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特許7562263制御装置、レンズ装置、および、撮像装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-27
(45)【発行日】2024-10-07
(54)【発明の名称】制御装置、レンズ装置、および、撮像装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 7/08 20210101AFI20240930BHJP
   G03B 13/36 20210101ALI20240930BHJP
   G02B 7/28 20210101ALI20240930BHJP
   G02B 7/04 20210101ALI20240930BHJP
   H04N 23/60 20230101ALI20240930BHJP
   H04N 23/65 20230101ALI20240930BHJP
【FI】
G02B7/08 C
G03B13/36
G02B7/28 N
G02B7/04 E
H04N23/60
H04N23/65
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2020014228
(22)【出願日】2020-01-30
(65)【公開番号】P2021120724
(43)【公開日】2021-08-19
【審査請求日】2023-01-18
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110412
【弁理士】
【氏名又は名称】藤元 亮輔
(74)【代理人】
【識別番号】100104628
【弁理士】
【氏名又は名称】水本 敦也
(74)【代理人】
【識別番号】100121614
【弁理士】
【氏名又は名称】平山 倫也
(72)【発明者】
【氏名】水落 風也
【審査官】門田 宏
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-337277(JP,A)
【文献】特開2013-061438(JP,A)
【文献】特開2013-098901(JP,A)
【文献】特開2013-024900(JP,A)
【文献】特開2006-106356(JP,A)
【文献】特開平05-088068(JP,A)
【文献】特許第5843442(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 7/02 - 7/08
G02B 7/28
G03B 3/10
G03B 13/34 -13/36
H04N 23/00
H04N 23/60
H04N 23/65
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フォーカスレンズを合焦位置に自動で調整する第一の制御手段と、
前記フォーカスレンズをユーザの操作に基づいて調整する第二の制御手段と、
前記フォーカスレンズを駆動する第三の制御手段と、
第一の電力モードと、前記第一の電力モードよりも消費電力が少ない第二の電力モードとを切り替える切替手段と、
前記第一の電力モードから前記第二の電力モードへの切り替えの際に、前記フォーカスレンズの第一の位置に関する情報を記憶する記憶手段と、
前記フォーカスレンズが、前記第一の制御手段および前記第二の制御手段が有効である第一の駆動領域と、前記第一の制御手段が無効であり前記第二の制御手段が有効である第二の駆動領域のどちらに位置するのかを判定する判定手段とを有する制御装置であって
記第二の制御手段は、前記第二の駆動領域において有効であり、
前記第三の制御手段は、前記第一の電力モードから前記第二の電力モードへの切り替えの際に前記フォーカスレンズの前記第一の位置が前記第一の駆動領域にある場合、前記第二の電力モードから前記第一の電力モードへの切り替えの際に、前記記憶手段に記憶された前記第一の位置に関する情報に基づいて、前記フォーカスレンズを前記第一の駆動領域における第二の位置に移動し、前記第一の電力モードから前記第二の電力モードへの切り替えの際に前記フォーカスレンズの前記第一の位置が前記第二の駆動領域にある場合、前記第二の電力モードから前記第一の電力モードへの切り替えの際に、被写体距離を維持するように前記フォーカスレンズの位置を制御することを特徴とする制御装置。
【請求項2】
前記第三の制御手段は、前記第二の電力モードにおいてズームレンズが移動した場合、前記第二の電力モードから前記第一の電力モードへの切り替えの際に、前記記憶手段に記憶された前記第一の位置に関する情報に基づいて、被写体距離を維持するように前記フォーカスレンズを前記第二の位置に移動することを特徴とする請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記第三の制御手段は、前記第一の電力モードから前記第二の電力モードへの切り替えの際に前記フォーカスレンズの前記第一の位置が前記第二の駆動領域にある場合、前記第二の電力モードから前記第一の電力モードへの切り替えの際に、前記フォーカスレンズを移動させないことを特徴とする請求項1または2に記載の制御装置。
【請求項4】
前記第三の制御手段は、前記第一の電力モードから前記第二の電力モードへの切り替えの際に前記フォーカスレンズの前記第一の位置が前記第二の駆動領域である場合、撮像装置からの命令に従って、前記第二の電力モードから前記第一の電力モードへの切り替えの際に前記フォーカスレンズを前記第一の駆動領域における第三の位置に移動することを特徴とする請求項1乃至のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項5】
前記第三の制御手段は、前記第一の制御手段または前記第二の制御手段を選択する選択手段により前記第二の制御手段が選択されている場合、電源投入時に前記第一の電力モードで立ち上がる際に、前記第一の駆動領域または前記第二の駆動領域において被写体距離を維持するように前記フォーカスレンズを移動し、前記第一の制御手段が選択されている場合、電源投入時に前記第一の電力モードで立ち上がる際に、前記第一の駆動領域において被写体距離を維持するように前記フォーカスレンズを移動することを特徴とする請求項1乃至のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項6】
