(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-27
(45)【発行日】2024-10-07
(54)【発明の名称】通信装置、通信方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
H04W 84/12 20090101AFI20240930BHJP
H04W 76/15 20180101ALI20240930BHJP
H04W 80/02 20090101ALI20240930BHJP
【FI】
H04W84/12
H04W76/15
H04W80/02
(21)【出願番号】P 2020038139
(22)【出願日】2020-03-05
【審査請求日】2023-03-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126240
【氏名又は名称】阿部 琢磨
(74)【代理人】
【識別番号】100223941
【氏名又は名称】高橋 佳子
(74)【代理人】
【識別番号】100159695
【氏名又は名称】中辻 七朗
(74)【代理人】
【識別番号】100172476
【氏名又は名称】冨田 一史
(74)【代理人】
【識別番号】100126974
【氏名又は名称】大朋 靖尚
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼田 智行
【審査官】桑江 晃
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/178418(WO,A1)
【文献】特表2015-537469(JP,A)
【文献】特開2018-93255(JP,A)
【文献】特表2018-527770(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04W 4/00 - 99/00
3GPP TSG RAN WG1-4
SA WG1-4
CT WG1,4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
IEEE802.11シリーズ規格に準拠した無線通信を実行可能な通信装置であって、
第1の周波数チャネルにおける第1のリンクにおいて、第2の周波数チャネルにおける第2のリンクに関する情報を含む第1のエレメントとSSID(Service Set Identifier)を示す情報を含む第2のエレメントとを含むBeaconフレームを通信する通信手段と、
他の通信装置と
前記第1の周波数チャネルにおいて
Association RequestフレームとAssociation Responseフレームとを交換することにより、前記他の通信装置との間で前記第1の周波数チャネルにおける第1のリンクと前記第2の周波数チャネルにおける第2のリンク
とを確立する確立手段と、
を有し、
前記Beaconフレームはヘッダ部分とボディ部分とを有し、
前記ボディ部分において前記第1のエレメントは前記第2のエレメントより後に配置され、
前記第1のエレメントと前記第2のエレメントとはそれぞれ、Element IDフィールドとLengthフィールドとを含む
ことを特徴とする通信装置。
【請求項2】
前記第1のエレメントはMulti-Link Elementである
ことを特徴とする請求項1に記載の通信装置。
【請求項3】
前記Beaconフレームに含まれる前記第2のリンク
に関する情報は、前記確立手段によって前記他の通信装置との間
で確立
済みでない第2のリンク
に関する情報である
ことを特徴とする請求項1または2に記載の通信装置。
【請求項4】
前記Beaconフレームに含まれる前記第2のリンク
に関する情報は、前記確立手段によって前記他の通信装置との間に確立することができる
第2のリンク
に関する情報である
ことを特徴とする請求項1または2に記載の通信装置。
【請求項5】
前記第2のリンクに関する情報
は、
前記第2のリンクを識別する識別子を含む
ことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の通信装置。
【請求項6】
前記第2のリンクに関する情報
は、前記第2のリンクに
関するLink Infoフィールドに格納される
ことを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の通信装置。
【請求項7】
前記通信装置が前記他の通信装置との間に第3の周波数チャネルにおける第3のリンクを確立可能である場合、前記
第1のエレメントは
前記第
3のリンクに
関するLink Infoフィールドを更に含む
ことを特徴とする請求項
6に記載の通信装置。
【請求項8】
前記Link InfoフィールドはLink IDフィールドを含み、
前記第2のリンクに関するLink Infoフィールドは前記第2のリンクの識別子を示すLink IDフィールドを含む
ことを特徴とする請求項
6または7に記載の通信装置。
【請求項9】
前記確立手段が前記他の通信装置と前記第1の周波数チャネルにおいて前記Association Requestフレームと前記Association Responseフレームとを交換することにより、前記他の通信装置との間で前記第1の周波数チャネルにおける第1のリンクと前記第2の周波数チャネルにおける第2のリンクとを確立する場合、前記Association Requestフレームと前記Association ResponseフレームとはそれぞれMulti-Link Elementを含む
ことを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の通信装置。
【請求項10】
前記他の通信装置と前記第1の周波数チャネルにおいて交換する前記Association Requestフレームと前記Association Responseフレームとが前記Multi-Link Elementを含まない場合、前記確立手段は前記他の通信装置との間で前記第2の周波数チャネルにおける第2のリンクを確立しない
ことを特徴とする請求項
9に記載の通信装置。
【請求項11】
前記Beaconフレームは第3のエレメントであるHE Capabilities Elementを更に含み、
前記第3のエレメントは、前記Beaconフレームの前記ボディ部分において前記第1のエレメントより前、かつ、前記第2のエレメントより後に配置される
ことを特徴とする請求項
1から請求項10のいずれか1項に記載の通信装置。
【請求項12】
前記
Beaconフレームは、IEEE802.11シリーズ規格に準拠した
Beaconフレームである
ことを特徴とする請求項1から
11のいずれか1項に記載の通信装置。
【請求項13】
IEEE802.11シリーズ規格に準拠した無線通信を実行可能な通信装置の制御方法であって、
第1の周波数チャネルにおける第1のリンクにおいて、第2の周波数チャネルにおける第2のリンクに関する情報を含む第1のエレメントとSSID(Service Set Identifier)を示す情報を含む第2のエレメントとを含むBeaconフレームを通信する通信工程と、
他の通信装置と前記第1の周波数チャネルにおいてAssociation RequestフレームとAssociation Responseフレームとを交換することにより、前記他の通信装置との間で前記第1の周波数チャネルにおける第1のリンクと前記第2の周波数チャネルにおける第2のリンクとを確立する確立工程と、を有し、
前記Beaconフレームはヘッダ部分とボディ部分とを有し、
前記ボディ部分において前記第1のエレメントは前記第2のエレメントより後に配置され、
前記第1のエレメントと前記第2のエレメントとはそれぞれ、Element IDフィールドとLengthフィールドとを含む
ことを特徴とする
通信装置の制御方法。
【請求項14】
コンピュータを請求項1から
12の何れか1項に記載の通信装置の各手段として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信における通信に関する情報の送受信に関する。
【背景技術】
【0002】
IEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers、米国電気電子技術者協会)が策定しているWLAN通信規格として、IEEE802.11シリーズが知られている。なお、WLANとはWireless Local Area Networkの略である。IEEE802.11シリーズ規格としては、IEEE802.11a/b/g/n/ac/ax規格などの規格がある。
【0003】
IEEEでは、さらなるスループットの向上や周波数利用効率の改善のため、IEEE802.11シリーズの新たな規格として、IEEE802.11be規格の策定が検討されている。IEEE802.11be規格では、1台のAP(Access Point)が異なる複数の周波数チャネルを介して1台のSTA(Station)と複数のリンクを確立し、通信するMulti-Link(マルチリンク)通信が検討されている。
【0004】
特許文献1には、APとSTAとが通信を行う場合にリンクを確立することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
マルチリンク通信では、例えば複数のリンクのうち、比較的混雑していないリンクを優先的に使用して通信するようなことが考えられる。このような制御を行うためには、他のリンクに関する情報をAPとSTAとで通信する必要がある。しかし、マルチリンク通信はIEEE802.11シリーズ規格において新しく導入される技術であることから、他のリンクに関する情報を例えばMACフレームを用いて通信する場合、その互換性を考慮する必要がある。なお、MACとは、Media Access Controlの略である。
【0007】
上記を鑑み、本発明は、他の通信装置との間でIEEE802.11シリーズ規格に準拠した周波数チャネルにおいて確立されるリンクに関する情報を通信する場合のフレームの互換性を確保することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明の通信装置は、IEEE802.11シリーズ規格に準拠した無線通信を実行可能な通信装置であって、第1の周波数チャネルにおける第1のリンクにおいて、第2の周波数チャネルにおける第2のリンクに関する情報を含む第1のエレメントとSSID(Service Set Identifier)を示す情報を含む第2のエレメントとを含むBeaconフレームを通信する通信手段と、他の通信装置と前記第1の周波数チャネルにおいてAssociation RequestフレームとAssociation Responseフレームとを交換することにより、前記他の通信装置との間で前記第1の周波数チャネルにおける第1のリンクと前記第2の周波数チャネルにおける第2のリンクとを確立する確立手段と、を有し、前記Beaconフレームはヘッダ部分とボディ部分とを有し、前記ボディ部分において前記第1のエレメントは前記第2のエレメントより後に配置され、前記第1のエレメントと前記第2のエレメントとはそれぞれ、Element IDフィールドとLengthフィールドとを含む。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、他の通信装置との間でIEEE802.11シリーズ規格に準拠した周波数チャネルにおいて確立されるリンクに関する情報を適切に通信することで、フレームの互換性を確保できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】通信装置102が属するネットワークの構成を示す図である。
【
図2】通信装置102のハードウェア構成を示す図である。
【
図4】通信装置102と103とがマルチリンク通信のリンクを確立する際に実行する処理の一例を示すシーケンス図である。
【
図5】Multi-Link Capability Elementのフレームフォーマットの一例を示す図である。
【
図6】マルチリンク通信を実行する際に、通信装置103が実行する処理を示すフローチャートである。
【
図7】マルチリンク通信を実行する際に、通信装置102が実行する処理を示すフローチャートである。
【
図8】Beaconに含まれる情報を示す図である。
【
図9】Probe Responseに含まれる情報を示す図である。
【
図10】移行先リンク情報要素(Information Element)のフレームフォーマットの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付の図面を参照して、本発明の実施形態を詳細に説明する。なお、以下の実施形態において示す構成は一例に過ぎず、本発明は図示された構成に限定されるものではない。
【0012】
図1は、本実施形態にかかる通信装置102が参加するネットワークの構成を示す。通信装置102はネットワーク101を構築する役割を有するアクセスポイント(Access Point、AP)である。なお、ネットワーク101は無線ネットワークである。本実施形態では、通信装置102が複数のネットワークを構築する場合、各ネットワークのBSSIDは全て異なるものとする。なお、BSSIDはBasic Service Set Identifierの略で、ネットワークを識別するための識別子である。また、通信装置102が各ネットワークにおいて示すSSIDはすべて共通であるとする。あるいは通信装置102は、ネットワークごとに異なるSSIDを用いてもよい。なお、SSIDはService Set Identifierの略で、アクセスポイントを識別するための識別子である。
【0013】
通信装置103はネットワーク101に参加する役割を有するステーション(Station、STA)である。各通信装置は、IEEE802.11be(EHT)規格に対応しており、ネットワーク101を介してIEEE802.11be規格に準拠した無線通信を実行することができる。なお、IEEEはInstitute of Electrical and Electronics Engineersの略である。また、EHTは、Extremely High Throughputの略である。なお、EHTは、Extreme High Throughputの略であると解釈してもよい。各通信装置は、2.4GHz帯、5GHz帯、および6GHz帯の周波数帯において通信することができる。各通信装置が使用する周波数帯は、これに限定されるものではなく、例えば60GHz帯のように、異なる周波数帯を使用してもよい。また、各通信装置は、20MHz、40MHz、80MHz、160MHz、および320MHzの帯域幅を使用して通信することができる。
【0014】
通信装置102および103は、IEEE802.11be規格に準拠したOFDMA通信を実行することで、複数のユーザの信号を多重する、マルチユーザ(MU、Multi User)通信を実現することができる。OFDMA通信とは、Orthogonal Frequency Division Multiple Access(直交周波数分割多元接続)の略である。OFDMA通信では、分割された周波数帯の一部(RU、Resource Unit)が各STAに夫々重ならないように割り当てられ、各STAに割り当てられた搬送波が直交する。そのため、APは複数のSTAと並行して通信することができる。
【0015】
また、通信装置102および103は、複数の周波数チャネルを介してリンクを確立し、通信するMulti-Link(マルチリンク)通信を実行する。ここで、周波数チャネルとは、IEEE802.11シリーズ規格に定義された周波数チャネルであって、IEEE802.11シリーズ規格に準拠した無線通信を実行できる周波数チャネルを指す。IEEE802.11シリーズ規格では、2.4GHz帯、5GHz帯、および6GHz帯の各周波数帯に複数の周波数チャネルが定義されている。また、IEEE802.11シリーズ規格では、各周波数チャネルの帯域幅は20MHzとして定義されている。なお、隣接する周波数チャネルとボンディングすることで、1つの周波数チャネルにおいて40MHz以上の帯域幅を利用してもよい。例えば、通信装置102は、通信装置103と2.4GHz帯の第1の周波数チャネルを介した第1のリンク104と、5GHz帯の第2の周波数チャネルを介した第2のリンク105とを確立し、両方のリンクを介して通信することができる。この場合に、通信装置102は、第1の周波数チャネルを介した第1のリンク104と並行して、第2の周波数チャネルを介した第2のリンク105を維持する。このように、通信装置102は、複数の周波数チャネルを介したリンクを通信装置103と確立することで、通信装置103との通信におけるスループットを向上させることができる。なお、通信装置102と103とは、マルチリンク通信において、周波数帯の異なるリンクを複数確立してもよい。例えば、通信装置102と103とは、2.4GHz帯における第1のリンク104と、5GHz帯における第2のリンク105に加えて、6GHz帯における第3のリンクを確立するようにしてもよい。あるいは同じ周波数帯に含まれる複数の異なるチャネルを介してリンクを確立するようにしてもよい。例えば2.4GHz帯における1chを介した第1のリンク104と、2.4GHz帯における5chを介した第2のリンク105を確立するようにしてもよい。なお、周波数帯が同じリンクと、異なるリンクとが混在していてもよい。例えば、通信装置102と103とは、2.4GHz帯における1chを介した第1のリンク104と、2.4GHz帯における5chを介した第2のリンク105に加えて、5GHz帯における36chを介した第3のリンクを確立してもよい。通信装置102は、通信装置103と周波数帯の異なる複数の接続を確立することで、ある帯域が混雑している場合であっても、通信装置103と他方の帯域で通信することができるため、通信装置103との通信におけるスループットの低下を防ぐことができる。
【0016】
このように、マルチリンク通信において、通信装置102と103とが確立する複数のリンクは、少なくともそれぞれの周波数チャネルが異なればよい。なお、マルチリンク通信において、通信装置102と103とが確立する複数のリンクの周波数チャネルのチャネル間隔は、少なくとも20MHzより大きければよい。なお、本実施形態では、通信装置102と103とは第1のリンク104と第2のリンク105とを確立するとしたが、3つ以上のリンクを確立してもよい。
【0017】
通信装置102および103はマルチリンク通信として、3つのモードの通信を実行することができる。1つがAsynchronous Mode(Async Mode)であって、このモードでは、マルチリンク通信におけるそれぞれのリンクを介した通信は、非同期で行われる。具体的には第1のリンクを介した通信と、第2のリンクを介した通信とは、それぞれ独立したタイミングで実行される。そのため、第1のリンクも第2のリンクも、他方のリンクが通信を行うタイミングに関わらないタイミングで通信を行うことができる。この場合に、それぞれのリンクで用いられている周波数チャネル(チャネル)同士のチャネル間隔が狭いと、一方のリンクの通信が他方のリンクの通信に影響を与えてしまう。具体的には、リンク同士の周波数チャネルが近いと、一方のリンクで行われている通信を他方のリンクがキャリアセンスで検知してしまうため、一方のリンクで通信が行われている間は他方のリンクの通信が実行できなくなってしまう。そのため、Async Modeでは、リンク間のチャネル間隔は広くなる。もう1つのモードがSynchronous Mode(Sync Mode)であって、このモードでは、複数のリンクを介した通信は、同期して実行される。具体的には、第1のリンクと第2のリンクとで、同じタイミングで通信を開始する。この場合に、それぞれのリンクを介した通信は同時に開始されるため、一方のリンクの通信を他方のリンクがキャリアセンスすることはないため、それぞれのリンクで用いられるチャネル同士のチャネル間隔は狭くてもよい。また、もう1つのモードがSemi-Asynchronous Mode(Semi-Async Mode)である。このモードでは、ある一方のリンクを介したデータの通信を行う場合に、他のリンクの周波数チャネルが空いている場合は、両方のリンクを介した通信を同期して実行するモードである。例えば、第1のリンクのバックオフカウンタが0になった場合に、第2のリンクの周波数チャネルが空いている場合、第1のリンクと第2のリンクを介した通信を同じタイミングで開始する。この場合に、第2のリンクのバックオフカウンタは0でなくてもよい。なお、第1のリンクのバックオフカウンタが0になった場合に、第2のリンクの周波数チャネルが空いていない場合は、第1のリンクを介した通信のみを開始し、第2のリンクを介した通信は開始しない。本モードでは、複数のリンクを介した通信を並行して行う場合、それぞれのリンクを介した通信は同時に開始されるため、それぞれのリンクで用いられるチャネルの間隔は狭くてもよい。通信装置102および103は、確立した複数のリンクのチャネル間隔に基づいて、マルチリンク通信で用いるモードを選択してもよい。
