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特許7562257電子モジュール、特に乗物搭載用に構成されるカメラのモジュール接続用可撓性導体トラック
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  • 特許-電子モジュール、特に乗物搭載用に構成されるカメラのモジュール接続用可撓性導体トラック 図1
  • 特許-電子モジュール、特に乗物搭載用に構成されるカメラのモジュール接続用可撓性導体トラック 図2
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  • 特許-電子モジュール、特に乗物搭載用に構成されるカメラのモジュール接続用可撓性導体トラック 図4A
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  • 特許-電子モジュール、特に乗物搭載用に構成されるカメラのモジュール接続用可撓性導体トラック 図6
  • 特許-電子モジュール、特に乗物搭載用に構成されるカメラのモジュール接続用可撓性導体トラック 図7
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-27
(45)【発行日】2024-10-07
(54)【発明の名称】電子モジュール、特に乗物搭載用に構成されるカメラのモジュール接続用可撓性導体トラック
(51)【国際特許分類】
   H05K 1/14 20060101AFI20240930BHJP
   G02B 7/02 20210101ALI20240930BHJP
   G03B 15/00 20210101ALI20240930BHJP
   H04N 23/57 20230101ALI20240930BHJP
   H05K 1/02 20060101ALI20240930BHJP
【FI】
H05K1/14 C
G02B7/02 E
G03B15/00 V
H04N23/57
H05K1/02 B
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2019537334
(86)(22)【出願日】2017-12-05
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-02-27
(86)【国際出願番号】 DE2017200126
(87)【国際公開番号】W WO2018133893
(87)【国際公開日】2018-07-26
【審査請求日】2020-11-18
【審判番号】
【審判請求日】2022-11-24
(31)【優先権主張番号】102017200817.2
(32)【優先日】2017-01-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】503355292
【氏名又は名称】コンティ テミック マイクロエレクトロニック ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Conti Temic microelectronic GmbH
【住所又は居所原語表記】Ringlerstrasse 17, 85057 Ingolstadt, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 真介
(74)【代理人】
【識別番号】100221981
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 大成
(72)【発明者】
【氏名】ローテンホイスラー・コンラート
(72)【発明者】
【氏名】プファイファー・フランツ
(72)【発明者】
【氏名】ベルク・ティーロ
(72)【発明者】
【氏名】ベーヒャー・ヨス
(72)【発明者】
【氏名】シュラインコーファー・アンドレアス
(72)【発明者】
【氏名】ファレンドル・マルティン
(72)【発明者】
【氏名】ドロプマン・マティアス
(72)【発明者】
【氏名】トレス・アルシナ・オスカル
(72)【発明者】
【氏名】ゲルマー・シュテッフェン
(72)【発明者】
【氏名】アルプレヒト・パトリック
(72)【発明者】
【氏名】ポーヴィライト・ヘンドリク
(72)【発明者】
【氏名】クレーケル・ディーター
【合議体】
【審判長】山澤 宏
【審判官】岩間 直純
【審判官】野崎 大進
