除するものではなく、オプションであるためスタンドアローンであることに留意すべきである。
【0011】
図1では、コンピューター15は、プリントヘッド12に対する標準化されたコンピューターインターフェース14を有する。公開された標準に準拠している任意のコンピューターインターフェース。画像データは、標準化されたコンピューターインターフェースのケーブルを介して、画像列順序であるジェット番号順序で、ジェット当たり1ワードの32ビットワードの形式のコンピューター15から来る。プリントヘッドは、外部又は内部でドットクロックが供給されると、データを消費する。コンピューターインターフェースは、処理素子16に接続される。処理素子は画像データをバッファし処理して、ドライバにジェットを発射させるのに必要な波形を生成することができる任意の装置である。いくつかの実施形態では、それは、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)又は特定用途向け集積回路(ASIC)、あるいはドットクロックに応答してデータをバッファリングしてジェット波形を生成することができる他の装置であってもよく、それはプリントヘッドの制御を提供するように製造されプログラムされた集積回路を意味する。
【0012】
処理素子16は、ドライバ24に使用されるVPP及びVSS波形を生成することにより28のようなジェットを発射する。処理素子16の外部にあるアナログ回路20と22は、VPP及びVSS波形レールの実行を終了する。それは、外部DC電源17、又はUSBインタフェースを介してコンピューターからの電源に接続されたDC電力変換器18をも含んでもよい。
【0013】
ここでの実施形態は、このタイプのスタンドアローンプリントヘッドを指すが、プリントヘッドの外部にプリントコントローラーを有する従来のプリントヘッドにも使用可能であることに留意すべきである。以下の説明では、プリントヘッドの外部のプリントコントローラーからの信号は、処理素子16(ここではFPGAとされるがその実施形態を制限するものではない)からの信号の代わりであると考えてよい。VPP及びVSS波形レールの生成を完了するアナログ回路もまたプリントヘッドの外部にあってよい。
【0014】
前述のように、典型的な圧電プリントヘッドのアクチュエータ素子はドライブエレクトロニクスに対して主に容量性負荷を形成する。素子の静電容量に蓄えられたエネルギーは、素子が作動するときに機械的運動に変換された実際のエネルギーよりはるかに大きい。この容量性エネルギーは、従来、波形発生又はプリントヘッドドライバ電子機器においては熱として放散された。
図2は、容量性エネルギーを収集しそれを正電源に戻す回路の実施形態を示す。
【0015】
図2において、回路30はいくつかの機能的な「ブロック」又は領域を有する。ハーフブリッジ32は、処理素子VPP_HBRIDGE_H(ハイ)及びVPP_HBRIDGE_L(ロー)からの信号を受信する。ハーフブリッジ32は、その出力インダクタL1及びベース負荷コンデンサC10並びにVPP_CLAMP M7とともに、VPP2波形パルスを発生するために使用される。VPP2は結合コンデンサC9を介してVPPに接続され、それはVPPがDCバイアスを有することを可能にする。領域36は、VPPレール上のバイアスを管理するためのレベルシフタ及びクランプFET M6を含む。領域38は擬似ジェット負荷を含む。ブロック30は、各VPPパルスの終わりに対して処理素子16、この実施形態ではFPGAにタイミングフィードバックを提供し、VPPがその静止バイアス電圧に近づくときに、VPP2が0Vに近づくときを知らせる。
【0016】
プリントヘッドジェットが圧電アクチュエータ膜の機械的共振で動作し、延長された液滴群のみを発射することができれば、エネルギーはその機械的共振に蓄えられ、その後の液滴吐出に使用されることになる。しかしながら、ジェット波形はこの機械的共振周波数にはなく、長い液滴群にも限定されず、そのためエネルギーの回収はやや困難になる。機械的共振を使用する代わりに、新しい電気インダクタ/コンデンサ(L/C)共振が生成される。この共振のエネルギーは、その後の液滴に直接使用されるのではなく、各波形パルスの終わりにDC電源に戻される。この実施形態では、2つのL/C共振回路があり、一方は正波形パルス(VPP)用であり、他方は負波形パルス(VSS)用である。L/C共振周波数は、VPP及びVSS波形のパルス幅と一致するように設計される。他の実施形態は、正又は負のいずれか一方のみで、両方ではない1つの波形のみを有してもよい。
