(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-27
(45)【発行日】2024-10-07
(54)【発明の名称】シーズニング風味増強剤、及びそれを含有するシーズニング
(51)【国際特許分類】
A23L 27/10 20160101AFI20240930BHJP
A23L 27/00 20160101ALI20240930BHJP
【FI】
A23L27/10 C
A23L27/00 A
(21)【出願番号】P 2019234451
(22)【出願日】2019-12-25
【審査請求日】2022-12-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000175283
【氏名又は名称】三栄源エフ・エフ・アイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岡田 千尋
【審査官】村松 宏紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-208503(JP,A)
【文献】国際公開第2018/198411(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステビア抽出物及びラカンカ抽出物を、レバウディオサイドAとモグロシドVとの配合比が50:50~99:1(質量比)の割合になるように含有する
、シーズニングの風味(甘味及び酸味を除く)増強剤であって、
被シーズニングに対してステビア抽出物及びラカンカ抽出物を甘味の閾値未満の割合で配合して使用される、前記風味(甘味及び酸味を除く)増強剤。
【請求項2】
ステビア抽出物及びラカンカ抽出物を、レバウディオサイドAとモグロシドVとの配合比が50:50~99:1(質量比)の割合
であって、甘味の閾値未満の量で、シーズニングに配合する工程を有する、風味(甘味及び酸味を除く)が増強したシーズニングの製造方法。
【請求項3】
請求項
1に記載する風味
(甘味及び酸味を除く)増強剤を
甘味の閾値未満の量で含有する
粉末状又は顆粒状のシーズニング(但し、甘味調味料、酸味調味料
、及び酢酸含有組成物を除く)。
【請求項4】
請求項
3に記載する
粉末状又は顆粒状のシーズニング
(但し、甘味調味料、酸味調味料、及び酢酸含有組成物を除く)を
、甘味の閾値未満の割合で組み合わせてなる、即食性食品。
【請求項5】
ステビア抽出物及びラカンカ抽出物を、レバウディオサイドAとモグロシドVとの配合比が50:50~99:1(質量比)の割合
であって、甘味の閾値未満の量で、シーズニングに配合することを特徴とする、飲食物に対するシーズニングの風味(甘味及び酸味を除く)付与作用を増強する方法。
【請求項6】
請求項
3に記載する
粉末状又は顆粒状のシーズニングを飲食物に添加して、当該飲食物の風味(甘味及び酸味を除く)を改善または増強する、請求項
3に記載するシーズニングの使用方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はシーズニング風味増強剤に関する。また本発明はシーズニング風味増強剤を含有するシーズニングに関する。さらに当該シーズニングの製造方法やその使用方法に関する。なお、本明細書の全体を通じて、本発明で対象とする「風味」には甘味は含まれない。つまり、本明細書に記載する「風味」とは、甘味以外の風味を意味する。
【背景技術】
【0002】
従来より、馬鈴薯、とうもろこし、米などの穀類を原料とした所謂スナック菓子には、その嗜好性を高めるために、調味料(甘味料、塩味料、酸味料、旨味調味料などを含む)や香辛料等を原料としたシーズニングと称される粉末調味料が添加されている。また、チキンナゲットなどの鶏の唐揚げやフライドポテト等のファーストフードでも、食べるときにシーズニングと称される粉末調味料を振りかけ、シャカシャカと混ぜて食べる方法が流行っている。さらに家庭でも簡単にそれが再現できるように、「ふりふりシーズニングパウダー」等といった商品も販売されている。また、それによると料理の味付けや風味付けにも使えることが記載されている(例えば、非特許文献1など)。
昨今、こうしたシーズニングは、需要及び消費者層の拡大を目的に、海苔塩味、コンソメ味、チーズ味、梅味、バター醤油、ガーリックバター味など、嗜好のニーズや流行に合わせて、徐々にそのラインナップも増えてきているのが現状である。
【0003】
一方、最近の健康志向から、減塩の必要性が叫ばれている。このため、減塩しながらも十分な塩味を感じることができる調味料が求められており、例えば特許文献1により、低塩化した醤油様調味料として、アンモニウムイオン0.2~4.0%(w/v)およびステビア甘味料を含有する液体調味料が提案されている。この液体調味料は、アンモニウムイオンの塩味代替作用を利用することで減塩による塩味の低下を解消しながら、一方でアンモニウムイオンを配合することで生じる異味を、ステビア甘味料の組成と含有量を最適化することで解消したものである。他方、塩化ナトリウムの塩味を増強する物質としては、アルギニンなどの塩基性アミノ酸、蛋白質・核酸の加水分解物、及びペプチドのほか、ソルビトールや高糖化還元水飴(特許文献2参照)、及びトレハロース(特許文献3参照)が知られている。
【0004】