【0018】
マルチリンク通信を行う場合、通信装置102と103の少なくとも一方は、あるリンクを介したデータの送信と、他のリンクを介したデータの受信とを同時に実行できる装置である。あるいは、通信装置102と103の少なくとも一方は、あるリンクを介したデータの送信を行う場合は、他のリンクを介したデータの送信のみを同時に実行できる装置であってもよい。あるいは、通信装置102と103との少なくとも一方は、あるリンクを介したデータの受信を行う場合は、他のリンクを介したデータの受信のみを同時に実行できる装置であってもよい。あるいは、通信装置102と103の少なくとも一方は、複数のリンクを同時に維持できるが、あるリンクを介したデータの通信を行う場合は、他のリンクを介したデータの通信は同時には実行できない装置であってもよい。なお、このような通信装置は、Sync ModeまたはSemi-Async Modeには対応していないものとする。
【0019】
マルチリンク通信を行う場合、通信装置102と103とは、1つのデータを分割して複数のリンクを介して相手装置に送信する。あるいは通信装置102と103とは、複数のリンクのそれぞれを介して同じデータを送信することで、一方のリンクを介した通信を、他方のリンクを介した通信に対するバックアップの通信としてもよい。具体的には、通信装置102が、第1の周波数チャネルを介した第1のリンクと第2の周波数チャネルを介した第2のリンクとを介して同じデータを通信装置103に送信するとする。この場合に、例えば第1のリンクを介した通信においてエラーが発生しても、第2のリンクを介して同じデータを送信しているため、通信装置103は通信装置102から送信されたデータを受信することができる。あるいは、通信装置102と103とは、通信するフレームの種類やデータの種類に応じてリンクを使い分けてもよい。通信装置102は、例えばマネジメントフレームは第1のリンクを介して送信し、データを含むデータフレームは第2のリンクを介して送信するようにしてもよい。なお、マネジメントフレームとは、具体的にはBeaconフレームや、Probe Requestフレーム/Responseフレーム、Association Requestフレーム/Responseフレームを指す。また、これらのフレームに加えて、Disassociationフレーム、Authenticationフレームや、De-Authenticationフレーム、Actionフレームも、マネジメントフレームと呼ばれる。Beaconフレームは、ネットワークの情報を報知するフレームである。また、Probe Requestフレームとはネットワーク情報を要求するフレームであり、Probe Responseフレームはその応答であって、ネットワーク情報を提供するフレームである。Association Requestフレームとは、接続を要求するフレームであり、Association Responseフレームはその応答であって、接続の許可やエラーなどを示すフレームである。Disassociationフレームとは、接続の切断を行うフレームである。Authenticationフレームとは、相手装置を認証するフレームであり、De-Authenticationフレームは相手装置の認証を中断し、接続の切断を行うフレームである。Actionフレームとは、上記以外の追加の機能を行うためのフレームである。通信装置102および103は、IEEE802.11シリーズ規格に準拠したマネジメントフレームを送受信する。あるいは、通信装置102は、例えば撮像画像に関するデータを送信する場合、日付や撮像時のパラメータ(絞り値やシャッター速度)、位置情報などのメタ情報は第1のリンクを介して送信し、画素情報は第2のリンクを介して送信するようにしてもよい。
【0020】
また、通信装置102および103はMIMO(Multiple-Input And Multiple-Output)通信を実行できてもよい。この場合、通信装置102および103は複数のアンテナを有し、一方がそれぞれのアンテナから異なる信号を同じ周波数チャネルを用いて送る。受信側は、複数のアンテナを用いて複数ストリームから到達したすべての信号を同時に受信し、各ストリームの信号を分離し、復号する。このように、MIMO通信を実行することで、通信装置102および103は、MIMO通信を実行しない場合と比べて、同じ時間でより多くのデータを通信することができる。また、通信装置102および103は、マルチリンク通信を行う場合に、一部のリンクにおいてMIMO通信を実行してもよい。
【0021】
本実施形態では、通信装置102は、通信装置103とマルチリンク通信を実行している場合に、第1のリンク104を介して、通信装置103に第2のリンク105に関する情報を送信できるものとする。第2のリンク105に関する情報とは、例えば第2のリンク105で使用されている周波数チャネルや、該周波数チャネルがビジーであるか(占有されているか)を示す情報などである。第2のリンク105に関する情報を受信した通信装置103は、受信した情報を用いて、通信装置102とのデータ通信に用いるリンクを、第1のリンク104から第2のリンク105に切り替えるかを判定することができる。このように、通信装置103は、通信装置102と確立したほかのリンクに関する情報を受信することで、データ通信に用いるリンクをより適切なものに切り替えることができるようになる。このような第2のリンク105に関する情報を、本実施形態ではマルチリンク通信の移行先情報と呼ぶ。移行先情報の詳細については後述の
図10で説明する。
【0022】
なお、通信装置102は、通信装置103と確立済みのリンクに関する情報に代えて、あるいは加えて、自装置が通信装置103と確立することができるリンクに関する情報を送信してもよい。通信装置103と確立することができるリンクに関する情報とは、例えば通信装置102が無線ネットワークを確立済みであって、まだ通信装置103とリンクを確立していない周波数チャネルを示す情報である。これに代えて、または加えて、該周波数チャネルがビジーであるかを示す情報などであってもよい。本実施形態では、第2のリンク105の情報に加えて、あるいは代えて、これらの情報をマルチリンク通信の移行先情報と呼んでもよい。これらの情報の詳細については、後述の
図10で説明する。通信装置103は、このような情報を受信することで、通信装置102とのリンクを新たに確立し、データ通信に用いるリンクを現在利用しているリンクから新たに確立したリンクに切り替えることができる。このように、リンクの切り替え時に切り替える先となるリンクを新たに確立するようにすることで、通信装置102および103の省電力性を向上させることができる。
【0023】
通信装置102および103は、IEEE802.11be規格に対応するとしたが、これに加えて、IEEE802.11be規格より前の規格であるレガシー規格の少なくとも何れか一つに対応していてもよい。レガシー規格とは、IEEE802.11a/b/g/n/ac/ax規格のことである。なお、本実施形態では、IEEE802.11a/b/g/n/ac/ax/be規格の少なくとも何れか一つを、IEEE802.11シリーズ規格と呼ぶ。また、IEEE802.11シリーズ規格に加えて、Bluetooth(登録商標)、NFC、UWB、Zigbee、MBOAなどの他の通信規格に対応していてもよい。なお、UWBはUltra Wide Bandの略であり、MBOAはMulti Band OFDM Allianceの略である。なお、OFDMはOrthogonal Frequency Division Multiplexingの略である。また、NFCはNear Field Communicationの略である。UWBには、ワイヤレスUSB、ワイヤレス1394、Winetなどが含まれる。また、有線LANなどの有線通信の通信規格に対応していてもよい。
【0024】
通信装置102の具体例としては、無線LANルーターやPCなどが挙げられるが、これらに限定されない。通信装置102は、他の通信装置とマルチリンク通信を実行することができる通信装置であれば何でもよい。また、通信装置102は、IEEE802.11be規格に準拠した無線通信を実行することができる無線チップなどの情報処理装置であってもよい。また、通信装置103の具体的な例としては、カメラ、タブレット、スマートフォン、PC、携帯電話、ビデオカメラなどが挙げられるが、これらに限定されない。通信装置103は、他の通信装置とマルチリンク通信を実行することができる通信装置であればよい。また、通信装置103は、IEEE802.11be規格に準拠した無線通信を実行することができる無線チップなどの情報処理装置であってもよい。また、
図1のネットワークは1台のAPと1台のSTAによって構成されるネットワークであるが、APおよびSTAの台数はこれに限定されない。なお、無線チップなどの情報処理装置は、生成した信号を送信するためのアンテナを有する。
【0025】
なお、本実施形態では、通信装置102はAPであって、通信装置103はSTAであるとしたが、これに限らず、通信装置102も103もSTAであってもよい。この場合、通信装置102はSTAであるが、通信装置103とリンクを確立するための無線ネットワークを構築する役割を有する装置として動作する。
【0026】
図2に、本実施形態における通信装置102のハードウェア構成を示す。通信装置102は、記憶部201、制御部202、機能部203、入力部204、出力部205、通信部206およびアンテナ207を有する。
【0027】
記憶部201は、ROMやRAM等の1以上のメモリにより構成され、後述する各種動作を行うためのコンピュータプログラムや、無線通信のための通信パラメータ等の各種情報を記憶する。ROMはRead Only Memoryの、RAMはRandom Access Memoryの夫々略である。なお、記憶部201として、ROM、RAM等のメモリの他に、フレキシブルディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、CD-R、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、DVDなどの記憶媒体を用いてもよい。また、記憶部201が複数のメモリ等を備えていてもよい。
【0028】
制御部202は、例えば、例えばCPUやMPU等の1以上のプロセッサにより構成され、記憶部201に記憶されたコンピュータプログラムを実行することにより、通信装置102全体を制御する。なお、制御部202は、記憶部201に記憶されたコンピュータプログラムとOS(Operating System)との協働により、通信装置102全体を制御するようにしてもよい。また、制御部202は、他の通信装置との通信において送信するデータや信号(無線フレーム)を生成する。なお、CPUはCentral Processing Unitの、MPUは、Micro Processing Unitの略である。また、制御部202がマルチコア等の複数のプロセッサを備え、複数のプロセッサにより通信装置102全体を制御するようにしてもよい。
【0029】
また、制御部202は、機能部203を制御して、無線通信や、撮像、印刷、投影等の所定の処理を実行する。機能部203は、通信装置102が所定の処理を実行するためのハードウェアである。
【0030】
入力部204は、ユーザからの各種操作の受付を行う。出力部205は、モニタ画面やスピーカーを介して、ユーザに対して各種出力を行う。ここで、出力部205による出力とは、モニタ画面上への表示や、スピーカーによる音声出力、振動出力などであってもよい。なお、タッチパネルのように入力部204と出力部205の両方を1つのモジュールで実現するようにしてもよい。また、入力部204および出力部205は、夫々通信装置102と一体であってもよいし、別体であってもよい。
【0031】
通信部206は、IEEE802.11be規格に準拠した無線通信の制御を行う。また、通信部206は、IEEE802.11be規格に加えて、他のIEEE802.11シリーズ規格に準拠した無線通信の制御や、有線LAN等の有線通信の制御を行ってもよい。通信部206は、アンテナ207を制御して、制御部202によって生成された無線通信のための信号の送受信を行う。なお、通信装置102が、IEEE802.11be規格に加えて、NFC規格やBluetooth規格等に対応している場合、これらの通信規格に準拠した無線通信の制御を行ってもよい。また、通信装置102が複数の通信規格に準拠した無線通信を実行できる場合、夫々の通信規格に対応した通信部とアンテナを個別に有する構成であってもよい。通信装置102は通信部206を介して、画像データや文書データ、映像データ等のデータを通信装置103と通信する。なお、アンテナ207は、通信部206と別体として構成されていてもよいし、通信部206と合わせて一つのモジュールとして構成されていてもよい。
【0032】
アンテナ207は、2.4GHz帯、5GHz帯、および6GHz帯における通信が可能なアンテナである。本実施形態では、通信装置102は1つのアンテナを有するとしたが、周波数帯ごとに異なるアンテナを有していてもよい。また、通信装置102は、アンテナを複数有している場合、各アンテナに対応した通信部206を有していてもよい。
【0033】
なお、通信装置103は通信装置102と同様のハードウェア構成を有する。
【0034】
図3には、本実施形態における通信装置102の機能構成を示す。通信装置102は、マルチリンク通信の能力情報生成部301、マルチリンク通信の運用情報決定部302、およびマルチリンク通信の移行先情報生成部307を有する。また、通信装置102は、これらに加えて、接続処理部304、MAC(Media Access Control、媒体アクセス制御)フレーム生成部305、およびデータ送受信部306を有する。
【0035】
能力情報生成部301は、通信装置102のマルチリンク通信に関する能力情報を生成するブロックである。通信装置102は、自装置のマルチリンク通信に関する能力を他の通信装置に通知するための能力情報を生成する。マルチリンク通信に関する能力情報については、後述の
図5で説明する。なお、能力情報については、自装置の能力情報を他の通信装置に通知してもよいし、あるいは他の通信装置から相手装置の能力情報を受信するだけでもよい。
【0036】
運用情報決定部302は、自装置および相手装置のマルチリンク通信に関する能力情報に基づいて、相手装置とのマルチリンク通信に関する運用情報を決定するブロックである。マルチリンク通信に関する運用情報とは、通信装置102と103との間のマルチリンク通信として実行する通信で使用する周波数チャネルや帯域幅などのことを指す。なお、マルチリンク通信に関する運用情報の詳細については、後述の
図5で説明する。運用情報については、決定した運用情報を相手装置に通知してもよいし、しなくてもよい。
【0037】
接続処理部304は、通信装置102が構築したネットワーク101にSTAである通信装置103を参加させるための処理を行うブロックである。具体的には接続処理部304は、通信装置102に、通信装置103から受信した接続要求であるAssociation Requestに対する応答として、Association Responseフレームを送信させる。通信装置102は、自装置が確立する複数のリンクのそれぞれに対応する接続処理部304を有する。
【0038】
MACフレーム生成部305は、能力情報生成部301で生成したマルチリンク通信に関する能力情報や、運用情報決定部302で決定したマルチリンク通信に関する運用情報を示す情報を含むMACフレームを生成するブロックである。また、後述の移行先情報生成部307で生成したマルチリンク通信に関する移行先情報を示す情報を含むMACフレームを生成する。MACフレーム生成部305によって生成されたMACフレームは、Beacon、Probe Response、およびAssociation Responseの少なくとも何れかの無線フレームに含まれて送信される。これに加えて、あるいは代えて、生成されたMACフレームは、Reassociation Responseに含まれて送信される。MACフレーム生成部305が生成するMACフレームに含まれる能力情報や運用情報は、後述の
図5で示したElementによって示される。また、MACフレーム生成部305が生成するMACフレームに含まれる移行先情報は、後述の
図10で示したElementによって示される。
【0039】
データ送受信部306は、運用情報決定部302によって決定されたマルチリンク通信に関する運用情報に基づいて、マルチリンク通信におけるデータフレームの送受信を行うブロックである。なお、データ送受信部306は、MACフレーム生成部305によって生成されたMACフレームを含む無線フレームの送信および相手装置からの無線フレームの受信を行ってもよい。
【0040】
移行先情報生成部307は、通信装置102が通信装置103に送信するマルチリンク通信における他のリンクに関する情報を生成するブロックである。通信装置102は、自装置が通信装置103と間に確立されており、該情報の送信に用いるリンクと異なるリンクに関する情報を生成する。他のリンクに関する情報については、後述の
図10で説明する。なお、他のリンクに関する情報として、これから通信装置103と確立することができるリンクに関する情報を生成してもよい。これから通信装置103と確立することができるリンクに関する情報とは、まだ通信装置103とのリンクの確立に使用していないが、通信装置102が構築している無線ネットワークを介して確立することができるリンクに関する情報である。また、他のリンクに関する情報に加えて、該情報の送信に用いるリンクに関する情報を、通信装置103に送信する情報として生成してもよい。
【0041】
なお、通信装置103は通信装置102と同様の機能構成を有するが、以下の点が異なる。
【0042】
通信装置103は、運用情報決定部302に代えて、要求情報決定部302を有する。自装置および相手装置のマルチリンク通信に関する能力情報に基づいて、相手装置とのマルチリンク通信に関する要求情報を決定するブロックである。マルチリンク通信に関する要求情報とは、通信装置102と103との間のマルチリンク通信として実行する通信で使用することを要求する周波数チャネルや帯域幅などのことを指す。なお、マルチリンク通信に関する要求情報の詳細については、後述の
図5で説明する。通信装置103は、決定した要求情報を相手装置に通知してもよいし、しなくてもよい。
【0043】
接続処理部304は、通信装置103がAPである通信装置102によって構築されたネットワーク101に参加するための処理を行うブロックである。具体的には、接続処理部304は、通信装置103に、通信装置102に対して接続要求であるAssociation Requestを送信させ、通信装置102から応答としてAssociation Responseを受信させる。
【0044】
また、MACフレーム生成部305は、能力情報生成部301で生成したマルチリンク通信に関する能力情報や、要求情報決定部302で決定したマルチリンク通信に関する要求情報を示す情報を含むMACフレームを生成するブロックである。MACフレーム生成部305によって生成されたMACフレームは、Probe Request、Association Request、およびReassociation Requestの少なくとも何れかの無線フレームに含まれて送信される。MACフレーム生成部305が生成するMACフレームに含まれる能力情報や要求情報は、後述の
図5で示したElementによって示される。
【0045】
また、通信装置103は移行先情報生成部307を有していなくてもよい。
【0046】
図4には通信装置102と通信装置103とがマルチリンク通信のリンクを確立する際に実行する処理の一例を示すシーケンス図を示した。
【0047】