記判定手段は、前記第一の電力モードから前記第二の電力モードへの切り替えの際に記憶されたズームレンズの位置とフォーカスレンズの位置とに基づいて、前記フォーカスレンズの位置が前記第一の駆動領域か前記第二の駆動領域かを判定することを特徴とする請求項1乃至のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項7】
前記記憶手段は、被写体距離に応じて合焦状態を保持するようにズームレンズの位置と前記フォーカスレンズの位置との関係を示す電子カムデータを記憶していることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項8】
フォーカスレンズと、
請求項1乃至のいずれか一項に記載の制御装置と、を有することを特徴とするレンズ装置。
【請求項9】
前記切替手段は、撮像装置からの命令に従って、前記第一の電力モードと前記第二の電力モードとを切り替えることを特徴とする請求項に記載のレンズ装置。
【請求項10】
前記レンズ装置が撮像装置に装着された場合、前記フォーカスレンズを前記第一の駆動領域における第四の位置に移動することを特徴とする請求項またはに記載のレンズ装置。
【請求項11】
前記第二の電力モードにおいてズームレンズが移動した場合、前記フォーカスレンズは、前記フォーカスレンズを駆動するフォーカス駆動手段により駆動されないことを特徴とする請求項1乃至のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項12】
撮像素子と、
請求項1乃至のいずれか一項に記載の制御装置と、を有することを特徴とする撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フォーカスレンズを駆動して焦点調節が可能な制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
フォーカスレンズを駆動して焦点調節を行う方法として、オートフォーカス(AF)およびマニュアルフォーカス(MF)が知られている。AFは、AFセンサから生成されるAF評価値に基づいてフォーカスレンズの合焦位置を算出して焦点調節を行う方法である。MFは、ユーザが手動でフォーカスリングを操作して焦点調節を行う方法である。
【0003】
また、ズームレンズを駆動した際に生じる像面変動を、フォーカスレンズを駆動することにより補正し、合焦状態を維持するズームトラッキング制御が知られている。特許文献1には、ズームの際に合焦状態を維持するズームレンズ位置とフォーカスレンズ位置との関係を示す電子カム(トラッキング曲線)情報に基づいて、領域モードを切り替える方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第5843442号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示された方法では、ユーザのズーム操作によるズームトラッキング制御の際に、ユーザが意図せず、領域モードが切り替わる場合がある。ここで領域モードは、AFとMFの両方で焦点調節が可能なAF可能領域、および、MFでのみ焦点調節が可能なMF専用領域に関するモードを含む。
【0006】
MF専用領域では、フォーカスレンズの駆動と撮像センサからの画像取得は可能であるが、AFセンサへ入る光線の入射角等の制限によってAFを行うことができない。このため、ズーム操作等のMF操作以外の操作によりユーザが意図せずAF可能領域からMF専用領域へ切り替わると、AF状態から強制的にMF状態に変わり、ユーザが混乱する可能性がある。特に、Sleep時のズーム操作は、Sleep解除時にズームトラッキング制御を行う必要があり、AF可能領域とMF専用領域との切り替わりが発生しやすい。
【0007】
そこで本発明は、SLEEP解除時にユーザが意図せずAF可能領域からMF専用領域へ切り替わることを防止し、ユーザの操作性を向上させることが可能な制御装置、レンズ装置、および、撮像装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一側面としての制御装置は、フォーカスレンズを合焦位置に自動で調整する第一の制御手段と、前記フォーカスレンズをユーザの操作に基づいて調整する第二の制御手段と、前記フォーカスレンズを駆動する第三の制御手段と、第一の電力モードと、前記第一の電力モードよりも消費電力が少ない第二の電力モードとを切り替える切替手段と、前記第一の電力モードから前記第二の電力モードへの切り替えの際に、前記フォーカスレンズの第一の位置に関する情報を記憶する記憶手段と前記フォーカスレンズが、前記第一の制御手段および前記第二の制御手段が有効である第一の駆動領域と、前記第一の制御手段が無効であり前記第二の制御手段が有効である第二の駆動領域のどちらに位置するのかを判定する判定手段とを有する制御装置であって、前記第一の制御手段および前記第二の制御手段は、前記フォーカスレンズの第一の駆動領域において有効であり、前記第一の制御手段は、前記フォーカスレンズの第二の駆動領域において無効であり、前記第二の制御手段は、前記第二の駆動領域において有効であり、前記第三の制御手段は、前記第一の電力モードから前記第二の電力モードへの切り替えの際に前記フォーカスレンズの前記第一の位置が前記第一の駆動領域にある場合、前記第二の電力モードから前記第一の電力モードへの切り替えの際に、前記記憶手段に記憶された前記第一の位置に関する情報に基づいて、前記フォーカスレンズを前記第一の駆動領域における第二の位置に移動し、前記第一の電力モードから前記第二の電力モードへの切り替えの際に前記フォーカスレンズの前記第一の位置が前記第二の駆動領域にある場合、前記第二の電力モードから前記第一の電力モードへの切り替えの際に、被写体距離を維持するように前記フォーカスレンズの位置を制御する。
【0009】
本発明の他の目的及び特徴は、以下の実施例において説明される。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、SLEEP解除時にユーザが意図せずAF可能領域からMF専用領域へ切り替わることを防止し、ユーザの操作性を向上させることが可能な制御装置、レンズ装置、および、撮像装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】各実施例における撮像装置のブロック図である。
