(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-27
(45)【発行日】2024-10-07
(54)【発明の名称】読取装置
(51)【国際特許分類】
G03G 21/00 20060101AFI20240930BHJP
G03G 21/14 20060101ALI20240930BHJP
B65H 7/14 20060101ALI20240930BHJP
B65H 5/06 20060101ALI20240930BHJP
H04N 1/00 20060101ALI20240930BHJP
【FI】
G03G21/00 370
G03G21/14
G03G21/00 384
B65H7/14
B65H5/06 D
H04N1/00 567M
(21)【出願番号】P 2020085872
(22)【出願日】2020-05-15
【審査請求日】2023-04-28
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099324
【氏名又は名称】鈴木 正剛
(72)【発明者】
【氏名】横谷 貴司
(72)【発明者】
【氏名】福原 力
(72)【発明者】
【氏名】及川 敏史
(72)【発明者】
【氏名】安藤 裕
(72)【発明者】
【氏名】西方 彰信
(72)【発明者】
【氏名】湯本 貢司
(72)【発明者】
【氏名】小田 裕一朗
【審査官】藤井 達也
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-189509(JP,A)
【文献】特開2014-137459(JP,A)
【文献】特開2007-232941(JP,A)
【文献】特開2010-153982(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 13/34
G03G 13/02
G03G 13/14-13/16
G03G 15/00
G03G 15/02
G03G 15/14-15/16
G03G 15/36
G03G 21/00
G03G 21/02
G03G 21/14
G03G 21/20
B41J 29/00-29/70
H04N 1/00
B65H 5/02
B65H 5/06
B65H 5/22
B65H 7/00- 7/20
B65H 29/12-29/24
B65H 29/32
B65H 43/00-43/08
B65H 5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
読取位置に配置される透明部材を介して、前記読取位置を搬送される画像が形成されたシートを読み取る読取センサと、
前記シートが搬送される搬送路を挟んで、前記透明部材に対向して設けられる対向部材と、
駆動中心点からの半径が一定ではない形状であって、前記対向部材を移動させる偏心カムと、
シートの坪量に応じて、前記偏心カムが停止する位置を制御する制御手段と、を備え、
前記制御手段は、前記偏心カムが停止している第1位置と、前記読取センサにより読み取るシートの坪量に応じて前記偏心カムが停止する第2位置と、を取得し、前記偏心カムの回転角度が小さくなるように前記偏心カムを回転させる回転方向を判断し、前記偏心カムを前記第1位置から前記第2位置へ前記回転方向に回転させ
、
前記制御手段は、前記第1位置と前記第2位置とが180度対向した位置である場合に、回転の際の前記偏心カムの外周距離が短くなるように前記偏心カムの前記回転方向を決定することを特徴とする、
読取装置。
【請求項2】
前記偏心カムは、外周の複数の位置のいずれかで当接するロッドを、回転により移動させることで前記対向部材を移動させ、
前記制御手段は、前記偏心カムが前記第1位置から前記第2位置へ回転する際に経由する前記偏心カムが前記ロッドに当接できる位置の数に基づいて、前記偏心カムの前記回転方向を決定することを特徴とする、
請求項1記載の読取装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記偏心カムが前記第1位置から前記第2位置へ回転する際に経由する前記偏心カムが前記ロッドに当接できる位置の数が少ない方向に、前記偏心カムの前記回転方向を決定することを特徴とする、
請求項2記載の読取装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記シートの坪量が小さいほど前記偏心カムに前記対向部材を前記読取センサに近接させ、前記シートの坪量が大きいほど前記偏心カムに前記対向部材を前記読取センサから遠ざけさせるように、前記第2位置を決定することを特徴とする、
請求項1~
3のいずれか1項記載の読取装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記シートの厚みが薄いほど前記偏心カムに前記対向部材を前記読取センサに近接させ、前記シートの厚みが厚いほど前記偏心カムに前記対向部材を前記読取センサから遠ざけさせるように、前記第2位置を決定することを特徴とする、
請求項1~
4のいずれか1項記載の読取装置。
【請求項6】
シートに画像を形成する画像形成部をさらに備えており、
前記制御手段は、前記画像形成部により前記シートに調整用画像が形成される場合に前記坪量に基づいて前記第2位置を決定し、前記シートに前記調整用画像が形成されない場合に前記対向部材が前記読取センサから最も離れた位置に配置されるように前記第2位置を決定することを特徴とする、
請求項1~
5のいずれか1項記載の読取装置。
【請求項7】
前記偏心カムを回転駆動するモータをさらに備えており、
前記ロッドは、一端が前記偏心カムに当接し、他端が前記対向部材に接続されることを特徴とする、
請求項2記載の読取装置。
【請求項8】
前記モータは二方向に回転することができ、
前記制御手段は、前記回転方向に応じた方向に前記モータを回転させることで、前記偏心カムを前記回転方向に回転させることを特徴とする、
請求項
7記載の読取装置。
【請求項9】
前記シートの搬送方向で前記対向部材の下流側に前記シートの通過を検知するセンサが設けられており、
前記制御手段は、前記センサにより前記シートの通過を検知すると、次のシートに対応した前記第2位置の決定を行うことを特徴とする、
請求項1~
8のいずれか1項記載の読取装置。
【請求項10】
前記読取センサによる前記調整用画像の読取結果に基づいて、前記画像形成部による画像形成条件を調整する調整手段をさらに備える、
請求項
6記載の読取装置。
【請求項11】
読取位置に配置される透明部材を介して、前記読取位置を搬送される画像が形成されたシートを読み取る読取センサと、