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-317130(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0354900(US,A1)
【文献】特開2007-043129(JP,A)
【文献】特開2010-040720(JP,A)
【文献】特開平10-335759(JP,A)
【文献】特開2011-193339(JP,A)
【文献】国際公開第2015/033736(WO,A1)
【文献】特開2015-087741(JP,A)
【文献】特開2007-235067(JP,A)
【文献】特開2016-522596(JP,A)
【文献】特開2015-528133(JP,A)
【文献】特開平07-156390(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 1/02
H05K 1/14
G02B 7/02
G03B 15/00
H04N 23/57
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子モジュール接続用の可撓性の導体トラック(10)において、
複数の導体トラック構造体(12)と、
‐前記導体トラック構造体(12)を電子モジュールの対応する導体トラックと電気的に接続するための2つの接続領域部(14、16)と、
‐前記導体トラック(10)において前記接続領域部(14、16)両方の間に位置する領域(11)に少なくとも1つの縦スロット(18、20)と、を備え、
前記縦スロット(18、20)は、複数の前記導体トラック構造体(12)が隣接して配置された領域の間に位置し、
‐前記接続領域部(14、16)の少なくとも1つは、異方性導電フィルム接着剤ボンディングを用いて電子モジュールの対応する接続領域部に平坦に載置されて接続されるように構成され、
‐前記接続領域部(16)の一つが平坦に載置されて接続される電子モジュールは、光学モジュール(58)の画像センサモジュール(52)であり、
‐前記縦スロット(18,20)は、前記接続領域部(16)に垂直な軸線回りの前記光学モジュール(58)のロール角調整時の可撓性の前記導体トラック(10)のねじり/曲げモーメントを低減し、異方性導電フィルム接着剤ボンディングを用いた前記導体トラック構造体(12)と前記画像センサモジュール(52)の対応する導体トラックとの電気的な接続の耐荷重性を高めるように幅広に構成され、前記縦スロット(18,20)の幅(24)は、隣接する二つの導体トラック構造体(12)間のいずれの間隔よりも大きい、導体トラック。
【請求項2】
記導体トラック(10)は、特に可撓性の前記導体トラックに作用する曲げ力を相殺する、追加補強層(26、26‘、28、28‘)を有し、
前記追加補強層(26、26‘)は、前記接続領域部(14、16)両方の間の、複数の前記導体トラック構造体(12)が隣接して配置された領域において、可撓性の前記導体トラック上に平坦に載置されるライングリッド、ドットマトリクスまたはクロスグリッド状に構成され、
前記追加補強層(28)は、前記接続領域部(14、16)の少なくとも1つにおいて全面に構成されることを特徴とする請求項1に記載の導体トラック。
【請求項3】
縦スロット(18、20)は前記接続領域部(14、16)に対して所定の間隔(22)手前で終端することを特徴とする、請求項1または2に記載の導体トラック。
【請求項4】
縦スロット(18、20)の幅(24)は前記接続領域部(14、16)の少なくとも1つに向かって減少することを特徴とする、請求項1から3のいずれかに記載の導体トラック。
【請求項5】
隣接する導体トラック構造体間の間隔および/または導体トラック構造体の幅は、前記接続領域部の少なくとも1つにおけるよりも縦スロット(18、20)の領域においてより小さいことを特徴とする、請求項1~4のいずれか1項に記載の導体トラック。
【請求項6】
前記導体トラック(10)は、合成樹脂、接着剤および金属からなる複数の層、特に第1カバー合成樹脂層、第1接着剤層、第1銅層、中間合成樹脂層、第2銅層、第2接着剤層および第2カバー合成樹脂層からなる積層構造を有することを特徴とする、請求項1~5のいずれか1項に記載の導体トラック。
【請求項7】
前記導体トラック(10)は、特に可撓性の前記導体トラックに作用する曲げ力を相殺する、追加補強層(26、26‘、28、28‘)を有することを特徴とする、請求項1、3~5のいずれか1項に記載の導体トラック。
