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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-27
(45)【発行日】2024-10-07
(54)【発明の名称】作業用什器
(51)【国際特許分類】
   A47B 13/00 20060101AFI20240930BHJP
   H05K 7/18 20060101ALI20240930BHJP
   B01L 9/02 20060101ALI20240930BHJP
【FI】
A47B13/00 B
H05K7/18 E
B01L9/02
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020071015
(22)【出願日】2020-04-10
(65)【公開番号】P2021166962
(43)【公開日】2021-10-21
【審査請求日】2023-03-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000000561
【氏名又は名称】株式会社オカムラ
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【氏名又は名称】鈴木 三義
(72)【発明者】
【氏名】吉田 龍介
【審査官】宮部 裕一
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-162271(JP,A)
【文献】特開2017-176453(JP,A)
【文献】特開2007-136065(JP,A)
【文献】特開2002-282050(JP,A)
【文献】特開平06-121713(JP,A)
【文献】特開2004-135736(JP,A)
【文献】特開2012-120796(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01L 9/02
A47B 13/00
H05K 7/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
床面に設けられた支持構造体と、
左右方向に間隔をあけた状態で前記支持構造体に前方から連結されるとともに、前記支持構造体の前方に、上方及び前方に開口する機器収容空間を形成する複数の区画部材と、
前記機器収容空間内に設けられ、左右方向に沿ってインフラ線を案内する案内ダクトと、
天板を有し、前記支持構造体に取り付けられる天板付什器と、を備え
前記機器収容空間において前記案内ダクトに対して前方に位置する部分には、前記床面に設置される機器が前記案内ダクトに近接した状態で収容可能であり、
前記案内ダクトには、前記機器が前記機器収容空間に収容された状態で、前記機器から引き出された前記インフラ線が案内される作業用什器。
【請求項2】
前記支持構造体は、
左右方向に離間して設けられるとともに、インフラ線を上下方向に沿って案内する複数の支柱と、
前記複数の支柱間に架設されるとともに、インフラ線を左右方向に沿って案内する横架材と、を備えている請求項1に記載の作業用什器。
【請求項3】
前記案内ダクトと前記横架材との上面同士が同一平面上に位置している請求項2に記載の作業用什器。
【請求項4】
前記案内ダクトは、左右方向で隣り合う前記区画部材同士を連結している請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の作業用什器。
【請求項5】
前記案内ダクトの上方に設けられて、左右方向で隣り合う前記区画部材同士を連結する連結部材を備えている請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の作業用什器。
【請求項6】
前記案内ダクトの前端部は、前記連結部材よりも前方に位置している請求項5に記載の作業用什器。
【請求項7】
前記案内ダクトは、
前記から引き出される前記インフラ線を受ける受部と、
前記受部の前方に設けられた緩衝部と、を有している請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の作業用什器。
【請求項8】
前記緩衝部は、前記受部から前方に向かうに従い向けて傾斜している傾斜片で形成されている請求項7に記載の作業用什器。
【請求項9】