【0017】
図2におけるVPPの場合、L/C共振回路はL1とL1の後の全負荷容量(ここでは波形レール容量と呼ばれる)で構成される。波形レール容量は、すべての発射ジェットの圧電素子、それがM8によって有効にされる場合ベース負荷C10、及びC15、並びに有効にされる擬似ジェット負荷C5、C6、及び/又はC7からなる。VPPパルス幅をおおよそ一定に保つためには、波形レール容量を、1回のヘッドの発射から次の発射まで、おおよそ一定に保たなければならない。これを達成するために、すべてのジェットが発射しているとき、コンデンサC5、C6、又はC7のいずれも回路に切り替わらない。発射するジェットの数に応じて、波形レールの静電容量をほぼ一定に保つために、必要に応じてこれらの擬似ジェット負荷のうちの一つ、二つ、又は三つ全ての切り替えをオンにする。ジェット28が著しく異なる幅のVPPパルスを含む複雑な波形を必要とする場合、より広いVPPパルスの間にコンデンサC15が有効にされてL/C共振周波数を低下させる。
【0018】
図2では、波形生成はL1のインダクタ/コンデンサ共振回路に依存する。コンデンサは、波形レール容量と呼ばれるVPPレール上の全ての静電容量の合計からなる。これは、
図1からのPZTドライバ24内の寄生容量、この駆動回路においてコンデンサC10で意図的に追加された静電容量を含み、そして任意選択的に、それはC15、C5、C6及びC7を含んでもよい。C10はベース容量であり、全体の中で占める割合が小さい他の静電容量の変動におけるソースを含む。C10は充電にエネルギーを必要とし、そのほとんど全てが回収されるので、正味の電力消費はほとんどない。C15は共振周波数を調整して、PZT駆動波形内のさまざまなパルスのパルス幅を調整できるようにする。コンデンサC5、C6、C7とその下にあるコンデンサ、抵抗C4、R5、C11、R6、R7は、PZTジェットアクチュエータの静電容量と消費電力をシミュレートする。これらの負荷は、特定の波形パルスでは発射しない「実際の」ジェットの数に基づいて、FET M3、M4、及び/又はM5がオンになると切り替わる。ジェットの数は信号に応答して作動するアクチュエータの数に変換され、これらはここでは交換可能に使用されるようになる。
【0019】
VPPパルスの発生は以下のように起こり得る。VPP_CLAMP FET(電界効果トランジスタ)M7及びVPP_BIAS_CLAMP FET M6は最初にオンにされてVPPをその静止レベルに保持する。ドライバ24にロードされたジェットデータによって示されるジェットの数に応じて、負荷スイッチM3、M4、及びM5が有効になる。FET M1及びM12がオンになり、M2がオフになってインダクタL1内の電流を上昇させる。
【0020】
通常1~2マイクロ秒の短い遅延の後、クランプFET M7とM6がオフになる。これはVPPの正のランプを開始し、その初期スロープは波形レール容量とL1の電流に依存する。いくつかの圧電プリントヘッドは、VPPパルスの立ち上がりエッジなどの波形レールパルスの立ち上がりエッジの間に波形レールから圧電素子(ジェット)を切断することによって実施される、正規化と呼ばれるジェットごとの電圧調整を含む。正規化は、米国特許第5,502,468号に記載されている。このようなプリントヘッドの場合、VPPが平均ジェットの正規化電圧に達すると、以前に有効になっていた負荷スイッチM3、M4、及びM5が順次オフに切り替わる。これは、有効にされていない実際のジェットの容量性負荷の挙動に近似する。その後、M2がオンになり、M1とM12がオフになり、VPPの立ち下がりエッジのスルーレートが増加する。タイミングは、特定の波形パルスに対する所望の立ち下がりスルーレートに依存し、これは処理素子16によって「知られる」ようになる。
【0021】