図2】各実施例における被写体距離ごとの電子カムデータを示す図である。
図3】各実施例におけるAF可能領域およびMF専用領域を示す図である。
図4】実施例1におけるズームレンズ位置と最短撮影距離との関係を示す図である。
図5】実施例1におけるSleep移行時の制御方法を示すフローチャートである。
図6】実施例1におけるSleep解除時の制御方法を示すフローチャートである。
図7】実施例1における制御方法の説明図である。
図8】実施例1における制御方法の説明図である。
図9】実施例2におけるSleep解除時の制御方法を示すフローチャートである。
図10】実施例3におけるSleep解除時の制御方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施例について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0013】
まず、各実施例における撮像装置の構成について説明する。図1は、撮像装置10のブロック図である。撮像装置10は、カメラ本体(撮像装置本体)200と、カメラ本体200に着脱可能な交換レンズ(レンズ装置)100とを備えて構成される。ただし各実施例の撮像装置は、これに限定されるものではなく、カメラ本体とレンズ装置とが一体的に構成されていてもよい。
【0014】
交換レンズ100は、カメラ本体200に不図示のマウントを介して機械的および電気的に接続されている。交換レンズ100は、前述したマウントに設けられた不図示の電源端子を介して、カメラ本体200から電力の供給を受ける。そして交換レンズ100は、カメラ本体200から受けた電力を用いて、後述する各種アクチュエータやレンズマイコン(レンズマイクロコンピュータ)111を制御する。カメラ本体200は、前述したマウントに設けられた不図示の通信端子部を介して、交換レンズ100と通信を行い、交換レンズ100に制御コマンドを送信することで交換レンズ100を制御する。
【0015】
カメラ本体200は、位相差AFセンサ機能を有する撮像素子201と、信号処理回路202と、記録処理部203と、表示部204と、操作部205と、カメラマイコン(カメラマイクロコンピュータ)206とを有する。撮像素子201は、CMOSセンサやCCDセンサを有し、交換レンズ100内の撮像光学系により形成された被写体像(光学像)を光電変換して電気信号(アナログ信号)を出力する。撮像素子201から出力されたアナログ信号は、不図示のA/D変換回路によりデジタル信号に変換される。
【0016】
信号処理回路202は、A/D変換回路からのデジタル信号に対して各種画像処理を行い、映像信号を生成する。また信号処理回路202は、映像信号から被写体像のコントラスト状態、すなわち撮像光学系の焦点状態を示すフォーカス情報や露出状態を表す輝度情報を生成する。また信号処理回路202は、映像信号を表示部204に出力し、表示部204は映像信号を構図やピント状態等の確認に用いられるライブビュー画像として表示する。また信号処理回路202は、映像信号を記録処理部203に出力する。記録処理部203は、映像信号を静止画像や動画像データとして外部メモリ等に記憶する。
【0017】
カメラ制御部としてのカメラマイコン206は、操作部205に含まれる撮像指示スイッチおよび各種設定スイッチ等の入力に応じて、カメラ本体200を制御する。またカメラマイコン206は、カメラ通信部を介して、輝度情報に応じた絞りユニット103の光量調節動作やフォーカス情報に応じたフォーカスレンズ105の焦点調節動作に関する制御コマンドをレンズマイコン111に送信する。
【0018】
交換レンズ100は、撮像光学系と、撮像光学系を駆動する各アクチュエータを制御する各制御部と、フォーカスレンズ105を操作するための操作リング110と、レンズマイコン111とを有する。
【0019】
レンズマイコン111は、交換レンズ100内の各部の動作を制御するレンズ制御部(制御装置)である。レンズマイコン111は、通信部を介して、カメラ本体200から送信された制御コマンドを受信し、レンズデータの送信要求を受ける。またレンズマイコン111は、制御コマンドに対応するレンズ制御を行い、送信要求に対応するレンズデータをカメラ本体200に送信する。またレンズマイコン111は、制御コマンドのうち光量調節に関するコマンドやフォーカシングに関するコマンドに応答して、絞り制御部107およびフォーカスレンズ制御部(フォーカス駆動手段)109に指令を出力する。絞り制御部107およびフォーカスレンズ制御部109は、レンズマイコン111からの指令に従って、絞りユニット103およびフォーカスレンズ105をそれぞれ駆動する。これにより、絞りユニット103およびフォーカスレンズ105による光量調節処理、および焦点調節動作を制御するオートフォーカス処理を行うことができる。またレンズマイコン111は、操作リング110の操作量に応じて、フォーカスレンズ制御部109に指令を出力してフォーカスレンズ105を駆動し、焦点調節動作を制御する。
【0020】
レンズマイコン111は、交換レンズ100内の各部の動作を制御するレンズ制御部(制御装置)である。レンズマイコン111は、通信部を介して、カメラ本体200から送信された制御コマンドを受信し、レンズデータの送信要求を受ける。またレンズマイコン111は、制御コマンドに対応するレンズ制御を行い、送信要求に対応するレンズデータをカメラ本体200に送信する。
【0021】
またレンズマイコン111は、カメラ本体200からのSleep命令により交換レンズ100を通常動作状態であるActiveモード(第一の電力モード)から低消費電力状態であるSleepモード(第二の電力モード)に遷移する機能を有する。Sleepモードは、交換レンズ100の周辺回路の電源を遮断し、レンズマイコン111のクロック発振回路を停止させ、低消費電力状態を実現し、動作停止している状態である。Sleep状態である交換レンズ100は、カメラ本体200によるSleep解除命令によってActiveモードに遷移し、後述のフォーカスレンズ105や絞りユニット103の制御、および像振れ補正レンズ104の制御(手振れ補正)などの通常動作を行う。