前記緩衝部には、前方に向けて開口する案内凹部が形成されている請求項8に記載の作業用什器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業用什器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、オフィスや研究施設、病院、学校等の各種施設では、研究内容や実験内容に応じて、多種多様な実験機器や計測機器等が使用されている。これらの機器類を配置するため、一般に作業用什器が使用されている。この作業用什器には、研究や実験の対象物を載置したり、研究や実験に伴う様々な作業や、研究結果や実験結果の記録やパーソナルコンピュータへ入力する作業を行ったりするための作業台が備えられている(例えば、下記特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2001-340768号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、大型の実験機器や計測機器等の機器類の場合、機器類を床面において使用することが考えられる。機器類を作業台に接近させる場合には、大型の機器類の配線等が猥雑にならないように、配線等の引き回しに工夫する必要がある。
【0005】
本発明は、床面に設置する機器類を配線等との干渉を避けた上で、作業台に接近させることができる作業用什器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は以下の態様を採用した。
本発明の一態様に係る作業用什器は、床面に設けられた支持構造体と、左右方向に間隔をあけた状態で前記支持構造体に前方から連結されるとともに、前記支持構造体の前方に、上方及び前方に開口する機器収容空間を形成する複数の区画部材と、前記機器収容空間内に設けられ、左右方向に沿ってインフラ線を案内する案内ダクトと、を備えている。
【0007】
本態様によれば、機器収容空間に機器を収容することで、作業用什器に機器を近接して配置することができる。
しかも、機器収容空間が、前方及び上方に開口しているため、区画部材よりも高く、区画部材より前後方向に大きな大型の機器を収容することができる。
ここで、本態様では、機器収容空間に案内ダクトを設けた。よって、例えば、機器収容空間に収容した機器の配線等、インフラ線を案内ダクトによって左右方向に案内することができる。これにより、機器収容空間でインフラ線が猥雑になるのを抑制できる。
その結果、インフラ線との干渉を抑えた上で、機器を作業用什器に接近させることができ、使い勝手に優れた作業用什器を提供できる。
【0008】
上記態様の作業用什器において、前記支持構造体は、左右方向に離間して設けられるとともに、インフラ線を上下方向に沿って案内する複数の支柱と、前記複数の支柱間に架設されるとともに、インフラ線を左右方向に沿って案内する横架材と、を備えていることが好ましい。
本態様によれば、支柱や横架材を、インフラ線の経路として使用できるので、インフラ線の引き回しが容易になる。
【0009】
上記態様の作業用什器において、前記案内ダクトと前記横架材との上面同士が同一平面上に位置していることが好ましい。
本態様によれば、案内ダクトと横架材との間でインフラ線の引き回しが容易になる。
【0010】
上記態様の作業用什器において、前記案内ダクトは、左右方向で隣り合う前記区画部材同士を連結していることが好ましい。
本態様によれば、区画部材を案内ダクトで支えることができる。これにより、作業用什器の強度を向上させることができる。また、機器収容空間内において左右方向の全域に亘ってインフラ線を引き回しやすくなる。
【0011】
上記態様の作業用什器において、前記案内ダクトの上方に設けられて、左右方向で隣り合う前記区画部材同士を連結する連結部材を備えていることが好ましい。
本態様によれば、区画部材を連結部材で支えることができる。これにより、作業用什器の強度を向上させることができる。
【0012】
上記態様の作業用什器において、前記案内ダクトの前端部は、前記連結部材よりも前方に位置していることが好ましい。
本態様によれば、機器収容空間内の機器が後方に移動した際に、連結部材よりも先に案内ダクトに接触し易い。すなわち、案内ダクトによって、機器の後方移動を規制することができ、機器収容空間内において機器を所望の位置に配置し易い。
【0013】
上記態様の作業用什器において、前記案内ダクトは、前記機器収容空間に収容される機器に接続されるインフラ線を受ける受部と、前記受部の前方に設けられた緩衝部と、を有していることが好ましい。
本態様によれば、機器収容空間内に収容された機器が案内ダクトに接触した際に、機器と案内ダクトとの間に作用する衝撃を緩和させることができる。
【0014】
上記態様の作業用什器において、前記緩衝部は、前記受部から前方に向かうに従い向けて傾斜している傾斜片で形成されていることが好ましい。
本態様によれば、緩衝部を傾斜片で形成することにより、緩衝部を受部から垂直に延ばす場合に比べ、案内ダクトの上端開口部を広くすることができる。これにより、インフラ線を案内ダクトに引き回し易くなる。