【請求項8】
前記追加補強層(26、26‘)は、可撓性の前記導体トラック上に平坦に載置されるライングリッド、ドットマトリクスまたはクロスグリッド状に構成されることを特徴とする、請求項7に記載の導体トラック。
【請求項9】
前記追加補強層(28)は、前記接続領域部(14、16)の少なくとも1つにおいて全面に構成されることを特徴とする、請求項7または8に記載の導体トラック。
【請求項10】
前記接続領域部(14、16)の少なくとも1つは、前記導体トラックの前記少なくとも1つの縦スロットを有する前記領域よりも幅広に構成されることを特徴とする、請求項1~9のいずれか1項に記載の導体トラック。
【請求項11】
前記導体トラック(10)は、前記接続領域部(14、16)の少なくとも1つに1つまたは複数の調整用観察窓(15)を有することを特徴とする、請求項1~10のいずれか1項に記載の導体トラック。
【請求項12】
特に乗物搭載用に構成されるカメラ(50)の光学モジュール(58)において、
前記光学モジュール(58)は、画像センサモジュール(52)と、レンズ(58‘)と、請求項1~11のいずれか1項に記載の可撓性の前記導体トラック(10)と、を備え、
前記画像センサモジュール(52)は、可撓性の前記導体トラック(10)の接続領域部(16)上で異方性導電フィルム接着剤ボンディングを用いて導体トラック構造体(12)と接続される画像センサ(52‘)と、前記画像センサ(52‘)が載置される背面板(52‘‘)と、を備え、
前記レンズ(58‘)は、前記レンズ(58‘)が前記画像センサ(52‘)上に光像を作成できるように、可撓性の前記導体トラック(10)の前記接続領域部(16)に対して接着剤(52‘‘‘)を用いて固定される、光学モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子モジュール、特に乗物搭載用に構成されるカメラ、例えば運転支援システムカメラのモジュール接続用可撓性導体トラック、および独立請求項に記載の特に乗物搭載用に構成されるカメラの光学モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
乗物に、特に運転支援システムまたはADAS(Advanced Driver Assistance System)用のカメラが搭載される場合が増えている。そのようなカメラは、例えば車両周辺を認識するために使用され、運転支援機能、例えば車線認識、オブジェクト検出、距離検出およびそのようなカメラに基づく機能を実現する。カメラは、乗物に搭載されるレーダシステム、例えば距離レーダなどの補充用としても、乗物の360°の全方位視認を可能にするいわゆるサラウンドビューシステムおよびトップビューシステム用としても使用される。乗物のカメラのさらなる使用領域は、乗物のガラス板上の雨滴を認識する降雨センサである。
【0003】
一般に、カメラ、特に運転支援システムに使用されるものは、ハウジング、例えば2部分からなる合成樹脂ハウジング、光学モジュールおよびマザーボードからなる。通常、光学モジュールは、画像センサ、レンズ、画像センサを搭載可能な固定背面板および可撓性導体トラックを含み、画像センサをマザーボードと電気的に接続する。そのような可撓性導体トラックは、特に小型電子機器、例えばまさに乗物用カメラまたはスマートフォンにおいても、しばしば電子モジュール接続用に使用される。
【0004】
カメラを有する運転支援システムにおいて、画像センサと電気モジュールとの間のインタフェースは他のインタフェースと区別してCIF(Camera Interface:カメラインタフェース)と呼ばれる。CIFインタフェースは特に画像センサのビデオデータを電子モジュールのビデオデータメモリに転送するように構成される必要があり、一般には16ビットのパラレルインタフェースの形態であり、したがって僅かな領域に多数の接点を有する、対応する複雑なプラグ接続を有する。そのため、CIFインタフェースは金属粒子、特に乗物のガラス板の背後に設置する場合に発生する可能性がある結露、およびウィスカ形成に弱く、信号伝送の劣化または短絡に至ることさえある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって本発明の課題は、電子モジュール、特に乗物搭載用に構成されるカメラ、例えば運転支援システムカメラのモジュールの改善された電気的接続を提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本課題は、独立請求項の主題により解決される。本発明のさらなる形態が従属請求項から見出される。
