(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-27
(45)【発行日】2024-10-07
(54)【発明の名称】半導体素子および電子機器
(51)【国際特許分類】
H01L 27/146 20060101AFI20240930BHJP
H01L 27/144 20060101ALI20240930BHJP
H01L 21/3205 20060101ALI20240930BHJP
H01L 21/768 20060101ALI20240930BHJP
H01L 23/522 20060101ALI20240930BHJP
H01L 21/301 20060101ALI20240930BHJP
H04N 25/70 20230101ALI20240930BHJP
H04N 5/33 20230101ALI20240930BHJP
【FI】
H01L27/146 D
H01L27/144 K
H01L27/146 F
H01L21/88 J
H01L21/78 L
H01L21/78 Q
H04N25/70
H04N5/33
(21)【出願番号】P 2019219713
(22)【出願日】2019-12-04
【審査請求日】2022-11-28
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】316005926
【氏名又は名称】ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001357
【氏名又は名称】弁理士法人つばさ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松本 良輔
(72)【発明者】
【氏名】萬田 周治
(72)【発明者】
【氏名】丸山 俊介
(72)【発明者】
【氏名】高地 泰三
【審査官】渡邊 佑紀
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/194030(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0294471(US,A1)
【文献】特開2018-032792(JP,A)
【文献】特開2010-056170(JP,A)
【文献】特開2010-177569(JP,A)
【文献】特表2016-535428(JP,A)
【文献】国際公開第2016/129409(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 27/146
H01L 27/144
H01L 21/3205
H01L 21/768
H01L 23/522
H01L 21/301
H04N 25/70
H04N 5/33
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
配線層と化合物半導体材料を含む半導体層とが積層して設けられた素子領域、および前記素子領域の外側の周辺領域を有する素子基板と、
前記配線層を間にして前記半導体層に対向し、前記配線層を介して前記半導体層に電気的に接続された読出回路基板と、
前記素子基板の
前記読出回路基板との接合面とは反対の面から前記接合面を超えて前記読出回路基板の一部まで達する、または、前記読出回路基板の前記素子基板との接合面とは反対の面から前記接合面を超えて前記素子基板の一部まで達する、平面視において前記周辺領域の周縁部の前記素子基板および前記読出回路基板によって形成される側面に
、前記素子領域を囲むように断続的に設けられた1または複数の窪みと
を備えた半導体素子。
【請求項2】
前記素子基板は、前記半導体層と前記配線層との間に設けられた第1電極と、前記半導体層を間にして前記第1電極に対向する第2電極をさらに有し、
前記読出回路基板は、前記周辺領域にパッド電極をさらに有し、
前記周辺領域には、前記素子基板から前記読出回路基板に達する第1の貫通孔と、前記第1の貫通孔よりも
前記周縁部側に第2の貫通孔がそれぞれ設けられており、前記第2電極は、前記第1の貫通孔を介して前記読出回路基板と電気的に接続されている、請求項1に記載の半導体素子。
【請求項3】
平面視において、前記周縁部の近傍に設けられた1または複数の溝をさらに有し、
前記1または複数の溝は、前記第2の貫通孔と前記素子基板および前記読出回路基板の前記周縁部との間に設けられている、
請求項2に記載の半導体素子。
【請求項4】
前記1または複数の溝は、前記素子基板の
前記読出回路基板との接合面とは反対の面から前記接合面を超えて前記読出回路基板の一部まで達する、または、前記読出回路基板の前記素子基板との接合面とは反対の面から前記接合面を超えて前記素子基板の一部まで達する、
請求項3に記載の半導体素子。
【請求項5】
前記配線層は、前記読出回路基板と対向する前記接合面に露出する1または複数の第1のコンタクト電極をさらに有し、
前記読出回路基板は、前記素子基板と対向する前記接合面に露出する1または複数の第2のコンタクト電極をさらに有し、
前記素子基板と前記読出回路基板とは、前記第1のコンタクト電極と前記第2のコンタクト電極とを介して接合されている、請求項1に記載の半導体素子。
【請求項6】
前記1または複数の窪みの形成位置には、絶縁膜のみが形成されている、請求項1に記載の半導体素子。
【請求項7】
前記化合物半導体材料は、赤外領域の波長の光を吸収する、請求項1に記載の半導体素子。
【請求項8】
前記半導体層は、III-V族半導体材料を含んで構成されている、請求項1に記載の半導体素子。
【請求項9】
前記化合物半導体材料は、InGaAs,InAsSb,InAs,InSbおよびHgCdTeのうちのいずれか1つである、請求項1に記載の半導体素子。
【請求項10】
配線層と化合物半導体材料を含む半導体層とが積層して設けられた素子領域、および前記素子領域の外側の周辺領域を有する素子基板と、
前記配線層を間にして前記半導体層に対向し、前記配線層を介して前記半導体層に電気的に接続された読出回路基板と、
前記素子基板の
前記読出回路基板との接合面とは反対の面から前記接合面を超えて前記読出回路基板の一部まで達する、または、前記読出回路基板の前記素子基板との接合面とは反対の面から前記接合面を超えて前記素子基板の一部まで達する、平面視において前記周辺領域の周縁部の前記素子基板および前記読出回路基板によって形成される側面に
、前記素子領域を囲むように断続的に設けられた1または複数の窪みと
を備えた半導体素子を有する電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、例えば赤外線センサ等に用いられる半導体素子およびこれを備えた電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、赤外領域に感度を有するイメージセンサ(赤外線センサ)が商品化されている。例えば、特許文献1では、化合物半導体層と配線層とが積層された素子基板と回路基板とをCuCu接合により貼り合わされた半導体素子が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような半導体素子では、信頼性の向上が求められている。
【0005】
信頼性を向上させることが可能な半導体素子および電子機器を提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一実施形態に係る半導体素子は、配線層と化合物半導体材料を含む半導体層とが積層して設けられた素子領域、および素子領域の外側の周辺領域を有する素子基板と、配線層を間にして半導体層に対向し、配線層を介して半導体層に電気的に接続された読出回路基板と、素子基板の読出回路基板との接合面とは反対の面から接合面を超えて読出回路基板の一部まで達する、または、読出回路基板の素子基板との接合面とは反対の面から接合面を超えて素子基板の一部まで達する、平面視において周辺領域の周縁部の素子基板および読出回路基板によって形成される側面に、素子領域を囲むように断続的に設けられた1または複数の窪みとを備えたものである。
【0007】
本開示の一実施形態に係る電子機器は、上記本開示の一実施形態の半導体素子を備えたものである。
【0008】
本開示の一実施形態に係る半導体素子および一実施形態に係る電子機器では、素子領域の外側の周辺領域の周縁部に、素子基板の読出回路基板との接合面とは反対の面から接合面を超えて読出回路基板の一部まで達する、または、読出回路基板の素子基板との接合面とは反対の面から接合面を超えて素子基板の一部まで達する、平面視において周辺領域の周縁部の素子基板および読出回路基板によって形成される側面に、素子領域を囲むように断続的に1または複数の窪みを設けるようにした。これにより、素子基板と読出回路基板との接合面の剥がれを防ぐ。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本開示の実施の形態に係る受光素子の構成の一例を表す断面模式図である。
【
図2】
図1に示した受光素子の概略構成の一例を表す平面模式図である。
【
図3】
図1に示した受光素子の概略構成の他の例を表す平面模式図である。
【
図4】シミュレーションから得られたInPの膜厚と各波長の光吸収率との関係を表す特性図である。
【
図5】
図1に示した受光素子のパッシベーション膜の構成の一例を表す模式図である。
【
図6A】
図1に示した受光素子の製造方法の一工程を説明するための断面模式図である。
【
図7】
図6Cの工程の一例を表す平面模式図である。
【
図8】
図7に示した半導体層の構成の他の例(1)を表す平面模式図である。
【
図9A】
図7に示した半導体層の構成の他の例(2)を表す平面模式図である。
【
図9B】
図9Aに示したII-II’線に沿った断面構成を表す模式図である。
【
図16K】
図16に示した工程における溝の平面形状を表す模式図である。
【
図17】本開示の変形例1に係る受光素子の構成の一例を表す断面模式図である。
【
図18】本開示の変形例1に係る受光素子の構成の他の例を表す断面模式図である。
【
図19】本開示の変形例2に係る受光素子の構成の一例を表す断面模式図である。
【
図20A】
図19に示した受光素子の製造工程の一例を説明するための断面模式図である。
【
図21】本開示の変形例3に係る受光素子の構成の一例を表す断面模式図である。
【
図22】本開示の変形例3に係る受光素子の構成の他の例を表す断面模式図である。
【
図23】本開示の変形例3に係る受光素子の構成の他の例を表す断面模式図である。
【
図24】本開示の変形例4に係る受光素子の構成の一例を表す断面模式図である
【
図26】積層型の撮像素子の構成例を表す模式図である。
【
図27】
図25に示した撮像素子を用いた電子機器(カメラ)の一例を表す機能ブロック図である。
【
図28】内視鏡手術システムの概略的な構成の一例を示す図である。
【
図29】カメラヘッド及びCCUの機能構成の一例を示すブロック図である。
【
図30】車両制御システムの概略的な構成の一例を示すブロック図である。
【
図31】車外情報検出部及び撮像部の設置位置の一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示における実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。以下の説明は本開示の一具体例であって、本開示は以下の態様に限定されるものではない。また、本開示は、各図に示す各構成要素の配置や寸法、寸法比等についても、それらに限定されるものではない。なお、説明する順序は、下記の通りである。
1.実施の形態(周辺領域の周縁部に溝を有する受光素子の例)
1-1.受光素子の構成
1-2.受光素子の製造方法
1-3.受光素子の動作
1-4.作用・効果
2.変形例
2-1.変形例1(周辺領域の周縁部近傍に溝を有する受光素子の例)
2-2.変形例2(周辺領域の周縁部およびその近傍に複数の溝を有する受光素子の例)
2-3.変形例3(周辺領域の周縁部およびその近傍の一方または両方に読出回路基板側から設けられた溝を有する受光素子の例)
2-4.変形例4(光入射面側にカラーフィルタ層およびオンチップレンズを有する受光素子の例)
3.適用例
4.応用例
【0011】
<1.実施の形態>
図1は、本開示の一実施の形態に係る半導体素子(受光素子1)の断面構成の一例を模式的に表したものである。
図2は、
図1に示した受光素子1の平面構成の一例を模式的に表したものである。