前記シートが搬送される搬送路を挟んで、前記透明部材に対向して設けられる対向部材と、
駆動中心点からの半径が一定ではない形状であって、前記対向部材を移動させる偏心カムと、
シートの坪量に応じて、前記偏心カムが停止する位置を制御する制御手段と、を備え、
前記制御手段は、第1シートを前記読取センサにより読み取るときに前記偏心カムが停止する位置が第1位置であり、前記第1シートに続く前記第1シートとは坪量が異なる第2シートを前記読取センサにより読み取るときに前記偏心カムが前記第1位置から移動して停止する位置が第2位置である場合に、前記偏心カムを第1回転方向に回転させると判断し、
前記偏心カムが前記第1位置から前記第2位置まで前記第1回転方向に回転する第1回転角度は、前記偏心カムが前記第1位置から前記第2位置まで前記第1回転方向とは逆の第2回転方向に回転する第2回転角度よりも小さ
く、
前記制御手段は、前記第1位置と前記第2位置とが180度対向した位置である場合に、回転の際の前記偏心カムの外周距離が短くなるように前記偏心カムの回転方向を決定することを特徴とする、
読取装置。
【請求項12】
前記制御手段は、前記シートの坪量が小さいほど前記偏心カムに前記対向部材を前記読取センサに近接させ、前記シートの坪量が大きいほど前記偏心カムに前記対向部材を前記読取センサから遠ざけさせるように、前記第2位置を決定することを特徴とする、
請求項
11項記載の読取装置。
【請求項13】
前記制御手段は、前記シートの厚みが薄いほど前記偏心カムに前記対向部材を前記読取センサに近接させ、前記シートの厚みが厚いほど前記偏心カムに前記対向部材を前記読取センサから遠ざけさせるように、前記第2位置を決定することを特徴とする、
請求項
11記載の読取装置。
【請求項14】
シートに画像を形成する画像形成部をさらに備えており、
前記制御手段は、前記画像形成部により前記シートに調整用画像が形成される場合に前記坪量に基づいて前記第2位置を決定し、前記シートに前記調整用画像が形成されない場合に前記対向部材が前記読取センサから最も離れた位置に配置されるように前記第2位置を決定することを特徴とする、
請求項
11記載の読取装置。
【請求項15】
前記偏心カムの外周の複数の位置のいずれかに当接するロッドと、
前記偏心カムを回転駆動するモータと、をさらに備えており、
前記ロッドは、一端が前記偏心カムに当接し、他端が前記対向部材に接続されることを特徴とする、
請求項
11記載の読取装置。
【請求項16】
前記読取センサによる前記調整用画像の読取結果に基づいて、前記画像形成部による画像形成条件を調整する調整手段をさらに備える、
請求項
14記載の読取装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンタ、複写機、ファクシミリ、複合機等の画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
商用の印刷機で生成される印刷物は、表裏面の印字位置精度の安定化が求められる。特許文献1には、印字位置精度の安定化を図った画像形成装置が開示される。この画像形成装置は、印字位置精度の安定化のために、シートに印字位置(画像形成位置)の目印となる調整用画像を印字して調整用チャートを作成する。調整用チャートは、シートの搬送経路に設けられた画像読取センサにより、調整用画像が読み取られる。画像形成装置は、調整用画像の読取結果を画像形成条件にフィードバックして、印字位置を調整する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
画像読取センサとシートとの距離は、シートの坪量、すなわちシートの厚みにより変化する。画像読取センサとシートとの距離の変化は、画像読取センサによる読取精度のばらつきとなり、画像形成条件の調整に影響する可能性がある。画像読取センサに対向する位置にシートを搬送する搬送ローラ(以下、「対向ローラ」という。)を設け、対向ローラを画像読取センサ側に移動可能とすることで、画像読取センサとシートとの距離の変化に対応することができる。対向ローラは、搬送されるシートの面に対して垂直方向に移動可能である。
【0005】
例えば、対向ローラはモータの回転によりシートの面に対して垂直方向に移動する。この場合、対向ローラは、モータが一方向、例えば反時計回り(CCW:Counter ClockWise)に回転することで画像読取センサ側に近づく方向に移動する。また、対向ローラは、モータが他方向、例えば時計回り(CW:ClockWise)に回転することで画像読取センサ側から遠ざかる方向に移動する。このような構成では、シートの坪量の相違によらず、画像読取センサとシートとの距離を一定に維持することができる。そのためにシートの坪量の相違による読取精度のばらつきが抑制される。しかし、このような構成には、以下のような課題が存在する。
【0006】
例えば、同一のジョブで複数の坪量のシートに対して印刷処理を行う場合、対向ローラは、現在搬送しているシートの搬送が終了すると、次のシートのための移動動作を開始する必要がある。例えば対向ローラを画像読取センサに最も近接する位置から最も遠隔する位置まで移動させる必要がある場合、移動時間が長くなる。そのために、プロセススピードによっては、次のシートが対向ローラの位置に到達するまでに対向ローラの移動動作が完了しない可能性がある。その場合、対向ローラの移動動作が完了するまで次のシートが対向ローラの位置に搬送されないように、シート間隔を空ける必要がある。結果として画像形成装置の生産性が低下する。
【0007】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、同一のジョブで複数の坪量のシートに対して印刷処理を行う場合であっても、対向ローラの移動時間をできるだけ短くして生産性の低下を抑制する画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の読取装置は、読取位置に配置される透明部材を介して、前記読取位置を搬送される画像が形成されたシートを読み取る読取センサと、前記シートが搬送される搬送路を挟んで、前記透明部材に対向して設けられる対向部材と、駆動中心点からの半径が一定ではない形状であって、前記対向部材を移動させる偏心カムと、シートの坪量に応じて、前記偏心カムが停止する位置を制御する制御手段と、を備え、前記制御手段は、前記偏心カムが停止している第1位置と、前記読取センサにより読み取るシートの坪量に応じて前記偏心カムが停止する第2位置と、を取得し、前記偏心カムの回転角度が小さくなるように前記偏心カムを回転させる回転方向を判断し、前記偏心カムを前記第1位置から前記第2位置へ前記回転方向に回転させ、前記制御手段は、前記第1位置と前記第2位置とが180度対向した位置である場合に、回転の際の前記偏心カムの外周距離が短くなるように前記偏心カムの前記回転方向を決定することを特徴とする。