通信装置102および103は、内部的に複数のリンクのそれぞれに対応する接続処理部304を有している。通信装置102のAP1は1つ目のリンク用、AP2は2つ目のリンク用の接続処理部304である。また、通信装置103のSTA1は1つ目のリンク用、STA2は2つ目のリンク用の接続処理部304を示している。STA1およびAP1は第1の周波数チャネル(例えば2.4GHz帯の1ch)を介した通信の処理を行う。STA2およびAP2は第2の周波数チャネル(例えば5GHz帯の36ch)を介した通信の処理を行う。
【0048】
本シーケンスの処理は、通信装置102および103のそれぞれの電源が投入されたことに応じて開始される。あるいは、通信装置102および103の少なくとも一方は、ユーザまたはアプリケーションからマルチリンク通信の開始を指示されたことに応じて開始してもよい。あるいは通信装置102および103の少なくとも一方は、相手装置と通信したいデータのデータ量が所定の閾値以上となったことに応じて開始してもよい。
【0049】
まず、通信装置102は、第1の周波数チャネルにおいて、自装置のネットワーク情報を含むBeaconを送信することで、該ネットワーク情報を周囲のSTAへ報知する(S401)。ネットワーク情報とは具体的には、通信装置102がビーコンを送信する送信間隔や、通信装置102のSSIDである。これに加えて、通信装置102は後述の
図5で示すMulti-Link Capability Elementをネットワーク情報としてBeaconに含めることで、通信装置102のマルチリンク通信に関する能力情報を報知してもよい。
【0050】
通信装置103は、第1の周波数チャネルにおいて送信されている通信装置102のBeaconを受信すると、通信装置102のネットワーク情報を問い合わせるために、Probe Requestを第1の周波数チャネルにおいて送信する(S402)。Probe Requestには、通信装置103のSSIDが含まれる。また、これに加えて、通信装置103は後述の
図5で示すMulti-Link Capability ElementをProbe Requestに含めることで、通信装置103のマルチリンク通信に関する能力情報を通知してもよい。
【0051】
通信装置102は、Probe Requestを受信すると、応答としてProbe Responseを、第1の周波数チャネルにおいて通信装置103に送信する(S403)。通信装置102は、Beaconに
図5で示したMulti-Link Capability Elementを含めなかった場合、該ElementをProbe Responseに含めて送信する。あるいは、通信装置102は、後述の
図5で示すMulti-Link Capability Elementに含まれる情報のうち、一部のみをBeaconに含め、残りの情報またはすべての情報をProbe Responseに含めるようにしてもよい。
【0052】
S401~S403の処理を行うことで、通信装置102と103とは、それぞれのマルチリンク通信に関する能力情報を交換することができる。また、通信装置102は、S401で送信するBeaconに、後述の
図10で示す移行先情報要素を含めることで、マルチリンク通信における移行先情報を示すことができる。通信装置102は、Beaconに加えて、あるいは代えて、S403で送信するProbe Responseに移行先情報要素を含めてもよい。なお、通信装置102は、通信装置103とマルチリンク通信のリンクを少なくとも1つ確立してからBeaconとProbe Requestの少なくとも一方に移行先情報要素を含める。この場合、通信装置102は、通信装置103と1つもマルチリンク通信のリンクを確立していない場合は、移行先情報を含まないBeaconおよびProbe Responseを送信する。あるいは、通信装置102は、通信装置103と1つもマルチリンク通信のリンクを確立していない場合であっても、通信装置103と確立できるリンクに関する情報を示す移行先情報を含めてもよい。
【0053】
次に、通信装置103は、通信装置102に接続要求であるAssociation Requestを第1の周波数チャネルにおいて送信する。この場合に、通信装置103は、
図5で示すMulti-Link Capability ElementをAssociation Requestに含めることで、通信装置103のマルチリンク通信に関する能力情報を通知してもよい。なお、通信装置103は、S401またはS403の少なくとも一方で取得した通信装置102のマルチリンク通信に関する能力情報に基づいて、S404で送信する能力情報を決定してもよい。例えば、通信装置103がマルチリンク通信において、2.4GHz帯と5GHz帯とにおけるリンクを組み合わせることができる場合であっても、通信装置102が2.4GHz帯内の複数リンクのみしか対応していないとする。この場合、通信装置103は、本ステップで送信する能力情報として、2.4GHz帯における複数リンクの確立に関する能力情報のみを送信してもよい。また、本実施形態では、通信装置103はS402において自装置のマルチリンク通信に関する能力情報を送信するとしたが、これに限らずS402では能力情報を送信せず、本ステップでのみ送信するようにしてもよい。あるいは、通信装置103は、Association Requestに、
図5で示すMulti-Link Capability Elementを含めることで、能力情報ではなく、マルチリンク通信を行う際に要求する要求情報を送信してもよい。通信装置103が要求する要求情報は、
図5のMulti-Link Capability Elementによって示されてもよいし、別のElementによって示されてもよい。要求情報の詳細は後述の
図5で説明する。
【0054】
通信装置102は、Association Requestを受信すると、応答としてAssociation Responseを、第1の周波数チャネルにおいて通信装置103に送信する(S405)。ここで送信されるAssociation Responseには、通信装置102が決定した、通信装置103とのマルチリンク通信を行う際の運用情報を示すMulti-Link Capability Elementが含まれる。なお、運用情報はMulti-Link Capability Elementとは異なるElementによって示されてもよい。また、S404においてSTAである通信装置103が要求する運用情報を含めたAssociation Requestを送信していた場合、通信装置102は該要求に対する可否のみを含むAssociation Responseを送信してもよい。
【0055】
Association Responseに含まれた運用情報によるマルチリンク通信を通信装置103が実行可能な場合、通信装置102と103とは、第1の周波数チャネルを介したリンクを確立し、データ通信を開始する(S406)。また、この場合に、通信装置102が送信した運用情報に、第2の周波数チャネルを介したリンクの運用情報が含まれていた場合、通信装置102と103とは第2の周波数チャネルを介したリンクも確立し、データ通信を開始する(S407)。
【0056】
なお通信装置102が通信装置103にS404で要求された要求情報に対して、S405で許可を示した場合も同様にS406の処理が行われる。また、S404で通信装置103が送信した要求情報に、第2の周波数チャネルを介したリンクに関する要求情報も含まれていた場合、S407の処理が行われる。
【0057】
本実施形態では、1つの周波数チャネルにおけるフレームの送受信によって、2つのリンクが確立されたが、これに限らず、3つ以上のリンクが確立されてもよい。
【0058】
また、本実施形態では、通信装置102と103との間に、まだリンクが確立されていない状態からマルチリンク通信を開始する場合を示したが、これに限らない。通信装置102と103とは、既に確立しているリンクに加えて、新たなリンクを確立することで、リンク通信を開始してもよい。この場合、STAである通信装置103は、APである通信装置102のマルチリンク通信に関する能力情報を取得済みの場合、S404の処理から開始してもよい。あるいは、通信装置102は通信装置103のマルチリンク通信に関する能力情報を取得済みの場合、通信装置103にAssociation Requestを送信させる信号を送信することで、S404の処理から開始できるようにしてもよい。あるいは、通信装置102と103とは、既に確立している複数のリンクに加えて、新たにリンクを確立してもよい。この場合も、
図4のシーケンスはS404から開始されてもよい。
【0059】
なお、通信装置102は所定の時間ごとにBeaconを送信する。通信装置103は、所定の時間ごとに送信されるBeaconに含まれる移行先情報に基づいて、通信装置102とのデータ通信を行うリンクを、現在使用しているリンクから他のリンクに切り替えるかを判定することができる。また、通信装置102は、通信装置103から送信されたProbe Requestに対する応答としてProbe Responseを送信する。通信装置103は、通信装置102のネットワーク情報の問い合わせだけではなく、移行先情報の取得を目的として、通信装置102にProbe Requestを送信してもよい。
【0060】
図5には、Multi-Link Capability Elementのフレームフォーマットの一例を示す図である。なお、本実施形態では、
図5に示したElementの名称をMulti-Link Capability Elementとしているが、これに限らず、例えばMulti-Link Elementなど、他の名称であってもよい。
【0061】
通信装置102および103は、
図5に示したMulti-Link Capability Elementを用いることで、自装置のマルチリンク通信における能力を示す能力情報を相手装置に通知することができる。また、通信装置102は
図5に示したMulti-Link Capability Elementを用いることで、能力情報に加えて、あるいは代えて、マルチリンク通信を行う際の運用情報を相手装置に通知することができる。また、通信装置103は
図5に示したMulti-Link Capability Elementを用いることで、能力情報に加えて、あるいは代えて、マルチリンク通信を行う際の要求情報を相手装置に通知することができる。
【0062】
図5に示したMulti-Link Capability Elementは、Element ID501、Length502、およびML(Multi-Link) Capabilities503を含んで構成される。Element ID501は、Information Elementを識別するための識別子であって、本実施形態では、Multi-Link Capability Elementを示す識別子が含まれる。Length502は、Elementのデータ長を示すフィールドであって、本実施形態ではML Capabilities503のデータ長を示す情報が含まれる。ML Capabilities503は、Multi―Link Capability Element固有の情報であって、マルチリンク通信に関する情報が含まれる。ML Capabilities503に含まれる情報の詳細については後述する。
【0063】
なお、通信装置102および103は、
図5で示したMulti―Link Capability Elementを、Element ID501から順に生成し、他の通信装置に送信する。この場合に通信装置102および103は、フレーム内のすべてのフィールドを生成してから送信する。具体的には、通信装置102および103は、Element ID501、Length502、およびML Capabilities503のすべてを生成してから他の通信装置に送信する。あるいは、通信装置102および103は、フィールドの生成と並行して送信を行ってもよい。具体的には通信装置102および103は、例えば生成したElement ID501の送信と並行してLength502の送信を行ってもよい。
【0064】
APである通信装置102は、Beacon、Probe Responseといった無線フレームにMulti―Link Capability Elementを含むMACフレームを付加して送信する。また、通信装置102は、これらの無線フレームに加えて、Association ResponseやReassociation Responseといった無線フレームにも本Elementを含むMACフレームを付加することができる。STAである通信装置103は、Probe Request、Association Requestといった無線フレームにMulti―Link Capability Elementを含むMACフレームを付加して送信する。また、通信装置103は、これらの無線フレームに加えて、Reassociation Requestにも本Elementを含むMACフレームを付加することができる。
【0065】
ML Capabilities503は、Common Info511、Per Band Info512およびPer Link Info513を含んで構成される。Common Info511は、すべての周波数帯とリンクに共通の情報を示すフィールドである。Per Band Info512は、特定の周波数帯に含まれる全リンクに共通の情報を示すフィールドであって、周波数帯ごとに示される情報である。Per Link Info513は、リンクごとの情報を示すフィールドである。
【0066】
Common Info511は、Primary Ch521、Sync Mode Support522、Async Mode Support523、およびSemi-Async Mode Support528を含んで構成される。Common Info511は、さらに、Total Max Link Number524、Band Combination Info525、およびPer Band Info Number526を含んで構成される。Common Info511は、さらに、Per Link Info Number527、およびDevice Type529を含んで構成される。
【0067】
Primary CH521は、マルチリンク通信に関するマネジメントフレームの送受信を行う周波数チャネルを示す情報が含まれるフィールドである。Primary CHとは、マルチリンク通信におけるLinkの接続や切断を行う際にマネジメントフレームの送受信を行う際に利用される周波数チャネルのことである。具体的には、Multi―Link Capability Elementが含まれるBeaconなどの送受信を行う周波数チャネルを示す情報が含まれる。APである通信装置102は、Multi―Link Capability Elementを含めたBeaconを送信する際に利用する周波数チャネルを示す情報を含める。STAである通信装置103は、Multi―Link Capability Elementが含まれるBeaconを受信した(つまり、該Elementを含めたProbe Requestを送信する)周波数チャネルを示す情報を含める。本実施形態では、
図4でBeaconやProbe Request/Responseの送受信を行った第1の周波数チャネルを示す情報が含まれる。なお、通信装置102と103とがマルチリンク通信を開始後、マネジメントフレームの送受信を行う周波数チャネルが変更された場合、Primary CH521には変更に応じた周波数チャネルの情報が含まれる。なお、Primary CH521には、該Elementによって能力情報、運用情報、あるいは要求情報の何れを示す場合であっても、マネジメントフレームの送受信が行われる周波数チャネルを示す情報が含まれる。
【0068】
Sync Mode Support522は、該Elementを送信する通信装置102または103が、マルチリンク通信のSync Modeをサポートするか否かを示す能力情報が含まれるフィールドである。例えば本フィールドに0が含まれる場合、該Elementの送信装置はSync Modeをサポートせず、1が含まれる場合にはSync Modeをサポートすることを示す。
【0069】
なお、Multi―Link Capability Elementによって運用情報を示す場合、Sync Mode Support522によって、マルチリンク通信のSync Modeを実行するか否かが示されてもよい。例えば、通信装置102が本Elementを含めたAssociation Responseを送信する場合、本フィールドでは本associationのやり取りによって確立されるリンクの通信においてSync Modeを実行するか否かが示される。この場合、例えば本フィールドに0が含まれる場合、Sync Modeでのマルチリンク通信を実行しないことを示し、本フィールドに1が含まれる場合、Sync Modeでのマルチリンク通信を実行することを示す。
【0070】
あるいは、Multi―Link Capability Elementによって要求情報を示す場合、Sync Mode Support522によって、マルチリンク通信のSync Modeの実行を要求するか否かが示されてもよい。例えば、STAである通信装置103が本Elementを含めたAssociation Requestを送信する場合、本フィールドでは、通信装置103がマルチリンク通信におけるSync Modeの実行を要求するか否かが示される。例えば本フィールドに0が含まれる場合、Sync Modeでのマルチリンク通信の実行を要求しないことを示し、本フィールドに1が含まれる場合、Sync Modeでのマルチリンク通信の実行を要求することを示す。
【0071】
Async Mode Support523は、該Elementを送信する通信装置102または103が、Multi-Link通信のAsync Modeをサポートするか否かを示す能力情報が含まれるフィールドである。例えば本フィールドに0が含まれる場合には、該Elementの送信装置はAsync Modeをサポートせず、本フィールドに1が含まれる場合にはAsync Modeをサポートすることを示す。
【0072】
なお、Multi―Link Capability Elementによって運用情報を示す場合、Async Mode Support523によって、Multi-Link通信のAsync Modeを実行するか否かが示されてもよい。例えば、通信装置102が本Elementを含めたAssociation Responseを送信する場合、本フィールドでは本associationのやり取りによって確立されるLinkにおいてAsync Modeを実行するか否かが示される。この場合、例えば本フィールドに0が含まれる場合、Async Modeでのマルチリンク通信を実行しないことを示し、本フィールドに1が含まれる場合、Async ModeでのMulti-Link通信を実行することを示す。なお、該Elementによって運用情報を示す場合、前述のSync Mode Support522によって、Sync Modeを実行することが示された場合は、本フィールドではAsync Modeを実行しないことを示すようにする。同様に、Sync Mode Support522によって、Sync Modeを実行しないことが示された場合は、Async Mode Support523ではAsync Modeを実行することを示すようにする。
【0073】
あるいは、Multi―Link Capability Elementによって要求情報を示す場合、Async Mode Support523によって、マルチリンク通信のAsync Modeの実行を要求するか否かが示されてもよい。例えば、STAである通信装置103が本Elementを含めたAssociation Requestを送信する場合、本フィールドでは、通信装置103がマルチリンク通信におけるAsync Modeの実行を要求するか否かが示される。例えば本フィールドに0が含まれる場合、Async Modeでのマルチリンク通信の実行を要求しないことを示し、本フィールドに1が含まれる場合、Async Modeでのマルチリンク通信の実行を要求することを示す。
【0074】
Semi-Async Mode Support528は、該Elementを送信する通信装置102または103が、Multi-Link通信のSemi-Async Modeをサポートするか否かを示す能力情報が含まれるフィールドである。例えば本フィールドに0が含まれる場合、該Elementの送信装置はSemi-Async Modeをサポートせず、1が含まれる場合にはSemi-Async Modeをサポートすることを示す。
【0075】