【0015】
上記態様の作業用什器において、前記緩衝部には、前方に向けて開口する案内凹部が形成されていることが好ましい。
本態様によれば、案内凹部内にインフラ線を通過させることで、インフラ線を緩衝部に対して上下方向に案内することができる。この場合、案内凹部を通過するインフラ線は、緩衝部の前端縁よりも後方に配置されるので、機器と緩衝部の前端縁との間にインフラ線が挟まること等を抑制できる。
【発明の効果】
【0016】
上記各態様によれば、床面に設置する機器類を作業台の付近に接近させることができる作業用什器を提供することを目的とする。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】実施形態に係る作業用什器を斜め前から見た斜視図である。
図2】実施形態に係る作業用什器を斜め後方から見た斜視図である。
図3】実施形態に係る作業用什器を斜め前上方から見た拡大斜視図である。
図4図1のIV-IV線に沿う断面図である。
図5図1のV-V線に沿う断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
次に、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。実施形態において、同一、類似の構成については同じ符号を付して重複する説明を省略する場合がある。なお、以下の説明において、作業用什器1が設置された床面Fの法線方向を上下方向(矢印UPが上方)とし、上下方向に直交する方向をそれぞれ前後方向(矢印FRが前方)及び左右方向(矢印LHが左側)とする。また、以下の説明において、例えば「直交」、「中心」等の相対的又は絶対的な配置を示す表現は、厳密にそのような配置を表すのみならず、公差や同じ機能が得られる程度の角度や距離をもって相対的に変位している状態も表すものとする。
【0019】
[作業用什器1]
図1は、作業用什器1を斜め前方から見た斜視図である。図2は、作業用什器1を斜め後方から見た斜視図である。
図1図2に示すように、作業用什器1は、実験や研究を行う施設(例えば、学校やオフィス、各種研究機関等)に設置される。作業用什器1は、例えば施設の同一空間に複数台設置されることで、隣り合う作業用什器1同士の間に形成される通路を使用者が行き交い、各作業用什器1を使用できる什器システムを構成する。但し、作業用什器1は、1台で使用してもよい。
【0020】
作業用什器1は、支持構造体10と、天板付什器11と、区画什器12と、上段棚板13と、下段棚板14と、を備えている。作業用什器1は、天板付什器11や区画什器12等の機能構成要素を、使用者の要望に応じて支持構造体10の前後両側に着脱可能に取り付けることで、使用態様を変更可能に構成されている。
【0021】
<支持構造体10>
支持構造体10は、前後方向を厚さ方向とする枠状部材である。具体的に、支持構造体10は、複数の支柱(第1支柱20及び第2支柱21)と、ダクト部材22,23と、横架材24,25と、スペーサ26と、を備えている。
支柱20,21は、床面F上において左右方向に離間した位置から上方に立設された角筒状に形成されている。第1支柱20は、支柱ベース30及びハブ支柱31が左右方向に組み合わされて構成されている。ハブ支柱31は、支柱ベース30を左右方向の外側からあてがうようにして、支柱ベース30に沿って上下方向に延在している。第1支柱20の内側は、インフラ線(例えば、配線L1)が挿通可能に構成されている。
【0022】
第2支柱21は、第1支柱20よりも左右方向に扁平した角筒状に形成されている。第2支柱21の内側は、インフラ線が挿通可能に構成されている。実施形態では、複数の支柱として、第1支柱20及び第2支柱21を例示するが、複数の支柱の本数は任意に選択できる。また、支持構造体10は、前後方向を厚さ方向とする板状であってもよい。
【0023】
ダクト部材22,23のうち、第1ダクト部材22は、各支柱20,21の上端部同士を架け渡している。第1ダクト部材22は、上下方向に扁平した角筒状に形成されている。第1ダクト部材22の内側は、インフラ線が挿通可能に構成されている。第1ダクト部材22内は、支柱20,21の上端部を通じて支柱20,21内に連通している。
ダクト部材22,23のうち、第2ダクト部材23は、第1ダクト部材22の下方において、支柱20,21同士の間を接続している。第2ダクト部材23は、角筒状に形成されている。第2ダクト部材23の内側は、インフラ線が挿通可能に構成されている。第2ダクト部材23内は、支柱20,21内に連通している。
【0024】