本発明の他の態様の読取装置は、読取位置に配置される透明部材を介して、前記読取位置を搬送される画像が形成されたシートを読み取る読取センサと、前記シートが搬送される搬送路を挟んで、前記透明部材に対向して設けられる対向部材と、駆動中心点からの半径が一定ではない形状であって、前記対向部材を移動させる偏心カムと、シートの坪量に応じて、前記偏心カムが停止する位置を制御する制御手段と、を備え、前記制御手段は、第1シートを前記読取センサにより読み取るときに前記偏心カムが停止する位置が第1位置であり、前記第1シートに続く前記第1シートとは坪量が異なる第2シートを前記読取センサにより読み取るときに前記偏心カムが前記第1位置から移動して停止する位置が第2位置である場合に、前記偏心カムを第1回転方向に回転させると判断し、前記偏心カムが前記第1位置から前記第2位置まで前記第1回転方向に回転する第1回転角度は、前記偏心カムが前記第1位置から前記第2位置まで前記第1回転方向とは逆の第2回転方向に回転する第2回転角度よりも小さく、前記制御手段は、前記第1位置と前記第2位置とが180度対向した位置である場合に、回転の際の前記偏心カムの外周距離が短くなるように前記偏心カムの回転方向を決定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、同一のジョブで複数の坪量のシートに対して印刷処理を行う場合であっても、対向ローラの移動時間をできるだけ短くして生産性の低下を抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図8】(a)~(d)は、シートの坪量区分を設定する設定画面の例示図。
【
図9】(a)~(d)は、調整用チャートを作成する間隔を設定する設定画面の例示図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して実施の形態を詳細に説明する。
【0012】
(画像形成システム)
図1は、本実施形態の画像形成装置を含む画像処理システムの構成図である。画像処理システムは、画像形成装置101と外部コントローラ102とを備える。画像形成装置101は、例えば複合機、マルチファンクションペリフェラル(MFP)等である。外部コントローラ102は、例えば画像処理コントローラ、デジタルフロントエンド(DFE)、プリントサーバ等である。
【0013】
画像形成装置101と外部コントローラ102とは、内部LAN(Local Area Network)105とビデオケーブル106とを介して、通信可能に接続される。外部コントローラ102は、外部LAN104を介して、クライアントPC(Personal Computer)103に接続される。外部コントローラ102は、クライアントPC103から印刷指示(印刷ジョブ)を取得する。
【0014】
クライアントPC103には、印刷データを外部コントローラ102で処理可能な印刷記述言語に変換する機能を有するプリンタドライバがインストールされている。ユーザは、各種アプリケーションからプリンタドライバを介して印刷を指示することができる。プリンタドライバはユーザからの印刷指示に基づいて外部コントローラ102に対して印刷データを送信する。外部コントローラ102は、クライアントPC103から印刷データを含む印刷指示を受け付けて、データ解析やラスタライズ処理を行い、画像形成装置101に対して印刷データに基づく印刷(画像形成)を指示する。
【0015】
画像形成装置101は、印刷装置107を含む複数の異なる機能を有する装置が接続されて構成され、製本等の複雑な印刷処理が可能である。本実施形態の画像形成装置101は、印刷装置107とフィニッシャ109とを備える。印刷装置107は、本体の下部に設けられる給紙部から給送されるシートに対して現像剤(例えばトナー)を用いて画像を形成する。印刷装置107は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の画像を形成する。シートには、各色の画像が重畳されたフルカラーの画像が形成される。画像が形成されたシートは、印刷装置107からフィニッシャ109へ搬送される。フィニッシャ109は、画像が形成されたシートを積載する。
【0016】
この画像処理システムは、画像形成装置101に外部コントローラ102が接続された構成であるが、外部コントローラ102は必ずしも必要ではない。例えば、画像形成装置101が外部LAN104を介してクライアントPC103から直接印刷データを含む印刷指示を取得する構成であってもよい。この場合、画像形成装置101は、外部コントローラ102で行われているデータ解析やラスタライズ処理を行うことになる。つまり画像形成装置101と外部コントローラ102とが一体に構成されてもよい。
【0017】
(システム構成)
図2は、画像処理システムの動作を制御するシステム構成図である。ここでは、画像形成装置101、外部コントローラ102、及びクライアントPC103のそれぞれについて、動作を制御するコントローラについて説明する。
【0018】
・印刷装置
印刷装置107は、他の装置と通信するために、通信インタフェース(I/F)217、LAN I/F218、及びビデオI/F220を備える。印刷装置107は、印刷装置107の動作を制御するためにCPU(Central Processing Unit)222、メモリ223、ストレージ221、画像読取部231、露光部227、作像部228、定着部229、及び給紙部230を備える。印刷装置107は、ユーザインタフェースとして操作部224及びディスプレイ225を備える。これらの構成部品は、システムバス232を介して相互に通信可能に接続される。
【0019】
通信I/F217は、通信ケーブル249を介してフィニッシャ109に接続され、フィニッシャ109との間の通信を制御する。印刷装置107とフィニッシャ109とにより協働で動作する場合には、通信I/F217を介して情報やデータが送受信される。LAN I/F218は、内部LAN105を介して外部コントローラ102に接続され、外部コントローラ102との間の通信を制御する。印刷装置107は、LAN I/F218を介して外部コントローラ102から印刷時の設定等を表す印刷データ等を受信する。ビデオI/F220は、ビデオケーブル106を介して外部コントローラ102に接続され、外部コントローラ102との間の通信を制御する。印刷装置107は、ビデオI/F220を介して外部コントローラ102から形成する画像を表す画像データ等を受信する。