また、加工食品のひとつである板海苔の嗜好性を高める方法に関して、特許文献4には、海苔本体の表面に、ごま油を主体とする食用油と、食用塩とが均一に混合されたサラダ風味付け層を備えさせることで、板海苔にごま油を主体とするサラダ風味を付与するとともに、その風味を長期に持続させておくことができることが記載されている。また好ましい態様として、前記食用油に、唐辛子エキス、羅漢果エキスまたは麦飯石の少なくともいずれか一つを添加混合させることが記載されている。
【0005】
このように、ステビア甘味料および羅漢果エキスは、従来より、単に甘味を付与するだけでなく、飲食品の嗜好性を高めるために用いられている。しかしながら、両者を組み合わせることで、飲食品の風味をより一層高めることができること、特にシーズニングに添加することで、シーズニングの風味を高めることができることは知られていなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2011-115142号公報
【文献】特開2008-99624号公報
【文献】特開平10-66540号公報
【文献】特開2000-253854号公報
【非特許文献】
【0007】
【文献】「業務スーパー調味料[ふりふりシーズニングパウダー]はシャカシャカポテトちっくだった」(八王子みなみ野在住主婦はちこの地域特化型雑誌ブログ2019.07.22)https://info-hachiouji.tokyo/gyoumu-seasoningpowder
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、シーズニングの風味を増強するための技術を提供することを目的とする。より詳細には、本発明は、第1に、シーズニング風味増強剤を提供することを目的とする。第2に、風味が増強されてなるシーズニング、その製造方法、及びその使用方法を提供することを目的とする。第3に、前記のシーズニングを組み合わせることで風味が増強されてなる飲食物、特に即食性の食品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねていたところ、ステビア抽出物とラカンカ抽出物を組み合わせたものをシーズニングに配合することで、当該シーズニングの風味が増強することを見出し、特に両者を特定の割合で組み合わせることで、その効果が一層高くなることを見出した。また、その効果は甘味を呈さない量でも発揮することを確認した。これらの知見から、ステビア抽出物とラカンカ抽出物の混合物をシーズニング風味増強剤として、シーズニングに配合することで、風味が増強されたシーズニングを調製できることを確認して本発明を完成した。
【0010】
本発明はかかる知見に基づいて、さらに研究を重ねて完成したものであり、下記の実施形態を有するものである。
【0011】
(I)シーズニング風味増強剤
(I-1)ステビア抽出物及びラカンカ抽出物を含有するシーズニングの風味増強剤。
(I-2)ステビア抽出物及びラカンカ抽出物を、レバウディオサイドAとモグロシドVとの配合比が50:50~99:1(質量比)の割合で含有する、(I-1)に記載するシーズニングの風味増強剤。
【0012】
(II)シーズニング、並びにその製造方法、及びその使用方法
(II-1)ステビア抽出物及びラカンカ抽出物をシーズニングに配合する工程を有する、風味が増強したシーズニングの製造方法。
(II-2)ステビア抽出物及びラカンカ抽出物を、レバウディオサイドAとモグロシドVとの配合比が50:50~99:1(質量比)の割合になるようにシーズニングに配合する工程を有する、(II-1)に記載する製造方法。
(II-3)さらにシーズニングを粉末または顆粒状にする工程を有する(II-1)または(II-2)に記載する製造方法。
(II-4)(I-1)または(I-2)に記載するシーズニング風味増強剤を含有するシーズニング。
(II-5)粉末状または顆粒状を有する(II-4)に記載するシーズニング。
(II-6)(II-4)または(II-5)に記載するシーズニングを飲食物に添加して、当該飲食物の風味を改善または増強する、(II-4)または(II-5)に記載するシーズニングの使用方法。
(II-7)(II-4)または(II-5)に記載するシーズニングを飲食物に配合することを特徴とする、シーズニングによる飲食物の風味増強方法。
(II-8)前記飲食物が即食性食品である、(II-6)または(II-7)に記載する方法。
【0013】
(III)即食性食品
(III-1)(II-4)または(II-5)に記載するシーズニングを組み合わせてなる、即食性食品。
(III-2)前記即食性食品に含まれているステビア抽出物及びラカンカ抽出物の割合が、ステビア抽出物及びラカンカ抽出物それぞれの甘味の閾値未満である、(III-1)に記載する即食性食品。
【0014】
(IV)シーズニングの風味付与作用の増強方法
(IV-1)ステビア抽出物及びラカンカ抽出物を、レバウディオサイドAとモグロシドVとの配合比が50:50~99:1(質量比)の割合になるようにシーズニングに配合することを特徴とする、飲食物に対するシーズニングの風味付与作用を増強する方法。
(IV-1)前記シーズニングが粉末状または顆粒状を有するものである(IV-1)に記載する方法。
【発明の効果】
【0015】