なお、Multi―Link Capability Elementによって運用情報を示す場合、本フィールドによって、マルチリンク通信のSemi-Async Modeを実行するか否かが示されてもよい。例えば、通信装置102がAssociation Responseを送信する場合、本フィールドでは本associationのやり取りによって確立されるLinkの通信においてSemi-Async Modeを実行するか否かが示される。例えば本フィールドに0が含まれる場合、Semi-Async Modeでのマルチリンク通信を実行しないことを示す。また例えば、本フィールドに1が含まれる場合、Semi-Async Modeでのマルチリンク通信を実行することを示す。
【0076】
あるいは、Multi―Link Capability Elementによって要求情報を示す場合、本フィールドによって、マルチリンク通信のSemi-Async Modeの実行を要求するか否かが示されてもよい。例えば、STAである通信装置103がAssociation Requestを送信する場合、本フィールドでは、通信装置103がマルチリンク通信におけるSemi-Async Modeの実行を要求するか否かが示される。例えば本フィールドに0が含まれる場合、Semi-Async ModeでのMulti-Link通信の実行を要求しないことを示す。また、例えば、本フィールドに1が含まれる場合、Semi-Async Modeでのマルチリンク通信の実行を要求することを示す。
【0077】
なお、通信装置102と103とがマルチリンク通信を行う場合に、Sync Modeと、Async Modeと、Semi-Async Modeとの、何れを利用するかが予め設定されている場合、これらのフィールドは省略されてもよい。具体的には、Sync Mode Support522、Async Mode Support523、およびSemi-Async Mode Support528は省略されてもよい。
【0078】
Total Max Link Number524は、該Elementを送信する通信装置102または103がマルチリンク通信においてサポートする最大のリンク数を示す能力情報が含まれるフィールドである。なお、最大のリンク数とは、該Elementの送信装置が1台の相手装置との間で確立可能なリンクの最大値である。例えば本フィールドに値として3が含まれていた場合、該Elementの送信装置は1台の相手装置あたり最大で3つまでリンクを確立できることが示される。この場合、該Elementの送信装置は、1台の相手装置と3つのリンクを維持しているのと並行して、別の相手装置とさらに複数のリンクを維持してもよい。あるいは、最大のリンク数とは、該Elementの送信装置が、相手装置に関わらず、マルチリンク通信において確立可能なリンクの最大値を示してもよい。この場合例えば本フィールドに値として3が含まれており、該Elementの送信装置が相手装置と3つのリンクを確立している場合、送信装置は相手装置に関わらず、これ以上のリンクを確立することはできない。APである通信装置102およびSTAである通信装置103は、それぞれ自装置がマルチリンク通信において同時に維持できるリンク数の最大値を示す情報を本フィールドに含める。
【0079】
なお、Multi―Link Capability Elementによって運用情報を示す場合、本フィールドでは、マルチリンク通信において実際に確立するリンク数を含めてもよい。例えば、APである通信装置102が本Elementを含めたAssociation Responseを送信する場合、本フィールドでは、本associationのやり取りによって確立されるリンクの数が示される。あるいは、通信装置103とのマルチリンク通信において確立できるリンク数の最大値を含めるようにしてもよい。この場合、Total Max Link Number524には、自装置がマルチリンク通信において確立できるリンク数の最大値と、相手装置が確立できるリンク数の最大値との何れか小さい値以下の値が含まれる。
【0080】
あるいは、Multi―Link Capability Elementによって要求情報を示す場合、本フィールドでは、マルチリンク通信において確立を要求するLink数を含めてもよい。例えば、STAである通信装置103が本Elementを含めたAssociation Requestを送信する場合、本フィールドでは、通信装置103が通信装置102に確立を要求するリンクの数が示される。あるいは、通信装置102とのマルチリンク通信において確立できるリンク数の最大値を含めるようにしてもよい。なお、Multi―Link Capability Elementによって運用情報あるいは要求情報を示す場合、本フィールドは省略されてもよい。
【0081】
Band Combination Info525は、該Elementを送信する通信装置102または103が、マルチリンク通信時にサポートする周波数帯を示す能力情報が含まれるフィールドである。表1には、本フィールドの各ビットで示される情報の一例を示した。表1では、ビット毎に何れの周波数帯またはどのような周波数帯の組み合わせをサポートするかを示すようにした。本実施形態では、該当のビットに0が含まれている場合、そのビットが示す内容でのマルチリンク通信には対応しておらず、1が含まれている場合、そのビットが示す内容でのマルチリンク通信に対応していることを示す。例えば、通信装置102が送信したBand Combination Info525において、ビット0に1が含まれていた場合、通信装置102が2.4GHz帯における異なるチャネルでのマルチリンク通信に対応していることを示す。また、例えばBand Combination Info525の値が0000111000であった場合、通信装置102は、周波数帯が異なる複数のLinkを用いたマルチリンク通信に対応していることを示す。この場合に、通信装置102は、周波数帯が同じ複数のリンクを用いたマルチリンク通信には対応していないことが示される。また、Band Combination Info525のすべてのビットを0にすることで、Multi―Link Capability Elementの送信装置が、Multi-Link通信に対応していないことを示してもよい。あるいは、該Elementの送信装置が、現在マルチリンク通信を実行できない状態であることを示すようにしてもよい。なお、通信装置102と103とは、それぞれ1つのリンクのみの通信においてサポートする周波数帯と、マルチリンク通信においてサポートする周波数帯が異なってもよい。例えば、通信装置102および103は、1つのリンクのみの通信においては、2.4GHz、5GHzおよび6GHzのすべてをサポートするが、マルチリンク通信においては5GHzと6GHzのみをサポートしてもよい。なお、Band Combination Info525の各ビットとその内容との対応関係は、表1に示す限りではない。また、Band Combination Info525のビット数を増やすことで、より多くの周波数帯の組み合わせ、あるいは別の周波数帯における複数リンク確立の可否を示せるようにしてもよい。
【0082】
【0083】
なお、Multi―Link Capability Elementによって運用情報を示す場合、本フィールドでは、マルチリンク通信において実際に利用する周波数帯を示すようにしてもよい。例えば、APである通信装置102が本Elementを含めたAssociation Responseを送信する場合、本フィールドでは、本associationのやり取りによって確立されるリンクの周波数帯を示す情報が含まれる。例えば通信装置102と103とが、2.4GHzのリンクと5GHzのリンクを確立する場合、Band Combination Info525の値は00001000となる。
【0084】
あるいは、Multi―Link Capability Elementによって要求情報を示す場合、本フィールドでは、マルチリンク通信において利用を要求する周波数帯を示すようにしてもよい。例えば、STAである通信装置103が本Elementを含めたAssociation Requestを送信する場合、本フィールドでは、通信装置103が通信装置102にマルチリンク通信の実行を要求する周波数帯が示される。なお、該Elementによって運用情報や要求情報を示す場合であっても、本フィールドには、該Elementの送信装置がマルチリンク通信においてサポートする周波数帯を示す能力情報を含めるようにしてもよい。
【0085】
Per Band Info Number526は、後述のPer Band Info512に含まれるPer Band Infoの数を示す情報が含まれるフィールドである。Per Band Info512には、Multi-Link Capability Elementを送信する通信装置102または103がマルチリンク通信においてサポートする周波数帯ごとにPer Band Infoのセットが含まれる。具体的には、Band Combination Info525で示された周波数帯の数と同じ数を示す情報が含まれる。なお、後述のPer Band Info512において、複数の周波数帯の情報を共通のPer Band Infoで示す場合は、この限りではない。また、後述のPer Band Info512が省略される場合、本フィールドも省略される。
【0086】
Per Link Info Number527は、後述のPer Link Info513に含まれるPer Link Infoの数を示す情報が含まれるフィールドである。Per Link Info513には、Multi-Link Capability Elementを送信する通信装置102または103がマルチリンク通信においてサポートするリンクごとにPer Link Infoのセットが含まれる。後述のPer Link Info513が省略される場合、本フィールドも省略される。
【0087】
Device Type529は、該Elementを送信する通信装置102または103が、マルチリンク通信においてどのようなタイプの装置であるかを示す能力情報が含まれるフィールドである。具体的には、該Elementの送信装置が、以下の4つのタイプのうち、いずれのタイプの装置であるかを示す情報が含まれる。第1のタイプの装置とは、マルチリンク通信において、あるリンクを介したデータの送信と、他のリンクを介したデータの受信とを同時に実行できる装置である。第2のタイプの装置とは、あるリンクを介したデータの送信を行う場合に、他のリンクを介したデータの送信のみを同時に実行できる装置である。第3のタイプの装置とは、あるリンクを介したデータの受信を行う場合に、他のリンクを介したデータの受信のみを同時に実行できる装置である。また、第4のタイプの装置とは、複数のリンクを同時に維持できるが、あるリンクを介したデータの通信を行う場合は、他のリンクを介したデータの通信は同時には実行できない装置である。
【0088】
なお、Multi―Link Capability Elementによって運用情報を示す場合、Device Type529によって、マルチリンク通信において両方の装置がいずれのタイプの装置として動作するかが示されてもよい。例えば、通信装置102が本Elementを含めたAssociation Responseを送信する場合、本フィールドでは本associationのやり取りによって確立されるリンクの通信において何れのタイプの装置として動作するかが示される。例えば、運用情報として、第2のタイプを示す情報が送信された場合、通信装置102は、第1のタイプとして動作できる装置であっても、本associationのやり取りによって確立されるリンクの通信においては第2のタイプの装置として動作する。
【0089】
あるいは、Multi―Link Capability Elementによって要求情報を示す場合、Device Type529によって、マルチリンク通信において、いずれのタイプの装置として動作することを要求するかが示されてもよい。例えば、STAである通信装置103が本Elementを含めたAssociation Requestを送信する場合、本フィールドでは、通信装置103がマルチリンク通信において何れのタイプの装置として動作したいかが示される。例えば本フィールドに第2のタイプを示す情報が含まれる場合、通信装置103が、通信装置102とのマルチリンク通信において第2のタイプの装置として動作することを要求することを示す。
【0090】
Per Band Info512は、Band ID531、Supported Bandwidth532、Supported CH533、およびAsync Mode CH Distance534を含んで構成されるフィールドである。Per Band Info512は、これらのフィールドに加えて、さらにMax Link Number535、およびSupported Nss536を含んで構成される。Per Band Info512のセットは、後述のBand ID531で示される周波数ごとに、Multi-Link Capability Elementに含まれる。
【0091】
Band ID531は、周波数帯を識別する情報を含むフィールドである。表2には、Band ID531に含まれる値と、その値が示す内容との対応関係の一例を示した。例えばBand ID531に値として0が含まれている場合、本Band ID531を含むPer Band Info512は2.4GHz帯におけるマルチリンク通信のLinkに共通の情報を示す情報であることになる。なお、Band ID531に含まれる値とその示す内容との対応関係は、これに限らない。また、Band ID531のビット数を増やすことで、より多くの周波数帯を示せるようにしてもよい。
【0092】
【0093】
Supported Bandwidth532は、Band ID531で示された周波数帯において、該Elementを送信した通信装置102または103がサポートする帯域幅を示す能力情報を含むフィールドである。なお、ここで示される帯域幅は、該Elementの送信装置がBand ID531で示された周波数帯においてマルチリンク通信を行うにあたって、1つのリンク当たりサポートする帯域幅を示す情報である。表3には、Supported Bandwidth532に含まれる値と、その値が示す内容との対応関係の一例を示した。例えばSupported Bandwidth532に値として0が含まれていた場合、該Elementの送信装置が、Band ID531が示された周波数帯においてサポートする帯域幅は20MHzであることが示される。なお、Supported Bandwidth532の値が1以上の場合、該Elementの送信装置は、マルチリンク通信のリンクを確立する際に、その値以下の帯域幅の何れもサポートすることができる。例えば、Supported Bandwidth532の値が2だった場合、送信装置は、リンクの帯域幅として、20MHz、40MHz、および80MHzの何れもサポートする。なお、通信装置102と103とは、それぞれ1つのリンクのみの通信においてサポートする帯域幅と、マルチリンク通信においてサポートする帯域幅が異なってもよい。例えば、通信装置102および103は、1つのリンクのみの通信においては、5GHzにおいて帯域幅として80MHzをサポートするが、マルチリンク通信においては帯域幅として20MHzをサポートしてもよい。なお、Supported Bandwidth532に含まれる値とその示す内容との対応関係は、これに限らない。また、Supported Bandwidth532のビット数を増やすことで、より多くの周波数帯を示せるようにしてもよい。
【0094】
【0095】
なお、Multi-Link Capability Elementによって運用情報を示す場合、本フィールドでは、マルチリンク通信において実際に利用する帯域幅を示すようにしてもよい。例えば、APである通信装置102が本Elementを含めたAssociation Responseを送信する場合、本フィールドでは、本associationのやり取りによって確立されるリンクの帯域幅を示す情報が含まれる。例えば通信装置102と103とが、2.4GHzにおいて帯域幅40MHzのリンクを確立する場合、Supported Bandwidth532の値は1となる。
【0096】
あるいは、Multi-Link Capability Elementによって要求情報を示す場合、本フィールドでは、マルチリンク通信において利用を要求する帯域幅を示すようにしてもよい。STAである通信装置103が本Elementを含めたAssociation Requestを送信する場合、本フィールドでは、通信装置103が通信装置102に要求する帯域幅が示される。なお、該Elementによって運用情報または要求情報を示す場合であっても、本フィールドには、該Elementの送信装置がマルチリンク通信においてサポートする帯域幅を示す能力情報を含めるようにしてもよい。
【0097】
Supported CH533は、Band ID531で示された周波数帯において、該Elementを送信した通信装置102または103がサポートするチャネルを示す能力情報が含まれるフィールドである。なお、ここで示されるチャネルは、該Elementの送信装置がBand ID531で示された周波数帯において、マルチリンク通信をサポートするチャネルを示す情報である。表4には、Supported CH533の各ビットと、そのビットが示すチャネルとの対応関係の一例を示した。例えば、あるビットに値として0が含まれている場合、該ビットが示すチャネルについてはElementの送信装置はサポートしていないことを示し、値として1が含まれている場合は、該ビットが示すチャネルについてサポートしていることを示す。例えば、Supported CH533に値として0000010010100が含まれていた場合、本フィールドの送信装置は、3ch、5chおよび8chにおけるマルチリンク通信をサポートしていることを示す。なお、通信装置102と103とは、それぞれ1つのリンクのみの通信においてサポートするチャネルと、マルチリンク通信においてサポートするチャネルとが異なってもよい。例えば、通信装置102および103は、1つのリンクのみの通信においては、1~13chのすべてをサポートするが、マルチリンク通信においては1chと5chといった一部のチャネルのみをサポートしてもよい。なお、Supported CH533の各ビットとその内容との対応関係は、表4に示す限りではない。また、Supported CH533のビット数を増やすことで、より多くのチャネルを示せるようにしてもよい。例えば、表4では、2.4GHzにおけるチャネルのみを例として示したが、ビット数を増やすことで、13ビット以降で5GHzおよび6GHzの各チャネルを示せるようにしてもよい。あるいは、Band ID531において5GHzを示す情報が含まれている場合は、0ビットから順に5GHzの各チャネルを小さい順に示すようにしてもよい。同様に、Band ID531に6GHzを含まれている場合は、0ビットから順に6GHzの各チャネルを小さい順に示すようにしてもよい。
【0098】
【0099】
なお、Multi-Link Capability Elementによって運用情報を示す場合、本フィールドでは、マルチリンク通信において実際に利用するチャネルを示すようにしてもよい。例えば、APである通信装置102が本Elementを含めたAssociation Responseを送信する場合、本フィールドでは、本associationのやり取りによって確立されるリンクのチャネルを示す情報が含まれる。例えば通信装置102と103とが、2.4GHzにおいて1chと4chのリンクを確立する場合、Supported CH533の値は0000000001001となる。
【0100】
あるいは、Multi-Link Capability Elementによって要求情報を示す場合、本フィールドでは、マルチリンク通信において利用を要求するチャネルを示すようにしてもよい。例えば、STAである通信装置103が本Elementを含めたAssociation Requestを送信する場合、本フィールドでは、通信装置103が通信装置102にリンクの確立を要求するチャネルが示される。なお、該Elementによって運用情報または要求情報を示す場合であっても、本フィールドには、該Elementの送信装置がマルチリンク通信においてサポートするチャネルを示す能力情報を含めるようにしてもよい。
【0101】