第2ダクト部材23の前壁及び後壁には、接続部50が設けられている。接続部50は、例えばコンセントプラグの受けである。接続部50は、第2ダクト部材23の前壁及び後壁において、左右方向に間隔をあけて配設されている。接続部50の受け口は、第2ダクト部材23の前壁上及び後壁上でそれぞれ開口している。なお、接続部50は、USB(Universal Serial Bus)コネクタ、LAN(Local Area Network)コネクタ等の受けであってもよい。
【0025】
横架材24,25は、第1横架材24及び第2横架材(横架材)25である。第1横架材24は、支柱20,21間に架設されている。図1に示すように、第2横架材25は、第1横架材24よりも下方において、支柱20,21間に架設されている。第2横架材25の上方には、第1支柱20内及び第2支柱21内を通じて引き出されたインフラ線が通過可能に構成されている。第2横架材25には、上下方向に貫通する貫通孔52が左右方向に間隔をあけて複数形成されている。貫通孔52の内周縁には、モール53が装着されている。モール53は、例えば樹脂材料により構成された緩衝材である。
【0026】
スペーサ26は、第2ダクト部材23及び第2横架材25との間で、支柱20,21間を架け渡している。
【0027】
上述したインフラ線として、例えば配線L1は、例えば施設の天井面から下方に引き出された後、ハブ支柱31の上端開口部を通じて支持構造体10内に進入している。配線L1は、各支柱20,21内で上下方向に引き回されたり、ダクト部材22,23内や横架材24,25上を左右方向に引き回されたりすることで、例えば上述した接続部50等、作業用什器1の各所に案内される。なお、本実施形態において、インフラ線は、施設自体に引き込まれた供給源を作業用什器1で取出可能とするためのものであればよく、電源線や情報線等の各種配線以外に、水道管やガス管等の各種配管等であってもよい。
【0028】
<天板付什器11>
図2に示すように、天板付什器11は、支持構造体10に対して後方に着脱可能に取り付けられている。天板付什器11は、支持部81と、天板82と、を備えている。
支持部81は、平面視において、後方に開口するC字状に形成されている。具体的に、支持部81は、左右一対の脚体83と、幕板84と、を備えている。
【0029】
脚体83は、左右方向を厚さ方向とするパネル状に形成されている。各脚体83は、前後方向に対向する支柱20,21にそれぞれ爪等の係止やねじ止め等によって固定されている。但し、各脚体83は、支柱20,21と左右方向でずれた位置に配置され、支持構造体10のうち支柱20,21以外の部分に固定されていてもよい。
【0030】
幕板84は、脚体83の前端部(支持構造体10側の端部)同士の間を架け渡している。
天板82は、支持部81に下方から支持されている。天板82の上面は、上述したスペーサ26の上面に滑らかに連なっている。
【0031】
<棚板13,14>
上段棚板13は、各支柱20,21のうち、第1スペーサ24と同等の高さに、前後一対で設けられている。各上段棚板13は、左右方向の両端部において、対応する各支柱20,21に爪等の係止やねじ止め等により固定されている。
【0032】
下段棚板14は、各支柱20,21のうち、第2ダクト部材23と同等の高さに、前後一対で設けられている。各下段棚板14は、左右方向の両端部において、対応する各支柱20,21に爪等の係止やねじ止め等により固定されている。
【0033】
<区画什器12>
図3は、作業用什器1を斜め前上方から見た斜視図である。図4は、図1のIV-IV線に沿う断面図である。
図1図3図4に示すように、区画什器12は、支持構造体10に対して前方に着脱可能に取り付けられている。区画什器12は、複数の区画部材(左右一対の区画部材)101と、連結部材102と、案内ダクト103と、を備えている。
【0034】
左右一対の区画部材101は、床面Fにおいて左右方向に離間した位置から上方に立設されている。各区画部材101は、左右方向を厚さ方向とするパネル状に形成されている。各区画部材101は、前後方向に対向する支柱20,21にそれぞれ爪等の係止やねじ止め等によって固定されている。区画什器12は、左右一対の区画部材101により囲まれた機器収容空間105を形成する。機器収容空間105は、下方が床面Fに臨み、前方及び上方が開口されている。すなわち、区画部材101は、機器収容空間105を左右方向で仕切っている。なお、各区画部材101は、支柱20,21と左右方向でずれた位置に配置され、支持構造体10のうち支柱20,21以外の部分に固定されていてもよい。さらに、区画部材101の個数は、左右一対の区画部材101に限らないで任意に選択できる。
【0035】