【0020】
CPU222は、ストレージ221に格納されるコンピュータプログラムを実行することで、画像処理や印刷の制御を包括的に行う。メモリ223は、CPU222が各種処理を実行する際のワークエリアを提供する。画像形成処理を行う場合、CPU222は、露光部227、作像部228、定着部229、及び給紙部230を制御する。
【0021】
露光部227は、感光体の表面を一様に帯電し、帯電した感光体の表面に、画像データに基づいてレーザ光を照射する。露光部227は、感光体の表面を均一な負電位に帯電させる。露光部227は、レーザドライバによってレーザ光を出力し、回転多面鏡によりレーザ光の反射角度を調節しながら、一様に帯電された感光体の表面をレーザ光により走査する。感光体は、レーザ光が照射された位置の電位が変動し、表面に静電潜像が形成される。感光体は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の4色に対応して4つ設けられる。4つの感光体にそれぞれ異なる色の静電潜像が形成される。
【0022】
作像部228は、感光体に形成したトナー像をシートに転写する。作像部228は、現像器、転写ユニット、トナー補給部等を備える。現像器は、現像シリンダから負極性に帯電したトナーを感光体の表面に形成されている静電潜像に付着させてトナー像を形成する。現像器は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の4色に対応して4つ設けられる。現像器は、対応する色のトナーにより感光体の静電潜像を可視像化する。
【0023】
転写ユニットは、中間転写ベルトを有しており、感光体から中間転写ベルトにトナー像を転写する。中間転写ベルトを挟んで感光体に対向する位置には一次転写ローラが設けられる。一次転写ローラに正電位が印加されることで、4つの感光体のそれぞれからトナー像が中間転写ベルトに重畳して転写される。これにより中間転写ベルトにフルカラーのトナー像が形成される。中間転写ベルトに形成されたトナー像は、二次転写ローラによりシートに転写される。二次転写ローラは、正電位が印加されることで、中間転写ベルトからシートにフルカラーのトナー像を転写する。
【0024】
定着部229は、シートに、転写されたトナー像を定着する。定着部229は、シート上のトナー像を加熱及び加圧することでシートにトナー像を溶融固着させる。これによりシートに画像が形成される。給紙部230は、搬送経路に搬送ローラ等のローラと各種センサを備え、シートの給送動作を制御する。
【0025】
画像読取部231は、CPU222の指示に基づいて、搬送されるシートに形成された画像を読み取る。CPU222は、例えばシートの表裏面の印字位置調整や画像濃度調整、色ずれ調整等を行う場合に、画像読取部231によりシートに形成される画像形成条件の調整用の画像を読み取る。本実施形態では、印字位置調整用の画像として、シートの両面に形成される印字位置調整用の調整用画像が読み取られる。操作部224は、ユーザからの各種設定の入力や操作の指示を受け付ける入力装置である。操作部224は、例えば各種入力キーやタッチパネル等である。ディスプレイ225は、画像形成装置101の設定情報や印刷ジョブの処理状況等を表示する出力装置である。
【0026】
・フィニッシャ
フィニッシャ109は、例えば大容量のスタッカである。フィニッシャ109は、通信I/F241、CPU242、メモリ243、及び排紙制御部244を備える。これらの構成部品は、システムバス245を介して相互に通信可能に接続される。通信I/F241は、通信ケーブル249を介して印刷装置107に接続され、印刷装置107との間の通信を制御する。フィニッシャ109と印刷装置107とにより協働で動作する場合には、通信I/F241を介して情報やデータが送受信される。CPU242は、メモリ243に格納された制御プログラムを実行し、排紙に必要な各種制御を行う。メモリ243は、制御プログラムを格納する。また、メモリ243は、CPU242が各種処理を実行する際のワークエリアを提供する。排紙制御部244は、CPU242からの指示に基づいて、搬送されたシートをスタックトレイに搬送する。
【0027】
・外部コントローラ
外部コントローラ102は、他の装置と通信するために、LAN I/F213、LAN I/F214、及びビデオI/F215を備える。外部コントローラ102は、外部コントローラ102の動作を制御するためにCPU208、メモリ209、及びストレージ210を備える。外部コントローラ102は、ユーザインタフェースとしてキーボード211及びディスプレイ212を備える。これらの構成部品は、システムバス216を介して相互に通信可能に接続される。
【0028】
LAN I/F213は、外部LAN104を介してクライアントPC103に接続され、クライアントPC103との間の通信を制御する。外部コントローラ102は、クライアントPC103からLAN I/F213により印刷指示等を取得する。LAN I/F214は、内部LAN105を介して印刷装置107に接続され、印刷装置107との間の通信を制御する。外部コントローラ102は、LAN I/F214を介して印刷装置107へ印刷時の設定等を表す印刷データ等を送信する。ビデオI/F215は、ビデオケーブル106を介して印刷装置107に接続され、印刷装置107との間の通信を制御する。外部コントローラ102は、ビデオI/F215を介して印刷装置107へ画像データ等を送信する。
【0029】
CPU208は、ストレージ210に格納されるコンピュータプログラムを実行することで、クライアントPC103から取得する印刷データの受信、RIP処理、画像形成装置101への印刷データの送信等の処理を包括的に行う。メモリ209は、CPU208が各種処理を実行する際のワークエリアを提供する。キーボード211は、ユーザからの各種設定の入力や操作の指示を受け付ける入力装置である。ディスプレイ212は、外部コントローラ102の実行アプリケーション等の情報を静止画や動画により表示する出力装置である。
【0030】
・クライアントPC
クライアントPC103は、CPU201、メモリ202、ストレージ203、キーボード204、ディスプレイ205、及びLAN I/F206を備える。これらの構成部品は、システムバス207を介して相互に通信可能に接続される。
【0031】