Async Mode CH Distance534は、Band ID531で示された周波数帯において、該Elementを送信した送信装置が、Async Modeにおいて必要とするチャネル間隔を示す能力情報が含まれるフィールドである。Async Modeでは、各リンクの通信が非同期で行われるため、それぞれのリンクで使用されているチャネルが近いと、通信が干渉してしまう恐れがある。リンク間のチャネルがどれくらい離れていれば、各リンクの信号を適切に復号できるかは、通信装置によって異なるため、本フィールドを用いて能力情報を通知する。Async Mode CH Distance534に例えば値として4が含まれていた場合、該Elementの送信装置は、Async Modeにおいては少なくとも4ch以上のチャネル間隔を必要とすることが示される。なお、前述のAsync Mode Support523において、Async Modeをサポートしないことを示す情報が含まれていた場合、本フィールドには値として0が含まれていてもよいし、あるいは本フィールドが省略されてもよい。また、本実施形態では、Band ID531で示される周波数帯ごとに、Async Modeにおいて必要とするチャネル間隔を示すとしたが、これに限らず、各周波数帯に共通の情報としてもよい。具体的には、本フィールドをCommon Info511に含めてもよい。
【0102】
なお、Multi-Link Capability Elementによって運用情報を示す場合、本フィールドでは、マルチリンク通信のAsync Modeにおいて実際に使用するチャネルの間隔を示す情報を含めてもよい。例えば、APである通信装置102が本Elementを含めたAssociation Responseを送信する場合、本フィールドでは、本associationのやり取りによって確立される複数のリンクのチャネル間隔を示す情報が含まれる。
【0103】
あるいは、Multi-Link Capability Elementによって要求情報を示す場合、本フィールドでは、マルチリンク通信のAsync Modeにおいて使用を要求するチャネルの間隔を示す情報を含めてもよい。相手装置とのマルチリンク通信のAsync Modeにおいてサポートする最小のチャネル間隔を示す情報を含めるようにしてもよい。該Elementによって運用情報を示す場合、本フィールドには、通信装置102が能力情報として示したチャネル間隔と、通信装置103とが能力情報として示したチャネル間隔とのうち、大きいほうのチャネル間隔以上の値が含まれる。また、Async Mode Support523に、Async Modeを実行しないことを示す情報が含まれている場合、あるいはAsync Mode Support523が省略されている場合、本フィールドには値として0が含まれていてもよい。あるいは本フィールドは省略されてもよい。あるいは、STAである通信装置103が本Elementを含めたAssociation Requestを送信する場合、本フィールドでは、通信装置103が通信装置102とのAsync Modeにおいて要求するチャネル間隔が示される。なお、通信装置103がAsync Modeの実行を要求しない場合、本フィールドには値として0が含まれてもよいし、あるいは省略されてもよい。なお、Multi-Link Capability Elementによって運用情報あるいは要求情報を示す場合、本フィールドは省略されてもよい。
【0104】
Max Link Number535は、Band ID531で示された周波数帯においてマルチリンク通信を行う場合に、該Elementを送信した送信装置がサポートする最大リンク数を示す能力情報を含むフィールドである。なお、前述のBand Combination Info525において、同一の周波数帯におけるリンク同士でのマルチリンク通信をサポートする旨を示す情報が含まれていなかった場合、本フィールドには値として0が含まれてもよい。あるいは、本フィールドが省略されてもよい。また、本実施形態では、周波数帯ごとに最大リンク数を示せるとしたが、これに限らず、全周波数帯に共通の情報として最大リンク数を示してもよい。具体的には、本フィールドがCommon Info511に含まれていてもよい。
【0105】
なお、Multi-Link Capability Elementによって運用情報を示す場合、本フィールドでは、マルチリンク通信において、Band ID531で示した周波数帯において実際に利用するリンク数の合計を示してもよい。例えば、APである通信装置102が本Elementを含めたAssociation Responseを送信する場合、本フィールドでは、本associationのやり取りによって確立される1以上のリンクの数を示す情報が含まれる。例えば通信装置102と103とが、2.4GHzにおいて2つのリンクを確立する場合、本フィールドには値として2が含まれる。
【0106】
あるいは、Multi-Link Capability Elementによって要求情報を示す場合、本フィールドでは、マルチリンク通信において、Band ID531で示した周波数帯において利用を要求するリンク数の合計を示してもよい。例えば、STAである通信装置103が本Elementを含めたAssociation Requestを送信する場合、本フィールドでは、通信装置103が通信装置102に確立を要求するリンクの数が示される。なお、該Elementによって運用情報または要求情報を示す場合であっても、本フィールドには、該Elementの送信装置がマルチリンク通信において最大のリンク数を示す能力情報を含めるようにしてもよい。
【0107】
Supported Nss536は、Band ID531で示された周波数帯においてマルチリンク通信を行う場合に、該Elementを送信した送信装置がサポートする最大の(空間)ストリーム数を示す能力情報を含むフィールドである。なお、Nssとは、Number Of Special Streamの略である。本フィールドで示されるストリーム数は、MIMO通信におけるストリーム数である。なお、Band ID531で示された周波数帯におけるマルチリンク通信においてMIMO通信をサポートしていない場合、本フィールドには値として0または1が含まれるか、あるいは本フィールドは省略される。また、本実施形態では、周波数帯ごとに最大ストリーム数を示せるとしたが、これに限らず、全周波数帯に共通の情報として最大ストリーム数を示してもよい。具体的には、本フィールドがCommon Info511に含まれていてもよい。
【0108】
なお、Multi-Link Capability Elementによって運用情報を示す場合、本フィールドでは、マルチリンク通信において、Band ID531で示した周波数帯において実際に利用するストリーム数を示してもよい。例えば、APである通信装置102が本Elementを含めたAssociation Responseを送信する場合、本フィールドでは、本associationのやり取りによって実際に実行されるMIMO通信のストリーム数を示す情報が含まれる。例えば通信装置102と103とが、2.4GHzにおいてマルチリンク通信を行うリンクにおいて、ストリーム数3のMIMO通信を行う場合、本フィールドには値として3が含まれる。なお、MIMO通信を行わない場合、本フィールドには値として0または1が含まれてもよいし、あるいは本フィールドは省略されてもよい。
【0109】
あるいは、Multi-Link Capability Elementによって要求情報を示す場合、本フィールドでは、マルチリンク通信において、Band ID531で示した周波数帯において利用を要求するストリーム数を示してもよい。STAである通信装置103が本Elementを含めたAssociation Requestを送信する場合、本フィールドでは、通信装置103がマルチリンク通信におけるMIMO通信で要求するストリーム数が示される。なお、通信装置103がMIMO通信を要求しない場合、本フィールドには値として0または1が含まれてもよいし、あるいは本フィールドは省略されてもよい。また、該Elementによって運用情報または要求情報を示す場合であっても、本フィールドには、該Elementの送信装置がMulti-Link通信におけるMIMO通信でサポートする最大のストリーム数を示す能力情報を含めるようにしてもよい。
【0110】
Per Link Info513は、Link ID541、Band ID542、Bandwidth543、CH544、およびNss545の各フィールドを含んで構成されるフィールドである。Multi-Link Capability Elementによって能力情報を示す場合、Per Link Info513は、該Elementの送信装置がマルチリンク通信をサポートしているチャネルについての情報を示す。この場合、Per Link Info513のセットは、該Elementの送信装置がマルチリンク通信をサポートしているチャネル(リンク)の数分含まれることになる。あるいは、該Elementによって能力情報を示す場合であって、既にマルチリンク通信のリンクを確立している場合、Per Link Info513は既に確立されているリンクについての情報を示す。この場合、Per Link Info513のセットは、既に確立しているリンクの数分含まれてもよい。またこの場合に、通信装置102がPer Link Info513によって情報を示すリンクは、通信装置103および他の通信装置の少なくとも一方と確立しているものである。またこの場合に、通信装置103がPer Link Info513によって情報を示すリンクは、通信装置103および他の通信装置の少なくとも一方と確立しているものである。あるいは、該Elementによって能力情報を示す場合、Per Link Info513は含まれなくてもよい。Multi-Link Capability Elementによって運用情報を示す場合であって、APである通信装置102が該Elementを含むAssociation Responseを送信する場合は、これに限らない。この場合、Per Link Info513は、本associationのやり取りによって確立されるリンクについての情報を示す。この場合、Per Link Info513は、本associationのやり取りによって確立されるLinkの数分含まれることになる。また、通信装置103が該Elementを含めたAssociation Requestを送信することで要求情報を示す場合、Per Link Info513は通信装置103が確立を要求するリンクについての情報を示す。この場合、Per Link Info513は、通信装置103が確立を要求するリンクの数分含まれることになる。
【0111】
Link ID541は、リンクを識別するための識別子を含むフィールドである。
【0112】
Band ID542は、Link ID541で示されたリンクが属する周波数帯を示す情報を含むフィールドである。本フィールドは、Band ID531と同様に示される。
【0113】
Bandwidth543は、Link ID541で示されたリンクにおける帯域幅を示す情報を含むフィールドである。本フィールドは、Supported Bandwidth532と同様に示される。なお、Multi-Link Capability Elementによって能力情報を示す場合、本フィールドはLink ID541で示されたリンクにおいてサポートする帯域幅を示す。また、APである通信装置102が本Elementを含めたAssociation Responseを送信することで運用情報を示す場合、本フィールドでは、Link ID541で示されたリンクにおいて利用される帯域幅が示される。また、STAである通信装置103が本Elementを含めたAssociation Requestを送信することで要求情報を示す場合、本フィールドでは、Link ID541で示されたLinkにおいて通信装置103が要求する帯域幅が示される。
【0114】
CH544は、Link ID541で示されたリンクの周波数チャネルを示す情報を含むフィールドである。本フィールドには、チャネルを示す数がそのまま含まれてもよい。あるいは、表4のようにチャネルが示されてもよい。なお、Multi-Link Capability Elementによって能力情報を示す場合、本フィールドはLink ID541で示されたリンクにおいてサポートするチャネルを示す。また、APである通信装置102が本Elementを含めたAssociation Responseを送信することで運用情報を示す場合、本フィールドでは、Link ID541で示されたリンクにおいて利用されるチャネルが示される。また、STAである通信装置103が本Elementを含めたAssociation Requestを送信することで要求情報を示す場合、本フィールドでは、Link ID541で示されたリンクにおいて通信装置103が要求するチャネルが示される。
【0115】
またNss545は、Link ID541で示されたリンクにおけるMIMO通信のストリーム数を示す情報を含むフィールドである。なお、MIMO通信を行わない場合、本フィールドには値として0または1が含まれていてもよいし、あるいは本フィールドは省略されてもよい。なお、Multi-Link Capability Elementによって能力情報を示す場合、本フィールドはLink ID541で示されたLinkにおいてサポートする最大のストリーム数を示す。また、APである通信装置102が本Elementを含めたAssociation Responseを送信することで運用情報を示す場合、本フィールドでは、Link ID541で示されたLinkにおいて利用されるストリーム数が示される。また、通信装置103が本Elementを含めたAssociation Requestを送信することで要求情報を示す場合、本フィールドでは、Link ID541で示されたLinkにおいて通信装置103が要求するストリーム数が示される。
【0116】
上記のMulti-Link Capability Elementを含めたMACフレームを送受信することで、通信装置102および103はマルチリンク通信の能力情報、運用情報、および要求情報を交換する。なお、本実施形態では、マルチリンク通信の能力情報、運用情報、および要求情報を同じMulti-Link Capability Elementによって示すとしたが、これに限らない。能力情報と運用情報または能力情報と要求情報とは、それぞれ異なるInformation Elementによって示されてもよい。この場合に、例えば能力情報は、Common Info511およびPer Band Info512を含むElementによって示されてもよい。また、運用情報および要求情報は、Common Info511およびPer Link Info513を含むElementによって示されてもよい。また、Multi-Link Capability Elementによって能力情報を示す場合に、一部のフィールドについては運用情報または要求情報を示してもよい。あるいは、Multi-Link Capability Elementによって運用情報または要求情報を示す場合に、一部のフィールドについては能力情報を示してもよい。
【0117】
なお、
図5に示したMulti-Link Capability Elementには、周波数チャネルを示す情報として、Primary CH521、Supported CH533、およびCH544のフィールドが含まれるとした。しかし、これに限らず、Multi-Link Capability Elementには、周波数チャネルを示す情報として、Primary CH521、Supported CH533、およびCH544の少なくとも何れか一つが含まれればよい。
【0118】
また、各フィールドの名称や、フィールド数、フィールドの順番などは、
図5に示したものに限らない。いずれのフィールドが
図5に示したフィールドの任意のフィールドより前に含まれてもよいし、後ろに含まれてもよい。また、Common Info511に含まれるフィールドが、Per Band Info512あるいはPer Link Info513に含まれてもよい。Per Band Info512およびPer Link Info513に含まれるフィールドについても、他方のフィールドに含まれてもよいし、Common Info511に含まれてもよい。また、
図5に示した何れのフィールドが省略されてもよい。
【0119】
図8および
図9では、通信装置102が送信するBeaconとProbe ResponseのMACフレームのボディ部分に含まれる情報を示す。MACフレームのフレームフォーマットは、ヘッダ部分とボディ部分とに分けることができ、先にヘッダ部分、次にボディ部分の順で送受信される。ヘッダ部分には、MACフレームの種類を示す情報が含まれる。具体的には、例えばBeaconの場合、ヘッダ部分にはMACフレームのタイプがマネジメントフレームであること、さらにサブタイプがBeaconであることを示す情報が含まれる。同様に、Probe Responseの場合、ヘッダ部分には、MACフレームのタイプがマネジメントフレームであることと、サブタイプがProbe Responseであることを示す情報が含まれる。
【0120】
図8には、通信装置102が送信するBeaconのMACフレームのボディ部分に含まれる情報を示した。Beaconには、Informationの列で示した様々な情報が要素(Element)として含まれる。これらの情報は、Order列で示した順序で送受信される。なお、Beaconには
図8で示した情報のすべてが含まれる必要はなく、少なくとも一部が含まれていればよい。
【0121】
これらの情報のうち、Order=1のTimestamp、Order=2のBeacon interval、Order=3のCapability Informationは、Beaconに必須で含まれる情報である。また、Order=4のSSID、Order=5のSupported Rates and BSS Membership Selectorsも、Beaconに必須で含まれる情報である。
【0122】
Timestampには、MACフレームの送信装置のTSF(Timing Synchronization Function)タイマの値を示す情報が含まれる。
【0123】
Beacon intervalには、MACフレームの送信装置によるBeaconの送信間隔を示す情報が含まれる。
【0124】
Capability Informationには、MACフレームの送信装置がPCF(Point Coordination Function)を実行可能か否かを示す情報が含まれる。また、Capability Informationには、MACフレームの送信装置がデータの通信において暗号化を必要とするか否かを示す情報が含まれる。
【0125】
SSIDには、MACフレームの送信装置のESSまたはIBSSの識別子を示す情報が含まれる。ESSとはExtended Service Setの略であって、IBSSとはIndependent Basic Service Setの略である。ESSの識別子としては、APの識別名であるESSIDが含まれる。一般的にはESSIDとしてSSIDが含まれる。
【0126】
Supported Rates and BSS Membership Selectorsには、Beaconの送信装置がサポートしている無線伝送レートを示す情報が含まれる。
【0127】
Supported Rates and BSS Membership Selectorsより後に通信される各情報は、夫々MACフレームに含まれていてもよいし、含まれていなくてもよい。
【0128】
本実施形態において、後述の
図10に示した移行先情報は、
図8に示したように、EHT Capabilities ElementおよびEHT Operation Elementより後に通信されるOrder=Zのエレメントとして配置される。ここでは、マルチリンク通信の移行先情報を示すエレメントの名称を移行先リンク情報としたが、これに限らない。例えばMulti-link report elementのような名称であってもよい。また、移行先情報は、MACフレームにおいて最後に通信されるVendor Specific Elementより前に通信されるように配置される。
【0129】