本発明のシーズニングの風味増感剤は、シーズニングに対して用いられることで、シーズニングが有する風味を増強することができる。つまり、本発明のシーズニングの風味増感剤によれば、風味が増強されてなるシーズニングを調製し提供することができる。かかるシーズニングは、例えばスナック菓子やファーストフードの調味剤として、またスナック菓子やファーストフード等の即食性食品に対して、飲食時に振りかけて使用される調味料として使用することができる他、調理時の調味料としても使用することができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(I)シーズニングの風味増強剤
本発明のシーズニングの風味増強剤(以下、「シーズニング風味増強剤」または単に「本風味増強剤」と称する)は、ステビア抽出物およびラカンカ抽出物を含有することを特徴とする。本発明のシーズニング風味増強剤によれば、シーズニングの風味を増強することができる。つまり、本発明のシーズニング風味増強剤によれば、飲食物に対するシーズニングの風味付与作用を増強することが可能になる。
【0017】
(ステビア抽出物)
ステビアレバウディアナ・ベルトニ(Stevia
Rebaudiana
Bertoni)(本発明では「ステビア」と略称する)は、南米パラグアイを原産地とするキク科ステビア属に属する植物である。本発明が対象とするステビア抽出物は、産地の別を問わず、ステビアの葉又は茎などから、水またはエタノール等の有機溶媒を用いて抽出されたレバウディオサイドAを含有する抽出物である。レバウディオサイドAは、ステビア抽出物に含まれているステビオール配糖体であり、ショ糖(砂糖)の300~450倍の甘味度を有していることが知られている甘味成分でもある。
【0018】
本風味増強剤で用いられるステビア抽出物のレバウディオサイドA含有量は、本発明の効果を奏することを限度として、特に制限されない。言い換えれば、本風味増強剤において、レバウディオサイドAは、ステビア抽出物から精製された状態で使用することもできるし、また、ステビア抽出物に含まれるレバウディオサイドA以外のステビオール配糖体(ステビオサイド、レバウディオサイドB、レバウディオサイドC、レバウディオサイドD、レバウディオサイドE、レバウディオサイドM、ズルコサイドA、レブソサイド、ステビオールビオサイドなど)と混合した状態で使用することもできる。本発明において「ステビア抽出物」の用語には、これらの両方の意味が包含される。ステビア抽出物中のレバウディオサイドAの含有量は、制限されないが、全体の90質量%以上であることが好ましい。より好ましくは95質量%以上である。なお、本発明が対象とするステビア抽出物には、α-グルコシルトランスフェラーゼ等を用いて、上記ステビア抽出物にグルコースやフルクトース等の糖を転移した酵素処理ステビア抽出物も含まれる。また、本発明で対象とするレバウディオサイドAには、α-グルコシルトランスフェラーゼ等を用いてレバウディオサイドAにグルコースやフルクトース等の糖を転移した酵素処理レバウディオサイドAも含まれる。好ましくは酵素非処理ステビア抽出物であり、また好ましくは酵素非処理レバウディオサイドAである。
【0019】
こうしたステビア抽出物は、ステビアの葉や茎等を原料として抽出し、さらに必要に応じて精製処理することで調製することも可能であるが、簡便には商業的に入手することができる。例えば、市販されているステビア抽出物として、「レバウディオJ-100」、及び「レバウディオAD」(以上、いずれも守田化学工業(株)製)などを挙げることができる。これらの製品はレバウディオサイドAを90量%以上の割合で含有するレバウディオサイドA含有製品(ステビア抽出物)である。
【0020】
(ラカンカ抽出物)
羅漢果(学名:Siraitia
grosvenorii)は、中国を原産地とするウリ科ラカンカ属のつる性の多年生植物である。本発明が対象とするラカンカ抽出物は、産地の別を問わず、羅漢果の果実、好ましくは羅漢果の生果実から、水またはエタノール等の有機溶媒を用いて抽出されたモグロシドVを含有する抽出物である。モグロシドVは、ラカンカ抽出物に含まれているトリテルペン系配糖体であり、ショ糖(砂糖)の約300倍の甘味度を有していることが知られている甘味成分でもある。
【0021】
本風味増強剤で用いられるラカンカ抽出物のモグロシドV含有量は、本発明の効果を奏することを限度として、特に制限されない。言い換えれば、本風味増強剤において、モグロシドVは、ラカンカ抽出物から精製された状態で使用することもできるし、また、ラカンカ抽出物に含まれるモグロシドV以外のトリテルペン系配糖体(モグロール、モグロシドIE1、モグロシドIA1、モグロシドIIE、モグロシドIII、モグロシドIVa、モグロシドIVE、シメノシド、11-オキソモゴロシド、5α,6α-エポキシモグロシド)と混合した状態で使用することもできる。本発明において「ラカンカ抽出物」の用語には、これらの両方の意味が包含される。ラカンカ抽出物中のモグロシドVの含有量は、全体の10質量%以上であることが好ましい。より好ましくは20質量%以上、さらに好ましくは30質量%以上、よりさらに好ましくは40質量%以上であり、とりわけ好ましくは50質量%以上である。
【0022】