CPU201は、ストレージ203に格納されたコンピュータプログラムを実行することで、クライアントPC103の動作を制御する。本実施形態では、CPU201は、印刷データの作成や印刷指示の送信処理を行う。メモリ202は、CPU201が各種処理を実行する際のワークエリアを提供する。キーボード204及びディスプレイ205は、ユーザインタフェースである。キーボード204は、ユーザによる指示を受け付ける入力装置である。ディスプレイ205は、クライアントPC103の実行アプリケーション等の情報を静止画や動画により表示する出力装置である。LAN I/F206は、外部LAN104を介して外部コントローラ102に接続され、外部コントローラ102との間の通信を制御する。クライアントPC103は、外部コントローラ102へLAN I/F206により印刷指示等を送信する。
【0032】
なお、外部コントローラ102と画像形成装置101とは、内部LAN105とビデオケーブル106とにより接続されているが、印刷に必要なデータの送受信が行える構成であればよく、例えば、ビデオケーブルのみで接続されていてもよい。メモリ202、メモリ209、メモリ223、及びメモリ243はそれぞれ、データやプログラムを保持するための記憶装置であればよい。これらのメモリには、例えば、揮発性のRAM(Random Access Memory)、不揮発性のROM(Read Only Memory)、ストレージ、USB(Universal Serial Bus)メモリ等を用いることができる。
【0033】
(画像形成装置の構成)
図3は、画像形成装置101の構成図である。印刷装置107の上部には、ディスプレイ225が設けられる。ディスプレイ225は、画像形成装置101の印刷状況や設定のための情報を表示する。印刷装置107で画像が形成されたシートは、後段に設けられるフィニッシャ109へ搬送される。
【0034】
印刷装置107は、給紙部230として、複数の給紙デッキ301、302、及び搬送経路303を備える。各給紙デッキ301、302には、異なる種類のシートを収容することが可能である。各給紙デッキ301、302に収容されるシートは、最上位の一枚が分離して搬送経路303へ給送される。印刷装置107は、露光部227として、画像を形成するための画像形成部304、305、306、307を備える。印刷装置107は、カラー画像を形成する。そのために、画像形成部304は、ブラック(K)の画像(トナー像)を形成する。画像形成部305は、シアン(C)の画像(トナー像)を形成する。画像形成部306は、マゼンタ(M)の画像(トナー像)を形成する。画像形成部307は、イエロー(Y)の画像(トナー像)を形成する。
【0035】
印刷装置107は、作像部228として、各画像形成部304、305、306、307からトナー像が転写される中間転写ベルト308及び二次転写ローラ309を備える。中間転写ベルト308は、図中時計回りに回転しており、画像形成部307、画像形成部306、画像形成部305、画像形成部304の順にトナー像が重畳して転写される。これにより中間転写ベルト308にフルカラーのトナー像が形成される。中間転写ベルト308は、回転することでトナー像を二次転写ローラ309へ搬送する。トナー像が二次転写ローラ309に搬送されるタイミングに合わせて、シートが二次転写ローラ309へ搬送される。二次転写ローラ309は、搬送されてきたシートに中間転写ベルト308上のトナー像を転写する。
【0036】
印刷装置107は、定着部229として、第1定着器311及び第2定着器318を備える。第1定着器311と第2定着器318とは同じ構成であり、トナー像をシートに定着させる。そのために第1定着器311及び第2定着器318は、それぞれ、加圧ローラと加熱ローラとを備える。シートは、加圧ローラと加熱ローラとの間を通過することで、加熱及び加圧され、トナー像がシートに溶融、圧着される。第2定着器318を通過したシートは、搬送経路314へ搬送される。なお、第2定着器318は、第1定着器311よりもシートの搬送方向で下流側に配置され、第1定着器311により定着処理されたシート上の画像に対するグロスの付加や、定着性の確保に用いられる。そのために第2定着器318は、シートの種類や画像形成処理の内容によっては使用されないことがある。第1定着器311で定着処理されたシートを第2定着器318を介さずに搬送するために、搬送経路312が設けられる。
【0037】
搬送経路314と搬送経路312とが合流した後に、搬送経路315と反転経路316とが設けられる。両面印刷が指示される場合、シートは、反転経路316へ搬送される。反転経路316に搬送されたシートは、反転経路316で搬送方向が反転して両面搬送経路317へ搬送される。反転経路316及び両面搬送経路317により、シートは、画像が形成された面(第1面)が反転される。シートは両面搬送経路317により搬送経路303へ搬送され、二次転写ローラ309及び定着部229を通過することで、第2面へ画像が形成される。
【0038】
片面印刷の場合、或いは両面印刷で両面に画像が形成された場合、シートは、搬送経路315へ搬送される。シートの搬送方向で搬送経路315の下流側には搬送経路323が配置される。
【0039】
搬送経路323には、画像読取部231として、CIS(Contact Image Sensor)321、322が、搬送経路323を挟んで対向して配置される。
図4は、CIS321、322の説明図である。CIS321は、搬送経路323を搬送されるシートの上面(第2面)の画像を読み取る光学センサである。CIS322は、搬送経路323を搬送されるシートの下面(第1面)の画像を読み取る光学センサである。
【0040】
CIS321は、光源となるLED(Light Emitting Diode)350、受光部となる読取センサ351、及び白基準板352を備える。LED350は、搬送経路323を搬送されるシートが読取位置に到達したタイミングで、シートの上面に光を照射する。読取センサ351は、シートによる反射光を受光する、読取センサ351は、受光した反射光の光電変換を行い、電気信号である読取結果をCPU222へ送信する。このようにしてシートに形成された画像が読み取られる。読取センサ351は、シートの搬送方向に直交する方向に複数の受光素子(光電変換素子)を備える。そのために、シートの搬送方向に直交する方向が、CIS321の主走査方向となる。白基準板352は、CIS321のキャリブレーション時に用いられる。キャリブレーション時に白基準板352は、LED350から光が照射される位置へ移動し、その反射光が読取センサ351に受光される。白基準板352に読取結果に基づいてCIS321のキャリブレーションが行われる。
【0041】
CIS322は、CIS321と同様に、LED353、読取センサ354、及び白基準板355を備える。CIS322は、CIS321と同様に動作して、搬送経路323を搬送されるシートが読取位置に到達したタイミングで、シートの下面に形成された画像を読み取る。なお、CIS321、322の他に、画像読取部231は、CCDセンサやCMOSセンサにより実現することもできる。