連結部材102は、各区画部材101の上端面の後端部(支持構造体10側の端部)同士の間を連結している。連結部材102は、区画什器12の強度部材として機能する。連結部材102の上面は、スペーサ26の上面及び天板82の上面に滑らかに連なっている。
【0036】
図3図4に示すように、案内ダクト103は、各区画部材101の後端部同士の間を連結部材102の下方で架け渡している。したがって、支持構造体10のうち、第2横架材25の上方空間は、案内ダクト103の上方空間を通じて機器収容空間105に連通している。
【0037】
案内ダクト103は、受部(底部)112と、緩衝部113と、脚部114と、を有する。
受部112は、第2横架材25の前方に配置されている。受部112は、上方を向く載置面112aを有する。載置面112aは、上下方向に直交する平坦面に形成されている。受部112の後端112bは、第2横架材25の前端25bに前方から近接又は当接している。この状態において、受部112の載置面112aは、第2横架材25の上面25aと同一平面となるように配置されている。
【0038】
緩衝部113は、受部112の前辺に設けられた傾斜片である。具体的に、緩衝部113は、受部112から前方(機器収容空間105側)に向かうに従い上方へ上り勾配で傾斜するように張り出している。本実施形態において、緩衝部113の床面に対する傾斜角度は、45°程度に設定されている。緩衝部113は、受部112との境界部分を支点に回動するように弾性変形可能に構成されていることが好ましい。
【0039】
緩衝部113の前端縁は、連結部材102の前面よりも前方に位置している。緩衝部113には、前方に開口する案内凹部120が形成されている。案内凹部120は、緩衝部113において、左右方向に間隔をあけて複数形成されている。案内凹部120は、インフラ線が通過可能に構成されている。すなわち、案内凹部120は、インフラ線を緩衝部113に対して上下方向に通過させるガイドとしての機能を有する。また、緩衝部113の外周縁、及び案内凹部120の内周縁には、モール125が装着されている。モール125は、例えば樹脂材料により構成された緩衝材である。
【0040】
図4に示すように、脚部114は、受部112の後端部から下方に延在している。脚部114は、受部112の下方において、支持構造体10との間を前後方向に仕切っている。
【0041】
機器収容空間105には、機器107が収容されている。図示の例において、機器107は、冷蔵庫や保温庫等、箱型の電子機器である。機器107は、床面Fに設置された状態で、区画部材101の上端部より上方に高く、区画部材101の前端部より前方に大きい。但し、機器107の大きさや個数、種類は、機器収容空間105内に収容可能なものであれば、適宜変更が可能である。
【0042】
図5は、図1のV-V線に沿う断面図である。
図4図5に示すように、機器107は、機器収容空間105内において、緩衝部113の前端縁に近接した状態で配置されている。機器107から引き出された配線(インフラ線)115は、機器107の後面に沿って下方に配され、緩衝部113の上面に沿って受部112まで案内されている。受部112に案内された配線115は、受部112上を左右方向又は前後方向に案内された後、第2横架材25上に載置された電源タップ117に接続されている。電源タップ117から引き出された配線(インフラ線)117aは、第2横架材25に形成された貫通孔52を通じて床面Fに引き回され、床面F上に設置された電源に接続されている。なお、電源タップ117から引き出された配線117aは、支柱20,21を通じて天井まで引き回されていてもよい。また、案内ダクト103上には、上述した配線115,117aの他、天井から引き出されるインフラ線等が左右方向に案内されていてもよい。
【0043】
以上説明したように、実施形態の作業用什器1によれば、支持構造体10に左右一対の区画部材101を連結して、各区画部材101に囲まれた機器収容空間105を形成した。そして、機器収容空間105に機器107を収容することで、作業用什器1に機器107を近接して配置することができる。
しかも、機器収容空間105が、前方及び上方に開口しているため、区画部材101よりも高く、区画部材101より前後方向に大きな大型の機器107を収容することができる。
【0044】
ここで、本実施形態では、機器収容空間105に案内ダクト103を設けた。よって、例えば、機器収容空間105に収容した機器107の配線115を案内ダクト103によって案内することができる。これにより、機器収容空間105で配線115が猥雑になるのを抑制できる。
その結果、配線115との干渉を抑えた上で、機器107を作業用什器1に接近させることができ、使い勝手に優れた作業用什器1を提供できる。
【0045】