こうしたラカンカ抽出物は、羅漢果の果実から抽出し、さらに必要に応じて精製処理することで調製することも可能であるが、簡便には商業的に入手することができる。例えば、市販されているラカンカ抽出物として「FD羅漢果濃縮エキスパウダー」(7質量%又は15質量%モグロシドV含有物)、「サンナチュレ(登録商標) M30」(30質量%モグロシドV含有物)、「サンナチュレ(商標登録) M50」(50質量%モグロシドV含有品)[以上、いずれも三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製];並びに高純度ラカンカ抽出物(サラヤ株式会社製)等を例示することができる。
【0023】
(シーズニング風味増強剤)
シーズニング風味増強剤(本風味増強剤)は、前述するステビア抽出物およびラカンカ抽出物を含有するものであればよい。なお、本風味増強剤に含まれるステビア抽出物およびラカンカ抽出物の割合は、シーズニングの調製過程または製造後に添加配合することで、シーズニングの風味を増強するという目的に適うものであればよく、その限りにおいて、100質量%を限度として適宜設定することができる。
【0024】
ステビア抽出物およびラカンカ抽出物との配合比は、本発明の効果を奏することを限度として特に制限されない。本発明の効果をより好適に得ることができる配合比として、好ましくは、本風味増強剤に含まれるレバウディオサイドAとモグロシドVとの配合比が質量比(以下、同じ)で50:50~99:1となるような組み合わせを挙げることができる。配合比はこの範囲で適宜設定することができ、例えば60:40~99:1、70:30~99:1、80:20~99:1、または90:10~99:1の範囲を例示することができる。
【0025】
本風味増強剤は、シーズニングの風味を増強するために用いられる。その形態を問わないが、粉末状、顆粒状、タブレット状、およびカプセル剤状などの固体の形態、ならびにシロップ状、乳液状、液状、およびジェル状などの半固体または液体の形態を有することができる。また一剤の形態のほか、二剤の形態(例えば、ラカンカ抽出物を含有する製剤とステビア抽出物を含有する製剤との組み合わせ物など)を有するものであってもよい。好ましくは、シーズニングとの混合のしやすさから、粉末状、顆粒状または液状の形態を挙げることができる。
【0026】
本風味増強剤は、本発明の効果を妨げないことを限度として、ステビア抽出物およびラカンカ抽出物を製剤形態に調製する際に、その形態に応じて、飲食品に配合可能な担体(基剤)や添加剤を適宜配合することもできる。かかる担体や添加剤としては、本風味増強剤の作用効果に影響を与えない範囲で、イソマルトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、フラクトオリゴ糖などのオリゴ糖類;デキストリン、セルロース、アラビアガム、およびでん粉(コーンスターチ等)などの多糖類;および水などの溶媒を挙げることができる。さらに本風味増強剤の作用効果に悪影響を与えない範囲で、飲食品に通常使用されるような色素、抗酸化剤、または防腐剤などを配合することもできる。
【0027】
対象とするシーズニング(被シーズニング)に対する本風味増強剤の使用量としては、本風味増強剤の主成分であるステビア抽出物およびラカンカ抽出物に起因する甘味を考慮して、目的に応じて選択設定することができる。例えば、前述するように、モグロシドVの甘味度はショ糖の300倍、レバウディオサイドAの甘味度はショ糖の300~450倍であり、また配合比が50:50~99:1のレバウディオサイドAとモグロシドVの混合物の甘味度はショ糖の300~450倍である。このため、例えば、本風味増強剤を、被シーズニングに対して、風味(甘味は含まれない)を増強するだけでなく甘味付与を目的として配合する場合は、本風味増強剤のステビア抽出物およびラカンカ抽出物を、甘味を発揮する量(甘味の閾値以上の量)で配合することが好ましい。具体的には、例えばモグロシドVの配合量としては0.002質量%以上、レバウディオサイドAの配合量としては0.002質量%以上となるような範囲で適宜調整することができる。また本風味増強剤がレバウディオサイドAとモグロシドVとの配合比が50:50~99:1のステビア抽出物およびラカンカ抽出物の混合物である場合、レバウディオサイドAとモグロシドVの合計量が全体の0.002質量%以上になるように、最終のシーズニングに対して配合することができる。
【0028】
一方、本風味増強剤を、被シーズニングに対して、その風味を増強するだけで、甘味付与を目的としないで配合する場合は、本風味増強剤のステビア抽出物およびラカンカ抽出物を、甘味を呈さない量(甘味の閾値未満の量)で配合する。具体的には、モグロシドVの配合量としては0.002質量%未満、レバウディオサイドAの配合量としては0.002質量%未満、レバウディオサイドAとモグロシドVとの配合比が50:50~99:1のラカンカ抽出物とステビア抽出物の混合物の場合、レバウディオサイドAとモグロシドVの合計量が全体の0.002質量%未満になるように、シーズニングに対して配合することができる。なお、実際の甘味の閾値(認知閾値)は、適用するシーズニング毎に個別に設定することが好ましく、閾値の設定は極限法に従って行うことが好ましい。なお、本風味増強剤は、シーズニングの風味を増強することにより、当該シーズニングを適用した飲食物の風味を増強するために用いられる。この場合、当該シーズニングに起因して飲食物に甘味が生じないようにするためには、最終の飲食物中におけるステビア抽出物およびラカンカ抽出物(レバウディオサイドAとモグロシドV)の量が甘味を呈さない量(甘味の閾値未満の量)であればよく、具体的には前記の配合割合に、飲食物に対するシーズニングの配合割合を考慮して求めることができる。