【0007】
本発明は、まず、可撓性導体トラックと電子モジュールのCIFプラグ接続の代わりに、接続技術としてACFA(Anisotropic Conductive Film Adhesive:異方性導電フィルム接着剤)ボンディングを用いることを提案する。これにより、可撓性導体トラックの技術的コストを低減することができ、接続確立に係る製造工程を簡素化し最適化することができる。また、特に金属粒子、結露およびウィスカ形成に対する可撓性導体トラックのロバスト性を改善することができる。ACFAボンディングを用いて確立される導体トラック接続の耐荷重性を高めるため、さらに本発明は、特に、接続領域部を可能な限り平坦に電子モジュール上に載置することができ、それにより接続領域部のACFAボンディングを可能な限り完全に達成できるような大きさの、導体トラック接続の接続領域部との間隔を有することができる縦スロットを可撓性導体トラック接続に組み入れることを提案する。縦スロットは、本発明の導体トラック接続の耐荷重性を、特に、一般にカメラのロール角調整において画像センサとマザーボードとの間の導体トラック接続に対して発生する場合がある曲げ力に対して高めることができる。したがって、本発明の可撓性導体トラック接続は特に、乗物に搭載されるカメラ、例えば運転支援システムカメラでの使用に好適である。ACFAは例えば接着テープまたは液状接着剤として塗布することができる。
【0008】
したがって、本発明の実施形態は、電子モジュール接続用可撓性導体トラックにおいて、導体トラック構造体と、導体トラック構造体を電子モジュールの対応する導体トラックと電気的に接続するための2つの接続領域部と、導体トラックにおいて接続領域部両方の間に位置する領域に少なくとも1つの縦スロットと、を備え、接続領域部の少なくとも1つは、異方性導電フィルム接着剤ボンディングを用いて電子モジュールの対応する接続領域部と接続されるように構成される、導体トラックに関する。
【0009】
特に、縦スロットは接続領域部に対して所定の間隔手前で終端してよく、このようにして接続領域部を可能な限り平坦に電子モジュールの各対応する接続領域部上に載置することを可能にする。
【0010】
縦スロットの幅は接続領域部の少なくとも1つに向かって減少してよい。これにより、異方性導電フィルム接着剤ボンディングを用いて確立された接続の載置面を拡大することができ、それにより接続の耐荷重性を向上させることができる。
【0011】
隣接する導体トラック構造体間の間隔および/または導体トラック構造体の幅は、接続領域部の少なくとも1つにおけるよりも縦スロットの領域においてより小さくてよい。接続領域部における導体トラック構造体の間隔が拡大することにより、ウィスカ形成や金属粒子による短絡の危険性をさらに低減することができる。接続領域部において導体トラック構造体が幅広であることで、電子モジュールの対応する接続領域部の導体トラック構造体との接触を容易にかつ改善することができ、特に接触領域における接触抵抗を低減させることができる。
【0012】
可能な限り高い耐荷重性を有する構造体を得るために、可撓性導体トラックは、合成樹脂、接着剤および金属からなる複数の層、特に第1カバー合成樹脂層、第1接着剤層、第1銅層、中間合成樹脂層、第2銅層、第2接着剤層および第2カバー合成樹脂層からなる積層構造を有してよい。
【0013】
可撓性導体トラックは、特に可撓性導体トラックに作用する曲げ力を相殺する、追加補強層を有してもよい。そのような補強層は、例えば、導体トラックには用いられず、可撓性導体トラックが変形、特に曲げやロール角調整の際カメラでの使用時に発生する力に対して耐えることができるように構成される追加の金属層により、例えば銅からなって構成されてよい。
【0014】
例えば、追加補強層は、可撓性導体トラック上に平坦に載置されるライングリッド、ドットマトリクスまたはクロスグリッド状に構成されてよい。これらの構造により、導体トラックの曲げ時の追加保護機能および導体トラックの変形を抑止する保持力を可能にすることができる。
【0015】
追加補強層は、接続領域部の少なくとも1つにおいて全面に構成されてよく、これにより、異方性導電フィルム接着剤ボンディングを用いて確立された接続の接続領域を可能な限り固定して平坦に構成することを確実にすることができる。また、補強層は、例えばカメラの画像センサを直接、可撓性導体トラックの接続領域部の1つの上に異方性導電フィルム接着剤ボンディングを用いて接着することを可能にすることができる。