また、支柱20,21間にダクト部材22,23や横架材24,25が架設されている。これにより、支柱20,21や横架材24,25、ダクト部材22,23を、インフラ線(例えば、配線115等)の経路として使用できるので、インフラ線の引き回しが容易になる。この場合、横架材24,25等は、例えば作業台として使用する天板82に置かれた機器(例えば、実験に使用するパーソナルコンピュータ等)からの配線を案内する経路とし、案内ダクト103は機器収容空間105に収容した機器107の配線115を案内する経路とする等、各種インフラ線の配策経路を分けることができる。
【0046】
また、案内ダクト103(受部112の上面)と、第2横架材25の上面と、が同一平面上に位置する構成とした。
よって、案内ダクト103と第2横架材25との間でインフラ線の引き回しが容易になる。
【0047】
また、案内ダクト103が区画部材101同士を連結することにより、区画部材101を案内ダクト103で支えることができる。これにより、区画什器12の強度を向上させることができる。また、機器収容空間105内において左右方向の全域に亘ってインフラ線を引き回しやすくなる。
【0048】
また、区画什器12が、案内ダクト103の上方において区画部材101同士を連結する連結部材102を備える構成とした。これにより、区画什器12の強度を向上させることができる。
【0049】
また、案内ダクト103の前端部が、連結部材102よりも前方に位置している構成とした。これにより、機器収容空間105内の機器107が後方に移動した場合、連結部材102よりも先に案内ダクト103に接触し易い。すなわち、案内ダクト103によって、機器107の後方移動を規制することができ、機器収容空間105内において機器107を所望の位置に配置し易い。
【0050】
また、案内ダクト103が、受部112の前方に設けられた緩衝部113を備えている。これにより、機器収容空間105内に収容された機器107が案内ダクト103に接触した際に、機器107と案内ダクト103との間に作用する衝撃を緩和させることができる。
【0051】
加えて、緩衝部113を傾斜片で形成することにより、緩衝部113を受部112から垂直に延ばす場合に比べ、案内ダクト103の上端開口部を広くすることができる。これにより、機器107の配線115を案内ダクト103に引き回し易くなる。
また、仮に機器収容空間105内に収容された機器107が案内ダクト103に接触した際には、緩衝部113が受部112との境界部分を支点に弾性変形する。これにより、機器107と案内ダクト103との間に作用する衝撃を緩和させることができる。
【0052】
さらに、緩衝部113には、前方に開口する案内凹部120が形成された構成とした。これにより、案内凹部120内にインフラ線等を通過させることで、インフラ線を緩衝部113に対して上下方向に案内することができる。この場合、案内凹部120を通過するインフラ線は、緩衝部113の前端縁よりも後方に配置されるので、機器107と緩衝部113の前端縁との間にインフラ線が挟まること等を抑制できる。
【0053】
以上、図面を参照して、本発明の実施形態を詳述してきたが、具体的な構成は、この実施形態に限らない。本発明の要旨を逸脱しない範囲において、構成の付加、省略、置換、およびその他の変更が可能である。
例えば、上述した実施形態では、支持構造体10の前側に区画什器12が配置された構成について説明したが、支持構造体10の前後両側に区画什器12が配置されていてもよい。
上述した実施形態では、案内ダクト103が区画部材101同士の間を架け渡す構成について説明したが、この構成に限られない。案内ダクト103は、機器収容空間105内でインフラ線を左右方向に案内する構成であれば、区画部材101に連結されていなくてもよい。
【0054】
上述した実施形態では、案内ダクト103と第2横架材25とが同一平面上に配置された構成について説明したが、この構成に限られない。
上述した実施形態では、案内ダクト103の上方に連結部材102が設けられた構成について説明したが、連結部材102を有さない構成であってもよい。
上述した実施形態では、緩衝部113として径斜片を例に説明したが、この構成に限られない。緩衝部113は、ゴム材料等を用いてもよい。この場合、緩衝部113は、受部112から垂直に延在する等の構成を採用してもよい。
【符号の説明】
【0055】
1…作業用什器
7…機器
10…支持構造体
20,21…第1、第2支柱(支柱)
25…第2横架材(横架材)
101…区画部材
102…連結部材
103…案内ダクト
105…機器収容空間
112…受部
113…緩衝部(傾斜片)
115…配線(インフラ線)
117a…配線(インフラ線)
120…案内凹部
F…床面
図1
図2
図3
図4
図5