図3は、
図1に示した受光素子1の平面構成の他の例を模式的に表したものである。なお、
図1は、
図2に示したI-I’線における断面構成を示している。受光素子1は、例えばIII-V族半導体等の化合物半導体材料を用いた赤外線センサ等に適用されるものであり、例えば、可視領域(例えば380nm以上780nm未満)~短赤外領域(例えば780nm以上2400nm未満)の波長の光に、光電変換機能を有するものである。この受光素子1には、例えば2次元配置された複数の受光単位領域(画素P)が設けられている。
【0012】
(1-1.受光素子の構成)
【0013】
受光素子1は、
図1に示したように、素子基板10と読出回路基板20との積層構造を有している。素子基板10の一方の面は光入射面(光入射面S1)であり、光入射面S1と反対の面が、読出回路基板20との接合面(接合面S2)である。
【0014】
素子基板10は、読出回路基板20に近い位置から、配線層10W、第1電極11、半導体層10S、第2電極15およびパッシベーション膜16A,16Bをこの順に有している。半導体層10Sの配線層10Wとの対向面および端面(側面)は、絶縁膜17A,17Bにより覆われている。読出回路基板20は、いわゆるROIC(Readout integrated circuit)であり、素子基板10の接合面S2に接する配線層20Wおよび多層配線層22Cと、この配線層20Wおよび多層配線層22Cを間にして素子基板10に対向する半導体基板21とを有している。
【0015】
素子基板10の中央部には、受光領域である素子領域R1が設けられており、この素子領域R1に半導体層10Sが配置されている。即ち、半導体層10Sが設けられた領域が素子領域R1である。素子領域R1のうち、周辺領域R2近傍の導電膜15Bで覆われた領域は、OPB(Optical Black)領域R1Bである。OPB領域R1Bは、受光領域を囲むように設けられている。OPB領域R1Bは、黒レベルの画素信号を得るために用いられる。
【0016】
素子領域R1の外側には、素子領域R1を囲む周辺領域R2が設けられている。素子基板10の周辺領域R2には、絶縁膜17A,17Bとともに埋込層18が設けられている。周辺領域R2には、さらに、素子基板10を貫通し、読出回路基板20に達する貫通孔H1,H2が設けられている。受光素子1では、素子基板10の光入射面S1から、パッシベーション膜16A,16B、第2電極15および第2コンタクト層14を介して半導体層10Sに光が入射するようになっている。半導体層10Sで光電変換された信号電荷は、配線層10Wを介して移動し、読出回路基板20で読み出される。更に、本実施の形態では、周辺領域R2の周縁部(チップ端E)に、素子基板10の表面(光入射面S1)側から読出回路基板20の、例えば多層配線層22Cの層内に達する溝H3が設けられている。換言すると、受光素子1の側面(チップ端E)には、素子基板10の光入射面S1から読出回路基板20の多層配線層22Cにかけて窪みが形成されている。以下、各部の構成について説明する。
【0017】
配線層10Wは、素子領域R1および周辺領域R2にわたって設けられ、読出回路基板20との接合面S2を有している。受光素子1では、この素子基板10の接合面S2が素子領域R1および周辺領域R2に設けられ、例えば素子領域R1の接合面S2と周辺領域R2の接合面S2とは、同一平面を構成している。
【0018】
配線層10Wは、例えば層間絶縁膜19A,19B中に、コンタクト電極19Eおよびダミー電極19EDを有している。配線層10Wには、例えば、読出回路基板20側に層間絶縁膜19Bが、第1コンタクト層12側に層間絶縁膜19Aが配置され、これら層間絶縁膜19A,19Bが積層して設けられている。層間絶縁膜19A,19Bは、例えば、無機絶縁材料により構成されている。この無機絶縁材料としては、例えば、窒化シリコン(SiN),酸化アルミニウム(Al2O3),酸化ケイ素(SiO2)および酸化ハフニウム(HfO2)等が挙げられる。層間絶縁膜19A,19Bを同一の無機絶縁材料により構成するようにしてもよい。
【0019】
コンタクト電極19Eは、例えば、素子領域R1に設けられている。このコンタクト電極19Eは、第1電極11と読出回路基板20とを電気的に接続するためのものであり、素子領域R1に画素P毎に設けられている。隣り合うコンタクト電極19Eは、埋込層18および層間絶縁膜19A,19Bにより電気的に分離されている。コンタクト電極19Eは、例えば銅(Cu)パッドにより構成されており、接合面S2に露出している。ダミー電極19EDは、例えば、周辺領域R2に設けられている。このダミー電極19EDは、後述の配線層20Wのダミー電極22EDに接続されている。このダミー電極19EDおよびダミー電極22EDを設けることにより、周辺領域R2の強度を向上させることが可能となる。ダミー電極19EDは、例えば、コンタクト電極19Eと同一工程で形成されている。ダミー電極19EDは、例えば銅(Cu)パッドにより構成されており、接合面S2に露出している。
【0020】
コンタクト電極19Eと半導体層10Sとの間に設けられた第1電極11は、光電変換層13で発生した信号電荷(正孔または電子、以下便宜上、信号電荷が正孔であるとして説明する。)を読み出すための電圧が供給される電極(アノード)であり、素子領域R1に画素P毎に設けられている。第1電極11は、絶縁膜17Aの開口17Hを埋め込むように設けられ、半導体層10S(より具体的には、後述の拡散領域12A)に接している。
【0021】
第1電極11は、例えば、チタン(Ti),タングステン(W),窒化チタン(TiN),白金(Pt),金(Au),ゲルマニウム(Ge),パラジウム(Pd),亜鉛(Zn),ニッケル(Ni)およびアルミニウム(Al)のうちのいずれかの単体、またはそれらのうちの少なくとも1種を含む合金により構成されている。第1電極11は、このような構成材料の単層膜であってもよく、あるいは、2種以上を組み合わせた積層膜であってもよい。例えば、第1電極11は、チタンおよびタングステンの積層膜により構成されている。第1電極11の厚みは、例えば数十nm~数百nmである。
【0022】
半導体層10Sは、例えば、配線層10Wに近い位置から、第1コンタクト層12、光電変換層13および第2コンタクト層14を含んでいる。第1コンタクト層12、光電変換層13および第2コンタクト層14は、互いに同じ平面形状を有し、各々の端面は、平面視で同じ位置に配置されている。
【0023】
第1コンタクト層12は、例えば、全ての画素Pに共通して設けられ、絶縁膜17Aと光電変換層13との間に配置されている。第1コンタクト層12は、隣り合う画素Pを電気的に分離するためのものであり、第1コンタクト層12には、例えば複数の拡散領域12Aが設けられている。第1コンタクト層12に、光電変換層13を構成する化合物半導体材料のバンドギャップよりも大きなバンドギャップの化合物半導体材料を用いることにより、暗電流を抑えることも可能となる。第1コンタクト層12には、例えばn型のInP(インジウムリン)を用いることができる。
【0024】
第1コンタクト層12に設けられた拡散領域12Aは、互いに離間して配置されている。拡散領域12Aは、画素P毎に配置され、それぞれの拡散領域12Aに第1電極11が接続されている。OPB領域R1Bにも拡散領域12Aが設けられている。拡散領域12Aは、光電変換層13で発生した信号電荷を画素P毎に読み出すためのものであり、例えば、p型不純物を含んでいる。p型不純物としては、例えばZn(亜鉛)等が挙げられる。このように、拡散領域12Aと、拡散領域12A以外の第1コンタクト層12との間にpn接合界面が形成され、隣り合う画素Pが電気的に分離されるようになっている。拡散領域12Aは、例えば第1コンタクト層12の厚み方向に設けられ、光電変換層13の厚み方向の一部にも設けられている。
【0025】
第1電極11と第2電極15との間、より具体的には、第1コンタクト層12と第2コンタクト層14との間の光電変換層13は、例えば、全ての画素Pに共通して設けられている。この光電変換層13は、所定の波長の光を吸収して、信号電荷を発生させるものであり、例えば、i型のIII-V族半導体等の化合物半導体材料により構成されている。光電変換層13を構成する化合物半導体材料としては、例えば、InGaAs(インジウムガリウム砒素),InAsSb(インジウム砒素アンチモン),InAs(インジウム砒素),InSb(インジムアンチモン)およびHgCdTe(水銀カドミウムテルル)等が挙げられる。Ge(ゲルマニウム)により光電変換層13を構成するようにしてもよい。光電変換層13では、例えば、可視領域から短赤外領域の波長の光の光電変換がなされるようになっている。
【0026】
第2コンタクト層14は、例えば、全ての画素Pに共通して設けられている。この第2コンタクト層14は、光電変換層13と第2電極15との間に設けられ、これらに接している。第2コンタクト層14は、第2電極15から排出される電荷が移動する領域であり、例えば、n型の不純物を含む化合物半導体により構成されている。第2コンタクト層14には、例えば、n型のInP(インジウムリン)を用いることができる。
【0027】
なお、第2コンタクト層14を構成する化合物半導体の光吸収率は、波長に応じて変化する。このため、第2コンタクト層14の膜厚を調整することにより、所望の波長帯域の光を光電変換層13まで透過させることができる。例えば、
図4は、シミュレーションから得られたInPの膜厚と各波長の光吸収率との関係を表した特性図である。可視領域の波長の光を光電変換層13まで透過させたい場合には、第2コンタクト層14は、例えば5nm~300nmの厚みとすることが好ましい。上記膜厚の範囲は、第2コンタクト層(InP)における波長600nmの吸収率が0%以上90%以下のときを可視光透過可と定義した場合のものである。光電変換層13まで透過する光が短赤外領域の波長の光のみでよい場合には、第2コンタクト層14は、例えば5nm~750μmの厚みであればよい。このように、第2コンタクト層14の厚みを調整することにより、光電変換層13において短赤外領域の波長の光と共に可視領域の波長の光を光電変換することが可能となる。
【0028】
また、第2コンタクト層14と同様に、化合物半導体により構成される光電変換層13の光吸収率も、波長に応じて変化する。このため、光電変換層13において、例えば可視領域の光として波長400nmの青色光を光電変換する場合には、光電変換層13の厚みは、例えば100nm以上とすることが好ましく、短赤外領域の波長の光を光電変換する場合には、光電変換層13の厚みは、例えば3μm以上とすることが好ましい。更に、可視領域および短赤外領域の波長の光を光電変換する場合には、光電変換層13の厚みは、例えば500nm~6μmとすることが好ましい。
【0029】
第2電極15は、例えば、各画素Pに共通の電極として、第2コンタクト層14上(光入射側)に、第2コンタクト層14に接するように設けられている。第2電極15は、光電変換層13で発生した電荷のうち、信号電荷として用いられない電荷を排出するためのものである(カソード)。例えば、正孔が、信号電荷として第1電極11から読み出される場合には、この第2電極15を通じて例えば電子を排出することができる。第2電極15は、例えば、赤外線等の入射光を透過可能な導電膜により構成されている。第2電極15には、例えば、ITO(Indium Tin Oxide)またはITiO(In2O3-TiO2)等を用いることができる。
【0030】
パッシベーション膜16A,16Bは、第2電極15を光入射面S1側から覆っている。パッシベーション膜16A,16Bは、可視領域(例えば380nm以上780nm未満)~短赤外領域(例えば780nm以上2400nm未満)の波長の光を吸収しない材料を用いて形成することが好ましい。パッシベーション膜16A,16Bは、同じ材料を用いて形成してもよいし、異なる材料を用いて形成するようにしてもよい。更に、パッシベーション膜16A,16Bは、反射防止機能を有していてもよい。パッシベーション膜16A,16Bは、例えばALD(Atomic Layer Deposition)法、CVD(Chemical Vapor Deposition)法、PVD(Physical Vapor Deposition)法または塗布法等により形成することができる。
【0031】