【0016】
また、接続領域部の少なくとも1つ、特に異方性導電フィルム接着剤ボンディングを用いて接続用に構成された接続領域部は、導体トラックの少なくとも1つの縦スロットを有する領域よりも幅広に構成されてよい。より大きい接続面により、特に、接続領域部と電子モジュールの対応する接続領域部との接続の耐荷重性を高めることができる。
【0017】
導体トラックは、接続領域部の少なくとも1つに1つまたは複数の調整用観察窓を有する。そのような観察窓は、例えば、マザーボードのいわゆるビアとともに接続領域部を調整するために用いてよい。このために、バックライト装置および光検出センサが調整に用いられてよい。バックライト装置の光は、観察窓とビアを通過し、ビアと観察窓が正確に調整されている場合に最大光量が認識されることにより、例えば可撓性導体トラックまたはマザーボードの接続領域部の調整を制御するセンサにより認識可能である。
【0018】
また、本発明の実施形態は、特に乗物搭載用に構成されるカメラの光学モジュールにおいて、光学モジュールは、画像センサモジュールと、レンズと、請求項1~10のいずれか1項に記載の可撓性導体トラックと、を備え、画像センサモジュールは、可撓性導体トラックの接続領域部上で異方性導電フィルム接着剤ボンディングを用いて導体トラック構造体と接続される画像センサと、画像センサが載置される背面板と、を備え、レンズは、レンズが画像センサ上に光像を作成できるように、可撓性導体トラックの接続領域部に対して接着剤を用いて固定される、光学モジュールに関する。
【0019】
本発明のさらなる有利な点および利用可能性は、図面に記載の実施形態例とともに以下の記載から見出される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1図1は、可撓性導体トラックによりカメラのマザーボードと接続される、本発明による光学モジュールを有する運転支援システムカメラの実施形態例を示す図である。
図2図2は、可撓性導体トラックによりカメラのマザーボードと接続される、本発明による光学モジュールを有する運転支援システムカメラの実施形態例を示す図である。
図3図3は、曲げられた状態における、本発明の可撓性導体トラックの実施形態例の基板と導体トラック構造体を示す図である。
図4図4は、図1および2に示されるカメラを組み立てる際の可撓性導体トラックの異なる状態を示す図である。
図5図5は、本発明の可撓性導体トラックの補強層の2つの実施形態例を示す図である。
図6図6は、本発明の可撓性導体トラックの実施形態例の4つの図である。
図7図7は、本発明の可撓性導体トラックを組み立てる際の調整方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下の記載において、同一、機能的に同一および機能的に関連する要素は、同一の符号を有する場合がある。以下、絶対値は例示として示されるにすぎず、発明を限定するものとして理解されてはならない。
【0022】
図1および2は、特に乗物のウインドスクリーンの背後に取り付けられ、例えば中央バックミラーのベースに一体化される、乗物搭載用運転支援システムカメラ50を示す。カメラ50は、光学モジュール58と、2つのハーフハウジング56、56‘からなる合成樹脂ハウジングまたは金属ハウジングに設けられるマザーボード54とを含む。ハーフハウジング56に固定されるマザーボード54は、本発明の可撓性導体トラックを介して、光学モジュール58の画像センサモジュール52と電気的に接続される。
【0023】
画像センサモジュール52は、画像センサ52‘、例えばCMOSイメージセンサと、画像センサ52‘設置用の固定背面板52‘‘(補強材)とを有する。画像センサ52‘は、ACFAボンディングを用いて、可撓性導体トラックの対応する接続領域部16と電気的に接続される。画像センサ52‘を有する接続領域部16は、固定背面板52‘‘上に固定され、例えば接着される。そのように構成される画像センサモジュール52上に、接着剤52‘‘‘を用いて、光学モジュール58のレンズ58‘が直接、つまり別個のレンズホルダを備えずに固定されるため、光学モジュール58は確実に組み合わされたユニットとして構成される。可撓性導体トラック10の他方の接続領域部14は、ACFAボンディングを用いて、マザーボード54の対応する接続領域部と電気的に接続される。
【0024】