【0022】
またレンズマイコン111は、制御コマンドのうち光量調節に関するコマンドやフォーカシングに関するコマンドに応答して、絞り制御部107およびフォーカスレンズ制御部109に指令を出力する。絞り制御部107およびフォーカスレンズ制御部109は、レンズマイコン111からの指令に従って、絞りユニット103およびフォーカスレンズ105をそれぞれ駆動する。これにより、絞りユニット103およびフォーカスレンズ105による光量調節処理、および焦点調節動作を制御するオートフォーカス処理を行うことができる。またレンズマイコン111は、操作リング110の操作量に応じて、フォーカスレンズ制御部109に指令を出力してフォーカスレンズ105を駆動し、焦点調節動作を制御する。
【0023】
各実施例において、レンズマイコン111は、第一の制御手段111a、第二の制御手段111b、第三の制御手段111c、切替手段111d、記憶手段111e、および、判定手段111fを有する。第一の制御手段111aは、フォーカスレンズ105を合焦位置に自動で調整する(すなわち第一の制御手段111aはAF制御を実現する機能を有する)。第二の制御手段111bは、フォーカスレンズ105を手動で(ユーザの操作量に基づいて)調整する(すなわち第二の制御手段111bはMF制御を実現する機能を有する)。第三の制御手段111cは、フォーカスレンズ105を駆動する(ズームトラッキング制御など)。切替手段111dは、第一の電力モード(Activeモード)と、第一の電力モードよりも消費電力が少ない第二の電力モード(Sleepモード)とを切り替える。記憶手段111eは、レンズマイコン111の内部メモリであり、第一の電力モードから第二の電力モードへの切り替えの際に、フォーカスレンズ105の第一の位置(切り替えの際のフォーカスレンズ105の位置)に関する情報を記憶する。
【0024】
第三の制御手段111cは、後述のように、第一の電力モードと第二の電力モードの間の切り替えに際してフォーカスレンズ105を適切な位置に位置させるようフォーカスレンズ105を駆動または静止させる機能を有する。
【0025】
なお、本実施例ではレンズマイコン111が第一の制御手段111a、第二の制御手段111b、第三の制御手段111cを有する例について説明した。これは、レンズマイコン111が第一の制御手段111aの機能に相当する機能、第二の制御手段111bの機能に相当する機能、第三の制御手段111cの機能に相当する機能を有することと等価としてとらえることもできる。
【0026】
後述のように、第一の制御手段111aおよび第二の制御手段111bはフォーカスレンズ105の第一の駆動領域(AF可能領域)において有効であり、第一の制御手段111aはフォーカスレンズ105の第二の駆動領域(MF専用領域)において無効である。第三の制御手段111cは、第二の駆動領域の変化(全駆動領域における前記第二の駆動領域の割合の増減変化)に基づいてフォーカスレンズ105を駆動する。第三の制御手段111cは、第一の電力モードから第二の電力モードへの切り替えの際にフォーカスレンズ105の第一の位置が第一の駆動領域にある場合、第二の電力モードから第一の電力モードへの切り替えの際に、フォーカスレンズを第二の位置に移動する。すなわち第三の制御手段111cは、記憶手段111eに記憶された第一の位置に関する情報に基づいて、フォーカスレンズ105を第一の駆動領域における第二の位置に移動する。
【0027】
好ましくは、第三の制御手段111cは、第二の電力モードでズームレンズが移動した場合、第二の電力モードから第一の電力モードへの切り替えの際に、記憶手段111eに記憶された第一の位置に関する情報に基づいてフォーカスレンズを第二の位置に移動する。また好ましくは、第三の制御手段は、第一の電力モードから第二の電力モードへの切り替えの際に第一の位置が第二の駆動領域にある場合、第二の電力モードから第一の電力モードへの切り替えの際に、被写体距離を維持するようにフォーカスレンズを移動する。また好ましくは、第三の制御手段は、第一の電力モードから第二の電力モードへの切り替えの際に第一の位置が第二の駆動領域にある場合、第二の電力モードから第一の電力モードへの切り替えの際にフォーカスレンズを移動させない。また好ましくは、判定手段111fは、第一の電力モードから第二の電力モードへの切り替えの際に記憶されたズームレンズ102の位置とフォーカスレンズ105の位置とに基づいて、フォーカスレンズ105の位置が第一の駆動領域か第二の駆動領域かを判定する。また好ましくは、記憶手段111eは、被写体距離に応じて合焦状態を保持するようにズームレンズ102の位置とフォーカスレンズ105の位置との関係を示す電子カムデータを記憶している。また好ましくは、第二の電力モードにおいてズームレンズ102が移動した場合、フォーカスレンズ105は、フォーカスレンズ制御部109により(電動で)駆動されない。
【0028】
撮像光学系は、フィールドレンズ101と、変倍を行うズームレンズ102と、光量を調節する絞りユニット103と、像振れ補正レンズ104と、焦点調節を行うフォーカスレンズ105とを含む。ズームレンズ102は、図中に破線で示される光軸OAに沿った方向(光軸方向)に移動可能であり、不図示のズーム機構に連結されたズーム操作部がユーザに操作されることで光軸方向に駆動される。これにより、ズームレンズ102の移動によって撮影光学系の焦点距離が変更される変倍(ズーム)が行われる。
【0029】
ズームレンズ位置検出部106は、可変抵抗等の位置検出センサを用いてズームレンズ位置を検出し、ズームレンズ102の位置データをレンズマイコン111に出力する。ズームレンズ位置検出部106から出力された位置データは、レンズマイコン111にて後述するズームトラッキング制御などに用いられる。
【0030】
絞りユニット103は、絞り羽根やホール素子等のセンサを備えて構成される。絞り羽根の状態は、前述のセンサにより検出され、レンズマイコン111に出力される。絞り制御部107は、レンズマイコン111からの指令に従って、駆動信号を出力してステッピングモータやボイスコイルモータ等のアクチュエータを駆動する。これにより、絞りユニット103による光量調節を行うことができる。