パッシベーション膜16Aは、上記のように、第2電極15上に設けられており、例えば、周辺領域R2のチップ端Eまで延在している。パッシベーション膜16Aは、OPB領域R1Bに開口16Hを有している。開口16Hは、
図2に示したように、例えば、受光領域を囲む額縁状に設けられている。開口16Hは、例えば平面視で四角形状または円状の孔であってもよい。このパッシベーション膜16Aの開口16Hにより、第2電極15に、後述する導電膜15Bが電気的に接続されている。
【0032】
パッシベーション膜16Aは、非還元性を有する材料を用いて形成することが好ましい。非還元性を有する材料としては、例えば、酸化物(M
xO
y)、窒化物(M
xN
y)および酸窒化物(M
xO
yN
z)が挙げられる。Mは、ケイ素(Si),チタン(Ti),ハフニウム(Hf),ジルコニウム(Zr)およびイットリウム(Y)が挙げられる。x,y,zは1以上の整数である。なお、窒化シリコン(SiN)に関しては、還元性ガスを用いない成膜方法を用いることが望ましい。そのような成膜方法としては、例えばスパッタ法や塗布法等が挙げられる。パッシベーション膜16Aは、例えば、上記いずれかの材料からなる単層膜として形成してもよい。パッシベーション膜16Aを単層膜とする場合には、その単層膜は2.0g/cm
3以上の膜密度を有することが好ましい。膜密度の上限は特に問わないが、例えば8.0g/cm
3以下である。なお、膜密度は、薄膜の質量÷体積(g/cm
3)で定義され、例えばXRR測定によって求められる。これにより、パッシベーション膜16Aに封止機能が付加される。パッシベーション膜16Aは、積層膜として形成してもよい。更に、パッシベーション膜16Aは、
図5に示したように、第2電極15上に3層以上の膜16A1,16A2,16A3,16A4・・・16AXが積層された多層膜としてもよい。
【0033】
パッシベーション膜16Bは、パッシベーション膜16Aおよび導電膜15Bを覆うように設けられており、例えば、パッシベーション膜16Aと同様に、周辺領域R2のチップ端Eまで延在している。パッシベーション膜16Bには、例えば窒化シリコン(SiN),酸化アルミニウム(Al2O3),酸化ケイ素(SiO2)および酸化タンタル(Ta2O3)等を用いることができる。なお、パッシベーション膜16Bでは、窒化シリコン(SiN)の成膜方法は特に問わず、スパッタ法および塗布法の他に、還元性ガスを用いるプラズマCVD法を用いて成膜した窒化シリコン(SiN)膜を用いても構わない。
【0034】
絶縁膜17A,17Bは、第1コンタクト層12と埋込層18との間に設けられている。具体的には、絶縁膜17Aは、第1コンタクト層12の、配線層10Wとの対向面を覆う共に、第1コンタクト層12の端面、光電変換層13の端面、第2コンタクト層14の端面および第2電極15の端面を覆い、周辺領域R2ではパッシベーション膜16に接している。絶縁膜17Bは、第1電極11および絶縁膜17Aに接して設けられている。換言すると、絶縁膜17Bは、第1電極11および絶縁膜17Aを間にして、第1コンタクト層12の接合面を覆っている。また、絶縁膜17Bは、絶縁膜17Aを間にして、第1コンタクト層12の端面、光電変換層13の端面、第2コンタクト層14の端面および第2電極15の端面を覆い、周辺領域R2では、例えば絶縁膜17Aと共に、チップ端Eまで延在している。
【0035】
絶縁膜17Aは、例えば、酸化シリコン(SiOX)または酸化アルミニウム(Al2O3)等の酸化物を含んで構成されている。複数の膜からなる積層構造により絶縁膜17Aを構成するようにしてもよい。絶縁膜17Aは、例えば酸窒化シリコン(SiON),炭素含有酸化シリコン(SiOC),窒化シリコン(SiN)およびシリコンカーバイド(SiC)等のシリコン(Si)系絶縁材料により構成するようにしてもよい。絶縁膜17Aの厚みは、例えば数十nm~数百nmである。絶縁膜17Bは、絶縁膜17Aの材料として挙げた上記絶縁材料の中でも、よりパッシベーション性の高い材料を用いることが好ましく、例えば、窒化シリコン(SiN)を用いることが好ましい。これにより、半導体層10Sの保護機能をより高めることができる。絶縁膜17Bの厚みは、例えば100nm~200nmである。
【0036】
導電膜15Bは、OPB領域R1Bから周辺領域R2の貫通孔H1にわたって設けられている。この導電膜15Bは、OPB領域R1Bに設けられたパッシベーション膜16Aの開口16Hで第2電極15に接すると共に、貫通孔H1を介して読出回路基板20の配線(後述の配線22CB)に接している。これにより、読出回路基板20から導電膜15Bを介して第2電極15に電圧が供給されるようになっている。導電膜15Bは、このような第2電極15への電圧供給経路として機能すると共に、遮光膜としての機能を有し、OPB領域R1Bを形成する。導電膜15Bは、例えば、タングステン(W),アルミニウム(Al),チタン(Ti),モリブデン(Mo),タンタル(Ta)または銅(Cu)を含む金属材料により構成されている。導電膜15B上にパッシベーション膜16Bが設けられていてもよい。
【0037】
第2コンタクト層14の端部と第2電極15との間に、接着層Bが設けられていてもよい。この接着層Bは、後述するように、受光素子1を形成する際に用いられるものであり、半導体層10Sを仮基板(後述の
図6Cの仮基板33)に接合する役割を担っている。接着層Bは、例えばテトラエトキシシラン(TEOS)または酸化シリコン(SiO)等により構成されている。接着層Bは、例えば、半導体層10Sの端面よりも拡幅して設けられ、半導体層10Sと共に、埋込層18に覆われている。接着層Bと埋込層18との間には、絶縁膜17A,17Bが設けられている。
【0038】
なお、接着層Bは、周辺領域R2の広い領域にわたって設けられていてもよく、例えば、半導体層10S(素子領域R1)の縁近傍から、貫通孔H1と貫通孔H2との間まで延在していてもよい。あるいは、接着層Bは、半導体層10S(素子領域R1)の縁近傍から、チップ端(チップ端E)まで延在していてもよい。
【0039】
埋込層18は、受光素子1の製造工程で、仮基板(後述の
図6Cの仮基板33)と半導体層10Sとの段差を埋めるためのものである。詳細は後述するが、この埋込層18を形成することで、半導体層10Sと仮基板33との段差に起因した製造工程の不具合の発生が抑えられる。
【0040】
周辺領域R2の埋込層18は、配線層10Wと絶縁膜17Bとの間、および配線層10Wとパッシベーション膜16Aとの間に設けられ、例えば、半導体層10Sの厚み以上の厚みを有している。ここでは、この埋込層18が半導体層10Sを囲んで設けられているので、半導体層10Sの周囲の領域(周辺領域R2)が形成される。これにより、この周辺領域R2に読出回路基板20との接合面S2を設けることができるようになっている。周辺領域R2に接合面S2が形成されていれば、埋込層18の厚みを小さくしてもよいが、埋込層18が半導体層10Sを厚み方向にわたって覆い、半導体層10Sの端面全面が埋込層18に覆われていることが好ましい。埋込層18が、絶縁膜17A,17Bを介して半導体層10Sの端面全面を覆うことにより、半導体層10Sへの水分の浸入を効果的に抑えることができる。素子領域R1の埋込層18は、第1電極11を覆うように、半導体層10Sと配線層10Wとの間に設けられている。
【0041】
接合面S2側の埋込層18の表面は平坦化されており、周辺領域R2では、この平坦化された埋込層18の表面に配線層10Wが設けられている。埋込層18には、例えば、酸化シリコン(SiOX),窒化シリコン(SiN),酸窒化シリコン(SiON),炭素含有酸化シリコン(SiOC)およびシリコンカーバイド(SiC)等の無機絶縁材料を用いることができる。
【0042】
後述するように、受光素子1を製造する工程では、埋込層18を形成した後、埋込層18の上方に、層間絶縁膜19A,19Bとコンタクト電極19Eとを含む配線層10Wが形成される(後述の
図16D)。この配線層10Wを含む素子基板10に、配線層20Wを含む読出回路基板20が貼り合わされて(後述の
図16E)受光素子1が形成される。このとき、配線層10Wのコンタクト電極19Eと、配線層20Wのコンタクト電極22Eとが接続される。コンタクト電極19E,22Eは、例えばCuパッドを有しており、このCuパッドの直接接合により、コンタクト電極19Eとコンタクト電極22Eとが接続されるようになっている。コンタクト電極19EをCMP(Chemical Mechanical Polishing)法を用いて形成するとき、研磨対象の銅膜の下方に配置された埋込層18には、研磨時の応力に耐え得る硬度が求められる。また、コンタクト電極19E,22EのCuパッド同士を直接接合させるためには、素子基板10および読出回路基板20を極めて平坦に形成することが求められる。このため、銅膜の下方に配置される埋込層18は、研磨時の応力に耐え得る硬度を有していることが好ましい。具体的には、埋込層18の構成材料は、一般的な半導体パッケージにおいてダイの周囲に配置される封止剤や有機材料よりも硬度が高い材料であることが好ましい。このような高い硬度を有する材料としては、例えば、無機絶縁材料が挙げられる。この無機絶縁材料を、例えばCVD(Chemical Vapor Deposition)法、スパッタ法あるいはコーティング法で成膜することにより、埋込層18を形成することができる。
【0043】
埋込層18には、埋込層18を貫通する貫通孔H1,H2および溝H3が設けられている。貫通孔H1,H2は、埋込層18と共に、配線層10Wを貫通し、読出回路基板20に達している。貫通孔H1,H2は、例えば、四角状の平面形状を有し、素子領域R1を囲むように、各々複数の貫通孔H1,H2が設けられている(
図2)。貫通孔H1は、貫通孔H2よりも素子領域R1に近い位置に設けられており、貫通孔H1の側壁および底面は、導電膜15Bに覆われている。この貫通孔H1は、第2電極15(導電膜15B)と読出回路基板20の配線(後述の配線22CB)とを接続するためのものであり、パッシベーション膜16A、埋込層18および配線層10Wを貫通して設けられている。
【0044】
貫通孔H2は、例えば、貫通孔H1よりもチップ端Eに近い位置に設けられている。この貫通孔H2は、パッシベーション膜16A,16B、埋込層18および配線層10Wを貫通し、読出回路基板20のパッド電極(後述のパッド電極22P)に達している。この貫通孔H2を介して、外部と受光素子1との電気的な接続が行われるようになっている。貫通孔H1,H2は、読出回路基板20に達していなくてもよい。例えば、貫通孔H1,H2が、配線層10Wの配線に達し、この配線が読出回路基板20の配線22CB、パッド電極22Pに接続されていてもよい。上記のように、接着層Bが、半導体層10S(素子領域R1)の縁近傍から、貫通孔H1と貫通孔H2との間まで、あるいは、チップ端(チップ端E)まで延在している場合には、貫通孔H1,H2は、接着層Bを貫通していてもよい。
【0045】
溝H3は、貫通孔H2よりも外側の周辺領域R2の周縁部、即ち、チップ端Eに設けられている。溝H3は、素子基板10の光入射面S1側から素子基板10と読出回路基板20との接合面S2よりも深い位置まで設けられている。具体的には、溝H3は、パッシベーション膜16A,16B、埋込層18および配線層10Wを貫通し、読出回路基板20の、例えば多層配線層22Cの層内に達するように形成されている。この溝H3は、詳細は後述するが、受光素子1の製造工程(ダイシング工程、
図16L)において、素子基板10および読出回路基板20をチップごとに切り離す際に、ブレードBが通る位置に設けられたものであり、この溝H3内をブレードBが通ることにより、ダイシング後に得られる受光素子1には、チップ端Eに溝H3が形成される。ダイシング前の加工時に形成される溝H3の幅(W1)は、
図16Lに示したように、ブレードBの幅(W2)よりも大きい。これにより、ダイシング時に、ブレードBが、溝H3の側面に接触することなく、溝H3の下方の読出回路基板20(具体的には、例えば、半導体基板21および多層配線層22Cの一部)を切り離すことができる。よって、素子基板10と読出回路基板20との接合面S2の剥がれを防ぐことが可能となる。
【0046】
なお、
図1では、素子基板10の光入射面S1側から多層配線層22Cの層内に達する溝H3を示したが、溝H3の深さはこれに限定されない。溝H3は、素子基板10と読出回路基板20との接合面S2よりも深い位置まで設けられていればよく、例えば、溝H3の底面が層間絶縁膜22Aや層間絶縁膜22B内に底面が形成されていてもよい。あるいは、溝H3は、多層配線層22Cを貫通し、半導体基板21まで達していてもよい。