ACFボンディングでは、ボンディング前のステップで、接着テープをマザーボード54に塗布する。光学モジュール58を有するハウジング56または光学モジュール58のみ(引き続いてハウジングを組み込む場合)は、マザーボード54に関して位置決めされ、ホットスタンプを用いて接触領域において導電接続される一方、接点がない領域は絶縁体としてとどまるのは、接着剤の導電性粒子は十分に圧縮されていないため導電接続を発生させるからである。そのようにして達成される接続は、接着後の金属粒子に対するロバスト性そして大きな接触面で非常に小さな接触抵抗という有利な点を示す。さらに、プラグ接続に対して大きなコスト優位性を達成できる。
【0025】
カメラ50の最終組み立てに関して、図1に示されるようにハウジングが開いた状態で、光学モジュール58は、矢印で示されるロール角調整プロセスステップにおいてハーフハウジング56における対応する開口部にねじ込まれ、これによりマザーボード54がハーフハウジング56に接してまたはハーフハウジング56内で固定され、例えば挟着、接着または螺着される。ハーフハウジング56は、乗物内に明瞭に方向付けをするための目印を有する。ロール角調整ステップの目標は、光学モジュール58の画像センサ52‘の、乗物の目印に関するロール角の散乱が可能な限り小さくなるようにすることである。ロール角調整の後、安定した組み合わせ方法、例えば接着により、光学モジュール58はハーフハウジング56に固定される。ロール角調整はACFAボンディングの前に実施されてもよい。
【0026】
ロール角調整により、可撓性導体トラック10の接続領域部14および16の接続は、この際に発生する力に基づく比較的大きな荷重を受ける。この荷重は後述する本発明の可撓性導体トラック10により低減される。ロール角調整完了後、ハウジングはハーフハウジング56および56‘を組み合わせることで閉じられ、例えば、下ハーフハウジング56‘および上ハーフハウジング56をスナップフィットにより組み合わせるか、両ハーフハウジング56および56‘を互いに接着するかまたは螺合される。
【0027】
1つの実施形態例によると、ロール角調整による荷重に耐えることができるように、可撓性導体トラック10は好ましくは、接着剤を含む異なる合成樹脂および金属の積層構造を有する(ロール角調整前またはロール角調整後のACFAボンディングを用いた最終組み立ての場合、それぞれねじり/曲げモーメントが可撓性導体トラックに作用するため両方の場合に該当する)。例えば、可撓性導体トラックは、ポリイミド樹脂からなる25μmの厚さを有する中間ベース層を有してよく、その上側には12.5μmの厚さを有する第1銅層が、その下側には12.5μmの厚さを有する第2銅層が重ねられる。第1銅層は、15μmの厚さを有する接着剤層を用いて固定される、12.5μmの厚さを有する第1ポリイミド樹脂層により被覆される。このようにして、第2銅層は、15μmの厚さを有する接着剤層を用いて固定される、12.5μmの厚さを有する第2ポリイミド樹脂層により被覆される。このようにして合計で105μmの厚さを有する耐荷重性が高い可撓性導体トラックが得られる。
【0028】
可撓性導体トラックは利用可能な自由度を有して構成されたほうがよく、これによりその固有振動が乗物使用時に発生する振動から可能な限り外れ、振動により励起された固有振動により荷重が生じることを避けることができる。
【0029】
耐荷重性を高め、特にロール角調整時の可撓性導体トラック10のねじり/曲げモーメントを低減するために、1つまたは複数の縦スロット18、20を接続領域部14および16の間に位置する領域11という領域に設けることができる。この場合、スロット18、20は導体トラック構造体12間に設けられるか、導体トラック構造体12は、個々のトラック構造体がスロットを囲んで延在するように構成される。図3には、2つの接続領域部14および16の間に位置する領域11に平行に延在する縦スロット18および20を有する可撓性導体トラックの基板13および導体トラック構造体12が示される。縦スロット18、20は基板13の切り抜きであり、導体トラック構造体12は、これらの切り抜き18および20を囲んで延在するか、切り抜き18および20が導体トラック構造体12により残された領域に位置するように構成される。縦スロット18および20は接続領域部14および16に対して手前で終端することで、一方端ではACFAボンディングのために可能な限り平坦な形態、他方端では画像センサとの接着を確保する。可撓性導体トラックのスロット18、20により、ロール角調整や他の組み立てプロセス(曲げ、変位)による力を可撓性導体トラックの変形を通して吸収することができる。図3に見られるように、導体トラック構造体12はスロット18、20の切り抜き領域においてより密接、つまりより小さい間隔で延在する一方、端部領域では再び大きな間隔で構成される。