【0029】
本発明において、シーズニングの「風味」とは、シーズニングが有する味(呈味)または/及び香味を意味する。呈味とは、通常、シーズニングそのもの、またはシーズニングを配合した飲食物を口に含んだときに舌で感じる味覚を意味する。また香味とは、通常、シーズニングそのもの、またはシーズニングを配合した飲食物を口に含んだとき、または飲み込んだときに、舌で感じる味覚と喉の奥から鼻腔内で感じる嗅覚による香りとが複合して感知される特性を意味する。
【0030】
また本発明において、シーズニングの風味増強とは、対象とするシーズニング(被シーズニング)に、第三成分(風味増強剤)を添加することにより、前記被シーズニングの風味が、添加前の当初の風味と比較して、量的に増強されたと感じさせる感覚である。こうした効果(感覚)は、通常、訓練された専門パネルによる官能試験によって評価判定することができる。なお、実際の評価は、第三成分(風味増強剤)を添加したシーズニングを対象とする飲食物に適用した場合に、当該第三成分を添加しないシーズニング(被シーズニング)を適用した飲食物の風味と比較することで行われる。具体的には、被シーズニングに風味増強剤(候補物を含む)を添加したシーズニングを配合した飲食物の風味が、添加する前の被シーズニングを配合した飲食物の風味と比較して、量的に増強されたと感じられる場合には、当該風味増強剤(候補物)は、本発明のシーズニング風味増強剤(本風味増強剤)に該当すると判断することができる。
【0031】
対象とするシーズニングの風味は、被シーズニングに配合されている成分(シーズニング成分)によって種々異なる。
シーズニング成分としては、制限されないものの、塩、醤油、味噌、みりん、お酢、酒、魚醤、各種エキス(例えばチキンエキス、ポークエキス、ビーフエキス、カカオ豆などの種子エキス、野菜エキス、果物エキス、茶エキス、昆布エキス、鰹節エキス、魚介類エキス、酵母エキスなど)、動植物性加水分解物(例えば、牛、豚または鶏などの動物に由来する蛋白質の加水分解物、または大豆、小麦またはとうもろこしなどの穀類等に由来する蛋白質の加水分解物など)、動植物性粉砕物(例えば、鰹節パウダー等の魚介類の乾燥粉末、大豆やカカオ豆などの豆類の乾燥粉末(きな粉やココア等)、茶葉の乾燥粉末など)、アミノ酸またはその塩(例えばグルタミン酸、イノシン酸、及びそれらのナトリウム塩など)、核酸またはその塩(例えばグアニル酸、及びそのナトリウム塩など)、乳由来原料(例えば全粉乳、脱脂粉乳、チーズ、バター、ヨーグルトなど)、酸味料(例えばクエン酸、リンゴ酸、酒石酸、アスコルビン酸、酢酸、アジピン酸、乳酸及びそれらの塩など)、香辛料(例えば唐辛子、胡椒[ブラックペッパー、レッドペッパー、チリペッパー]、わさび、芥子、ガーリック、オニオン、ごま、パプリカ、オレオレジン抽出物など)、ハーブ(例えば、オレガノ、クミン、コリアンダー、ローズマリー、シナモン、セージ、タイム、山椒、柑橘類の果皮、海藻など)、油脂(例えば、ラードやヘッド等の動物性油脂、大豆油、ごま油、オリーブ油、菜種油などの植物性油脂など)などを挙げることができる。これらは、単独でまたは二種以上を組み合わせて、シーズニングの成分として用いることができる。例えばカレー風味、キムチ風味、ポン酢風味、ドレッシング風味、チョコレート風味、またはキャラメル風味のシーズニングは、前述する成分を二種以上組み合わせて含有するものである。
【0032】
本発明のシーズニング風味増強剤が、対象とする被シーズニングの一つは、好ましくは塩分を含有するものである。塩分を含有するものであればよく、制限されないものの、これらには、海苔しお味のシーズニング、塩バター風味のシーズニング、塩キャラメル風味のシーズニング、醤油風味のシーズニング、味噌風味のシーズニングなどが含まれる。
【0033】
また、本風味増強剤が、対象とする被シーズニングの他の一つは、好ましくはエキス、特にチキンエキスを含有するものである。エキスを含有するものであればよく、制限されないものの、これらには、コンソメ風味のシーズニング、ピザ風味のシーズニング、梅風味のシーズニング、チーズ風味のシーズニング、またはワサビ風味のシーズニングなどが含まれる。
【0034】
(II)シーズニング、並びにその製造方法、及びその使用方法
本発明のシーズニング(本シーズニング)は、ステビア抽出物およびラカンカ抽出物)を含有することで、これらを含まないシーズニング(被シーズニング)に比べて、風味が増強されてなるものである。
【0035】
当該シーズニングは、シーズニングの製造工程において、被シーズニングの製造に使用される成分(シーズニング成分)に加えて、ステビア抽出物およびラカンカ抽出物を添加配合することで製造することができる。好ましくは、ステビア抽出物およびラカンカ抽出物を、レバウディオサイドAとモグロシドVとの配合比が質量比(以下、同じ)で50:50~99:1となるように添加配合する。両者の配合比は、好適にはこの範囲で適宜設定することができるが、より好ましくは、例えば60:40~99:1、70:30~99:1、80:20~99:1、または90:10~99:1の範囲を例示することができる。