【0047】
この溝H3は、
図16Lに示したように、受光素子1の周囲に連続して形成することが好ましい。これにより、素子基板10と読出回路基板20との接合面S2の剥がれを防ぐことが可能となる。但し、溝H3は、受光素子1の周囲に断続的に形成するようにしてもよく、その場合、ダイシング後に得られる受光素子1には、
図3に示したように、チップ端Eに部分的に溝H3が設けられる。このように、溝H3を断続的に形成した場合でも、素子基板10と読出回路基板20との接合面S2からの剥がれに対して一定の効果を得ることができる。
【0048】
光電変換層13で発生した正孔および電子は、第1電極11および第2電極15から読み出される。この読出し動作を高速に行うためには、第1電極11と第2電極15との間の距離を、光電変換するに足る距離であってかつ離間し過ぎない距離にすることが好ましい。即ち、素子基板10の厚みを小さくすることが好ましい。例えば、第1電極11と第2電極15との間の距離または素子基板10の厚みは、10μm以下、さらには7μm以下、さらには5μm以下である。
【0049】
読出回路基板20の半導体基板21は、配線層20Wおよび多層配線層22Cを間にして、素子基板10に対向している。この半導体基板21は、例えば、シリコン(Si)により構成されている。半導体基板21の表面(配線層20W側の面)近傍には、複数のトランジスタが設けられている。例えば、この複数のトランジスタを用いて、画素P毎に、読出回路(Read Out Circuit)が構成されている。配線層20Wは、例えば、素子基板10側から、層間絶縁膜22Aおよび層間絶縁膜22Bをこの順に有しており、これら層間絶縁膜22A,22Bは積層して設けられている。例えば、層間絶縁膜22A中に、コンタクト電極22Eおよびダミー電極22EDが設けられている。多層配線層22Cは、配線層20Wを間にして素子基板10に対向して設けられている。例えば、この多層配線層22C中に、パッド電極22Pおよび複数の配線22CB等が設けられている。層間絶縁膜22A,22Bは、例えば、無機絶縁材料により構成されている。この無機絶縁材料としては、例えば、窒化シリコン(SiN),酸化アルミニウム(Al2O3),酸化ケイ素(SiO2)および酸化ハフニウム(HfO2)等が挙げられる。
【0050】
コンタクト電極22Eは、第1電極11と配線22CBとを電気的に接続するためのものであり、素子領域R1に、画素P毎に設けられている。このコンタクト電極22Eは、素子基板10の接合面S2でコンタクト電極19Eに接している。隣り合うコンタクト電極22Eは、層間絶縁膜22Aにより電気的に分離されている。
【0051】
周辺領域R2に設けられたダミー電極22EDは、素子基板10の接合面S2でダミー電極19EDに接している。このダミー電極22EDは、例えば、コンタクト電極22Eと同一工程で形成されている。コンタクト電極22Eおよびダミー電極22EDは、例えば銅(Cu)パッドにより構成されており、読出回路基板20の素子基板10との対向面に露出されている。即ち、コンタクト電極19Eとコンタクト電極22Eとの間、および、ダミー電極19EDとダミー電極22EDとの間で例えばCuCu接合がなされている。詳細は後述するが、これにより、画素Pを微細化することが可能となる。
【0052】
コンタクト電極19Eに接続された配線22CBは、半導体基板21の表面近傍に設けられたトランジスタに接続されており、画素P毎に、第1電極11と読出回路とが接続されるようになっている。貫通孔H1を介して導電膜15Bに接続された配線22CBは、例えば所定の電位に接続されている。このように、光電変換層13で発生した電荷の一方(例えば、正孔)は、第1電極11から、コンタクト電極19E,22Eを介して読出回路に読み出され、光電変換層13で発生した電荷の他方(例えば、電子)は、第2電極15から、導電膜15Bを介して、所定の電位に排出されるようになっている。
【0053】
周辺領域R2に設けられたパッド電極22Pは、外部と電気的な接続を行うためのものである。受光素子1のチップ端E近傍には、素子基板10を貫通し、パッド電極22Pに達する貫通孔H2が設けられ、この貫通孔H2を介して外部と電気的な接続がなされるようになっている。接続は、例えば、ワイヤーボンドまたはバンプ等の方法によりなされる。例えば、貫通孔H2内に配置された外部端子から、第2電極15に、貫通孔H2読出回路基板20の配線22CBおよび導電膜15Bを介して所定の電位が供給されるようになっていてもよい。光電変換層13での光電変換の結果、第1電極11から読み出された信号電圧が、コンタクト電極19E,22Eを介して、半導体基板21の読出回路に読み出され、この読出回路を経由して貫通孔H2内に配置された外部端子に出力されるようになっていてもよい。信号電圧は、読出回路と共に、例えば、読出回路基板20に含まれる他の回路を経由して外部端子に出力されるようになっていてもよい。他の回路とは、例えば、信号処理回路および出力回路等である。
【0054】
読出回路基板20の厚みは、素子基板10の厚みよりも大きいことが好ましい。例えば、読出回路基板20の厚みは、素子基板10の厚みよりも、2倍以上、さらには5倍以上、さらには10倍以上大きいことが好ましい。あるいは、読出回路基板20の厚みは、例えば、100μm以上、あるいは、150μm以上、あるいは、200μm以上である。このような大きな厚みを有する読出回路基板20により、受光素子1の機械強度が確保される。なお、この読出回路基板20は、回路を形成する半導体基板21を1層のみ含むものであってもよいし、回路を形成する半導体基板21の他に、支持基板等の基板をさらに備えていてもよい。
【0055】
なお、多層配線層22Cには、パッド電極22Pおよび複数の配線22CBの他に、例えば、後述する、例えば、仮基板33と読出回路基板20との貼り合わせ(
図16E)やダイシング工程(
図16L)等において目印となるメタルパターン等が形成されていてもよい。但し、溝H3の下方、即ち、切り離し位置には、複数の配線22CBやメタルパターン等が形成されていないことが望ましい。これは、切り離し位置に複数の配線22CBやメタルパターン等があった場合、ダイシング後に露出する複数の配線22CBやメタルパターン等が膜剥がれの起点になる虞があるからである。このため、溝H3の下方の半導体基板21上には、絶縁膜のみが形成されていることが望ましい。これにより、ブレードBの摩耗を低減することができる。
【0056】
(1-2.受光素子の製造方法)
受光素子1は、例えば次のようにして製造することができる。
図6A~
図16Mは、受光素子1の製造工程を工程順に表したものである。
【0057】
まず、
図6Aに示したように、例えばInPからなる成長基板31上に、半導体層10Sをエピタキシャル成長させる。成長基板31の厚みは、例えば、数百μmであり、半導体層10Sの厚みは、例えば、数μmである。この後、
図6Bに示したように、半導体層10S上に接着層Bを成膜する。成長基板31の口径は、例えば、6インチ以下である。半導体層10Sの形成は、例えば、第1コンタクト層12を構成するn型のInP、光電変換層13を構成するi型のInGaAsおよび第2コンタクト層14を構成するn型のInPをこの順にエピタキシャル成長させて行う。成長基板31上に、例えばバッファ層およびストッパ層を形成した後に、半導体層10Sを形成するようにしてもよい。
【0058】
次に、
図6Cに示したように、接着層Bを間にして、仮基板33に、半導体層10Sを形成した成長基板31を接合する。仮基板33は、例えば、絶縁層(絶縁層33IA)と、基板33Sを有している。絶縁層33IAは、例えば、接着層Bと基板33Sとの間に配置されている。仮基板33には、成長基板31よりも大きな口径のものを用い、基板33Sには例えば、シリコン(Si)基板を用いる。仮基板33の口径は、例えば8インチ~12インチである。小口径の成長基板31を大口径の仮基板33に接合させることにより、素子基板10を形成する際に大口径の基板用の種々の装置を用いることが可能となる。これにより、例えば、読出回路基板20と素子基板10との接合をCuCu接合にし、画素Pを微細化することができる。仮基板33への成長基板31の接合は、プラズマ活性化接合,常温接合または接着剤を使用した接合(接着剤接合)等により行うようにしてもよい。このように、例えばウェハ状の半導体層10Sを仮基板33に接合する。仮基板33の厚みは、例えば、数百μmである。
【0059】
図7および
図8は、仮基板33および半導体層10S(成長基板31)の平面構成の一例を表している。ウェハ状態の仮基板33に、仮基板33よりも小さいウェハ状態の半導体層10Sを接合するようにしてもよく(
図7)、ウェハ状態の仮基板33に、チップ状態の半導体層10Sを互いに離間した状態で複数接合するようにしてもよい(
図8)。
【0060】
あるいは、
図9A,
図9Bに示したように、ウェハ状態の仮基板33に、仮基板33と同じ大きさのウェハ状態の半導体層10Sを接合するようにしてもよい。
図9Aは、仮基板33および半導体層10S(成長基板31)の平面構成を表し、
図9Bは、
図9AのII-II’線に沿った断面構成を表している。
【0061】
半導体層10Sを形成した成長基板31を仮基板33に接合した後、
図10Aに示したように、成長基板31を除去する。成長基板31の除去は、機械研削、CMP(Chemical Mechanical Polishing:化学機械研磨)、ウェットエッチングまたはドライエッチング等により行うことができる。このとき、成長基板31が一部残っていてもよい。また、半導体層10Sが一部エッチングされてもよい。
【0062】
続いて、
図10Bに示したように、例えば、仮基板33のマークに合わせて半導体層10Sを所定の大きさにエッチングする。これにより、複数のチップ状態の半導体層10Sが形成される。
【0063】
図11Aは、成形前の半導体層10Sの平面構成の一例を表し、
図11Bは、
図11Aに続く成形後の半導体層10Sの平面構成の一例を表している。
図12Aは、成形前の半導体層10Sの平面構成の他の例を表し、
図12Bは、
図12Aに続く成形後の半導体層10Sの平面構成の他の例を表している。このように、仮基板33よりも小さい(
図11A)あるいは仮基板33と同じ大きさ(
図12A)のウェハ状態の半導体層10Sが、複数のチップ状態の半導体層10Sに成形される。
【0064】
あるいは、
図13A,
図13Bに示したように、チップ状態の複数の半導体層10Sが、より小さいチップ状態の複数の半導体層10Sに成形されてもよい。
【0065】
この半導体層10Sのエッチングの際、接着層Bは例えば、半導体層10Sと共に、エッチングされる。接着層Bは、半導体層10Sよりも拡幅して残存し、半導体層10Sの周囲に接着層Bが広がっていてもよい(
図10B)。
【0066】
あるいは、
図14に示したように、接着層Bが、半導体層10Sよりも狭まり、半導体層10Sと仮基板33との間に空隙が生じていてもよい。接着層Bは、半導体層10Sと同じ大きさにエッチングされてもよい。
【0067】
図15に示したように、半導体層10Sのエッチングの際に、接着層Bはエッチングされなくてもよい。以降、複数のチップ状態の半導体層10Sのうち、2つの半導体層10Sを図示する。
【0068】
半導体層10Sを成形した後、
図16Aに示したように、半導体層10Sに、画素P毎に拡散領域12Aを形成する。これにより、素子分離がなされる。拡散領域12Aの形成には、例えば、絶縁膜17Aをハードマスクとして用いる。具体的には、半導体層10Sの上面(仮基板33との接合面と反対の面)および側面を覆うように絶縁膜17Aを成膜した後、半導体層10Sの上面を覆う絶縁膜17Aにエッチングにより開口17Hを形成する。その後、絶縁膜17Aをハードマスクとしてp型不純物の気相拡散を行う。これにより選択的な領域に拡散領域12Aが形成される。拡散深さは、例えば、数百nmであり、略等方拡散される。拡散領域12Aは、固相拡散やレジストマスクを用いてイオンインプラテーション等により形成するようにしてもよい。ここでは、大口径の仮基板33上に設けられた半導体層10Sに拡散領域12Aを形成するので、画素Pを微細化することが可能となる。
【0069】
半導体層10Sに拡散領域12Aを設けた後、