【0030】
図4は、図1および2に示されるカメラの組み立て時における可撓性導体トラック10の曲げ状態を示す。Aにおいて開始位置、Bにおいて導体トラック10の接続領域部をマザーボードに取り付けるための曲げ、Cにおいてマザーボードを移動させる際にハウジングで生じる曲げ、そしてDにおいてロール角調整時に生じる曲げが示される。
【0031】
可撓性導体トラックが追加補強層を備えれば、可撓性導体トラックの耐荷重性をさらに最適化することができる。例えば、追加補強層は、導体トラックに用いられず、可撓性導体トラックが極度の変形、特に曲げやロール角調整の際に作用する力に耐えるように構成される第2金属層(例えば銅)の形態で構成されてよい。さらに、ライングリッド、ドットマトリクスおよび/またはクロスグリッドが第2金属層において形成されてよい。これらの構造により、曲げ時の追加保護機能およびプロダクトの変形を抑止する保持力を可能にすることができる。図5は、耐荷重性を高めるための、銅からなるそのような第2金属層の2つの異なる形態を示す。図5右側に示される形態では、ACFAボンディング用の領域が可能な限り固定して平坦に構成され、画像センサとの接着を可能にするために、接続領域部28において第2銅層は全面に構成され、スロットは接続領域部28内を貫通していない。スロットの領域26において、第2銅層はクロスグリッド形状に構成される。図5左側に示される形態では、第2銅層は全体にわたって、つまり接続領域部28‘およびスロットの領域26‘において、ドットマトリクスとして構成されている。さらにこの形態では、スロットは、対応するロール角調整の際に可能な限り良好な耐荷重性を確実にするために、非常に幅広に構成されている。
【0032】
図6は、本発明の可撓性導体トラック10の実施形態例の4つの図を示し、導体トラック10の可能な形態のさらなる詳細が示される。図示のトラック10において、両縦スロット18および20はACFAボンディング用に設けられる接続領域部14および16に対して手前で終端することで、可能な限り平坦な、ボンディング用の接続領域部14、16の被覆部を確保することができる。さらに、縦スロット18および20の幅24は接続領域部14、16に向かって減少するため、ACFAボンディング用の被覆面を拡大し、これによりボンディング接続の耐荷重性を高めることができる。図6左下の図において、導体トラック構造体12およびその延在状態が見られ、特に接続領域部14および16における個々の構造体の間隔が領域11における間隔とは対照的に拡大していることがわかる。図6右下の図は、接続領域部14および16において全面に構成され(領域28)、縦スロット18、20の領域11においてクロスグリッド形状に構成される(領域26)、導体トラック10の追加補強層26、28を示す。
【0033】
図7は、本発明の可撓性導体トラック10を組み立てる際の調整方法を示し、導体板54の貫通孔55(いわゆるビアが導体板製造の標準製造プロセスにおいて組み入れられる)が用いられ、可撓性導体トラック10の接続領域部14とマザーボード54との間のACFAボンディングのための調整プロセスにおいて、ランプ60を用いるバックライト装置と可撓性導体トラック10の接続領域部14における打ち抜き部15により、反復可能な調整用位置制御を可能にする。打ち抜き部15は、接続領域部14における観察窓またはランプ60のバックライト装置の波長の少なくとも一部用の透明窓を構成する。ランプ60と対向し、接続領域部14の他方側の観察窓15の領域に配置される光センサ62は、認識された、貫通孔55と観察窓15を通過する放射の強度を表す、センサ信号64を生成する。その場合、センサ信号64はさらに接続領域部14を調整するために用いられてよく、例えばセンサ信号64の最大値が算出され、観察窓15がまさに貫通孔55上に配置されることで、ランプ60の最大放射量がセンサ63に到達できる。図7右下には、接続領域部14に観察窓15を有する可撓性導体トラック10の実施形態例の平面図が示される。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図4D
図5
図6
図7