【0042】
搬送経路323を挟んでCIS321に対向する位置には、CIS321とシートとの距離を一定距離に維持するための対向ローラ361が設けられる。対向ローラ361は、シートの面に対して垂直方向に移動可能、つまり、CIS321の方向に移動可能である。搬送経路323を挟んでCIS322に対向する位置には、CIS322とシートとの距離を一定距離に維持するための対向部材として、対向ローラ360が設けられる。対向ローラ360は、シートの面に対して垂直方向に移動可能、つまり、CIS322の方向に移動可能である。対向ローラ360、361を移動させる構成については後述する。
【0043】
本実施形態では、シートには、両面に形成される画像の位置を調整するための調整用画像が形成される。調整用画像が形成されたシートを調整用チャートという。印刷装置107は、調整用画像をシートの両面に印刷して調整用チャートを作成し、CIS321及びCIS322により両面の調整用画像を読み取る。CIS321及びCIS322による調整用チャートの読取結果はメモリ223に格納される。CPU222は、メモリ223を参照して、CIS321及びCIS322による読取結果を画像形成条件にフィードバックして、印字位置を調整する。
【0044】
印刷装置107の機内温度が上昇すると、印刷装置107の機内温度が低いときに比較してシートに形成される画像の位置が変動する。この場合、印刷装置107は、調整用チャートを作成し、CIS321、322の読取結果に基づいて変動量を取得し、変動量に基づいて機内温度が低いときと同じ位置になるように印字位置を調整する。これにより印刷装置107は、印字位置精度の安定化を図っている。
【0045】
調整用チャートは、印刷ジョブに応じた印刷物に混入しないように除外される。そのために印刷装置107は、フラッパ324、排出経路326、搬送センサ327、及び排出トレイ328を備える。CIS321、322により画像(調整用画像)が読み取られた調整用チャートは、フラッパ324により排出経路326に搬送される。排出経路326に搬送されたシートは排出トレイ328に排出される。
【0046】
シートが調整用チャートではない場合、該シートはフラッパ324により搬送経路323から下流搬送経路325へ搬送される。下流搬送経路325に搬送されたシートは、フィニッシャ109に受け渡される。なお、印刷装置107は、フィニッシャ109から搬送ジャムの発生の通知を取得した場合に、調整用チャートであるか否かにかかわらず、フラッパ324を排出経路326側に切り替えて、機内のすべてのシート(残留紙)を排出トレイ328へ排出する。残留紙が排出トレイ328に排出されることで、ユーザによるジャム処理の負荷が軽減される。
【0047】
フィニッシャ109は、印刷装置107から受け渡された多数のシートを積載することができる。フィニッシャ109は、搬送経路331及びシートを積載するスタックトレイ332を備える。搬送経路331には、搬送センサ333、334、335、336が設けられる。印刷装置107から搬送されたシートは、搬送経路331を経由して、スタックトレイ332に積載される。搬送センサ333、334、335、336は、搬送経路331を搬送されるシートの通過を検知する。CPU242は、シートの搬送を開始してから所定時間経過してもシートの搬送方向の先端あるいは後端が搬送センサ333、334、335、336に検知されない場合、フィニッシャ109内で搬送ジャム(搬送異常)が発生したと判断する。この場合、CPU242は、印刷装置107へ搬送ジャムが発生したことを通知する。フィニッシャ109は、シートの搬送方向でCIS321、322よりも下流側でシートの搬送異常を検出することになる。
【0048】
図5は、印刷装置107が画像を形成するシートの情報(シート情報)のフォーマットの説明図である。シート情報は、メモリ223にキューとして保存される。そのためにシート情報は、各シートの前後関係を明確にする。シート情報は、シートIDにより識別される。シート情報には、シートのサイズ、坪量、調整チャート情報等が含まれる。シートのサイズは、シートの搬送方向に直交する方向(主走査方向)の長さ(紙幅)、及びシートの搬送方向(副走査方向)の長さ(紙長)である。調整チャート情報は、該シートが調整用チャートであるか否かを表す。CPU222は、シート情報に基づいてシートの搬送制御等を行う。
【0049】
(対向ローラの移動機構)
図6は、対向ローラ360の移動機構の説明図である。なお、対向ローラ361も同様の移動機構を備えている。CIS322は、シートから画像を正確に読み取るために、シートとの距離を一定に維持する必要がある。対向ローラ361は、CIS322とシートとの距離を一定に維持するために設けられる。
【0050】
シートは坪量の違いにより厚みが変化する。シートが薄い場合、対向ローラ361は、CIS322に近接する方向に移動するように制御される。シートが厚い場合、対向ローラ361は、CIS322から遠ざかる方向に移動するように制御される。対向ローラ361がこのように移動制御されることで、CIS322とシートとの距離が一定に維持される。
【0051】
対向ローラ360を移動させる移動機構は、原節であるカム363、従節であるロッド364、及びモータ365を備える。カム363は、カム駆動中心点からの半径が一定ではない形状となっている。カム363は、外周の複数の位置(1)~(8)のいずれかでロッド364に当接する。ロッド364は、一端がカム363の外周に当接し、他端が対向ローラ360に接続される。カム363は、モータ365により回転駆動される。モータ365の駆動によりカム363が回転することで、ロッド364が対向ローラ360の方向に上下動する。ロッド364の上下動により、対向ローラ360は、CIS322の方向に移動する。
【0052】
カム363の駆動停止位置によって、対向ローラ360は8パターンの停止位置を取り得る構成となっている。
図7は、シートの種類毎のカム363の駆動停止位置を示す目標位置管理テーブルの説明図である。目標位置管理テーブルは、例えばメモリ223に予め保存される。カム363の駆動中心点から外周までの距離は、位置(1)~位置(8)のそれぞれで異なる。そのために、カム363がロッド364に当接する位置により、対向ローラ360とCIS322との距離が変化する。本実施形態では、対向ローラ360とCIS322との距離が、位置(1)~位置(8)のそれぞれで、1.0[mm]~2.4[mm]の間で変化する。
【0053】