図16Bに示したように、半導体層10S上に、第1電極11を形成する。例えば、第1電極11は、絶縁膜17に設けた開口に、CVD法、PVD法、ALD法または蒸着法等によりチタン(Ti)/タングステン(W)の積層膜を成膜した後、この積層膜をフォトリソグラフィおよびエッチングを用いてパターニングすることにより形成する。第1電極11を形成した後、
図16Bに示したように、仮基板33の全面に絶縁膜17Bを成膜する。
【0070】
絶縁膜17Bを成膜した後、
図16Cに示したように、仮基板33の全面に埋込層18を形成する。埋込層18は、例えば、仮基板33の全面に半導体層10Sを埋め込むように絶縁材料を成膜した後、これをCMP(Chemical Mechanical Polishing)により平坦化して形成する。このとき、絶縁膜17Bが平坦化処理のストッパとして機能し、過度の研磨を防ぐことができる。また、絶縁膜17Bは、第1電極11にコンタクト電極19Eを接続する際のビア加工においてもストッパとして機能する。これにより、半導体層10Sの周囲(周辺領域R2)および、半導体層10Sの上面(仮基板33から最も離れた面)を覆う埋込層18が形成される。半導体層10Sと仮基板33との段差は、埋込層18によって埋められるので、これらの段差に起因した製造工程の不具合の発生が抑えられる。
【0071】
埋込層18を形成した後、
図16Dに示したように、埋込層18を間にして半導体層10Sに対向する配線層10Wを形成する。例えば、埋込層18上に、層間絶縁膜19Aおよび層間絶縁膜19Bをこの順に成膜した後、層間絶縁膜19A,19Bの第1電極11に対向する領域に、埋込層18および絶縁膜17Bを貫通する開口19H1,19H2を形成する。この層間絶縁膜19A,19Bの開口19H1,19H2に、蒸着法、PVD法またはメッキ法等により銅(Cu)膜を成膜した後、例えばCMP法を用いて銅膜の表面を研磨することによりコンタクト電極19Eを形成する。例えば、このコンタクト電極19Eの形成工程と同一工程で、周辺領域R2にはダミー電極19EDを形成する。ここでは、大口径の仮基板33上に配線層10Wを形成するので、大口径の基板用の種々の装置を用いることが可能となる。
【0072】
配線層10Wを形成した後、
図16Eに示したように、配線層10Wを間にして、仮基板33に読出回路基板20を貼り合わせる。このとき、読出回路基板20には、予め配線層20Wを形成しておく。読出回路基板20の配線層20Wは、コンタクト電極22E、ダミー電極22EDを有しており、読出回路基板20を仮基板33に貼り合わせる際には、例えば、配線層20Wのコンタクト電極22E、ダミー電極22EDと配線層10Wのコンタクト電極19E、ダミー電極19EDとがCuCu接合される。より具体的には、素子領域R1では、コンタクト電極19Eとコンタクト電極22Eとが接合された接合面S2が形成され、周辺領域R2ではダミー電極19EDとダミー電極22EDとが接合された接合面S2が形成される。ここでは、素子基板10の周辺領域R2も、読出回路基板20に接合される。
【0073】
仮基板33に読出回路基板20を貼り合わせた後、
図16Fに示したように、仮基板33を除去する。仮基板33は、例えば、機械研削、ウェットエッチングまたはドライエッチング等を用いることにより除去することができる。
【0074】
仮基板33を除去した後、
図16Gに示したように、絶縁層33IAおよび接着層B等も除去し、半導体層10Sの表面を露出させる。このとき、半導体層10Sの不要な層を除去するようにしてもよい。また、半導体層10S開口部以外の絶縁層33IAまたは絶縁膜17A,17Bを全部または一部残すようにしてもよく、あるいは、埋込層18を途中まで掘り込んでもよい。
【0075】
続いて、
図16Hに示したように、仮基板33が除去されることにより露出された半導体層10Sの面(配線層10Wが設けられた面と反対の面)上に第2電極15およびパッシベーション膜16Aをこの順に形成する。その後、
図16Iに示したように、貫通孔H1および導電膜15Bおよびパッシベーション膜16Bをこの順に形成する。これにより、第2電極15と読出回路基板20とが電気的に接続される。
【0076】
次に、
図16Jおよび
図16Kに示したように、素子基板10を貫通し、読出回路基板20のパッド電極22Pに達する貫通孔H2を形成する。また、貫通孔H2の外側に、例えば格子状の溝H3を形成する。なお、
図16Jは、
図16Kに示したIII-III’線における断面構成を示している。この溝H3が、次のダイシング工程(
図16L)における素子基板10および読出回路基板20の切り離し位置となる。
【0077】
溝H3は、ダイシング工程において用いるブレードBの幅(W2)よりも大きな幅(W1)を有すると共に、素子基板10と読出回路基板20との接合面S2よりも深い位置、例えば、貫通孔H2の底面に露出するパッド電極22Pよりも深い位置に底面を有している。溝H3の形成位置には、上述したように、配線22CBやその他のメタルパターン等は形成されておらず、絶縁膜のみが形成されていることが好ましい。これにより、溝H3は、貫通孔H2と同一行程で形成することができる。なお、貫通孔H2および溝H3は、一回のエッチングで形成してもよいし、複数回のエッチング(多段階エッチング)により形成するようにしてもよい。多段階エッチングによって形成された貫通孔H2および溝H3は、側面に段差が形成される。
【0078】
最後に、
図16Lに示したように、溝H3内にブレードBを挿入して素子基板10および読出回路基板20を、チップごとに切り離す。これにより、ダイシング時における、素子基板10と読出回路基板20との接合面S2、例えば、コンタクト電極19Eとコンタクト電極22Eとの間、および、ダミー電極19EDとダミー電極22EDとの間でなされたCuCu接合面以外の接合面における剥がれを防止することができる。以上により、
図16Mに示したように、素子基板10および読出回路基板20の側面(チップ端E)には、溝H3による窪みを有する受光素子1が完成する。
【0079】
なお、
図1や
図16M等では、溝H3が半導体基板21の平面方向(XY平面方向)に対して法線方向(Z軸方向)に平行な側面を有している例を示したが、溝H3の側面はテーパを有していてもよい。また、上記のように、貫通孔H2と溝H3とを多段階エッチングによって形成した場合には、側面に段差が形成される場合がある。
【0080】
(1-3.受光素子の動作)
受光素子1では、パッシベーション膜16A,16B、第2電極15および第2コンタクト層14を介して、光電変換層13へ光(例えば可視領域および赤外領域の波長の光)が入射すると、この光が光電変換層13において吸収される。これにより、光電変換層13では正孔(ホール)および電子の対が発生する(光電変換される)。このとき、例えば第1電極11に所定の電圧が印加されると、光電変換層13に電位勾配が生じ、発生した電荷のうち一方の電荷(例えば正孔)が、信号電荷として拡散領域12Aに移動し、拡散領域12Aから第1電極11へ収集される。この信号電荷が、コンタクト電極19E,22Eを通じて半導体基板21に移動し、画素P毎に読み出される。
【0081】
(1-4.作用・効果)
本実施の形態の受光素子1は、素子領域R1の外側の周辺領域R2の周縁部に、素子基板10の表面(光入射面S1側)から読出回路基板20の、例えば多層配線層22Cまで達する溝H3を設けるようにした。これにより、素子基板10と読出回路基板20とを接合面S2の剥がれが防止される。以下、これについて説明する。
【0082】
前述したように、近年、赤外領域に感度を有するイメージセンサ(赤外線センサ)が商品化されており、例えば、化合物半導体層と配線層とが積層された素子基板と回路基板とをCuCu接合によって貼り合わせた半導体素子が報告されている。
【0083】
このような半導体素子では、素子基板に半導体基板はなく、絶縁膜しかない。このため、素子基板と回路基板との接合を押さえつける力が弱く、ダイシング時に素子基板と回路基板との接合界面から剥がれが生じる虞がある。
【0084】
これに対して本実施の形態では、周辺領域R2の貫通孔H2の外側に、素子基板10の表面(光入射面S1側)から、素子基板10と読出回路基板20との接合面S2よりも深い溝H3を設け、ダイシング時に、この溝H3内において素子基板10および読出回路基板20をチップごとに切り離すようにした。これにより、ダイシング後のチップ端E(受光素子1の周縁部)には、溝H3に由来する窪みが形成されると共に、素子基板10と読出回路基板20との接合面S2の剥がれを防ぐことが可能となる。
【0085】
以上のように、本実施の形態の受光素子1では、周辺領域R2の周縁部に、素子基板10から、素子基板10と読出回路基板20との接合面よりも深い溝H3を設け、この溝H3内においてダイシングを行うようにしたので、素子基板10と読出回路基板20との接合面S2の剥がれを防止することが可能となる。よって、信頼性を向上させることが可能となる。加えて、製造歩留まりも向上させることが可能となる。
【0086】
以下、上記実施の形態に対する変形例(変形例1~4)について説明するが、以降の説明において上記実施の形態と同一構成部分については同一符号を付してその説明は適宜省略する。
【0087】
<2.変形例>
(2-1.変形例1)
図17は、本開示の変形例1に係る半導体素子(受光素子1A)の断面構成の一例を模式的に表したものである。上記実施の形態では、ブレードBの幅(W2)よりも幅広な溝H3を設け、この溝H3内においてダイシングを行うようにしたが、これに限らない。例えば、複数のチップ状の半導体層10Sの間に所定の間隔で複数の溝H3を設け、その複数の溝H3の間でダイシングを行うようにしてもよい。この場合、ダイシング後に得られる受光素子1Aには、
図17に示したように、周辺領域R2の周縁部近傍に、素子基板10の表面(光入射面S1側)から、例えば、読出回路基板20の多層配線層22Cの層内に達する溝H3が形成される。
【0088】
このように、複数のチップ状の半導体層10Sの間に所定の間隔で複数の溝H3を設け、その複数の溝H3の間でダイシングを行うことにより、例えば、ダイシング後のチップ端部Eにおいて剥がれが生じた場合、素子基板10と読出回路基板20との接合面における剥がれは、溝H3の外側で止まるようになる。よって、本変形例の受光素子1Aは、上記実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0089】
なお、
図17では、受光素子1Aの周縁部近傍に1つの溝H3が形成されている例を示したが、溝H3は、
図18に示した受光素子1Bのように、複数形成されていてもよい。また、周縁部近傍に形成される複数の溝H3の幅は、各々異なっていてもよい。
【0090】
(2-2.変形例2)
図19は、本開示の変形例2に係る半導体素子(受光素子1C)の断面構成の一例を模式的に表したものである。本変形例の受光素子1Cは、上記実施の形態と変形例1とを組み合わせたものである。即ち、受光素子1Cは、周辺領域R2の周縁部およびその近傍の両方に、素子基板10の表面(光入射面S1側)から、例えば、読出回路基板20の多層配線層22Cの層内に達する複数(例えば2つ)の溝H3が形成されたものである。
【0091】
本変形例の受光素子1Cは、例えば、
図16Iに示したように、貫通孔H1および導電膜15Bおよびパッシベーション膜16Bをこの順に形成した後、
図20Aおよび
図20Bに示したように、複数のチップ状の半導体層10Sの間に、例えば、3つの溝H3(溝H3-1,H3-2,H-3)を形成する。このとき、溝H3-1,H3-2,H-3のうち、溝H3-2の幅は、上記実施の形態における溝H3と同様に、ブレードBの幅(W2)よりも幅広に形成することが好ましい。ダイシング時には、この溝H3-2内にブレードBを挿入して素子基板10および読出回路基板20を、チップごとに切り離す。これにより、ダイシング後に得られる受光素子1Cには、周縁部およびその近傍に2つの溝H3が形成される。
【0092】
このように、本変形例の受光素子1Cでは、複数のチップ状の半導体層10Sの間に、例えば、3つの溝H3(溝H3-1,H3-2,H-3)を設け、そのうちの真ん中の溝H3-2をブレードBの幅よりも幅広に形成し、この溝H3-2において素子基板10と読出回路基板20とを切り離すようにしたので、素子基板10と読出回路基板20との接合面S2の剥がれを防ぐことが可能となる。また、万一、チップ端Eから剥がれが生じた場合でも、周縁部近傍に形成された溝H3(例えば、溝H3-1)において剥がれを止めることが可能となる。よって、信頼性および製造歩留まりをさらに向上させることが可能となる。