【0036】
このように、ステビア抽出物およびラカンカ抽出物を別々に用いてもよいが、簡便には前述する本発明の風味増強剤を用いることができる。対象とするシーズニング(被シーズニング)に対する本風味増強剤の配合量としては、本風味増強剤の主成分であるステビア抽出物およびラカンカ抽出物に起因する甘味を考慮して、目的に応じて選択設定することができる。その配合量については、前記(I)で説明した通りであり、ここに援用することができる。
【0037】
シーズニング成分をブレンドする際において、各種成分の配合割合は、所望の味付けや香味付けに応じて、適宜選択することができる。本発明のシーズニングは、シーズニング成分とステビア抽出物およびラカンカ抽出物を混合した後、定法に従って所望の形状に調製することができる。なお、本発明の効果を妨げないことを限度として、例えば色素や抗酸化剤など、他の可食性成分を配合することもできる。
【0038】
本発明のシーズニングの形状は、制限されず、液状、乳液状、粉末状、顆粒状、錠剤状、カプセル状などを任意に選択することができる。好ましくは、取り扱いやすさと使用のしやすさから、粉末状、または顆粒状である。
【0039】
本発明のシーズニングは、飲食物に添加して使用される。具体的には、飲食物の製造に際して(家庭内での調理を含む)、調理工程で調味料として使用することもできるし、また製造された飲食物(調理済み飲食物)を食べる際に、当該飲食物に振りかけて使用される調味料としても用いることもできる。このため、本発明のシーズニングは、別途個別に包装された状態で、調理済み飲食物、特に後述する即食性食品と組み合わせて、セットで流通または販売することもできる。飲食物の製造時または飲食時にかかわらず、本発明のシーズニングを対象とする飲食物に添加配合することで、好ましくはシーズニングが飲食物中に満遍なく付着または分散するように混合することで、増強されたシーズニングの風味を飲食時に付与することができる。
【0040】
前述する調理済み飲食物には、馬鈴薯、とうもろこし、米などの穀類を原料としたスナック菓子、あられなどの米菓、その他の菓子類;スープ、ファーストフード(ポテトフライ、唐揚げなど)、総菜、弁当、調理パンなど、調理不要で直ちに食べることができる即食が含まれる。また、調理済み飲食物には、袋物総菜(サラダ、野菜や豆類の煮物、魚介類の煮物、ハンバーグ、煮肉、焼き魚、豚汁などの汁類、おでん、カレー、シチュー)と称されるレトルト食品、自然解凍調理冷食、冷凍食品、即席カップ麺、即席カップ飯、即席スープ、即席味噌汁、缶詰、瓶詰、無菌米飯などのように、必要に応じて、電子レンジや湯煎で加熱したり、お湯を注ぐ等の簡単な調理で摂食することができる、所謂「簡便・即食」が含まれる。なお、本発明において、前述する調理不要で直ちに食べることができる、即食及び簡単な調理で食べることができる「簡便・即食」を総称して「即食性食品」という。
【0041】
(III)即食性食品
本発明が対象とする即食性食品は、前述する本発明のシーズニングが、即食性食品と組み合わされてなるものである。ここで「組み合わされてなる」という用語は、即食性食品の製造過程または製造後にシーズニングが添加されることで、即食性食品にシーズニングが既配合の状態と、即食性食品とシーズニングとが各々個別に包装された状態でセットされてなる状態の両方を含む意味で使用される。後者のセットされた状態の即食性食品は、飲食者または飲食提供者が、飲食時にセットされたシーズニングを即食性食品に添加し混合する態様で用いられる。即食性食品に対するシーズニングの配合割合(使用割合)は、前述した通りであり、前述の記載はここに援用することができる。
【0042】
なお、本明細書において、「含む」や「含有する」という用語には、「から実質的になる」及び「からなる」の意味が包含される。
【実施例】
【0043】
本発明の内容を以下の実験例や実施例を用いて具体的に説明する。しかし、本発明はこれらに何ら限定されるものではない。下記において、特に言及する場合を除いて、実験は大気圧及び常温条件下で行っている。また各実験例で採用したパネルはいずれも飲食品の味質の官能評価に従事し訓練して社内試験に合格した官能評価適格者である。また特に言及する場合を除いて、「%」は「質量%」を、「部」は「質量部」を意味する。
【0044】
以下の実験例に使用した原料は下記の通りである。
(1)ラカンカ抽出物
サンナチュレ(登録商標)M50(乾燥粉末製品、三栄源エフ・エフ・アイ(株)製)。羅漢果の生果実(未乾燥果実)を水で抽出した後、濾過して回収した水抽出液を脱色及び濃縮した後、スプレードライにより乾燥粉末としてモグロシドVを50%の割合で含むように調製された、ショ糖の約300倍の甘味度を有する高甘味度甘味料。
【0045】
(2)ステビア抽出物
レバウディオJ-100(乾燥粉末製品、守田化学工業(株)製)。レバウディオサイドA 90%以上含有製品。ショ糖の約300倍の甘味度を有する高甘味度甘味料。
【0046】
(3)ステビア抽出物とラカンカ抽出物の混合物(ステビア・ラカンカ混合物)
前記ステビア抽出物と前記ラカンカ抽出物(サンナチュレ(商標登録)M50)を95:5(質量比)となる割合で混合した組成物。レバウディオサイドAとモグロシドVとの配合比は97.5:2.7(質量比)。ショ糖の約300倍の甘味度を有する。