【0031】
像振れ補正レンズ104は、撮像光学系の光軸OAに直交する方向に移動することで、手振れ等に起因する像振れを低減する。像揺れ補正レンズ制御部108は、振動ジャイロ等の不図示の振れセンサにより検出された振れに応じて、レンズマイコン111からの指令に従って、駆動信号を出力して防振アクチュエータを駆動する。これにより、像揺れ補正レンズ104のシフト動作を制御する防振処理を行うことができる。
【0032】
フォーカスレンズ105は、光軸方向に移動可能であり、フォトインタラプタ等の位置検出センサを用いてフォーカスレンズ105の位置を検出し、位置データをレンズマイコン111に出力する。フォーカスレンズ制御部109は、レンズマイコン111からの指令に従って、駆動信号を出力してステッピングモータ等のアクチュエータを駆動し、フォーカスレンズ105を移動させることで焦点調節を行う。
【0033】
またフォーカスレンズ105は、ズームレンズ102による変倍に伴う像面変動を補正する。リアフォーカス式の変倍光学系において、ズームレンズ102を移動させて変倍を行う際に生じる像面変動を、フォーカスレンズ105を移動させることによって補正し、合焦状態を維持するズームトラッキング制御を行う。
【0034】
ここで、図2を参照して、ズームトラッキング制御について説明する。図2は、被写体距離ごとの電子カムデータを示す図である。図2において、横軸はズームレンズ102の位置(ズームレンズ位置)、縦軸はフォーカスレンズ105の位置(フォーカスレンズ位置)をそれぞれ示す。ズームトラッキング制御を行うため、レンズマイコン111に搭載された記憶手段111e(内部メモリ)には、電子カムデータ(トラッキング曲線)の情報が記憶されている。電子カムデータは、図2に示されるように、被写体距離に応じて合焦状態を保持するように設定されたズームレンズ位置とフォーカスレンズ位置との関係を示すデータである。レンズマイコン111は、電子カムデータに基づいて、フォーカスレンズ制御部109に制御指令を出力し、フォーカスレンズ105を駆動してトラッキング制御を行う。
【0035】
各実施例において、電子カムデータは、フォーカスレンズ105の単位駆動量に対する像面移動量であるフォーカス敏感度に基づいて作成される。ただし、図2に示されるように、実際にメモリに記憶されている電子カムデータは、代表的な複数の被写体距離A~Dに対応するデータであり、かつ代表的なズームレンズ位置(代表点)に対するフォーカスレンズ位置を示すデータである。代表点以外のズームレンズ位置に近い複数の代表点に対する距離の比率を算出し、その比率に応じて線形補完を行うことによりフォーカスレンズ位置を算出することができる。
【0036】
AF/MF切り替えSW(選択手段)112は、後述する焦点調整を行う焦点調節手段として、第一の制御手段111aまたは前記第二の制御手段111bを選択する。レンズマイコン111は、AF/MF切り替えSW112の状態に基づいて、焦点調節手段として第一の制御手段111aまたは第二の制御手段111bを設定する。好ましくは、第三の制御手段111cは、AF/MF切り替えSW112により第二の制御手段111bが選択されている場合、電源投入時に第一の電力モードで立ち上がる際に、被写体距離を維持するようにフォーカスレンズ105を移動する。
【0037】
次に、図3を参照して、AF可能領域およびMF専用領域について説明する。図3は、AF可能領域およびMF専用領域を示す図である。ここで、AF可能領域はAFとMFの両方で焦点調節が可能な領域であり、MF専用領域はMFでのみ焦点調節が可能な領域である。本実施例において、AF可能領域はAF・MF無限端とAF資金端との間の領域であり、MF専用領域はMF至近端とAF至近端との間の領域である。また本実施例において、AF可能領域とMF専用領域とを合わせた領域が全駆動領域である。
【0038】
各実施例の撮像装置10は、自動で焦点調節を行うオートフォーカス(AF)と、手動で焦点調節を行うマニュアルフォーカス(MF)とでフォーカスレンズ105を駆動して焦点調節を行うことが可能である。AFにおいて、カメラマイコン206は、撮像素子201で生成される映像信号に応じたAF評価値に基づいてフォーカスレンズ105の合焦位置を算出し、フォーカシングに関する制御コマンドをカメラ通信部を介してレンズマイコン111へ送信する。レンズマイコン111は、カメラマイコン206から送信された制御コマンドに応答して、フォーカスレンズ制御部109に指令を出力し、フォーカスレンズ105を駆動して焦点調節動作を制御する。MFにおいて、レンズマイコン111は、操作リング110の操作量に応じて、フォーカスレンズ制御部109に指令を出力して、フォーカスレンズ105を駆動して焦点調節動作を制御する。
【0039】
図3に示されるAF可能領域は、AFおよびMFの両方により焦点調節が可能な領域である。このため、AF可能領域に存在する被写体Bは、AFおよびMFの両方で合焦させることが可能である。一方、図3に示されるMF専用領域は、AF評価値を正確に算出することができないため、AFによる焦点調節を行うことができず、MFによる焦点調節のみが可能な領域である。このため、MF専用領域に存在する被写体Aは、MFにおいてのみ合焦させることが可能である。
【0040】
以下、各実施例において、撮像装置10の制御方法に関して詳述する。
【実施例1】
【0041】
まず、本発明の実施例1について説明する。図4は、ズームレンズ位置と最短撮影距離との関係を示す図である。図4において、縦軸はズームレンズ位置(ズームレンズ102の位置)、横軸は最短撮影距離をそれぞれ示す。図4に示されるように、最短撮影距離はズームレンズ102の位置に応じて変化し、WIDE側でAF可能領域であった撮影距離位置はTELE側でMF専用領域となる。このように本実施例では、ズーム位置に応じてAF可能領域(AF・MF可能領域)とMF専用領域とが切り替わる。
【0042】
次に、図5を参照して、撮像装置10のSleep移行時の制御方法について説明する。図5は、Sleep移行時の制御方法を示すフローチャートであり、Active状態である交換レンズ100がカメラ本体200からのSleep移行命令を受けて、Sleep状態に遷移する際の処理を示す。
【0043】