【0093】
(2-3.変形例3)
図21は、本開示の変形例3に係る半導体素子(受光素子1D)の断面構成の一例を模式的に表したものである。本変形例の受光素子1Dは、読出回路基板20の、素子基板10との接合面とは反対の面(裏面S3側)から貫通孔H2および溝H3を設けたものである。このように、上記実施の形態および変形例1,2では、貫通孔H2および溝H3を、素子基板10の光入射面S1側から設ける例を示したが、読出回路基板20の裏面S3側から設けるようにしてもよい。その場合も溝H3は、素子基板10と読出回路基板20との接合面S2よりも深い、例えば、埋込層18まで達するように形成する。
【0094】
また、
図21では、上記実施の形態と同様に、周辺領域R2の周縁部(チップ端E)に溝H3を設けた例を示したが、これに限らない。例えば、
図22に示した受光素子1Eのように、上記変形例1と同様に、周辺領域R2の周縁部近傍に、1または複数の溝H3を設けるようにしてもよい。また、
図23に示した受光素子1Fのように、上記変形例2と同様に、周辺領域R2の周縁部およびその近傍に複数の溝H3を設けるようにしてもよい。
【0095】
上記受光素子1D~1Fにおいても、上記実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0096】
(2-4.変形例4)
図24は、上記実施の形態の変形例4に係る受光素子(受光素子1G)の断面構成を表したものである。この受光素子1Gは、素子基板10の光入射面S1(読出回路基板20との対向面と反対面)にカラーフィルタ層41およびオンチップレンズ(集光レンズ)42を有している。この点を除き、受光素子1Gは受光素子1と同様の構成および効果を有している。
【0097】
例えば、受光素子1Gでは、素子基板10のパッシベーション膜16上に、平坦化膜16Cを間にして、例えば、RGBに対応するカラーフィルタ層41およびオンチップレンズ42がこの順に設けられている。カラーフィルタ層41は、IR(Infrared)フィルタを含んでいてもよい。カラーフィルタ層41を設けることにより、画素P毎に対応する波長の受光データを得ることができる。
【0098】
オンチップレンズ42は、受光素子1Gに入射した光を光電変換層13に集めるためのものである。オンチップレンズ42は、例えば有機材料または酸化シリコン(SiO2)等により構成されている。受光素子1Gでは、周辺領域R2に埋込層18が設けられているので、素子基板10の素子領域R1と周辺領域R2との間の段差が小さくなり、あるいは、無くなり、平坦な光入射面S1が形成される。これにより、例えばフォトリソグラフィ工程を用いて、高い精度でオンチップレンズ42を形成することが可能となる。例えば、カラーフィルタ層41およびオンチップレンズ42は、素子領域R1内で終端している。パッシベーション膜16とカラーフィルタ層41との間に配置された平坦化膜16Cは、例えば、素子領域R1から周辺領域R2にわたって設けられており、周辺領域R2内で終端されている。カラーフィルタ層41、オンチップレンズ42および平坦化膜16Cは、各々、素子領域R1内、または周辺領域R2内のいずれの位置で終端されていてもよい。
【0099】
本変形例のように、素子基板10の光入射面S1にカラーフィルタ層41およびオンチップレンズ42を設けるようにしてもよい。この場合にも、上記実施の形態と同等の効果を得ることができる。また、第2コンタクト層14の膜厚を例えば5nm~300nmとし、本変形例の構成とすることにより、色別の画素信号の読み出しも行うことが可能となる。更に、埋込層18により平坦化された光入射面S1には、高い精度で容易にオンチップレンズ42を形成することができる。
【0100】
<3.適用例>
(適用例1)
図25は、上記実施の形態等において説明した受光素子(例えば、受光素子1)の素子構造を用いた撮像素子2の機能構成を表したものである。撮像素子2は、例えば赤外線イメージセンサであり、例えば受光素子1に設けられた素子領域R1と、この素子領域R1を駆動する回路部130とを有している。回路部130は、例えば行走査部131、水平選択部133、列走査部134およびシステム制御部132を有している。
【0101】
素子領域R1は、例えば行列状に2次元配置された複数の画素P(受光素子1)を有している。画素Pには、例えば画素行ごとに画素駆動線Lread(例えば、行選択線およびリセット制御線)が配線され、画素列ごとに垂直信号線Lsigが配線されている。画素駆動
線Lreadは、画素Pからの信号読み出しのための駆動信号を伝送するものである。画素駆動線Lreadの一端は、行走査部131の各行に対応した出力端に接続されている。
【0102】
行走査部131は、シフトレジスタやアドレスデコーダ等によって構成され、素子領域R1の各画素Pを、例えば行単位で駆動する画素駆動部である。行走査部131によって選択走査された画素行の各画素Pから出力される信号は、垂直信号線Lsigの各々を通し
て水平選択部133に供給される。水平選択部133は、垂直信号線Lsigごとに設けら
れたアンプや水平選択スイッチ等によって構成されている。
【0103】
列走査部134は、シフトレジスタやアドレスデコーダ等によって構成され、水平選択部133の各水平選択スイッチを走査しつつ順番に駆動するものである。この列走査部134による選択走査により、垂直信号線Lsigの各々を通して伝送される各画素の信号が
順番に水平信号線135に出力され、当該水平信号線135を通して図示しない信号処理部等へ入力される。
【0104】
この撮像素子2では、
図26に示したように、例えば、素子領域R1を有する素子基板10と、回路部130を有する読出回路基板20とが積層されている。但し、このような構成に限定されず、回路部130は、素子領域R1と同一の基板上に形成されていてもよいし、あるいは外部制御ICに配設されたものであってもよい。また、回路部130は、ケーブル等により接続された他の基板に形成されていてもよい。
【0105】
システム制御部132は、外部から与えられるクロックや、動作モードを指令するデータなどを受け取り、また、撮像素子2の内部情報などのデータを出力するものである。システム制御部132はさらに、各種のタイミング信号を生成するタイミングジェネレータを有し、当該タイミングジェネレータで生成された各種のタイミング信号を基に行走査部131、水平選択部133および列走査部134などの駆動制御を行う。
【0106】
(適用例2)
上述の撮像素子2は、例えば赤外領域を撮像可能なカメラなど、様々なタイプの電子機器に適用することができる。
図27に、その一例として、電子機器3(カメラ)の概略構成を示す。この電子機器3は、例えば静止画または動画を撮影可能なカメラであり、撮像素子2と、光学系(光学レンズ)210と、シャッタ装置211と、撮像素子2およびシャッタ装置211を駆動する駆動部213と、信号処理部212とを有する。
【0107】
光学系210は、被写体からの像光(入射光)を撮像素子2へ導くものである。この光学系210は、複数の光学レンズから構成されていてもよい。シャッタ装置211は、撮像素子2への光照射期間および遮光期間を制御するものである。駆動部213は、撮像素子2の転送動作およびシャッタ装置211のシャッタ動作を制御するものである。信号処理部212は、撮像素子2から出力された信号に対し、各種の信号処理を行うものである。信号処理後の映像信号Doutは、メモリなどの記憶媒体に記憶されるか、あるいは、モ
ニタ等に出力される。
【0108】
更に、本実施の形態等において説明した受光素子(例えば、受光素子1)は、下記電子機器にも適用することが可能である。
【0109】
<4.応用例>
<内視鏡手術システムへの応用例>
本開示に係る技術(本技術)は、様々な製品へ応用することができる。例えば、本開示に係る技術は、内視鏡手術システムに適用されてもよい。
【0110】
図28は、本開示に係る技術(本技術)が適用され得る内視鏡手術システムの概略的な構成の一例を示す図である。
【0111】
図28では、術者(医師)11131が、内視鏡手術システム11000を用いて、患者ベッド11133上の患者11132に手術を行っている様子が図示されている。図示するように、内視鏡手術システム11000は、内視鏡11100と、気腹チューブ11111やエネルギー処置具11112等の、その他の術具11110と、内視鏡11100を支持する支持アーム装置11120と、内視鏡下手術のための各種の装置が搭載されたカート11200と、から構成される。
【0112】
内視鏡11100は、先端から所定の長さの領域が患者11132の体腔内に挿入される鏡筒11101と、鏡筒11101の基端に接続されるカメラヘッド11102と、から構成される。図示する例では、硬性の鏡筒11101を有するいわゆる硬性鏡として構成される内視鏡11100を図示しているが、内視鏡11100は、軟性の鏡筒を有するいわゆる軟性鏡として構成されてもよい。
【0113】
鏡筒11101の先端には、対物レンズが嵌め込まれた開口部が設けられている。内視鏡11100には光源装置11203が接続されており、当該光源装置11203によって生成された光が、鏡筒11101の内部に延設されるライトガイドによって当該鏡筒の先端まで導光され、対物レンズを介して患者11132の体腔内の観察対象に向かって照射される。なお、内視鏡11100は、直視鏡であってもよいし、斜視鏡又は側視鏡であってもよい。
【0114】
カメラヘッド11102の内部には光学系及び撮像素子が設けられており、観察対象からの反射光(観察光)は当該光学系によって当該撮像素子に集光される。当該撮像素子によって観察光が光電変換され、観察光に対応する電気信号、すなわち観察像に対応する画像信号が生成される。当該画像信号は、RAWデータとしてカメラコントロールユニット(CCU: Camera Control Unit)11201に送信される。
【0115】
CCU11201は、CPU(Central Processing Unit)やGPU(Graphics Processing Unit)等によって構成され、内視鏡11100及び表示装置11202の動作を統括的に制御する。さらに、CCU11201は、カメラヘッド11102から画像信号を受け取り、その画像信号に対して、例えば現像処理(デモザイク処理)等の、当該画像信号に基づく画像を表示するための各種の画像処理を施す。
【0116】
表示装置11202は、CCU11201からの制御により、当該CCU11201によって画像処理が施された画像信号に基づく画像を表示する。
【0117】
光源装置11203は、例えばLED(light emitting diode)等の光源から構成され、術部等を撮影する際の照射光を内視鏡11100に供給する。
【0118】
入力装置11204は、内視鏡手術システム11000に対する入力インタフェースである。ユーザは、入力装置11204を介して、内視鏡手術システム11000に対して各種の情報の入力や指示入力を行うことができる。例えば、ユーザは、内視鏡11100による撮像条件(照射光の種類、倍率及び焦点距離等)を変更する旨の指示等を入力する。
【0119】
処置具制御装置11205は、組織の焼灼、切開又は血管の封止等のためのエネルギー処置具11112の駆動を制御する。気腹装置11206は、内視鏡11100による視野の確保及び術者の作業空間の確保の目的で、患者11132の体腔を膨らめるために、気腹チューブ11111を介して当該体腔内にガスを送り込む。レコーダ11207は、手術に関する各種の情報を記録可能な装置である。プリンタ11208は、手術に関する各種の情報を、テキスト、画像又はグラフ等各種の形式で印刷可能な装置である。
【0120】
なお、内視鏡11100に術部を撮影する際の照射光を供給する光源装置11203は、例えばLED、レーザ光源又はこれらの組み合わせによって構成される白色光源から構成することができる。RGBレーザ光源の組み合わせにより白色光源が構成される場合には、各色(各波長)の出力強度及び出力タイミングを高精度に制御することができるため、光源装置11203において撮像画像のホワイトバランスの調整を行うことができる。また、この場合には、RGBレーザ光源それぞれからのレーザ光を時分割で観察対象に照射し、その照射タイミングに同期してカメラヘッド11102の撮像素子の駆動を制御することにより、RGBそれぞれに対応した画像を時分割で撮像することも可能である。当該方法によれば、当該撮像素子にカラーフィルタを設けなくても、カラー画像を得ることができる。