EHT Capabilities Elementには、MACフレームの送信装置のIEEE802.11be規格に準拠した通信に関する能力を示す情報が含まれる。具体的には、例えばMACフレームの送信装置のIEEE802.11be規格に準拠した通信におけるPHYの能力を示す情報(EHT PHY Capabilities Information)が含まれる。これに加えて、あるいは代えて、MACフレームの送信装置のIEEE802.11be規格に準拠した通信におけるMACの能力を示す情報(EHT MAC Capabilities Information)が含まれてもよい。MACフレームの送信装置は、EHT Capabilities Elementを送信することで、自装置がIEEE802.11be規格に準拠した通信が可能な装置であることを示すことができる。EHT Capabilities Elementは、Beaconにおいて、Order=87のエレメントの次に通信されてもよい。
【0130】
EHT Operation Elementには、IEEE802.11be規格に準拠した通信において通信装置を制御するための情報が含まれる。IEEE802.11be規格に準拠したBSSに参加するIEEE802.11be規格に準拠した通信に対応する通信装置のオペレーションは、EHT Operation Elementによって制御される。EHT Operation Elementは、Beaconにおいて、EHT Capabilities Elementの次に通信されてもよい。
【0131】
Beaconの送信装置が、マルチリンク通信の移行先情報を含むBeaconを送信する場合、BeaconにはEHT Capabilities ElementとEHT Operation Elementとの少なくとも一方が含まれる。マルチリンク通信の移行先情報は、EHT Capabilities ElementとEHT Operation Elementとの少なくとも一方より後に通信されることで、互換性を確保することができる。IEEE802.11ax規格より以前の規格のみ対応する通信装置は、マルチリンク通信の移行先情報を受信してもその内容を理解できないため、移行先情報以降の情報を破棄する。例えば移行先情報がIEEE802.11ax規格に準拠した通信に関する情報より前に通信されてしまうと、受信装置は送信装置のIEEE802.11ax規格に準拠した通信に関する情報を取得することができなくなる恐れがある。マルチリンク通信の移行先情報を、EHT CapabilitiesやEHT Operationより後に通信されるように配置することで、Beaconの受信装置は、IEEE802.11be規格より前の規格の通信に関する情報を取得できるようになる。
【0132】
なお、これに限らず、マルチリンクの移行先情報は、Beaconにおいては少なくともSSIDやSupported Rates and BSS Membership Selectorsより後に通信されるように配置されればよい。マルチリンクの移行先情報が、Beaconに必須で含まれる情報より後に通信されるように配置されることで、IEEE802.11ax規格以前の規格にのみ対応した受信装置も、Beaconに含まれる必須の情報を取得することができる。これにより、レガシー(IEEE802.11ax規格以前の規格のみに対応する)端末との互換性を確保することができる。
【0133】
同様に、
図5に示したMulti-link Capability Elementも、EHT Capabilities ElementとEHT Operation Elementとの少なくとも一方より後に通信されるように配置される。これにより、レガシー端末との互換性を確保することができる。これに限らず、Multi-link Capability Elementは、SSIDやSupported Rates and BSS Membership Selectorsより後に通信されるように配置されてもよい。これにより、レガシー端末との互換性を確保することができる。
【0134】
図9には、通信装置103が送信するProbe ResponseのMACフレームのボディ部分に含まれる情報を示した。Probe Responseには、Informationの列で示した様々な情報が要素(Element)として含まれる。これらの情報は、Order列で示した順序で送受信される。なお、Probe Responseには
図9で示した情報のすべてが含まれる必要はなく、少なくとも一部が含まれていればよい。
【0135】
Probe Responseにも、Beaconと同様に、Order=1のTimestamp、Order=2のBeacon interval、Order=3のCapability Informationが必須で含まれる。また、これらに加えて、Order=4のSSIDが必須で含まれる。Beaconと異なり、Order=5のSupported Rates and BSS Membership Selectorsは含まれてもよいし、含まれなくてもよい。
【0136】
本実施形態において、後述の
図10に示した移行先情報は、
図9に示したように、EHT Capabilities ElementおよびEHT Operation Elementより後に通信されるOrder=Zのエレメントとして配置される。ここでは、マルチリンク通信の移行先情報を示すエレメントの名称を移行先リンク情報としたが、これに限らない。例えばMulti-link report elementのような名称であってもよい。また、移行先情報は、MACフレームにおいて最後から2番目に通信されるVendor Specific Elementより前に通信されるように配置される。移行先情報が、EHT Capabilities ElementおよびEHT Operation Elementの少なくとも一方より後に通信されるように配置することで、レガシー端末との互換性を確保することができる。
【0137】
なお、これに限らず、マルチリンクの移行先情報は、Probe ResponseにおいてはSSIDより後に通信されるように配置されればよい。これにより、レガシー端末との互換性を確保することができる。
【0138】
また、Probe Responseの送信装置は、Probe Requestにマルチリンク通信の移行先情報を要求することを示す情報が含まれていた場合は、SSIDの後に他のエレメントを通信することなく移行先情報を通信するようにしてもよい。Probe Responseの送信装置は余計なエレメントを送信しないことで、通信するエレメント数を削減し、オーバーヘッドを小さくすることができる。
【0139】
なお、
図5に示したMulti-link Capability Elementも、EHT Capabilities ElementとEHT Operation Elementとの少なくとも一方より後に通信されるように配置される。これにより、レガシー端末との互換性を確保することができる。これに限らず、Multi-link Capability Elementは、SSIDより後に通信されるように配置されてもよい。これにより、レガシー端末との互換性を確保することができる。
【0140】
図10には、移行先リンク情報要素(Information Element)のフレームフォーマットの一例を示した。
図8や
図9に示したOrder=Zの移行先リンク情報には、
図10で示すような情報が含まれる。
【0141】
移行先リンク情報要素は、Element ID1101、Length1102、Element ID Extension1103、およびNumber of Links1104の各フィールドを有する。これに加えて、移行先リンク情報要素は、Optional Subelements1105のフィールドを有する。なお、通信装置102は、
図10で示した移行先リンク情報要素を、Element ID1101から順に生成し、他の通信装置に送信する。この場合に通信装置102は、フレーム内のすべてのフィールドを生成してから送信する。あるいは、通信装置102は、フィールドの生成と並行して送信を行ってもよい。具体的には通信装置102は、例えば生成したElement ID1101の送信と並行してLength1102の生成を行ってもよい。
【0142】
Element ID1101には、本エレメントが移行先リンク情報要素であることを示す値が含まれる。
【0143】
Length1102には、Length1102より後の(Length1102を含まない)移行先リンク情報要素のオクテットの数を指定する情報が含まれる。
【0144】
Element ID Extension1103には、同一のElement IDが割り当てられている異なるエレメントを識別するための値が含まれる。IEEE802.11be規格において、移行先リンク情報要素にElement ID Extensionが割り当てられていない場合、本フィールドは省略される。
【0145】
Number of Links1104には、移行先リンク情報要素で情報が示されるリンクの数を示す情報が含まれる。このフィールドは符号なし整数形式のフィールドである。このフィールドの長さは、0~511を識別できるように9bitであるとするが、これ以上でも以下でもよい。移行先リンク情報に本フィールドが含まれることで、移行先リンク情報の受信装置は、この後のOptional Subelements1105を解析しなくても、移行先リンク情報で情報が示されるリンクの数を識別することができる。なお、情報が示されるリンクの数は、Optional Subelements1105を解析することで取得できるので、本フィールドは省略されてもよい。
【0146】
Optional Subelements1105には、各リンクに関する情報が示される。Optional Subelements1105は、移行先リンク情報要素で情報を示されるリンクの数分のLink Report1111~111mをサブエレメント(あるいはサブフィールド)として含む。
【0147】
移行先リンク情報を送信する通信装置102は、移行先リンク情報として、通信装置103とすでに確立しているリンクのうち、移行先リンク情報の送信に用いるリンクを除いたリンクの少なくとも一つに関する情報を送信する。また、通信装置102は、これに加えて、あるいは代えて、通信装置103とこれから確立することができるリンクの情報を送信してもよい。具体的には、通信装置103とリンクを確立していないが、通信装置102がすでに構築している無線ネットワークに関する情報を送信する。通信装置102は、これらのリンクの情報に加えて、移行先リンク情報の送信に用いるリンクに関する情報も含めて送信してもよい。
【0148】
Link Report1111~111mは、Subelement ID1121、Length1122、BSSID1123、BSSID Information1124、Operating Class1125の各フィールドを含む。また、これらのフィールドに加えて、Channel Number1126、PHY Type1127、およびOptional Subelements1128の各フィールドを含む。
【0149】
本実施形態において、Link Reportのフレームフォーマットには、IEEE802.11シリーズ規格で規定されているNeighbor Reportエレメントのフレームフォーマットを利用するものとする。なお、Link ReportのフレームフォーマットはNeighbor Reportのものに限らなくてもよい。
【0150】
Subelement ID1121には、本サブエレメントがLink Reportであることを示す情報が含まれる。Link ReportとしてNeighbor Reportを流用する場合、Neighbor Reportを示すIDとして52が含まれる。なお、本フィールドは省略されてもよい。
【0151】
Length1122には、Length1122より後の(Length1122を含まない)Link Reportのオクテットの数を指定する情報が含まれる。
【0152】
BSSID1123には、Link Reportで情報を示されるリンクが構築されている無線ネットワークの識別情報として、BSSIDを示す情報が含まれる。あるいは、BSSID1123に代えて、もしくは加えて、リンクの識別情報としてLink IDのフィールドが含まれてもよい。なお、まだ構築されていないリンクの情報を示す場合、Link IDフィールドは含まなくてもよいし、あるいはLink IDフィールドにはまだリンクが確立されていないことを示す値を含めてもよい。
【0153】
BSSID Information1124には、BSSID1123で示された無線ネットワークが、IEEE802.11be規格に準拠した通信が可能かを示す情報が含まれる。また、これに加えて、BSSID1123で示された無線ネットワークが、IEEE802.11ax規格やIEEE802.11n規格に準拠した通信が可能かを示す情報が含まれてもよい。なお。本フィールドは省略されてもよい。
【0154】
Operating Class1125には、通信装置102が通信可能な周波数チャネルのセットを示す情報が含まれる。なお。本フィールドは省略されてもよい。
【0155】
Channel Number1126には、BSSID1123で示された無線ネットワーク内において用いられる周波数チャネルを示す情報が含まれる。なお、Link Reportにおいて既に確立されているリンクの情報を示す場合、Channel Number1126には該リンクで用いられている周波数チャネルを示す情報が含まれてもよい。
【0156】
PHY Type1127は、移行先リンク情報要素が含まれるMACフレームの物理メディアタイプ(Physical Medium Type)を示す情報が含まれる。
【0157】
Optional Subelements1128には、リンクに関する情報が含まれる。Optional Subelements1128は、1以上のMeasurement Reportフィールドが含まれる。Measurement Report1131~113nは、該当のリンクに関する情報の種類の数だけOptional Subelements1128に含まれる。リンクに関する情報としては、マルチリンク通信におけるリンクの切り替えや選択の判定に用いられる情報として、通信装置102または103の送信機会の取得可能性を示す情報が含まれる。例えば、所定の期間のうち、該当のリンクに用いられている周波数チャネルがビジーである期間あるいはビジーでない期間の割合を示す情報が、リンクに関する情報として含まれる。あるいは、該当のリンクに用いられている周波数チャネルにおいて、ほかの通信装置から送信される信号やレーダーなどを検知したかを示す情報が含まれる。あるいは該当のリンクに用いられている周波数チャネルにおいて、通信装置102が受信した信号の電力を示す情報が含まれる。なお、通信装置102が受信した信号の電力とは、通信装置103から送信され通信装置102が受信した信号の電力のことである。あるいは、該当のリンクに用いられている周波数チャネルに関する信号対雑音比や、雑音と干渉波の合計電力に関する情報を示す情報が含まれる。あるいは、該当のリンクや、該当のリンクを確立している無線ネットワークを介して受信した管理フレームとデータフレームの数に関する情報が含まれる。通信装置102は、1つのリンクに対して上記の情報の少なくとも1つをOptional Subelements1128にMeasurement Reportとして含めればよい。
【0158】
Measurement Report1131~113nは、Subelement ID1141、Length1142、およびMeasurement Token1143の各フィールドを含む。また、これらのフィールドに加えて、Measurement Report Mode1144、Measurement Type1145、およびMeasurement Report1146の各フィールドを含む。
【0159】
Subelement ID1141には、本サブエレメントがMeasurement Reportであることを示す情報が含まれる。なお、本フィールドは省略されてもよい。
【0160】
Length1142には、Length1142より後の(Length1142を含まない)Measurement Reportのオクテットの数を指定する情報が含まれる。
【0161】
Measurement Token1143には、通信装置103から受信したMeasurement Request elementのMeasurement Tokenと同じ値が含まれる。通信装置103は、Measurement Request elementを含めたProbe Requestを通信装置102に送信することで、移動先リンク情報の送信を通信装置102に要求することができる。なお、通信装置102は、Probe Requestの代わりに、Measurement Request elementを含めたMeasurement Requestフレームを送信してもよい。Measurement Requestフレームは任意のタイミングで送信されてもよい。また、通信装置102がMeasurement Request elementの受信に基づかずにMeasurement Report1131~113nを送信する場合、Measurement Token1143には0が設定される。なお、本フィールドは省略されてもよい。
【0162】
Measurement Type1145には後述のMeasurement Report1146に含まれる情報の種類を示す情報が含まれる。Measurement Report1146に含まれる情報とは、上述したリンクに関する情報のことである。
【0163】
なお本実施形態において、Measurement Typeとして、IEEE802.11ax以前の規格において、Neighbor Reportエレメントには適用されないが、他のエレメントには適用される種別の情報を示すTypeを指定してもよい。例えば、Basic、CCA(Clear Channel Assessment)、またはRPI(Receive Power Indicator) HistogramなどがTypeとして指定されてもよい。あるいは、Channnel Load、Noise Histogram、Beacon、またはFrameなどがTypeとして指定されてもよい。
【0164】
Measurement Reportフィールド1146には、Measurement Typeによらず、周波数チャネルの情報と、測定の開始時間と、測定期間の長さとを示す情報が含まれる。そして、これらの条件における、Measurement Typeで示されたタイプの情報を含む。なお、Measurement ReportフィールドはMeasurement Typeに指定されたタイプに基づいて[Measurement Type名] Reportと呼ばれることがある。例えば、Measurement TypeがBasicである場合、Measurement ReportフィールドはBasic Reportと呼ばれる。
【0165】
Measurement Type1145がBasicを示す場合、Measurement Report1146(Basic Report)には、他のBSSからの有効なMPDUを受信したかを示す情報が含まれる。なお、MPDUとは、Medium Access Control(MAC) Protocol Data Unitの略である。また、この情報に加えて、あるいは代えて、有効なSIGNALフィールドが後続しないショートトレーニングシンボルのシーケンスを受信したかを示す情報が含まれる。また、これらの情報に加えて、あるいは代えて、レーダー波またはOFDMプリアンブルまたは有効なMPDUのいずれとも特定できない大きな電力を受信したか、レーダー波を受信したか、などを示す情報が含まれる。
【0166】
Measurement Type1145がCCAを示す場合、Measurement Report1146(CCA Report)には、周波数チャネルがビジーである時間の割合を示す情報などが含まれる。
【0167】
Measurement Type1145がRPI Histogramを示す場合、Measurement Report1146には、アンテナで観測された電力を階級とする度数分布を示す情報などが含まれる。この場合、Measurement Report1146はRPI Histogram Reportと呼ばれてもよい。
【0168】
Measurement Type1145がChannnel Loadを示す場合、Measurement Report1146(Channnel Load Report)には、周波数チャネルがビジーである時間の割合を示す情報などが含まれる。また、これに加えて、あるいは代えて、新しい帯域幅への切り替えに関する情報などが含まれる。
【0169】