【0047】
(4)スクラロース
三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製。ショ糖の約600倍の甘味度を有する高甘味度甘味料。
【0048】
実験例1 スナックシーズニングの塩味増強作用の評価
(1)評価方法
各種の高甘味度甘味料(1:ラカンカ抽出物、2:ステビア抽出物、3:ステビア・ラカンカ混合物、4:スクラロース)を用いて、表1に記載する処方に従って、粉末状のスナックシーズニング(被験シーズニング1-1~1-4)を調製した。また比較対照のため、高甘味度甘味料を添加しないスナックシーズニング(比較対照シーズニング1)、及び高甘味度甘味料に代えて食塩を配合したスナックシーズニング(比較対照シーズニング2)を同様にして調製した。調製した各シーズニング5gを、塩だけで味付けしたポテトチップス100g(ポテトチップス100gに食塩1g使用)に満遍なくまぶして、評価対象のポテトチップス(被験試料1~4、比較対照試料1、比較対照試料2)を作製した。
【0049】
【0050】
評価は、前記比較対照試料1(陰性対照試料)の塩味を0点、比較対照試料2(陽性対照試料)の塩味を2点とし、これらを評価基準として下記に基づいてスコア付けを行った。
【0051】
[塩味の評価スコア]
3点:比較対照試料2よりも塩味が強い
2点:比較対照試料2の塩味と同等
1点:比較対照試料1よりも塩味が強いが、比較対照試料2よりも弱い
0点:比較対照試料1の塩味と同等
【0052】
(2)評価結果
斯くして評価してもらったパネル3名(A~C)の評価スコア及びその平均値を表2に示す。
【0053】
【0054】
この結果から、高甘味度甘味料のうち、ラカンカ抽出物、ステビア抽出物、ステビア・ラカンカ混合物を、シーズニングに配合することで、当該シーズニングを食品(ポテトチップス)に適用した際に塩味が増強されることが確認された。特に、その効果はステビア・ラカンカ混合物に強く認められた。
【0055】
実験例2 ステビア抽出物とラカンカ抽出物の混合物のスナックシーズニングの塩味増強作用の評価(その1)
(1)評価方法
前記実験例1の結果から強い塩味増強作用を有することが判明したステビア抽出物とラカンカ抽出物の混合物(ステビア・ラカンカ混合物)を塩味増強剤として用いて、表3の処方に従って、粉末状のスナックシーズニング(被験シーズニング2-1~2-7)を調製した。なお、表4に記載するように、ステビア・ラカンカ混合物のスナックシーズニングに対する配合割合を種々変えている。斯くして調製した被験シーズニングを用いて、実験例1と同様に試験を行い、各種配合割合にてステビア・ラカンカ混合物をスナックシーズニングに配合した場合の塩味増強作用を評価した。
【0056】
【0057】
(2)評価結果
実験例1と同様の方法に従ってパネル3名(A~C)に評価してもらった評価スコア及びその平均値を表4に示す。
【0058】
【0059】
表4に示すように、スナックシーズニングに対してステビア・ラカンカ混合物を0.001質量%以上、好ましくは0.002質量%以上の割合で配合することで、ポテトチップスを食した際の塩味が増強することが確認された。なお、ステビア・ラカンカ混合物の配合量が0.002質量%以下のスナックシーズニング(被験シーズニング2-1)は甘味を呈さない。このことから、ステビア・ラカンカ混合物や、実験例1で示したステビア抽出物、及びラカンカ抽出物による塩味増強作用は、いずれも甘味とは無関係に生じる作用効果であることが確認された。またその増強作用は、ステビア・ラカンカ混合物の配合量を増やすに従って強くなるものの、0.04質量%の配合をピークに減少する傾向が認められた。なお、ステビア・ラカンカ混合物を0.04質量%の割合で含むスナックシーズニング(被験シーズニング2-4)そのものは甘味を有するものの、その5gを100gのポテトチップスにまぶすと(20倍希釈)、甘味の影響は感じられなかった。このことから、ステビア・ラカンカ混合物の配合割合を0.04質量%より増やすことにより生じる塩味増強作用の低下は、ポテトチップスに対する甘味が影響している可能性が示唆された。
【0060】
実験例3 ステビア・ラカンカ混合物のスナックシーズニングに対する塩味増強作用の評価(その2)
(1)評価方法
ステビア抽出物とラカンカ抽出物の混合物を、スナックシーズニングに対する塩味増強剤として用いて、表5の処方に従って、粉末状のスナックシーズニング(被験シーズニング3-1~3-5)を調製した。ステビア抽出物とラカンカ抽出物の配合比の違いによる塩味増強効果の影響を評価するために、表6に記載するレバウディオサイドAとモグロシドVとの各配合比で、ステビア抽出物とラカンカ抽出物を配合して調製した被験シーズニングを用いて、実験例1と同様に試験を行い、スナックシーズニングの塩味増強作用を評価した。
【0061】
【0062】
(2)評価結果
実験例1と同様の方法に従ってパネル3名(A~C)に評価してもらった評価スコア及びその平均値を表6に示す。
【0063】
【0064】
表6に示すように、本発明の効果を奏するうえで、ステビア・ラカンカ混合物におけるレバウディオサイドAとモグロシドVの好適な配合比は99:1~50:50(質量比)であることが確認された。より好ましくは99:1~60:40(質量比)、特に好ましく98:2~60:40(質量比)である。