【0121】
また、光源装置11203は、出力する光の強度を所定の時間ごとに変更するようにその駆動が制御されてもよい。その光の強度の変更のタイミングに同期してカメラヘッド11102の撮像素子の駆動を制御して時分割で画像を取得し、その画像を合成することにより、いわゆる黒つぶれ及び白とびのない高ダイナミックレンジの画像を生成することができる。
【0122】
また、光源装置11203は、特殊光観察に対応した所定の波長帯域の光を供給可能に構成されてもよい。特殊光観察では、例えば、体組織における光の吸収の波長依存性を利用して、通常の観察時における照射光(すなわち、白色光)に比べて狭帯域の光を照射することにより、粘膜表層の血管等の所定の組織を高コントラストで撮影する、いわゆる狭帯域光観察(Narrow Band Imaging)が行われる。あるいは、特殊光観察では、励起光を照射することにより発生する蛍光により画像を得る蛍光観察が行われてもよい。蛍光観察では、体組織に励起光を照射し当該体組織からの蛍光を観察すること(自家蛍光観察)、又はインドシアニングリーン(ICG)等の試薬を体組織に局注するとともに当該体組織にその試薬の蛍光波長に対応した励起光を照射し蛍光像を得ること等を行うことができる。光源装置11203は、このような特殊光観察に対応した狭帯域光及び/又は励起光を供給可能に構成され得る。
【0123】
図29は、
図28に示すカメラヘッド11102及びCCU11201の機能構成の一例を示すブロック図である。
【0124】
カメラヘッド11102は、レンズユニット11401と、撮像部11402と、駆動部11403と、通信部11404と、カメラヘッド制御部11405と、を有する。CCU11201は、通信部11411と、画像処理部11412と、制御部11413と、を有する。カメラヘッド11102とCCU11201とは、伝送ケーブル11400によって互いに通信可能に接続されている。
【0125】
レンズユニット11401は、鏡筒11101との接続部に設けられる光学系である。鏡筒11101の先端から取り込まれた観察光は、カメラヘッド11102まで導光され、当該レンズユニット11401に入射する。レンズユニット11401は、ズームレンズ及びフォーカスレンズを含む複数のレンズが組み合わされて構成される。
【0126】
撮像部11402を構成する撮像素子は、1つ(いわゆる単板式)であってもよいし、複数(いわゆる多板式)であってもよい。撮像部11402が多板式で構成される場合には、例えば各撮像素子によってRGBそれぞれに対応する画像信号が生成され、それらが合成されることによりカラー画像が得られてもよい。あるいは、撮像部11402は、3D(dimensional)表示に対応する右目用及び左目用の画像信号をそれぞれ取得するための1対の撮像素子を有するように構成されてもよい。3D表示が行われることにより、術者11131は術部における生体組織の奥行きをより正確に把握することが可能になる。なお、撮像部11402が多板式で構成される場合には、各撮像素子に対応して、レンズユニット11401も複数系統設けられ得る。
【0127】
また、撮像部11402は、必ずしもカメラヘッド11102に設けられなくてもよい。例えば、撮像部11402は、鏡筒11101の内部に、対物レンズの直後に設けられてもよい。
【0128】
駆動部11403は、アクチュエータによって構成され、カメラヘッド制御部11405からの制御により、レンズユニット11401のズームレンズ及びフォーカスレンズを光軸に沿って所定の距離だけ移動させる。これにより、撮像部11402による撮像画像の倍率及び焦点が適宜調整され得る。
【0129】
通信部11404は、CCU11201との間で各種の情報を送受信するための通信装置によって構成される。通信部11404は、撮像部11402から得た画像信号をRAWデータとして伝送ケーブル11400を介してCCU11201に送信する。
【0130】
また、通信部11404は、CCU11201から、カメラヘッド11102の駆動を制御するための制御信号を受信し、カメラヘッド制御部11405に供給する。当該制御信号には、例えば、撮像画像のフレームレートを指定する旨の情報、撮像時の露出値を指定する旨の情報、並びに/又は撮像画像の倍率及び焦点を指定する旨の情報等、撮像条件に関する情報が含まれる。
【0131】
なお、上記のフレームレートや露出値、倍率、焦点等の撮像条件は、ユーザによって適宜指定されてもよいし、取得された画像信号に基づいてCCU11201の制御部11413によって自動的に設定されてもよい。後者の場合には、いわゆるAE(Auto Exposure)機能、AF(Auto Focus)機能及びAWB(Auto White Balance)機能が内視鏡11100に搭載されていることになる。
【0132】
カメラヘッド制御部11405は、通信部11404を介して受信したCCU11201からの制御信号に基づいて、カメラヘッド11102の駆動を制御する。
【0133】
通信部11411は、カメラヘッド11102との間で各種の情報を送受信するための通信装置によって構成される。通信部11411は、カメラヘッド11102から、伝送ケーブル11400を介して送信される画像信号を受信する。
【0134】
また、通信部11411は、カメラヘッド11102に対して、カメラヘッド11102の駆動を制御するための制御信号を送信する。画像信号や制御信号は、電気通信や光通信等によって送信することができる。
【0135】
画像処理部11412は、カメラヘッド11102から送信されたRAWデータである画像信号に対して各種の画像処理を施す。
【0136】
制御部11413は、内視鏡11100による術部等の撮像、及び、術部等の撮像により得られる撮像画像の表示に関する各種の制御を行う。例えば、制御部11413は、カメラヘッド11102の駆動を制御するための制御信号を生成する。
【0137】
また、制御部11413は、画像処理部11412によって画像処理が施された画像信号に基づいて、術部等が映った撮像画像を表示装置11202に表示させる。この際、制御部11413は、各種の画像認識技術を用いて撮像画像内における各種の物体を認識してもよい。例えば、制御部11413は、撮像画像に含まれる物体のエッジの形状や色等を検出することにより、鉗子等の術具、特定の生体部位、出血、エネルギー処置具11112の使用時のミスト等を認識することができる。制御部11413は、表示装置11202に撮像画像を表示させる際に、その認識結果を用いて、各種の手術支援情報を当該術部の画像に重畳表示させてもよい。手術支援情報が重畳表示され、術者11131に提示されることにより、術者11131の負担を軽減することや、術者11131が確実に手術を進めることが可能になる。
【0138】
カメラヘッド11102及びCCU11201を接続する伝送ケーブル11400は、電気信号の通信に対応した電気信号ケーブル、光通信に対応した光ファイバ、又はこれらの複合ケーブルである。
【0139】
ここで、図示する例では、伝送ケーブル11400を用いて有線で通信が行われていたが、カメラヘッド11102とCCU11201との間の通信は無線で行われてもよい。
【0140】
以上、本開示に係る技術が適用され得る内視鏡手術システムの一例について説明した。本開示に係る技術は、以上説明した構成のうち、例えば、撮像部11402に適用され得る。撮像部11402に本開示に係る技術を適用することにより、検出精度が向上する。
【0141】
なお、ここでは、一例として内視鏡手術システムについて説明したが、本開示に係る技術は、その他、例えば、顕微鏡手術システム等に適用されてもよい。
【0142】
<移動体への応用例>
本開示に係る技術(本技術)は、様々な製品へ応用することができる。例えば、本開示に係る技術は、自動車、電気自動車、ハイブリッド電気自動車、自動二輪車、自転車、パーソナルモビリティ、飛行機、ドローン、船舶、ロボット等のいずれかの種類の移動体に搭載される装置として実現されてもよい。
【0143】
図30は、本開示に係る技術が適用され得る移動体制御システムの一例である車両制御システムの概略的な構成例を示すブロック図である。
【0144】
車両制御システム12000は、通信ネットワーク12001を介して接続された複数の電子制御ユニットを備える。
図30に示した例では、車両制御システム12000は、駆動系制御ユニット12010、ボディ系制御ユニット12020、車外情報検出ユニット12030、車内情報検出ユニット12040、及び統合制御ユニット12050を備える。また、統合制御ユニット12050の機能構成として、マイクロコンピュータ12051、音声画像出力部12052、及び車載ネットワークI/F(Interface)12053が図示されている。
【0145】
駆動系制御ユニット12010は、各種プログラムにしたがって車両の駆動系に関連する装置の動作を制御する。例えば、駆動系制御ユニット12010は、内燃機関又は駆動用モータ等の車両の駆動力を発生させるための駆動力発生装置、駆動力を車輪に伝達するための駆動力伝達機構、車両の舵角を調節するステアリング機構、及び、車両の制動力を発生させる制動装置等の制御装置として機能する。
【0146】
ボディ系制御ユニット12020は、各種プログラムにしたがって車体に装備された各種装置の動作を制御する。例えば、ボディ系制御ユニット12020は、キーレスエントリシステム、スマートキーシステム、パワーウィンドウ装置、あるいは、ヘッドランプ、バックランプ、ブレーキランプ、ウィンカー又はフォグランプ等の各種ランプの制御装置として機能する。この場合、ボディ系制御ユニット12020には、鍵を代替する携帯機から発信される電波又は各種スイッチの信号が入力され得る。ボディ系制御ユニット12020は、これらの電波又は信号の入力を受け付け、車両のドアロック装置、パワーウィンドウ装置、ランプ等を制御する。
【0147】
車外情報検出ユニット12030は、車両制御システム12000を搭載した車両の外部の情報を検出する。例えば、車外情報検出ユニット12030には、撮像部12031が接続される。車外情報検出ユニット12030は、撮像部12031に車外の画像を撮像させるとともに、撮像された画像を受信する。車外情報検出ユニット12030は、受信した画像に基づいて、人、車、障害物、標識又は路面上の文字等の物体検出処理又は距離検出処理を行ってもよい。
【0148】
撮像部12031は、光を受光し、その光の受光量に応じた電気信号を出力する光センサである。撮像部12031は、電気信号を画像として出力することもできるし、測距の情報として出力することもできる。また、撮像部12031が受光する光は、可視光であっても良いし、赤外線等の非可視光であっても良い。
【0149】
車内情報検出ユニット12040は、車内の情報を検出する。車内情報検出ユニット12040には、例えば、運転者の状態を検出する運転者状態検出部12041が接続される。運転者状態検出部12041は、例えば運転者を撮像するカメラを含み、車内情報検出ユニット12040は、運転者状態検出部12041から入力される検出情報に基づいて、運転者の疲労度合い又は集中度合いを算出してもよいし、運転者が居眠りをしていないかを判別してもよい。
【0150】
マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030又は車内情報検出ユニット12040で取得される車内外の情報に基づいて、駆動力発生装置、ステアリング機構又は制動装置の制御目標値を演算し、駆動系制御ユニット12010に対して制御指令を出力することができる。例えば、マイクロコンピュータ12051は、車両の衝突回避あるいは衝撃緩和、車間距離に基づく追従走行、車速維持走行、車両の衝突警告、又は車両のレーン逸脱警告等を含むADAS(Advanced Driver Assistance System)の機能実現を目的とした協調制御を行うことができる。
【0151】
また、マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030又は車内情報検出ユニット12040で取得される車両の周囲の情報に基づいて駆動力発生装置、ステアリング機構又は制動装置等を制御することにより、運転者の操作に拠らずに自律的に走行する自動運転等を目的とした協調制御を行うことができる。
【0152】