カム363は、位置(1)~位置(8)のいずれかがロッド364に当接する位置で駆動停止する。対向ローラ360は、カム363の駆動停止位置(位置(1)~位置(8))に応じた距離だけ移動した位置で停止する。カム363の駆動停止位置の目標位置は、シートの種類(坪量区分)に応じて決定される。つまり対向ローラ360とCIS322との距離は、シートの種類に応じて決定される。対向ローラ360とCIS322との距離は、坪量が大きいほど、つまりシートが厚いほど大きくなる。逆に、対向ローラ360とCIS322との距離は、シートの坪量が小さいほど、つまりシートが薄いほど小さくなる。シートの坪量による対向ローラ360とCIS322との距離の差は、シートの坪量によるシートの厚さの差に相当する。そのためにシートとCIS322との距離は、所定の距離が一定に維持される。カム363の駆動停止位置の目標位置の決定の詳細については後述する。
【0054】
モータ365は、カム363を反時計回り(CCW)と時計回り(CW)との二方向に回転させることが可能である。これは、モータ365が二方向(CW、CCW)に回転する構成で実現されてもよく、またモータ365からカム363へ駆動力を伝達する機構に回転方向を変更する機構(例えばクラッチ)を含む構成で実現されてもよい。
【0055】
シートの搬送方向で対向ローラ360の下流側の搬送経路323には、対向ローラ通過検知センサ370が設けられる。対向ローラ通過検知センサ370は、シートの後端が対向ローラ360の位置(CIS322の読取位置)を通過したことを検知するために設けられる。対向ローラ通過検知センサ370がシートの後端を検知したことをトリガとして、次のシートのための対向ローラ360の移動制御が行われる。
【0056】
(シートの坪量区分の設定)
図8は、シートの坪量区分を設定する設定画面の例示図である。設定画面は、CPU222によりディスプレイ225に表示される。坪量区分は、ユーザにより操作部224を用いて設定される。
【0057】
図8(a)は、初期画面である。ユーザが初期画面からソフトキーである「給紙デッキ選択」を選択すると、CPU222は、ディスプレイ225に
図8(b)の給紙デッキの選択画面を表示する。ユーザは給紙デッキの選択画面から給紙デッキを選択する。
図8(b)の例では「給紙デッキ2」が選択されている。ユーザが給紙デッキの選択後にソフトキーである「シートサイズ選択」を押下することで、CPU222は、ディスプレイ225に
図8(c)の調整選択画面を表示する。
【0058】
ユーザは、調整選択画面から、
図8(b)の画面で選択した給紙デッキに収容されているシートのシートサイズを選択する。
図8(c)の例では「A3」サイズが選択されている。ユーザがシートサイズの選択後にソフトキーである「坪量の選択」を押下することで、CPU222は、ディスプレイ225に
図8(d)の坪量の選択画面を表示する。ユーザは、坪量の選択画面から、
図8(b)の画面で選択した給紙デッキに収容されているシートの坪量区分を選択する。ユーザが坪量区分の選択後にソフトキーである「OK」を押下すると、CPU222は、ディスプレイ225に初期画面を表示する。
【0059】
坪量の選択画面の「OK」が押下されることで、
図8(b)の画面で選択した給紙デッキに収容されているシートの坪量区分が設定される。CPU222は、設定された坪量区分を外部コントローラ102に通知する。外部コントローラ102は、通知された坪量区分をメモリ209に格納する。外部コントローラ102は、印刷時に、画像が印刷されるシートの坪量区分を印刷装置107に通知する。
【0060】
(調整用チャート挿入モード)
調整用チャートは、印刷されたシートが所定枚数になる毎に作成される。つまり印字位置は、所定枚数のシートへの印刷が行われる毎に調整される。所定枚数は、ユーザにより設定可能である。所定枚数の設定により印字位置の調整間隔が設定される。
【0061】
図9は、調整用チャートを作成する間隔を設定する設定画面の例示図である。設定画面は、CPU222によりディスプレイ225に表示される。調整用チャートは、調整モードで作成される、調整モードは、ユーザが操作部224を用いて設定する。
【0062】
図9(a)は、初期画面である。ユーザが初期画面からソフトキーである「応用モード」を選択すると、CPU222は、ディスプレイ225に
図9(b)の応用モードの選択画面を表示する。ユーザが応用モードの選択画面からソフトキーである「調整」を選択すると、CPU222は、ディスプレイ225に
図9(c)の調整モード選択画面を表示する。「調整」の選択により印刷装置107は調整モードになる。ユーザが応用モードの選択画面からソフトキーである「閉じる」を選択すると、CPU222は、ディスプレイ225に初期画面を表示する。
【0063】
ユーザが調整モード選択画面からソフトキーである「所定間隔」を選択すると、CPU222は、ディスプレイ225に
図9(d)の挿入間隔設定画面を表示する。ユーザが調整モード選択画面からソフトキーである「戻る」を選択すると、CPU222は、ディスプレイ225に応用モードの選択画面を表示する。
【0064】
ユーザが挿入間隔設定画面のテンキーにより挿入間隔枚数を入力してソフトキーである「OK」を選択すると、CPU222は、調整チャートの挿入間隔枚数を設定する。CPU222は、挿入間隔設定画面により入力された挿入間隔枚数を、「OK」が選択されることでメモリ223に格納する。CPU222は、ユーザが挿入間隔設定画面からソフトキーである「戻る」を選択すると、CPU222は、ディスプレイ225に調整モード選択画面を表示する。
【0065】
CPU222は、メモリ223に格納した挿入間隔枚数を外部コントローラ102に通知する。外部コントローラ102は、通知された挿入間隔枚数をメモリ209に格納する。外部コントローラ102は、挿入間隔枚数のシートへの印刷が行われると、印刷装置107に対して調整用チャートの作成を指示する。
例えば挿入間隔設定画面で「200」枚が入力されて「OK」が選択される場合、印刷装置107は、200枚の印刷を行う毎に外部コントローラ102から調整用チャートの印刷が指示される。印刷ジョブで1000枚の印刷が指示される場合、印刷装置107は、200ページと201ページの間、400ページと401ページの間、600ページと601ページの間、800ページと801ページの間に調整用チャートを作成する。
【0066】
以上のように調整用チャートが作成されるタイミングである所定枚数(挿入間隔枚数)が設定される。ここでは、印刷装置107により挿入間隔枚数が設定される例について説明したが、挿入間隔枚数は、外部コントローラ102やクライアントPC103により設定されてもよい。外部コントローラ102が用いられる場合、