【0065】
実験例4 スナックシーズニングのコンソメ味増強作用の評価
(1)評価方法
各種の高甘味度甘味料(1:ラカンカ抽出物、2:ステビア抽出物、3:ステビア・ラカンカ混合物、4:スクラロース)を用いて、表7に記載する処方に従って、粉末状のスナックシーズニング(被験シーズニング4-1~4-4)を調製した。また比較対照のため、高甘味度甘味料を添加しないスナックシーズニング(比較対照シーズニング1)、及び高甘味度甘味料に代えてチキンエキス調味料を増量したスナックシーズニング(比較対照シーズニング2)を同様にして調製した。調製した各シーズニング5gを、塩だけで味付けしたポテトチップス100g(ポテトチップス100gに食塩1g)に満遍なくまぶして、評価対象のポテトチップス(被験試料1~4、比較対照試料1、比較対照試料2)を作製した。
【0066】
【0067】
評価は、前記比較対照試料1(陰性対照試料)のコンソメ味(チキン風味)を0点、比較対照試料2(陽性対照試料)のコンソメ味(チキン風味)を2点とし、これらを評価基準として下記に基づいてスコア付けを行った。
【0068】
[コンソメ味(チキン風味)の評価スコア]
3点:比較対照試料2よりもコンソメ味(チキン風味)が強い
2点:比較対照試料2のコンソメ味(チキン風味)と同等
1点:比較対照試料1よりもコンソメ味(チキン風味)が強いが、比較対照試料2よりも弱い
0点:比較対照試料1のコンソメ味(チキン風味)と同等
【0069】
(2)評価結果
斯くして評価してもらったパネル3名(A~C)の評価スコア及びその平均値を表8に示す。
【0070】
【0071】
この結果から、ラカンカ抽出物、ステビア抽出物、ステビア・ラカンカ混合物、及びスクラロースを、それぞれシーズニングに配合することで、当該シーズニングを食品(ポテトチップス)に適用した際にコンソメ味(チキン風味)が増強されることが確認された。特に、その効果はステビア抽出物とラカンカ抽出物の混合物に強く認められた。
【0072】
実験例5 ステビア抽出物とラカンカ抽出物の混合物のスナックシーズニングのコンソメ味増強作用の評価(その1)
(1)評価方法
前記実験例1の結果から強い塩味増強作用を有することが判明したステビア抽出物とラカンカ抽出物の混合物(ステビア・ラカンカ混合物)をコンソメ味増強剤として用いて、表9の処方に従って、粉末状のスナックシーズニング(被験シーズニング5-1~5-7)を調製した。なお、表10に記載するように、ステビア・ラカンカ混合物のスナックシーズニングに対する配合割合を種々変えている。斯くして調製した被験シーズニングを用いて、実験例4と同様に試験を行い、各種配合割合にてステビア・ラカンカ混合物をスナックシーズニングに配合した場合のコンソメ味増強作用を評価した。
【0073】
【0074】
(2)評価結果
実験例4と同様の方法に従ってパネル3名(A~C)に評価してもらった評価スコア及びその平均値を表10に示す。
【0075】
【0076】
表10に示すように、スナックシーズニングに対してステビア・ラカンカ混合物を0.001質量%以上、好ましくは0.002質量%以上の割合で配合することで、ポテトチップスを食した際のコンソメ味が増強することが確認された。前述するように、ステビア・ラカンカ混合物の配合量が0.002質量%以下のスナックシーズニング(被験シーズニング2-1)は甘味を呈さない。このことから、ステビア・ラカンカ混合物や、実験例1で示したステビア抽出物、及びラカンカ抽出物によるコンソメ味増強作用は、いずれも甘味とは無関係に生じる作用効果であることが確認された。またその増強作用は、ステビア・ラカンカ混合物の配合量を増やすに従って強くなるものの、0.02~0.04質量%配合をピークに減少する傾向が認められた。また実験例2と同様に、ステビア・ラカンカ混合物の配合割合を0.2質量%以上に増やすことにより生じるコンソメ味増強作用の低下は、ポテトチップスに対する甘味が影響している可能性が示唆された。
【0077】
実験例6 ステビア・ラカンカ混合物のスナックシーズニングに対するコンソメ味増強作用の評価(その2)
(1)評価方法
ステビア・ラカンカ混合物をスナックシーズニングに対するコンソメ味増強剤として用いて、表11の処方に従って、粉末状のスナックシーズニング(被験シーズニング6-1~6-5)を調製した。ステビア抽出物とラカンカ抽出物の混合物におけるレバウディオサイドAとモグロシドVの配合比の違いによる塩味増強効果の影響を評価するために、表12に記載するように、使用するステビア・ラカンカ混合物におけるレバウディオサイドAとモグロシドVの配合比を種々変えた。斯くして調製した被験シーズニングを用いて、実験例4と同様に試験を行い、各配合比でステビア抽出物とラカンカ抽出物をスナックシーズニングに配合した場合のコンソメ味増強作用を評価した。
【0078】
【0079】
(2)評価結果
実験例4と同様の方法に従ってパネル3名(A~C)に評価してもらった評価スコア及びその平均値を表12に示す。
【0080】
【0081】
表12に示すように、本発明の効果を奏するうえで、ステビア・ラカンカ混合物におけるレバウディオサイドAとモグロシドVの好適な配合比は、99:1~50:50(質量比)であることが確認された。より好ましくは99:1~60:40(質量比)、特に好ましく99:1~70:30(質量比)である。