また、マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030で取得される車外の情報に基づいて、ボディ系制御ユニット12020に対して制御指令を出力することができる。例えば、マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030で検知した先行車又は対向車の位置に応じてヘッドランプを制御し、ハイビームをロービームに切り替える等の防眩を図ることを目的とした協調制御を行うことができる。
【0153】
音声画像出力部12052は、車両の搭乗者又は車外に対して、視覚的又は聴覚的に情報を通知することが可能な出力装置へ音声及び画像のうちの少なくとも一方の出力信号を送信する。
図30の例では、出力装置として、オーディオスピーカ12061、表示部12062及びインストルメントパネル12063が例示されている。表示部12062は、例えば、オンボードディスプレイ及びヘッドアップディスプレイの少なくとも一つを含んでいてもよい。
【0154】
図31は、撮像部12031の設置位置の例を示す図である。
【0155】
図31では、撮像部12031として、撮像部12101、12102、12103、12104、12105を有する。
【0156】
撮像部12101、12102、12103、12104、12105は、例えば、車両12100のフロントノーズ、サイドミラー、リアバンパ、バックドア及び車室内のフロントガラスの上部等の位置に設けられる。フロントノーズに備えられる撮像部12101及び車室内のフロントガラスの上部に備えられる撮像部12105は、主として車両12100の前方の画像を取得する。サイドミラーに備えられる撮像部12102、12103は、主として車両12100の側方の画像を取得する。リアバンパ又はバックドアに備えられる撮像部12104は、主として車両12100の後方の画像を取得する。車室内のフロントガラスの上部に備えられる撮像部12105は、主として先行車両又は、歩行者、障害物、信号機、交通標識又は車線等の検出に用いられる。
【0157】
なお、
図31には、撮像部12101ないし12104の撮影範囲の一例が示されている。撮像範囲12111は、フロントノーズに設けられた撮像部12101の撮像範囲を示し、撮像範囲12112,12113は、それぞれサイドミラーに設けられた撮像部12102,12103の撮像範囲を示し、撮像範囲12114は、リアバンパ又はバックドアに設けられた撮像部12104の撮像範囲を示す。例えば、撮像部12101ないし12104で撮像された画像データが重ね合わせられることにより、車両12100を上方から見た俯瞰画像が得られる。
【0158】
撮像部12101ないし12104の少なくとも1つは、距離情報を取得する機能を有していてもよい。例えば、撮像部12101ないし12104の少なくとも1つは、複数の撮像素子からなるステレオカメラであってもよいし、位相差検出用の画素を有する撮像素子であってもよい。
【0159】
例えば、マイクロコンピュータ12051は、撮像部12101ないし12104から得られた距離情報を基に、撮像範囲12111ないし12114内における各立体物までの距離と、この距離の時間的変化(車両12100に対する相対速度)を求めることにより、特に車両12100の進行路上にある最も近い立体物で、車両12100と略同じ方向に所定の速度(例えば、0km/h以上)で走行する立体物を先行車として抽出することができる。さらに、マイクロコンピュータ12051は、先行車の手前に予め確保すべき車間距離を設定し、自動ブレーキ制御(追従停止制御も含む)や自動加速制御(追従発進制御も含む)等を行うことができる。このように運転者の操作に拠らずに自律的に走行する自動運転等を目的とした協調制御を行うことができる。
【0160】
例えば、マイクロコンピュータ12051は、撮像部12101ないし12104から得られた距離情報を元に、立体物に関する立体物データを、2輪車、普通車両、大型車両、歩行者、電柱等その他の立体物に分類して抽出し、障害物の自動回避に用いることができる。例えば、マイクロコンピュータ12051は、車両12100の周辺の障害物を、車両12100のドライバが視認可能な障害物と視認困難な障害物とに識別する。そして、マイクロコンピュータ12051は、各障害物との衝突の危険度を示す衝突リスクを判断し、衝突リスクが設定値以上で衝突可能性がある状況であるときには、オーディオスピーカ12061や表示部12062を介してドライバに警報を出力することや、駆動系制御ユニット12010を介して強制減速や回避操舵を行うことで、衝突回避のための運転支援を行うことができる。
【0161】
撮像部12101ないし12104の少なくとも1つは、赤外線を検出する赤外線カメラであってもよい。例えば、マイクロコンピュータ12051は、撮像部12101ないし12104の撮像画像中に歩行者が存在するか否かを判定することで歩行者を認識することができる。かかる歩行者の認識は、例えば赤外線カメラとしての撮像部12101ないし12104の撮像画像における特徴点を抽出する手順と、物体の輪郭を示す一連の特徴点にパターンマッチング処理を行って歩行者か否かを判別する手順によって行われる。マイクロコンピュータ12051が、撮像部12101ないし12104の撮像画像中に歩行者が存在すると判定し、歩行者を認識すると、音声画像出力部12052は、当該認識された歩行者に強調のための方形輪郭線を重畳表示するように、表示部12062を制御する。また、音声画像出力部12052は、歩行者を示すアイコン等を所望の位置に表示するように表示部12062を制御してもよい。
【0162】
以上、本開示に係る技術が適用され得る車両制御システムの一例について説明した。本開示に係る技術は、以上説明した構成のうち、撮像部12031に適用され得る。撮像部12031に本開示に係る技術を適用することにより、より見やすい撮影画像を得ることができるため、ドライバの疲労を軽減することが可能になる。
【0163】
以上、実施の形態、変形例1~4および適用例ならびに応用例を挙げて説明したが、本開示内容は上記実施の形態等に限定されるものではなく、種々変形が可能である。例えば、上記実施の形態において説明した受光素子の層構成は一例であり、更に他の層を備えていてもよい。また、各層の材料や厚みも一例であって、上述のものに限定されるものではない。例えば、上記実施の形態では、第1コンタクト層12、光電変換層13および第2コンタクト層14により半導体層10Sを構成する場合について説明したが、半導体層10Sは光電変換層13を含んでいればよい。例えば、第1コンタクト層12および第2コンタクト層14を設けなくてもよく、あるいは、他の層を含んでいてもよい。
【0164】
更に、上記実施の形態では、便宜上、信号電荷が正孔である場合について説明したが、信号電荷は電子であってもよい。例えば、拡散領域がn型の不純物を含んでいてもよい。
【0165】
加えて、上記実施の形態では、本技術の半導体素子の一具体例の受光素子を説明したが、本技術の半導体素子は受光素子以外であってもよい。例えば、本技術の半導体素子は、発光素子であってもよい。
【0166】
また、上記実施の形態等において説明した効果は一例であり、他の効果であってもよいし、更に他の効果を含んでいてもよい。
【0167】
なお、本開示は、以下のような構成であってもよい。以下の構成の本技術によれば、素子領域の外側の周辺領域の周縁部に、素子基板の読出回路基板との接合面とは反対の面から接合面を超えて読出回路基板の一部まで達する、または、読出回路基板の素子基板との接合面とは反対の面から接合面を超えて素子基板の一部まで達する、平面視において周辺領域の周縁部の素子基板および読出回路基板によって形成される側面に、素子領域を囲むように断続的に1または複数の窪みを設けるようにしたので、素子基板と読出回路基板との接合面の剥がれを防ぎ、信頼性を向上させることが可能となる。
(1)
配線層と化合物半導体材料を含む半導体層とが積層して設けられた素子領域、および前記素子領域の外側の周辺領域を有する素子基板と、
前記配線層を間にして前記半導体層に対向し、前記配線層を介して前記半導体層に電気的に接続された読出回路基板と、
前記素子基板の前記読出回路基板との接合面とは反対の面から前記接合面を超えて前記読出回路基板の一部まで達する、または、前記読出回路基板の前記素子基板との接合面とは反対の面から前記接合面を超えて前記素子基板の一部まで達する、平面視において前記周辺領域の周縁部の前記素子基板および前記読出回路基板によって形成される側面に、前記素子領域を囲むように断続的に設けられた1または複数の窪みと
を備えた半導体素子。
(2)
前記素子基板は、前記半導体層と前記配線層との間に設けられた第1電極と、前記半導体層を間にして前記第1電極に対向する第2電極をさらに有し、
前記読出回路基板は、前記周辺領域にパッド電極をさらに有し、
前記周辺領域には、前記素子基板から前記読出回路基板に達する第1の貫通孔と、前記第1の貫通孔よりも前記周縁部側に第2の貫通孔がそれぞれ設けられており、前記第2電極は、前記第1の貫通孔を介して前記読出回路基板と電気的に接続されている、前記(1)に記載の半導体素子。
(3)
平面視において、前記周縁部の近傍に設けられた1または複数の溝をさらに有し、
前記1または複数の溝は、前記第2の貫通孔と前記素子基板および前記読出回路基板の前記周縁部との間に設けられている、前記(2)に記載の半導体素子。
(4)
前記1または複数の溝は、前記素子基板の前記読出回路基板との接合面とは反対の面から前記接合面を超えて前記読出回路基板の一部まで達する、または、前記読出回路基板の前記素子基板との接合面とは反対の面から前記接合面を超えて前記素子基板の一部まで達する、前記(3)に記載の半導体素子。
(5)
前記配線層は、前記読出回路基板と対向する前記接合面に露出する1または複数の第1のコンタクト電極をさらに有し、
前記読出回路基板は、前記素子基板と対向する前記接合面に露出する1または複数の第2のコンタクト電極をさらに有し、
前記素子基板と前記読出回路基板とは、前記第1のコンタクト電極と前記第2のコンタクト電極とを介して接合されている、前記(1)乃至(4)のうちのいずれか1つに記載の半導体素子。
(6)
前記1または複数の窪みの形成位置には、絶縁膜のみが形成されている、前記(1)乃至(5)のうちのいずれか1つに記載の半導体素子。
(7)
前記化合物半導体材料は、赤外領域の波長の光を吸収する、前記(1)乃至(6)のうちのいずれか1つに記載の半導体素子。
(8)
前記半導体層は、III-V族半導体材料を含んで構成されている、前記(1)乃至(7)のうちのいずれか1つに記載の半導体素子。
(9)
前記化合物半導体材料は、InGaAs,InAsSb,InAs,InSbおよびHgCdTeのうちのいずれか1つである、前記(1)乃至(8)のうちのいずれか1つに記載の半導体素子。
(10)
配線層と化合物半導体材料を含む半導体層とが積層して設けられた素子領域、および前記素子領域の外側の周辺領域を有する素子基板と、
前記配線層を間にして前記半導体層に対向し、前記配線層を介して前記半導体層に電気的に接続された読出回路基板と、
前記素子基板の前記読出回路基板との接合面とは反対の面から前記接合面を超えて前記読出回路基板の一部まで達する、または、前記読出回路基板の前記素子基板との接合面とは反対の面から前記接合面を超えて前記素子基板の一部まで達する、平面視において前記周辺領域の周縁部の前記素子基板および前記読出回路基板によって形成される側面に、前記素子領域を囲むように断続的に設けられた1または複数の窪みと
を備えた半導体素子を有する電子機器。
【符号の説明】
【0168】
1,1A,1B,1C,1D,1E,1F,1G…受光素子、2…撮像素子、3…電子機器、10…素子基板、10S…半導体層、10W…配線層、11…第1電極、12…第1コンタクト層、12A…拡散領域、13…光電変換層、14…第2コンタクト層、15…第2電極、16…パッシベーション膜、17…絶縁膜、18…埋込層、18V,22V…貫通電極、19A,19B,22A,22B…層間絶縁膜、19E,22E…コンタクト電極、19ED,22ED…ダミー電極、20…読出回路基板、21…半導体基板、22CB…配線、22P…パッド電極、31…成長基板、32…絶縁層、33…仮基板、41…カラーフィルタ層、42…オンチップレンズ、B…接着層、H1,H2…貫通孔、H3…溝、P…画素、R1…素子領域、R2…周辺領域、S1…光入射面、S2…接合面、S3…裏面。