図9の各設定画面はディスプレイ212に表示される。クライアントPC103が用いられる場合、
図9の各設定画面はディスプレイ205に表示される。設定された挿入間隔枚数は、クライアントPC103から外部コントローラ102へ通知される。
【0067】
(対向ローラの移動制御)
図10は、対向ローラ360、361の移動制御処理を表すフローチャートである。この処理は、印刷装置107がジョブに応じてシートに画像を印刷する際に行われる。ここでは対向ローラ360の移動制御について説明するが、対向ローラ361についても同様に移動制御処理が行われる。
【0068】
CPU222は、ジョブの開始時に対向ローラ360を駆動するモータ365の初期化を行う(S1000)。CPU222は、初期化により、位置(8)でカム363がロッド364に接するようにモータ365を制御する。初期化後にCPU222は、メモリ223に格納する変数である「現在位置X」に位置(8)を設定する(S1001)。この間、印刷装置107は、シートに画像を印刷する。
【0069】
CPU222は、画像が印刷されるシートの種類に応じて、カム363がロッド364に当接する位置(目標位置)を決定する(S1002)。カム363は、CIS322が調整用チャートを読み取る際に目標位置でロッド364に当接するように配置される。CPU222は、メモリ223に保存されるシート情報の調整チャート情報と坪量とに基づいて、目標位置管理テーブル(
図7)を参照して目標位置を決定する。シートに調整用画像が印刷されて調整用チャートが作成される場合、CPU222は、シートの坪量に応じて位置(1)~位置(8)のいずれかを目標位置に設定する。シートに調整用画像が印刷されない非調整用チャートが作成される場合、CPU222は、シートの坪量にかかわらず位置(8)を目標位置に決定する。そのために非調整用チャートが作成される場合、対向ローラ360はCIS322から最も離れた位置となる。
【0070】
CPU222は、現在位置Xと目標位置とが異なるか否かを判断する(S1003)。つまり、CPU222は、カム363を回転させて対向ローラ360を現在の位置から移動させる必要があるか否かを判断する。現在位置Xと目標位置とが異なる場合(S1003:Y)、CPU222は、カム363の回転方向を決定する(S1004)。回転方向は、現在位置Xから目標位置へロッド364に当接する位置を変更するための方向である。
【0071】
図11は、カム363の回転方向の決定に用いられる回転方向管理テーブルの例示図である。回転方向管理テーブルは、例えばメモリ223に予め保存される。CPU222は、回転方向管理テーブルを参照してカム363の回転方向を決定する。回転方向管理テーブルは、現在位置Xから目標位置に移動するために、カム363をどちらの方向に駆動させればよいかのパターン情報が定義されている。具体的には、回転方向管理テーブルは、現在位置Xから目標位置に移動する時間が短くなるようにカム363を時計回り(CW)に回転させるのか、或いは反時計回り(CCW)に回転させるのかの情報が格納されている。
【0072】
具体的な回転方向の決定処理について説明する。
図6に例示する状態では、現在位置Xが位置(8)であり、カム363は位置(8)でロッド364に接している。この状態で目標位置が例えば位置(3)であれば、以下のように回転方向が決定される。
【0073】
例えばカム363がCW方向に回転する場合、カム363は、位置(8)→位置(6)→位置(4)→位置(2)→位置(1)→位置(3)の順に回転する。つまり、カム363は、4カ所の位置を経由して現在位置から目標位置に到達する。カム363がCCW方向に回転する場合、カム363は、位置(8)→位置(7)→位置(5)→位置(3)の順に回転する。つまり、カム363は、2カ所の位置を経由して現在位置から目標位置に到達する。
【0074】
以上のことからCPU222は、現在位置(位置(8))から目標位置(位置(3))に移動する場合に、回転方向をCCW方向に決定して、最短時間で現在位置を目標位置に到達させることができる。なお、現在位置Xと目標位置とが180度対向した位置である場合には、カム363の外周距離が短くなるように回転方向が決定される。
【0075】
カム363の回転方向を決定したCPU222は、目標位置がロッド364に接するように実際にモータ365を駆動してカム363を回転駆動する。これにより対向ローラ360が目標位置に応じた位置に移動する(S1005)。対向ローラ360の移動が完了すると、CPU222は、現在位置Xを目標位置に更新する(S1006)。
【0076】
CPU222は、現在位置Xの更新後に対向ローラ360によるシートの搬送を制御する(S1007)。なお、現在位置Xと目標位置とが同じ場合(S1003:N)、CPU222は、S1004~S1006の処理を行うことなく、対向ローラ360によるシートの搬送を制御する(S1007)。つまり、現在位置Xと目標位置とが同じ場合、モータ365の駆動による対向ローラ360の移動制御が行われない。
【0077】
対向ローラ通過検知センサ370は、対向ローラ360によりシートが搬送されることで、シートを検知してオンになる。CPU222は、対向ローラ通過検知センサ370がオンになると、対向ローラ通過検知センサ370がシートを検知しなくなってオフになるまで待機する(S1008、S1009:N)。すなわちCPU222は、対向ローラ360の位置(CIS322の読取位置)をシートの後端が通過するまで監視する。シートが調整用チャートである場合、対向ローラ360によりシートが搬送される間にCIS322が調整用画像を読み取る。この読取結果に基づいてCPU222は画像形成条件を調整する。
【0078】
対向ローラ通過検知センサ370がシートを検知しなくなってオフになると(S1009:Y)、CPU222は、次のシートの有無を判断する(S1010)。次のシートが有る場合(S1010:Y)、CPU222は、S1002以降の処理をジョブで指示されたすべてのシートに対して行う。次のシートが無い場合(S1010:N)、CPU222は、対向ローラ360の移動制御処理を終了する。
【0079】
このように、現在位置から目標位置への移動の際に移動距離が最短となるようにカム363の移動方向を決定することで、対向ローラ360の移動時間を従来よりも短縮することができる。そのために、例えば、同一のジョブで複数の坪量のシートに対して印刷処理を行う場合であっても、シートがCIS322の読取位置に到達するまでに対向ローラ360の移動動作が完了する。このような制御により、画像形成装置101の生産性の低下が防止される。