Measurement Type1145がNoise Histogramを示す場合、Measurement Report1146(Noise Histogram Report)は、雑音と干渉波の合計平均電力を示す情報を含む。また、これに加えて、あるいは代えて、雑音と干渉波の合計電力を階級とする度数分布を示す情報などを含む。
【0170】
Measurement Type1145がBeaconを示す場合、Measurement Report1146(Beacon Report)は、Beaconの受信電力や信号対雑音比などを示す情報を含む。あるいはこれに加えて、または代えて、Measurement Pilot、またはProbe Responseフレームの受信電力、信号対雑音比などを示す情報を含む。
【0171】
Measurement Type1145がFrameを示す場合、Measurement Report1146(Frame Report)は、受信フレームの平均電力を示す情報を含む。あるいはこれに加えて、または代えて、信号対雑音比、受信したデータフレームと管理フレームの数を示す情報などを含む。
【0172】
本実施形態では、
図10に示したように、すべての移行先情報を単一のエレメント(移行先リンク情報要素)に含めた。しかし、これに限らず、通信装置102は移行先情報として複数のエレメントを独立に含むようにしてもよい。具体的には、
図10で示した移行先リンク情報要素に代えて、Link Report1111~111mをサブエレメントとしてではなくエレメントとしてMACフレームに含めてもよい。この場合、Subelement IDフィールド1121はElement IDフィールド、またはElement IDフィールドとElement ID Extensionフィールドに置換される。これらのフィールドには、該エレメントに対応する識別子が格納される。なお、Link ReportとしてNeighbor Reportを流用する場合、Neighbor Reportを示すIDとして52が含まれる。
【0173】
また本実施形態では、Link Reportにはリンクに関する情報として、Measurement Report1131~113nのサブエレメントが含まれるとしたが、これに限らない。Measurement Reportに代えて、STAが送信機会の取得可能性を判定するために有用な情報を含む、IEEE802.11シリーズ規格に規定されている他のエレメントを、サブエレメントとして含んでもよい。
【0174】
例えば、IEEE802.11ax規格以前の規格において規定されているBSS Load、BSS Average Access Delay、BSS AC Access Delayなどのエレメントをサブエレメントとして含んでもよい。あるいはこれに代えて、または加えて、Extended BSS Load、またはHE BSS Loadなどのエレメントをサブエレメントとして含んでもよい。1つのLink Reportにこれらのエレメントの内、1以上のエレメントがサブエレメントとして含まれればよい。あるいは、Measurement Reportサブエレメント内に、上記のエレメントの少なくとも1つをサブエレメントとして含めてもよい。
【0175】
上述のエレメントをサブエレメントとする場合、これらのエレメントのElement IDフィールドはSubelement IDフィールドに置換される。そして、Subelement IDフィールドには、Measurement Report内またはLink Report内においてサブエレメントを識別するための識別子が格納される。なお、Element ID Extensionフィールドが存在する場合、それは削除される。しかし、Subelement IDフィールドにはElement IDフィールドの値とElement ID Extensionフィールドの値の組み合わせに対応する識別子が格納される。
【0176】
BSS Loadは、対象とするBSSに含まれるSTAの数を示す情報、メディアがビジーである時間の割合を示す情報、アドミッションコントロールにより使用可能なメディアの時間の内、残り時間の合計を示す情報などを含む。
【0177】
BSS Average Access Delayは、APの平均メディアアクセス遅延時間を示す情報などを含む。
【0178】
BSS AC Access Delayは、各アクセスカテゴリ、すなわち、AC_BE、AC_BK、AC_VI、およびAV_VOの平均メディアアクセス遅延時間を示す情報を含む。
【0179】
Extended BSS Loadは、Multi-User(MU)ビームフォーミーの能力を持ち、対象とするBSSにアソシエーションしているVHT STAの数を示す情報を含む。またこれに加えて、あるいは代えて、メディアのビジーな時間における空間ストリームドメインにおける未使用率を示す情報や、セカンダリ20MHz、40MHz、または80MHz帯域の時間的な使用率を示す情報などを含む。
【0180】
HE BSS Loadは、対象とするBSSにアソシエーションしているHE STAの数を示す情報や、APとHE STAの間の通信のためにメディアがビジーである時間の割合を示す情報などを含む。なお、HE STAとはIEEE802.11ax規格に準拠した無線通信に対応しているSTAのことを指す。また、これに加えて、あるいは代えて、メディアのビジーな時間における周波数ドメインにおける未使用率を示す情報や、メディアのビジーな時間における空間ストリームドメインにおける未使用率を示す情報などを含む。
【0181】
なお、Link ReportまたはMeasurement Reportは、これらのエレメントに加えて、あるいは代えて、IEEE802.11ax以前の規格には規定されないエレメントをサブエレメントとして含んでもよい。本実施形態ではこのようなエレメントの1つをEHT BSS Loadと呼ぶ。EHT BSS Loadは、対象とするBSSにアソシエーションしているEHT STAの数を示す情報を含む。EHT BSSとは、IEEE802.11be規格に準拠した無線通信に対応しているSTAのことを指す。EHT STAの数は、マネジメントフレームにEHT CapabilitiesとEHT Operationの少なくとも一方を含むSTAを数えることで算出する。また、これに加えて、あるいは代えて、APとEHT STAの間の通信のためにメディアがビジーである時間の割合を示す情報や、メディアのビジーな時間における周波数ドメインにおける未使用率を示す情報などを含む。また、これらの情報に加えて、あるいは代えて、メディアのビジーな時間における空間ストリームドメインにおける未使用率を示す情報などを含んでもよい。
【0182】
図6は、通信装置103がマルチリンク通信を行う場合に、記憶部201に記憶されたコンピュータプログラムを制御部202が読み出し、実行することで実行される処理を示すフローチャートである。
【0183】
本フローチャートは、通信装置103の電源が投入されたことに応じて開始される。あるいは、通信装置103は、ユーザまたはアプリケーションからマルチリンク通信の開始を指示されたことに応じて開始してもよい。あるいは通信装置103は、通信装置102に送信するデータのデータ量が所定の閾値以上となったことに応じて開始してもよい。
【0184】
まず通信装置103は、相手装置のマルチリンク通信における能力情報を取得する(S601)。具体的には、通信装置103は、通信装置102が送信する、Multi-Link Capability Elementを含むBeaconを受信することで、通信装置102の能力情報を取得する。あるいは、通信装置103は、通信装置102が送信する、Multi-Link Capability Elementを含むProbe Responseを受信することで本ステップの処理を行ってもよい。この場合、本ステップと後述のS602は順番が入れ替わる。
【0185】
次に、通信装置103は、自装置のマルチリンク通信における能力情報を通知する(S602)。具体的には、通信装置103は、Multi-Link Capability Elementを含めたProbe Requestを送信することで、自装置のマルチリンク通信における能力情報を通知する。本ステップより前に相手装置の能力情報を取得している場合、相手装置の能力情報に基づいて自装置が通知する能力情報を決定してもよい。具体的には、通信装置103は、通信装置102の能力を超えないように、本ステップで通知する能力情報を決定してもよい。例えば、通信装置103が、2.4GHz、5GHz、および6GHzにおけるマルチリンク通信をサポートしており、通信装置102が2.4GHzおよび5GHzのみをサポートしている場合を考える。この場合、通信装置103は、本ステップで2.4GHzと5GHzにおけるマルチリンク通信をサポートしていることを能力情報として通知する。なお、通信装置103は、後述のS603で通信装置102にマルチリンク通信についての要求を示す要求情報を含むAssociation Requestを送信する場合、本ステップの処理は省略してもよい。
【0186】
次に、通信装置103は、マルチリンク通信の要求情報を含むAssociation Requestを送信する(S603)。本ステップで送信される要求情報は、通信装置103が実行を要求するマルチリンク通信に関する情報を示すものである。なお、本ステップにおいて、通信装置103は要求情報を含めないAssociation Requestを送信してもよい。
【0187】
通信装置103は、APである通信装置102からAssociation Responseを受信したかを判定する(S604)。通信装置103は、Association Responseを受信しなかった場合、本ステップでNoと判定し、再度本ステップの処理を行う。なお、S603でAssociation Requestを送信してから所定の時間が経過しても、本ステップでYesと判定されなかった場合、通信装置103はユーザにエラーを通知し、本フローの処理を終了する。一方通信装置103は、Association Responseを受信した場合、本ステップでYesと判定し、S605の処理を行う。
【0188】
通信装置103は、通信装置102とのマルチリンク通信を開始する(S605)。S604で受信したAssociation Responseにマルチリンク通信の運用情報が含まれていた場合、該運用情報に基づいたマルチリンク通信を開始する。あるいは、S603で要求情報を送信しており、かつS604で許可を示す情報のみを含むAssociation Responseを受信した場合、S603で送信した要求情報に基づくマルチリンク通信を開始する。本実施形態では、S605において、通信装置102との間に確立した複数のリンクを介したマルチリンク通信を開始する。
【0189】
通信装置103は、通信装置102とのマルチリンク通信を開始すると、通信装置102からマルチリンク通信の移行先情報を取得する(S606)。具体的には、通信装置103は、
図10で示した移行先リンク情報要素を含むBeaconを通信装置102から受信する。通信装置103は、通信装置102のBeacon Intervalごとに、移行先リンク情報要素を含むBeaconを通信装置102から受信してもよい。本ステップで受信するBeaconには、移行先リンク情報要素に加えて、通信装置102のマルチリンク通信における能力情報を示すMulti-Link Capability Elementが含まれていてもよい。
【0190】
なお、本実施形態では、通信装置103はS606においてBeaconを受信するとしたが、これに限らず、移行先リンク情報要素を含むProbe Responseを受信してもよい。この場合、S605とS606の間に、通信装置103は移行先情報を要求するためのProbe requestを通信装置102に送信する。通信装置103が送信するProbe Requestには、移行先情報を要求することを示す情報が含まれてもよい。なお、Probe Responseには、通信装置102のマルチリンク通信における能力情報を示すMulti-Link Capability Elementは含まれていなくてもよい。
【0191】
通信装置103は、通信装置102とのマルチリンク通信で用いるリンクを変更するかを判定する(S607)。具体的には、通信装置103は、ユーザからリンクの変更の指示があったかを判定する。ユーザからリンクを変更するように指示された場合、通信装置103は本ステップでYesと判定し、S608の処理を行う。一方、ユーザからリンクを変更するように指示されなかった場合、通信装置103は本ステップでNoと判定し、S609の処理を行う。この場合に、通信装置103は、S606で取得した移行先リンク情報要素によって示される移行先情報を表示部に表示し、ユーザにリンクを変更するかを問い合わせる画面を表示してもよい。あるいは、ユーザ指示に限らず、通信装置103はS606で取得した移行先リンク情報要素に基づいて、本ステップの判定を行ってもよい。例えば、通信装置103は、通信装置102とのデータ通信に用いているリンクにおける通信装置103の送信機会の取得可能性と、移行先リンク情報要素によって示される他のリンクにおける送信機会の取得可能性とを比較し、本ステップの判定を行う。この場合、通信装置103は、現在使用しているリンクに比べて、他のリンクの方が通信装置103の送信機会の取得可能性が高い場合、本ステップでYesと判定する。一方、通信装置103は、現在使用しているリンクに比べて、他のリンクの方が通信装置103の送信機会の取得可能性が低い場合、本ステップでNoと判定する。この場合、所定の期間あたり、リンクに用いられる周波数チャネルがビジーである期間の割合が低いリンクの方が、より送信機会の取得可能性が高いものとする。また、信号対雑音比が高いリンクの方が、より送信機会の取得可能性が高いものとする。あるいは、リンクに用いられる周波数チャネルにおいて受信した信号の電力が高いリンクの方が、より送信機会の取得可能性が高いものとする。また、リンクに用いられる周波数チャネルにおける雑音と干渉波の合計電力が低いリンクの方が、より送信機会の取得可能性が高いものとする。また、リンクを確立している無線ネットワークを介して受信した管理フレームやデータフレームの数が少ないリンクの方が、より送信機会の取得可能性が高いものとする。あるいは、通信装置103は、通信装置102とのデータ通信に用いているリンクにおいて、所望のスループットを得られていない場合、本ステップでYesと判定する。なお、スループットの閾値は、ユーザによって設定されてもよいし、通信装置103にプリセットされていてもよい。
【0192】
なお、本実施形態では、S606で移行先情報を取得してからS607でリンクを変更するかの判定を行うものとしたが、これに限らない。通信装置103は、先にユーザからリンクの変更指示が出されたかを判定してから移行先情報を取得するようにしてもよい。通信装置103は、S605の後に、S607の判定をユーザ指示に基づいて行い、Yesと判定された場合、通信装置102に移行先情報を要求するためのProbe Requestを送信する。その後、通信装置103は、通信装置102から移行先情報を取得し(S606)、取得した移行先情報に基づいて、後述のS608の処理を行う。なお、S607でNoと判定された場合、通信装置103は後述のS609の処理を行う。
【0193】
通信装置103は、S607でYesと判定されると、リンクの変更処理を行う(S608)。リンクの変更処理とは、具体的には、通信装置102とのデータ通信に用いていたリンクを、別のリンクに切り替えることである。あるいは、これに限らず、通信装置102とのデータ通信に用いるリンクとして、別のリンクを追加するようにしてもよい。あるいは通信装置103は、通信装置102と新たなリンクを確立し、通信装置102とのデータ通信に用いるリンクを切り替える、または増やすようにしてもよい。なお、通信装置103は、通信装置102とのデータ通信に用いるリンクに加えて、あるいは代えて、制御用のフレームを送信するリンクについて変更処理を行うようにしてもよい。
【0194】
通信装置103は、S608において、通信装置102にリンクの変更要求を送信する。なお、通信装置102は送信した変更要求に対する応答が通信装置103から返ってきたことに基づいて、新しいリンクでのデータ通信を開始する。あるいは、通信装置102と新しいリンクを確立する場合、通信装置103はS608においてS604と同様にAssociation Requestを送信してもよい。この場合、通信装置103は、通信装置102からAssociation Responseを受信したことに基づいて、新しいリンクでのデータ通信を開始する。
【0195】
この場合に、通信装置103は、通信装置102とのマネジメントフレームの通信に用いている周波数チャネルを介してリンクの変更要求やAssociation Requestを送信してもよい。あるいは通信装置103は、データ通信に用いている周波数チャネルを介して、これらの信号を送信してもよい。
【0196】
通信装置103は、マルチリンク通信を終了するかを判定する(S609)。具体的には、通信装置102とのマルチリンク通信の終了が、ユーザから指示されたかを判定する。ユーザからマルチリンク通信の終了を指示された場合、通信装置103は本ステップでYesと判定し、S610の処理を実行する。一方、ユーザからマルチリンク通信の終了を指示されなかった場合、通信装置103は再度S606の処理を行う。
【0197】
通信装置103は、通信装置102とのリンクを切断する(S610)。この場合に、通信装置103は、通信装置102との間に確立されている複数のリンクの内、1つのリンクを除いて切断する。具体的には通信装置103は、切断するリンクを識別可能な情報を含むDisassociationフレームを通信装置102に送信する。通信装置103は、切断せずに維持するリンクを介してDisassociationフレームを送信してもよいし、切断するリンクのいずれか1つを介してDisassociationフレームを送信してもよい。なお、本実施形態では通信装置102とのリンクを1つ維持するとしたが、これに限らず、本ステップで全てのリンクを切断してもよい。通信装置103はS610の処理を実行すると、本フローの処理を終了する。
【0198】
なお、通信装置103はS609の判定を、ユーザ指示ではなく、通信装置102とのマルチリンク通信のためのリンクが維持されているかに基づいて行ってもよい。この場合、通信装置103はS610をスキップする。通信装置103は、通信装置102との間に複数のリンクが維持されている場合はS609でNoと判定する。一方、通信装置102との間に複数のリンクが維持されていない場合は、通信装置103はS609でYesと判定する。あるいは通信装置103は、通信装置102との間に1つ以上のリンクが維持されている場合はS609でYesと判定し、リンクが1つも維持されていない場合はNoと判定してもよい。
【0199】
以上、
図6に示したように、通信装置103は、通信装置102とのマルチリンク通信を開始した後、移行先情報を取得することで、通信装置102とのマルチリンク通信のリンクを変更することができる。これにより、通信装置103は、通信装置102とのマルチリンク通信におけるスループットの低下を防ぐことができ、通信効率を向上させることができる。
【0200】
図7は、通信装置102がマルチリンク通信を行う場合に、記憶部201に記憶されたコンピュータプログラムを制御部202が読み出し、実行することで実行される処理を示すフローチャートである。
【0201】
本フローチャートは、通信装置102の電源が投入されたことに応じて開始される。あるいは、通信装置102は、ユーザまたはアプリケーションからマルチリンク通信の開始を指示されたことに応じて開始してもよい。あるいは通信装置102は、通信装置103に送信するデータのデータ量が所定の閾値以上となったことに応じて開始してもよい。
【0202】
まず、通信装置102は、自装置のマルチリンク通信における能力情報を通知する(S701)。具体的には、通信装置102は、Multi-Link Capability Elementを含むBeaconを送信することで、自装置のマルチリンク通信における能力情報を通知する。あるいは、通信装置102は、通信装置103からProbe Responseを受信したことに応じて、Multi-Link Capability Elementを含むProbe Responseを送信することで本ステップの処理を行ってもよい。この場合、本ステップと後述のS702は順番が入れ替わる。
【0203】