VPP_SENSE信号及び時間遅延によって検出されるように、VPPが再びその静止VBIASレベルに達すると、クランプFET M7及びM6が再びオンになる。FET M1、M12、及びM2がオフになり、L1に残っている電流を減少させる。この電流は直流電源P15Vに帰還する。
【0022】
DCとなるP15V電源は、L1から電流が流れ込むとエネルギーを回収する。
図2に示すC1とC3のように、ほとんどのDC電源にはバイパスコンデンサがある。戻されたエネルギーはバイパスコンデンサを多少充電する。この追加の電圧は、外部電源からできるだけ多くの電力を引き出すのではなく、次の波形パルスに電力を供給する。このようにして、戻されたエネルギーは電力消費量を減らし、したがって運用コストを削減する。P15Vの電圧リップルを最小限に抑えるには、P15Vの総バイパス容量をVPPの波形レール容量よりはるかに大きくする必要がある。
【0023】
この過程でのエネルギーの流れは以下のとおりである。VPP2パルスの開始前に、エネルギーはP15VからインダクタL1に流れ込む。VPP2が0Vから15Vに上昇すると、エネルギーがP15VからインダクタL1と波形レール容量の両方に流れ込む。前述のように、波形レール容量は、ジェット静電容量、擬似ジェット負荷、及びベース容量(この場合はC10)で構成される。VPP2が15Vからそのピークまで上昇すると、エネルギーはP15VからとL1から波形レール容量に流れ込む。VPP2がピークから15Vまで降下すると、エネルギーが波形レールの静電容量からP15Vに流れ込み、インダクタL1に流れ込む。VPP2が15Vから0Vまで降下すると、エネルギーは波形レール容量からインダクタL1からP15Vに流れ込む。VPP2パルスの終了後、インダクタL1の残りのエネルギーはP15Vに流れ込む。
【0024】
上記の説明は、正の波形レールに焦点を当てたものである。
図3は、負波形レール用の回路の実施形態を示す。回路全体は、
図2のVPP図と同一の四つのブロック(ハーフブリッジ、レベルシフタ、擬似ジェット負荷、及びDCオフセット)を有する。いくつかの違いがある。
【0025】
図3において、R10は示されていない。
図2において、テストモードで全てのFETがオフになっている場合、R10はVPP2のDCレベルを設定し、
図2においてはオプションである。M6、M7、M8及びM3、M4、並びにM5で使用され得るような市販のより高い電圧のPFETは、ゲート駆動のために3.3Vを超える電圧を必要とし得る。これらの部品では、
図2と
図3のQ1、R1、R2、C2として実装されている、ハーフブリッジ内の低電圧PFETで使用される安価なディスクリートレベルトランスレータを使用することはできない。代わりに、それらは、DUAL GATE DRIVER 1、2及び3のようなデュアルゲート駆動集積回路を使用し得る。ゲートドライバは3Vの制御信号を取り込み、15Vのゲートドライブ信号を生成する。
【0026】
VPP回路とVSS回路のもう1つの違いは、バイアスクランプゲート駆動M6にある。VBIASは-12Vで、それ以下のDC電源電圧はない。PFET M6がオンになるには、VBIASに対して負のゲート電圧が必要である。この実施形態では、DUAL GATE DRIVER 2の後に、C8、D2、R3及びR4のチャージポンプ回路が使用される。対照的に、VPPの実施形態では、M6はわずか3.3Vで正ゲート駆動を必要とするNFETである。
【0027】
また、VSSの実施形態では、VSS_SENSE_Pが3.3Vを超えて上昇しないので、D1はP2V5ではなく接地する。ただし、D1でクランプされていなければ、地面より下に接続する。一方、
図2のVPP_SENSE_Pは地面より下に接続することはないが、クランプしなければ3.3Vを超えることになる。
【0028】
動作中、VSS波形はVPP波形と同様に機能し、波形レール容量から過剰なエネルギーをP15V電源に戻す。擬似ジェット負荷コンデンサM3、M4、及びM4は、所与の波形に対して発射されていないジェットの数に応じて負荷として切り替わる。
【0029】
このようにして、ジェットアクチュエータの静電容量に蓄えられていた無駄なエネルギーをジェットのアレイ全体にわたって回収することができる。通常、このエネルギーは熱として放散する。上記の実施形態では、過剰なエネルギーは次の波形で使用するために電源に戻される。