レンズマイコン111が処理を開始すると、まずステップS101において、レンズマイコン111は、カメラ本体200からのSleep移行命令を受けたか否かを判定する。ステップS101にてSleep移行命令を受けていない場合、レンズマイコン111は、ステップS101の判定を繰り返す。一方、Sleep移行命令を受けた場合、ステップS102へ進む。
【0044】
ステップS102において、レンズマイコン111は、現在のフォーカスレンズ位置がMF専用領域であるか否かを判定する。現在のフォーカスレンズ位置がMF専用領域である場合、ステップS103へ進む。ステップS103において、レンズマイコン111は、MF専用領域フラグ(MF専用領域フラグ情報)をONとし、ステップS105へ進む。一方、ステップS102にて現在のフォーカスレンズ位置がMF専用領域でない場合、ステップS104へ進む。ステップS104において、レンズマイコン111は、MF専用領域フラグをOFFとし、ステップS105へ進む。
【0045】
ステップS105において、レンズマイコン111は、Sleep移行処理を行う。すなわちレンズマイコン111は、交換レンズ100をSleep状態に移行する処理として、内部電源のOFFや、レンズマイコン111のクロック発振の停止により、低消費電力状態とする。その際、レンズマイコン111は、Sleep状態時に情報を保持することが可能な記憶手段111eに、現在のフォーカスレンズ105の位置情報、MF専用領域フラグ情報、および、ズームレンズ102の位置情報等の必要な情報を格納する。これにより、レンズマイコン111がSleep状態に移行した場合でも、Sleep状態時の必要な情報を保持するができる。
【0046】
次に、図6を参照して、撮像装置10のSleep解除時の制御方法について説明する。図6は、Sleep解除時の制御方法を示すフローチャートであり、Sleep状態である交換レンズ100がカメラ本体200からのSleep解除命令を受けて、Active状態に移行する処理を示す。
【0047】
まずステップS201において、Sleep状態であり処理を停止しているレンズマイコン111は、カメラ本体200からのSleep解除命令を受けたか否かを判定する。カメラ本体200からSleep解除命令を受けていない場合、レンズマイコン111は、ステップS201の判定を繰り返す。一方、レンズマイコン111は、カメラ本体200からSleep解除命令を受けた場合、ステップS202へ進む。
【0048】
ステップS202において、レンズマイコン111は、Sleep移行時に記憶手段111dに記憶されたMF専用領域フラグがONであるか否かを判定する。MF専用領域フラグがON、すなわちユーザがMF操作をしていたことが想定される場合、ステップS203へ進む。一方、MF専用領域フラグがOFFの場合、ステップS204へ進む。
【0049】
ステップS203において、レンズマイコン111は、Sleep移行時に記憶手段111dに記憶されたフォーカスレンズ105の位置情報、ズームレンズ102の位置情報、および、電子カムデータに基づいて、Sleep移行時の被写体距離を算出する。またレンズマイコン111は、ズームレンズ位置検出部106の位置検出センサを用いてズームレンズ位置を検出し、現在のズームレンズ位置におけるSleep移行時の被写体距離を維持するフォーカスレンズ位置を算出する。
【0050】
ここで、図7を参照して、ステップS203の制御について詳述する。図7は、本実施例における制御方法(ステップS203)の説明図であり、Sleep移行時のフォーカスレンズ位置がMF専用領域であるときの被写体距離を維持するフォーカス制御を示す。図7において、縦軸はフォーカスレンズ位置、横軸はズームレンズ位置をそれぞれ示す。
【0051】
フォーカスレンズ位置とズームレンズ位置が位置a1である場合、被写体距離Aの被写体に合焦させている状態である。この状態でズームレンズ位置を焦点距離Bに変化させた場合に被写体距離を維持させるには、被写体距離Aの電子カムデータ軌跡を辿ってフォーカスレンズ位置を位置b1に移動させる必要がある。Sleep中は内部電源がOFFされている低消費電力状態であり、フォーカスレンズ105を移動させることができない。このため、Sleep中にズームレンズ位置が焦点距離Bに動いた場合、フォーカスレンズ位置とズームレンズ位置は、図7に示されるように位置b2となる。このとき、位置b1はMF専用領域内に存在するが、前述の通り、スリープ移行時にユーザがMF操作を行っていたことが想定されるため、MF操作のみでも操作性は低下しない。このため、フォーカスレンズ位置を位置b2から位置b1へ移動させる。
【0052】
同様に、Sleep中にズームレンズ位置を焦点距離Cに変化させた場合、フォーカスレンズ位置とズームレンズ位置は、図7に示されるように位置c2となる。Sleep解除時にフォーカスレンズ位置をc1の位置に移動させることで、被写体距離Aの被写体に合焦させた状態を維持することができる。すなわち、図6のステップS203において、Sleep移行時の被写体距離を維持するように、Sleep移行時のフォーカスレンズ位置、現在のズームレンズ位置、および被写体距離Aにおける電子カムデータに基づいてフォーカスレンズ位置を算出する。そして、算出されたフォーカスレンズ位置にフォーカスレンズ105を移動させる。これにより、Sleep中にズームレンズ位置が移動した場合でも、Sleep移行時に合焦させた被写体距離Aの位置を、Sleep解除時に維持することが可能となる。
【0053】
一方、ステップS204において、レンズマイコン111は、ステップS203と同様に現在のズームレンズ位置におけるSleep移行時の被写体距離を維持するフォーカスレンズ位置を算出する。そしてレンズマイコン111は、算出されたフォーカスレンズ位置(同一被写体を維持するフォーカスレンズ位置)がMF専用領域にあるか否かを判定する。同一被写体を維持するフォーカスレンズ位置がMF専用領域にある場合、ステップS205へ進む。一方、同一被写体を維持するフォーカスレンズ位置がMF専用領域にない場合、ステップS206へ進む。
【0054】
次に、図8を参照して、ステップS205、S206の処理について詳述する。図8は、本実施例の制御方法(ステップS205、S206)の説明図であり、Sleep移行時のフォーカスレンズ位置がAF可能領域であるときの被写体距離を維持するフォーカス制御を示す。図8において、縦軸はフォーカスレンズ位置、横軸はズームレンズ位置をそれぞれ示す。