次に通信装置102は、相手装置のマルチリンク通信における能力情報を取得する(S702)。具体的には、通信装置102は、Multi-Link Capability Elementを含むProbe Requestを受信することで、相手装置のマルチリンク通信における能力情報を取得する。なお、相手装置からMulti-Link Capability Elementを含むProbe Requestを受信しなかった場合、本ステップの処理は省略されてもよい。
【0204】
通信装置102は、通信装置103からProbe Requestを受信すると、応答としてProbe Responseを返す。なお、この場合、Multi-Link Capability Elementを含むBeaconを送信している場合、Probe Responseには該Elementを含まなくてもよい。
【0205】
通信装置102は、通信装置103からAssociation Requestを受信したかを判定する(S703)。通信装置102は、Association Requestを受信しなかった場合、本ステップでNoと判定し、再度本ステップの処理を行う。なお、S702でProbe Responseを送信してから所定の時間が経過しても、本ステップでYesと判定されなかった場合、通信装置102はユーザにエラーを通知し、本フローの処理を終了する。一方通信装置102は、Association Requestを受信した場合、本ステップでYesと判定し、S704の処理を行う。
【0206】
次に、通信装置102は、Association Requestに対する応答として、Association Responseを送信する(S704)。S703で通信装置103から要求情報を受信していなかった場合、通信装置102は通信装置103とのマルチリンク通信における運用情報を含めてAssociation Responseを送信する。この場合に、通信装置102は、Association Responseにどのような運用情報を含めるかを、通信装置103のマルチリンク通信における能力情報に基づいて決定する。通信装置102がAssociation Responseに含めて送信する運用情報は、実際に通信装置102と103との間で行われるマルチリンク通信に関する情報を示す。なお、S703で受信したAssociation Requestに通信装置103からの要求情報が含まれていた場合であっても、通信装置102は運用情報を含めたAssociation Responseを送信してもよい。この場合に、通信装置102は、Association Responseにどのような運用情報を含めるかを、受信したAssociation Requestに通信装置103からの要求情報に基づいて決定する。あるいは、S703で通信装置103から要求情報を受信していた場合、通信装置102はマルチリンク通信を許可するか否かを示す情報のみを含めたAssociation Responseを送信してもよい。
【0207】
通信装置102は、通信装置103とのマルチリンク通信を開始する(S705)。S704で送信したAssociation ResponseにMulti-Link通信の運用情報が含まれていた場合、該運用情報に基づいたマルチリンク通信を開始する。あるいは、S703で要求情報を受信しており、かつS704で許可を示す情報のみを含むAssociation Responseを送信した場合、S703で受信した要求情報に基づくマルチリンク通信を開始する。本実施形態では、S705において、通信装置103との間に確立した複数のリンクを介したマルチリンク通信を開始する。
【0208】
通信装置102は、マルチリンク通信を開始すると、マルチリンク通信の移行先情報を通知する(S706)。具体的には、通信装置102は、
図10で示した移行先リンク情報要素を含むBeaconを送信する。通信装置102は、Beacon Intervalごとに移行先情報を含むBeaconを送信してもよい。なお、本ステップにおいて、通信装置102は、移行先情報に加えて、S701で送信した能力情報を送信してもよい。
【0209】
なお、本実施形態では、通信装置102は本ステップにおいて移行先情報を含むBeaconを送信するとしたが、これに限らず、移行先情報を含むProbe Responseを送信してもよい。この場合、通信装置102は、S705とS706との間に、Probe Requestを受信したかを判定するステップが含まれる。通信装置102は、Probe Requestを受信したと判定するとS706の処理を行い、受信しなかったと判定すると再度Probe Requestを受信したかの判定を行う。
【0210】
また、通信装置102は、Probe Requestを送信した相手装置に基づいて、異なる情報を含めたProbe Responseを送信してもよい。具体的には、通信装置102は、既にマルチリンク通信を開始している相手装置(本実施形態では通信装置103)から送信されたProbe Requestを受信した場合、移行先情報を含むProbe Responseを送信する。この場合、Probe Responseには、マルチリンク通信の能力情報は含まれなくてもよい。一方、マルチリンク通信を開始していない相手装置から送信されたProbe Requestを受信した場合、通信装置102は、移行先情報を含まないProbe Responseを送信する。この場合、Probe Responseにはマルチリンク通信の能力情報が含まれる。Probe Requestの送信装置に応じてProbe Responseに含める情報を変更することで、通信する情報量を削減し、オーバーヘッドを小さくすることができる。
【0211】
また、通信装置102は、受信したProbe Requestに、移行先情報を要求することを示す情報が含まれているかに基づいて、異なる情報を含めたProbe Responseを送信してもよい。通信装置102は、移行先情報の要求を示す情報が含まれているProbe Requestを受信した場合は、移行先情報を含むProbe Responseを送信する。この場合、Probe Responseには、マルチリンク通信の能力情報が含まれていなくてもよい。一方、移行先情報の要求を示す情報を含まないProbe Requestを受信した場合、通信装置102は移行先情報を含まないProbe Responseを送信する。この場合、Probe Responseにはマルチリンクの能力情報が含まれる。このように、Probe Requestに移行先情報の要求を示す情報が含まれるか否かに応じてProbe Responseに含める情報を変更することで、通信する情報量を削減し、オーバーヘッドを小さくすることができる。
【0212】
通信装置102は移行先情報を通知すると、別の相手装置とのマルチリンク通信を開始するかを判定する(S707)。別の相手装置とは、マルチリンク通信を開始していない他の通信装置のことであって、本実施形態では通信装置103と異なる他の通信装置のことである。通信装置102は、ユーザから他の通信装置とのマルチリンク通信の開始を指示された場合、本ステップでYesと判定し、S702の処理を行う。一方、通信装置102は、ユーザからマルチリンク通信の開始を指示されなかった場合、本ステップでNoと判定し、S708の処理を行う。
【0213】
なお、通信装置102は、S707において、ユーザ指示に限らず、他の通信装置からProbe Requestを受信したかに基づいて判定してもよい。この場合、通信装置102は、マルチリンク通信を開始していない他の通信装置からProbe Requestを受信したことに基づいて本ステップでYesと判定し、S703の処理を行う。通信装置102は、他の通信装置からProbe Requestを受信しなかった場合、本ステップでNoと判定し、S708の処理を行う。
【0214】
あるいは、通信装置102は、マルチリンク通信を開始していない他の通信装置からAssociation Requestを受信したかに基づいて、S707の判定を行ってもよい。この場合、通信装置102は、マルチリンク通信を開始していない他の通信装置からAssociation Requestを受信したことに基づいて、本ステップでYesと判定し、S704の処理を行う。一方、他の通信装置からAssociation Requestを受信しなかった場合、通信装置102は本ステップでNoと判定し、S708の処理を行う。
【0215】
なお、通信装置102は、通信装置103から変更要求またはAssociation Requestを受信すると、応答として変更応答やAssociation Responseを返す。
【0216】
次に、通信装置102は、通信装置103とのマルチリンク通信で用いるリンクを変更するかを判定する(S708)。通信装置102は、通信装置103からリンクの変更要求を受信すると本ステップでYesと判定し、S709の処理を行う。一方、通信装置103からリンクの変更要求を受信しなかった場合、通信装置102は本ステップでNoと判定し、S710の処理を行う。あるいは通信装置102は、変更要求に加えて、あるいは代えて、通信装置103からAssociation Requestを受信したか否かに基づいてS708の判定を行ってもよい。通信装置103は、通信装置102からAssociation Requestを受信した場合に本ステップでYesと判定し、受信しなかった場合はNoと判定する。
【0217】
通信装置102は、通信装置103とのマルチリンク通信におけるリンクの変更処理を行う(S709)。リンクの変更処理とは、具体的には通信装置103とのマルチリンク通信のデータ通信に用いていたリンクを、通信装置103との間にすでに確立している他のリンクへ切り替えることである。これに加えて、あるいは代えて、通信装置103とのデータ通信に用いるリンクとして、現在使用しているリンクに加えて、通信装置103との間ですでに確立している他のリンクを使用するようにしてもよい。あるいは、通信装置102は、通信装置103とマルチリンク通信に用いるリンクを新たに確立してもよい。この場合に、通信装置102は、通信装置103とのデータ通信に用いるリンクを、現在のリンクから新たに確立したリンクに切り替えてもよいし、あるいは現在のリンクに加えて新しく確立したリンクを使用するようにしてもよい。
【0218】
通信装置102は、通信装置103との新たなリンクを用いたマルチリンク通信を開始する。
【0219】
通信装置102は、マルチリンク通信を終了するかを判定する(S710)。具体的には、通信装置102は、通信装置103とのマルチリンク通信のためのリンクが維持されているかに基づいて本ステップの判定を行う。通信装置102は、通信装置103との間にリンクが複数維持されている場合は本ステップでNoと判定し、S706の処理を行う。一方、通信装置103との間にリンクが複数維持されていない場合は本ステップでYesと判定し、本フローの処理を終了する。維持されていないリンクとは、通信装置103から送信されたDisassociationフレームに識別情報が含まれていたリンクや、所定の時間通信が行われていないリンクのことである。あるいは通信装置102は、通信装置103との間に1つ以上のリンクが維持されている場合はS710でYesと判定し、リンクが1つも維持されていない場合はNoと判定してもよい。
【0220】
なお、通信装置102は、S705以降のいずれのステップにおいても、通信装置103からDisassociationフレームを受信した場合は、リンクの切断を実行する。具体的には、通信装置102はDisassociationフレームに識別情報が含まれていたリンクは切断されたものとし、該当のリンクを用いた通信を実行しない。
【0221】
なお、通信装置102が複数の相手装置とマルチリンク通信を実行している場合、通信装置102はマルチリンク通信を実行している全ての相手装置との間のリンクに基づいてS710の判定を行う。通信装置102は、少なくとも一台の相手装置と複数のリンクが維持されている場合はS710でYesと判定する。一方、すべての相手装置と複数のリンクが維持されていない場合はS710でNoと判定する。
【0222】
以上、
図7に示したように、通信装置102は、通信装置103とのマルチリンク通信を開始した後、移行先情報を通知することができる。移行先情報を通知することで、移行先情報を取得した通信装置103は、通信装置102とのマルチリンク通信のリンクを変更することができる。これにより、通信装置102は、通信装置103とのマルチリンク通信におけるスループットの低下を防ぐことができ、通信効率を向上させることができる。
【0223】
なお、本実施形態では、S706において通信装置103がProbe Requestを送信するとしたが、これに限らず、通信装置102、103と異なる他の通信装置が通信装置102にProbe Requestを送信してもよい。なお、ここでProbe Requestを送信する他の通信装置は、通信装置102とマルチリンク通信を開始しているものとする。この場合に、通信装置102は、Probe Requestを送信した通信装置ごとに異なる移行先情報を含めたProbe Responseを送信するようにしてもよい。例えば、通信装置102は、通信装置103が送信したProbe Requestに対しては、通信装置103と確立しているリンクに関する情報を示す移行先情報を含むProbe Responseを送信するようにしてもよい。このとき、通信装置103に送信されるProbe Responseには、他の通信装置と確立しているリンクに関する移行先情報は含まれない。この場合、通信装置102は、他の通信装置が送信したProbe Requestに対しては、他の通信装置と確立しているリンクに関する移行先情報をProbe Responseを送信する。他の通信装置に送信されるProbe Responseには、通信装置103と確立しているリンクに関する移行先情報は含まれない。
【0224】
また、通信装置102はProbe Responseに移行先情報を含める場合、通信装置103から受信したマルチリンク通信の能力情報に基づいて、通信装置103が対応する周波数チャネルに対応するリンクに関する情報のみを含めるようにしてもよい。
【0225】
また、本実施形態では、通信装置102は移行先情報を送信する際に、移行先となる可能性がある全てのリンクについての情報を送信するとしたが、これに限らない。通信装置102は、通信装置103(STA)の送信機会取得可能性が高いと判断したBSS、周波数チャネル、またはリンクに関する情報のみを送信するようにしてもよい。通信装置102は、例えば、メディアがビジーである時間の割合が少なかったり、AC_VO、AC_VI等の優先度の高いトラフィックが少なかったりするBSSを、STAの送信機会取得可能性が高いBSSと判定する。通信装置102は、周波数チャネルやリンクについても同様に判定してもよい。通信装置102は、STAの送信機会取得可能性が高いと判定されたBSSのBSSIDをBSSIDフィールド1123に含める。この場合に、Link Reportの他のフィールドは省略されてもよい。なお、該当のBSSで使用されている周波数チャネルを示すためにChannel Numberフィールド1126が含まれてもよい。種は数チャネルに基づいて判定した場合、BSSIDフィールド1123に代えて、Channel Numberフィールド1126のみが含まれてもよい。あるいは、該当の周波数チャネルにおいて通信装置102が確立しているBSSのIDを示すBSSIDフィールド1123が含まれてもよい。リンクに基づいて判定した場合、該当のリンクに用いられている周波数チャネルを示すChannel Numberフィールド1126と、BSSを示すBSSIDフィールド1123との少なくとも一方のみが含まれていてもよい。この場合、通信装置102が通信装置103とのリンクの移行先として適切なリンクを選択してから通信装置103に移行先候補のリンクの情報を送信する。これにより、通信装置103が移行先となるリンクを選択する際の処理が軽減される。
【0226】
なお、通信装置102は、マルチリンク通信を実行している場合やマルチリンク通信の実行を指示された場合は、MACフレームにマルチリンク通信に関する情報を含めるようにし、それ以外の場合は含めないようにしてもよい。とくに、マルチリンク通信を実行していない場合は、BeaconやProbe Responseに移行先情報を含めないようにすることで、フレームのオーバーヘッドを低減することができる。
【0227】
また、移行先情報を示す場合に、IEEE802.11ax規格以前の規格で規定されたフレームフォーマットを流用することで、通信装置を構成する、あるいは解析するソフトウェアおよびハードウェアの開発負荷を軽減できる。
【0228】
本実施形態において、通信装置102は、マルチリンク通信を実行している場合に、BeaconおよびProbe Responseの少なくとも一方に移行先情報を含める。一方、通信装置102は、マルチリンク通信を実行している場合であっても、Association Response、Disassociation、Authentication、De-Authenticationには、移行先情報を含めない。リンクの確立や切断の際に用いられるフレームや、相手装置の認証の際に用いられるフレームには移行先情報を含めないようにすることで、通信装置102はフレームのオーバーヘッドを低減することができる。なお、通信装置102は、Association Response、Disassociation、Authentication、De-Authenticationの少なくとも一つに移行先情報を含めないようにすればよい。
【0229】
本実施形態において、通信装置103は、通信装置102とすでに確立しているマルチリンク通信のリンクを介して、他のリンクに関する情報を取得することで、現在通信装置102とのデータ通信に使用しているリンクを変更するかを選択する。この場合、リンクの変更とは、リンクの切り替えることを指す。あるいはこれに代えて、データ通信に用いるリンクを増やしてもよい。あるいは、既に複数のリンクを用いて通信装置102とデータ通信を行っている場合、あるリンクを介して送信するデータの種類を変更したり、送信データの割合を変更したりしてもよい。通信装置103は、変更したいリンクを介して、通信装置102から他のリンクに関する情報を取得する。あるいは、変更したいリンクとは異なるリンクを介して通信装置102からリンクに関する情報を取得してもよい。この場合、リンクに関する情報として、情報の取得に用いたリンクに関する情報が含まれていてもよい。
【0230】
なお、本実施形態において、マルチリンク通信を終了する際に、通信装置103から通信装置102にDisassociationフレームが送信されるとしたが、これに限らない。通信装置102から通信装置103にDisassociationフレームが送信されてもよい。この場合、通信装置103は、
図6のS609およびS610の代わりに
図7のS710の処理の処理を実行する。また、通信装置102は、
図7のS710の代わりに、
図6のS609およびS610の処理を実行する。
【0231】
また、本実施形態において、通信装置102と103とは、複数のリンクを確立し、マルチリンク通信を開始してから移行先情報を通信した。しかしこれに限らず、通信装置102と103とは、単一のリンクを確立してから、移行先情報を通信してもよい。具体的には、
図6のS605および
図7のS705でマルチリンク通信ではなく、確立した単一のリンクを介した通信を開始してもよい。この場合に、通信装置102および103は、
図6のS608および
図7のS709のリンク変更で、新たにリンクを確立し、マルチリンク通信を開始するようにしてもよい。
【0232】
なお、
図6、および
図7に示した通信装置103および102のフローチャートの少なくとも一部または全部をハードウェアにより実現してもよい。ハードウェアにより実現する場合、例えば、所定のコンパイラを用いることで、各ステップを実現するためのコンピュータプログラムからFPGA上に専用回路を生成し、これを利用すればよい。FPGAとは、Field Programmable Gate Arrayの略である。また、FPGAと同様にしてGate Array回路を形成し、ハードウェアとして実現するようにしてもよい。また、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)により実現するようにしてもよい。
【0233】
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
【符号の説明】
【0234】
101 ネットワーク
102 通信装置(AP)
103 通信装置(STA)
104 第1のLink
105 第2のLink