【0055】
Sleep移行時にフォーカスレンズ位置とズームレンズ位置が位置d1である場合、被写体距離Aの被写体に合焦させている状態である。Sleep中にズームレンズ位置が焦点距離Eに変化した場合、フォーカスレンズ位置とズームレンズ位置は、図8に示されるように位置e3となる。この状態で、Sleep解除時に被写体距離を維持させるには、被写体距離Aの電子カムデータ軌跡を辿ってフォーカスレンズ位置を位置e1に移動させる必要がある。このとき、位置d1はAF可能領域であるため、Sleep移行時にはユーザがAF操作で焦点調整を行っていたことが想定される。位置e1はMF専用領域内に存在するため、フォーカスレンズ位置を位置e1に移動させると、MF操作のみ可能となり、ユーザが意図した操作(AF操作)ができないことが想定される。これを回避するため、ステップS205では、フォーカスレンズ105をAF可能領域の端である位置e2に移動させることで、Sleep解除時にAFによる焦点調整を可能としている。
【0056】
一方、Sleep中にズームレンズ位置を焦点距離Fに変化させた場合、フォーカスレンズ位置とズームレンズ位置は、図8に示されるように位置f2となる。Sleep解除時においても被写体距離を維持させるには、被写体距離Aの電子カムデータから算出される位置f1にフォーカスレンズ105を移動させる必要がある。位置f1はAF可能領域であるため、ステップS206では、フォーカスレンズ105をそのまま位置f1に移動させる。
【0057】
以上のように、Sleep解除時にユーザが意図せずMF専用領域に移動させることを回避し、かつSleep移行時の被写体距離をSleep解除時に可能な限り維持することで、ユーザの操作性を向上させることができる。
【実施例2】
【0058】
次に、本発明の実施例2について説明する。本実施例は、カメラ本体200の設定に応じて、Sleep移行時にフォーカスレンズ位置がMF専用領域にある場合でもフォーカスレンズ位置をAF可能領域に復帰させることを目的とする。
【0059】
本実施例において、第三の制御手段111cは、第一の電力モードから第二の電力モードへの切り替えの際にフォーカスレンズ105の第一の位置が第二の駆動領域である場合、撮像装置(カメラ本体200)からの命令に従ってフォーカスレンズを移動する。すなわち第三の制御手段111cは、Sleep移行時に第一の位置が第二の駆動領域である場合、Sleep解除時にフォーカスレンズ105を第一の駆動領域における第三の位置に移動する。
【0060】
図9を参照して、撮像装置10のSleep解除時の制御方法について説明する。図9は、Sleep解除時の制御方法を示すフローチャートであり、Sleep状態である交換レンズ100が、カメラ本体200からのSleep解除命令を受けてActive状態に移行する際の処理を示す。なお、Active状態からSleep状態への移行処理については、図5を参照して説明した実施例1の処理と同一であるため、その説明を省略する。
【0061】
まずステップS301において、Sleep状態であり処理を停止しているレンズマイコン111は、カメラ本体200からのSleep解除命令を受けたか否かを判定する。カメラ本体200からSleep解除命令を受けていない場合、レンズマイコン111は、ステップS31の判定を繰り返す。一方、レンズマイコン111は、カメラ本体200からSleep解除命令を受けた場合、ステップS302へ進む。
【0062】
ステップS302において、レンズマイコン111は、Sleep移行時に記憶手段111dに記憶されたMF専用領域フラグがONであるか否かを判定する。MF専用領域フラグがONの場合、ステップS303へ進む。一方、MF専用領域フラグがOFFの場合、ステップS304へ進む。
【0063】
ステップS303において、レンズマイコン111は、AF領域復帰フラグがONであるか否かを判定する。AF領域復帰フラグは、カメラ本体200からの通知に従って、レンズマイコン111によりそのON/OFFが切り替えられる。カメラ本体200が交換レンズ100のAF領域復帰フラグの切り替えを通知するタイミングは限定されるものではない。なお、交換レンズ100がActive状態のときにAF領域復帰フラグを切り替える場合、Sleep移行時に、Sleep状態時に情報を保持することが可能な記憶手段(メモリ)111dに情報を保持する必要がある。
【0064】
カメラ本体200がAF領域復帰フラグを切り替えるトリガとして、カメラ本体200の設定によりAF領域復帰フラグを切り替えることができ、または、カメラ本体200の操作によって切り替えてもよい。例えば、カメラ本体200のシャッターボタンによって交換レンズ100のSleepが解除された場合、ユーザがAF操作を所望していると想定される。このため、AF領域復帰フラグをONとし、必ずAF可能な状態で交換レンズ100を復帰させることにより、ユーザの操作性を向上させることが可能となる。
【0065】
ステップS303にてAF領域復帰フラグがONである場合、ステップS304へ進む。一方、AF領域復帰フラグがOFFである場合、ステップS307へ進む。ステップS307において、実施例1のステップS203と同様に、レンズマイコン111は、Sleep解除時のズームレンズ位置におけるSleep移行時の被写体距離を維持するようにフォーカスレンズ105を移動する。このとき、フォーカスレンズ105の位置はMF専用領域であってもよい。ステップS304において、実施例1のステップS204と同様に、レンズマイコン111は、現在のズームレンズ位置におけるSleep移行時の被写体距離を維持するフォーカスレンズ位置を算出する。そしてレンズマイコン111は、算出されたフォーカスレンズ位置(同一被写体を維持するフォーカスレンズ位置)がMF専用領域にあるか否かを判定する。同一被写体を維持するフォーカスレンズ位置がMF専用領域にある場合、ステップS305へ進む。一方、同一被写体を維持するフォーカスレンズ位置がMF専用領域にない場合、ステップS306へ進む。なお、ステップS305は実施例1のステップS205と同様であり、レンズマイコン111は、AF領域の端にフォーカスレンズ105を移動する。ステップS306は実施例1のステップS206と同様であり、レンズマイコン111は、Sleep解除時のズームレンズ位置におけるSleep移行時の被写体距離を維持するようにフォーカスレンズ105を移動する。このとき、フォーカスレンズ105の位置はAF可能領域にある。
【0066】
以上のように、本実施例では、交換レンズ100のSleep解除時にフォーカスレンズ105の位置を必ずAF可能領域において復帰させるか否かを、カメラ本体200に判定させる。これにより、ユーザが意図せずMF専用領域に移動させることを回避する精度を向上させることが可能となり、ユーザの操作性を向上させることができる。
【実施例3】
【0067】
次に、本発明の実施例3について説明する。本実施例は、交換レンズ100のAF/MF切り替えSW112の状態がMFである場合において、フォーカスレンズ位置がSleep移行時にAF可能領域にある場合でも、フォーカスレンズ位置をMF専用領域に復帰させることを目的とする。
【0068】
図10を参照して、撮像装置10のSleep解除時の制御方法について説明する。図10は、Sleep解除時の制御方法を示すフローチャートであり、Sleep状態である交換レンズ100が、カメラ本体200からのSleep解除命令を受けてActive状態に移行する際の処理を示す。なお、Active状態からSleep状態への移行処理については、図5を参照して説明した実施例1の処理と同一であるため、その説明を省略する。
【0069】
まずステップS401において、Sleep状態であり処理を停止しているレンズマイコン111は、カメラ本体200からのSleep解除命令を受けたか否かを判定する。カメラ本体200からSleep解除命令を受けていない場合、レンズマイコン111は、ステップS401の判定を繰り返す。一方、レンズマイコン111は、カメラ本体200からSleep解除命令を受けた場合、ステップS402へ進む。ステップS402において、レンズマイコン111は、Sleep移行時に記憶手段111dに記憶されたMF専用領域フラグがONであるか否かを判定する。MF専用領域フラグがONの場合、ステップS404へ進む。一方、MF専用領域フラグがOFFの場合、ステップS403へ進む。
【0070】
ステップS403において、レンズマイコン111は、交換レンズ100のAF/MF切り替えSW112の状態がMF(MF状態)であるか否かを判定する。AF/MF切り替えSW112の状態がMFである場合、ステップS404へ進む。一方、AF/MF切り替えSW112の状態がAFである場合、ステップS405へ進む。なお本実施例において、AF/MF切り替えSW112は交換レンズ100に設けられているが、これに限定されるものではなく、AF/MF切り替えSWをカメラ本体200に設けてもよい。
【0071】
ステップS404において、実施例1のステップS203と同様に、レンズマイコン111は、Sleep解除時のズームレンズ位置におけるSleep移行時の被写体距離を維持するようにフォーカスレンズ105を移動する。このとき、AF/MF切り替えSW112の状態がMFであるため、ユーザはMF操作を所望していることが想定される。このため、フォーカスレンズ105の位置はMF専用領域であってもよい。
【0072】
ステップS405において、レンズマイコン111は、ステップS204と同様に、現在のズームレンズ位置におけるSleep移行時の被写体距離を維持するフォーカスレンズ位置を算出する。そしてレンズマイコン111は、算出されたフォーカスレンズ位置(同一被写体を維持するフォーカスレンズ位置)がMF専用領域にあるか否かを判定する。同一被写体を維持するフォーカスレンズ位置がMF専用領域にある場合、ステップS406へ進む。一方、同一被写体を維持するフォーカスレンズ位置がMF専用領域にない場合、ステップS407へ進む。
【0073】
ステップS406は実施例1のステップS205と同様であり、レンズマイコン111は、AF領域の端にフォーカスレンズ105を移動する。ステップS407は実施例1のステップS206と同様であり、レンズマイコン111は、Sleep解除時のズームレンズ位置におけるSleep移行時の被写体距離を維持するようにフォーカスレンズ105を移動する。ステップS406およびステップS407は、AF/MF切り替えSW112の状態がAFである際に実行される処理であり、レンズマイコン111は、必ずフォーカスレンズ105の位置をAF可能領域に移動する。
【0074】
以上のように、本実施例では、AF/MF切り替えSW112の状態に基づいてフォーカスレンズ位置をMF専用領域に復帰させるか否かを判定する。これにより、ユーザが意図せずMF専用領域に移動させることを回避する精度を向上させることが可能となり、ユーザの操作性を向上させることができる。
【0075】
(その他の実施例)
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサーがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
【0076】
各実施例によれば、Sleep解除時にユーザが意図せずAF可能領域からMF専用領域へ切り替わることを防止し、ユーザの操作性を向上させることが可能な制御装置、レンズ装置、撮像装置、制御方法、および、プログラムを提供することができる。
【0077】
以上、本発明の好ましい実施例について説明したが、本発明はこれらの実施例に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。
【0078】
例えば、交換レンズ100がカメラ本体200に装着された場合や、交換レンズ100をカメラ本体200に装着した状態で電池を入れた場合、第三の制御手段111cは、フォーカスレンズ105を第一の駆動領域における第四の位置に移動してもよい。また、この制御は、第一の電力モードから第二の電力モードへ切り替えた際に記憶手段111eに記憶した情報がない場合に実行してもよい。
【符号の説明】
【0079】
111 レンズマイコン(制御装置)
111a 第一の制御手段
111b 第二の制御手段
111c 第三の制御手段
111d 切替手段
111e 記憶手段
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10